(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】注射器ホルダ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/00 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
A61M5/00 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562838
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2022-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2021058535
(87)【国際公開番号】W WO2021213790
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アブヒラシュ・ユーセフ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ヴィクルンド
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066LL22
(57)【要約】
本発明は、自己注射器のためのシリンジホルダ(10)であって、シリンジホルダ(10)が、軸線(18)の周りにおいて周方向(19)に延在している管状本体(12)であって、軸線方向において軸線(18)に沿って近位端(14)から遠位端(16)に至るまで延在している管状本体(12)を備えており、管状本体(12)が、管状本体(12)の遠位端(16)から延在している切欠部と、可撓性を有する伸縮継手(70)とを備えており、伸縮継手(70)が、周方向(19)において切欠部に亘って延在している、シリンジホルダに関する。また、本発明は、自己注射器のためのシリンジホルダ(10)であって、軸線(18)の周りにおいて周方向(19)に延在している管状本体(12)であって、管状本体(12)が、軸線方向において軸線(18)に沿って近位端(14)から遠位端(16)に至るまで延在しており、管状本体(12)が、内面(20)と外面(22)とを備えている、管状本体(12)と、管状本体(12)に設けられた第1の切欠部(30)であって、軸線方向において管状本体(12)の近位端(14)から延在している第1の切欠部(30)と、を備えているシリンジホルダ(10)において、シリンジホルダ(10)が、管状本体(12)の内面(20)に設けられた凹所(40)であって、軸線方向において管状本体(12)の遠位端(16)から延在している凹所(40)、又は、管状本体(12)に設けられた第2の切欠部(50)であって、軸線方向において管状本体(12)の遠位端(16)から延在している第2の切欠部(50)、をさらに備えている、シリンジホルダに関する。本願には、様々な他の代替例及び好ましい実施例が説明されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己注射器のためのシリンジホルダ(10)であって、
前記シリンジホルダ(10)が、軸線(18)の周りにおいて周方向(19)に延在している管状本体(12)であって、軸線方向において前記軸線(18)に沿って近位端(14)から遠位端(16)に至るまで延在している前記管状本体(12)を備えており、
前記管状本体(12)が、前記管状本体(12)の前記遠位端(16)から延在している切欠部と、可撓性を有する伸縮継手(70)とを備えており、前記伸縮継手(70)が、前記周方向(19)において前記切欠部に亘って延在していることを特徴とするシリンジホルダ。
【請求項2】
前記管状本体(12)が、内面と外面とを備えており、
前記管状本体(12)が、前記内面に凹所を備えていることを特徴とする請求項1に記載のシリンジホルダ。
【請求項3】
前記管状本体が、窓を備えており、
前記窓が、前記軸線方向に延在しており、前記管状本体の前記遠位端及び前記近位端から離隔して配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシリンジホルダ。
【請求項4】
前記管状本体が、2つの前記窓を備えており、
前記窓それぞれが、前記軸線方向に延在しており、前記管状本体の前記遠位端及び前記近位端から離隔して配置されていることを特徴とする請求項3に記載のシリンジホルダ。
【請求項5】
前記管状本体が、前記管状本体の前記近位端から延在している近位端切欠部を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のシリンジホルダ。
【請求項6】
2つの窓のうち第1の窓が、前記切欠部の近位端から延在しており、
2つの窓のうち第2の窓が、近位端切欠部の遠位端から延在していることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のシリンジホルダ。
【請求項7】
前記凹所が、前記管状本体の前記遠位端から延在していることを特徴とする請求項2~6のいずれか一項に記載のシリンジホルダ。
【請求項8】
前記凹所が、前記凹所の近位端において、前記凹所の遠位端における深さより深いことを特徴とする請求項2~7のいずれか一項に記載のシリンジホルダ。
【請求項9】
前記凹所の前記内面の一部分が、前記軸線に対して傾斜していることを特徴とする請求項2~8のいずれか一項に記載のシリンジホルダ。
【請求項10】
前記管状本体が、前記管状本体の前記遠位端から延在している第2の切欠部を備えており、
前記第2の切欠部が、前記周方向において前記切欠部から離隔して配置されており、
前記第2の切欠部の近位端が、前記凹所の遠位端に隣接していることを特徴とする請求項2~9のいずれか一項に記載のシリンジホルダ。
【請求項11】
自己注射器のためのシリンジホルダ(10)であって、
軸線(18)の周りにおいて周方向(19)に延在している管状本体(12)であって、前記管状本体(12)が、軸線方向において前記軸線(18)に沿って近位端(14)から遠位端(16)に至るまで延在しており、前記管状本体(12)が、内面(20)と外面(22)とを備えている、前記管状本体(12)と、
前記管状本体(12)に設けられた第1の切欠部(30)であって、前記軸線方向において前記管状本体(12)の前記近位端(14)から延在している前記第1の切欠部(30)と、
を備えている前記シリンジホルダ(10)において、
前記シリンジホルダ(10)が、
前記管状本体(12)の前記内面(20)に設けられた凹所(40)であって、前記軸線方向において前記管状本体(12)の前記遠位端(16)から延在している前記凹所(40)、又は、
前記管状本体(12)に設けられた第2の切欠部(50)であって、前記軸線方向において前記管状本体(12)の前記遠位端(16)から延在している前記第2の切欠部(50)、
をさらに備えていることを特徴とするシリンジホルダ。
【請求項12】
前記管状本体(12)が、前記管状本体(12)に設けられた第2の切欠部を備えており、
前記第2の切欠部が、前記軸線方向において前記管状本体(12)の前記遠位端から延在しており、
前記管状本体(12)が、前記第2の切欠部の近位端から延在している凹所を備えていることを特徴とする請求項11に記載のシリンジホルダ。
【請求項13】
前記軸線方向に対して垂直な方向において、前記凹所の遠位端における前記凹所の深さが、前記凹所の近位端における前記凹所の深さより深いことを特徴とする請求項11又は12に記載のシリンジホルダ。
【請求項14】
前記凹所が、薬剤送達装置の組み立ての際にシリンジが前記シリンジホルダに挿入された場合に、シリンジの一部分を受容するように構成されていることを特徴とする請求項2~13のいずれか一項に記載のシリンジホルダ。
【請求項15】
前記請求項1~14のいずれか一項に記載のシリンジホルダを備えていることを特徴とする自己注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自己注射器のような薬剤送達装置のためのシリンジホルダに関し、特に、凹所、切欠部、又は伸縮継手を具備するシリンジホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自己注射器のような薬剤送達装置は、通常、自己注射器の内部にシリンジを支持するためのシリンジホルダを含んでいる。シリンジホルダの例は、特許文献1に開示されている。このようなシリンジホルダは、良好に機能するが、シリンジをシリンジホルダに挿入することが困難であり、特にバイパスを含むシリンジの場合には、シリンジをシリンジホルダに挿入する際にシリンジホルダを損傷させる恐れがある。出願人は、この問題を軽減するために、シリンジホルダに改良可能であることを理解している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/089620号
【特許文献2】国際公開第2011/123024号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、参照すべき添付の特許請求の範囲によって定義される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、“遠位方向”との用語が使用される場合には、これは、薬剤送達装置の使用中に投薬部位(dose delivery site)から離隔するように向いている方向を意味する。“遠位部/遠位端”との用語が使用される場合には、これは、薬剤送達装置の使用中に投薬部位から最も離隔して配置された薬剤送達装置の部分/端、又は薬剤送達装置の部材の部分/端を意味する。対応して、“近位方向”との用語が使用される場合には、これは、薬剤送達装置の使用中に投薬部位に向かうように向いている方向を意味する。“近位部/近位端”との用語が使用される場合には、これは、薬剤送達装置の使用中に投薬部位に最も近接して配置された薬剤送達装置の部分/端、又は薬剤送達装置の部材の部分/端を意味する。
【0006】
さらに、“長手方向の”、“長手方向に”、“軸線方向に”、及び“軸線方向の”との用語は、近位端から遠位端に至るまで薬剤送達装置又はその構成要素に沿って延在している方向、典型的には薬剤送達装置又は構成要素の最大伸長方向に延在している方向を意味する。
【0007】
同様に、“径方向の”及び“径方向に”との用語は、軸線から延在していると共に長手方向に対して略垂直とされる方向を意味する。
【0008】
本発明の第1の実施態様は、自己注射器のためのシリンジホルダであって、シリンジホルダが、軸線の周りにおいて周方向に延在している管状本体であって、軸線方向において軸線に沿って近位端から遠位端に至るまで延在している管状本体を備えており、管状本体が、管状本体の遠位端から延在している切欠部と、可撓性を有する伸縮継手とを備えており、伸縮継手が、周方向において切欠部に亘って延在している、シリンジホルダを提供する。好ましくは、伸縮継手は、周方向において撓むように構成されている。特にシリンジがバイパスを有する場合に、シリンジホルダは、シリンジをシリンジホルダに挿入する際に及びその後にシリンジホルダに作用する応力の緩和に貢献する。また、組立の際に及びその後における部品の破損が低減される。例えば伸縮継手を設けることによってシリンジホルダの可撓性を高めると、組立のために利用される工具に作用する力が低減されるので、その結果として、工具を長持ちさせることができる。
【0009】
好ましくは、管状本体は、内面及び外面を備えており、管状本体は、内面に凹所を備えている。凹所を設けることによって、シリンジを挿入する際にシリンジホルダを変形させる必要が低減又は解消される。
【0010】
好ましくは、管状本体が、窓を備えており、窓が、軸線方向に延在しており、管状本体の遠位端及び近位端から離隔して配置されている。好ましくは、管状本体が、2つの窓を備えており、窓それぞれが、軸線方向に延在しており、管状本体の遠位端及び近位端から離隔して配置されている。1つ以上の窓を設けることによって、例えば、シリンジを挿入する際にシリンジホルダが容易に撓み易くなるので、及び/又はシリンジホルダを引っ張らないでシリンジを挿入した後にシリンジバイパスが延在するための空間が提供されるので、シリンジに作用する応力が低減される。好ましくは、2つの窓が設けられる場合には、窓は、軸線に関して対向している。代替的に又は追加的に、窓を設けることによって、自己注射器の組立後であっても、シリンジの内部の薬剤を視認することができる。好ましくは、窓は、周方向より軸線方向にさらに延在している。
【0011】
好ましくは、管状本体は、管状本体の近位端から延在している近位端切欠部を備えている。このことは、シリンジホルダの可撓性を高め、シリンジホルダ及びシリンジに作用する応力を低減することに貢献し、シリンジを支持することにも貢献する。
【0012】
2つの窓のうち第1の窓が、切欠部の近位端から延在しており、2つの窓のうち第2の窓が、切欠部の遠位端から延在している。凹所が、管状本体の遠位端から延在している。凹所が、凹所の近位端において、凹所の遠位端における深さより深い。凹所の内面の一部分が、軸線に対して傾斜している。このような凹所の特徴によって、シリンジがシリンジホルダから脱落することが防止される。代替的には、凹所は、凹所の遠位端において、凹所の近位端における深さより深い。これにより、容易にシリンジをシリンジホルダに挿入することができる(例えば、
図8参照)。
【0013】
好ましくは、管状本体が、管状本体の遠位端から延在している第2の切欠部を備えており、第2の切欠部が、周方向において切欠部から離隔して配置されており、第2の切欠部の近位端が、凹所の遠位端に隣接している。これにより、シリンジホルダの可撓性がさらに高められ、シリンジホルダに作用する応力が低減される。また、シリンジホルダへのシリンジの挿入が容易になる。好ましくは、伸縮継手は、管状本体の近位端より管状本体の遠位端に近接して配置されている。
【0014】
本発明の第2の実施態様は、自己注射器のためのシリンジホルダであって、軸線の周りにおいて周方向に延在している管状本体であって、管状本体が、軸線方向において軸線に沿って近位端から遠位端に至るまで延在しており、管状本体が、内面と外面とを備えている、管状本体と、管状本体に設けられた第1の切欠部であって、軸線方向において管状本体の近位端から延在している第1の切欠部と、を備えているシリンジホルダにおいて、シリンジホルダが、管状本体の内面に設けられた凹所であって、軸線方向において管状本体の遠位端から延在している凹所、又は、管状本体に設けられた第2の切欠部であって、軸線方向において管状本体の遠位端から延在している第2の切欠部、をさらに備えている、シリンジホルダを提供する。本発明の第1の実施態様と同様に、当該構成は、特にシリンジがバイパスを有している場合に、シリンジをシリンジホルダに挿入する際に及びその後にシリンジホルダに作用する応力を緩和するのに貢献する。また、組立の際に及びその後における部品の破損を低減させるのに貢献する。例えば伸縮継手を設けることによってシリンジホルダの可撓性を高めると、組立のために利用される工具に作用する力が低減されるので、その結果として、工具を長持ちさせることができる。
【0015】
好ましくは、管状本体が、管状本体に設けられた第2の切欠部を備えており、第2の切欠部が、軸線方向において管状本体の遠位端から延在しており、管状本体が、第2の切欠部の近位端から延在している凹所を備えている。これにより、シリンジホルダの可撓性をさらに高められ、シリンジホルダに作用する応力が低減される。また、シリンジホルダへのシリンジの挿入を容易になる。
【0016】
好ましくは、軸線方向に対して垂直な方向において、凹所の遠位端における凹所の深さが、凹所の近位端における凹所の深さより深い。これにより、シリンジがシリンジホルダから脱落することが防止される。
【0017】
好ましくは、第1の実施態様又は第2の実施態様の凹所は、薬剤送達装置の組み立ての際にシリンジがシリンジホルダに挿入された場合に、シリンジの一部分を受容するように構成されている。好ましくは、シリンジの当該一部分は、シリンジのバイパスである。
【0018】
本発明の第3の実施態様は、上述のシリンジホルダを具備する自己注射器を提供する。好ましくは、自己注射器は、シリンジホルダの内部にシリンジを備えている。好ましくは、シリンジは、バイパスを備えている。好ましくは、バイパスは、シリンジホルダの切欠部、凹所、又は窓を通じて延在している。
【0019】
本発明の第4の実施態様は、自己注射器のためのシリンジホルダであって、軸線の周りにおいて周方向に延在している管状本体であって、軸線方向において近位端から遠位端に至るまで軸線に沿って延在している管状本体を備えているシリンジホルダにおいて、管状本体が、内面及び外面を備えていると共に、管状本体に窓を備えており、窓が、軸線方向に延在していると共に、管状本体の遠位端及び近位端から離隔して配置されており、管状本体が、
-内面に設けられた凹所であって、管状本体の遠位端から延在している凹所と、
-管状本体の遠位端から延在している切欠部と、
-周方向において撓むように構成されている伸縮継手と、
のうち少なくとも1つを備えている、自己注射器用のシリンジホルダを提供する。
【0020】
好ましくは、管状本体は、内面に凹所を備えており、凹所は、凹所の近位端において、凹所の遠位端における深さより深い。好ましくは、管状本体は、遠位端から延在している切欠部を備えており、管状本体は、切欠部の近位端から軸線方向に延在している凹所を備えている。好ましくは、管状本体は、管状本体の近位端から延在している第2の切欠部を備えている。
【0021】
本発明の第5の実施態様は、自己注射器のシリンジを受容するためのシリンジホルダであって、外面及び内面を具備する管状本体を備えているシリンジホルダにおいて、内面が、シリンジのバイパス部分を受容するように構成されている凹所又は切欠部を備えており、シリンジホルダが、近位端にC字状のクリップを備えている、シリンジホルダを提供する。
【0022】
一般に、特許請求の範囲に使用されるすべての用語は、本明細書において明示的に別段定義されない限り、技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきである。“1つの”又は“前記”が付された要素、装置、部材、構成要素、手段等に対するすべての参照は、明示的に別段の記載がない限り、当該要素、装置、部材、構成要素、手段等の少なくとも1つの例示を指示するものとして広義に解釈されるべきである。
【0023】
本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ、例示のみを目的として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】
図1に表わすシリンジホルダの異なる斜視図である。
【
図3】
図1に表わすシリンジホルダの近位部分の断面斜視図である。
【
図4】
図1に表わすシリンジホルダの大部分を表わす断面斜視図である。
【
図5】他の実施例におけるシリンジホルダの斜視図である。
【
図6】他の実施例におけるシリンジホルダの斜視図である。
【
図7】他の実施例におけるシリンジホルダの斜視図である。
【
図8】他の実施例におけるシリンジホルダの斜視図である。
【
図9】他の実施例におけるシリンジホルダの斜視図である。
【
図10】
図9に表わすシリンジホルダの側面図である。
【
図11】他の実施例におけるシリンジホルダの斜視図である。
【
図12】他の実施例におけるシリンジホルダの斜視図である。
【
図14】他の実施例におけるシリンジホルダの斜視図である。
【
図15】
図14に表わすシリンジホルダの異なる斜視図である。
【
図16】他の実施例におけるシリンジホルダの斜視図である。
【
図17】他の実施例におけるシリンジホルダの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1~
図4は、自己注射器のためのシリンジホルダ10を表わす。シリンジホルダ10は、軸線18に関する軸線方向において近位端14から遠位端16に至るまで、且つ、周方向19において軸線18の周りに延在している管状本体12を備えている。シリンジホルダに作用する応力の低減を補助するために、例えば、複数の可能なシリンジホルダ構造体を設けることが想定される。一の実施例では、管状本体12は、管状本体の遠位端から延在している切欠部と、周方向において切欠部に亘って延在している可撓性を有する伸縮継手70とを備えている。他の実施例では、管状本体12は、内面20と、外面22と、軸線方向において管状本体12の近位端14から延在している第1の切欠部30とを備えており、さらには、管状本体12は、管状本体12の内面20に配設された凹所40であって、軸線方向において管状本体12の遠位端16から延在している凹所40、又は管状本体12に配設された第2の切欠部50であって、軸線方向において管状本体12の遠位端16から延在している第2の切欠部50を備えている。
【0026】
次に、
図1~
図4に表わす実施例について、詳述する。この特定の実施例では、軸線18に関して互いに反対側に配置されている2つの窓60が設けられている。また、軸線18に関して互いに反対側に配置されている2つの凹所40が設けられている(凹所40は、例えば
図2に直接表示されており、凹所が直接表示されていない例えば
図1のような一部の図面では、凹所を形成する構造体には、参照数字40が付されているが、破線で表示されている)。窓及び凹所は、軸線方向で見ると互いに重なり合っており、周方向19で見ると離隔配置されている(代替的には、周方向で見ても互いに隣接しているか、又は重なり合っている場合がある)。言い換えれば、管状本体の周方向で見ると、第1の窓、第1の凹所、第2の窓、及び第2の凹所の順に設けられており、最終的に第1の窓に戻るように配設されている。
【0027】
また、管状本体の近位端14から軸線方向に延在している切欠部30が設けられている。当該実施例では、切欠部30の遠位端は、2つの窓のうち第2の窓の近位端に隣接している。従って、当該実施例では、管状本体の近位端は、第1の切欠部30を除いて、軸線の周りに延在している。切欠部30を設けることによって、管状本体12の近位端の形状が、C字状のクリップと呼称される形体となる。これにより、シリンジの近位端をC字状のクリップの内側に支持することによって、シリンジが、シリンジホルダの内部に支持可能となる。
【0028】
当該実施例では、互いに同一な2つの凹所40が設けられている。特に
図2~
図4は、当該実施例における凹所の特定の構造を表わす。凹所40は、遠位端より近位端の方が深くなっている。また、凹所40は、周方向において、遠位端より近位端の方が狭くなっている。凹所は、2つの部分すなわち近位部分42及び遠位部分44として考えることができる。遠位部分44の表面は、軸線方向において軸線に対して傾斜しているので、凹所の遠位部分44は、遠位部分の遠位端より遠位部分の近位端の方が深くなっている。また、遠位部分44の周方向の幅は、軸線方向において減少していると共に、遠位部分44は、周方向において、遠位部分の近位端より遠位部分の遠位端の方が広くなっている。事実上、遠位部分の遠位端がより広くなっているので、シリンジのバイパスと凹所との位置合わせが容易になる。近位部分においてより深く設けることによって、シリンジがシリンジホルダの内部に完全に挿入されると、シリンジを迂回させるための空間が形成され、シリンジが脱落しにくくなる。凹所が遠位端において浅くなっているからである。このことについては、以下において詳述する。
【0029】
当該実施例では、シリンジホルダは、伸縮継手70が設けられた第3の切欠部から離隔した遠位端において、軸線の全周に亘って延在している。伸縮継手は、2つの窓のうち第1の窓の遠位端に設けられる。伸縮継手は可撓性を有しており、伸縮継手の変形によって、シリンジがシリンジホルダの内部に追加された場合に遠位端の直径を大きくすることができる。また、可撓性を有している伸縮継手は、射出成形の際に部品の取り出し(排出又は離型)に貢献する。伸縮継手の可撓性が、凹所が近位端において深くなっていることに起因して、アンダーカット、例えば溝(突出部)のようなコアピンからの、溝を具備するシリンジホルダの取り外しを容易にするからである。このような特定の実施例では、伸縮継手はV字状とされるが、他の形状であっても良い。以下に詳述するように、伸縮継手は、概して任意である。
【0030】
窓60のうち一方の窓は、第1の切欠部30から延在しているが(切欠部の一部とみなすことができる)、窓は、軸線方向において第1の切欠部から離隔配置されている。他方の窓は、長手方向において伸縮継手に隣接している。代替的には、当該窓は、伸縮継手から離隔配置されているが、軸線方向において窓を伸縮継手に隣接して配置させることによって、シリンジを収容するためにシリンジホルダを撓ませることが容易になる。言い換えれば、第3の切欠部は遠位端から延在しており、伸縮継手は第3の切欠部の内部に配置されており、窓は第3の切欠部の任意の延長部分である。
【0031】
伸縮継手の代わりに、切欠部(遠位端切欠部)を伸縮継手の位置に(切欠部に伸縮継手を設けないで)配設させる場合がある。これにより、シリンジがシリンジホルダに押し込まれた場合に、シリンジホルダの遠位端の直径を大きくすることができる。幾つかの場合では、例えばシリンジホルダの構造的一体性を実現するためには、伸縮継手が望ましい。しかしながら、幾つかの場合では、遠位端切欠部が望ましい。例えば、切欠部を設けるだけで、シリンジホルダの製造を簡略化することができる。
【0032】
1つ以上のバイパスを具備するシリンジが本発明におけるシリンジホルダに挿入されている場合には、(典型的には、例えば針のような薬剤送達部材を含む)シリンジの近位端が、シリンジホルダの遠位端に挿入される。
図1に表わす実施例では、バイパスは、凹所と位置合わせされている。複数のバイパスが複数の凹所に入ると、複数の凹所がバイパスを収容するために互いから僅かに離隔するように移動される。伸縮継手が可撓性を有しているからである。当該実施例では、凹所は、凹所の遠位端より凹所の近位端の方が深いので、バイパスが近位端に到達すると、空間が広くなり、シリンジホルダを変形させる必要が無くなるので、元の弛緩した状態に戻る。
【0033】
図1に表わす実施例では、凹所の深さは、傾斜した凹所の表面(管状本体の内面)に起因して、凹所の遠位端より近位端の方が大きい。このことは、1つ以上のバイパスを収容するために空間が近位端に向かって大きくなっていることを意味する。その結果として、シリンジが、シリンジホルダの内部に深く押し込まれるに従って、シリンジホルダが、バイパスを収容するために撓む必要が無くなる。
【0034】
伸縮継手に加えて(又は伸縮継手を具備しない実施例では、伸縮継手の代替として)、管状本体の残りの部分も可撓性を有しており、本発明におけるシリンジホルダの幾つかの構成的特徴は、このような可撓性を補助する。例えば、近位端は、可撓性を有しており、近位端切欠部30(例えば
図5のような実施例では、複数の切欠部)に起因して、自身の直径を僅かに大きくすることができる。また、窓60を設けることによって、特にシリンジホルダの中央部分を屈曲させることができる。最後に、切欠部又は窓が存在しない段階であっても、構造をある程度屈曲させることができる(シリンジホルダの構造が1つ以上のバイパスを収容するために僅かに楕円状になる)が、これはシリンジホルダにとって相当な応力の原因となり、このような変形は、依然として可能ではあるが、典型的には、本明細書で説明する例示的なシリンジホルダの構造によって最小限度に抑えられるか、又は完全に回避される。本明細書の実施例では、軸線方向の長さの大部分又はすべてに亘って、窓、切欠部、及び/又は凹所が設けられている。例えば
図1、
図5、及び
図14に表わす実施例では、軸線方向の全長に亘って、窓、切欠部、及び/又は凹所が設けられている。このような組み合わせが、1つ以上のバイパスを具備するシリンジの挿入の際に発生する応力の低減に貢献する。
【0035】
図5は、他の実施例におけるシリンジホルダを表わす。2つの近位端切欠部は、軸線方向において近位端から延在している。2つの遠位端切欠部は、軸線方向において遠位端から延在している。2つの遠位端切欠部それぞれの近位端には、凹所40が軸線方向において延在している。これら凹所40は、当該凹所が傾斜していると共に当該凹所の遠位端が当該凹所の近位端より深い、入口面取り部と考えることができる。近位端切欠部は、軸線方向において遠位端切欠部と位置合わせされている(すなわち、近位端切欠部と遠位端切欠部とは、周方向において重なり合っている)。また、2つの窓が設けられており、窓は、周方向において切欠部から離隔して配置されている(切欠部が軸線方向において重なり合っていない実施例では、窓は、周方向において切欠部に隣接しているか、又は重なり合っている)。2つのバイパスを具備するシリンジがシリンジホルダの内部に配置された場合には、バイパスは、近位端切欠部の内部に延在している。一般に、バイパスを具備するシリンジがシリンジホルダに挿入された後に、バイパスを収容するための切欠部(又は
図1に表わす凹所)を設けることが、有益である。その後の輸送及び保管の際におけるバイパスに起因するシリンジホルダの継続的な歪みが低減又は回避されるからである。2つの近位端切欠部を有することは、シリンジホルダが180度の回転対称性を有することを意味する。このことは、組立時の方向付けを容易にすることができる。
【0036】
図6は、他の実施例におけるシリンジホルダを表わす。
図5に表わす実施例のように近位端14から延在している2つの近位端切欠部を設ける代わりに、近位端14から離隔している2つの窓62が設けられており、単一の近位端切欠部が近位端に設けられている(C字状のクリップ構造体が管状本体の近位端に設けられている)。遠位端の構造は、
図5に関して説明した構造と同一である。2つのバイパスを具備するシリンジがシリンジホルダに配置された場合には、バイパスは、近位端から離隔して配置された切欠部の内部に延在している。
図7は、
図11と同様に、
図6に表わす実施例と非常に類似している他のシリンジホルダを表わす。
図6、
図7、及び
図11の間には形体上の相違点が存在するが、このような相違点は、説明中の発明の基本的な特徴ではないので、詳細な説明は省略する。
【0037】
図8は、他の実施例におけるシリンジホルダを表わす。
図8に表わすシリンジホルダの構成は、
図5に表わす構成と
図6及び
図7に表わす構成との中間の構成である。当該構成は、
図6及び
図7に表わす構成と基本的に同一であると説明することができるが、窓62のうち一の窓が(軸線方向において窓60と位置合わせされるのではなく)軸線方向において近位端切欠部と位置合わせされるように、近位端切欠部が周方向において90度回転されている。
【0038】
図9及び
図10は、他の実施例におけるシリンジホルダを表わす。遠位端の構成は、例えば
図5のような従前の図面で説明した構成と同一である。シリンジホルダは、単一の近位端切欠部30を有している。2つの窓60が設けられており、一方の窓は、軸線方向において近位端切欠部30と位置合わせされており、他方の窓は、近位端切欠部30の反対側で軸線に配置されている。遠位端切欠部は、軸線方向において窓62と位置合わせされている。2つの窓62は、近位部分64と遠位部分65とを有しており、近位部分は、周方向において遠位部分より広い。シリンジがシリンジホルダの内部に配置された場合には、バイパスが窓62の近位部分64の内側に配置される。また、窓の比較的薄肉の遠位部分65が、シリンジをシリンジホルダに挿入する際にバイパスを部分的又は全体的に受容するので、シリンジの挿入の際にシリンジホルダに作用する応力を低減させることができる。
【0039】
図12及び
図13は、他の実施例におけるシリンジホルダを表わす。遠位端の構成は、例えば
図5のような従前の図面で説明した構成と同一である。近位端には、単一の近位端切欠部が設けられている(その結果として、再びC字状のクリップ構造となる)ので、当該近位端切欠部は、窓62のうち一の窓と位置合わせされる。2つの窓62が設けられており、窓は、軸線方向において遠位端切欠部50と位置合わせされている。
【0040】
図9及び
図10並びに
図12及び
図13の構成は、窓60を含んでいない。一般に、窓60の有無は任意であるが、窓が設けられている場合には、例えばシリンジを挿入する際にシリンジホルダに作用する応力/歪みが低減されること、及びシリンジをシリンジホルダの内部に配置した後であってもシリンジの内部の薬剤を視認可能であることのような、幾つかの利点が提供される。薬剤の視認を可能にする窓60が存在しない構成では、シリンジホルダの一部又は全体が透明になっている。これにより、特注の薬剤視認窓が設けられていなくても、薬剤を視認することができる。典型的には、シリンジがシリンジホルダの内部に配置された場合にシリンジのバイパスのための空間を確保するように設けられる窓62では、バイパスからの干渉に起因して、必ずしも薬剤を明瞭に視認することはできない。
【0041】
図14及び
図15は、他の実施例におけるシリンジホルダを表わす。管状本体の遠位端には、2つの遠位端切欠部が、軸線に関して対向して設けられている。遠位端切欠部それぞれの近位端には、凹所が、軸線方向において延在している。凹所それぞれの近位端には、窓62が、軸線方向において延在している。凹所同士の間には、2つの窓60が設けられている。管状本体の近位端には、単一の近位端切欠部(すなわち、C字状のクリップ構造)が設けられており、近位端切欠部は、軸線方向において窓60のうち一の窓と位置合わせされている。
【0042】
図16は、特に
図1及び
図6に表わす実施例の要素を具備する他の実施例におけるシリンジホルダを表わす。2つの凹所40は、管状本体12の遠位端から延在している。遠位端の切欠部は設けられていない。近位端は、C字状のクリップすなわち近位端切欠部30を有している。窓60は、近位端切欠部の遠位端から延在しており、(視認できない)第2の窓も、軸線に関して窓の反対側に設けられている。また、2つの窓62が設けられている。
図17は、他の実施例におけるシリンジホルダを表わす。当該シリンジホルダは、
図16に表わす実施例と同一であるが、窓62の代わりに2つのバイパス凹所63を備えている。
【0043】
概して、シリンジホルダ10は、例えば自己注射器のような薬剤送達装置のためのシリンジホルダである。本明細書に記載されたシリンジホルダは、一般的なシリンジにも有用であるが、シリンジホルダに挿入されているシリンジが、少なくとも1つのバイパス(外部バイパス)を具備するデュアルチャンバーシリンジである場合には特に有用である。バイパスは、シリンジの残りの部分と比較してシリンジの中心軸線からさらに突出することによって、シリンジの幅を大きくするようになっているからである。本出願の文脈では、シリンジは、典型的には、例えば自己注射器のような、薬剤送達装置に内蔵される薬剤容器である。このようなシリンジは、典型的には、例えば針のような薬剤送達部材を針シールドと共に含んでいる。例えば、本明細書に記載のシリンジホルダを含んでいる完成した自己注射器は、典型的には、ハウジングと、ハウジングに収容されたシリンジホルダと、シリンジ(一般に、上述のように1つ以上のバイパスを具備するデュアルチャンバーシリンジ)と、キャップとを含んでいる。自己注射器の例示は、特許文献2に開示されており、当該特許文献の全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0044】
典型的には、シリンジは、シリンジの対向する側面それぞれにバイパスを有しているか、又は、周方向においてシリンジの周囲に離隔配置された1つ又は3つ以上のバイパスを有しており、シリンジホルダは、シリンジのバイパスに対応するように構成されている。従って、実施例では2つの凹所を例示しているが、いずれの場合においても1つの凹所のみが必要とされる(実施例における窓や切欠部についても同様である)。幾つかの実施例では、一のバイパスのみが設けられていたとしても、2つの凹所又は切欠部が軸線に関して対向して設けられている。これにより、180度の対称性が提供され(但し、例えばC字状のクリップのような幾つかの形体は180度の対称性を必要としない)、組み立てが容易になるからである。よって、シリンジホルダは、単一のバイパスを具備する場合であっても、2つの異なる配向で機能することができる。
【0045】
本発明の様々な実施例における管状本体12は、軸線に対して垂直な断面がシリンダー状である筒状体として図示されているが、他の形状であっても良い。内面20は、実質的に軸線に向かって面している管状本体の表面とされ、外面22は、実質的に軸線の反対側に面している管状本体の表面である。
【0046】
図1において、切欠部30(近位端切欠部)は、伸縮継手70に対して軸線の反対側に図示されているが、例えば同じ側(周方向において重なり合っている)、又は周方向において90度離隔した位置(
図1に表わす180度ではない)のような異なる位置に配置されても良い。一の切欠部30ではなく、2つ以上の切欠部が設けられる場合もある。一の近位端切欠部を具備する場合には、シリンジホルダの近位端は、C字状のクリップとみなされる。代替的には、幾つかの実施例では、近位端切欠部30が設けられていない。
【0047】
同様に、本明細書では、凹所40が設けられている場合として、2つの凹所を有する実施例が示されている。しかしながら、代替的には、1つ又は3つ以上の凹所が設けられていても良く、本明細書に示される実施例は、図示の2つの凹所の代わりに一の凹所のみを有するように完全に変更することができる。例えば
図1に表わす凹所のような凹所を切欠部に置き換えたり、(
図5以降の実施例のように)切欠部と組み合わせたりすることができる。一般に、凹所を設ける場合には、管状本体の内面の一部が凹所の表面となる。凹所の表面は、軸線に対して平行とされるか(例えば
図15参照)、又は例えば
図2、
図16、及び
図17のように、軸線(
図2に表わす近位部分42)に対して部分的に平行とされると共に、軸線(
図2に表わす遠位部分44)に対して部分的に傾斜しているか(
図4~
図13参照)、又は軸線に対して傾斜している。軸線の一部又はすべてが軸線に対して傾斜している場合には、当該軸線は、当該表面が遠位端に向かって面するように傾斜するように(例えば、
図5~
図13、
図16、及び
図17参照)、又は当該表面が近位端に向かって面するように傾斜するように(例えば、
図2参照)、傾斜している。
【0048】
図1は、近位部分42及び遠位部分44を具備する凹所の特定の形状を表わすが、
図1に表わす実施例において、例えば
図5又は
図14も表わす形状の凹所のような、他の形状の凹所を利用することもできる。
【0049】
概して、遠位端切欠部50/凹所40は、近位端切欠部30/窓62/バイパス凹所63と位置合わせされており、このことは、組立作業を補助することができる。
【0050】
上述のように、遠位端切欠部50は、伸縮継手70を有していても、伸縮継手70を有していなくても良い。一般に、1つ以上の遠位端切欠部は、伸縮継手の有無に関わらず設けられている。
【0051】
本明細書は、様々な窓(切欠部)を説明している。本明細書では、窓60(典型的には、薬剤を見るための窓を提供する)と窓62(典型的には、シリンジのバイパスのための空間を提供する)とは区別されるが、両者は組み合わせ又は交換可能であり、必ずしも構造的に相違する訳ではない。一般に、窓62は、
図17に表わすようなバイパス凹所に置き換えることもできる。一般に、本明細書に記載の窓は、幾つかの異なる機能、すなわち薬剤を視認可能とすること(例えば、
図1参照)、組立の際に又は組立後にシリンジバイパスのための空間を形成すること(例えば、
図9参照)、及びシリンジが挿入された場合にシリンジホルダの屈曲を可能にするか又は屈曲を補助することを有している。任意の所与の窓は、シリンジホルダの特定の構成に応じて、1つ以上の機能を有している。
【0052】
概して、窓60の配設は任意であり、本発明の実施例から排除することもできるが、配設されている場合には、例えばバイパスを収容するためにシリンジホルダに可撓性を持たせることによって、組立の際にシリンジホルダに作用する応力を低減させることに貢献することができる。このような実施例は、一例として
図5に表わされるが、1つ以上の窓60を排泄することによって、シリンジホルダに可撓性を持たせ、シリンジをシリンジホルダに挿入することを補助することができる。
【0053】
窓の形状は、実施例に示した形状以外であっても多様に実現可能であり、シリンジホルダを利用する特定の装置に依存しても、シリンジホルダを利用するシリンジの形状に依存しても良い。典型的には、窓は、長辺が軸線方向に延在している矩形状又は楕円状とされ、直角の角部(例えば、
図8に表わす窓60)、僅かに湾曲した角部(例えば、
図8に表わす窓62)、又は広範囲に湾曲した角部(例えば、
図11に表わす窓60の遠位端)を有している。例えば
図9に表わす窓62のような不規則な形状の窓であっても良い。
【0054】
同様に、本明細書に記載の切欠部の形状は多様であり、切欠部は、直角の角部、僅かに湾曲した角部、若しくは広範囲に湾曲した角部を有する矩形状に、又は様々な形状を組み合わせた角部を有する矩形状に形成されている。また、不規則な形状の切欠部も選択することができる。
【0055】
伸縮継手70は、
図1の実施例にのみ例示されるが、伸縮継手は、本明細書に記載の他の実施例に配設することもできる。複数の伸縮継手を設けることも可能であり、例えば、
図1に表わす実施例では、第2の伸縮継手が、第1の伸縮継手の反対側(すなわち、軸線の反対側)に配設可能である。
【0056】
図1は、一の実施可能な伸縮継手の形状、すなわちV字状の伸縮継手を表わす。伸縮継手から離隔するように径方向に延在している突起は、伸縮継手を機能させるためには不要である。伸縮継手は、例えばW字状、S字状、バネ形状のような他の形状の伸縮継手であっても良い。概して、伸縮継手は周方向において可撓性を有することになるので、伸縮継手が径方向に占める空間が最小となる。しかしながら、代替的に又は同様に、径方向における撓みも選択肢の一つである。
【0057】
複数の切欠部及び窓が互いに隣接している。言い換えると、切欠部と当該切欠部に隣接する窓とは、一の大きい切欠部を効果的に形成している。このことは、例えば
図6、
図7、
図11、及び
図15(切欠部30及び窓60)、並びに
図9及び
図12(切欠部30及び窓62)に表わす実施例に当て嵌まる。また、例えば1つ以上の切欠部30の遠位端が窓62であるとみなされる
図5及び
図8に表わす実施例についても、このことは当て嵌まる。
【0058】
同一の形体(例えば、切欠部や凹所等)が複数配設されている場合には、当該形体は、同一であっても(本明細書に記載の実施例の大部分が当て嵌まる)、互いに相違しても良い。
【0059】
説明した実施例に対する様々な他の変更が、特許請求の範囲に定義される本発明から逸脱することなく、当業者であれば実現可能である。
【符号の説明】
【0060】
10 シリンジホルダ
12 管状本体
14 (管状本体12の)近位端
16 (管状本体12の)遠位端
18 軸線
19 周方向
20 (管状本体12の)内面
22 (管状本体12の)外面
30 第1の切欠部
40 凹所
42 (凹所40の)近位部分
44 (凹所40の)遠位部分
50 第2の切欠部
60 窓
62 窓
64 (窓62の)近位部分
65 (窓62の)遠位部分
70 伸縮継手
【国際調査報告】