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特表2023-522976熱分解油のろ過及び金属酸化物処理を伴う石油精製を介したポリプロピレンへの廃プラスチックのサーキュラーエコノミー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】熱分解油のろ過及び金属酸化物処理を伴う石油精製を介したポリプロピレンへの廃プラスチックのサーキュラーエコノミー
(51)【国際特許分類】
   C10G 55/06 20060101AFI20230525BHJP
   C10G 1/10 20060101ALI20230525BHJP
   C10G 11/18 20060101ALI20230525BHJP
   C10G 31/09 20060101ALI20230525BHJP
   C10G 25/00 20060101ALI20230525BHJP
   C08F 10/06 20060101ALI20230525BHJP
   C08C 19/08 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
C10G55/06
C10G1/10
C10G11/18
C10G31/09
C10G25/00
C08F10/06
C08C19/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564218
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 US2021028642
(87)【国際公開番号】W WO2021216873
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/014,013
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティムケン、ヘ - ギョン
【テーマコード(参考)】
4H129
4J100
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB03
4H129BC02
4H129BC03
4H129BC04
4H129BC11
4H129BC28
4H129BC37
4H129CA22
4H129KA02
4H129KA19
4H129KB02
4H129KC03X
4H129KC04X
4H129KC10X
4H129KC28X
4H129KC28Y
4H129KD06X
4H129KD07X
4H129KD07Y
4H129KD15X
4H129KD15Y
4H129KD24X
4H129KD24Y
4H129KD30X
4H129KD30Y
4H129KD37Y
4H129KD44X
4H129KD44Y
4H129MA01
4H129MA13
4H129MB03C
4H129MB06B
4H129MB09A
4H129NA01
4H129NA20
4H129NA21
4H129NA26
4H129NA43
4J100AA03P
4J100GC37
4J100HA51
(57)【要約】
提供されるのは、一実施形態では、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む廃プラスチックをポリプロピレン重合のためのリサイクルに変換するための連続プロセスである。このプロセスは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそれらの混合物を含む廃プラスチックを選択し、廃プラスチックを熱分解反応器に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し、熱分解された流出物を生成することを含む。熱分解された流出物は、オフガス、熱分解油(ナフサ、ディーゼル及び重質留分を含む)、並びにチャーに分離される。熱分解油、又は少なくとも留分は、ろ過/金属酸化物処理に通され、処理された生成物は精製FCCユニットに通される。液化石油ガスCオレフィン/パラフィン混合物留分及びCオレフィン/パラフィン混合物留分は、FCCユニットから回収される。Cオレフィン留分は、プロピレン重合反応器に通され、Cパラフィンは、脱水素化ユニットに通され、さらなる重合のためにプロピレンを生成することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを、ポリプロピレン重合のためのリサイクルに変換するための連続プロセスであって、
(a) ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む廃プラスチックを選択する工程、
(b) (a)からの前記廃プラスチックを、熱分解反応器に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し、熱分解された流出物を生成する工程、
(c) 前記熱分解された流出物を、オフガス、熱分解油(ナフサ/ディーゼル/重質留分を含む)、並びにチャーに分離する工程、
(d) (c)からの前記熱分解油を、ろ過/金属酸化物処理に通す工程、
(e) 処理された前記熱分解油を回収し、それを精製FCCユニットに通す工程、
(f) 前記FCCユニットから、液化石油Cオレフィン/パラフィン混合物留分を回収する工程、
(g) 前記Cパラフィン及び前記Cオレフィンを異なる留分に分離する工程、
(h) 前記Cオレフィンを、プロピレン重合反応器に通す工程、
を含む、上記プロセス。
【請求項2】
パラフィンを脱水素化ユニットに通してCオレフィンを生成し、次いでCオレフィンをプロピレン重合反応器に通すことをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ガソリン及び重質留分を、精製FCCユニットから回収する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
ポリプロピレン生成物が、重合されたプロピレンから調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記FCCユニットによって生成されるガソリンの量が、リサイクルされた熱分解油で増加する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
(a)で選択された廃プラスチックが、プラスチック分類グループ2、4、及び/又は5からのものである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ろ過において、平均直径5ミクロン以下の細孔を有するフィルターを用いる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記細孔の平均直径が1ミクロン未満である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記金属酸化物処理が、CaO、ZnO、MgO、NiO、MoO、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、粘土又はそれらの混合物から選択される金属酸化物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記金属酸化物処理が、200°Fを超える温度で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ろ過/金属酸化物処理が、FCCユニットを含む精製所で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
ろ過が熱分解設備で行われ、金属酸化物処理がFCCユニットを含む精製所で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
ろ過処理後、ヘプタン不溶分の含有量が0.1重量%未満に減少する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
金属酸化物処理後、塩化物含有量が5ppm未満に減少する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
金属酸化物処理後、総金属不純物が10ppm未満である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
(d)のろ過/金属酸化物処理において、固体微粒子及び塩化物の低減が達成され、精製FCCユニットによって、S、ジエン、オレフィン、及びNの低減が達成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
熱分解油のディーゼル及び重質留分のみ、又は熱分解油の重質留分のみが、ろ過及び金属酸化物処理に通される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
(e)で回収された処理された熱分解油が、最初にFCC前処理ユニットに通されて、そこから流出物が回収され、その回収された流出物が、精製FCCユニットに通される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
(d)のろ過/金属酸化物処理において、固体微粒子及び塩化物の低減が達成され、精製FCC供給前処理ユニットによって、S、ジエン、オレフィン及びNの低減が達成される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
熱分解油のディーゼル及び重質留分のみ、又は熱分解油の重質留分のみが、ろ過及び金属酸化物処理に通される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項21】
廃プラスチックを、ポリプロピレン重合のためのリサイクルに変換するための連続プロセスであって、
(a) ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む廃プラスチックを選択する工程、
(b) (a)からの前記廃プラスチックを、熱分解反応器に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し、熱分解された流出物を生成する工程、
(c) 前記熱分解された流出物を、オフガス、熱分解油(ナフサ/ディーゼル/重質留分を含む)、並びにチャーに分離する工程、
(d) (c)からの前記熱分解油を、ろ過/金属酸化物処理に通す工程、
(e) 処理された前記熱分解油を回収し、それをプロピレン重合のために精製所に送る工程、
を含む、上記プロセス。
【請求項22】
前記ろ過において、平均直径5ミクロン以下の細孔を有するフィルターを用いる、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記細孔の平均直径が1ミクロン未満である、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記金属酸化物処理が、CaO、ZnO、MgO、アルミナ、シリカ若しくはシリカ-アルミナ、又はそれらの混合物から選択される金属酸化物を含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項25】
前記金属酸化物処理が、200°F(93℃)を超える温度で行われる、請求項21に記載のプロセス。
【請求項26】
ろ過処理後、ヘプタン不溶分の含有量が0.1重量%未満に減少する、請求項21に記載のプロセス。
【請求項27】
金属酸化物処理後、塩化物含有量が5ppm未満に減少する、請求項21に記載のプロセス。
【請求項28】
金属酸化物処理後、総金属不純物が10ppm未満である、請求項21に記載のプロセス。
【請求項29】
ろ過が熱分解設備で行われ、金属酸化物処理がFCCユニットを含む精製所で行われる、請求項21に記載のプロセス。
【請求項30】
(a)で選択された廃プラスチックが、プラスチック分類グループ2、4、及び/又は5からのものである、請求項21に記載のプロセス。
【請求項31】
精製所で持続可能な燃料製品を製造し、該製品を混合してガソリン、ジェット及び/又はディーゼル製品を製造することをさらに含む、請求項21に記載のプロセス。
【請求項32】
ジェット燃料製品がブレンドされる、請求項31に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
世界はプラスチック生産の非常に急速な成長を目の当たりしてきた。PlasticsEurope Market Research Groupによると、世界のプラスチック生産量は、2016年に3億3500万トン、2017年に3億4800万トン、2018年に3億5900万トンであった。マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、世界のプラスチック廃棄物量は、2016年に年間約2億6000万トンと推定され、現在の軌道が続く場合、2030年までに年間4億6000万トンになると予測されている。
【背景技術】
【0002】
使い捨てプラスチック廃棄物は、ますます重要な環境問題になっている。現時点では、ポリエチレンやポリプロピレンの廃プラスチックを付加価値のある化学製品や燃料製品にリサイクルするための選択肢はほとんどないようである。現在、少量のポリエチレンとポリプロピレンのみが、ケミカルリサイクルを介してリサイクルされ、このリサイクルされて清浄化されたポリマーペレットは、熱分解ユニットで熱分解され、燃料(ナフサ、ディーゼル)、スチームクラッカー供給原料、又はスラックワックスが生成される。
【0003】
廃プラスチックを炭化水素潤滑剤に変換するプロセスが知られている。例えば、米国特許第3,845,157号は、廃ポリオレフィン又は未使用のポリオレフィンを分解して、エチレン/オレフィンコポリマーなどのガス状生成物を形成し、これらをさらに処理して合成炭化水素潤滑剤を製造することを開示している。米国特許第4,642,401号は、粉砕されたポリオレフィン廃棄物を150~500℃の温度及び20~300バール(2~30MPa)の圧力で加熱して、液体炭化水素を製造することを開示している。米国特許第5,849,964号は、廃プラスチック材料を揮発性相と液相に解重合するプロセスを開示している。揮発性相は、気相と凝縮物に分離される。液相、凝縮物及び気相は、標準的な精製技術を用いて液体燃料成分に精製される。米国特許第6,143,940号は、廃プラスチックを重質ワックス組成物に変換するための手順を開示している。米国特許第6,150,577号は、廃プラスチックを潤滑油に変換するプロセスを開示している。欧州特許出願公開第0620264号は、廃ポリオレフィン又は未使用のポリオレフィンから潤滑油を製造するプロセスであって、廃棄物を流動床内で熱的に分解することにより、ワックス状生成物を形成し、任意選択で水素化処理を使用し、次いで触媒的に異性化及び分留して潤滑油を回収するプロセスを開示している。
【0004】
廃プラスチックを潤滑油に変換するためのプロセスに関する他の文書には、米国特許第6,288,296号、第6,774,272号、第6,822,126号、第7,834,226号、第8,088,961号、第8,404,912号及び第8,696,994号、並びに米国特許出願公開第2019/0161683号、第2016/0362609号、及び第2016/0264885号が含まれる。前述の特許文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0005】
熱分解を介したケミカルリサイクルの現在の方法では、プラスチック業界に大きな影響を与えることはできない。現在の熱分解操作では、品質に乏しい燃料成分(ナフサ及びディーゼル範囲の製品)が生成されるが、その量は十分少ないので、これらの生成物を燃料供給にブレンドすることができる。しかし、環境問題に対処するため、非常に大量の廃ポリエチレンと廃ポリプロピレンをリサイクルするためには、このような単純なブレンドを続けることはできない。熱分解ユニットから生成されたままの生成物は、品質があまりに乏しすぎるので、輸送用燃料に大量にブレンド(例えば、5~20vol%ブレンド)することはできない。
【0006】
使い捨てプラスチックを工業的に大量にリサイクルして環境への影響を減らすためには、より堅牢なプロセスが必要である。この改善されたプロセスでは、廃ポリエチレン及び廃ポリプロピレンプラスチックの「サーキュラーエコノミー(循環経済)」が確立されるべきであり、使用済みの廃プラスチックが、ポリマーや高価値の副生成物の出発原料として効果的にリサイクルされる必要がある。
【発明の概要】
【0007】
提供されるのは、廃プラスチックをポリプロピレン重合のためのリサイクルに変換するための連続プロセスである。このプロセスは、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む廃プラスチックを選択することを含む。次いで、これらの廃プラスチックを熱分解反応器(pyrolysis reactor)に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し(thermally crack)、熱分解された流出物(pyrolyzed effluent)を生成する。熱分解された流出物は、オフガス、熱分解油(ナフサ、ディーゼル及び重質留分を含む)、並びにチャーに分離される。熱分解油に加えて、熱分解ワックスも生成することができる。
【0008】
このプロセスを石油精製(oil refinery)に組み込むことは、本プロセスの重要な側面であり、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの使い捨て廃プラスチックで、サーキュラーエコノミーを実現することができる。このように、熱分解油(例えば、熱分解ユニットからの液体留分全体)は、精製FCCユニットに通され、そこから液化石油(liquid petroleum)オレフィン流を回収することができる。FCCユニットからのCオレフィン流を分離し、プロピレン重合ユニットに通すことができる。
【0009】
本プロセスの別の重要な側面は、流れが精製ユニットと統合される前に、液体熱分解生成物をアップグレードすることである。熱分解油及びワックス廃プラスチックには、複数の汚染物質が含まれており、FCCユニットなどの精製ユニットに大量に供給することができない。なぜなら、これらの汚染物質は、精製触媒を失活させたり、ユニットの詰まりを引き起こしたり、又は一般に炭素鋼でできている処理ユニットで腐食を引き起こしたりするためである。微細ろ過(fine filtration)とそれに続く金属酸化物処理の使用は、熱分解生成物をアップグレードして精製ユニットで安全に処理するための効果的な処理プロセスであることがわかっている。微細ろ過と金属酸化物処理の使用により、精製所と統合することで、大量に効率的なリサイクルが可能になる。
【0010】
別の実施形態では、ポリエチレン及びポリプロピレンを含む廃プラスチックを、ポリプロピレン重合のためのリサイクルに変換するための連続プロセスが提供される。このプロセスは、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む廃プラスチックを選択し、次いで、廃プラスチックを熱分解反応器に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し、熱分解された流出物を生成することを含む。熱分解された流出物は、オフガス、熱分解油(ナフサ、ディーゼル及び重質留分を含む)、並びにチャーに分離される。熱分解油(熱分解ユニットからの液体留分全体)は、微細ろ過され、次いで金属酸化物処理される。結果として得られる処理された熱分解生成物は、精製FCCユニットに安全に通される。FCCユニットは、処理された熱分解油生成物を、FCC炭化水素生成物に変換する。FCC生成物は、FCCユニット分離セクションに送られ、オフガス、C、C、FCCガソリン及び重質留分が生成される。Cは、混合物から分離されてCオレフィン/パラフィン混合物が残り、この混合物は、CパラフィンとCオレフィン留分に分離される。Cオレフィンは、プロピレン重合反応器に通される。任意選択で、Cパラフィンは、脱水素化ユニットに通され、その後のポリプロピレンへの重合のためにプロピレンが生成される。
【0011】
回収されたFCCガソリンは、ガソリンブレンドプールに送られる。FCCユニット蒸留からの炭化水素の重質部分は、清浄なガソリン及びディーゼルにアップグレードするために、適切な精製ユニットに送られる。回収されたCLPG留分は、ブタン及びブテンを含み、清浄なガソリン及びディーゼルを製造するために様々なアップグレードプロセスに送ることもできる。
【0012】
一実施形態では、処理された熱分解油は、FCCユニットの前に、精製FCC供給原料前処理ユニットに通される。このユニットは、FCCユニットの触媒性能を損なう硫黄、窒素、リン、シリカ、ジエン、及び金属の除去に効果的である。また、このユニットは芳香族化合物を水素化し、FCCユニットの液体収率を向上させる。
【0013】
とりわけ他の要因の中でも、精製操作(refinery operation)を追加することにより、廃熱分解油(waste pyrolysis oil)及び廃熱分解ワックスを、ガソリン、ディーゼル、及び基油などの高価値製品にアップグレードできることがわかっている。また、精製操作を追加することにより、廃熱分解油から、清浄なナフサ(C-C)又はC若しくはCを効率的かつ効果的に生成し、究極のポリプロピレンポリマーの生産ができることがわかっている。リサイクルされたプラスチックから、未使用のポリマーと同等の製品品質を備えたポリプロピレン製品に至るプロセス全体において、プラスの経済性が実現される。さらに、精製所の操作に統合する前に熱分解油をアップグレードすることにより、最も効果的なプロセスが達成されることが発見された。微細ろ過と金属酸化物処理を組み合わせて使用することが最も効果的であることがわかっている。このような熱分解油のろ過/金属酸化物処理により、より大量の廃プラスチックを安全にリサイクルすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、廃プラスチックを熱分解して燃料又はワックスを生成する現在のプラクティスを示している(基本ケース)。
【0015】
図2図2は、熱分解設備における熱分解油のろ過/金属酸化物処理のための本プロセスを示している。
【0016】
図3図3は、精製所で行われる熱分解油のろ過/金属酸化物処理を含む本プロセスに従って、廃プラスチックからリサイクルポリプロピレンへのサーキュラーエコノミー(循環経済)を確立するための本プロセスを示している。
【0017】
図4図4は、廃プラスチックのリサイクルに関するプラスチックのタイプ分類を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本プロセスでは、廃ポリエチレン及び/又は廃ポリプロピレンを、未使用ポリプロピレン(virgin polypropylene)にリサイクルし、別個の工業プロセスを組み合わせることによって、サーキュラーエコノミー(循環経済)を確立する方法が提供される。ポリエチレンとポリプロピレンポリマーの大部分は、使い捨てプラスチックに使用され、使用後に廃棄される。この使い捨てプラスチック廃棄物は、ますます重要な環境問題になってきている。現時点では、ポリエチレンやポリプロピレンの廃プラスチックを付加価値のある化学物質や燃料製品にリサイクルするための選択肢はほとんどないようである。現在、少量のポリエチレン/ポリプロピレンのみがケミカルリサイクルを介してリサイクルされ、このリサイクルされて清浄化されたポリマーペレットは、熱分解ユニットで熱分解され、燃料(ナフサ、ディーゼル)、スチームクラッカー供給原料、又はスラックワックスが生成される。
【0019】
ポリプロピレンは、ポリエチレンに次いで2番目に広く生産されている汎用プラスチックであり、年間約6000万トンが世界的に生産されている。包装(頑丈な再利用可能な容器やボトル、透明なバッグ又は透明な容器)、ラベル、パイプ、繊維、発泡体、衣類など、様々な消費者向け及び工業用製品で広く使用されている。ポリプロピレンは、ポリエチレンに似た性質を有しているが、やや硬く、耐熱性が高く、耐薬品性に優れている。工業的な製造プロセスは、気相重合、塊状重合、スラリー重合に分類することができる。最先端のプロセスはすべて、60~80℃で気相反応システム又はバルク反応システムを使用している。ポリプロピレンの特性(密度0.895及び0.92g/cm)は、そのタクティシティー(隣接するモノマー単位のメチル基に対するメチル基の配向)に強く影響される。ポリプロピレンのタクティシティー(アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン)は、適切なチーグラー・ナッタ又はメタロセン有機金属触媒を選択することにより、選択することができる。
【0020】
今日、上述した非効率性のため、使用済みポリエチレン製品及びポリプロピレン製品のごく一部のみがリサイクルの取り組みのために収集されている。本プロセスにより、精製所と統合されたプロセスを使用することで、より大量の使い捨てプラスチック廃棄物を安全にリサイクルすることができる。本プロセスによって、サーキュラーエコノミー(循環経済)が効果的に確立される。
【0021】
図1は、今日の業界で一般的に行われている廃プラスチック燃料又はワックスの熱分解の図を示している。上述したように、一般的に、ポリエチレンとポリプロピレンの廃棄物は、一緒に選別される(1)。洗浄されたポリエチレン/ポリプロピレン廃棄物2は、熱分解ユニット3において、オフガス4及び熱分解油(液体生成物)に変換される。熱分解ユニットからのオフガス4は、熱分解ユニットを操作するための燃料として使用される。熱分解ユニット内の蒸留ユニットは、熱分解油を分離してナフサ及びディーゼル5製品を製造し、これらを燃料市場に販売する。重質熱分解油留分6は、燃料収量を最大化するために熱分解ユニット3に再循環される。チャー7は、熱分解ユニット3から除去される。重質留分6は、長鎖の直鎖状炭化水素に富み、非常にワックス状である(すなわち、周囲温度まで冷却するとパラフィン系ワックスを形成する)。ワックスは、重質留分6から分離して、ワックス市場に販売することができる。
【0022】
精製ユニットに導入する前に熱分解油をアップグレードにより、プロセス全体の有効性及び安全性が向上することが発見された。より具体的には、精油ユニットへの共供給(co-feeding)のために熱分解生成物から除去する必要がある重要な物質には、残留チャー、金属及び塩化物などの成分が含まれる。これらの不純物を含む熱分解生成物は、精製ユニットに大量に供給することはできない。なぜなら、チャーや無機固形物がユニットの詰まりを引き起こし、金属が精製触媒を永久に失活させ、塩化物が処理装置の腐食を引き起こすからである。塩化物不純物の低減は、精製ユニットに供給する前に特に重要である。なぜなら、塩化物は、ほとんどの精製ユニットを構成しているむき出しの炭素鋼に深刻な腐食を引き起こす可能性があるためである。塩化物による腐食は、ほとんどの精製ユニットが稼働している500°F(260℃)を超える高温で特に加速される。
【0023】
本プロセスの熱分解生成物処理は、熱分解油及びワックスの製造中に、熱分解ユニットと組み合わせて効率的に行うことができる。あるいは、熱分解油及びワックスを精製ユニットに供給する前に、精製所で処理を行うこともできる。微細ろ過及び金属酸化物処理の本プロセスは、S不純物及びN不純物も、オレフィン及びジエン含有量も減少させない。サーキュラーエコノミーを確立するための現在のプロセスでは、これらの化合物の変換は、流動接触分解(FCC)ユニット、FCC供給原料前処理装置、精製所・粗製ユニット、コーカー、留出物水素化処理装置又は水素化分解装置などの精製ユニットによって効果的に達成される。
【0024】
本プロセスは、廃ポリマーの熱分解生成物流を石油精製操作(oil refinery operation)に統合することにより、熱分解されたポリエチレン及び/又はポリプロピレンの廃プラスチックを大量に変換する。得られたプロセスは、ポリマーの原料(ナフサ又はC-C若しくはC、プロピレン重合ユニット用のみ)、並びに高品質のガソリン、ジェット及びディーゼル燃料、及び/又は高品質の基油を生成する。
【0025】
一般に、本プロセスは、ポリプロピレンプラントのためのサーキュラーエコノミー(循環経済)を提供する。ポリプロピレンは、純粋なプロピレンの重合を介して製造される。
【0026】
廃熱分解油を高価値製品(ガソリン及びディーゼル、基油)にアップグレードするための、並びに、究極のポリプロピレンポリマーの生産のための清浄なLPGを生産するための、精製操作を追加することによって、リサイクルされたプラスチックから、未使用のポリマーと同等の品質を備えたポリプロピレン製品に至るプロセス全体において、プラスの経済性を生み出すことができる。
【0027】
熱分解ユニットは、カルシウム、マグネシウム、塩化物、窒素、硫黄、リン、シリコン、ジエン、及び重質成分などの汚染物質を含む低品質の製品を製造し、これらの製品は、輸送用燃料のブレンドのために大量に使用することができない。これらの製品を精製ユニットに通すことにより、汚染物質を前処理ユニットで捕捉し、それらの悪影響を軽減できることが発見された。燃料成分は、化学変換プロセスを備えた適切な精製ユニットでさらにアップグレードすることができ、統合プロセスによって製造される最終的な輸送用燃料は、より高品質で、燃料の品質要件を満たすことができる。本プロセスでは、ワックスを、貴重なガソリン、ディーゼル及び基油にアップグレードする。統合プロセスは、プロピレン生成及びポリプロピレン製造用のはるかに清浄なC流を生成する。これらの仕様通りの大量生産により、実現可能なリサイクルプラスチックの「サーキュラーエコノミー」が可能になる。
【0028】
しかしながら、流れが精製ユニットと統合される前に、熱分解生成物のアップグレードが依然として必要であることが発見されており、これは本プロセスの重要な側面である。熱分解油及びワックス廃棄プラスチックには、精製触媒を失活させたり、又はユニットの詰まりを引き起こしたり、又は一般にむき出しの炭素鋼でできている処理ユニットで深刻な腐食を引き起こしたりするため、精製ユニットに大量に供給することができない複数の汚染物質が含まれている。
【0029】
図2は、微細ろ過及び金属酸化物処理の一連のプロセスを示す。図2では、洗浄されたポリエチレン/ポリプロピレン廃棄物22を、熱分解反応器23に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し、熱分解された流出物を生成する。チャー26は、一般に、熱分解反応器23から除去される。流出物を、部分冷却のための熱交換器60に通し、次いで気液分離ユニット61に通す。オフガス24は、熱分解ユニットを操作するための燃料として使用することができる。熱分解された流出物からの液体生成物は、次いで、微細ろ過ユニット27-1に通される。任意選択で、製造された熱分解ワックスを微細ろ過(及び金属酸化物処理)に送ることもできる。
【0030】
微細ろ過ユニットは、熱分解油中の固形物、特に熱分解プロセスによって生じたチャーや汚染から生じる無機固形物を除去する。金属は、多くの場合、金属塩化物、金属又は金属酸化物の形態で無機固形物として存在する。このように、微細ろ過プロセスは、チャー、金属、金属酸化物、金属塩化物に由来する汚染物質を減少させる。非常に微細なフィルター媒体を使用する必要があり、優先的には5ミクロン未満、より優先的には2.5ミクロン未満、最も優先的には1ミクロン未満の公称ろ過精度のフィルターを使用する必要がある。異なるサイズのフィルターエレメントを備えた複数のフィルターユニットを直列に使用してもよい。これらのフィルターメディア(ろ材)は、工業用途でよく知られている。フィルターメディアは、熱分解油の温度と、特に汚染物質の化学的性質に耐えられるものでなければならない。残留固体含有量は、例えば、ヘプタン不溶性試験、ASTM D-3279法によって測定することができる。ヘプタン不溶分の含有量は、0.5重量%未満、好ましくは0.1%未満に低減する必要がある。
【0031】
ろ過後、ろ過された液体流出物は、金属酸化物処理27-2に通される。金属酸化物処理は、ろ過された熱分解油から有機塩化物及び金属を除去する。塩化物と不純物の除去は、金属酸化物処理温度が200°F(93℃)を超えて、優先的には300°F(149℃)を超えて、最も優先的には400°F(204℃)を超えて行われると、より効果的である。好ましい圧力範囲は、大気圧から1000psigまでであり、優先的には0psigから600psigまでである。金属酸化物のファウリング(fouling)を低減し、性能を向上させるために、任意選択でHガスを処理プロセスに追加することができる。Hガス流量の好ましい量は、熱分解油の0~2000scf/bblの範囲である。表面積の大きい金属酸化物は、追加の汚染物質を捕捉することもできる。CaO、ZnO、MgO、アルミナ、シリカ、粘土、シリカ-アルミナなどの金属酸化物は、塩化物除去に有効である。Mg、Ca、Al、Zn、又はこれらの組合せでできている混合金属酸化物は、有機塩化物の除去に特に効果的である。塩化物含有量を10ppm未満、好ましくは5ppm未満、最も好ましくは1ppm未満に減少させることが望ましい。Ni、Mo、リン酸塩、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、又はこれらの組合せでできた金属酸化物は、残留金属の除去に特に効果的であるが、塩化物、窒素、リン、シリコンなどの他の汚染物質も除去することができる。総残留金属含有量を10ppm未満、好ましくは5ppm未満に減少させることが望ましい。不純物を効果的に除去するために、異なる金属酸化物の組合せを使用することができる。
【0032】
次いで、処理された流出物を熱交換器62で冷却し、処理された液体生成物全体(ナフサ、留出物及び重質留分)25を精製ユニット63に送ることができる。
【0033】
熱分解ユニットは、廃プラスチック収集サイトの近くに配置することができ、このサイトは、精製所から離れた場所、精製所の近く、又は精製所内にあることができる。熱分解ユニットが精製所から離れた場所にある場合、熱分解油(ナフサ/ディーゼル及び重質油)は、トラック、はしけ、鉄道車両、又はパイプラインによって精製所に移送することができる。しかしながら、熱分解ユニットは、廃プラスチック収集サイト内又は精製所内にあることが好ましい。
【0034】
図3では、微細ろ過及び金属酸化物処理27が、熱分解設備で行われる。熱分解ユニット23からの液体熱分解生成物全体25は、ろ過ユニットに送られ、続いて酸化物処理が行われる。高温の熱分解液は、貯蔵及び/又は移送のために周囲温度まで完全に冷却される前に、ろ過され、金属酸化物で処理されることが好ましい。したがって、ろ過及び金属酸化物処理は、液体生成物全体25が回収された後に熱分解設備で行われるか、又は液体生成物全体の収集工程と同時に行われることが好ましい。処理された液体生成物は、次いで精製所に移送することができる。別の実施形態では、液体生成物全体25を、精製所に移送することができ、微細ろ過及び金属酸化物処理27は、精製所で完了する。
【0035】
本プロセスの好ましい出発材料は、主にポリエチレンとポリプロピレンを含む選別された廃プラスチックである(プラスチックリサイクル分類タイプ2、4、及び5)。事前に選別された廃プラスチックは、洗浄され、細断又はペレット化されて、熱分解ユニットに供給され、熱分解される。図4は、廃プラスチックのリサイクルに関するプラスチックのタイプ分類を示している。分類タイプ2、4、及び5は、それぞれ高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及びポリプロピレンである。ポリエチレンとポリプロピレンの廃プラスチックは、任意の組合せで使用することができる。本プロセスでは、少なくともいくらかのポリエチレンの廃プラスチックを使用することが好ましい。
【0036】
N、Cl、Sなどの汚染物質を最小限に抑えるには、廃プラスチックを適切に選別することが非常に重要である。ポリエチレンテレフタレート(プラスチックリサイクル分類タイプ1)、ポリ塩化ビニル(プラスチックリサイクル分類タイプ3)及びその他のポリマー(プラスチックリサイクル分類タイプ7)を含むプラスチック廃棄物は、5%未満、好ましくは1%未満、最も好ましくは0.1%未満に選別される必要がある。本プロセスは、適度な量のポリスチレンを許容できる(プラスチックリサイクル分類タイプ6)。廃ポリスチレンは、30%未満、好ましくは20%未満、最も好ましくは5%未満に選別される必要がある。
【0037】
廃プラスチックを洗浄すると、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの金属汚染物質、及び他の廃棄物源からの非金属汚染物質が除去される。非金属汚染物質には、シリカなどの周期表第IVA族からの汚染物質、リンや窒素化合物などの第VA族からの汚染物質、硫黄化合物などの第VIA族からの汚染物質、及び、フッ化物、塩化物、ヨウ化物などの第VIIA族からのハロゲン化物汚染物質が含まれる。残留金属、非金属汚染物質、及びハロゲン化物は、50ppm未満、優先的には30ppm未満、最も優先的には5ppm未満まで除去する必要がある。
【0038】
熱分解は、プラスチック材料原料を、熱分解ゾーン内において熱分解条件で接触させることによって行われ、そこでは、供給原料の少なくとも一部が分解され、それにより、主に1-オレフィン及びn-パラフィンを含む熱分解ゾーン流出物が形成される。熱分解条件は、約400℃~約700℃、好ましくは約450℃~約650℃の温度を含む。従来の熱分解技術は、大気圧を超える圧力での操作条件を教示している(例えば、米国特許第4,642,401号を参照)。さらに、圧力を下方に調整することにより、所望の生成物の収率を制御できることがわかっている(例えば、米国特許第6,150,577号を参照)。したがって、そのような制御が望まれるいくつかの実施形態では、熱分解圧力は大気圧未満である。
【0039】
微細ろ過の使用と、それに続く金属酸化物処理の使用により、腐食、目詰まり、又は触媒の失活などの問題を引き起こすことなく、効率的に精製所に通すことができる供給流を達成するのに不可欠であることが発見された。微細ろ過とは、細孔サイズが5.0ミクロン以下、好ましくは1.0ミクロン以下、一実施形態では約0.5ミクロンのフィルターを意味する。この処理により、大量の廃プラスチック熱分解液体生成物を精製所に通すことができ、最も効果的なリサイクルプロセスを実現することができる。
【0040】
図3は、本統合プロセスを示しており、廃プラスチックの熱分解、ろ過及び金属酸化物処理、並びに効率的なポリプロピレン製造のためのリサイクルを伴う統合された精製操作を示している。図2及び図3における同じ番号は、同じタイプのユニット及び製品の流れを指す。洗浄された廃プラスチック22は、熱分解ユニット23において、オフガス24と熱分解油(液体生成物)に変換される。熱分解ユニットからのオフガス24は、熱分解ユニット23を操作するための燃料として使用することができる。熱分解油(液体生成物全体25)は、ナフサ、ディーゼル留出物及び重留留分を含む。熱分解工程の完了後、チャー26は、熱分解ユニット23から除去される。熱分解油全体(ナフサ、留出物(distillate)及び重質留分)25は、ろ過及び金属酸化物処理27を通され、次いで、流動接触分解(FCC)ユニット28に送られる。任意選択で、熱分解油の一部のみ(留出物及び重質留分のみ、又は重質留分のみ)をFCCユニットに送ることができる。
【0041】
流動接触分解(fluid catalytic cracking:FCC)プロセスは、他の精製操作から回収された常圧軽油、減圧軽油、常圧残油及び重質分を、高オクタン価ガソリン、軽燃料油、重燃料油、オレフィンリッチ軽質ガス(LPG)及びコークスに変換するために、精製業界で広く使用されている。FCCは、高活性ゼオライト触媒を使用して、ライザー内の950~990°F(510~532℃)の反応器温度で、数分以下の短い接触時間で重質炭化水素分子を分解する。オレフィン(プロピレン、ブチレン)を含むLPG流は、通常、アルキレートガソリンを製造するため、又は化学製品の製造に使用するためにアップグレードされる。従来のFCCユニットが使用される。
【0042】
FCCユニットで石油由来の油と組み合わされた熱分解液体油を分解すると、液化石油ガス(LPG)オレフィン流31及び32、並びにガソリン29及び重質留分30が生成される。C オフガス33も生成される。
【0043】
精製所は、一般に、精製ユニットを通って流れる石油由来の油からの独自の炭化水素の供給を有している。廃プラスチックの熱分解から生成され、精製ユニットへと流れる熱分解油の流れの体積は、精製ユニットへの流れ全体(総流量)の任意の実用的又は収容可能な体積%(vol%)を構成することができる。一般に、廃プラスチックの熱分解から生成される熱分解油(及びワックス)の流量は、実際的な理由から、総流量(すなわち、精製流量と熱分解流量)の最大約50vol%とすることができる。一実施形態では、熱分解油の流量は、総流量の最大約20vol%の量である。別の実施形態では、熱分解油の流量は、総流量の最大約10vol%の量である。約20vol%は、精製所への影響において非常に実用的な量であると同時に、優れた結果を提供し、収容可能な量であることがわかっている。もちろん、熱分解から生成される熱分解油及びワックスの量は、精製ユニットに通される留分が、流量の所望の体積%を提供するように制御することができる。
【0044】
LPGオレフィン流31は、プロパン及びプロピレンを含むC液化石油ガス(LPG)留分である。プロパン及びプロピレンの混合物のC流は、プロパン/プロピレンスプリッター(PPスプリッター)34によって分離され、プロピレン35及びプロパン36の純粋な流れを生成する。プロピレン流35は、ポリプロピレン重合ユニット40に直接供給することができる。
【0045】
純粋なプロパンを、プロパン脱水素化ユニット37に供給してプロピレン35を製造し、次いで最終的に、プロピレン重合ユニット40でポリプロピレンを製造してもよい。プロパンの脱水素化は、プロピレンを製造するために業界で広く行われている。反応は吸熱反応であり、変換は多段反応器と段間ヒーターによって維持される。ユニットは、典型的には、貴金属(Pt)触媒の存在下で、高温(>900°F)及び低圧(<50psig)で操作される。多段プロセスにより、約85%の純度のプロピレン/プロパン混合物が生成される。この流れは、高効率の蒸留塔であるプロパン-プロピレン(P-P)スプリッターに送られる。このスプリッターにより、純度99.5~99.8%の純粋なプロピレン流が生成される。
【0046】
LPGオレフィン流32は、ブタン及びブテンを含むC液化石油ガス(LPG)留分である。この留分は、精製所のアルキレーションユニット (図示せず) に送られるか、又はガソリンにアップグレードされ若しくはブレンドされ得る。
【0047】
FCCガソリン29は、ガソリンブレンドプールに送ることができる。FCCユニット28から回収された重質部分30は、清浄なガソリン及びディーゼル39にアップグレードするために、適切な精製ユニット38(水素化処理、水素化分解及び/又はコーカーユニットなど)に送られる。C流32は、ガソリンブレンドプールに送られるか、又は(アルキル化又はCオレフィン二量化又はエーテル合成などのプロセスを介して)さらに清浄なガソリンにアップグレードされる。
【0048】
プロピレン重合ユニット40で製造されたポリプロピレンポリマーは、その後、消費者向け製品41に製造することができる。
【0049】
プロピレン重合ユニットは、原料(プロパン及びプロピレン)をパイプラインを介して移送できるように、精製所の近くに配置することが好ましい。精製所から離れた場所にある石油化学プラントの場合、原料は、トラック、はしけ、鉄道車両、又はパイプラインを介して配送することができる。
【0050】
別の実施形態では、処理された熱分解油は、FCCユニットの前に、最初にFCC供給原料前処理装置(図示せず)に送られる。FCC供給原料前処理装置は、典型的には、固定床反応器内でバイメタル(NiMo又はCoMo)アルミナ触媒を使用して、660~780°F(349~415℃)の反応器温度及び1,000~2,000psi(6.89~13.79MPa)の圧力でHガス流を用いて供給原料を水素化する。精製FCC供給原料前処理ユニットは、FCCユニットの触媒性能を損なう硫黄、窒素、リン、シリカ、ジエン、及び金属の除去に効果的である。また、このユニットは芳香族化合物を水素化し、FCCユニットの液体収率を向上させる。
【0051】
精製操作において出入りするカーボンは「透明」(“transparent”)であり、これは、廃プラスチックからのすべての分子が、ポリオレフィンプラントに循環して戻り、正確なオレフィン製品になるとは限らないことを意味するが、それにもかかわらず、精製所に出入りする正味の「グリーン」カーボン(“green”carbon)がポジティブであるため、「クレジット(credit)」とみなされる。これらの統合プロセスにより、ポリエチレンプラントに必要な未使用供給原料の量は大幅に削減されることになる。
【0052】
サーキュラーエコノミーと効果的かつ効率的なリサイクルキャンペーンのメリットは、本統合プロセスによって実現される。微細ろ過と金属酸化物処理の使用により、より大量の供給原料を安全かつ効率的に精製所を通して循環させることができる。
【0053】
以下の非限定的な例は、本プロセスとその利点を例示するものである。
【実施例
【0054】
[例1] 商業的供給源からの熱分解油及びワックスの特性
【0055】
熱分解油とワックスの試料を商業的供給源から入手した。それらの特性を表1に要約する。これらの熱分解試料は、主にポリエチレンとポリプロピレンを含む廃プラスチックから、ガスや触媒を添加せずに、約400~600℃、大気圧近くで熱分解反応器内での熱分解を介して調製した。熱分解ユニットは、典型的には、ガス、液体油製品、任意選択でワックス製品、及びチャーを生成する。熱分解ユニットの、熱的に分解された炭化水素を含むオーバーヘッドガス流を冷却し、凝縮物を、熱分解油(周囲温度で液体)及び/又は熱分解ワックス(周囲温度で固体)として収集した。熱分解油は、熱分解ユニットの主な製品である。熱分解ユニットによっては、熱分解油に加えて、別の製品として熱分解ワックスを生成するものもある。
【表1】
【0056】
比重測定にはASTM D4052法を用いた。シミュレートされた沸点分布曲線は、ASTM D2887法を用いて得た。炭素及び水素のCarlo-Erba分析は、ASTM D5291法に基づいて行った。臭素数の測定は、ASTM D1159法に基づいて行った。炭化水素タイプの分析は、高分解能磁気質量分析計を使用し、磁石を40~500ダルトンまでスキャンして行った。総硫黄は、ASTM D2622法に従ってXRFを使用して決定した。窒素は、修正ASTM D5762法により、化学発光検出を使用して決定した。総塩化物含有量は、典型的には、修正ASTM 7359法により、燃焼イオンクロマトグラフィー(CIC)機器を使用して測定した。ナフサ及び留出物(distillate)の沸騰範囲の酸素含有量は、29~500のm/Z範囲の電子イオン化検出器を備えたGC/MS測定によるGCを使用して推定した。油中の微量金属及び非金属元素は、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP-AES)を使用して決定した。
【0057】
主にポリエチレン及びポリプロピレン廃棄物から供給される選別されたプラスチックの工業的熱分解プロセスでは、熱分解油又は熱分解ワックスの場合のように、比重が0.7~0.9の範囲で、沸点範囲が18~1100°Fの高品質の炭化水素流を生成した。
【0058】
熱分解生成物は、主に炭素及び水素から構成されるかなり純粋な炭化水素である。炭素に対する水素のモル比は、1.7~2.0近くまで変化する。臭素数は14~60の範囲にあり、これは、オレフィンと芳香族化合物に起因して、不飽和の程度がさまざまであることを示している。芳香族含有量は5~23体積%の範囲にあり、熱分解条件がより厳しいユニットほどより多くの芳香族化合物を生成する。熱分解ユニットのプロセス条件に応じて、熱分解生成物は、20vol%半ばから50vol%半ばの範囲のパラフィン含有量を示す。熱分解生成物には、かなりの量のオレフィンが含まれている。試料A及び試料Bは、より高い熱分解温度及び/又はより長い滞留時間などのより厳しい条件下で生成された熱分解油であり、芳香族成分が多くてパラフィン成分が少なく、その結果、H/Cモル比が約1.7で、臭素数が50~60と高い。試料C及び試料Dは、それほど厳しくない条件で生成され、それらの熱分解油はよりパラフィン性であり、その結果、H/Cモル比は2.0に近く、臭素数は約40になる。試料E(熱分解ワックス)は、ほとんどがパラフィン系の飽和炭化水素であり、(分岐炭化水素とは対照的に)かなりの量の直鎖炭化水素が含まれており、臭素数はわずか14である。
【0059】
[例2] 熱分解油中の汚染物質と固形物を除去するための精密ろ過(Micro Filtration)
【0060】
熱分解油又はワックス製品には、精製所の変換ユニットの性能に悪影響を与える可能性のある残留固体及びその他の不純物が含まれている。受け取ったままの熱分解油試料を、0.7ミクロンのガラス繊維ろ紙(glassfiber filter paper)を通して真空ろ過し、残留固体を除去した。結果を表2に要約する。
【0061】
残留固体含有量は、ヘプタン不溶性試験(ASTM D-3279法)によって測定することができる。塩化物分析には、蛍光X線(XRF)法を用いた。
【表2】
【0062】
この検討では、フィルターの細孔サイズが不純物除去にとって重要であることが判明した。25ミクロンのフィルターを使用した場合、ろ紙(filter paper)は目詰まりし、3つの熱分解油のろ過が完了できなかった。0.7ミクロンのフィルターを使用した場合、ろ過によってヘプタン不溶性固体の含有量が90%以上減少した。この検討では、小さな細孔サイズのフィルター(例えば、0.7ミクロンのフィルターなどの1.0ミクロン以下のフィルター)を使用した場合のろ過が、残留固体の除去に効果的であることが示された。驚くべきことに、ろ過は、1つのケース(例2-5)を除いて、塩化物不純物も効果的に除去した(例2-1~例2-4)。このデータは、熱分解油生成物には様々な量の無機塩化物種が含まれており、ろ過によって不純物レベルを大幅に低減できることを示唆している。しかし、例2-5では、塩化物種の減少は観察されなかった。このことから、一部の塩化物種は本質的に有機物であり、ろ過プロセスを超えたさらなる処理が必要であることを示唆している。
【0063】
[例3] ろ過とそれに続くCaO/ZnO/粘土を用いた金属酸化物処理による熱分解油の前処理
【0064】
受け取ったままの熱分解油(試料F)を、公称0.5ミクロンフィルターカートリッジを備えた連続ろ過ユニットを通してろ過し、ろ過油(試料F-1)を調製した。表3に示すように、これらの試料の一般的な原料特性及び不純物を分析した。
【表3】
【0065】
公称0.5ミクロンのフィルターカートリッジを備えた連続ろ過ユニットは効果的であり、ヘプタン不溶性固体の含有量を87%減少させて、314の残留ヘプタン不溶性固体を有するろ過油(試料F-1)を生成した。ろ過により、窒素、塩化物、鉄、リン、シリコンなどの他の不純物も相当量除去された。
【0066】
試料F-1を、CaO/ZnO/粘土でできている金属酸化物吸着剤を含む固定床反応器に通すことによって、さらに処理した。金属酸化物処理実験は、600psigの反応器圧力及び1LHSVの流量で、温度を200~400°Fに変化させて実施した。1500SCF/BBLの水素を、油と共に反応器に供給した。結果を以下の表4に要約する。
【表4】
【0067】
金属酸化物処理工程により、精製所の変換ユニットの性能に悪影響を与える可能性のある金属(Fe)及びその他の非金属(N、Cl、P、Si)を相当量除去した。CaO及びZnO含有金属酸化物は、塩化物及び鉄の除去に特に効果的であった。除去は、高温でより効率的になった。
【0068】
[例4] ろ過とそれに続くNiO/MoO/PO/アルミナを用いた金属酸化物処理による熱分解油の前処理
【0069】
受け取ったままの熱分解油(試料G)を、公称0.5ミクロンフィルターカートリッジを備えた連続ろ過ユニットを通してろ過し、ろ過油(試料G-1)を調製した。表5に示すように、これらの試料の一般的な原料特性及び不純物を分析した。
【表5】
【0070】
表5のデータは、公称0.5ミクロンのフィルターカートリッジを備えた連続ろ過ユニットが、窒素、塩化物、カルシウム、クロム、鉄、マグネシウム、シリコンなどの不純物の低減に効果的であることを示している。しかし、ろ過では、硫黄とリンの不純物は除去されなかった。
【0071】
試料G-1を、NiO/MoO/PO/アルミナでできている金属酸化物吸着剤を含む固定床反応器に通すことによって、さらに処理した。金属酸化物処理実験は、400psigの反応器圧力及び1LHSVの流量で、温度を500~550°Fに変化させて実施した。1500SCF/BBLの水素を、油と共に反応器に供給した。結果を以下の表6に要約する。
【表6】
【0072】
金属酸化物処理工程により、精製所の変換ユニットの性能に悪影響を与える可能性のある金属(Fe、Ca、Cr、Mg)及びその他の非金属(N、Cl、P、Si)を相当量除去した。MoO及びNiO含有金属酸化物は、約500~550°Fでの金属の除去に特に効果的であった。
【0073】
以下の例5~例8は、輸送用燃料としての廃プラスチック熱分解油の評価を示している。
【0074】
[例5] 輸送用燃料として評価するための熱分解油の分留
【0075】
試料Dを蒸留して、炭化水素の複数の留分、すなわち、ガソリン(350°F)留分、ジェット(350~572°F)留分、ディーゼル(572~700°F)留分、及び重質(700°F)留分を生成した。表7は、蒸留生成物の各留分の沸点分布と不純物分布をまとめたものである。
【表7】
【0076】
[例6] ガソリン燃料用の熱分解油の留分の評価
【0077】
試料H(ガソリン燃料の沸点範囲の熱分解油の留分)について、ガソリン燃料としての使用可能性を評価した。試料Hの炭素数の範囲は、ガソリン燃料に典型的なC5~C12である。
【0078】
熱分解油はオレフィン性であるため、酸化安定性(ASTM D525)とガム形成傾向(ASTM D381)を、調査すべき最も重要な特性として特定した。リサーチ・オクタン価(RON)とモーター・オクタン価(MON)も、エンジン性能のための重要な特性である。RONの値とMONの値は、炭化水素の詳細なGC分析から推定した。
【表8】
【0079】
試料H(ガソリン燃料の沸点範囲の熱分解油の留分)は、品質に乏しいため、自動車用ガソリン燃料として単独で使用することはできない。熱分解油からのガソリン留分は、1440分を超える目標安定性と比較して、試料Hがわずか90分後に不合格となるという点で、非常に低い酸化安定性を示した。熱分解ガソリンは、洗浄ガム(wash gum)の目標である4mg/100mLを超えており、ガムの形成傾向が激しいことを示している。熱分解ガソリンは、参照ガソリンと比較して、オクタン価が低くなっている。プレミアム無鉛ガソリンを参照ガソリンとして使用した。
【0080】
限られた量の熱分解ガソリンの留分を参照ガソリンにブレンドする可能性についても検討した。この検討では、燃料特性の目標を達成しながら、試料Hの最大15体積%を精製ガソリンにブレンドできる可能性があることが示された。熱分解ガソリン製品を精製燃料と統合することにより、製品全体の品質を維持することができる。
【0081】
これらの結果は、熱分解油の生成されたままのガソリン留分には、ガソリン燃料としての有用性に限界があることを示している。熱分解油のガソリン留分を、ガソリン燃料特性の目標を満たす炭化水素に変換するには、精製ユニットでのアップグレードが必要である。
【0082】
[例7] ジェット燃料用の熱分解油の留分の評価
【0083】
試料I(ジェット燃料の沸点範囲の熱分解油の留分)について、ジェット燃料としての使用可能性を評価した。試料Iの炭素数の範囲は、ジェット燃料に典型的なC9~C18である。
【0084】
熱分解油はオレフィン性であるため、ジェット燃料の熱酸化試験(D3241)が、重要な試験とみなされた。熱分解油のジェット留分そのままである試料Iは、酸化安定性がわずか36分しかなく、純粋な熱分解ジェット留分は、ジェット燃料として使用するには不適切であることを示している。
【0085】
熱分解ジェット留分(試料I)を、精製所で製造されたジェット燃料に5体積%ブレンドしたものを調製した。このブレンドは、表9に示すように、ジェット燃料の酸化試験において依然として不合格であった。
【表9】
【0086】
これらの結果は、熱分解油の生成されたままのジェット留分はジェット燃料には完全に不適切であることを示しており、熱分解油のこのジェット留分を、ジェット燃料の特性目標を満たす炭化水素に変換するには、精製ユニットでのアップグレードが必要であることを示している。
【0087】
[例8] ディーゼル燃料用の熱分解油の留分の評価
【0088】
試料J(ディーゼル燃料の沸点範囲の熱分解油の留分)について、ディーゼル燃料としての使用可能性を評価した。試料Jの炭素数の範囲は、ディーゼル燃料に典型的なC14~C24である。
【0089】
試料Jには、かなりの量の直鎖(normal)炭化水素が含まれている。直鎖炭化水素は、ワックス状の特性を示す傾向があるため、流動点(ASTM D5950-14)や曇り点(ASTM D5773)などの低温流動特性が最も重要な試験とみなされた。
【0090】
精製所で製造されたディーゼル燃料に、試料Jを10体積%及び20体積%ブレンドした2つのブレンドを調製した。しかし、これらのブレンドは両方とも、流動点が-17.8℃(0°F)未満という目標流動点において、依然として不合格であった。
【表10】
【0091】
これらの結果は、熱分解油そのままでは、ディーゼル燃料には完全に不適切であることを示しており、熱分解油のディーゼル留分を、ディーゼル燃料の特性目標を満たす炭化水素に変換するには、精製ユニットでのアップグレードが必要であることを示している。
【0092】
[例9] FCCユニットへの熱分解生成物の共処理
【0093】
図3に示すように、供給原料の前処理後に、熱分解原料全体をFCCユニットに供給することにより、熱分解油及びワックスは、オフガス、LPGパラフィン及びオレフィン、FCCガソリン並びに重質炭化水素成分に変換される。FCCガソリンは、貴重なガソリンのブレンド成分である。重質留分、軽質サイクル油(LCO)及び重質サイクル油(HCO)は、ジェット水素化処理ユニット、ディーゼル水素化処理ユニット、水素化分解ユニット及び/又はコーカーユニットを含む後続の変換ユニットでさらに変換され、満足のいく製品特性を備えたより多くのガソリン、ジェット、及びディーゼル燃料が製造される。LPGパラフィン及びオレフィンは、アルキレーションユニットでさらに処理されるか、あるいはリサイクル成分を含む石油化学製品の製造に部分的に使用することができる。
【0094】
以下の例10及び例11は、精製変換ユニット(例としてFCCユニットを使用)において、廃プラスチック熱分解生成物を、高品質の輸送用燃料に変換することを実証している。
【0095】
[例10] FCCにおける熱分解油の変換
【0096】
FCCにおける廃プラスチックの熱分解油の共処理(coprocessing)の影響を検討するために、試料Aと試料Cを用いて、一連の実験室試験を実施した。減圧軽油(VGO)は、FCCの典型的な供給原料である。VGOを用いた熱分解油の20体積%ブレンドと、純粋な熱分解油のFCC性能を、純粋なVGO供給原料のFCC性能と比較した。
【0097】
FCC実験は、Kayser Technology Inc.製のModel C ACE(advanced cracking evaluation:高度な分解評価)ユニットで行い、精製所からの再生平衡触媒(Ecat)を用いた。反応器は、流動化ガスとしてNを使用する固定流動反応器であった。接触分解実験は、大気圧及び900°Fの反応器温度で実施した。触媒の量を変えることにより、触媒/油の比率を5~8の間で変化させた。ガス生成物を収集し、FID検出器付きGCを備えた精製ガス分析ユニット(RGA)を使用して分析した。使用済み触媒のその場再生は、1300°Fの空気の存在下で行い、再生煙道ガスをLECOに通して、コークス収率を決定した。液体生成物を秤量し、GCで、シミュレートされた蒸留(D2887)とC 組成分析を行った。物質収支により、コークス、乾燥ガス成分、LPG成分、ガソリン(C5、~430°F)、軽質サイクル油(LCO、430~650°F)及び重質サイクル油(HCO、650°F)の収率を決定した。結果を以下の表11に要約する。
【表11】
【0098】
表11の結果は、熱分解油の最大20体積%の共供給がFCCユニットの性能にごくわずかな変化をもたらすだけであることを示しており、最大20%の熱分解油の共処理が容易に実行可能であることを示している。試料A又は試料Cの20体積%のブレンドにより、コークスとドライガスの収量がごくわずかに減少し、ガソリンの収量がわずかに増加し、LCOとHCOがわずかに減少した。これらは、ほとんどの状況で良好である。熱分解油はパラフィン系であるため、試料A又は試料Cの20%ブレンドにより、オクタン価が約3~5低下した。精製所の運用上の柔軟性により、これらのオクタン価のマイナス分は、ブレンド又は供給位置の調整で補うことができる。
【0099】
FCCユニットは、熱分解油を燃料範囲の炭化水素を分解し、不純物を減らし、n-パラフィンをイソパラフィンに異性化する。これらすべての化学的性質により、熱分解油とワックスの燃料特性が向上する。熱分解油を、FCCプロセスユニットを通してゼオライト触媒とともに共供給することにより、燃料範囲内の酸素及び窒素不純物は、窒素(N)が約300~1400ppmから約30ppmに、酸素(O)が約250~540ppmから約60~80ppmに、大幅に減少した。これらすべての共供給生成物の炭化水素組成は、典型的なFCCガソリンの範囲内に十分収まっている。
【0100】
100%熱分解油のFCC操作では、オクタン価の大幅なマイナス分(マイナス分は約13~14)を示した。これは、純粋な100%熱分解油の処理よりも、熱分解油の共処理が好ましいことを示している。
【0101】
[例11] FCCにおける熱分解ワックスの共処理
【0102】
FCCにおける廃プラスチックの熱分解ワックスの共処理(coprocessing)の影響を検討するために、試料EとVGOを用いて、一連の実験室試験を実施した。例10と同様に、VGOを用いた熱分解ワックスの20%ブレンドと、純粋な熱分解ワックスのFCC性能を、純粋なVGO供給原料のFCC性能と比較した。結果を以下の表12に要約する。
【表12】
【0103】
表12の結果は、熱分解ワックスの最大20体積%の共供給がFCCユニットの性能にごくわずかな変化をもたらすだけであることを示しており、最大20%の熱分解ワックスの共処理が容易に実行可能であることを示している。試料Eの20体積%のブレンドにより、コークスと乾燥ガスの収量はほとんど変化せず、LPGオレフィンの収量が著しく増加し、ガソリンの収量がごくわずかに増加し、LCOとHCOがわずかに減少した。これらは、ほとんどの状況で良好である。熱分解油ワックスはパラフィン系であるため、試料Eの20%ブレンドにより、オクタン価がわずかに1.5低下した。精製所のブレンドの柔軟性により、このオクタン価のマイナス分は、わずかなブレンドの調整で簡単に補うことができる。
【0104】
100%熱分解ワックスのFCC操作では、変換率が大幅に増加し、オクタン価のマイナス分(マイナス分は6)を示した。これは、100%熱分解ワックスの処理よりも、熱分解ワックスの共処理が好ましいことを示している。
【0105】
[例12] プロピレンの単離又は製造のためのリサイクルされたCの供給と、それに続くポリプロピレン樹脂及びポリプロピレンの消費者向け製品の製造
【0106】
例10及び例11に示すように、FCCユニットへの熱分解生成物の共供給により、リサイクル成分を含むかなりの量のCLPG蒸気が生成する。このC流は、リサイクル成分を含むポリプロピレンポリマーを製造するために、重合ユニットに供給するのに適した原料である。これを達成するために、プロパン及びプロピレンを含むCLPG蒸気を捕捉し、プロパン/プロピレン(P/P)スプリッターに供給して、純粋なプロピレン蒸気(>99mol%)を分離し、プロピレン重合ユニットに供給する。P/Pスプリッターからのプロパンは、追加のプロピレンを生成するために、重合ユニット用に脱水素化してもよい。
【0107】
リサイクルポリエチレン/ポリプロピレン由来の材料を含むポリプロピレン樹脂は、高品質であり、完全に未使用の石油資源から作られた未使用のポリプロピレン樹脂と見分けがつかない。このリサイクルされた材料を含むポリプロピレン樹脂を、さらに処理して、消費者向け製品のニーズに合うさまざまなポリプロピレン製品を製造することができる。これらのポリプロピレンの消費者向け製品は、化学的にリサイクルされた循環型ポリマーを含んでいるが、それらの製品の品質は、完全に未使用のポリプロピレンポリマーから作られたものと見分けがつかない。これらの化学的にリサイクルされたポリマー製品は、未使用のポリマーから作られたポリマー製品よりも品質が劣る機械的にリサイクルされたポリマー製品とは異なる。
【0108】
[例13] リサイクル成分を含む高品質のガソリン、ジェット、及びディーゼル製品の製造
【0109】
例10及び例11に示すように、FCCユニットへの熱分解油及び/又はワックスの共供給により、リサイクル成分を含むかなりの量のC-Cオレフィン、及びガソリン、ジェット、ディーゼル製品が生成される。リサイクルされたオレフィンを含む、C流のみ又はC-C流は、FCCライトエンド回収ユニットから分離され、アルキレーションユニットに供給される。アルキレーション反応器でのLPGオレフィンとイソブタンの反応により、リサイクル成分を含むn-ブタン及びアルキレートガソリンが生成される。アルキレートガソリン及びn-ブタンは、貴重なガソリンのブレンド成分である。重質留分は、水素化分解ユニットでさらにアップグレードされ、高品質のガソリン、ジェット及びディーゼル製品を製造する。
【0110】
前述の内容は、熱分解を介したケミカルリサイクルと、それに続く効率的な統合を介した精製所での熱分解生成物の共供給によって、大量のポリエチレン及びポリプロピレン由来の廃プラスチックをリサイクルする新しい効果的な方法を明確に示している。これらの例は、FCCユニットの前に、ろ過/金属酸化物処理を行うことの利点も示している。この統合により、高品質の燃料及び循環型ポリマーの製造が可能になる。
【0111】
本開示で使用される場合、「含む(comprises)」又は「含む(comprising)」という単語は、オープンエンドの移行語として意図され、指示された要素を包含することを意味するが、必ずしも他の指示されない要素を除外するものではない。「本質的に・・・からなる(consists essentially of)」又は「本質的に・・・からなる(consisting essentially of)」という句は、構成にとって本質的に重要な他の要素を除外することを意味することが意図されている。「からなる(consisting of)」又は「からなる(consists of)」という句は、微量の不純物のみを除いて、記載されている要素以外のすべてを除外することを意味する移行句として意図されている。
【0112】
本明細書で参照されるすべての特許及び刊行物は、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。上記の実施形態の特定の上記の構造、機能、及び操作は、本発明を実施するために必要ではなく、単に例示的な実施形態又は複数の実施形態を完全にするために説明に含まれることが理解されよう。さらに、上記の参照された特許及び刊行物に記載されている特定の構造、機能、及び操作は、本発明と組み合わせて実施することができるが、それらはその実施に必須ではないことが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から実際に逸脱することなく、具体的に説明されるように実施され得ることが理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチックを、ポリプロピレン重合のためのリサイクルに変換するための連続プロセスであって、
(a) ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む廃プラスチックを選択する工程、
(b) (a)からの前記廃プラスチックを、熱分解反応器に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し、熱分解された流出物を生成する工程、
(c) 前記熱分解された流出物を、オフガス、熱分解油(ナフサ/ディーゼル/重質留分を含む)、並びにチャーに分離する工程、
(d) (c)からの前記熱分解油をろ過ユニットに通し、続いて金属酸化物処理に通す工程、
(e) 前記金属酸化物処理から、処理された前記熱分解油を回収し、それを精製FCCユニットに通す工程、
(f) 前記FCCユニットから、液化石油Cオレフィン/パラフィン混合物留分を回収する工程、
(g) 前記Cパラフィン及び前記Cオレフィンを異なる留分に分離する工程、
(h) 前記Cオレフィンを、プロピレン重合反応器に通す工程、
を含む、上記プロセス。
【請求項2】
パラフィンを脱水素化ユニットに通してCオレフィンを生成し、次いでCオレフィンをプロピレン重合反応器に通すことをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ガソリン及び重質留分を、精製FCCユニットから回収する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
消費者向けポリプロピレン生成物が、重合されたプロピレンから調製される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
(e)でFCCユニットに通される処理された熱分解油により、前記FCCユニットによって生成されるガソリンの量が増加する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
(a)で選択された廃プラスチックが、プラスチック分類グループ2、4、及び/又は5からのものである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ろ過において、平均直径5ミクロン以下の細孔を有するフィルターを用いる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記細孔の平均直径が1ミクロン未満である、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記金属酸化物処理が、CaO、ZnO、MgO、NiO、MoO、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、粘土又はそれらの混合物から選択される金属酸化物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記金属酸化物処理が、200°Fを超える温度で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ろ過及び金属酸化物処理が、FCCユニットを含む精製所で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
ろ過が熱分解設備で行われ、金属酸化物処理がFCCユニットを含む精製所で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
ろ過処理後、ヘプタン不溶分の含有量が0.1重量%未満に減少する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
金属酸化物処理後、塩化物含有量が5ppm未満に減少する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
金属酸化物処理後、総金属不純物が10ppm未満である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
(d)のろ過及び金属酸化物処理において、固体微粒子及び塩化物の低減が達成され、精製FCCユニットによって、S、ジエン、オレフィン、及びNの低減が達成される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
熱分解油のディーゼル及び重質留分のみ、又は熱分解油の重質留分のみが、ろ過及び金属酸化物処理に通される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
廃プラスチックを、ポリプロピレン重合のためのリサイクルに変換するための連続プロセスであって、
(a) ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む廃プラスチックを選択する工程、
(b) (a)からの前記廃プラスチックを、熱分解反応器に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し、熱分解された流出物を生成する工程、
(c) 前記熱分解された流出物を、オフガス、熱分解油(ナフサ/留出物/重質留分を含む)、並びにチャーに分離する工程、
(d) (c)からの前記熱分解油をろ過ユニットに通し、続いて金属酸化物処理に通す工程、
(e) 前記金属酸化物処理から、処理された前記熱分解油を回収し、それを精製FCC供給前処理ユニットに通す工程、
(f) 前記FCC前処理ユニットから流出物を回収し、該流出物をFCCユニットに通す工程、
(g) 前記FCCユニットから、液化石油C オレフィン/パラフィン混合物留分を回収する工程、
(h) 前記C パラフィン及び前記C オレフィンを異なる留分に分離する工程、
(i) 前記C オレフィンを、プロピレン重合反応器に通す工程、
を含む、上記プロセス。
【請求項19】
パラフィンを脱水素化ユニットに通してC オレフィンを生成し、C オレフィンをプロピレン重合反応器に通すことをさらに含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
ガソリン及び重質留分を、精製FCCユニットから回収する、請求項18に記載のプロセス。
【請求項21】
消費者向けポリプロピレン生成物が、重合されたプロピレンから調製される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項22】
(e)でFCCユニットに通される処理された熱分解油により、前記FCCユニットによって生成されるガソリンの量が増加する、請求項18に記載のプロセス。
【請求項23】
(a)で選択された廃プラスチックが、プラスチック分類グループ2、4、及び/又は5からのものである、請求項18に記載のプロセス。
【請求項24】
前記ろ過において、平均直径5ミクロン以下の細孔を有するフィルターを用いる、請求項18に記載のプロセス。
【請求項25】
前記細孔の平均直径が1ミクロン未満である、請求項24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記金属酸化物処理が、CaO、ZnO、MgO、NiO、MoO 、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ若しくは粘土、又はそれらの混合物から選択される金属酸化物を含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項27】
前記金属酸化物処理が、200°F(93℃)を超える温度で行われる、請求項18に記載のプロセス。
【請求項28】
前記ろ過及び金属酸化物処理が、FCCユニットを含む精製所で行われる、請求項18に記載のプロセス。
【請求項29】
ろ過が熱分解設備で行われ、金属酸化物処理がFCCユニットを含む精製所で行われる、請求項18に記載のプロセス。
【請求項30】
ろ過処理後、ヘプタン不溶分の含有量が0.1重量%未満に減少する、請求項18に記載のプロセス。
【請求項31】
金属酸化物処理後、塩化物含有量が5ppm未満に減少する、請求項18に記載のプロセス。
【請求項32】
金属酸化物処理後、総金属不純物含有量が10ppm未満である、請求項18に記載のプロセス。
【請求項33】
(d)のろ過及び金属酸化物処理において、固体微粒子及び塩化物の低減が達成され、精製FCC供給前処理ユニットによって、S、ジエン、オレフィン及びNの低減が達成される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項34】
熱分解油のディーゼル及び重質留分のみ、又は熱分解油の重質留分のみが、ろ過及び金属酸化物処理に通される、請求項18に記載のプロセス。
【請求項35】
廃プラスチックを、ポリプロピレン重合のためのリサイクルに変換するための連続プロセスであって、
(a) ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む廃プラスチックを選択する工程、
(b) (a)からの前記廃プラスチックを、熱分解反応器に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し、熱分解された流出物を生成する工程、
(c) 前記熱分解された流出物を、オフガス、熱分解油(ナフサ/ディーゼル/重質留分を含む)、並びにチャーに分離する工程、
(d) (c)からの前記熱分解油をろ過ユニットに通し、続いて金属酸化物処理に通す工程、
(e) 前記金属酸化物処理から、処理された前記熱分解油を回収し、それをプロピレン重合のために精製所に送る工程、
を含む、上記プロセス。
【請求項36】
前記ろ過において、平均直径5ミクロン以下の細孔を有するフィルターを用いる、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
前記細孔の平均直径が1ミクロン未満である、請求項36に記載のプロセス。
【請求項38】
前記金属酸化物処理が、CaO、ZnO、MgO、アルミナ、シリカ若しくはシリカ-アルミナ、又はそれらの混合物から選択される金属酸化物を含む、請求項35に記載のプロセス。
【請求項39】
前記金属酸化物処理が、200°F(93℃)を超える温度で行われる、請求項35に記載のプロセス。
【請求項40】
ろ過処理後、ヘプタン不溶分の含有量が0.1重量%未満に減少する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項41】
金属酸化物処理後、塩化物含有量が5ppm未満に減少する、請求項35に記載のプロセス。
【請求項42】
金属酸化物処理後、総金属不純物が10ppm未満である、請求項35に記載のプロセス。
【請求項43】
ろ過が熱分解設備で行われ、金属酸化物処理がFCCユニットを含む精製所で行われる、請求項35に記載のプロセス。
【請求項44】
(a)で選択された廃プラスチックが、プラスチック分類グループ2、4、及び/又は5からのものである、請求項35に記載のプロセス。
【請求項45】
精製所でガソリン、ジェット燃料及び/又はディーゼル燃料を製造することをさらに含む、請求項35に記載のプロセス。
【請求項46】
ジェット燃料製品が精製所で製造される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項47】
ガソリンが精製所で製造される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項48】
ディーゼル燃料が精製所で製造される、請求項45に記載のプロセス。
【請求項49】
前記ろ過ユニットにおいて、平均直径5ミクロン以下の細孔を有するフィルターを用い、前記金属酸化物処理が、CaO、ZnO、MgO、NiO、MoO 、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、粘土又はそれらの混合物から選択される金属酸化物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項50】
前記ろ過ユニットにおいて、平均直径5ミクロン以下の細孔を有するフィルターを用い、前記金属酸化物処理が、CaO、ZnO、MgO、NiO、MoO 、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、粘土又はそれらの混合物から選択される金属酸化物を含む、請求項18に記載のプロセス。
【請求項51】
前記ろ過ユニットにおいて、平均直径5ミクロン以下の細孔を有するフィルターを用い、前記金属酸化物処理が、CaO、ZnO、MgO、NiO、MoO 、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、粘土又はそれらの混合物から選択される金属酸化物を含む、請求項35に記載のプロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
本明細書で参照されるすべての特許及び刊行物は、本明細書と矛盾しない範囲で参照により本明細書に組み込まれる。上記の実施形態の特定の上記の構造、機能、及び操作は、本発明を実施するために必要ではなく、単に例示的な実施形態又は複数の実施形態を完全にするために説明に含まれることが理解されよう。さらに、上記の参照された特許及び刊行物に記載されている特定の構造、機能、及び操作は、本発明と組み合わせて実施することができるが、それらはその実施に必須ではないことが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から実際に逸脱することなく、具体的に説明されるように実施され得ることが理解されるべきである。
本願の出願当初の特許請求の範囲に係る発明の内容は、以下の通りである。
[項1]
廃プラスチックを、ポリプロピレン重合のためのリサイクルに変換するための連続プロセスであって、
(a) ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む廃プラスチックを選択する工程、
(b) (a)からの前記廃プラスチックを、熱分解反応器に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し、熱分解された流出物を生成する工程、
(c) 前記熱分解された流出物を、オフガス、熱分解油(ナフサ/ディーゼル/重質留分を含む)、並びにチャーに分離する工程、
(d) (c)からの前記熱分解油を、ろ過/金属酸化物処理に通す工程、
(e) 処理された前記熱分解油を回収し、それを精製FCCユニットに通す工程、
(f) 前記FCCユニットから、液化石油C オレフィン/パラフィン混合物留分を回収する工程、
(g) 前記C パラフィン及び前記C オレフィンを異なる留分に分離する工程、
(h) 前記C オレフィンを、プロピレン重合反応器に通す工程、
を含む、上記プロセス。
[項2]
パラフィンを脱水素化ユニットに通してC オレフィンを生成し、次いでC オレフィンをプロピレン重合反応器に通すことをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
[項3]
ガソリン及び重質留分を、精製FCCユニットから回収する、請求項1に記載のプロセス。
[項4]
ポリプロピレン生成物が、重合されたプロピレンから調製される、請求項1に記載のプロセス。
[項5]
前記FCCユニットによって生成されるガソリンの量が、リサイクルされた熱分解油で増加する、請求項1に記載のプロセス。
[項6]
(a)で選択された廃プラスチックが、プラスチック分類グループ2、4、及び/又は5からのものである、請求項1に記載のプロセス。
[項7]
前記ろ過において、平均直径5ミクロン以下の細孔を有するフィルターを用いる、請求項1に記載のプロセス。
[項8]
前記細孔の平均直径が1ミクロン未満である、請求項7に記載のプロセス。
[項9]
前記金属酸化物処理が、CaO、ZnO、MgO、NiO、MoO 、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、粘土又はそれらの混合物から選択される金属酸化物を含む、請求項1に記載のプロセス。
[項10]
前記金属酸化物処理が、200°Fを超える温度で行われる、請求項1に記載のプロセス。
[項11]
前記ろ過/金属酸化物処理が、FCCユニットを含む精製所で行われる、請求項1に記載のプロセス。
[項12]
ろ過が熱分解設備で行われ、金属酸化物処理がFCCユニットを含む精製所で行われる、請求項1に記載のプロセス。
[項13]
ろ過処理後、ヘプタン不溶分の含有量が0.1重量%未満に減少する、請求項1に記載のプロセス。
[項14]
金属酸化物処理後、塩化物含有量が5ppm未満に減少する、請求項1に記載のプロセス。
[項15]
金属酸化物処理後、総金属不純物が10ppm未満である、請求項1に記載のプロセス。
[項16]
(d)のろ過/金属酸化物処理において、固体微粒子及び塩化物の低減が達成され、精製FCCユニットによって、S、ジエン、オレフィン、及びNの低減が達成される、請求項1に記載のプロセス。
[項17]
熱分解油のディーゼル及び重質留分のみ、又は熱分解油の重質留分のみが、ろ過及び金属酸化物処理に通される、請求項1に記載のプロセス。
[項18]
(e)で回収された処理された熱分解油が、最初にFCC前処理ユニットに通されて、そこから流出物が回収され、その回収された流出物が、精製FCCユニットに通される、請求項1に記載のプロセス。
[項19]
(d)のろ過/金属酸化物処理において、固体微粒子及び塩化物の低減が達成され、精製FCC供給前処理ユニットによって、S、ジエン、オレフィン及びNの低減が達成される、請求項18に記載のプロセス。
[項20]
熱分解油のディーゼル及び重質留分のみ、又は熱分解油の重質留分のみが、ろ過及び金属酸化物処理に通される、請求項18に記載のプロセス。
[項21]
廃プラスチックを、ポリプロピレン重合のためのリサイクルに変換するための連続プロセスであって、
(a) ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む廃プラスチックを選択する工程、
(b) (a)からの前記廃プラスチックを、熱分解反応器に通して、ポリオレフィン廃棄物の少なくとも一部を熱的に分解し、熱分解された流出物を生成する工程、
(c) 前記熱分解された流出物を、オフガス、熱分解油(ナフサ/ディーゼル/重質留分を含む)、並びにチャーに分離する工程、
(d) (c)からの前記熱分解油を、ろ過/金属酸化物処理に通す工程、
(e) 処理された前記熱分解油を回収し、それをプロピレン重合のために精製所に送る工程、
を含む、上記プロセス。
[項22]
前記ろ過において、平均直径5ミクロン以下の細孔を有するフィルターを用いる、請求項21に記載のプロセス。
[項23]
前記細孔の平均直径が1ミクロン未満である、請求項22に記載のプロセス。
[項24]
前記金属酸化物処理が、CaO、ZnO、MgO、アルミナ、シリカ若しくはシリカ-アルミナ、又はそれらの混合物から選択される金属酸化物を含む、請求項21に記載のプロセス。
[項25]
前記金属酸化物処理が、200°F(93℃)を超える温度で行われる、請求項21に記載のプロセス。
[項26]
ろ過処理後、ヘプタン不溶分の含有量が0.1重量%未満に減少する、請求項21に記載のプロセス。
[項27]
金属酸化物処理後、塩化物含有量が5ppm未満に減少する、請求項21に記載のプロセス。
[項28]
金属酸化物処理後、総金属不純物が10ppm未満である、請求項21に記載のプロセス。
[項29]
ろ過が熱分解設備で行われ、金属酸化物処理がFCCユニットを含む精製所で行われる、請求項21に記載のプロセス。
[項30]
(a)で選択された廃プラスチックが、プラスチック分類グループ2、4、及び/又は5からのものである、請求項21に記載のプロセス。
[項31]
精製所で持続可能な燃料製品を製造し、該製品を混合してガソリン、ジェット及び/又はディーゼル製品を製造することをさらに含む、請求項21に記載のプロセス。
[項32]
ジェット燃料製品がブレンドされる、請求項31に記載のプロセス。
【国際調査報告】