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特表2023-522814車両動力伝達システム及び車両動力システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】車両動力伝達システム及び車両動力システム
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/12 20060101AFI20230525BHJP
   B60K 17/04 20060101ALI20230525BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20230525BHJP
   B60K 1/02 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
B60K17/12
B60K17/04 N
B60L15/20 S
B60K1/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547858
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-11
(86)【国際出願番号】 CN2022093642
(87)【国際公開番号】W WO2022207011
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202210159507.6
(32)【優先日】2022-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang (CN)
(71)【出願人】
【識別番号】522311521
【氏名又は名称】無錫星駆動力科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUXI INFIMOTION PROPULSION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 99, Beihui Road, Huishan Industrial Transformation Cluster District Wuxi, Jiangsu 214181 China
(71)【出願人】
【識別番号】522311532
【氏名又は名称】無錫星駆科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】WUXI INFIMOTION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 99, Beihui Road, Huishan Industrial Transformation Cluster District Wuxi, Jiangsu 214181 China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】叶 光海
(72)【発明者】
【氏名】趙 玉▲てい▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 史俊
(72)【発明者】
【氏名】姚 文博
(72)【発明者】
【氏名】施 悠笛
(72)【発明者】
【氏名】苟 世全
(72)【発明者】
【氏名】譚 艶軍
(72)【発明者】
【氏名】林 霄▲てつ▼
【テーマコード(参考)】
3D039
3D042
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D039AA03
3D039AB01
3D039AC21
3D042AA06
3D042AB01
3D042BE01
3D235AA01
3D235BB17
3D235BB18
3D235CC12
3D235DD12
3D235FF32
3D235FF35
5H125AA01
5H125BA06
5H125DD15
5H125FF01
(57)【要約】
本願は車両動力伝達システム及び車両動力システムを開示し、前記車両動力伝達システムは、2つのモータ出力軸と、2つの動力出力軸と、2つの前記モータ出力軸と2つの前記動力出力軸との間にそれぞれ対応して接続された2つの伝動機構とを含み、各前記伝動機構は、モータ出力ギヤと、動力出力ギヤと、中間伝動ギヤ構造とを含み、前記モータ出力ギヤは前記モータ出力軸に設けられ、前記動力出力ギヤは前記動力出力軸に設けられており、前記中間伝動ギヤ構造は、前記モータ出力ギヤと前記動力出力ギヤとを伝動的接続し、2つの前記動力出力軸は、第1方向に延在しており、第1方向において、2つのモータ出力軸の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されており、且つ/又は、2つの前記伝動機構の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両動力伝達システムであって、2つのモータ出力軸と、2つの動力出力軸と、2つの前記モータ出力軸と2つの前記動力出力軸との間にそれぞれ対応して接続された2つの伝動機構とを含み、各前記伝動機構は、モータ出力ギヤと、動力出力ギヤと、中間伝動ギヤ構造とを含み、前記モータ出力ギヤは前記モータ出力軸に設けられ、前記動力出力ギヤは前記動力出力軸に設けられており、前記中間伝動ギヤ構造は、前記モータ出力ギヤと前記動力出力ギヤとを伝動的接続し、2つの前記動力出力軸は、何れも第1方向に延設されており、
第1方向において、2つの前記モータ出力軸の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されており、且つ/又は、
2つの前記伝動機構の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されている
車両動力伝達システム。
【請求項2】
2つの前記モータ出力軸は、第1方向において対向しているとともに同軸に設置されており、
2つの前記中間伝動ギヤ構造は、少なくとも部分的に重なり合って設置され、各前記中間伝動ギヤ構造は、中間軸と、中間入力ギヤと、中間出力ギヤとを含み、前記中間入力ギヤと前記中間出力ギヤとは、前記中間軸を介して同期して回転し、2つの前記中間軸は、2つの前記モータ出力軸と平行に設置されており、前記モータ出力軸から前記動力出力軸へ向かう方向において、前記中間軸の投影が少なくとも部分的に重なり合って設置されており、前記中間軸の延在方向において、2つの前記中間入力ギヤの投影は部分的に重なり合って設置されており、そのうちの一方の前記中間伝動ギヤ構造の前記中間入力ギヤと前記中間出力ギヤは第1方向の同じ一方側に位置し、他方の前記中間伝動ギヤ構造の前記中間入力ギヤと前記中間出力ギヤは第1方向の同じ他方側に位置する
請求項1に記載の車両動力伝達システム。
【請求項3】
2つの前記モータ出力軸は、第1方向において対向しているとともに同軸に設置されており、
2つの前記中間伝動ギヤ構造は、少なくとも部分的に重なり合って設置され、各前記中間伝動ギヤ構造は何れも、中間軸と、中間入力ギヤと、中間出力ギヤとを含み、前記中間入力ギヤと前記中間出力ギヤとは、前記中間軸を介して同期して回転し、2つの前記中間軸は何れも、前記モータ出力軸と平行に設置されており、前記モータ出力軸から前記動力出力軸へ向かう方向において、前記中間軸の投影が少なくとも部分的に重なり合って設置されており、前記中間軸の延在方向において、2つの前記中間入力ギヤの投影は部分的に重なり合って設置されており、そのうちの一方の前記中間伝動ギヤ構造の前記中間入力ギヤと他方の前記中間伝動ギヤ構造の前記中間出力ギヤは前記第1方向の同じ側に位置する
請求項1に記載の車両動力伝達システム。
【請求項4】
前記中間軸は別体構造であり、前記中間軸の第1部分は前記中間入力ギヤと一体成形され、前記中間軸の第2部分は前記中間出力ギヤと一体成形され、前記中間軸の第1部分と前記中間軸の第2部分とはスプラインによって接続されている
請求項2に記載の車両動力伝達システム。
【請求項5】
2つの前記モータ出力軸は、第1方向において対向しているとともに同軸に設置されており、2つの前記中間伝動ギヤ構造は、少なくとも部分的に重なり合って設置され、各前記中間伝動ギヤ構造は何れも、中間軸と、中間入力ギヤと、中間出力ギヤとを含み、前記中間入力ギヤと前記中間出力ギヤとは、前記中間軸を介して同期して回転し、2つの前記中間軸が同軸にネストされて設置されており、2つの前記中間軸をそれぞれ、第1中間軸と第2中間軸と定義し、前記第1中間軸は貫通孔を有し、前記第2中間軸は前記貫通孔を通っており、2つの前記中間入力ギヤを第1中間入力ギヤと第2中間入力ギヤと、2つの中間出力ギヤを第1中間出力ギヤと第2中間出力ギヤと定義し、前記第1中間入力ギヤと前記第1中間出力ギヤとは前記第1中間軸を介して同期して伝動的に接続され、前記第2中間入力ギヤと前記第2中間出力ギヤとは第2中間軸を介して同期して伝動的に接続されている
請求項1に記載の車両動力伝達システム。
【請求項6】
前記第1中間入力ギヤと前記第1中間出力ギヤは、前記第2中間入力ギヤと前記第2中間出力ギヤとの間にあり、前記第1中間軸と前記第2中間軸との間に針状ころ軸受が設けられ、前記第1中間入力ギヤと前記第2中間軸又は前記第2中間出力ギヤとの間には第1スラスト軸受が設けられ、前記第1中間出力ギヤと前記第2中間軸又は前記第2中間入力ギヤとの間には第2スラスト軸受が設けられている
請求項5に記載の車両動力伝達システム。
【請求項7】
前記第1中間入力ギヤと前記第1中間出力ギヤは、前記第1中間軸の第1方向の同じ側に位置し、前記第2中間出力ギヤと前記第2中間入力ギヤは、前記第2中間軸の前記第1方向の他方側に位置し、前記第1中間入力ギヤと前記第2中間軸との間には第1スラスト軸受があり、前記第1中間出力ギヤと前記第2中間軸との間には第2スラスト軸受が設けられているか、又は、前記第2中間出力ギヤと前記第2中間軸との間には第2スラスト軸受がある
請求項5に記載の車両動力伝達システム。
【請求項8】
2つの前記モータ出力軸は第2方向と垂直に設置され、前記第1方向は前記第2方向と垂直であり、第2方向において、2つの前記伝動機構は、2つの前記モータ出力軸の間に位置し、第2方向において、2つの中間軸は、前記モータ出力軸の間に位置し、第1方向において、2つの前記モータ出力軸は、前記動力出力軸の間に位置し、2つの前記中間軸の軸線は第1方向において同軸に設置され、2つの動力出力軸の軸線は同軸に設置され、2つの動力出力ギヤは対向して設置されている
請求項1に記載の車両動力伝達システム。
【請求項9】
前記車両動力伝達システムはさらにハウジングを含み、
少なくとも1つの前記伝動機構は、少なくとも1セットの嵌装構造を含み、前記嵌装構造は、支持部と、嵌装軸受と、伝動ギヤとを含み、前記伝動ギヤは、前記モータ出力ギヤ、前記動力出力ギヤ、前記中間出力ギヤ及び前記中間入力ギヤのうちの少なくとも1つであり、前記伝動ギヤは取付チャンバを有し、前記嵌装軸受の少なくとも一部が前記取付チャンバ内に位置し、前記伝動ギヤは、前記嵌装軸受によって前記支持部に支持され、前記支持部は前記ハウジングの凸出部であるか、又は、前記支持部は前記ハウジングと固定的に接続されている
請求項2に記載の車両動力伝達システム。
【請求項10】
2つの前記モータ出力軸、2つの前記動力出力軸、2つの前記中間軸のうちの少なくとも1セットは、対向しているとともに対応して同軸に設置されており、少なくとも同軸に設置されたそのうちの1つの軸に位置する末端ギヤは第1取付チャンバを有し、前記伝動システムは第1軸受を含み、前記第1軸受の少なくとも一部が前記第1取付チャンバ内に位置し、同軸に設置されたもう1つの軸の末端は、前記第1軸受によって支持されている
請求項2に記載の車両動力伝達システム。
【請求項11】
車両動力システムであって、
請求項1から10の何れか一項に記載の車両動力伝達システムである車両動力伝達システムと、
駆動モータであって、前記モータ出力軸に接続されているか、又は前記モータ出力軸が前記駆動モータの出力軸である駆動モータと、
を含む車両動力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は2022年2月21日に出願された、出願番号が202210159507.6である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容を引用により本願に組み入れる。
【0002】
本願は自動車の技術分野に関し、特に車両動力伝達システム及び車両動力システムに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、新エネルギー自動車産業の発展に伴い、電気自動車が開発のトレンドとなっている。電気自動車の性能がますます注目されているが、モータ技術の発展に制限され、単一のモータで高出力を達成しようとすると、体積も重量も著しく増大するので、高性能電気自動車の開発が制約されていた。また、消費者の性能への関心が高まっていることを背景に、ベクトル制御、デフロックなど動力スペックの需要が高まっており、従来の伝動システムは単一のモータで制御を行うことが多いため、伝動システムが差動、デフロックとベクトル制御などの機能を実現できることを保証するために、伝動システム内に追加の機械機構(例えば減速機構、差動機構とベクトル調整機構など)を設置する必要がある。こうして、伝動システム自体の体積と重量が増大し、車両の消費エネルギーの増加につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の主な目的は、従来の車両動力システムの体積が大きいという問題を解決することを目的とする車両動力伝達システム及び車両動力システムを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本願が提案する車両動力伝達システムは、2つのモータ出力軸と、2つの動力出力軸と、2つの前記モータ出力軸と2つの前記動力出力軸との間にそれぞれ対応して接続された2つの伝動機構とを含み、各前記伝動機構は、モータ出力ギヤと、動力出力ギヤと、中間伝動ギヤ構造とを含み、前記モータ出力ギヤは前記モータ出力軸に設けられ、前記動力出力ギヤは前記動力出力軸に設けられており、前記中間伝動ギヤ構造は、前記モータ出力ギヤと前記動力出力ギヤとを伝動的接続し、2つの前記動力出力軸は、何れもX軸方向に延設されており、
第1方向において、2つの前記モータ出力軸の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されており、且つ/又は、
2つの前記伝動機構の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されている。
【0006】
一実施態様において、2つの前記モータ出力軸は、第1方向において対向しているとともに同軸に設置されており、
2つの前記中間伝動ギヤ構造は、少なくとも部分的に重なり合って設置され、各前記中間伝動ギヤ構造は、中間軸と、中間入力ギヤと、中間出力ギヤとを含み、前記中間入力ギヤと前記中間出力ギヤとは、前記中間軸を介して同期して回転し、2つの前記中間軸は、2つの前記モータ出力軸と平行に設置されており、前記モータ出力軸から前記動力出力軸へ向かう方向において、前記中間軸の投影が少なくとも部分的に重なり合って設置されており、前記中間軸の延在方向において、2つの前記中間入力ギヤの投影は部分的に重なり合って設置されており、そのうちの一方の前記中間伝動ギヤ構造の前記中間入力ギヤと前記中間出力ギヤは第1方向の同じ一方側に位置し、他方の前記中間伝動ギヤ構造の前記中間入力ギヤと前記中間出力ギヤは第1方向の同じ他方側に位置する。
【0007】
一実施態様において、2つの前記モータ出力軸は、第1方向において対向しているとともに同軸に設置されており、
2つの前記中間伝動ギヤ構造は、少なくとも部分的に重なり合って設置され、各前記中間伝動ギヤ構造は何れも、中間軸と、中間入力ギヤと、中間出力ギヤとを含み、前記中間入力ギヤと前記中間出力ギヤとは、前記中間軸を介して同期して回転し、2つの前記中間軸は何れも、前記モータ出力軸と平行に設置されており、前記モータ出力軸から前記動力出力軸へ向かう方向において、前記中間軸の投影が少なくとも部分的に重なり合って設置されており、前記中間軸の延在方向において、2つの前記中間入力ギヤの投影は部分的に重なり合って設置されており、そのうちの一方の前記中間伝動ギヤ構造の前記中間入力ギヤと他方の前記中間伝動ギヤ構造の前記中間出力ギヤは前記第1方向の同じ側に位置する。
【0008】
一実施態様において、前記中間軸は別体構造であり、前記中間軸の第1部分は前記中間入力ギヤと一体成形され、前記中間軸の第2部分は前記中間出力ギヤと一体成形され、前記中間軸の第1部分と前記中間軸の第2部分とはスプラインによって接続されている。
【0009】
一実施態様において、2つの前記モータ出力軸は、第1方向において対向しているとともに同軸に設置されており、2つの前記中間伝動ギヤ構造は、少なくとも部分的に重なり合って設置され、各前記中間伝動ギヤ構造は何れも、中間軸と、中間入力ギヤと、中間出力ギヤとを含み、前記中間入力ギヤと前記中間出力ギヤとは、前記中間軸を介して同期して回転し、2つの前記中間軸が同軸にネストされて設置されており、2つの前記中間軸をそれぞれ、第1中間軸と第2中間軸と定義し、前記第1中間軸は貫通孔を有し、前記第2中間軸は前記貫通孔を通っており、2つの前記中間入力ギヤを第1中間入力ギヤと第2中間入力ギヤと、2つの中間出力ギヤを第1中間出力ギヤと第2中間出力ギヤと定義し、前記第1中間入力ギヤと前記第1中間出力ギヤとは前記第1中間軸を介して同期して伝動的に接続され、前記第2中間入力ギヤと前記第2中間出力ギヤとは第2中間軸を介して同期して伝動的に接続されている。
【0010】
一実施態様において、前記第1中間入力ギヤと前記第1中間出力ギヤは、前記第2中間入力ギヤと前記第2中間出力ギヤとの間にあり、前記第1中間軸と前記第2中間軸との間に針状ころ軸受が設けられ、前記第1中間入力ギヤと前記第2中間軸又は前記第2中間出力ギヤとの間には第1スラスト軸受が設けられ、前記第1中間出力ギヤと前記第2中間軸又は前記第2中間入力ギヤとの間には第2スラスト軸受が設けられている。
【0011】
一実施態様において、前記第1中間入力ギヤと前記第1中間出力ギヤは、前記第2中間軸の第1方向の同じ側A部分に位置し、前記第2中間出力ギヤと前記第2中間入力ギヤは、前記第2中間軸の前記第1方向の他方側B部分に位置し、前記第1中間入力ギヤと前記第2中間軸との間には第1スラスト軸受があり、前記第1中間出力ギヤと前記第2中間軸との間には第2スラスト軸受が設けられているか、又は、前記第2中間出力ギヤと前記第2中間軸との間には第2スラスト軸受がある。
【0012】
一実施態様において、2つの前記モータ出力軸は、第2方向に対して垂直に設置されており、前記第1方向は前記第2方向に垂直であり、2つの前記モータ出力軸は2つの前記伝達機構の同じ側に位置し、第2方向において、2つの前記中間軸と2つの前記動力出力軸は前記モータ出力軸の間に位置し、2つの前記中間軸は第1方向において平行に設置され、2つの動力出力軸の軸線は同軸に設置され、2つの動力出力ギヤは対向して設置されている。
【0013】
一実施態様において、前記車両動力伝達システムはさらにハウジングを含み、
少なくとも1つの前記伝動機構は、少なくとも1セットの嵌装構造を含み、前記嵌装構造は、支持部と、嵌装軸受と、伝動ギヤとを含み、前記伝動ギヤは、前記モータ出力ギヤ、前記動力出力ギヤ、前記中間出力ギヤ及び前記中間入力ギヤのうちの少なくとも1つであり、前記伝動ギヤは取付チャンバを有し、前記嵌装軸受の少なくとも一部が前記取付チャンバ内に位置し、前記伝動ギヤは、前記嵌装軸受によって前記支持部に支持され、前記支持部は前記ハウジングの凸出部であるか、又は、前記支持部は前記ハウジングと固定的に接続されている。
【0014】
一実施態様において、2つの前記モータ出力軸、2つの前記動力出力軸、2つの前記中間軸のうちの少なくとも1セットは、対向しているとともに対応して同軸に設置されており、少なくとも同軸に設置されたそのうちの1つの軸に位置する末端ギヤは第1取付チャンバを有し、前記伝動システムは第1軸受を含み、前記第1軸受の少なくとも一部が前記第1取付チャンバ内に位置し、同軸に設置されたもう1つの軸の末端は、前記第1軸受によって支持されている。へさらに、本願は車両動力システムを開示し、前記車両動力システムは、
車両動力伝達システムであって、2つのモータ出力軸と、2つの動力出力軸と、2つの前記モータ出力軸と2つの前記動力出力軸との間にそれぞれ対応して接続された2つの伝動機構とを含み、各前記伝動機構は、モータ出力ギヤと、動力出力ギヤと、中間伝動ギヤ構造とを含み、前記モータ出力ギヤは前記モータ出力軸に設けられ、前記動力出力ギヤは前記動力出力軸に設けられており、前記中間伝動ギヤ構造は、前記モータ出力ギヤと前記動力出力ギヤとを伝動的接続し、2つの前記動力出力軸は、何れも第1方向に延設されており、第1方向において、2つの前記モータ出力軸の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されており、且つ/又は、2つの前記伝動機構の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されている車両動力伝達システムと、
駆動モータであって、前記モータ出力軸に接続されているか、又は前記モータ出力軸が前記駆動モータの出力軸である駆動モータと、
を含む。
【発明の効果】
【0015】
本願の技術案において、前記車両動力伝達システムは2つのモータ出力軸と、2つの動力出力軸と、2つの前記モータ出力軸と2つの前記動力出力軸との間にそれぞれ対応して接続された2つの伝動機構とを含むので、2つの前記駆動モータは別々に動力を供給し、互いに影響することなく、差動機能又はベクトル制御を実現する必要がある場合、2つの前記駆動モータの出力回転速度を調整するだけで、差動機能又はベクトル制御を実現する。それとともに、第1方向において、2つのモータ出力軸の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されており、且つ、2つの前記伝動機構の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されている。このように構成することにより、前記車両動力システムの体積をさらに縮小することで、前記車両動力システムの体積をより小さく、構造をよりコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本願の実施例及び従来技術の技術案をより明確に説明するために、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に紹介する。下記説明における添付図面は本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行うことなく、これらの添付図面が示す構造により他の添付図面を得ることができる。
図1】本願が提供する車両動力システムの一実施例の概略構造模式図である。
図2図1における車両動力システムの1つの断面構造模式図である。
図3図2における車両動力システムの1つの噛み合い関係を示す端面構造模式図である。
図4】本願が提供する車両動力システムのもう1つの実施例の概略構造模式図である。
図5図4における車両動力システムの1つの断面構造模式図である。
図6】本願が提供する車両動力システムのさらにもう1つの実施例の概略構造模式図である。
図7】本願が提供する車両動力システムのさらにもう1つの実施例の概略構造模式図である。
図8】本願が提供する車両動力システムのもう1つの実施例の概略構造模式図である。
図9】本願が提供する車両動力システムのもう1つの実施例の概略構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付図面を参照して、実施例と組み合わせて本願目的の実現、機能特徴及び長所をさらに説明する。
【0018】
以下では、本願実施例における図面と組み合わせ、本願実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。説明される実施例は本願の全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わないことを前提に得た全ての他の実施例は、本願の保護する範囲に属す。
【0019】
もし本願実施例で方向性指示(例えば上、下、左、右、前、後…)に関わる場合、当該方向性指示はある特定の姿勢(添付図面に示す)における各部品間の相対的位置関係、運動状況等を説明するためだけに用いられ、もし当該特定の姿勢が変わる場合、当該方向性指示もそれに応じて変わることは説明すべきである。
【0020】
また、本願実施例において「第一」、「第二」等の説明に関わる場合、当該「第一」、「第二」等の説明は、説明のために利用されるだけであって、その相対的重要性を提示又は暗示する、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定するように理解すべきではない。これにより、「第一」、「第二」に限定された特徴は明示的或いは暗示的に少なくとも一つの当該特徴を含んでもよい。また、全文において現れた「及び/又は」は三つの並行する案を含むことを意味する。「A及び/又はB」を例に取ると、A案、或いはB案、或いはAとBとが同時に満たされる案を含むことになる。また、各実施例の技術案は互いに組み合わせることができる。ただし、当業者が実現できることはその前提である。技術案の組み合わせに矛盾が生じるか、実現できない場合には、このような技術案の組み合わせが存在せず、且つ本願が請求する保護範囲にないと理解すべきである。
【0021】
現在、新エネルギー自動車産業の発展に伴い、電気自動車が開発のトレンドとなっている。電気自動車の性能がますます注目されているが、モータ技術の発展に制限され、モータで高出力を達成しようとすると、体積も重量も著しく増大するので、高性能電気自動車の開発が制約されていた。また、消費者の性能への関心が高まっていることを背景に、ベクトル制御、デフロックなど動力スペックの需要が高まっており、従来の伝動システムは単一のモータで制御を行うことが多いため、伝動システムが差動、デフロックとベクトル制御などの機能を実現できることを保証するために、伝動システム内に追加の機械機構(例えば減速機構、差動機構とベクトル調整機構など)を設置する必要がある。こうして、伝動システム自体の体積と重量が増大し、消費エネルギーの増加につながる。
【0022】
これに鑑みて、本願は車両動力システムを提供し、図1から図9は、本願が提供する車両動力システムのいくつかの実施例であり、以下では、具体的な添付図面に合わせて、主に前記車両動力システムについて説明する。
【0023】
図1から図3を参照し、車両動力システム100は、車両動力伝達システムと駆動モータ1とを含み、前記駆動モータ1は動力伝達システムのモータ出力軸10に接続されているか、又は動力伝達システムのモータ出力軸10が前記駆動モータの出力軸である。前記車両動力伝達システムは2つのモータ出力軸10と、2つの動力出力軸30と、2つの前記モータ出力軸10と2つの前記動力出力軸30との間にそれぞれ対応して接続された2つの伝動機構とを含み、各前記伝動機構は、モータ出力ギヤ14と、動力出力ギヤ31と、中間伝動ギヤ構造とを含み、前記モータ出力ギヤ14は前記モータ出力軸10に設けられ、前記動力出力ギヤ31は前記動力出力軸30に設けられており、前記中間伝動ギヤ構造は、前記モータ出力ギヤ14と前記動力出力ギヤ31とを伝動的接続し、2つの前記動力出力軸30は第1方向(本実施態様においてはX軸方向)に延在しており、X軸方向において、2つのモータ出力軸10の投影が少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されており、且つ/又は、2つの前記伝動機構の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されている。
【0024】
本願の技術案において、前記車両動力伝達システムは2つのモータ出力軸10と、2つの動力出力軸30と、2つの前記モータ出力軸10と2つの前記動力出力軸30との間にそれぞれ対応して接続された2つの伝動機構とを含むので、2つの前記駆動モータ1は別々に動力を供給し、互いに影響することなく、差動機能又はベクトル制御を実現する必要がある場合、2つの前記駆動モータ1の出力回転速度を調整するだけで、差動機能又はベクトル制御を実現する。それとともに、2つの前記動力出力軸30はX軸方向に延在しており、X軸方向において、2つのモータ出力軸10の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されており、且つ、2つの前記伝動機構の投影は、少なくとも部分的にずれて重なり合って設置されている。このように構成することにより、前記車両動力システム100の体積をさらに縮小することで、前記車両動力システム100の体積をより小さく、構造をよりコンパクトにすることができる。
【0025】
なお、本願において、2つの駆動モータ1の駆動力は、2つのモータ出力軸10を介して出力され、2つのモータ出力ギヤ14は、2つのモータ出力軸10とそれぞれ同期して回転し、2つのモータ出力ギヤ14は、2つの中間入力ギヤ21と噛み合っており、2つの中間出力ギヤ22は、2つの中間軸20を介して2つの中間入力ギヤ21とそれぞれ同期して回転し、2つの中間出力ギヤ22は2つの動力出力ギヤ31とそれぞれ噛み合っており、2つの動力出力軸30は動力出力ギヤ31と同期して回転し、2つの動力出力軸31は車両外部負荷にそれぞれ駆動的に接続されており、車両の外部負荷は車両の左側車輪と右側車輪である。
【0026】
本実施例において、1つの前記駆動モータ1は、1つの前記伝動機構に動力を伝達し、1つの前記伝動機構は1つの動力出力軸30に動力を伝達し、1つの動力出力軸30は車両の左側車輪に動力を伝達し、もう1つの前記駆動モータ1は、もう1つの前記伝動機構に動力を伝達し、もう1つの前記伝動機構はもう1つの動力出力軸30に動力を伝達し、もう1つの前記動力出力軸30は車両の右側車輪に動力を伝達し、この伝達過程において、両側の動力伝達過程は互いに独立しているので、上記構造により、差動制御、デフロック機能及びベクトル制御を同時に実現することができる。したがって、本車両動力システム100に減速機構、差動機構及びベクトル制御機構を特別に設けることなく、差動制御、デフロック機能及びベクトル制御を実現することができるので、前記車両動力システム100全体の体積及び重量を低減し、構造をよりコンパクトにし、全体のパワー密度を向上させた。
【0027】
車両の円滑な走行中、2つの前記駆動モータ1の回転速度が同じであるので、車両の左側車輪と右側車輪に伝達される回転速度も同じになり、車両は円滑に直進することができる。車両がまがる必要がある場合には、車輪のスリップを防止するために、左右の車輪の回転速度を異ならせるように制御する必要があるが、この場合、車両の旋回方向に応じて、対応する前記駆動モータ1の回転速度を制御すればよく、これにより、差動機能とベクトル制御機能とを実現することができる。
【0028】
説明の便宜上、本願において、2つの駆動モータ1を第1駆動モータ11と第2駆動モータ12と定義し、2つの中間軸20を第1中間軸201と第2中間軸202と定義し、2つのモータ出力軸10を第1モータ出力軸と第2モータ出力軸と定義し、2つのモータ出力ギヤ14を第1モータ出力ギヤ141と第2モータ出力ギヤ142と定義し、2つの中間入力ギヤ21を第1中間入力ギヤ211と第2中間入力ギヤ212と定義し、2つの中間出力ギヤ22を第1中間出力ギヤ221と第2中間出力ギヤ222と定義し、2つの動力出力軸30を第1動力出力軸301と第2動力出力軸302と定義し、2つの動力出力ギヤ31を第1動力出力ギヤ311と第2動力出力ギヤ312と定義し、「第1」が付くもの同士は同一の動力伝達チェーンに属し、「第2」が付くもの同士は同一の動力伝達チェーンに属する。
【0029】
図1から図5を参照し、2つの前記伝動機構の体積を小さくするために、2つの前記モータ出力軸10がX軸方向において対向しているとともに同軸に設置されており、前記中間伝動ギヤ構造は、少なくとも部分的に重なり合って設置されている。具体的には、前記中間伝動ギヤ構造は、中間軸20と、中間入力ギヤ21と、中間出力ギヤ22とを含み、前記中間入力ギヤ21と中間出力ギヤ22とは、前記中間軸20を介して同期して回転し、2つの前記中間軸20は何れも前記モータ出力軸10と平行に設置されており、前記モータ出力軸10から前記動力出力軸30へ向かう方向、即ち第2方向(本実施態様においてはZ軸方向で、Z軸方向はX軸方向に垂直で、X軸、Y軸及びZ軸で直角座標系を構成する)において、図2に示すように、前記中間軸20の投影は少なくとも部分的に重なり合って設置されており、前記中間軸20の延在方向において、図3に示すように、2つの前記中間入力ギヤ21の投影は部分的に重なり合って設置されており、一実施例において、図2に示すように、前記中間軸の第1部分は前記中間入力ギヤ21と一体成形され、前記中間軸の第2部分は前記中間出力ギヤ22と一体成形され、前記中間軸の第1部分と前記中間軸の第2部分とはスプラインによって接続されている。もちろん、中間入力ギヤと中間軸及び中間軸出力ギヤとは一体構造であってもよい。車両動力システム100は、X軸方向に沿ってA部とB部との同等の2部分に分けられ、そのうちの一方の伝動機構の前記中間入力ギヤ21と前記中間出力ギヤ22は前記X軸方向の同じ一方側(例えばA部)に位置し、他方の伝動機構の中間入力ギヤと中間出力ギヤは前記X軸方向の同じ他方側(例えばB部)に位置している。さらに、図1及び図2に示すように、X軸方向において、前記第1伝動機構における第1中間入力ギヤ211と第1中間出力ギヤ221は左側のA部に位置し、前記第2伝動機構の第2中間入力ギヤ212と第2中間出力ギヤ222は右側のB部に位置しているので、前記第1伝動機構と前記第2伝達機構とが対称的に配置されているので、システムの安定化に有利であるだけでなく、前記車両動力システム100の体積をある程度小さくすることができる。
【0030】
図4図5を参照し、2つの前記モータ出力軸10は、X軸方向において対向しているとともに同軸に設置されており、前記中間伝動ギヤ構造は、少なくとも部分的に重なり合って設置されている。具体的には、前記中間伝動ギヤ構造は、中間軸20と、中間入力ギヤ21と、中間出力ギヤ22とを含み、前記中間入力ギヤ21と中間出力ギヤ22とは、前記中間軸20を介して同期して回転し、2つの前記中間軸20は何れも前記モータ出力軸10と平行に設置されており、図5に示すように、モータ出力軸10から動力出力軸30へ向かう方向において、前記中間軸20の投影は少なくとも部分的に重なり合って設置されており、図3に示すように、前記中間軸20の延在方向において、2つの前記中間入力ギヤ21の投影は部分的に重なり合って設置されており、前記中間軸は別体構造であり、前記中間軸の第1部分は前記中間入力ギヤと一体成形され、前記中間軸の第2部分は前記中間出力ギヤと一体成形され、前記中間軸の第1部分と前記中間軸の第2部分とはスプラインによって接続されている。もちろん、前記中間入力ギヤと前記中間軸及び前記中間軸出力ギヤとは一体構造であってもよいが、具体的な構成は設計された部品に応じて選択することが可能で、ここでは制限を設けない。車両動力システム100は、X軸方向に沿って同等の2部分に分けられ、そのうちの一方の前記伝動機構の前記中間入力ギヤと他方の伝動機構の前記中間出力ギヤは前記X軸方向における同じ一方側、例えば図示の左側部分又は右側部分に位置し、図4及び図5に示すように、前記第1伝動機構の第1中間入力ギヤ211と第2伝動機構の第2中間出力ギヤ222はX軸方向における左側部分に位置し、前記第1伝動機構の第1中間出力ギヤ221と第2伝動機構の第2中間入力ギヤ212はX軸方向の右側部分に位置している。
【0031】
図7図8を参照し、2つの前記モータ出力軸10は、X軸方向において対向しているとともに同軸に設置されており、前記中間伝動ギヤ構造は、少なくとも部分的に重なり合って設置されている。具体的には、2つの前記中間軸が同軸にネストされて設置されており、前記2つの動力出力軸30の延在方向をX軸方向と定義し、前記モータ出力軸10の延在方向が前記X軸方向と同じであり、2つの前記モータ出力軸10が対向しているとともに同軸に設置されており、前記モータ出力軸10から前記動力出力軸30へ向かう方向において、前記第1中間軸201は貫通孔を有し、第2中間軸202は貫通孔を通っており、2つの中間入力ギヤを第1中間入力ギヤ211と第2中間入力ギヤ212と、2つの中間出力ギヤを第1中間出力ギヤ221と第2中間出力ギヤ222と定義し、前記第1中間入力ギヤ211と前記第1中間出力ギヤ221とは前記第1中間軸201を介して同期して伝動的に接続され、前記第2中間入力ギヤ212と前記第2中間出力ギヤ222とは前記第2中間軸202を介して伝動的に接続されている。本実施例において、前記第2中間軸202が前記第1中間軸201を貫通して設置され、即ち、前記第1中間軸201と前記第2中間軸202とを同軸に嵌合させる方式により、前記伝動機構の軸方向距離をより小さくし、前記車両動力システム100の体積を減少させ、構造をよりコンパクトにする。
【0032】
図7を参照し、前記第1中間入力ギヤ211と前記第1中間出力ギヤ221は、前記第2中間入力ギヤ212と前記第2中間出力ギヤ222との間に位置している。なお、本実施例において、前記第1中間軸201と前記第2中間軸202同士の回転速度が小さく、軸受に対する性能の要求もそれ故小さいので、前記軸受としては針状ころ軸受又はスラスト軸受を選択することができるので、前記車両動力システム100の重量をある程度低減することができる。具体的には、一実施例において、前記第1中間軸201と前記第2中間軸202との間には針状ころ軸受61があり、前記第1中間入力ギヤ211と前記第2中間軸202には第1スラスト軸受63が設けられており、もう一つの実施例において、前記第1中間軸201と前記第2中間軸202との間には針状ころ軸受61があり、前記第2中間出力ギヤ222と前記第2中間軸202との間には第1スラスト軸受63が設けられている。さらにもう一つ実施例において、前記第1中間出力ギヤ221と前記第2中間軸202との間には第2スラスト軸受64がある。さらに別の一実施例において、前記第2中間入力ギヤ212と前記第2中間軸202との間に第2スラスト軸受64がある。
【0033】
図8を参照し、車両動力システム100はX軸方向に沿って同等の2部分に分けられ、前記第1中間入力ギヤ211と前記第1中間出力ギヤ221は、前記第2中間軸202のX軸方向における同じ側、即ち図示の左側部分に位置し、前記第2中間出力ギヤ222と前記第2中間入力ギヤ212は、前記第2中間軸の前記X軸方向における他方側、即ち図示の右側部分に位置し、前記第1中間軸201と前記第2中間軸202との間には針状ころ軸受61があり、前記第1中間入力ギヤ211と前記第2中間軸202との間には第1スラスト軸受63があり、前記第1中間出力ギヤ221と前記第2中間軸202との間には第2スラスト軸受64がある。
【0034】
図6を参照し、2つのモータ出力軸10は前記Z軸方向と垂直に設置され、前記X軸方向は前記Z軸方向と垂直である。Z軸方向において、2つの前記伝動機構は、2つの前記モータ出力軸10の間に位置し、前記Z軸方向において、2つの前記中間軸20は、前記モータ出力軸10の間に位置し、前記X軸方向において、2つの前記モータ出力軸10は、前記動力出力軸30の間に位置している。2つの前記中間軸20の軸線はX軸方向において同軸に設置され、2つの動力出力軸30の軸線は同軸に設置され、2つの動力出力ギヤ31は対向して設置されている。
【0035】
図1図2図4及び図5を参照し、少なくとも1つの前記伝動機構は、少なくとも1セットの嵌装構造を含み、前記嵌装構造は、支持部53と、嵌装軸受52と、伝動ギヤとを含み、前記伝動ギヤは、前記モータ出力ギヤ14、動力出力ギヤ31、中間出力ギヤ22及び中間入力ギヤ21のうちの少なくとも1つであり、前記伝動ギヤは第2取付チャンバ51を有し、前記嵌装軸受52の少なくとも一部が前記第2取付チャンバ51に位置し、前記伝動ギヤは、前記嵌装軸受52によって前記支持部53に支持され、前記支持部53は前記ハウジングの凸出部であるか、又は、前記支持部は前記ハウジングと固定的に接続されている。
【0036】
図9を参照し、前記2つのモータ出力軸、2つの動力出力軸、2つの中間軸のうちの少なくとも1セットは、対向しているとともに対応して同軸に設置されており、少なくとも同軸に設置されたそのうちの1つの軸に位置する末端ギヤは第1取付チャンバ41を有し、前記伝動システムは第1軸受42を含み、前記第1軸受42の少なくとも一部が前記第1取付チャンバ41内に位置し、同軸に設置されたもう1つの軸の末端は、前記第1軸受によって支持されている。
【0037】
以上に述べたことは本願の好ましい実施例に過ぎず、それによって本願の特許の範囲を制限するわけではない。本願の発明構想の下で、本願の明細書及び添付図面の内容を利用してなされた等価構造変換、或いは他の関連する技術分野への直接/間接的な応用は、何れも本願の特許の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
100 車両動力システム、
1 駆動モータ、
11 第1駆動モータ、
12 第2駆動モータ、
10 モータ出力軸、
20 中間軸、
30 動力出力軸、
14 モータ出力ギヤ、
41 第1取付チャンバ、
42 第1軸受、
43 スラスト軸受、
51 第2取付チャンバ、
52 嵌装軸受、
53 支持部、
141 第1モータ出力ギヤ、
63 第1スラスト軸受、
21 中間入力ギヤ、
211 第1中間入力ギヤ、
212 第2中間入力ギヤ、
22 中間出力ギヤ、
221 第1中間出力ギヤ、
222 第2中間出力ギヤ、
31 動力出力ギヤ、
201 第1中間軸、
202 第2中間軸、
61 針状ころ軸受、
311 第1動力出力ギヤ、
312 第2動力出力ギヤ、
301 第1動力出力軸、
302 第2動力出力軸、
142 第2モータ出力ギヤ、
64 第2スラスト軸受。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】