(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】橈骨バルーン・カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20230525BHJP
【FI】
A61M25/10 550
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564224
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 US2021027947
(87)【国際公開番号】W WO2021216442
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522411359
【氏名又は名称】サーモディクス エムディー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SURMODICS MD,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】デイビス、サイモン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA06
4C267BB03
4C267BB11
4C267BB27
4C267CC08
4C267DD01
4C267GG01
4C267GG22
4C267GG36
4C267HH08
4C267HH17
(57)【要約】
カテーテル・アセンブリおよびカテーテル・アセンブリを適用する方法が、本明細書に開示される。一例では、カテーテル・アセンブリは、カテーテル本体と、基端部分と先端部分との間に延び、第1の機械特性を有するフレーム部材と、フレーム部材の周りに結合され、基端部分と先端部分との間に延び、第1の機械特性とは異なる第2の機械特性を有する浮遊スリーブとを含むことができる。浮遊スリーブは、カテーテル本体に沿って1つ以上の浮遊区分および1つまたは複数の係留区分を含むことができる。浮遊スリーブの1つ以上の浮遊区分は、フレーム部材に対して可動とすることができ、浮遊スリーブの1つまたは複数の係留区分は、フレーム部材に対して相互接続されることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部分と先端部分との間に延びるカテーテル本体を備えるカテーテル・アセンブリであって、前記カテーテル本体が、
前記基端部分と前記先端部分との間に延び、第1の機械特性を有するフレーム部材と、
前記フレーム部材の周りに結合され、前記基端部分と前記先端部分との間に延び、前記第1の機械特性とは異なる第2の機械特性を有する浮遊スリーブと、を備え、
前記浮遊スリーブが、前記カテーテル本体に沿って1つ以上の浮遊区分および1つまたは複数の係留区分を備え、
前記浮遊スリーブの前記1つ以上の浮遊区分が、前記フレーム部材に対して可動であり、前記浮遊スリーブの前記1つまたは複数の係留区分が、前記フレーム部材に対して相互接続されている、カテーテル・アセンブリ。
【請求項2】
前記カテーテル本体が最初の構成および偏向された構成を含み、
前記最初の構成においては、前記浮遊スリーブおよび前記フレーム部材が前記カテーテル・アセンブリを協働して支持し、
前記偏向された構成においては、前記カテーテル本体が前記最初の構成に対して偏向され、前記浮遊区分の少なくとも一部分が偏向度に従って前記フレーム部材に対して摩擦係合される、請求項1に記載のカテーテル・アセンブリ。
【請求項3】
前記浮遊スリーブの前記1つ以上の浮遊区分が伸縮式に屈折可能である、請求項1に記載のカテーテル・アセンブリ。
【請求項4】
前記浮遊スリーブと前記フレーム部材との間に隙間をさらに備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記フレーム部材が前記浮遊スリーブ内で摺動可能である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記フレーム部材が、ハイポチューブ、スティッフワイヤ、編組、コイル、内側ポリマーライナ、またはこれらの組合せを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記浮遊スリーブが、先端浮遊スリーブ区分および基端浮遊スリーブ区分を備え、前記先端浮遊スリーブ区分の剛直性が、前記基端先端区分未満である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記浮遊スリーブが、前記先端浮遊スリーブ区分および前記基端浮遊スリーブ区分をつなぎ合わせる連結部をさらに備える、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記フレーム部材が螺旋状の切れ目を備え、前記螺旋状の切れ目は、前記フレーム部材の外面の周りに連続する切れ目を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記螺旋状の切れ目が、第1のピッチ角および第2のピッチ角を備え、前記第2のピッチ角が前記第1のピッチ角より小さく、前記螺旋状の切れ目が、前記フレーム部材に沿って前記アセンブリの前記先端部分から前記アセンブリの前記基端部分まで、前記第1のピッチ角から前記第2のピッチ角へと漸進的に変化する、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記螺旋状の切れ目が、第1のピッチ幅および第2の幅角度を備え、前記第2の幅角度が前記第1のピッチ幅より大きく、前記螺旋状の切れ目が、前記フレーム部材に沿って前記アセンブリの前記先端部分から前記アセンブリの前記基端部分まで、前記第1のピッチ幅から前記第2のピッチ幅へと漸進的に変化する、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記1つまたは複数の係留区分が、前記アセンブリの前記基端部分付近の第1係留区分と、前記アセンブリの前記基端部分と前記アセンブリの前記先端部分との間の第2係留区分と、前記アセンブリの前記先端付近の第3係留区分とを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記第1係留区分、前記第2係留区分、および前記第3係留区分が、前記浮遊スリーブ内において前記第1係留区分、前記第2係留区分、および前記第3係留区分の間の前記フレーム部材の動きを可能にする、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記アセンブリの前記先端部分上に急速交換ポートをさらに備える、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項15】
基端部分と先端部分との間に延びるカテーテル本体を備えるカテーテル・アセンブリであって、前記カテーテル本体が、
前記基端部分と前記先端部分との間に延び、第1の機械特性を有するフレーム部材と、
前記フレーム部材の周りに結合され、前記基端部分と前記先端部分との間に延び、前記第1の機械特性とは異なる第2の機械特性を有し、前記フレーム部材に対して動くように構成された浮遊スリーブとを備え、
前記カテーテル本体が、最初の構成と偏向された構成との間で偏向するように構成され、
前記最初の構成においては、前記浮遊スリーブおよび前記フレーム部材が前記カテーテル・アセンブリを協働して支持し、
前記偏向された構成においては、前記浮遊区分が偏向度に従って前記フレーム部材に対して摩擦係合し、前記摩擦係合が前記偏向度に従って前記カテーテル・アセンブリを支持する、カテーテル・アセンブリ。
【請求項16】
前記カテーテル本体が、前記最初の構成と前記偏向された構成との間で偏向されるときに押し込まれるように構成されている、請求項15に記載のカテーテル・アセンブリ。
【請求項17】
前記最初の構成が、前記浮遊区分と前記フレーム部材の対応する区分との間に隙間を備える、請求項15に記載のカテーテル・アセンブリ。
【請求項18】
カテーテル・アセンブリを適用する方法であって、
カテーテル・アセンブリを通路内へと挿入する工程であって、前記カテーテル・アセンブリが、フレーム部材および前記フレーム部材の周りに結合された浮遊スリーブを備え、前記フレーム部材および前記浮遊スリーブが互いに対して可動である、工程と、
前記通路に沿って指定された位置に向かって前記カテーテル・アセンブリを誘導する誘導工程と、を備え、前記誘導工程が、
前記カテーテル・アセンブリを基端カテーテル端部から押し込む工程であって、前記浮遊スリーブおよび前記フレーム部材が前記カテーテル・アセンブリを協働して支持する、押込工程と、
前記カテーテル・アセンブリを偏向された構成へと偏向させる工程であって、前記浮遊スリーブが偏向度に従って前記フレーム部材に対して摩擦係合し、前記摩擦係合が前記偏向度に従って前記カテーテル・アセンブリを支持する、工程と、を含む、方法。
【請求項19】
前記浮遊スリーブが、1つまたは複数の係留区分によって分割された1つまたは複数の浮遊区分を備え、前記押込工程が、前記1つまたは複数の浮遊区分を前記フレーム部材に対して伸縮式に屈折させる工程を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
急速交換ポートを介して前記カテーテル・アセンブリを屈折させる工程をさらに備える、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、限定ではないが一般にカテーテルに関し、またはより詳細にはバルーン・カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、様々な医療処置において、患者内で治療または診断機能を実現するために使用される。たとえば、カテーテルは、患者内の指定された箇所に対する薬剤、流体、または気体の送達のために使用される。他の例では、カテーテルは、診断処置を遂行し、試験のために流体を抜き取り、または患者から流体を排出する。
【0003】
バルーン・カテーテルはカテーテルの一種である。いくつかの例では、バルーン・カテーテルは細長いシャフトを含み、シャフトの端部に近接する膨張可能なバルーン部分を有する。使用の際、カテーテルは、たとえば治療箇所(たとえば、患部血管)にバルーンを位置決めするためのガイドワイヤによって挿入されて前進させられる。挿入された後、バルーンは展開されて、体内の狭い開口または通路であり得る狭窄を拡大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らはとりわけ、解決されるべき課題が、可撓性および押込み性の両方を有する長く柔軟なカテーテルを作製することを含むことを認識した。
カテーテルは、いくつかの処置において、橈骨動脈または大腿動脈などの長く時として蛇行した通路内で使用される。橈骨動脈または大腿動脈の各々は、体内の様々な箇所に対するアクセスを提供する。たとえば、橈骨動脈は、手首から目に向かって走行する。しかし、橈骨動脈の長さ(たとえば、2.5メートル以上)にわたって柔軟なカテーテルを押し込むことは困難であるため、この橈骨動脈の長さは、良好な押込み性のない超可撓性の柔軟なカテーテルの使用を妨げる。通路が長いため、この長さのカテーテルは長くなる。加えて、橈骨動脈は大腿動脈より小さい直径を有しており、したがって特に内腔、治療要素などを有するカテーテルを誘導することはより困難である。そのようなカテーテルを容易かつ正確に誘導および位置決めするために、カテーテル本体は、血管構造を通る運動のための押込み性を有するとともに、血管構造を通る屈折を可能にするための可撓性を有するべきである。いくつかの例では、押込み性および可撓性は反比例する。たとえば、押込性を有するカテーテル本体は低減された可撓性を有し、屈折を邪魔する可能性がある。可撓性のカテーテル本体は低減された押込み性を有し、血管構造を通る運動を邪魔する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本主題は、浮遊スリーブ内に位置決めされたフレーム部材を有するカテーテル本体によって、これらの課題に対する解決策を提供する。フレーム部材は、ステンレス鋼などを含む金属など、第1の機械特性、たとえば比較的高い弾性係数(剛性の尺度)を有する材料を含む。浮遊スリーブは、任意選択で、第2の材料によって構築され、第2の機械特性を有する。たとえば、浮遊スリーブは、その第2の機械特性として、フレーム部材に比べて比較的低い弾性係数を有する。本明細書に記載されるように、フレーム部材および浮遊スリーブは協働して、カテーテル本体の長さに沿って軸方向の剛性を提供し、同時にカテーテル本体の屈折のための可撓性を提供する。したがって、カテーテル本体は体内で容易に動かされ(たとえば、押し込まれる)、同時にカテーテル本体は湾曲、屈曲など(たとえば、屈折)を受ける。
【0006】
いくつかの例では、フレーム部材は螺旋状に切られている。任意選択で、フレーム部材の螺旋状の切れ目は、フレーム部材の長さ(長さのいくつかの部分を含む)にわたって変動する。螺旋状の切れ目の変動は、それだけに限定されるものではないが、幅、ピッチなどを含み、フレーム部材の長さに沿って可撓性などの機械特性の変動を提供する。たとえば、螺旋状の切れ目は、フレーム部材の基端部分において、比較的大きい幅を有し、より小さいピッチを有する(たとえば、平角または鋭角がカテーテル本体の長手方向軸に対して同様に延びる)。この配置は、カテーテル本体の基端部分において、強化された剛性および対応する押込み性を提供する。逆に、螺旋状の切れ目は、任意選択で、フレーム部材の先端部分において、可撓性を強化するために、比較的小さい幅および急勾配のピッチ(たとえば、基端部分と比較)を含む。
【0007】
フレーム部材は、外側浮遊スリーブ内で浮遊する。たとえば、浮遊スリーブは、カテーテル本体の偏向屈折によってフレーム部材に対して横方向に伸縮式に屈折または偏向するように構成された1つ以上の浮遊区分を含む。浮遊スリーブは、任意選択で、浮遊スリーブの関連する部分をフレーム部材の対応する部分に取り付ける1つまたは複数の係留区分を含む。様々な例では、係留区分は浮遊区分間に介在させられ、浮遊区分は係留区分間に介在させられ、1つまたは複数の係留区分が、カテーテル本体の基端部分および先端部分のうちの一方または両方などにおいて設けられる。
【0008】
身体通路に対して適用されるときなど、使用の際、浮遊スリーブを押し込むことで、カテーテル本体が位置決めされたときにフレーム部材を支持および補強する。カテーテル本体が偏向、屈曲、または他の操作者の運動によって屈折させられるとき、浮遊スリーブは「浮遊」し、少なくとも浮遊スリーブの浮遊区分が、フレーム部材の以前に対応する区分に対して並進する。浮遊スリーブおよびフレーム部材は、伸縮式屈折(たとえば、相対的に摺動する運動)または横方向の偏向のうちの1つまたは複数によって動き、浮遊スリーブとフレーム部材との間の係合および対応する運動自由度を調整する。このようにして、浮遊区分は、フレーム部材に対して伸縮し、または横方向に偏向して動く。応力による座屈、よじれなどを受け得る普通なら長い付着(長い接着境界面、溶接、収縮チューブなどのうちの1つまたは複数を含む)を有するシステムと比較して、この配置によって提供される運動自由度および局所化された係留区分は、カテーテルの偏向を支持し、偏向を許容しながら、フレーム部材を補強し、同時に応力集中部を最小にする。
【0009】
一例では、フレーム部材と浮遊スリーブとの間に隙間が設けられる。たとえば、浮遊スリーブの内径は、フレーム部材の外径より大きい。軸方向に押し込まれたとき、フレーム部材および浮遊スリーブは協働して軸方向の剛性を提供し、浮遊スリーブはフレーム部材を補強する。カテーテル本体の屈折中、たとえば血管構造の屈曲部および他の蛇行した特徴を誘導するとき、隙間は、浮遊スリーブに対するフレーム部材の伸縮運動または横方向の偏向のうちの1つまたは複数を容易にする。普通なら屈曲運動を制限する相互接続する応力集中部がより小さい場合(たとえば、外装に対して付着させられたライナとの間)、構成要素は異なる形で偏向する。たとえば、浮遊スリーブは、一例では、浮遊スリーブがフレーム部材に沿って係留された場合に普通なら許容されるより劇的に自由に屈曲する。偏向が継続されると、浮遊スリーブとフレーム部材との間に摩擦係合を提供し、この摩擦係合は漸進的に増大する(長くなり、追加の力を提供する)。構成要素間の摩擦係合は、偏向が増大するにつれて、カテーテル本体に対して漸進的に増大する支持力を提供する(たとえば、摩擦係合を長くし、摩擦力を増大させたことに応じて)。それに応じて、カテーテル本体が偏向されたときでも、摩擦係合された浮遊スリーブおよびフレーム部材は協働して係合し、カテーテル本体を支持し、押込み性を強化する。
【0010】
したがって、浮遊スリーブおよびフレーム部材のアセンブリは、浮遊スリーブとフレーム部材との間に伸縮式屈折または横方向の偏向のうちの1つまたは複数を提供して、カテーテルのための押込み性を提供し、同時に支持された可撓性を維持する。いくつかの例では、螺旋形の間隙、螺旋状の切れ目、切れ目、間隙、引っ掻き傷などのフレーム部材、または浮遊区分および係留区分を含む浮遊スリーブを有する1つまたは複数の特徴を含むことは、可撓性をさらに強化しながら、カテーテルの押込み性も確実にする。浮遊アセンブリによる可撓性および押込み性を有するカテーテル・アセンブリの例が、本明細書に記載される。
【0011】
この概要は、本特許出願の主題の概要を提供することが意図される。本発明の排他的または網羅的な説明を提供することは意図されない。詳細な説明は、本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれる。
【0012】
必ずしも原寸に比例して描かれていない図面では、異なる図において同様の番号が類似の構成要素を示すことができる。異なる文字の接尾辞を有する同様の番号は、類似の構成要素の異なる事例を表すことができる。図面は概して、限定ではなく例として、本明細書で議論される様々な実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】カテーテル・アセンブリのためのフレーム部材の一例の図。
【
図3A】1つの係留区分を有するカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図3B】1つの係留区分を有する偏向されたカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図3C】1つの係留区分を有する偏向されたカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図3D】1つの係留区分を有する偏向されたカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図4A】2つの係留区分を有するカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図4B】2つの係留区分を有するカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図4C】2つの係留区分を有する偏向されたカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図4D】2つの係留区分を有する偏向されたカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図5A】伸縮式屈折で動くカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図5B】伸縮式屈折で動く偏向されたカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図5C】伸縮式屈折で動く偏向されたカテーテル・アセンブリの概略図。
【
図6】カテーテル・アセンブリを使用する方法を描くブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書に記載される例示的なカテーテル・アセンブリは、血管および空洞を含む通路に沿った強化された誘導のために、押込み性および可撓性の両方を有する。本明細書に議論されるデバイスおよび方法は、押込み性を強化し、座屈などの圧縮に基づく障害に耐えながら、屈曲中に可変の剛性(および対応する可撓性)も提供するカテーテル・アセンブリを含む。本明細書に記載されるカテーテル・アセンブリは、2つ以上の部材、すなわち浮遊スリーブおよびフレーム部材を含む。いくつかの例では、これら2つ以上の部材は、変動する機械特性を有する。たとえば、浮遊スリーブは、フレーム部材に対して異なる剛性の特性を含む。一例では、偏向中の部材間の横方向および軸方向の運動のうちの1つまたは複数を容易にしながら、押し込み中にカテーテル・アセンブリを補強する協働結合を維持するために、部材間に隙間または公差が含まれる。偏向は、浮遊区分内の1つまたは複数の普通なら可動の表面を係合し、偏向中のカテーテル・アセンブリを補強する。より大きい偏向は、係合を強化し(たとえば、係合プロファイルまたは摩擦力のうちの1つまたは複数が増大する)、それに対応してより大きい偏向中のカテーテル・アセンブリの補強を強化する。それによって、浮遊スリーブおよびフレーム部材などのカテーテル・アセンブリ構成要素の相対的な運動および係合は、浮遊スリーブとフレーム部材との間の補強によって、強化された押込み性を提供しながら、同時に普通なら比較的可動の構成要素の係合によって、偏向中の強化された支持を提供する。
【0015】
図1は、カテーテル本体101を有するカテーテル・アセンブリ100の一例の図である。カテーテル・アセンブリ100のカテーテル本体101は、基端部分102と先端部分104との間に延びる。
図1に示されるように、例示的なカテーテル・アセンブリ100は、張力緩和部分106およびハブ107を含む。カテーテル・アセンブリ100のカテーテル本体101は、ハブ107から(たとえば、張力緩和部分106を通って)先端部分104へ先端に延びる。本明細書に記載されるように、カテーテル本体101は、フレーム部材130を取り囲む浮遊スリーブ110を含む。浮遊スリーブ110は、本明細書の例に記載されるように、1つまたは複数の係留区分においてフレーム部材130に対して結合され、それ以外は浮遊スリーブ110とフレーム部材130との間の相対的な運動を許容する浮遊区分を含む。
【0016】
図1で、カテーテル・アセンブリ100は、基端係留区分108、中間係留区分116、および先端係留区分120を含む。基端浮遊スリーブ区分112などの1つまたは複数の浮遊区分が、係留区分間に介在させられる。たとえば、基端浮遊スリーブ区分112は、基端係留区分108と中間係留区分116との間に介在させられる。
【0017】
別の例では、中間係留区分116の代わりに、
図1のカテーテル本体は、基端浮遊スリーブ区分112に対して先端浮遊スリーブ区分118を相互接続する連結部114を含む。先端浮遊スリーブ区分および基端浮遊スリーブ区分112は、先端係留区分120と基端係留区分108との間に介在させられる。
【0018】
図2を次に参照すると、カテーテル・アセンブリ100のフレーム部材130は、基端部分132と先端部分134との間に延びる。一例では、フレーム部材130の先端部分134は、薄片部146(たとえば、カテーテルのより容易な挿入および案内のための先細りされた縁部)を有する末端部分144を含む。この例のフレーム部材30は、1つまたは複数の螺旋形の溝137(たとえば、切れ目、引っ掻き傷、穿孔など)を含む。たとえば、螺旋形の溝は、フレーム部材130の様々な部分に対する指定された機械特性、およびカテーテル・アセンブリ100に対する対応する特性を提供するために、1つまたは複数のピッチ角136、138、ピッチ幅140、142などを含む。
図1を再び参照すると、カテーテル・アセンブリ100は、任意選択で、カテーテル・アセンブリ100の急速な交換送達のためのアクセス・ポート122を含む。
図1に示される例では、本カテーテル本体は、バルーン124と、バルーン保護具126と、非外傷性のチップなどの先端チップアセンブリ128とを含む。カテーテル・アセンブリ100は、基端部分102と先端部分104との間に延び、張力緩和部分106は、基端部分102およびハブ107(たとえば、ルアー取付け具など)に対して近接している。
【0019】
図1に示される例では、浮遊スリーブ110は、フレーム部材130をその中に受け取る。浮遊スリーブ110は、浮遊スリーブ連結部114(またはたとえば、別の例では係留区分116)によってつなぎ合わされた基端浮遊スリーブ区分112および先端浮遊スリーブ区分118を含む。浮遊スリーブは、任意選択で、基端部分102から先端部分104へ延びる浮遊区分(フレーム部材130から切り離される)を含む。係留区分108、116、および120を含む別の例では、浮遊スリーブ110は、係留区分108、116間に浮遊区分112を含み、係留区分116、118間に浮遊区分118を含む。本明細書に記載されるように、係留区分108、116、120は、フレーム部材130に対して浮遊スリーブ110を固定し、浮遊スリーブ110の残り部分はフレーム部材130から切り離される。アクセス・ポートを含む例では、ポート122は先端部分104に対して近接しており、たとえば先端係留区分120付近に位置する。
【0020】
一例では、アセンブリ100のカテーテル本体101は、約2.0m~約4.0mの長さを有する。カテーテル本体101は、本明細書に記載されるように、たとえば脚から心臓へ、または手首から心臓へ、患者の血管および空洞を通って送達されるハブ107および1つまたは複数の器具、カテーテル器具、ガイド・カテーテル、誘導針などを有するカテーテル・アセンブリ100の構成要素である。本明細書に記載されるように、カテーテル・アセンブリ100およびその変形例は、押込み性および可撓性を有する。
【0021】
カテーテル・アセンブリ100は、たとえば、所望される結果に応じて、排液、流体もしくは気体の投与、外科器具によるアクセス、または様々な他の処置を行うためのカテーテルとすることができる。張力緩和部分106は、アセンブリ100に対して機械的張力緩和を提供するために、基端部分102上またはその付近に位置する(たとえば、ハブ107に対して近接する)。
【0022】
カテーテル・アセンブリ100は、任意選択で、挿入を容易にするために、カテーテル本体101または浮遊スリーブ110の外面上に親水性コーティングなどの生体適合性コーティングを含む。コーティングは、たとえば、本願明細書に援用する米国特許第9,86,1727号、米国特許第9,372,217号、および米国特許第2014/0193474号に記載されているような薬物コーティングまたは親水性潤滑コーティングとすることができる。
【0023】
浮遊スリーブ110および外側本体は、フレーム部材130の周りに結合されたカテーテル・アセンブリ100内の外装状構造(たとえば、被覆、部分的被覆、囲い、または部分的な囲い)である。浮遊スリーブ110は、フレーム部材130に対して取り付けられる必要はない。一例では、フレーム部材130および浮遊スリーブ110の相対的な運動を許容するために、浮遊スリーブ110とフレーム部材130との間に隙間が存在する。浮遊スリーブ110は、それだけに限定されるものではないが、弾性係数、降伏強度、引張り強度、硬度、ヤング率などを含む、フレーム部材130の対応する特性に対して変動する1つまたは複数の機械特性を有する。他の例では、浮遊スリーブ110およびフレーム部材130の機械特性は整合する(たとえば、類似、互いに対して近接、同一など)。
【0024】
浮遊スリーブ110は、任意選択で、係留区分と交互に位置する複数の浮遊区分を含む。たとえば、
図1で、2つの浮遊区分、すなわち基端浮遊スリーブ区分112および先端浮遊スリーブ区分118が示されており、3つの係留区分、すなわち基端係留区分108、中間係留区分116、および先端係留区分120に対して差し入れられている。浮遊スリーブ110および係留区分は、フレーム部材130に対するスリーブ110の1つまたは複数の浮遊区分の相対的な運動(横方向の運動、伸縮式屈折など)を許容するように、フレーム部材130に対して相互接続される。
【0025】
一例では、基端浮遊スリーブ区分112は、先端浮遊スリーブ区分118と比較して、より高い弾性係数などのより大きい機械特性を有し、カテーテル・アセンブリ100の基端部分102に沿って延びる。基端浮遊スリーブ区分112は、たとえばポリアミド11または他のバイオプラスチックから作られる。浮遊スリーブ連結部114は、中間係留区分上またはその付近で、基端浮遊スリーブ区分112と先端浮遊スリーブ区分118との間の連結として働く。本明細書に記載されるように、別の例では、浮遊スリーブ連結部114は、フレーム部材130に対して基端浮遊スリーブ区分112および先端浮遊スリーブ区分118を係留する介在または中間係留区分116を含む。
【0026】
別の例では、先端浮遊スリーブ区分118は、基端浮遊スリーブ区分112と比較して、より低い弾性係数などのより低い機械特性を有する。したがって、先端浮遊スリーブ区分118は、基端浮遊スリーブ区分112より可撓性である。先端浮遊スリーブ区分118は、任意選択で、ポリアミド12エラストマなどの弾性材料から作られる。
【0027】
1つまたは複数の係留区分は、カテーテル・アセンブリ100に沿った指定された箇所における浮遊スリーブ110の取付けを可能にするように、カテーテル・アセンブリ100内に位置決めされる。1つまたは複数の係留区分は、フレーム部材130の対応する部分(または複数の部分)に対して浮遊スリーブ110を固定、締結、または係留する。
図1で、基端係留区分108は、任意選択で、張力緩和部分106の下に、たとえば浮遊スリーブ110とフレーム部材130との間に位置決めされる。係留区分は、1つ以上の方向(たとえば、基端、先端、またはその両方)において、少なくとも相対的な長手方向の動きに対してスリーブ110およびフレーム部材130の近接部分を固定する。たとえば、カテーテル・アセンブリ100の各係留区分は、浮遊スリーブ110とフレーム部材130との間で、係留区分に対して近接する長手方向の動きを少なくとも1自由度に抑制する(たとえば、単方向における長手方向の動きは許容するが、逆方向における長手方向の動きは制限し、または複数の方向における長手方向の動きを抑制する)。
【0028】
例示的な中間係留区分116は、基端浮遊スリーブ区分112と先端浮遊スリーブ区分118との間に、たとえば浮遊スリーブ連結部114に対して近接して位置する。中間係留区分116を含む例では、この区分は、フレーム部材130および浮遊スリーブ110の近接部分を固定する。たとえば、中間係留区分116は、1つまたは複数の方向におけるフレーム部材130および浮遊スリーブ110の近接部分の相対的な運動(長手方向の運動、回転運動などを含む)を阻止する。
【0029】
先端係留区分120は、カテーテル・アセンブリ100の先端部分104上またはその付近で、浮遊スリーブ110とフレーム部材130との間に位置する。
図1に示される例では、先端係留区分120は、急速交換アクセス・ポートなどのアクセス・ポート122に対して近接している。いくつかの場合、先端係留区分120は、浮遊スリーブ110の対応する部分に対してフレーム部材130の近接部分を固定(たとえば、締結、係留など)する。任意選択で、先端係留区分120は、アクセス・ポート122と一体化される。一例では、先端係留区分120は、浮遊スリーブ110およびフレーム部材130の関連部分間の相対的な運動を1つまたは複数の自由度に抑制する。たとえば、先端係留区分120は、浮遊スリーブ110の関連する先端部分に対するフレーム部材130の先端部分の相対的な先端運動を抑制する。別の例では、先端係留区分120は、浮遊スリーブ110の先端部分に対するフレーム部材130の先端部分の相対的な基端運動を許容する。
【0030】
図1には3つの係留区分が示されているが、他の例では、1つまたは複数の係留区分が使用される。たとえば、カテーテル本体101に沿って様々な箇所において、浮遊スリーブ110に対する1つまたは複数の関連する浮遊区分を有する2つの係留区分が設けられる。別の例では、カテーテル本体101に沿って1つの係留区分が設けられ、浮遊スリーブ110の残り部分は1つまたは複数の浮遊区分を含む。係留区分、浮遊区分などは、様々な例では、カテーテル・アセンブリ100に対する指定された機械特性を提供するために、単独、組合せ、協働などの形で使用される。本明細書に記載されるように、追加の係留区分および関連する浮遊区分が、最初のより大きい偏向に対して、カテーテル本体101の強化された補強(たとえば、支持)を提供する。対照的に、より少ない係留区分は、関連する浮遊区分とともに、最初のより大きい偏向に対して、カテーテル本体101の適度な補強を提供する。本明細書に記載されるように、カテーテル本体101の偏向が増大されることで(上記および本明細書で議論される構成の各々)、浮遊スリーブ110とフレーム部材130との間に提供される支持を調整する。
【0031】
本明細書に記載されるように、浮遊スリーブ110の浮遊区分によって相対的な動きが許容および案内される。たとえば、
図1の例に示される基端係留区分108と中間係留区分116との間などの係留区分間で、浮遊スリーブ区分に沿って、フレーム部材130と浮遊スリーブ110との間の相対的な動きが生じる。押込み運動中、たとえばカテーテル・アセンブリ110が血管内で先端に動かされると、浮遊スリーブ110がフレーム部材130の周りに延び、フレーム部材130が浮遊スリーブ110を通って延びるため、浮遊スリーブ110およびフレーム部材130は互いに対して補強し合う。これらの構成要素は協働してカテーテル本体101の強度を強化し、それによって座屈に耐える。加えて、偏向されたとき、フレーム部材130および浮遊スリーブ110は、束縛されていない構成から1つまたは複数の束縛構成になる。束縛されていない構成で、浮遊スリーブ110の浮遊区分は、フレーム部材130の関連部分に対して動くことが許容されて、溶融された構成要素(たとえば、接着されたライナおよびスリーブ、ライナ上に収縮したスリーブなど)によって引き起こされる偏向の制約を引き下げる。たとえば、フレーム部材130および浮遊スリーブ110は、互いの運動に対抗しない。偏向が増大されると、浮遊区分およびフレーム部材130は、互いに対して係合および束縛し(たとえば、摩擦による)、アセンブリ100のカテーテル本体101を補強し、偏向中に本体を支持する。本明細書に記載されるように、追加の偏向により、浮遊スリーブ100の浮遊区分とフレーム部材130との間の係合および束縛が増大し、それによってカテーテル本体101の補強が、偏向度に対応して漸進的に強化される。この場合、これら2つの部分は、互いに対して抵抗するとき、屈曲または偏向を許容することができる。浮遊スリーブ110の1つまたは複数の浮遊区分とフレーム部材130との間の係合および束縛は、本明細書に記載されるように、カテーテル本体101の偏向とともに開始および漸進される。それだけに限定されるものではないが、摺動、押込み、偏向、および伸縮運動を含む、カテーテル本体101の偏向の一部としてのフレーム部材130と浮遊スリーブ110との間(たとえば、浮遊区分に対して近接)の相対的な運動は、構成要素(110および130)間の摩擦係合を開始して強化し、摩擦係合(静止した係合および抑制された相対的な動きを含む)は、偏向とともに漸進的に増大される。
【0032】
本明細書に記載されるように、フレーム部材130および浮遊スリーブ110を1つまたは複数の係留区分で係留することは、少なくとも十分な偏向を伴う摩擦係合がすべての相対的な動きを制限するまで、単独の摩擦係合と比較して、相対的な動きに対する追加の抵抗を提供する。たとえば、本明細書に議論されるカテーテル・アセンブリで、基端係留区分108および中間係留区分116は、カテーテル・アセンブリ100の先端部分と比較して、カテーテル・アセンブリ100の基端部分102において増大された剛性を提供する。任意選択で、先端係留区分120は、基端部分102に対して制限された相対運動度(たとえば、スリーブ110に対するフレーム部材130の基端運動)を可能にし、それに応じてカテーテル・アセンブリ100の先端部分に対してより小さい(最初の)剛性を提供する。カテーテル・アセンブリ101の偏向および浮遊スリーブ110とフレーム部材130との間の相対的な動きは、以下で
図3A~
図5Bに関連してより詳細に議論される。
【0033】
図1に示されるアクセス・ポート122は、患者の空洞または通路内へカテーテル・アセンブリ100を適用または挿入するときにフレーム部材130に対して容易にアクセスするための急速交換ポートである。アクセス・ポート122は、フレーム部材130または他のスティッフワイヤ(stiffening wire)の容易な取外しを可能にする。
図1に示されるように、フレーム部材130はアクセス・ポート122内またはその付近で終端し、したがってフレーム部材130はここで、バルーン124もしくはバルーン保護具126に到達し、またはバルーン124もしくはバルーン保護具126と相互作用する。いくつかの場合、カテーテル・アセンブリ100のより容易な運動のために、アクセス・ポート122とともに追加のガイドワイヤが使用されてもよい。
【0034】
バルーン124は、挿入前または挿入中のバルーン124の穿刺を防止するために、バルーン保護具126によって覆い隠される。バルーン124およびバルーン保護具126は、カテーテル・アセンブリ100の先端部分104内またはその付近で、先端浮遊スリーブ区分118によって結合される。サブアセンブリ128は、バルーン124およびバルーン保護具126のための支持体を含み、カテーテル・アセンブリ100のための挿入チップとして作用する。バルーン保護具126は、挿入後または挿入中に取り外されることが可能である。
【0035】
図2により詳細に示されるように、
図1のカテーテル・アセンブリ100はフレーム部材130を含み、フレーム部材130は基端部分132および先端部分134を有する。フレーム部材130は、たとえば、押込み性を強化しかつ座屈に耐えるハイポチューブ、スティッフワイヤ、編組、コイル、内側ポリマーライナなどとすることができる。フレーム部材130は、カテーテル・アセンブリ100の強度を強化する弾性係数、降伏強度、引張り強度、曲げ弾性率、硬度、ヤング率などの機械特性を有する。一例では、フレーム部材130は、浮遊スリーブ110より大きい強度(たとえば、引張り強度など)を有し、スリーブ110はそれほど剛直でない(たとえば、より大きい弾性、可撓性などを有する)。
【0036】
フレーム部材130は、カテーテル・アセンブリ100のカテーテル本体101の基端部分102と先端部分104との間に延びる。フレーム部材130は、浮遊スリーブ110内に少なくとも部分的に受け取られ、フレーム部材130と浮遊スリーブ110との間に任意選択の隙間が設けられる。本明細書に記載されるように、フレーム部材130および浮遊スリーブ110は、フレーム部材130の連続する長さに沿って付着されておらず、したがってフレーム部材130および浮遊スリーブ110は、互いに対して(たとえば、1つまたは複数の浮遊区分に沿って)「浮遊」しまたは動くことができる。いくつかの場合、フレーム部材130は、連続ではなく、1つまたは複数の係留区分などの別個の箇所で浮遊スリーブ110に付着される。フレーム部材130および浮遊スリーブ110の浮遊構成は、可撓性および押込み性の変動など、全体的なカテーテル・アセンブリ100の機械特性の変動を容易にしかつ制御する。
【0037】
一例では、フレーム部材130と浮遊スリーブ110との間には、これらの間の横方向および長手方向の運動を容易にする物理的な隙間が存在する。これらの間の隙間は、フレーム部材130と浮遊スリーブ110との間の摺動、運動、伸縮、および他の動きを可能にする。たとえば、これらの間に間隙が設けられ、フレーム部材の外径(より小さい)と比較したスリーブの内径(より大きい)の変動によって表される。他の例では、フレーム部材130および浮遊スリーブ110は、積極的な隙間なく可動に結合される。代わりに、これらの構成要素は、これらの構成要素のうちの1つまたは複数の撓み性、ごくわずかな公差(摺動運動を許容しながら滑り嵌めを確実にする)などに従って、互いに対して動く(たとえば、摺動、偏向など)ことが許容される。フレーム部材130と浮遊スリーブ110との間の動きは、以下で
図3A~
図5Cに関連してより詳細に議論される。
【0038】
図2に示されるように、フレーム部材130は、その長さに沿って先端部分134から基端部分132までの螺旋状の切れ目137(たとえば、螺旋形、斜め、または螺旋状の構成を有する刻み目、完全に貫通した切れ目、穿孔など)である。これは、基端部分132付近で可撓性を強化しながら、同時に先端部分134付近で指定された剛直性および押込み性を維持する。一例では、螺旋状の切れ目137は、フレーム部材130の長さに沿って連続している。
【0039】
別の例では、螺旋状の切れ目の構成は、フレーム部材の機械特性を変動させるために、フレーム部材130に沿って変動させられる(存在しない箇所を含む)。たとえば、
図2に示されるように、フレーム部材130の長さに沿ったピッチ角が漸進的に変化させられる。
図2に示されるように、螺旋状の切れ目とフレーム部材130の底部との間で、角度136などのピッチ角が測定されることが可能である。同様に、2つの螺旋状の切れ目間で、ピッチ幅142などのピッチ幅が横方向に測定されることが可能である。
【0040】
この例では、ピッチ角は、基端部分132から先端部分134へ漸進的に増大する(より急勾配になる)。たとえば
図2で、水平に対して、第1のピッチ角136は第2のピッチ角138より浅い。それに応じて、浅いピッチ角136を有する基端部分は、強化された強度および対応する押込み性を有し、比較的急勾配の第2のピッチ角138を有する先端部分は、強化された可撓性を有し、屈曲を容易にする。
【0041】
同様に、フレーム部材130の長さに沿ったピッチ幅は、先端部分134から基端部分132へ漸進的により狭くなる。たとえば
図2で、第1のピッチ幅140は第2のピッチ幅142より大きい。変化するピッチ角およびピッチ幅は、フレーム部材130の先端部分134上またはその付近で強化された可撓性を可能にするが、フレーム部材130の基端部分132上またはその付近で増大させられた剛直性および押込み性を可能にする。
図2に示される例では、より急勾配のピッチ角および減少させられたピッチ幅が、可撓性を増大させることができる。対照的に、より浅いピッチ角およびより大きいピッチ幅は、強度および押込み性を増大させることができる。
【0042】
末端部分144および薄片部146は、フレーム部材130の先端部分134上またはその付近に位置する。フレーム部材130が浮遊スリーブ110内にあるとき、末端部分144は、アクセス・ポート122上またはその付近に位置する。いくつかの例では、末端部分144のプロファイルは、カテーテル本体101の偏向中に応力集中部を提供する。一例では、末端部分144に対して近接するよじれを防止するために、先端係留区分120(
図1参照)は、アクセス・ポート122に対して近接して、フレーム部材130の末端部分144付近に位置することができる。先端係留区分120は、応力集中部を引き下げながら、カテーテル・アセンブリ100内のこの箇所を強くする(他の部分は自由に浮遊させる)。
【0043】
記載されるスリーブおよびフレーム部材の浮遊構成を含む
図1および
図2で描かれるカテーテル・アセンブリ100は、座屈、よじれなどを小さくしながら、基端部分102において印加される力を先端部分104へ伝達することを可能にする。加えて、カテーテル・アセンブリ100は、浮遊スリーブ110およびフレーム部材130の浮遊および係留区分によって、偏向されている状態で、カテーテル本体101に対して強化された可撓性および支持を提供する。一例では、これは、フレーム部材130と浮遊スリーブ110との間の径方向の隙間を使用して、圧縮下ではこれらの部分をともに作用させ、屈曲中には極限の屈曲がフレーム部材および浮遊スリーブ110の両方をともに作用させる点まで別個に作用させることによって実現される。他の例では、隙間に基づいて、横方向の相対的な運動および伸縮運動が可能にされ得る。
【0044】
したがって、カテーテル・アセンブリ100は、屈曲中に2つ以上の剛性プロファイルを有する。たとえば、増大させられた(支持する)剛性プロファイルおよび減少させられた(可撓性を促進する)剛性プロファイルが提供され、浮遊スリーブ110およびフレーム部材130は、相対的な運動を可能にするように協働して結合される。本明細書に記載されるように、減少させられた(可撓性を促進する)剛性プロファイルは、任意選択で最初の条件である。たとえば、カテーテル・アセンブリが血管構造を通って誘導されるとき、スリーブ110の浮遊区分はフレーム部材130に対して可動であり、それによって血管構造をたどるにつれてカテーテル・アセンブリ100が容易に偏向(たとえば、屈曲、湾曲など)することを可能にする。浮遊区分は、カテーテル・アセンブリが血管構造をたどり、血管構造の輪郭に対して追従するように偏向するとき、横方向(たとえば、隙間が介在する)、長手方向(たとえば、隙間または摺動係合を有する)などに動く。フレーム部材130と浮遊スリーブ110との間の相対的な運動は、これらの構成要素が独立して(少なくとも浮遊区分に沿って)作用することを可能にし、これらの間の束縛係合および対応する応力集中部(座屈またはよじれなどの血管の幾何形状を進むことに対して抵抗を引き起こす可能性がある)を最小にし、カテーテル本体101の偏向を許容する。
【0045】
対照的に、最初の(偏向されていないまたはそれほど偏向されていない)条件より大きい偏向された条件などで、増大させられた(支持する)剛性プロファイルにおいて、カテーテル・アセンブリ100は、支持されなかった場合にどの区分に対しても生じ得るよじれまたは座屈などの応力によって誘起される障害事象に耐える。たとえば、カテーテル本体101が比較的より蛇行した幾何形状を通って誘導されるとき、カテーテル本体101は、より大きい偏向および対応する増大させられた応力を受ける。前述のように、浮遊スリーブ区分を有する浮遊スリーブ110およびフレーム部材130は概して、互いに対して動くことが許容される。増大させられた偏向(たとえば、屈曲または湾曲)によって、これらの構成要素は係合する(後続の図に示される)。この係合は、一方の構成要素を他方の構成要素によって、たとえば係合によって生成される摩擦によって補強する。加えて、偏向度はそれに対応して、フレーム部材130と浮遊スリーブ区分との間の係合境界面を変化させ(偏向がより大きくなるにつれて増大する)、それによってこれらの構成要素に対して提供される摩擦および支持も増大させる。摩擦係合(および偏向による係合の漸進的な増大)は、浮遊スリーブ110とフレーム部材130との間に漸進的に増大する支持を提供し、これらの構成要素は、カテーテル・アセンブリ100に対して印加される屈曲応力に耐えるための1つの部材として作用する。
【0046】
このタイプの動きは
図3A~
図3Dおよび
図4A~
図4Dに示されており、これらの図を参照して議論される。
図3A~
図3Dは、1つの係留区分308を有するカテーテル・アセンブリ300の概略図である。
図4A~
図4Bは、2つの係留区分408、420を有するカテーテル・アセンブリ400の概略図である。カテーテル・アセンブリ300は、基端部分302、先端部分304、基端係留区分308、浮遊スリーブ310、およびフレーム部材330を含む。カテーテル・アセンブリ400は、基端部分402、先端部分404、基端係留区分408、浮遊スリーブ410、先端係留区分420、およびフレーム部材430を含む。アセンブリ300、400は、別途記載される場合を除いて、上記で
図1および
図2を参照して議論されたものに類似した構成要素を含む。
【0047】
図3Aおよび
図4Aで、カテーテル・アセンブリ300A、400Aは、静止時、最初の適用中、または最小に蛇行した経路への適用時などの最初の剛性プロファイルである。
図3Bおよび
図4Bで、カテーテル・アセンブリ300B、400Bは、実質的に蛇行した経路への適用中などの第1の偏向された剛性プロファイルである。浮遊スリーブ(310、410)とそれぞれのフレーム部材(330、430)との間の摩擦係合は、区分305、405として見られることが可能である。
【0048】
図3Cおよび
図4Cで、カテーテル・アセンブリ300C、400Cは、実質的に蛇行した経路への適用中などの第2の偏向された剛性プロファイルであり、
図3B、
図4Bのものより大きく偏向されている。浮遊スリーブ(310、410)とそれぞれのフレーム部材(330、430)との間の摩擦係合は、区分305、405として見られることが可能である。ここでは、摩擦係合の面積は、より深い偏向のため、
図3B、
図4Bと比較してより大きくすることができる。
【0049】
図3Bおよび
図4Bで、カテーテル・アセンブリ300B、400Bは、実質的に蛇行した経路への適用中などの第1の偏向された剛性プロファイルであり、
図3C、
図4Cのものより大きく偏向されている。浮遊スリーブ(310、410)とそれぞれのフレーム部材(330、430)との間の摩擦係合は、区分305、405として見られることが可能である。ここでは、摩擦係合の面積は、より深い偏向のため、
図3C、
図4Cと比較してより大きくすることができる。
【0050】
浮遊スリーブとフレーム部材との間の隙間は、偏向されたとき、2つの間の相対的な運動を可能にする。アセンブリは、より大きいチューブ内で、係合を引き起こすのに十分な偏向中により大きいチューブに対して係合する弓または棒のように作用する。隙間は、フレーム部材と浮遊スリーブとの間に、デバイスの偏向中に積極的に架橋される間隙を提供する。対照的に、最初の偏向されていない構成にあるときは、より付帯的な架橋が生じる。
【0051】
適用されているとき、カテーテル・アセンブリに対して座屈、圧縮、および屈曲などの様々な応力タイプが印加される。本明細書に議論されるカテーテル・アセンブリは、フレーム部材と浮遊スリーブとの間の相互作用により、これらの応力の多くに耐える。
【0052】
フレーム部材および浮遊スリーブは、座屈に耐えるようにともに機能する。座屈に対する抵抗は、次のように数学的に定義される。
【0053】
【0054】
上式で、Perは長手方向の臨界負荷(オイラー)であり、Eは弾性係数であり、Iは断面二次モーメントであり、Kは有効長さ係数であり、Lは円柱の支持されていない長さである。
【0055】
本明細書に議論されるカテーテル・アセンブリの場合、フレーム部材および浮遊スリーブは、1つ以上の端部(たとえば、
図3A~
図3B)または複数の端部(たとえば、
図4A~
図4B)においてともに固定されるように組み立てられる。したがって、2つの構成要素間に相対的な長手方向の動きは存在しないはずであり、したがって座屈に対する抵抗は、次のように記述される。
【0056】
【0057】
上式で、E1はフレーム部材の弾性係数であり、I1はフレーム部材の断面二次モーメントであり、E2は浮遊スリーブの弾性係数であり、I2は浮遊スリーブの断面二次モーメントである。
【0058】
同様に、フレーム部材および浮遊スリーブは、圧縮応力下でともに機能する。圧縮は、次のように数学的に記述される。
【0059】
【0060】
上式で、δcは圧縮応力であり、A1はフレーム部材の断面積であり、A2は浮遊スリーブの断面積である。座屈および圧縮応力への抵抗は、カテーテル・アセンブリの外径を増大させることによって増大させられ、これは、上式における慣性二次モーメント(I)および断面積(A)の項を増大させるはずである。
【0061】
カテーテル・アセンブリは、屈曲にさらに耐える。屈曲応力は、次のように記述される。
【0062】
【0063】
上式で、δ
mは屈曲応力であり、Mは屈曲モーメントであり、yは図心軸までの距離であり、Iはz軸の周りの断面二次モーメントである。
屈曲応力、たとえばデバイス可撓性に対するカテーテル・アセンブリの抵抗は、断面二次モーメントIに対するものであり、デバイスが屈曲するとき、より小さい屈曲とより大きい屈曲との間で交互になる。
図3B、
図4Bに示されるように、より大きい屈曲条件下で、フレーム部材および浮遊スリーブは互いに対して接触しており、アセンブリの慣性二次モーメントは、組み合わされた半径値を使用して計算される。これは、フレーム部材の外径(r
1)と浮遊スリーブの内径(r
2)との間の摩擦接触によって生じ、これら2つの部材間の相対的な長手方向の動きを制限または停止する。環形に対する断面二次モーメント(I)は、次のように記述される。
【0064】
【0065】
上式で、r1およびr2は、環形の内側半径および外側半径である。半径間の差が大きければ大きいほど、断面二次モーメントの値も大きくなる。
フレーム部材および浮遊スリーブが接触しており、相対的な長手方向の動きが制限される(たとえば、係合、摩擦などによる)とき、r2が浮遊スリーブの外径になり、r1がフレーム部材の内径になる。より大きい屈曲条件下で、断面二次モーメント(I)はより大きくなり、アセンブリが屈曲応力に対して、したがってよじれに対してより大きい抵抗を有することを確実にする。
【0066】
より小さい屈曲条件では、フレーム部材および浮遊スリーブはどちらも、デバイスが屈曲すると互いに対して独立して動く。したがって、フレーム部材および浮遊スリーブの両方の断面二次モーメントは組合せで作用しない。アセンブリが屈曲応力下にあるが、より大きい屈曲応力ではないとき、図心軸までの距離が延ばされるため、アセンブリの屈曲応力は浮遊スリーブの外径で生じる。加えて、フレーム部材の断面二次モーメント(I)は、外側部材からの支持なしに、独立して作用する。図心軸からの距離が浮遊スリーブと比較して小さいときは、フレーム部材の外径でより低い屈曲応力が生じる。浮遊スリーブの断面二次モーメント(I)は、フレーム部材から独立して作用する。
【0067】
カテーテル・アセンブリの可撓性プロファイル(たとえば、可撓性範囲)は、より小さい屈曲条件およびより大きい屈曲条件に基づいている。カテーテル・アセンブリに対して屈曲応力が印加されると、フレーム部材と浮遊スリーブとの間の接触が生じ始める。屈曲応力が増大すると、接触表面積も増大し、この表面積に対して作用する力も増大する。フレーム部材と浮遊スリーブとの間の表面接触および力が増大すると、摩擦力も増大する。これに基づいて、屈曲応力が増大すると、カテーテル・アセンブリの剛性は増大する。これは、使用中にカテーテル・アセンブリに対して印加される屈曲応力に関連して、非剛性から剛性条件への平滑な遷移を提供する。
【0068】
図3A~
図3Dは、1つの係留区分308を有するカテーテル・アセンブリ300を描き、
図4A~
図4Dは、2つの係留区分408、420を有するカテーテル・アセンブリ400を描く。追加の係留区分は、最初からより大きい剛性を提供し、偏向中に浮遊スリーブとフレーム部材との間の係合を提供するための摩擦の使用を最小にする。逆に、より少数の係留区分は、可撓性を容易にし、カテーテル・アセンブリのより大きい偏向による摩擦係合に依拠する。係留区分の数および配置は、偏向とともに上昇および下降する特有の特性を実現するように選択および調節されてよい。
【0069】
カテーテル・アセンブリがより大きく偏向するとき、各々が他方に接触する面積がより大きくなるため、フレーム部材と浮遊スリーブとの間の接点が大きくなる。偏向が増大すると、偏向によって増大する長さおよび法線力に従って、接点は長くなり、それに応じて追加の摩擦力を提供して、一方の構成要素を他方に対して補強する。
【0070】
図5A~
図5Cは、ゼロまたは最小の公差の摺動など、伸縮式屈折で動くカテーテル・アセンブリ500の概略図である。カテーテル・アセンブリ500は、基端部分502、先端部分504、係留点508、浮遊スリーブ510、およびフレーム部材530を含む。カテーテル・アセンブリ500内には、浮遊スリーブ530内のフレーム部材510の伸縮運動を示すために、2つの指標付きの箇所532、534が示されている。
【0071】
フレーム部材530および浮遊スリーブ510は、
図5Aに示されるように、最初の偏向されていない条件では互いに対してより小さく相互作用し、
図5Bおよび
図5Cに示されるように、偏向された条件ではより大きく相互作用する。これは、摺動部材によって実現されることが可能であり、偏向中に摩擦を増大させることで、これら2つの部材に、互いの屈曲に対する抵抗を補完させる。浮遊スリーブは、カテーテル・アセンブリ500の適用中にフレーム部材530にわたって屈折可能である。
【0072】
アセンブリ500内で、カテーテル・アセンブリが偏向すると、フレーム部材530および浮遊スリーブ510は、摩擦係合区分505で即時にまたはほぼ即時に係合される。フレーム部材530および浮遊スリーブ510は最初に、強化された可撓性によって互いに対して摺動することができるが、偏向が2つの表面間の係合およびこれらの間の摩擦の即時の印加を開始する。摩擦は偏向とともに増大する(たとえば、係合された表面の法線力およびサイズのうちの1つまたは複数が増大する)。フレーム部材に対する浮遊スリーブ510の摩擦係合505は、
図5Cに示されるように、
図5Aおよび
図5Bと比較して、偏向が増大されるにつれて増大する(たとえば、長くなる)ことができる。カテーテル・アセンブリ500は、カテーテル・アセンブリ500の長さに沿って変動される可撓性および強度プロファイルを有する。たとえば、最小の摩擦係合のため、最初は可撓性が高い。偏向が生じると、可撓性は下降する。逆に、偏向が生じると、摩擦係合505により機械的強度は増大して(偏向がより大きくなるにつれて摩擦係合が増大する)、カテーテル・アセンブリ500を支持し、それによってよじれなどの障害を最小にする。
【0073】
いくつかの場合、アセンブリ500は、1つまたは複数の係留区分をさらに含むことができる。たとえば、フレーム部材530は、基端部分502内などの一端で係留されながら、フレーム部材530と浮遊スリーブ510との間の境界面の残り部分に沿って摺動可能に結合されることが可能である。この場合、カテーテル・アセンブリは、フレーム部材530と浮遊スリーブ510との間に摺動可能に係合されることが可能である。
【0074】
フレーム部材530および浮遊スリーブ510をいくつかの点で係留し、フレーム部材530と浮遊スリーブ510との間の摩擦を使用することは、デバイスにわたって剛性プロファイルを実現する補完的な方法である。どちらの方法も、フレーム部材530と浮遊スリーブ510との間の相対的な動きを制限しており、こうして制限された相対的な動きは、2つの組み合わされた部材の全体的な剛性を変化させることができる。
【0075】
図6は、カテーテル・アセンブリを適用する例示的な方法600を描く図である。この方法は、工程610~620を含む。工程610で、カテーテル・アセンブリが患者内などの通路内へ挿入される。カテーテル・アセンブリは、フレーム部材と、フレーム部材の周りに結合された浮遊スリーブとを含む。フレーム部材および浮遊スリーブは、異なる機械特性を有する。
【0076】
工程620で、カテーテル・アセンブリが通路内の目標位置の方へ押し込まれて案内される。カテーテル・アセンブリを押し込んで案内することは、浮遊スリーブをフレーム部材に対して伸縮式に屈折させることを含む。
【0077】
いくつかの場合、浮遊スリーブは、1つまたは複数の係留区分に対して差し入れられた1つまたは複数の浮遊スリーブ区分を含む。この場合、カテーテルを押し込むことは、1つまたは複数の浮遊区分をフレーム部材に対して伸縮式に屈折させることを含む。
【0078】
様々な注釈および態様
態様1は、基端部分と先端部分との間に延びるカテーテル本体を含むことができるようなカテーテル・アセンブリを含むことができる。カテーテル本体は、基端部分と先端部分との間に延び、第1の機械特性を有するフレーム部材と、フレーム部材の周りに結合され、基端部分と先端部分との間に延び、第1の機械特性とは異なる第2の機械特性を有する浮遊スリーブと、を備える。浮遊スリーブは、カテーテル本体に沿って1つ以上の浮遊区分および1つまたは複数の係留区分を備える。浮遊スリーブの1つ以上の浮遊区分は、フレーム部材に対して可動であり、浮遊スリーブの1つまたは複数の係留区分は、フレーム部材に対して相互接続されている。
【0079】
態様2は、カテーテル本体が最初の構成および偏向された構成を含み、最初の構成で、偏向された構成で、カテーテル本体が最初の構成に対して偏向され、浮遊区分の少なくとも一部分が偏向度に従ってフレーム部材に対して摩擦係合される、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0080】
態様3は、浮遊スリーブの1つ以上の浮遊区分が伸縮式に屈折可能である、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0081】
態様4は、第1または第2の機械特性が、降伏強度、引張り強度、硬度、ヤング率のうちの1つ以上を含む、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0082】
態様5は、浮遊スリーブとフレーム部材との間に隙間をさらに備える、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0083】
態様6は、フレーム部材が浮遊スリーブ内で摺動可能である、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0084】
態様7は、フレーム部材がハイポチューブを備える、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0085】
態様8は、フレーム部材がスティッフワイヤを備える、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0086】
態様9は、フレーム部材が編組またはコイルを備える、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0087】
態様10は、フレーム部材が内側ポリマーライナを含む、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0088】
態様11は、フレーム部材が、カテーテル・アセンブリの押込みを可能にするように構成されている、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0089】
態様12は、浮遊スリーブが先端浮遊スリーブ区分および基端浮遊スリーブ区分を備える、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0090】
態様13は、先端浮遊スリーブ区分の剛直性が、基端先端区分未満である、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様12の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0091】
態様14は、浮遊スリーブが、先端浮遊スリーブ区分および基端浮遊スリーブ区分をつなぎ合わせる連結部をさらに備える、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様12の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0092】
態様15は、フレーム部材が螺旋状の切れ目を備える、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0093】
態様16は、螺旋状の切れ目が、フレーム部材の外面の周りに連続する切れ目を備える、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様15の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0094】
態様17は、螺旋状の切れ目が、第1のピッチ角および第2のピッチ角を備え、第2のピッチ角が第1のピッチ角より小さい、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様15の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0095】
態様18は、螺旋状の切れ目が、フレーム部材に沿ってアセンブリの先端部分からアセンブリの基端部分へ、第1のピッチ角から第2のピッチ角へ漸進的に変化する、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様17の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0096】
態様19は、螺旋状の切れ目が、第1のピッチ幅および第2の幅角度を備え、第2の幅角度が第1のピッチ幅より大きい、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様15の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0097】
態様20は、螺旋状の切れ目が、フレーム部材に沿ってアセンブリの先端部分からアセンブリの基端部分へ、第1のピッチ幅から第2のピッチ幅へ漸進的に変化する、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様19の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0098】
態様21は、1つまたは複数の係留区分が、アセンブリの基端部分付近の第1係留区分と、アセンブリの基端部分とアセンブリの先端部分との間の第2係留区分と、アセンブリの先端付近の第3係留区分とを含む、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様19の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0099】
態様22は、第1、第2、および第3係留区分が、浮遊スリーブ内でこれらの間のフレーム部材の動きを可能にする、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様21の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0100】
態様23は、アセンブリの先端部分上に急速交換ポートをさらに備える、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0101】
態様24は、アセンブリが約2.0m~約4.0mの長さを有する、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0102】
態様25は、アセンブリが約2.5m~約3.5mの長さを有する、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0103】
態様26は、カテーテル・アセンブリを適用するためのガイドワイヤをさらに備える、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様1の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0104】
態様27は、基端部分と先端部分との間に延びるカテーテル本体を含むことができるようなカテーテル・アセンブリを含むことができる。カテーテル本体は、基端部分と先端部分との間に延び、第1の機械特性を有するフレーム部材と、フレーム部材の周りに結合され、基端部分と先端部分との間に延び、第1の機械特性とは異なる第2の機械特性を有し、フレーム部材に対して動くように構成された浮遊スリーブとを含むことができる。カテーテル本体は、最初の構成と偏向された構成との間で偏向するように構成され、最初の構成で、浮遊スリーブおよびフレーム部材がカテーテル・アセンブリを協働して支持し、偏向された構成で、浮遊区分が偏向度に従ってフレーム部材に対して摩擦係合し、摩擦係合が偏向度に従ってカテーテル・アセンブリを支持する。
【0105】
態様28は、第1または第2の機械特性が、降伏強度、引張り強度、硬度、ヤング率のうちの1つ以上を含む、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様27の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0106】
態様は、カテーテル本体が、最初の構成と偏向された構成との間で偏向されるときに押し込まれるように構成されている、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様27の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0107】
態様30は、最初の構成が、浮遊区分とフレーム部材の対応する区分との間に隙間を含む、カテーテル・アセンブリを含むことができ、または任意選択で含むように態様27の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0108】
態様31は、カテーテル・アセンブリを適用する方法を含むことができ、この方法は、カテーテル・アセンブリを通路内へ挿入する工程であり、カテーテル・アセンブリが、フレーム部材およびフレーム部材の周りに結合された浮遊スリーブを含み、フレーム部材および浮遊スリーブが互いに対して可動である、挿入する工程と、通路に沿って指定された位置の方へカテーテル・アセンブリを誘導する工程とを含むことができ、カテーテル・アセンブリを誘導する工程が、カテーテル・アセンブリを基端カテーテル端から押し込む工程であり、浮遊スリーブおよびフレーム部材がカテーテル・アセンブリを協働して支持する、押し込む工程と、カテーテル・アセンブリを偏向された構成に偏向する工程であり、浮遊スリーブが偏向度に従ってフレーム部材に対して摩擦係合し、摩擦係合が偏向度に従ってカテーテル・アセンブリを支持する、偏向する工程とを含む。
【0109】
態様32は、浮遊スリーブが、1つまたは複数の係留区分によって分割された1つまたは複数の浮遊区分を含む、方法を含むことができ、または任意選択で含むように態様27の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0110】
態様33は、カテーテル・アセンブリを押し込む工程が、1つまたは複数の浮遊区分をフレーム部材に対して伸縮式に屈折させる工程を備える、方法を含むことができ、または任意選択で含むように態様27の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0111】
態様34は、ガイドガイドワイヤによってカテーテル・アセンブリを案内する工程をさらに備える、方法を含むことができ、または任意選択で含むように態様27の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0112】
態様35は、急速交換ポートを介してカテーテル・アセンブリを屈折させる工程をさらに備える、方法を含むことができ、または任意選択で含むように態様27の主題と任意選択で組み合わされることが可能である。
【0113】
これらの非限定的な態様の各々は、単独で成立することができ、または他の態様のうちの1つまたは複数と様々な順列もしくは組合せで組み合わされることが可能である。
上記の説明は、添付の図面に対する参照を含み、これは詳細な説明の一部を形成する。図面は、例示を目的として、本発明が実施されることが可能な特有の実施形態を示す。これらの実施形態は、本明細書において、「態様」または「例」とも呼ばれる。そのような態様または例は、図示または記載されたものに加えて要素を含むことができる。しかし、本発明者らはまた、図示または記載されたそれらの要素のみが提供される態様または例も企図する。さらに、本発明者らはまた、特定の態様もしくは例(またはそれらの1つもしくは複数の特徴)に対して、または本明細書に図示もしくは記載された他の態様(またはそれらの1つもしくは複数の特徴)に対して、図示または記載されたそれらの要素(またはそれらの1つもしくは複数の特徴)の任意の組合せまたは順列を使用する態様または例も企図する。
【0114】
本明細書と本願明細書に援用する文献との間に一貫しない使用がある場合、本明細書の使用が優先する。
本明細書では、「a」または「an」という用語は、「1つ以上」または「1つまたは複数」のあらゆる他の事例または使用から独立して、特許文献で一般的であるように、1つまたは2つ以上を含むために使用される。本明細書では、「または、もしくは(or)」という用語は、非排他的であることを指すために使用され、したがって「AまたはB」は、別途指示されない限り、「BではなくA」、「AではなくB」、ならびに「AおよびB」を含む。本明細書では、「含む(including)」および「in which」という用語は、「備える(comprising)」および「wherein」のそれぞれの用語の平易な英語の均等物として使用される。また、以下の特許請求の範囲では、「含む(including)」および「備える(comprising)」という用語はオープンエンドであり、すなわち、特許請求の範囲においてそのような用語の後に列挙される要素に加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、構成、またはプロセスも、その請求項の範囲内に入ると見なされる。さらに、以下の特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、ラベルとしてのみ使用され、それらの対象に対して数値要件を課すことが意図されるものではない。
【0115】
「平行」、「直交」、「円形」、または「正方形」などの幾何学的な用語は、文脈上別途指示しない限り、絶対的な数学的精度を必要とすることが意図されるものではない。代わりに、そのような幾何学的な用語は、製造または同等の機能による変動を可能にする。たとえば、要素が「丸形」または「略丸形」として記載される場合、厳密に円形でない構成要素(たとえば、わずかに細長いものまたは多面多角形)もまた、本説明によって包含される。
【0116】
上記の説明は、制限ではなく例示であることが意図される。たとえば、上述した態様または例(またはそれらの1つもしくは複数の態様)は、互いに対して組み合わせて使用されることが可能である。他の実施形態は、上記の説明を読めば、当業者などによって使用されることが可能である。要約書は、特許法施行規則§1.72(b)に準拠して、読者が技術的開示の本質を迅速に確かめることを可能にするために提供される。要約書は、特許請求の範囲の範囲または意味を解釈または制限するために使用されるものではないことを理解した上で提出される。また、上記の詳細な説明では、本開示を簡素化するために、様々な特徴がともにグループ化されることがある。これは、特許請求されていない開示の特徴がいずれかの請求項にとって不可欠であることを意図すると解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示される実施形態のすべての特徴より小さい範囲内にある可能性もある。したがって、以下の特許請求の範囲は、本明細書によって、態様、例、または実施形態として詳細な説明に組み込まれており、各請求項は、別個の実施形態として単独で成立しており、そのような実施形態は、様々な組合せまたは順列で互いに対して組み合わされることが可能であることが企図される。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が与えられる均等物の完全な範囲とともに決定されるべきである。
【国際調査報告】