IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マイクロチップ テクノロジー インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-522694タッチセンサ内の増幅された電荷キャンセル、並びに関連システム、方法、及びデバイス
<>
  • 特表-タッチセンサ内の増幅された電荷キャンセル、並びに関連システム、方法、及びデバイス 図1
  • 特表-タッチセンサ内の増幅された電荷キャンセル、並びに関連システム、方法、及びデバイス 図2
  • 特表-タッチセンサ内の増幅された電荷キャンセル、並びに関連システム、方法、及びデバイス 図3
  • 特表-タッチセンサ内の増幅された電荷キャンセル、並びに関連システム、方法、及びデバイス 図4
  • 特表-タッチセンサ内の増幅された電荷キャンセル、並びに関連システム、方法、及びデバイス 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】タッチセンサ内の増幅された電荷キャンセル、並びに関連システム、方法、及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230524BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230524BHJP
   G01R 29/12 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/044 120
G01R29/12 G
G01R29/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563380
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 US2021070381
(87)【国際公開番号】W WO2021217164
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/013,721
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397050741
【氏名又は名称】マイクロチップ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROCHIP TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィノイ、トルビョルン ロエフセス
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ、レイ
(57)【要約】
増幅電荷キャンセルを提供する電荷補償回路が開示される。かかる電荷補償回路を含み、物体の近接性に起因する静電容量における変化よりもはるかに大きいベースライン静電容量信号に対する改善された耐性を実現し得る、タッチコントローラが開示される。かかる電荷補償回路は、コンデンサと、パルス電圧信号をコンデンサに印加するように配置されたドライバ回路と、プログラム可能な利得を有し、パルス電圧信号に応答してコンデンサによって生成された初期電荷を増幅するように、かつ電荷キャンセル回路の出力に増幅された電荷を提供するように配置された電流コンベヤと、を含み得る。
【選択図】 図1



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷キャンセル回路であって、
コンデンサと、
前記コンデンサにパルス電圧信号を印加するように配置されたドライバ回路と、
プログラム可能な利得を有する電流コンベヤと、を備え、前記電流コンベヤが、前記パルス電圧信号に応答して前記コンデンサによって生成された初期電荷を増幅するように、かつ前記電荷キャンセル回路の出力に増幅された電荷を提供するように配置されている、電荷キャンセル回路。
【請求項2】
前記電流コンベヤが、正の出力又は負の出力のうちの1つを含む、請求項1に記載の電荷キャンセル回路。
【請求項3】
前記負の出力が、入力信号の極性に対して、出力信号の極性を反転させるように構成されている、請求項2に記載の電荷キャンセル回路。
【請求項4】
前記正の出力が、入力信号の極性に対して、出力信号の極性を追跡するように構成されている、請求項3に記載の電荷キャンセル回路。
【請求項5】
タッチ検知システムの検知ラインのコンデンサにわたる電荷転送を低減する方法であって、
タッチセンサラインを第1の電圧レールに対して予備充電するステップと、
前記タッチセンサラインにおいて、第1の測定電荷を注入するステップと、
前記タッチセンサラインにおいて、第1の増幅されたキャンセル電荷を注入するステップと、
前記タッチセンサラインを第2の電圧レールに対して予備充電するステップと、
前記タッチセンサラインにおいて、第2の測定電荷を注入するステップと、
前記タッチセンサラインにおいて、第2の増幅されたキャンセル電荷を注入するステップと、
前記タッチセンサラインを前記第1の電圧レールに対して予備充電するステップと、を含む、方法。
【請求項6】
前記タッチセンサラインにおいて、前記第1の測定電荷又は前記第2の測定電荷を前記注入するステップが、
前記タッチセンサラインにおいて、第1又は第2の測定パルスを印加して、前記第1の測定電荷又は前記第2の測定電荷を生成するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記タッチセンサラインにおいて、前記第1の増幅されたキャンセル電荷又は前記第2の増幅されたキャンセル電荷を前記注入するステップが、
補償コンデンサにおいて、第1又は第2のドライバパルスを印加して、それぞれ、前記第1の増幅されたキャンセル電荷又は前記第2の増幅されたキャンセル電荷を生成するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記タッチセンサラインにおいて前記第1の測定電荷又は前記第2の測定電荷を注入するために生成された測定パルスによって呈された電圧変化を追跡する、電圧変化を呈する前記第1のドライバパルス又は前記第2のドライバパルスを生成するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記タッチセンサラインにおいて前記第1の測定電荷又は前記第2の測定電荷を注入するために生成された測定パルスに対応する反転測定パルスによって呈される電圧変化を追跡する、電圧変化を呈する前記第1のドライバパルス又は前記第2のドライバパルスを生成するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
タッチコントローラであって、
パッドと、
予備充電回路と、
測定回路と、
前記パッドと前記測定回路との間の電荷転送経路に、増幅されたキャンセル電荷を提供するように配置された電荷キャンセル回路と、を備え、前記電荷キャンセル回路が、
コンデンサと、
前記コンデンサにパルス電圧信号を印加するように配置されたドライバ回路と、
前記パルス電圧信号に応答して前記コンデンサによって生成された初期電荷を増幅するように、かつ前記電荷キャンセル回路の出力に増幅された電荷を提供するように配置されている、プログラム可能な利得を有する電流コンベヤと、を備える、タッチコントローラ。
【請求項11】
前記ドライバ回路が、前記測定回路によって生成された測定パルスによって呈された電圧変化を追跡する、電圧変化を呈するドライバパルスを生成するように構成されている、請求項10に記載のタッチコントローラ。
【請求項12】
前記ドライバ回路が、前記測定回路によって生成された測定パルスに対応する反転測定パルスによって呈された電圧変化を追跡する、電圧変化を呈するドライバパルスを生成するように構成されている、請求項10に記載のタッチコントローラ。
【請求項13】
前記電流コンベヤの前記出力が、負の出力及び正の出力のうちの1つである、請求項10に記載のタッチコントローラ。
【請求項14】
前記予備充電回路を前記パッドに選択的に結合するように配置された第1のスイッチと、
前記測定回路及び前記電荷キャンセル回路を前記パッドに選択的に結合するように配置された第2のスイッチと、を備える、請求項10に記載のタッチコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2020年4月22日に出願された米国特許仮出願第63/013,721号の米国特許法119(e)条の下での利益を主張するものであり、その開示は、本明細書においてこの参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
この説明は、概して、タッチ検知システムを含む増幅電荷キャンセルを提供する電荷補償回路に関し、いくつかの実施形態では、いくつかの従来の電荷キャンセル技術及び電荷補償回路に関連する欠点のうちの少なくともいくつかが起こらない改善された電荷キャンセルを提供する。
【背景技術】
【0003】
容量性タッチセンサは、物体を検出するために使用されることがある。自己静電容量を測定する容量性タッチセンサの場合、物体が容量性タッチセンサに近接しているとき、物体は、容量性タッチセンサのセンサラインで自己静電容量における変化を誘導する。測定回路は、センサラインの自己静電容量を測定し、非限定的な例として、測定値における変化又は測定値と閾値との差を検出することによって、自己静電容量における変化を観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
任意の特定の要素又は作用についての考察を容易に識別するために、参照番号の最上位桁の1つ以上の数字は、その要素が最初に紹介された図番号を指す。
図1】1つ以上の実施形態による、増幅された電荷キャンセル回路を含むタッチコントローラの概略図を描写する。
図2】1つ以上の実施形態による、増幅された電荷キャンセルを使用してタッチセンサの自己静電容量測定を実行するためのプロセスを描写するフロー図である。
図3】1つ以上の実施形態による、図2によって描写される自己静電容量測定を実行するためのプロセス中に、キャンセル電荷を注入するためのプロセスを描写するフロー図である。
図4図1のタッチコントローラをタッチセンサラインに結合するために使用されるパッドから観察可能な走査時間の持続時間にわたって、タッチセンサラインにおける電圧レベルによって生成された走査信号の波形を描写する図である。
図5】タッチコントローラが従来の電荷補償回路の非限定的な例を含む、タッチシステムを描写する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部をなし、本開示を実施し得る実施形態の具体例を例示として示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施できるように十分に詳細に説明される。しかしながら、本明細書で可能になった他の実施形態が用いられ得、本開示の範囲から逸脱することなく、構造、材料、及びプロセスを変えられ得る。
【0006】
本明細書に提示する図は、任意の特定の方法、システム、デバイス、又は構造の実際の図であることを意図するものではなく、本開示の実施形態を説明するために用いられる理想化した表現にすぎない。場合によっては、様々な図面における類似の構造又は構成要素は、読者の便宜のために同一又は類似の付番を保持し得る。しかしながら、付番における類似性は、構造又は構成要素が必ずしもサイズ、組成、構成、又は任意の他の特性において同一であることを意味するものではない。
【0007】
以下の説明は、当業者が開示される実施形態を実施することを可能にするのを補助するための実施例を含み得る。「例示的な」、「例として」、「例えば」という用語の使用は、関連する説明が、説明的なものであることを意味し、本開示の範囲は、実施例及び法的等価物を包含することを意図するものであり、かかる用語の使用は、実施形態又は本開示の範囲を特定の構成要素、ステップ、特徴、機能などに限定することを意図するものではない。
【0008】
本明細書で概して説明され、図面に例示される実施形態の構成要素は、多種多様な異なる構成で配置及び設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、様々な実施形態の以下の説明は、本開示の範囲を限定することを目的とするものではなく、単に様々な実施形態を表すものである。実施形態の様々な態様が図面に提示され得るが、図面は、具体的に指示されていない限り、必ずしも尺度どおりに描画されているわけではない。
【0009】
更に、図示及び説明する具体的な実装形態は、単なる例であり、本明細書において別段の指定がない限り、本開示を実施する唯一の方式と解釈されるべきでない。要素、回路、及び機能は、不要に詳述して本開示を不明瞭にしないように、ブロック図の形態で示され得る。逆に、図示し、説明する具体的な実装形態は、単に例示的なものであり、本明細書において別段の指定がない限り、本開示を実装する唯一の方法と解釈されるべきではない。更に、様々なブロック間での論理のブロック定義及びパーティショニングは、例示的な具体的な実装形態である。当業者には、本開示が多数の他のパーティショニングソリューションによって実施され得ることが容易に明らかになるであろう。大部分については、タイミングの考察などに関する詳細は省略されており、かかる詳細は、本開示の完全な理解を得るために必要ではなく、当業者の能力の範囲内である。
【0010】
当業者であれば、情報及び信号は、様々な異なる技術及び技法のいずれかを使用して表され得ることを理解するであろう。いくつかの図面は、提示及び説明を明確にするために、単一の信号として信号を例示し得る。当業者は、信号が信号のバスを表し得、このバスは様々なビット幅を有し得、本開示は、単一のデータ信号を含む任意の数のデータ信号で実施され得ることを理解するであろう。
【0011】
本明細書に開示する実施形態に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、集積回路(Integrated Circuit、IC)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)若しくは他のプログラマブル論理デバイス、別個のゲート若しくはトランジスタ論理、別個のハードウェア構成要素、又は本明細書で説明される機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせを用いて実装されるか、又は実行され得、その全ては、用語「プロセッサ」の使用によって包含される。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替的に、プロセッサは、任意の従来式プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又はステートマシンであり得る。プロセッサはまた、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のかかる構成の組み合わせとして実装され得る。プロセッサを含む汎用コンピュータは、専用コンピュータとみなされ、汎用コンピュータは、本開示の実施形態に関連するコンピューティング命令(例えば、限定するものではないが、ソフトウェアコード)を実行するように構成される。
【0012】
実施形態は、フローチャート、フロー図、構造図、又はブロック図として描写されるプロセスに関して説明され得る。フローチャートは、順次プロセスとして動作行為を説明し得るが、これらの行為の多くは、別の順序で、並行して、又は実質的に同時に実行できる。加えて、行為の順序は再調整され得る。プロセスは、メソッド、スレッド、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラム、他の構造、又はこれらの組み合わせに対応し得る。更に、本明細書に開示する方法は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方で実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読メディア上の1つ以上の命令又はコードとして記憶又は送信され得る。コンピュータ可読メディアは、コンピュータ記憶メディア及び、コンピュータプログラムのある場所から別の場所への転送を容易にする任意のメディアなどの通信メディアの両方を含む。
【0013】
「第1」、「第2」などの表記を使用した、本明細書の要素に対する任意の言及は、かかる制限が明示的に記載されていない限り、それらの要素の数量又は順序を限定しない。むしろ、これらの表記は、本明細書において、2つ以上の要素又は要素の例を区別する便利な方法として使用され得る。したがって、第1の要素及び第2の要素への言及は、2つの要素のみが用いられ得ること、又は何らかの意味で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味するものではない。加えて、特に明記しない限り、一組の要素は、1つ以上の要素を含み得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、所与のパラメータ、特性、又は条件に言及する際の「実質的に(substantially)」という用語は、所与のパラメータ、特性、又は条件が、許容可能な製造許容差の範囲内などの、小さいばらつきを満たすことを当業者が理解するであろう程度を意味し、かつ含む。一例として、実質的に満たされる特定のパラメータ、特性、又は条件に応じて、パラメータ、特性、又は条件は、少なくとも90%満たされ得るか、少なくとも95%満たされ得るか、更には少なくとも99%満たされ得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、「上(over)」、「下(under)」、「上(on)」、「下部(underlying)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」などの任意の相対的な用語は、開示及び添付図面を理解する際の明瞭さ及び便宜のために使用され、文脈がそうでないことを明確に示す場合を除き、任意の特定の優先度、配向、若しくは順序に含まれないか、又は依存しない。
【0016】
この説明では、「結合された」という用語及びその派生語は、2つの要素が互いに協動するか、又は相互作用することを示すために使用され得る。ある要素が別の要素に「結合される」として説明されるとき、要素は、直接物理的若しくは電気的接触状態にあり得るか、又は存在する介在要素若しくは層があり得る。対照的に、ある要素が別の要素に「直接結合されている」と説明されるとき、介入する要素又は層は存在しない。「接続された」という用語は、本明細書において、「結合された」という用語と互換的に使用され得、別途明示的に示されない限り、又は文脈が当業者に他の方法を示すことがない限り、同じ意味を有する。
【0017】
物体が容量性センサと接触するとき、又は容量性センサと接触している物体の容量性影響が変化するとき、静電容量における変化は、接触の場所又はその近くで容量性センサ(「センサ静電容量」)内で生じ得る。転送された電荷の量は、アナログデジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)によってデジタル値に変換され得、プロセッサは、限定するものではないが、それらのデジタル値を処理して、静電容量及び静電容量における変化を判定するか、又はタッチを検出し得る。
【0018】
自己静電容量センサ(本明細書では「自己キャップセンサ」と称され得る)は、個別に(又はセンサアレイの場合、集合的に)グラウンドに対する静電容量における変化に応答する容量性電界センサである。それらは、典型的には、センサと接触している物体における接触又は変化とは独立して反応する行及び列のアレイ内に設計される。非限定的な例によって、自己キャップセンサは、浮動端子を有する共通の集積CMOSプッシュプルドライバ回路を使用した繰り返し荷電後転送サイクルを採用する回路を含み得る。
【0019】
相互静電容量センサは、2つの電極(駆動電極及び検知電極)間の静電容量の変化に応答する静電容量電界センサである。駆動電極及び検知電極対は、駆動ラインと検知ラインとの各交点にコンデンサを形成する。かかる駆動電極及び検知電極の対は、本明細書において、「容量性センサ」と称され得る。
【0020】
概して、タッチセンサのセンサラインは、限定するものではないが、タッチパッド、タッチディスプレイ、又はレベルセンサのためのタッチ検知表面を提供する、N×Mのセンサラインの二次元(2D)グリッドに配置され得る。センサラインは、限定するものではないが、樹脂、ガラス、及びプラスチックなどの1つ以上の材料を含むか、又は1つ以上の材料である、支持構造体上に、若しくは支持構造体内に形成されるか、又は別様に支持構造体によって支持され得る。場合によっては、同じ材料又は別の材料は、タッチセンサを被覆するための絶縁保護オーバーレイを提供し得る。
【0021】
自己静電容量及び相互静電容量技法は、同じ容量性検知システム内で使用され得、互いに相補的であり得、例えば、自己静電容量は、相互静電容量を使用して検出された物体における接触又は変化を確認するために使用され得る。
【0022】
一例として、容量性センサは、2D接触検知面の二次元(2D)配置内に重ね合わされ得、及び関連する材料若しくはデバイスとのレベル検知、又は関連するデバイス若しくは器具とのユーザ相互作用を容易にし得る。絶縁保護層(例えば、限定するものではないが、樹脂、ガラス、及び/又はプラスチック)は、容量性センサを被覆するために使用され得、本明細書では「オーバーレイ」と称され得る。オーバーレイの有無にかかわらず、このような二次元配置は、本明細書では「容量性センサアレイ」と称され得る。いくつかの用途では、保護層は、限定するものではないが、容量性ボタン型配置などの容量性センサアレイを含む、デバイス又は器具に適用されたガラス、ハウジング、塗料、又は別のコーティングであり得る。
【0023】
自己静電容量センサのマトリクスセンサアプローチを使用する容量性センサアレイの非限定的な例を使用すると、電極は、行及び列に延在して、N×M容量性センサノードの「マトリクス」アレイを画定し得る。容量性センサのマトリクスは、各容量性センサノードの電極を用いて構築され得、各電極は個々にアドレス指定可能であるか、又は各行及び列がアドレス指定可能な電極であり得、各容量性センサノードは、固有の行/列の対に対応する。容量性センサアレイの電極には、測定信号(すなわち、限定するものではないが、方形波、矩形波、三角波、及び正弦波のうちの1つ以上を含む、任意の波形を有する時間変化する刺激)が繰り返し提供される。物体が容量性センサアレイに接触するとき、物体と電極との間の結合によって電極に引き込まれる電流が増加し、それにより容量性センサのうちの1つ以上の自己静電容量Csが変化し(例えば、増加し)、このセンサ静電容量における変化が検出され得る。例えば、駆動信号が電極行2及び電極列3に印加されている間に静電容量の増加が検出された場合、タッチの場所、又は既にタッチしている物体における変化は、行2、列3であり得る。補間技法を使用して、容量性センサノード間の場所を識別することができる。容量性センサアレイの容量性センサノードは、電極の行及び列の組み合わせを通じて配列決定することによって順次走査され得る。
【0024】
タッチ検知システムは、タッチセンサ(限定するものではないが、単独若しくはタッチスクリーンとして配置されるか、又はタッチパネルに組み込まれる)及びタッチコントローラを含み得る。タッチコントローラは、ファームウェアを実行するコンピュータプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)などの専用プロセッサ、又は集積回路に実装された1つ以上の機能ブロック/モジュール(限定するものではないが、システムオンチップ(system-on-chip、SoC)の集積回路など)などの知的財産(Intellectual Property、IP)であり得る。
【0025】
本明細書で使用される場合、「近接性」という用語は、容量性センサとの物体の物理的接触、及び確実に検出されるような容量性センサに十分に近接する物体の存在の両方を包含する。本明細書で使用される場合、「タッチ」という用語は、別途明示的に示されない限り、「近接性」を意味すると理解されるべきである。開示された容量性センサは、限定するものではないが、容量性センサと近接している物体に応答するか、容量性センサがオンになるときに既に容量性センサと近接している物体に応答するか、又は静電容量を変化させる物体の材料の量若しくは電気的特性における変化に応答し得る。
【0026】
「タッチセンサ」、「容量性センサ」、及び「自己容量性センサ」という用語は、本明細書では互換的に使用されて、自己容量性センサを指す。「タッチセンサライン」及び「センサライン」という用語は、本明細書では互換的に使用されて、自己容量性センサのセンサラインを指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ベースライン静電容量」という用語は、物体がセンサラインに近接していないときのセンサラインの自己静電容量Csの大きさ(「量」として更に特徴付けられ得る)を意味する。本明細書で使用される場合、「ベースライン測定値」は、例えば、ベースライン静電容量の測定値として、ベースライン静電容量に対応する値を意味する。本明細書で使用される場合、「ベースライン信号」は、ベースライン静電容量を示す信号を意味する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「誘導静電容量」という用語は、タッチセンサが物体と接触しているときのセンサラインの自己静電容量Csにおける変化ΔCの量を意味する。本明細書で使用される場合、「誘導測定値」は、例えば、誘導静電容量の測定値として、誘導静電容量に対応する値を意味する。本明細書で使用される場合、「誘導信号」は、誘導静電容量を示す信号を意味する。
【0029】
本明細書で使用される場合、「測定静電容量」という用語は、タッチ測定が実行されるときのセンサラインの有効な自己静電容量を意味する。タッチセンサが物体と接触しているとき、測定静電容量は、ベースライン静電容量及び誘導静電容量を含み得、タッチセンサが物体と接触していないとき、誘導静電容量は、測定静電容量に存在しない場合がある。本明細書で使用される場合、「タッチ測定値」は、測定静電容量に対応する測定回路によって測定可能な値を意味する。本明細書で使用される場合、「測定信号」は、測定静電容量を示す信号を意味する。
【0030】
ベースライン信号と関連付けられた電荷転送は、本明細書では「ベースライン電荷転送」と称され得、誘導信号と関連付けられた電荷転送は、本明細書では「誘導電荷転送」と称され得る。
【0031】
考察のために、場合によっては、測定静電容量は、ベースライン静電容量構成要素及び誘導静電容量構成要素を含むと想定され得、タッチセンサが物体と接触していない場合、測定静電容量への誘導静電容量構成要素の寄与は、ゼロ(又はごくわずか)であると想定される。
【0032】
タッチセンサのセンサラインは、静電容量Csを有する回路要素(本明細書ではセンサ要素と称される)としてモデル化され得る、関連する自己静電容量Csを有する。自己静電容量Csは、限定するものではないが、タッチセンサの物理的実現に応じて非常に大きく、例えば、いくつかのタッチセンサにおいて最大1nF(ナノファラッド)になり得る。物体がセンサラインに近接しているとき、物体は、ベースライン静電容量からの自己静電容量における差又は変化を誘導し得、自己静電容量における差及び変化は、ΔCと表示され(本明細書では「誘導静電容量」と称される)、誘導静電容量は、物体とセンサラインとの間の距離に少なくとも部分的に基づいて変化する。誘導静電容量は、典型的には、数pF(ピコファラッド)未満である。
【0033】
いくつかのタッチ検知システムは、誘導静電容量に応答することによって動作する。誘導静電容量は、測定回路(上で考察されるようなADCを含み得る)によって観察され、タッチパネルに対する物体の存在又は物体の場所を判定するために使用され得る。
【0034】
タッチセンサにおいて誘導静電容量を観察するための1つの技法は、静電容量における変化が、ベースライン電荷転送(すなわち、特定のベースライン静電容量が与えられた電荷転送の量)と、測定電荷転送(すなわち、ベースライン静電容量及び誘導静電容量が与えられた電荷転送の量)との間の測定可能な差から観察される、電荷転送技法を実行することである。かかる測定を実行するために、電圧変化(例えば、限定するものではないが、本明細書では「測定パルス」と称される電圧パルスの形状)は、駆動ラインに、及びそれにより、予備充電センサラインに印加される。電荷転送は、印加された電圧変化に応答して、ベースライン静電容量にわたってセンサラインに発生する。ベースライン信号の振幅は、ベースライン電荷転送の量に対応する。
【0035】
タッチセンサのそれぞれのセンサラインのベースライン静電容量は、典型的には、誘導静電容量よりもはるかに大きく、そのため、ベースライン信号はまた、典型的には、誘導信号よりも著しく大きい。換言すると、測定信号へのベースライン信号の相対的寄与は、典型的には、測定信号に対する誘導信号の相対的寄与よりもはるかに大きい。
【0036】
誘導信号に対して大きいベースライン信号は、誘導信号を観察し、及び/又は誘導測定値を判定することを試みる典型的な測定回路に関する課題を作り出し得る。非限定的な例として、誘導測定値は、はるかに大きいベースライン測定値によってオーバースケーリングされ得、オーバースケーリングは、タッチ検知システムの最適ではない解像度、精度、又は直線性をもたらし得る。
【0037】
更に、タッチシステムの測定回路は、典型的には、場合によっては、ベースライン信号を含み、場合によっては、ベースライン信号及び誘導信号の両方を含む、測定信号を処理する。ベースライン信号と関連付けられた電荷転送を誘導することは、測定回路の強力な駆動能力を求めて、例えば、限定するものではないが、ランプの設定タイミング要件をアドレス指定するために測定回路によって所望のランプアップ/ランプダウンを提供することができる。測定回路における強力な駆動能力は、高速ランプアップ及び/又はランプダウンを転送する大きい電荷を支持するために使用されることがある。短時間の持続時間にわたって大きい電荷転送を支持する大きい駆動電流は、ベースライン電荷転送(この場合、最大電荷転送)に起因する静電容量と比較してはるかに小さい誘導電荷転送に起因して、誘導静電容量を正確に測定するための測定回路の能力を低減し得る。
【0038】
本開示の発明者らに既知の技法は、測定信号からベースライン信号をキャンセルする補償電荷を追加する。図5は、タッチコントローラが、本開示の発明者らに既知の従来の電荷補償回路を含むタッチシステムを描写する概略図であり、ドライバ回路(CCCAPドライバ回路)は、電荷補償コンデンサ(charge compensation capacitor、CCCAP)に電圧パルスを印加することによって、補償回路の出力で電荷を誘導する。かかる補償回路を使用することにより、測定回路は、誘導された測定値よりもはるかに大きいベースライン測定値を必ずしも支持する必要はない。
【0039】
ここで、本開示の発明者らは、図5によって描写されるような従来の電荷補償回路において典型的に必要とされる大きいCCCAPの大きいシリコンコストを有しない電荷キャンセルを有することが望ましいことを理解する。
【0040】
1つ以上の実施形態は、概して、本開示の発明者らに既知の従来の電荷補償回路と関連付けられた欠点のうちのいくつか又は全てを有しない、改善された電荷補償を提供し得る増幅電荷補償回路に関する。1つ以上の実施形態は、概して、改善された電荷補償回路及び電荷補償を実装するタッチコントローラ及びタッチ測定に関する。1つ以上の実施形態は、概して、開示された実施形態によるタッチコントローラ及び電荷補償回路を含むタッチシステムに関する。
【0041】
図1は、1つ以上の実施形態による、増幅電荷キャンセルを実行するように構成されたタッチコントローラ集積チップ102(本明細書では「タッチコントローラ102」とも称される)を含むタッチ検知システム100を描写する概略図である。
【0042】
タッチコントローラ102は、予備充電回路106、測定回路108、第1及び第2のスイッチ、スイッチ1及びスイッチ2、並びに電荷キャンセル回路104(本明細書では「電荷補償回路104」とも称される)を含む。
【0043】
電荷キャンセル回路104は、測定回路108によってタッチセンサライン116に提供される測定信号からベースライン信号の少なくとも一部分をキャンセルするための電荷を注入するように配置される。電荷キャンセル回路104は、電荷補償コンデンサ110(本明細書では「CAP110」とも称される)、CAPドライバ回路112(本明細書では「ドライバ回路112」とも称される)、及びCAP110と直列に結合されたプログラム可能な電流コンベヤ114(本明細書では「電流コンベヤ114」とも称される)を含む。
【0044】
タッチコントローラ102は、タッチセンサの外部タッチセンサライン116に、ここでは外部接続を提供するパッド122によって、結合される。予備充電回路106は、概して、タッチコントローラ102の2つの反対側の電圧レール源120のうちの1つ、例えば、限定するものではないが、VDD又はグラウンドに対応する(例えば、限定するものではないが、実質的に等しい)電圧レベルを呈する電圧を生成するように構成される。非限定的な例として、予備充電回路106は、電圧インバータであり得る。スイッチ、すなわちスイッチ1及びスイッチ2は、予備充電回路106によって生成された第1又は第2の電圧レールを呈する電圧を、タッチセンサライン116に選択的に印加し、それによって、場合によっては、タッチセンサライン116を第1の電圧レール、第2の電圧レール、又はその間の中間電圧に予備充電するように配置されたCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor、相補型金属酸化半導体)トランジスタ型スイッチである。
【0045】
測定回路108は、概して、制御信号124(例えば、限定するものではないが、測定パルス及びドライバパルスを生成するためのタイミングを示すために使用されるデジタル信号アサーション)に少なくとも部分的に応答して測定パルスを生成するように構成される。かかる測定パルスは、電圧V1(概して単調にV1まで増加する電圧レベルを呈する電圧)へのパルスの立ち上がりエッジ、又は電圧V2(例えば、概して単調にV2まで減少する電圧レベルを呈する電圧)へのパルスの立ち下がりエッジを含み得る。測定回路はまた、誘導静電容量を含む測定静電容量を検出するように構成される。
【0046】
非限定的な例として、測定回路108は、電圧パルス発生器又はパルス形成回路(集合的に「電圧パルス発生器」)、電流コンベヤ、積分器、及びアナログデジタル変換器(ADC)を含み得る。測定回路108によるベースライン測定では、ベースライン静電容量が観察され、誘導静電容量が存在しない。タッチ測定では、ベースライン静電容量及び誘導静電容量の両方を含み得る、測定静電容量が観察される。概して、タッチ測定値(ベースライン静電容量及び誘導静電容量を表す値)とベースライン測定値(ベースライン静電容量を表す値)との差は、誘導測定値(誘導静電容量を表す値)である。誘導測定値は、センサラインでの接触及びそれぞれのセンサラインを含むタッチセンサでのかかる接触の場所について、タッチコントローラのロジック(図1によって描写されていないロジック)に通知するために使用され得る。
【0047】
ドライバ回路112は、概して、制御信号124に少なくとも部分的に応答して、パルス電圧信号118(本明細書では「ドライバパルス118」とも称される)を生成するように構成される。ドライバ回路112は、制御信号124に少なくとも部分的に基づいて、測定回路108によって生成された測定パルスのタイミングを認識しているため、ドライバパルス118は、測定回路108によって生成された測定パルスとして実質的に同じ又は反対の(極性に関して、すなわち、増加又は減少する電圧レベル)電圧変化を呈し得る。電流コンベヤ114が負の出力を有する/使用する実施形態では、ドライバパルス118は、所与の時点で、測定回路108によって生成された測定パルスと同じ電圧変化極性を呈し得る。電流コンベヤ114が正の出力を有する/使用する実施形態では、ドライバパルス118は、所与の時点で、測定回路108によって生成された測定パルスと反対の電圧変化極性を呈し得る。
【0048】
CAP110は、非限定的な例として、タッチコントローラ102のオンチップコンデンサであり得、オンチップコンデンサは、金属-絶縁体-金属コンデンサとポリ-ポリコンデンサとの組み合わせを含む。
【0049】
電流コンベヤ114は、電流(例えば、限定するものではないが、振幅、ピーク振幅などの電流信号の特性)によって主に判定された応答を有する一種の電流モード回路であり、かかる回路の入力及び出力は、電流である。電流コンベヤ114は、電子デバイス、より具体的には、動作中に、複数の利得(例えば、限定するものではないが、約1.5x、2x、10x、20x、又はそれ以上)の形態で所定の電流利得を呈する電子増幅器であるが、電流コンベヤ114はプログラム可能であり、任意選択的に、再プログラム可能であるため、所定の電流利得は、プログラムされ得、かつ設計により固定されない。1つ以上の実施形態では、電流コンベヤ114の電流利得は、以下で考察される増幅されたキャンセル電荷ΔQampの生成中に、部分利得又は単一利得に設定されないが、複数の利得としてプログラムされるが、部分利得又は単一利得にプログラム可能な電流利得を有する電流コンベヤの使用は、本開示の範囲を超えない。いくつかの実施形態では、電流コンベヤ114の電流利得は、所望の電流利得値に初期化及び/又は調整され得る。1つ以上の実施形態では、電流コンベヤ114の電流利得Gを調整することは、限定するものではないが、所望の電流利得が実現されるなどの、条件が満たされるまで、電流利得Gが複数の再プログラミングサイクルにわたって増分の増加又は減少で再プログラムされるプロセスである。調整は、アプリケーションにおける非理想的な条件に対処するために電流コンベヤ114の電流利得を再プログラムする技術の非限定的な例である。電流コンベヤ114の初期化された電流利得は、非限定的な例として、CCCAPの可能なプロセス変動に起因して、所望の増幅されたキャンセル電荷をもたらさない場合に、再プログラム可能なコンベヤは、例えば、限定するものではないが、所望の増幅されたキャンセル電荷又は所望の増幅されたキャンセル電荷からの最小の試験された差をもたらす、プログラムされた値を見出すことを試みる時間で、利得のアップ/ダウンの1つの「増分」を掃引する、調整プロセスを経ることができる。
【0050】
電流コンベヤ114は、CAP110の上板に結合された入力、及び測定回路108とパッド122との間の電荷転送経路に結合された出力(場合によって、正又は負)を有して配置される。
【0051】
1つ以上の実施形態では、電流コンベヤ114の電流利得Gの値は、電流コンベヤ114によって提供される増幅されたキャンセル電荷ΔQ増幅を含む増幅された電流が、タッチセンサライン116と測定回路108との間の電荷転送を測定回路108に対して既知の事前指定された量だけ低減させるのに十分な大きさを有するように設定され得る。1つ以上の実施形態では、事前指定された量は、ベースライン電荷転送の予想される大きさに対応し得るか、又は誘導静電容量を識別するために測定回路108上のストレスを低減させるために十分な任意の量の電荷転送低減に対応し得る。
【0052】
以下の式1、2、及び3は、電流コンベヤ114のためのプログラム可能な電流コンベヤを使用することにより、電荷キャンセルΔQ増幅がどのように取得されるかを例示する。
【0053】
ドライバパルス118をCAP110の底板に印加することによって、電流コンベヤ114の入力において注入された初期キャンセル電荷ΔQ初期の場合、ΔQ初期は、CAP110の底板に印加されたドライバパルス118の振幅として表され得、ΔVcapドライバとして記され、CCAPとして記されたCAP110の静電容量は、式1内にある。
【0054】
【数1】
【0055】
電流コンベヤ114の場合、その入力と正の出力との間の関係は、式2及び式3として表される。
【0056】
【数2】
【0057】
企図される動作では、初期キャンセル電荷ΔQ初期は、電流コンベヤ114の入力で受信され、それに応答して、増幅されたキャンセル電荷ΔQ増幅は、電流コンベヤ114の出力で生成される。電流コンベヤ114は、電荷キャンセル回路104において配置され、そのため、増幅されたキャンセル電荷ΔQ増幅は、センサラインで(より具体的には、測定回路108とパッド122との間の電荷転送経路で)注入され、それにより、測定パルスをタッチセンサライン116に印加することによって引き起こされる電圧変化に起因して、タッチセンサライン116を横切って転送される測定電荷ΔQが低減する。増幅されたキャンセル電荷ΔQ増幅と初期キャンセル電荷ΔQ初期との関係は、式4によって表される。
【0058】
【数3】
【0059】
特に、本開示の発明者らに既知の従来の補償回路(図5のCCCAPなど)で使用されるよりも、より小さい面積(すなわち、シリコンリアルエステートの観点から)のコンデンサが、CAP110のために使用され得る。低減された面積の程度は、電流コンベヤ114の電流利得の増加に比例する。電流コンベヤ114が小さい利得でプログラムされる場合、CAP110は、図5のCCCAPよりわずかに小さくてもよく、電流コンベヤ114が大きい利得でプログラムされる場合、CAP110は、図5のCCCAPよりもはるかに小さくてもよい。非限定的な例として、電流利得を10倍に設定することによって、CAP110のコンデンサ値、したがってその面積は、従来の電荷補償コンデンサ(図5のCCCAPなど)の1/10に低減され、実質的に同じ増幅されたキャンセル電荷ΔQ増幅を取得することができる。
【0060】
測定回路108によって生成された測定パルスに応答して、タッチセンサライン116で注入された測定電荷ΔQは、ベースライン電荷転送の予想される大きさなどの指定された量に実質的に等しい量だけ低減される。したがって、測定信号の振幅は、予想されるベースライン信号の量に対応して低減され、誘導信号に対応する測定信号の部分が残る。
【0061】
特に、ベースライン測定電荷が(著しく)低減されるため、測定回路は、ベースラインコンデンサを駆動するために強力な電流駆動能力を支持する必要はない。これは、センサラインでの速い沈降ランプが、大きいベースラインコンデンサに対して独立して(又は部分的に独立して)取得することができることを意味する。更に、開示された電荷キャンセル回路104は、本開示の発明者らに既知の従来の補償回路よりも必要なリアルエステート(レイアウト面積)に関してより費用効率が高い。
【0062】
図2は、1つ以上の実施形態による、増幅された電荷キャンセルを使用してタッチセンサの自己静電容量測定を実行するためのプロセス200を描写するフロー図である。
【0063】
スイッチ1がオフになり、スイッチ2がオンになったプロセス200の動作202において、タッチセンサライン(限定するものではないが、タッチセンサライン116)が、第1の電圧レールに対して(例えば、限定するものではないが、グラウンド又はVDD)(例えば、限定するものではないが、予備充電回路106によって)予備充電される。
【0064】
スイッチ2がオフになり、スイッチ1がオンになったプロセス200の動作204において、タッチセンサラインにおいて、第1の測定パルス(例えば、限定するものではないが、V1への立ち上がり電圧エッジを有するパルス)を印加することによって、タッチセンサラインにおいて(例えば、測定回路108によって)測定電荷を注入する。
【0065】
プロセス200の動作206において、第1の測定パルスがタッチセンサラインにおいて印加されている間、第1の増幅されたキャンセル電荷が(例えば、限定するものではないが、電荷キャンセル回路104によって)センサラインに注入される。第1の増幅されたキャンセル電荷の大きさは、ベースライン電荷転送の予想される大きさに実質的に等しい大きさを有する。
【0066】
スイッチ1がオフになり、スイッチ2がオンになったプロセス200の動作208において、タッチセンサラインが、第2の電圧レール(例えば、限定するものではないが、動作202におけるVDD又はグラウンドのうちの他方)に対して(例えば、限定するものではないが、予備充電回路106によって)予備充電される。
【0067】
プロセス200の動作210において、スイッチ2がオフになり、スイッチ1がオンになる間、測定電荷が、タッチセンサラインにおいて、第2の測定パルス(例えば、限定するものではないが、V2への立ち下がり電圧エッジ)を印加することによって、センサラインにおいて(例えば、測定回路108によって)注入される。
【0068】
プロセス200の動作212において、第2の測定パルスがタッチセンサラインにおいて印加されている間、センサラインにおいて(例えば、電荷キャンセル回路104によって)第2の増幅されたキャンセル電荷を注入する。第2の増幅されたキャンセル電荷は、ベースライン電荷転送の予想される大きさに実質的に等しい大きさを有する。
【0069】
スイッチ1がオフになり、スイッチ2がオンになるプロセス200の動作214において、タッチセンサラインは、(例えば、限定するものではないが、予備充電回路106によって)第1の電圧レールに対して予備充電される。
【0070】
図3は、1つ以上の実施形態による、プロセス200中に増幅されたキャンセル電荷を注入するためのプロセス300を描写するフロー図である。1つ以上の実施形態では、測定パルスによって呈される電圧変化と同じ又は反対である電圧変化を呈するドライバパルスが生成される。プロセス300によって生成されたドライバパルスのうちの1つは、測定パルスによって呈される電圧変化と同じ電圧変化を呈するべきであり、プロセス300によって生成されるドライバパルスのうちの1つは、測定パルスによって呈される電圧変化とは反対の電圧変化を呈するべきである。
【0071】
動作302において、プロセス300は、第1の測定パルス又は反転された第1の測定パルスによって呈された電圧変化を追跡する、電圧変化を呈する電圧変化を有するドライバパルスを、補償コンデンサの底板に(場合によっては)印加することによって、第1の初期キャンセル電荷を生成する。
【0072】
動作304において、プロセス300は、電流コンベヤで第1の初期キャンセル電荷を増幅することによって、タッチセンサラインにおいて、第1の増幅されたキャンセル電荷を注入する。
【0073】
動作306において、プロセス300は、第2の測定パルス又は(場合によっては)反転された第2の測定パルスによって呈された電圧変化を追跡する、電圧変化を呈する第2のドライバパルスを印加することによって、第2の初期キャンセル電荷を生成する。
【0074】
動作308において、プロセス300は、電流コンベヤで第2の初期キャンセル電荷を増幅することによって、タッチセンサラインにおいて、第2の増幅されたキャンセル電荷を注入する。
【0075】
図4は、図1のパッド122から観察可能な走査時間の持続時間412にわたって、タッチセンサライン116における電圧レベルによって生成されたベースラインコンデンサ走査信号の波形400を描写する図である。図4によって描写される特定の例では、第1の電圧レールは、グラウンドを指し、第2の電圧レールは、VDDを指す。タッチセンサライン116における電圧レベルV1への立ち上がりエッジは、少なくとも2つのランプ勾配、すなわち第1のランプ勾配414及び第2のランプ勾配416を含む。タッチセンサライン116におけるVDDからの電圧レベルV2への立ち下がりエッジは、少なくとも2つのランプ勾配、第1のランプ勾配414’、及び第2のランプ遅延416’を含む。タッチセンサライン116における電圧は、本明細書に記載のタッチセンサライン116上の電荷キャンセルに起因して、第1の測定フェーズ404の第1の部分の間(及び立ち下がりエッジに関しては、第2の測定フェーズ408の第1の部分の間)に、グラウンドとV1の約90%との間に第1のランプ勾配414を呈し(及び立ち下がりエッジに関しては、同様にVDDとVDDーV2の約90%との間に第1のランプ勾配414’を呈し)、測定回路108は、ベースラインコンデンサを充電するための駆動電流を生成しない。タッチセンサライン116における電圧は、第1の測定フェーズ404の第2の後部部分の間(及び立ち下がりエッジに関して、第2の測定フェーズ408の第2の部分の間)、V1の約90%と約V1との間の第2のランプ勾配416を呈する(及び立ち下がりエッジに関して、同様にVDD-V2の約90%と約V2との間に第1のランプ遅延416’を呈する)。測定回路108は、V1の最後の約10%(及び立ち下がりエッジに関して、VDD-V2の最後の約10%)の間、ベースラインコンデンサを充電するための駆動電流を生成する。グラウンドからV1及びVDDからVDD-V2へのベースラインコンデンサにおける電圧変化を駆動するために測定回路108によって生成される総駆動電流は、V1及びVDD-V2の約10%以下に起因する。特に、電流コンベヤ114による電荷増幅によって、V1及びV2に対する残りの10%は、電流コンベヤ114の電流利得Gをプログラミングすることによって十分に補償され、それにより、所望の増幅されたキャンセル電荷ΔQ増幅が、ベースライン電荷転送の全体をキャンセルするために取得される。したがって、測定回路108は、ベースラインコンデンサを駆動するための駆動電流を提供する必要はない。
【0076】
描写は、走査時間の持続時間412の5つのフェーズ中のスイッチ1及びスイッチ2の動作及びスイッチ制御のためのコールアウト:第1の予備充電フェーズ402(グラウンドへ)、第1の測定パルスが印加されて、V1への立ち上がり電圧パルスを生成する第1の測定フェーズ404、第2の予備充電フェーズ406(VDDへ)、第2の測定パルスが印加されて、V2への立ち下がり電圧パルスを生成する第2の測定フェーズ408、及び第3の予備充電フェーズ410(再びグラウンドへ)を含む。
【0077】
特に、本開示を評価する当業者には明らかであろう開示された実施形態に対する少量の変更及び/又は追加で、本明細書で考察される極性は逆になり得、中間電圧レベルは、本開示の範囲を超えることなく使用され得る。
【0078】
本開示で使用するとき、複数の要素を指す、「組み合わせ」という用語は、全ての要素の組み合わせ、又はいくつかの要素の様々な異なる部分的組み合わせのうちのいずれかを含み得る。例えば、「A、B、C、D、又はそれらの組み合わせ」という句は、A、B、C、又はD;A、B、C、及びDの各々の組み合わせ;並びにA、B、C、又はDの任意の部分的組み合わせ、例えば、A、B、及びC;A、B、及びD;A、C、及びD;B、C、及びD;A及びB;A及びC;A及びD;B及びC;B及びD;又はC及びDのうちのいずれか1つを指し得る。
【0079】
本開示で使用される用語、及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、限定するものではないが、添付の特許請求の範囲の本文)において使用される用語は、概して、「オープン」用語として意図される(例えば、「含んでいる(including)」という用語は、「含んでいるが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、「有している(having)」という用語は、「少なくとも有している」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、限定するものではないが、「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきである)。本明細書で使用される場合、「各々」という用語は、一部又は全体を意味する。本明細書で使用される場合、「各々及び全て」という用語は、全体を意味する。
【0080】
加えて、特定の数の導入された請求項列挙が意図される場合、このような意図は請求項に明示的に列挙されることになり、このような列挙がない場合には、このような意図は存在しない。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の請求項は、請求項の列挙を導入するための導入句「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、たとえ同じ特許請求の範囲が「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」という導入句、及び「1つの(a)」又は「1つ(an)」などの不定冠詞を含む場合であっても、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という不定冠詞による特許請求の範囲の記載の導入が、かかる導入された特許請求の範囲の記載を含む任意の特定の特許請求の範囲を、たった1つのかかる記載を含む実施形態に限定するものと解釈されるべきではない(例えば、「1つの(a)」及び/又は「1つの(an)」は、限定するものではないが、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)。請求項列挙を導入するために使用される明確な冠詞の使用についても同じことが当てはまる。
【0081】
加えて、導入された特許請求の範囲に記載の特定の数が明示的に記載されている場合であっても、当業者は、かかる記載が少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを、認識するであろう(例えば、他の修飾語なしでの「2つの〇〇」の明白な記載は、限定するものではないが、少なくとも2つの〇〇又は2つ以上の〇〇を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、及びCなどのうちの1つ以上」に類似した慣例が使用される場合、一般に、このような構造は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、又はA、B、及びCを一緒に含むことを意図する。
【0082】
更に、2つ以上の代替用語を提示する任意の離接語又は語句は、説明、請求項、又は図面のいずれかにおいて、用語のうちの1つ、用語のいずれか又は両方の用語を含む可能性を企図するものと理解されるべきである。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるべきである。
【0083】
本開示の更なる非限定的な実施形態は、以下のとおりである。
【0084】
実施形態1:電荷キャンセル回路であって、コンデンサと、コンデンサにパルス電圧信号を印加するように配置されたドライバ回路と、プログラム可能な利得を有する電流コンベヤと、を備え、電流コンベヤが、パルス電圧信号に応答してコンデンサによって生成された初期電荷を増幅し、及び電荷キャンセル回路の出力に増幅電荷を提供するために配置される、電荷キャンセル回路。
【0085】
実施形態2:電流コンベヤが、正の出力又は負の出力のうちの1つを含む、実施形態1に記載の電荷キャンセル回路。
【0086】
実施形態3:負の出力が、入力信号の極性に対して、出力信号の極性を反転させるように構成されている、実施形態1及び2のいずれかに記載の電荷キャンセル回路。
【0087】
実施形態4:正の出力が、入力信号の極性に対して、出力信号の極性を追跡するように構成されている、実施形態1~3のいずれかに記載の電荷キャンセル回路。
【0088】
実施形態5:タッチ検知システムの検知ラインのコンデンサにわたる電荷転送を低減する方法であって、タッチセンサラインを第1の電圧レールに対して予備充電するステップと、タッチセンサラインにおいて、第1の測定電荷を注入するステップと、タッチセンサラインにおいて、第1の増幅されたキャンセル電荷を注入するステップと、タッチセンサラインを第2の電圧レールに対して予備充電するステップと、タッチセンサラインにおいて、第2の測定電荷を注入するステップと、タッチセンサラインにおいて、第2の増幅されたキャンセル電荷を注入するステップと、タッチセンサラインを第1の電圧レールに対して予備充電するステップと、を含む、方法。
【0089】
実施形態6:タッチセンサラインにおいて、第1の測定電荷又は第2の測定電荷を注入するステップが、タッチセンサラインにおいて、第1又は第2の測定パルスを印加して、第1の測定電荷又は第2の測定電荷を生成するステップを含む、実施形態5に記載の方法。
【0090】
実施形態7:タッチセンサラインにおいて、第1の増幅されたキャンセル電荷又は第2の増幅されたキャンセル電荷を注入するステップが、補償コンデンサにおいて、第1又は第2のドライバパルスを印加して、それぞれ、第1の増幅されたキャンセル電荷又は第2の増幅されたキャンセル電荷を生成するステップを含む、実施形態5及び6のいずれかに記載の方法。
【0091】
実施形態8:タッチセンサラインにおいて第1の測定電荷又は第2の測定電荷を注入するために生成された測定パルスによって呈される電圧変化を追跡する、電圧変化を呈する第1又は第2のドライバパルスを生成するステップを含む、実施形態5~7のいずれかに記載の方法。
【0092】
実施形態9:タッチセンサラインにおいて第1の測定電荷又は第2の測定電荷を注入するために生成された測定パルスに対応する反転測定パルスによって呈される電圧変化を追跡する、電圧変化を呈する第1又は第2のドライバパルスを生成するステップを含む、実施形態5~8のいずれかに記載の方法。
【0093】
実施形態10:タッチコントローラであって、パッドと、予備充電回路と、測定回路と、パッドと測定回路との間の電荷転送経路に、増幅されたキャンセル電荷を提供するように配置された電荷キャンセル回路と、を備え、電荷キャンセル回路が、コンデンサと、コンデンサにパルス電圧信号を印加するように配置されたドライバ回路と、パルス電圧信号に応答してコンデンサによって生成された初期電荷を増幅し、電荷キャンセル回路の出力に増幅された電荷を提供するように配置されたプログラム可能な利得を有する電流コンベヤと、を備える、タッチコントローラ。
【0094】
実施形態11:ドライバ回路が、測定回路によって生成された測定パルスによって呈された電圧変化を追跡する、電圧変化を呈するドライバパルスを生成するように構成されている、実施形態10に記載のタッチコントローラ。
【0095】
実施形態12:ドライバ回路が、測定回路によって生成された測定パルスに対応する反転測定パルスによって呈された電圧変化を追跡する、電圧変化を呈するドライバパルスを生成するように構成されている、実施形態10及び11のいずれかに記載のタッチコントローラ。
【0096】
実施形態13:電流コンベヤの出力が、負の出力及び正の出力のうちの1つである、実施形態10~12のいずれかに記載のタッチコントローラ。
【0097】
実施形態14:予備充電回路をパッドに選択的に結合するように配置された第1のスイッチと、測定回路及び電荷キャンセル回路をパッドに選択的に結合するように配置された第2のスイッチと、を備える、実施形態10~13のいずれかに記載のタッチコントローラ。
【0098】
本開示は、特定の例示される実施形態に関して本明細書に記載されているが、当業者は、本発明がそのように限定されないことを認識し、理解するであろう。むしろ、以下にそれらの法的均等物と共に特許請求されるような本発明の範囲から逸脱することなく、例示され、説明される実施形態に対して数多くの追加、削除、及び修正を行うことができる。加えて、一実施形態の特徴は、本発明者によって想到されるように、別の開示した実施形態の特徴と組み合わせることができるが、それでも、本開示の範囲内に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2021-09-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電荷キャンセル回路であって、
コンデンサと、
前記コンデンサにパルス電圧信号を印加するように配置されたドライバ回路と、
プログラム可能な利得を有する電流コンベヤと、を備え、前記電流コンベヤが、前記パルス電圧信号に応答して前記コンデンサによって生成された初期電荷を増幅するように、かつ前記電荷キャンセル回路の出力に増幅された電荷を提供するように配置されている、電荷キャンセル回路。
【請求項2】
前記電流コンベヤが、正の出力又は負の出力のうちの1つを含む、請求項1に記載の電荷キャンセル回路。
【請求項3】
前記負の出力が、入力信号の極性に対して、出力信号の極性を反転させるように構成されている、請求項2に記載の電荷キャンセル回路。
【請求項4】
前記正の出力が、入力信号の極性に対して、出力信号の極性を追跡するように構成されている、請求項に記載の電荷キャンセル回路。
【請求項5】
タッチ検知システムの検知ラインのコンデンサにわたる電荷転送を低減する方法であって、
タッチセンサラインを第1の電圧レールに対して予備充電するステップと、
前記タッチセンサラインにおいて、第1の測定電荷を注入するステップと、
前記タッチセンサラインにおいて、第1の増幅されたキャンセル電荷を注入するステップと、
前記タッチセンサラインを第2の電圧レールに対して予備充電するステップと、
前記タッチセンサラインにおいて、第2の測定電荷を注入するステップと、
前記タッチセンサラインにおいて、第2の増幅されたキャンセル電荷を注入するステップと、
前記タッチセンサラインを前記第1の電圧レールに対して予備充電するステップと、を含む、方法。
【請求項6】
前記タッチセンサラインにおいて、前記第1の測定電荷又は前記第2の測定電荷を前記注入するステップが、
前記タッチセンサラインにおいて、第1又は第2の測定パルスを印加して、前記第1の測定電荷又は前記第2の測定電荷を生成するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記タッチセンサラインにおいて、前記第1の増幅されたキャンセル電荷又は前記第2の増幅されたキャンセル電荷を前記注入するステップが、
補償コンデンサにおいて、第1又は第2のドライバパルスを印加して、それぞれ、前記第1の増幅されたキャンセル電荷又は前記第2の増幅されたキャンセル電荷を生成するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記タッチセンサラインにおいて、前記第1の測定電荷又は前記第2の測定電荷を注入するために生成された測定パルスによって呈された電圧変化を追跡する、電圧変化を呈する前記第1のドライバパルス又は前記第2のドライバパルスを生成するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記タッチセンサラインにおいて、前記第1の測定電荷又は前記第2の測定電荷を注入するために生成された測定パルスに対応する反転測定パルスによって呈される電圧変化を追跡する、電圧変化を呈する前記第1のドライバパルス又は前記第2のドライバパルスを生成するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
タッチコントローラであって、
パッドと、
予備充電回路と、
測定回路と、
前記パッドと前記測定回路との間の電荷転送経路に、増幅されたキャンセル電荷を提供するように配置された電荷キャンセル回路と、を備え、前記電荷キャンセル回路が、
コンデンサと、
前記コンデンサにパルス電圧信号を印加するように配置されたドライバ回路と、
前記パルス電圧信号に応答して前記コンデンサによって生成された初期電荷を増幅するように、かつ前記電荷キャンセル回路の出力に増幅された電荷を提供するように配置されている、プログラム可能な利得を有する電流コンベヤと、を備える、タッチコントローラ。
【請求項11】
前記ドライバ回路が、前記測定回路によって生成された測定パルスによって呈された電圧変化を追跡する、電圧変化を呈するドライバパルスを生成するように構成されている、請求項10に記載のタッチコントローラ。
【請求項12】
前記ドライバ回路が、前記測定回路によって生成された測定パルスに対応する反転測定パルスによって呈された電圧変化を追跡する、電圧変化を呈するドライバパルスを生成するように構成されている、請求項10に記載のタッチコントローラ。
【請求項13】
前記電流コンベヤの前記出力が、負の出力及び正の出力のうちの1つである、請求項10に記載のタッチコントローラ。
【請求項14】
前記予備充電回路を前記パッドに選択的に結合するように配置された第1のスイッチと、
前記測定回路及び前記電荷キャンセル回路を前記パッドに選択的に結合するように配置された第2のスイッチと、を備える、請求項10に記載のタッチコントローラ。
【国際調査報告】