(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】選択的エストロゲン受容体分解薬の調製
(51)【国際特許分類】
C07D 209/16 20060101AFI20230525BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20230525BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230525BHJP
【FI】
C07D209/16
C07D471/04 103A
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564005
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 US2021028344
(87)【国際公開番号】W WO2021216671
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518346476
【氏名又は名称】リキュリウム アイピー ホールディングス リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ピーター キンファ
(72)【発明者】
【氏名】ヘグデ,サイー ガジャナン
(72)【発明者】
【氏名】バンカー,ケビン デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ナイト,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ピンチマン,ジョセフ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ウンニ,アディティア クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】シト,ラケシュ クマール
(72)【発明者】
【氏名】ジュー,シュグアン
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンス,チャド ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】スコット,イアン
【テーマコード(参考)】
4C065
4H039
【Fターム(参考)】
4C065AA05
4C065BB04
4C065CC09
4C065DD02
4C065EE02
4C065HH01
4C065JJ01
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4C065PP03
4C065QQ01
4C065QQ05
4C065QQ10
4H039CB30
(57)【要約】
本明細書には、選択的エストロゲン受容体分解薬、及び選択的エストロゲン受容体分解薬の調製に使用される化合物を得るための方法が記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(B):
【化1】
の化合物を得るプロセスであって、
式(A)の化合物、塩基、及び[1.1.1]プロペランを合わせて、式(B)の化合物を得る工程を含み、前記式(A)の化合物は、構造
【化2】
を有し、各PG
1は保護基である、プロセス。
【請求項2】
反応は、室温で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
反応は、約25~約35℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
PG
1は、非置換又は置換ベンジル、シリル系保護基、及び非置換アリルからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
PG
1は、非置換又は置換ベンジルである、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
PG
1は、非置換ベンジルである、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記塩基は、有機金属塩基である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記有機金属塩基は、有機金属マグネシウム塩基である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記有機金属マグネシウム塩基は、グリニャール試薬である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記有機金属塩基は、有機金属リチウム塩基である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項11】
前記有機金属リチウム塩基は、n-ブチルリチウムである、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記有機金属塩基は、有機金属マグネシウム-リチウム塩基である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項13】
前記有機金属マグネシウム-リチウム有機金属塩基は、(非置換C
1~4アルキル)Mg(ハロゲン化物)-Li(ハロゲン化物)である、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
(非置換C
1~4アルキル)Mg(ハロゲン化物)-Li(ハロゲン化物)は、iPrMgCl・LiClである、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記式(B)の化合物から前記PG
1を除去して、式(C)の化合物を得る工程を更に含み、前記式(C)の化合物は、構造
【化3】
を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記式(B)の化合物の前記PG
1は、金属触媒水素化又は酸を介して除去される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
金属触媒水素化は、パラジウム触媒水素化、白金触媒水素化、又はニッケル触媒水素化である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記触媒は、Pd(OH)
2、Pd/C、Pd(OH)
2/C、シリカ担持Pd、樹脂担持Pd、ポリマー担持Pd、ラネーニッケル、漆原ニッケル、SiO
2担持Ni、TiO
2-SiO
2担持Ni、Pt/C、SiO
2担持Pt、及びTiO
2-SiO
2担持Ptからなる群から選択される、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記式(B)の化合物の前記PG
1は、H
2及びPd化合物を使用して除去される、請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
前記式(B)の化合物の前記PG
1は、フッ化物源又は酸を使用して除去される、請求項15に記載のプロセス。
【請求項21】
前記式(B)の化合物の前記PG
1は、フッ化水素ピリジン複合体、フッ化水素トリエチルアミン複合体、NaF、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)、及び1:1フッ化テトラブチルアンモニウム/AcOHからなる群から選択されるフッ化物源を使用して除去される、請求項20に記載のプロセス。
【請求項22】
前記式(C)の化合物と式(D)の化合物とを、任意選択的に酸の存在下で合わせて、式(E)の化合物を形成する工程を更に含み、前記式(D)の化合物は、構造
【化4】
を有し、前記式(E)の化合物は、構造
【化5】
を有し、式中、各R
1は非置換C
1~4アルキルである、請求項15~21のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項23】
前記酸は、酢酸である、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記式(C)の化合物及び前記式(D)の化合物は、前記式(C)の化合物の第2級アミンと前記式(D)の化合物のアルデヒドとの間での縮合反応、次いで環化反応を受けて、前記式(E)の化合物を形成する、請求項22又は23に記載のプロセス。
【請求項25】
R
1は、メチルである、請求項22~24のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記式(E)の化合物のアルキルエステル(-C(=O)OR
1、式中、R
1は非置換C
1~4アルキルである)をカルボン酸に加水分解し、式(F)の化合物を得る工程を更に含み、前記式(F)の化合物は、構造
【化6】
を有する、請求項22~25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記加水分解は、塩基を使用して行われる、請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記塩基は、NaOH、LiOH、及びKOHからなる群から選択される、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
硫酸水素源を使用して、前記式(F)の化合物の硫酸水素塩を形成する工程を更に含む、請求項26~28のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記硫酸水素源は、H
2SO
4である、請求項27に記載のプロセス。
【請求項31】
Mg(0)又は有機リチウム試薬を使用して、ジブロモ-2,2-ビス(クロロメチル)シクロプロパンから[1.1.1]プロペランを更に調製する、請求項1~30のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
前記有機リチウム試薬は、PhLi又は(C
1~8アルキル)Liである、請求項31に記載のプロセス。
【請求項33】
前記式(B)の化合物の調製における2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの使用を更に含む、請求項1~32のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記式(A)の化合物を提供するための、アルデヒド及び還元剤を使用した式(1)の化合物の還元的アミノ化工程を更に含み、前記式(1)の化合物は構造
【化7】
を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記還元剤は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムからなる群から選択される、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記アルデヒドは、非置換若しくは置換ベンジルアルデヒド、又は非置換若しくは置換C
1~6アルキルアルデヒドである、請求項34又は35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記アルデヒドは、非置換又は置換ベンジルアルデヒドである、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
前記化合物は、結晶性化合物(C)である、結晶性化合物。
【請求項39】
前記結晶性化合物は、X線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークを特徴とし、前記1つ以上のピークは、8.0~9.6 °2θ、14.8~16.4 °2θ、16.6~18.3 °2θ、19.8~21.4 °2θ、20.5~22.1 °2θ、及び23.7~25.3 °2θの範囲のピークから選択される、請求項38に記載の結晶性化合物。
【請求項40】
前記結晶性化合物は、X線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークを特徴とし、前記1つ以上のピークは、8.8 °2θ±0.2 °2θ、15.6 °2θ±0.2 °2θ、及び17.4 °2θ±0.2 °2θから選択される、請求項38に記載の結晶性化合物。
【請求項41】
前記結晶性化合物は、X線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークを特徴とし、前記1つ以上のピークは、20.6 °2θ±0.2 °2θ、21.3 °2θ±0.2
°2θ、及び24.5 °2θ±0.2 °2θから選択される、請求項38に記載の結晶性化合物。
【請求項42】
前記結晶性化合物は、
図1に示される、代表的なXRPDスペクトルに対応するX線粉末回折パターンスペクトルを有する、請求項38に記載の結晶性化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願を参照することによる組み込み
例えば、本出願と共に提出される出願データシート又は請求において、外国又は国内優先権の主張が確認される全ての出願が、37 CFR 1.57並びに規則4.18及び20.6に基づき、参照により本明細書に組み込まれ、これには、2020年4月22日に出願された米国特許仮出願第63/013686号が含まれる。
【0002】
本出願は、化学及び医学の分野に関する。より具体的には、抗癌剤として使用され得る選択的エストロゲン分解薬であり得る化合物を調製するための方法が本明細書に開示される。
【背景技術】
【0003】
望ましくない副生成物を最小限に抑えながら、高鏡像異性体純度を有するキラル化合物を調製するための新しい方法は、非常に価値がある。いくつかのキラル化合物は、医薬品として使用され得る。有用な医薬品の1つのクラスは、乳癌の治療に使用され得る選択的エストロゲン受容体分解薬(selective estrogen receptor degrader、SERD)である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、概して、式(B)の化合物、及びそれを得る方法に関する。
【0005】
本明細書に開示される他の実施形態は、概して、式(F)の化合物、及びそれを得る方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】結晶性化合物(C)のX線粉末回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
定義
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許、出願、公開済出願、及び他の出版物は、特に明記しない限り、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書のある用語に対して複数の定義が存在する場合、特に明記しない限り、この節にある定義が優先される。
【0008】
本明細書で使用される場合、限定するものではないが、R1など任意の「R」基は、示された原子に結合することができる置換基を表す。かかるR基は、本明細書において総じて「R」基と称され得る。
【0009】
本明細書で使用される場合、「a」及び「b」が整数である「Ca~Cb」は、アルキル基における炭素原子の数を指す。つまり、当該アルキル基は、「a」~「b」個(a及びbを含む)の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」基は、1~4個の炭素を有する全てのアルキル基、つまり、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、及び(CH3)3C-を指す。アルキルに関して「a」及
び「b」が指定されない場合、これらの定義に記載される最も広い範囲が想定されるものとする。
【0010】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、完全飽和(二重結合又は三重結合のない)炭化水素基を含む直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~10個の炭素原子を有し得る(本明細書中に現れる場合は常に、「1~10」など数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~10個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大10個の炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の場合も包含する)。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。化合物のアルキル基は、「C1~C4アルキル」又は類似の表記で表示されてもよい。一例にすぎないが、「C1~C4アルキル」は、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子が存在する、すなわち、アルキル鎖がメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルから選択されることを示す。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル及びヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換又は非置換であってもよい。
【0011】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン化合物」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素など元素周期律表の第7列の放射安定性原子のうちのいずれか1つを意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、任意の保護基、アミノ酸、及び他の化合物の略語は、別途記載のない限り、その一般的な使用、認識されている略語、又はIUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature(Biochem.11:942~944(1972)を参照)と一致する。
【0013】
「薬学的に許容される塩」という用語は、それが投与される生物に著しい刺激をもたらさず、かつ化合物の生物活性及び特性を無効にしない化合物の塩を指す。いくつかの実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的塩は、化合物を、無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及びリン酸と反応させることによって得ることができる。薬学的塩はまた、化合物を有機酸、例えば、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸若しくはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、又はナフタレンスルホン酸と反応させることによっても得ることができる。薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、有機塩基の塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C1~C7アルキルアミン、シクロへキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、並びにアルギニン及びリシンなどのアミノ酸を有する塩を形成することによって得ることができる。
【0014】
本願で使用される用語及び語句並びにこれらの変化形、特に添付の特許請求の範囲にあるものは、特に明記しない限り、限定的ではなく非限定的であると解釈されるべきである。上記の例として、「含むこと」という用語は、「限定することなく含むこと」、「含むが、これらに限定されないこと」などを意味するよう解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「備えること」という用語は、「含むこと」、「含有すること」、又は「特徴とする」と同義語であり、包括的又は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除外しない。「有すること」という用語は、「少なくとも有すること」と解釈されるべきである。「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。「例」という用語は、考察中の項目の徹底的又は限定的なリストではなく例示的な実例を提供するために使用される。「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、又は「望ましい」のような用語、並びに同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴がその構造又は機能にとって重大、本質的、又は重要でさえあるということを暗示するものとして理解されるべきではなく、むしろ単に特定の実施形態で利用されてもされなくてもよい代替又は追加の特徴を強調することを目的とする。加えて、「備えること」という用語は、「少なくとも有すること」又は「少なくとも含むこと」という語句の同意語として解釈されるものとする。プロセスの文脈で使用される場合、「備えること」という用語は、プロセスが少なくとも列挙された工程を含むが、追加の工程を含んでもよいことを意味する。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、「備えること」という用語は、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含んでもよいことを意味する。
【0015】
本明細書の実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて適切に、複数形から単数形、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の入れ替えは、明確にするために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、利益を得るためにこれらの手段の組み合わせを使用することができないということを示すものではない。請求項中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0016】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心が独立して、R配置若しくはS配置、又はこれらの混合物であってもよいことが理解される。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋な、鏡像異性的富化した、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な化合物、ジアステレオマー的富化した化合物、又は立体異性混合物であってもよい。加えて、E又はZと定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する、本明細書に記載の任意の化合物において、各二重結合が独立して、E又はZ、又はこれらの混合物であってもよいことが理解される。
【0017】
同様に、記載の任意の化合物において、全ての互変異性型もまた含まれるよう意図されることが理解される。
【0018】
本明細書に開示される化合物が充填されていない原子価を有する場合、その原子価が、水素又はその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)で充填されることを理解されたい。
【0019】
本明細書に記載の化合物が同位体で標識され得ることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は必要投与量の低減など、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得る。化合物構造中に表される各化学元素は、当該元素の任意の同位体を含んでもよい。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示され得るか、又は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)が挙げられるが、これらに限定されない、水素の任意の同位体であってもよい。したがって、本明細書における化合物に対する言及は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、全ての可能な同位体形態を包含する。
【0020】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限、並びにその範囲の上限と下限との間に介在する各値が、実施形態内に包含されることが理解される。
【0021】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、概して、式(B)の化合物、及びそれを得る方法に関し、式(B)の化合物は、構造
【化1】
を有する。
【0022】
本明細書に開示される他の実施形態は、概して、式(F)の化合物、及びそれを得る方法に関し、式(F)の化合物は、構造
【化2】
を有する。
【0023】
【0024】
スキーム1に示されるように、式(1)の化合物は、アルデヒド及び還元剤を使用して還元的にアミノ化されて、式(A)の化合物を提供することができる。
【0025】
【0026】
式(1)の化合物の還元的アミノ化には、様々な還元剤を使用することができる。適切な還元剤の例としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。同様に、様々なアルデヒドを使用して、式(A)の化合物を提供することができる。例示的なアルデヒドは、非置換若しくは置換ベンジルアルデヒド又は非置換若しくは置換C1~
6アルキルアルデヒドである。いくつかの実施形態では、アルデヒドは、非置換又は置換ベンジルアルデヒドであり得る。
【0027】
式(B)の化合物は、式(A)の化合物、塩基、及び[1.1.1]プロペランを合わせることによって得て、式(B)の化合物を得ることができ、各PG1は保護基であり得る。
【0028】
【0029】
PG1ごとに様々な保護基を使用することができる。好適な保護基の例としては、非置換又は置換ベンジル、シリル系保護基、及び非置換アリルが挙げられる。いくつかの実施形態では、各PG1は、非置換又は置換ベンジルであり得る。いくつかの実施形態では、各PG1は、非置換ベンジルであり得る。
【0030】
様々な塩基を使用して、式(A)の化合物から式(B)の化合物を得ることができる。いくつかの実施形態では、塩基は有機金属塩基であり得る。好適な有機金属塩基は、当業者に既知である。好適な有機金属塩基の2つの例は、有機金属マグネシウム塩基(例えば、グリニャール試薬)又は有機金属リチウム塩基(n-ブチルリチウムなど)である。好適な有機金属塩基の別の例は、有機金属マグネシウム-リチウム塩基である。いくつかの実施形態では、有機金属マグネシウム-リチウム塩基は、式(非置換C1~4アルキル)Mg(ハロゲン化物)-Li(ハロゲン化物)(例えばiPrMgCl・LiCl)を有し得る。
【0031】
式(B)の化合物からPG1を除去して、式(C)の化合物を得ることができる。
【0032】
【0033】
式(B)の化合物のPG1を除去するための1つの方法は、金属触媒水素化による方法である。例示的な金属触媒水素化は、パラジウム触媒水素化、白金触媒水素化、及びニッケル触媒水素化であり得る。金属触媒水素化には様々な触媒を使用することができ、例としては、Pd(OH)2、Pd/C、Pd(OH)2/C、シリカ担持Pd、樹脂担持Pd、ポリマー担持Pd、ラネーニッケル、漆原ニッケル、SiO2担持Ni、TiO2-SiO2担持Ni、Pt/C、SiO2担持Pt、及びTiO2-SiO2担持Ptから選択される触媒が挙げられる。いくつかの実施形態では、式(B)の化合物のPG1は、H2及びPd化合物を使用して除去することができる。式(B)の化合物のPG1を除去するための別の方法は、フッ化物源又は酸を使用することによる方法である。様々なフッ
化物源を使用することができる。フッ化物源の例としては、ピリジンフッ化水素複合体、トリエチルアミンフッ化水素複合体、NaF、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)、及び1:1フッ化テトラブチルアンモニウム/AcOHが挙げられる。
【0034】
任意選択的に酸の存在下で、式(C)の化合物及び式(D)の化合物を合わせて、式(E)の化合物を形成することができる。
【0035】
【化7】
各R
1は、非置換C
1~4アルキルである。
【0036】
いくつかの酸を使用して、式(C)の化合物及び式(D)の化合物から式(E)の化合物を形成することができる。いくつかの実施形態では、酸は、酢酸であり得る。当業者は、式(C)の化合物及び式(D)の化合物が、式(C)の化合物の第2級アミンと式(D)の化合物のアルデヒドとの間の縮合反応、次いで環化反応を受けて、式(E)の化合物を形成することができることを理解している。いくつかの実施形態では、式(D)の化合物及び式(E)の化合物のR1は、メチルであり得る。
【0037】
式(E)の化合物のアルキルエステル(-C(=O)OR)1、式中、R1は非置換C1~4アルキルである)をカルボン酸に加水分解し、式(F)の化合物を得る。
【0038】
【0039】
いくつかの実施形態では、加水分解は、塩基を使用して行うことができる。様々な塩基を使用することができ、例としては、NaOH、LiOH、及びKOHが挙げられる。いくつかの実施形態では、式(E)の化合物のR1は、メチルであり得る。
【0040】
式(F)の化合物の硫酸水素塩は、適切な硫酸水素源を使用することによって得ることができる。例示的な硫酸水素源は、H2SO4である。
【0041】
本明細書で提供されるいくつかの化合物は、[1.1.1]プロペランを含む。いくつ
かの実施形態では、[1.1.1]プロペランは、Mg(0)又は有機リチウム試薬を使用してジブロモ-2,2-ビス(クロロメチル)シクロプロパンから得ることができる。PhLi及び(C1~8アルキル)Liなど適切な有機リチウム試薬は、当業者に既知である。
【0042】
スキーム1に示される合成にはいくつかの利点がある。非限定的な利点のリストとしては、これまでに既知の合成と比較して増加した収率、カラム精製(シリカゲル、HPLC、若しくはSFCを用いたアキラル精製若しくはキラル精製など)が不要であるか、若しくはほぼ不要であること、最小限の材料損失(例えば、スキーム1での合成は、ラセミ出発材料を使用する同じ手順と比較してキラル的に純粋な、若しくはキラル的に濃縮された出発材料を使用する)、より少ない精製ステップ、高キラル純度の化合物(本明細書に記載の合成スキームに示されるものなど)、改善した、及び/若しくはより信頼性の高い不純物制御、並びに/又はキログラム規模を超えるキログラムについて本明細書に記載の化合物を製造するために最適化された手順が挙げられる。
【0043】
本明細書に記載の[1.1.1]プロペランを得ることに関しても、当該技術分野で既知のそれらの手順と比較していくつかの利点がある。利点の例としては、選択された出発材料に起因する(例えば、マグネシウムのコストに起因する)コスト対効果、より簡略な手順(例えば、反応で使用される温度(例えば、>0℃若しくは>25℃)のために、本明細書に記載の手順はより簡略である、[1.1.1]プロペランの調製にマグネシウムが使用される場合、極低温冷凍装置の使用はほぼ不要であるか、若しくは不要である、及び/又は未反応出発物質の回収が容易である)、よりクリーンな反応(例えば、プロペランの調製にマグネシウムが使用される場合のより少ない廃棄物及び/若しくは有機金属試薬の必要性の低減に起因する)、並びに/又は反応規模を拡大する(例えば、>10kg規模、>20kg規模、若しくは>30kg規模に)能力が挙げられる。
【0044】
本明細書に記載の手順の更なる利点は、結晶形態での本明細書に記載の化合物の調製であり得る。例えば、化合物(C)は、結晶形態で得ることができる。結晶性化合物(C)のX線粉末回折パターンを
図1に提供し、ピーク、°2θ、d間隔[Å]、及び相対強度[%]を表1に示す。
【0045】
【0046】
いくつかの実施形態では、結晶性化合物(C)は、X線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークを特徴とし得、1つ以上のピークは、8.0~9.6 °2θ、14.8~16.4 °2θ、16.6~18.3 °2θ、19.8~21.4 °2θ、20.5~22.1 °2θ、及び23.7~25.3 °2θの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、結晶性化合物(C)は、X線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークを特徴とし得、1つ以上のピークは、8.8 °2θ±0.2 °2θ、15.6 °2θ±0.2 °2θ、及び17.4 °2θ±0.2 °2θから選択され得る。いくつかの実施形態では、結晶性化合物(C)は、X線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークを特徴付とし得、1つ以上のピークは、20.6 °2θ±0.2 °2θ、21.3 °2θ±0.2 °2θ、及び24.5 °2θ±0.2 °2θから選択され得る。いくつかの実施形態では、結晶性化合物(C)は、
図1に示されるようにX線粉末回折パターンを示し得る。本明細書で提供される全てのXRPDパターンは、度2シータ(2θ)スケールで測定される。X線粉末回折パターンのピークの数値は、機械ごとに、又は試料ごとで変動し得るので、引用された数値は、絶対的なものとして解釈されるべきではなく、±0.2度2シータ(2θ)以上など許容される変動性があると理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、XRPDピーク位置の値は、特定のXRPDピークを依然として記載しながら、最大±0.2度2θだけ変動し得る。
【実施例】
【0047】
特許請求の範囲を決して限定するものではない、更なる実施形態が、以下の実施例において更に詳細に開示される。
【0048】
【0049】
実施例1:化合物(B1)の合成
温度計及び機械撹拌機を備えた、乾燥した三口フラスコ(20L)に、ジブロモ-2,2-ビス(クロロメチル)シクロプロパン(1.60kg、5.39mol、1.0当量)及びn-Bu2Oを充填した。ドライアイス-EtOH浴中で混合物を-60±5℃(Tin)に冷却し、黄色の懸濁液を形成した。混合物に、滴下漏斗を介してn-Bu2O中のPhLi(1.44M、6.25kg、10.8mol、2.0当量)溶液を、-60±5℃(Tin)で3時間かけて滴下した。混合物を-60±5℃(Tin)で1時間撹拌した。次いで、0.5hにわたって混合物を0±5℃(Tin)に加温し、次いで、氷水浴中、0±5℃oC(Tin)で2時間攪拌した。並行して、100Lのガラス反応器に、THF中のi-PrMgCl・LiCl(1.05M、47.8kg、50.53mol、1.875当量)溶液を添加した。混合物を10±5℃(Tin)に冷却した。この混合物に、10~25℃で、THF(28.5kg、4.0v)中の化合物(A1)(8.91kg、33.7mol、1.25当量)溶液を1時間かけてゆっくり添加した。添加の完了後に、20±5℃(Tin)で混合物を更に1時間攪拌した。200Lの反応器に、[1.1.1]プロペラン溶液、続いて、化合物(A1)のジアニオンを激しく撹拌しながら移した。反応器を密閉し、35~40℃、40~45℃、及び45~50℃に順に加温した。各段階を5時間維持した。次いで、反応物を、冷却した(0±5℃)塩化アンモニウム水溶液中へと激しく攪拌しながら移した。相を分離させ、水相をEtOAcで抽出した。有機相を合わせ、飽和NaCl水溶液で洗浄し、次いで1時間以上にわたって無水Na2SO4で乾燥させた。混合物を濾過し、EtOAcで洗浄した。減圧下で濾液を濃縮して、THF及びEtOAcの大部分を除去した。残渣を100Lのガラス反応器に移し、25℃で、純粋なギ酸(未反応化合物(A1)の量に対して1.05当量を混合物に添加した。3時間後、懸濁した固体を濾過した。45~50℃で母液を濃縮して、n-Bu2Oの大部分を除去し、10vのn-へプタンに溶解され、EtOAc/n-へプタン勾配を用いて4w/wの60~100メッシュシリカゲル溶出によるカラムクロマトグラフィーで精製された化合物(B1)(12.1kg)を得た。画分の濃縮により、化合物(B1)(5.1kg、収率57%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3-d)δ7.85-7.97(br s,1H),7.53(d,J=7.9Hz,1H),7.36(app t,J=7.5Hz,3H),7.32-7.14(m,4H),7.09(t,J=7.5Hz,1H),7.00(d,J=2.0Hz,1H),3.87(d,J=15.1Hz,1H),3.76(d,J=15.1Hz,1H),3.59-3.33(m,1H),3.09(dd,J=14.1,4.8Hz,1H),2.71(dd,J=14.1,9.6Hz,1H),2.30(s,1H),1.92-1.70(m,6H),1.06(d,J=6.6Hz,3H)。MS(ESI)m/z 331.1[M+H]+。
【0050】
実施例2:化合物(C)の合成
EtOH(8.4L、5v)中の化合物(B1)(1.67kg、5.05mol、1.0当量)溶液を排気し、N2で再充填した(3回)。20%のPd(OH)2/C(200g、12重量%の充填量)をフラスコに入れた。システムを排気し、N2で再充填し(3回)、続いて排気し、H2で再充填した(3回)。1atmのH2下、25~30℃で反応物を16時間撹拌した。N2の雰囲気下、混合物を珪藻土のパッドに通して濾過した。N2の雰囲気下、触媒/珪藻土パッドでEtOH(2Vで2回)で洗浄した。濾液を、濃縮した。得られた油性生成物をEtOAcに溶解し(~1vで2回)、減圧下、45℃で濃縮した(2回)。n-ヘプタン(2V)に油性生成物を溶解し、減圧下、45℃で濃縮した。一晩攪拌して、n-ヘプタン(1290mL、3V)中で得られた油をスラリーにした。スラリーを濾過し、減圧下、45℃で濾過ケーキを一定重量に乾燥させた。上記の手順を合計で更に4回繰り返した(1.67kgで3回+0.9kgロットの開始材料)。バッチをプールして、化合物(C)(3.4kg、収率79%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3-d)δ8.16-7.95(br s,1H),7.62(d,J=7.9Hz,1H),7.36(d,J=8.0Hz,1H),7.19(t,J=7.4Hz,1H),7.12(t,J=7.4Hz,1H),7.02(s,1H),3.25-3.11(m,1H),2.88(dd,J=14.2,7.2Hz,1H),2.74(dd,J=14.2,6.5Hz,1H),2.36(s,1H),1.95-1.51(m,6H),1.12(d,J=6.2Hz,3H)。MS(ESI)m/z 240.9[M+H]+。
【0051】
実施例3:化合物(E1)の合成
80Lのガラス反応器に、メタノール(11.7kg)及び酢酸(3.3kg)を添加した。化合物(D1)((E)-メチル3-(3,5-ジフルオロ-4-ホルミルフェニル(formyphenyl))アクリレート)(6.9kg)を、ソリッド添加漏斗を用いて混合物に添加した。ソリッド添加漏斗をメタノール(2.7kg)ですすぎ、反応器に添加した。混合物を5~15℃/hの基準速度で60~70℃に加熱した。別々のドラムに、化合物(C)(6.6kg)をソリッド添加漏斗を用いて添加し、MeOH(4.2kg)
を使用して添加漏斗をすすいだ60~70℃で、化合物(C)の溶液を6~12kg/hの基準速度で反応器に添加した。混合物を60~70℃で14~16時間反応させた。次いで、混合物を、10~20℃/hの基準速度で15~25℃に冷却した。混合物を維持し、2~3時間撹拌した。20LのNutscheフィルタで混合物を濾過した。T≦40℃での乾燥前に、濾過ケーキを追加のメタノールで洗浄して、化合物(E1)(10.9kg、収率88.9%)を得た。1H NMR(300MHz,DMSO-d6)δ10.48(br s,1H),7.63(d,J=18.0Hz,1H),7.50(d,J=10.2Hz,2H),7.38(d,J=6.9Hz,1H),7.17(d,J=7.2Hz,1H),7.01-6.91(m,2H),6.80(d,J=16.2Hz,1H),5.33(s,1H),3.73(s,3H),3.61(br s,1H),3.01-2.93(m,1H),2.57(d,J=16.2Hz,1H),2.24(s,1H),1.77(d,J=9.0Hz,3H),1.57(d,J=9.0Hz,3H),1.08(d,J=6Hz,3H)。MS(ESI)m/z 449.10[M+H]+。
【0052】
実施例4:化合物F及びそのH2SO4塩の合成
15~25℃で80Lの反応器にTHF(13.3kg)を添加し、続いて15~25℃で化合物(E1)(7.5kg)を添加した。15~25℃で、この混合物に精製水(30.0kg)中のNaOH(1.0kg)溶液を、10~15kg/hの速度で添加した。15~25℃で混合物を反応させた。18~20時間後、200Lのグラスライニング反応器に混合物を移した。次いで、3.3~4.0Vが残るまで、減圧下、T≦40℃で混合物を濃縮した。T≦40℃で精製水(7.5kg)を混合物に添加した。次いで、3.3~4.0Vが残るまで、減圧下(P≦-0.08MPa)、T≦40℃で混合物を濃縮した。10~15℃/hの基準速度で混合物を5~15℃に冷却した。T≦15℃で、精製水(29.9kg)中の硫酸(1.5kg)溶液を用いて、混合物のpHを7.5~8.0に調整した。酢酸エチル(23.6kg)を添加し、目視で固体が完全に溶解するまで、混合物を10~30分間撹拌した。混合物の温度を5~15℃に調整した。T≦15℃で、硫酸溶液を用いて混合物のpHを6.0~6.3に調整した。T≦15℃で、精製水(15.0kg)中の硫酸(0.4kg)溶液を用いて、混合物のpHを5.1~5.4に調整した。T≦15℃で混合物を15~30分間撹拌し、次いで0.5~1時間沈殿させた後、分離した。T≦15℃で、酢酸エチル(合計~50kg)を用いて水相を、抽出した(2回)。混合物を15~30分間撹拌し、0.5~1時間沈殿させた後、分離した。80Lのガラス反応器中の混合物を、14~16Lが残るまで、減圧下、T≦40℃で濃縮した。THF(合計50kg)を反応器に添加し、続いて濃縮を4回繰り返した。最後に、14~16Lが残るまで、減圧下、T≦40℃で混合物を濃縮した。THF(13.4kg)を混合物に添加し、混合物を200Lのハステロイ反応器に移した。THF(5.7kg)を加え、続いて精製水(1.9kg)を加えた。混合物を5~15℃に冷却し、アセトニトリル(28.7kg)中の硫酸(1.7kg)溶液を5~15kg/hの基準速度で添加した。温度を15~25℃に調整し、撹拌しながら3~5時間維持した。混合物を220Lのハステロイ合金の撹拌フィルタ乾燥機で濾過し、続いてアセトニトリルで更にすすいだ。固体をT≦40℃で乾燥させて、化合物(F)を純度>99%のH2SO4塩(6.9kg、収率76.9%)として得た。1H NMR(400MHz,CD3OD)δ7.65(d,J=16.0Hz,1H),7.54(d,J=7.9Hz,1H),7.48(d,J=10.4Hz,2H),7.31(d,J=8.2Hz,1H),7.19-7.14(m,1H),7.12-7.07(m,1H),6.67(d,J=16.0Hz,1H),6.18(s,1H),4.39-4.26(m,1H),3.53-3.40(m,1H),3.19-2.99(m,1H),2.69(br s,1H),2.38-1.97(m,6H),1.64(d,J=6.8Hz,3H)。MS(ESI)m/z 435.13[M+H]+。
【0053】
実施例5:MeLi生成[1.1.1]プロペランを使用した化合物(C)の大規模調製
反応器にMeLi(321.10kg、DEM中2.0M)を添加し、-50~-65℃に冷却し、続いて、内部温度を-50~-65℃に保ちつつ、DEM(2.0V)中の溶液としてジブロモ-2,2-ビス(クロロメチル)シクロプロパン((99.74kg、1.0当量)を添加した。混合物を少なくとも4時間撹拌し、次いで、少なくとも3.0時間かけて、混合物を-30±5℃に加温した。少なくとも3時間かけて、混合物を0±5℃に加温して、出発物質が確実に消費されるようにした。混合物を-5℃に冷却し、次いで、DEM(1.0V)中のN-メチルピペラジン(84.25kg、2.5当量)を添加した。混合物を10±5℃に加温し、約12時間撹拌した。混合物を濾過し、次いで蒸留を行って、受容容器を-55±5℃に冷却しつつ、反応器の内部温度が確実に28℃以下(真空≦-0.095MPa)に上昇するようにした。留出物を15±5℃に加温し、CH3SO3H(3.90kg、1.2当量)を添加して、留出物中の残留N-メチルピペラジンをクエンチした。混合物を少なくとも2時間撹拌した。もう一度蒸留が完了すると、DEM中の[1.1.1]プロペラン溶液を得た。
【0054】
別個の反応器に、THF溶液(1.3M)中のi-PrMgCl・LiCl(211.70kg、2.2当量)を、25±5℃で反応器に添加した。混合物を冷却し、温度を20±10℃に維持しつつ、化合物(A1)をTHF中の溶液(33.6重量/重量%、1.0当量、31kgの化合物(A1))として、少なくとも1時間かけて添加した。上記[1.1.1]プロペラン(1.5%アッセイ、1.0当量)を少なくとも2時間かけて添加した。混合物を50±5℃で加熱した。15時間後、混合物を冷却した。15重量/重量%の塩化アンモニウム(382.4kg、10.0V)を3時間かけて添加し、次いで、少なくとも1時間にわたって25℃に加温した。混合物を分離し、有機相を軟水で洗浄した(5Vで2回)。真空中45℃以下の外部温度で、分離した有機相を、2~3Vに濃縮した。MTBEとの溶媒交換を行って(5Vで3回)、DEM及びTHFを予め指定されたレベル未満に除去した。MTBE中の適量のギ酸(計算された化合物(A1)に基づいて1.05当量)を1時間かけて添加し、続いて20℃で少なくとも1時間撹拌することによって、残留出発材料(化合物(A1))を除去した。化合物(A1)のギ酸塩を濾過した。濾液を軟水で洗浄し、真空中で2~3Vに濃縮し、続いてジクロロメタン(228.10kg、5V)で溶媒交換した。シリカゲル(100~200メッシュ)(78.60Kg、当初使用された(initiated used)化合物(A1)の~2.5倍(重量))、石英砂(5.03kg)、続いてヘプタン(176.55Kg、8V)を添加し、Nutscheフィルタに通して混合物を濾過した。ジクロロメタンを使用して、パッドを洗浄した。次いで、合わせた濾液を微多孔質フィルタにかけた。有機相を、内部温度を40℃以下に維持しながら真空中で2~3Vに濃縮した。EtOHとの溶媒交換により、EtOH中の粗混合物の溶液を得た(収率:9.7重量/重量%のアッセイに基づいて39%;HPLC純度:97.6%)。
【0055】
化合物(B1)の粗エタノール混合物(163.45kg、1.0当量、アッセイ:9.7重量/重量%)を反応器に充填し、続いてN2流下で軟水(5.05kg、3%重量)及びクエン酸(0.206kg、0.02当量)を充填した。水酸化パラジウム(1.90kg、12%重量/重量)を添加した。0.5±0.2MPaの圧力までオートクレーブに水素を充填し、次いでオートクレーブを20±10℃までゆっくりと加熱した。仕様に基づいて36時間後に反応を停止させ、濾過した。追加のEtOH((75.70kg、6V)でケーキを洗浄した。内部温度を40℃以下に制御しつつ、真空中で濾液を約20Lに濃縮した。真空中でヘプタン(75L、5V)との溶媒交換を2回行った。次いで、混合物を75±5℃に加熱し、微粒子を除去した。混合物を冷却し、次いで、濾過して、化合物(C)(2.15kg生成物、純度99.6%)を得た。残留物質をMTBE(50L)に溶解し、水(30L)中10%のアンモニアで処理した。次いで、有機相をシリカゲルの短いパッド(14kg、化合物(A1)の元の量に対して0.88重量/重量)に供し、続いて追加のMTBE(55L)に供した。濾液と以前に得られた化合物(C)(2.15kg)とを合わせた後、ヘプタン(75L、5V)との溶媒交換を2回行った。1時間後に、混合物を5±5℃に冷却して、化合物(C)(9.07kg、収率78%、HPLC純度98.2%)を提供した。
【0056】
実施例6:プロペラン溶液の調製
削りくず状のマグネシウム(7.29g(300mmol)を、撹拌棒を収容した、オーブン乾燥された500mLの一口フラスコに添加した。熱電対の先端がフラスコの基部にあるようにデジタル熱電対を備えるゴムセプタムをフラスコに取り付けた。まだ熱い間にフラスコを排気し、N2で充填した。室温に達した後、無水THF(50mL)を添加し、続いてTHF(10mL)中の水素化ジイソブチルアルミニウムの1.0M溶液を滴下した。削りくず状のマグネシウムをフラスコ内で1~3時間撹拌して、削りくずの反応を十分に促進した。1~3時間後、追加のTHF(30mL)を、削りくず状のMgを含むフラスコに添加し、これを室温に維持された水浴に浸漬して、反応温度を緩和した。ジブロモ-2,2-ビス(クロロメチル)シクロプロパン(THF(90mL)中に溶解した30g)溶液を、カニューレを介して削りくず状のマグネシウムの溶液に60分かけて滴下し、溶液の温度を確実に20~35℃に維持した。添加が完了した後、反応物を周囲温度で更に1時間撹拌した。マグネシウム塩の大部分を沈殿させるために、MTBE(100mL)を、短時間撹拌した反応物に添加し、更に30分間放置した。次いで、正のN2ガス圧を使用して、粗物質をセライトの小型パッドに通して濾過して、別個の250mLのフラスコに入れた。薄茶色の濾液をセプタムでキャップし、-20℃で保管した。q-NMRを使用してTHF中のプロペラン含有量を測定し、55%の収率を示した。粗又は蒸留プロペラン溶液を化合物(F)の合成で使用した。
【0057】
実施例7:化合物(A1)と反応するマグネシウムで合成した[1.1.1]プロペラン(添加剤としてTMPが存在する)
オーブン乾燥された350mLの圧力容器を窒素充填バルーンで冷却し、化合物(A1)(5g、18.9mmol)及びTHF(37mL)を充填した。30~32℃に内部温度を制御することによって、イソプロピルマグネシウムクロリド塩化リチウム(30.3mL、37.8mmol)を滴下した。混合物を室温で2時間撹拌した。蒸留された2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP)(6.44mL、37.8mmol)、続いて[1.1.1]プロペラン溶液(1.1当量、THF中0.46M、45.2mL、20.8mmol)を滴下した。反応容器を密閉し、68℃で20時間加熱した。NMRは、生成物への87%の変換を示した。混合物を0℃に冷却し、H2O(160mL)を添加し、続いてEtOAc(160mL)を添加した。有機層を分離させ、追加のEtOAc(100mL)で水性画分を抽出した。合わせた有機画分を15%の塩化アンモニウム溶液(60mL)で洗浄した。有機層を5%のクエン酸水溶液で更に洗浄し(150mLで3回)、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗化合物(B1)(5g、15mmol、収率80%)を得た。
【0058】
実施例8:化合物(A1)と反応するマグネシウムで合成した[1.1.1]プロペラン(添加剤としてTMPが存在しない)
オーブン乾燥された350mLの圧力容器を窒素充填バルーンで冷却し、化合物(A1)(5g、18.9mmol)及びTHF(37mL)を充填した。30~30℃に内部温度を制御することによって、イソプロピルマグネシウムクロリド塩化リチウム(30.3mL、37.8mmol)を滴下した。反応物を室温で2時間撹拌した。[1.1.1]プロペラン(1.1当量、THF49.5mL中0.42M、20.8mmol)溶液を滴下した。反応容器を密閉し、68℃で20時間加熱した。NMRは、生成物への70%の変換を示した。混合物を0℃に冷却し、H2O(160mL)を添加し、続いてEtOAc(160mL)を添加した。有機層を分離させ、追加のEtOAc(100mL)で水性画分を抽出した。合わせた有機画分を15%の塩化アンモニウム溶液(60mL)で洗浄した。有機層を5%のクエン酸水溶液で更に洗浄し(200mLで3回)、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗化合物(B1)(3.6g、10.9mmol、収率58%)を得た。
【0059】
実施例9:Mgで生成した[1.1.1]プロペランを使用した化合物(C)の大規模調製
500Lの反応器に、ジクロロメタン(272.0kg)を添加し、続いて化合物(A1)のHCl塩(41.0kg)を添加した。混合物を10~25℃に冷却し、NaOH水溶液(142.9kg、7.9%)。5~15℃で混合物を2時間撹拌した。有機相をジクロロメタン(189kg)で抽出した。プールされた有機相を、NaCl(22.5重量/重量%、74kg)水溶液で乾燥させ、次いで硫酸ナトリウム(19.0kg)で乾燥させた。塩を濾過し、真空中で濾液を濃縮した。THF(132kg)を充填し、真空中で溶媒を除去した。THFを再充填して、THF中の溶液を得た(アッセイ:合計35kgの化合物(A1)を表す35.64%)。2回のバッチを実行して化合物(B1)を調製した。削りくず状のMg(5.8kg、238.6mol)を乾燥した500Lの反応器に添加し、THF(132kg)を添加し、続いてDibal-H(5.0kg、ヘキサン中1.0M)を添加した。混合物を20±5℃で1時間撹拌した。混合物を30~35℃に加温した。ジブロモ-2,2-ビス(クロロメチル)シクロプロパンの溶液(THF(78kg)中に溶解した29.5kg)の一部(総体積の約5%)を添加し、次いで6時間かけて残りの部分を添加した。2時間にわたって混合物を40~45℃に加熱した。化合物(A1)の溶液(アッセイに基づいて17.5kg)を、50分かけて0~10℃で添加し、続いて2.5時間かけて、5~15℃でi-PrMgCl・LiCl(106.0kg、THF中1.25M)を添加した。反応器を密閉し、18時間にわたって55℃に加温した。混合物を0~5℃に冷却した。0~10℃でフラスコに5%のクエン酸水溶液(20kg)を充填して、反応物をクエンチした。内容物を1000Lの反応器に移した後、0~10℃で追加の5%のクエン酸溶液(220kg)を添加して、pHを7~8に調整した。2時間後、層を分離させ、水性層を、MTBEで抽出した(160kgで2回)。同規模で2回目のバッチを実行し、同様の方法で処理した。プールされた、両バッチからの有機抽出物を5%の重炭酸ナトリウム水溶液(350kg)で洗浄した。真空下、35~40℃で溶液を400~500Lに濃縮し、MTBE(324kg)で希釈した。溶液を5%のクエン酸で洗浄し、続いて水及び5%の重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した。ジクロロメタン(50kg)でケーキを洗浄した。真空下、35~40℃で濾液を濃縮し、ヘプタン(136kg)及びジクロロメタン(50kg)を充填した。混合物を再び濃縮し、残渣をジクロロメタン及び石油エーテルで希釈した。溶液をシリカゲルのパッド(60~100メッシュ)に通した。40℃で濾液を濃縮し、残渣をTHF(130kg)で溶解した。化合物(B1)を作製するためのこのステップでは、純度で補正された収率は35%である。500Lの反応器に溶液を充填し、窒素でシステムをパージした(3回)。20%の湿潤Pd(OH)2/C(2.5kg)を添加し、窒素でシステムをパージし(3回)、続いて水素でパージした(3回)。0.06~0.08MpaのH2下、25~30℃でスラリーを40時間撹拌した。セライトのパッドに通して混合物を濾過し、ケーキをジクロロメタン(100kg)で洗浄した。真空下、35℃~40℃で濾液を~25Lに濃縮し、追加のジクロロメタンを添加した。溶液を5~15℃に冷却した。5~15℃で4MのHCl/ジオキサン(14.5kg、55.2mol、1.2当量)を1時間かけて添加し、スラリーを2時間撹拌した。酢酸エチル(120kg)を添加した。スラリーを更に2時間撹拌し、遠心分離によって固体を収集した。固体をジクロロメタン(350kg)に溶解した。溶液を10%の炭酸カリウム水溶液で数回洗浄し、硫酸ナトリウムで溶液を乾燥させた。真空下、35~40℃で濾液を少量(~30L)に濃縮した。MTBE(40kg)及びn-ヘプタン(100kg)を添加した。混合物を30~40℃で2時間撹拌し、次いで真空下、30~40℃で~80Lに濃縮した。遠心分離によって固体を収集し、35~40℃でケーキを10時間乾燥させて、化合物(C)(9.8kg、収率31%(2ステップで)、HPLCによる純度99.8%)を提供した。
【0060】
実施例10:Mg生成[1.1.1]プロペランを使用した化合物(C)の大規模調製
【化10】
【0061】
10~25℃で、1000Lの反応器内のDCM(250kg)中の化合物(A1)(35.0kg)のHCl塩の混合物に、NaOH水溶液(129.5kg、7.6重量/重量%)をゆっくり添加した。10~25℃で混合物を2時間撹拌した。有機層を単離させ、水層をDCM(169kg)で抽出した。合わせた有機抽出物をNaOH水溶液(100kg、5重量/重量%)及びブライン(58.2kg、22重量/重量%)で洗浄し、追加の化合物(A1)(29.1kg、この実施例と同様の方法で作製)を添加し、次いで、合わせた有機相をNa2SO4(20.0kg)で乾燥させた。塩を濾別し、ケーキをDCM(53.4kg)で洗浄した。真空下で濾液を濃縮した。残渣にTHF(168kg)を添加し、真空下で溶媒を除去した。残渣に対する、2回目のTHF(168kg)の添加を行い、真空下で溶媒を除去した。残渣をTHF(168kg)に溶解して、THF中の化合物(A1)の溶液を提供した(アッセイ:20.65%、58.3kgの化合物(A1))。
【0062】
2000Lの反応器内のTHF(480kg)中の削りくず状のMg(26.0kg、1069.52mol)の混合物に、Dibal-H(9.1kg、ヘキサン中1.0M)を添加した。20±5℃で混合物を20分間撹拌した。内部温度を<40℃に維持しつつ、THF(240kg)中のジブロモ-2,2-ビス(クロロメチル)シクロプロパン(132.0kg)溶液の一部(~8%)をゆっくり添加した。次いで、残りの溶液を13時間かけて添加した。4時間にわたって混合物を25~35℃に加熱し、次いで0~10℃に冷却して、[1.1.1]プロペラン混合物を提供した。
【0063】
内部温度を0~10℃に維持しつつ、化合物(A1)(アッセイに基づいて58.0kg)の溶液を、30分かけて上記の[1.1.1]プロペン溶液に添加した。10分後、内部温度を5~15℃に維持しつつ、i-PrMgCl・LiCl(314.0kg、THF中1.25M)を3時間かけて添加した。反応器を密閉し、100時間にわたって混合物を25~35℃に加温した。混合物を5~15℃に冷却し、次いで、水(1kg)を添加した。反応器を密閉し、36時間にわたって25~35℃に加温した。
【0064】
混合物を0~10℃に冷却した。0~10℃で冷水(80kg)を添加して、反応物をクエンチした。混合物を5000Lの反応器に移し、0~10℃で追加の冷水(800kg)を添加した。混合物をMTBE(202kg)で抽出した。20%のクエン酸(135kg)を使用して水層をpH7~8に調整し、次いでMTBE(600kg)で抽出した。真空下、35~40℃で合わせた有機抽出物を750~900Lに濃縮し、次いでMTBE(550kg)で希釈した。溶液を5%のクエン酸(500kg)、続いて水(500kg)及び1%のNaOH水溶液(300kg)で洗浄した。有機層をNa2SO4(41kg)で乾燥させた。無機塩を濾別し、DCM(100kg)でケーキを洗浄した。真空下、35~40℃で濾液を濃縮した。ヘプタン(250kg)及びDCM(100kg)を残渣に添加した。混合物を再度濃縮した。DCM(40kg)及びヘプタン(80kg)で残渣を希釈した。溶液をシリカゲルのパッド(50kg、60~100メッシュ)に通した。真空下、40℃で濾液を濃縮した。残渣をTHF(254kg)に溶解して、THF中の化合物(B1)溶液を提供した(純度を補正した収率は64%)。
【0065】
THF中の化合物(B1)の溶液を2000Lの反応器に充填した。システムをN2でパージした(3回)。Pd(OH)2/C(5.2kg、20重量/重量%、湿式触媒)を添加した。システムをN2でパージし(3回)、H2でパージした(3回)。0.06~0.08Mpa H2下、25~30℃で得られたスラリーを40時間撹拌した。追加のPd(OH)2/C(1.0kg、20%湿式)を添加した。0.06~0.08Mpa H2下、25~30℃でスラリーを40時間撹拌した。システムをN2でパージした(3回)。セライトのパッドに通して混合物を濾過し、ケーキをDCM(250kg)で洗浄した。真空下、35~40℃で濾液を50~70Lに濃縮し、DCM(200kg)に溶解した。溶液を5~15℃に冷却した。5~15℃で、4MのHCl/ジオキサン(40.5kg、1.1当量)を1時間かけて添加した。得られたスラリーを2時間撹拌した。EtOAc(267kg)を添加した。スラリーを2時間撹拌し、遠心分離によって固体を収集した。
【0066】
ウェットケーキをDCM(595kg)に懸濁した。10%のK2CO3溶液(150kg)をゆっくり添加した。30分後、有機層を単離し、水層をDCM(100kg)で抽出した。合わせた有機抽出物を10%のK2CO3(150kg)で洗浄した。化合物(C)(最終キャンペーンから回収された2.5kg)を溶液に添加した。次いで、シリカゲルのパッド(60~100メッシュ、50kg)に通し、MTBE(300kg)で洗浄した。真空下、35~40℃で濾液を150~200Lに濃縮した。n-ヘプタン(220kg)を添加した。30~40℃で混合物を2時間撹拌し、次いで真空下、30~40℃で150~200Lに濃縮した。遠心分離によって固体を回収し、35~40℃でケーキを10時間乾燥させて、化合物(C)(31.8kg、2ステップでの収率55%、HPLCによる純度99.8%)を提供した。
【0067】
実施例11
15~25℃で500Lの反応器にTHF(13.3kg)を添加し、続いて15~25℃で化合物(E1)(17.8kg)を添加した。追加のTHF(7.8kg)を使用して、反応器の壁から固体を洗い流した。15~25℃でこの混合物に、精製水(71.6kg)中のNaOH(2.4kg)溶液を10~15kg/hの速度で添加した。混合物を15~25℃で撹拌した。18~20時間後、混合物を5~15℃に冷却した。≦15℃の温度で、精製水(71.2kg)中の硫酸(3.5kg)溶液を添加して、混合物のpHを、7.0~8.0に調整した。酢酸エチル(56.2kg)を混合物に添加し、0.5~1.0時間撹拌した。混合物の温度を5~15℃に調整した。≦15℃の温度で、前のpH調整ステップから得た、精製水(71.2kg)中の残りの硫酸(3.5kg)溶液で、混合物のpHを、6.0~7.0に調整した。最後に、≦15℃の温度で、精製水(53.4kg)中の硫酸(1.4kg)溶液で、混合物のpHを、5.1~5.4に調整した。≦15℃の温度で混合物を15~30分間撹拌し、相を分離させた。有機層を収集した。5~15℃で酢酸エチル(56.1kg)を水相に添加した。相を分離させ、有機層を収集した。15~25℃で精製水(71.2kg)を有機相に添加し、15~30分間撹拌し、相を分離させた。この洗浄シーケンスを更に2回行った後、3~4Vが残るまで、減圧下、≦40℃の温度で合わせた有機相を濃縮した。3つの部分(63.2kg、63.1kg、61.4kg)中のTHFを混合物に添加し、3~4Vが残るまで、減圧下、≦40℃の温度で濃縮を行った。THF(63.5kg)を添加し、続いて追加のTHF(合計188.7kg)を添加して、残留酢酸エチル≦0.2%及び含水量≦0.8%を確保した。カプセルフィルタに通して別の500Lのグラスライニング反応器に混合物を移し、撹拌を開始した。精製水(4.7kg)を添加し、混合物を5~15℃に冷却した。5~15℃の温度を維持しつつ、アセトニトリル(67.4kg)中の硫酸(4.1kg)溶液を、6~8kg/hの速度で添加した。次いで、混合物の温度を15~25℃に調整し、撹拌しながら4~6時間維持した。140Lの撹拌フィルタ乾燥機で混合物を濾過した。アセトニトリル(54.5kg及び2回目に充填した54.1kg)を使用して反応器を洗浄し、濾過ケーキに移した。次いで、混合物を撹拌Nutsche濾過乾燥機に移し、0.5~1時間撹拌し、濾過した。THFレベルは仕様を超え、その結果、追加のアセトニトリル(2回充填した54.1kg+54.2kg)を撹拌しながら混合物に添加し、THFレベルが仕様を満たすまで再度濾過した。濾過乾燥機を窒素で少なくとも2時間掃引し、≦45℃の温度で固体を~24に乾燥させた。アセトニトリル、THF、酢酸エチル、及びメタノール含有量について固体をサンプリングした。アセトニトリル含有量は、所望の量よりも高かったため、60メッシュに通して固体をふるい分けし、次いで得られた固体を同様に(≦50℃の温度)乾燥させて、H2SO4塩として化合物(F)を得た(16.20kg、収率76.6%)。純度は>99%であった。
【0068】
実施例12:[1.1.1]プロペランの調製のための調製全般手順
【化11】
【0069】
オーブン乾燥された5.0Lの圧力容器を窒素充填バルーンで冷却し、MeLi(1.37L、体積で2.74倍)を充填し、-65~-60℃に冷却した。-60~-50℃で、DEM(1.00L)中のジブロモ-2,2-ビス(クロロメチル)シクロプロパン(500g、1.68mol、1.00当量)溶液を滴下した。添加後、-60~-65℃で混合物を2時間撹拌した。混合物を-30℃に加温し、-30℃で4時間撹拌した。混合物を0℃に加温し、0℃で2時間撹拌した。DEM(0.5L)中のN-エチルピペラジン(385g、3.37mol、2.00当量)溶液を、-5~0℃で滴下した。添加後、-5~0℃で混合物を12時間撹拌した。真空下で混合物を蒸留して、[1.1.1]プロペラン溶液(4.39kg、QNMRで4.10%、収率80.8%)を得た。
全体としては、2回のバッチで、500gのジブロモ-2,2-ビス(クロロメチル)シクロプロパンを[1.1.1]プロペランに変換した。
【0070】
実施例13:化合物(B1)の調製のための調製全般手順
【化12】
【0071】
オーブン乾燥された5.0Lの圧力容器を窒素充填バルーンで冷却し、0~10℃(内部温度)で、化合物(A1)(250g、重量の1.00倍、KF:144.2ppm)及びTHF(1.75L、体積の7.00倍、KF:42.6ppm)、i-PrMgCl・LiCl(1.35L、1.75mol、1.85当量)を滴下した。0~10℃で混合物を2時間撹拌した。0~10℃で、蒸留された2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP)(146.94g、1.04mol、1.10当量、KF:120.1ppm)を混合物に添加した。次いで、0~10℃で[1.1.1]プロペラン(2750.4g、1.04mol、1.10当量、KF:262.7ppm)を混合物に滴下した。反応容器を密閉し、65~70℃で90時間加熱した。混合物を0~10℃に冷却し、H2O(4.00L)を滴下した。有機層を分離させ、追加のMTBE(4.8L)で水層を抽出した。20%のクエン酸溶液(0.72L)で合わせた有機層を洗浄した。有機層を5%のNaHCO3水溶液(6L)で更に洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、粗化合物(B1)(270g、収率86.40%、純度97.27%)を褐色の油として得た。1HNMR(400MHz CDCl3)δ7.80(s,1H),7.47-7.45(m,1H),7.32-7.30(m,2H),7.26-7.24(m,1H),7.19-7.17(m,2H),7.12-7.10(m,2H),7.10-7.02(m,1H),6.89(s,1H),3.83-3.67(m,2H),3.36-3.32(m,1H),3.03-2.98(m,1H),2.66-2.60(m,1H),2.22(s,1H),1.77-1.69(m,6H),0.99-0.94(m,3H)。
【0072】
驚くべきことに、実施例10の条件は、温和な温度条件下で化合物(A1)の化合物(B1)への容易な変換を可能にすることが見出された。プロペランは35℃で沸騰するため、驚くほど低い反応温度が有益である。更に、化合物(B1)の収率は、より低い温度においてであっても60%を超えた。
【0073】
【0074】
XRPD分析では、X線粉末回折計としてPANalytical X’Pert3を使用した。
【0075】
【0076】
(a)化合物(C)(14g)の遊離塩基(HPLC純度99.7%、97.0%ee)を50mLのフラスコに充填し、(b)EtOAc(21mL)をフラスコに充填し、(C)懸濁液を75℃に加温して透明溶液を提供し、(d)1時間かけて混合物を周囲温度に冷却し、(e)30分かけて混合物を0~5℃に冷却し、(f)0~5℃でスラリーを30分間撹拌し、(g)濾過によって固体を収集し、(h)真空下、40℃でケーキを18時間乾燥させることによって、化合物(C)を再結晶化させて、白色固体(10g、HPLCによる純度99.96%、99.8%ee、収率71%)を提供した。
【0077】
その上、上文は、明確さと理解のために、図及び実施例としてある程度詳細に記述されているが、本開示の趣旨を逸脱することなく数多くの様々な修正がなされ得ることが、当業者によって理解される。したがって、本明細書に開示される形態は例示にすぎず、本開示の範囲を限定することは意図しておらず、それどころか本明細書に提供される開示の真の範囲及び趣旨に沿った全ての修正及び代替形態を包含することも明確に理解するべきである。
【国際調査報告】