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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】液化ガス貯蔵施設
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20230525BHJP
   F25J 1/02 20060101ALI20230525BHJP
   C01B 3/00 20060101ALN20230525BHJP
【FI】
F25J1/00 C
F25J1/02
C01B3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562922
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2021057357
(87)【国際公開番号】W WO2021209231
(87)【国際公開日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】2003881
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ラグッテ、フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、ジャン-マルク
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス、レミ
【テーマコード(参考)】
4D047
4G140
【Fターム(参考)】
4D047AA02
4D047AB07
4D047BA07
4D047BA08
4D047CA06
4D047CA13
4D047CA17
4G140AB01
(57)【要約】
本発明は、液体形態のガス(3)と気相(4)とを収容するよう意図する液化ガスリザーバ(2)と、リザーバ(2)の内容物を冷却するための装置と、を備え、冷却装置は、サイクルガスを冷却するためのサイクルを有する少なくとも1つの第1の冷却機(5)を備え、前記第1の冷却機(5)は、サイクル回路(6)内に直列に配置された、サイクルガスを圧縮するための部材(7)と、サイクルガスを冷却するための部材(8、9)と、第2のサイクルガスを膨張させるための部材(10)と、膨張したサイクルガスを再加熱するための部材(11、9)とを備え、冷却装置は、第1の冷却機の低温端部(11)と熱交換する第1の端部と、リザーバ(2)内に位置する第1の熱交換器(13)を備える第2の端部とを備える第1の伝熱流体ループ(12)を備え、第1の伝熱流体ループ(12)は、伝熱流体を循環させるための部材(14)を備える、液化ガス、特に液体水素の貯蔵設備であって、第1の熱交換器(13)は、リザーバ(2)の内部と直接熱交換し、即ち、第1の熱交換器(13)は、リザーバ(2)内でそれを囲む流体と直接熱交換することを特徴とする液化ガス貯蔵設備に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体形態のガス(3)と気相(4)とを収容するよう意図する液化ガスリザーバ(2)と、前記リザーバ(2)の内容物を冷却するための装置と、を備え、前記冷却装置は、サイクルガスの冷却サイクルを有する少なくとも1つの第1の冷却機(5)を備え、前記第1の冷却機(5)は、サイクル回路(6)内に直列に配設された、前記サイクルガスを圧縮するための部材(7)と、前記サイクルガスを冷却するための部材(8、9)と、第2のサイクルガスを膨張させるための部材(10)と、前記膨張したサイクルガスを加熱するための部材(11、9)とを備え、前記冷却装置は、前記第1の冷却機の低温端部(11)と熱交換する第1の端部と、前記リザーバ(2)内に位置する第1の熱交換器(13)を備える第2の端部とを備える第1の伝熱流体ループ(12)を備え、前記第1の伝熱流体ループ(12)は、前記伝熱流体を循環させるための部材(14)を備える、液化ガス、特に液体水素を貯蔵するための設備であって、前記第1の熱交換器(13)は、前記リザーバ(2)の内部と直接熱交換し、即ち、前記第1の熱交換器(13)は、前記リザーバ(2)内でそれを囲む前記流体と直接熱交換し、前記第1の伝熱流体ループ(12)の前記第2の端部は、前記第1の熱交換器(13)と並列に接続される第2の熱交換器(15)を備え、前記第2の熱交換器(15)は、前記リザーバ(2)の下部に位置し、前記リザーバ(2)の前記内部と直接熱交換し、即ち、前記交換器は、前記リザーバ(2)内でそれを囲む前記流体と直接熱交換する、ことを特徴とする設備。
【請求項2】
前記第1の熱交換器(13)は、前記リザーバ(2)の上部に位置することを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記第1の伝熱流体ループ(12)は、前記第1の熱交換器(13)及び/又は前記第2の熱交換器(15)における伝熱流体の流量を調整するための1つ以上の弁(16、17)のシステムを備えることを特徴とする、1つの請求項2に記載の設備。
【請求項4】
前記循環部材(14)は、極低温式の圧縮機又はポンプを備えることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の設備。
【請求項5】
前記伝熱流体は、ヘリウム及び/又は水素を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の設備。
【請求項6】
前記第1の伝熱流体ループ(12)の前記第1の端部は、前記伝熱流体と前記第1の冷却機の前記サイクルガスとの間の向流熱交換を確実にする熱交換器(11)において前記第1の冷却機の低温端部と熱交換することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の設備。
【請求項7】
ガス源に接続されるよう意図される、液化されるべき流体を供給するためのライン(28)を備え、前記ライン(28)は、前記第1の冷却機(5)の前記サイクルガスと熱交換し、前記ライン(28)は、前記リザーバ(2)に開口することが好ましいことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の設備。
【請求項8】
前記液体を加熱するように、前記サイクルガスを冷却するための前記部材(8、9)と熱交換する極低温液体のラインを備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の設備。
【請求項9】
前記冷却装置は、サイクルガスの冷却サイクルを有する第2の冷却機(18)を備え、前記第2の冷却機(18)は、サイクル回路(19)内に直列に配設された、前記サイクルガスを圧縮するための部材(20)と、前記サイクルガスを冷却するための部材(21、22)と、前記サイクルガスを膨張させるための部材(23)と、前記膨張したサイクルガスを加熱するための部材(24)とを備え、前記設備(1)は、前記第2の冷却機(18)の前記サイクルガスと前記第1の冷却機(5)の前記サイクルガスとの間の熱交換のためのシステム(9、25)を備えることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の設備。
【請求項10】
冷却サイクルを有する前記第2の冷却機(18)の前記サイクルガスと冷却サイクルを有する前記第1の冷却機(5)の前記サイクルガスとの間の熱交換のための前記システムは、前記第2の冷却機(18)の前記サイクル回路(19)の一部と熱交換する第1の端部と、前記第1の冷却機の前記サイクル回路(6)の一部(9)と熱交換する第2の端部とを備える第2の伝熱流体ループ(25)を備えることを特徴とする、請求項9に記載の設備。
【請求項11】
前記第2の伝熱流体ループ(25)の前記第1の端部は、少なくとも1つの熱交換器(22、24)において前記第2の冷却機(18)の前記サイクル回路(19)の一部と熱交換し、前記第2の伝熱流体ループ(25)の前記第2の端部は、少なくとも1つの熱交換器(9)において前記第1の冷却機の前記サイクル回路(6)の一部(9)と熱交換することを特徴とする、請求項10に記載の設備。
【請求項12】
前記第2の伝熱流体ループ(25)は、ポンプ等の前記伝熱流体を循環させるための部材(26)を備えることを特徴とする、請求項10又は11に記載の設備。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガス、特に液体水素を貯蔵するための設備に関する。
【0002】
本発明は、特に、液化ガス、特に液体水素を貯蔵するための設備であって、液体形態及び気相のガスを収容するよう意図される液化ガスリザーバと、リザーバの内容物を冷却するための装置とを備え、冷却装置は、サイクルガスの冷却サイクルを有する少なくとも1つの第1の冷却機を備え、前記第1の冷却機は、サイクル回路において直列に配設された、サイクルガスを圧縮するための部材と、サイクルガスを冷却するための部材と、第2のサイクルガスを膨張させるための部材と、膨張したサイクルガスを加熱するための部材とを備え、冷却装置は、第1の冷却機の低温端部と熱交換する第1の端部と、リザーバ内に位置する第1の熱交換器を備える第2の端部とを備える第1の伝熱流体ループを備え、第1の伝熱流体ループは、伝熱流体を循環させるための部材を備える設備に関する。
【0003】
本発明は、特に、液化ガス、特に船舶によって輸送される液体水素を貯蔵するための設備に関する。従って、本発明はまた、かかる設備を備える船舶にも関係することができる。
【0004】
本発明は、特に、充填及び回収段階を考慮して、蒸発による損失なく、液体水素を長期間にわたって貯蔵するためのシステムであって、必要とする装備の点数及び保守を最小限に抑える技術を実施するシステムに関する。
【背景技術】
【0005】
極低温流体、特に大量の液体水素の輸送は、数週間続く可能性がある行程に対して、特に海上輸送が増加する可能性が高い。
【0006】
大型のリザーバ(数千m3)に対して、累積熱入力により、貨物の相当量の蒸発が生じる。これにより、圧力が上昇する。この問題は、メタンタンカーのタンクで遭遇するものと同様である。
【0007】
特に、かかる設備は、以下の現象を被る。
比較的高温の壁部に液体が到達することによる、リザーバを充填する段階中の相当量の蒸発。
特に満杯又は空の輸送段階中の自然熱入力。
回収段階中の圧力低下。
【0008】
蒸気の一部は、エネルギー生成目的(燃料電池を介する)のために用いることができるが、これらの蒸気を再凝縮するか、又は蒸発を排除することを可能にする解決策が好ましい。
【0009】
文献の米国特許第3302416号明細書は、天然ガスの液相を、圧送し、熱交換器を収容する密閉チャンバ内部の冷却熱交換器と熱交換させるような設備を説明している。
【0010】
この解決策は、冷却又はリザーバの液相を可能にするが、充填段階中のリザーバ内の圧力を満足に調整することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の1つの目的は、上で述べた先行技術の欠点のうちの全て又は幾つかを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、他の点では上記プリアンブルにおいて与えたその一般的な定義によるものである本発明による設備は、本質的に、第1の熱交換器がリザーバの内部と直接熱交換していること、即ち、第1の熱交換器がリザーバ内でそれを囲む流体と直接熱交換していることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の実施形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を有していてもよい。
-第1の熱交換器は、リザーバの上部に位置し、
-第1の伝熱流体ループの第2の端部は、第1の熱交換器と並列に接続される第2の熱交換器を備え、第2の熱交換器は、リザーバの下部に位置し、リザーバの内部と直接熱交換し、即ち、交換器は、リザーバ内でそれを囲む流体と直接熱交換し、
-第1の伝熱流体ループは、第1の熱交換器及び/又は第2の熱交換器における伝熱流体の流量を調整するための1つ以上の弁のシステムを備え、
-循環部材は、極低温式の圧縮機又はポンプを備え、
-伝熱流体は、ヘリウム及び/又は水素を含み、
-第1の伝熱流体ループの第1の端部は、伝熱流体と第1の冷却機のサイクルガスとの間の向流熱交換を確実にする熱交換器において第1の冷却機の低温端部と熱交換し、
-設備は、ガス源に接続されるように意図される、液化されるべき流体を供給するためのラインを備え、前記ラインは、第1の冷却機のサイクルガスと熱交換し、前記ラインは、リザーバに開口することが好ましく、
-設備は、前記液体を加熱するように、サイクルガスを冷却するための部材と熱交換する極低温液体のラインを備え、
-冷却装置は、サイクルガスの冷却サイクルを有する第2の冷却機を備え、前記第2の冷却機は、サイクル回路内に直列に配設された、サイクルガスを圧縮するための部材と、サイクルガスを冷却するための部材と、サイクルガスを膨張させるための部材と、膨張したサイクルガスを加熱するための部材とを備え、設備は、第2の冷却機のサイクルガスと第1の冷却機のサイクルガスとの間の熱交換のためのシステムを備え、
-冷却サイクルを有する第2の冷却機のサイクルガスと冷却サイクルを有する第1の冷却機のサイクルガスとの間の熱交換のためのシステムは、第2の冷却機のサイクル回路の一部と熱交換する第1の端部と、第1の冷却機のサイクル回路の一部と熱交換する第2の端部とを備える第2の伝熱流体ループを備え、
-第2の伝熱流体ループの第1の端部は、少なくとも1つの熱交換器において第2の冷却機のサイクル回路の一部と熱交換し、第2の伝熱流体ループの第2の端部は、少なくとも1つの熱交換器において第1の冷却機のサイクル回路の一部と熱交換し、
-第2の伝熱流体ループは、ポンプ等の伝熱流体を循環させるための部材を備える。
【0014】
本発明はまた、かかる設備を用いる貯蔵方法にも関する。
【0015】
本発明はまた、特許請求の範囲の適用範囲内において上記又は下記の特徴の任意の組み合わせを含む任意の代替装置又は方法に関連することができる。
【0016】
更に特定の特徴及び利点は、図を参照して提供される以下の説明を読み取ることにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による設備の構造及び動作の第1の実施例を示す部分略図を示す。
図2】本発明による設備の構造及び動作の第2の実施例を示す部分略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1]に示す液化ガス(特に液体水素)を貯蔵するための設備1は、下部に液体形態のガス3、及び上部に気相4を収容するよう意図する液化ガスリザーバ2を備えている。設備1は、リザーバ2の内容物を冷却するための装置を備え、従って、その中の圧力を調整することを可能にしている。
【0019】
この冷却装置は、サイクルガスの冷却サイクルを有する冷却機5を備えている。このサイクルガスは、ヘリウム及び/又は水素及び/又はネオン及び/又は窒素及び/又はその他適切なガスを含むことが好ましい。
【0020】
この冷却機5は、サイクル回路6に直列に配設された、サイクルガスを圧縮するための部材7(1つ以上の圧縮機等)と、サイクルガスを冷却するための部材8、9(例えば1つ以上の熱交換器)と、第2のサイクルガスを膨張させるための部材10(1つ以上のタービン又は弁)と、膨張したサイクルガスを加熱するための部材11、9(例えば1つ以上の熱交換器)とを有している。
【0021】
例えば、この冷却機5は、15K~25Kの間の温度の冷気、並びにサイクル回路6内のサイクルガスの循環を確保するのに十分な駆動圧力を発生させるよう構成される。
【0022】
サイクルガスは、この冷却機5において、逆ブレイトン熱力学サイクルと称する熱力学サイクルを行うことが好ましい。1つ以上の圧縮機7は遠心式(及び求心式のタービン)であり、油なしで動作するという特定の特徴を有している。一実施形態によれば、1つ以上のタービン10は、エネルギーを回収するために圧縮機7と同じシャフト上に組み立てることができる。
【0023】
冷却装置は、更に、第1の冷却機の低温端部11と熱交換する第1の端部と、リザーバ2内に位置する少なくとも1つの第1の熱交換器13を備える第2の端部とを備える伝熱流体ループ12を備えている。この伝熱流体ループ12は、伝熱流体を循環させるための部材14、例えば圧縮機又は低温ポンプを備えている。
【0024】
この伝熱流体は、例えばヘリウム及び/又は水素を含むことができる。
【0025】
この冷却機5の冷却サイクルは、複数のサイクルをカスケード状に組み合わせたものであってもよい。例えば、窒素、ヘリウム、及び/又はネオンの混合気を用いる第1のサイクルと、それに続くヘリウム及び/又は水素を含む第2のサイクルである。
【0026】
このポンプ14(又は低温圧縮機)は、これらの極めて低い温度で動作するよう構成され、好ましくは、その動作のために油又はグリースを必要としない。
【0027】
伝熱流体ループ12の第1の端部は、例えば、伝熱流体と第1の冷却機5の冷却され膨張したサイクルガスとの間の向流熱交換を確実にする熱交換器11において、第1の冷却機の低温端部と熱交換している。
【0028】
図示の実施例において、設備1は、リザーバ2内に2つの熱交換器13、15を、1つは上部に、1つは底部に備えている。
【0029】
無論、これらの交換器13、15(又は凝縮器)のうちの1つのみを有する構成を設けることができる。
【0030】
同様に、複数の上部熱交換器13及び/又は複数の下部熱交換器15を設けることが可能である(特に、極めて大きな寸法のリザーバ2の場合)。
【0031】
2つの熱交換器13、15は、伝熱流体ループ12の第2の端部で並列に接続することができる。伝熱流体ループ12は、第1の熱交換器13及び/又は第2の熱交換器15における伝熱流体の流量を制御するための1つ以上の調整弁16、17のシステムを備えることが好ましい。
【0032】
1つ以上の交換器13、15は、リザーバ2内部の流体と直接熱交換し、即ち、これらの交換器は、リザーバ2内でそれらを囲む流体との直接熱交換を確実にしている。これは、1つ以上の交換器13、15が、リザーバ2内部に貯蔵される流体の液相又は気相内に直接浸漬されることを意味する。
【0033】
これにより、ポンプ及びリザーバ2内部のケーシングを有する移送回路を必要とすることなく、伝熱流体とリザーバ2内の流体との間の効率的な熱交換を可能にする。
【0034】
リザーバ2は、蒸発による損失を排除するために、液体の圧力を調整するための機器を一体化することによって、例えば、特定量の液体水素を収容するよう構成される。リザーバ2は、任意の種類(膜、球、又はその他)であってもよい。それは、特に、少なくとも1つの充填及び/又は回収ライン27を備える。
【0035】
従って、リザーバ2内の圧力が所定の設定値に対して高すぎる場合、伝熱流体は、リザーバ2内の流体の露点よりも低い温度で上部熱交換器13内を循環するようにすることができる。これは、蒸気を再凝縮させ、リザーバ2内の圧力を低下させる効果を有する。
【0036】
伝熱流体はまた、リザーバ2内の液体の温度よりも低い温度で下部交換器15内を循環させることも可能である。
【0037】
この二次サイクルは、複数のサイクルをカスケード状に組み合わせたものであってもよい。例えば、窒素、ヘリウム、及び/又はネオンの混合気を用いる第1のサイクルと、それに続くヘリウム及び/又は水素を含む第2のサイクル。
【0038】
同様に、一実施形態によれば、伝熱流体は、リザーバ2に収容される液体の温度よりも高い温度で下部熱交換器15内を循環するようにすることができる。これにより、液体の一部を蒸発させ、リザーバ2内の圧力を上昇させることが可能となる。この手順は、特に、圧力差によってリザーバ2から液体を回収することが望ましい場合に用いることができる。
【0039】
従って、設備1は、リザーバ内の圧力を増加させるために、上部熱交換器13を用いて気相を加熱するか、又は下部熱交換器15を用いて液体を蒸発させることのどちらか一方を可能にする。
【0040】
伝熱流体の温度を上昇させるために、冷却機5は、例えば、伝熱流体の目標温度に達することを可能にするモード(停止、劣化モード、特に圧縮機又はタービンの反対方向への回転)に切り替えることができる。
【0041】
設備1は、機能を満たすのに必要なモジュールの数を最小限に抑えることを可能にしている(脱油システムなし、ガス緩衝貯蔵なし)。
【0042】
図1]に示すように、冷却機5はまた、例えばリザーバ2に供給するよう意図される流体の流れを冷却し、液化するために用いることもできる。従って、液化される流体(例えば気体源から)が供給されるライン28は、設けることができ、冷却機5の熱交換器9、10と熱交換することができ、リザーバ2に開口することができる。
【0043】
熱交換器9には、外部流体、例えば、システムの近くに設置される低温リザーバからの蒸発(ボイルオフ)ガスを供給することもできる。
【0044】
従って、追加の極低温流体(特に液体である)も、冷却機5の1つ以上の熱交換器9において加熱することができる。例えば、設備が、例えば船舶に位置する場合、フリゴリーを回収することができる隣接するタンク(例えばボイルオフ)からの低温蒸気を再利用することが可能である。
【0045】
図2]の実施形態において、冷却装置は、サイクルガスの冷却サイクルを有する第2の冷却機18を備えている。この第2の冷却機18は、サイクル回路19内に直列に配設された、サイクルガスを圧縮するための部材20と、サイクルガスを冷却するための部材21、22と、サイクルガスを膨張させるための部材23と、膨張したサイクルガスを加熱するための部材24とを備えている。この構造は、上で説明した第1の冷却機5と同じ種類のものであってもよい。
【0046】
設備1は、サイクルによる第2の冷却機18のサイクルガスと第1の冷却機5のサイクルガスとの間の熱交換のためのシステム9、25を備える。
【0047】
この熱交換システムは、第2の冷却機18のサイクル回路19の一部と熱交換する第1の端部と、第1の冷却機5のサイクル回路6の一部9と熱交換する第2の端部とを備える第2の伝熱流体ループ25を備えることが好ましい。
【0048】
第2の伝熱流体ループ25の第1の端部は、冷却機18の少なくとも1つの熱交換器22、24(例えば、この第2の冷却機18のサイクルガスと向流)において第2の冷却機18のサイクル回路19の一部と熱交換することができる。第2の伝熱流体ループ25の第2の端部は、少なくとも1つの熱交換器11、9(例えば、サイクルガスに対して向流)において、第1の冷却機5のサイクル回路6の一部9と熱交換することができる。
【0049】
この第2の冷却機18は、従って、第1の冷却機5のサイクルガスの予冷を確実にするよう設けることができる。
【0050】
第2の冷却機18のこのサイクルガスは、例えば、窒素、ヘリウム、及び/又はネオンの混合気を含むことができる。伝熱流体は、例えば、窒素、ヘリウム、及び/又はネオン、或いは任意の他の好適なガス若しくはガス混合物を含んでいてもよい。
【0051】
無論、第2の冷却機のサイクルガスと第1の冷却機のサイクルガスとの間の熱交換のためのシステムは、上記の実施例に限定されない。従って、例えば、2つの冷却機間の任意の他の熱交換、特に2つの冷却機間の直接熱交換を想定することができる。

図1
図2
【国際調査報告】