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特表2023-522892三次元印刷システム用サービスステーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】三次元印刷システム用サービスステーション
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/35 20170101AFI20230525BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20230525BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230525BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230525BHJP
【FI】
B29C64/35
B29C64/112
B33Y30/00
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563105
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 IL2021050490
(87)【国際公開番号】W WO2021220277
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/015,741
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513131464
【氏名又は名称】ストラタシス リミテッド
【住所又は居所原語表記】1 Holtzman Street, Science Park, P.O. Box 2496, 7612401 Rehovot, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メロン、モルデケイ
(72)【発明者】
【氏名】アズラン、ハナン
(72)【発明者】
【氏名】グラスマン、バラク
(72)【発明者】
【氏名】ルビン、シュムエル
(72)【発明者】
【氏名】メンチック、ガイ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL03
4F213WL52
4F213WL87
(57)【要約】
三次元印刷システムのためのサービスステーションシステムが提供される。このシステムは、前面に高速解放型コネクタ、背面にヒンジを有し、その開放上面を三次元印刷システムの表面にヒンジ接続可能である槽と、槽を貫通する回転可能軸上のワイパベースに対して、取り外し可能に接続されるワイパ装置を有するワイパアセンブリと、を備える。ヘッドが槽の背面と前面の間を往復運動する間に、ワイパ装置は三次元印刷システムの印刷ヘッドの吐出面を拭い取る。サービスステーションシステムは軸を回転させるためのモータも含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの印刷ヘッドを有する三次元印刷システムのためのサービスステーションシステムであって、
前面に高速解放型コネクタを、背面にヒンジを有する槽であって、前記槽の開放上面を前記三次元印刷システムの表面にヒンジ接続可能な槽と、
前記槽を貫通する回転可能軸に取り付けられたワイパベースに取り外し可能に接続されるワイパ装置を有し、前記ワイパ装置は前記ヘッドが前記槽の上を前記背面と前記前面の間で往復運動する間に前記印刷ヘッドの吐出面を拭うように構成される、ワイパアセンブリと、
前記軸を回転させるモータと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記ワイパアセンブリはシャフトを備え、前記ワイパベースは前記シャフトによって前記回転可能軸に取り付けられ、前記シャフトは、前記モータによる前記軸の回転とは独立して、かつそれに直交して回転可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つの印刷ヘッドを有する三次元印刷システムのためのサービスステーションシステムであって、
前面、背面、及び開放された上面を有する槽と、
ワイパ装置と、前記ワイパ装置に取り外し可能に接続され、かつ前記槽を貫通する回転可能軸にシャフトによって取り付けられたワイパベースと、を有するワイパアセンブリであって、前記ワイパ装置は、前記印刷ヘッドが前記槽の上を前記背面と前記前面の間で往復運動するときに前記印刷ヘッドの吐出面を拭うように構成される、ワイパアセンブリと、
前記軸を回転させるモータと、
を備えるシステム。
【請求項4】
前記シャフトは水平方向に対して傾斜している、請求項2又は請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ワイパアセンブリは、前記ワイパ装置で拭い取られるか前記印刷ヘッドにより排除される液体構築材料から、前記シャフトと前記軸との間の接続部を遮蔽するための遮蔽構造体を備える、請求項2~請求項4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記上面を覆い、前記ワイパ装置で拭い取られるか前記印刷ヘッドで排除される液体構築材料を回収するための複数の穴あき液体案内溝を有する液体トラップを更に備える、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つの印刷ヘッドを有する三次元印刷システムのためのサービスステーションシステムであって、
前面、背面、及び開放された上面を有する槽と、
前記印刷ヘッドが前記槽の上を前記背面と前記前面の間で往復運動する際に前記ヘッドの吐出面を拭い取るように構成されたワイパ装置を有するワイパアセンブリと、
前記上面を覆い、前記ワイパ装置で拭い取られるか前記印刷ヘッドで排除される液体構築材料を回収するための、複数の穴あき液体案内溝を有する液体トラップと、
を備える、サービスステーションシステム。
【請求項8】
前記溝の数は、前記少なくとも1つの印刷ヘッドの構築材料チャネル数に等しい、請求項6又は請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記溝は、前記ワイパアセンブリの近傍の位置を除いて、その長さに沿う複数の位置で穿孔されている、請求項6~請求項8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記ワイパ装置は、前記三次元印刷システムの割出し方向に対してほぼ直角に配向する、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記ワイパ装置の幅は、少なくとも前記三次元印刷システムの全印刷ヘッドの幅である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記ワイパ装置は、前記三次元印刷システムの割出し方向に対して平行に配向する、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記ワイパ装置の幅は少なくとも前記印刷ヘッドの長さである、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記ワイパ装置は、実質的に直線的であり、かつその幅全体にわたって連続するワイピング端を有するエラストマのワイピング要素を備える、請求項1~請求項13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記ワイパ装置は、ショアA硬度が約70~約90であることを特徴とするエラストマのワイピング要素を備える、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記エラストマのワイピング要素は合成ゴムを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記合成ゴムはエチレンプロピレンジエンを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ワイパ装置は、弾性非ポリマ平坦構造体に接続されたエラストマワイピング要素を備える、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記弾性非ポリマ平坦構造体は金属である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記高速解放型コネクタはラッチアセンブリを備える、請求項1~請求項19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記ラッチアセンブリは、前記槽を下から支える形状をした湾曲弾性ワイヤを備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
三次元印刷のためのシステムであって、
構築材料を吐出するための少なくとも1つの印刷ヘッドと、
請求項1~請求項21のいずれか一項に記載のサービスステーションシステムと、
を備えるシステム。
【請求項23】
前記吐出面を拭い、及び/又は構築材料を前記槽の中へ排除するために、少なくとも1つの印刷ヘッドを制御して定期的に前記サービスステーションシステムを訪問させるように構成されたコンピュータ化されたコントローラを更に備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
三次元印刷システムであって、
構築材料を吐出するための、少なくとも1つの印刷ヘッドと、
モータを有するサービスステーションシステムと、
バックライト光源と、
前記印刷ヘッド及び前記サービスステーションシステムを制御するように構成された、コンピュータ化されたコントローラと、
を備え、
前記サービスステーションシステムは、
(a)前面と背面を有する槽と、
(b)前記槽を貫通する回転可能軸に取り付けられたワイパベースに取り外し可能に接続されるワイパ装置を有し、前記ワイパ装置は前記ヘッドが前記槽の前記背面と前記前面との間を往復運動する間に前記印刷ヘッドの吐出面を拭うように構成される、ワイパアセンブリと、
(c)前記軸を回転させるためのモータと、
を備え、
前記バックライト光源は前記槽の後ろに配置されて、前記ワイパ装置が前記吐出面から離脱すると、前記バックライト光源からの光が前記ワイパ装置と前記吐出面との間を通過し、前記ワイパ装置が前記吐出面に係合すると、前記バックライト光源からの前記光が前記ワイパ装置によって遮断される、三次元印刷システム。
【請求項25】
前記コンピュータ化されたコントローラは、前記モータが前記軸を回転させるとき、前記バックライト光源を自動的に起動するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
三次元物体の印刷方法であって、
物体の形状に対応する三次元印刷データを受信し、
データを請求項22~請求項25のいずれか一項に記載の前記三次元印刷システムに供給し、
前記吐出面を拭い、及び/又は構築材料を前記槽の中へ排除するために、前記少なくとも1つの印刷ヘッドを定期的に移動して前記サービスステーションシステムを訪問させる、
ことを含む、方法。
【請求項27】
少なくとも1つの印刷ヘッドとワイパ装置を有する、三次元印刷システムのワイパ装置の位置合わせ方法であって、
前記印刷ヘッドを前記ワイパ装置の上方の位置に移動させ、
前記印刷ヘッドと前記ワイパ装置とを、その間を光が通るように後ろから照明し、
前記ワイパ装置が前記光を遮断するまで、前記ワイパ装置と前記印刷ヘッドとの間の垂直距離を減少させる、
ことを含む方法。
【請求項28】
前記ワイパ装置はエラストマのワイピング要素を備え、前記方法は、前記ワイパ装置が光を遮断するとき、前記印刷ヘッドがエラストマワイピング要素にかける応力を低減するように、前記垂直距離を増大させることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
三次元印刷システムの保守を実行する方法であって、前記三次元印刷システムは請求項1又は請求項2に記載の前記サービスステーションシステムを備え、前記方法は、
前記槽の前記前面を下方向にヒンジ状に回転させて、ワイパーベースを露出させるために、前記高速解放型コネクタを解放し、
前記ワイパ装置を前記ワイパベースから取り外し、
交換用ワイパ装置を前記ワイパベースに取り外し可能に接続する、
ことを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年4月27日出願の米国仮特許出願第63/015,741号の優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明はそのいくつかの実施形態において三次元印刷に関し、より具体的には、これに限るものではないが三次元印刷のためのサービスステーションに関する。
【背景技術】
【0003】
付加製造(AM)は、任意形状をした構造物を付加的な形成ステップを介してコンピュータデータから直接的に製造可能とする技術である。任意のAMシステムの基本操作は、三次元コンピュータモデルを薄い断面部分にスライスし、その結果を二次元位置データに変換し、そのデータを3次元構造を層状に作製する制御装置に供給することから成る。
【0004】
付加製造は、3Dインクジェット印刷などの三次元(3D)印刷を含む製造方法への多くの異なるアプローチを伴う。3Dインクジェット印刷は、構築材料を層ごとにインクジェット印刷で堆積することにより遂行される。したがって、一組のノズルを有する吐出ヘッドから構築材料が吐出されて、支持構造体上に層状に堆積される。その層が次にレベリング装置により平坦化されて、硬化又は固化される。
【0005】
様々な3次元印刷技術が存在し、例えば、すべて同一譲受人の米国特許6,259,962号、6,569,373号、6,658,314号、6,850,334号、7,183,335号、7,209,797号、7,225,045号、7,300,619号、7,479,510号、7,500,846号、7,962,237号、8,784,723号、9,031,680号及び10,611,136号に開示されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、三次元印刷用のサービスステーションシステムが提供される。印刷システムは少なくとも1つの印刷ヘッドを有する。サービスステーションシステムは、前面に高速解放型コネクタを、背面にヒンジを有する槽であって、槽の開放上面を三次元印刷システムの表面にヒンジ接続可能な槽を備える。サービスステーションシステムは、槽を貫通する回転可能な軸に取り付けられたワイパベースに、取り外し可能に接続されるワイパ装置を有するワイパアセンブリも備えることができる。ワイパ装置は、任意選択によりかつ好ましくは、印刷ヘッドが槽の上を背面と前面の間で往復運動する際にヘッドの吐出面を拭い取るように構成される。サービスステーションシステムは軸を回転させるためのモータを含むことができる。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイパアセンブリはシャフトを備え、ワイパベースはシャフトにより回転可能軸に取り付けられ、シャフトは、モータによる軸の回転とは独立して、かつそれに直交して回転可能である。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、三次元印刷システム用のサービスステーションシステムが提供される。印刷システムは少なくとも1つの印刷ヘッドを有する。サービスステーションシステムは、前面、背面、及び開放された上面を有する槽、並びに、ワイパ装置と、ワイパ装置に取り外し可能に接続され、かつ槽を貫通する回転可能軸にシャフトによって取り付けられたワイパベースとを有するワイパアセンブリ、を備える。ワイパ装置は、印刷ヘッドが槽の上をその背面と前面の間で往復運動する際にヘッドの吐出面を拭い取るように構成される。また、軸を回転させるモータも含まれる。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態によれば、シャフトは水平方向に対して傾斜している。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイパアセンブリは、ワイパ装置で拭い取られるか印刷ヘッドにより排除される液体構築材料から、シャフトと軸との間の接続部を遮蔽するための遮蔽構造体を備える。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によれば、サービスステーションシステムは、上面を覆い、ワイパ装置で拭い取られるか印刷ヘッドで排除される液体構築材料を回収するための複数の穴あき液体案内溝を有する、液体トラップを備える。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも1つの印刷ヘッドを有する三次元印刷システムのためのサービスステーションシステムが提供される。サービスステーションシステムは、前面、背面、及び開放された上面を有する槽と、印刷ヘッドが槽の上を背面と前面の間で往復運動する際にヘッドの吐出面を拭い取るように構成されたワイパ装置を有するワイパアセンブリと、上面を覆い、ワイパ装置で拭い取られるか印刷ヘッドで排除される液体構築材料を回収するための、複数の穴あき液体案内溝を有する液体トラップと、を備える。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によれば、溝の数は、少なくとも1つの印刷ヘッドの構築材料チャネル数に等しい。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によれば、溝は、ワイパアセンブリの近傍の位置を除いて、その長さに沿う複数の位置で穿孔されている。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイパ装置は、三次元印刷システムの割出し方向に対してほぼ直角に配向する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイパ装置の幅は、少なくとも三次元印刷システムの全印刷ヘッドの幅である。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイパ装置は、三次元印刷システムの割出し方向に対してほぼ平行に配向する。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイパ装置の幅は、少なくとも印刷ヘッドの長さである。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイパ装置は、実質的に直線的であり、かつその幅全体にわたって連続するワイピング端を有する、エラストマのワイピング要素を備える。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイパ装置は、ショアA硬度が約70~約90であることを特徴とするエラストマのワイピング要素を備える。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、エラストマのワイピング要素は合成ゴムを含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、合成ゴムはエチレンプロピレンジエンを含む。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイパ装置は、弾性非ポリマ平坦構造体に接続されたエラストマワイピング要素を備える。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、弾性非ポリマ平坦構造体は金属である。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、高速解放型コネクタは、ラッチアセンブリを含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ラッチアセンブリは、槽を下から支える形状をした湾曲弾性ワイヤを備える。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、三次元印刷用の印刷システムが提供される。これは、構築材料を吐出するための、少なくとも1つの印刷ヘッドと、前述し、また任意選択によりかつ好ましくは以下で詳述するサービスステーションシステムとを備える。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、印刷システムは、吐出面を拭い、及び/又は構築材料を槽の中へ排除するために、少なくとも1つの印刷ヘッドを制御して定期的にサービスステーションシステムを訪問させるように構成されたコンピュータ化されたコントローラを備える。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、三次元印刷用の印刷システムが提供される。印刷システムは、構築材料を吐出するための少なくとも1つの印刷ヘッドと、モータを有するサービスステーションシステムと、バックライト光源と、印刷ヘッド及びサービスステーションシステムを制御するように構成されたコンピュータ化されたコントローラと、を備える。サービスステーションシステムは任意選択によりかつ好ましくは、(a)前面と背面を有する槽と、(b)槽を貫通する回転可能軸に取り付けられたワイパベースに取り外し可能に接続されるワイパ装置を有し、ワイパ装置がヘッドが背面と前面との間を往復運動する間に印刷ヘッドの吐出面を拭うように構成された、ワイパアセンブリと、(c)軸を回転させるモータと、を備える。バックライト光源は好ましくは槽の後ろに配置されて、ワイパ装置が吐出面から離脱するとバックライト光源からの光がワイパ装置と吐出面との間を通過し、ワイパ装置が吐出面に係合するとバックライト光源からの光がワイパ装置によって遮断されるようになっている。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、コンピュータ化されたコントローラは、モータが軸を回転させるときバックライト光源を自動的に起動するように構成される。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、三次元物体を印刷する方法が提供される。この方法は、物体の形状に対応する三次元印刷データを受信すること、そのデータを、前述し、また任意選択によりかつ好ましくは以下で詳述する印刷システムに供給すること、及び、吐出面を拭い、及び/又は構築材料を槽の中へ排除するために、少なくとも1つの印刷ヘッドを定期的に移動してサービスステーションシステムを訪問させること、を含む。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、少なくとも1つの印刷ヘッドとワイパ装置を有する三次元印刷システムのワイパ装置位置合わせ方法が提供される。この方法は、印刷ヘッドをワイパ装置の上方の位置に移動させ、印刷ヘッドとワイパ装置とをその間を光が通るように後ろから照明し、ワイパ装置が光を遮断するまでワイパ装置と印刷ヘッドとの間の垂直距離を減少させることを含む。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ワイパ装置はエラストマのワイピング要素を備え、方法は、ワイパ装置が光を遮断するとき、印刷ヘッドがエラストマワイピング要素にかける応力を低減するように垂直距離を増大させることを含む。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態の一態様によれば、三次元印刷システムの保守を実行する方法が提供される。三次元印刷システムは、前述し、また任意選択によりかつ好ましくは以下で詳述するサービスステーションシステムを備える。この方法は、槽の前面を下方向にヒンジ状に回転させてワイパベースを露出させるために、高速解放型コネクタを解放すること、ワイパ装置をワイパベースから取り外すこと、交換用ワイパ装置をワイパベースに取り外し可能に接続すること、を含む。
【0035】
別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実行又は試行に使用可能であるが、例示的な方法及び/又は材料を以下に記述する。矛盾する場合には、定義を含む本発明の明細書が優先される。さらに、材料、方法及び実施例は例示に過ぎず、必ずしも制限的であることを意図するものではない。
【0036】
本発明の実施形態の方法及び/又は装置の実施は、選択されたタスクを手動、自動又はそれらの組み合わせで実行又は完了させることを含み得る。さらに、本発明の方法及び/又は装置の実施形態の実際の計装機器及び設備によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェアによって、あるいはオペレーティングシステムを用いたソフトウェア又はファームウェア及び/又はそれらの組合せによって実施可能である。
【0037】
例えば、本発明の実施形態による選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップ又は回路として実装可能である。ソフトウェアに関しては、本発明の実施形態による選択されたタスクは、任意の適切なオペレーティングシステムを用いるコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装可能である。本発明の例示的実施形態では、本明細書に記載の方法及び/又は装置の例示的実施形態による1以上のタスクは、複数の命令を実行するコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサにより実行される。任意選択により、データプロセッサには、命令及び/又はデータを格納する揮発性メモリ、及び/又は命令及び/又はデータを格納する不揮発性記憶装置、例えば磁気ハードディスク及び/又はリムーバブル媒体、が含まれる。任意選択により、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイ及び/又はキーボードやマウスなどのユーザ入力装置もまた任意選択で提供される。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態を、添付図面を参照して例示としてのみ本明細書に記載する。ここで図面を詳細に具体的に参照すると、示される詳細事項は一例であって本発明の実施形態の例示的議論を目的とするものであることが強調される。これに関し、図面と共に行われる説明により、本発明の実施形態がどのように実行され得るかが当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】本発明のいくつかの実施形態による付加製造システムの概略図である。
図1B】本発明のいくつかの実施形態による付加製造システムの概略図である。
図1C】本発明のいくつかの実施形態による付加製造システムの概略図である。
図1D】本発明のいくつかの実施形態による付加製造システムの概略図である。
図2A】本発明のいくつかの実施実施形態による印刷ヘッドの概略図である。
図2B】本発明のいくつかの実施実施形態による印刷ヘッドの概略図である。
図2C】本発明のいくつかの実施実施形態による印刷ヘッドの概略図である。
図3A】本発明のいくつかの実施実施形態による座標変換を示す概略図である。
図3B】本発明のいくつかの実施実施形態による座標変換を示す概略図である。
図4A】本発明のいくつかの実施実施形態によるサービスステーションシステムを備える三次元印刷システムの上面を示す概略図である。
図4B】本発明のいくつかの実施実施形態によるサービスステーションシステムを備える三次元印刷システムの上面を示す概略図である。
図5A】本発明のいくつかの実施実施形態によるサービスステーションシステムのいくつかの図を示す概略図である。
図5B】本発明のいくつかの実施実施形態によるサービスステーションシステムのいくつかの図を示す概略図である。
図5C】本発明のいくつかの実施実施形態によるサービスステーションシステムのいくつかの図を示す概略図である。
図5D】本発明のいくつかの実施実施形態によるサービスステーションシステムのいくつかの図を示す概略図である。
図5E】本発明のいくつかの実施実施形態によるサービスステーションシステムのいくつかの図を示す概略図である。
図5F】本発明のいくつかの実施実施形態によるサービスステーションシステムのいくつかの図を示す概略図である。
図5G】本発明のいくつかの実施実施形態によるサービスステーションシステムのいくつかの図を示す概略図である。
図5H】本発明のいくつかの実施実施形態によるサービスステーションシステムのいくつかの図を示す概略図である。
図6A】本発明のいくつかの実施形態によるワイパアセンブリの概略図である。
図6B】本発明のいくつかの実施形態によるワイパアセンブリの概略図である。
図6C】本発明のいくつかの実施形態によるワイパアセンブリの概略図である。
図6D】本発明のいくつかの実施形態によるワイパアセンブリの概略図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、三次元印刷システムのワイパ装置の位置決めに適する方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明はそのいくつかの実施形態において三次元印刷に関し、より具体的には、これに限るものではないが三次元印刷システムのためのサービスステーションに関する。
【0041】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に提示され、及び/又は図面及び/又は実施例に示される、構成要素の構造と配置及び/又は方法の詳細に、その適用が必ずしも限定されるものではないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、また様々な方法で実行又は実施することが可能である。
【0042】
本実施形態の方法及びシステムは、コンピュータ物体データに基づいて、その物体の形状に対応する構成パターンで複数の層を形成することにより、三次元物体を層ごとに製造する。コンピュータ物体データは、これに限るものではないが、標準テッセレーション言語(STL)若しくはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、OBJファイルフォーマット(OBJ)、3D製造フォーマット(3MF)、仮想現実モデリング言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴンファイルフォーマット(PLY)、又はコンピュータ支援設計(CAD)に適する他の任意のフォーマットを含む、任意の既知のフォーマットであってよい。
【0043】
本明細書で使用の「物体」という用語は、物体の全体又はその一部を指す。
【0044】
各層は、2次元表面を走査してそれをパターン化する付加製造装置によって形成される。走査中に装置は2次元の層すなわち表面上の複数の標的位置に行き、各標的位置又は一群の標的位置に対して、その各標的位置又は一群の標的位置を構築材料で覆うべきか否か、またそこにどの種類の構築材料を送達するべきか、を決定する。決定は、表面のコンピュータ画像に従って行われる。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、AMは三次元印刷、より好ましくは三次元インクジェット印刷で構成される。これらの実施形態では、構築材料が1以上のノズルアレイを有する印刷ヘッドから吐出されて、支持構造体上に構築材料を層状に堆積する。AM装置はこうして構築材料物をそれで覆うべき標的位置に吐出し、他の標的位置を空のままにする。この装置は通常複数のノズルアレイを含み、そのそれぞれが異なる構築材料を吐出するように構成可能である。これは通常、互いに分離されて相互に流体連通しないようにされた複数の流体チャネルを有する印刷ヘッドを設けることで達成される。各チャネルには、分離された入口を介して異なる構築材料が流れ、それが別々のノズルのアレイに配送される。
【0046】
したがって、異なる標的位置を異なる構築材料で占有することが可能である。構築材料の種類は、造形材料と支持材料の大きく2つに分類される。支持材料は、製造プロセス中に物体又は物体の部分を支持するため、及び/又は、例えば中空又は多孔性の物体を提供するためなどの他の目的で、支持母体又は構造体として機能する。支持構造体には、例えば支持強度を上げるために造形材料物要素を追加的に含むこともあり得る。
【0047】
造形材料は一般に、付加製造に使用するために配合された合成物であり、それ自体で、すなわち他のいかなる物質との混合も組合せも必要とせずに、3次元物体を形成可能である。
【0048】
最終的な3次元物体は、造形材料、あるいは複数の造形材料の組み合わせ、あるいは造形材料と支持材料、又はそれらの変形物(例えば硬化後のもの)で作られる。これらのすべての操作は、固体自由成形分野の当業者には周知である。
【0049】
本発明のいくつかの例示的実施形態において、物体は2以上の異なる造形材料の吐出により製造され、各材料はAM装置の(同一又は異なる印刷ヘッドの)異なるノズルアレイから吐出される。いくつかの実施形態では、異なる造形材料を吐出する2つ以上のそのようなノズルアレイが、いずれもAM装置の同一印刷ヘッドに配置される。いくつかの実施形態では、異なる造形材料物を吐出するノズルアレイは、別々の印刷ヘッドに配置される。例えば第1の造形材料を吐出する第1のノズルアレイが第1印刷ヘッドに配置され、第2の造形材料を吐出する第2のノズルアレイが第2印刷ヘッドに配置される。
【0050】
いくつかの実施形態では、造形材料を吐出するノズルアレイと、支持材料を吐出するノズルアレイの両方が、同じ印刷ヘッドに配置される。いくつかの実施形態では、造形材料を吐出するノズルアレイと、支持材料を吐出するノズルアレイが、別々の印刷ヘッドに配置される。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態による物体112のAMに適したシステム110の代表的かつ非限定的な例を図1Aに示す。システム110は、複数の印刷ヘッドを備えた吐出ユニット16を有する付加製造装置114を備える。各ヘッドは好ましくは、以下で説明する図2A図2Cに示すようなオリフィス板121に通常取り付けられた1以上のノズルアレイ122を備え、それを介して液体の構築材料124が吐出される。
【0052】
好ましくは、ただし必須ではないが、装置114は3次元印刷装置であり、この場合印刷ヘッドはインクジェット印刷ヘッドであり、構築材料はインクジェット技術を介して吐出される。これは必ずしもそうである必要はない。なぜなら、いくつかの用途では、付加製造装置が3次元印刷技術を使う必要がないこともあるからである。本発明の様々な例示的実施形態によって企図される付加製造装置の代表的な例には、熱溶解積層造形装置及び熱溶解材料積層装置が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0053】
各印刷ヘッドは、任意選択によりかつ好ましくは、1以上の構築材料タンクを介して供給され、そこには温度制御ユニット(例えば温度センサ及び/又は加熱装置)と、材料レベルセンサが任意選択で含まれ得る。構築材料を吐出するために、例えば圧電式インクジェット印刷技術におけると同様に、印刷ヘッドに電圧信号が印加され、印刷ヘッドノズルを介して材料の液滴を選択的に堆積する。別の例としてはサーマルインクジェット印刷ヘッドがある。これらのタイプのヘッドでは、構築材料に熱接触するヒータ素子があり、電圧信号によってヒータ素子を作動させることにより、構築材料を加熱してそこにガス気泡を形成する。ガス気泡が構築材料に圧力を発生させ、構築材料の液滴をノズルを介して噴出させる。圧電式及びサーマル式印刷ヘッドは、固体自由成形分野の当業者には知られている。任意のタイプのインクジェット印刷ヘッドについては、ヘッドの吐出速度は、ノズルの数、ノズルの種類、及び印加電圧信号レート(周波数)に依存する。
【0054】
好ましくは、ただし必須ではないが、吐出ノズル又はノズルアレイの総数は、吐出ノズルの半分が支持材料の吐出用であり、吐出ノズルの半分が造形材料の吐出用となるように選択される。すなわち、造形材料を噴射するノズルの数が、支持材料を噴射するノズルの数と同じである。代表的な例である図1Aでは、4つの印刷ヘッド16a、16b、16c、16dが示されている。各ヘッド16a、16b、16c、16dはノズルアレイを有する。この例では、ヘッド16a、16bは造形材料用であり、ヘッド16c、16dは支持材料用であってよい。このように、ヘッド16aは1つの造形材料を吐出し、ヘッド16bは別の造形材料を吐出し、またヘッド16c、16dはいずれも支持材料を吐出することが可能である。代替実施形態では、例えばヘッド16c、16dは組み合わせて、支持材料を堆積するための2つのノズルアレイを有する単一ヘッドとすることも可能である。更なる代替実施形態において、任意の1以上の印刷ヘッドが、2以上の材料を堆積させるために2以上のノズルアレイを有してもよい。例えば2つの異なる造形材料、又は1つの造形材料と1つの支持材料のための2つのノズルアレイであり、各配合物が異なるアレイ又は異なる数のノズルを介して堆積される。
【0055】
然るに、本発明の範囲を限定することを意図するものではないこと、及び造形材料の印刷ヘッド(造形ヘッド)の数と、支持材料の印刷ヘッド(支持ヘッド)の数が異なり得ることを理解されたい。一般的に、造形材料を吐出するノズルアレイの数、支持材料を吐出するノズルアレイの数、及びそれぞれのアレイにおけるノズルの数は、支持材料の最大吐出速度と造形材料の最大吐出速度との間の所定の比aを与えるように選択される。所定の比aの値は好ましくは、形成される各層において造形材料の高さと支持材料の高さが等しくなる様に選択される。aの典型的な値は、約0.6から約1.5である。
【0056】
本明細書を通じて使用されるように、「約」という用語は±10%を指す。
【0057】
例えば、a=1では、すべてノズルアレイが動作する場合、支持材料の全体の吐出速度は造形材料の全体の吐出速度とほぼ等しい。
【0058】
装置114は例えば、それぞれがp個のノズルのアレイをm個有する造形ヘッドM個と、それぞれがq個のノズルのアレイをs個を有する支持ヘッドS個を備え、M×m×p = S×s×qであってよい。M×m個の造形アレイとS×s個の支持アレイのそれぞれは、個別の物理的ユニットとして製造可能であり、それは複数のアレイ群からの組み立て、及び分解が可能である。この実施形態において、そのようなアレイのそれぞれは、任意選択によりかつ好ましくは、それぞれの温度制御ユニットと材料レベルセンサを備え、その動作のために個別に制御された電圧を受け取る。
【0059】
装置114はさらに、凝固装置324を備える。これは、堆積された材料を固化させ得る光、熱等を放出するように構成された任意の装置を含むことができる。例えば、凝固装置324は1以上の放射線源を含むことができる。これは、使用される造形材料に応じて、例えば紫外線、可視光、若しくは赤外線のランプ、あるいは他の電磁放射線源、あるいは電子線源であってよい。本発明のいくつかの実施形態では凝固装置324は造形材料を硬化又は凝固させる機能をはたす。
【0060】
凝固装置324に加えて、装置114は任意選択によりかつ好ましくは、溶媒を蒸発させるための追加の放射線源328を備える。放射線源328は、任意選択によりかつ好ましくは、赤外線を発生させる。本発明のいくつかの実施形態では、凝固装置324が紫外線を発生させる放射線源を備え、放射線源328が赤外線を発生させる。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態では、装置114は、1以上のファンなどの冷却装置134を備える。
【0062】
印刷ヘッド及び放射線源は好ましくはフレーム又はブロック128に取り付けられる。好ましくは、ブロック128は、作業面として機能するトレイ360の上方に取り付けられる。ここで、ブロック128とトレイ360の少なくとも一方は、トレイ360とブロック128が相対的な往復運動を確立するように往復移動動作をする。本発明のいくつかの実施形態では、放射線源はブロックに取り付けられ、吐出ヘッドの軌跡を追従して印刷ヘッドによって吐出されたばかりの材料を少なくとも部分的に硬化又は凝固させるようになっている。トレイ360は水平に配置される。一般的な慣習に従って、X-Y平面がトレイ360に平行になるようにX-Y-Zデカルト座標系が選択される。トレイ360は好ましくは、垂直方向に(Z方向に沿って)、通常は下向きに移動するように構成される。本発明の様々な実施形態においては、装置114はレベリング装置32をさらに備える。これはローラと、任意選択によりかつ好ましくはブレードも備え得る。レベリング装置32は、新たに形成された層を、次の層がその上に形成される前に矯正、平坦化し、及び/又は厚さを定めるように機能する。レベリング装置32は、レベリング中に発生する余分な材料を回収するための廃棄物回収装置136を含むことが好ましい。廃棄物回収装置136は、後で更なる詳細を述べるように、廃棄物タンク又は廃棄物カートリッジに材料を送達する機構を含んでもよい。
【0063】
使用時に、ユニット16の印刷ヘッドは、本明細書でX方向と称する走査方向に移動し、それらがトレイ360上を通過する過程で構築材料を所定の構成で選択的に吐出する。構築材料は通常、1種類以上の支持材料及び1種類以上の造形材料を含む。ユニット16の印刷ヘッドの通過に続いて、放射線源126による造形材料の硬化が行われる。ヘッドが堆積し終えた層の出発点に戻る逆方向への移動中に、所定の構成に従って構築材料を追加吐出することもあり得る。こうして形成された層は、印刷ヘッドの順方向又は逆方向への移動中に、レベリング装置32よって矯正することが可能である。これは順方向及び/又は逆方向への移動時の印刷ヘッドの経路に沿うことが望ましい。印刷ヘッドがX方向に沿ってそれらの出発点に戻ると、印刷ヘッドは、本明細書でY方向と呼ぶ割出し方向に沿う別の位置に移動し、X方向に沿った往復運動によって同じ層の構築を続けることが可能である。これに代わって、印刷ヘッドは、順方向及び逆方向の移動の間に、又は2回以上の順方向-逆方向移動の後に、Y方向に移動してもよい。単一の層を完成させるために印刷ヘッドによって実行される一連の走査を、本明細書では単一走査サイクルと称する。
【0064】
その層が完了すると、次に印刷される層の所望の厚さに応じて、トレイ360はZ方向に所定のZレベルまで下降される。この手順が繰り返されて、3次元物体112が層毎に形成される。
【0065】
別の実施形態では、トレイ360は、ユニット16の印刷ヘッドの順方向及び逆方向の通過の間に、層内でZ方向に変位されてもよい。そのようなZ変位は、レベリング装置と表面を一方向で接触させ、かつ反対方向で接触させないようにするために実行される。
【0066】
システム110は、任意選択によりかつ好ましくは、構築材料容器又はカートリッジを含みかつ複数の構築材料を製造装置114に供給する、構築材料供給システム330を含む。
【0067】
コンピュータ化されたコントローラ20は、製造装置114を制御し、任意選択によりかつ好ましくは供給システム330も制御する。コントローラ20は通常、制御操作を実行するように構成された電子回路を含む。コントローラ20は好ましくはデータプロセッサ24と通信し、これが、例えば標準テッセレーション言語(STL)フォーマット等の形式でコンピュータ可読媒体上に表されたCAD構成などの、コンピュータ物体データに基づいて、製作命令に係わるデジタルデータを送信する。通常、コントローラ20は、各印刷ヘッド又は各ノズルアレイに印加される電圧、及びそれぞれの印刷ヘッド又はそれぞれのノズルアレイにおける構築材料の温度を制御する。
【0068】
製造データがコントローラ20に読み込まれると、コントローラは、ユーザの介入なしで動作可能である。いくつかの実施形態では、コントローラ20は、例えばデータプロセッサ24を用いて、あるいはコントローラ20と通信するユーザインタフェース116を用いて、オペレータからの追加の入力を受信する。ユーザインタフェース116は、例えば、これに限らないがキーボード、タッチスクリーンなどの当分野で公知の任意の種類であってよい。例えばコントローラ20は、追加の入力として、1以上の構築材料の種類及び/又は、例えば、これに限らないが、色、特性歪み及び/又は転移温度、粘度、電気特性、磁気特性などの属性を受信することができる。他の属性及び属性群もまた考慮される。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態による物体のAMに適したシステム10の別の代表的かつ非限定的実施例を図1B図1Dに示す。図1B図1Dは、システム10の平面図(図1B)、側面図(図1C)、及び等角図(図1D)を示す。
【0070】
本実施形態において、システム10はトレイ12と、それぞれが1以上の分離されたノズルを有するノズルアレイを1以上有する、複数のインクジェット印刷ヘッド16とを備える。三次元印刷に使用される材料は、構築材料供給システム42によってヘッド16に供給される。トレイ12は円板形状であってもよいし、あるいは環状であってもよい。垂直軸を中心に回転可能であれば、非円形の形状も考えられる。
【0071】
トレイ12とヘッド16は、任意選択によりかつ好ましくは、トレイ12とヘッド16の間で相対的回転運動ができるように取り付けられる。これは、(i)トレイ12が垂直軸14を中心にヘッド16に対して回転する構成、(ii)ヘッド16が垂直軸14を中心にトレイ12に対して回転する構成、又は(iii)トレイ12及びヘッド16の両方が垂直軸14を中心に回転し、ただし異なる回転速度で回転(例えば逆方向に回転)する構成、によって達成可能である。以下においては、システム10のいくつかの実施形態を、トレイが垂直軸14を中心にヘッド16に対して回転するように構成された回転トレイである構成(i)に特に重点を置いて記載するが、本出願はシステム10に関して構成(ii)及び(iii)をも企図していることを理解されたい。本書に記載のシステム10の実施形態はいずれも、構成(ii)及び構成(iii)のいずれにも適用できるように調整することができ、本明細書に記載の詳細が与えられれば、当業者にはそのような調整の仕方がわかるであろう。
【0072】
以下の説明では、トレイ12に平行で軸14から外向きの方向を半径方向rと呼び、トレイ12に平行で半径方向rに直交する方向をここでは方位角方向φと呼び、トレイ12に垂直な方向をここでは垂直方向zと称する。
【0073】
システム10の半径方向rはシステム110の割出し方向yを規定し、方位角方向φがシステム110の走査方向xを規定する。したがって、半径方向は本明細書においては互換的に割出し方向と称し、方位角方向は本明細書においては互換的に走査方向と称する。
【0074】
本明細書で使用する用語「半径方向位置」とは、軸14から特定の距離にあるトレイ12上又はトレイ12の上方の位置を指す。この用語が印刷ヘッドに関連して使用される場合、この用語は、軸14から特定の距離にあるヘッドの位置を指す。この用語がトレイ12上の点に関連して使用される場合、この用語は、半径が軸14から特定の距離にあり、その中心が軸14にある円を成す点の軌跡に属する任意の点に対応する。
【0075】
本明細書で使用する用語「方位角位置」は、所定の基準点に対して特定の方位角にあるトレイ12上又はトレイ12の上方の位置を指す。従って、半径方向位置は、基準点に対して特定の方位角を成す直線となる点の軌跡に属する任意の点を指す。
【0076】
本明細書で使用する用語「垂直位置」は、特定の点で垂直軸14と交差する平面上の位置を指す。
【0077】
トレイ12は、三次元印刷のための造形プラットフォームとして機能する。1以上の物体が印刷される作業領域は、通常はトレイ12の総面積より小さい。ただし必ずしもそうである必要はない。本発明のいくつかの実施形態では、作業領域は環状である。作業領域は符号26で示される。本発明のいくつかの実施形態では、トレイ12は、物体の形成中、同一方向に連続的に回転し、本発明のいくつかの実施形態では、トレイは、物体の形成中に少なくとも1回(例えば振動するように)回転方向を逆転する。トレイ12は、任意選択によりかつ好ましくは取外し可能である。トレイ12の取外しは、システム10の保守のために、あるいは所望であれば、新しい物体を印刷する前にトレイを交換するために行うことができる。本発明のいくつかの実施形態では、システム10には1以上の異なる交換トレイ(例えば交換トレイのキット)が提供され、2以上のトレイが異なる種類(例えば異なる重量)の物体、異なる動作モード(例えば異なる回転速度)等のために選定される。トレイ12の交換は、所望により手動又は自動とすることができる。自動交換が使用される場合、システム10は、ヘッド16の下の位置からトレイ12を取り外して、それを交換トレイ(図示せず)と置き替えるように構成されるトレイ交換装置36を含む。図1Bの代表図においてトレイ交換装置36は、トレイ12を引っ張るように構成された可動アーム40を有する駆動装置38として示されているが、他の種類のトレイ交換装置も考えられる。
【0078】
印刷ヘッド16の例示的実施形態を図2A図2Cに示す。これらの実施形態は、これに限らないがシステム110及びシステム10を含む上記の任意のAMシステムに使用可能である。
【0079】
図2A図2Bは、1つ(図2A)及び2つ(図2B)のノズルアレイ22を有する印刷ヘッド16を示す。アレイ内のノズルは好ましくは、直線に沿って線状に配列される。特定の印刷ヘッドが2以上の線形ノズルアレイを有する実施形態において、ノズルアレイは、任意選択によりかつ好ましくは、互いに平行であってよい。印刷ヘッドが2以上のノズルアレイを有する場合(例えば図2B)、そのヘッドのすべてのアレイには同一構築材料が供給されてもよいし、あるいは同一ヘッドの少なくとも2つのアレイに異なる構築材料が供給されてもよい。
【0080】
システム110と同様のシステムが使用される場合、全ての印刷ヘッド16は、任意選択によりかつ好ましくは、割出し方向に沿って配向され、それらの走査方向に沿う位置は互いにずれて配置される。
【0081】
システム10に類似のシステムが使用される場合、全ての印刷ヘッド16は、任意選択によりかつ好ましくは、半径方向に(半径方向に平行に)配向され、それらの方位角位置が互いにずれて配置される。従って、これらの実施形態では、異なる印刷ヘッドのノズルアレイは互いに平行ではなく、むしろ互いにある角度を成す。その角度はそれぞれのヘッド間の方位角のずれにほぼ等しい。例えば、1つのヘッドが半径方向に配向されて方位角位置φに配置され、別のヘッドが半径方向に配向されて方位角位置φに配置されることが可能である。この例では、2つのヘッド間の方位角のずれはφ-φであり、2つのヘッドの線形ノズルアレイ間の角度もまたφ-φである。
【0082】
いくつかの実施形態では、2以上の印刷ヘッドを組み合わせて1つの印刷ヘッドブロックとすることが可能である。その場合、そのブロックの印刷ヘッドは通常互いに平行である。いくつかのインクジェット印刷ヘッド16a、16b、16cを含むブロックを図2Cに示す。
【0083】
いくつかの実施形態では、システム10はヘッド16の下に位置する安定化構造30を含み、トレイ12が安定化構造30とヘッド16との間にくる。安定化構造30は、インクジェット印刷ヘッド16が作動する際に発生し得るトレイ12の振動を防止又は低減するように機能することができる。印刷ヘッド16が軸14を中心に回転する構成では、好ましくは安定化構造30もまた回転して、安定化構造30が常にヘッド16の直下にくるようにする(トレイ12がヘッド16とトレイ12の間にある)。
【0084】
トレイ12及び/又は印刷ヘッド16は、任意選択によりかつ好ましくは、垂直方向zに沿って垂直軸14に平行に移動するように構成されて、トレイ12と印刷ヘッド16との間の垂直距離を変更可能とする。トレイ12を垂直方向に沿って移動させることによって垂直距離を変更する構成では、安定化構造30も好ましくはトレイ12と共に垂直方向に移動する。トレイ12の垂直位置を固定したままで、ヘッド16によって垂直方向に沿う垂直距離を変更する構成では、安定化構造30もまた固定垂直位置に保持される。
【0085】
垂直移動は、垂直駆動装置28によって行うことができる。ある層が完了すると、次に印刷する層の所望の厚さに応じて所定の垂直間隔だけ、トレイ12とヘッド16との間の垂直距離を増大させることができる(例えばトレイ12をヘッド16に対して下降させる)。この手順を繰り返して、三次元物体を層毎に形成する。
【0086】
インクジェット印刷ヘッド16の動作、及び任意選択によりかつ好ましくはシステム10の1以上の他の構成要素の動作、例えばトレイ12の移動は、コンピュータ化されたコントローラ20によって制御される。コントローラは、電子回路と、回路によって読出し可能な不揮発性記憶媒体とを有することができ、記憶媒体は、回路によって読み出されたときに、以下でさらに詳述するような制御動作を回路に実行させるプログラム命令を格納する。
【0087】
コントローラ20はまた、コンピュータ物体データに基づいて、製作命令に関するデジタルデータを送信するホストコンピュータ24と通信することもできる。デジタルデータは例えば、標準テッセレーション言語(STL)若しくはステレオリソグラフィ輪郭(SLC)フォーマット、仮想現実モデリング言語(VRML)、付加製造ファイル(AMF)フォーマット、図面交換フォーマット(DXF)、ポリゴンファイルフォーマット(PLY)、又はコンピュータ支援設計(CAD)に適した任意の他のフォーマットである。物体データフォーマットは通常デカルト座標系に従って構成される。このような場合、コンピュータ24は好ましくは、コンピュータ物体データにおける各スライスの座標をデカルト座標系から極座標系に変換するための手順を実行する。コンピュータ24は、任意選択によりかつ好ましくは、変換された座標系で製作命令を送信する。代替として、コンピュータ24は、コンピュータ物体データによって提供された元の座標系で製作命令を送信することができる。その場合、座標変換はコントローラ20の回路によって実行される。コントローラ20は、前に詳述したユーザインタフェース116と通信することもできる。
【0088】
座標変換により、回転トレイ上での三次元印刷が可能となる。固定トレイを有する非回転システムでは、印刷ヘッドは通常固定トレイ上を直線に沿って往復運動する。そのようなシステムでは、ヘッドの吐出速度が均一であるとすれば、印刷解像度はトレイ上のどの点でも同じである。システム10においては、非回転システムとは違って、ヘッドポイントの全てのノズルが同じ時間の間にトレイ12上の同じ距離をカバーするわけではない。座標変換は、任意選択によりかつ好ましくは、異なる半径方向位置において過剰材料が等量となるように実行される。本発明のいくつかの実施形態による座標変換の代表例を図3A図3Bに示す。これは物体の3つのスライス(各スライスが物体の異なる層の製作命令に対応する)を表し、図3Aは、デカルト座標系でのスライスを示し、図3Bは、それぞれのスライスに座標変換手順を適用した後の同じスライスを示す。
【0089】
通常、コントローラ20は、製作命令に基づき、かつ以下で説明する格納されたプログラムの指示に基づいて、システム10のそれぞれの構成要素に印加される電圧を制御する。
【0090】
一般的に、コントローラ20は、トレイ12の回転中に印刷ヘッド16を制御して構築材料の液滴を層状に吐出させ、トレイ12上に三次元物体を印刷させる。
【0091】
システム10は、任意選択によりかつ好ましくは、1以上の放射線源18を備える。これは、使用される造形材料に応じて、例えば紫外線、可視光若しくは赤外線のランプ、あるいは他の電磁放射線源、あるいは電子線源であってよい。放射線源は、これに限らないが発光ダイオード(LED)、デジタル光処理(DLP)システム、抵抗加熱ランプ等を含む任意の種類の放射線放出装置を含むことができる。放射線源18は造形材料を硬化又は凝固する役割りをはたす。本発明の様々な例示的実施形態では、放射線源18の動作は、コントローラ20によって制御され、それは、放射線源18の起動及び停止を行い、かつ任意選択により放射線源18によって発生する放射線量の制御も可能とする。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態において、システム10はレベリング装置32を更に備える。これは以下で詳述するように、任意選択によりかつ好ましくはブレードを有するローラと、任意選択により廃棄物回収装置(図示せず、図1A参照)もまた備え得る。レベリング装置32は、新たに形成した層を、その上に次の層を形成する前に矯正する役目をする。
【0093】
いくつかの任意選択の実施形態では、レベリング装置32は円錐ローラの形状を有し、その対称軸34がトレイ12の表面に対して傾斜し、かつその表面がトレイ表面と平行になるように配置される。この実施形態をシステム10の側面図で示す(図1C)。円錐ローラは、円錐又は円錐台の形状を有することができる。
【0094】
レベリング装置32の動作は、任意選択によりかつ好ましくはレベリング装置32を起動及び停止することのできるコントローラ20によって制御される。いくつかの任意選択の実施形態において、コントローラ20は位置レベリング装置32が垂直方向(軸14に平行)、及び/又は半径方向(トレイ12に平行で軸14に向かうか軸14から離れる方向)に沿うように制御する。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態では、印刷ヘッド16は、半径方向rに沿ってトレイに対して往復運動するように構成される。これらの実施形態は、ヘッド16のノズルアレイ22の長さがトレイ12上の作業領域26の半径方向の幅より短いときに有用である。半径方向へのヘッド16の運動は、任意選択によりかつ好ましくはコントローラ20によって制御される。
【0096】
いくつかの実施形態は、(同一又は異なる印刷ヘッドに属する)異なるノズルアレイから異なる材料を吐出することにより物体を作製することを想定する。これらの実施形態は、とりわけ、所定数の材料から材料を選択し、かつ選択された材料及びそれらの特性の所望の組合せを定める機能を提供する。本実施形態によれば、各材料を層状に堆積する空間位置は、異なる材料で異なる三次元空間位置を占有させるか、2以上の異なる材料を実質的に同一の三次元位置又は隣接する三次元位置に配置し、堆積後にその層内での材料を空間的に混合させて、それによってそれぞれの単一又は複数の位置に複合材料を形成させるか、のいずれかによって規定される。
【0097】
造形材料の堆積後の任意の組み合わせ又は混合が考えられる。例えば、特定の材料が吐出された後、それはその元の特性を維持することができる。しかし、それが別の造形材料又は他の吐出材料と同時に、同じ位置あるいは近傍位置で吐出される場合、吐出された材料とは異なる単一又は複数の特性を有する複合材料が形成され得る。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態では、システムは、複数層の少なくとも一つに対してデジタル材料を吐出する。
【0099】
本明細書及び当分野で使用される「デジタル材料」という用語は、異なる材料のピクセル又はボクセルがある領域において相互に交錯するような、ピクセルレベル又はボクセルレベルでの2以上の材料の組み合わせを言う。そのようなデジタル材料は、材料の種類及び/又は2以上の材料の比率及び相対的な空間分布の選択によって影響される新しい特性を示すことができる。
【0100】
本明細書で使用するように、層の「ボクセル」は、層内の物理的な3次元の要素体積のことを指し、層を記述するビットマップの単一ピクセルに対応する。ボクセルの寸法は、構築材料が個々のピクセルに対応する位置に吐出され、平坦化され、凝固された後に、構築材料により形成される領域の寸法にほぼ等しい。
【0101】
こうして本実施形態は、広範囲な材料の組合せを堆積可能とし、かつ物体の各部分の特徴づけに要求される特性に応じて、異なる部分が複数の異なる材料の組合せから構成され得る物体の作製を可能にする。
【0102】
本実施形態に適するAMシステムの原理及び動作の更なる詳細は、米国公開特許出願第20100191360号明細書に示されており、参照によりその内容を本明細書に援用する。
【0103】
本実施形態は、これに限らないが例えばシステム10又はシステム110のような三次元印刷システムにおける1つのサブシステムであり得るサービスステーションシステムを含む。このサービスステーションシステムは、これに限定されないが、印刷ヘッドの吐出面(例えばオリフィス板121)を拭い、拭い取られた、又は印刷ヘッドの吐出面で排除された液体構築材料を回収することを含む、サービス動作を自動的に実行する機能をはたすことができる。三次元物体の印刷中に、三次元印刷システムのコントローラ(例えばコントローラ20)が通常、印刷システムの印刷ヘッドを制御して、吐出面を拭い、及び/又は構築材料を排除するために、本実施形態のサービスステーションを定期的に訪問させる。通常、コントローラ20は吐出層のN層ごとに印刷ヘッドをサービスステーションの位置へ移動させる。ここでNは、例えば約10から約50の所定の数であってよい。
【0104】
図4A図4Bは、本発明のいくつかの実施実施形態による、サービスステーションシステム400を備える三次元印刷システムの上面概略図である。サービスステーションシステム400のより詳細な説明を、図5A図6Dを参照して以下に提供する。一般的に、サービスステーションシステム400は、吐出面、例えばノズルアレイを有するオリフィス板を有する1以上の印刷ヘッドを含む、任意の三次元印刷システムにおいて使用可能である。図4Aの例示的な図において、サービスステーションシステム400は印刷システム110のサブシステムであり、図4Bの例示的な図において、サービスステーションシステム400は印刷システム10のサブシステムである。
【0105】
本発明のいくつかの実施形態においてサービスステーションシステム400を使用する三次元印刷システムは、サービスステーションシステム400の背面410に配置されるバックライト光源390も備える。好ましくは、バックライト光源390の動作は印刷システムのコントローラ(例えばコントローラ20)によって制御される。バックライト光源390は任意選択によりかつ好ましくは可視範囲(例えば波長が約400nmから約700nm)の光を提供する。光は単色光でも多色光でもよく、任意の物理原理により発生され得る。好ましくは、光源390で発生される光は、印刷システムに使用される構築材料を硬化させない。例えば、構築材料がUV硬化型である場合、光源390で発生する光は紫外領域のスペクトル成分を含まない。バックライト光源390として使用可能な光源の種類の代表的な例には、これに限らないが、発光ダイオード(LED)のパッケージ化又は非パッケージ化ダイ、レーザダイオード(LD)、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)のパッケージ化又は非パッケージ化ダイ、有機LED(OLED) のパッケージ化又は非パッケージ化ダイ、量子ドット(QD)ランプなどが含まれる。バックライト光源390は以下でさらに説明するように位置合わせに使用可能である。
【0106】
図5A図5Hは、本発明のいくつかの実施形態によるサービスステーション400の概略図であり、分解図(図5A)、右上斜視図(図5B)、左上斜視図(図5C)、図5Cの線A-A、線B-Bにそれぞれ沿う断面図(図5D図5E)、左側面図と右側面図(それぞれ図5F図5G)、並びに上面図(図5H)を示す。
【0107】
サービスステーションシステム400は、開放頂部412と底部436を有する槽402を備え、槽は任意選択によりかつ好ましくは傾斜していて出口ポート438(図5D図5Gでよくわかる)を備える。好ましくは、槽402はその前面406に高速解放型コネクタ404を、その背面410にヒンジ408を有する。ただし必ずしもそうである必要はない。ヒンジ408は槽402の開放頂部412を三次元印刷システム(図5H参照)の取付板500に接続する役目をし、コネクタ404は、槽402の頂部412がほぼ水平になるように槽402を支える役目をする。いくつかの実施形態では、コネクタ404はコネクタホルダ405によって同じ取付板500にヒンジ408として固定される。槽402が取り付けられる三次元印刷システムの取付板500は、任意選択によりかつ好ましくは、印刷システムの頂部で、印刷ヘッドの吐出面の高さの直下となる高さにある。
【0108】
高速解放型コネクタ404は例えば、ラッチアセンブリ、あるいは所望によりスナップ型コネクタを備え得る。コネクタ404がラッチアセンブリである場合、任意選択によりかつ好ましくはそれは湾曲した弾性ワイヤ、例えばこれに限らないが、図5A図5D及び図5F図5Gに示すように、下から槽402を支える形状をした湾曲した金属ワイヤを備える。槽402はヒンジ408が規定する軸を中心に回転可能である。槽をヒンジによってその片側を印刷システムに接続し、反対側を高速解放コネクタを用いて支えることの利点は、以下で詳細を述べるように槽402を印刷システムから取り外す必要なしにメンテナンス動作の実行を可能とすることである。
【0109】
サービスステーションシステム400は、印刷ヘッドが槽402の上を背面410と前面406の間で往復運動をするとき、1以上の印刷ヘッドの吐出面(例えばヘッド16のオリフィス板121)を拭うように構成されたワイパ装置416を有するワイパアセンブリ414もまた備える。
【0110】
ワイパ装置416は、三次元印刷システムの割出し方向に対してほぼ直角に配向することができる。これらの実施形態は、回転システム(例えばシステム10)が使用されるとき特に有用である。この場合、ヘッドは半径方向(図4B参照)に沿ってサービスステーション400の位置へ向かって移動する。したがって、概ね方位角方向に配向しているワイパ装置416が、サービスステーションゾーンにヘッドが入るときにヘッドの吐出面を拭う。装置416が割出し方向に垂直である実施形態において、ワイパ装置の幅は、任意選択によりかつ好ましくは、少なくとも印刷システムの全印刷ヘッドの幅である。これにより、同一ワイパ装置416で印刷システムの全ヘッドを拭うことが可能となる。
【0111】
それに代わって、ワイパ装置416は、三次元印刷システムの割出し方向に概ね平行に配向することができる。この実施形態は、直線往復システム(例えばシステム110)が使用されるとき特に有用である。この場合、ヘッドは走査方向に沿ってサービスステーション400の位置へ向かって移動する(図4A参照)。したがって、概ね割出し方向に配向しているワイパ装置416が、サービスステーションゾーンにヘッドが入るときにヘッドの吐出面を拭う。装置416が割出し方向に概ね平行である実施形態において、ワイパ装置の幅は、任意選択によりかつ好ましくは、少なくとも印刷ヘッドの長さである。これにより同一ワイパ装置416で印刷システムの全ノズルアレイを拭うことが可能となる。
【0112】
ワイパアセンブリ414の更なる任意選択の特徴を、図6A図6Dに関して以下で説明する。
【0113】
図5Hを参照すると、サービスステーションシステム400の使用中に、印刷システムのコントローラが印刷ヘッドを、サービスステーションシステム400の位置の方向502に沿って槽402の上方へ移動させる。方向502は、割出し方向であっても、走査方向であってもよい。印刷システムが回転方式である場合、方向502は好ましくは割出し方向であり、印刷システムが直線往復システムである場合、方向502は好ましくは走査方向である。
【0114】
槽402上でのヘッドの移動中に、ワイパ装置416がヘッドの吐出面に係合して、そこに蓄積されてきた可能性のある余剰の構築材料を除去する。余剰の材料は、液体廃棄物としてワイパ装置416から槽402の中へ滴下する。液体廃棄物は、出口ポート438を介して、例えばポンプ(図示せず)により、又は重力により、槽402から除去することができる。印刷ヘッドが槽402の上方にある間は、コントローラは印刷ヘッドに排除手順を実行するように指示することも可能である。例えば排除手順は、ヘッドに供給する構築材料容器を交換する前に、ヘッドのチャネルやシステム内の他の流体通路から、それまでの構築材料を除去するために実行してもよい。この場合、槽402はまた、排除された材料を回収し、その後それを出口ポート438を介して排出することができる。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態において、サービスステーションシステム400は、槽402の頂部412を覆う液体トラップ440も備える。液体トラップ440には好ましくは孔が開けられている。これらの実施形態では、印刷システムのコントローラが印刷ヘッドをサービスステーションシステム400の位置の液体トラップ440の上方に移動させ、液体廃棄物がワイパ装置から液体トラップ440上へ滴下し、トラップ440の穿孔を介して槽416内へ滴下する。液体トラップ440は、前述の排除手順にとって有用である。この場合、ヘッドは構築材料をトラップ440上へ排除し、排除された材料は次に液体トラップ440の穿孔を介して槽402内へ滴下する。
【0116】
液体トラップ440の利点は、穿孔によって設定された位置で槽内への滴下をさせることである。他の利点は、槽内の大量の廃棄物液体と印刷ヘッドとの間に障壁を設け、廃液が光線(例えば紫外光)に曝されることを制限することである。液体トラップ440は、液体構築材料を集めて案内する2以上の穴の開いた液体案内溝442を備えることができる。溝442の数は、好ましくは印刷システムの印刷ヘッドの構築材料チャネルの総数に等しい。例えば、液体トラップ440はノズルの線形アレイごとに1つの溝を備えることができる。好ましくは、溝442は、ワイパアセンブリ414の近傍の位置を除いて、長さ方向に沿う複数の位置で穿孔される。この構成により、ワイパアセンブリ414の様々な要素が液体廃棄物の汚染から保護される。
【0117】
本発明のいくつかの実施形態において、配置センサ504が印刷システムの取付板500(図5H参照)に取り付けられる。配置センサ504は、これに限らないが電気機械式スイッチ又は光学センサを含む任意のタイプのものであってよい。配置センサ504は、液体トラップ440の突起441(図5A図5C参照)を受けるような形状及び寸法をしたスロット(図示せず)を備えるか、そのスロットの近傍に取り付けられ、任意選択によりかつ好ましくは、突起441がスロットに配置されたことを示す信号を生成するように構成される。センサ504によって生成される信号は三次元印刷システムのコントローラ(例えばシステム10又はシステム110のコントローラ20)へ送信される。突起441が配置されていないことを示すセンサ504からの信号に応答して、コントローラはサービスステーションシステム400が適切に取り付けられていないことの警告を発することができ、かつ(例えばアレイ内のすべてのノズルを停止し、かつ印刷ブロックとトレイの相対運動を終了させることにより)印刷ジョブを終了させることもできる。
【0118】
次に、ワイパアセンブリ414のより詳細を説明する概略図である図6A図6Dを参照する。以下で説明する特徴のいくつかは図5A図5Gの1以上にも現れる。本明細書を通して、同様の参照番号は同様の特徴を示す。
【0119】
本発明のいくつかの実施形態において、ワイパアセンブリ414はワイパベース418を備え、ワイパ装置416は専用コネクタ420によってワイパベース418に着脱可能に接続される。コネクタ420は任意選択によりかつ好ましくは、図6Aの非接続状態(上記の図5Aも参照)と図6Bの接続状態に示すような、雄-雌の高速解放型である。これらの実施形態の利点は、サービスステーションシステム400を印刷システムから取り外すことなく、ワイパ装置416を容易に交換可能なことである。
【0120】
図6Cは、ワイパベース418を取り付ける軸422を追加して表示している以外は、図6Bの線A-Aに沿う断面図である。軸422は、任意選択によりかつ好ましくは回転可能な軸422である。軸422は、軸422を回転させるモータ424も示す図6Dによく示されている。モータ424は好ましくは電気モータ、例えばステップモータである。モータ424は三次元印刷システムのコントローラ(例えばコントローラ20)によって制御可能である。モータ424と軸422の間には機械式伝動装置426がある。図示した実施形態において機械式伝動装置426ははめば歯車を備えるが、他の種類の伝動装置(例えばベルト、履帯、プーリ)も想定される。モータ424は、槽402に接続可能な、あるいはより好ましくは槽402の一体部品であるモータ支持構造403に取り付けられることが好ましい(例えば図5C参照)。本発明のいくつかの実施形態において、モータ424は構造403の3つのコーナに3本のねじ434で取り付けられ、4番目のコーナは取り付けないままとする。
【0121】
軸422が槽402を貫通する(図6A図6Dには示さず。例えば図5A及び図5Bを参照)。ここで伝動装置426とモータ424は槽402の外側にあり、ワイパベース418とワイパ装置416は槽402の内部、好ましくはその上部にある。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態において、ワイパベース418はシャフト428によって軸422に取り付けられる(図5Aも参照)。これらの実施形態では、シャフト428は、モータ424による軸422の回転とは独立して、かつそれに対して垂直に回転可能である。シャフト428が軸422に対し垂直に回転可能であることの利点は、それによりワイパ装置416に2つの回転自由度が与えられ、ワイパ装置416を印刷ヘッドの吐出面に位置合わせする能力が向上し、それによりワイピング効率も向上することである。シャフト428を軸422とは独立して回転可能とすることの利点は、ワイパ装置416に自己位置合わせ特性が提供されることである。具体的には、印刷ヘッドの吐出面に対してワイパ装置416を軽く押し付けることで、ワイパ装置416はシャフト428の独立した回転によって吐出面に位置合わせされる。好ましくは、シャフト428は、図6Cに示すように水平方向に対して傾斜している(図5Dも参照)。この傾斜が、例えばモータ424を使用して軸422を回転させることにより、印刷ヘッドの吐出面に係合するようにワイパ装置416の垂直位置を調節可能とする。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態では、ワイパベース418は、ワイパ装置によって拭い取られるか印刷ヘッドによって排除される液体構築材料からシャフト428と軸422の接続部を遮蔽するための遮蔽構造としての形状であるか、又はその遮蔽構造を備える。本発明者らはこの遮蔽構造が、軸422に対するシャフト428の回転不良を低減することを見いだした。
【0124】
ワイパ装置416は通常、ワイピング動作中に印刷ヘッドの吐出面に係合するワイピング要素430を備える。ワイピング要素430は好ましくは、図6A図6B図6Dに示すように、その全幅にわたって、実質的に真っすぐで連続したワイピング端を有する。好ましくはワイピング要素430はエラストマである。ワイピング要素430に適したエラストマは、ショアA硬度が約70から約90で特徴づけられるエラストマである。
【0125】
ショアA硬度は、ショア硬度又は単純に硬度とも称され、タイプAのデュロメータスケールで定義される、永久圧痕に対する材料の抵抗を表す。ショア硬度は通常ASTM D2240に従って決定される。
【0126】
本実施形態に適するエラストマの代表的な種類としては、これに限るものではないが、例えばエチレンプロピレンジエンなどを例とするゴムがある。
【0127】
本発明のいくつかの実施形態では、ワイピング要素430(例えばエラストマワイピング要素)が、例えばこれに限らないが金属平坦構造体などの弾性を有する非ポリマ平坦構造体432に接続される。構造体432がワイパ装置416の前述した自己位置合わせ特性に更なる自由度を加える。これは、例えばヘッドへの材料の過度の蓄積により一時的な位置合わせのずれが生じた場合に、弾性力がワイピング要素430をヘッドの吐出面に再位置合わせし得るからである。構造体432は、要素が摩耗しそうな時でも、要素430のヘッドへの十分な圧力を維持するので、ワイピング要素430の寿命も延ばす。
【0128】
図6Dを参照すると本発明のいくつかの実施形態において、ワイパアセンブリ414は、軸422の機械式伝動装置426とは反対の端に取り付けられたフラッグ部材450を備える。これらの実施形態では、サービスステーションシステム400は、軸422のフラッグ部材450のある端の直上に取り付けられた位置センサ452を備える。フラッグ部材が位置センサ452の検知素子を横切ると、センサ452が印刷システムのコントローラ(例えばコントローラ20)へ信号を送信する。コントローラはその信号を軸422が取る角度に関する指標として、したがってそこに取り付けられたワイパ装置416の垂直位置にも関する指標として使用可能である。例えば、フラッグ部材450が最も高い位置にあるときにワイパが槽402内の低い位置となるように、フラッグ部材450を軸422上に取り付けることができる。モータ424によるワイパ装置416の垂直位置の調整中は、フラッグ部材450は下へ回転する。したがってこの場合、センサ452からの信号は調整手順が実行されようとしていることを示し、コントローラは警告を発するか、あるいはそのような信号に応答して印刷ジョブを終了させることができる。
【0129】
次に図7を参照する。これは、本発明のいくつかの実施形態による、三次元印刷システムのワイパ装置の位置決めに適する方法を示すフロー図である。この方法は、例えばサービスステーションシステム400と三次元印刷システム10と110のいずれかを用いて、実行可能である。
【0130】
別段の定義がない限り、以下で説明する操作は、実行の多くの組合せ又は順序において同時又は順次のいずれかで実行可能であることを理解されたい。特にフロー図の順序は限定的とみなされるべきではない。例えば、以下の説明又はフロー図で特定の順序で現れる2以上の操作は、異なる順序(例えば逆の順序)で、あるいは実質的に同時に実行されてもよい。さらに、以下で説明するいくつかの操作は任意選択であって、実行されない場合もある。
【0131】
この方法は700で始まり、印刷システムの印刷ヘッドがサービスステーションシステムのワイパ装置(例えばワイパ装置416)の上方の位置に移動する701に続く。702において、印刷ヘッドとワイパ装置がバックライト光源(例えばバックライト光源390、図4A図4B参照)により後ろから照明されて、バックライト光源からの光がヘッドとワイパ装置の間を通るようにされる。
【0132】
703でワイパ装置と印刷ヘッドの垂直距離が縮められる。これは、サービスステーションシステムのモータ(例えばモータ424)を作動させて行うことができる。操作703は操作702の前に開始してもよい。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、モータがサービスステーションの軸を回転させると、コントローラはバックライト光源を自動的に作動させる。操作703は、正面406からサービスステーションシステム400を見るとき、ワイパ装置がバックライト光源からの光を遮断してバックライト光源からの光がユーザに見えなくなるまで継続されることが好ましい。バックライト光源の光が遮断されると、本方法はワイパ装置がヘッドの吐出面に係合したと判定し、距離の減少を終了させることができる。
【0133】
本発明のいくつかの実施形態では、本方法が704まで進み、そこで垂直距離を所定量だけ増加させて、印刷ヘッドがワイパ装置のワイピング要素にかける応力を低減する。所定量は通常1mm未満、又は0.5mm未満である。
【0134】
この方法は705で終了する。
【0135】
本明細書で使用されるように、「約」という用語は±10%を指す。
【0136】
「例示的」という用語は、本明細書では、「例、実例、例示に供する」という意味で使用される。「例示的」として記述される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好適又は有利であると解釈されるべきではなく、及び/又は他の実施形態の特徴を組み込むことを排除するものではない。
【0137】
「任意選択により」という用語は、本明細書においては、「ある実施形態では提供され、他の実施形態では提供されない」ことを意味するように使用される。本発明の任意の特定の実施形態は、そのような特徴が相反しない限り、複数の「任意選択の」特徴を含み得る。
【0138】
用語「備える」、「備えた」、「含む」、「含んだ」、「有する」、及びそれらの活用形は、「含むがそれに限らない」ことを意味する。
【0139】
「から成る」という用語は、「を含み、かつ限定される」ということを意味する。
【0140】
「本質的に~から成る」という用語は、組成、方法又は構造が追加的な成分、ステップ及び/又は部品を含み得るが、その追加的な成分、ステップ及び/又は部品が特許請求の組成、方法又は構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0141】
本明細書で使用の、単数形の「1つの(a、an)」、「その(the)」は文脈が明確にそうでないことを規定しない限り、複数の言及も含む。例えば、「1つの化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、複数の化合物をそれらの混合物も含めて包含し得る。
【0142】
本出願を通じて、本発明の様々な実施形態が範囲形式で提示され得る。範囲形式の記述は、単に便宜的かつ簡潔化のためのものであって、本発明の範囲の一定不動の限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。従って、範囲の記述は、その範囲内の個別の数値と共にすべての可能な部分範囲を具体的に開示しているものと見なされるべきである。例えば、1~6というような範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示された部分範囲、並びにその範囲内の個別の数値、例えば1、2、3、4、5、6を有すると見なされるべきである。このことは、範囲の広さに拘わらず適用される。
【0143】
本明細書で数値範囲が示されるときはいつでも、示された範囲内の任意の引用された数値(分数又は整数)を含むことが意味される。第1の指定数と第2の指定数「の間の範囲の/範囲にある」という句、及び、第1の指定数「から」第2の指定数「まで」の「範囲の/範囲にある」という句は、本明細書では互換的に使用されて、第1の指定数と第2の指定数、並びにその間のすべての分数及び整数を含むことを意味する。
【0144】
本発明の特定の特徴は、明確にするために別々の実施形態の文脈に記述されていても、組み合わせて1つの実施形態で提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈中に記述される本発明の様々な特徴は、別々又は任意の適切な部分的組合せで提供されることも、又は本発明の任意の他の説明される実施形態に適切であるように提供されることも可能である。様々な実施形態の文脈において記述される特定の特徴は、それらの要素なしではその実施形態が機能不能とならない限りは、それらの実施形態の必須の特徴と見なされるべきではない。
【0145】
本発明を、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、当業者には多くの代替、修正、変形が明らかなことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内にあるそのような代替、修正及び変形のすべてを包含することが意図されている。
【0146】
本明細書で言及したすべての刊行物、特許及び特許出願は、各個別の刊行物、特許及び特許出願が具体的かつ個別的に参照により本明細書に組み込まれるように表示された場合と同じ程度に、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願内のいかなる参照の引用又は特定も、そのような参照が本発明に対する先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されるべきではない。セクション見出しに使用される限りでは、それらは必ずしも制限的であると解釈されるべきではない。さらに、本出願の任意の優先権文書は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
【国際調査報告】