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特表2023-522920自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法
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  • 特表-自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/52 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
C07D307/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563421
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 CN2020086656
(87)【国際公開番号】W WO2021212460
(87)【国際公開日】2021-10-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510173476
【氏名又は名称】中国科学院▲寧▼波材料技▲術▼▲与▼工程研究所
【氏名又は名称原語表記】NINGBO INSTITUTE OF MATERIALS TECHNOLOGY & ENGINEERING,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
【住所又は居所原語表記】No.519 Zhuangshi Avenue,Zhenhai District,Ningbo,Zhejiang,315201 CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】521286237
【氏名又は名称】恒天生物基材料工程技術(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHTC BIO-BASED MATERIAL ENGINEERING & TECHNOLOGY (NINGBO) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.339 binhai 4th road, Hangzhou bay new area, Ningbo City, Zhejiang China
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】陳 金波
(72)【発明者】
【氏名】張 亜杰
(72)【発明者】
【氏名】馬 中森
(72)【発明者】
【氏名】夏 長久
(72)【発明者】
【氏名】宋 亜男
(72)【発明者】
【氏名】王 楽軍
(57)【要約】
本出願は、自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法を開示する。前記自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法は、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を酸で反応させて触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成させ、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させ、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成するステップを含む。本出願は、酸トリガ反応を使用し、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムは自己触媒で反応プロセスを完了し、過剰なアルカリ助剤を避け、汚染物質の排出を減らし、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドの変換率が100%に達し、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの選択性と収率が99%以上に達し、反応条件が穏やかで方法が簡単で操作しやすく、生産コストが低く、工業生産に適している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を酸で反応させ触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成させ、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させ、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成するステップを含む、ことを特徴とする自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【請求項2】
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、オキシム剤を含む液相反応系を提供するステップと、
前記液相反応系に酸を加えて2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を反応させ、触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成し、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【請求項3】
前記液相反応系は、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、オキシム剤および極性溶媒を含み、好ましくは、前記オキシム剤と2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドのモル比が2~10:1である、ことを特徴とする請求項2に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【請求項4】
前記液相反応系内に酸を加えた後、前記液相反応系のpH値が1.0~7.0であり、好ましくは3.0~4.0であり、
および/または、前記液相反応系内に酸を加えた後、形成された混合反応物では、酸の質量%が0.01~2.0wt%であり、好ましくは0.05~2.0wt%であり、より好ましくは0.05~0.5wt%であり、特に好ましくは0.1~0.5wt%である、ことを特徴とする請求項2に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【請求項5】
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドおよび酸を含む混合液を提供するステップと、
前記混合液内にオキシム剤を複数回添加し、酸をトリガとして2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を反応させ、触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成し、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させるステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【請求項6】
前記混合液は2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、酸および極性溶媒を含み、および/または、前記方法は、オキシム剤をオキシム剤水溶液として調製し、前記オキシム剤水溶液を前記混合液に複数回添加するステップを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【請求項7】
前記酸は無機酸および/または有機酸を含み、好ましくは、前記無機酸は塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、亜硫酸のいずれか1つまたは2つ以上の組合せであり、特に好ましくは塩酸および/または硫酸であり、好ましくは、前記有機酸はギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、シュウ酸、メチルスルホン酸およびメタンスルホン酸のいずれか1つまたは2つ以上の組合せであり、特に好ましくは酢酸および/またはシュウ酸である、ことを特徴とする請求項1に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【請求項8】
前記オキシム剤がヒドロキシルアミンであり、前記オキシム剤水溶液がヒドロキシルアミン水溶液であり、好ましくは、前記ヒドロキシルアミン水溶液の濃度が15~85wt%である、ことを特徴とする請求項6に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【請求項9】
前記極性溶媒は、水、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノールのいずれか1つまたは2つ以上の組合せであり、好ましくは水であり、および/または、前記極性溶媒と2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドの質量比が5~35:1であり、好ましくは10~20:1である、ことを特徴とする請求項3または6に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【請求項10】
前記反応の温度が0℃~90℃であり、好ましくは15℃~30℃であり、前記反応の時間が1~60minであり、好ましくは5~30minであり、前記反応の圧力が大気圧であり、
および/または、前記方法は、少なくとも4~8回で前記オキシム剤水溶液を前記混合液に添加することを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法に関し、化学合成の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
唯一の持続可能な有機炭素資源であるバイオマスを、生物学的あるいは化学的手法により低分子バイオマスベース化合物に高選択的に変換し、さらに化学触媒により高品質燃料や高付加価値化学製品に変換することは、バイオマス変換・利用の重要な方法である。5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)は、重要なバイオマスプラットフォーム代表製品として、広く供給されており、基礎バイオマス原料と高付加価値製品との橋渡しとして重要である。5-ヒドロキシメチルフルフラールは、酸化反応と求核置換反応により、重要有機合成中間体の含窒素複素環化合物-2,5-フラウンジカルボキシアルデヒドオキシム(DFFD)が合成され、そのオキシム官能基は例えば脱水によるニトリル、酸触媒によるベックマン転位によるアミド、水素添加による一級アミン、酸化による窒素酸化物など様々な官能基に容易に変換され、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドなどの機能性ポリマー材料の調製に工業的に大きく応用できる。2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムも独特の生理・生化学性を持ち、優れた抗菌、抗炎症、抗がん、抗ウイルス作用を持っており、医薬中間体合成に用いることが可能である。2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムは金属錯体形成のための重要な配位子である。
【0003】
求核付加によるオキシムの調製は、特許文献1に報告されているように、塩酸ヒドロキシルアミンをアルカリ条件下で塩酸から遊離させ、その後、ヒドロキシルアミンとカルボニル化合物を迅速に求核置換反応させて最終製品のオキシムを生成する、典型的で成熟した手法であり、2倍当量の塩酸ヒドロキシルアミンと酢酸カリウムの助剤を用い、50℃で1時間還流冷却することにより、2,5-フランジカルボキサアルデヒドオキシムを80%の選択性で50%エタノール水溶液で得ることができる。特許文献2には、2倍当量の塩酸ヒドロキシルアミンと酢酸カリウムの助剤を用いて、エタノール溶媒中、50℃で2,5-フランジカルボキサアルデヒドオキシムを得ることも報告されている。Xuら(非特許文献1)は2.6倍当量の塩酸ヒドロキシルアミンと酢酸ナトリウムの助剤を用いて、110℃で2時間濃縮還流することにより、95%の選択性で2,5-フランジカルボキサアルデヒドオキシムを調製した。この方法は、オキシム類の選択性が高いが、等価または過剰の化学当量の塩酸ヒドロキシルアミンとアルカリ助剤を使用する必要があり、反応過程で無機塩が多量に副生し、深刻な環境汚染を引き起こし、処理コストの上昇につながるという問題点がある。また、この方法は反応条件が厳しく、分離・精製の工程が面倒なため、工業的な応用には大きな制約がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/004069号明細書
【特許文献2】国際公開第2015/060827号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Y.M. Xu et al. ACS Sustainable Chem. Eng. 2018, 6, 3, 2888-2892
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の主な目的は、従来技術の欠点を克服するための自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の発明の目的を達成するために、本出願は以下の技術手段を採用している。
【0008】
本出願の実施例は、自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法を提供し、それは、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を酸で反応させ触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成させ、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させ、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成するステップを含む。
【0009】
いくつかの実施例では、前記自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法は、
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、オキシム剤を含む液相反応系を提供するステップと、
前記液相反応系に酸を加えて2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を反応させ、触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成し、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させるステップと、を含む。
【0010】
さらに、前記方法では、前記液相反応系内に酸を加えた後、前記液相反応系のpH値が1.0~7.0である。
【0011】
別の実施例では、前記自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法は、
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドおよび酸を含む混合液を提供するステップと、
前記混合液内にオキシム剤を複数回添加し、酸をトリガとして2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を反応させ、触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成し、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させるステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施例では、前記酸は無機酸、有機酸などを含むが、これらに限定されない。
【発明の効果】
【0013】
従来技術と比較すると、本出願は少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0014】
1)本出願で提供される自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法は、酸をトリガとして反応させ、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムは自己触媒で反応プロセスを完了し、この方法は、過剰なアルカリ助剤を避け、汚染物質の排出を減らし、生産コストが低く、反応全体中「廃水、排気、固定廃棄物」がなく、環境に優しく、操作が簡単、安全で信頼性が高い。
【0015】
2)本出願で提供される自己触媒による2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドジオキシムの調製方法では、温和な温度条件下で(90℃以下)、比較的短時間(60分)に高選択性かつ高収率で2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドジオキシムを得、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドの変換率が100%に達し、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの選択性と収率が99%以上に達する。
【0016】
3)本出願で提供される自己触媒による2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドジオキシムの調製方法では、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムが水に溶解しないため、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムが反応系から分離しやすく、純度が99.5%以上に達し、製品の品質を向上させることができる。
【0017】
4)本出願で提供される自己触媒による2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドジオキシムの調製方法では、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの選択性が確保される前提下で、ヒドロキシルアミン水溶液を複数回添加し、ヒドロキシルアミンを完全に変換して、ヒドロキシルアミンの原料利用率を向上させるとともに反応安全性を高める。
【0018】
5)本出願は、他の触媒と助剤を加える必要がなく、有害な廃棄物を発生させず、反応条件が穏やかで、常温と大気圧下で実施でき、完全な反応が1~60分しかかからず、反応生成物を濾過して沈殿物を得、沈殿物を洗浄して乾燥することで、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、反応効率が高く、方法が簡単で操作しやすく、生産コストが低く、工業生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本出願の実施例または従来技術中の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例または従来技術の説明で使用する必要のある図面を簡単に説明するが、明らかに、以下で説明される図面は本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0020】
図1】本出願の実施例1で調製された2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムのマススペクトログラムである。
図2】本出願の実施例1で調製された2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの高速液体クロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
自己触媒プロセスは、反応生成物が反応速度に寄与する触媒過程であり、自動連続反応、高い反応活性、速い反応速度、容易な生成物処理などの利点を有する。ヒドロキシルアミン水溶液をオキシム剤として、酸で反応系を適切なpH値に調節して2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの自己触媒反応を実現する例は、これまで報告されていない。
【0022】
上記のように、従来技術の欠点を鑑み、本発明者は長年の研究と大量の実践を経って、本出願の技術手段を提案し、自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法を提供し、この方法は、バイオマス由来の2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドを原料とし、ヒドロキシルアミン水溶液をオキシム剤とし、酸を加えて反応系のpH値を調節して、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成させ、自己触媒反応プロセスを完了する。この方法は、過剰なアルカリ助剤を避け、常温と大気圧下で実施でき、完全な反応が1~60分しかかからず、反応生成物を濾過して沈殿物を得、沈殿物を洗浄して乾燥することで、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの選択性>99%、純度>99.5%である。
【0023】
本出願の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法の自己触媒反応メカニズムは、本出願には、反応系のpH値を3.0~4.0に調節し、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドのフラン環上の炭素原子のユニークな電子吸収共役効果により、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドが容易に反応を開示して脱水して2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドモノオキシムを形成し、その後2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドモノオキシムのオキシム水酸基がプロトン移動反応を起こし、さらに2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドモノオキシムを触媒して連続的に2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成させる。
【0024】
以下、この技術手段、その実施過程および原理などをさらに説明および解釈する。
【0025】
本出願の実施例の一側面は自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法を提供し、それは、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を酸で反応させ触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成させ、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させ、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成するステップを含む。
【0026】
いくつかの実施例では、前記自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法は、
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、オキシム剤を含む液相反応系を提供するステップと、
前記液相反応系に酸を加えて2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を反応させ、触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成し、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させるステップと、を含む。
【0027】
いくつかの実施例では、前記液相反応系は、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、オキシム剤および極性溶媒を含む。
【0028】
いくつかの実施例では、前記オキシム剤と2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドのモル比が2~10:1である。
【0029】
本出願で提供される自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法は、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、極性溶媒、酸およびオキシム剤を混合し、自己触媒により反応させ、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得ることができる。
【0030】
具体的には、本出願は、以下の技術手段を通じて自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製を実現し、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、オキシム剤を極性溶媒に添加し、酸を加えて溶液のpH値を調節し、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの自己触媒効果により、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドを触媒して脱水し、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを調製し、その後濾過、洗浄および乾燥によって2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得る。
【0031】
さらに、前記調製方法は少なくとも、酸を加えて溶液の初期pH値を調節し、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を極性溶媒で反応を開示させ、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成させ、自己触媒反応プロセスを完了し、反応完了後、室温まで自然冷却し、濾過、洗浄および乾燥して目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得る。
【0032】
いくつかの実施例では、前記自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法では、前記液相反応系内に酸を加えた後、前記液相反応系のpH値が1.0~7.0である。
【0033】
さらに、前記方法は、酸により前記液相反応系の初期pH値を3.0~4.0間に調節することを含む。本出願では、pH値が3.0~4.0間にあると、求核試薬ヒドロキシルアミンのカルボニル基へのアタックを助長し、反応速度を高める。
【0034】
いくつかの実施例では、前記液相反応系内に酸を加えた後、形成された混合反応物では、酸の質量%が0.01~2.0wt%であり、好ましくは0.05~2.0wt%であり、より好ましくは0.05~0.5wt%であり、特に好ましくは0.1~0.5wt%である。
【0035】
いくつかのより好ましい実施例では、前記自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法は、
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドおよび酸を含む混合液を提供するステップと、
前記混合液内にオキシム剤を複数回添加し、酸をトリガとして2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を反応させ、触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成し、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させるステップと、を含む。
【0036】
いくつかの実施例では、前記混合液は、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、酸および極性溶媒を含む。
【0037】
さらに、前記方法は、オキシム剤をオキシム剤水溶液として調製し、前記オキシム剤水溶液を複数回で前記混合液に添加することを含む。
【0038】
いくつかの実施例では、前記酸は無機酸、有機酸などを含むが、これらに限定されない。
【0039】
さらに、前記無機酸は塩酸、硫酸、リン酸、硝酸および亜硫酸等のいずれか1つまたは2つ以上の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0040】
さらに、前記無機酸は塩酸、硫酸などから選択されるのが好ましいが、これらに限定されない。
【0041】
さらに、前記有機酸は、ギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、シュウ酸、メチルスルホン酸およびメタンスルホン酸等のいずれか1つまたは2つ以上の組合せを含むが、これらに限定されない。
【0042】
さらに、前記無機酸は酢酸、シュウ酸などから選択されるのが好ましいが、これらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施例では、前記オキシム剤はヒドロキシルアミンであり、前記オキシム剤水溶液はヒドロキシルアミン水溶液である。
【0044】
さらに、前記ヒドロキシルアミン水溶液の濃度が15~85wt%であり、好ましくは50wt%である。
【0045】
いくつかの実施例では、前記ヒドロキシルアミン水溶液と2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドの質量比が1~5:1である。
【0046】
いくつかの実施例では、前記極性溶媒は水、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のいずれか1つまたは2つ以上の組合せ、または水と極性有機溶媒の混合溶媒を含むが、これらに限定されない。
【0047】
さらに、前記極性溶媒は水であるが、これに限定されない。
【0048】
いくつかの実施例では、前記極性溶媒と2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドの質量比が5~35:1である。
【0049】
さらに、前記極性溶媒と2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドの質量比が10~20:1であることが好ましい。
【0050】
いくつかの実施例では、前記反応の反応条件は、反応温度0℃~90℃、時間1~60min、反応圧力大気圧を含む。
【0051】
具体的には、前記反応温度の上限が50℃、45℃、30℃または25℃から選択され、下限が5℃、10℃、15℃または25℃から選択されるのが好ましい。
【0052】
具体的には、前記反応時間の上限が60min、50min、40minまたは30minから選択され、下限が5min、10min、15minまたは20minから選択されるのが好ましい。
【0053】
さらに、前記反応の温度が15℃~30℃、時間が5~30min、反応圧力が大気圧であることが好ましい。
【0054】
さらに、前記方法は、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドを水に加え、酸により溶液の初期pH値を調節し、複数回でヒドロキシルアミン水溶液を添加し、反応完了後、濾過、洗浄および乾燥することで目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得る。本出願では、ヒドロキシルアミンが加熱されると分解しやすいため、ヒドロキシルアミンの安定性および使用安全性を高めるために、ヒドロキシルアミン水溶液を複数回添加することで体系中のヒドロキシルアミン濃度を制御する。
【0055】
さらに、前記方法は、少なくとも4~8回で前記オキシム剤水溶液(つまりヒドロキシルアミン水溶液)を前記混合液に添加する。
【0056】
さらに、毎回添加した前記ヒドロキシルアミン水溶液と2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドの質量比が0.25~0.5:1である。
【0057】
ここで、より具体的な実施形態の1つとして、前記自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法は、一定の比率で2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、極性溶媒およびヒドロキシルアミン水溶液を加え、0~90℃に昇温させ、酸を加えてpH値を適切な範囲に調節し、反応をトリガさせ、1~60min反応させた後、室温まで自然冷却して反応生成物を得、濾過、洗浄および乾燥することで、白い粉末固体であって、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、反応一般式が以下の通りであり、
【化1】

ここで、ヒドロキシルアミンはヒドロキシルアミン水溶液由来である。
【0058】
ここで、前記極性溶媒は、水、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール等または水と有機溶媒の混合溶媒である。
【0059】
ここで、前記酸は無機酸または有機酸である。
【0060】
ここで、反応系全体における前記酸の質量%が0.01~2.0wt%であり、好ましくは0.05~2.0wt%であり、より好ましくは0.05~0.5wt%であり、特に好ましくは0.1~0.5wt%である。
【0061】
ここで、前記酸によりpH値を1.0~7.0、好ましくは3.0~4.0の範囲に制御する。
【0062】
以上、本出願で提供される自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法は、温和な条件下で、生成された2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを触媒として自己触媒反応プロセスを完了し、反応効率と2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの選択性を高め、高純度の2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、反応全体中「廃水、排気、固体廃棄物」がなく、環境に優しく、操作が簡単で、安全かつ信頼性が高い。本出願は、他の触媒と助剤を加える必要がなく、有害な廃棄物を発生させず、反応条件が穏やかで、反応効率が高く、方法が簡単で操作しやすく、生産コストが低く、工業生産に適している。
【0063】
本出願の目的、技術手段および利点をより明確にするために、以下、具体的な実施形態および図面を参照して本発明をさらに説明する。なお、ここで説明される具体的な実施例は本出願を解釈する目的でのみ使用され、その中の実験条件や設定パラメータなどは本出願の基本的な技術手段の制限として理解されない。本出願の保護範囲は下記の実施例に限定されない。また、以下で説明される本出願の各実施形態にかかる技術的特徴は、矛盾しない限り互いに組み合せることができる。
【0064】
特に断らない限り、本出願の実施例中の原料および試薬はいずれも市販されているものである。
【0065】
本出願の実施例中の分析方法は以下のとおりである。
【0066】
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)により生成物の濃度を分析し、モデルがAgilent1260である。
【0067】
本出願の実施例中の変換率、選択性は以下のように算出される。
【0068】
本出願の実施例では、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドの変換率および2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの選択性はいずれも炭素モル数に基づいて算出される。
【0069】
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド変換率=(1-残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドモル数/初期2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドモル数)×100%
2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシム選択性=(2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシム生成モル数/2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド変換モル数)×100%
【0070】
(実施例1)
1mmolの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、2mLの水と4.0mmolの50wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を均一に混合し、30℃に加熱し、その後0.1wt.%の希塩酸を加え、反応系のpHを3.0に調節し、保温して5min反応させ、反応が完了した後、室温まで自然冷却し、反応生成物を濾過して沈殿物を得、脱イオン水で沈殿物を洗浄して100℃で乾燥し、白い粉末固体であって、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、試験により、生成物の選択性が99.6%であり、純度が99.8%である。
【0071】
(実施例2)
2mmolの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、3mLエタノールおよび6mmolの70wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を均一に混合し、その後0.5wt.%の希硫酸を加え、反応系のpHを4.0に調節し、室温(25℃)で1min反応させ、反応が完了した後、室温まで自然冷却し、反応生成物を濾過して沈殿物を得、脱イオン水で沈殿物を洗浄して100℃で乾燥し、白い粉末固体であって、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、試験により、生成物の選択性が99.5%であり、純度が99.7%である。
【0072】
(実施例3)
4mmolの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、14mLジメチルホルムアミドおよび40mmolの15wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を均一に混合し、90℃に加熱し、その後0.01wt.%のリン酸を加え、反応系のpHを5.0に調節し、保温して30min反応させ、反応が完了した後室温まで自然冷却し、反応生成物を減圧下で蒸留させ、脱イオン水で沈殿物を洗浄して100℃で乾燥し、白い粉末固体であって、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、試験により、生成物の選択性が99.2%であり、純度が99.6%である。
【0073】
(実施例4)
8mmolの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、20mLの水と18mLメタノールの混合溶媒および16mmolの85wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を均一に混合し、氷浴(0℃)で反応させ、その後0.05wt.%の酢酸を加え、反応系のpHを3.5に調節し、60min反応させ、反応が完了した後室温まで自然冷却し、反応生成物を濾過して沈殿物を得、脱イオン水で沈殿物を洗浄して100℃で乾燥し、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、試験により、生成物の選択性が99.4%であり、純度が99.8%である。
【0074】
(実施例5)
20mmolの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、44mLジメチルスルホキシドおよび100mmolの35wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を均一に混合し、45℃に加熱し、その後1.0wt.%のシュウ酸を加え、反応系のpHを6.0に調節し、10min反応させ、反応が完了した後室温まで自然冷却し、反応生成物を濾過して沈殿物を得、脱イオン水で沈殿物を洗浄して100℃で乾燥し、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、試験により、生成物の選択性が99.2%であり、純度が99.5%である。
【0075】
(実施例6)
40mmolの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、80mLイソプロパノールおよび240mmolの20wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を均一に混合し、60℃に加熱し、その後2.0wt.%のクエン酸を加え、反応系のpHを7.0に調節し、15min反応させ、反応が完了した後室温まで自然冷却し、反応生成物を濾過して沈殿物を得、脱イオン水で沈殿物を洗浄して100℃で乾燥し、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、試験により、生成物の選択性が99.1%であり、純度が99.6%である。
【0076】
(実施例7)
80mmolの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドおよび80mLの水を均一に混合し、30℃に加熱し、その後1.5wt.%の亜硫酸を加え、反応系のpHを1.0に調節し、4回で50wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を加え、毎回160mmolの50wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を加え、20min反応させ、反応が完了した後室温まで自然冷却し、反応生成物を濾過して沈殿物を得、脱イオン水で沈殿物を洗浄して100℃で乾燥し、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、試験により、生成物の選択性が99.2%であり、純度が99.3%である。
【0077】
(実施例8)
160mmolの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドおよび100mLの水を均一に混合し、15℃に加熱し、その後0.3wt.%のプロピオン酸を加え、反応系のpH値を2.0調節、8回で50wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を加え、毎回50mmolの50wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を加え、40min反応させ、反応が完了した後室温まで自然冷却し、反応生成物を濾過して沈殿物を得、脱イオン水で沈殿物を洗浄して100℃で乾燥し、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、試験により、生成物の選択性が99.0%であり、純度が99.2%である。
【0078】
以上、実施例1~8で調製された生成物2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムのマススペクトログラムは図1に示され、高速液体クロマトグラムは図2に示される。
【0079】
(比較例1)
1mmolの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、2mLの水と4.0mmolの50wt.%のヒドロキシルアミン水溶液を均一に混合し、30℃に加熱し、反応系のpHを8.0に調節し、保温して5min反応させ、反応が完了した後室温まで自然冷却し、反応生成物を濾過して沈殿物を得、脱イオン水で沈殿物を洗浄して100℃で乾燥し、白い粉末固体であって、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、試験により、生成物の選択性が20%であり、純度が15%である。
【0080】
(比較例2)
2mmolの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、3mLエタノールおよび6mmolの塩酸ヒドロキシルアミンを均一に混合し、その後20wt.%の酢酸ナトリウムを加え、反応系のpHを4.0に調節し、室温(25℃)で10min反応させ、反応が完了した後室温まで自然冷却し、反応生成物を濾過して沈殿物を得、脱イオン水で沈殿物を洗浄して100℃で乾燥し、白い粉末固体であって、目的の生成物である2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得、試験により、生成物の選択性が96%であり、純度が85%である。
【0081】
上記の技術手段によれば、本出願で提供される自己触媒による2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドジオキシムの調製方法は、温和な温度条件下で(90℃以下)、短時間(60分)に高選択性と高収率の2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドジオキシムを得、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドの変換率が100%に達し、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの選択性と収率が99%以上に達する。
【0082】
本出願の各側面、実施例、特徴および例はすべて例示的であり本出願を制限することを意図することなく、本出願の範囲は特許請求の範囲によって規定される。本出願の精神および範囲から逸脱しない限り、当業者には他の実施例、修正および用途が明らかである。
【0083】
本出願の見出しおよびセクションは本出願を制限するものではなく、各セクションは本出願の任意の側面、実施例または特徴に適用され得る。
【0084】
本出願の全文では、組成物が特定の成分を有する/含有する/含むまたはプロセスが特定のステップを有する/含有する/含む場合、本出願によって教示される組成物も基本的に前記成分からなりまたは前記成分のみで構成され、かつ本出願で教示されるプロセスも基本的に前記ステップからなりまたは前記ステップのみで構成されると考えられる。
【0085】
特に断らない限り、「含む(include、includes、including)」、「有する(have、hasまたはhaving)」の用語は開放的であり、制限するものではないと理解されたい。
【0086】
なお、本出願の教示が動作可能である限り、各ステップの順序または特定動作の実行順序は必須ではないことが理解されたい。また、2つ以上のステップまたは動作を同時に実行することも可能である。
【0087】
また、本発明者は上記実施例1~8の形態を参照して、本明細書に記載の他の原料、プロセス操作、プロセス条件を用いて試験を行い、同様に高選択性で2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを得る。
【0088】
例示的な実施例を参照して本出願を説明したが、当業者であれば、本出願の精神および範囲から逸脱することなく様々な他の変更、省略および/または追加を行うことができ、前記実施例のデバイスを等価物で置換することも可能である。また、本出願の範囲から逸脱することなく、様々な修正を加えて特定状況材料を本出願の教示に適応させることもできる。したがって、本明細書では、本出願がかかる特定実施例に限定されず、本出願は添付の特許請求の範囲のすべての実施例を含むことを意図している。さらに、特に明記しない限り、第1、第2などの用語は順序や重要性を示すものではなく、第1、第2などの用語はある要素と別の要素を区別するために使用される。
【0089】
[付記]
[付記1]
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を酸で反応させ触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成させ、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させ、2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成するステップを含む、ことを特徴とする自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【0090】
[付記2]
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、オキシム剤を含む液相反応系を提供するステップと、
前記液相反応系に酸を加えて2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を反応させ、触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成し、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させるステップと、を含む、ことを特徴とする付記1に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【0091】
[付記3]
前記液相反応系は、2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、オキシム剤および極性溶媒を含み、好ましくは、前記オキシム剤と2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドのモル比が2~10:1である、ことを特徴とする付記2に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【0092】
[付記4]
前記液相反応系内に酸を加えた後、前記液相反応系のpH値が1.0~7.0であり、好ましくは3.0~4.0であり、
および/または、前記液相反応系内に酸を加えた後、形成された混合反応物では、酸の質量%が0.01~2.0wt%であり、好ましくは0.05~2.0wt%であり、より好ましくは0.05~0.5wt%であり、特に好ましくは0.1~0.5wt%である、ことを特徴とする付記2に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【0093】
[付記5]
2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドおよび酸を含む混合液を提供するステップと、
前記混合液内にオキシム剤を複数回添加し、酸をトリガとして2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を反応させ、触媒としての2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムを生成し、前記触媒の作用下で残りの2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドとオキシム剤を継続して反応させるステップと、を含むことを特徴とする付記1に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【0094】
[付記6]
前記混合液は2,5-フランフランジカルボキシアルデヒド、酸および極性溶媒を含み、および/または、前記方法は、オキシム剤をオキシム剤水溶液として調製し、前記オキシム剤水溶液を前記混合液に複数回添加するステップを含む、ことを特徴とする付記5に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【0095】
[付記7]
前記酸は無機酸および/または有機酸を含み、好ましくは、前記無機酸は塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、亜硫酸のいずれか1つまたは2つ以上の組合せであり、特に好ましくは塩酸および/または硫酸であり、好ましくは、前記有機酸はギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、シュウ酸、メチルスルホン酸およびメタンスルホン酸のいずれか1つまたは2つ以上の組合せであり、特に好ましくは酢酸および/またはシュウ酸である、ことを特徴とする付記1に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【0096】
[付記8]
前記オキシム剤がヒドロキシルアミンであり、前記オキシム剤水溶液がヒドロキシルアミン水溶液であり、好ましくは、前記ヒドロキシルアミン水溶液の濃度が15~85wt%である、ことを特徴とする付記6に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【0097】
[付記9]
前記極性溶媒は、水、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノールのいずれか1つまたは2つ以上の組合せであり、好ましくは水であり、および/または、前記極性溶媒と2,5-フランフランジカルボキシアルデヒドの質量比が5~35:1であり、好ましくは10~20:1である、ことを特徴とする付記3または6に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
【0098】
[付記10]
前記反応の温度が0℃~90℃であり、好ましくは15℃~30℃であり、前記反応の時間が1~60minであり、好ましくは5~30minであり、前記反応の圧力が大気圧であり、
および/または、前記方法は、少なくとも4~8回で前記オキシム剤水溶液を前記混合液に添加することを含む、ことを特徴とする付記6に記載の自己触媒による2,5-フランジカルボキシアルデヒドオキシムの調製方法。
図1
図2
【国際調査報告】