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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】2成分組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 4/52 20060101AFI20230525BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230525BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20230525BHJP
   C09J 4/00 20060101ALI20230525BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20230525BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20230525BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230525BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20230525BHJP
   C08F 20/14 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
C08F4/52
C09J11/06
C09J4/02
C09J4/00
C09D4/02
C09D4/00
C09D7/63
C09D5/00 D
C08F20/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562914
(86)(22)【出願日】2021-04-07
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 FR2021050611
(87)【国際公開番号】W WO2021209698
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】2003810
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501305888
【氏名又は名称】ボスティク エス アー
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】514058706
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】513277212
【氏名又は名称】アンスティチュ ポリテクニーク ドゥ ボルドー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】デルガード, マリヌ
(72)【発明者】
【氏名】ミショー, ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】コリン, ボリ
(72)【発明者】
【氏名】シモン, フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】フーカイ, ステファーヌ
(72)【発明者】
【氏名】プショール, マチュー
【テーマコード(参考)】
4J015
4J038
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4J015DA14
4J015EA04
4J038FA031
4J038FA041
4J038FA061
4J038FA091
4J038FA101
4J038FA111
4J038HA026
4J038HA216
4J038HA526
4J038HA536
4J038HA546
4J038HA556
4J038JA55
4J038JB01
4J038JB02
4J038JC37
4J038JC38
4J038KA02
4J038KA03
4J038KA04
4J038KA06
4J038KA07
4J038KA10
4J038MA09
4J038NA09
4J038PA21
4J038PC08
4J040FA031
4J040FA041
4J040FA061
4J040FA071
4J040FA101
4J040FA111
4J040FA131
4J040HA026
4J040HA136
4J040HA356
4J040HB30
4J040HC01
4J040HC02
4J040HD39
4J040HD43
4J040JA13
4J040JB11
4J040KA11
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA25
4J040KA26
4J040KA29
4J040KA31
4J040KA42
4J040LA06
4J040MA10
4J040MB09
4J100AA21Q
4J100AL02P
4J100CA04
4J100FA03
4J100FA08
4J100FA18
4J100JA03
(57)【要約】
本発明は、ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物を含む第1の部分(A)と、少なくとも1つのエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む第2の部分(B)とを含む2成分組成物;それから得られる接着剤組成物;ならびにその使用に関する。本発明はまた、前記組成物を用いて製造される製品に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2成分組成物であって、
ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物を含む第1の部分(A)であり、
前記アルケン化合物が、
-1- 一般式[化学式1]のアルケン化合物
[R11は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、-OR12基、-SR12基および-SiR131415基から選択される、3~31個の炭素原子を含む基を表し;
12は、直鎖または分岐状のアルキル基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、アシル基から選択され;
13、R14、R15は、直鎖もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはアルコキシ基から互いに独立して選択される];
-2- 一般式[化学式2]のアルケン化合物
[R11は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、-OR12基、-SR12基および-SiR131415基から選択される、3~31個の炭素原子を含む基を表し;
12は、直鎖もしくは分岐状のアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基またはアシル基から選択され;
13、R14、R15は、直鎖もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはアルコキシ基から互いに独立して選択される];
および/または
-3- 一般式[化学式3]のアルケン化合物
[Xは、酸素原子、硫黄原子、または架橋を形成する二価の-CH-ラジカルであり;
nは、2~10の整数であり、
17およびR18は、水素原子、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルキル基、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルケン基、または環を有する架橋を形成する二価の-CH-ラジカルを互いに独立して表す]
から選択される、第1の部分(A)と、
アクリル系モノマー、メタクリル系モノマーまたはこれらの組合せから選択される、少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む、第2の部分(B)と
を含む、2成分組成物。
【請求項2】
アミンが、ジイソプロピルアミン、N-メチルジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N-エチルジシクロヘキシルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-メチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-エチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、2,6-ジメチルピペリジン、N-メチル-2,6-ジメチルピペリジン、N-エチル-2,6-ジメチルピペリジン、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N-エチル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンおよびこれらの組合せから選択される、請求項1に記載の2成分組成物。
【請求項3】
ラジカル重合性化合物が、アクリレート、アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリレート、メタクリル酸、メタクリルアミド、メタクリロニトリルおよびこれらの組合せから選択される、請求項1または2に記載の2成分組成物。
【請求項4】
アルケン化合物が、デセン、オクテン、アリルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびこれらの組合せから選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項5】
ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物が、1:1~1:20;優先的には1:3~1:10のモル比で組成物の(A)部に存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項6】
ラジカル重合性化合物が、前記組成物のB部において10%~99%、優先的には30%~95%の重量含有量を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(A)部の(B)部に対する体積比が、1:1~1:40、優先的には1:1~1:10である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、ボランとアミンを脱錯化するための脱錯化剤を欠いており、優先的にはイソシアネート化合物を欠いている、請求項1から7のいずれか一項に記載の2成分組成物。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の2成分組成物の(A)部と(B)部を混合することによって得られる接着剤組成物。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の2成分組成物またはそれから得られる請求項9に記載の接着剤組成物の、2つの基材を一緒に結合させるための接着剤としての、または基材の表面へのコーティングとしての、または基材の表面へのプライマーとしての、使用。
【請求項11】
基材または2つの基材のうちの少なくとも1つが、45mJ/m以下、優先的には40mJ/m以下、非常により優先的には35mJ/m以下の表面エネルギーを有する、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物を架橋させることによって得られる少なくとも1つの層を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分組成物、それから得られる接着剤組成物、さらにその使用に関する。本発明はまた、この組成物を用いて製造される物品に関する。
【背景技術】
【0002】
基材の表面の性質は、その表面エネルギーによって特徴付けられる場合がある。ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリファルネセン、ポリミルセン、ポリジシクロペンタジエンおよびこれらの共重合体)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリビニリデンフルオリド(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの低表面エネルギー基材は、互いにまたは他の種類の基材に結合することが困難であり、多くの場合結合前に表面処理を必要とすることが公知である。この処理はまた、基材が層でコーティングまたは処理されるべき場合に必要であり得る。これは、基材の表面が飽和の炭素-炭素結合により化学的に不活性であることに起因する。プラズマもしくはコロナ処理、研磨処理、または化学剤による処理などの処理は、基材の表面を化学的および/または物理的に改質し、その表面エネルギーを好都合に改質することからなる。
【0003】
しかし、この種類の処理は、プロセス費用が高い、結果が必ずしも再現可能ではない、および効果が経時的に減少するなどのいくつかの欠点を有する。
【0004】
近年では、有機ボランを含む接着剤組成物の使用により、ラジカル経路によって重合可能なエチレン結合を含む化合物の低エネルギー表面への接着を改善できることが発見されている。しかし、有機ボランの不安定かつ自然発火性の性質に起因して、酸化分解を制限するために、有機ボランはアミンと錯化されなければならない。この種類の組成物は、多くの場合、組成物の使用および塗布直前に混合される2部分の形態(2部分のうちの一方は有機ボラン-アミン錯体を含み、他の部分は脱錯化剤などの有機ボラン-アミン錯体と反応する剤を含む)である。しかし、場合によっては、有機ボランとアミンを錯化したにもかかわらず、有機ボラン-アミン錯体の反応性が高いため、その取扱いおよび操作の安全性に関連する危険性が引き続き生じる。これらの欠点を克服するために、たとえ過剰なアミンにより、不快な臭気が発生し、アミンが表面に移動し、かつ/または特別なラベル付けが必要とされる可能性があるとしても、過剰なアミンが、製品の安全性に関連するこれらの危険性すべてを低減するために使用される場合がある。
【0005】
文献US2,973,337は、ボラザンの種類の触媒を使用した1個または複数のエチレン結合を含む不飽和化合物の重合について記載している。
【0006】
文献US8,202,932は、これらの組成物から調製した重合性(メタ)アクリル系組成物および接着剤系に関する。これらの組成物は、アルキル化水素化ホウ素またはテトラアルキルボラン金属もしくはアルミニウム塩およびアミノシランを含む。この文献によると、これらの組成物は、少なくとも1つの低エネルギー表面を含む結合用途に好適である。
【0007】
文献US6,632,908は、金属、プラスチックまたはガラス基材を、同じ性質または異なる性質の基材、例えば低エネルギー表面を有する基材に接着させるのに使用される、(メタ)アクリル系組成物に関する。本文献に記載される(メタ)アクリル系組成物は、(メタ)アクリル系化合物、ならびに有機金属化合物、過酸化物化合物、アジリジンに基づく化合物および酸官能基を有する化合物を含む開始剤系を含む。
【0008】
文献US9,315,701は、有機ボラン-アミン錯体、ポリアミン、ラジカル重合性化合物およびポリイソシアネート化合物を含む2部接着剤組成物について記載している。これらの組成物は、低表面エネルギーを有する基材の接着に特に好適である。
【0009】
文献WO2016/077166は、有機ボラン-アミン錯体および反応性希釈剤を含む第1の部分、ならびに有機ボラン-アミン錯体を脱錯化するための脱錯化剤、およびエチレン性不飽和結合を含む少なくとも1種の重合性化合物を含む第2の部分を含む、2部組成物に関する。
【0010】
文献WO2014/140138は、重合性アクリレートまたはメタクリレート化合物、有機ボラン重合開始剤化合物、ビニルエーテル化合物、および有機ボラン化合物の活性剤を含む重合性組成物に関する。組成物は、特に低表面エネルギー基材への接着に使用される場合、良好な貯蔵安定性および良好な接着特性を示す。
【0011】
文献US2007/0135601は、特にアクリレートおよびメタクリレート接着剤のための有効なラジカル重合用重合開始剤である、有機ボランとアミノ官能性有機シリル化合物との錯体に関する。これらの錯体は、低表面エネルギーを有する基材の接着に特に好適である。
【0012】
文献US6,008,308は、有機ボラン-ポリアミン錯体、ポリオールおよびイソシアネート化合物を含む組成物について記載している。組成物はまた、ラジカル重合性基、およびアミンと反応する基を含む二官能性化合物を含んでもよい。この組成物は、アクリル系モノマーの重合を開始させ、ポリウレタン/ポリ尿素アクリル系接着剤を形成させるために使用される。
【0013】
したがって、特に低表面エネルギーを有する基材への、および基材の間の良好な接着を可能にする組成物であって、有害な試薬の使用および関連する欠点を回避することによって安全に使用できる、組成物を提供するための真の必要性が存在する。また、特に低表面エネルギーを有する基材への、および基材の間の良好な接着を可能にする組成物であって、脱錯化剤、特にイソシアネート/ポリイソシアネートまたは無水コハク酸の種類の脱錯化剤を欠いている、組成物を提供するための真の必要性が存在する。また、特に低表面エネルギーを有する基材への、および基材の間の良好な接着を可能にする組成物であって、過剰なアミンを含まない、組成物を提供するための真の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、第1に、2成分組成物であって、
ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物を含む第1の部分(A)であり、
前記アルケン化合物が、
一般式[化学式1]のアルケン化合物
[R11は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、-OR12基、-SR12基および-SiR131415基から選択される、3~31個の炭素原子を含む基を表し;
12は、直鎖または分岐状のアルキル基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、アシル基から選択され;
13、R14、R15は、直鎖もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはアルコキシ基から互いに独立して選択される]、
一般式[化学式2]のアルケン化合物
[R11は、直鎖または分岐状のアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、シクロアルキル基、-OR12基、-SR12基および-SiR131415基から選択される、3~31個の炭素原子を含む基を表し;
12は、直鎖もしくは分岐状のアルキル基、アリールアルキル基、シクロアルキル基またはアシル基から選択され;
13、R14、R15は、直鎖もしくは分岐状のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはアルコキシ基から互いに独立して選択される]、および/または
一般式[化学式3]のアルケン化合物
[Xは、酸素原子、硫黄原子、または架橋を形成する二価の-CH-ラジカルであり;
nは、2~10の整数であり、
17およびR18は、水素原子、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルキル基、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルケン基、または環を有する架橋を形成する二価の-CH-ラジカルを互いに独立して表す]
から選択される、第1の部分(A)と、
アクリル系モノマー、メタクリル系モノマーまたはこれらの組合せから選択される、少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む、第2の部分(B)と
を含む、2成分組成物に関する。
【0015】
一部の実施形態では、アミンは、ジイソプロピルアミン、N-メチルジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N-エチルジシクロヘキシルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-メチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-エチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、2,6-ジメチルピペリジン、N-メチル-2,6-ジメチルピペリジン、N-エチル-2,6-ジメチルピペリジン、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、N-エチル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンおよびこれらの組合せから選択される。
【0016】
一部の実施形態では、ラジカル重合性化合物は、アクリレート、アクリル酸、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリレート、メタクリル酸、メタクリルアミド、メタクリロニトリルおよびこれらの組合せから選択される。
【0017】
一部の実施形態では、アルケン化合物は、デセン、オクテン、アリルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランおよびこれらの組合せから選択される。
【0018】
一部の実施形態では、ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物は、1:1~1:20;優先的には1:3~1:10のモル比で組成物の(A)部に存在する。
【0019】
一部の実施形態では、ラジカル重合性化合物は、組成物のB部において10%~99%、優先的には30%~95%の重量含有量を有する。
【0020】
一部の実施形態では、(A)部の(B)部に対する体積比は1:1~1:40、優先的には1:1~1:10である。
【0021】
一部の実施形態では、前記組成物は、ボランとアミンを脱錯化するための脱錯化剤を欠いており、優先的にはイソシアネート化合物を欠いている。
【0022】
本発明は、第2に、上記で定義された2成分組成物の(A)部と(B)部を混合することによって得られる接着剤組成物に関する。
【0023】
本発明は、第3に、2つの基材を一緒に結合させるための接着剤としての、または基材の表面へのコーティングとしての、または基材の表面へのプライマーとしての上記で定義された2成分組成物または上記で定義されたそれから得られる接着剤組成物の使用に関する。
【0024】
一部の実施形態では、基材または2つの基材のうちの少なくとも1つは、45mJ/m以下、優先的には40mJ/m以下、非常により優先的には35mJ/m以下の表面エネルギーを有する。
【0025】
本発明は、第4に、上記で定義された組成物を架橋させることによって得られる少なくとも1つの層を含む物品に関する。
【0026】
本発明は、上記で表された必要性を満たすことができる。本発明は、より詳細には、特に低表面エネルギーを有する基材への、および基材の間の良好な接着を可能にする組成物であって、有害な試薬の使用および関連する欠点を回避することによって安全に使用できる、組成物を提供する。
【0027】
これは、第1の部分(A部)にボラン-アミン錯体(すなわち、BH-アミン錯体)およびアルケン化合物を含む2成分組成物(またはキット)の使用によって達成され、自然発火および不安定な市販の有機ボラン錯体の使用を回避できる。ボラン-アミン錯体がより安定で自然発火しにくいため、プロセスの安全性および有害な製品の取扱いに関連する危険性が制限される。
【0028】
さらに、本発明の組成物は、ボランとアミンを脱錯化するために通常使用される脱錯化剤などの反応性化合物を使用せずに(メタ)アクリル酸モノマーおよびそれらの誘導体の重合を可能にする。これにより、接着剤組成物の調製を容易にすることができる。
【0029】
さらに本発明は、過剰なアミンの存在なしでの錯体の使用を可能にし、毒性の問題を低減できる。
【0030】
有利には、本発明による2成分組成物は、市販の有機ボラン錯体で得られる接着より高い低表面エネルギー基材への接着を有する接着剤組成物を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、以下に続く記載でより詳細に、かつ非限定的な様態で本発明を説明する。
【0032】
本発明は、第1の部分(A部)および第2の部分(B部)を含む2成分組成物に関する。
【0033】
ボラン-アミン錯体
2成分組成物、より詳細には2成分組成物のA部は、ボランとアミンとの錯体を含む。
【0034】
系統的命名法によると「ボラン」または「三水素化ホウ素」という用語は、式「BH」を有する分子を意味すると理解される。
【0035】
ボランは反応性の高い分子であるため、錯体および接着剤組成物のA部の良好な安定性を確実にするためにアミンと錯化する必要がある。
【0036】
アミンは、モノアミン(単一のアミン基を含む)またはポリアミン(1個より多くのアミン基、例えば2、3もしくは4個のアミン基を含む)であってもよい。主鎖を含むポリアミンの場合、アミン基は主鎖の末端に存在してもよく、および/または主鎖に沿って側基もしくはペンダント基の形態で存在してもよい。
【0037】
好ましくは、アミンは、モノアミンである。
【0038】
アミンがモノアミンである場合、第一級、第二級または第三級、好ましくは第二級または第三級モノアミンから選択されてもよい。
【0039】
特定の実施形態によると、モノアミンは、一般式[化学式4]:
[R、RおよびRは、水素原子、シリル基、1~20個の炭素原子を含み、場合により酸素、硫黄および窒素から選択される1個もしくは複数のヘテロ原子を含む基を互いに独立して表し、この基は、直鎖もしくは分岐状であり、飽和もしくは不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基もしくはアリール基から選択されるか、またはR、RおよびRのうちの少なくとも2個は、シクロアルキル基の一部を形成する]のものであってもよい。例として、R、RおよびRは、独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、無置換であるか、またはアルキル(アルキルアリール)もしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているフェニル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているナフチル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているヘテロアリール基であってもよい。ヘテロアリール基の例として、ピリジン、ピロールおよびカルバゾールを挙げることができる。代替的に、R、RおよびRのうちの2つは、環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリンまたはこれらの高級ホモログのうちの1つの一部を形成してもよい。さらに代替的に、R、RおよびRのうちの少なくとも2個は、例えば1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(またはキヌクリジン)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(またはDABCO)および7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどの複数の環の一部を形成してもよい。
【0040】
特定の実施形態によると、R、RおよびRは、シリル基から独立して選択されてもよい。例えば、このシリル基は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~5個の炭素原子、より好ましくは1~3個の炭素原子を有する3個の炭素に基づく基によって置換されているケイ素原子を含んでもよく、直鎖または分岐状である。これらの3個の基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基およびアリール基から独立して選択されてもよい。好ましくは、これらの基はアルキル基およびさらにより好ましくはメチル基である。
【0041】
さらに、特定の実施形態によると、R、RおよびRのうちの2個は、アルキル基であってもよく、R、RおよびRの3個目は水素原子であってもよい。この種類の一例は1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(またはHMDS)である。
【0042】
特定の実施形態によると、R、RおよびRは同一であってもよい。
【0043】
他の実施形態によると、R、RおよびRは互いに異なってもよい。
【0044】
特定の実施形態によると、R、RおよびRのうちの少なくとも2つは同一である。
【0045】
特定の実施形態によると、R、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素である。この場合には、第一級または第二級アミンが該当する。
【0046】
他の実施形態によると、R、RおよびRはいずれも水素ではない。この場合には、第三級アミンが該当する。
【0047】
好ましい実施形態によると、式[化学式4]のモノアミンが第一級アミンである場合、モノアミンはtert-ブチルアミンであってもよい。
【0048】
好ましい実施形態によると、式[化学式4]のモノアミンが第二級アミンである場合、モノアミンはジイソプロピルアミンまたはジシクロヘキシルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、2,6-ジメチルピペリジンまたは7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンおよび好ましくはジイソプロピルアミンであってもよい。
【0049】
好ましい実施形態によると、式[化学式4]のモノアミンが第三級アミンである場合、モノアミンはN-メチルジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N-エチルジシクロヘキシルアミン、N-メチル-2,6-ジメチルピペリジン、N-エチル-2,6-ジメチルピペリジン、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(またはキヌクリジン)、N-メチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-エチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、N-メチル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタンまたはN-エチル-7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、好ましくはN-メチルジイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、N-メチルジシクロヘキシルアミン、N-エチルジシクロヘキシルアミンまたはN-メチル-2,6-ジメチルピペリジンであってもよい。
【0050】
他の実施形態によると、モノアミンは、ポリエーテルアミン、すなわち複数のエーテル官能基を含むアミンであってもよい。
【0051】
好ましい実施形態によると、モノアミンは第一級ポリエーテルアミンである。
【0052】
他の実施形態によると、モノアミンは第二級または第三級ポリエーテルアミンである。
【0053】
したがって、ポリエーテルアミンであるモノアミンの場合、モノアミンは、一般式[化学式5]:
[R、RおよびR10は、水素原子または1~10個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は、直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から選択され;
およびRiiは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は、直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択され;
t、xおよびyは、0~90、優先的には0~70、非常に優先的には0~50、より優先的には0~30の整数を互いに独立して表す]
のものであってもよい。
【0054】
特定の実施形態によると、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基またはアルキルアリール基から選択されてもよく、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキル、アリールおよびアルキルアリール基は上述の通りである。
【0055】
好ましくは、Rは、好ましくは1~7個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0056】
特定の実施形態によると、Rは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から選択されてもよく、これらの基は上述の通りである。
【0057】
好ましくは、Rは、アルキル基、特に1~2個の炭素原子を含む基である。より好ましくは、Rは、メチル基およびエチル基から選択される。
【0058】
特定の実施形態によると、R10は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から選択されてもよく、アルキル、シクロアルキルおよびアリール基は上述の通りである。好ましくは、R10は、好ましくはアルキル基、特に1~2個の炭素原子を含む基である。より好ましくは、R10はメチル基およびエチル基から選択される。
【0059】
特定の好ましい実施形態によると、R、RおよびR10は同一であってもよい。
【0060】
他の実施形態によると、R、RおよびR10は互いに異なってもよい。
【0061】
好ましい実施形態によると、RおよびR10は互いに異なってもよい。例えば、RおよびR10のうちの1つはエチル基であってもよく、RおよびR10のうちの他方はメチル基であってもよい。
【0062】
好ましい実施形態によると、R、RおよびR10のうちの少なくとも1つはメチル基である。
【0063】
およびRiiは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。この基は、直鎖または分岐状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
【0064】
特定の実施形態によると、RおよびRiiは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、またはアリールアルキル基から独立して選択されてもよい。例として、RおよびRiiは、独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキルフェニルなどのアリール基によって置換されているアルキル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているフェニル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているナフチル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているヘテロアリール基であってもよい。ヘテロアリール基の例として、ピリジン、ピロールおよびカルバゾールを挙げることができる。代替的に、RおよびRiiは、環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリンまたはこれらの高級ホモログのうちの1つの一部を形成してもよい。
【0065】
特定の好ましい実施形態によると、RおよびRiiはいずれも水素原子である。この場合、モノアミンは第一級ポリエーテルアミンである。
【0066】
他の実施形態によると、RおよびRiiのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。この場合、モノアミンは第二級ポリエーテルアミンである。
【0067】
他の実施形態によると、RおよびRiiの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。この場合、モノアミンは第三級ポリエーテルアミンである。
【0068】
特定の実施形態によると、t、xおよびyは、0~90、優先的には0~70、優先的には0~50、さらにより優先的には0~30の数を独立して表してもよい。したがって、t、xおよびyは、0~10、または10~20;または20~30;または30~40;または40~50;または50~60;または60~70;または70~80;または80~90の数を独立して表してもよい。
【0069】
tが0以外である場合、数tは、式[化学式5]のモノアミン中に存在する、基R10によって置換されているエトキシ基(好ましくは、R10がメチルである場合はプロポキシ基、またはR10がエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0070】
数tは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、tは、基R10によって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくは、R10がメチルである場合は平均プロポキシル化度、またはR10がエチルである場合は平均ブトキシル化度)に対応する。
【0071】
xが0以外である場合、数xは、式[化学式5]のモノアミン中に存在するエトキシ基の数を表す。
【0072】
数xは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、xは平均エトキシル化度に対応する。
【0073】
yが0以外である場合、数yは、式[化学式5]のモノアミン中に存在する、基Rによって置換されているエトキシ基(好ましくは、Rがメチルである場合はプロポキシ基、またはRがエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0074】
数yは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、yは、基Rによって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくは、Rがメチルである場合は平均プロポキシル化度、またはRがエチルである場合は平均ブトキシル化度)に対応する。
【0075】
tおよびyが0以外である場合、t+yの和は、式[化学式5]のアミン中に存在する、基RおよびR10によって置換されているエトキシ基(好ましくは、RおよびR10がメチルである場合はプロポキシ基、またはRおよびR10がエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0076】
特定の実施形態によると、tが0に等しい場合、yは0以外である。
【0077】
他の実施形態によると、yが0に等しい場合、tは0以外である。
【0078】
さらに他の実施形態によると、特にRおよびR10が異なる場合、tおよびyはいずれも0以外である。
【0079】
特定の実施形態によると、yおよび/またはtが0に等しい場合、xは0以外である。
【0080】
他の実施形態によると、xが0に等しい場合、yおよび/またはtは0以外である。
【0081】
式[化学式5]のモノアミンは、200~5500g/mol、好ましくは500~2500g/molの分子量を有してもよい。例えば、式[化学式5]のモノアミンは、200~500g/mol;または500~750g/mol;または750~1000g/mol;または1000~1250g/mol;または1250~1500g/mol;または1500~1750g/mol;または1750~2000g/mol;または2000~2250g/mol;または2250~2500g/mol;または2500~2750g/mol;または2750~3000g/mol;または3000~3250g/mol;または3250~3500g/mol;または3500~3750g/mol;または3750~4000g/mol;または4000~4250g/mol;または4250~4500g/mol;または4500~4750g/mol;または4750~5000g/mol;または5000~5250g/mol;または5250~5500g/molの分子量を有してもよい。
【0082】
この種類のポリエーテルアミンは、例えば名称Jeffamine MシリーズでHuntsman社によって販売されている。
【0083】
アミンがポリアミンである場合、第一級および/または第二級および/または第三級ポリアミンから選択されてもよい。好ましくは、ポリアミンは第一級ポリアミンである、すなわちそのアミン基のすべてが第一級アミン基である。より好ましくは、ポリアミンはジアミンである。しかし、ポリエチレンイミン(PEI)などの2個より多くのアミン基(例えば、3個または4個)を含むポリアミンが使用されてもよい。
【0084】
特定の実施形態によると、ポリアミンは、一般式[化学式6]:
[Rは、2~60個の炭素原子、優先的には2~40個の炭素原子を含み、場合により酸素および硫黄から選択される1個または複数のヘテロ原子を含む二価の基を表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、二価のアルキルラジカル、二価のシクロアルキルラジカル、二価のアリールアルキルラジカルまたは二価のアリールラジカルから選択され;
、Rii、RiiiおよびRivは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択される]
のものであってもよい。
【0085】
は、2~60個の炭素原子、好ましくは2~40個の炭素原子、より好ましくは2~15個の炭素原子を含む二価の基を表してもよい。
【0086】
は、直鎖または分岐状であってもよく、環式または脂環式であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
【0087】
は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはハロゲンなどの1個または複数のヘテロ原子を含んでもよい。好ましくは、単一のヘテロ原子がR中に存在してもよい。
【0088】
さらに、Rは、二価のアルキルラジカル、二価のシクロアルキルラジカル、二価の脂環式ラジカル、二価のアリールアルキルラジカルまたは二価のアリールラジカルから選択されてもよい。好ましくは、Rはアルキル基である。
【0089】
およびRiiは、上記で詳述された通りである。
【0090】
iiiおよびRivは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。この基は、直鎖または分岐状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
【0091】
特定の実施形態によると、RiiiおよびRivは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から独立して選択されてもよい。例として、RiiiおよびRivは、独立してメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アルキルフェニルなどのアリール基によって置換されているアルキル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているフェニル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているナフチル基、無置換であるか、またはアルキルもしくはシクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基およびアシル基などの1個または複数の基で置換されているヘテロアリール基であってもよい。ヘテロアリール基の例として、ピリジン、ピロールおよびカルバゾールを挙げることができる。代替的に、RiiiおよびRivは、環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリンまたはこれらの高級ホモログのうちの1つの一部を形成してもよい。
【0092】
特定の好ましい実施形態によると、RおよびRiiならびに/またはRiiiおよびRivは、すべて水素原子である。
【0093】
他の実施形態によると、RおよびRiiのうちの少なくとも1つならびに/またはRiiiおよびRivのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。
【0094】
他の実施形態によると、RおよびRiiの両方ならびに/またはRiiiおよびRivの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。
【0095】
好ましい実施形態によると、式[化学式6]のポリアミンは、エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’-メチレンジアニリン、2-メチルベンゼン-1,4-ジアミン、ジエチレントリアミン、4,6-ジエチル-2-メチルベンゼン-1,3-ジアミン、4,4’-メチレンジシクロヘキサンアミン、2,4,6-トリメチル-1,3-フェニレンジアミン、およびナフタレン-1,8-ジアミンから選択されてもよい。
【0096】
より好ましくは、式[化学式6]のポリアミンは、エチレンジアミンおよび1,3-プロパンジアミンから選択されてもよく、好ましくは式[化学式6]のポリアミンは、1,3-プロパンジアミンである。
【0097】
他の実施形態によると、ポリアミンは、2個のアミン基、好ましくは第一級アミン基を含むポリエーテルアミンであってもよい。代替的に、ポリアミンは、2個のアミン基を含む第二級または第三級ポリアミンであってもよい。
【0098】
したがって、2個のアミン基を含むポリエーテルアミンである場合、ポリアミンは、一般式[化学式7]:
[R、RおよびRは、1~10個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から選択され;
、Rii、RiiiおよびRivは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択され;
v、wおよびzは、0~90、好ましくは0~70の数を互いに独立して表す]
のものであってもよい。
【0099】
、RおよびRは、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~2個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。これらの基は、直鎖または分岐状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
【0100】
、RおよびRは、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から独立して選択されてもよく、これらの基は上述の通りである。好ましくは、R、RおよびRのうちの少なくとも1つはアルキル基、より好ましくはメチル基またはエチル基である。
【0101】
特定の好ましい実施形態によると、R、RおよびRは同一であってもよい。
【0102】
他の実施形態によると、R、RおよびRは互いに異なってもよい。
【0103】
好ましい実施形態によると、R、RおよびRのうちの少なくとも1つはメチル基であり、好ましくはR、RおよびRはメチル基である。
【0104】
好ましい実施形態によると、RおよびRは互いに異なってもよい。
【0105】
他の実施形態によると、RおよびRのうちの少なくとも1個はメチル基であり、RおよびRの他方はエチル基である。
【0106】
、Rii、RiiiおよびRivは、上記で詳述された通りである。
【0107】
特定の好ましい実施形態によると、RおよびRiiならびに/またはRiiiおよびRivは、すべて水素原子である。
【0108】
他の実施形態によると、RおよびRiiのうちの少なくとも1つならびに/またはRiiiおよびRivのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。
【0109】
他の実施形態によると、RおよびRiiの両方ならびに/またはRiiiおよびRivの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。
【0110】
特定の実施形態によると、v、wおよびzは、0~90、優先的には0~70の数を独立して表してもよい。したがって、v、wおよびzは、0~10、または10~20;または20~30;または30~40;または40~50;または50~60;または60~70;または70~80;または80~90の数を独立して表してもよい。
【0111】
特定の実施形態によると、zは0に等しく、vは0以外である。
【0112】
他の実施形態によると、zは0以外であり、vは0に等しい。
【0113】
また他の実施形態によると、zおよびvはいずれも0以外である。
【0114】
zおよびvが0以外である場合、z+vの和は、式[化学式7]のポリアミン中に存在する、置換されているエトキシ基(好ましくはプロポキシ基またはブトキシ基)の数を表す。
【0115】
z+vの和は、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、z+vは、RおよびRによって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくはプロポキシル化度またはブトキシル化度)に対応する。
【0116】
vが0に等しい場合、数zは、式[化学式7]のポリアミン中に存在する、Rによって置換されているエトキシ基(好ましくは、Rがメチルである場合はプロポキシ基、またはRがエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0117】
zが0に等しい場合、数vは、式[化学式7]のポリアミン中に存在する、Rによって置換されているエトキシ基(好ましくは、Rがメチルである場合はプロポキシ基、またはRがエチルである場合はブトキシ基)の数を表す。
【0118】
数zおよびvは、整数であってもなくてもよい。
【0119】
数wは、ポリアミン中に存在するエトキシ基の数を表す。
【0120】
数wは、整数であってもなくてもよい。例えば、異なる分子の混合物が使用される場合、wは平均エトキシル化度に対応する。
【0121】
特定の実施形態によると、vおよびwは0であってもよい。この種類のポリエーテルアミンは、例えば名称Jeffamine DシリーズおよびJeffamine SDシリーズでHuntsman社によって販売されている。
【0122】
他の実施形態によると、wは0に等しくてもよいが、vは0より大きい。
【0123】
他の実施形態によると、vおよびwは0より大きくてもよい。この種類のポリエーテルアミンは、例えば名称Jeffamine EDシリーズでHuntsman社によって販売されている。
【0124】
式[化学式7]のポリエーテルアミンは、100~5000g/mol、好ましくは200~4000g/mol、好ましくは200~2000g/mol、好ましくは200~1000g/molの分子量を有してもよい。例えば、式[化学式7]のポリエーテルアミンは、100~500g/mol;または500~750g/mol;または750~1000g/mol;または1000~1250g/mol;または1250~1500g/mol;または1500~1750g/mol;または1750~2000g/mol;または2000~2250g/mol;または2250~2500g/mol;または2500~2750g/mol;または2750~3000g/mol;または3000~3250g/mol;または3250~3500g/mol;または3500~3750g/mol;または3750~4000g/mol;または4000~4250g/mol;または4250~4500g/mol;または4500~4750g/mol;または4750~5000g/molの分子量を有してもよい。
【0125】
他の実施形態によると、2個のアミン基を含むポリエーテルアミンは、一般式[化学式8]:
[R、Rii、RiiiおよびRivは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択され;
aおよびbは、1~20、優先的には2~11の整数を互いに独立して表す]
のものであってもよい。
【0126】
、Rii、RiiiおよびRivは上述の通りである。
【0127】
特定の好ましい実施形態によると、RおよびRiiならびに/またはRiiiおよびRivは、すべて水素原子である。
【0128】
他の実施形態によると、RおよびRiiのうちの少なくとも1つならびに/またはRiiiおよびRivのうちの少なくとも1つは、1~20個の炭素原子を含む基である。
【0129】
他の実施形態によると、RおよびRiiの両方ならびに/またはRiiiおよびRivの両方は、独立して1~20個の炭素原子を含む基である。
【0130】
特定の実施形態によると、aおよびbは、1~20、好ましくは2~11の数を独立して表してもよい。特定の好ましい実施形態によると、aおよびbは同一である。好ましくは、aおよびbは2または3に等しい。
【0131】
他の実施形態によると、aおよびbは異なる。この場合、aおよびbのうちの少なくとも1つは、好ましくは2または3に等しい。
【0132】
式[化学式8]のポリエーテルアミンは、150~1500g/mol、好ましくは150~1000g/mol、好ましくは150~500g/molの分子量を有してもよい。例えば、式[化学式8]のポリエーテルアミンは、150~160g/mol;または160~170g/mol;または170~180g/mol;または180~190g/mol;または190~200g/mol;または200~300g/mol;または300~400g/mol;または400~500g/mol;または500~600g/mol;または600~700g/mol;または700~800g/mol;または800~900g/mol;または900~1000g/mol;または1000~1100g/mol;または1100~1200g/mol;または1200~1300g/mol;または1300~1400g/mol;または1400~1500g/molの分子量を有してもよい。
【0133】
式[化学式8]のこの種類のポリエーテルアミンは、例えば、名称Jeffamine EDRシリーズでHuntsman社によって販売されている。
【0134】
他の実施形態によると、ポリアミンは、3個のアミン基を含む第一級ポリエーテルアミンであってもよい。代替的に、ポリアミンは、3個のアミン基を含む第二級または第三級ポリアミンであってもよい。
【0135】
したがって、3個のアミン基を含むポリエーテルアミンである場合、ポリアミンは、一般式[化学式9]:
[R 、R 、R 、R 、R 、R およびR は、1~10個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から選択され;
Rは、水素原子または1~10個の炭素原子を含む基を表し、この基は直鎖または分岐状であり、飽和または不飽和であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基から選択され;
、Rii、RiiiおよびRivは、水素原子または1~20個の炭素原子を含む基を互いに独立して表し、この基は直鎖または分岐状であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリールアルキル基から選択され;
nは0~30、優先的には0または1に等しい整数を表し;
+z+z、v+v+vおよびw+w+wの和は0~90、優先的には0~70、非常に優先的には0~50、より優先的には0~30の整数を互いに独立して表す]
のものであってもよい。
【0136】
、R 、R 、R 、R 、R およびR は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子、より好ましくは1~2個の炭素原子を含む基を独立して表してもよい。これらの基は、直鎖または分岐状であってもよく、飽和または不飽和であってもよい。
【0137】
、R 、R 、R 、R 、R およびR は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基から独立して選択されてもよく、これらの基は上述の通りである。好ましくは、R 、R 、R 、R 、R 、R およびR のうちの少なくとも1つは、アルキル基である。より好ましくは、R 、R 、R 、R 、R 、R およびR は、メチル基またはエチル基から選択される。
【0138】
特定の好ましい実施形態によると、R 、R 、R 、R 、R 、R およびR は同一であってもよく、例えば、これらはすべてメチル基である。
【0139】
他の実施形態によると、R 、R 、R 、R 、R 、R およびR は、互いに異なってもよい。
【0140】
特定の実施形態によると、R は、R および/またはR とは異なる。
【0141】
特定の実施形態によると、R は、R および/またはR とは異なる。
【0142】
好ましい実施形態によると、R 、R のうちの少なくとも1つ、および/またはR 、R のうちの少なくとも1つ、および/またはR 、R のうちの少なくとも1つはメチル基であり、R 、R および/またはR 、R および/またはR 、R の他方はエチル基である。
【0143】
Rは、水素原子または1~10個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を含む基を表してもよい。この基は、直鎖または分岐状であってもよい。
【0144】
特定の実施形態によると、Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、またはアリール基から選択されてもよく、アルキル、シクロアルキル、アリールアルキルおよびアリール基は上述の通りである。
【0145】
Rが1~10個の炭素原子を含む基である場合、Rは好ましくは、好ましくは1~3個の炭素原子、好ましくは1~2個の炭素原子を含む、アルキル基である。
【0146】
特定の実施形態によると、Rは水素原子である。
【0147】
他の実施形態によると、Rはエチル基である。
【0148】
、Rii、RiiiおよびRivもまた、上記で詳述された通りである。
【0149】
特定の実施形態によると、z、zおよびzは、0~80、好ましくは0~70の数を表してもよい。例えば、z、zおよびzは、0~5;または5~10;または10~15;または15~20;または20~25;または25~30;または30~35;または35~40;または40~45;または45~50;または50~55;または55~60;または60~65;または65~70;または70~75;または75~80であってもよい。数z、zおよびzは、整数であってもなくてもよい。
【0150】
特定の実施形態によると、w、wおよびwは、0~50、好ましくは0~40の数を表してもよい。例えば、w、wおよびwは、0~5;または5~10;または10~15;または15~20;または20~25;または25~30;または30~35;または35~40であってもよい。数w、wおよびwは、整数であってもなくてもよい。
【0151】
特定の実施形態によると、v、vおよびvは、0~20、好ましくは0~10の数を表してもよい。例えば、v、vおよびvは、0~2;または2~4;または4~6;または6~8;または8~10;または10~12;または12~14;または14~16;または16~18;または18~20であってもよい。数v、vおよびvは、整数であってもなくてもよい。
【0152】
特定の実施形態によると、z、zおよびzのうちの少なくとも1つは、0以外である。
【0153】
特定の実施形態によると、v、vおよびvのうちの少なくとも1つは、0以外である。
【0154】
他の実施形態によると、z、zおよびzのうちの少なくとも1つは0以外であり、v、vおよびvは0に等しい。
【0155】
特定の実施形態によると、w、wおよびwのうちの少なくとも1つは、0以外である。
【0156】
他の実施形態によると、w、wおよびwのうちの少なくとも1つは0に等しく、好ましくはw、wおよびwのうちの少なくとも2つ、好ましくはw、wおよびwの3つすべてが0に等しい。
【0157】
特定の実施形態によると、vおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/またはvおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/またはvおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しい。
【0158】
好ましい実施形態によると、vおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/またはvおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しく、かつ/またはvおよびzのうちの少なくとも1つは0に等しく、かつw、wおよびwのうちの少なくとも1つは0に等しく、好ましくはw、wおよびwのうちの少なくとも2つ、好ましくはw、wおよびwの3つすべてが0に等しい。
【0159】
+w+wの和は、式[化学式9]のポリアミン中に存在するエトキシ基の数を表す。
【0160】
+v+v+z+z+zの和は、式[化学式9]のポリアミン中に存在する、R 、R 、R 、R 、R およびR によって置換されているエトキシ基(好ましくはプロポキシ基またはブトキシ基)の数を表す。
【0161】
+v+v+z+z+zの和は、整数であってもなくてもよい。例えば、異なるアルキレンオキシドの混合物が使用される場合、この和は、R 、R 、R 、R 、R およびR によって置換されているエトキシ基の平均エトキシル化度(好ましくはプロポキシル化度および/またはブトキシル化度)に対応する。
【0162】
+z+zの和、v+v+vの和およびw+w+wの和は、0~90、優先的には0~70、優先的には0~50、さらにより優先的には0~30の数を独立して表してもよい。したがって、この数は、0~10;または10~20;または20~30;または30~40;または40~50;または50~60;または60~70;または70~80;または80~90であってもよい。
【0163】
特定の実施形態によると、w、w、w、z、zおよびzが0に等しい場合、v+v+vは、2~90、好ましくは4~90であってもよい。例えば、この和は、2~5;または5~10;または10~20;または20~30;または30~40;または40~50;または50~60;または60~70;または70~80;または80~90であってもよい。
【0164】
数nは、0~30、好ましくは1~20、より好ましくは1~10の数を表してもよい。例えば、nは0~5;または5~10;または10~15;または15~20;または20~25;または25~30であってもよい。
【0165】
特定の好ましい実施形態によると、nは0または1であってもよい。
【0166】
式[化学式9]のポリエーテルアミンは、300~6000g/mol、好ましくは300~5000g/mol、好ましくは300~4000g/mol、好ましくは300~3000g/molの分子量を有してもよい。例えば、式[化学式9]のポリエーテルアミンは、300~500g/mol;または500~750g/mol;または750~1000g/mol;または1000~1250g/mol;または1250~1500g/mol;または1500~1750g/mol;または1750~2000g/mol;または2000~2250g/mol;または2250~2500g/mol;または2500~2750g/mol;または2750~3000g/mol;または3000~3250g/mol;または3250~3500g/mol;または3500~3750g/mol;または3750~4000g/mol;または4000~4250g/mol;または4250~4500g/mol;または4500~4750g/mol;または4750~5000g/mol;または5000~5250g/mol;または5250~5500g/mol;または5500~5750g/mol;または5750~6000g/molの分子量を有してもよい。
【0167】
式[化学式9]のこの種類のポリエーテルアミンは、例えば、名称Jeffamine TシリーズおよびJeffamine STシリーズでHuntsman社によって販売されている。
【0168】
上記の式のすべてにおいて、添え字t、x、y、v、w、z、v、wおよびzを有する基は、分子に隣接してもしなくてもよい。例えば、エトキシ基は、同じ鎖に沿ってプロポキシおよび/またはブトキシ基とランダムに(特定の統計的分配に従って)交互になっていてもよい。
【0169】
代替的に、本発明の文脈で使用されてもよい他の種類のポリアミンは、ポリエチレンイミン(またはポリアジリジン)、つまりアミン基およびビラジカル「-CHCH-」基から構成される反復単位を含むポリマーである。これらのポリアミンは、直鎖、分岐状またはデンドリマーであってもよい。例として、テトラエチレンペンタミン、EPOMIN SP012、さらにBASF社から販売される名称Lupasol(登録商標)(特にLupasol(登録商標)FG)のポリエチレンイミンが挙げられる。
【0170】
本発明によると、ボランはアミンと錯体を形成することができ、ボランのアミンに対するモル比は、0.1~10、優先的には0.5~5、非常に優先的には0.5~2である。この比は、特に0.1~0.5;または0.5~1;または1~2;または2~4;または4~5または5~6;または6~8;または8~10であってもよい。例えば、モノアミンが含まれる場合、この比は、好ましくはおよそ1である。しかし、ジアミンが含まれる場合、この比は、好ましくはおよそ2である。
【0171】
ボラン-アミン錯体は、組成物のA部の合計重量に対して5%~50%、好ましくは8%~45%の重量含有量で組成物のA部に添加されてもよい。この錯体は、例えば5%~10%;または10%~15%;または15%~20%;または20%~25%;または25%~30%;または30%~35%;または35%~40%;または40%~45%;または45%~50%の重量含有量で添加されてもよい。
【0172】
好ましい実施形態によると、ボラン-アミン錯体は、組成物のA部に導入される前に調製されてもよい。この調製は、参照により組み込まれる2009年3月30日に出願された特許出願EP2189463に記載される方法に従って、またはP. Veeraraghavan Ramachandranら(「Amine-boranes bearing borane-incompatible functionalities: application to selective amine protection and surface functionalization」、Chem. Commun.、2016、52、11885)による論文に記載される方法に従って、例えば上述のアミンと、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムまたは水素化ホウ素リチウムなどの水素化ホウ素化合物を反応させることによって行われてもよい。この反応は、特に、硫酸、メタスルホン酸、塩酸、硝酸、ホウ酸などの無機酸などの酸の存在下で、好ましくは硫酸の存在下で行われてもよい。
【0173】
アルケン化合物
2成分組成物のA部は、アルケン化合物を含む。このアルケン化合物は、ボランBH-アミン錯体と反応し、有機ボランをin situで形成することができる。「有機ボラン」という用語は、ヒドロホウ素化反応によって少なくとも1個の炭素原子に結合された少なくとも1個のホウ素原子を含む化合物を意味すると理解される。ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物は、1:1~1:20;優先的には1:3~1:10のモル比で2成分組成物のA部に存在してもよい。例えば、ボランBH-アミン錯体およびアルケン化合物は、1:1~1:5;または1:5~1:10;または1:10~1:15;または1:15~1:20のモル比で存在してもよい。
【0174】
特定の実施形態によると、アルケン化合物は、一般式[化学式1]:
のものであってもよい。
【0175】
11は、3~31個の炭素原子を含む基を表す。この基は、直鎖または分岐状であってもよい。さらに、この基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、フェニルアルキル基などのアリールアルキル基、無置換であるか、またはアルキル基(アルキルアリール)などの1個または複数の基で置換されているフェニル基、-OR12基、-SR12基または-SiR131415基から選択されてもよい。
【0176】
11がアルキル基を表す場合、この基は、ヘテロ原子を欠いていてもよい。言い換えれば、アルキル基は、炭素原子および水素原子からなっていてもよい。この基は、例えばn-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、(直鎖、環式または分岐状)ペンチル基、(直鎖、環式または分岐状)ヘキシル基、(直鎖、環式または分岐状)ヘプチル基、(直鎖、環式または分岐状)オクチル基、(直鎖、環式または分岐状)ノニル基、(直鎖、環式または分岐状)デシル基、(直鎖、環式または分岐状)ウンデシル基、(直鎖、環式または分岐状)ドデシル基、(直鎖、環式または分岐状)トリデシル基、(直鎖、環式または分岐状)テトラデシル基、(直鎖、環式または分岐状)ペンタデシル基、(直鎖、環式または分岐状)ヘキサデシル基、(直鎖、環式または分岐状)ヘプタデシル基、(直鎖、環式または分岐状)オクタデシル基、(直鎖、環式または分岐状)ノナデシル基、(直鎖、環式または分岐状)エイコサニル基、(直鎖、環式または分岐状)ヘンイコサニル基、(直鎖、環式または分岐状)ドコサニル基またはこれらの混合物、例えばINEOS OLIGOMERSから入手可能な直鎖および分岐状のC20~24αオレフィンもしくは商品参照名LINEALENEでIDEMITSU KOSANから入手可能な直鎖αオレフィンであってもよい。
【0177】
代替的に、R11がアルキル基を表す場合、この基は、少なくとも1個のヘテロ原子、特に酸素原子および/もしくは硫黄原子および/もしくはケイ素原子、ならびに/またはフッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子から選択されるハロゲンを含んでもよい。例えば、この基は、ヘテロ原子基を末端基としてまたは二価の基(すなわち、2個のアルキル基の間のアルキル鎖に存在する)としてまたは側基としてアルキル鎖上に含む直鎖アルキル鎖であってもよい。この場合、アルケン化合物は、以下の式のうちの1つを有してもよい:
【0178】
一般式[化学式10]
式[化学式10]中、mは1~9であってもよく、R19は、1~22個の炭素原子を含む基であってもよく、この基は、場合により直鎖または分岐状である。R19は、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはシクロアルキル基であってもよく、これらの基は以下に記載される通りである。
【0179】
アリール基は、例えばフェニル基、置換フェニル基(以下のアルキルアリールを参照のこと)またはピリジン、ピロールもしくはカルバゾールなどのヘテロアリール基であってもよい。アルキル、アルキルアリールおよびシクロアルキル基は、以下に記載される通りである。
【0180】
一般式[化学式11]
式[化学式11]中、rは1~9であってもよく、oは1~340であってもよく、R20は、水素原子または1~6個の炭素原子を含む基であってもよく、この基は、場合により直鎖または分岐状である。R21は、1~22個の炭素原子を含む基であってもよく、この基は、直鎖、環式または分岐状である。R21は、アルキル基、シクロアルキル基、アルキルアリール基またはアリール基であってもよく、これらの基は上述の通りである。
【0181】
一般式[化学式12]
式[化学式12]中、pは1~8であってもよく、R22は、1~22個の炭素原子を含む基であってもよく、この基は、場合により直鎖または分岐状である。R22は、アルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基またはアリール基であってもよく、これらの基は上述の通りである。
【0182】
一般式[化学式13]
式[化学式13]中、qは1~9であってもよく、R13、R14およびR15基は、直鎖または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アリール基またはアルコキシ基から互いに独立して選択されてもよい。これらの基は、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~5個の炭素原子を含んでもよく、これらの基は、(互いに独立して)直鎖または分岐状の基であってもよい。
【0183】
特定の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基などのアルコキシ基である。
【0184】
他の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基などのアルキル基である。
【0185】
一般式[化学式14]
式[化学式14]中、rは上述の通りであってもよく、sは2~11個の炭素原子であってもよく、R13、R14およびR15基は、上述の通りであってもよい。特定の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基などのアルコキシ基である。
【0186】
他の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基などのアルキル基である。
【0187】
一般式[化学式15]
式[化学式15]中、kは3~30であってもよく、Halは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素原子から選択されるハロゲンであってもよい。好ましくは、ハロゲンは臭素である。
【0188】
11がアリール基を表す場合、この基は、例えばフェニル基、置換フェニル基(以下のアルキルアリールを参照のこと)またはピリジン、ピロールもしくはカルバゾールなどのヘテロアリール基であってもよい。
【0189】
11がアルキルアリール基を表す場合、この基は、1個または複数の基で置換されているアリール基であってもよく、これらの基は好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、n-ブチル基またはsec-ブチル基などの1~10個、好ましくは1~5個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0190】
11がアリールアルキル基である場合、この基は、1個または複数のアリール基で置換されているアルキル基であってもよく、これらの基は、フラニル基またはフェニル基などの4~10個、好ましくは4~6個の炭素原子を含むアリール基である。
【0191】
11がシクロアルキル基を表す場合、この基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基であってもよい。この基はまた、1個または複数の基で置換されているシクロアルキルであってもよく、これらの基は好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基などの1~10個、好ましくは1~5個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0192】
11が-OR12基を表す場合、R12基は、直鎖または分岐状のアルキル基(3~30個の炭素原子を含む)、シクロアルキル基、アリールアルキル基またはアシル基から選択される。
【0193】
したがって、特定の実施形態によると、R12基は、ヘテロ原子を欠いていてもよい。言い換えれば、アルキル基は、炭素原子および水素原子からなっていてもよい。
【0194】
アリールアルキル基は上述の通りである。
【0195】
シクロアルキル基は上述の通りである。
【0196】
他の実施形態によると、R12基は、1個または複数のヘテロ原子、好ましくは酸素原子を含んでもよい。したがって、R12基は、-COOR16基などのアシル基を含んでもよい。この場合、R16は、直鎖または分岐状のアルキル基、シクロアルキル基またはアリールアルキル基から選択されてもよい。
【0197】
11が-SR12基を表す場合、R12基は、直鎖または分岐状のアルキル基(3~30個の炭素原子を含む)、シクロアルキル基、アリールアルキル基、アルキルアリール基またはアシル基から選択される。
【0198】
12基は上述の通りである。
【0199】
最後にR11が-SiR131415基を表す場合、R13、R14およびR15基は上述の通りであってもよい。
【0200】
特定の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基などのアルコキシ基である。
【0201】
他の実施形態によると、R13、R14およびR15のうちの少なくとも1個、好ましくはR13、R14およびR15のうちの少なくとも2個、より好ましくは3個のR13、R14およびR15基は、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基またはtert-ブチル基などのアルキル基である。
【0202】
好ましい実施形態によると、式[化学式1]のアルケン化合物は、オクテン、デセン、ビニルシクロヘキサン、ビニルベンゼン、ビニルトルエン、ビニルシラン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランなどのビニルアルコキシシラン、1-(ビニルオキシ)プロパン、1-(ビニルオキシ)ドデカン、1-(ビニルオキシ)オクタデカン、(ビニルオキシ)シクロヘキサン、1-(ビニルオキシ)ブタン、1-(ビニルオキシ)イソブタン、tert-ブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、硫化フェニルビニルおよびビニルメタクリレートを含んでもよい。
【0203】
特定の実施形態によると、アルケン化合物は、一般式[化学式2]:
のものであってもよい。
【0204】
11は上述の通りである。
【0205】
好ましい実施形態によると、式[化学式2]のアルケン化合物は、アリルフェニルエーテル、アリルフェニルチオエーテル、アリルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチル2-((アリルオキシ)メチル)アクリレートおよびアリルトリメチルシランを含んでもよい。
【0206】
特定の実施形態によると、アルケン化合物は、一般式[化学式3]:
のものであってもよい。
【0207】
この式[化学式3]中、Xは酸素原子、硫黄原子、または架橋を形成する二価の-CH-ラジカルである。
【0208】
さらに、nは2~10の整数である。好ましくは、nは2~8である。
【0209】
特定の実施形態によると、式[化学式3]のアルケン化合物は、その環に1個だけでなく複数の二重結合、例えば2または3個の二重結合を含む。
【0210】
特定の実施形態によると、nは2であり、Xは架橋を形成する二価の-CH-ラジカルである。この場合、式[化学式3]のアルケン化合物は、ノルボルネンの構造を有する。
【0211】
17およびR18基は、水素原子、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルキル基、1~10個の炭素原子を含む直鎖もしくは分岐状のアルケン基、または環を有する架橋を形成する二価の-CH-ラジカルを互いに独立して表す。
【0212】
特定の実施形態によると、R17およびR18のうちの少なくとも1個は、2~8個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を表す。
【0213】
特定の実施形態によると、R17およびR18のうちの少なくとも1個は、1~5個の炭素原子を有する直鎖アルケン基を表す。
【0214】
特定の実施形態によると、R17およびR18のうちの少なくとも1個は、水素原子を表す。代替的に、R17とR18の両方が、水素原子を表す。
【0215】
式[化学式3]の好ましいアルケン化合物は、2,3-ジヒドロフラン、3,4-ジヒドロ-2H-ピラン、2,3,4,5-テトラヒドロオキセピンまたは3,4,5,6-テトラヒドロ-2H-オキソシンであってもよい。
【0216】
好ましい実施形態によると、アルケン化合物は、オクテン、デセン、アリルトリメチルシラン、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランから選択されてもよい。
【0217】
特定の実施形態によると、組成物のA部は、単一のアルケン化合物を含む。
【0218】
代替的に、組成物のA部は、1種より多くのアルケン化合物、例えば2または3または4または5種のアルケン化合物を含んでもよい。
【0219】
アルケン化合物は、組成物のA部の合計重量に対して50%~95%、好ましくは55%~92%の重量含有量で組成物のA部に存在する。したがって、アルケン化合物は、特に組成物のA部の合計重量に対して50%~55%;または55%~60%;または60%~65%;または65%~70%;または70%~75%;または75%~80%;または80%~85%;または85%~90%;または90%~95%の重量含有量を有してもよい。
【0220】
好ましくは、アルケン化合物は、101 325Pa(1atm)で50℃以上、好ましくは80℃以上、好ましくは100℃以上の沸点を有する。例えば、アルケン化合物は、50℃~55℃;または55℃~60℃;60℃~65℃;または65℃~70℃;または70℃~75℃;または75℃~80℃;または80℃~85℃;または85℃~90℃;または90℃~95℃;または95℃~100℃;または100℃~105℃;または105℃~110℃;または110℃~115℃;または115℃~120℃;または120℃より大きい沸点を有してもよい。
【0221】
アルケン化合物が、20℃~30℃、好ましくは23℃~25℃の温度範囲で液体であることがさらに好ましい。
【0222】
ラジカル重合性化合物
2成分組成物は、少なくとも1個のエチレン結合を含む少なくとも1種のラジカル重合性化合物を含む。「ラジカル重合」は、活性種としてラジカルを含む鎖重合である。ラジカル重合は、開始、生長、停止および連鎖移動反応を含む。したがって、A部での有機ボランのin situ形成後、有機ボランは、B部の重合性化合物の重合を開始して、ポリマーネットワークを形成することができる。
【0223】
この化合物は、組成物のB部にのみ存在する。
【0224】
本発明の文脈において、ラジカル重合性化合物は、アクリル系モノマー、メタクリル系モノマーおよびこれらの組合せから選択される。ラジカル重合性化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸アミド(またはアクリルアミド)、メタクリル酸アミド(またはメタクリルアミド)、アクリル酸エステル(またはアクリレート)およびメタクリル酸エステル(またはメタクリレート)などのアクリル系およびメタクリル系モノマーまたはオリゴマーを含んでもよい。
【0225】
好ましい実施形態によると、ラジカル重合性化合物は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリレートおよびメタクリレートなどのアクリル系またはメタクリル系モノマーである。
【0226】
ラジカル重合性化合物は、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマーおよびこれらの混合物から選択されてもよく、アクリル酸エステル(アクリレート)およびメタクリル酸エステル(メタクリレート)のアルキル基は、好ましくは1~22個の炭素原子を含み、飽和または不飽和であり、直鎖、分岐状または環式であり、場合により少なくとも1個のヘテロ原子(O、S)または1個のエステル官能基(-COO-)を含み;アルキル基は、好ましくは1~12個の炭素原子を含み、直鎖、分岐状または環式である。
【0227】
有利には、ラジカル重合性化合物は、アルキルおよびシクロアルキルアクリレートならびにメタクリレート、例えばアクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、アリルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR440)、2-エチルヘキシルアクリレート、n-デシルアクリレート、イソデシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR395)、ラウリルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR335)、トリデシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR489)、C12~C14アルキルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR336)、n-オクタデシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR484)、C16~C18アルキルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR257C)、シクロヘキシルアクリレート、t-ブチルヘキシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR217)、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR420)、イソボルニルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR506D)、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、アリルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、n-デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n-ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレートおよびこれらの混合物から選択されてもよい。特に好ましい化合物は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレートおよび2-エチルヘキシルメタクリレートである。
【0228】
さらに、ラジカル重合性化合物は、ヘテロ原子を含むアクリレートおよびメタクリレート、つまりエステルのアルコール部分の基に炭素または水素でない原子を少なくとも1個含有する(エステル基自体の原子を考慮に入れずに)アクリレートおよびメタクリレートから選択されてもよい。好ましくは、原子は酸素である。したがって、ラジカル重合性化合物は、テトラヒドロフルフリルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR285)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(Sartomerによって販売されるSR203H)、グリシジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-および3-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-エトキシエチルアクリレート、2-および3-エトキシプロピルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR256)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(好ましくは2~8個の(エトキシ)反復単位を含む)、ポリプロピレングリコールアクリレート(好ましくは2~8個の(プロポキシ)反復単位を含む)、ポリカプロラクトンアクリレート(Sartomerによって販売されるSR495B)、2-フェノキシエチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR339C)、2-[2-[2-(2-フェノキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR410)、2-[2-[2-(2-ノニルフェノキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR504D)、環式トリメチロールプロパンホルマルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR531)、環式グリセロールホルマルアクリレート、2-[2-[2-(2-ドデシルオキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]エチルアクリレート(Sartomerによって販売されるSR9075)、グリシジルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-および3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-エトキシエチルメタクリレート、2-および3-エトキシプロピルメタクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(好ましくは2~8個(エトキシ)の反復単位を含む)、ポリエチレングリコールメタクリレート(好ましくは2~8個(エトキシ)の反復単位を含む)、ポリプロピレングリコールメタクリレート(好ましくは2~8個(プロポキシ)の反復単位を含む)、環式トリメチロールプロパンホルマルメタクリレート、環式グリセロールホルマルメタクリレート(Evonikによって販売されるVisiomer(登録商標)Glyfoma)、ならびにこれらの混合物から選択されてもよい。エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチルプロパン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、およびペンタプロピレンのアクリレートおよびメタクリレートも使用可能である。特に好ましい化合物は、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ポリカプロラクトンアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレートおよびポリカプロラクトンメタクリレートである。ジアクリレートおよびジメタクリレート化合物も本発明の文脈内で使用可能である。そのような化合物として、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR238)、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR341)、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR595)、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR833S)、エステルジオールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR606A)、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、例えばジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR272)、ジプロピレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR508)、トリプロピレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR306)、テトラエチレングリコールジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR268G)、エトキシル化および/またはプロポキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR349)、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR602)、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(40)ビスフェノールAジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR259)、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR344)、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(Sartomerによって販売されるSR610)、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、アルコキシル化脂肪族メタクリレート、例えばトリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化ヘキサンジオールジメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化ネオペンチルグリコールジメタクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化(30)ビスフェノールAジメタクリレート、エトキシル化(40)ビスフェノールAジメタクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0229】
トリアクリレートおよびトリメタクリレート化合物も本発明の文脈内で使用可能である。そのような化合物として、グリセロールトリメタクリレート、グリセロールトリアクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomerによって販売されるSR351)、エトキシル化および/またはプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Sartomerによって販売されるSR444D)、エトキシル化および/またはプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、およびトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(Sartomerによって販売されるSR368)、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化グリセロールトリメタクリレート、エトキシル化および/またはプロポキシル化トリメチロールプロパントリメタクリレート、ならびにペンタエリスリトールトリメタクリレートが挙げられる。
【0230】
3個より多くのアクリレートまたはメタクリレート基を含む化合物、例えばペンタエリスリトールテトラアクリレート(Sartomerによって販売されるSR295)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(Sartomerによって販売されるSR355)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Sartomerによって販売されるSR399)、エトキシル化および/またはプロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ならびにエトキシル化および/またはプロポキシル化ペンタエリスリトールテトラメタクリレートも使用可能である。
【0231】
さらに、ラジカル重合性化合物は、アクリル系およびメタクリル系オリゴマー、例えばウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、ポリブタジエンアクリレート(Sartomerによって販売されるSR307)およびポリブタジエンメタクリレートから選択されてもよい。このカテゴリーで好ましい化合物は、例えばSartomerによって販売されるCN1963、CN1964、CN992、CN981、CN9001、CN9002、CN9012、CN9200、CN964A85、CN965、CN966H90、CN991、CN9245S、CN998B80、CN9210、CN9276、CN9209、PRO21596、CN9014NS、CN9800、CN9400、CN9167、CN9170A86、CN9761およびCN9165Aである。
【0232】
本発明の文脈内で使用可能なラジカル重合性化合物はまた、アクリルアミドおよびメタクリルアミドを含んでもよい。例えば、これらのモノマーは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N-(ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド、N-(3-メトキシプロピル)アクリルアミド、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N’-メチレンジメタクリルアミド、N,N’-メチレンジアクリルアミド、N,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスメタクリルアミドおよびN,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドから、さらにアクリルもしくはメタクリル酸(またはこの酸の塩化アシル)の、第一級および/または第二級(ポリ)アミン、例えば1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、ポリアミドアミンおよびポリオキシアルキレンポリアミンとの反応後に形成されるアクリルアミドおよびメタクリルアミドから選択されてもよい。
【0233】
ある特定の実施形態によると、単一のラジカル重合性化合物(上記で定義された通り)は、組成物のB部に存在する。
【0234】
他の実施形態によると、複数のラジカル重合性化合物(上記で定義された通り)は、組成物のB部に存在する。
【0235】
ラジカル重合性化合物は、組成物のB部の合計重量に対して10%~99%、好ましくは30%~95%の重量含有量で組成物のB部に存在してもよい。この含有量は、例えば10%~15%;または15%~20%;または20%~25%;または25%~30%;または30%~35%;または35%~40%;または40%~45%;または45%~50%;または50%~55%;または55%~60%;または60%~65%;または65%~70%;または70%~75%;または75%~80%;または80%~85%;または85%~90%;または90%~95%;または95%~99%であってもよい。
【0236】
B部は、対照的に定義されるように、アルケン化合物を欠いている。
【0237】
2成分組成物
2成分組成物はまた、少なくとも1種の追加的なアミンを含んでもよく、追加的なアミンは上記で定義された通りである。
【0238】
好ましくは、追加的なアミンは、組成物のA部に存在する。アミンが存在することにより(ボランに対して過剰量で)、有組成物のA部)を安定化させ、その貯蔵寿命を増大させることができる。
【0239】
特定の実施形態によると、この追加的なアミンは、ボラン-アミン錯体中に存在するアミンと同じである。
【0240】
他の実施形態によると、この追加的なアミンは、ボラン-アミン錯体に存在するアミンとは異なる。
【0241】
特定の実施形態によると、単一の追加的なアミンが2成分組成物中に存在する。
【0242】
他の実施形態によると、2種または2種より多くの追加的なアミンが2成分組成物中に存在する。
【0243】
好ましい実施形態によると、追加的なアミンはポリエーテルアミンである。
【0244】
追加的なアミンは、組成物の合計重量に対して、好ましくは組成物のA部の合計重量に対して0.01%~30%、好ましくは0.01%~25%の重量含有量で2成分組成物、好ましくは組成物のA部に存在してもよい。この含有量は、特に0.01%~0.5%;または0.5%~1%;または1%~5%;または5%~10%;または10%~15%;または15%~20%;または20%~25%;または25%~30%であってもよい。
【0245】
2成分組成物はまた、充填剤、可塑剤、粘着付与樹脂、溶媒、UV安定剤、吸湿剤、蛍光材料およびレオロジー添加剤から選択される1種または複数の添加剤を含んでもよい。
【0246】
そのような添加剤は、組成物の2つの部分のうちの1つに、または代替的には組成物の両方の部分に存在してもよい。
【0247】
例えば、2成分組成物のA部は、充填剤、可塑剤、粘着付与樹脂、溶媒、UV安定剤、吸湿剤、光学増白剤およびレオロジー添加剤を含んでもよい。
【0248】
2成分組成物のB部は、例えば充填剤および可塑剤を含んでもよい。
【0249】
充填剤は、タルク、マイカ、カオリン、ベントナイト、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、硫酸バリウム、普通角閃石、角閃石、クリソタイル、カーボンブラック、炭素繊維、ヒュームドまたは熱分解法シリカ、分子ふるい、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、ガラスビーズ、ガラス繊維およびこれらの組合せから選択されてもよい。
【0250】
可塑剤に関しては、コーティングまたは接着剤産業の当業者に公知のものから選択されてもよい。例えば、フタレート、ポリオールエステル(例えば、Perstorpによって販売されるペンタエリスリトールテトラバレレートなど)、エポキシ化油、フェノールのアルキルスルホン酸エステル(Lanxessによって販売されるMesamoll(登録商標)製品)およびこれらの混合物に基づく可塑剤が挙げられてもよい。
【0251】
粘着付与樹脂は特に、フリーデルクラフツ触媒の存在下でのテルペン炭化水素とフェノールの重合によって得られる樹脂、例えばモル質量がおよそ870Daである、DRTから入手可能なDertophene(登録商標)1510、モル質量がおよそ630Daに等しい、同社から入手可能なDertophene(登録商標)H150、モル質量がおよそ1200Daである、Arizona Chemicalから入手可能なSylvarez(登録商標)TP 95;α-メチルスチレンの重合を含む方法によって得られる樹脂、例えばフェノールの作用を伴わずにα-メチルスチレンの重合によって得られる、数平均モル質量が900DaであるCray Valleyから入手可能なNorsolene(登録商標)W100樹脂、モル質量がおよそ1740Daであり、その生成方法がフェノールの添加も含む、Arizona Chemicalから同様に入手可能なSylvarez(登録商標)510;天然起源または変性ロジン、および水素化、ダイマー化、重合、またはモノアルコールもしくはポリオールでエステル化されたそれらの誘導体、例えばArizona Chemicalから入手可能な、ロジンとペンタエリスリトールのエステルであり、モル質量がおよそ1700DaであるSylvalite(登録商標)RE 100樹脂;石油画分から得られる、およそ5、9または10個の炭素原子を有する不飽和脂肪族炭化水素の混合物の水素化、重合または共重合によって得られる樹脂;テルペン樹脂;天然テルペンに基づく共重合体;ならびに100℃で100Pa.s未満の粘度を有するアクリル樹脂から選択されてもよい。
【0252】
溶媒は、常温(およそ23℃の温度)で揮発性の溶媒であってもよい。揮発性溶媒は、例えば常温で揮発性のアルコール、例えばエタノールまたはイソプロパノールから選択されてもよい。揮発性溶媒は、例えば2成分組成物(A部および/またはB部)の粘度を低減させ、組成物を塗布し易くすることができる。溶媒が揮発性の性質であると、組成物の架橋後に得られる生成物がそれ以上溶媒を含有しないことが可能になる。
【0253】
UV安定剤は、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、「ヒンダード」アミン、例えばビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、およびこれらの混合物から選択されてもよい。例えば、BASFによって販売される製品Tinuvin(登録商標)328またはTinuvin(商標)770を挙げることができる。
【0254】
光学増白剤は、例えば2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾキサゾール)(Uvitex(登録商標)OB)であってもよい。
【0255】
レオロジー添加剤に関しては、コーティングまたは接着剤産業の当業者に公知のものから選択されてもよい。例えば、シリカ(特に熱分解法シリカ)、または微細化アミドワックス(例えば、Arkemaによって販売されるCrayvallacシリーズなど)を挙げることができる。
【0256】
添加剤は、組成物の合計重量に対して0.01%~70%、好ましくは0.01%~50%、好ましくは0.01%~30%、より好ましくは0.01%~10%の重量含有量で2成分組成物に存在してもよい。
【0257】
したがって、添加剤は、特に0.01%~0.05%;または0.05%~0.1%;または0.1%~0.5%;または0.5%~1%;または1%~5%;または5%~10%;または10%~20%;または20%~30%;または30%~40%;または40%~50%;または50%~60%;または60%~70%の重量含有量で2成分組成物に存在してもよい。
【0258】
好ましい実施形態によると、本発明による2成分組成物は、ボランとアミンを脱錯化するための脱錯化剤を欠いている。「脱錯化剤」という用語は、ボラン-アミン錯体中に存在するアミンと反応してボランを遊離することができる化合物を意味すると理解される。例えば、脱錯化剤は、イソシアネート、ルイス酸、カルボン酸、鉱酸、ホスホン酸、スルホン酸、塩化アシル、無水物、アルデヒド、1,3-ジカルボニル化合物およびエポキシドであってもよい。好ましくは、本発明による2成分組成物は、イソシアネート化合物を欠いている。
【0259】
2成分組成物のAおよびB部は、好ましくは組成物が使用されるまで分離したままであってもよい。したがって、重合の開始は、組成物のA部がB部と接触する際に始まる。
【0260】
組成物のA部のB部に対する体積比は、1:1~1:40、優先的には1:1~1:10であってもよい。特定の好ましい実施形態によると、この比は約1であってもよい。例えばこの比は、1:1~1:5;または1:5~1:10;または1:10~1:15;または1:15~1:20;または1:20~1:25;または1:25~1:30;または1:30~1:35;または1:35~1:40であってもよい。
【0261】
組成物の使用
本発明による2成分組成物は、低表面エネルギーを有する基材の処理に使用されてもよい。より詳細には、本発明による2成分組成物は、45mJ/m以下、好ましくは40mJ/m以下、より好ましくは35mJ/m以下の表面エネルギーを有する基材の処理に使用されてもよい。例えば、この表面エネルギーは、10~15mJ/m;または15~20mJ/m;または20~25mJ/m;または25~30mJ/m;または30~35mJ/m;または35~40mJ/m;または40~45mJ/mであってもよい。低表面エネルギーを示す基材は、例えばポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリテトラフルオロエチレン、さらにこれらの共重合体である。これらの表面エネルギー値は、先行技術で周知である。
【0262】
特定の実施形態によると、組成物のA部は、2成分組成物(A部とB部の混合物)を基材の表面にコーティングする前にB部と混合されてもよい。したがって、重合の開始は、2つの部分が混合される際に始まる。
【0263】
他の実施形態によると、組成物の2つのA部およびB部のうちの1つが第1の段階で基材の表面にコーティングされてもよく、第2の段階で、2つの部分のうちの2つ目が2つの部分のうちの1つ目の上から基材の表面へとコーティングされてもよい。したがって、重合の開始は、組成物のA部およびB部のうちの2つ目が基材の表面にコーティングされる際に始まる。
【0264】
特定の実施形態によると、重合性組成物は、20~100℃、好ましくは35~85℃の温度で基材の表面にコーティングされてもよい。
【0265】
特定の実施形態によると、第1の段階でA部が基材の表面にコーティングされ、次いで第2の段階でB部がA部の上から基材の表面にコーティングされる。
【0266】
他の実施形態によると、第1の段階でA部が基材の表面にコーティングされ、次いで第2の段階でB部がA部の上から基材の表面にコーティングされる。
【0267】
したがって、両方の実施形態において、2成分組成物が基材の表面で層を形成することができる。この層は、1μm~500mm、好ましくは10μm~100mm、より好ましくは10μm~10mmの厚さを有してもよい。
【0268】
特定の実施形態によると、本発明による2成分組成物は、2つの基材を一緒に結合させるための接着剤組成物として使用されてもよい。したがって、組成物は、2つの基材を固定して一緒に保持する接着剤層を架橋後に形成してもよい。より詳細には、2成分組成物を基材の表面にコーティングした後、コーティングされた表面にさらなる基材の表面を接触させ、2つの基材を結合させてもよい。特定の実施形態によると、さらなる基材をコーティングされた表面と接触させて、アセンブリを加熱プレス下に配置して2つの基材の結合を加速させてもよい。このプレスの温度は、例えば50~140℃、好ましくは50~120℃であってもよい。
【0269】
好ましくは、2つの基材のうちの少なくとも1つが低表面エネルギーを有する基材である。第2の基材もまた、低表面エネルギーを有する基材であってもよい。代替的に、第2の基材は、紙、アルミニウムなどの金属、低表面エネルギー基材以外のポリマー材料、例えばポリアミド、ポリスチレン、ビニルポリマー、例えばポリ塩化ビニル、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエステル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、ポリ(メチルメタクリレート)および天然または合成ゴムから選択される材料であってもよい。
【0270】
他の実施形態によると、本発明による2成分組成物は、基材の表面のコーティングとして使用されてもよい。したがって、組成物は、例えば基材の表面の1種または複数の特性を改質するために、基材の表面を覆う層を架橋後に形成してもよい。好ましくは、この基材は、上述の通り低表面エネルギーを有する。
【0271】
また他の実施形態によると、本発明による2成分組成物は、プライマーとして使用されてもよい。「プライマー」という用語は、プライマー層を含む基材にさらなる層が塗布可能になるように、基材にコーティングされ、この基材の1種または複数の表面特性を改善する(例えば、基材の材料への接着を改善する)層を意味すると理解される。例えば、本発明による2成分組成物を低表面エネルギー基材にコーティングすることにより、その表面エネルギーを増加させることができ、別の接着剤組成物を2成分組成物の上に塗布することが容易になる。
【0272】
したがって、本発明による組成物の塗布後に製造される物品は、2成分組成物でコーティングされた少なくとも1つの表面を含む。
【0273】
2成分組成物がプライマーまたはコーティングとして使用される場合、これは物品の外面である。
【0274】
2成分組成物が接着剤として使用される場合、これは物品の内面、つまり、例えば物品の別の表面と接触される物品の表面であり、2成分組成物はこれら2つの表面の間に配置される。
【0275】
架橋された2成分組成物は、30%以上の破断伸び率を示してもよい。この破断伸び率は、例えば30%~40%;または40%~50%;または50%~60%;または60%~70%;または70%~80%;または80%~90%;または90%~100%であってもよく;または100%より大きくてもよい。破断伸び率は、ISO37規格に従って測定できる。
【0276】
架橋された2成分組成物は、100MPa以下、より好ましくは60MPa以下の弾性係数を示してもよい;弾性係数は、例えば1~100MPa、好ましくは3~50MPaであってもよい。弾性係数は、ISO37規格に従って測定できる。
【実施例
【0277】
以下の実施例は、本発明を限定することなく例示する。
【0278】
6種の2成分組成物(A~F)を、A部とB部を混合することによって調製した。
【0279】
A部およびB部は、それぞれ100gの量および1:10の比(A:B)で用意した。
【0280】
組成物A~CのA部は、以下の表に示されるボラン-アミン錯体およびアルケン化合物を含む。組成物DのA部はアルケン化合物を欠いている。組成物EおよびFのA部は、それぞれ25%および100%のトリエチルボランアミン錯体を含む(比較例)。組成物EのA部は、可塑剤(LANXESS社によって販売されるMesamoll(登録商標)、アルキルスルホン酸フェニルエステル)を含むが、組成物FのA部は、脱錯化剤を欠いている。
【0281】
組成物A~DおよびFのB部は、同一であり、91%のメチルメタクリレートモノマー、8%のヒュームドシリカ(EVONIK社によって販売されるAEROSIL(登録商標)R202)および1%のガラスビース(SiO)を含む。組成物EのB部は、89.8%のメチルメタクリレートモノマー、脱錯化剤として1.2%の無水コハク酸、8%のヒュームドシリカ(EVONIK社によって販売されるAEROSIL(登録商標)R202)および1%のガラスビース(SiO)を含む。
【0282】
この実施例では、各組成物(A~F)を、100mm×25mm×5mmの寸法を有するポリプロピレン基材の表面(25mm×10mm)にコーティングした。次いで、同じ種類の第2の基材を、2成分組成物を含む基材と接触させ、2つの基材を一緒に結合させる。2つの基材を、クランプを用いて24日間互いに対して保持する。次に、万能試験機を使用し、10mm/分の速度で製造品のせん断強度を試験する。得られた値は、3回の測定の平均に相当する。せん断強度を破壊モードとともに報告する。
【0283】
結果を以下の表に示す。
【0284】
組成物A~Cから製造される物品が、ジアミノプロパンアミン-トリエチルボラン錯体と脱錯化剤を含む組成物Eの場合に得られる接着と比較して、良好な接着特性を有することが観察される。
【国際調査報告】