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特表2023-522862分析物のインビトロ検知のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】分析物のインビトロ検知のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/00 20060101AFI20230525BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
C12Q1/00 Z
C12M1/34 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562443
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 US2021028419
(87)【国際公開番号】W WO2021216725
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/013,216
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515247783
【氏名又は名称】プロフサ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,ベン
(72)【発明者】
【氏名】ギャムシー,ソヤ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB01
4B029BB15
4B029BB20
4B029FA10
4B029FA11
4B029FA12
4B029GA08
4B029GB01
4B029GB02
4B063QA01
4B063QA20
4B063QQ01
4B063QQ15
4B063QS39
4B063QS40
4B063QX01
4B063QX04
(57)【要約】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、容器内に配置されたセンサから光放射信号を受け取ることを含む方法に関する。容器は、インビトロ生物学的プロセスのために構成され得(例えば、バイオリアクタ)、放射信号は、センサが生体マトリックスと接触している間に受け取られ得る。放射信号は、容器の外側に配置されるリーダによって受け取られ得る。放射信号に基づいて、分析物の存在、量又は濃度の少なくとも1つが決定され得る。同様に、センサによって放射される放射信号は、分析物の存在、量又は濃度の少なくとも1つに依存し得る。いくつかの実施形態では、放射信号は、例えば、リーダによって放射される励起光信号によってセンサが励起されることに応じてセンサによって放射される光信号であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサが、インビトロ生物学的プロセスのために構成された容器内に配置されており、前記センサが前記容器内の生体マトリックスと接触している間、リーダにおいて、前記センサから光放射信号を受け取ることと、
前記容器の外側に配置された前記リーダにおいて、前記放射信号に基づいて前記生体マトリックス内の分析物の濃度を決定することと
を含む方法。
【請求項2】
前記生体マトリックスが前記容器に加えられる前に、前記センサを前記容器内に設置することと、
前記インビトロ生物学的プロセスが起こっている間、前記センサが所定の位置に留まることと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサは、前記生体マトリックスが前記容器に加えられる前に前記容器内に配置され、
前記センサは、前記インビトロ生物学的プロセスが起こっている間、所定の位置に留まり、
前記分析物の前記濃度は、前記インビトロ生物学的プロセスが起こっている間に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記センサを光信号で励起することをさらに含み、前記光放射信号は、前記センサが励起されることに応じて前記センサから放射される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記センサは、第1センサであり、前記容器は、第1インビトロ生物学的プロセスのために構成された第1容器であり、前記放射信号は、第1放射信号であり、前記分析物の前記濃度は、第1分析物の第1濃度であり、
前記方法は、
前記第1放射信号が受け取られるように、前記リーダを前記第1容器に位置決めすることと、
第2インビトロ生物学的プロセスのために構成され、第2センサを収容する第2容器に前記リーダを移動させることと、
前記第2センサから、第2放射信号を受け取ることと、
前記リーダにおいて、第2分析物の第2濃度を決定することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記センサは、複数のセンサのうち1つのセンサであり、前記光放射信号は、複数の光放射信号のうち1つの光放射信号であり、前記容器は、複数の生物学的プロセスのために構成された複数の容器のうち1つの容器であり、前記リーダは、複数のリーダのうち1つのリーダであり、
前記方法は、
前記複数のセンサのうち1つのセンサからの光放射信号を、前記複数のリーダのそれぞれのリーダにおいて同時に受け取ることであって、前記複数のセンサのそれぞれのセンサは、前記複数の容器のうち異なる容器内に配置される、受け取ること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のリーダのうち少なくとも1つのリーダは、前記複数の容器のうちの第1容器内に配置された第1センサからの第1光放射信号と、前記第1容器内に配置された第2センサからの第2光放射信号とを受け取る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
光ファイバケーブルは、前記センサを前記リーダに光学的に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記リーダは、前記容器の壁又は前記容器の開口部の少なくとも1つを通して前記放射信号を受け取る、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
生体マトリックスを収容する容器の外側にリーダを位置決めすることであって、それにより、前記リーダは、前記容器内に配置されたセンサと光通信する、位置決めすることと、
前記リーダから光励起信号を放射して、前記センサを照明することと、
前記リーダにおいて、前記光励起信号に応じた光放射信号を受け取ることと、
前記光放射信号に基づいて、前記容器内でインビトロ生物学的プロセスが起こっている間に前記生体マトリックス内の分析物の濃度を決定することと
を含む方法。
【請求項13】
前記センサを前記容器内に設置することと、
前記センサを前記容器内に設置した後、前記容器及び前記センサを滅菌することと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記センサは、滅菌されたセンサであり、
前記方法は、
前記滅菌されたセンサを前記容器内に設置すること
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記リーダからの前記光放射信号に関連する信号をデータハブに送信することをさらに含み、前記分析物の前記濃度は、前記データハブにおいて決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記分析物の前記濃度は、前記リーダにおいて決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記分析物の前記濃度は、前記リーダにおいて決定され、
前記方法は、
前記分析物の前記濃度に関連する信号をデータハブに送信すること
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
インビトロ生物学的プロセスのために構成された容器と、
前記容器内に配置されたセンサであって、前記インビトロ生物学的プロセスを受ける生体マトリックス中の分析物の濃度に依存する光放射信号を放射するように構成されたセンサと
を含む装置。
【請求項19】
前記センサは、前記光放射信号を通す前記容器の壁に結合される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記センサに結合された光ファイバであって、前記光放射信号を前記容器の外部に伝送するように構成される光ファイバをさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項21】
前記容器内に配置された前記生体マトリックスをさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
前記容器及び前記センサは、単一体として滅菌される、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記センサは、前記容器内に配置される前に滅菌される、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年4月21日に出願された米国仮特許出願第63/013,216号の利益及びそれに対する優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
分野
[0002] 本明細書に記載される実施形態は、概して、生物学的製造プロセス中にインビトロで分析物を検知するのに好適なシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] バイオ製造分野では、生物製剤及び関連製品の生産量を増加させるために、シングルユースバイオプロセス技術等の新しい技術が急速に採用されている。これらの技術は、費用対効果が高く、製品の迅速なターンアラウンドを可能にし、滅菌及び再利用の必要性を低減させ、それにより汚染の可能性を低減させる。バイオプロセスをサポートするシステムの多くは、このシングルユースへのシフトに対応しているが、このパラダイムシフトをサポートする利用可能なセンサは、ごくわずかである。
【0004】
[0004] 現在、生物反応は、いくつかの方法において、例えば分析のために容器の内容物のアリコートを採取するか、又はサンプリング若しくは測定ポートからプローブを導入することによってモニタリングされる。こうしたサンプリング方法では、一般に、連続モニタリングが可能ではない。さらに、バイオリアクタからサンプルを取り除くこと又はプローブを導入することにより、汚染のリスクが生じる。既存のモニタリング技法は、一般に、生物学的プロセス(例えば、細胞培養等のバイオ製造反応)が実行されている間、バイオリアクタ内のいくつかの生化学的分析物を連続的にモニタリングするには不向きである。例えば、温度のようなパラメータは、連続的にモニタリングすることができるが、容器からアリコートを採取する又は他の方法でバイオリアクタの内容物を流用することなく、いくつかの生化学的分析物の存在、量又は濃度を連続的にモニタリングすることは、現在、実行可能ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] したがって、バイオ製造の必要性を満たす改善されたセンサ、分析物を検知する方法、分析物を検知するシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
[0006] 本明細書で開示されるのは、インビトロ検知のための方法及びシステムである。
【0007】
[0007] 本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、容器内に配置されたセンサから光放射信号を受け取ることを含む方法に関する。容器は、インビトロ生物学的プロセスのために構成され得(例えば、バイオリアクタ)、放射信号は、センサが生体マトリックスと接触している間に受け取られ得る。放射信号は、容器の外側に配置されるリーダによって受け取られ得る。放射信号に基づいて、分析物の存在、量又は濃度の少なくとも1つが決定され得る。同様に、センサによって放射される放射信号は、分析物の存在、量又は濃度の少なくとも1つに依存し得る。いくつかの実施形態では、放射信号は、例えば、リーダによって放射される励起光信号によってセンサが励起されることに応じてセンサによって放射される光信号であり得る。
【0008】
[0008] 本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、生体マトリックスを収容する容器の外側にリーダを位置決めすることであって、それにより、リーダは、容器内に配置されたセンサと光通信する、位置決めすることを含む方法に関する。リーダは、例えば、透明な壁又は光ファイバを通して、センサを照明する光励起信号を放射することができる。センサが照明/励起されることに応じて、センサは、光放射信号を放射することができ、及びリーダは、その光放射信号を受け取ることができる。光放射信号は、容器内でインビトロ生物学的プロセスを受ける生体マトリックス中の分析物の存在、濃度又は量の少なくとも1つに依存し得る。分析物の存在、濃度又は量の少なくとも1つは、インビトロ生物学的プロセスが起こっている間に光放射信号に基づいて決定され得る。
【0009】
[0009] 記載されるいくつかの実施形態は、容器及びセンサを含む装置に関する。容器は、例えば、バイオ製造プロセスにおいて使用されるように構成されたバイオリアクタであり得る。同様に、容器は、インビトロ生物学的プロセスを内部で行うことができるように構成され得る。容器内にセンサが配置され得る。センサは、インビトロ生物学的プロセスが起こっている間、生体マトリックスと接触し、生体マトリックス中の分析物の存在、濃度又は量の少なくとも1つに依存する光放射信号を放射するように構成され得る。同様に、センサは、インビトロ生物学的プロセス中の分析物の連続インサイチュモニタリングを可能にすることができる信号を生成するように構成され得る。
【0010】
[0010] 一実施形態において、インビトロ検知方法は、それぞれ分析物の存在下で放射信号を生成する1つ又は複数のセンサを含む。例えば、センサは、インビトロで液体と接触して設置され得る。リーダは、放射信号を検出することができる。放射信号の存在、強度、スペクトル及び/又は時間的特性は、液体中の分析物の存在、濃度及び/又は量を示すことができる。一態様では、リーダは、励起信号がセンサの検知部分を照明及び励起するように、センサに励起信号を送ることができる。センサ/検知部分は、分析物の存在下で励起されることに応じて放射信号を生成することができる。インビトロ液体は、細胞培養培地を含むことができる。一態様では、センサは、1つ又は複数の分析物の存在について連続的に分析することができる。センサ測定は、±0.5%精度以下の精度で分析物を検出することができる。分析物は、酸素、グルコース、二酸化炭素、乳酸塩、プロトン(H)及び重炭酸(HCO )からなる群から選択され得る。分析物の測定値を用いて、pH又はCOを計算することができる。1つ又は複数のセンサは、2つ以上の分析物を同時に検出することができる。一態様では、1つ又は複数のセンサは、基材の表面上に位置し、及び/又は検知容器内に位置し得る。
【0011】
[0011] さらなる実施形態は、それぞれ分析物の存在下で放射信号を生成するように動作可能な1つ又は複数のセンサを含むインビトロ検知システムに関する。センサは、生物学的プロセスを受ける生物学的生成物及び/又は成分を含む液体を収容する(又は収容するように構成される)容器内に配置され得る。容器の外側に(例えば、容器の外面上において及び液体と接触せずに)配置されたリーダは、放射信号を検出するように動作可能であり得る。1つ又は複数のセンサは、基材の表面上に位置し得る。1つ又は複数のセンサは、検知容器内に位置し得る。1つ又は複数のセンサは、デバイスから物理的に分離され得る。
【0012】
[0012] 一実施形態は、それぞれ分析物の存在下で放射信号を生成するように動作可能な1つ又は複数のセンサを含むインビトロ検知方法に関する。1つ又は複数のセンサの各々は、複数の容器の1つ又は複数の中に配置することができる。1つ又は複数のセンサは、複数の容器の内容物と接触することができる(例えば、容器は、植え付けられた細胞培養培地等の生体マトリックスで充填され得る)。複数のリーダは、複数の容器の外面上に配置され得(例えば、複数の容器の各々に少なくとも1つのリーダが配置され得る)、及び各リーダは、その容器内のセンサからの放射信号を検出することができ、それにより、複数の容器の1つ又は複数の1つ又は複数のセンサからのデータが同時に分析され得る。各容器で単一の分析物を検出し得、各容器で複数の分析物を検出し得、及び/又は異なる容器で異なる分析物を検出し得る。センサの測定は、±0.5%の精度以下の精度で分析物を検出することができる。
【0013】
[0013] 一実施形態は、1つ又は複数のセンサと、容器と、リーダとを含むインビトロ検知システムに関する。1つ又は複数のセンサの各々は、分析物の存在下で放射信号を生成するように動作可能であり得る。容器は、液体と、1つ又は複数のセンサとを収容し得るか又は収容するように構成され得る。リーダは、放射信号を検出するように動作可能であり得る。リーダは、容器の外面に付着して、放射信号を連続的に検出するように動作可能であり得る。リーダは、放射信号を無線で(例えば、光学的に)検出することができる。一態様では、リーダは、放射信号データに関連する信号をハブデバイスに送信することができる。リーダは、容器の表面の形状に適合することができるように可撓性であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面の簡単な説明
図1】[0014]本明細書に記載されるシステムの一実施形態を示す。
図2】[0015]本明細書に記載されるシステムの一実施形態を示し、光ファイバ上にセンサが設置され、それにより、光ファイバを介してリーダが信号を検出することを示す。
図3】[0016]本明細書に記載される多重化システムの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
[0017] 本明細書に記載されるのは、分析物のインビトロでの検出及び測定に好適な方法及びシステムである。これらの方法及びシステムは、特にバイオ製造に好適であり、概して1つ又は複数の生化学的分析物の無菌的なリアルタイムの連続的モニタリングを行うように動作可能である。本明細書に記載される方法及びシステムは、容器の内容物の手動サンプリング又は操作を必要とすることなく、複数の分析物の連続的な、正確な及び/又は自動化された同時検知を提供することができる。本明細書に記載される方法及びシステムは、バイオ製造(例えば、細胞培養)プロセスを通して連続分析を可能にすることができる。センサ及びリーダデバイスが設置されると、例えばインビトロ生物学的プロセス又は生物反応の期間を通して、容器の内容物の連続的なモニタリング及び/又は分析のために追加の操作が不要である。
【0016】
[0018] 本明細書に記載される方法及びシステムは、一実施形態において、複数の容器の内容物において同時に分析するための多重化を含むことができる。
【0017】
[0019] 本方法及びシステムは、センサの無線検出及びセンサデータの無線送信を含むことができる。
【0018】
バイオ製造における連続検知
[0020] バイオ製造環境では、分析物を連続的又は自動的に検出及び測定できることが必要である。バイオ製造プロセスをモニタリングするために、アリコートを取り除くこと又は様々な分光学的技法を含む様々な技法が存在する。しかしながら、分光学的技法は、通常、複雑で高価な機器を必要とし、いくつかの分析物をインサイチュで測定するのに適さない場合がある。侵襲的な手動サンプリングは、無菌処理に対してリスクをもたらし、サンプルの収集及び分析に一貫性がなくなる可能性があり、商業的な製造規模では持続可能でない。熱電対又はpHプローブ等の恒久的又は半恒久的なプローブは、一般に、生化学的分析物を測定するのに適しておらず、一般にプローブの一部又はプローブのためのリード線を容器から又は容器を通して伸ばす必要があり、汚染リスクが生じる。したがって、組織工学製品の持続可能な商業規模の製造を達成するために、生化学的分析物を含む重要な工程内パラメータのリアルタイムモニタリング及び分析を可能にする頑強な非侵襲的測定技術の開発が緊急に必要とされている。本明細書に記載される方法及びシステムは、その必要性に対処する。
【0019】
[0021] 例示的なバイオ製造環境には、モノクローナル抗体、ワクチン、組織、様々なタンパク質、サイトカイン、酵素、融合タンパク質、全細胞並びにウイルス性及び非ウイルス性遺伝子治療を含む生物製剤製品を製造する環境がある。
【0020】
[0022] インビトロ検知の方法及びシステムのバイオ製造応用には、シングルユースシステム用及びマルチユースシステム用がある。
【0021】
[0023] 本明細書に記載される方法及びシステムは、バイオ製造環境における分析物の連続検知を提供する。本方法及びシステムは、光学式リーダを含むことができる。本方法及びシステムは、一実施形態において、複数のバイオリアクタの内容物の分析を同時に提供する。さらに、複数の分析物を分析することができ、複数の分析物を同時に分析することができる。
【0022】
[0024] 連続的な無線(例えば、光学)検知は、バイオ製造環境において、流体移送又は容器操作等の操作を最小限にし、それにより汚染、他の操作に基づく因子の導入及び/又はサンプル損失の可能性を最小化することを含む、いくつかの重要な特徴を提供する。
【0023】
[0025] 連続的な無線検知は、例えば、開放型、部分開放型、閉鎖型又は機能的閉鎖型のバイオプロセシングシステムで使用され得る。
【0024】
[0026] 連続的な無線検知は、インサイチュで行われ得る。
【0025】
インビトロ検知システム及び方法
[0027] 図1に示すように、本明細書に記載されるインビトロ検知システム及び方法は、典型的には、1つ又は複数のセンサ120を含み、1つ又は複数のセンサは、分析物の存在下で放射信号を生成する。センサ120は、生体マトリックスを収容し得るか又は収容するように構成され得る容器110(例えば、バイオリアクタ)内に配置することができる。生体マトリックスで充填されると、センサ120は、(通常、液体又はゲルの)生体マトリックスと接触することができる。
【0026】
[0028] リーダ130は、センサ120からの放射信号を検出するように動作可能であり得る。リーダ130は、容器110の外側及び光通信センサ120内に配置することができる。例えば、リーダ130は、透明な接着剤を介して容器に接着することができる。いくつかの実施形態では、センサ120とリーダ130との間に直接的な物理的接続(例えば、ワイヤ、光ファイバ等)が存在しない。
【0027】
[0029] 本明細書に記載されるインビトロバイオ製造用途の方法及びシステムは、特に光学式リーダ及び光学センサの複雑性を考慮すると意外なものであった。
【0028】
インビトロ検知方法に有用なセンサ
[0030] 本明細書に記載される方法及びシステムにおいて有用なセンサの例は、例えば、米国特許第10,117,613号、米国特許第10,383,557号、米国特許第10,494,385号及び米国特許出願公開第2019/0000364号に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0029】
[0031] 例えば、本明細書に記載されるセンサ(例えば、センサ120)は、ポリマー足場と、限定されないが、分析物結合分子(例えば、グルコース結合タンパク質)、競合結合分子(例えば、フェニルボロン酸ベースの化学物質)、分析物特異的酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)、イオン感受性材料又は他の分析物感受性分子(例えば、ポルフィリン等の酸素感受性色素)を含む、対象の分析物を検知するのに好適な1つ又は複数の検知部分(分析物特異的検知領域とも称する)とを含むことができる。検知部分は、化学的結合、物理的封入等によって足場部分に組み込むことができる。
【0030】
[0032] ポリマー足場は、例えば、ハイドロゲルであり得る。例えば、ハイドロゲルは、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を反応させて、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、pHEMAを形成することにより調製することができる。さらに、様々なコモノマーを組み合わせて使用して、ハイドロゲルの親水性、機械的特性及び膨潤特性を変化させることができる(例えば、PEG、NVP、MAA)。ポリマーの非限定的な例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N,N-ジメチルアクリルアミド、(種々の分子量の)ポリ(エチレングリコール)モノメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、N-(2-ヒドロキプロピル)メタクリルアミド、グリセロールモノメタクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピルメタクリレート及びそれらの組合せが挙げられる。架橋剤の非限定的な例としては、テトラエチレングリコールジメタクリレート、(種々の分子量の)ポリ(エチレングリコール)(n)ジアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ビスアクリルアミド及びそれらの組合せが挙げられる。開始剤の非限定的な例としては、Irgacure系(UV)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(熱)、過硫酸アンモニウム(APS)(熱)が挙げられる。
【0031】
[0033] 分析物特異的検知領域は、分析物検出部分及び光信号伝達部分を含むことができる。分析物検出部分及び光信号伝達部分は、同じ分子の一部であるか又は異なる分子であり得る。分析物検出部分及び光信号部分は、化学的、機能的等、相互作用し得るか又は接続され得る。したがって、分析物特異的検知領域は、対象の分析物に応じて光信号を放射するように動作可能であり得る。本明細書に記載される対象の分析物は、典型的には、生化学的分子であり、限定されないが、酸素、グルコース、二酸化炭素、乳酸塩、プロトン(H)及び重炭酸塩(HCO )を含む。こうした対象の生化学的分析物は、既知の分光学的技法及び/又は他の既知のセンサで検出することが困難又は不可能であり得る。同様に、既知の方法を用いてそうした分析物の存在、濃度及び/又は量を正確に測定するには、サンプルを得るか、又は容器内において、容器を汚染する危険があるとともに、一般にリアルタイムで対象の分析物を連続的にモニタリングするように動作できないセンサプローブを導入するか若しくは他の方法でリード線を走らせる必要があり得る。
【0032】
[0034] 検知部分は、例えば、ミクロスフィア、ナノスフィア、繊維等、任意の形態であり得る。好適な検知分子の非限定的な例としては、限定されないが、グリコデンドリマー又はデキストランを含む色素標識されたコンカナバリンA(例えば、Ballerstedt et al. (1997) Anal. Chim. Acta 345:203-212を参照されたい)と、Takano, et al (2010) The Analyst 135:2334-2339及びVladimir et al. (2004) Clinical Chemistry 50:2353-2360、Aslan et al. (2005) Chem. 1; 77(7):2007-14、Ballerstadt et al. (1997) Anal. Chem. Acta 345:203-212 (1997)、Billingsley et al. (2010) Anal. Chem 82(9):3707-3713、Brasuel et al. (2001) Anal. Chem 73(10):2221-2228、Brasuel, et al. (2003) The Analyst 128(10):1262-1267、Horgan et al. (2006) Biosensors and Bioelectronics 211838-1845、Ibey et al. (2005) Anal Chem 77:7039-7046、Nielsen et al. (2009) Journal of Diabetes Science and Technology 3(1):98-109、McShane et al. (2000) IEEE Engineering in Medicine and Biology Magazine 19:36-45、Mansouri & Schultz (1984) Bio/Technology 23:885-890、Rounds, et al. (2007) Journal of Fluorescence 17(1):57-63、Russell et al. (1999) Analytical Chemistry 71(15):3126-3132、Schultz et al. (1982) Diabetes Care 5:245-253、Srivastava, & McShane (2005) Journal of Microencapsulation 22(4):397-411、Srivastava et al. (2005) Biotechnology and Bioengineering 91(1): 124-131、Takano et al. (2010) The Analyst 135:2334-2339によって開発されたアルコール感受性オキソバクテリオクロリン誘導性蛍光結合タンパク質とが挙げられる。
【0033】
[0035] いくつかの場合、特に1つ又は複数の検知部分が酸素感受性である(例えば、ポルフィリン)場合、検知部分及び/又はポリマー足場に加えて、センサは、限定されないが、グルコースオキシダーゼ等のオキシダーゼを含むことができ、発光色素(例えば、検知部分)及び/又はポリマーにモノマー単位として組み込まれたそれらの残基は、オキシダーゼによる酸素の消費を測定し、したがって、センサは、限定されないが、グルコース等、酸素以外の多くの分析物の検出を提供することができる。オキシダーゼの他の例としては、ビリルビンオキシダーゼ、エタノールオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、ヒスタミンオキシダーゼ又は他の対象の分析物への特異性を提供する他のオキシダーゼが挙げられる。
【0034】
[0036] 上述したように、1つ又は複数のセンサ120は、生体マトリックスを収容する容器110内に設置され得る。いくつかの実施形態では、センサ120は、容器内で自由であり、及び沈むか、浮くか又は中性浮力を有するように構成され得る。一実施形態では、センサは、生体マトリックス中に吊り下げられ得る。例えば、センサは、(例えば、光ファイバ線を含む)基材に結合し、生体マトリックス中に吊り下げられ得る。センサは、ブリスターパックに収容され得る。
【0035】
[0037] しかしながら、他の実施形態では、センサ120は、容器の内面に固定され、及び/又は基材に結合されることが望ましい場合があり、容器の表面に位置する場合がある。例えば、図1に示すように、センサ120は、容器の内面に形成された又は付着した裂け目又はポケット125内に配置することができる。ポケット125は、例えば、メッシュ、布製メッシュ又はポリマーメッシュであり得る。こうしたポケットは、典型的には、センサ120が容器110のバルク内容物と流体連通することができるように、穿孔されているか又は多孔質である。加えて又は代わりに、例えば、透明な接着剤を使用し、ポリマー溶接を通して又は任意の好適な技法を使用して、容器の表面にセンサ120及び/又はポケット125を貼り付けることができる。一実施形態では、センサは、基材上に位置し得る。センサは、限定されないが、化学結合又は物理的取付(熱的取付を含む)等を含む種々の取付手段を用いることにより、基材上に位置し得る。当業者に既知である他の取付手段が本明細書において企図される。基材は、繊維、光ファイバ、容器の表面、ガラス表面、プラスチック表面及び/又は当業者に企図される他の基材であり得る。
【0036】
[0038] 典型的には、センサ120は、センサ120に及びセンサ120から光信号を伝送することができるように、容器110の透明部分に固定される。典型的には、センサ120は、センサ120が容器110の内容物に直接露出されるような方法で容器110に固定される。
【0037】
[0039] いくつかの実施形態では、センサ120は、容器110の構築中に設置することができる。他の実施形態では、センサ120は、インビトロ生物学的プロセスを実行及び/又はモニタリングしようとするエンドユーザによって追加され得る。こうした例では、エンドユーザ(例えば、バイオメディカルエンジニア)は、特定の生物学的プロセスをモニタリングするために好適なセンサ120を選択することができる。本明細書に記載されるセンサ120は、容器110が、生物学的プロセスを受ける生体マトリックスを収容するために使用される場合、乾燥させ、滅菌し、及び/又は他の方法で洗浄し、分析物を検出するために動作可能なままであり得る。例えば、ハイドロゲル足場を有するセンサ120は、滅菌及び/又は保管中に脱水する可能性がある。そうしたセンサ120は、容器110が(例えば、ゲル又は液体の)生体マトリックスで充填されたとき、再水和し、分析物を検知するように動作可能であり得る。1つ又は複数のセンサ120は、容器内に設置する前に滅菌され得る。1つ又は複数のセンサ120は、容器内に設置された後に滅菌され得る。
【0038】
[0040] いくつかの実施形態において、各センサ120は、単一の分析物を検出するように動作可能であり得る。例えば、各センサ120は、分析物特異的検知分子を含むことができる。こうした実施形態では、各対象の分析物を、その特定の対象の分析物に応じて信号を放射するように構成された1つ又は複数のセンサ120によって検出することができるように、好適な単一分析物センサを選択することができる。他の実施形態では、1つ又は複数のセンサ120は、2つ以上の分析物を検出するように動作可能であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、センサ120は、いかなる分析物にも依存しない参照信号を放射するように動作可能であり得る。分析物の存在、量及び/又は濃度を決定することは、分析物依存信号を分析物非依存(すなわち参照)信号と比較することを含み得る。
【0039】
[0041] 一実施形態において、1つ又は複数のセンサ120は、分析物の存在に応じて光信号を放射及び/又は伝送する。容器内の1つ又は複数のセンサによって伝送される光信号は、リーダ130(デバイス又はリーダデバイスとも称する)によって検出することができる。一態様では、リーダ130は、容器110の外部に位置することができる。
【0040】
[0042] 一実施形態において、センサ120は、±5%以下の精度、±0.5%以下の精度又は±0.05%以下の精度の%精度で分析物を検出し、ここで、精度は、実際の真の濃度に対してデバイスが読み取っているものを指す。
【0041】
インビトロ検知方法に有用なリーダ
[0043] 好適なリーダ130には、限定されないが、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第10,117,613号、米国特許第10,045,722号、米国特許第10,219,729号及び米国特許出願公開第2016/0374556号に記載のものが挙げられる。
【0042】
[0044] リーダは、典型的には、発光ダイオード(LED)、レーザ又はセンサ120の分析物特異的検知領域の発光色素又は他の好適な部分を照明及び/又は励起する光信号を放射するように構成された他の光源等、1つ又は複数のエミッタ132を含む。エミッタ132は、センサの参照部分を照明及び/又は励起するようにも動作可能であり得る。エミッタ132は、センサ120の検知部分及び/又は参照部分の励起帯域に対応する1つ又は複数の特定の波長で光を放射するように構成することができる。リーダ130は、典型的には、フォトダイオード、電荷結合素子(CCD)、光電子増倍管(SiPM)又は発光色素若しくは分析物特異的検知領域の他の好適な部分からの放射信号を検出するように構成された他の好適なデバイス等、1つ又は複数の検出器134も含む。検出器134は、センサの参照部分から信号を受け取るようにも動作可能であり得る。
【0043】
[0045] エミッタ132及び検出器134は、両方とも本質的に光学的であるため、リーダ130は、容器110内のセンサ120から、信号を、無線方式で及びサンプルを引き出さすに受け取るように動作可能であり得る。例えば、リーダ120は、生体マトリックスと、1つ又は複数のセンサ120とを含む容器110の外部に設置され得る。リーダ120は、対象の分析物の瞬間的な(例えば、10秒未満の)測定値を得るために、短期間にわたって容器110の外部に一時的に設置され得るか、又はリーダ120は、対象の分析物を生物学的プロセスのすべて又は一部を通して連続的にモニタリングすることができるように、生物反応が起こっている間、容器110の外部に取り付けられ得る。
【0044】
[0046] リーダは、データをデータハブに送信することができる。データの解析は、データハブ150で行うことができる。データハブ150は、プロセッサとメモリとを有する計算デバイスであり得る。データハブは、例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット、サーバ、クラウドコンピューティングサービス又は他の任意の好適なコンピューティングエンティティであり得る。データハブ150は、ローカル、オンサイト及び/又はリモートであり得る。例えば、データハブ150は、センサ120、リーダ130及び/又は容器110と同じ部屋又は建物内にあり得る。別の例として、データハブ150は、リモートデータセンタ又は分散型リモートコンピューティング環境にあり得る。リーダ130は、任意の好適な有線又は無線技術を介してデータハブにデータを送信することができる。
【0045】
[0047] 一実施形態では、リーダ130は、可撓性であり得る。可撓性リーダ130は、容器110の外部の形状に適合することができる。この可撓性の利点は、周囲光の排除、センサの効率的な励起及びセンサからの発光の効率的な収集を含む光学性能の最適化を含む。
【0046】
インビトロ検知方法に有用なデータ解析
[0048] 本明細書に記載される方法及びシステムにおいて有用なデータ解析手法が提供される。例示的なリーダとしては、限定されないが、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第10,117,613号、米国特許第10,045,722号、米国特許第10,219,729号、米国特許出願公開第2016/0374556号及び米国特許出願公開第2019/0200865号に記載されているものが含まれる。
【0047】
多重化及び無線検知
[0049] インビトロで分析物を検出及び測定する能力の改善が必要とされている。特に、複数のバイオリアクタの同時分析について改善が必要とされている。
【0048】
[0050] 一実施形態において、インビトロ検知方法は、例えば、図3に示すような多重化を含むことができる。一態様では、複数の容器又はバイオリアクタ(例えば、図3に示す容器A~H)の内容物を分析することができる。各容器は、生体マトリックス412を収容することができる。各容器内の生体マトリックス412は、同じであるか、同様であるか又は異なり得る。複数の容器の各々において、分析物の存在下で放射信号を生成するように動作可能な1つ又は複数のセンサ420を位置決めすることができる。一態様では、複数の容器の各々におけるセンサ420は、同じ分析物を検出し得る。一態様では、複数の容器の各々におけるセンサ420は、2つ以上の分析物を検出し得る。一態様では、個々の容器内のセンサ420は、1つ又は複数の分析物を検出し得る。一態様では、容器の1つ又は複数は、参照サンプル(例えば、対象の分析物の既知の量又は濃度を含むサンプル)を収容することができる。
【0049】
[0051] 一実施形態では、センサ420からの信号は、リーダ430によって検出することができる。リーダ430は、1つの容器又は複数の容器の外面上に位置することができる。リーダ430は、センサ420からの信号を連続的に、所定の期間にわたって連続的に又は周期的に検出することができる。
【0050】
[0052] いくつかの実施形態では、リーダ430は、複数の容器からセンサ420の信号を同時に検出することができる。他の実施形態では、単一のリーダ430は、単一の容器内からのセンサ信号を検出し得る。例えば、単一のリーダ430(又は任意の数のリーダ)は、複数の容器からの各容器の外部に選択的に位置決めすることができる。このように、各容器内のセンサ420によって発生する放射信号は、各容器のためのリーダ430を必要とすることなく、リーダによって逐次検出することができる。他の実施形態では、複数のリーダ430は、複数の容器内からのセンサ信号を同時に検出し得る。例えば、各容器の内容物を同時及び/又は連続的にモニタリングすることができるように、各容器の外部に異なるリーダ430を位置決めすることができる。
【0051】
[0053] リーダ430は、センサ信号データをデータハブに同時に送信することができる。データは、データハブにおいて解析することができる。データハブは、コンピュータ又は電子タブレット等の物理的なデバイス内に位置することができる。代わりに、データハブは、「クラウド」内、サーバ上又は1つ若しくは複数のデータ記憶デバイスに位置し得る。いくつかの実施形態では、リーダ430は、ローカルにデータを解析するように動作可能であり得る。例えば、リーダ430は、プロセッサ及びメモリを含み、対象の分析物の濃度、量又は存在のオンボード決定を行うように動作可能であり得る。こうしたオンボードデータ解析は、任意の好適な無線又は有線接続を介してデータハブに任意選択的に送信することができる。こうしたオンボードデータ解析は、インビトロ生物学的プロセスが起こっており、リーダがセンサ420から光信号を受け取っている間にデータハブに送信することができるか、又はこうしたデータは、モニタリングプロセスとは別にデータハブに送信することができる。例えば、リーダを容器から取り外し、データハブにプラグ接続又は無線接続することができる。
【0052】
[0054] 単一のリーダ430からのセンサ信号データを個別に解析し得るか、又は2つ以上のリーダ430からのセンサ信号データをまとめて解析し得る。
【0053】
基材及びハウジング材料
[0055] 本明細書に記載されるセンサは、溶液中に吊り下げるか、基材上に設置するか、又はそれらの組合せであり得る。
【0054】
[0056] 例示的な基材としては、光ファイバ、メッシュ等が挙げられる。例えば、図2に示すように、センサ320は、光ファイバ327基材を介して液体312に吊り下げることができる。こうした実施形態では、センサ320を励起することができ、リーダ330は、光ファイバ327基材を介してセンサ320からの放射信号を受け取ることができる。加えて又は代わりに、容器の内面に基材及び/又はセンサ320を設置し得る。
【実施例
【0055】
実施例
バイオ製造応用におけるインビトロ検知方法
[0057] 既知の方法を用いて、哺乳類細胞に基づく薬物の生産段階で分析物を検出して、それらのバッチが細胞増殖に好適な環境を有することを確実にすることを目的とするユーザが、バイオメディカルエンジニアに、容器からサンプルを手動で取り出して、好適な標的環境を示す対象の分析物を測定させる。エンジニアは、このサンプルを生産容器からNova BioのStat Profile Prime Plusシステムに運ぶ。サンプルは、物理的にデバイス内に挿入され、デバイスは、その後、所望の情報を出力する。同時に、別のエンジニアは、(例えば、別のバイオリアクタのバッチに対する)同じ試験の実施を希望し、そのため、両方のエンジニアは、機械が使用できるようになるまで待つ。
【0056】
[0058] 本明細書に記載される方法及びシステムを使用する予測的な例では、好適な標的環境を示す対象の分析物を測定する試験は、インビトロで行われることになる。本明細書に記載される方法を用いるインビトロ測定により、エンジニアの各々は、それぞれの生産容器の場所でそれらのバッチを同時に試験することができる。さらに、本明細書に記載されるインビトロ方法は、試験を実行するために細胞培養液(例えば、生体マトリックス)を除去する必要がないため、汚染の可能性を防止する。両方のエンジニア間の全体的な時間消費が低減し、これは、企業が自らの生産プロセスの品質を確保しながらコストを管理するのに役立つ。
【0057】
本明細書に記載される方法及び無線システムを使用するバイオ製造応用におけるインビトロ検知方法
[0059] 予測的な例において、ある小さい研究チームが、いくつかの細胞培養実験を行い、その結果を定量化することを望むものとする。その研究チームの資金及び人的資源は、限られており、大規模で資本集約的な実験室プロセス及び機器を導入することができない。本明細書に記載される方法及びシステムを使用して、センサがフラスコ内に設置され、無線リーダがフラスコの外側に設置される。数本のフラスコから開始して、プログラムが増大するに従って徐々にフラスコの使用数を増加させることができる。インビトロ測定は、研究チームの科学的なプロセスに有用であることが証明され、研究チームは、その資金力に応じて段階的に規模を拡大することができる。
【0058】
複数の分析物を同時に分析するために、本明細書に記載される方法及び無線システムを使用するバイオ製造応用におけるインビトロ検知方法
[0060] 予測的な例では、バイオ医薬品分野におけるユーザが、新たな治療標的を探索する方法を模索しているものとする。研究開発チームは、それぞれ最適と思われる成長環境が異なる多様な哺乳類細胞タイプをスキャンする戦略を特定する。さらなる生産のために最も効果的な組合せを決定するために、研究開発チームは、多くの小さいサンプルで実験マトリックスを構築する。最適解は、マルチパラメータ手法によって決定される。分析には、各容器内の多分析物の動態を検査することが含まれる。酸素、グルコース、pH及び乳酸塩を他のデータポイントと組み合わせて経時的に評価して、いずれのサンプルが規模拡大に最も期待できるかを判断する。本明細書に記載される方法及びシステムを使用して、各サンプルにおいてこれらの分析物の各々が無線でモニタリングされ、データが中央ハブに連続的に送信される。その後、データサイエンスチーム及びエンジニアリングチームが仮想的に連携し、すべてのサンプルにわたって比較分析を行う。このプロセスから規模拡大のためのいくつかの候補が特定され、実行不可能なサンプルが迅速に廃棄され、拘束時間及び資源が節約される。
【0059】
複数のサンプル中の単一の分析物を同時に分析するために、本明細書に記載される方法及び無線システムを使用するバイオ製造応用におけるインビトロ検知方法
[0061] 予測的な例では、あるバイオ医薬品企業が、規模拡大のための薬物開発プロセスの候補を決定したものとする。企業は、小規模の研究開発サンプル及びいくつかの中規模のプロセス開発バッチで細胞の増殖に成功したものとする。そこで、企業は、次のステップが、さらなる試験及び検証のためにいくつかの大規模な生産量のバッチを開発することであると決定する。このステップに進むために、企業は、そのプロセスの厳密な再現性を確保することになる。企業は、経験及び研究から、酸素添加の一貫性が哺乳類細胞培養の再現性に重要な要素であることを知っている。企業は、プロセスの各ステップで酸素のリアルタイムトレースをモニタリングし、回帰分析を用いて、規模とは無関係に各プロセスを通して酸素動態の許容可能なレベルの一貫性を確保する。中規模で一貫した結果が得られるという確信が得られると、企業は、生産レベルの量に移行する。
【0060】
細胞培養培地の交換を最適化するために、本明細書に記載される方法及び無線システムを使用するバイオ製造応用におけるインビトロ検知方法
[0062] 予測的な例では、あるバイオ医薬品企業が、ある細胞培養プロセスを研究開発段階からプロセス開発段階に規模拡大したものとする。規模が大きくなるにつれて、バッチごとのコストが大幅に増加する。例えば、細胞培養培地は、プロセス開発に関連する重要な変動コストである。エンジニアリングチームの目標の1つは、効果的なコスト管理(すなわち細胞培地の交換が早すぎないこと)と、最適な細胞増殖(すなわち「対数期細胞増殖」段階での時間を最大化すること)との適切なバランスを取ることであり、これは、培養中に利用可能な栄養分が十分に存在することで促進される。多分析物検出を含む、本明細書に記載される方法及びシステムの使用を通して、エンジニアは、細胞培地を交換する前に、操作する境界条件を定量化する。境界条件が満たされると、データ解析ハブは、細胞培養培地の交換に最適な時期を通知するアラームをトリガする。1バッチあたりの時間及びコストが最適化され、データは、将来のプロセス管理のためにチームに利用可能になる。
【0061】
[0063] 様々な実施形態について上述したが、それらは、限定ではなく、単に例として提示されていることが理解されるべきである。上述した概略図及び/又は実施形態が、いくつかの向き又は位置に配置されたいくつかの構成要素を示す場合、構成要素の配置は、変更され得る。実施形態について特に示し、記載したが、形態及び詳細における様々な変更形態がなされ得ることが理解されるであろう。様々な実施形態について、特定の特徴及び/又は構成要素の組合せを有するものとして記載したが、上述したような実施形態の任意のものからの任意の特徴及び/又は構成要素の組合せを有する他の実施形態も可能である。
【0062】
[0064] 上述した方法及び/又は事象が、いくつかの事象及び/又は手順が特定の順序で発生することを示す場合、いくつかの事象及び/又は手順の順序は、変更され得る。さらに、いくつかの事象及び/又は手順は、上述したように逐次行うだけでなく、可能な場合には並列プロセスで同時に行われ得る。
【0063】
[0065] 本明細書で用いる場合の「分析物」という用語は、本明細書において提供する方法、装置及びシステムで検出される任意の分子又は化合物を指す。分析物は、典型的には、細胞培養等の生物学的プロセス及び/又は生化学的反応に関連する生化学的分子及び/又はイオンである。好適な分析物としては、限定されないが、酸素、グルコース、二酸化炭素、乳酸塩、プロトン(H)、重炭酸(HCO )が挙げられる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】