IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-522856ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド
<>
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図1
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図2A
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図2B
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図3
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図4
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図5
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図6
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図7
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図8
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図9
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図10
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図11
  • 特表-ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】ストラットのためのロック装置を有するロッドエンド
(51)【国際特許分類】
   F16C 7/06 20060101AFI20230525BHJP
   F16B 1/02 20060101ALI20230525BHJP
   F16B 21/04 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
F16C7/06
F16B1/02 L
F16B21/04 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562009
(86)(22)【出願日】2021-04-08
(85)【翻訳文提出日】2022-10-11
(86)【国際出願番号】 US2021026333
(87)【国際公開番号】W WO2021207461
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】63/007,739
(32)【優先日】2020-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508135080
【氏名又は名称】アルバニー エンジニアード コンポジッツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】フンク,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ウェルシュ,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラント,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
3J033
3J037
【Fターム(参考)】
3J033AA01
3J033BA02
3J033BC01
3J033BC03
3J037AA01
3J037BA01
3J037CA04
(57)【要約】
本発明は、ロック機構を有するロッドエンドに関係し、ロック機構は、挿入物、フォークエンド、雌トルクロック要素、および雄トルクロック要素を有する。ロック機構が作動すると、雌トルクロック要素は、雄トルクロック要素と形状篏合による接続で係合する。本発明のロック機構は、容易に作動され、トルクに耐えることができる。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック機構を備えるロッドエンドであって、前記ロック機構は、挿入物(2)、フォークエンド(5)、雌トルクロック要素(3)、および雄トルクロック要素(4)を備え、前記ロック機構が作動すると、前記雌トルクロック要素(3)は、前記雄トルクロック要素(4)と形状篏合による接続で係合する、ロッドエンド。
【請求項2】
請求項1に記載のロッドエンドであって、前記雌トルク要素(3)は、前記挿入物(2)の内部に位置する、ロッドエンド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロッドエンドであって、前記挿入物(2)は、少なくとも1つの溝(17)を備え、前記雌トルクロック要素(3)は、前記挿入物の溝(17)に嵌まる少なくとも1つのキー(18)を備える、ロッドエンド。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のロッドエンドであって、ばね(15)をさらに備えるロッドエンド。
【請求項5】
請求項4に記載のロッドエンドであって、前記雌トルクロック要素(3)を自由位置に調整すると、前記雌トルクロック要素(3)が前記雄トルクロック要素(4)に前記形状篏合による接続で係合するように、前記雌トルクロック要素(3)が前記ばね(15)によって動かされるように、前記雌トルクロック要素(3)は、前記雌トルクロック要素(3)が前記雄トルクロック要素(4)と係合されない位置で前記挿入物(2)の内部に位置し、前記ばね(15)は、前記雌トルクロック要素(3)の下方に位置する、ロッドエンド。
【請求項6】
請求項5に記載のロッドエンドであって、前記挿入物(2)は、前記ロック機構が作動させられるまで前記雌トルクロック要素(3)が前記雄トルクロック要素(4)と係合されない位置で前記雌トルクロック要素(3)を保持するスナップイン式の溝(16)を有する、ロッドエンド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のロッドエンドであって、前記雌トルクロック要素(3)は、雌ラジアルスプロケット(19)をさらに備える、ロッドエンド。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のロッドエンドであって、前記雄トルクロック要素(4)は、1つまたは複数のキー(21)、および雄ラジアルスプロケット(20)をさらに備える、ロッドエンド。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のロッドエンドであって、前記ロック機構が作動すると、雄スプロケット(20)は、前記雌トルクロック要素(3)と前記雄トルクロック要素(4)との間の前記形状篏合による接続で雌スプロケット(19)に係合する、ロッドエンド。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のロッドエンドであって、ロック用クリップ(7)、およびラッチ(8)をさらに備える、ロッドエンド。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載のロッドエンドであって、1つまたは複数のキー(26)を備えるリリースクリップ(23)をさらに備える、ロッドエンド。
【請求項12】
請求項11に記載のロッドエンドであって、前記リリースクリップ(23)は、プラスチックを含む、ロッドエンド。
【請求項13】
請求項5から12のいずれかに記載のロッドエンドであって、前記挿入物(2)は溝(24)を備え、前記雌トルクロック要素(3)は溝(25)を備え、リリースクリップ(23)の1つまたは複数のキー(26)は、前記ロック機構が作動しないように前記溝(24、25)に嵌まる、ロッドエンド。
【請求項14】
請求項13に記載のロッドエンドであって、前記ロック機構は、前記リリースクリップ(23)を引っ張ることによって作動させられ、それによって前記雌トルクロック要素(3)は、前記雌トルクロック要素(3)が前記雄トルクロック要素(4)に前記形状篏合による接続で係合するようにそれが前記ばね(15)によって上方に押されるように自由位置に調整される、ロッドエンド。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかに記載のロッドエンドであって、前記ロック機構は、前記ロッドエンドの外部にある、ロッドエンド。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載のロッドエンドであって、ラジアルスプロケットをさらに備える、ロッドエンド。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載のロッドエンドであって、前記ロッドエンドの長さ調整のためのトルクが、それほど必要とされない、ロッドエンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイロッドまたはストラットのためのロック装置を有するロッドエンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ロッドエンドは、航空宇宙産業でしばしば使用される装置である。ロッドエンドは、機械的関節ジョイントであり、そのようなジョイントは、ストラットまたはタイロッドの端部で使用される。
【0003】
しかしながら、当業界のロッドエンドは、多くの欠点を有する。
【0004】
例えば、EP1805427(B1)は、機械および航空機における誘導およびメカニカル軸受けのための牽引バー(draw-pull bar)に関する。ここで、牽引バーは、本体と、牽引バーに嵌められる少なくとも1つのアダプタとを有する。このアダプタは、牽引バーの長さ変更のためのねじ式装置によって本体に接続される。そのようにして、牽引バーは、本体に対して回すことができるとともに、ディテント機構が、ボルトおよび接続要素によってアダプタと接続される。したがって、予め決定可能なロック力によってそれが多数の回転位置でロックすることができ、再びロック解除することができるという程度まで回転移動がある。ディテント機構は、2つのロック要素からなり、第1のロック要素はアダプタへ嵌められ、第2のロック要素は本体に取り付けられる。
【0005】
とりわけ、この開示は、ロック用クリップの生産にコストがかかるという欠点を有する。また、より高いトルクの伝達のために、追加の固定クリップが必要とされ、ロッドを航空機に組み付けることが必要とされるときに設置するのが難しい。これは、特許出願WO2012/100794(A1)に示される。
【0006】
別の参考文献、WO2011/057627では、プッシュ/プルロッドは、締結装置と、軸方向に互いから距離がおかれた端面を有する接続部品と、第1および第2のロック要素を有するロック装置とを有する。軸方向に見られるとき、2つのロック要素は、互いに面し、ばね要素によって互いに対して押される。ばね要素は、接続部品に形成された支持肩部に対して第1の端で支持されるとともに、第2のロック要素に対して第2の端で支持される。接続部品に対しての締結装置の回転運動は、複数の回転位置でロック要素によって所定のロック力で解除可能に阻止される。
【0007】
WO2011/057627のプッシュ/プルロッドの欠点の1つは、組付け中に、それをねじ止めるときに、ロック装置のトルクに打ち勝つことが必要であることであり、その結果、使い勝手が不十分である。
【0008】
DE202012103224(U1)は、結合要素およびその上に配置されたシャンクを有する締結装置を有する中空円筒形中央体を備えた引張圧縮ロッドを開示する。少なくとも1つの接続部品を用いて、締結装置は、引張圧縮ロッドの長さを変えるためにねじ式装置を介して接続部品に回転可能に接続される。ねじ式装置の少なくとも1つは、接続部品とシャフトの間に配置されたらせん状に巻かれた鋼線挿入物を有する。
【0009】
この引張圧縮ロッドの欠点の1つは、組付け中、それをねじ込むときに、ロック装置のトルクに打ち勝つことが必要であるということであり、結果として、使い勝手が不十分である。
【0010】
EP2703661(A2)では、ロッドは、中空円筒形中央体に配置された締結装置を有する。締結装置は、ロッドの長さを変えるためのねじ装置とねじ山装置とによって接続部品に枢動可能に接続される。各装置は、らせん状に巻かれた鋼線挿入物を備え、鋼線挿入物は、締結装置の接続部品とシャフトとの間に配置される。接続部品は、スリップ状構成要素として形成される。シャフトに形成された雄ネジは、接続部品の雌ネジに対応する。
【0011】
EP2703661(A2)のロッドに関する欠点の1つは、ねじ込むときにロック装置のトルクに打ち勝つことが必要であるということであり、結果として、使い勝手が不十分である。
【0012】
DE202015103632(U1)では、引張圧縮ロッドは、結合要素およびその上に配置されたシャンクを有する締結装置を有する。少なくとも1つのスリーブ状接続部品があり、締結装置は、引張圧縮ロッドの長さを変更するためにねじ式装置を介して接続部品に回転可能に接続される。ラッチデバイスは、径方向に見られるときに互いに面し、相互作用する第1および第2のラッチ要素を有する。2つの要素は、所定のロック力を用いて複数の回転位置における接続部品に対しての締結装置の回転移動を解除可能に止める。第1のディテント要素は、リング要素の内周面上に形成され、ここで、リング要素は、軸方向に変位可能であり、周方向に回転可能に固定されたやり方で接続部品に接続される。第2のディテント要素は、締結装置のシャフト上に回転可能に固定されたやり方で配置される。
【0013】
ここで欠点は、組付け中、ロッドにねじ止めするときにロック装置のトルクに打ち勝つことが必要であり、したがってその結果、使い勝手が不十分であるということである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ロック機構を備えるロッドエンドに関する。ロック機構は、挿入物、フォークエンド、雌トルクロック要素、および雄トルクロック要素を備え、ロック機構が作動すると、雌トルクロック要素は、雄トルクロック要素と形状篏合による接続(ぴったり合った接続)で係合する。
【0015】
いくつかの実施形態では、ロッドエンドは、挿入物の内部に位置する雌トルク要素を有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、挿入物は、少なくとも1つの溝を備え、雌トルクロック要素は、挿入物の溝に嵌まる少なくとも1つのキーを備える。
【0017】
いくつかの実施形態では、ロッドエンドは、ばねをさらに備える。
【0018】
いくつかの実施形態では、ロッドエンドは、雌トルクロック要素が雄トルクロック要素と係合されない位置で挿入物内に位置する雌トルクロック要素を有し、挿入物の基部にまたはその近くに位置することができる。いくつかの実施形態では、雌トルクロック要素を自由位置に調整すると、雌トルクロック要素が雄トルクロック要素に形状篏合による接続(ぴったり合った接続)で係合するように、雌トルクロック要素がばねによって動かされるように、ばねは、雌トルクロック要素の下方に位置する。
【0019】
いくつかの実施形態では、挿入物は、ロック機構が作動させられるまで雌トルクロック要素が雄トルクロック要素と係合されない位置で雌トルクロック要素を保持するスナップイン式の溝を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、雌トルクロック要素は、雌ラジアルスプロケットをさらに備える。
【0021】
いくつかの実施形態では、雄トルクロック要素は、1つまたは複数のキー、および雄ラジアルスプロケットをさらに備える。
【0022】
いくつかの実施形態では、ロック機構が作動すると、雄スプロケットは、雌トルクロック要素と雄トルクロック要素との間の形状篏合による接続(ぴったり合った接続)の形態で雌スプロケットに係合する。
【0023】
いくつかの実施形態では、ロッドエンドは、ロック用クリップ、およびラッチを有する。
【0024】
いくつかの他の実施形態では、ロッドエンドは、1つまたは複数のキーを備えるリリースクリップを有する。いくつかの実施形態では、リリースクリップは、プラスチックで作製される。
【0025】
いくつかの実施形態では、挿入物は溝を有し、雌トルクロック要素は溝を有する。さらなる実施形態では、リリースクリップの1つまたは複数のキーは、ロック機構が作動しないように挿入物および雌トルクロック要素の溝の中に嵌まることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、ロック機構は、リリースクリップを引っ張ることによって作動させられ、雌トルクロック要素が雄トルクロック要素に形状篏合による接続(ぴったり合った接続)で係合するように雌トルクロック要素がばねによって上方に押されるようになっている。
【0027】
いくつかの実施形態では、ロック機構は、ロッドエンドの外部にある。
【0028】
いくつかの他の実施形態では、ロッドエンドは、ラジアルスプロケットを有する。
【0029】
いくつかの他の実施形態では、必要とされるロッドエンドの長さ調整のためのトルクは、それほど多くはない(no substantial torque)。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】タイロッドまたはストラットのためのロック装置を有するロッドエンドを示す図である。図1は、フォークエンド(5)を有する挿入物(2)、ならびに雌トルク要素(3)および雄トルク要素(4)を示す。図1は、ロック用クリップ(7)およびラッチ(8)をさらに示す。
図2図2Aは、タイロッドまたはストラットのためのロック装置を有するロッドエンドの側面断面プロファイルを示す図である。図2Aは、ロック機構が作動されないロッドエンド(1)を示す。 図2Bは、タイロッドまたはストラットのためのロック装置を有するロッドエンドの側面断面プロファイルを示す図である。図2Bは、雌トルクロック要素(3)がばね(15)によって上方に押されているのでロック機構が作動し、雌トルクロック要素(3)が雄トルクロック要素(4)の中にカチッと嵌まるところを示す。
図3】挿入物(2)の側面断面プロファイルを示す。雌ネジ(12)、雄ネジ(11)、溝(17)、およびスナップイン式の溝(16)を有する挿入物(2)が示される。
図4】キー(18)および雌ラジアルスプロケット(19)を有する雌トルクロック要素(3)を示す図である。
図5】キー(21)および雄ラジアルスプロケット(20)を有する雄トルクロック要素(4)を示す図である。
図6】雄ネジ(13)を介して挿入物(2)の中にねじ込まれるフォークエンド(5)を示す図である。
図7】リリースクリップ(23)を有するロッドエンド(1)を示す図である。
図8】リリースクリップ(23)を有するロッドエンド(1)の側面断面プロファイルを示す図である。
図9】リリースクリップ(23)についてのリリースクリップ(23)およびキー(26)を示す図である。
図10】雌(3)および雄(4)トルクロック要素を有するロッドエンド(1)を示す図である。
図11】キー(18)および雌アキシャルスプロケット(27)を有する雌トルクロック要素(3)を示す図である。
図12】キー(21)および雄アキシャルスプロケット(28)を有する雄トルクロック要素(4)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示における「備えている」および「備える」という用語は、「含んでいる」および「含む」を意味することができ、または米国特許法で「備えている」もしくは「備える」という用語に一般に与えられる意味を有することができる。「から本質的になっている」または「から本質的になる」という用語は、特許請求の範囲で使用される場合、米国特許法においてそれらのものとされる意味を有する。本発明の他の態様は、以下の開示に説明され、または以下の開示から(および本発明の範囲内で)明らかである。
【0032】
「ブッシュ」、「複数のブッシュ」、および「ブッシング」といった用語は、本明細書中で交換可能に使用され、それらの通常のおよび慣習的な意味を有するものとして当業者に理解されよう。例えば、用語は、少なくとも2つの(場合によっては動く)部品間の機械的固定、または一方の機械的組立体が別のものに取り付けられる強化された固定点を含む。さらに、用語は、例えば、穴のための金属内張りなどの内張り、特に軸が回転するものを含み得る。
【0033】
本発明は、とりわけ、ロッドエンドが統合されたロック機構を有する航空宇宙用途に使用され得るストラットのためのロッドエンドを提供することによって当業界の問題を解決する。本発明のロック機構は、容易に作動されることが可能であり、トルクに耐えることができる。
【0034】
本発明は、前述した技術を上回る利点および解決策を提供する。そのような利点の例には、(i)安全なロック機構、(ii)ロッドエンドの長さが、取付けのためにさらなるトルクを加えることなく調整できる(大部分の技術は、ねじ込むときにロック装置のある一定のトルクに打ち勝つ必要を伴う)、(iii)ロック機構は、片手で容易に作動することができ、その結果、使い勝手が極めて良好である、(iv)部品の大部分は、射出成形によって製造することができ、したがって費用対効果が高い、(v)ラジアルスプロケットを有するロッドを用いる場合、ばね力は、ロック機構の作動後の伝達可能なトルクの量にもはや係わらず、これにより、使い勝手がよりよくなるといったことが含まれる。
【0035】
本発明のロッドエンドは、限定するものではないが、好ましくは航空宇宙産業においてしばしば使用される。例えば、ロッドエンドは、航空機および宇宙船、例えば、飛行機、回転翼航空機、飛行船、無人航空システム、ロケット、および人工衛星に使用され得る。
【0036】
本発明は、任意のタイロッドまたはストラット、あるいはタイロッドまたはストラットに類似する部材のために使用することができるロック装置を有するロッドエンドに関する。いくつかの実施形態では、本発明のロック装置は、片手で作動させることができ、このことは、取付けに役立つ。さらなる実施形態では、本発明のロック装置は、トルクに耐えることができ、したがって、ロッドエンド長の望ましくない変化を防ぐ。トルクは、例えば、回転力またはねじり力のような、その慣習的な意味によって理解される。本発明によるロッドの組付け中、ロッドエンドの長さは、ロック装置が作動されない限り、フォークエンドによって調整することができる。
【0037】
さらに、いくつかの実施形態では、本発明のロッドエンドは、ロック要素によって作動させられるトルクロック機構を有する。例えば、一実施形態では、ロック要素は、ばねによって軸方向に押される。本発明のロック要素は、雌トルクロック要素および雄トルクロック要素で構成され得る。ロック機構の部分、例えば、雌トルクロック要素は、例えば、射出成形によって製造することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、ロッドエンドの長さ調整のためのトルクは(特定の実施形態では、ねじ摩擦によって引き起こされる摩擦トルクを除いて)、さほどまたはそれほど必要とされない。
【0039】
いくつかの実施形態では、本発明のロッドエンドは、何らかのさらなる部分または部材を使用せずに、外側で、すなわち、ロッドエンドの外部で、作動させられ得る統合されたロック機構を装備することができる。したがって、ロック機構は、単一のユニットとしてロッドエンドの他の構成要素で形成されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、ロック機構は、ロッドエンドの部分を備える。
【0040】
概して、ロック機構は、間に相互関係に関し、例えば、雌トルクロック要素がその所望の調整された長さでフォークエンドをロックするように雄トルクロック要素で嵌められ得るように、本発明のロッドエンドの雌および雄トルクロック要素、ロック用クリップ、ラッチ、ばね、溝、キー、および/またはリリースクリップを含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明のロッドエンドは、挿入物と、雌および雄トルクロック要素と、ブッシュおよび抑え座金を有するフォークエンドと、ラッチおよびボルトを有するロック用クリップとを備える。
【0042】
いくつかの実施形態では、本発明は、例えば、ばねからのばね力が、ロック機構の作動後に伝達可能なトルクの量にもはや係わっていないラジアルスプロケットを有するロッドエンドを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、挿入物は、金属、熱可塑性マトリックスおよびガラスもしくはカーボンファイバを有する短繊維強化プラスチック、または任意の種類のプラスチック材料、あるいはそれらの組合せで構成され得る。いくつかの実施形態では、雌および/または雄トルクロック要素は、金属、熱可塑性マトリックスおよびガラスもしくはカーボンファイバを有する短繊維強化プラスチック、または任意の種類のプラスチック材料、あるいはそれらの組合せで構成され得る。他の実施形態では、フォークエンドは、熱可塑性または熱硬化性マトリックスおよび任意の種類の繊維(例えば、炭素、ガラス、アラミド、またはセラミック)、あるいはそれらの組合せを有する短または長繊維強化プラスチックで構成されてもよい。
【0044】
本発明は、例示的な実施形態に基づいて以下に詳細にさらに説明される。
【0045】
図1に示された実施形態では、挿入物(2)を有する本発明のロッドエンド(1)が示される。挿入物(2)は、形状が円形である開口部によって形成された内部空間を有する。雌トルクロック要素(3)は、少なくとも部分的に、挿入物(2)の内部空間の中に延びて内部に嵌まる。雄トルクロック要素(4)も、図1に示される。雄トルクロック要素(4)は、挿入物(2)の中に延びる雌トルクロック要素(3)のその位置よりも雌トルクロック要素の反対側で雌トルクロック要素(3)に隣接している。雄トルクロック要素は、挿入物(2)の内部空間の中に延びない。
【0046】
ロック用クリップ(7)は、挿入物(2)の周りで配設される。ロック用クリップ(7)は、ラッチ(8)を有する。ロック用クリップ(7)は、雌および雄トルクロック要素(3)、(4)の周りで円または円筒形状を形成する。ロック用クリップ(7)のラッチ(8)は、少なくとも部分的に、雌トルクロック要素(3)を弧状のように取り囲む。
【0047】
ロック機構が作動させられるとき、雌トルクロック要素(3)および雄トルクロック要素(4)は、互いと係合し、それによってフォークエンド(5)および挿入物(2)を固定しまたはロックする。雌トルクロック要素(3)および雄トルクロック要素(4)は、外部的に動作可能に係合される。
【0048】
さらに、図1では、ロッドエンド(1)の一端には、ブッシング(6)を有するフォークエンド(5)がある。いくつかの実施形態では、ブッシング(6)の目的は、部品がボルトについて厳しい公差を有することを可能にすることである。ブッシング(6)は、フォークエンドの一部であることができ、それが押されることが可能であるときに固定される必要はない。ボルト(9)は、ブッシング(6)およびフォークエンド(5)を通過する。ボルト(9)は、ロック用クリップ(7)をさらに通過することができる。ボルト(9)は、フォークエンド(5)、ブッシング(6)、およびロック用クリップ(7)を一緒にさらに固定する。ロッドエンド(1)の他端には、フォークエンド(5)の雄ネジ(13)を少なくとも部分的に取り囲む抑え座金(10)がある。フォークエンドの雄ネジ(13)は、挿入物(2)の中に少なくとも部分的に延びることができる。典型的には、フォークエンドのねじ長は、挿入物(2)と少なくとも同じねじ長を有するべきである。しかし、概して、フォークエンドのねじ長は、本発明に付け加えて、アイ・トゥ・アイ・レングス、例えば、タイロッドまたはストラットの取付け用ボルト穴の中心から測定されるときの全長を変えることができるので、しばしばより長い。挿入物(2)を覆う雄ネジ(11)もある。雄ネジ(11)は、挿入物(2)と同じ長さ、または挿入物(2)よりも短い長さであり得る。ロッドエンドの長さ(14)は、調節することができる。
【0049】
図2Aおよび図2Bは、本発明のロック機構を有するロッドエンドのさらなる実施形態を示す。
【0050】
図2Aは、ロック機構が作動していないロッドエンド(1)の一実施形態を示す。より詳細には、図2Aは、挿入物(2)の内部の作動しない位置で雌トルクロック要素(3)を示す。挿入物(2)の内部および雌トルクロック要素(3)の下方には、ばね(15)がある。図2Aのこの位置で、ばね(15)は、予め応力がかけられる。
【0051】
フォークエンド(5)の必要な長さが決定され、設定された後、ロック用クリップ(7)は、組み付けることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ロック用クリップは、1つまたは複数のブッシング(6)に通されるボルト(9)を有する。フォークエンド(5)の長さ調整の後、次いで、ロック用クリップ(7)は、挿入物(2)およびブッシング(6)を貫くボルト(9)の上にあるクリップ(7)を押すことによって組み付けられる。
【0052】
雌トルクロック要素は、例えば、人の片手を用いて外部から回転させられ得る。雌トルクロック要素(3)をその自由位置にねじるまたは回転させることによって、すなわち、雌トルクロック要素を回転させることによって、それは、ロック解除され、挿入物(2)の溝(17)の中で移動させられ得る(図3参照)。したがって、ロック機構が作動させられ、雌トルクロック要素(3)は、ばね(15)によって上方に押され、図2Bに示された雄トルクロック要素(4)の中にカチッと嵌まる。
【0053】
当業者は、ばね(15)の代替として、他の機構、例えば、コイル、ゴムばね、またはばねのように作用する任意の他の機構を使用することができると理解するであろう。
【0054】
図2Bは、ロック機構が作動させられている図2Aのロッドエンド(1)を示す。図2Bでは、ばね(15)は、やはり予め応力がかけられ得るが、予めの応力は、図2Aにおけるよりも小さい。図2Bには、雄トルクロック要素(4)と係合された雌トルクロック要素(3)が示される。
【0055】
図3は、雌ネジ(12)および雄ネジ(11)ならびに溝(17)を有する挿入物(2)を示す。溝(17)は、雌トルクロック要素(3)のキー(18)に適合する(雌トルクロック要素(3)のキー(18)については、図4参照)。挿入物(2)のスナップイン式の溝(16)は、ロック機構が作動させられないように雌トルクロック要素(3)を保持するために使用される。いくつかの実施形態では、ロック機構に係る最低限1つの溝(17)および1つのスナップイン式の溝(16)がある。溝の総数は、概して、トルクに依存し、適応され得る。
【0056】
雌トルクロック要素(3)がねじられるまたは回転させられるとき、キー(18)は、スナップイン式の溝(16)から解放され、これによりロック機構が作動させられ、雌トルクロック要素(3)が上に押され、雄トルクロック要素(4)に係合することを可能にする。キー(18)は、溝(17)内で移動する。
【0057】
さらに、溝(17)およびスナップイン式の溝(16)は、ねじ、スナップフック、さねはぎ、基本的には、本発明のロック機構を実現する任意の構成などの他の形態をとることができる。
【0058】
図4は、キー(18)および雌ラジアルスプロケット(19)を有する雌トルクロック要素(3)を示す。雌ラジアルスプロケット(19)は、雌トルクロック要素(3)がばね(15)によって上に押されているときにぴったり合った接続によって雄スプロケット(20)と噛み合う目的に適う(雄スプロケット(20)を示す図5も参照)。スプロケット歯の個数は、フォークエンド(5)の長さがどのくらい正確に調整されるべきかに依存する。例えば、歯が多くなるにつれて、調整能力が優れる。雌トルクロック要素(3)および雄トルクロック要素(4)の歯は、互いに嵌まり、これは、フォークエンド(5)の位置に依存する。径方向にロックする任意の考えられる形状寸法は、雌トルクロック要素(3)について実現可能である。キー(18)の総数は、トルクに依存し、適応され得る。例えば、強いトルクに耐えるためには、6個のキー(18)があってもよく、軽いトルクの場合、1個のキー(18)であってもよい。
【0059】
図5は、キー(21)および雄ラジアルスプロケット(20)を有する雄トルクロック要素(4)を示す。雄スプロケット(20)は、雌スプロケット(19)に嵌まる。キー(21)は、フォークエンド(5)の溝(22)に嵌まる。雄トルクロック要素のキー(21)は、フォークエンド(5)で作用することができるトルクを雌トルクロック要素(3)に伝達するために使用される。雌トルクロック要素(3)の形状寸法に嵌まる任意の考えられる形状寸法は、雄スプロケット(20)について実現可能である。また、スプロケットの形状寸法の他に、ぴったり合った接続をもたらす任意の他の形状寸法が、雌トルクロック要素(3)および雄トルクロック要素(4)について可能である。
【0060】
図6は、雄ネジ(13)を介して挿入物(2)にねじ止められるフォークエンド(5)を示す。フォークエンドは、引張および圧縮荷重をタイロッドに伝達するとともに、溝(22)を介してトルクを雌および雄トルクロック装置(3)、(4)に伝達するために使用される。
【0061】
図7は、ロッドエンド(1)の別の実施形態を示す。図7では、雌トルクロック要素(3)のロック機構は、ばね(15)によって上に押され、雄トルクロック要素(4)の係合は、リリースクリップ(23)を引っ張ることによって作動させられる。リリースクリップ(23)は、任意のプラスチック材料から作製することができる。リリースクリップ(23)も、例えば、金属などの当業者によって理解される他の適切な材料から作製することができる。
【0062】
図8は、リリースクリップ(23)を有するロッドエンド(1)の側断面図を示す。挿入物(2)に1つの溝(24)があり、雌トルクロック要素(3)に1つの溝(25)がある。リリースクリップ(23)のキー(26)は、溝(24、25)に嵌まる。リリースクリップ(23)がロッドエンドに取り付けられる限り、ロック機構は、作動されない。リリースクリップ(23)を引っ張ることによって、リリースクリップのキー(26)は、挿入物(24)の溝および雌トルクロック要素の溝(25)を係合解除し、それによってばね(15)を作動させる。雌トルクロック要素(3)は、ばね(15)によって上方に引っ張られ、(例えば、図2Bにおけるように))雄トルクロック要素(4)の中にカチッと嵌まる。
【0063】
図9は、リリースクリップ(23)、およびリリースクリップ(23)のキー(26)を示す。クリップは、180度以上の長さを有する弧として設計される。しかしながら、雌トルクロック要素(3)を作動しない位置で維持するクリップについて、任意の適切な形状がクリップ(23)に使用され得る。
【0064】
図10は、雌トルクロック要素(3)および雄トルクロック要素(4)の別の形状寸法を有するロッドエンド(1)を示す。この実施形態では、図10のロック機構は、軸方向に働く。図1に示された実施形態では、ロック機構は、径方向に働く。
【0065】
図11は、キー(18)および雌アキシャルスプロケット(27)を有する雌トルクロック要素(3)を示す。スプロケットの歯の個数は、フォークエンド(5)の長さがどのくらい正確に調整されるべきかに依存する。径方向にロックする任意の考えられる形状寸法は、この要素について実現可能である。キー(18)の総数およびキー(18)のサイズは、トルクに依存し、適応され得る。概して、キー(18)が多くなるほど、耐えられ得るトルクは大きくなる。また、概して、キー(18)のサイズが大きくなるほど、耐えられ得るトルクは大きくなる。
【0066】
図12は、キー(21)および雄アキシャルスプロケット(28)を有する雄トルクロック要素(4)を示す。雄スプロケット(28)は、雌スプロケット(27)に嵌まる。キー(21)は、フォークエンド(5)の中に嵌まる。キー(21)は、フォークエンド(5)で作用し得るトルクを雌トルクロック要素(3)へ伝達するために使用される。雌トルクロック要素(3)の形状寸法に嵌まる任意の考えられる形状寸法は、スプロケット(28)について実現可能である。スプロケットの形状寸法の他に、例えば、多角形などのぴったり合った接続をもたらす任意の他の形状寸法が、雌トルクロック要素(3)および雄トルクロック要素(4)について可能である。
【0067】
参照符号のリスト
(1) ロッドエンド
(2) 挿入物
(3) 雌トルクロック要素
(4) 雄トルクロック要素
(5) フォークエンド
(6) ブッシング
(7) ロック用クリップ
(8) ラッチ
(9) ボルト
(10) 抑え座金
(11) 挿入物の雄ネジ
(12) 挿入物の雌ネジ
(13) フォークエンドの雄ネジ
(14) 長さ調整
(15) ばね
(16) 雌トルクロック要素のためのスナップイン式の溝
(17) 挿入物の溝
(18) 雌トルクロック要素のキー
(19) 雌ラジアルスプロケット
(20) 雄ラジアルスプロケット
(21) 雄トルクロック要素のキー
(22) 雄トルクロック要素のキーのための溝
(23) リリースクリップ
(24) 挿入物におけるリリースクリップのための溝
(25) 雌トルクロック要素におけるリリースクリップのための溝
(26) リリースクリップのキー
(27) 雌アキシャルスプロケット
(28) 雄アキシャルスプロケット
【0068】
上記の開示に対する修正は、当業者に明らかであるが、本発明の範囲を超えて修正されるように本発明をもたらすのではない。続く特許請求の範囲は、そのような状況を含むように解釈されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】