IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フルクサス,インク.の特許一覧

<>
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図1
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図2
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図3
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図4
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図5A
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図5B
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図5C
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図6
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図7
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図8
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図9
  • 特表-開口アレイを備えた導波路構造 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】開口アレイを備えた導波路構造
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20230524BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G01N21/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563357
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 US2021028234
(87)【国際公開番号】W WO2021216604
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/013,168
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】520457454
【氏名又は名称】フルクサス,インク.
【氏名又は名称原語表記】Fluxus, Inc.
【住所又は居所原語表記】3130 Coronado Drive, Santa Clara, CA 95054, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パークス,ジョシュア,ワイン
(72)【発明者】
【氏名】ツァウグ,フランク
【テーマコード(参考)】
2G043
2G057
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043AA04
2G043CA03
2G043DA05
2G043EA01
2G043HA05
2G057AA04
2G057BA05
2G057BD04
2G057CA01
2G057CA07
2G057DB03
(57)【要約】
導波路構造(100)は、導波路(114)が交差する1つ以上の流体チャネル(118)を含む。導波路構造の開口層(470)は、1つ以上の流体チャネルに隣接する開口アレイ(472)を含み、開口アレイにより、流体チャネル内の検体からの放出信号が開口層を通って検出されることが可能となり得る。開口層は、第1のエッチングステップを使用してエッチングされ得、一方で、導波路構造の基板内の空隙は、第2のエッチングステップを使用してエッチングされ得、第1のエッチングステップは、第2のエッチングステップよりも精度が高い。開口アレイは、デバイスの特定の流体チャネルに関連付けられた1つ以上の一次元開口シグネチャパターンを有し得、よって、シグネチャパターンを使用して、信号は逆多重化され、信号は複数のチャネルのうちの1つに相関され得る。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路構造であって、
1つ以上の流体チャネルを含む導波路層と、
前記複数の流体チャネルと交差する少なくとも1つの導波路と、
第1の開口アレイを含む第1の開口層であって、前記1つ以上の流体チャネルのそれぞれは、前記第1の開口アレイの開口のうちの少なくとも1つに隣接する、前記第1の開口層と、
前記1つ以上の流体チャネルを閉じるように前記導波路層に取り付けられたカバー層と、
を備える、前記導波路構造。
【請求項2】
前記開口アレイは、1つ以上のそれぞれの一次元開口パターンを有し、前記1つ以上の一次元開口パターンのそれぞれは、前記1つ以上の流体チャネルのそれぞれに隣接して配置される、請求項1に記載の導波路構造。
【請求項3】
前記複数のそれぞれの一次元開口パターンはそれぞれ、異なる数の開口を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項4】
前記複数のそれぞれの一次元開口パターンはそれぞれ、異なる開口間隔を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項5】
前記複数のそれぞれの一次元開口パターンはそれぞれ、異なる開口サイズを有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項6】
前記第1の開口層は、クロム、ニッケル、別の金属、及び/または1つ以上のARROW層を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項7】
前記第1の開口層は、スパッタリング、電子ビーム蒸着、スピンコーティング、及びコーティングのうちの1つ以上を使用して微細加工される、請求項1~6のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項8】
前記1つ以上の流体チャネルと交差する前記少なくとも1つの導波路には、中実コア導波路、MMI導波路、及び調整可能な流体コアMMI導波路のうちの1つ以上が含まれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項9】
前記1つ以上の流体チャネルと交差する前記少なくとも1つの導波路には、前記導波路層に形成された中実コア導波路が含まれ、前記中実コア導波路は、(i)前記導波路層に複数の空隙をエッチングして、これらの間に前記中実コア導波路を画定すること、及び(ii)前記導波路層にドーピングを行い、前記導波路層内の1つ以上のドープ領域により前記中実コア導波路を画定すること、のうちの1つ以上により、形成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項10】
前記導波路層に結合された基板層と、
前記1つ以上の流体チャネルのうちの1つ以上に隣接する位置で前記基板層に形成された基板空隙であって、これにより、前記空隙に隣接する前記1つ以上の流体チャネルから、前記第1の開口アレイの前記開口のうちの1つ以上を通って漏れた光は、前記基板空隙内に伝播する、前記基板空隙と、
を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項11】
前記基板空隙は、前記第1の開口層の前記開口のうちの1つ以上よりも、直径が大きい、請求項10に記載の導波路構造。
【請求項12】
前記第1の開口層とは反対の前記導波路層の側に配置された第2の開口層であって、前記第2の開口層は第2の開口アレイを含み、前記1つ以上の流体チャネルのそれぞれは前記第2の開口アレイの開口のうちの少なくとも1つに隣接する、前記第2の開口層、
を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項13】
前記第2の開口層は、前記カバー層の上または中に配置される、請求項12に記載の導波路構造。
【請求項14】
前記開口アレイは、複数の一次元開口パターンを形成する二次元開口アレイであり、
前記1つ以上の流体チャネルには、複数の流体チャネルが含まれ、前記複数の流体チャネルのそれぞれは、前記二次元開口アレイの前記開口のうちの少なくとも1つに隣接する、
請求項1~13のいずれか1項に記載の導波路構造。
【請求項15】
導波路構造を生成するための方法であって、
前記導波路構造の開口層に開口アレイをエッチングすることであって、前記開口アレイは、1つ以上のそれぞれの一次元開口パターンを有し、前記1つ以上の一次元開口パターンのそれぞれは、前記導波路構造の1つ以上の流体チャネルの集合のうちのそれぞれの流体チャネルから、光が放射されることを可能にするように構成される、前記エッチングすること、
を含む、前記方法。
【請求項16】
前記導波路構造の導波路層に前記1つ以上の流体チャネルをエッチングすることと、
前記1つ以上の流体チャネルを閉じるように前記導波路層にカバー層を取り付けることと、
を含む、請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
基板空隙を作るように前記導波路構造の基板層にエッチングを行うことであって、これにより、前記1つ以上の流体チャネルから、前記第1の開口層の開口のうちの1つ以上を通って漏れた光は、前記基板空隙内に伝播する、前記エッチングを行うこと、
を含む、請求項15~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記基板層へのエッチングは、ウェットエッチング処理ステップを含む、請求項17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記開口層へのエッチングは、第1の空間精度を有する第1のエッチングステップを含み、
前記基板層へのエッチングは、第2の空間精度を有する第2のエッチングステップを含み、
前記第1の空間精度は、前記第2の空間精度よりも精密である、
請求項17~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記開口層へのエッチングは、前記基板層へのエッチングの前に実行される、請求項17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記基板空隙は、前記第1の開口層の前記開口のうちの1つ以上よりも、直径が大きい、請求項17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記導波路層に第1の導波路空隙及び第2の導波路空隙をエッチングすることであって、前記第1の空隙及び前記第2の空隙をエッチングすることは、前記第1の空隙と前記第2の空隙との間の前記導波路層に中実コア導波路を作り出し、前記中実コア導波路は、前記1つ以上の流体チャネルと交差する、前記エッチングすること、
を含む、請求項15~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記開口層へのエッチングは、金属エッチングステップを実行することを含む、請求項15~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
導波路構造を生成するための方法であって、
前記導波路構造の導波路層に1つ以上の流体チャネルをエッチングすることであって、前記1つ以上の流体チャネルのそれぞれは、前記導波路構造の開口層に配置された1つ以上の開口と位置を合わせられる、前記エッチングすることと、
前記1つ以上の流体チャネルを閉じるように前記導波路層にカバー層を取り付けることと、
を含む、前記方法。
【請求項25】
検体検出のためのシステムであって、
第1の検体チャネルと、
第2の検体チャネルと、
前記第1の検体チャネルと位置を合わせられた第1のパターンの開口と、前記第2の検体チャネルと位置を合わせられた第2のパターンの開口とを形成する複数の開口を含む開口層と、
前記第1のパターンの開口を通して放射された光と、前記第2のパターンの開口を通して放射された光とを検出するように構成された検出器と、
1つ以上のプロセッサと、
を備え、前記1つ以上のプロセッサは、
前記第1のパターンの開口及び前記第2のパターンの開口のうちの1つを通して放射された光を表す信号を、前記検出器から受信することと、
前記受信した信号に基づいて、前記信号が前記第1のチャネルに対応するか、または前記第2のチャネルに対応するかを特定することと、
を実行するように構成される、前記システム。
【請求項26】
前記信号が前記第1のチャネルに対応するか、または前記第2のチャネルに対応するかを特定することは、前記信号のバーストの数が、前記第1のパターンの開口の数に対応するか、または前記第2のパターンの開口の数に対応するかを特定することに基づいて行われる、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記信号が前記第1のチャネルに対応するか、または前記第2のチャネルに対応するかを特定することは、前記信号で表される光バーストの持続時間が、前記第1のパターンの開口の直径に対応するか、または前記第2のパターンの開口の直径に対応するかを特定することに基づいて行われる、請求項25~26のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記信号が前記第1のチャネルに対応するか、または前記第2のチャネルに対応するかを特定することは、前記信号で表される2つ以上のバーストの時間間隔が、前記第1のパターンの2つ以上の開口の物理的間隔に対応するか、または前記第2のパターンの2つ以上の開口の物理的間隔に対応するかを特定することに基づいて行われる、請求項25~27のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記信号が前記第1のチャネルに対応するか、または前記第2のチャネルに対応するかを特定することは、前記信号で表される1つ以上のバーストの波長が、前記第1のパターンの1つ以上の開口のスペクトル特性に対応するか、または前記第2のパターンの1つ以上の開口のスペクトル特性に対応するかを特定することに基づいて行われる、請求項25~28のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月21日に出願された米国仮特許出願第63/013,168号の利益を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、概して、導波路及びその製造に関し、より具体的には、流体コアチャネル及び/または流体コア導波路に隣接して配置された開口アレイを有する光流体チップなどの導波路構造に関する。
【背景技術】
【0003】
光学チップ及び光流体チップなどの導波路構造は、現代の生物医学研究において非常に重要である。これらの導波路構造は、中実コア導波路、流体チャネル、及び/または流体コア導波路を備え得、これらは、互いに同一平面に配置され得、様々な構成で互いに交差し得る。
【0004】
導波路構造から信号を収集するための既知の技術には、検体を含む導波路と同一平面(例えば流体コア導波路と同一平面)配置された1つ以上の光検出器を使用する面内信号収集が含まれ、これは、例えば、1つ以上の面内導波路を使用して、光を1つ以上の光検出器に誘導することにより行われる。導波路構造から信号を収集するための既知の技術には、検体を含む導波路の平面の上または下に配置された1つ以上の光検出器を使用する面外信号収集も含まれる。
【発明の概要】
【0005】
前述のように、導波路構造から信号を収集するための既知の技術は、1つ以上の面内導波路または面外導波路を使用することを含む。しかしながら、信号を収集するための既知の技術は、複数の異なる流体チャネルから及び/または複数の異なる励起スポットパターンから生成された信号の逆多重化といった複雑な用途において、面外信号検出を正確に制御する十分な能力を提供していない。従って、導波路構造から信号を収集するための改善されたシステム及び方法が必要である。
【0006】
本明細書では、改善された導波路構造、当該改善された導波路構造の製造方法、及び当該改善された導波路構造の使用方法が開示される。本明細書で開示される改善された導波路構造は、互いに並走する複数の中空コア検体チャネルなど、1つ以上の中空コア検体チャネルを含み得、よって、1つ以上の中空コア検体チャネルのそれぞれが、それぞれの検体を含む液体で充填され得る。1つ以上の中空コア検体チャネル内の検体は、励起光源により励起されると、蛍光などにより出力光信号を発し得、当該出力光信号は、1つ以上の光検出器により収集され得る。本明細書で説明されるように、当該出力光信号の面外収集は、導波路構造の開口層を使用することにより促進され得、開口層は、1つ以上の中空コア検体チャネルの下に配置された開口アレイ(例えば一次元アレイまたは二次元アレイ)を備え、これにより、出力光/放射光は、1つ以上の中空コア検体チャネルから出て、開口アレイにより画定された空間パターンで開口層を通過することが可能となる。
【0007】
いくつかの実施形態では、1つ以上の空間的に分布された光学素子及び/または光検出器へ放射光を配向する1つ以上のパターンを画定するために、開口アレイが使用され得る。いくつかの実施形態では、異なる中空コア検体チャネルから収集された信号の逆多重化を可能にするために、二次元開口アレイが使用され得る。例えば、システムは、異なる中空コア検体チャネルが異なる種類の検体を含むように構成され得、システムは、開口層の既知のパターンの開口がチャネル下に配置された中空コア検体チャネルのうちの特定の1つに、出力信号が起因することを、出力信号の空間パターン、スペクトルパターン、及び/または時間パターンに基づいて、自動的に特定するように構成され得る。例えば、検体が検体チャネルを通って流れ、検体チャネルの下に配置された複数の開口を通過する実施形態では、複数の開口を通過して検出された出力光信号は、時間的に分布した一連の強度スパイクを形成し得る。いくつかの実施形態では、システムは、検出されたスパイクの数を自動的に認識してカウントし、カウントされたスパイクの数を、検体チャネルの下に配置された開口の数と照合することにより、出力光信号が複数の検体チャネルのうちのどれに起因するかを特定するように構成され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、導波路構造は、複数の開口層を含み得る。例えば、導波路層の上に配置された開口層は、導波路構造に入射する励起光を部分的に遮断し、部分的に通すように構成された開口アレイを備え得る。従って、開口層を使用して、複数の流体チャネルから放たれる放射光の二次元パターンを形成することの代わりに、またはこれに加えて、開口層を使用して、複数の流体チャネルに入射する励起光のパターンを形成することもできる。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の導波路構造が提供され、第1の構造は、1つ以上の流体チャネルを含む導波路層と、複数の流体チャネルと交差する少なくとも1つの導波路と、第1の開口アレイを含む第1の開口層であって、1つ以上の流体チャネルのそれぞれは第1の開口アレイの開口のうちの少なくとも1つに隣接する、第1の開口層と、1つ以上の流体チャネルを閉じるように導波路層に取り付けられたカバー層と、を備える。
【0010】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、開口アレイは、1つ以上のそれぞれの一次元開口パターンを有し、1つ以上の一次元開口パターンのそれぞれは、1つ以上の流体チャネルのそれぞれに隣接して配置される。
【0011】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、複数のそれぞれの一次元開口パターンはそれぞれ、異なる数の開口を有する。
【0012】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、複数のそれぞれの一次元開口パターンはそれぞれ、異なる開口間隔を有する。
【0013】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、複数のそれぞれの一次元開口パターンはそれぞれ、異なる開口サイズを有する。
【0014】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、第1の開口層は、クロム、ニッケル、別の金属、及び/または1つ以上のARROW層を含む。
【0015】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、第1の開口層は、スパッタリング、電子ビーム蒸着、スピンコーティング、及びコーティングのうちの1つ以上を使用して微細加工される。
【0016】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、1つ以上の流体チャネルと交差する少なくとも1つの導波路には、中実コア導波路、MMI導波路、及び調整可能な流体コアMMI導波路のうちの1つ以上が含まれる。
【0017】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、1つ以上の流体チャネルと交差する少なくとも1つの導波路には、導波路層に形成された中実コア導波路が含まれ、中実コア導波路は、(i)導波路層に複数の空隙をエッチングして、これらの間に中実コア導波路を画定すること、及び(ii)導波路層にドーピングを行い、導波路層内の1つ以上のドープ領域により中実コア導波路を画定すること、のうちの1つ以上により、形成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の導波路構造は、導波路層に結合された基板層と、1つ以上の流体チャネルのうちの1つ以上に隣接する位置で基板層に形成された基板空隙と、を備え、これにより、空隙に隣接する1つ以上の流体チャネルから、第1の開口アレイの開口のうちの1つ以上を通って漏れた光は、基板空隙内に伝播する。
【0019】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、基板空隙は、第1の開口層の開口のうちの1つ以上よりも、直径が大きい。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の導波路構造は、第1の開口層とは反対の導波路層側に配置された第2の開口層であって、第2の開口層は第2の開口アレイを含み、1つ以上の流体チャネルのそれぞれは第2の開口アレイの開口のうちの少なくとも1つに隣接する、第2の開口層を備える。
【0021】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、第2の開口層は、カバー層の上または中に配置される。
【0022】
第1の導波路構造のいくつかの実施形態では、開口アレイは、複数の一次元開口パターンを形成する二次元開口アレイであり、1つ以上の流体チャネルには、複数の流体チャネルが含まれ、複数の流体チャネルのそれぞれは、二次元開口アレイの開口のうちの少なくとも1つに隣接する。
【0023】
いくつかの実施形態では、導波路構造を製造するための第1の方法が提供され、第1の方法は、導波路構造の開口層に開口アレイをエッチングすることを含み、開口アレイは、1つ以上のそれぞれの一次元開口パターンを有し、1つ以上の一次元開口パターンのそれぞれは、導波路構造の1つ以上の流体チャネルの集合のうちのそれぞれの流体チャネルから、光が放射されることを可能にするように構成される。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の方法は、導波路構造の導波路層に1つ以上の流体チャネルをエッチングすることと、1つ以上の流体チャネルを閉じるように導波路層にカバー層を取り付けることと、を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1の方法は、導波路構造の基板層にエッチングを行って基板空隙を作ることを含み、これにより、1つ以上の流体チャネルから、第1の開口層の開口のうちの1つ以上を通って漏れた光は、基板空隙内に伝播する。
【0026】
第1の方法のいくつかの実施形態では、基板層へのエッチングは、ウェットエッチング処理ステップを含む。
【0027】
第1の方法のいくつかの実施形態では、開口層へのエッチングは、第1の空間精度を有する第1のエッチングステップを含み、基板層へのエッチングは、第2の空間精度を有する第2のエッチングステップを含み、第1の空間精度は、第2の空間精度よりも精密である。
【0028】
第1の方法のいくつかの実施形態では、開口層へのエッチングは、基板層へのエッチングの前に実行される。
【0029】
第1の方法のいくつかの実施形態では、基板空隙は、第1の開口層の開口のうちの1つ以上よりも、直径が大きい。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1の方法は、導波路層に第1の導波路空隙及び第2の導波路空隙をエッチングすることを含み、第1の空隙及び第2の空隙をエッチングすることで、第1の空隙と第2の空隙との間の導波路層に中実コア導波路が作り出され、中実コア導波路は、1つ以上の流体チャネルと交差する。
【0031】
第1の方法のいくつかの実施形態では、開口層へのエッチングは、金属エッチングステップを実行することを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、導波路構造を製造するための第2の方法が提供され、第2の方法は、導波路構造の導波路層に1つ以上の流体チャネルをエッチングすることであって、1つ以上の流体チャネルのそれぞれは、導波路構造の開口層に配置された1つ以上の開口と位置を合わせられる、エッチングすることと、1つ以上の流体チャネルを閉じるように導波路層にカバー層を取り付けることと、を含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、検体検出のためのシステムが提供され、システムは、第1の検体チャネルと、第2の検体チャネルと、第1の検体チャネルと位置を合わせられた第1のパターンの開口と、第2の検体チャネルと位置を合わせられた第2のパターンの開口とを形成する複数の開口を含む開口層と、第1のパターンの開口を通して放射された光と、第2のパターンの開口を通して放射された光とを検出するように構成された検出器と、1つ以上のプロセッサと、を備え、1つ以上のプロセッサは、第1のパターンの開口及び第2のパターンの開口のうちの1つを通して放射された光を表す信号を検出器から受信することと、受信した信号に基づいて、信号が第1のチャネルに対応するか、または第2のチャネルに対応するかを特定することと、を実行するように構成される。
【0034】
システムのいくつかの実施形態では、信号が第1のチャネルに対応するか、または第2のチャネルに対応するかを特定することは、信号のバーストの数が第1のパターンの開口の数に対応するか、または第2のパターンの開口の数に対応するかを特定することに基づいて行われる。
【0035】
システムのいくつかの実施形態では、信号が第1のチャネルに対応するか、または第2のチャネルに対応するかを特定することは、信号で表される光バーストの持続時間が、第1のパターンの開口の直径に対応するか、または第2のパターンの開口の直径に対応するかを特定することに基づいて行われる。
【0036】
システムのいくつかの実施形態では、信号が第1のチャネルに対応するか、または第2のチャネルに対応するかを特定することは、信号で表される2つ以上のバーストの時間間隔が、第1のパターンの2つ以上の開口の物理的間隔に対応するか、または第2のパターンの2つ以上の開口の物理的間隔に対応するかを特定することに基づいて行われる。
【0037】
システムのいくつかの実施形態では、信号が第1のチャネルに対応するか、または第2のチャネルに対応するかを特定することは、信号で表される1つ以上のバーストの波長が、第1のパターンの1つ以上の開口のスペクトル特性に対応するか、または第2のパターンの1つ以上の開口のスペクトル特性に対応するかを特定することに基づいて行われる。
【0038】
いくつかの実施形態では、第2の導波路構造が提供され、構造は、複数の流体チャネルを含む導波路層と、複数の流体チャネルと交差する少なくとも1つの導波路と、第1の二次元開口アレイを含む第1の開口層であって、複数の流体チャネルのそれぞれは第1の二次元開口アレイの開口のうちの少なくとも1つに隣接する、第1の開口層と、複数の流体チャネルを閉じるように導波路層に取り付けられたカバー層と、を備える。
【0039】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、二次元開口アレイは、複数のそれぞれの一次元開口パターンを有し、複数の一次元開口パターンのそれぞれは、流体チャネルのそれぞれに隣接して配置される。
【0040】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、複数のそれぞれの一次元開口パターンはそれぞれ、異なる数の開口を有する。
【0041】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、複数のそれぞれの一次元開口パターンはそれぞれ、異なる開口間隔を有する。
【0042】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、複数のそれぞれの一次元開口パターンはそれぞれ、異なる開口サイズを有する。
【0043】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、第1の開口層は、クロム、ニッケル、別の金属、及び/または1つ以上のARROW層を含む。
【0044】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、第1の開口層は、スパッタリング、電子ビーム蒸着、スピンコーティング、及びコーティングのうちの1つ以上を使用して微細加工される。
【0045】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、複数の流体チャネルと交差する少なくとも1つの導波路には、中実コア導波路、MMI導波路、及び調整可能な流体コアMMI導波路のうちの1つ以上が含まれる。
【0046】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、複数の流体チャネルと交差する少なくとも1つの導波路には、導波路層に形成された中実コア導波路が含まれ、中実コア導波路は、(i)導波路層に複数の空隙をエッチングして、これらの間に中実コア導波路を画定すること、及び(ii)導波路層にドーピングを行い、導波路層内の1つ以上のドープ領域により中実コア導波路を画定すること、のうちの1つ以上により、形成される。
【0047】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、構造は、導波路層に結合された基板層と、流体チャネルのうちの1つ以上に隣接する位置で基板層に形成された基板空隙と、を備え、これにより、1つ以上の流体チャネルから、第1の二次元開口アレイの開口のうちの1つ以上を通って漏れた光は、基板空隙内に伝播する。
【0048】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、基板空隙は、第1の開口層の開口のうちの1つ以上よりも、直径が大きい。
【0049】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、構造は、第1の開口層とは反対の導波路層側に配置された第2の開口層であって、第2の開口層は第2の二次元開口アレイを含み、複数の流体チャネルのそれぞれは第2の二次元開口アレイの開口のうちの少なくとも1つに隣接する、第2の開口層を備える。
【0050】
第2の導波路構造のいくつかの実施形態では、第2の開口層は、カバー層の上または中に配置される。
【0051】
いくつかの実施形態では、導波路構造を製造するための第3の方法が提供され、第1の方法は、導波路構造の開口層に二次元開口アレイをエッチングすることを含み、二次元開口アレイは、複数のそれぞれの一次元開口パターンを有し、複数の一次元開口パターンのそれぞれは、導波路構造のそれぞれの流体チャネルから、光が放射されることを可能にするように構成される。
【0052】
第3の方法のいくつかの実施形態では、第1の方法は、導波路構造の導波路層に複数の流体チャネルをエッチングすることと、複数の流体チャネルを閉じるように導波路層にカバー層を取り付けることと、を含む。
【0053】
第3の方法のいくつかの実施形態では、第1の方法は、導波路構造の基板層にエッチングを行って基板空隙を作ることを含み、これにより、1つ以上の流体チャネルから、第1の開口層の開口のうちの1つ以上を通って漏れた光は、基板空隙内に伝播する。
【0054】
第3の方法のいくつかの実施形態では、基板層へのエッチングは、ウェットエッチング処理ステップを含む。
【0055】
第3の方法のいくつかの実施形態では、開口層へのエッチングは、第1の空間精度を有する第1のエッチングステップを含み、基板層へのエッチングは、第2の空間精度を有する第2のエッチングステップを含み、第1の空間精度は、第2の空間精度よりも精密である。
【0056】
第3の方法のいくつかの実施形態では、開口層へのエッチングは、基板層へのエッチングの前に実行される。
【0057】
第3の方法のいくつかの実施形態では、基板空隙は、第1の開口層の開口のうちの1つ以上よりも、直径が大きい。
【0058】
第3の方法のいくつかの実施形態では、第1の方法は、導波路層に第1の導波路空隙及び第2の導波路空隙をエッチングすることを含み、第1の空隙及び第2の空隙をエッチングすることは、第1の空隙と第2の空隙との間の導波路層に中実コア導波路を作り出し、中実コア導波路は、複数の流体チャネルと交差する。
【0059】
第3の方法のいくつかの実施形態では、開口層へのエッチングは、金属エッチングステップを実行することを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、導波路構造を製造するための第4の方法が提供され、第2の方法は、導波路構造の導波路層に複数の流体チャネルをエッチングすることであって、複数の流体チャネルのそれぞれは、導波路構造の開口層に配置された1つ以上の開口と位置を合わせられる、エッチングすることと、複数の流体チャネルを閉じるように導波路層にカバー層を取り付けることと、を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、上記で説明された実施形態のいずれか1つ以上の実施形態の特徴または態様のいずれか1つ以上は、互いに組み合わされてもよく、及び/または、本明細書で開示される任意の方法、システム、技術、またはデバイスの他の特徴または態様と組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】A及びBは、いくつかの実施形態による導波路構造の2つの概略図を示す。
図2】A及びBは、いくつかの実施形態による、基板層に形成された空隙を有する導波路構造の2つの概略図を示す。
図3】A及びBは、いくつかの実施形態による、基板層に形成された空隙を有し、集光用レンズを備えた導波路構造の2つの概略図を示す。
図4】A及びBは、いくつかの実施形態による、基板層に形成された空隙を有し、集光用レンズを備え、開口層を備えた導波路構造の2つの概略図を示す。
図5A】互いに並んで配置された複数の流体チャネルを備え、二次元開口アレイを含む開口層を備えた導波路構造の概略図を示す。
図5B】互いに並んで配置された複数の流体チャネルを備え、二次元開口アレイを含む開口層を備えた導波路構造の概略図を示す。
図5C図5Aに示される3つの流体チャネルから放射された光に起因する3つの時変光強度信号の例を示す。
図6】いくつかの実施形態による、検体検出のためのシステムを示す。
図7】いくつかの実施形態による、コンピュータを示す。
図8】いくつかの実施形態による、導波路構造を製造するための方法を示す。
図9】いくつかの実施形態による、導波路構造を製造するための方法を示す。
図10】いくつかの実施形態による、導波路構造の開口層を通して放射された光を表す信号を分析するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本明細書では、導波路構造及びその製造技術が開示される。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるように、導波路構造は、1つ以上の流体チャネル(例えば互いに並走する複数の流体チャネル)を構造の導波路層に備え得る。1つ以上の開口層が導波路層の上及び/または下に配置され得、1つ以上の開口層は、各開口層のそれぞれに配置された複数の開口を通して光を部分的に遮断し及び/または通すように構成され得、複数の開口は、複数の流体チャネルのうちの1つ以上に隣接して配置されるように、アレイに配置される。開口アレイ(複数可)は、流体チャネルに入る光及び/または流体チャネルから出る光を、部分的に遮断し、部分的に通すことができ、これにより、流体チャネル内に、励起光が入射し得る及び/または放射光が漏れ得る所定のゾーンが形成される。所定の励起ゾーン/放射ゾーンを形成することにより、様々なチャネルから放たれる信号は、開口層(複数可)により制御され得、信号雑音比の改善、及び/または異なる流体チャネルから受信した様々な信号の空間逆多重化/時間逆多重化に、使用され得る。
【0064】
本開示は、複数の流体チャネル(例えば互いに平行に流れる2つ以上の流体チャネル)が1つ以上の二次元開口アレイと共に使用されるいくつかの実施形態を、実施例として示して説明するが、単一の流体チャネル及び1つ以上の一次元開口アレイが提供された実施形態において、本明細書で説明されるシステム、方法、及び/または技術のうちの1つ以上を、同一または同様の方法で適用可能であり得ることが、本明細書の開示に照らして、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態では、一次元開口アレイは、導波路構造内の単一の流体チャネルに隣接する開口のパターンを有し得、一次元開口アレイは、例えば信号雑音比を改善することにより、励起及び/または信号収集の精度を向上させることができる。いくつかの実施形態では、例えば開口アレイを通して放射された光を収集するため、並びにその収集した信号を分析して、1つ以上の検体検出、流速特定、チャネル識別/検体識別/デバイス識別、及び/または逆多重化を行うために、本明細書で説明される二次元開口アレイが使用され得る方法と同様の方法で、一次元開口アレイは使用され得る。いくつかの実施形態では、複数の検体チャネルのうちのどれが二次元開口アレイの各パターンに関連付けられるかの特定に関して、本明細書で説明される方法と同一または同様の方法で、一次元開口アレイを使用して、開口パターン、関連チャネル、関連デバイス、及び/または関連検体の識別が特定され得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるように、本明細書で開示される導波路構造のうちの1つ以上は、単一のリソグラフィプロセス/エッチングプロセスを行って、その後に接合プロセスを行うことにより、形成され得る。この製造手法は、従来の製造技術で必要とされた、不便であり広範囲にわたる一連のステップに取って代わり得る。例えば、導波路構造(例えば二次元導波路構造)は、基板層と、基板層の上の導波路層とを含むチップから形成され得る。いくつかの実施形態では、基板層は、シリコンまたは他の適切な材料から形成され得、導波路層は、低温酸化物、リンドープ酸化物、シリコン酸窒化物、または他の適切な材料などの1つ以上の酸化物から形成され得る。導波路層は、いくつかの実施形態では、1μm、5μm、10μm、または20μm以上の厚さを有し得る。導波路層は、いくつかの実施形態では、1μm、5μm、10μm、または20μm以下の厚さを有し得る。導波路層に使用される材料(複数可)は、材料が光を効果的に通すように選択され得、中実コア導波路の中実コアと、流体チャネルの壁及び/または流体コア導波路の壁との両方を形成し得る。
【0066】
導波路層が基板層上に配置された(例えば置かれた、または堆積された)後、中実コア導波路及び1つ以上の流体チャネル(いくつかの実施形態では流体コア導波路でもあり得る)のうちの1つ以上を形成するために、1つ以上のエッチングステップが実行され得る。流体チャネルを形成するために、チャネルの中空コアが導波路層からエッチングされ得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、流体チャネルを通る流体の流速に影響を与えるように、流体チャネルの寸法は変更され得る。いくつかの実施形態では、流体チャネルを通る流体の流れは、真空、正圧、電気浸透、及び/または電気泳動のうちの1つ以上により生じ得る。いくつかの実施形態では、流体チャネルの幾何学的形状は、シースフローを介してフローフォーカシングを引き起こすように形成され得る。いくつかの実施形態では、流体チャネルの高さ及び/または幅は、0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、25μm、50μm、100μm、250μm、500μm、または1000μm以下であり得る。いくつかの実施形態では、流体チャネルの高さ及び/または幅は、0.25μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、25μm、50μm、100μm、250μm、500μm、または1000μm以上であり得る。いくつかの実施形態では、流体チャネルを通る流速は、0.005μL/分、0.01μL/分、0.1μL/分、1μL/分、10μL/分、100μL/分、または500μL/分以下であり得る。いくつかの実施形態では、流体チャネルを通る流速は、0.005μL/分、0.01μL/分、0.1μL/分、1μL/分、10μL/分、100μL/分、または500μL/分以上であり得る。
【0068】
中実コア導波路を形成するために、中実コア導波路の両側の導波路層から空隙がエッチングされ得、これにより、空隙間に残された導波路層の残りの材料から中実コア導波路が形成される。いくつかの実施形態では、エッチングステップは、反応性イオンエッチング、深堀り反応性イオンエッチング、及び/または中性線放電エッチングなどのドライエッチングを含み得、いくつかの実施形態では、エッチングステップは、バッファードフッ酸によるエッチングなどのウェットエッチングを含み得る。いくつかの実施形態では、空隙をエッチングして中実コア導波路の両側に領域を画定することに加えて、エッチングプロセスは、中実コア導波路の端部の領域をエッチングすることも含み得、これにより、光が中へ結合され得る光導波路の端部(例えば光学ファセット)が形成される。
【0069】
導波路層をエッチングして中実コア導波路(複数可)及び流体チャネル(複数可)を形成した後、流体チャネルの開いた上側を閉じ、及び/または空隙のうちの1つ以上を閉じるように、導波路層の上部にカバー層が適用され得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、接合ガラス、ARROW層、または全反射コーティングされた材料(例えばTEFLON(登録商標) AFなどの低屈折率材料)、または金属コーティングされた材料を含み得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、1μm、5μm、10μm、50μm、100μm、150μm、または200μm、300μm、または500μm以下の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、1μm、5μm、または10μm、50μm、100μm、150μm、または200μm、300μm、または500μm以上であり得る。いくつかの実施形態では、カバー層は、永久的または非永久的な接合、接着、または他の適切な手段により、導波路層(または下記でさらに説明されるように、導波路構造の別の層)に取り付けられ得る。
【0070】
カバー層のエッチング及び取り付けが完了した後、流体チャネルは、流体(例えば気体及び/または液体)で充填され得、例えば気体または液体は、励起光により励起される検体を含み、励起光は、中実コア導波路に沿って伝播して、流体チャネルに入射する。いくつかの実施形態では、流体チャネル内の検体からの放射は、面外で(例えば上または下にある光検出器により)、または面内で(例えば、流体チャネルが流体コア導波路であるときは、流体チャネルが面内光検出器へ導くことにより、または流体コア導波路を使用しない中実コア導波路構造が当該放射を補足することにより)、収集され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、下記でさらに説明されるように、流体コア導波路としての流体チャネルの性能(例えば放射光の面内検出を行うための性能)は、壁の厚さを減らすこと、被覆材の平均屈折率を低減させること、またはチャネル下の基板層の一部をエッチングすることにより、向上させることができる。
【0072】
図1A及び図1Bは、いくつかの実施形態による導波路構造100の2つの概略図を示す。図1Aは、2つの角度からの導波路構造100の断面図を示し、90°の角102を示す点線により、2つの展望に区分される。図1Bは、導波路構造100の俯瞰図を示す。
【0073】
図1Aに示されるように、導波路層104は、1つ以上の酸化物層から形成され得る。いくつかの実施形態では、低屈折率酸化物層106が基板(例えばシリコン)層108の上に配置され得、高屈折率酸化物層110が低屈折率酸化物層106の上に配置され得る。2つの酸化物層は共に、導波路層104を形成し得る。光112が高屈折率酸化物層110を通って伝播すると、空隙116及び/または低屈折率酸化物層106により、中実コア導波路114に沿って内部反射され得る。いくつかの実施形態では、低屈折率酸化物層106及び基板層108の両方が、低屈折率基板層に置き換えられ得る。
【0074】
図1Aに示されるように、空隙116及び流体チャネル118を形成するエッチングステップは実行され得、これにより、高屈折率酸化物層110及び低屈折率酸化物層106は、これらの中に及び/またはこれらを貫通して、同時にエッチングされる。すなわち、酸化物層を別々にエッチングして、その後に酸化物層にエッチングされた空隙/チャネルの位置合わせを行うのではなく、層が既に互いに接合された後に、エッチングが行われ得、これにより、自動的な位置合わせが達成される。図1の実施例に示されるように、チャネル118及び/または空隙116は、いくつかの実施形態では、上から高屈折率酸化物層110を完全に貫通し、上から低屈折率酸化物層106の中に部分的に入ってエッチングすることにより、形成され得る。いくつかの実施形態では、導波路構造100は、カバー層120を備え得、これは、流体チャネル118の開いた上側を閉じ、及び/または1つ以上の空隙116を閉じるように、導波路層104の上部に適用され得る。
【0075】
本明細書で開示される導波路構造のうちのいずれかに関するいくつかの実施形態では、導波路層のうちの1つ以上は、層のうちの別の層の上に配置または堆積され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の層は、スパッタ、スピンオン、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)、低圧化学気相堆積(LPCVD)、電子ビーム蒸着、及び/または任意の他の堆積方法により、堆積され得る。
【0076】
リソグラフィステップは1つのみ存在するため、この方法を使用して、より複雑な導波路構造を作成して、このプロセスの個々のダイ(例えば電子ビーム画定形体)を露出することは、非常に簡単であり得る。さらに、このワークフローでは、製造ステップの間にマスクを位置合わせする必要はない。
【0077】
導波路構造100及び/または本明細書で論述される他の導波路構造のいくつかの実施形態では、高屈折率酸化物(例えば層110)の屈折率は、1、2、3、または4以下であり得る。図1及び/または本明細書で論述される他の導波路構造のいくつかの実施形態では、高屈折率酸化物(例えば層110)の屈折率は、1、2、3、または4以上であり得る。
【0078】
導波路構造100及び/または本明細書で論述される他の導波路構造のいくつかの実施形態では、低屈折率酸化物(例えば層106)の屈折率は、1、2、3、または4以下であり得る。図1及び/または本明細書で論述される他の導波路構造のいくつかの実施形態では、低屈折率酸化物(例えば層106)の屈折率は、1、2、3、または4以上であり得る。
【0079】
導波路構造100及び/または他の導波路構造のいくつかの実施形態では、ドープ酸化物の屈折率は、1、2、3、または4以下であり得る。図1及び/または本明細書で論述される他の導波路構造のいくつかの実施形態では、ドープ酸化物の屈折率は、1、2、3、または4以上であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、基板層に隣接する酸化物層(例えば低屈折率酸化物層106)の厚さは、0.05μm、0.1μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、または50μm以下であり得る。いくつかの実施形態では、基板層に隣接する酸化物層(例えば低屈折率酸化物層106)の厚さは、0.05μm、0.1μm、0.5μm、1μm、5μm、10μm、または50μm以上であり得る。いくつかの実施形態では、基板層に隣接する酸化物層(例えば低屈折率酸化物層106)をより厚くすることにより、導波路の誘導性が向上し、及び/または隣接するシリコン材料/基板材料からの背景フォトルミネセンスが低減され得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、コア酸化物層(例えば高屈折率酸化物層110)の厚さは、0.5μm、1μm、2.5μm、5μm、7.5μm、10μm、または15μm以下であり得る。いくつかの実施形態では、コア酸化物層(例えば高屈折率酸化物層110)の厚さは、0.5μm、1μm、2.5μm、5μm、7.5μm、10μm、または15μm以上であり得る。
【0082】
付加的または代替的に、いくつかの実施形態では、基板層108などの基板に、透明または半透明の材料が使用され得る。いくつかの実施形態では、透明または半透明の基板を使用することは、ウェーハ基板を機械加工する必要なく、透明または半透明の基板材料を通して光流体信号を検出することが可能になり得るため、基板層にエッチングを行うことの代替として役立ち得る。これにより、いくつかの実施形態では、安定性が向上し、コストが削減されるという利点が得られる。
【0083】
図2A及び図2Bは、いくつかの実施形態による、基板層208に形成された空隙236を有する導波路構造200の2つの概略図を示す。図2Aは、2つの角度からの導波路構造200の断面図を示し、90°の角202を示す点線により、2つの展望に区分される。図2Bは、導波路構造200の俯瞰図を示す。
【0084】
図2に示される導波路構造200は、図1に示される導波路構造100と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得、及び図1に示される構造100と異なり得、異なる点として、導波路層204内に流体チャネル218及び中実コア導波路214を作成するために実行されるトップダウンエッチングに加えて、基板層208の部分を除去するため、及び流体チャネル218及び/または中実コア導波路214の下の1つ以上の空隙236に、導波路層204の下側を露出させるために、ボトムアップエッチングも実行され得る。流体チャネル218及び/または中実コア導波路214の下に1つ以上の空隙236を作成することにより、中実コア導波路214及び/または流体チャネル218(流体コア導波路として機能し得る)内の光212が導波路214/チャネル218から下へ漏れて出ないように、基板層208から切り出された空隙236自体が防ぐことができるため、ARROW層または低屈折率酸化物層の必要性は排除され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、導波路層204とは反対の基板層208の側面へのエッチングなどによる、基板層208へのエッチングは、基板層208を通る1つ以上の流体チャネル及び/または他の流体経路構造を形成するために、付加的または代替的に使用され得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、導波路層204とは反対の基板層208の側面へのエッチングなどによる、基板層208へのエッチングは、導波路構造200を物理的に配置する際に使用する導波路構造200上の構造を形成するために、付加的または代替的に使用され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の運動学的構造を形成するために、基板208の微細加工が使用され得る。いくつかの実施形態では、基板層208へのエッチングにより形成された1つ以上の構造を使用して、物理的配置及び/または位置合わせシステムが取り付けられ、並びに/あるいは物理的配置及び/または位置合わせシステムとの物理的相互作用が行われ得る。いくつかの実施形態では、基板層208へのエッチングにより形成された1つ以上の構造は、運動学的用途で使用するための磁性材料及び/または1つ以上の磁性構成要素で充填され得る、磁性材料及び/または1つ以上の磁性構成要素を受け入れ得る、並びに/あるいは別様に磁性材料及び/または1つ以上の磁性構成要素に付着し得る。
【0087】
図3A及び図3Bは、いくつかの実施形態による、基板層308に形成された空隙336を有し、集光用レンズ338を備えた導波路構造300の2つの概略図を示す。図3Aは、2つの角度からの導波路構造300の断面図を示し、90°の角302を示す点線により、2つの展望に区分される。図3Bは、導波路構造300の俯瞰図を示す。
【0088】
図3に示される導波路構造300は、図2に示される導波路構造200と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得、及び図2に示される構造200と異なり得、異なる点として、構造300は、例えば面外励起光収集に使用するための1つ以上のレンズをさらに備え得る。示されるように、流体チャネル318からの励起光312を上部で収集するために、レンズ338などの1つ以上のレンズが、カバー層320に含まれ、または取り付けられ得、これは例えば、接着、永久的または非永久的な接合により、またはカバー層320自体の中での製造により、行われる。代替的または付加的に、流体チャネル318からの励起光312を下側で収集するために、基板308から下側空隙336をエッチングした後に、レンズ340などの1つ以上のレンズが流体チャネル318の下に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のレンズ338、340は、ポリマー材料、誘電材料、ガラス、または任意の他の適切な材料から形成され得る。
【0089】
図4は、いくつかの実施形態による、基板層408に形成された空隙416を有し、集光用レンズ438、440を備え、開口層470を備えた導波路構造400の2つの概略図を示す。図4Aは、2つの角度からの導波路構造400の断面図を示し、90°の角402を示す点線により、2つの展望に区分される。図4Bは、導波路構造の俯瞰図を示す。
【0090】
図4に示される導波路構造400は、図3に示される導波路構造300と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得、及び図3に関して論述された導波路構造300と異なり得、異なる点として、構造400は、信号からの光を開口472に通過させて収集する一方で他の光を遮断するように構成された開口層470を、さらに含み得る。いくつかの実施形態では、開口層470に形成された1つ以上の開口は、流体チャネル418の近く、及び基板層408に埋め込まれたレンズ440の近くに配置され、これにより、信号光は、流体チャネル418から開口層470を通って基板408内のレンズ440に入り収集され、一方で、開口472を通過しない背景光は、代わりに開口層470の不透明部分により遮断されることが、可能となり得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、開口層470は、1つ以上の隣接する開口、異なる形状の開口、1つ以上のパターンを形成する複数の開口、及び/またはスペクトル依存性開口を含み得る(例えば開口層470は、いくつかの実施形態では、ARROW層の積層を含み得る)。いくつかの実施形態では、開口層470の1つ以上の開口を使用して、励起光を空間フィルタリングすることができ、よって、例えば、導波路構造400に入射する励起光ビームのみが、開口層470の1つ以上の開口を通過することが可能であり得る。
【0092】
図4に示されるように、開口層470は、基板層408(例えばシリコン層)及び基板層408に埋め込まれたレンズ440の上に配置され得、流体チャネル418の下に隣接して配置され得る。いくつかの実施形態では、図4の実施例に示されるように、開口層470は、2つの異なる低屈折率酸化物層の間に挟まれることなどにより、導波路層404の一部に埋め込まれ得る。いくつかの実施形態では、図4に示されるように、2つの低屈折率酸化物層が開口層470を取り囲む3層サンドイッチ自体が、基板層と高屈折率酸化物層との間に挟まれ得る。
【0093】
図4図3とのさらなる異なる点として、図4の導波路層404は、低屈折率酸化物層(例えば層406)と、高屈折率酸化物層(例えば層410)との両方を有する。いくつかの実施形態では、開口層470を2つの低屈折率酸化物層の間に配置すること(及び/または単一の低屈折率酸化物層406の中央に開口層を保持すること)は、開口層470を導波路層404内の導波路から光学的に分離し得、これにより、開口層470が導波路から光を吸収することが防がれる。さらに、開口層470を2つの低屈折率酸化物層の間に配置すること(及び/または単一の低屈折率酸化物層406の中央に開口層を保持すること)は、基板層408から、及び/または導波路層の上部分(例えば層410)から、開口層470を物理的に分離し得、これにより、開口層470を破壊するまたは傷つけることなく、基板層408及び/または導波路層の上部分(例えば層410)に対し、エッチング及び他の後処理ステップを実行することが可能となる。
【0094】
いくつかの実施形態では、開口層470は、クロム、ニッケル、別の金属、1つ以上のARROW層(例えばパターン化されたARROW層)、及び/または背景光を遮断するように構成された別の不透明材料を含み得る。いくつかの実施形態では、微細加工(例えばスパッタリング、電子ビーム蒸着、スピンコーティング、及び/または1つ以上のコーティング技術を含む)を使用して、開口自体の1つ以上の形体が形成され得るように、開口層470が微細加工され得る。いくつかの実施形態では、基板層408(例えばシリコン基板層)は、光学的に透明な材料の厚い層(例えば約2μm以上)でコーティングされ得、これは、最下部低屈折率酸化物層406を形成する(いくつかの実施形態では本明細書で論述される他の最下部低屈折率酸化物層と同一または同様の寸法を有し得る)。次いで、微細加工を使用して、パターン化された吸収材料の薄い層(例えば約0.1μm以下)に1つ以上の形体(例えば1つ以上の穴)が作成され、開口層470が形成され得る(いくつかの実施形態では本明細書で論述される他の開口層と同一または同様の寸法を有し得る)。次に、光学的に透明な低屈折率材料の厚い層(例えば約1μm、5μm、または10μm以上)が開口層の上に堆積され、開口層を分離する別の低屈折率酸化物層が形成され得る(開口層を分離する低屈折率酸化物層は、いくつかの実施形態では本明細書で論述される他の最下部または基板に隣接する低屈折率酸化物層と同一または同様の寸法を有する)。次に、高屈折率材料が低屈折率酸化物層の上に堆積され、導波路層の高屈折率領域が形成され得る(高屈折率領域は、本明細書で論述される他の高屈折率酸化物層と同一または同様の厚さを有し得る)。次に、吸収層の形体に位置合わせされ得る(例えば開口層470の開口の上に流体チャネルが形成されるように位置合わせされ得る)単一のリソグラフィプロセスを使用して、導波路層404に流体コア導波路418及び中実コア導波路414が同時に画定され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、図4の導波路構造400の基板408は、低屈折率酸化物などの低屈折率材料を含み得る。いくつかの実施形態では、図4に関して説明される特徴と共通の1つ以上の特徴を共有する開口層470は、本明細書で説明される他の非軸方向検出導波路構造のうちの任意の1つ以上に組み込まれ得る。
【0096】
図5は、いくつかの実施形態による、3つの検体チャネルと、開口層とを備えた導波路構造500の2つの概略図を示す。図5Aは、導波路構造500の俯瞰図を示す。図5Bは、導波路構造の部分断面図を示す。図5Cは、導波路構造500の3つの検体チャネルから放射された光からの時間変化強度信号を示す。
【0097】
図5に示される導波路構造500は、図4に示される導波路構造400と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得、及び図3に関して論述された導波路構造400と異なり得、異なる点として、下記でさらに論述されるように、構造500は、1つの流体チャネルではなく、互いに並走する複数の流体チャネル(例えば検体チャネル)を含み得る。導波路構造500は、下記でさらに論述されるように、導波路構造500の開口層のうちの1つ以上に形成された1つ以上の二次元開口アレイを備え得るという点で、導波路構造500は導波路構造400とさらに異なり得る。導波路構造500は、下記でさらに論述されるように、流体チャネル(複数可)の下に配置された(例えば図4の開口層470により示されるように、基板層と同じ流体チャネル側に配置された)基板層の代わりに、またはこれに加えて、流体チャネル(複数可)の上に配置された(例えば基板とは反対の流体チャネル(複数可)側に配置された)第2の開口層を備え得るという点で、導波路構造500は導波路構造400とさらに異なり得る。
【0098】
いくつかの実施形態では、導波路構造500は、互いに並んで(例えば平行に)走る複数の流体チャネル518を備え得る。流体チャネル518は、導波路層514内に形成され得、構造400の流体チャネル418と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得、同じ技術のうちの任意の1つ以上の技術に従って、導波路層514にエッチングすることなどにより、形成され得る。いくつかの実施形態では、導波路構造500で互いに並走する複数の流体チャネルは、異なる流体チャネルが異なる流体及び/または異なる検体を有することなどにより、向上した処理量/並列化が可能となり得、及び/または異なるプロトコル/プロシージャが同時に実行されることが可能となり得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、図5Aに示されるように、流体チャネル518のうちの1つ以上は、1つ以上の導波路514と交差し、1つ以上の導波路514により照明されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、導波路(複数可)514は、構造400の導波路414と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得、同じ技術のうちの任意の1つ以上の技術に従って、例えば導波路層504に空隙をエッチングすることにより、形成され得る。いくつかの実施形態では、導波路(複数可)514には、中実コア導波路、1つ以上のyスプリッタにより接続された複数の導波路、1つ以上のMMI導波路、1つ以上の中空コア導波路、及び/または1つ以上の調整可能な流体コアMMI導波路が含まれ得る。いくつかの実施形態では、導波路(複数可)514のうちの任意の1つ以上は、流体チャネル518のうちの1つ以上と交差し得、これには、連続的に、流体チャネル518のうちの1つ以上を通過した後、流体チャネル518のうちの別の流体チャネルに差し込まれることにより、交差することが含まれる。図5Aで示される実施例では、導波路(複数可)514には、yスプリッタを介して接続された複数の中実コア導波路が含まれ、4スポットパターンの励起光が3つの流体チャネル518のそれぞれに送られる。いくつかの実施形態では、照明光の同様のスポットパターンは、下記でさらに詳しく論述されるように、1つ以上のMMI導波路により、及び/または1つ以上の開口層を使用することにより、生成され得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、導波路構造500は、図5A及び図5Bに示される開口層570などの1つ以上の開口層を備え得る。本明細書で説明されるように、構造500に含まれる1つ以上の開口層は、二次元アレイまたは他の二次元パターンで配置された複数の開口を含み得、よって、開口により、全てではないが一部の光が、開口の分布で画定された空間パターンで開口層を通り抜けることが可能となる。開口層を使用して、1つ以上の流体チャネルに入射する励起光の通過が制御され得、付加的または代替的に、開口層を使用して、1つ以上の流体チャネルから外向きに伝播する放射光/出力光の通過が制御され得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、開口層570は、流体チャネル518の下(例えば流体チャネル518と構造500の基板層との間)に配置され得、流体チャネル518のうちの1つ以上から放たれ、基板層へ向かって下方へ伝播する放射光/出力光を部分的に遮断するように構成され得る。いくつかの実施形態では、開口層570は、図4を参照して前述された開口層470と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得る。開口層570のそれぞれの開口が流体チャネル518のそれぞれの下に配置されることにより、所定の空間でそれぞれの流体チャネルから放射光/出力光が出ることが可能となり得、従って、開口に隣接した「ゾーン」(例えば励起ゾーン及び/または放射ゾーン)が流体チャネル内に画定され、ゾーンでは、チャネルとは反対の開口層側に配置されたセンサにより、チャネルからの信号が収集され得る。このように、検体が他の場所に存在する時に、検体が放射光/出力光を放ったとしても、チャネル内の検体からの信号は、検体が開口に隣接するゾーンに存在する時にのみ、検出され得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、開口層570に加えて、またはこの代わりに、導波路構造500は、流体チャネル518の上に(例えば構造500の基板層とは反対の流体チャネル518側に)配置された第2の開口層(図5Aまたは5Bには図示せず)を備え得る。いくつかの実施形態では、第2の開口層は、流体チャネル518のうちの1つ以上に励起光/入力光が入ることを部分的に遮るように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2の開口層は、流体チャネルの面外放射側ではなく、流体チャネルの面外励起側に配置され得る点を除いて、第2の開口層は、図4を参照して前述された開口層470及び/または直前に述べられた開口層570と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得る。いくつかの実施形態では、第2の開口層は、流体チャネル518のうちの1つ以上から出力光が出ることを部分的に遮るように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の流体チャネルの異なる側に配置された2つの開口層を使用することにより、1つ以上の流体チャネルの片側または両側において、入力光及び/または出力光の空間フィルタリング及び/またはスペクトルフィルタリングを行うことが可能となり得る。例えば、開口層570は、導波路層の下にあり基板層の上にある酸化物層の中または上に配置され得るが、代わりに、第2の開口層は、導波路層の上に配置された酸化物層の中または上に配置され得る。
【0103】
付加的または代替的に、第2の開口層は、図1に関して前述されたカバー層120と共通の任意の1つ以上の特徴を共有するカバー層など、導波路層の上(または導波路層の上に配置された1つ以上の層の上)に配置されたカバー層の中または上に、配置され得る。いくつかの実施形態では、様々な組成のカバー層に、1つ以上の開口が画定され得る。例えば、ベースカバー層は、軟質材料(例えばプラスチック箔)または硬質材料(例えばガラスウェーハ)などの透明/半透明を使用して形成され得る。次に、透明/半透明ベースカバー層の上に、不透明材料が均一にコーティングされ得る(例えばスピンコーティング、スプレー、蒸着、気相堆積などによる)。次に、エンボス加工、レーザアブレーション、またはリソグラフィなどの1つ以上の方法を使用して、不透明層に1つ以上の穴が形成され、光が穴を通過可能な光学機能開口層が基板に形成されるが、それでもなお、カバー層により仕切られた1つ以上の流体チャネル内に流体が保持され得る。
【0104】
いくつかの実施形態では、様々な接合技術のうちの1つ以上を使用して、開口パターン付きカバー層と、それが接合された導波路構造の構成要素との間に、密封が形成され得る。いくつかの実施形態では、ベース層及び/または光学的に不透明な開口層の組成/形状に基づいて、異なる接合技術が使用され得る。接合方法には、熱、融着、フリット、共晶などが含まれ得る。カバー層に開口を組み込む1つの利点として、当該開口の製造は、この場合、導波路構造の1つ以上の他の構成要素とは別に行うことができ(例えばカバー層を導波路構造に固定する前に)、これにより、様々な公差スタックアップが軽減され、製造ワークフローの柔軟性が向上し、及び/または様々な(例えば非CMOS)材料の組み込みが可能となる。
【0105】
第2の開口層のそれぞれの開口が流体チャネル518のそれぞれの上に配置されることにより、所定の空間で励起光/入力光がそれぞれの流体チャネルに入ることが可能となり得、従って、開口に隣接した「ゾーン」(例えば励起ゾーン及び/または放射ゾーン)が流体チャネル内に画定され、ゾーンでは、チャネルとは反対の開口層側に配置された面外励起光源からの励起光が、チャネルに入り得る。このように、検体が他の場所に存在する時に、検体が放射光/出力光を放つように、励起光が検体に幅広く入射したとしても(例えば投光励起により)、検体が開口に隣接するゾーンに存在する時にのみ、励起光はチャネルに入り、検体に入射することができる。第2の開口層が構造500のカバー層の中または上に配置されたいくつかの実施形態では、1つ以上の光学的形体(例えば図4に関して前述されたレンズ438などのレンズ)が1つ以上の開口と整列し、光が開口を通って流体チャネルに入ることが促進されるように、カバー層内に1つ以上の光学的形体が配置され得る。
【0106】
導波路構造500が、開口層570と、開口層570とは反対の流体チャネル側に配置された第2の開口層との両方を含むいくつかの実施形態では、2つの開口層は、1つ以上の対応する開口対を含み得、開口対は、位置を合わせられ、流体チャネル内の同じ対応ゾーンで光が入射し出射するように構成される。
【0107】
いくつかの実施形態では、導波路構造500は、構造の1つ以上の開口層を使用して、放射光/出力光の空間パターン及び/または時間パターンを生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、異なる流体チャネルからの信号を異なるセンサへ送るなどのために、開口層570を使用して、1つ以上の流体チャネルからの放出信号/出力信号の空間パターンが画定され得る。いくつかの実施形態では、様々なチャネルから収集された信号の逆多重化を促進するために、開口層570を使用して、構造500の複数の流体チャネルからの放出信号/出力信号の空間パターン及び/または時間パターンが画定され得る。例えば、開口層570は、例えば図5Aに示されるように、二次元開口アレイを画定し得、よって、流体チャネル518のそれぞれは、異なる線形パターンの開口の上に配置される。その結果、チャネルのそれぞれからの出力信号/放出信号は、収集され得(例えば単一のセンサにより)、開口の異なる線形パターン(例えば検出器により読み取られる異なる時間シグネチャ)を、それぞれのチャネルごとのシグネチャとして使用することにより、逆多重化され得る。
【0108】
例えば、図5Cに示されるように、導波路構造500の3つの流体チャネル518から放射された光の放出信号は、単一のセンサにより(または2つ以上のセンサにより)収集され得る。検体が図の最上のチャネルを通って流れ、チャネルに隣接する各開口の上に位置するゾーンを通過すると、検体は、開口層570の対応する開口を通して放射光/出力光を放出し得、図2Cに示されるように、図の最上のチャネルに隣接する2つの開口を通過した検体の流れは、2つのピークの特徴的な励起光パターンを生成し得る。同様に、図の中央のチャネルは、3つのピークの特徴的な励起光パターンを生成し得、図の最下のチャネルは、4つのピークの特徴的な励起光パターンを生成し得る。1つ以上のプロセッサは、ピークの数を自動的に認識し、認識された開口のパターンに基づいて、信号がどのチャネルに起因するかを特定するように構成され得る。
【0109】
図5Cに示される実施例は、異なる数の開口を使用して、異なるチャネルに関連付けられた特徴的な開口パターンを定義することを企図しているが、特徴的な開口パターンは、いくつかの実施形態では、異なる開口間隔及び/または異なる開口の長さによっても形成され得る。開口間隔及び/または開口の長さを使用して特徴的な開口パターンを定義するとき、チャネルから開口を通して放出される特徴的な時変光信号を定義することの一環として、関連流体チャネル内の粒子流速が考慮され得る。いくつかの実施形態では、空間的に同一の開口パターンが、異なる流速を有する流体チャネルに隣接して配置され得、よって、これらのチャネルでは、粒子が異なる速度で開口パターンを通過する時に、異なる時変光信号が生成され得る。従って、1つ以上のプロセッサは、ピークの数、ピークの長さ、及び/またはピークの間隔に基づいて(異なるチャネル内の異なる検体流速を考慮することを含む)、どのチャネルに時変光信号は起因するかを特定するように構成され得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、開口層570を通して受信された信号の空間逆多重化及び/または時間逆多重化に加えて、プロセッサは、例えば開口層570を通して検出された異なる信号の波長に基づいて、スペクトル逆多重化を実行するように、さらに構成され得る。例えば、1つ以上の同一(または同様)の線形開口パターンにより、同一または同様の時変光信号が生成され得、プロセッサは、異なるチャネルに関連付けられた異なる光波長に基づいて、異なるチャネルを区別するように構成され得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、導波路構造500は、異なる波長の光が通過できるように1つ以上の開口を構成することにより、スペクトル逆多重化を可能にするように構成され得る。例えば、1つの開口は、第1の波長の放射光が通過できるように構成され得、一方で別の開口は、第2の波長の光が通過できるように構成され得る。異なる波長の出力信号が検出されるとき、プロセッサは、信号の波長に基づいて、信号の全てまたは一部がどの開口から受信されたかを相関させるように構成され得る。
【0112】
上記の実施例では、開口層570を使用して、異なる流体チャネルに起因する励起光の特徴的な空間パターン及び/または時間パターンを作成することが企図されるが、異なる流体チャネルに起因する励起光の特徴的な空間パターン及び/または時間パターンは、導波路構造500の第2の開口層を使用して、全体的または部分的に作成され得ることにも、留意されたい。例えば、複数の流体チャネル内の励起ゾーンの異なる特徴の線形パターンを形成するために、第2の導波路構造を使用して、励起光を部分的に遮断し、部分的に通し得、よって、チャネル内の粒子は、励起ゾーンを通って励起ゾーン内で励起されたときにのみ、出力信号/放出信号を放つ。例えば、図5Bは、流体チャネル内の4つの励起ゾーンの実施例を示す(励起ゾーンのそれぞれは、開口層570の開口の上に配置され、これは、励起光が所定の励起ゾーンに入射するときにのみ、使用されてもよく、使用されなくてもよい)。
【0113】
いくつかの実施形態では、第2の開口層に形成された二次元アレイまたは二次元パターンの開口を使用して、導波路構造500の複数の流体チャネル516に、異なる特徴的パターンの励起ゾーンが形成され得る。いくつかの実施形態では、励起光のパターンを作成するために第2の開口を使用することの代わりに、またはこれに加えて、1つ以上の導波路を使用して、例えば図5Aに示されるyスプリッタ構造の中実コア導波路を使用することにより、励起光の1つ以上のスポットパターンが形成され得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される任意の導波路構造の任意の開口層に形成された開口は、単一の流体チャネルにのみ隣接して配置され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で開示される任意の導波路構造の任意の開口層に形成された開口は、複数の流体チャネルに隣接して配置され得、開口が複数の流体チャネルのそれぞれに隣接して配置されるとき、例えば、細長いまたはスリット状の開口により、複数の流体チャネルで光が入射し及び/または出射することが可能となり得る。
【0115】
前述の多重化機能を可能にすることに加えて、複数の流体チャネルでの光の入射及び/または出射を可能にする二次元開口アレイを有する1つ以上の開口層を使用することにより、導波路構造を使用した時の信号雑音比が向上し、これにより、精度が高まり、コスト最小化が促進される。
【0116】
いくつかの実施形態では、金属エッチングステップを使用して、導波路構造500の1つ以上の開口層において、精密に寸法決定され、精密に位置合わせされた開口が画定され得る。いくつかの実施形態では、ウェットエッチング処理ステップ(例えばKOH)を使用して、導波路構造500の基板層に1つ以上の開口部、例えば図5Bに示される開口層570の下の基板層に単一の大きな開口部が、作成され得る。いくつかの実施形態では、基板層の1つ以上の開口部の位置合わせ及びサイズ決定は、開口層の開口の位置合わせ及びサイズ決定ほど重要性ではあり得ない(例えば位置合わせ及びサイズ決定にそれほど高いレベルの精度を必要としない)。いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるように1つ以上開口層が統合された導波路構造は、位置合わせが導波路構造に事前に組み込まれ済みであり得るが、基板層の体積内のより大きな開口部は、単一分子を検出するのに十分に敏感な形状を形成するために、光学システムに対して粗く(例えば約数百ミクロンで)位置合わせするだけでよい。このように基板層の位置合わせ公差が緩和されることにより、検出体積の下流にある光学システムのコスト及び複雑さは、大幅に軽減され得る。
【0117】
基板層を貫通するエッチングの代わりに、またはこれに加えて、透明な基板層が使用され得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明されるように1つ以上の開口層を使用することにより、導波路構造に組み込まれた光学ピンホール機能を可能にするシステムが作られ得る。開口層の開口によって画定された光学ピンホールは、放射スポットを画定し、不要な散乱光を最小限に抑え、マルチスポットパターンの精密な定義を可能にし得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、背景光レベル(例えば基板の開口部を通して流体チャネルに放射される背景光)が高すぎる場合、または複数のピーク間の区別がうまくできない場合、1つ以上の開口層における1つ以上の開口の寸法が調整され得、並びに/あるいは開口層自体の厚さ及び/または材料組成が調整され得る(例えばより厚く及び/またはより不透明にされ得る)。
【0120】
本明細書の開示は、導波路構造の導波路層における特定の酸化物材料の使用について論じたが、本明細書で開示される構造の導波路層は、いくつかの実施形態では、1つ以上の代替材料または付加材料から(全体的または部分的に)形成されてもよく、これらの材料には、気相堆積を使用して堆積される材料(例えばプラズマ強化化学気相堆積(PECVD)または低圧化学気相堆積(LPCVD)により堆積される二酸化チタンなどの酸化物)、熱酸化により形成される材料(例えばシリコンの熱酸化から形成される二酸化シリコン)、スピンオンガラス、バックグラウンド除去用に選択または構成され得る任意の1つ以上の他の材料、及び/または1つ以上のプラスチック(例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP))が含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明される導波路構造のうちの1つ以上は、説明される導波路に加えて、またはこの代わりに、1つ以上の埋め込み導波路が設けられ得る。例えば、溝型導波路に加えて、またはこの代わりに、埋め込み導波路が実装され得る。いくつかの実施形態では、埋め込み導波路により、単一モード動作を強化すること、チップ/ウェーハ間の再現性を向上させること、チャネル形成中のカバー層のより容易な統合を可能にすること(例えば流体密封される必要があり得る液体チャネルと空隙との間の小さな距離(例えば15μm)がもはや存在し得ない)、及び異なるカバー材料の使用を可能にすること(例えば上記のように密封/接合はより容易であるため)、以上の利点のうちの1つ以上が提供され得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、一次元開口アレイを有する導波路構造が提供され得る。いくつかの実施形態では、一次元開口アレイは、構造の基板層またはカバー層の中に、その一部として提供され得る、または基板層またはカバー層に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、基板と、1つ以上の導波路層(例えば導波路酸化物積層)との間に、開口層が設けられ得る。いくつかの実施形態では、このような導波路構造は、例えば1つ以上の埋め込み導波路と共に形成されるとき、構造に関して非常に明確に定義され得、向上した再現性がもたらされ得る。いくつかの実施形態では、2つ以上の開口が単一の流体チャネルに沿って(例えば一次元開口アレイで)形成されるとき、当該開口を使用して、1つ以上の導波路アレイの励起光が空間フィルタリングされ得る。例えば、MMI導波路及び/またはyスプリッタ導波路を使用するとき、複数の導波路が流体チャネルと交差し得、交差点では、屈折率摂動により過剰な散乱が生じ得、光流体信号に不要なバックグラウンドが追加され得る。一次元開口アレイを使用することにより、収集された信号から、この不要なバックグラウンドが空間フィルタリングされ得る(例えば光反射及び/または光吸収により)。さらに、開口アレイにおける開口の精密な画定は、信号収集の領域を画定することに役立ち、これにより、検体検出を向上させること、信号雑音比を改善すること、開口数、開口間隔、及び/または開口サイズに基づいたシグネチャパターンを使用して、既知の開口アレイ、関連流体チャネル、及び/または関連検体を自動的に識別すること、並びに/あるいは既知の間隔を有する異なる開口を介して収集された信号間の時間量の分析により、または既知の長さの単一の開口を通して信号が収集された時間量の分析により、流速を特定することが、可能になり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される製造技術のうちのいずれか1つ以上に従った導波路構造の製造に続いて、製造されたチップをさらに変更するために1つ以上の付加プロセスが実行され得、これには、堆積、化学修飾、界面化学の変更、及び/またはトポロジーの変更が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、これらの1つ以上の付加プロセスを使用して、製造された構造の疎水性、円滑さ、及び/または反応性など、製造された構造の1つ以上の特性が変更及び/または強化され得る。
【0124】
図6は、いくつかの実施形態による、検体検出のためのシステム600を示す。システム600は、導波路構造602と、光検出器604と、プロセッサ606とを含み得る。いくつかの実施形態では、導波路構造602は、本明細書で説明される1つ以上の開口アレイを含む導波路構造のうちのいずれかを含む、本明細書で説明される導波路構造のうちのいずれかであり得る(またはこれらのうちのいずれかと共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得る)。いくつかの実施形態では、システム600は、本明細書で説明される検体検出技術及び/または信号分析技術のうちのいずれかを実行するように構成され得、これには、検体検出、流速特定、チャネル識別/検体識別/デバイス識別、及び/または図5Cを参照して本明細書で説明される逆多重化技術が含まれるが、これらに限定されない。
【0125】
導波路構造602の開口アレイの1つ以上の開口を通して導波路構造602から放射された光は、光検出器604により検出され得、光検出器604は、当該放射光を検出するための任意の適した光検出器または他のセンサであり得る。光検出器604は、導波路構造602の1つ以上の検体チャネルの面外に設けられ得る。いくつかの実施形態では、光検出器604は、導波路構造602とは別個に設けられ得る。いくつかの実施形態では、光検出器604は、導波路構造602の一部として設けられ得、及び/または導波路構造602に取り付けられ得、もしくは物理的に統合され得る。
【0126】
光検出器604は、プロセッサ606に(例えば1つ以上の有線ネットワーク通信プロトコルまたは無線ネットワーク通信プロトコルを介して)通信可能に接続され得る。プロセッサ606は、ローカルプロセッサ、リモートプロセッサもしくはサーバ、複数のプロセッサ、分散コンピューティングシステム、及び/またはクラウドコンピューティングシステムとして、設けられ得る。プロセッサ606は、光検出器604により検出された光を表すデータを受信し、当該データを分析するように構成され得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ606は、受信したデータに基づいて1つ以上の分析を実行し、及び/または受信したデータに基づいて1つ以上の特定を行うように構成され得る。図6は、単一の光検出器604を有するシステムを示すが、いくつかの実施形態では、検体検出のためのシステムは、複数の光検出器(例えば異なる開口、異なる開口アレイ、及び/または分割信号に対応する複数の検出器)を含み得る。
【0127】
例えば、プロセッサ606は、例えばアレイの1つ以上の開口から検出されたバーストの数、アレイの1つ以上の開口から検出された1つ以上のバーストの持続時間、アレイの1つ以上の開口から検出された1つ以上のバーストの時間間隔、及び/またはアレイの1つ以上の開口から検出された1つ以上の信号バーストのスペクトル特性(例えば波長)のうちの1つ以上を分析することにより、1つ以上の開口アレイの開口のパターンを自動的に認識するように構成され得る。開口のパターンの認識に基づいて、プロセッサ606は、関連開口アレイ、関連流体チャネル、関連導波路構造、及び/または関連検体(例えば関連チャネルを流れていることが分かっている検体)の識別を、自動的に特定し得る。いくつかの実施形態では、開口のパターンの認識に基づいて、プロセッサ606は、例えば受信信号が第1の開口パターン(第1のチャネルに対応)に対応するか、第2の開口パターン(第2のチャネルに対応)に対応するかを判定することにより、複数の開口アレイから受信した信号の逆多重化を自動的に実行する。いくつかの実施形態では、プロセッサ606は、単一の二次元開口アレイの一部である異なる一次元開口パターンから検出された信号を、区別し得る。
【0128】
付加的または代替的に、プロセッサ606は、例えばアレイの1つ以上の開口から検出されたバーストのバースト持続時間及び/またはバースト時間間隔を分析することにより、チャネル内の流体の流速を自動的に特定するように構成され得る。
【0129】
図7は、いくつかの実施形態による、コンピュータを示す。コンピュータ700は、前述のシステム、デバイス、及び/または方法に従ったシステムまたはデバイスの構成要素であり得、図6のプロセッサ606の全部または一部を形成する。いくつかの実施形態では、コンピュータ700は、本明細書で説明される方法または技術(例えば図10に関して説明される方法1000を含む)のうちのいずれかなど、検体検出、信号分析、流速特定、チャネル識別/検体識別/デバイス識別、及び/または逆多重化の方法の全てまたは一部を実行し得る。
【0130】
コンピュータ700は、ネットワークに接続されたホストコンピュータであり得る。コンピュータ700は、クライアントコンピュータまたはサーバであり得る。図7に示されるように、コンピュータ700は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバなどの任意の適切な種類のマイクロプロセッサベースのデバイス、または電話もしくはタブレットなどの任意の適切な種類のハンドヘルドコンピューティングデバイスであり得る。コンピュータは、例えばプロセッサ710、入力デバイス720、出力デバイス730、ストレージ740、及び通信デバイス760のうちの1つ以上を含み得る。入力デバイス720及び出力デバイス730は、前述のものに対応し得、コンピュータと接続可能であってもよく、またはコンピュータに統合されてもよい。
【0131】
入力デバイス720は、タッチスクリーンもしくはモニタ、キーボード、マウス、または音声認識デバイスなど、入力を提供する任意の適切なデバイスであり得る。出力デバイス730は、タッチスクリーン、モニタ、プリンタ、ディスクドライブ、またはスピーカなど、出力を提供する任意の適切なデバイスであり得る。
【0132】
ストレージ740は、電気メモリ、磁気メモリ、または光学メモリなど、ストレージを提供する任意の適切なデバイスであり得、これには、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュ、ハードドライブ、CD-ROMドライブ、テープドライブ、またはリムーバブルストレージディスクが含まれる。通信デバイス760は、ネットワークインターフェースチップまたはネットワークインターフェースカードなど、ネットワークを介して信号を送受信することが可能な任意の適切なデバイスを含み得る。コンピュータの構成要素は、物理バスまたは無線を介するなど、任意の適切な方法で、接続され得る。ストレージ740は、1つ以上のプログラムを含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体であり得、1つ以上のプログラムは、プロセッサ710などの1つ以上のプロセッサにより実行されるとき、1つ以上のプロセッサに1つ以上の方法の全てまたは一部を実行させ、これには、本明細書で説明される方法または技術のうちの任意の1つ以上の全てまたは一部が含まれる。
【0133】
ストレージ740内に格納され、プロセッサ710により実行され得るソフトウェア750は、例えば本開示の機能(例えば前述されたシステム、コンピュータ、サーバ、及び/またはデバイスに取り入れられた機能)を具現化するプログラミングを含み得る。いくつかの実施形態では、ソフトウェア750は、アプリケーションサーバ及びデータベースサーバなどのサーバの組み合わせを含み得る。
【0134】
ソフトウェア750はまた、前述のような命令実行システム、命令実行装置、または命令実行デバイスにより使用される、またはこれらと接続される任意のコンピュータ可読記憶媒体に、格納及び/または搬送することもでき、命令実行システム、命令実行装置、または命令実行デバイスから、ソフトウェアに関連付けられた命令を取り出して実行し得る。本開示の文脈において、コンピュータ可読記憶媒体は、ストレージ740など、プログラミングを含むまたは格納することができる任意の媒体であり得、命令実行システム、命令実行装置、または命令実行デバイスにより使用される、またはこれらと接続される。
【0135】
ソフトウェア750はまた、前述のような命令実行システム、命令実行装置、または命令実行デバイスにより使用される、またはこれらと接続される任意の搬送媒体に、伝搬することもでき、命令実行システム、命令実行装置、または命令実行デバイスから、ソフトウェアに関連付けられた命令を取り出して実行し得る。本開示の文脈において、搬送媒体は、プログラミングを通信、伝搬、または搬送することができる任意の媒体であり得、命令実行システム、命令実行装置、または命令実行デバイスにより使用される、またはこれらと接続される。搬送可読媒体には、電子伝搬媒体、磁気伝搬媒体、光学伝搬媒体、電磁気伝搬媒体、または赤外線有線伝搬媒体もしくは赤外線無線伝搬媒体が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0136】
コンピュータ700は、ネットワーク接続され得、任意の適切な種類の相互接続通信システムであり得る。ネットワークは、任意の適切な通信プロトコルを実施し得、任意の適切なセキュリティプロトコルによって保護され得る。ネットワークは、無線ネットワーク接続、T1回線もしくはT3回線、ケーブルネットワーク、DSL、または電話回線など、ネットワーク信号の送受信を実施できる任意の適切な構成のネットワークリンクを含み得る。
【0137】
コンピュータ700は、ネットワーク上で作動するのに適切な任意のオペレーティングシステムを実装し得る。ソフトウェア750は、C、C++、Java、またはPythonなどの任意の適切なプログラミング言語で書かれ得る。様々な実施形態では、本開示の機能を具現化するアプリケーションソフトウェアは、例えばクライアント/サーバ構成で、またはウェブベースアプリケーションもしくはウェブサービスとしてウェブブラウザを介するなど、様々な構成で展開することができる。
【0138】
図8は、いくつかの実施形態による、導波路構造を製造するための方法800を示す。いくつかの実施形態では、方法800は、本明細書で開示される導波路構造のうちの1つ以上を製造するために使用され得、及び/または本明細書で開示される他の導波路製造方法と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得る。方法800は、1つ以上の追加ステップの追加、1つ以上の示されるステップの削除、及び/または1つ以上のステップの並び替えにより、図8に示される実施例から修正されてもよいことが、本明細書の開示に照らして、当業者には理解されよう。
【0139】
いくつかの実施形態では、方法800は、ブロック802にて、導波路構造の開口層に開口アレイをエッチングすることを含み、開口アレイは、1つ以上のそれぞれの一次元開口パターンを備え、1つ以上の一次元開口パターンのそれぞれは、導波路構造の1つ以上の流体チャネルの集合のうちのそれぞれの流体チャネルから、光が放射されることを可能にするように構成される。
【0140】
いくつかの実施形態では、方法800は、ブロック804にて、導波路構造の導波路層に1つ以上の流体チャネルをエッチングすることを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、方法800は、ブロック806にて、導波路構造の基板層にエッチングを行って基板空隙を作ることを含み、これにより、1つ以上の流体チャネルから、第1の開口層の開口のうちの1つ以上を通って漏れた光は、基板空隙内に伝播する。
【0142】
いくつかの実施形態では、方法800は、ブロック808にて、導波路層に第1の導波路空隙及び第2の導波路空隙をエッチングすることを含み、第1の空隙及び第2の空隙をエッチングすることは、第1の空隙と第2の空隙との間の導波路層に中実コア導波路を作り出し、中実コア導波路は、1つ以上の流体チャネルと交差する。
【0143】
いくつかの実施形態では、方法800は、ブロック810にて、1つ以上の流体チャネルを閉じるように導波路層にカバー層を取り付けることを含む。
【0144】
図9は、いくつかの実施形態による、導波路構造を製造するための方法を示す。いくつかの実施形態では、方法900は、本明細書で開示される導波路構造のうちの1つ以上を製造するために使用され得、及び/または本明細書で開示される他の導波路製造方法と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得る。方法900は、1つ以上の追加ステップの追加、1つ以上の示されるステップの削除、及び/または1つ以上のステップの並び替えにより、図9に示される実施例から修正されてもよいことが、本明細書の開示に照らして、当業者には理解されよう。
【0145】
いくつかの実施形態では、方法900は、ブロック902にて、導波路構造の導波路層に1つ以上の流体チャネルをエッチングすることを含み、1つ以上の流体チャネルのそれぞれは、導波路構造の開口層に配置された1つ以上の開口と位置を合わせられる。
【0146】
いくつかの実施形態では、方法900は、ブロック904にて、1つ以上の流体チャネルを閉じるように導波路層にカバー層を取り付けることを含む。
【0147】
図10は、いくつかの実施形態による、導波路構造の開口層を通して放射された光を表す信号を分析するための方法を示す。
【0148】
いくつかの実施形態では、方法1000は、本明細書で開示される導波路構造のうちの1つ以上などの導波路構造と併せて使用され得、並びに/あるいは、システム600及び/またはコンピュータ700などのシステムと併せて使用され得る。いくつかの実施形態では、方法1000は、本明細書で開示される信号を分析するための任意の他の技術と共通の任意の1つ以上の特徴を共有し得る。いくつかの実施形態では、方法1000は、検出器604により検出された、導波路構造602の開口層を通して放射された光を表す信号に基づいて、システム600のプロセッサ606により実行され得る。方法1000は、1つ以上の追加ステップの追加、1つ以上の示されるステップの削除、及び/または1つ以上のステップの並び替えにより、図10に示される実施例から修正されてもよいことが、本明細書の開示に照らして、当業者には理解されよう。
【0149】
いくつかの実施形態では、方法1000は、ブロック1002にて、第1のパターンの開口及び第2のパターンの開口のうちの1つを通して放射された光を表す信号を検出器から受信することを含み、第1のパターンの開口は第1の検体チャネルと位置を合わせられ、第2のパターンの開口は第2の検体チャネルと位置を合わせられるように、第1のパターンの開口及び第2のパターンの開口が開口層に形成される。
【0150】
いくつかの実施形態では、方法1000は、ブロック1004にて、受信した信号に基づいて、信号が第1のチャネルに対応するか、または第2のチャネルに対応するかを特定することを含む。
【0151】
これまでの記述は、説明目的で、具体的な実施形態を参照して記述された。しかしながら、上記の例示的な論述は、包括的であること、または開示される詳細な形態に本発明を限定することを、意図するものではない。上記の教示に照らして、多くの変更形態及び変形形態が可能である。実施形態は、技術の原理及びそれらの実際的適用を最もよく説明するために、選択され、説明された。それにより、当業者であれば、企図される特定の使用に適した様々な修正を用いて、本技術及び様々な実施形態を最適に利用することが可能となる。
【0152】
開示及び実施例は、添付図面を参照して完全に説明されたが、様々な変更及び修正が当業者には明らかになることに留意されたい。そのような変更及び修正は、特許請求の範囲によって定義される開示及び実施例の範囲内に含まれるものとして理解されるべきである。最後に、本明細書で言及されるあらゆる全ての特許及び刊行物の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】