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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】検出チップ及び検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20230525BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G01N35/02 A
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540535
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2021084007
(87)【国際公開番号】W WO2021218537
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】202010367824.8
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 静
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲ユ▼▲ファン▼
(72)【発明者】
【氏名】袁 春根
(72)【発明者】
【氏名】安 光明
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CC08
2G058CC14
2G058GA01
2G058GA06
(57)【要約】
サンプル供給口(110)と、少なくとも1つの検出分岐構造(120)とを含む検出チップ(10)及び検出システム(60)であって、少なくとも1つの検出分岐構造(120)のそれぞれは、サンプル供給口(110)に連通している検出ウェル(141)と、検出ウェル(141)に収容された反応試薬(150)とを含み、検出ウェル(141)内の反応試薬(150)を光学検査を可能にするように構成される検出部(140)を含む。該検出チップ(10)は検出の自動化に寄与し、かつ携帯型検出装置の実現に寄与する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出チップであって、
サンプル供給口と、
少なくとも1つの検出分岐構造とを含み、前記少なくとも1つの検出分岐構造のそれぞれは、
前記サンプル供給口に連通している検出ウェルと、
前記検出ウェルに収容された反応試薬を含み、
前記検出ウェル内の前記反応試薬を光学検査を可能にするように構成される検出部を含む、検出チップ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの検出分岐構造のそれぞれは、導流溝をさらに含み、
前記導流溝は前記サンプル供給口に連通している第1端と、前記検出ウェルに連通している第2端を有し、前記検出ウェルは前記導流溝を介して前記サンプル供給口に連通している、請求項1に記載の検出チップ。
【請求項3】
第1面を有する第1基板であって、前記サンプル供給口は前記第1基板の貫通孔であり、前記導流溝及び前記検出ウェルは前記第1基板の第1面に形成される第1基板と、
前記第1基板の第1面に積層され、かつ前記検出ウェルに対応する位置で前記光学検査を可能にする第2基板とをさらに含む、請求項2に記載の検出チップ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの検出分岐構造のそれぞれは
前記検出ウェル内に収容され、前記第1基板に垂直な方向において前記反応試薬と互いに少なくとも部分的に重なっている水吸収性膜をさらに含み、請求項3に記載の検出チップ。
【請求項5】
前記水吸収性膜は前記反応試薬の前記第2基板から離間した側に設けられる、請求項4に記載の検出チップ。
【請求項6】
前記水吸収性膜の液体貯蔵量は10μL~50μLである、請求項4又は5に記載の検出チップ。
【請求項7】
前記検出部は、前記検出ウェルの周囲に位置し、前記検出ウェルに連通している導流ウェルをさらに含み、
前記導流ウェルの少なくとも一部の高さは、前記検出ウェルの高さよりも小さい、請求項2~6のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項8】
前記導流ウェルは
一端が前記検出ウェルの側面に接続され、傾斜した導流壁を含み請求項7に記載の検出チップ。
【請求項9】
前記導流ウェルと前記検出ウェルの縦断面は、全体として段差状である、請求項7に記載の検出チップ。
【請求項10】
前記導流ウェルは少なくとも前記検出ウェルを部分的に取り囲む、請求項7~9のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項11】
前記検出ウェルの高さは0.2mm~5mmであり、前記導流ウェルの最大高さと前記検出ウェルの高さとの差は0.1mm~1mmであり、前記導流ウェルの幅は0.1mm~1mmである、請求項7~10のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項12】
前記検出部は、前記第1基板を貫通して前記検出ウェルに連通している貯液貫通孔をさらに含む、請求項3~6のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項13】
前記貯液貫通孔は前記検出ウェルの中心に連通している、請求項12に記載の検出チップ。
【請求項14】
前記貯液貫通孔の直径は0.2mm~5mmであり、前記貯液貫通孔の深さと前記検出ウェルの高さとの比は0.5:1~10:1である、請求項12又は13に記載の検出チップ。
【請求項15】
前記導流溝の高さは0.1mm~1.5mmであり、前記導流溝の幅は0.1mm~2mmである、請求項2~14のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項16】
前記導流溝の高さと前記導流溝の幅との比は1:1~10:1である、請求項2~15のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項17】
前記導流溝の内側壁は親水性を有する、請求項2~16のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項18】
前記少なくとも1つの検出分岐構造は
前記サンプル供給口の周囲に均等に配置されている複数の検出分岐構造を含む、請求項2~17のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項19】
前記サンプル供給口は、第1本体と、前記導流溝に連通し、前記第1本体から前記導流溝へ突出する第1凸部とを含み、請求項2~18のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項20】
前記第1本体の直径は1mm~10mmである、請求項19に記載の検出チップ。
【請求項21】
前記反応試薬は反応フィルム及び/又は塊状反応試薬を含む、請求項2~20のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項22】
前記反応フィルムは厚さ方向において圧縮された状態である、請求項21に記載の検出チップ。
【請求項23】
弛み状態の前記反応フィルムの厚さと前記検出ウェルの高さとの比は、1:1~1:0.5である、請求項22に記載の検出チップ。
【請求項24】
前記反応フィルムは円形状であるか、又は、
前記反応フィルムは多角形であり、かつ前記多角形の1つの角が前記導流溝の第2端に直接連通している、請求項21~23のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項25】
前記反応フィルムは、フィルム本体と、少なくとも一部が前記導流溝内に位置し、前記フィルム本体から前記導流溝へ突出する第2凸部とを含み、
前記フィルム本体は、前記検出ウェルと同様に、円形状である、請求項21~23のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項26】
前記反応フィルムは菱形状である、請求項21~23のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項27】
前記検出ウェルの直径は3mm~15mmであり、前記反応フィルムの直径は前記検出ウェルの直径以下である、請求項24に記載の検出チップ。
【請求項28】
前記第2基板は、前記検出ウェルに対応する位置に検出貫通孔を有する、請求項3~6及び12~14のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項29】
前記第2基板は非透光性であるか、又は、
前記検出チップは前記第2基板の前記第1基板に離間及び/又は接近する面に覆われ、かつ前記検出貫通孔を露出させる遮光層をさらに含み、請求項28に記載の検出チップ。
【請求項30】
前記検出貫通孔の直径は2mm~10mmである、請求項28又は29に記載の検出チップ。
【請求項31】
前記第1基板の材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、及びポリカーボネートの1種又は複数種を含む、請求項3~6、12~14及び28~30のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項32】
前記第2基板の材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、及びポリエチレンテレフタレートの1種又は複数種を含む、請求項3~6、12~14、及び28~31のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項33】
前記第1基板と前記第2基板は、ボンディング、溶接、粘着又は係着によって結合される、請求項3~6、12~14、及び28~32のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項34】
前記第1基板と前記第2基板との間に位置し、前記第1基板と前記第2基板を結合するための粘着層をさらに含み、
前記粘着層は、前記検出ウェルに対応する開口部を含む、請求項33に記載の検出チップ。
【請求項35】
前記反応試薬は、ガラス繊維、綿繊維又はガラス繊維と綿繊維の複合繊維を含む基体材料と、前記基体材料内に分布する検出試薬とを含み、
請求項2~34のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項36】
第1面を有する第1基板であって、前記サンプル供給口は前記第1基板の貫通孔であり、前記導流溝及び前記検出ウェルは前記第1基板の第1面に形成される第1基板と、
前記第1基板の第1面に積層され、前記検出ウェルに対応する位置に検出貫通孔があり、前記検出貫通孔を介して前記光学検査を可能にする第2基板とをさらに含み、
前記少なくとも1つの検出分岐構造は複数の検出分岐構造を含み、前記複数の検出分岐構造は前記サンプル供給口の周囲に均等に配置されている、請求項2に記載の検出チップ。
【請求項37】
対向する第1面及び第2面を有する第1基板であって、前記サンプル供給口は前記第1基板の貫通孔であり、前記検出ウェルは前記第1基板の第1面に形成され、前記導流溝は前記第1基板の第2面に形成される第1基板と、
前記第1基板の第1面に積層され、かつ前記検出ウェルに対応する位置で前記光学検査を可能にする第2基板と、
前記第1基板の第2面に積層され、かつ前記サンプル供給口及び前記導流溝を密閉する第3基板とをさらに含む、請求項2に記載の検出チップ。
【請求項38】
第1面を有する第1基板であって、前記サンプル供給口、前記導流溝及び前記検出ウェルは前記第1基板の第1面に形成され、前記サンプル供給口は前記第1基板の非貫通孔である第1基板と、
前記第1基板の第1面に積層され、かつ前記サンプル供給口を露出させ、前記検出ウェルに対応する位置で前記光学検査を可能にする第2基板とをさらに含む、請求項2に記載の検出チップ。
【請求項39】
光学校正を行うように構成される光路検出領域を含む光学校正分岐構造をさらに含み、
請求項2~38のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項40】
前記第1基板の第1面から、前記第2基板から離間した方向に沿って突出するサンプル供給凸部をさらに含み、
前記サンプル供給凸部の一端は前記サンプル供給口に連結されている、請求項3~6、12~14、及び28~34のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項41】
前記サンプル供給凸部は
容積が50μL~200μLであり、前記第1基板から突出する高さが1mm~20mmである円錐形キャビティを含み、
前記円錐形キャビティは、互いに対向する第1端及び第2端を有し、前記第1端は前記サンプル供給口に連結され、直径が0.5mm~5mmであり、前記第2端は直径が1mm~20mmである、請求項40に記載の検出チップ。
【請求項42】
前記第1基板は第1窪みを含み、前記第2基板は前記第1窪みに対応する第2窪みを含み、
前記第1窪み及び前記第2窪みは前記検出チップを固定するものである、請求項3~6、12~14、28~34、40、及び41のいずれかに記載の検出チップ。
【請求項43】
検出システムであって、
請求項1~42のいずれかに記載の検出チップと、
前記検出部によって前記検出ウェル内の前記反応試薬を検出するように構成される検出装置とを含む検出システム。
【請求項44】
前記検出装置は、
前記反応試薬へ発光するように構成される光源と、
前記光源から発光して前記反応試薬により反射された光を受光するように構成される光電検出装置とを含む、請求項43に記載の検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は2020年4月30日に提出された中国特許出願第202010367824.8号の優先権を主張しており、該中国特許出願の全内容は援用により本願の一部として組み込まれる。
【0002】
本開示の実施例は検出チップ及び検出システムに関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロ流体チップ技術は、生物、化学や医薬などの分野におけるサンプルの製造、反応、分離、検出などの一般的な操作ユニットをミクロンスケールのマイクロチャネルを有するチップに集積させて、反応及び分析のプロセス全体を自動的に行うものである。該プロセスに使用されるチップはマイクロ流体チップと呼ばれ、またラボオンチップ(Lab-on-a-chip)とも呼ばれる。マイクロ流体チップ技術は、サンプルの使用量が少なく、分析速度が速く、携帯機器とするのが容易であり、リアルタイム、現場分析に適しているなどの利点を有し、生物、化学や医薬などの多くの分野に広く利用されている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の少なくとも1つの実施例は、サンプル供給口と、少なくとも1つの検出分岐構造とを含み、前記少なくとも1つの検出分岐構造のそれぞれは、検出ウェルと反応試薬を含む検出部を含み、前記検出ウェルは前記サンプル供給口に連通しており、前記反応試薬は前記検出ウェルに収容され、前記検出部は、前記検出ウェル内の前記反応試薬に対して光学検査を行うことを可能にするように構成される検出チップを提供する。
【0005】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記少なくとも1つの検出分岐構造のそれぞれは、導流溝をさらに含み、前記導流溝は、第1端と第2端を有し、前記導流溝の第1端は前記サンプル供給口に連通しており、前記導流溝の第2端は前記検出ウェルに連通しており、これにより、前記検出ウェルは前記導流溝を介して前記サンプル供給口に連通している。
【0006】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップは、第1面を有する第1基板であって、前記サンプル供給口は前記第1基板の貫通孔であり、前記導流溝及び前記検出ウェルは前記第1基板の第1面に形成される第1基板と、前記第1基板の第1面に積層され、かつ前記検出ウェルに対応する位置で前記光学検査を可能にする第2基板とをさらに含む。
【0007】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記少なくとも1つの検出分岐構造のそれぞれは水吸収性膜をさらに含み、前記水吸収性膜は前記検出ウェル内に収容され、かつ前記第1基板に垂直な方向において前記反応試薬と互いに少なくとも部分的に重なっている。
【0008】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記水吸収性膜は前記反応試薬の前記第2基板から離間した側に設けられる。
【0009】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記水吸収性膜の液体貯蔵量は10μL~50μLである。
【0010】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記検出部は、前記検出ウェルの周囲に位置する導流ウェルをさらに含み、前記導流ウェルは前記検出ウェルに連通しており、前記導流ウェルの少なくとも一部の高さは、前記検出ウェルの高さよりも低い。
【0011】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記導流ウェルは、傾斜した導流壁を含み、前記導流壁の一端は前記検出ウェルの側面に接続されている。
【0012】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記導流ウェルと前記検出ウェルの縦断面は、全体として段差状である。
【0013】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記導流ウェルの少なくとも一部は前記検出ウェルを取り囲む。
【0014】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記検出ウェルの高さは0.2mm~5mmであり、前記導流ウェルの最大高さと前記検出ウェルの高さとの差は0.1mm~1mmであり、前記導流ウェルの幅は0.1mm~1mmである。
【0015】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記検出部は、前記第1基板を貫通しており、かつ前記検出ウェルに連通している貯液貫通孔をさらに含む。
【0016】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記貯液貫通孔は前記検出ウェルの中心に連通している。
【0017】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記貯液貫通孔の直径は0.2mm~5mmであり、前記貯液貫通孔の深さと前記検出ウェルの高さとの比は0.5:1~10:1である。
【0018】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記導流溝の高さは0.1mm~1.5mmであり、前記導流溝の幅は0.1mm~2mmである。
【0019】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記導流溝の高さと前記導流溝の幅との比は、1:1~10:1である。
【0020】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記導流溝の内側壁は親水性を有する。
【0021】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記少なくとも1つの検出分岐構造は複数の検出分岐構造を含み、前記複数の検出分岐構造は前記サンプル供給口の周囲に均等に配置されている。
【0022】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記サンプル供給口は、第1本体と、前記第1本体から前記導流溝へ突出する第1凸部とを含み、前記第1凸部は前記導流溝に連通している。
【0023】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記第1本体の直径は1mm~10mmである。
【0024】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記反応試薬は反応フィルム及び/又は塊状反応試薬を含む。
【0025】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記反応フィルムは厚さ方向において圧縮された状態である。
【0026】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、弛み状態の前記反応フィルムの厚さと前記検出ウェルの高さとの比は、1:1~1:0.5である。
【0027】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記反応フィルムは円形状であるか、又は前記反応フィルムは多角形状であり、かつ前記多角形状の1つの角が前記導流溝の第2端に直接連通している。
【0028】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記反応フィルムは、フィルム本体と、前記フィルム本体から前記導流溝へ突出する第2凸部とを含み、前記第2凸部の少なくとも一部は前記導流溝内に位置し、前記フィルム本体は、前記検出ウェルと同様に、円形状である。
【0029】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記反応フィルムは菱形状である。
【0030】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記検出ウェルの直径は3mm~15mmであり、前記反応フィルムの直径は前記検出ウェルの直径以下である。
【0031】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記第2基板は、前記検出ウェルに対応する位置に検出貫通孔を有する。
【0032】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記第2基板は非透光性であるか、又は、前記検出チップは遮光層をさらに含み、前記遮光層は前記第2基板の前記第1基板に離間及び/又は接近する面に覆われ、かつ前記検出貫通孔を露出させる。
【0033】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記検出貫通孔の直径は2mm~10mmである。
【0034】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記第1基板の材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、及びポリカーボネートの1種又は複数種を含む。
【0035】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記第2基板の材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、及びポリエチレンテレフタレートの1種又は複数種を含む。
【0036】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記第1基板と前記第2基板は、ボンディング、溶接、粘着又は係着によって結合される。
【0037】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される検出チップは粘着層をさらに含み、前記粘着層は、前記第1基板と前記第2基板との間に位置し、かつ前記第1基板と前記第2基板とを結合するためのものであり、前記粘着層は前記検出ウェルに対応する開口部を含む。
【0038】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記反応試薬は、基体材料と、前記基体材料内に分布する検出試薬とを含み、前記基体材料は、ガラス繊維、綿繊維又はガラス繊維と綿繊維の複合繊維を含む。
【0039】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップは、第1面を有する第1基板であって、前記サンプル供給口は前記第1基板の貫通孔であり、前記導流溝及び前記検出ウェルは前記第1基板の第1面に形成される第1基板と、前記第1基板の第1面に積層され、かつ前記検出ウェルに対応する位置に検出貫通孔を有し、前記検出貫通孔を介して前記光学検査を可能にする第2基板とをさらに含み、前記少なくとも1つの検出分岐構造は複数の検出分岐構造を含み、前記複数の検出分岐構造は前記サンプル供給口の周囲に均等に配置されている。
【0040】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップは、対向する第1面及び第2面を有する第1基板であって、前記サンプル供給口は前記第1基板の貫通孔であり、前記検出ウェルは前記第1基板の第1面に形成され、前記導流溝は前記第1基板の第2面に形成される第1基板と、前記第1基板の第1面に積層され、かつ前記検出ウェルに対応する位置で前記光学検査を可能にする第2基板と、前記第1基板の第2面に積層され、かつ前記サンプル供給口及び前記導流溝を密閉する第3基板とをさらに含む。
【0041】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップは、第1面を有する第1基板であって、前記サンプル供給口、前記導流溝及び前記検出ウェルは前記第1基板の第1面に形成され、前記サンプル供給口は前記第1基板の非貫通孔である第1基板と、前記第1基板の第1面に積層され、かつ前記サンプル供給口を露出させ、前記検出ウェルに対応する位置で前記光学検査を可能にする第2基板とをさらに含む。
【0042】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップは光学校正分岐構造をさらに含み、前記光学校正分岐構造は光路検出領域を含み、前記光路検出領域は光学校正を行うように構成される。
【0043】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップはサンプル供給凸部をさらに含み、前記サンプル供給凸部は前記第1基板の第1面から、前記第2基板から離間した方向へ突出し、前記サンプル供給凸部の一端は前記サンプル供給口に連結されている。
【0044】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記サンプル供給凸部は円錐形キャビティを含み、前記円錐形キャビティの容積は50μL~200μLであり、前記円錐形キャビティの前記第1基板から突出する高さは1mm~20mmであり、前記円錐形キャビティは、互いに対向する第1端及び第2端を有し、前記第1端は前記サンプル供給口に連結され、前記第1端の直径は0.5mm~5mmであり、前記第2端の直径は1mm~20mmである。
【0045】
例えば、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップにおいて、前記第1基板は、第1窪みを含み、前記第2基板は前記第1窪みに対応する第2窪みを含み、前記第1窪み及び前記第2窪みは前記検出チップを固定するものである。
【0046】
本開示の少なくとも1つの実施例は、また、前記検出部によって前記検出ウェル内の前記反応試薬を検出するように構成される検出装置と、本開示のいずれかの実施例に記載の検出チップとを含む検出システムを提供する。
【0047】
例えば、開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出システムにおいて、前記検出装置は、前記反応試薬へ発光するように構成される光源と、前記光源から発光して前記反応試薬により反射された光を受光するように構成される光電検出装置とを含む。
【0048】
本開示の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明における図面は本開示のいくつかの実施例に過ぎず、本開示を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1A及び図1Bはそれぞれ、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップの正面透視図及び裏面透視図である。
図2図2A及び図2Bはそれぞれ、図1A及び図1Bに示される検出チップの爆発図である。
図3図3A及び図3Bはそれぞれ、図1A及び図1Bに示される検出チップの第1基板の正面透視図及び裏面透視図である。
図4図4図1A及び図1Bに示される検出チップの第1基板の第1面の平面構造模式図である。
図5図5図1A及び図1Bに示される検出チップの第2基板の平面構造模式図である。
図6図6図1A及び図1Bに示される検出チップの反応フィルムの構造模式図である。
図7図7A及び図7Bはそれぞれ、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される別の検出チップの正面透視図及び裏面透視図である。
図8図8図7A及び図7Bに示される検出チップの爆発図である。
図9図9A及び図9Bはそれぞれ、図7A及び図7Bに示される検出チップの第1基板の正面透視図及び裏面透視図である。
図10図10図7A及び図7Bに示される検出チップの第1基板の第1面の平面構造模式図である。
図11図11は本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるさらなる検出チップの爆発図である。
図12図12図11に示される検出チップの第1基板の構造模式図である。
図13A図13A図12に示される検出チップの第1基板の部分構造模式図である。
図13B図13B図13Aの線A-A’に沿った断面構造模式図である。
図13C図13C図13Aの線B-B’に沿った断面構造模式図である。
図14図14は本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるさらなる検出チップの爆発図である。
図15図15A及び図15Bは本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるさらなる検出チップの爆発図である。
図16図16は本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるさらなる検出チップの爆発図である。
図17図17は本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本開示の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明する実施例は本開示の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。当業者が説明する本開示の実施例に基づいて創造的な努力を必要とせずに得られた他の全ての実施例は、本開示の特許範囲に属する。
【0051】
別に定義しない限り、本開示で使用される技術的用語又は科学的用語は、当業者が理解する一般的な意味を持つ。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似の用語はいかなる順番、数又は重要性を示すものでもなく、異なる構成部分を区別するものに過ぎない。「含む」又は「包含」などの類似の用語とは、当該用語の前に記載された構成要素又は物品が当該用語の後にリストされた構成要素又は物品やその同等物をカバーし、他の構成要素又は物品を排除しないことを意味する。「接続」又は「連結」などの類似の用語は、物理的又は機械的接続に限定されるものではなく、直接か間接かに関わらず、電気的接続を含む。「上」、「下」、「左」、「右」などは相対位置関係を示すものだけであり、説明対象の絶対位置が変わると、この相対位置関係も対応して変化する可能性がある。
【0052】
マイクロ流体チップを設計する際には、発明者は、分析検出機能をできるだけ多くチップに集積させ、チップの外部操作に対する依存を低減させ、自動化や集積化を達成させることを望む。例えば、マイクロ流体チップのサンプル注入部材及び分析検出部材を一体に集積させ、構造の設計により検出プロセスの自動化を達成させ、さらに操作者に対する技術上の要件を低減させ、人為的な誤差を減らし、得られた検出データをより正確なものとする。
【0053】
本開示の少なくとも1つの実施例はサンプル供給口と、少なくとも1つの検出分岐構造とを含む検出チップを提供する。少なくとも1つの検出分岐構造のそれぞれは、サンプル供給口に連通している検出ウェルと検出ウェルに収容された反応試薬を含み、検出ウェル内の反応試薬を光学検査を行うことを可能にするように構成される検出部を含む。
【0054】
本開示では、上記の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップは、サンプルを検出するための複数の基本構造ユニット又は部材を同一のチップに集積させ、かつアクティブ制御及び毛細管現象によりサンプル分析検出のプロセス全体を完了することで、検出プロセスの自動化及び集積化を実現する。これにより、上記の検出チップによれば、検出プロセスに存在し得る人為的な誤差を減らし、検出データの精度を向上させるとともに、検出チップ全体の薄型化又は小型化を実現し、携帯式検出システムの実現に有利である。
【0055】
以下、いくつかの具体的な実施例により、本開示で提供される検出チップ及び検出システムを説明する。
【0056】
本開示のいくつかの実施例では、少なくとも1つの検出分岐構造は、それぞれ、第1端と第2端を有する導流溝をさらに含み、、導流溝の第1端はサンプル供給口に連通しており、導流溝の第2端は検出ウェルに連通、これにより、検出ウェルは導流溝を介してサンプル供給口に連通している。
【0057】
図1A及び図1Bは、それぞれ、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップの正面透視図及び裏面透視図であり、図2A及び図2Bは、それぞれ、図1A及び図1Bに示される検出チップの爆発図、即ち、分解図である。図1A及び図2Aは、検出チップの正面から見た構造を示す検出チップの上面図であり、図1B及び図2Bは、検出チップの裏面から見た構造を示す検出チップの下面図である。
【0058】
例えば、図1A図2Bに示すように、検出チップ10は、サンプル供給口110と、少なくとも1つの検出分岐構造120、例えば、複数の検出分岐構造120とを含み、図面には、6つの検出分岐構造120は例示として説明される。サンプル供給口110は、例えば母乳、体液、血液などの被検出サンプルを供給するものである。複数の検出分岐構造120はサンプル供給口110の周囲に均等に配置されるため、複数の検出分岐構造120は、それぞれ独立して検出機能を果たすことができる。
【0059】
例えば、複数の検出分岐構造120はそれぞれ、サンプル供給口110に連通している第1端と第2端を有する導流溝130と、導流溝130の第2端に連通している検出ウェル141と検出ウェル141に収容される反応試薬150を含み、検出ウェル141内の反応試薬150を光学検査を行うことを可能にするように構成される検出部140とを含む。
【0060】
例えば、いくつかの実施例では、反応試薬150は、図1A図2Bに示すシート状、即ち反応フィルムであってもよく、又は、いくつかの実施例では、反応試薬150は、塊状又は粉末状の反応試薬、例えば塊状又は粉末状の凍結乾燥試薬などであってもよく、又は、いくつかの実施例では、例えば検出チップが複数の検出分岐構造を含む場合、一部の検出ウェルに収容された反応試薬はシート状の反応フィルムであり、残りの部分の検出ウェルに収容された反応試薬はシート状の反応フィルムと異なり、例えば塊状又は粉末状の反応試薬であるようにしてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0061】
以下、反応試薬150が反応フィルム(即ち反応フィルム150)である場合を例として、本開示の実施例で提供される検出チップを説明する。なお、本開示の実施例は以上の例を含むが、これに限定されない。
【0062】
例えば、いくつかの実施例では、検出チップは、光学校正を行うように構成された光路検出領域を含む光学校正分岐構造をさらに含むことにより、光学検査により得られた検出データの正確性や精度を向上させる。
【0063】
例えば、検出チップが複数の検出分岐構造を含む場合、光学校正分岐構造及び複数の検出分岐構造はサンプル供給口の周囲に均等に配置されている。光学校正分岐構造には反応フィルムが設けられておらず、例えば、光学校正分岐構造では、反応フィルム以外の他の構造は全て検出分岐構造とほぼ同じ又は類似であってもよく、これにより、光学校正分岐構造は検出分岐構造と一体に設けられてもよく、検出チップの製造プロセスを簡素化し、製造コストを削減する。
【0064】
例えば、図1A図2Bに示される検出チップ10を例として、1つの検出分岐構造120は反応フィルム150を設けておらず、検出チップ10の光学校正分岐構造として光学校正に用いられてもよく、例えば、図2Bに示される1つの検出分岐構造120は、例えば反応フィルム150(及び後述する水吸収性膜170)を設けておらず、検出チップ10の光学校正分岐構造として機能する。
【0065】
例えば、光学校正分岐構造は光路検出領域を含み、該光路検出領域は検出ウェル141に対応する位置としてもよい。これにより、検出装置を利用して検出チップ10の反応フィルム150を光学検査を行う際に、光学校正分岐構造によって検出装置から発光する光路を校正し、例えば光路の照射角度を校正することで、得られた検出データの正確性を向上させることができる。
【0066】
なお、本開示のいくつかの実施例では、必要に応じて、2つまたそれ以上の光学校正分岐構造を光学校正に用いるように提供することができる。例えば、図1A図2Bに示される検出チップ10を例として、2つの検出分岐構造120は、例えば反応フィルム150を設けておらず、検出チップ10の光学校正分岐構造としてもよく、この2つの光学校正分岐構造はサンプル供給口110に対して点対称に配置されてもよく、これにより、光学校正の正確性や精度を向上させ、得られた検出データの正確性をさらに向上させる。
【0067】
なお、本開示の他のいくつかの実施例では、必要に応じて、検出チップは他の方式で校正を行ってもよく、このような場合、校正分岐構造は光学校正以外の他のタイプの校正構造としてもよく、例えば、他のタイプの校正構造では、反応フィルム(又は、校正に影響を与える他の構造や部材など、例えば後述する水吸収性膜170)は必要に応じ、設けられてもよいし、設けられなくてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0068】
例えば、反応フィルム150は検出試薬を含み、サンプル供給口110から加えられる被検出サンプルは導流溝130を介して検出ウェル141に入り、反応フィルム150内の検出試薬と反応する。このとき、例えば光学検査により、検出試薬と被検出サンプルが反応を行った後の反応フィルム150に現れた、例えば色の変化などを検出することで、被検出サンプル、例えば被検出サンプル内のある成分の有無や含有量等を検出することを実現する。
【0069】
これにより、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出チップ10は、例えば混合、分析検出などの複数の機能を集積させ、アクティブ制御及び毛細管現象によりサンプル分析検出のプロセス全体を完了することで、検出プロセスの自動化及び集積化を実現し、検出プロセスに存在し得る人為的な誤差を減らし、検出データの精度を向上させることができる。かつ、いくつかの実施例では、検出チップ10は、複数の検出分岐構造120の検出ウェル141のそれぞれに、異なる検出試薬を含む反応フィルム150を置くことで、異なる検出試薬を用いて同一サンプルの複数の指標を同時に検出することができ、このように、サンプルの検出周期を短くし、サンプルの複数の指標を適時に検出する。
【0070】
例えば、いくつかの例では、被検出サンプルは液体、例えば母乳サンプルであってもよい。検出チップ10の製造において、初期の反応フィルム150に所望の検出試薬(例えば発色試薬)を予め滴定しておき、検出試薬が反応フィルム150に含浸した後乾燥させ、次に、検出試薬を含む反応フィルム150を検出チップ10の検出ウェルに置くようにしてもよく、これにより、検出チップ10の貯蔵や輸送に有利である。検出チップ10を利用して検出を行う際に、サンプルはサンプル供給口110から投入され、導流溝130を介して検出ウェル141に流れて反応フィルム150での検出試薬と混合し反応を引き起こす。これによって、反応結果を検出する(例えば反応フィルム150の色の変化を識別する)ことにより、例えばサンプル内の被検物の有無や含有量などを判断し、サンプルのある指標を検出する。
【0071】
例えば、上記少なくとも1つの実施例では、検出チップ10を利用してサンプルを検出する際に、注入されるサンプル量は60μL~80μLとしてもよい。これによって、検出チップ10を利用してサンプルを検出する際に必要なサンプル量を減少させ、サンプルの浪費を減少又は回避することができる。
【0072】
例えば、いくつかの実施例では、図1A図2Bに示すように、各検出分岐構造120は水吸収性膜170をさらに含んでもよく、水吸収性膜170は検出ウェル141に収容され、かつ反応フィルム150と反応フィルム150の厚さ方向(即ち、後述する第1基板101に垂直な方向)において互いに少なくとも部分的に重なり、例えば両方は直接接触する。
【0073】
例えば、各水吸収性膜170の液体貯蔵量は10μL~50μL、例えば30μLとしてもよい。水吸収性膜170は一定量のサンプルを収容でき、水吸収性膜170の液体貯蔵量を超えると、水吸収性膜170はサンプルを吸収しなくなり、これにより、サンプルを定量化する役割を果たし、サンプル量の制御に有利である。
【0074】
例えば、水吸収性膜170の材料は、ガラス繊維、綿繊維又はガラス繊維と綿繊維の複合繊維などの材料を含む。
【0075】
なお、本開示の他のいくつかの実施例では、検出チップは水吸収性膜を利用しなくてもよく、この場合、反応フィルム150は、サンプルの定量化及び反応担体の2つの作用を兼ねる。
【0076】
なお、本開示の実施例では、複数の導流溝130の長さ、幅や深さなどは全て同じであるため、各検出ウェル141内に流れるサンプルの量がほぼ一致することが確保され、検出ウェル141内のサンプル量の制御に有利であり、また、各検出ウェル141内のサンプルと反応フィルム150での検出試薬との反応時間を比較的一致にすることができ、これにより、得られた検出データの正確性を向上させる。
【0077】
本開示の他のいくつかの実施例では、例えば異なる検出試薬を利用して同一サンプルの複数の指標を同時に検出する場合、検出必要のサンプルの指標により、複数の導流溝130のサイズをそれぞれ異なり、例えば、長さ、幅や深さなどを異なるものとしてもよく、これにより、異なる検出ウェル141内のサンプル量及び異なる検出ウェル141内のサンプルと反応フィルム150での検出試薬との反応時間を制御することができ、必要に応じてより正確な複数の検出データを同時に取得できる。
【0078】
なお、本開示の実施例では、導流溝130の具体的な長さ、幅や深さなどは、例えばサンプル量、サンプル特性などの実際のニーズに応じて決定されてもよい。例えば、サンプルがサンプル供給口110から検出ウェル141内に流れ得る限り、流動によるサンプルの損失を減少又は回避するために、導流溝130の長さを適切に減少してもよい。
【0079】
本開示の他のいくつかの実施例では、検出チップ10に導流溝130が設けられなくてもよく、例えば、検出ウェル141とサンプル供給口110は直接連結されて連通するこよにより、流動によるサンプルの損失をさらに減少又は回避することができる。この場合、いくつかの例では、サンプル供給口110は、サンプル供給口110に加えられたサンプルが複数の検出ウェル141に均一に流入できるように、それぞれ複数の検出ウェル141に連通している導流構造を有してもよい。
【0080】
例えば、いくつかの実施例では、複数の検出ウェル141のサイズは、検出必要のサンプルのさまざまな指標、必要なサンプル量や検出試薬の種類などの試薬の状況に応じて決定されてもよい。必要に応じ、複数の検出ウェル141のサイズ、形状は同じであってもよいし、異なってもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0081】
例えば、いくつかの実施例では、検出チップ10は、第1基板101と第2基板102をさらに含む。第1基板101は対向する第1面と第2面を有し、サンプル供給口110は第1基板101の貫通孔であり、導流溝130及び検出ウェル141は第1基板101の第1面に形成される。第2基板102は第1基板101の第1面に積層され、検出ウェル141に対応する位置で光学検査を可能にする。
【0082】
例えば、図3A及び図3Bは、それぞれ、図1A及び図1Bに示される検出チップの第1基板の正面透視図及び裏面透視図である。図3Aは第1基板の正面構造を示す第1基板101の上面図であり、図3Bは、第1基板の裏面構造を示す第1基板101の下面図である。図4は、図1A及び図1Bに示される検出チップの第1基板の第1面の平面構造模式図であり、図5図1A及び図1Bに示される検出チップの第2基板の平面構造模式図である。
【0083】
例えば、図1A図5に示すように、検出チップが水吸収性膜170を有する場合、水吸収性膜170は、反応フィルム150の第2基板102から離間した側、即ち、反応フィルム150と検出ウェル141との間に設けられてもよい。
【0084】
例えば、第2基板102は、検出ウェル141に対応する位置に検出貫通孔160を有し、これにより、検出貫通孔160を介して検出ウェル141内の反応フィルム150を光学検査を行い、サンプルの検出指標を取得することができる。
【0085】
例えば、検出貫通孔160は第2基板102を貫通し、かつ検出貫通孔160の直径は2mm~10mm、さらに0.5mm~4mm、例えば3mmに設定されてもよい。これにより、検出貫通孔160を介して光学検査を行うことができるとともに、各検出貫通孔160へ放射される光同士の干渉を低減又は回避し、光学検査の正確性及び精度をさらに向上させることができる。
【0086】
例えば、第2基板102において検出貫通孔160以外の部分は全て非透光性部分としてもよく、これにより、各検出貫通孔160へ放射される光同士の干渉を低減又は回避し、検出貫通孔160同士の光クロストークを低減又は回避することができる。例えば、染色などにより第2基板102の不透明部分を形成してもよい。
【0087】
例えば、第2基板102の第1基板101から離間した側に遮光層が設けられてもよく、該遮光層は第2基板102の第1基板101から離間した面における検出貫通孔160を有する位置以外の他の部分を覆い、即ち、該遮光層は第2基板102の第1基板101から離間した面を覆うとともに検出貫通孔160を露出させ、これにより、各検出貫通孔160へ放射される光同士の干渉を低減又は回避し、検出貫通孔160同士の光クロストークを低減又は回避することができる。例えば、遮光層は不透明材料を採用しており、該遮光層は例えば粘着、印刷などにより第2基板102の表面に設けられてもよく、本開示の実施例は、遮光層を形成する具体的な方式について制限しない。
【0088】
例えば、上記の遮光層は第2基板102の第1基板101に接近する側に設けられてもよく、即ち、該遮光層は第2基板102の第1基板101に接近する面を覆うとともに検出貫通孔160を露出させ、これにより、各検出貫通孔160へ放射される光同士の干渉を低減又は回避することができる。又は、本開示のいくつかの実施例では、遮光層は第2基板102の第1基板101から離間した側と第2基板102の第1基板101に接近する側の両方に設けられてもよく、この2層の遮光層はそれぞれ、第2基板102の第1基板101に離間及び接近する面における検出貫通孔160を有する位置以外の他の部分を覆い、これにより、各検出貫通孔160へ放射される光同士の干渉をより良好に低減又は回避し、さらに検出貫通孔160同士の光クロストークを低減又は回避することができる。
【0089】
例えば、本開示の他のいくつかの実施例では、検出チップの第2基板に検出貫通孔が開けられなくてもよく、この場合、第2基板は光を透過させ得る透明材料を採用しており、これにより、直接第2基板を介して検出ウェル内の反応フィルムを光学検査を行うことができる。
【0090】
例えば、第2基板は光を透過させ得る透明材料を採用しており、かつ第2基板の第1基板から離間した面に不透明な遮光層が印刷又は粘着されて検出窓が形成され、光が検出窓のみを通じて透過するようにしてもよい。例えば、いくつかの実施例では、遮光層は第2基板の第1基板に接近する側の面に設けられてもよく、又は、遮光層は第2基板の第1基板に接近する側の面及び第1基板に離間する側の面の両方に設けられてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。本開示の実施例は、第2基板に使用される具体的な材料を制限せず、第2基板又は第2基板に開けられた検出貫通孔を介して第1基板の検出ウェル内の反応フィルムを光学検査を行えばよい。
【0091】
なお、本開示の実施例では、第1基板101に設けられた検出ウェル141及び第2基板102に設けられて検出ウェル141に対応する検出貫通孔160の数は例示的なものに過ぎず、本開示の実施例では、検出ウェル141及び検出貫通孔160の具体的な数について制限しない。例えば、第1基板101には1~20個の検出ウェル141が設けられ、このような場合、第2基板102には1~20個の検出貫通孔160が設けられる。
【0092】
例えば、第2基板102の材料はポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、及びポリエチレンテレフタレートの1種又は複数種を含む。例えば、第1基板101の材料は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、及びポリカーボネートの1種又は複数種を含んでもよいし、高透光性を有する他の材料などとしてもよい。本開示の実施例では、第1基板101及び第2基板102の材料について特に限定しない。
【0093】
例えば、第1基板101及び第2基板102は、ボンディング(2枚の材料はファンデルワールス力、分子力や原子間力などにより一体にボンディングされる技術)、溶接、粘着や係着により結合されてもよく、このように、検出チップ10の、例えば加工、組み立てなどのプロセスを簡素化し、検出チップ10の製造コストを削減する。例えば、第1基板101及び第2基板102は超音波ボンディング、ホットプレスボンディング、レーザ溶接、超音波溶接やシリコンシールなどのプロセスにより結合されてもよい。本開示の実施例は、第1基板101と第2基板102の具体的な結合手段について制限しない。
【0094】
例えば、第1基板101の形状は円形状、矩形状や他の適切な形状としてもよく、第2基板102の形状は同様に、円形状、矩形状や他の適切な形状としてもよい。
【0095】
例えば、第1基板101の形状が円形状である場合、第1基板101の直径は3cm~15cm、さらに3cm~5cmとしてもよい。使用する際に、検出チップ10は例えば検出装置と組み合わせて使用するため、上記の大きさを有する第1基板101は、検出チップ10の占める空間を適切に減少し、検出チップ10の薄型化を実現できるため、検出チップ10と検出装置を組み合わせて使用することに寄与し、検出チップ10の輸送、包装や保管などのコストを削減する。例えば、第2基板102の形状が円形状である場合、第2基板102の直径は3cm~15cm、さらに3cm~5cmとしてもよい。使用する際に、検出チップ10は例えば検出装置と組み合わせて使用するため、上記の大きさを有する第2基板102は、検出チップ10の占める空間を適切に減少し、検出チップ10の薄型化を実現できるため、検出チップ10と検出装置を組み合わせて使用することに寄与し、検出チップ10的輸送、包装や保管などのコストを削減する。
【0096】
例えば、第1基板101の形状が矩形状である場合、第1基板101の対角線は3cm~15cm、さらに3cm~5cmとしてもよい。例えば、矩形状の第1基板101は検出チップ10の製造プロセスを簡素化し、検出チップ10の加工プロセス及び精度への要件を低減させ、検出チップ10の製造コストを削減することができる。第2基板102の形状が矩形である場合、第2基板102の対角線は3cm~15cm、さらに3cm~5cmとしてもよい。例えば、矩形の第2基板102の場合、検出チップ10の製造プロセスを簡素化し、検出チップ10の加工プロセス及び精度への要件を低減させ、検出チップ10の製造コストを削減することができる。
【0097】
例えば、第1基板101と第2基板102を結合しやすくするために、第1基板101及び第2基板102の形状及びサイズは同じ又は類似であってもよい。
【0098】
例えば、第1基板101の厚さは0.5mm~10mm、例えば3mm又は5mmなどとしてもよい。例えば、第2基板102の厚さは0.1mm~5mm、例えば0.5mm又は2mmなどとしてもよい。これにより、検出チップ10の占める空間を適切に減少し、検出チップ10の薄型化を実現できるため、検出チップ10の輸送、包装、保管などのコストを削減し、検出チップ10と検出装置を組み合わせて使用することに寄与する。さらに、上記の数値範囲は、検出チップ10の加工及び製造に寄与し、かつ、使用者が片手でデバイスを握って利用して固定や拾いなどを行うことを容易にする。
【0099】
例えば、一例では、第1基板101及び第2基板102の直径は3.5cmであり、第1基板101の厚さは1.5mmであり、第2基板102の厚さは1mmである。これにより、検出チップ10の薄型化を実現し、かつ使用者が例えば片手でデバイスを握って利用して固定や拾いを行うことを容易にすることにとともに、検出チップ10の製造プロセスを簡素化し、検出チップ10の加工プロセス及び精度への要件を低減させ、検出チップ10の加工及び製造に寄与する。
【0100】
例えば、図1A図5に示すように、いくつかの実施例では、検出チップ10はサンプル供給凸部190をさらに含んでもよい。サンプル供給凸部190は第1基板101の第1面から、第2基板102から離間した方向に沿って突出し、サンプル供給凸部190の一端はサンプル供給口110に連結され、他端は大気に連通してもよい。サンプル供給凸部190は、サンプルを収容、導流するなどの役割を果たし、サンプルがサンプル供給凸部190を通じてサンプル供給口110へ速く流れるようにすることができ、これにより、サンプル供給口110内にサンプルを注入することを容易にし、検出チップ10のサンプル容積を増加し、かつ検出チップ10の例えばピックアップやセットなどに有利である。
【0101】
例えば、サンプル供給凸部190は円錐形キャビティを含み、かつサンプル供給口110を大気に連通させる。例えば、円錐形キャビティは、円錐角(例えば円錐の中心線と側壁がなす角度)が30°~75°、容積が50μL~200μLであってもよい。例えば、サンプル供給凸部190の円錐形キャビティは互いに対向する第1端及び第2端を含み、第1端はサンプル供給口110に連結され、直径が0.5mm~5mmであり、第2端の直径は1mm~20mmである。サンプル供給凸部190の円錐形キャビティの第1基板101から突出する高さは1mm~20mmである。これにより、検出チップ10を例えば検出装置と組み合わせて使用する場合、検出装置のサイズに一致するためにサンプル供給凸部190が適切な空間を占めることができ、検出チップ10と検出装置を組み合わせて使用することに寄与する。さらに、上記の数値範囲により決定されるサンプル供給凸部190は、サンプルの収容や導流等の役割をよりよく果たし、例えば、サンプルが均一かつ合理的な速度でサンプル供給口110に流れるようにすることができ、サンプル供給口110内へのサンプル注入に寄与する。
【0102】
例えば、一例では、サンプル供給凸部190におけるサンプル供給口110に連結された一端の直径は3mmであり、他端の直径は10mmであり、サンプル供給凸部190の第1基板101から突出する高さは1.5mmである。これにより、サンプルはサンプル供給凸部190を介してサンプル供給口110に速く流れることができるとともに、検出チップ10の例えばピックアップ、セットや例えば検出装置と組み合わせて使用することなどに有利である。また、サンプル供給凸部190の製造プロセスを簡素化し、加工プロセス及び精度への要件を低減させることができる。
【0103】
例えば、いくつかの実施例では、図4に示すように、サンプル供給口110は、第1本体111と、第1本体111から導流溝130へ突出する第1凸部112とを含み、サンプルが第1凸部112を介して導流溝130内に速く流れるように、第1凸部112は導流溝130に連通している。
【0104】
例えば、第1本体111の直径は1mm~10mm、例えば5mm又は7mmなどとしてもよい。これにより、サンプルは均一かつ速く導流溝130内に流入することが確保されるとともに、検出ウェル141に必要な空間が確保される。
【0105】
例えば、第1本体111の形状は円形状であってもよいし、正方形や他の適切な形状であってもよく、第1凸部112は正方形、鋭い角付き形状や他の形状であってもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。例えば、第1本体111の形状が四角形である場合、第1本体111の対角線の長さは1mm~10mm、例えば5mm又は7mmなどとしてもよい。例えば、円形状又は四角形の第1本体111は検出チップ10の製造プロセスを簡素化し、検出チップ10の加工プロセス及び精度への要件を低減させることができるため、検出チップ10の製造コストを削減する。
【0106】
例えば、導流溝130の内側壁は親水性のものとしてもよく、例えば導流溝130の内側壁での液体の接触角は90°未満であり、これにより、サンプルが導流溝130に速く流入することに寄与し、また、サンプルを導流溝130を介して検出ウェル141に速く流入させて反応フィルム150と混合させることにより、さらにサンプルの検出時間を短縮させ、得られた検出データの正確性を向上させることができる。例えば、検出チップの製造において、親水化処理剤を導流溝130に注入し、導流溝130を親水化処理剤で1分間浸漬した後、空気で親水化処理剤を排出することで、導流溝130の内側壁を親水性を有するものとする。
【0107】
なお、導流溝130の内側壁での液体の接触角とは、液滴の表面に沿う接線と導流溝130の内側壁の表面とがなす角である。例えば、導流溝130の内側壁での液体の接触角が90°よりも小さい場合、導流溝130の内側壁は親水性を有するとみなす。導流溝130の内側壁での液体の接触角の値が小さいほど、導流溝130の内側壁の濡れ性が優れ、例えば導流溝130の内側壁での液体の接触角が0°である場合、導流溝130の内側壁の材料は完全に濡れる。本開示の実施例は、導流溝130の内側壁での液体の接触角の具体的な値について制限せず、この接触角が90°よりも小さいことで導流溝130の内側壁を親水性を持たせばよい。
【0108】
例えば、いくつかの実施例では、導流溝130の高さは0.1mm~1.5mm、例えば0.5mmとしてもよく、導流溝130の幅は0.1mm~2mm、例えば0.5mmとしてもよい。これにより、導流溝130を介して検出ウェル141に流入するサンプル量の制御に寄与し、流動によるサンプルの損失を減少又は回避する。
【0109】
例えば、いくつかの実施例では、導流溝130の高さと導流溝130の幅との比は1:1~10:1、例えば2:1としてもよい。これにより、いくつかの実施例では、第1基板101及び第2基板102が粘着により結合される場合、例えば第1基板101の第1面と第2基板102が粘着剤で粘着される場合、該粘着剤は疎水性材料を採用してもよく、第1基板101の第1面と第2基板102の粘着面との間に疎水性の粘着剤が存在するため、導流溝130の高さと導流溝130の幅との比を増加することにより、サンプルが導流溝130を流れるときに第2基板102の粘着面での疎水性粘着剤と接触する面積を減少させることができ、サンプルは導流溝130内を速く流れる。
【0110】
例えば、一例では、導流溝130の高さは1mmであり、導流溝130の幅は0.5mmである。これにより、サンプルが導流溝130内を速く流れることを実現することに有利であるとともに、流動によるサンプルの損失を減少又は回避でき、また、導流溝130の製造プロセスを簡素化し、加工プロセス及び精度への要件を低減させる。
【0111】
なお、いくつかの実施例では、導流溝130の第2端(即ち検出ウェル141に連通している一端)が反応フィルム150に接触することにより、サンプルの反応フィルム150への含浸に寄与し、サンプルを反応フィルム150内の検出試薬と十分に反応させ、例えば、反応フィルム150の一部は導流溝130内に位置してもよい。いくつかの実施例では、反応フィルム150は導流溝130の第2端に接触しなくてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0112】
例えば、本開示の実施例では、検出チップ10の例えばサンプル供給凸部190、サンプル供給口110、導流溝130、検出ウェル141などの構造は、例えば射出成型プロセスにより一体形成されてもよく、これにより、検出チップ10の製造プロセスを簡素化する。
【0113】
例えば、いくつかの実施例では、反応フィルム150は、基体材料と、基体材料内に分布している検出試薬とを含み、基体材料はガラス繊維、綿繊維又はガラス繊維と綿繊維の複合繊維などの材料を含んでもよい。
【0114】
例えば、いくつかの実施例に係る検出チップでは、第1基板101と第2基板102が結合された状態では、反応フィルム150は厚さ方向において2つの基板で圧縮された圧縮状態である。例えば、弛み状態の反応フィルム150の厚さは検出ウェル141の高さに等しく又はこれよりも僅かに高くてもよく、例えば弛み状態の反応フィルム150の厚さと検出ウェル141の高さとの比は1:1~1:0.5であってもよく、さらに第1基板101と第2基板102が結合された後、反応フィルム150が厚さ方向に沿って圧縮されるため、反応フィルム150の第2基板102に面する側の面は第1基板101の第1面と面一になってもよく、これにより、反応フィルム150と第2基板102が密着し、反応フィルム150と第1基板101又は第2基板102との間で隙間が生じて液体を蓄積することを低減又は回避することができる。これにより、入られたサンプルは反応フィルム150に十分に含浸されて反応フィルム150内の検出試薬とより十分に反応させ、得られた検出データの正確性を向上させることができる。
【0115】
例えば、本開示のいくつかの実施例では、反応フィルム150の圧縮量は10%~40%としてもよく、反応フィルム150と第2基板102を密着させることに有利であり、反応フィルム150と第1基板101又は第2基板102との間で隙間が生じて液体を蓄積することを低減又は回避する。
【0116】
例えば、反応フィルム150の形状は、通常、反応フィルム150が検出ウェル141内に収容され、かつ反応フィルム150とサンプルが均一に混合されることに寄与するように、検出ウェル141の形状と同じ又は類似である。
【0117】
例えば、図6は、図1A及び図1Bに示される検出チップの反応フィルムの例示的な構造を示す。
【0118】
例えば、図4及び図6に示すように、いくつかの実施例では、反応フィルム150は、フィルム本体151と、第2凸部152とを含む。フィルム本体151は検出ウェル141の形状と同様であり、かつ両方ともに円形状である。第2凸部152はフィルム本体151から導流溝130へ突出し、第2凸部152の少なくとも一部は導流溝130に位置するため、サンプルが導流溝130から検出ウェル141内に導かれ、サンプルが反応フィルム150に十分に含浸され、反応フィルム150での検出試薬と十分に反応させることに寄与し、得られた検出データの正確性を向上させる。
【0119】
例えば、検出ウェル141の直径は3mm~15mmとしてもよく、反応フィルム150のフィルム本体151の直径は検出ウェル141の直径以下である。これにより、反応フィルム150を検出ウェル141によりよく収容することができ、反応フィルム150とサンプルが均一に混合されるのに寄与する。
【0120】
例えば、本開示の他のいくつかの実施例では、反応フィルムは全体として検出ウェルと同様な形状としてもよく、即ち、反応フィルムは、フィルム本体部分だけを有し、凸部分(例えば第2凸部152)を有さなくてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0121】
例えば、本開示の他のいくつかの実施例では、反応フィルムは多角形としてもよく、かつ多角形の1つの角は導流溝の第2端に直接連通している。そのような場合、検出ウェルは反応フィルムの形状と同じ又は類似の多角形である。
【0122】
例えば、反応フィルムは三角形、正方形、菱形状などの規則的な形状としてもよいし、非規則的な形状などとしてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0123】
例えば、図7A及び図7Bは、それぞれ、本開示の少なくとも1つの実施例で提供される別の検出チップの正面透視図及び裏面透視図である。例えば、図7Aは検出チップの上面図であり、図7Bは検出チップの下面図である。図8図7A及び図7B中に示される検出チップの爆発図、即ち分解図である。
【0124】
例えば、図7A図8に示すように、検出チップ20は、サンプル供給口210と、複数の検出分岐構造220とを含み、複数の検出分岐構造220はサンプル供給口210の周囲に均等に配置されている。複数の検出分岐構造220はそれぞれ導流溝230と検出部240を含む。導流溝230は第1端と第2端を有し、第1端はサンプル供給口210に連通している。検出部240は検出ウェル241と反応試薬(例えば反応フィルム250)を含み、検出ウェル241は導流溝230の第2端に連通し、反応フィルム250は検出ウェル241に収容され、検出部240は、検出ウェル241内の反応フィルム250を光学検査を可能にするように構成される。
【0125】
例えば、図7A図8に示すように、検出チップ20の反応フィルム250は多角形、例えば正方形又は菱形状とし、それに応じ、検出ウェル241の形状も正方形又は菱形状とされる。
【0126】
例えば、検出ウェル241の辺長は3mm~15mm、例えば5mm又は10mmなどとしてもよく、反応フィルム250の辺長は検出ウェル241の辺長以下である。これにより、反応フィルム250を検出ウェル241内によりよく収容することができ、反応フィルム250とサンプルが均一に混合されることに寄与する。
【0127】
例えば、検出ウェル341の形状が正方形とされる場合、正方形の対角線は1mm~20mm、例えば10mm又は15mmなどとしてもよい。例えば、検出ウェル341の形状が菱形状とされる場合、菱形状の2本の対角線はそれぞれ1mm~20mmとしてもよく、例えば、1本の対角線の長さは10mmであり、残り1本の対角線の長さは6mmである。例えば、菱形状の2本の対角線の長さの比は1:1~1:2としてもよい。例えば、菱形状の隣接する2辺がなす角は60°以下としてもよく、これにより、サンプルが反応フィルム250の周囲に沿って反応フィルム250に十分に含浸され、反応フィルム250内の検出試薬と十分に反応させることに寄与し、さらに得られた検出データの正確性を向上させる。
【0128】
例えば、反応フィルム250の1つの角は導流溝230の第2端に直接連通しており、導流溝230からサンプルを検出ウェル241内に導き、サンプルを反応フィルム250に十分に含浸させ、サンプルを反応フィルム250内の検出試薬と十分に反応させ、さらに得られた検出データの正確性を向上させる。
【0129】
図9A及び図9Bは、それぞれ、図7A及び図7Bに示される検出チップの第1基板の正面透視図及び裏面透視図である。例えば、図9Aは第1基板201の上面図であり、図9Bは第1基板201の下面図である。図10図7A及び図7Bに示される検出チップの第1基板の第1面の平面構造模式図である。
【0130】
例えば、図7A図10に示すように、検出チップ20は、第1基板201と第2基板202をさらに含む。第1基板201は、対向する第1面及び第2面を有し、サンプル供給口210は第1基板201の貫通孔であり、導流溝230及び検出ウェル241は第1基板201の第1面に形成される。第2基板202は第1基板201の第1面に積層され、かつ検出ウェル241に対応する位置で光学検査を可能にする。
【0131】
例えば、第2基板202では、検出ウェル241に対応する位置に検出貫通孔260があり、検出貫通孔260を介して検出ウェル241内の反応フィルム250を光学検査を行い、サンプルの各検出指標を取得することができる。
【0132】
例えば、本開示の実施例では、検出貫通孔260の形状は円形状であり、本開示の他のいくつかの実施例では、検出貫通孔260の形状は、例えば検出ウェル241の形状と同様な正方形、菱形状又は他の形状としてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0133】
例えば、図10に示すように、サンプル供給口210は、第1本体211と、第1本体211から導流溝230へ突出する第1凸部212とを含み、第1凸部212は導流溝230に連通しており、サンプルは第1凸部212を介して導流溝230に流入する。
【0134】
なお、第1基板201及び第2基板202の材料、具体的な構造パラメータなどは、上記の実施例における検出チップ10の第1基板101及び第2基板102の対応する説明を参照してもよく、ここでは詳しく説明しない。検出チップ20の具体的な構造パラメータ、材料や機能などは、上記の実施例における検出チップ10の対応する説明を参照してもよく、ここでは詳しく説明しない。
【0135】
例えば、本開示のいくつかの実施例では、検出チップの検出部は、検出ウェルの周囲に位置する導流ウェルをさらに含んでもよく、例えば導流ウェルは少なくとも検出ウェルを部分的に取り囲んでもよい。導流ウェルは第1基板の第1面に形成され、検出ウェルに連通し、少なくとも一部の導流ウェルの高さは検出ウェルの高さよりも小さい。これによって、サンプルは導流ウェルを通って反応フィルムの一部の周囲領域に沿って速く濡れて、導流ウェルと反応フィルムとの間でサンプルに対して毛細管力を生じて導流の役割を果たし、これにより、サンプルは反応フィルムの周囲から反応フィルムの中心領域へ濡れ、サンプルと反応フィルムとの混合速度が加速され、検出時間がさらに短縮される。かつ、サンプルが反応フィルムの周囲から濡れる場合、毛細管現象により、反応フィルムの中心領域まで濡れたサンプル量が増え、反応フィルムの中心領域の検出結果(例えば発色)がより明らかになり、後続の検出結果の観察が容易になり、得られた検出データの正確性を向上させる。
【0136】
例えば、本開示のいくつかの実施例では、導流ウェルは検出ウェルの周りを取り囲み、即ち、検出ウェルの周囲領域全体を取り囲み、これにより、サンプルは導流ウェルを通って反応フィルムの周囲に沿ってより速く濡れてから、反応フィルムの周囲から反応フィルムの中心へ濡れ、このように、サンプルと反応フィルムとの混合速度が加速され、必要な検出時間が明らかにさらに短縮される。かつ、サンプルが反応フィルムの周りから同時に濡れる場合、毛細管作用により、反応フィルムの中心まで濡れたサンプル量が増え、反応フィルムの中心の検出結果(例えば発色)が最も明らかになり、後続の検出結果の観察が容易になり、これにより、さらに得られた検出データの正確性を向上させる。
【0137】
なお、本開示のいくつかの実施例では、導流ウェルは、また、第1基板の第1面に垂直な方向において検出ウェルと互いに交差したり部分的に重なったりしてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0138】
例えば、図11は、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるさらなる検出チップの爆発図、即ち分解図である。図12図11に示される検出チップの第1基板の構造模式図である。例えば、図12図11に示される検出チップ30の第1基板301の下面図である。なお、貯液貫通孔380及び導流ウェル342以外、図11に示される検出チップ30は図7A図8に示される検出チップ20の構造及び機能とほぼ同じ又は類似であり、ここでは詳しく説明しない。
【0139】
例えば、図11及び図12に示すように、検出チップ30の検出部340は反応試薬(例えば反応フィルム350)と、検出ウェル341と、検出ウェル341を取り囲む導流ウェル342、343とを含む。
【0140】
図13Aは、図12に示される検出チップの第1基板の部分構造模式図であり、例えば検出チップ30の第1基板301の、検出部340を含む部分構造の構造模式図であり、図13Bは、図13Aにおける線A-A’に沿った断面構造模式図であり、図13C図13Aにおける線B-B’に沿った断面構造模式図である。なお、簡潔さ、明瞭さのため、図12図13Cには、検出部340の反応フィルム350が示されていない。
【0141】
例えば、図11図13Cに示すように、導流ウェル342、343は第1基板301の第1面3011に形成され、検出ウェル341に連通し、例えば、導流ウェル342の一端は導流溝330に連結され、他端は導流ウェル343に連結される。これにより、サンプルが導流溝330を介して検出部340に流入するときに、サンプルは導流ウェル342、343に流入して導流ウェル342、343を通って反応フィルム350の周りに沿って速く濡れてから、反応フィルム350の周りから反応フィルム350の中心へ濡れ、サンプルと反応フィルム350との混合速度が加速され、必要な検出時間が短縮される。かつ、毛細管現象により、反応フィルム350の中心まで濡れたサンプル量が増え、反応フィルム350の中心の検出結果(例えば発色)がより明らかになり、後続の検出結果の観察が容易になり、得られた検出データの正確性を向上させる。
【0142】
例えば、図13A及び図13Bに示すように、導流ウェル342及び検出ウェル341の縦断面は全体として段差状であり、これによって、導流ウェル342と反応フィルム350との間でサンプルが流れる大きな間隙が生じ、導流ウェル342内のサンプルの流動速度がさらに速くなり、このように、サンプルが反応フィルム350の周りに沿って速く濡れてから、反応フィルム350の周りから反応フィルム350の中心へ濡れ、反応フィルム350の中心への濡れ効果が向上し、反応フィルム350の中心の検出結果(例えば発色)がより明らかになる。
【0143】
例えば、図13A及び図13Bに示すように、導流ウェル342の高さH2は検出ウェル341の高さH1よりも小さい。例えば、検出ウェル341の高さH1は0.2mm~5mm、例えば2mm又は3mmなどとしてもよく、これにより、第1基板301と第2基板302が結合された状態では、反応フィルム350は厚さ方向において2つの基板により圧縮された圧縮状態であり、これにより、反応フィルム350の第2基板302に面している側の面は第1基板301の第1面3011と面一になってもよく、反応フィルム350と第2基板302とが密着し、反応フィルム350と第1基板301又は第2基板302との間で隙間が生じて液体を蓄積することを回避することができる。導流ウェル342の高さH2と検出ウェル341の高さH1との差は0.1mm~1mm、例えば0.5mm又は0.8mmなどとしてもよく、これにより、サンプルは検出ウェル341内を速く流れ、反応フィルム350の周囲に沿ってより速く濡れることができる。
【0144】
例えば、導流ウェル342の幅D1は0.1mm~1mm、例えば0.5mm又は0.7mmなどとしてもよい。これにより、導流ウェル342と反応フィルム350との間でサンプルが流れるのに十分かつ適切な間隙が生じ、サンプルが反応フィルム350の周りから反応フィルム350の中心へ濡れることに有利であり、反応フィルム350の中心の濡れ効果を改善し、反応フィルム350の中心の検出結果(例えば発色)がより明らかになる。
【0145】
例えば、検出ウェル341の形状が正方形とされる場合、正方形の対角線は1mm~20mm、例えば10mm又は15mmなどとしてもよい。例えば、検出ウェル341の形状が菱形状とされる場合、菱形状の2本の対角線はそれぞれ1mm~20mmとしてもよく、例えば、1本の対角線の長さは10mmであり、残り1本の対角線の長さは6mmである。例えば、菱形状の2本の対角線の長さの比は1:1~1:2としてもよい。例えば、菱形状の隣接する2本の辺がなす角は60°以下としてもよく、これにより、サンプルが反応フィルム250の周りに沿って反応フィルム350の中心へ濡れ、反応フィルム250に十分に含浸させることに寄与し、さらに得られた検出データの正確性を向上させる。
【0146】
例えば、本開示の他のいくつかの実施例では、導流ウェル342は多層段差構造を含む段差状のものとしてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0147】
例えば、図13A及び図13Cに示すように、導流ウェル343は、傾斜状構造とされる。例えば、導流ウェル343は、傾斜した導流壁344を含み、導流壁344は第1基板301の第1面3011に対して傾斜し、導流壁344の第1端3441は第1基板301の第1面3011に連結され、導流壁344の第2端3442は検出ウェル341の側面に連結される。導流ウェル342に比べて、導流ウェル343と反応フィルム350との間で形成されるサンプルが流れる間隙が小さいので、導流ウェル343内のサンプルの流動速度は導流ウェル342内のサンプルの流動速度よりも僅かに小さい。これにより、サンプルが導流ウェル342を通って導流ウェル343に流入した後、過量のサンプルが導流ウェル343に残留することを低減又は回避することができ、サンプルが反応フィルム350の周りから反応フィルム350の中心へ濡れる速度がさらに速くなり、反応フィルム350の中心まで濡れたサンプル量が増え、反応フィルム350の中心の検出結果(例えば発色)がより明らかになり、後続の検出結果の観察により有利である。
【0148】
なお、本開示の他のいくつかの実施例では、導流ウェル343は他の適切な構造としてもよく、導流ウェル343と反応フィルム350との間で形成されるサンプルが流れる空間が、導流ウェル342と反応フィルム350との間で形成されるサンプルが流れる空間以下であればよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0149】
例えば、図12図13A及び図13Cに示すように、導流壁344の第2端3442は第1基板301の第1面3011に平行ではなく、例えば導流壁344の第2端3442は第1基板301の第1面3011に対して傾斜し、かつサンプルの流動方向(例えばサンプル供給口310から離間した方向)に沿って第1基板301の第1面3011へ延在する。つまり、導流壁344の表面積(つまり、導流壁344とサンプルとの間の接触面積)はサンプルの流動方向に沿って次第に減少し、例えばサンプル供給口310から離間した方向に沿って次第に減少し、これにより、導流ウェル343と反応フィルム350との間で形成されるサンプルが流れる空間はサンプルの流動方向に沿って次第に減少する。これにより、サンプルが反応フィルム350の周りから反応フィルム350の中心へ濡れる速度がさらに速くなり、反応フィルム350の中心まで濡れたサンプル量がさらにある程度で増え、反応フィルム350の中心の検出結果(例えば発色)がより明らかになり、後続の検出結果の観察により有利であり、得られた検出データの正確性を向上させる。
【0150】
なお、本開示の他のいくつかの実施例では、導流壁344は他の適切な輪郭形状としてもよく、導流壁344とサンプルとの間の接触面積はサンプルの流動方向に沿って次第に減少すればよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0151】
例えば、導流ウェル343の最大高さH4は検出ウェル341の高さH1よりも小さく、即ち、導流壁344のうち検出ウェル341の側面に連結された第2端と第1基板301の第1面3011との間の距離が、検出ウェル341の高さH1よりも小さい。これにより、導流ウェル343と反応フィルム350との間でサンプルが流れる間隙が形成され、サンプルは反応フィルム350の周りに沿って速く濡れてから、反応フィルム350の周りから反応フィルム350の中心へ濡れることができ、これにより、反応フィルム350の中心の濡れ効果を改善し、反応フィルム350の中心の検出結果(例えば発色)がより明らかになる。
【0152】
例えば、導流壁344の第2端と第1基板301の第1面3011との間の距離と検出ウェル341の高さとの差(即ちH4とH1の差)は0.1mm~1mmとしてもよい。これにより、導流ウェル343と反応フィルム350との間でサンプルが流れるための適切な間隙が形成され、これにより、反応フィルム350の中心の濡れ効果を改善する。
【0153】
例えば、導流ウェル343の幅D2は0.1mm~1mm、例えば0.5mm又は0.7mmなどとしてもよく、これによって、導流ウェル343と反応フィルム350との間でサンプルが流れるのに適切な間隙が形成され、これにより、反応フィルム350の中心の濡れ効果を改善する。
【0154】
なお、図11図13Cに示す上記の実施例では、導流ウェル342の幅D1と導流ウェル343の幅D2は同じであり、導流ウェル342の高さH2と導流ウェル343の最大高さH4は同じであり、本開示の他のいくつかの実施例では、導流ウェル342の幅D1と導流ウェル343の幅D2は異なってもよく、導流ウェル342の高さH2と導流ウェル343の最大高さH4は異なってもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0155】
なお、図11図13Cに示す上記の実施例では、検出ウェル341を取り囲む導流ウェルは、構造が互いに異なる導流ウェル342及び導流ウェル343を含み、本開示の他のいくつかの実施例では、検出ウェル341の導流ウェルは同一の構造を採用してもよく、例えば、全て導流ウェル342、又は導流ウェル343としてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0156】
なお、図11図13Cに示す上記の実施例では、菱形状の検出ウェルの周囲に導流ウェルが開けられた場合を例として、導流ウェルの構造を説明する。本開示の他のいくつかの実施例では、検出ウェルが三角形、円形状など他の規則的な形状又は非規則的な形状である場合にも、対応する検出ウェルの周囲に導流ウェルが開けられてもよく、例えば、図1A図2Bに示される検出チップ10の検出ウェル141の周囲に導流ウェルが開けられ、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0157】
例えば、本開示の実施例では、導流ウェル342、343は検出ウェル341を取り囲み、導流ウェル342、343の輪郭形状は検出ウェル341の輪郭形状と同じであり、本開示の他のいくつかの実施例では、導流ウェル342、343の輪郭形状は検出ウェル341の輪郭形状と異なってもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0158】
例えば、本開示の他のいくつかの実施例では、導流ウェルは、検出ウェルを部分的に取り囲んでもよく、例えば菱形状の検出ウェルの場合、検出ウェルにおける導流溝に隣接する2辺だけに対応して導流ウェルが設けられてもよく、これにより、サンプルと反応フィルムが速く混合される。また、反応フィルムにおいて中心に接近するある領域又はある範囲内の検出結果(例えば発色)がより明らかになり、後続の検出結果の観察が容易になり、得られた検出データの正確性を向上させる。
【0159】
例えば、図12及び図13Aに示すように、導流溝330は検出ウェル341に延びており、導流溝330における検出ウェル341に連通している第2端は菱形状の検出ウェル341内に位置し、これにより、サンプルは反応フィルム350をより速くかつ十分に濡れるようにし、必要な検出時間が短縮される。
【0160】
例えば、導流溝330における第2端の検出ウェル341内に延びっている長さは1.5mm以下、例えば0.5mm又は1mmなどである。これにより、導流溝330からサンプルを検出ウェル341に導くことに有利であり、サンプルは反応フィルム350に十分に含浸し、反応フィルム350内の検出試薬と十分に反応させ、得られた検出データの正確性を向上させる。
【0161】
例えば、本開示のいくつかの実施例では、反応フィルム350は厚さ方向(即ち図13A又は図13Bに示す高さH1の方向)に沿って圧縮された状態である。例えば、弛み状態の反応フィルム350の厚さは、検出ウェル341の高さH1に等しく又はこの高さH1よりも僅かに大きくてもよく、例えば、弛み状態の反応フィルム350の厚さと検出ウェル341の高さH1との比は1:1~1:0.5であってもよく、さらに第1基板301と第2基板302が結合されると、反応フィルム350は厚さ方向に沿って圧縮されるため、反応フィルム350と第2基板302が密着し、反応フィルム350と第1基板301又は第2基板302との間で隙間が生じて液体を蓄積することを回避する。
【0162】
例えば、図11及び図12に示すように、検出部340は、第1基板301を貫通し、検出ウェル341に連通している貯液貫通孔380をさらに含んでもよく、このようにして、サンプル供給口310を介して注入されるサンプル量が過量である場合、余分なサンプルは貯液貫通孔380に貯蔵されるため、サンプルの過量の注入による液漏れを回避又は低減させ、また貯液貫通孔380は、サンプルが導流ウェル342、343を通って反応フィルム350の周囲から中心へ濡れることを促進し、反応フィルム350の中心の検出結果(例えば発色)がより明らかになる。
【0163】
例えば、貯液貫通孔380の直径は0.2mm~5mm、例えば2mm又は3mmなどとしてもよく、これにより、サンプル量の制御に有利であり、サンプルの過量の注入による液漏れを回避又は低減させ、サンプルが反応フィルム350の周囲から中心へ濡れることを促進し、貯液貫通孔380の加工プロセス及び精度への要件を低減させ、製造プロセスを簡素化することができる。
【0164】
例えば、図13B及び図13Cに示すように、貯液貫通孔380の深さH3と検出ウェル341の高さH1との比は0.5:1~10:1、例えば3:1などとしてもよく、これにより、サンプルを定量化する役割を果たし、サンプル量の制御に有利でありながら、貯液貫通孔380はより多いサンプルを貯蔵し、サンプルのこぼれを防止することができる。
【0165】
例えば、貯液貫通孔380は検出ウェル341の中心に連通し、即ち、貯液貫通孔380は検出ウェル341の底面の中心位置に開けられ、検出ウェル341の中心を外部環境例えば大気と連通させ、サンプルが反応フィルム350の周囲から中心へ濡れることをより効果的に促進する。
【0166】
例えば、検出チップ30の製造において、検出チップ30を容易に組み立てるために、組み立てる際に、貯液貫通孔380に負圧を印加し、反応フィルム350を検出ウェル341に固定することができる。これにより、サンプルは反応フィルム350内の検出試薬とより十分に反応し、さらに得られた検出データの正確性を向上させることができる。
【0167】
例えば、本開示の一例では、検出ウェル341の形状は菱形状であり、かつ菱形状の2本の対角線はそれぞれ8mm及び5.8mmであり、検出ウェル341の高さH1は0.5mmであり、導流ウェル342の高さH2と検出ウェル341の高さH1との差は0.3mmであり、導流ウェル343の最大高さH4と検出ウェル341の高さH1との差は0.3mmであり、導流ウェル342の幅D1は0.3mmであり、導流ウェル343の幅D2は0.3mmであり、貯液貫通孔380の直径は2.5mmであり、貯液貫通孔380の深さH3は1mmである。これにより、検出ウェル341内のサンプル量の制御に有利であり、サンプルの過量の注入による液漏れを回避又は低減させ、また、サンプルが反応フィルム350の周囲から中心へ濡れることを促進し、反応フィルム350の中心まで濡れたサンプル量が増え、反応フィルム350の中心の検出結果(例えば発色)がより明らかになり、後続の検出結果の観察により有利である。
【0168】
なお、本開示の他のいくつかの実施例では、貯液貫通孔は検出ウェルの底面の他の位置に開けられてもよく、又は、必要に応じ、各検出部内に複数の貯液貫通孔が開けられてもよい。本開示の実施例は、貯液貫通孔の配置位置や数などについて制限しない。
【0169】
図14は、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるさらなる検出チップの爆発図、即ち分解図である。図14は、検出チップの正面から見た構造を示す検出チップの上面図である。なお、粘着層704及びサンプル供給凸部790以外、図14に示される検出チップ70は、図11に示される検出チップ30の構造及び機能とほぼ同じ又は類似であり、ここでは詳しく説明しない。
【0170】
例えば、図14は、検出チップ70では粘着層704により第1基板701と第2基板702が結合された場合を示している。
【0171】
例えば、図14に示すように、粘着層704は第1基板701と第2基板702との間に積層され、即ち第1基板701の第1面に積層される。
【0172】
例えば、粘着層704は、例えば疎水性を有する粘性材料、例えば両面テープなどを採用してもよい。
【0173】
例えば、図14に示すように、粘着層704は、第1基板701の検出ウェル及び導流ウェル(図示せず)に対応する開口部7041を含み、これにより、粘着層704の表面の凹凸や自体の粘着性などによりサンプルの流動を邪魔することを回避しつつ、粘着層704と反応フィルム750との間の粘着の発生を回避し、検出ウェル及び導流ウェル内のサンプルの流動に寄与し、サンプルが反応フィルム750に速くかつ十分に濡れるようにし、得られた検出結果の正確性を向上させる。
【0174】
例えば、本開示のいくつかの実施例では、開口部7041の形状及びサイズは検出ウェルの横断面の形状及びサイズと同じであってもよく、これにより、サンプルの流動に対する粘着層704の邪魔を低減又は回避するか、又は粘着層704と反応フィルム750との間での粘着の発生を低減又は回避する。本開示のいくつかの実施例では、開口部7041の形状は検出ウェルの横断面の形状と同じであり、開口部7041の大きさは検出ウェルの横断面の大きさよりも僅かに小さいようにしてもよく、これにより、粘着層704と第1基板701及び第2基板702との接触面積は少し大きくなるため、第1基板701と第2基板702との間の粘着性が高まり、さらにサンプルの漏れが低減又は回避出され、検出チップ70のシール効果が向上する。
【0175】
例えば、開口部7041の先端部分(例えば頂角部分)は、直角としてもよいし、所定の丸みを帯びた角としてもよく、例えば直角型又は円弧型のものであってもよい。例えば、図14における菱形状の開口部7041を例として、菱形状の4つの角は、直角としてもよいし、所定の丸みを帯びた角としてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0176】
例えば、いくつかの例では、図14における菱形状の開口部7041を例として、菱形状の2セットの対角は第1セットと第2セットに分けられ、第1セットの対角は直角とされ、第2セットの対角は円弧型のものとされるようにしてもよい。例えば、菱形状の開口部7041の形状は第1基板701の検出ウェルの輪郭形状とほぼ同じであるため、第1セットの対角を円弧型のものとすることにより、菱形状の開口部7041の大きさを検出ウェルの横断面の大きさよりも僅かに小ささせ、これにより、粘着層704と第1基板701及び第2基板702との接触面積はある程度で増加し、第1基板701と第2基板702との間の粘着効果が向上し、一方、第2セットの対角を直角とすることにより、サンプルの流動に対する粘着層704の邪魔をある程度で低減又は回避しつつ、粘着層704と反応フィルム750との間での粘着の発生を低減又は回避する。
【0177】
これにより、上記の第1セットの対角及び第2セットの対角を設定することにより、粘着層704が自体の粘着性などによりサンプルの流動を邪魔したり、反応フィルム750との間で粘着が発生したりするなどの問題を緩和又は回避できるとともに、第1基板701と第2基板702の結合がよりよく実現され、サンプルの漏れが低減又は回避され、検出チップ70のシール効果が向上する。
【0178】
なお、いくつかの他の例では、開口部7041の全ての頂角は直角とされるか、又は全て円弧型や他の適切な輪郭とされてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0179】
なお、図14に示される実施例では、開口部7041の形状及びサイズは、第1基板701の検出ウェル及び導流ウェルの輪郭形状及びサイズとほぼ同じであり、本開示の他のいくつかの実施例では、粘着層の開口部のサイズは、検出ウェル又は導流ウェルのサイズよりも僅かに大きく又は小さくてもよく、また、他の適切な形状又はサイズとしてもよく、粘着層がサンプルによる反応フィルムの濡らしを邪魔することを低減又は回避できるとともに、検出チップのシール効果を確保できればよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0180】
例えば、図14に示すように、図11に示される検出チップ30と比べ、検出チップ70は、横断面が花弁状のサンプル供給凸部790を採用し、これにより、サンプル供給凸部790と第1基板701との接触面積は増加し、サンプル供給凸部790と第1基板701が互いに安定的に接続されることに寄与し、またより使用者が片手でデバイスを握って利用して固定又は拾いなどを行うことに適している。
【0181】
例えば、図14に示すように、第1基板701は第1窪み7011を含み、第2基板702は、第1窪み7011に対応する第2窪み7021を含み、第1基板701又は第2基板702の表面に垂直な方向において、第1窪み7011及び第2窪み7021は互いに重なる。第1窪み7011及び第2窪み7021により制限部(又は制限ブロックと呼ばれる)が形成され、検出チップ70は第1窪み7011及び第2窪み7021で形成される制限ブロックによって例えば検出装置に固定され、さらに検出チップ70の反応フィルム750を簡単に検出することができ、得られた検出データの正確性が向上する。さらに、第1窪み7011及び第2窪み7021の位置によって検出チップ70の複数の検出分岐構造に符号を付して位置決めすることができ、これにより、検出データの例えば観察や記録などが容易になる。
【0182】
なお、第1窪み7011及び第2窪み7021のサイズは、これと固定する例えば検出装置の構造に応じて決定されてもよく、本開示の実施例は、これについて制限せず、検出チップ70が第1窪み7011及び第2窪み7021によって検出装置に固定できればよい。
【0183】
例えば、第1基板701又は第2基板702の表面に垂直な方向において、第1窪み7011及び第2窪み7021は、隣接する検出ウェルの間や他の適切な位置に設けられてもよく、本開示の実施例は、これについて制限しない。
【0184】
例えば、検出チップ70が粘着層704又は他の構造層や機能層を含む場合、該構造層や機能層は、第1窪み7011及び第2窪み7021に対応する位置にも窪み構造を有し、これにより、検出チップ70全体にわたって制限ブロックが形成される。
【0185】
例えば、本開示のいくつかの実施例では、検出チップのサンプル供給口、導流溝、検出ウェルなどの構造は他の形態として設けられてもよく、サンプル供給口、導流溝、検出ウェルなどの構造の配置や対応する機能が達成できればよい。上記の実施例は、サンプル供給口が第1基板を貫通するとともに、導流溝、検出ウェルなどの構造が検出チップの第1基板の第1面に設けられる場合を例として説明したが、これは本開示を制限するものではない。
【0186】
以下、図11に示される検出チップ30に基づき、導流溝及び検出ウェルの他の可能な配置位置について例示的に説明する。
【0187】
例えば、図15A及び図15Bは、本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるさらなる検出チップの爆発図、即ち分解図である。例えば、図15Aは検出チップの上面図、図15Bは検出チップの下面図である。なお、図15A及び図15Bに示される検出チップ40では、具体的な部材の構造や機能などは、上記の実施例における検出チップ10、検出チップ20又は検出チップ30の対応する説明を参照することができ、ここでは詳しく説明しない。
【0188】
例えば、図15A及び図15Bに示すように、検出チップ40は、第1基板401と、第2基板402と、第3基板403とを含む。
【0189】
例えば、第1基板401は、対向する第1面(図には、上面)と第2面(図には、下面)とを有し、導流溝430は第1基板401の第2面に形成され、検出ウェル441は第1基板401の第1面に形成される。第2基板402は第1基板401の第1面に積層され、光学検査を行えるように、検出ウェル441に対応する位置に検出貫通孔460を有する。第3基板403は第1基板401の第2面に積層され、導流溝430及びサンプル供給口410を密閉し、サンプルがサンプル供給口410から導流溝430に流入可能にする。
【0190】
例えば、サンプル供給口410は第1基板401を貫通する貫通孔であり、第2基板402はサンプル供給口410を露出させる貫通孔を有し、これにより、サンプルはサンプル供給口410に注入でき、かつサンプル供給凸部490は第2基板402から張り出し、検出チップ40の例えばピックアップやセットを容易にする。
【0191】
例えば、図16は本開示の少なくとも1つの実施例で提供されるさらなる検出チップの爆発図、即ち分解図である。例えば、図16は検出チップの上面図である。なお、図16に示される検出チップ50では、具体的な部材の構造や機能などは、上記の実施例における検出チップ10、検出チップ20又は検出チップ30の対応する説明を参照することができ、ここでは詳しく説明しない。
【0192】
例えば、図16に示すように、検出チップ50は、第1基板501と第2基板502を含む。第1基板501は、対向する第1面(図には、上面)と第2面(図には、下面)とを有し、導流溝530及び検出ウェル541は第1基板501の第1面に形成され、第2基板502は第1基板501の第1面に積層され、光学検査を行えるように、検出ウェル541に対応する位置に検出貫通孔560を有する。
【0193】
例えば、サンプル供給口510は第1基板501におけるホールであり、該ホールは、例えば第1基板501を貫通していない非貫通孔であり、このような場合、サンプル供給口510の高さ(又は深さ)は第1基板501の厚さよりも小さい。第2基板502は、サンプル供給口510を露出させる貫通孔及びサンプル供給凸部590を有し、これにより、サンプルはサンプル供給凸部590を介してサンプル供給口510に注入でき、また、検出チップ50の例えばピックアップやセットを容易にする。
【0194】
本開示の少なくとも1つの実施例はまた、検出システムを提供し、該検出システムは、検出装置と、本開示のいずれかの実施例で提供される検出チップ、例えば上記の実施例における検出チップ10、検出チップ20、検出チップ30、検出チップ40又は検出チップ50とを含み、検出装置は、検出チップの検出部によって検出ウェル内の反応フィルムを検出するように構成される。
【0195】
例えば、以上記の実施例における検出チップ10を例として、図17は本開示の少なくとも1つの実施例で提供される検出システムの模式図である。
【0196】
例えば、図17に示すように、検出システム60は、検出チップ10と、検出装置610とを含み、検出装置610は、検出チップ10の検出部140によって検出ウェル141内の反応試薬、例えば反応フィルム150を検出するように構成される。
【0197】
例えば、検出装置610は、光源611と、光電検出装置612とを含む。光源611は、反応フィルム150に対して発光するように構成され、光電検出装置612は、光源611から発光して反応フィルム150で反射された光を受光するように構成される。
【0198】
例えば、光電検出装置612は、反応フィルム150で反射される光の強度を光源611から発光する光の強度と比較して、検出された反応フィルム150の吸光度の値からサンプル内の被検物の有無や濃度を判断することで、サンプルの指標を検出することができる。例えば、反応フィルム150に予め滴定しておく検出試薬が発色試薬である場合を例として、検出結果を取得するとき、反応フィルム150に現れる色が濃いほど、被検出サンプル中の被検物の含有量が高いことを示し、これに対応し、光電検出装置612を利用して検出された反応フィルム150の吸光度の値も大きい。
【0199】
例えば、いくつかの実施例では、光電検出装置612はフォトダイオードであってもよく、フォトダイオードは受信した光信号を電気信号に変換し、電気信号における電気パラメータの変化(例えば電流の変化など)から受光した光の強度を判断し、反応フィルム150の吸光度の値を決定することができる。
【0200】
本開示の実施例で提供される検出システムの具体的な説明及び技術的効果に関しては、本開示の実施例で提供される検出チップの対応する内容を参照することができ、例えば上記の実施例における検出チップ10、検出チップ20、検出チップ30、検出チップ40又は検出チップ50の対応する内容を参照することができ、ここでは詳しく説明しない。
【0201】
以下のいくつかの点を説明する必要がある。
【0202】
(1)本開示の実施例の図面は本開示の実施例に関する構造だけに係るものであり、他の構造は通常の設計を参照すればよい。
【0203】
(2)明瞭さから、本開示の実施例を説明するための図面、層又は領域の厚さは拡大又は縮小されており、即ち、これらの図面は実際の比例に従って作成されるものではない。ただし、例えば層、膜、領域又は第1基板のような構成要素が別の構成要素よりも「上」又は「下」であると記載されている場合、該構成要素は「直接」別の構成要素の「上」又は「下」に存在してもよく、中間の構成要素が存在してもよい。
【0204】
(3)矛盾しない限り、本開示の実施例及び実施例の特徴を互いに組み合わせて新しい実施例を得ることが可能である。
【0205】
以上は、本開示の具体的な実施形態に過ぎず、本開示の特許範囲はこれらに限定されるものではなく、本開示の特許範囲は特許請求の範囲の保護範囲に準じるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図16
図17
【国際調査報告】