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特表2023-522770改良されたアキシャルフラックス型電気モータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-31
(54)【発明の名称】改良されたアキシャルフラックス型電気モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/24 20060101AFI20230524BHJP
   H02K 16/02 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
H02K21/24 M
H02K16/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564788
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2021060558
(87)【国際公開番号】W WO2021214240
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】20170864.1
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522416170
【氏名又は名称】ヴァム・イノベーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モルテン・マッレ
(72)【発明者】
【氏名】マリアン・ヴォイク
(72)【発明者】
【氏名】カート・アルモス・ローリゼン
【テーマコード(参考)】
5H621
【Fターム(参考)】
5H621BB02
5H621BB07
5H621GA16
5H621GB10
5H621HH01
(57)【要約】
電気モータが提供される。電気モータは、電気モータの中心軸の周りに同心円状に配置された複数の界磁コイル電磁石と、複数の界磁コイル電磁石の各軸方向端部に配置された少なくとも1つの磁石とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータであって、
各々が第1の軸端と第2の軸端とを有する複数の界磁コイル電磁石(30)と、
前記電気モータの中心軸(R)の周りに同心円状に配置された複数の界磁コイル電磁石と、
該複数の界磁コイル電磁石(30)の第1の軸端に配置される第1の磁石(12)と、前記複数の界磁コイル電磁石(30)の第2の軸端に配置される第2の磁石とを少なくとも備えた電気モータにおいて、
前記各界磁コイル電磁石(30)は、隣接する前記界磁コイル電磁石(30)から周方向に離隔していることを特徴とする電気モータ。
【請求項2】
各々の界磁コイル電磁石(30)は、その半径方向厚さ(D)よりも大きい周方向幅(W)を有し、及び/または各磁石(12)は、その半径方向厚さよりも大きい周方向幅を有する、請求項1に記載の電気モータ。
【請求項3】
各々の界磁コイル電磁石(30)及び/または磁石(12)は、内側半径(R1)から外側半径(R2)までの半径方向延長部を有し、それによって半径方向厚さ(D)を規定し、内側半径(R1)は外側半径(R2)の25%より大きく、好ましくは50%より大きい、請求項1または2に記載の電気モータ。
【請求項4】
各々の界磁コイル電磁石(30)は、磁気コア(34)と、該磁気コア(34)を取り囲む巻線(32)とを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項5】
前記磁気コア(34)は、軸方向に延在する長手部分(36)と、該長手部分(36)の各々の軸方向両端に配置された2つの横断部分(38)とを有する、請求項4に記載の電気モータ。
【請求項6】
各々の横断部分(38)は円弧状である、請求項5に記載の電気モータ。
【請求項7】
前記巻線(32)は、前記磁気コア(34)の前記長手部分(36)の周囲に配置されている、請求項6に記載の電気モータ。
【請求項8】
各々の界磁コイル電磁石の円周方向延長部は50°~85°の範囲内であり、隣接する2つの界磁コイル電磁石(30)間の円周方向の距離は5°~40°の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項9】
前記複数の界磁コイル電磁石(30)は、単一の界磁コイル組立体(20)として取り付けられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項10】
前記界磁コイル組立体(20)は、前記界磁コイル電磁石(30)の位置を固定する支持体(22)を更に備え、前記支持体(22)は、絶縁材料で形成されている、請求項9に記載の電気モータ。
【請求項11】
前記複数の界磁コイル電磁石(30)の各々は、軸方向に間隔を置いて対向する極を形成する、請求項1~10のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの磁石(12)の各々は、前記複数の界磁コイル電磁石(30)と半径方向に位置合わせされ、前記複数の界磁コイル電磁石(30)の隣接する軸方向端部から所定の軸方向距離に配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項13】
前記界磁コイル電磁石(30)の各々の軸方向側の前記少なくとも1つの磁石(12)は、複数の磁極を備え、前記少なくとも1つの磁石の極の数は、前記界磁コイル電磁石(30)の数に等しい、請求項1~12のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項14】
前記界磁コイル電磁石(30)の各々の軸方向側の前記少なくとも1つの磁石(12)は、前記複数の界磁コイル電磁石(30)の各々の軸方向端部に対向して環状に配置された複数の磁石(13a)を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項15】
前記界磁コイル電磁石(30)の各々の軸方向側の前記少なくとも1つの磁石(12)は、環状に配置され、前記複数の界磁コイル電磁石(30)の軸方向端部よりも半径方向外側に配置された複数の磁石(13b)を更に備える、請求項1~14のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項16】
前記複数の界磁コイル電磁石(30)の軸方向端部の半径方向外側に配置された前記複数の磁石(13b)は、複数の磁極を有し、環状の磁極の数は、前記界磁コイル電磁石(30)の数と等しいことを特徴とする請求項15に記載の電気モータ。
【請求項17】
前記界磁コイル電磁石(30)の各々の軸方向側の前記少なくとも1つの磁石(12)は、環状に配置され、前記複数の界磁コイル電磁石(30)の軸方向端部よりも半径方向内側に配置された複数の磁石(13c)を更に備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項18】
前記複数の界磁コイル電磁石(30)の軸方向端部の半径方向内側に配置された前記複数の磁石(13c)は、複数の磁極を有し、環状の磁極の数は、前記界磁コイル電磁石(30)の数と等しい、請求項17に記載の電気モータ。
【請求項19】
前記複数の界磁コイル電磁石(30)はステータ組立体を形成し、前記界磁コイル電磁石(30)の各々の軸方向側にある前記少なくとも1つの磁石(12)はロータ組立体を形成する、請求項1~18のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項20】
前記複数の界磁コイル電磁石(30)はロータ組立体を形成し、前記界磁コイル電磁石(30)の各々の軸方向側にある前記少なくとも1つの磁石(12)はステータ組立体を形成する、請求項1~19のいずれか一項に記載の電気モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータに関する。特に、本発明は、電気モータ及び発電機並びにそれらの効率改善に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータ、すなわちモータ及び発電機の使用は膨大である。小規模な用途から大規模な産業システムまで、動きが必要とされる場合、及び/または動きが電気エネルギーに変換される場合には、電気モータが好ましい選択であることが多い。
【0003】
電気モータには、直流または交流で動作するさまざまなタイプがある。これに加えて、ブラシ付きDCモータ、ブラシレスDCモータ、永久磁石DCモータ等、多くの異なる種類の電気モータが開発されている。
【0004】
これらの公知の電気モータは、電気モータの回転速度に大きく依存する効率特性を有する。電気モータの性能特性の典型的な例は、最初に効率の急速な増加を示し、より高い速度で減少する前に最大に達する。従って、既存の電気モータは最大効率点を有する。電気モータの最大効率点で動作するように電気モータの用途を設計することは可能であるが、電気モータを特定の速度で動作させるのではなく、ある速度範囲で動作させることがしばしば望ましい。このような場合、従来技術の電気モータは、より低い効率で動作することになり、従って、改善の必要性がある。
【0005】
特許文献1には、ステータのステータ要素が互いに独立して設置され、対応する巻線が別個に設けられた側面回転型モータ(side rotation type motor)が開示されている。しかしながら、このモータは、矩形状の界磁コイル電磁石(field coil electromagnet)を有しており、コイルよりも多くの磁石を必要とする。従って、モータは全てのコイルを同時に利用するのではなく、磁石のリラクタンスを利用するために一度に2つのコイルを利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第10140362号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、力が増加した半径で作用し、それによって機械的仕事の出力を改善するアキシャルフラックス型(axial flux type)の電気モータを提供することによって、上述した問題の少なくともいくつかを排除、軽減、軽減または低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様によれば、電気モータが提供される。
【0009】
以下の説明から明らかになる多数の他の目的、利点及び特徴と共に、上記の目的は、本発明による解決手段、すなわち電気モータの中心軸の周りに同心円状に配置された複数の界磁コイル電磁石と、複数の界磁コイル電磁石の各軸方向端部に配置された少なくとも1つの磁石とを備え、各界磁コイル電磁石がその隣接する界磁コイル電磁石から円周方向に離隔されていることを特徴とする電気モータによって達成される。
【0010】
本開示によれば、「中心軸(central axis)」という用語は、モータの長手方向軸(longitudinal axis)として理解することができ、中心軸は、電気モータの回転軸と同軸であっても良い。「軸方向(axial)」端部という用語は、電気モータの中心軸に平行な方向に延在する端部と理解することができる。半径方向は、電気モータの中心軸に直交し、中心軸から半径方向に延在する方向として理解することができる。円周方向は、電気モータの中心軸を中心として360度延びる円周軸に沿った方向として理解することができる。円周方向は例えば度またはラジアンとして定義することができ、円周距離は例えば円周の一部として例えば度またはラジアンの数として定義することができる。
【0011】
一実施形態では、複数の界磁コイル電磁石のそれぞれの第1の軸方向端部に第1の磁石(12)を配置し、第2の軸方向端部に第2の磁石を配置することができる。従って、界磁コイル電磁石のそれぞれに対して、モータは第1及び第2の磁石を有する。これは、電気モータが4つの界磁コイル電磁石を有する場合、少なくとも4つの第1の磁石と、界磁コイル電磁石の軸方向端部に配置された4つの第2の磁石とを有することを意味する。
【0012】
本開示によれば、界磁コイル電磁石は、互いに対して軸方向に配置された2つ以上の電磁石の組立体(assembly)であっても良く、2つ以上の電磁石は、第1の軸方向端部及び第2の軸方向端部を画定している。
【0013】
界磁コイル電磁石を周方向に離間させることにより、一方の界磁コイル電磁石と他方の界磁コイル電磁石との干渉を低減し、モータ効率を向上させることができる。
【0014】
更に、各界磁コイル電磁石は、その半径方向の厚さよりも大きい円周方向の幅を有することができ、及び/または各磁石は、その半径方向の厚さよりも大きい円周方向の幅を有することができる。
【0015】
更に、各界磁コイル電磁石及び/または磁石は、内側半径から外側半径までの半径方向延長部を有することができ、それによって半径方向厚さを規定し、内側半径は外側半径の25%より大きく、好ましくは50%より大きい。従って、換言すれば、界磁コイル電磁石の半径方向における中心軸から内側半径(内周)への半径方向距離は、中心軸から外側半径(外周)への長さの25%より大きくても良く、中心軸から外側半径(外周)への長さの50%より大きくても良く、中心軸から外側半径(外周)への長さの75%より大きくても良い。これは、界磁コイル電磁石の内側周縁部(inner perifery)を中心軸から所定の距離に位置決めすることができ、この距離は、界磁コイル磁石の外側周縁部までの半径方向距離の少なくとも25%、50%、及び/または75%であっても良いことを意味する。従って、界磁コイル磁石の外周方向に向かう半径方向距離の少なくとも25%は、界磁コイル磁石を含まない(void)。従って、磁石は、中心軸の周りの半径方向距離の25%~100%の距離にのみ配置され、半径方向長さの最初の25%は、界磁コイル磁石を含まない。
【0016】
これは、磁束が電気モータの周辺領域に集中することを可能にし、磁束が周辺領域に集中することを可能にし、利用された磁束がより長いレバーアームでロータを回転させることを可能にし、ロータの増加したレバーアームによって、同じ量の磁気力を用いて増大したトルクを提供することを可能にする。これは、磁束の集中がレバーアームの端部に集中し、ロータのレバーアームの全長または大部分に沿って磁束を分布させないので、モータが従来技術のモータよりも高いトルクを供給できることを意味する。
【0017】
更に、各界磁コイル電磁石は、磁気コアと、該磁気コアを取り囲む巻線とを含むことができる。
【0018】
また、各磁気コアは、軸方向に延在する長手部分(elongated portion)と、該長手部分の各軸方向端部に配置された2つの横断部分(transverse portion)とを備えていても良い。
【0019】
また、各横断部分は円弧状であっても良い。
【0020】
更に、巻線は、磁気コアの長手部分の周囲に配置されても良い。
【0021】
更に、各界磁コイル電磁石の円周方向延長部(circumferential extension)は50°~85°の範囲であり、2つの隣接する界磁コイル電磁石間の円周方向の距離は5°~40°の範囲である。
【0022】
更に、複数の界磁コイル電磁石は、単一の界磁コイル組立体として取り付けられても良い。
【0023】
更に、前記界磁コイル組立体は、各界磁コイル電磁石の位置を固定する支持体を更に備え、前記支持体は、絶縁材料で形成される。
【0024】
また、前記複数の界磁コイル電磁石のそれぞれは、軸方向に間隔を置いて対向する極(opposing poles)を形成することができる。
【0025】
更に、少なくとも1つの磁石のそれぞれは、複数の界磁コイル電磁石と半径方向に位置合わせされても良く、複数の界磁コイル電磁石の隣接する軸方向端部から所定の軸方向距離に配置される。
【0026】
更に、界磁コイル電磁石の各軸方向側の少なくとも1つの磁石は、複数の磁極を含むことができ、少なくとも1つの磁石の極の数は、界磁コイル電磁石の数に等しい。
【0027】
また、前記界磁コイル電磁石の各軸方向側の前記少なくとも1つの磁石は、前記複数の界磁コイル電磁石のそれぞれの軸方向端部に対向して環状に配置された複数の磁石を含むことができる。
【0028】
更に、前記界磁コイル電磁石の各軸方向側の前記少なくとも1つの磁石は、環状に配置され、前記複数の界磁コイル電磁石の軸方向端部の半径方向外側に配置された複数の磁石を更に含むことができる。
【0029】
複数の界磁コイル電磁石の軸方向端部の半径方向外側に磁石を配置することによって、軸方向に配置された磁石を有することに加えて、電磁石は、ラジアルフラックスモータ(radial flux motor)としてだけでなくアキシャルフラックスモータとしても利用され得る。従って、界磁コイル磁石の軸方向端部の半径方向外側に配置された磁石は、モータが一方向の軸方向磁束を使用し、半径方向の半径方向磁束を使用して動作することができるので、界磁コイル電磁石によってモータの回転部分に加えられるトルクを改善することができる。
【0030】
また、前記複数の界磁コイル電磁石の軸方向端部の径方向外側に配置された前記複数の磁石は、複数の磁極を有し、前記環状の磁極の数は、前記界磁コイル電磁石の数に等しい。
【0031】
また、前記界磁コイル電磁石の各軸方向側の前記少なくとも1つの磁石は、環状に配置され、前記複数の界磁コイル電磁石の軸方向端部よりも半径方向内側に配置された複数の磁石を更に含むことができる。
【0032】
また、前記複数の界磁コイル電磁石の軸方向端部の半径方向内側に配置された前記複数の磁石は、前記環状の極の数が前記界磁コイル電磁石の数と等しい複数の磁極を有していても良い。
【0033】
軸方向に配置された磁石を有することに加えて、複数の界磁コイル電磁石の軸方向端部の半径方向外側及び/または内側に磁石を配置することによって、電磁石は、ラジアルフラックスモータとしてだけでなくアキシャルフラックスモータとしても利用され得る。従って、界磁コイル磁石の軸方向端部の半径方向外側及び/又は内側に配置された磁石は、モータが一方向の軸方向磁束を使用し、半径方向の半径方向磁束を使用して動作することができるので、界磁コイル電磁石によってモータの回転部分に加えられるトルクを改善することができる。
【0034】
界磁コイル電磁石の軸方向端部の半径方向内側及び/または外側に配置され得る磁石は、それぞれ、界磁コイル電磁石の長さの20%未満、より好ましくは界磁コイル電磁石の長さの10%未満、より好ましくは界磁コイル電磁石の長さの5%未満の長さ(軸方向)を有し得る。半径方向に配置された磁石は、軸方向に配置された磁石に接続することができ、半径方向に延在する磁石は、軸方向の磁石から、界磁コイル電磁石の反対側の端部に向かう方向に延在することができる。
【0035】
更に、複数の界磁コイル電磁石はステータ組立体を形成することができ、界磁コイル電磁石のそれぞれの軸方向側にある少なくとも1つの磁石はロータ組立体を形成することができる。
【0036】
最後に、複数の界磁コイル電磁石は、ロータ組立体を形成することができ、界磁コイル電磁石のそれぞれの軸方向側にある少なくとも1つの磁石は、ステータ組立体を形成する。
【0037】
本開示によれば、モータという用語は、電気エネルギーを運動エネルギーに変換するデバイス、またはその逆の変換デバイスであって、運動エネルギーが電気エネルギーに変換される発電機の形態のデバイスに関するものである。従って、モータへの入力が電気エネルギーに変換するための運動エネルギーである場合、モータという用語は発電機という用語に置き換えることができる。
【0038】
一実施形態では、界磁コイル電磁石のコアは、鉄、鉄と他の材料との合金、またはアモルファス鉄で作られる。
【0039】
一実施形態では、界磁コイル電磁石の巻線は、銅または銅と他の材料との合金で作られる。
【0040】
一実施形態では、界磁コイル電磁石のコアは、軸の外周から界磁コイル電磁石のコアの中心点までの半径方向距離の半径方向に2~85%延在し、他の実施形態では、3~70%または4~55%または5~40%延在しても良い。このようにして、結果として生じる力の大部分は、電気モータの車軸(axle)から50%以上の距離で生成されることが達成される。従って、大きなトルクが得られる。
【0041】
1つの例示的な実施形態では、界磁コイル電磁石のコア及び/または磁石の中央部分は、ステータ組立体の半径の少なくとも50%、より好ましくはステータ組立体の半径の少なくとも60%、より好ましくはステータ組立体の半径の少なくとも70%、またはステータ組立体の半径の少なくとも80%である半径方向距離に配置される。従って、界磁コイル電磁石のコア及び/または第1の軸方向に配置された磁石の中央部分は、ステータ組立体の周辺に配置され、距離(回転軸からの距離)の残りの部分は、界磁コイル電磁石及び/または軸方向に配置された磁石を含まない。
【0042】
一実施形態では、半径方向にそれぞれ内側または外側に配置された磁石部分、すなわち、界磁コイル磁石のコアの下側及び上側磁石部分は、コアからの磁束消散(flux dissipation)の最も集束された点(most focussed point)よりも界磁コイル電磁石の巻線に近い距離に配置される。
【0043】
本発明の他の態様及びその実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義され、詳細な説明のセクション及び図面において更に説明される。
【0044】
本明細書において使用される場合、「含む/含む」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、または構成要素の存在を特定するために用いられるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素、またはそれらの群の存在または付加を排除しないことが強調されるべきである。特許請求の範囲において使用される全ての用語は、本明細書において特に明示的に定義されない限り、当該技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきである。「a/an/the[要素、デバイス、構成要素、手段、ステップ等]」への全ての言及は、明示的に別段の記載が無い限り、要素、デバイス、構成要素、手段、ステップ等の少なくとも1つの例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】電気モータの非限定的な実施例の概略図である。
図2】一実施形態による電気モータの断面図である。
図3】一実施形態による、電気モータの一部を形成する界磁コイル組立体の等角図である。
図4】一実施形態による、電気モータの一部を形成する磁石構成の等角図である。
図5】一実施形態による、電気モータの一部を形成する界磁コイル電磁石の等角図である。
図6】一実施形態による、電気モータの一部を構成する界磁コイル電磁石の磁気コアの等角図である。
図7図6に示す磁気コアを使用する、一実施形態による電気モータの一部を形成する界磁コイル電磁石の等角図である。
図8】一実施形態による電気モータの分解図である。
図9】一実施形態による電気モータの等角図である。
図10図8に示す電気モータの性能特性を示す図である。
図11a】本発明の一部を構成しない電気モータと、その結果得られる力ベクトルとを示す。
図11b】本発明の一部を構成しない電気モータと、その結果得られる力ベクトルとを示す。
図12a】本発明の一実施形態による電気モータと、その結果得られる力ベクトルとを示す。
図12b】本発明の一実施形態による電気モータと、その結果得られる力ベクトルとを示す。
図13a】電気モータの様々な実施形態を示す。
図13b】電気モータの様々な実施形態を示す。
図13c】電気モータの様々な実施形態を示す。
図13d】電気モータの様々な実施形態を示す。
図13e】電気モータの様々な実施形態を示す。
図14】一実施形態による電気モータの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の実施形態の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照し、以下の詳細な説明から明らかにされる。
【0047】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全且つ完全であり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。添付の図面に示される特定の実施形態の詳細な説明において使用される用語は、本発明を限定することを意図しない。図面において、同様の番号は同様の要素を指す。
【0048】
図1には、電気モータ1が概略的に示されている。電気モータ1は、種々の部品を収容する固定ハウジング(stationary housing)3と、電気モータ1の作動時に強制的に回転される回転軸5とを有する。電気モータ1はまた、モータ1を駆動するために必要な電力を供給するためのパワーエレクトロニクス7を含む。
【0049】
電気モータ1は、モータとして駆動することができ、回転軸5の回転により電力が機械的動力に変換される。また、電気モータ1を発電機として動作させ、回転軸5の回転により機械的動力を受け、その回転を電気エネルギーに変換するようにしても良い。
【0050】
図2には、電気モータ1の一実施形態の断面図が示されており、回転軸5の一側のみが示されている。電気モータ1は、ロータ組立体10とステータ組立体20とを備えている。ロータ組立体10は、回転軸5に固定されており、ステータ組立体20の各軸方向側において回転軸5から半径方向に延在するディスク11によって形成されている。各ディスク11は、その外周に少なくとも1つの磁石12を備えている。少なくとも1つの磁石12は、3つの部分13a~13cによって形成されている。中央部分13aは、ステータ組立体の軸方向端部から一定の距離でディスク11と平行に配置されている。上部部分13bは、ステータ組立体20の第1及び/又は第2の軸方向端部の半径方向外側に配置され、下部部分13cは、ステータ組立体20の軸方向端部の半径方向内側に配置される。
【0051】
電気モータの適切な動作のためには、前記部分13a~13cのうちの1つを有することのみが必要であり、従って、一実施形態では、少なくとも1つの磁石は、中央部分13a、上部部分13b、下部部分13c、またはこれらの任意の組み合わせのみを含む。
【0052】
前記部分13a~13cのうちの第2の部分を追加することにより、界磁コイル電磁石によって生成された磁界を部分13aによって軸方向に利用することができ、且つ半径方向13b及び/または13cに利用することができるため、電気モータ1の効率を向上させることができる。従って、電気モータは、アキシャルフラックスモータ及び/またはラジアルフラックスモータの両方であっても良い。これは、全ての部分13a~13cが、界磁コイル電磁石30の軸方向端部に位置し、且つ、界磁コイル電磁石30の軸方向端部の径方向内側及び径方向外側に位置する場合に特に有利である。
【0053】
磁石12を含むディスク11は、ハウジング3に対して回転可能である。このために、回転軸5は、1つまたは複数の軸受9によってハウジング3に回転可能に支持されても良い。ディスク11が回転すると、回転軸5はその回転軸線Rを中心として回転する。
【0054】
各ディスク11に対して、磁石12は円周方向に交互の極に分割される。磁石12は、各円周位置において、ステータ組立体20の一方の軸方向側の磁石12がステータ組立体20の他方の軸方向側の磁石12と反対の符号を有するようにシフトされている。
【0055】
ステータ組立体20は、複数の界磁コイル電磁石30を備える。界磁コイル電磁石30は、回転軸5を取り囲むようにして、電気モータ1の外周に周方向に分散配置されている。ステータ組立体20は、磁石12の間に配置されているので、各磁石12は、界磁コイル電磁石30によって引き起こされる磁界で動作する。
【0056】
電力が供給されると、各界磁コイル電磁石30は、それぞれの軸方向端部に対向する磁極を生成する。ブラシ技術またはHブリッジコントローラ等のブラシレス技術を使用して、各界磁コイル電磁石30の極を切り替えることにより、ステータ組立体20は、ロータ組立体10を回転させるように駆動する。
【0057】
ステータ組立体20の一実施形態を図3に示す。ステータ組立体20は、リング形状を形成し、複数の界磁コイル電磁石30を備える。図示の例では、4つの界磁コイル電磁石30が存在するが、任意の適切な数の界磁コイル電磁石30が可能であることを理解されたい。界磁コイル電磁石30は、周方向に沿って均等に配置され、互いに間隔を隔てて配置されている。界磁コイルは、互いに導電接触していない。図示の例では、各界磁コイル電磁石30は、約70°の円周方向延長部と、隣接する界磁コイル電磁石までの約20°の距離とを有している。
【0058】
ステータ組立体20は、この実施形態では、界磁コイル組立体を形成し、各界磁コイル電磁石30の位置を固定する支持体22を備える。従って、界磁コイル電磁石30は支持体22に埋設されている。支持体22は、界磁コイル電磁石30同士が接触しないように、絶縁材料で形成されていることが好ましい。
【0059】
界磁コイル組立体20は円筒体を形成しているが、各軸方向端部には軸方向突起24が設けられており、これは界磁コイル組立体の第1及び/又は第2軸方向端部であっても良い。この突起は、界磁コイル電磁石30の一部と埋め込み支持体材料とを含み、ロータ組立体10の磁石12に近接して配置されている。
【0060】
ロータ組立体10の実施形態の詳細を図4に示す。磁石12は、前述したように、ディスク11の内周側に配置されている。従って、図4に示す構成要素は、電気モータ1の各軸方向側に配置されることが好ましい。
【0061】
磁石12は、複数の極に分割されている。図示の例では、4つの極が交互に配置されているので、極の数は、図3に示される界磁コイル組立体20の界磁コイル電磁石30の数に等しい。
【0062】
各磁極の円周方向延長部は、各界磁コイル電磁石30の円周方向延長部に対応することが好ましく、すなわち、示された実施形態では、各磁極は約70°だけ延び、隣接する磁極に対して約20°の円周方向の角度距離(angular distance)を残している。
【0063】
磁石12は、複数の界磁コイル電磁石30と半径方向に整列され、複数の界磁コイル電磁石30の隣接する軸方向端部、すなわち、界磁コイル組立体20の軸方向突出部24に配置される。
【0064】
磁石12は、環状に形成されている。図示の例では、各磁極は、中央部分13aと、上部部分13bと、下部部分13cとを有する。しかしながら、先に説明したように、前記部分13a~13cのうちの1つだけが必要とされ得る。各磁石部分13a~13cは等しい円周方向延長部を有している。しかしながら、特定の磁極の各部分13a~13cは、いくつかのセグメントに分割され、いくつかの隣接するセグメントが1つの磁気部分13a~13cを形成するようにしても良い。
【0065】
中央磁石部分13aは、複数の界磁コイル電磁石30の各軸方向端部に対向して環状に配置されている。上側磁石部分13bは、複数の界磁コイル電磁石30の軸方向端部よりも径方向外側に配置された環状に配置され、下側磁石部分13cは、複数の界磁コイル電磁石30の軸方向端部よりも径方向内側に配置された環状に配置されている。
【0066】
電気モータ1と共に使用するための界磁コイル電磁石30の2つの異なる構成が図5図7に示されている。両方の実施形態に共通することは、i)それらがそれぞれの軸方向端部に対向する極を提供すること、及びii)円周方向幅Wが半径方向厚さDよりも大きいことである。
【0067】
図5には、界磁コイル電磁石30が直線状である第1の例が示されている。界磁コイル電磁石30は、磁気コア34を取り囲む巻線32を含む。磁気コア34は、Hバー形状である。Hバーは、モノリシック体または磁性シートの積層体として形成することができる。界磁コイル電磁石30は、周方向幅Wおよび半径方向厚さDを有する。幅Wは磁気コア34の幅に対応し、厚さDは巻線32の厚さに対応する。図5に見られるように、幅Wは、厚さDよりも実質的に大きい。比W/Dは、1.5~10の範囲、例えば2.5であっても良い。界磁コイル電磁石の幅対厚さの比は、電気モータの効率及びトルクを増大させるために、ロータ/ステータの周辺部で磁束を集束させるのを補助することができる。
【0068】
図6には、別の実施形態による磁気コア34が示されている。ここで、磁気コア34は、ロータ組立体10の円筒形状に適合するように湾曲している。
【0069】
磁気コア34は、軸方向に延在する長手部分36と、この長手部分36の軸方向両端に配置された2つの横断部分38とを有している。
【0070】
各横断部分38(界磁コイル組立体の第1及び/または第2の軸方向端部)は、円周方向に延在する、すなわち、少なくとも部分的に円形の輪郭に沿って延在し、従って、それらは弧状である。巻線32は、図7に見られるように、磁気コア34の長手部分36の周りに配置される。
【0071】
図5の実施形態に関して、図7の界磁コイル電磁石30は、円周方向の幅W及び半径方向の厚さDを有する。幅Wは、磁気コア34の幅に対応し、厚さDは、巻線32の厚さに対応する。図5に見られるように、幅Wは、厚さDよりも実質的に大きい。比W/Dは、1.5~10の範囲、例えば2.5であっても良い。ロータ径が20cmの電気モータ1の場合、界磁コイル電磁石30の幅Wは、界磁コイル電磁石の円周方向延長部を70°としたとき、π*20*70/360=12.2cmとなる。このような実施形態の場合、厚さは、異なる材料特性等に応じて、2~8cmの範囲であっても良い。
【0072】
図8には、電気モータ1の一例が示されている。軸対称性のために、一方の軸側の要素のみに参照符号が付されている。
【0073】
電気モータ1は、界磁コイル組立体20を確実に固定するハウジング3を有する。界磁コイル組立体20は、界磁コイル電磁石30と、前述したように界磁コイル組立体20の支持体22を形成する第1及び第2の部分40とを備えており、これらの第1及び第2の部分40は、界磁コイル電磁石の対向する軸方向端部に位置決めされている。第1及び第2の部分40は、界磁コイル電磁石30を円周方向に分離し、分離された界磁コイル電磁石間に間隔を設けるように位置決めされる。
【0074】
ロータ組立体10は界磁コイル組立体20の各軸方向側に示されており、ディスク11及び磁石12を含む。電気モータ1の軸方向端部は、エンドプレート50によって終端されている。
【0075】
エンドプレート50及び/またはハウジング3は、電気モータ1を正しく駆動するために、電力コネクタ及び/またはパワーエレクトロニクスを備えていることを理解されたい。
【0076】
電気モータ1の別の例が図9に示されている。ここでは、2つの界磁コイル組立体20が直列に配置され、軸方向に整列されたデュアルステータ構成(dual stator arrangement)が示されている。界磁コイル組立体20は、2つの異なる界磁コイル組立体20の界磁コイル電磁石30間に50%の重複が存在するように位相シフトされる。ロータ組立体10は、デュアルステータ構成の各軸方向端部に配置される。
【0077】
図8に示される実施形態に従って構築されたプロトタイプの効率を視覚化する図が図10に示される。効率は、以下の例示的なパラグラフに開示されているようにテストすることができる。上の図では、入力電力と出力電力が縦軸に示され、横軸に示される異なるRPMに対してプロットされており、その結果得られる効率プロファイルは、パーセンテージでの効率が縦軸に示され、RPMが横軸に示され、下の図にプロットされている。図示のように、効率は全てのRPMに対して50%を超えたままであるが、材料、軸受、寸法等を最適化することによって効率を大幅に改善することができることに留意されたい。高効率曲線は、従来技術と比較して非常に低いピークを有する非常に平坦な曲線であることが示されている。
【0078】
これまでに行われたテストは、非常に広いRPM間隔で高レベルの効率の同じパターンを示している。図から分かるように、電力入力及び電力出力もまた、従来技術のモータと比較して非常に異なる傾向を有する。
【0079】
本明細書に記載される実施形態の1つの主要な利点は、界磁コイル電磁石30の異なる構成及び配置のために、電磁束(electromagnetic flux)が集中されるという事実である。磁気コア34を、ロータの外側半径において比較的長く(円周方向に)且つ狭い(半径方向に)経路上で回転方向に対して接線方向の細長い形状を有するように構成することによって、機械的効果は、より低い電力入力でより高くなる。
【0080】
全ての実施形態において、電気モータの直径を増加させると、モータ速度(RPM)が減少する。しかし、同じ電力入力でRPMが減少すると、出力トルクは比例して高くなる。磁場の比較的狭い帯域のために、結果として生じる力は、増大した半径に作用し、より一定の効率をもたらす。
【0081】
更に、仕事を生成する領域を異なる直径に維持し、セグメントの幅をほぼ同じに維持することによって、効率は影響されない。
【0082】
本明細書に記載される実施形態の技術的利点を更に理解するために、特に、各界磁コイル電磁石がその半径方向厚さDよりも大きい円周方向幅Wを有するという事実に関連して、図11a、図11b及び図12a、図12bを参照する。
【0083】
図11には、片側電気モータの例が示されている。ステータ組立体は、複数の界磁コイル電磁石30によって形成され、ロータ組立体は、複数の交番磁極磁石(alternating pole magnet)12によって形成される。
【0084】
図11aによる軸方向構成において、目的は、磁石12と界磁コイル電磁石の軸方向端部(すなわち磁極)との間の相互作用面を最大化することである。相互作用面が増大すると、電気モータの出力トルクも増大する。しかしながら、図11bに示されるように、結果として生じる力ベクトルRFは、外側半径ではなく中心半径に作用する。この結果、効率が低下する。これは、中心軸Rに近い相互作用面が低い機械的な力を生成する一方で、高い電力入力が要求されるためである。
【0085】
磁気相互作用がロータの中心に近づくにつれて、機械的出力が減少する。
【0086】
図11aから明らかなように、界磁コイル電磁石30と永久磁石12との間の相互作用面は、ロータの外側半径からロータの内側半径まで延在している。
【0087】
同時に、誘導作用(BEMF)も、電気モータの効率を更に低下させる。
【0088】
従って、図11a及び図11bに示された電気モータは、主目標としてのデバイスの効率を考慮することなく、機械的出力を最大化することを目的としている。
【0089】
次に図12a及び図12bを参照すると、界磁コイル電磁石30の向きは90°回転され(それによって、必要とされる界磁コイル電磁石30の数はより少ない)、ロータの永久磁石12は、界磁コイル電磁石30の軸方向端部(すなわち極)の位置に一致するように再形成される(reshaped)。
【0090】
本明細書に記載される本発明の全ての実施形態に有効であるこの実施形態では、主な目的は、電気モータの効率を改善することである。
【0091】
各界磁コイル電磁石30と磁石12との間に同じ相互作用面を有するが、可能な最大半径に配置されるので、最小電力入力で最大の機械的仕事を引き出すことが可能である。
【0092】
これは、各界磁コイル電磁石30と磁石12との間の相互作用面が、最大半径方向拡張(maximum radial extension)を利用して最小円周距離(minimum circumferential distance)に配置されている図11a及び図11bの電気モータと比較される。
【0093】
一度に単一の界磁コイル電磁石を分析することにより、この構成では、同様の電力入力において、界磁コイル電磁石30と磁石12との間の相互作用面は、ロータの外側半径にのみ存在する。結果として生じる力ベクトルRF1は、中心半径ではなく外側半径に作用している。従って、同様の電力入力において、この構成は、図11a及び図11bの電気モータと比較して、より多くの機械的な電力出力を生成する。
【0094】
これはまた、この構成が高速及び低速で高い効率を示し、維持することができる主な理由でもある。
【0095】
次に、いくつかの異なる実施形態が示されている図13a~図13eを参照する。これらの図では、ロータ、すなわち磁石12の分布が示されている。しかしながら、これらの図面はまた、図13a~図13eに示されるものと等しい形状及び分布パターンを有する界磁コイル電磁石30の可能な分布を示す。従って、一実施形態では、図13a~図13eに示されるようなロータの端面図は、ステータ、すなわち界磁コイル電磁石30の端面図に等しくなり、その結果、図示の磁石12と同じ寸法を示すことになる。
【0096】
図13a~図13eにおいて、半径方向の厚さは、R2-R1として定義され、一方、円周方向の幅Wは、外側半径R2における磁石/界磁コイル電磁石の長さとして示される。
【0097】
図13aでは、半径方向の厚さは比較的薄く、円周方向の幅は半径方向の厚さよりもはるかに大きい。これは、図13cの実施形態にも当てはまるが、周方向幅Wは、極/磁石/界磁コイル電磁石の数が多くなるにつれて減少する。
【0098】
図13bでは、極/磁石/界磁コイル電磁石の数は図13cと同じであるが、半径方向の厚さが増加している。
【0099】
図13eでは、極/磁石/界磁コイル電磁石の数は、図13b及び図13cと同じであるが、極/磁石/界磁コイル電磁石の間の周方向距離が増加している。
【0100】
最後に、図13dにおいて、極/磁石/界磁コイル電磁石は、図13aの実施形態と同様であるが、半径方向の厚さが増加する。
【0101】
図14は、本発明の例示的な実施形態の分解図を示し、ここで、電気モータは、図8に示される実施形態と同じ部品を有しており、図8に示されるモータと同様である。しかしながら、本実施形態では、モータ1には、界磁コイル電磁石の内径(R1)よりも小さい外径を有するディスク状部分(disk-shaped part)100が導入されている。これは、モータを組み立てる際に、ディスク状部分が電磁コイルの内径(R1)内に位置することを意味する。ディスク状部分100は中央開口部102を有し、ここでシャフト5は開口部101を通って延在しており、ディスク状部分は回転軸及びロータ組立体10と共に回転することができる。従って、ディスク状部分100は、電気モータ1のロータ組立体の一部であっても良く、ここで、ディスク状部分は、界磁コイル組立体20の内部に配置されても良い。ディスクは、モータが組み立てられたときに、コイルの長手方向両端部から等距離に配置されても良い。
【0102】
ディスク状部分は、2つ以上の磁石102、103、104、105を備えることができ、ここで、磁石は、分極されても良く、この例では、ディスクは、シフトする極性を有する4つの磁石を含み、対向する周辺側の2つの磁石102、104は、第1の極性(例えば、N極)を有することができ、対向する周辺側に配置される2つの磁石103、105は、第2の極性(例えば、S極)を有することができる。磁石の極性は交互であっても良く、その結果、第1の磁石はS極であっても良く、一方、隣接する磁石はN極であっても良く、以下同様である。ディスク上の磁石の数は、モータ1の電気コイル30の数と一致させることができる。従って、モータが4つのコイル30を有する場合、ディスクは4つの磁石102、103、104、105を有することができる。同様に、モータが6個のコイルを有する場合、ディスク100は6個の磁石を有することができる。部品は必ずしもディスク状の形状を有する必要はなく、回転中の振動を最小限にするために軸5の回転軸の周りに磁石が対称に分布されることを確実にするために、軸5の回転軸の周りに磁石を分布させることができる任意の形状を有することができる。
【0103】
磁気極性は、ロータとの組み合わせにおいて、磁石の極性がシャフトの回転に従うように設定することができる。実験的な試験によれば、4つの永久磁石を有するディスク形状の部品を追加することにより、モータの「無負荷」速度を15%増加させ、負荷時のトルクを5%増加させることができる。
【0104】
ディスク状部の磁石は、モータのロータの回転方向に応じて極性の順序が設定されていても良い。
【0105】
本発明は、その実施形態を参照して詳細に上述された。しかしながら、当業者には容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、他の実施形態も本発明の範囲内で同様に可能である。
【実施例1】
【0106】
【表1】
【0107】
効率をテストするための設定
上表は、明細書に従って実験用電気モータの回転軸にトルクを加え、入力電力及び出力トルクを複数の毎分回転数(RPM)で測定した実験データを示す。表中の変数は次のとおりである。
アーム:モータの回転軸からアームの自由端までのアームの長さ
質量:アームの自由端によってスケールに適用される測定質量。
トルクモータの回転軸に適用される計算されたトルク値(質量*アームの長さ*重力)
RPM:モータの測定RPM
ボルト入力:モータの測定入力電圧
AMP入力:モータの測定入力電流
電力(計算された電力入力)
効率:(トルク*RPM/60*2π/パワー入力*100)[トルク*RPM/60*2π=パワー出力]
【0108】
例示的な出力の例示的なグラフを図10に示す。
【0109】
モータの回転軸はアームに取り付けられており、アームは回転軸から半径方向に延在しており、アームには、モータの回転軸に固定された回転ディスクとの間で摩擦接続を行うための制動力が付与されており、アームの自由端でスケールに力を付与することができる。
【0110】
この例は、例示的なモータの電力効率が比較的高く、初歩的な実験設定において38%から80%の範囲であることを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13a
図13b
図13c
図13d
図13e
図14
【国際調査報告】