(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】ECG心外膜監視のための測定プローブ及びそのようなプローブを備えたECG心外膜監視のための測定システム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/283 20210101AFI20230525BHJP
A61B 5/265 20210101ALI20230525BHJP
【FI】
A61B5/283
A61B5/265
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022564082
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 PL2021050027
(87)【国際公開番号】W WO2021215945
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522410156
【氏名又は名称】ハート センス エスペー. ゼット オー. オー.
【氏名又は名称原語表記】HEART SENSE SP. Z O. O.
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】スヴァルスキ,グジェゴーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヤクボフスカ,マウゴジャータ
(72)【発明者】
【氏名】ヤンチャク,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】レパク クツ,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ファーダル,プジェミスワフ
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127LL08
4C127LL15
4C127LL19
(57)【要約】
本発明は、心臓からの電気信号を測定するための測定素子(2)と、測定された心臓信号を出力するように構成された接続素子(3)とを備え、測定素子(2)が接続素子(3)と電気的に接続された、心外膜ECG監視のための測定プローブに関する。測定素子(2)及び接続素子(3)は、積層素子である。また本発明は、信号ケーブル(5)によって表示デバイスに接続されたプローブ(1)を備えた心外膜ECG監視のための測定システムに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓からの電気信号を測定するための測定素子2と、前記測定された心臓信号を接続片4を通して出力するように構成された接続素子3と、を備え、前記測定素子2が、前記接続素子3と電気的に接続され、前記測定素子2が、前記測定素子2の少なくとも一部にわたって位置する信号収集層22と、前記測定素子2の全面にわたって延びる基層21と、を包含する積層素子であり、一方、前記接続素子3が、導電層32と、前記導電層32を絶縁する誘電体層33と、前記接続素子3の全面にわたって延びる前記基層21と、を包含する積層素子であり、前記接続素子3の、前記測定素子2とは反対側の端部に設けられた前記接続片4が、前記導電層32と前記基層21とを包含する積層素子であり、前記測定素子2の、厚さ方向に対して垂直な最大寸法が30mmであることを特徴とする、心外膜ECG監視のための測定プローブ。
【請求項2】
前記信号収集層22と前記基層21との間の前記測定素子2が前記導電層32を備え、一方、前記接続素子3において、前記誘電体層33の上に前記導電層32が配置され、前記導電層32の上に前記基層21が位置し、前記測定素子2の前記導電層32及び前記接続素子3の前記導電層32が、前記測定素子2と前記接続素子3とにまたがって延びる連続的な導電層を構成することを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記測定素子2において、前記基層21が前記信号収集層22の上に位置し、前記接続素子3において、前記基層21が前記導電層32の上に位置し、前記導電層32が前記誘電体層33の上に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記測定素子2において、前記基層21が前記信号収集層22の上に位置し、前記接続素子3において、前記基層21が前記導電層32の上に位置し、前記導電層32が前記誘電体層33の上に配置され、前記測定素子2の前記信号収集層22及び前記接続素子3の前記導電層32が、前記測定素子2と前記接続素子3とにまたがって延びる連続的な層を構成することを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
前記測定素子2において、前記基層21が前記信号収集層22の上に位置し、一方、前記接続素子3において、前記誘電体層33の上に前記導電層32が配置され、前記導電層32の上に前記基層21が位置し、前記測定素子2に隣接する部分の前記接続素子3の前記導電層32が、前記測定素子2の前記信号収集層22と同じ材料から成り、残りの部分が、別の導電性材料から成ることを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項6】
前記測定素子2の前記信号収集層22が、プローブ1を固定できる接着層23でもあることを特徴とする、請求項1から5の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項7】
前記測定素子2の前記信号収集層22が、前記接続素子3の前記誘電体層33と部分的に重なることを特徴とする、請求項1から6の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項8】
前記測定素子2において、前記信号収集層22が前記接着層23の上に位置することを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項9】
前記測定素子2が、前記測定素子2の周縁部に位置して前記信号収集層22を部分的に覆う前記接着層23を備えたことを特徴とする、請求項1から7の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項10】
前記測定素子2において、前記接着層23がグラフェン-TPU層であることを特徴とする、請求項6に記載のプローブ。
【請求項11】
前記接続素子3における前記導電層32がグラフェン-PMMA層であることを特徴とする、請求項1から10の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項12】
前記測定素子2における前記信号収集層22がグラフェン層であることを特徴とする、請求項1から11の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項13】
前記接続素子3における前記導電層32がグラフェン層であることを特徴とする、請求項1から10の何れか一項又は請求項12に記載のプローブ。
【請求項14】
前記導電層32が少なくとも部分的に銀層であることを特徴とする、請求項1から13の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項15】
厚さ方向に対して垂直な平面内の前記測定素子2が円形の形状を有することを特徴とする、請求項1から14の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項16】
厚さ方向に対して垂直な前記平面内の前記接続素子3が長方形の形状を有することを特徴とする、請求項1から15の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項17】
前記測定素子2と前記接続素子3とが同一平面内に位置することを特徴とする、請求項1から15の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項18】
全ての前記層が可撓性材料から成ることを特徴とする、請求項1から16の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項19】
前記誘電体層33と前記基層21とが同じ材料から成ることを特徴とする、請求項1から18の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項20】
前記接着層23が環状の形状を有することを特徴とする、請求項8又は請求項9に記載のプローブ。
【請求項21】
前記接続素子3が前記接続片4を通して信号ケーブル5に接続されていることを特徴とする、請求項1から20の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項22】
前記信号収集層22が、少なくとも1種のキャリア、導電性物質、及び任意選択として、少なくとも1種の接着促進剤を含むことを特徴とする、請求項1から21の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項23】
前記接着促進剤が、ラノリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン、ゼラチン、デンプン及びセルロース、及び、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンなどのそれらの誘導体又はそれらの混合物から選択される1つの物質を含むことを特徴とする、請求項22に記載のプローブ。
【請求項24】
前記導電性物質が、Au、Ag、PdAg、グラファイト、グラフェン、RuO
2、IrO
2、Bi
2Ru
2O
7、ITO、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項22に記載のプローブ。
【請求項25】
前記キャリアが、溶媒を含む高分子化合物、又は溶媒を含む樹脂であることを特徴とする、請求項22に記載のプローブ。
【請求項26】
前記ポリマーが、エチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリ乳酸(PLA)又はそれらの混合物から選択される1種であることを特徴とする、請求項25に記載のプローブ。
【請求項27】
前記溶媒が、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ブチルカルビトールアセテート(OKB)、クロロホルム、又はそれらの混合物から選択される1種であることを特徴とする、請求項25に記載のプローブ。
【請求項28】
前記グラフェン-TPU層が、ジメチルホルムアミド中に、グラフェンと、ヒドロキシプロピルデンプンと、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとを含むことを特徴とする、請求項10に記載のプローブ。
【請求項29】
前記グラフェン-TPU層が、ジメチルホルムアミド中に、10重量%のナトリウムグラフェンと、10重量%のヒドロキシプロピルデンプンと、80%の熱可塑性ポリウレタンエラストマーとを含むことを特徴とする、請求項28に記載のプローブ。
【請求項30】
前記グラフェン-PMMA層が、ブチルカルビトールアセテート中に、グラフェンとポリ(メタクリル酸メチル)とを含むことを特徴とする、請求項11に記載のプローブ。
【請求項31】
前記グラフェン-PMMA層が、ブチルカルビトールアセテート中に、13重量%のグラフェンと87重量%のポリ(メタクリル酸メチル)とを含むことを特徴とする、請求項30に記載のプローブ。
【請求項32】
前記グラフェン層が、ブチルカルビトールアセテート中に、アルギン酸ナトリウムと、グラフェンと、ポリ(メタクリル酸メチル)とを含むことを特徴とする、請求項12又は請求項13に記載のプローブ。
【請求項33】
前記グラフェン層が、ブチルカルビトールアセテート中に、10重量%のアルギン酸ナトリウムと、13重量%のグラフェンと、77重量%のポリ(メタクリル酸メチル)とを含むことを特徴とする、請求項32に記載のプローブ。
【請求項34】
前記グラフェン層が、ブチルカルビトールアセテート中のポリ(メタクリル酸メチル)と、グラフェン、及び/又は寒天とを含むことを特徴とする、請求項12又は請求項13に記載のプローブ1。
【請求項35】
前記銀層がマトリックス中に銀マイクロフレークを含むことを特徴とする、請求項14から34の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項36】
前記銀層がブチルカルビトールアセテート中に70重量%の銀マイクロフレークと、30重量%のポリ(メタクリル酸メチル)とを含むことを特徴とする、請求項14から35の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項37】
前記マトリックスが、ポリ(メタクリル酸メチル)を含むブチルカルビトールアセテートの溶液であることを特徴とする、請求項35に記載のプローブ。
【請求項38】
前記誘電体層33が誘電体ペーストを含むことを特徴とする、請求項1から37の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項39】
前記接着層23がポリマーと接着促進剤とを含むことを特徴とする、請求項7から38の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項40】
前記ポリマーが、エチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリ乳酸(PLA)、及びそれらの混合物から選択される1種であることを特徴とする、請求項39に記載のプローブ。
【請求項41】
前記接着促進剤が、ラノリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン、ゼラチン、デンプン及びセルロース、並びに、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンなどのそれらの誘導体、又はそれらの混合物から選択される1種であることを特徴とする、請求項39に記載のプローブ。
【請求項42】
前記基層21が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、多環式オレフィン(PCO)又はポリノルボルネン(PNB)、ポリイミド(PI)、フッ素ポリエステル又はそれらのコポリマーから選択される1つの物質であることを特徴とする、請求項1から41の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項43】
前記測定素子2及び前記接続素子3の個別の層が、前記基層21上への印刷工程によって作製されることを特徴とする、請求項1から42の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項44】
前記測定素子2の直径が10mm~30mmであることを特徴とする、請求項1から43の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項45】
前記誘電体層33、前記信号収集層22、前記接続層32の厚さが、10~15μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から44の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項46】
前記基層21の厚さが40~75μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から45の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項47】
前記グラフェン含有層の厚さが、10~30μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から46の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項48】
請求項1から47の何れか一項に記載の前記プローブ1を備えた、心外膜ECG監視のための測定システム。
【請求項49】
前記システムが、前記プローブ1を表示デバイスに接続する信号ケーブル5を備えたことを特徴とする、請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
前記信号ケーブル5に接続するための接続片4が、前記プローブ1の前記測定素子2と反対側の、前記プローブ1の前記接続素子3の端部に位置することを特徴とする、請求項47又は請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
前記表示デバイスが、カーディオモニタを備えることを特徴とする、請求項48から51の何れか1項に記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手技中、特に、オフポンプ手技を含む、拍動心臓上の手技によって実行される冠動脈バイパス移植術中に、心臓の状態を監視及び評価するために拍動心臓面から信号を直接取得する心外膜ECG監視のための測定プローブであって、生体の心臓の位置の変化を伴う手術中に正確且つ連続的に信号を取得することを可能にする、心外膜ECG監視のための測定プローブと、そのようなプローブを備えた心外膜ECG監視のための測定システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の皮膚面に電極を配置し、心臓にも電極を直接配置することによって、手術中に患者のECG信号を取得できるデバイスが、当技術分野で知られている。
【0003】
ポーランド国特許第213307(B1)号明細書には、電極が患者の心臓面の上に直接配置される、心臓手術中の心臓の監視のためのシステム及びデバイスが記載されている。このデバイスは、心臓スタビライザと、任意選択で心臓ポジショナとによって安定する手術部位での心筋の状態の評価に用途がある。このシステムは、制御及びデータ取得システムに接続されたイミタンス測定モジュールを有する測定ブロックに測定インターフェースを介して接続された、吸引ポンプ及び測定電極に接続された、チャンバ及び吸引チャネルを備える心臓スタビライザを備える。
【0004】
特許文献ポーランド国特許第213307(B1)号明細書に記載されたデバイスは、心臓スタビライザアームにおける吸盤の作用面に装着される電極系統であり、すなわち、デバイスは、負圧によって心臓面に装着されている。心臓面に作用する負圧は、局所的な血管外漏出を引き起こす可能性がある。デバイスは、イミタンス(組織インピーダンス)を測定する。組織インピーダンスは、心筋虚血パラメータとしてカーディオモニタによって分析されるパラメータではない。
【0005】
文献米国特許出願公開第2014206973(A1)号明細書には、心臓血管系の生理学的パラメータを遠隔監視するためのシステム及びデバイスと、組織の「挟持」(穿刺)及び/又は真空誘導式接着が必要なセンサを心臓面の上に配置する方法とが記載されている。記載のデバイスは、心臓面からの信号の連続的で永続的な(長期の)監視のためのデバイスであるが、特に開胸手術中には標準のカーディオモニタの上にリアルタイムにECG信号を表示することはできない。記載のデバイスは、記憶後の分析のために取得した信号を記録する別のデバイスへ無線方式でECG信号を送信するように構成されている。そのようなデバイスを活用する標的集団は、心筋不全及び不整脈の患者である。心臓手術におけるデバイスの使用については記載されていない。
【0006】
特許文献米国特許出願公開第2014206973(A1)号明細書に記載されているデバイスは、開胸での心臓の非解剖的位置を含む信号を記録するようには構成されていない。閉胸状態では、心臓を回転させること、すなわち、冠動脈バイパス移植術中に行うように心臓の位置を変更することは不可能である。記載のデバイスは、非外科的な経皮手技によって供給される。デバイスの記載された構造は、皮下移植された信号記録(記憶)デバイスへの接続を必要とする。記載されたデバイスは、無線方式によりECG信号を別のデバイスへ送信するように構成され、別のデバイスは、取得された信号を記録して記憶後に信号を分析する。無線による信号送信が必要なため、記載されたデバイスは手術状態では(手術室内では)機能しない。心臓面から記載のデバイスを取り外した場合、心外膜組織への早期介入による出血(例えば心外膜静脈からの)が引き起こされる可能性がある。さらに、該明細書では、負圧などの物理的固定手段を電極に提供して、電極を心臓面の上に保持する必要性が述べられている。心臓面の上に印加された負圧は、心臓組織又は心膜に局所的な血管外漏出(血種)を引き起こすことにより、心外膜組織の構造に悪影響を与える可能性がある。記載されたデバイスは、組織の連続性を中断することなく、心臓面上で再配置することができない。なぜなら、組織穿刺又は負圧による血腫の顕出が生じ得るごとに、デバイスの再配置が出血のリスクに直結し、組織の損傷を増大させるからである。さらに、記載されたデバイスの再配置は、物理的固定手段(負圧)送達システムの取扱い(管理)を必要とする。各操作は、時間及び追加の処置を要求する。
【0007】
さらに、文献米国特許出願公開第2014206973(A1)号明細書に記載のシステムを操作するには、血管を介して心臓内に電極を挿入することが必要になることがあり、心臓内部に電極を挿入した状態で心臓を移動することは推奨されない、なぜなら、心臓腔内に配置されたそのような電極が心臓壁を穿刺し又は損傷しかねないからである。記載されたデバイスにおいて提示される信号取得方法は、組織面ではなく、組織内で実行される。したがって、これは心外膜測定ではなく壁内測定である。記載されたデバイスは、心臓の前壁のみを監視する。デバイスは心臓の後壁に取り付けることができないが、これは、心臓の重量のみによって、針による組織損傷が拡大し、損傷が発現する可能性があり、又は負圧固定システムの機能不全を引き起こす可能性があるからである。
【0008】
先行技術から周知の解決策では、信号を取得する素子の配置に柔軟性がない。ポーランド国特許第213307(B1)号明細書の解決策は、電極が固定位置で安定した心臓の面の上に配置され、心臓の位置を変更している間に電極が心臓に接触する可能性を排除するシステムを提供するが、文献米国特許出願公開第2014206973(A1)号明細書のデバイスは、患者が長期にわたって保持するように設計された侵襲性デバイスであり、さらに、文献米国特許出願公開第2014206973(A1)号明細書に開示されたシステム及びデバイスは、患者の心臓に直接装着されない。
【0009】
さらに、当技術分野で周知の解決策の何れも、心臓面の上に配置された場合に、器官の領域の主要部分をカバーすることなく器官への容易なアクセスを提供する寸法を有するデバイスを提供しない。
【0010】
ECG監視は、多くのケースで必要であるが、そのようなケースの1つが冠動脈バイパス移植術である。そのような手術は、重度の冠動脈アテローム性動脈硬化症を呈する患者に対して日常的に実施され、そのような手術の数は、特に社会の高齢化が原因で、増加の一途をたどっている。最近まで、そのような手術を実施する従来の手技は、心肺機能を体外循環機に一時的に置き換える方式を想定していたが、いくつかの術後合併症を考慮して、体外循環(オフポンプ冠動脈バイパス移植術-OPCAB)を用いずに、拍動心臓に動脈バイパス移植術を実施することに基づいた手技が普及している。この手技によって、いくつかのグループの患者について、従来の手技と比較して、死亡率及び合併症の数が低減されるが、心臓の特定の壁面及び冠動脈を露出させるために、心臓の移動として知られる拍動心臓の位置の一時的な変更が必要である。拍動心臓の移動中には、あらゆる心律動不全と心臓への血液供給とを迅速に診断し、適切な予防措置を講じるために、極めて正確な心電計による監視が必要である。手術を受けている患者の標準的な監視方法は、心電図記録(ECG)を含む。
【0011】
心臓ECG監視の例示的な標準技法について上述したが、それらの技法はOPCAB技法を活用する手術には好適でない。バイパス実施の全シーケンス中に各々のバイパスされた冠動脈領域の上方から心電図記録を順次リアルタイムに検査するような解決策が存在せず、ECG信号は、手術領域から手術室内に配置された標準のカーディオモニタに出力される。
【0012】
上記の全ての先行技術の解決策と、臨床で従来使用されている全ての先行技術の解決策とは、心臓の生体位置の変化を伴う拍動心臓上で行われる冠動脈バイパス移植術中の正確で連続的な診断ECG監視を保証するものではない。そのような手術中に患者の皮膚の上に配置された電極を介してECGを正しく記録する可能性は、以下の理由で失われ得る。
-生体の位置の変化による心臓の周縁組織への接触の喪失、
-周縁組織から心臓を隔離する材料が患者の胸部に導入される。
【0013】
心臓の状態を監視するのに充分な信号の喪失によって、潜在的な心虚血症の正確な監視は不可能になり、患者の生命の危険を軽減する処置ができなくなる。
【0014】
現在、心臓面から直接ECGを測定できる利用可能な解決策(デバイス)は存在しない。心臓手術は、ECG信号を記録するのではなく、心臓を刺激するように作用する心臓組織(壁)内に一時的に挿入される電極を用いる。そのような電極は、心臓組織を貫通する。任意選択でECG信号読み取りのために電極を使用した場合、心臓組織の穿刺が繰り返されて、出血を誘発するおそれがある。さらに、針を先端部に備えた電極は、心臓組織から除去されると、崩壊し、出血を増加させるおそれがある。次に、心臓組織を貫通した電極を使用してから装着後に針を切断することは、さらなる出血のリスクに直結し、また、多数の電極を使用することが必要になる-すなわち、場所を変えるたびに新たに電極が必要になる。したがって、この変形形態によっても、同様に心臓組織の穿刺を繰り返すことになり出血のリスクが引き起こされるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、心臓面からECG信号を取得することを可能にする。これは、非侵襲的な処置であり、心臓の広い領域にわたることなく外科手術中に何回も心臓の位置を変更する必要がある場合であっても、心臓にとって安全である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
心外膜ECG監視のための測定プローブは、心臓からの電気信号を測定するための測定素子と、測定された心臓信号を、接続片を通して出力するように構成された接続素子と、を備え、測定素子は、接続素子と電気的に接続されていることを特徴とする。測定素子は、測定素子の少なくとも一部に分散した信号収集層と、測定素子の全面にわたって延びる基層と、を有する積層素子である。接続素子は、導電層と、導電層を絶縁する誘電体層と、接続素子の全面にわたって延びる基層と、を備えた積層素子である。接続素子の、測定素子とは反対側の端部に設けられた接続片は、導電層と基層とを備えた積層素子である。測定素子の、厚さ方向に対して垂直な最大寸法は30mmである。
【0017】
好ましくは、信号収集層と基層との間の測定素子は導電層を備え、一方、接続素子において、誘電体層の上に導電層が配置され、導電層の上に基層が位置し、測定素子の導電層及び接続素子の導電層が、測定素子と接続素子とにまたがって延びる連続的な導電層を構成する。
【0018】
好ましくは、測定素子において、基層が信号収集層の上に位置し、接続素子において、基層が導電層の上に位置し、導電層が誘電体層の上に配置されている。
【0019】
好ましくは、測定素子において、基層が信号収集層の上に位置し、接続素子において、基層が導電層の上に位置し、導電層が誘電体層の上に配置され、測定素子の信号収集層及び接続素子の導電層が、測定素子と接続素子とにまたがって延びる連続的な層を構成する。
【0020】
好ましくは、測定素子において、基層が信号収集層の上に位置し、一方、接続素子において、誘電体層の上に導電層が配置され、導電層の上に基層が位置し、測定素子に隣接する部分の接続素子の導電層は、測定素子の信号収集層と同じ材料から成り、一方、残りの部分は、別の導電性材料から成る。
【0021】
好ましくは、測定素子の信号収集層は、プローブを固定できる接着層でもある。
【0022】
好ましくは、測定素子の信号収集層は、接続素子の誘電体層と部分的に重なる。
【0023】
好ましくは、測定素子において、信号収集層は接着層の上に位置する。
【0024】
好ましくは、測定素子は、測定素子の周縁部に位置して信号収集層を部分的に覆う接着層を備える。
【0025】
好ましくは、測定素子において、接着層はグラフェン-TPU層である。
【0026】
好ましくは、接続素子における導電層はグラフェン-PMMA層である。
【0027】
好ましくは、測定素子における信号収集層はグラフェン層である。
【0028】
好ましくは、接続素子における導電層はグラフェン層である。
【0029】
好ましくは、導電層は少なくとも部分的に銀層である。
【0030】
好ましくは、厚さ方向に対して垂直な平面内の測定素子は円形の形状を有する。
【0031】
好ましくは、厚さ方向に対して垂直な平面内の接続素子は長方形の形状を有する。
【0032】
好ましくは、測定素子と接続素子とは、同一平面内に位置する。
【0033】
好ましくは、全ての層は可撓性材料から成る。
【0034】
好ましくは、誘電体層と基層とは同じ材料から成る。
【0035】
好ましくは、上記接着層は、環状の形状を有する。
【0036】
好ましくは、接続素子は、接続片を通して信号ケーブルに接続されている。
【0037】
好ましくは、信号収集層は、少なくとも1種のキャリア、導電性物質、及び任意選択として、少なくとも1種の接着促進剤を含む。
【0038】
好ましくは、接着促進剤は、ラノリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン、ゼラチン、デンプン及びセルロース、及び、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンなどのそれらの誘導体又はそれらの混合物から選択される1つの物質を含む。
【0039】
好ましくは、導電性物質は、Au、Ag、PdAg、グラファイト、グラフェン、RuO2、IrO2、Bi2Ru2O7、ITO、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種である。
【0040】
好ましくは、キャリアは、溶媒を含む高分子化合物、又は溶媒を含む樹脂である。
【0041】
好ましくは、ポリマーは、エチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリ乳酸(PLA)又はそれらの混合物から選択される1種である。
【0042】
好ましくは、溶媒は、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ブチルカルビトールアセテート(OKB)、クロロホルム、又はそれらの混合物から選択される1種である。
【0043】
好ましくは、グラフェン-TPU層は、ジメチルホルムアミド中に、グラフェンと、ヒドロキシプロピルデンプンと、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとを含む。
【0044】
好ましくは、グラフェン-TPU層は、ジメチルホルムアミド中に、10重量%のナトリウムグラフェンと、10重量%のヒドロキシプロピルデンプンと、80%の熱可塑性ポリウレタンエラストマーとを含む。
【0045】
好ましくは、グラフェン-PMMA層は、ブチルカルビトールアセテート中に、グラフェンとポリ(メタクリル酸メチル)とを含む。
【0046】
好ましくは、グラフェン-PMMA層は、ブチルカルビトールアセテート中に、13重量%のグラフェンと87重量%のポリ(メタクリル酸メチル)とを含む。
【0047】
好ましくは、グラフェン層は、ブチルカルビトールアセテート中に、アルギン酸ナトリウムと、グラフェンと、ポリ(メタクリル酸メチル)とを含む。
【0048】
好ましくは、グラフェン層は、ブチルカルビトールアセテート中に、10重量%のアルギン酸ナトリウムと、13重量%のグラフェンと、77重量%のポリ(メタクリル酸メチル)とを含む。
【0049】
好ましくは、グラフェン層は、ブチルカルビトールアセテート中のポリ(メタクリル酸メチル)と、グラフェン、及び/又は寒天とを含む。
【0050】
好ましくは、銀層は、マトリックス中に銀マイクロフレークを含む。
【0051】
好ましくは、銀層は、ブチルカルビトールアセテート中に、70重量%の銀マイクロフレークと、30重量%のポリ(メタクリル酸メチル)とを含む。
【0052】
好ましくは、マトリックスは、ブチルカルビトールアセテート中に、ポリ(メタクリル酸メチル)の溶液を含む。
【0053】
好ましくは、誘電体層は誘電体ペーストを含む。
【0054】
好ましくは、接着層はポリマーと接着促進剤とを含む。
【0055】
好ましくは、ポリマーは、エチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリ乳酸(PLA)、及びそれらの混合物から選択される1種である。
【0056】
好ましくは、接着促進剤は、ラノリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン、ゼラチン、デンプン及びセルロース、並びに、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンなどのそれらの誘導体、又はそれらの混合物から選択される1種である。
【0057】
好ましくは、基層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、多環式オレフィン(PCO)又はポリノルボルネン(PNB)、ポリイミド(PI)、フッ素ポリエステル又はそれらのコポリマーから選択される1つの物質である。
【0058】
好ましくは、測定素子及び接続素子の個々の層は、基層上への印刷工程によって作成される。
【0059】
好ましくは、測定素子の直径は10mm~30mmである。
【0060】
好ましくは、誘電体層、信号収集層、接続層の厚さは、10~15μmの範囲内である。
【0061】
好ましくは、基層の厚さは、40~75μmの範囲内である。
【0062】
好ましくは、グラフェン含有層の厚さは、10~30μmの範囲内である。
【0063】
上記実施例に係るプローブを備えた心外膜ECG監視のための測定システムである。
【0064】
好ましくは、システムは、プローブを表示デバイスに接続する信号ケーブルを備える。
【0065】
好ましくは、信号ケーブルに接続するための接続片は、プローブの測定素子と反対側の、プローブの接続素子の端部に位置する。
【0066】
好ましくは、表示デバイスは、カーディオモニタを備える。
【0067】
本発明に係るプローブによって、手術中に、生体位置と異なる位置にある心臓又は手術用の隔離具に囲まれた心臓に対しても診断値のECG信号の監視を維持することができ、心臓の位置に関わらず、また心臓のどの壁面からの信号も喪失するおそれなしに心臓の最適な配置が可能になり、術野において心臓をより自由に移動しながら手術を実施することができる。さらに、プローブを用いることで、すなわち、患者の心臓の灌流の継続的な監視を用いることで、手術チームに連続的な情報が提供される。そのような情報を所有することにより、手術チームのプレシャーを軽減して、可能な限り高速に手術を実施することができる。そのようなプレッシャーは、実施中の手術の質及び冠動脈内に形成されるバイパスの最適数に影響を及ぼす可能性があることがいくつかの科学論文で報告されている。本発明に係るプローブは、さらに、血管新生術を受けない心臓壁の監視を可能にする。また、心臓上の別の場所にいつでもプローブを貼り直すこともでき、これは、例えば冠動脈にシャントを挿入した際に機能不全が発生した場合に有用であって、プローブの以前の位置は、心臓のバイパスされた領域における虚血を示さない。そのようなときに、プローブを心臓上の別の場所(例えば、反対の壁)に迅速に再度貼付することができ、結果的に、高速で正確な術中診断が利用可能である。そのような状況が考えられるのは、所与の動脈のバイパス移植術のために準備された心臓の位置によって、心臓の反対側の(他方の)側で冠動脈内の血流不全が予測される場合である。
【0068】
上記の全ての利点によって、冠動脈バイパス移植術中に発現する心虚血の結果を予測する処置を開始することができ、外科手術の重要な段階での循環器停止のリスク並びに蘇生の開始及び救命手順の体外循環の切替えの必要性を低減させる。このことにより、死亡、心不全、心筋梗塞、低心拍出症候群による多臓器不全などの術後合併症のリスクが大幅に低減される。
【0069】
また、本発明に係るプローブは、心臓麻痺溶液に曝露された心臓の電気活動の監視(心臓弁及び先天性疾患の心臓内手術)、体面からの非診断ECG記録を用いた、患者のあらゆるタイプの外科手術中の急性心不全の術中診断、又は心臓外科用ロボットを用いた心臓手術などの、冠動脈バイパス術以外の手術にも用途がある。後者の種類の手術では、心臓へのアクセスは、切開径が約1cmのいわゆる胸腔鏡ポートによってのみ提供される。以下に説明する性質のため、本発明に係るプローブは、可撓性であり、その特性を失うことなく握ることができ、これにより、小型の胸腔鏡ポートを介してもプローブを配置することができる。
【0070】
さらに、上記のプローブの用途は例示であり、壊死が発現した心臓の領域によって生成された電気信号の特定の特性(過去の心臓梗塞のゾーン)によって生成された電気信号の特定の特性を検出することによって、本発明に係るプローブをとりわけ心筋壊死ゾーンの術中診断のために使用することができることを理解されたい。
【0071】
さらに、サイズ、可撓性、及び配置の自由度により、プローブは、心臓を電気刺激するための心外膜電極として使用でき、心膜内部の肺静脈面からの電気信号の研究のため、及び肺静脈の電気刺激のため、又は左心耳を含む心房の電気マッピングのため、並びに本明細書に記載されないその他の多数の医療及び診断用途のための素子として使用することができる。
【0072】
本発明に係るプローブの主要な機能は、以下を含む。
-電極の心臓内挿入を必要とすることなく、拍動心臓及び非拍動心臓の面からECG信号を取得して、心臓壁を穿刺又は損傷するリスクを解消すること;
-心虚血症の検出;
-追加の固定手段を提供することなく、接着に基づく心臓面への非侵襲的な固定が可能となり、追加の負圧を用いず、組織の完全性を破壊する必要がなく、追加のカテーテルを使用する必要がない。換言すると、本発明による解決策では、接着機構がプローブ内に内蔵され、組織に自動的に接触して作用し、活性化のためのエネルギーが外部から供給されないため、開胸状態において、視覚的な制御を行いつつ面への固定が行われることによって、心臓壁における構造(例えば、血管)の傷害(損傷)が回避される;
-心臓及び心房の全ての壁面からECG信号を取得するための構成により、プローブが心外膜組織に接触しないため、プローブを自由に配置できる;
-心外膜組織損傷の増大するリスクなしに、心臓面に繰り返し貼付できる;
-プローブを任意の市販のカーディオモニタに接続して、ECG信号を標準のモニタの上に連続的に表示できる;
-人間に用いることが認可された任意のタイプ(モデル)の心臓スタビライザとのプローブとを併用でき、また、心臓スタビライザを使用しない手術中にもプローブを利用できる。
【0073】
以下、本発明に係るプローブについて図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】本発明に係るプローブの分解等角投影図である。
【
図2】本発明に係るプローブの配置方法を示す図である。
【
図3】本発明に係るプローブ及び測定システムを使用する手術中の手術室と、医療スタッフ及び手術室内に用意された医療機器とを示す図である。
【
図4】導電層が測定素子にわたって延びる、本発明に係るプローブの最も好適な実施形態の断面図である。
【
図5】信号収集層の2倍の厚さを有する、
図4のプローブの断面図である。
【
図6】本発明に係るプローブの一実施形態の断面図である。
【
図7】信号収集層の2倍の厚さを有する、
図6のプローブの断面図である。
【
図8】導電層及び信号収集層が同じ材料から成る、本発明に係るプローブの実施形態の断面図である。
【
図9】接続層及び信号収集層の2倍の厚さを有する、
図8のプローブの断面図である。
【
図10】導電層が導電素子の一部のみにわたって延び、信号収集層が接続素子の一部にわたって延びる、本発明に係るプローブの一実施形態の断面図である。
【
図11】信号収集層の2倍の厚さを有する、
図10のプローブの断面図である。
【
図12】環状の接着層を有する、
図6のプローブの断面図である。
【
図13】環状の接着層を有する、
図7のプローブの断面図である。
【
図14】環状の接着層を有する、
図8のプローブの断面図である
【
図15】環状の接着層を有する、
図9のプローブの断面図である
【
図16】環状の接着層を有する、
図4のプローブの断面図である
【
図17】環状の接着層を有する、
図5のプローブの断面図である
【
図18】環状の接着層を有する、
図10のプローブの断面図である
【
図19】環状の接着層を有する、
図11のプローブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
プローブの異なる構造の説明
図1に示す本発明の一実施形態に係るプローブ1は、測定素子2を含む細長い平らな積層素子の形態を有し、測定素子2は、例えば、厚さ方向に対して垂直な平面内に10mm~30mm、例えば15mmの範囲内の直径の円形の形状を有する。さらに、プローブ1は、ストリップ状、例えば矩形状の接続素子3を備え、接続素子3の、測定素子2とは反対側の端部には、接続片4が信号ケーブル5に接続するように配置されている。測定素子2及び接続素子3は電気的に接続されて同一平面内に位置する。測定素子2は、心臓面からの電気信号を測定するように構成され、接続素子3は、心臓面から測定された信号を出力するように構成されている。測定素子2は、測定素子2の少なくとも一部に分散した信号収集層22と、測定素子2の全面にわたって延びる基材であって、残りの各層が載置され、患者の身体の外部環境から、後述する信号収集層及び接続層32のための絶縁体として機能する基材を備えた基層21とを備える。接続素子3は、導電層32と、導電層32を絶縁する誘電体層33と、接続素子3の全面にわたって延びる基層21と、を備える。誘電体層33は、プローブ1の接続素子3の全長にわたって延び、その上に配置された導電層32を、接続素子3の全長にわたって、外部環境、特に心臓面から完全に絶縁する。接続素子3の端部に設けられた接続片4は、基層21とその上に配置された導電層32とを備える。
【0076】
プローブの様々なモデルに対して実施された試験の間に、
図4及び
図5に示す最も好適な実施形態では、プローブ1は、測定素子2において、基層21と、同時に接着層23でもある信号収集層22とを備え、接続素子3において、誘電体層33の上に設けられた導電層31の上に配置された基層21を備え、接続素子3の導電層32は、この素子において、基層21と信号収集層22との間に配置されるように、測定素子2にわたって延びる。換言すると、測定素子2において、基層21は導電層32の上に配置され、導電層32は信号収集層22の上に設けられている。
【0077】
さらに、測定素子2の導電層32と接続素子3の導電層32とは、単一の材料から1つの構成要素として構成され、両方の素子2及び3の全長にわたって延びる連続層を備える。また、測定素子2は、基層21によって全面的に覆われ、基層21は、導電層32を覆い、信号収集層22の残りの部分は測定素子2の端部に存在する。これ以降に、個別の層の組成の説明に関連して、最も好適な実施形態について詳述する。
【0078】
以下、本発明のその他の可能な実施形態について説明する。
【0079】
図6及び
図7に示す実施形態では、プローブ1は、測定素子2において、信号収集層22の上に配置された基層21を備え、接続素子3において、誘電体層33の上に配置された導電層32の上に配置された基層21を備え、接続片4において、基層21の上に配置された導電層32を備える。
【0080】
図8及び
図9に示す別の実施形態では、測定素子2において、基層21が信号収集層22の上に位置し、接続素子3において、基層21が誘電体層33の上に配置された導電層32の上に位置する。さらに、測定素子2の信号収集層22と接続素子3の導電層32とが同じ材料から成り、測定素子2から接続素子3まで延びる連続層を構成する。さらに、接続片4における接続素子3は、基層21の上に位置する導電層32を有する。
【0081】
図10及び
図11に示す本発明の別の実施形態では、プローブ1は、測定素子2において、信号収集層22の上に位置する基層21を備え、接続素子3において、誘電体層33の上に位置する導電層32の上に位置する基層21を備え、一方接続片4において、基層21の上に位置する導電層32を備える。本発明の実施形態では、測定素子2に隣接する部分における接続素子3の導電層32は、測定素子2の信号収集層22と同じ材料から成り、残りの部分は別の導電性材料から成る。換言すると、接続素子3の接続層32の一部は、測定素子2の信号収集層22と共に1つの層を構成する信号収集層2である。
図11は、2倍の厚さを有する信号収集層22が測定素子2と接続素子3の一部とに位置している実施形態を示しているが、2倍の厚さの信号収集層22が測定素子2のみにおいて位置する実施形態も可能である。
【0082】
上記の実施形態の各々の変形例では、測定素子2の信号収集層22は、接続素子3の誘電体層33と部分的に重なっている。
【0083】
上記の実施形態の各々の別の変形例では、信号収集層22は、最も好適な実施形態と同様に、接着層23を備えていてもよい。
【0084】
上記の実施形態の各々の変形例では、測定素子2において、信号収集層22は、接着層23の上に位置し、別の実施形態では、接着層23は、測定素子2の周縁部に位置して、信号収集層22を部分的に覆っている。
【0085】
本発明の一実施形態の別の変形例では、上記の実施形態のプローブ1は、
図12~
図19に示すように、測定素子2において、測定素子2の周縁部に位置する環状の接着層23をさらに備える。
【0086】
上記の実施形態では、測定素子2の基層21、接続素子3及び接続片4は、好ましくは、1つの素子から成る。
【0087】
プローブの組成
本発明に係るプローブの組成の説明において、「誘導体」は、分子内の1つ又は複数の原子を官能基で置換する(構造を変化させることで)か又は他の原子の基で置換して作製した任意の化合物として理解すべきである。「マトリックス」は、機能相粒子が懸濁された連続相であり、マトリックスが柔軟性を提供する一方で、機能相粒子を含むフレークは、層の導電性を提供するため、マトリックスが、機能相粒子とは異なる対応する物理的パラメータ、例えば、グラフェンフレークが懸濁されたポリマーを提供する。「キャリア」は、硬化前の液体状態のマトリックスである。
【0088】
本明細書では、特に断りのない限り、溶剤が蒸発する前のペースト及び層の組成について記載する。蒸発後、ペースト中の溶媒量は無視できるか又はゼロである。蒸発前のポリマーに対する溶媒の重量比は、「プローブ製造の例示的な工程」と題されたサブセクションに記載される。
【0089】
上記のプローブ1の構造の上記の実施形態では、全ての層が可撓性材料から成る。
【0090】
上記のプローブ1の構造の上記の実施形態では、基層21は、例えばPETフィルムから成る。
【0091】
その後の実施形態では、誘電体層33と基層21とは、同じ材料から成る。
【0092】
図4及び
図5に示す好適な実施形態では、同時に接着層23でもある信号収集層22は、「グラフェン-TPU」層として本明細書で詳述する層であり、導電層32は、「グラフェン-PMMA」層として本明細書で詳述する層である。最も好適な変形例における「グラフェン-TPU」層は、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)と、導電性物質として作用するグラフェンと、デンプン誘導体であり、接着促進剤及び溶媒としての役割を果たすヒドロキシプロピルデンプン(Lycoat RS720デンプン)とを含む。本実施形態では、好適な比率は、ペーストとして(ペーストの形態で)80重量%の熱可塑性ポリウレタンエラストマーTPU、10重量%のLycoat RS720デンプン、及びグラフェンフレークとして10重量%のグラフェンである。
【0093】
図6、
図7、
図12、
図13、
図16及び
図17に示す実施形態では、測定素子2における信号収集層22は、本明細書で「グラフェン」層として説明される層であり、
図8、
図9、
図14及び
図15に示す別の実施形態では、グラフェン層は接続素子3における導電層32でもある。ただし、
図10、
図11、
図18及び
図19に示す実施形態では、測定素子2における信号収集層22及び接続素子3における接続層32の一部はグラフェン層であり、残りの部分において、測定素子2から遠位側にある接続素子の導電層32は、例えば、銀層である。後述するように、この解決策は、信号収集層22がグラフェン層であり、導電層32が銀層であるケースに限定されないことは自明である。
【0094】
別の変形例では、グラフェン層は、ブチルカルビトールアセテートにおいてアルギン酸ナトリウム、グラフェン及びポリ(メタクリル酸メチル)を含む。アルギン酸のレベルは、10~20重量%の範囲内であり、より具体的には、10~12重量%の範囲内であってもよい。一実施形態では、好適な比率は、ブチルカルビトールアセテートにおいて、10重量%のアルギン酸ナトリウム、13重量%のグラフェン及び77重量%のポリ(メタクリル酸メチル)である。本実施形態の代替の変形例では、好適な比率は、ブチルカルビトールアセテートにおいて、12重量%のアルギン酸ナトリウム、13重量%のグラフェン及び75重量%のポリ(メタクリル酸メチル)である。
【0095】
本実施形態の別の変形例では、グラフェン層は、ブチルカルビトールアセテートにおいて、寒天、グラフェン及びポリ(メタクリル酸メチル)を含む。
【0096】
さらに別の変形例では、グラフェン層は、ブチルカルビトールアセテートにおいて、グラフェン及びポリ(メタクリル酸メチル)を含む。
【0097】
図4~
図7、
図10~
図13、及び
図16~
図19に示す上記の実施形態では、導電層32が少なくとも部分的に、本明細書において銀層と呼ばれる層であり、銀層が、マトリックスにおいて、例えばフレーク径が25μm、厚さが10nm未満の銀のマイクロフレークから成る可能性がある。マトリックスは、ブチルカルビトールアセテートにおけるポリ(メタクリル酸メチル)溶液である。例示的な銀層は、ブチルカルビトールアセテートにおいて、70重量%の銀マイクロフレークと、30重量%のポリ(メタクリル酸メチル)とを含む。導電層における銀マイクロフレークを使用することで、プローブによって送信される信号の強度は大幅に向上するが、銀層を有しない本発明の最も好適な実施形態を用いることで、本発明の目的を達成するために必要な充分な導電特性が保証される。
【0098】
上記の実施形態では、誘電体層33、信号収集層22及び接続層32の厚さは、10~15μmであり、上記の実施形態では、信号収集層22は、グラフェン層、グラフェン-TPU層又はグラフェン-PMMA層であり、その厚さは、グラフェン、グラフェン-TPU及びグラフェン-PMMA層が、単層又は二層(2倍の厚さを有する)として形成できるため、10~30μmの範囲内である。
【0099】
上記の実施形態における基層21の厚さは、40~75μmの範囲内である。
【0100】
上記の実施形態では、信号収集層22は、少なくとも1種のキャリア、導電性物質、及び任意選択として、少なくとも1種の接着促進剤を含み、接着促進剤は、ラノリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン、ゼラチン、デンプン及びセルロース、並びにカルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン又はヒドロキシプロピルデンプン(Lycoat RS720デンプン)又はそれらの混合物から選択される1つの物質である。導電性物質は、Au、Ag、PdAg、グラファイト、グラフェン、RuO2、IrO2、Bi2Ru2O7、ITO又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種であり、キャリアは、溶媒を有する高分子化合物、又は溶媒を有する樹脂である。
【0101】
信号収集層22及び/又は接続層32のキャリアが溶媒を有する高分子化合物である上記の諸実施形態では、ポリマーは、エチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリ乳酸(PLA)又はそれらの混合物から選択される1つである。
【0102】
いくつかの実施形態では、導電層32は、好ましくは、厚さが8~15nmで直径が2μmより大きいグラフェンマイクロフレークをマトリックスにおいて含むグラフェン-PMMA層である。マトリックスは、ブチルカルビトールアセテートにおけるポリ(メタクリル酸メチル)溶液(PMMA)である。好適な実施形態では、グラフェン-PMMA層は、ブチルカルビトールアセテートにおいて、13重量%のグラフェン及び87重量%のポリ(メタクリル酸メチル)を含む。グラフェンの使用によって良好な導電性が保証され、導電強度はグラフェンの添加量によって調整できる。好適な実施形態では、導電性グラフェンフレークの直径は、層の厚さよりも大きいので、個々のフレークは、層を貫通して信号を導通することができ、層の高い抵抗にも打ち勝つので、必要な導電を達成するために高濃度のグラフェンフレークは不要である。
【0103】
プローブ1のいくつかの変形例では、接続層32の抵抗試験を実施し、以下のことが判明した。
-導電層32(測定素子2及び接続素子3における)が約1mm幅(厚さ方向に対して垂直な寸法が小さい)の銀層であった場合、抵抗値は30±1Ωであった。
-導電層32(測定素子2及び接続素子3における)が約5mm幅の幅広のグラフェン層(PMMaポリマー+グラフェン)であった場合、抵抗値は2.4±0.15Ωであった。
-導電層32(測定素子2及び接続素子3における)が約1mm幅の細長いグラフェン層(PMMaポリマー+グラフェン)であった場合、抵抗値は37±1.9Ωであった。
【0104】
上記の諸実施形態では、信号収集層22及び/又は接続層32のキャリアにおいて使用される溶媒は、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ブチルカルビトールアセテート(OKB)、クロロホルム、又はそれらの混合物から選択される1つである。
【0105】
上記の諸実施形態では、誘電体層33は、誘電体ペーストであってもよい。
【0106】
プローブ1が別体の接着層23を備えた上記の諸実施形態では、上記接着層23は、ポリマーと接着促進剤とを含み、接着層23のポリマーは、エチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリ乳酸(PLA)、又はそれらの混合物から選択される1つであり、接着層23の接着促進剤は、ラノリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン、ゼラチン、デンプン及びセルロース並びに、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、又はそれらの混合物などのそれらの誘導体から選択される少なくとも1つの物質である。
【0107】
上記のように、好適な実施形態では、接着層23は、信号収集層22を有する1つの層である。
【0108】
一実施形態では、基層21は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、多環式オレフィン(PCO)又はポリノルボルネン(PNB)、ポリイミド(PI)、フッ素ポリエステルから選択される1つの材料を含む。
【0109】
プローブ製造の例示的な工程
本発明のプローブ1は、可撓性の基層の上で、スクリーン印刷技術などの印刷工程で製造することができる。
【0110】
この技法による印刷を行う場合、キャリアは、溶媒に溶解されたポリマーであり、溶媒は、好適なスクリーンを通過し、基層21などの基材上にキャリアを沈降させた後で蒸発し、プローブ1の層を含む硬化したペーストが残る。
【0111】
好適な実施形態では、印刷に使用されるインクが印加される、印刷に用いるスクリーンは、好ましくはスクリーンと基材との間の空隙が約700μmであり、スキージの圧力が約10~50Nであり、スキージの移動速度が好ましくは600mm/分であり、スキージレークが45度である、密度77~90Tのポリエステルスクリーンである。
【0112】
スクリーン印刷技法によってプローブ1の各層を形成するペーストを作製して、充分な品質の層を作製する間、ペーストが高い粘度を有し、スクリーン上での拡散が防止され、正確な寸法のプローブを作製するために必要な精密なパターンの印刷が可能であり、その影響によりペーストの粘度が低下せざるを得ない能動的せん断力への感受性があることが重要である。換言すると、せん断速度が増加するにつれてペーストの粘度は大幅に低下する-この効果はずり減粘と呼ばれる。ペーストがスクリーンを通過した後で、ペーストは基層の上に沈降し、せん断速度は低い値に戻る。スクリーン印刷工程のこの段階では、ペーストの粘度は急激に増加して、印刷直後のパターンの広がりを防止し、印刷後の最初のミリ秒の間、新たに印刷された層へのスクリーンをマッピングすることで形成される凹凸が均される。ペーストは、妥当なチキソトロピー(液体のメモリ)を示し、ペーストにおける粘度増加の工程は急激には進まないことが好適である。厚層法による層の製造に使用されるペーストは、約10s-1の剪断速度において、50~70Pa・sの粘度を特徴とする必要があり、粘度曲線の勾配は約-0.50~-0.65の範囲内である必要がある。
【0113】
プローブ1の上述の組成を可変剪断速度に対応して形成する複合材料について粘度測定が実施され、流動曲線が20℃の一定温度で決定された。全せん断速度範囲で、3重量%未満のグラフェンを含有する、低粘度のペーストは、ずり減粘の特性を示さなかった。より高いグラフェン含有量を含むペーストにおいてのみ、粘度の明確な増加が観察された-濃度が10重量%を超えるグラフェンを有するペーストは、スクリーン印刷技術で使用されるペーストで許容される値を大幅に超える極めて高い粘度を示した。複合体の粘度が高すぎると、ペーストの塗布が阻害され、表現された層で印刷の退色が生じることがある。したがって、最も好適な実施形態では、「グラフェン-TPU」層におけるグラフェン含有量は10重量%に設定され、溶媒の蒸発前には、キャリアは、キャリアの85~90%を構成するジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した10~15重量%の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)で構成され、蒸発後に、熱可塑性ポリウレタンエラストマーは層の80%を構成し、その間、ジメチルホルムアミドは完全に蒸発した。
【0114】
「グラフェン-PMMA」層では、ポリマーに比例してより大量の溶媒を用いることにより、より多くのグラフェンを使用できた。最も好適な実施形態では、「グラフェン-PMMA」層におけるグラフェン含有量は13重量%に設定され、溶媒の蒸発前には、キャリアは、キャリアの90~92重量%を構成するブチルカルビトールアセテート(OKB)に溶解した8~10重量%のポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)で構成され、蒸発後に、ポリ(メタクリル酸メチル)は層の87%を構成し、その間、ブチルカルビトールアセテートは完全に蒸発した。
【0115】
個々の層の適当な特性を確保するためには、印刷物の適当な硬化パラメータを選択する必要がある。
【0116】
接続層32及び信号収集層22のケースでは、溶媒インクは印刷に適しており、溶剤の蒸発はサーマルチャンバの乾燥装置において実行される。最適硬化期間及び温度は、30分かけて120℃であり、当該パラメータはオーバープリントの劣化を防止する。
【0117】
誘電体層33のケースでは、最も実用的な印刷用インクは感光性インクであるため、オーバープリントの硬化はUV乾燥装置において実行される。UV乾燥装置のケースでは、コンベヤベルトの好適な進行とランプ電力とが選択された。コンベヤベルトの最適な進行は50mm/分であり、ランプ電力は100Wである。
【0118】
プローブの固定及び信号の送信
手術過程において、プローブ1は、測定素子2の信号収集層22を心臓面に装着することによって心臓に固定される。信号収集層22/接着層23の組成又は別体の接着層23によって提供される接着性と、プローブ1の軽さとによって、プローブは接着によって容易に心臓に付着し、臓器面に損傷を与えず、非侵襲的な測定が提供される。
【0119】
測定素子2の信号収集層22で収集された信号は、接続素子3の導電層32を通して接続片4へ送信され、プローブ1の測定素子2は、信号収集層22のみを通して心臓からの信号を取得し、一方、測定素子2は反対側からは基層21によって術野から絶縁されている。接続素子3は、一方の側の基層21と他方の側の誘電体層33とによって心臓から完全に絶縁されている。心臓面から収集されたECG信号は、接続層32によって、接続素子3から延びる接続片4へ送信され、測定システム6の一部であるカーディオモニタに接続するように構成された信号ケーブル5に接続するように構成されている。
【0120】
本発明に係るプローブ1は、当該専用信号ケーブル5を通して、手術室で使用される任意のカーディオモニタと併用するように構成されている。プローブ1の端部は信号ケーブル5に接続され、信号ケーブル5は、手術を実施する標準的な技法で、接接続片4を通してECG皮膚電極に固定されている。
【0121】
プローブ1の測定素子2に対して反対側の端部に配置された接続片4は、接続片4を穿孔して損傷することなく、当技術分野で周知の一種のクリップであるいわゆるばねクリップを用いて標準の信号ケーブル5を装着できるプラットフォームを構成する。接続片4は、厚さ方向に対して垂直な平面において、例えば、好ましくは、基層21の寸法が7mm×22mm、接続層32の寸法が5mm×20mmの矩形状を有し、又は、上記の標準のクリップに接続片4を装着するのに充分な任意の形状及び寸法を有し、クリップと、プローブ1の接続素子3の導電層32との間の接続を確立する。前述したように、接続片4は基層21によって片側のみから絶縁されているため、信号ケーブル5と接続素子3の導電層32との間に電気接続を確立することが可能である。
【0122】
そのような接続によって、皮膚からの標準の測定読み取りであるかのように、心臓面から直接収集された信号を読み取って解釈する可能性が確保される。こうして、本発明のプローブ1は、皮膚面からのECG監視を心臓面からの監視に配置換えした。接続片4を通してプローブをカーディオモニタに接続する方法によって、使用の融通性が保証され、追加の測定システム6、すなわち、電子回路及びソフトウェアを設定する必要がない。さらに、本発明のプローブ1をカーディオモニタに接続するこの方法によって、医療スタッフ7a、7b、7cに周知の標準の方法でカーディオモニタ上にECG曲線を表示することが保証され、別体のモニタも、他の医療機器8を活用することも不要である。さらに、STセグメントの移動を含む心電図曲線を描画するカーディオモニタのソフトウェアは従来と同じ方法で動作でき、皮膚面から送信される信号の分析と同じ方法でSTセグメントの分析を実行することができる。
【0123】
プローブ1は、心臓面から収集された信号を標準のカーディオモニタ用に完全に読み取れるように調整された電気信号の抵抗値を有する。
【0124】
したがって、プローブ1は、臨床現場で使用される監視基準に従って実施されるECG監視に用いるのに好適であり、標準的なソフトウェアを搭載したカーディオモニタを用いて、いわゆるECGサイズ(又は提示された曲線のサイズ)を自動的に調整し、取得された複数の信号をディスプレイに同時に提示することと、心虚血の分析(いわゆるECG記録におけるSTセグメントの分析)と、を可能にする。
【0125】
充分に長い接続素子3があることで、信号ケーブル5をプローブ1に装着することが可能であり、信号ケーブル5が術野(開胸部-心膜嚢)に入り込むことが確実に防止される。信号ケーブル5を術野の領域のプローブ1に装着すると、重力が作用した場合、信号ケーブル5の重さだけでプローブ1に過度の歪みが生じたり、プローブ1が心臓面から脱落する可能性があり、又は、ケーブルが心膜嚢の内部に落下するリスクがあり、これにより患者の傷害を引き起こすことがあり、プローブが切り裂かれたり、ケーブルが濡れる可能性がある。したがって、プローブ1の接続素子3は、接続片4が繋がったプローブ1の端部が術野から離れ、手術領域外においてのみ、自由に引き回される信号ケーブル5が接続片4に装着されるような長さを有する。好ましくは、長さは10cmより大きく、より好ましくは約17cmである。これにより、心臓の位置及びプローブ1の測定素子2が装着された場所に関わらず、接続片4を患者の開胸領域外に引き出して、心臓面から収集した電気信号を術野の外部に出力することができる。
【0126】
信号収集層22と接着層23との接着性は、接着性を損なうことなしに心臓面から測定素子2を剥離し、心臓面に再度貼り付けることによって、心臓面上のプローブの姿勢及び位置を繰り返し変更することを可能にする。
【0127】
試験中にプローブ1の各層の導電性と接着性の両方を確認した。その結果を以下に示す。
【0128】
プローブ1の製造のための上記の工程は、専ら例として示したものであって、本発明に係るプローブを製造するための工程を限定しないことを理解されたい。プローブ1は、提示された構造のプローブ1を提供する何れかの同等の工程によって作製することができる。
【0129】
別の実施形態では、測定素子2からの信号を送信する接続素子3は、ECG信号を送信することができ、手術領域から隔離された非可撓性の材料を含む任意の異なる材料から成っていてもよい。
【0130】
なお、本明細書中に現れる「円形の」、「矩形の」、「楕円の」という用語又は同種のものは、全て実施例として提示したものであって、プローブ1の素子の形状やそれらの構成を限定するものではない。
【0131】
プローブ1の全ての実施形態は、上に説明したように、プローブ1を備えた心外膜ECG監視のための測定システム6にも関連する。
【0132】
本発明の一実施形態によれば、システム6は、プローブ1を表示デバイス、例えば、カーディオモニタに接続する信号ケーブル5を備える。
【0133】
シミュレートされた条件における送信信号の品質に関するプローブ試験
本発明のプローブ1で用いる最良の接続層32を選択するために、プローブ1の上記の諸実施形態の異なる変形例を、様々な条件下で収集された信号を導通する際の安定性及び品質について試験した。
【0134】
試験の結果を以下に示す。
【0135】
以下の項目について、導電性に関する試験を行った。
a)スティミュレータプローブ上のプローブ1の測定素子の位置を変更したときの導電の安定性評価、
b)反復変形時にプローブ1内の導電を維持する能力、
c)カーディオモニタによる処理を可能にする電圧での信号の取得(導電への過剰に高い抵抗の不存在という判定基準)、
d)安定した信号の取得(カーディオモニタ上での連続的なECG記録の取得を阻害する可能性があるノイズの不存在という判定基準)。
【0136】
実験
電気生理学的シミュレータは、毎分80拍の周期の生理学的洞調律の諸特性を有する電気信号を生成するようにプログラムされた。皮膚からの読み出しのための標準ECG電極は、信号出力電極を有するプレートに接続された。次いで、電極の1つを本発明に係るプローブ1の試作品と交換した。その後、試作品を信号出力電極上で回転(移動)させ、手で握って再び貼り付けた。
【0137】
このように、
図4に示す本発明の一実施形態に係るプローブ1のいくつかの変形例について検査した。信号収集層22及び導電層32は、以下の組成を有するグラフェン層又はグラフェン-PMMA層であり、グラフェンは以下から製造される材料の1つである。
-平均径25μm、厚さ10nmの、Cheap Tube社製のグラフェンフレーク;
-厚さがそれぞれ2~8nm及び15nmで、平均径が5~25μmのXG Science社(米国)製のシリーズM及びシリーズHグラフェンフレーク;
-平均径が2μmより大きく、厚さが8~15nmの範囲内の、Cheap Tube社製のグラフェンフレーク。
【0138】
電気的試験から明らかになったのは、Cheap Tube社製フレークを含有する層によって最良の電気的パラメータが実証されたということと、代替品として、同様に層面が高度に作製され又は層面の粗面度が高い、且つ電気的パラメータがほんのわずかだけ低い、XG Science社製のシリーズM-25フレークが考えられるということである。
【0139】
結果
本発明に係るプローブ1の全ての試験済みの試作品は、生理学的洞調律モードにおいてシミュレータによって生成された心電図信号を実行する能力を示した。使用するプローブ1にかかわらず、信号は心電図モニタによって正確に提示された。信号曲線は、シミュレータに内蔵されたカーディオモニタのシステム(ソフトウェア)によって自動的且つ正確に較正された。
【0140】
全ての試験を行ったモデルで、心電図信号は本発明に係るプローブ1によって最も良好に送信された。本発明に係るプローブ1において、信号収集層22は、マトリックス内に12.5~13重量%の濃度のCheap Tube社製のグラフェンフレークを含有する層であり、ブチルカルビトールアセテートにおけるポリ(メタクリル酸メチル)は、キャリアの8重量%を構成する。
【0141】
さらに、以下のことが判明した。
a)本発明に係るプローブ1を回転させると、1~3ECGエボリューションをカバーする表示にわずかな乱れが生じ、この乱れは、移動(プローブ1との金属シミュレータ電極の擦れ)を停止した後で安定する。心電図用ゲル及びその他の導電促進剤は試験中に使用されなかったため、乱れは拍動心臓の面上では全く発生せず、又は完全に無視できる可能性がある。
b)プローブ1を反復して握る動作は、何れの実験においても信号の導通能力に影響を与えなかった。
c)固定位置にあるプローブ1を数分間操作した間に、ノイズ又はその他の乱れの発生は認められなかった。プローブ1は、正確に作動し、診断ECG記録を提示した。
【0142】
様々な接着促進剤を用いた接着力についてのプローブ試験
本発明に係るプローブ1の様々な変更例を、プローブ1の位置が変化した際の、プローブ1が組織面上に留まる能力と、プローブ1を組織から剥離するのに必要な力と、プローブ1を貼り付けて剥離することのプローブ1が組織に与える肉眼で見える影響(連続性の中断)とについて試験した。力の評価を、0~3gの範囲及び0~30gの範囲内で作動するダイナモメータを用いて手動で且つ動的に実施した。
【0143】
試験では、心筋構造とよく似た鶏肉(室温下で水で濡らした鶏むね肉)を使用した。
【0144】
図4に示すプローブ1の一実施形態の12個の変形例を検査した。
【0145】
モデルAは、信号収集層22/接着層23がグラフェン層であり、グラフェン層の組成が試験を行ったモデルの変形例の間で異なる、
図4に示すプローブ1の実施形態である。
【0146】
モデルBは、信号収集層22/接着層23がグラフェン-TPU層であり、導電層32がグラフェン-PMMA層である、
図4に示すプローブ1の実施形態である。
【0147】
測定素子2が20mm径で、試作品が信号収集層22を構成するグラフェン層の組成が互いに異なる、所与の実施形態における本発明に係るプローブ1のモデルAの11個の試作品と、測定素子2が20mm径のプローブ1のモデルBの1つの試作品とを試験した。試験を行った組成物は以下に示す。
モデルA:
1.1重量%のラノリンを添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(1重量%のラノリン+13重量%のGNP(グラフェン)+86重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート);
2.2重量%のラノリンを添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(2重量%のラノリン+13重量%のGNP(グラフェン)+85重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリア、を含むブチルカルビトールアセテート);
3.5重量%のラノリンを添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(5重量%のラノリン+13重量%のGNP(グラフェン)+82重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート);
4.1重量%の寒天を添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(1重量%の寒天+13重量%のGNP(グラフェン)+86重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート);
5.2重量%の寒天を添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(2重量%の寒天+13重量%のGNP(グラフェン)+85重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート);
6.5重量%の寒天を添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(5重量%の寒天+13重量%のGNP(グラフェン)+82重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート);
7.5重量%の寒天を添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(5重量%の寒天+13重量%のGNP(グラフェン)+82重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート+2gの温水);
8.1重量%のアルギン酸ナトリウムを添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(1重量%のアルギン酸ナトリウム+13重量%のGNP(グラフェン)+86重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート);
9.2重量%のアルギン酸ナトリウムを添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(2重量%のアルギン酸ナトリウム+13重量%のGNP(グラフェン)+85重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート);
10.5重量%のアルギン酸ナトリウムを添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(5重量%のアルギン酸ナトリウム+13重量%のGNP(グラフェン)+82重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート);
11.5重量%のアルギン酸ナトリウムを添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト(5重量%のアルギン酸ナトリウム+13重量%のGNP(グラフェン)+82重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート+2gの温水)。
モデルB:
12.10重量%のGNP(グラフェン)+10重量%のLycoat RS720デンプン(ヒドロキシプロピルデンプン)+80重量%の熱可塑性ポリウレタンエラストマーキャリアを含むジメチルホルムアミド(DMF)である、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)のペースト。
【0148】
結果
プローブ1をプローブ1の試作品毎に組織面に貼付した後、プローブ1の組織への接着を評価したところ、プローブ1が組織に接着していることが判明した。基材に対する組織の位置を追加の牽引を行わずに90度変化させたところ、プローブ1の全ての試作品が組織面上に残っていた。
【0149】
接着力のマニュアル評価で、心臓面上の外科的操作に近似する力でプローブ1を剥離するときに、ラノリンの百分率含量に関係なく、ラノリンを使用するプローブが最も早く破損するが、離脱があまりにも容易に進行することが判明した。寒天及びアルギン酸を用いて作製されたプローブは、主観的にはより強固に保持されており、5重量%のアルギン酸を包含するペーストを用いて作製されたプローブ1は、ほぼ理想的な-予想通りの-接着性と手動牽引に対する耐性とを特徴としていた。一方、10重量%のグラフェンと10重量%のLycoat RS720(サンプルNo.12)とを含有するプローブ1のモデルBは、最良の接着性を特徴としていたので、本発明の最も好適な実施態様である。
【0150】
接着力のダイナモメトリック(引張)評価を行った後、プローブを剥離する試験をさらに数回試み、得た値を以下に示す。
【0151】
【0152】
組織上でのプローブ1の貼付及び剥離の肉眼で見える影響を評価した際に、各試作品のケースで、本発明に係るプローブ1の使用による肉眼で見える組織の損傷は確認されなかった。剥離力の試験後、プローブ1の試作品の何れも破壊されず、信号収集層22は連続性を維持した。
【0153】
実施された試験によって、接着添加剤の重量百分率の増加とともに、測定領域全体における筋組織への接着力が増加し、最大値の接着作用力ですら、本発明に係るプローブ1が貼付された組織を損傷しないことが判明した。試験中に、最良の接着性を示したのがLycoatデンプン(ヒドロキシプロピルデンプン)であり、これが試験を行ったサンプル中最も効率的な接着促進剤であることも判明した。
【0154】
組織への反復貼付時のプローブ接着耐久力に関する試験
本発明に係るプローブ1の変形例を、組織へのその後の貼付の間の接着耐久力について検査した。
【0155】
エクスビボ試験では、心筋構造とよく似た鶏肉(室温下で水で濡らした鶏むね肉)を使用した。
【0156】
プローブ1の試験を行った変形例の1つは、
図4のプローブのモデルCであり、導電層32は、生体適合性マトリックスにおいて銀マイクロフレークを含有する層であり、基層21はPETフィルムであり、信号収集層22/接着層23は、10重量%のアルギン酸ナトリウムを添加したポリ(メタクリル酸メチル)のペースト組成(10重量%のアルギン酸ナトリウム+13重量%のGNP(グラフェン)+77重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むブチルカルビトールアセテート)を備えたグラフェン層であり、測定素子2は20mm径である。
【0157】
プローブ1の試験を行った別の変形例は、
図4にも示す、プローブ1の最も好適な実施態様の変形例、すなわちプローブのモデルBであり、導電層32は、ブチルカルビトールアセテートに、13重量%のGNP(グラフェン)+87重量%のポリ(メタクリル酸メチル)キャリアを含むポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)のペースト組成を備え、平均径が2μmより大きく厚さが8~15nmの範囲内の、Cheap Tube社製のグラフェンフレークを包含する「グラフェン-PMMA」層であり、基層21はPETフィルムであり、接着層23も構成する信号収集層22は、10重量%のグラフェンと、10重量%のLycoat RS720デンプン(ヒドロキシプロピルデンプン)と、を添加した熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)のペースト組成を備え、測定素子2が20mm径である「グラフェン-TPU」層である。
【0158】
試験では、プローブ1を、組織面に短手方向に貼付した-プローブ1の面を基板に対して垂直に、牽引力ベクトルに平行に配置した。この位置は、環状動脈バイパス移植術の過程で心臓の短手方向又は底の壁面にプローブ1を貼付する手術状況に最も良く対応する。ダイナモメータを使用することで、プローブ1が組織面から剥離される力を評価した。次に、プローブ1を組織の同じ位置に再び貼付し、次いで牽引を行った。実験においては、全く同一のプローブ1を使用した。対照測定として、同径ではあるが接着層23がないプローブ1を側面で5回貼付した。このようにして、測定素子2及び接続素子3、並びに接続片4のための基材を備えた基層21のみで発生する接着力を評価した。
【0159】
上記の以前の試験の結果に基づいて、5g以下の接着力が拍動心臓面でのプローブ1の期待される維持のしきい値であり、この値において、最小の操作でプローブ1を組織から剥離することができ、この値が臨床で使用できないと判定された。
【0160】
したがって、5gの値に達すると試験が中断され、この値に達するまでに行った複数回の貼付によって、1つのプローブ1の貼付の最大回数の範囲内の連続的な貼付に耐えるプローブ1の強度が示されるだろう。
【0161】
組織面に対して30回貼付を実施した。この数は、冠動脈バイパス移植術の1回の手術中の、心臓面への貼付の予定回数を大幅に超える値である。手術のセットアップにおけるプローブ1の心臓への平均予定貼付回数は、5回の貼付に等しい。
【0162】
結果
プローブ1のモデルCのケースでは、最初の3回の測定において、30gより大きい接着力の25gまでの低下が観察された。次いで、9回目の貼付においては、さらに、接着力が初期値の約50%まで低下する傾向が見られた。次いで、接着力は、15回目の測定まで、初期接着力の約60%のレベルで安定していた。その後貼付を続けたところ、24回の貼付で、接着力は最小レベルの7gまで低下した。その後の貼付においては、接着力は向上し、初期値の約50%のレベルで上下した。最後に予定された貼付(No.30)では、20gの値が得られた。プロトコルに従って、プローブ試験は30回の貼付を終えて完了した。この実験の間、プローブ1の接着力は、しきい値である5gを一度も下回ることがなかった。
【0163】
基層21を備えたプローブ1を心臓に3回から4回貼付する対象研究では、しきい値未満の接着力が記録された。
【0164】
プローブ1のモデルBのケースにおいては、最初の3回の測定では、接着力の値に同一であり、25g付近で上下していた(正確な結果を表3に示す)。次いで、接着力を低下させる傾向が見られたが、接着力は、プローブ1のモデルCと比較して低下速度が遅いことが観察された-プローブ1のモデルBの場合には、初期接着力の50%より大きい接着力が最後の貼付まで維持され、接着力は20回目の貼付時に初めて初期接着力の値の60%に低下した。さらに、プローブ1のモデルBは、想定される試験時間全体にわたって、全ての心臓壁面で、心臓面に安定して維持され、プローブ1の測定素子2の各縁部が心臓面から剥離することはなかった。
【0165】
心臓に貼付された、信号収集層22を備えたプローブ1のモデルCと、心臓に貼付された、信号収集層22を備えたプローブ1のモデルBについて実施した試験中に得た値を以下に示す。
【0166】
【0167】
【0168】
試験中、本発明に係るプローブ1はプローブ1のモデルBは被試験モデルに関わらず組織への30回の貼付において予想されるレベルの接着力を維持しており、プローブ1のモデルCでは、4回目~5回目の貼付の後でプローブ1は初期値の約50~60%のレベルまでの接着力の低下を示しているが、これらの値はプローブ1を維持するのに必要な最小値を超える値である。一方、プローブ1のモデルBは最大30回目の貼付まで初期値の50%を超える接着力を維持するが、4回目~5回目の貼付においては、接着力の初期値からの20%の低下、すなわち、初期値からの80%のレベルまでの低下しか観察されていない。さらに、30回のうちのその後の貼付の間、プローブ実施態様の両方のモデルにおけるプローブ1の接着力の値は最小の要求値を超えないため、プローブ1はその機能を失うことはないことが分かった。さらに、信号収集層22を備えたプローブ1を組織に貼付する試験の結果を、基層21を備えたプローブ1を貼付する試験の結果と比較したところ、基層21を備えたプローブ1を組織に貼付した場合と比較して、信号収集層22を含むプローブ1のモデルCは3倍~6倍大きい接着力があることが観察された。
【0169】
プローブ消毒後の接着耐久性試験
本発明に係るプローブ1の最も好適な実施形態としてのプローブ1のモデルBにガンマ線を照射し、照射後のプローブ1の接着力の維持を評価し、その結果を、以前に示したプローブ1の照射前の接着力の結果と比較して以下の表に示す。
【0170】
【0171】
試験結果は、ガンマ線の照射によって本発明に係るプローブ1のモデルBの接着性が低下しないことを明示している。消毒後、このモデルは、想定期間全体にわたって全ての心臓壁面について心臓面上に安定して残っていた。位置が変化した際の接着力の損失も、プローブ1のモデルBの柔軟性の喪失も見られないため、本発明に係るプローブを適切に消毒して医療用途に供することができる。また、最良の接着性を有するため、プローブ1のモデルBは本発明に係るプローブ1の好適な実施形態である。ただし、プローブの最も好適な実施形態という呼称は、変形例の接着性を強調するためのものであって、プローブのその他の上記の変形例の使用を排除するものではないことを理解されたい。
【0172】
照射の実施後、同一条件下で、プローブの接着性の試験の一部、信号の導通及びカーディオモニタ上の信号記録の提示の試験(プローブ1とカーディオモニタとの協働のチェック)も実施した。プローブ1のモデルBは、医療用具の消毒に使用する用量のガンマ線を予め照射し、心臓面からの電気信号を正確に導通したが、個別の心臓壁面における測定素子2の様々なその後の位置の間で信号を導通する際に差異は見られず、プローブは、経時的に、又は位置の変化によって、その導電能力を変化させなかった。さらに、照射後、プローブ1のモデルBはカーディオモニタと正確に協働し、自動調整モードを設定したモニタ上に提示された信号は正確に調整され、測定限界を外れなかった、これにより、プローブ1のモデルBは、心虚血の評価のためのECG記録の診断使用に必要な診断特性を維持する。
【0173】
プローブの生体適合性
本発明に係るプローブ1のモデルBは、上記試験に基づいて、本発明に係るプローブ1の一実施形態の最も好適な変形例であると考えられるが、さらに、生体適合性試験、すなわち、ISO EN ISO10993-5及びEN ISO10993-10:2015規格に準拠して実施される細胞毒性試験及び刺激試験に供された。
【0174】
上記試験の結果、本発明に係るプローブ1のモデルBは、心臓面上で安全に使用でき、同時に心臓面上に安定して残留し、心虚血を検出する可能性が確認されたことを示した。
【0175】
全ての実施形態及びその変形例は、本発明に関する非限定的な表示としてのみ記述されたものであって、決して特許請求の範囲によって定義される保護の範囲を限定するものではない。本発明に係るプローブにおいて使用されるいかなる技術的解決策も、保護の範囲を超えることなく、同等の技術によって実施することができることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓からの電気信号を測定するための測定素
子と、前記測定された心臓信号を接続
片を通して出力するように構成された接続素
子と、を備え、前記測定素子2が、前記接続素
子と電気的に接続され、前記測定素
子が、前記測定素
子の少なくとも一部にわたって位置する信号収集
層と、前記測定素
子の全面にわたって延びる基
層と、を包含する積層素子であり
、前記接続素
子が、導電
層と、前記導電
層を絶縁する誘電体
層と、前記接続素
子の全面にわたって延びる前記基
層と、を包含する積層素子であり、
前記測定素子の前記信号収集層が、前記心臓に対するプローブを固定できる接着層であり、前記接続素
子の、前記測定素
子とは反対側の端部に設けられた前記接続
片が、前記導電
層と前記基
層とを包含する積層素子であり、前記測定素
子の、厚さ方向に対して垂直な最大寸法が30mmであることを特徴とする、心外膜ECG監視のため
のプローブ。
【請求項2】
前記信号収集
層と前記基
層との間の前記測定素
子が前記導電
層を備え、一方、前記接続素
子において、前記誘電体
層の上に前記導電
層が配置され、前記導電
層の上に前記基
層が位置し、前記測定素
子の前記導電
層及び前記接続素
子の前記導電
層が、前記測定素
子と前記接続素
子とにまたがって延びる連続的な導電層を構成することを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記測定素
子において、前記基
層が前記信号収集
層の上に位置し、前記接続素
子において、前記基
層が前記導電
層の上に位置し、前記導電
層が前記誘電体
層の上に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記測定素
子において、前記基
層が前記信号収集
層の上に位置し、前記接続素
子において、前記基
層が前記導電
層の上に位置し、前記導電
層が前記誘電体
層の上に配置され、前記測定素
子の前記信号収集
層及び前記接続素
子の前記導電
層が、前記測定素
子と前記接続素
子とにまたがって延びる連続的な層を構成することを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項5】
前記測定素
子において、前記基
層が前記信号収集
層の上に位置し、一方、前記接続素
子において、前記誘電体
層の上に前記導電
層が配置され、前記導電
層の上に前記基
層が位置し、前記測定素
子に隣接する部分の前記接続素
子の前記導電
層が、前記測定素
子の前記信号収集
層と同じ材料から成り、残りの部分が、別の導電性材料から成ることを特徴とする、請求項1に記載のプローブ。
【請求項6】
前記測定素
子の前記信号収集
層が、前記接続素
子の前記誘電体
層と部分的に重なることを特徴とする、請求項1から
5の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項7】
前記測定素
子において、前記信号収集
層が前記接着
層の上に位置することを特徴とする、請求項1から
6の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項8】
前記測定素
子が、前記測定素
子の周縁部に位置して前記信号収集
層を部分的に覆う前記接着
層を備えたことを特徴とする、請求項1から
6の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項9】
前記測定素
子において、前記接着
層がグラフェン-TPU層であることを特徴とする、請求項
1に記載のプローブ。
【請求項10】
前記接続素
子における前記導電
層がグラフェン-PMMA層であることを特徴とする、請求項1から
9の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項11】
前記測定素
子における前記信号収集
層がグラフェン層であることを特徴とする、請求項1から
10の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項12】
前記接続素
子における前記導電
層がグラフェン層であることを特徴とする、請求項1から
9の何れか一項又は請求項
11に記載のプローブ。
【請求項13】
前記導電
層が少なくとも部分的に銀層であることを特徴とする、請求項1から
12の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項14】
厚さ方向に対して垂直な平面内の前記測定素
子が円形の形状を有することを特徴とする、請求項1から
13の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項15】
厚さ方向に対して垂直な前記平面内の前記接続素
子が長方形の形状を有することを特徴とする、請求項1から
14の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項16】
前記測定素
子と前記接続素
子とが同一平面内に位置することを特徴とする、請求項1から
14の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項17】
全ての前記層が可撓性材料から成ることを特徴とする、請求項1から
15の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項18】
前記誘電体
層と前記基
層とが同じ材料から成ることを特徴とする、請求項1から
17の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項19】
前記接着
層が環状の形状を有することを特徴とする、請求項
7又は
8に記載のプローブ。
【請求項20】
前記接続素
子が前記接続
片を通して信号ケーブ
ルに接続されていることを特徴とする、請求項1から
19の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項21】
前記信号収集
層が、少なくとも1種のキャリア、導電性物質、及び任意選択として、少なくとも1種の接着促進剤を含むことを特徴とする、請求項1から
20の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項22】
前記接着促進剤が、ラノリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン、ゼラチン、デンプン及びセルロース、及び、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンなどのそれらの誘導体又はそれらの混合物から選択される1つの物質を含むことを特徴とする、請求項
21に記載のプローブ。
【請求項23】
前記導電性物質が、Au、Ag、PdAg、グラファイト、グラフェン、RuO
2、IrO
2、Bi
2Ru
2O
7、ITO、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項
21に記載のプローブ。
【請求項24】
前記キャリアが、溶媒を含む高分子化合物、又は溶媒を含む樹脂であることを特徴とする、請求項
21に記載のプローブ。
【請求項25】
前記ポリマーが、エチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリ乳酸(PLA)又はそれらの混合物から選択される1種であることを特徴とする、請求項
24に記載のプローブ。
【請求項26】
前記溶媒が、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ブチルカルビトールアセテート(OKB)、クロロホルム、又はそれらの混合物から選択される1種であることを特徴とする、請求項
24に記載のプローブ。
【請求項27】
前記グラフェン-TPU層が、ジメチルホルムアミド中に、グラフェンと、ヒドロキシプロピルデンプンと、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとを含むことを特徴とする、請求項
9に記載のプローブ。
【請求項28】
前記グラフェン-TPU層が、ジメチルホルムアミド中に、10重量%のナトリウムグラフェンと、10重量%のヒドロキシプロピルデンプンと、80%の熱可塑性ポリウレタンエラストマーとを含むことを特徴とする、請求項
27に記載のプローブ。
【請求項29】
前記グラフェン-PMMA層が、ブチルカルビトールアセテート中に、グラフェンとポリ(メタクリル酸メチル)とを含むことを特徴とする、請求項
10に記載のプローブ。
【請求項30】
前記グラフェン-PMMA層が、ブチルカルビトールアセテート中に、13重量%のグラフェンと87重量%のポリ(メタクリル酸メチル)とを含むことを特徴とする、請求項
29に記載のプローブ。
【請求項31】
前記グラフェン層が、ブチルカルビトールアセテート中に、アルギン酸ナトリウムと、グラフェンと、ポリ(メタクリル酸メチル)とを含むことを特徴とする、請求項12又は請求項
12に記載のプローブ。
【請求項32】
前記グラフェン層が、ブチルカルビトールアセテート中に、10重量%のアルギン酸ナトリウムと、13重量%のグラフェンと、77重量%のポリ(メタクリル酸メチル)とを含むことを特徴とする、請求項
31に記載のプローブ。
【請求項33】
前記グラフェン層が、ブチルカルビトールアセテート中のポリ(メタクリル酸メチル)と、グラフェン、及び/又は寒天とを含むことを特徴とする、請求項
11又は
12に記載のプロー
ブ。
【請求項34】
前記銀層がマトリックス中に銀マイクロフレークを含むことを特徴とする、請求項
13から
33の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項35】
前記銀層がブチルカルビトールアセテート中に70重量%の銀マイクロフレークと、30重量%のポリ(メタクリル酸メチル)とを含むことを特徴とする、請求項
13から
34の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項36】
前記マトリックスが、ポリ(メタクリル酸メチル)を含むブチルカルビトールアセテートの溶液であることを特徴とする、請求項
34に記載のプローブ。
【請求項37】
前記誘電体層33が誘電体ペーストを含むことを特徴とする、請求項1から
36の何れか一項に記載のプローブ。
【請求項38】
前記接着層23がポリマーと接着促進剤とを含むことを特徴とする、請求項
6から
37の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項39】
前記ポリマーが、エチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル及びポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)、ポリ乳酸(PLA)、及びそれらの混合物から選択される1種であることを特徴とする、請求項
38に記載のプローブ。
【請求項40】
前記接着促進剤が、ラノリン、寒天、アルギン酸ナトリウム、コラーゲン、ゼラチン、デンプン及びセルロース、並びに、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンなどのそれらの誘導体、又はそれらの混合物から選択される1種であることを特徴とする、請求項
38に記載のプローブ。
【請求項41】
前記基層21が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、多環式オレフィン(PCO)又はポリノルボルネン(PNB)、ポリイミド(PI)、フッ素ポリエステル又はそれらのコポリマーから選択される1つの物質であることを特徴とする、請求項1から
40の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項42】
前記測定素
子及び前記接続素
子の個別の層が、前記基
層上への印刷工程によって作製されることを特徴とする、請求項1から
41の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項43】
前記測定素
子の直径が10mm~30mmであることを特徴とする、請求項1から
42の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項44】
前記誘電体
層、前記信号収集
層、前記接続
層の厚さが、10~15μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から
43の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項45】
前記基
層の厚さが40~75μmの範囲内であることを特徴とする、請求項1から
44の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項46】
前記グラフェン含有層の厚さが、10~30μmの範囲内であることを特徴とする、請求項
9から
45の何れか1項に記載のプローブ。
【請求項47】
請求項1から
46の何れか一項に記載の前記プロー
ブを備えた、心外膜ECG監視のための測定システム。
【請求項48】
前記システムが、前記プロー
ブを表示デバイスに接続する信号ケーブ
ルを備えたことを特徴とする、請求項
46に記載のシステム。
【請求項49】
前記信号ケーブ
ルに接続するための接続
片が、前記プロー
ブの前記測定素
子と反対側の、前記プロー
ブの前記接続素
子の端部に位置することを特徴とする、請求項
46又は
48に記載のシステム。
【請求項50】
前記表示デバイスが、カーディオモニタを備えることを特徴とする、請求項
47から
49の何れか1項に記載の測定システム。
【国際調査報告】