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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】一方向ファスナー
(51)【国際特許分類】
   F16B 13/04 20060101AFI20230524BHJP
   B21J 15/00 20060101ALI20230524BHJP
   B21J 15/02 20060101ALI20230524BHJP
   F16B 31/02 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
F16B13/04 D
B21J15/00 P
B21J15/02 M
F16B31/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564786
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-24
(86)【国際出願番号】 KR2021019414
(87)【国際公開番号】W WO2022139371
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0180299
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522416114
【氏名又は名称】デウ ボルト カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087491
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 享
(74)【代理人】
【識別番号】100104271
【弁理士】
【氏名又は名称】久門 保子
(72)【発明者】
【氏名】カン ヒジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン イエリ
【テーマコード(参考)】
3J025
【Fターム(参考)】
3J025AA07
3J025BA02
3J025CA01
(57)【要約】
本発明は、一方向ファスナーに関する。このために、本発明は、固定体に穿設された貫通孔に向かって開放された外部から閉鎖された内部へ挿入結合されるように構成された一方向ファスナーであって、前記ファスナーは、ファスナー本体に変形スリーブ及び押圧スリーブが嵌められ、押圧スリーブを貫通して露出したファスナー本体に押圧リングが嵌められ、押圧リングを貫通して露出したファスナー本体に押圧部材が螺合されることを特徴とする。したがって、本発明によれば、固定体の両側面の中でどちらか一つの面が閉鎖された空間に位置するようになってボルトとナットの締結ができなくなった場合、固定体の開放された面から閉鎖された空間にある面に向かって容易に固定されることができるようにしたのである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定体(F)に穿設された貫通孔(H)に向かって開放された外部から閉鎖された内部へ挿入結合されるように構成された一方向ファスナー(A)であって、前記ファスナー(A)は、ファスナー本体(10)に変形スリーブ(20)及び押圧スリーブ(30)が嵌められ、前記押圧スリーブ(30)を貫通して露出したファスナー本体(10)に押圧リング(40)が嵌められ、前記押圧リング(40)を貫通して露出したファスナー本体(10)に押圧部材(50)が螺合されることを特徴とする一方向ファスナー。
【請求項2】
前記ファスナー本体(10)は、ファスナー軸(110)の後方に押圧ヘッド(120)が設けられ、前記ファスナー軸(110)の前方に所定の長さを有する雄ネジ山部(130)が設けられ、前記雄ネジ山部(130)の端部に一定限度以上のトルクが作用する場合、切取リング溝(141)によって切断されるスプラインスタブシャフト(140)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の一方向ファスナー。
【請求項3】
前記ファスナー本体(10)の押圧ヘッド(120)は、ファスナー軸(110)の外周縁部に、押圧ヘッド(120)の外周縁部に向かって鉤形状をなす押圧ヘッドリング部(121)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の一方向ファスナー。
【請求項4】
前記変形スリーブ(20)は、円筒状の変形スリーブ本体(210)の外周縁部の両側端部から内側に向かって、一定間隔で隔てられた箇所にアウター変形案内リング(211)が設けられ、前記変形スリーブ本体(210)の内周縁部の両側端部から内側に向かって、一定間隔で隔てられた箇所にインナー変形案内リング(212)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の一方向ファスナー。
【請求項5】
前記変形スリーブ(20)のインナー変形案内リング(212)は、「ヘ」字形に設けられることを特徴とする、請求項4に記載の一方向ファスナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方向ファスナーに関し、特に、固定体の両側面の中でどちらか一つの面が閉鎖された空間に位置するようになってボルトとナットの締結ができなくなった場合、固定体の開放された面から閉鎖された空間にある面に向かって容易に固定し得るようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、固定体同士を結合させるための方法としては、溶接、リベット接合、及びボルト止めなどの方式が挙げられる。
【0003】
溶接の場合は、永久的な接合方式であって、固定体同士が高温の環境下で溶融された後、冷却過程を経て接合されるものであり、リベット接合及びボルト止めは、非永久的な接合方式であって、リベット接合は、両固定体に穿設された貫通孔にリベットを挟んでプレスで押圧させることで、リベットの端部が塑性変形しながら固定体同士が着脱できないように接合されるものであり、ボルト止めは、両固定体に穿設された貫通孔にボルトを挟んでナットで締め付けることで、固定体同士が着脱自在に接合されるものである。
【0004】
ボルト止めは、ボルトの頭部及び雄ネジ山を有するボルト本体を、両固定体に穿設された貫通孔に挟むことで雄ネジ山が露出するようにした後、ボルトの頭部を貫通孔に係止させ、雄ネジ山に雌ネジ山を有するナットを結合させて締め付ける過程によって結合若しくは固定された状態が維持される。
【0005】
しかし、このようなボルト止めは、両方の固定体とも開放されている状態でのみ可能であり、いずれか一方側が閉鎖された状態、すなわち、作業者の手や工具が入りにくい場合は、作業ができないという問題点があった。
【0006】
このような問題点を解消するための方案として、韓国登録特許公報第10-1743074号(2017.05.29.)の一方向ボルト締結結合体が提案されたことがあり、その提案されたボルト締結結合体は、両面のうちの被締結部材の裏面が接するようになる折り畳み内面に弾性薄板が取り付けられ、2分割折り畳み式の折り畳みワッシャーが被締結部材の締結孔を通過した後、自力で広がるようにすることで、ボルト締結の作業性を向上させることができたが、作業者が片手では折り畳みワッシャーを半分折りにした状態が維持されるように把持しなければならなく、他の片手では進入棒を被締結部材の締結孔に押し込まなければならないので、一方向ボルト及びワッシャーの進入作業とナットの締結作業とを連携して行うことができなかったのみならず、とりわけ、電動工具の使用が効率的ではないという問題点があった。
【0007】
また、ナットの締結時、一方向ボルトがナットの回転に伴い空回りして締結がしっかりと行われない場合が生じるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、作業者が片手を用いてファスナー締結を容易に行うとともに、押圧部材の締結時にスプラインスタブシャフトによってファスナーが押圧部材の回転方向に沿って一緒に回転することを防止できるようにし、締結が完了した後にスプラインスタブシャフトがファスナー本体の端部から分離されて突出することを防止することにより、作業性を向上させることができるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、固定体Fに穿設された貫通孔Hに向かって開放された外部から閉鎖された内部へ挿入結合されるように構成された一方向ファスナーAであって、前記ファスナーAは、ファスナー本体10に変形スリーブ20及び押圧スリーブ30が嵌められ、前記押圧スリーブ30を貫通して露出したファスナー本体10に押圧リング40が嵌められ、前記押圧リング40を貫通して露出したファスナー本体10に押圧部材50が螺合されることを特徴とする。
【0010】
また、前記ファスナー本体10は、ファスナー軸110の後方に押圧ヘッド120が設けられ、前記ファスナー軸110の前方に所定の長さを有する雄ネジ山部130が設けられ、前記雄ネジ山部130の端部に一定限度以上のトルクが作用する場合、切取リング溝141によって切断されるスプラインスタブシャフト140が設けられることを特徴とする。
【0011】
また、前記ファスナー本体10の押圧ヘッド120は、ファスナー軸110の外周縁部に、例えば図4に示されるように押圧ヘッド120の外周縁部に向かって押圧ヘッド120の径方向内側に食い込む鉤形状をなす押圧ヘッドリング部121が設けられることを特徴とする。
【0012】
また、前記変形スリーブ20は、円筒状の変形スリーブ本体210の外周縁部の両側端部から内側に向かって、一定間隔で隔てられた箇所にアウター変形案内リング211が設けられ、前記変形スリーブ本体210の内周縁部の両側端部から内側に向かって、一定間隔で隔てられた箇所にインナー変形案内リング212が設けられることを特徴とする。
【0013】
また、前記変形スリーブ20のインナー変形案内リング212は、「ヘ」字形に設けられることを特徴とする。
【0014】
また、前記変形スリーブ20は、円筒状の変形スリーブ本体210の内周縁部の一側端部に拡管される形態を有する挿通ガイド220が設けられることを特徴とする。
【0015】
また、前記変形スリーブ20は、押圧スリーブ30と同一の直径を有するように設けられ、前記押圧スリーブ30の強度よりも低い強度を有するように設けられることを特徴とする。
【0016】
また、前記押圧リング40は、押圧スリーブ30の内径と同一の内径を有し、押圧部材50の周縁よりも大きい外径を有することを特徴とする。
【0017】
また、前記押圧部材50は、所定の長さを有する雌ネジ山部501が内部に貫通されるように設けられ、多角形状の工具結合部502が外部に設けられることを特徴とする。
【0018】
さらに、前記変形スリーブ20のインナー変形案内リング212は、「ヘ」字形に設けられ、傾きが変わる地点にそれぞれ折り曲げ案内ライン213が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、変形スリーブ及び押圧スリーブを有するファスナー本体を、固定体に穿設された貫通孔を介して貫通して挟んだ後に押圧部材を螺合させる過程で、閉鎖された空間に位置した変形スリーブを拡張させることで、閉鎖された空間にある面でも容易に固定・結合され得るという効果が得られる。
【0020】
また、これによって、作業者が片手を用いてファスナー締結を容易に行うことができるという効果が得られる。
【0021】
また、押圧部材の締結時、スプラインスタブシャフトによってファスナー本体が押圧部材の回転方向に沿って一緒に回転することを防止することができるという効果が得られる。
【0022】
また、ファスナーの締結が完了した後、スプラインスタブシャフトをファスナー本体の端部から切断して分離させることで、押圧部材の外側へファスナー本体の一部が必要以上に露出することを防止することができるという効果が得られる。
【0023】
なお、これによって、作業性を向上させることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による一方向ファスナーと固定体とを分離して示す分解斜視図である。
図2】本発明による一方向ファスナーの内外部を切断して示す分解斜視図である。
図3】本発明による一方向ファスナーを示す分解縦断面図である。
図4】本発明による一方向ファスナーを示す縦断面図である。
図5a】本発明による一方向ファスナーが固定体に結合される過程を示す縦断面図である。
図5b】本発明による一方向ファスナーが固定体に結合される過程を示す縦断面図である。
図5c】本発明による一方向ファスナーが固定体に結合される過程を示す縦断面図である。
図5d】本発明による一方向ファスナーが固定体に結合される過程を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明による一方向ファスナーと固定体とを分離して示す分解斜視図であり、図2は、本発明による一方向ファスナーの内外部を切断して示す分解斜視図であり、図3は、本発明による一方向ファスナーを示す分解縦断面図であり、図4は、本発明による一方向ファスナーを示す縦断面図であり、図5a乃至図5dは、本発明による一方向ファスナーが固定体に結合される過程を示す縦断面図である。
【0027】
本発明による一方向ファスナーAは、閉鎖された空間にある面を有する固定体Fに、作業者が片手を用いて締結を容易に行うとともにファスナーの一部が外部に突出することを防止するようにしたものであって、図1図4に示されたように、固定体Fに穿設された貫通孔Hに向かって開放された外部から閉鎖された内部へ挿入され、拡張された状態で結合可能に設けられている。
【0028】
かかる前記ファスナーAは、ファスナー本体10、変形スリーブ20、押圧スリーブ30、押圧リング40、及び押圧部材50を含み、前記ファスナー本体10に変形スリーブ20と押圧スリーブ30とが順次に嵌められるように構成されており、前記押圧スリーブ30を貫通して露出したファスナー本体10に押圧リング40が嵌められるように構成されるとともに、前記押圧リング40を貫通して露出したファスナー本体10に押圧部材50が螺合されるように構成されている。
【0029】
ここで、前記ファスナー本体10は、所定の長さを有する円筒状の鋼材からなり、ファスナー軸110の後方にファスナー軸110の直径よりも大きい直径を有する押圧ヘッド120が設けられ、前記ファスナー軸110の前方に所定の長さを有する雄ネジ山部130が設けられ、前記雄ネジ山部130の端部に切取リング溝141を有するスプラインスタブシャフト140が凸状に設けられることで、エアツール(図示せず)によって一定限度以上のトルクが作用する場合、前記切取リング溝141によってスプラインスタブシャフト140がせん断可能に構成されている。
【0030】
このようなスプラインスタブシャフト140は、作業時、エアツール(図示せず)のヘッドに挟まれた状態が維持されることによって、押圧部材50が回転する過程で一緒に回転することを防止することができる機能が提供されることができるように構成されている。
【0031】
前記押圧ヘッド120は、閉鎖された空間に位置し、押圧部材50の締結力あるいは引張力によって引っ張られながらその圧力によって変形スリーブ20がファスナー軸110の軸方向に対して直角となる方向に拡張されることと同時に、軸方向に圧搾されるように構成されている。この時、ファスナー軸110の外周縁部に押圧ヘッド120の外周縁部に向かって径方向内側に食い込む鉤形状をなす押圧ヘッドリング部121が設けられることによって、押圧ヘッド120に突き当てられている変形スリーブ20の端部が外側に拡張されることを防止するとともに、変形スリーブ20の端部側の内周縁部がファスナー軸110の外周縁部に圧搾されることができる形態を有するように具備されている。すなわち、強い圧力が作用する場合、押圧ヘッド120の端部が変形する変形スリーブ20の内側である内周縁部に挿入される現象を防止し得るようになる。
【0032】
前記変形スリーブ20は、円筒状の鋼材からなり、軸方向の強い圧力を受ければ、中間部分が外側に向かって円盤(リング)状に拡張されてリベットと同一な機能が提供されることができるようにしたものであって、円筒状の変形スリーブ本体210の外周縁部の両側端部から内側に向かって、一定間隔で隔てられた箇所にアウター変形案内リング211が設けられることで、前記アウター変形案内リング211を中心に拡張される変形が行われるように具備されている。これは、軸方向の荷重がアウター変形案内リング211に集中的に作用するにつれ、他の部分が先に変形することを防止し得るようになる。
【0033】
また、前記変形スリーブ本体210の内周縁部の両側端部から内側に向かって、一定間隔で隔てられた箇所にインナー変形案内リング212が設けられることで、前記インナー変形案内リング212によって重なった円盤状またはリング状を有するようになる。この時、前記インナー変形案内リング212は、へ字状に設けられることによって、小さい断面積を有する上部の折曲部を介して同一方向に折り曲げられたり、あるいは外側に拡張されたりする変形が発生するようになる。
【0034】
このような前記変形スリーブ20は、円筒状の変形スリーブ本体210の内周縁部の一側端部に拡管される形態を有する挿通ガイド220が設けられることによって、ファスナー軸110に結合される過程で干渉発生を防止し得るようになる。この時、前記変形スリーブ20は、押圧スリーブ30と同一の直径を有するように設けられることが好ましく、前記押圧スリーブ30の強度よりも低い強度を有するように設けられることによって、弾性変形が容易に行われるようにすることがさらに好ましい。
【0035】
前記押圧リング40は、押圧部材50の押圧力が押圧スリーブ30に直接作用するものではなく、まず、押圧部材50の押圧力が押圧リング40に作用するようにすることで、締結過程で固定体Fの表面に摩擦による損傷が発生することを防止できるようにし、断面積を広げて十分な押圧力が作用できるようにし、締結後、押圧部材30が逆方向に緩められることを防止できるといった、複合的な機能を提供することができるように具備されている。
【0036】
このような前記押圧リング40は、押圧スリーブ30の内径と同一の内径を有し、押圧部材50の端部よりも大きい外径を有するように設けられることによって、軸方向に押圧部材50の押圧力が伝達され得るように具備されている。
【0037】
前記押圧部材50は、ファスナー本体10のファスナー軸110を軸方向に引っ張ることによって発生する押圧力によって、変形スリーブ20を変形可能にしたものであって、所定の長さを有する雌ネジ山部501が内部に貫通されるように設けられ、多角状の工具結合部502が外部に設けられている。
【0038】
一方、前記変形スリーブ20の内周縁部に具備されたインナー変形案内リング212は、単純な「ヘ」字形に設けられ、軸方向に作用する荷重によって逆「U」字形に変形するようにしたが、このような形態の他に、傾きが変わる地点である両側端部にそれぞれ折り曲げ案内ライン213を設けることが好ましく、この場合、前記折り曲げ案内ライン213によって初期に一定した位置で折り曲げの弾性変形が開始し、開始した弾性変形が漸増するとともに、完全な逆「U」字形の形状を有する変形が行われることができるようにすることがさらに好ましい。
【0039】
これは、変形スリーブ20の均一な変形によって、押圧部材50からファスナー本体10のファスナー軸110を介して伝達される押圧力が、変形スリーブ20に同様に作用するにつれ、全般的に均一な締付力あるいは結合力が維持されることにより、安定した結合または固定状態が維持できるようになる。
【0040】
図5a乃至図5dは、本発明による一方向ファスナーが固定体に結合される過程を示す縦断面図である。
【0041】
まず、図5aに示すように、中央に貫通孔Hが穿設されており、3つに分離された固定体Fを一つに結合させる過程で、図示の固定体Fの一側は、開放された空間であり、固定体の他側は、作業者の手や工具が入ることができない閉鎖された空間である。
【0042】
本発明による一方向ファスナーAは、ファスナー本体10のファスナー軸110に変形スリーブ20及び押圧スリーブ30が嵌められ、次いで、押圧リング40が嵌められた状態で、雄ネジ山部130に押圧部材50の雌ネジ山部501を結合させる。
【0043】
次に、図5bに示すように、ファスナー本体10の押圧ヘッド120を貫通孔Hを介して挟み込む過程で、押圧リング40の他側面が固定体Fの表面に当たるまで挟み込む。
【0044】
それから、エアツール(図示せず)を用いて押圧部材50を回転させる過程で、エアツールのヘッドがスプラインスタブシャフト140に結合されることによって、ファスナー本体10の回転を防止するとともに押圧部材50のみが回転するようになる。
【0045】
次に、押圧部材50が回転すると同時に雄ネジ山部130が右側から左側に移動されつつ押圧ヘッド120の押圧ヘッドリング部121が変形スリーブ20の他側端部を一方向に押圧させると、図5cに示すように、変形スリーブ本体210のアウター変形案内リング211及びインナー変形案内リング212が、軸方向の長さは短くなり、かつ、外側に拡張される形態の変形が開始する。
【0046】
次いで、押圧部材50が回転し続けられ、雄ネジ山部130が軸方向に引っ張られると同時に、押圧ヘッド120によって変形スリーブ20が図5dに示すように、完全な逆「U」字形の形状を有し、結合後にエアツールによって一定限度以上のトルクが作用するようになり、これによって、切取リング溝141によってスプラインスタブシャフト140が切断されることで、固定体に一方向ファスナーが結合されるようになる。
【符号の説明】
【0047】
10 ファスナー本体
20 変形スリーブ
30 押圧スリーブ
40 押圧リング
50 押圧部材
110 ファスナー軸
120 押圧ヘッド
121 押圧ヘッドリング部
130 雄ネジ山部
140 スプラインスタブシャフト
141 切取リング溝
210 変形スリーブ本体
211 アウター変形案内リング
212 インナー変形案内リング
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
【手続補正書】
【提出日】2023-01-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
さらに、前記変形スリーブ20のインナー変形案内リング212は、「ヘ」字形に設けられ、傾きが変わる地点にそれぞれ折り曲げ案内ライン213が設けられることを特徴とする。
本発明の最良の実施形態は、固定体(F)に穿設された貫通孔(H)に向かって開放された外部から閉鎖された内部へ挿入結合されるように構成された一方向ファスナー(A)であって、前記ファスナー(A)は、ファスナー本体(10)に変形スリーブ(20)及び押圧スリーブ(30)が嵌められ、前記押圧スリーブ(30)を貫通して露出したファスナー本体(10)に押圧リング(40)が嵌められ、前記押圧リング(40)を貫通して露出したファスナー本体(10)に押圧部材(50)が螺合され、前記ファスナー本体(10)は、ファスナー軸(110)の後方に押圧ヘッド(120)が設けられ、前記ファスナー軸(110)の前方に所定の長さを有する雄ネジ山部(130)が設けられ、前記ファスナー本体(10)の押圧ヘッド(120)は、ファスナー軸(110)の外周縁部に、押圧ヘッド(120)の外周縁部に向かって径方向内側に食い込む鉤形状をなす押圧ヘッドリング部(121)が設けられ、前記変形スリーブ(20)は、円筒状の変形スリーブ本体(210)の外周縁部の両側端部から内側に向かって、一定間隔で隔てられた箇所に一側及び他側のアウター変形案内リング(211)がスリット状にそれぞれ設けられ、前記変形スリーブ本体(210)の内周縁部には、不等辺の「ヘ」字形の形状を有するインナー変形案内部(212)が設けられ、前記インナー変形案内部(212)の変形スリーブ(20)の厚さが前記インナー変形案内部(212)の中央部の折り曲げラインまで益々薄く形成され、前記インナー変形案内部(212)の一側は、前記一側のアウター変形案内リング(211)位置の内周面に、傾きが始まる一側の折り曲げ案内ライン(213)が形成され、前記インナー変形案内部(212)の他側は、前記他側のアウター変形案内リング(211)から一定間隔だけ外方に離れた位置の内周面に、傾きが終わる他側の折り曲げ案内ライン(213)が形成される。
【国際調査報告】