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特表2023-522927睫毛および/または眉毛に製品を塗布するためのアプリケータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】睫毛および/または眉毛に製品を塗布するためのアプリケータ
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
A45D34/04 510B
A45D34/04 515Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563462
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2022-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2021062356
(87)【国際公開番号】W WO2021233723
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】2004941
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】アラン・ベロー
(57)【要約】
製品(F)を睫毛および/または眉毛に塗布するためのアプリケータであって、アプリケータ部材(8)を有しており、アプリケータ部材(8)は、長手方向軸(Y)に沿って延在するコア(10)と、コア(10)によって担持されているスパイク(18)とを有しており、スパイク(18)は、コア(10)の長手方向軸(Y)に沿って見た場合の正面図において、略径方向に配向されている辺(22)を有し、スパイク(18)の高さ(h)の少なくとも50%にわたって略三角形形状を有しており、かつスパイク(18)は、0.4~0.6の関係e/Lを満たす、辺(22)に対して垂直に取られた横断面をスパイクの底面に有しており、ここで、eは、コア(10)の長手方向軸(Y)の方向に測定された部分の厚さを表し、Lは、コア(10)の長手方向軸(Y)に対して垂直な方向に測定された部分の幅を表す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品(F)を睫毛および/または眉毛に塗布するためのアプリケータであって、アプリケータ部材(8)を有しており、
前記アプリケータ部材(8)は、
- 長手方向軸(Y)に沿って延在するコア(10)と、
- 前記コア(10)によって担持されているスパイク(18)であって、前記スパイク(18)は、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に沿って見た場合の正面図において、略径方向に配向されている辺(22)を有し、前記スパイク(18)の高さ(h)の少なくとも50%にわたって略三角形形状を有しており、かつ前記スパイク(18)は、0.4~0.6の関係e/Lを満たす、前記辺(22)に対して垂直に取られた横断面を前記スパイクの底面に有しており、ここで、eは、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)の方向に測定された部分の厚さを表し、Lは、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に対して垂直な方向に測定された部分の幅を表す、スパイク(18)と、
を有する、アプリケータ。
【請求項2】
比率e/Lは0.45~0.55であり、詳細には0.5に等しい、請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項3】
厚さeは0.2mm~0.3mmである、請求項1または2に記載のアプリケータ。
【請求項4】
幅Lは0.5mm~0.75mmである、請求項1から3のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記スパイク(18)は、前記スパイク(18)の底面において、前記スパイク(18)の外周の少なくとも一部の周囲に凸形状、詳細には平らな辺および凸形状の対辺を有する平ら-凸形状、の横断面を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記スパイク(18)は、前記スパイク(18)の底面において、弓形形状の横断面を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項7】
前記横断面は、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に平行な真っ直ぐな底辺を有する、請求項6に記載のアプリケータ。
【請求項8】
前記スパイク(18)の高さ(h)は2.5mm~4.5mmである、請求項1から7のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項9】
前記略三角形形状は、前記スパイク(18)の前記高さ(h)の少なくとも75%、より良好には80%、さらにより良好には90%に相当する、請求項1から8のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項10】
前記スパイク(18)は、略径方向に延在する、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に対して平行な略平坦な面(23)を有し、前記面(23)は、前記スパイクの、正面図において径方向に延在する前記辺(22)を画定している、請求項1から9のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項11】
前記スパイク(18)の前記底面は、前記スパイク(18)の先端部から見ると、5°~10°の角度である、請求項1から10のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項12】
前記略三角形形状は、より急な勾配を有する部分(27)によって前記コア(10)に取り付けられている、好ましくは直線の、傾斜辺(26)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項13】
前記スパイク(18)は、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に沿って見た場合の正面図において、前記スパイク(18)の高さ(h)の少なくとも50%にわたる三角形形状を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項14】
同一列(14)内にある前記スパイク(18)は、正面図において、少なくとも部分的に重ねられている、請求項1から13のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項15】
前記スパイク(18)が列状に配列されている状態で、一列(14)内の前記スパイク(18)は隣接した列内のものに対して交互に配設されている、請求項1から14のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項16】
同一列(14)内の2つの連続したスパイク(18)間の前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に沿った距離(s)は0.5mm~0.7mmである、請求項1から15のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項17】
前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)は直線である、請求項1から16のいずれか一項に記載のアプリケータ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のアプリケータ(2)と、塗布される製品(F)を含有する容器(3)とを有する、パッケージングおよび塗布デバイス。
【請求項19】
請求項18に記載の前記塗布デバイス(1)の前記アプリケータ(2)による、製品(F)の睫毛および/または眉毛への塗布を含む、前記睫毛および/または前記眉毛をメイクアップしかつ/またはケアする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧製品、メイクアップ製品、またはケア製品を睫毛および/または眉毛に塗布するためのアプリケータ、詳細にはマスカラ、ならびにそのようなアプリケータを有するパッケージングおよび塗布デバイスに関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、詳細には射出成形によって、プラスチック材料で作成されているアプリケータに関する。
【背景技術】
【0003】
睫毛または眉毛をメイクアップするために使用されるアプリケータは、通常、柄部の端部に取り付けられているアプリケータ部材を有し、該柄部はその他方の端部で把持部材に接続されている。
【0004】
アプリケータ部材は、従来、柄部が容器から引き出される時に柄部を払拭しかつ全体的に、その直径が柄部の直径に実質的に相当する、円形部分のオリフィスを画定するリップ部を有する払拭部材を設けられている容器内へ浸されることによって、製品を装填される。
【0005】
ワイパを通過する時のアプリケータ部材の挙動は、該ワイパのリップ部の形状および性質、アプリケータ部材の幾何学的形状、ならびに該アプリケータ部材が作成される材料の選択などの、多数の要因によって決まる。
【0006】
アプリケータ部材の過剰な払拭が、アプリケータ部材を容器から引き出すことを困難にし、アプリケータ部材の装填を不十分にする可能性があり、ユーザにアプリケータを容器内へ頻繁に戻し浸すことを余儀なくさせる。
【0007】
一方、不十分な払拭がアプリケータ部材上に過剰な製品を残し、該アプリケータ部材は扱い難く、睫毛上に製品の塊が存在することになり、したがって睫毛の分離が不十分になる。
【0008】
さらに、アプリケータ部材は、スパイクで構成されている塗布要素を担持し、それらの配置は、アプリケータが容器から引き出される時にアプリケータの挙動に影響を及ぼす。
【0009】
極めて柔軟なスパイクが、ワイパの通過時に容易に変形し、引出しをより容易にするが、該スパイクの可撓性は、塗布中にそれらが睫毛を適切にとかすことおよび製品を睫毛の表面上に伸ばすことがより困難であることを意味する。さらに、ワイパはアプリケータ部材上により少ない製品を残す傾向がある。
【0010】
一方、剛性スパイクが、アプリケータ部材が通過する時にあまり変形しない傾向があり、製品でのアプリケータ部材のより多い装填、および睫毛をとかし分離するより優れた能力をもたらす。
【0011】
したがって、アプリケータの設計は、化粧品塗布用のアプリケータ部材上に残される製品量、アプリケータ部材を引き出す時の所望の挙動、および睫毛を分離する能力に関して、時には矛盾する様々な要求間でなされる妥協に起因することが多い。
【0012】
出願FR3006565が、立面正面図において、各々が、一辺には径方向に配向された真っ直ぐな縁部および対辺には凸状の丸い縁部を有し、それにより比較的広い底辺をもたらす、サメ鰭の全体的形状を有する列状のスパイクを有するプラスチック材料で作成されているブラシを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3006565号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
十分な、またはさらには改善された塗布およびメイクアップの観点から、性能を維持しながら、特にアプリケータ部材の容器からの容易な引出しを可能にするために、製品、詳細にはマスカラ、を睫毛および/または眉毛に塗布するためのアプリケータをさらに改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、この目的を達成することを目的とし、その態様のうちの1つによる本発明の対象は、製品を睫毛および/または眉毛に塗布するためのアプリケータであって、
- 長手方向軸に沿って延在するコアと、
- 該コアによって担持されているスパイクであり、コアの該長手方向軸に沿って見た場合の正面図において、略径方向に配向されている辺を有し、それらの高さの少なくとも50%にわたって略三角形形状を有し、0.4~0.6の関係e/Lを満たす、この辺に対して垂直に取られた横断面をスパイクの底面に有し、ここで、eは、コアの長手方向軸の方向に測定された部分の厚さを表し、Lは、コアの長手方向軸に対して垂直な方向に測定された部分の幅を表す、スパイクと
を有するアプリケータ部材を有する、アプリケータである。
【0016】
スパイクの特定の形状およびコアの長手方向軸に対するその配向は、それらに、コアの長手方向軸の方向にかけられる力に対する高い可撓性を与え、その結果として、払拭部材を通過することをより容易にし、それにより、ユーザに引出し時の増大した優しい感覚を与える。
【0017】
それでもなお、それらの幅の理由で、スパイクは横方向にある程度の剛性を保持し、睫毛をとかし分離する申し分のない特性をもたらす。
【0018】
「コアの長手方向軸」という表現は、コアの横断面の重心のすべてをつなぐ線を表す。この長手方向軸は、中心軸、またはさらには、特にコアが円形横断面もしくは正多角形の全体的形状の横断面を有する場合、コアの対称軸であってもよい。
【0019】
コアの長手方向軸は直線であってもよいか、またはコアの遠位端と近位端との間に1つまたは複数の曲線を有していてもよい。コアの長手方向軸は直線であり、かつアプリケータ部材を支持する柄部の長手方向軸と一致していることが好ましい。
【0020】
「実質的に三角形の」という表現は、常時10%未満、より良好には5%未満、さらにより良好には3%未満である相対的差異によって最も類似した仮想三角形のものと異なる辺を有する、形状が三角形または略三角形であることを意味すると理解されるべきであり、この相対的差異は比率f/dによって定義され、fは、近似三角形の辺と類似した仮想三角形の辺との間の距離を表し、dは、類似した仮想三角形の対応する辺の長さを表す。径方向に延在する略三角形形状を有する部分の辺は直線であり、一方、斜めに延在する対辺は直線であるかまたは実質的に直線であり得ることが好ましい。好適な実施形態では、スパイクは、コアの長手方向軸に沿って見た場合の正面図において、それらの高さの少なくとも50%にわたって、より良好にはそれらの高さの少なくとも75%にわたって三角形形状を有する。
【0021】
比率e/Lは0.45~0.55であり、詳細には0.5に等しいことが好ましい。
【0022】
厚さeは、スパイクの底面において0.15mm~0.35mm、より良好には0.2mm~0.3mmであることが有利である。そのような厚さは、スパイクの機械的完全性と、たとえば熱可塑性エラストマーなどの、アプリケータ部材を製造するために一般に使用されるプラスチック材料が理由で、アプリケータ部材がワイパを通過する時の可撓性との間の良好な妥協を達成することを可能にする。
【0023】
幅Lはスパイクの底面において0.5mm~0.75mmであることが好ましい。そのような幅は、睫毛および/または眉毛の良好な分離に適した剛性を達成することを可能にする。
【0024】
スパイクは、それらの底面に、それらの外周の少なくとも一部を巡って凸形状の、詳細には平らな辺と凸形状の対辺とを有する平ら-凸形状の、横断面を有することが好ましい。該平らな辺はコアの長手方向軸に平行に配向されていることが好ましく、一方、凸状辺がコアの長手方向軸に対して垂直な方向に延在することが好ましい。
【0025】
好適な実施形態によれば、スパイクは、それらの底面に、弓形形状の横断面を有する。詳細には、該横断面は、コアの長手方向軸に平行な真っ直ぐな底辺を有し得る。そのような形状は、コアの長手方向軸の方向のスパイクの可撓性と横方向の剛性との間の良好な妥協の達成を助ける。
【0026】
スパイクの高さは2~6mm、より良好には2.5mm~4.5mmであることが好ましい。そのような高さの選択は、コアの長手軸方向のスパイクの変形性を促進する一方、横方向の良好な剛性を維持する。
【0027】
前記略三角形形状は、スパイクの全高の少なくとも75%、より良好には少なくとも80%、さらにより良好には少なくとも90%にわたって延在することが好ましい。
【0028】
スパイクは、コアの長手方向軸に平行な略平坦な面を有することが好ましく、該略平坦な面は略径方向に延在する。この平坦な面は、前述のように、正面図において径方向に延在する、スパイクの面と、上述の平ら-凸状横断面の平らな辺とを画定する。
【0029】
スパイクの底面は、その先端部から見て、5°~10°の角度で傾斜していることが好ましい。したがって、スパイクは相対的テーパ形状を有する。
【0030】
前記略三角形形状は、より急な勾配を有する部分によってコアに取り付けられている、好ましくは直線の、傾斜した辺を有していてもよく、接合点において勾配の中断をもたらす。そのような勾配の中断は、それらの底部で隣接列のスパイク間に周方向のより大きい空間をもたらすことを可能にし、それにより離型が容易になり、コアと接触している製品の予備を生じることが可能になる可能性がある。コアは、アプリケータ部材の遠位端に向かって収束する、わずかに円錐形の形状を有し得る。アプリケータ部材の遠位端に最も近接したスパイクは、この端部からさらに離れたスパイクよりも高い高さにわたって、そのような勾配の中断を有し得る。一定の距離から、スパイクはもはやそのような勾配の中断を有さない可能性があり、三角形形状の一部の直線傾斜辺はコアの範囲まで続く。
【0031】
アプリケータ部材は15mm~30mm、より良好には25mm~30mmの長さを有し得る。
【0032】
スパイクは列状に配置されていることが好ましく、同一列内のスパイクは、アプリケータ部材がコアの長手方向軸に沿って見られた場合、正面図において、少なくとも部分的に重ね合わせられている可能性がある。同一列内のスパイクは、詳細には、径方向直線辺すべてを同一径方向の平面内に含ませている可能性がある。
【0033】
一列内のスパイクは、隣接列内のものに対して軸方向にずらされていることが有利である。一列内のスパイクは、したがって、隣接列内のものに対して交互に配設され得る。これはスパイク間の睫毛の通過およびその表面にわたる製品の伸ばしを最適化する。
【0034】
同一列内の2つの連続スパイク間のコアの長手方向軸に沿った距離は0.5mm~0.7mmであることが好ましい。この距離はスパイクの先端部間で測定される。
【0035】
アプリケータ部材は、4~6mm、より良好には4.5mm~5.1mmで変わる直径を有する円内に内接する、スパイクの自由端によって画定されているエンベロープ表面を有することが好ましい。
【0036】
エンベロープ表面は、実質的に、その長さの半分超に沿った回転円筒の形の横断面を有し得る。
【0037】
コアの長手方向軸は直線であることが好ましい。
【0038】
一列内のスパイクの数は10本以上、より良好には15~25本であり得る。
【0039】
列の数は6~20、より良好には12~20、さらにより良好には14~20であってもよく、該列はアプリケータ部材の長手方向軸の全周に均一に分配されていることが好ましい。
【0040】
アプリケータ部材は1つまたは複数のプラスチック材料から作成され得る。スパイクを製造するために、35~60Shore Dのショア硬さを有するプラスチック材料が使用されることが好ましい。
【0041】
その態様の別のものによる、本発明のさらなる発明の対象が、本発明によるアプリケータと、塗布される製品を含有する容器とを有するパッケージングおよび塗布デバイスである。
【0042】
その態様の別のものによる、本発明のさらなる発明の対象が、本発明によるデバイスのアプリケータによる、製品の睫毛および/または眉毛への塗布を含む、睫毛および/または眉毛をメイクアップしかつ/またはケアする方法である。
【0043】
本発明は、その非制限的実施例の次の詳細な説明を読むことによって、かつ添付図面を検討することによって、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明によるパッケージングおよび塗布デバイスの概略部分縦断面図である。
図2】単独で、本発明によるアプリケータ部材の例の斜視図である。
図3】より詳細な、図2のアプリケータ部材の図である。
図4】半径に対して垂直な平面においてスパイクを貫通する、横断面図である。
図5図2のIVに沿った正面図である。
図6】同一の並びであり、かつ様々な列内で同一軸位置を占めるスパイクのみを示す、図5に類似した図である。
図7図2のVIに沿った側面図である。
図8図2のアプリケータ部材のエンベロープ表面の図である。
図9】コアの遠位端に近接する、図2のアプリケータ部材のスパイクの概略正面図である。
図10図9のX-Xにおける横断面図である。
図11図9のXIに沿った、左側からの側面図である。
図12】コアの遠位端からさらに離れたスパイクの、図9に類似した図である。
図13】略三角形形状のスパイク変形形態を示す、図9に類似した図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、アプリケータ2と、睫毛および/または眉毛に塗布される製品F、たとえばマスカラまたはケア製品、を含有する関連容器3とを有する、本発明に従って製造されるパッケージングおよび塗布デバイス1を示す。
【0046】
本例では、容器3はねじ付きネック4を有し、アプリケータ2は、容器3用の閉鎖キャップも形成している把持部材5を有する。前記キャップは、不使用時に封止状態で容器3を閉鎖するために、ネック4に固定されるように設計されている。
【0047】
アプリケータ2は長手方向軸Yの柄部7を有し、該柄部7は、その上端部において閉鎖キャップ5に、その下端部において、本発明によるアプリケータ部材8に取り付けられている。アプリケータ部材8は、コア10からかつ本例では該コアの全周に延在しているスパイク18を担持するコア10を有する。
【0048】
また、容器3は、たとえばネック4内にスナップ留めされているかまたは任意の他の手段によって該ネック内に固定されている払拭部材6を有する。
【0049】
本例では、この払拭部材6は、アプリケータ2が容器3から引き出される時に柄部7およびアプリケータ部材8を払拭するように設計されているリップ部を有する。該リップ部は、柄部7の直径に適合された直径を有する払拭オリフィス6aを画定している。
【0050】
払拭部材6は、従来の方法では、エラストマーで作成され得る。
【0051】
払拭オリフィス6aは、場合によってはスリットを持つ、円形形状を有し得る。払拭オリフィス6aの直径は、柄部7の直径に応じて、たとえば2.5mm~6mmである。払拭部材6のリップ部は、随意に、起伏を有し、アプリケータ部材8が通過する時、払拭オリフィス6aがより容易に拡幅できるようになっていてよい。
【0052】
また、適切な場合、払拭部材6は調節可能であり得る。
【0053】
図示の例では、柄部7は円形横断面を有するが、柄部7が異なる断面を有した場合、それは本発明の範囲から逸脱するものではなく、螺入以外の何らかの他の方法で、キャップ5を容器3に固定することが可能である。
【0054】
好ましくは、かつ本例の場合のように、柄部7の長手方向軸Yは直線であり、アプリケータ2が適所にある時に容器3の長手方向軸と一致しているが、柄部7が直線でなく、たとえば屈曲部を形成している場合、それは本発明の範囲から逸脱するものではない。
【0055】
必要に応じて、柄部7は、保管中に払拭部材に過度に機械的に応力を加えないようにするために、払拭部材6のリップ部に対向して配置されているその部分に環状狭窄部を有し得る。
【0056】
アプリケータ部材8は、好ましくは柄部7の端部に設けられている、対応するハウジング内に、いずれかの手段で、詳細には圧力嵌め、スナップ留め、接着、溶接、ステープルでの固定、または圧着によって、柄部7に固定される。図2に示されているように、アプリケータ部材8は、その近位端に、それをこのハウジング内に固定するための末端部9を有し得る。
【0057】
アプリケータ部材8は、好ましくは射出成形によって、熱可塑性材料で作成されるが、本発明は、アプリケータ部材を製造する特定の方法に限定されない。
【0058】
スパイク18は、同一材料からまたは異なる材料から、コア10とともに成形され得る。
【0059】
図2に示されているように、コア10は、長手方向軸Yに沿った細長い形状を有する。該長手方向軸は本例では直線であるが、変形形態として、何らかの他の形状を有していてもよく、詳細には湾曲していてもよい。長手方向軸Yは、コアに関して、より良好には全体としてのアプリケータ部材に関して、対称軸であることが好ましい。
【0060】
コア10は、その長手方向軸に沿って変化するかまたは変化しない横断面を有し得る。図2の例では、スパイクを担持する、コア10の部分が、アプリケータ部材8の遠位端に向かって減少する直径を有する円錐の全形を有する。
【0061】
長さHは、たとえば15mm~30mmである。
【0062】
説明されている例では、図5により明瞭に示すように、スパイク18は16の列14で構築されており、各列14は、たとえば15~30本のスパイクを有する。列14の数は様々であってよく、好ましくは15~20である。
【0063】
その底辺から測定されるスパイク18の高さhは、たとえば2.5mm~4.5mmである。
【0064】
同一列14内の2つの連続するスパイク18の先端部間の、長手方向軸Yに沿った距離sは、たとえば0.5mm~0.7mmである。
【0065】
スパイク18の自由端19は、コア10の長手方向軸Yと一致する直線長手方向軸を有するエンベロープ表面Eを画定する。図7に示されているように、エンベロープ表面Eは、細長い形状を有し、円形横断面を有し、前記軸Yを中心とした回転対称を示し得る。
【0066】
図示の例では、エンベロープ表面Eは、前方円錐台形部分Efと、後方円錐台形部分Ebと、2つの間の主部分Eiとを有し、該主部分の区分は実質的に一定である。
【0067】
エンベロープ表面Eが何らかの他の形状、たとえば卵形形状、を有する場合、これは本発明の範囲からの逸脱に相当しない。
【0068】
同一列14内のスパイク18は、コアの長手方向軸Yに平行なスパイクの整列の軸に沿った一辺上にそれらの底面で揃えられており、特に該図3において示すように、一列14内のスパイク18が隣接列内のものに対して交互に配設されると見られ、一列内のスパイクは、隣接列内のスパイク間に、Y軸に沿って実質的に半分に置かれている。
【0069】
本例では、スパイク18は列に沿って変化し得る高さを有するが、図4に示されているように、それらは横断面において同じ平ら-凸状の全体的形状を維持する。
【0070】
長手方向軸Yに沿って正面図において見た場合、特に図5図6図9図12および図13に示すように、スパイク18は、事実上それらの全高にわたって、三角形形状を有する。
【0071】
各スパイク18は、正面図において、径方向に延在する直線辺22を画定する平坦な面23と、正面図において、対辺26を画定する凸状対向面とを有する。
【0072】
辺22は、図9図11図12および図13に示されているように、コアに対して垂直に取り付けられていることが好ましい。
【0073】
辺26は、辺22とともに鋭角bを作る直線部分28を有し、該辺22はスパイクの先端部19で該直線部分に取り付けられて、丸い部分24を形成する。角度bは5°~10°であることが好ましい。
【0074】
コアの遠位端に最も近接して置かれているスパイク18に関して、直線辺が底部29で、より急な勾配を有する区分27につながれており、図9に示されているように、当該より急な勾配を有する部分はコアに至りかつそれに対して実質的に垂直に配向されている。区分27の存在は、それが円錐形状と仮定すると、コアの直径が最短である領域内で、それらの底部においてスパイク間の間隙を増大させることを可能にする。
【0075】
コアの遠位端からさらに離れたスパイク18に関して、図12に示されているように、直線部分28はコアに直接取り付けられている。
【0076】
本例では、同一列14内のスパイク18すべてが、コア10の長手方向軸Yおよびスパイクの平坦な面23を含む同一径方向平面R上で揃えられている。
【0077】
直線部分28は、直線辺22とともに、本例ではスパイク18の全高の少なくとも90%に等しい高さh1にわたって延在している、三角形形状を有する部分28cを画定している。
【0078】
図10に示されているように、スパイク18は、径方向平面Rに対して垂直にその底面において取られた横断面において、コア10の長手方向軸Yに平行な短軸Sと該短軸に対して垂直な長軸Gとを有する、真っ直ぐな底面を備えた弓形形状を有する。
【0079】
スパイクの厚さeはコアの長手方向軸Yの方向に測定され、幅Lは垂直方向に測定される。本発明によれば、比率e/Lは0.4~0.6であり、たとえば0.5に等しい。
【0080】
面23は、スパイクの自由端に向かってスパイクに沿ってごくわずかに減少する幅wを有し、たとえば0.3mmに等しい先端部から距離cの所で、底面で測定された幅の少なくとも65%である。
【0081】
図10および図11において、スパイクは、面23に対して垂直な正中面Mに関して対称の形状を有すると見られる。
【0082】
図13は略三角形形状を有するスパイク変形形態の図12に類似した図である。
【0083】
辺26はやや凸形状を有し、破線により示されている基準仮想三角形の直線辺25と距離fだけ異なる。比率f/dによって定義される相対的差異は10%未満に留まり、ここで、dは、直線辺25の長さを表す。
【0084】
デバイス1を使用するために、ユーザは容器3からアプリケータ2を引き出す。この動作中、スパイク18は、部分の形状および配向の理由で容易に曲げられ、払拭部材は、ユーザに極めて優しく、容易に通過させられることが可能である。
【0085】
塗布中、スパイクは横方向に十分な機械的完全性を有して、効果的に睫毛を分離する。
【0086】
本発明は上述の例示的実施形態に限定されない。
【0087】
アプリケータ部材は、たとえば、列中のスパイクの異なる配設で製造され得る。
【符号の説明】
【0088】
1 塗布デバイス
2 アプリケータ
3 関連容器
4 ねじ付きネック
5 把持部材、閉塞キャップ
6 払拭部材
6a 払拭オリフィス
7 柄部
8 アプリケータ部材
9 (アプリケータ部材の)先端部
10 コア
14 (長手軸方向の)列
18 スパイク
19 (スパイクの)末端部、自由端
22 (スパイクの)直線辺
23 (スパイクの)平坦な面
24 (スパイクの)丸い部分
25 (スパイクの)直線辺
26 (スパイクの)対辺、傾斜辺
27 (スパイクの)より急な勾配を有する区分
28 (対辺の)直線部分
28c (スパイクの)部分
29 (スパイクの)底面
b 鋭角、角度
c、f、s 距離
d (直線辺25の)長さ
e (スパイクの)厚さ
E (アプリケータ部材の)エンベロープ表面
Eb (アプリケータ部材の)後方円錐台形部分
Ef (アプリケータ部材の)前方円錐台形部分
Ei (アプリケータ部材の)主部分
e/L、f/d 比率
F 製品
G (スパイクの)長軸
h、h1 (スパイクの)高さ
H (アプリケータ部材の)長さ
L、w (スパイクの)幅
M (スパイクの)正中面
R (スパイクの)径方向平面
S (スパイクの)短軸
Y (コアの)長手方向軸
(柄部の)長手方向軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品(F)を睫毛および/または眉毛に塗布するためのアプリケータであって、アプリケータ部材(8)を有しており、
前記アプリケータ部材(8)は、
- 長手方向軸(Y)に沿って延在するコア(10)と、
- 前記コア(10)によって担持されているスパイク(18)であって、前記スパイク(18)は、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に沿って見た場合の正面図において、略径方向に配向されている辺(22)を有し、前記スパイク(18)の高さ(h)の少なくとも50%にわたって略三角形形状を有しており、かつ前記スパイク(18)は、0.4~0.6の関係e/Lを満たす、前記辺(22)に対して垂直に取られた横断面を前記スパイクの底面に有しており、ここで、eは、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)の方向に測定された部分の厚さを表し、Lは、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に対して垂直な方向に測定された部分の幅を表す、スパイク(18)と、
を有する、アプリケータ。
【請求項2】
比率e/Lは0.45~0.55である、請求項1に記載のアプリケータ。
【請求項3】
厚さeは0.2mm~0.3mmである、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項4】
幅Lは0.5mm~0.75mmである、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項5】
前記スパイク(18)は、前記スパイク(18)の底面において、前記スパイク(18)の外周の少なくとも一部の周囲に、平らな辺および凸形状の対辺を有する凸形状の横断面を有する、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項6】
前記スパイク(18)は、前記スパイク(18)の底面において、弓形形状の横断面を有する、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項7】
前記横断面は、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に平行な真っ直ぐな底辺を有する、請求項6に記載のアプリケータ。
【請求項8】
前記スパイク(18)の高さ(h)は2.5mm~4.5mmである、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項9】
前記略三角形形状は、前記スパイク(18)の前記高さ(h)の少なくとも75%に相当する、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項10】
前記スパイク(18)は、略径方向に延在する、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に対して平行な略平坦な面(23)を有し、前記面(23)は、前記スパイクの、正面図において径方向に延在する前記辺(22)を画定している、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項11】
前記スパイク(18)の前記底面は、前記スパイク(18)の先端部から見ると、5°~10°の角度である、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項12】
前記略三角形形状は、より急な勾配を有する部分(27)によって前記コア(10)に取り付けられている傾斜辺(26)を有する、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項13】
前記スパイク(18)は、前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に沿って見た場合の正面図において、前記スパイク(18)の高さ(h)の少なくとも50%にわたる三角形形状を有する、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項14】
同一列(14)内にある前記スパイク(18)は、正面図において、少なくとも部分的に重ねられている、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項15】
前記スパイク(18)が列状に配列されている状態で、一列(14)内の前記スパイク(18)は隣接した列内のものに対して交互に配設されている、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項16】
同一列(14)内の2つの連続したスパイク(18)間の前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)に沿った距離(s)は0.5mm~0.7mmである、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項17】
前記コア(10)の前記長手方向軸(Y)は直線である、請求項に記載のアプリケータ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のアプリケータ(2)と、塗布される製品(F)を含有する容器(3)とを有する、パッケージングおよび塗布デバイス。
【請求項19】
請求項18に記載の前記塗布デバイス(1)の前記アプリケータ(2)による、製品(F)の睫毛および/または眉毛への塗布を含む、前記睫毛および/または前記眉毛をメイクアップしかつ/またはケアする方法。
【国際調査報告】