(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】睡眠関連パラメータを分析するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20230525BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20230525BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20230525BHJP
A61B 5/08 20060101ALN20230525BHJP
【FI】
G16H20/00
A61B5/16 130
A61B5/00 G
A61B5/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564371
(86)(22)【出願日】2021-04-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 IB2021053225
(87)【国際公開番号】W WO2021214640
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522412471
【氏名又は名称】レズメド アジア プライベート リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521504913
【氏名又は名称】レズメド ピーティーワイ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522102697
【氏名又は名称】レズメド センサー テクノロジーズ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522412482
【氏名又は名称】レズメド(マレーシア)スンディリアン ブルハド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギル、クリストファー、アンドリュー、ウェイクリー
(72)【発明者】
【氏名】コアン、アルヴィン、リム、チー
(72)【発明者】
【氏名】マッガン、サラ、テレーゼ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンソン、ティモシー、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ショウ、マシュー、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】レン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ショルディス、レドモンド
(72)【発明者】
【氏名】コンウェイ、キーラン
(72)【発明者】
【氏名】コステロ、マイケル、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ドッド、スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ロペス、セサル
(72)【発明者】
【氏名】カルダローラ、ガエターノ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C038PP05
4C038PR04
4C038PS09
4C038SS09
4C038SV05
4C117XB17
4C117XC02
4C117XE17
4C117XE18
4C117XE19
4C117XE20
4C117XE23
4C117XE24
4C117XE26
4C117XE27
4C117XE29
4C117XE37
4C117XE43
4C117XG05
4C117XG12
4C117XG18
4C117XG19
4C117XG20
4C117XJ13
4C117XJ52
4C117XQ13
5L099AA15
(57)【要約】
ある方法が、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを受信すること(601)を含む。この方法は、第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断すること(602)も含む。この方法は、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを受信すること(605)も含む。この方法は、第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断すること(606)も含む。この方法は、可変状況および第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、またはその両方と関連付けられた1つ以上の指標をユーザに伝えること(604、609)も含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを受信することであって、前記第1のデータが、(i)前記ユーザと関連付けられた第1の呼吸データ、(ii)前記第1の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音として再現可能な第1のオーディオデータ、または(iii)(i)および(ii)の両方を含み、前記ユーザが、前記第1の睡眠セッション中に呼吸療法システムを使用しなかった、受信することと、
前記第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの前記第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断することと、
前記ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを受信することであって、前記第2のデータが、(i)前記ユーザと関連付けられた第2の呼吸データ、(ii)前記第2の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音として再現可能な第2のオーディオデータ、または(iii)(i)および(ii)の両方を含み、前記ユーザが、前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に前記呼吸療法システムを使用した、受信することと、
前記第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの前記第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断することと、
前記第1の睡眠セッション、前記第2の睡眠セッション、またはその両方と関連付けられた1つ以上の指標を、前記第2の睡眠セッション後にユーザデバイスを介して前記ユーザに伝えて、前記呼吸療法システムを使用するよう前記ユーザに促すのを支援することと、を含む方法。
【請求項2】
前記1つ以上の指標が、前記呼吸療法システムの使用を中止する勧奨をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上の指標が、(i)前記第1の組の睡眠関連パラメータの少なくとも一部分と関連付けられた指標、(ii)前記第2の組の睡眠関連パラメータの少なくとも一部分と関連付けられた指標、または(iii)(i)および(ii)の両方を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の組の睡眠関連パラメータおよび前記第2の組の睡眠関連パラメータが、無呼吸低無呼吸指数(AHI)、前記ユーザが経験した1つ以上の事象の特定、1時間当たりの事象数、事象パターン、睡眠スコア、全睡眠時間、全就床時間、覚醒時刻、起床時刻、睡眠経過記録、全浅睡眠時間、全深睡眠時間、全レム睡眠時間、覚醒回数、入眠潜時、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の指標が、前記第1の睡眠セッションにおける第1のAHIの指標と、前記第2の睡眠セッションにおける第2のAHIの指標と、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の事象が、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、閉塞性無呼吸、混合性無呼吸、低呼吸、マスク漏れ、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、呼吸困難、喘息発作、てんかん挿間症、発作、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の主観的フィードバックを前記ユーザから受信することと、
前記第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の主観的フィードバックを前記ユーザから受信することと、をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の睡眠セッション後かつ前記第2の睡眠セッション前に前記第1の主観的フィードバックを提供するよう前記ユーザに促すことと、
前記第2の睡眠セッション後に前記第2の主観的フィードバックを提供するよう前記ユーザに促すことと、をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の主観的フィードバックが、前記第1の睡眠セッション後の主観的眠気レベル、前記第1の睡眠セッション前の主観的眠気レベル、前記第1の睡眠セッションの主観的睡眠満足度評価、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の指標が、(i)前記第1の睡眠セッションにおける前記第1の主観的フィードバックの少なくとも一部分についての指標、(ii)前記第2の睡眠セッションにおける前記第2の主観的フィードバックの少なくとも一部分についての指標、または(iii)(i)および(ii)の両方を含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の組の睡眠関連パラメータが、前記第1の睡眠セッション中に前記ユーザが経験した1つ以上の事象の特定を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の睡眠セッション中に前記ユーザが経験した前記1つ以上の事象と関連付けられた前記第1のオーディオデータの一部分を、前記第1の睡眠セッション後にスピーカを介して前記ユーザに伝えることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の睡眠セッション、前記第2の睡眠セッション、またはその両方が、(i)前記ディスプレイデバイスに表示される第1のユーザ選択可能要素の選択を受信したことを受けて開始し、(ii)前記ディスプレイデバイスに表示される第2のユーザ選択可能要素の選択を受信したことを受けて終了する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のデータ、前記第2のデータ、またはその両方が、1つ以上のセンサによって生成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上のセンサが、音響センサ、マイクロフォン、スピーカ、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上のセンサが、(i)第1のマイクロフォンおよびスピーカを有する音響センサと、(ii)第2のマイクロフォンと、を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の呼吸データおよび前記第2の呼吸データが前記音響センサによって生成され、前記第1のオーディオデータおよび前記第2のオーディオデータが前記第2のマイクロフォンによって生成される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ以上のセンサが、前記ユーザデバイスに連結または統合されている、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ユーザデバイスがスマートフォンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ユーザデバイスが、スピーカおよびマイクロフォンを含むスマートスピーカデバイスである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上の指標が、前記第1の睡眠セッションにおける前記第1の組の睡眠関連パラメータのうちの第1のパラメータと、前記第2の睡眠セッションにおける前記第2の組の睡眠関連パラメータのうちの第2のパラメータとの間での比較を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の組の睡眠関連パラメータのうちの第1のパラメータ第1のパラメータが第1のAHIであり、前記第2の組の睡眠関連パラメータのうちの第2のパラメータが第2のAHIである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記比較が棒グラフである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記1つ以上の指標が、前記第1の睡眠セッションにおける前記第1の主観的フィードバックの一部分と前記第2の睡眠セッションにおける前記第2の主観的フィードバックの一部分との間での比較を含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の主観的フィードバックの前記一部分が、前記第1の睡眠セッションにおける第1の主観的睡眠満足度を含み、前記第2の主観的フィードバックの前記一部分が、前記第2の睡眠セッションにおける第2の主観的睡眠満足度を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記比較が線グラフである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ユーザが、(i)前記第1のデータに少なくとも部分的に基づいて前記第1の睡眠セッション中に、(ii)前記第2のデータに少なくとも部分的に基づいて前記第2の睡眠セッション中に、または(iii)(i)および(ii)の両方に、併存性不眠症による睡眠時無呼吸を経験したかどうかを判断することをさらに含む、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の呼吸データが、前記第1の睡眠セッションの少なくとも一部分中の前記ユーザの第1の呼吸信号を示し、前記第2の呼吸データが、前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中の前記ユーザの第2の呼吸信号を示す、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
(i)前記第1の睡眠セッション後に前記第1の呼吸信号の少なくとも一部分についての描示を前記ディスプレイデバイスに表示させること、(ii)前記第2の睡眠セッション後に前記第2の呼吸信号の少なくとも一部分についての描示を前記ディスプレイデバイスに表示させること、または(iii)(i)および(ii)の両方を行うことをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(i)前記第1の睡眠セッション中に前記ユーザが経験した1つ以上の事象についての指標を、前記第1の呼吸信号についての前記表示された描示に重ね合わせること、(ii)前記第2の睡眠セッション中に前記ユーザが経験した1つ以上の事象についての指標を、前記第2の呼吸信号についての前記表示された描示に重ね合わせること、または(iii)(i)および(ii)の両方を行うことをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1の組の睡眠関連パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の睡眠セッションにおける第1の睡眠疾患を判断することをさらに含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の疾患が、軽度の睡眠時無呼吸、中程度の睡眠時無呼吸、または重度の睡眠時無呼吸である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第2の組の睡眠関連パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の睡眠セッションにおける第2の睡眠疾患を判断することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第2の疾患が制御される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の睡眠セッション後に前記第1の疾患についての指標を前記ユーザに伝え、前記第2の睡眠セッション後に前記第2の疾患についての指標を前記ユーザに伝えることをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の呼吸データが、前記第1の睡眠セッションの少なくとも一部分中の前記ユーザの呼吸数を示し、前記第2の呼吸データが、前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中の前記ユーザの呼吸数を示す、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の呼吸データが、前記第1の睡眠セッションの少なくとも一部分中の前記ユーザの呼吸数を示し、前記第2の呼吸データが、(i)前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中の前記ユーザの呼吸数、(ii)前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中の前記ユーザの一回換気量、または(iii)(i)もしくは(ii)の両方を示す、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
1つ以上のプロセッサを備える制御システムと、
機械可読命令を記憶したメモリと、を備え、
前記制御システムが前記メモリに連結され、前記メモリ内の前記機械実行可能命令が前記制御システムの前記1つ以上のプロセッサのうちの少なくとも1つによって実行されると、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法が実施される、システム。
【請求項39】
1つ以上の指標を前記ユーザに伝えるためのシステムであって、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御システムを備える、システム。
【請求項40】
コンピュータによって実行されると、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項41】
前記コンピュータプログラム製品が、非一時的コンピュータ可読媒体である、請求項40に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項42】
機械可読命令を記憶するメモリと、
1つ以上のセンサによって生成され、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを受信することであって、前記ユーザが、前記第1の睡眠セッション中に呼吸療法システムを使用した、受信することと、
前記第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの前記第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断することと、
前記ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを前記1つ以上のセンサから受信することであって、前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に前記呼吸療法システムの前記ユーザインターフェースが、前記ユーザに係合している、受信することと、
前記第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの前記第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断することと、
前記第1の睡眠セッション、前記第2の睡眠セッション、またはその両方と関連付けられた1つ以上の指標を、前記第2の睡眠セッション後に前記ユーザデバイスの前記ディスプレイを介して前記ユーザに伝えることと、を行うために前記機械可読命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む制御システムと、を備えるシステム。
【請求項43】
前記呼吸療法システムをさらに備え、前記呼吸療法システムが、
加圧空気を供給するように構成された呼吸デバイスと、
導管を介して前記呼吸デバイスに連結されたユーザインターフェースであって、ユーザに係合し、前記供給された加圧空気を前記ユーザの気道に方向付けるのを支援するように構成されたユーザインターフェースと、を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つが、前記呼吸療法システムに連結または統合されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記1つ以上のセンサのうちの少なくとも1つが、前記ユーザデバイスに連結または統合されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1の睡眠セッションと関連付けられた前記第1のデータが、前記1つ以上のセンサのうちの第1のセンサによって生成され、前記第2の睡眠セッションと関連付けられた前記第2のデータが、前記1つ以上のセンサのうちの前記第1のセンサとは別々かつ別個である第2のセンサによって生成される、請求項42から45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記1つ以上のセンサが、マイクロフォン、スピーカ、音響センサ、圧力センサ、流量センサ、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項42から46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記制御システム、前記メモリ、またはその両方が、前記呼吸療法システムの家に連結または統合されている、請求項42から47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記制御システム、前記メモリ、またはその両方が、前記ユーザデバイスに連結または統合されている、請求項42から47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前記ユーザデバイスが、スマートフォン、タブレット、またはノートパソコンである、請求項42から49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを1つ以上のセンサから受信することであって、前記第1のデータが、(i)前記ユーザと関連付けられた第1の呼吸データ、(ii)前記第1の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音として再現可能な第1のオーディオデータ、または(iii)(i)および(ii)の両方を含み、前記ユーザが、前記第1の睡眠セッション中に呼吸療法システムを使用しなかった、受信することと、
前記第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの前記第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断することであって、前記第1の組の睡眠関連パラメータが、前記第1の睡眠セッションにおける第1の無呼吸低無呼吸指数(AHI)を含む、判断することと、
前記第1のAHIに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の睡眠セッションにおける第1の睡眠疾患を判断することと、
前記ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを前記1つ以上のセンサから受信することであって、前記第2のデータが、(i)前記ユーザと関連付けられた第2の呼吸データ、(ii)前記第2の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音として再現可能な第2のオーディオデータ、または(iii)(i)および(ii)の両方を含み、前記ユーザが、前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に前記呼吸療法システムを使用した、受信することと、
前記第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの前記第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断することであって、前記第2の組の睡眠関連パラメータが、前記第2の睡眠セッションにおける第2のAHIを含む、判断することと、
前記第2のAHIに少なくとも部分的に基づいて、前記第2の睡眠セッションにおける第1の睡眠疾患を判断することと、
(i)前記第1の睡眠疾患、(ii)前記第2の睡眠疾患、または(iii)(i)および(ii)の両方についての1つ以上の指標を、前記第1の睡眠セッション後にユーザデバイスを介して前記ユーザに伝えることと、を含む方法。
【請求項52】
前記第1の睡眠疾患と前記第2の睡眠疾患との間での比較を、前記第2の睡眠セッション後に前記ユーザに伝えることをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記比較がグラフまたは図表である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記比較が、前記第2の睡眠セッション後に来る第3の睡眠セッションにおいて前記呼吸療法システムを使用するよう前記ユーザに促すことを支援する、請求項52または請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記呼吸療法システムの使用を中止する勧奨を前記ユーザに伝えることをさらに含む、請求項51から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
1つ以上のプロセッサを備える制御システムと、
機械可読命令を記憶したメモリと、を備え、
前記制御システムが前記メモリに連結され、前記メモリ内の前記機械実行可能命令が前記制御システムの前記1つ以上のプロセッサのうちの少なくとも1つによって実行されると、請求項51から55のいずれか一項に記載の方法が実施される、システム。
【請求項57】
1つ以上の指標を前記ユーザに伝えるためのシステムであって、請求項51から55のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御システムを備える、システム。
【請求項58】
コンピュータによって実行されると、請求項51から55のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項59】
前記コンピュータプログラム製品が、非一時的コンピュータ可読媒体である、請求項58に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項60】
ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを受信することと、
前記第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの前記第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断することと、
前記ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを受信することと、
前記第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、前記ユーザの前記第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断することと、
可変状況と関連付けられた第3のデータを受信することと、
(i)前記可変状況および(ii)前記第1の睡眠セッション、前記第2の睡眠セッション、またはその両方と関連付けられた1つ以上の指標を前記ユーザに伝えることと、を含む方法。
【請求項61】
前記第3のデータの少なくとも一部分が、(i)前記第1の睡眠セッション前、(ii)前記第1の睡眠セッションの少なくとも一部分中、(iii)前記第1の睡眠セッション後かつ前記第2の睡眠セッション前、(iv)前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中、(v)前記第2の睡眠セッション後、または(vi)それらの任意の組み合わせにおいて受信される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記可変状況が、(i)前記第1の睡眠セッション、(ii)前記第2の睡眠セッション、(iii)前記第1の睡眠セッションと前記第2の睡眠セッションとの間の期間、または(iv)それらの任意の組み合わせと関連付けられている、請求項60または請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記可変状況が、前記第1の睡眠セッションと前記第2の睡眠セッションとの間で修正される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記可変状況が前記ユーザによって修正される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記可変状況が、前記第1の睡眠セッション、前記第2の睡眠セッション、またはその両方の進行中における、前記ユーザによる療法システムの使用である、請求項60から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記療法システムが呼吸療法システムを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記療法システムが下顎骨位置変更デバイス(MRD)を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記可変状況と関連付けられた前記第3のデータが、前記ユーザが前記第1の睡眠セッション中に前記療法システムを使用せず、前記ユーザが前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に前記療法システムを使用したことを示す、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記可変状況が睡眠環境条件である、請求項60から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記睡眠環境条件が、前記第1の睡眠セッション、前記第2の睡眠セッション、またはその両方の進行中に前記ユーザが使用した寝具を含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記寝具が、枕、枕ケース、マットレス、マットレスカバー、マットレストッパー、シーツ、毛布、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記睡眠環境条件が、周囲温度、周囲湿度、周囲照明条件、位置、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記可変状況が、前記ユーザによるカフェイン摂取を含む、請求項60から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記可変状況が、前記第1の睡眠セッション前の前記ユーザの第1の活動レベル、前記第1の睡眠セッション後かつ前記第2の睡眠セッション前の前記ユーザの第2の活動レベル、またはその両方を含む、請求項60から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記第3のデータが、活動トラッカーに連結または統合されているセンサから受信される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記第1のデータ、前記第2のデータ、またはその両方が第1のセンサから受信され、前記第3のデータが第2のセンサから受信される、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記第3のデータが、前記ユーザからの入力を受けて受信される、請求項60から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記1つ以上の指標が、前記第1の睡眠セッションにおける前記第1の組の睡眠関連パラメータのうちの第1のパラメータと、前記第2の睡眠セッションにおける前記第2の組の睡眠関連パラメータのうちの第2のパラメータとの間での比較を含む、請求項60から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記第1の組の睡眠関連パラメータのうちの第1のパラメータが第1のAHIであり、前記第2の組の睡眠関連パラメータのうちの第2のパラメータが第2のAHIである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の主観的フィードバックを前記ユーザから受信することと、
前記第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の主観的フィードバックを前記ユーザから受信することと、をさらに含む、請求項60から79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記第1の睡眠セッション後かつ前記第2の睡眠セッション前に前記第1の主観的フィードバックを提供するよう前記ユーザに促すことと、
前記第2の睡眠セッション後に前記第2の主観的フィードバックを提供するよう前記ユーザに促すことと、をさらに含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記1つ以上の指標が、前記第1の睡眠セッションにおける前記第1の主観的フィードバックの一部分と前記第2の睡眠セッションにおける前記第2の主観的フィードバックの一部分との間での比較を含む、請求項80または請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記ユーザの眠気レベルを判断することと、前記眠気レベルに少なくとも部分的に基づいて前記第1の睡眠セッションにおける就眠時刻を予想することと、をさらに含む、請求項60から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記予想就眠時刻に媒体に再生を停止させることをさらに含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記第1のデータが、(i)前記第1の睡眠セッションの少なくとも一部分中に前記ユーザと関連付けられた呼吸データと、(ii)前記第1の睡眠セッションの少なくとも一部分中に前記ユーザと関連付けられた1つ以上の音として再現可能なオーディオデータと、を含む、請求項60から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記第1の組の睡眠関連パラメータを前記判断することが、前記第1の睡眠セッション中に前記ユーザと関連付けられた第1の呼吸信号を、前記第1のデータに少なくとも部分的に基づいて判断することを含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記1つ以上の指標が、前記第1の呼吸信号の少なくとも一部分のグラフィカル表現を含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記第1の組の睡眠関連パラメータが、前記第1の睡眠セッション中に前記ユーザが経験した第1の事象を含み、前記1つ以上の指標が、前記第1の呼吸信号の前記グラフィカル表現内で前記第1の事象を特定することを支援する事象指標をさらに含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記第1の組の睡眠関連パラメータが、前記第1の睡眠セッション中に前記ユーザが経験した1つ以上の睡眠段階を含み、前記1つ以上の指標が、前記第1の睡眠セッション中に前記第1の事象と関連付けられた時期を特定することを支援する1つ以上の睡眠段階指標をさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
(i)前記第2のデータが、前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に前記ユーザと関連付けられた呼吸データと、前記第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に前記ユーザと関連付けられた1つ以上の音として再現可能なオーディオデータと、を含み、(ii)前記第2の組の睡眠関連パラメータを判断することが、前記第2の睡眠セッション中に前記ユーザと関連付けられた第2の呼吸信号を、前記第2のデータに少なくとも部分的に基づいて判断することを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記1つ以上の指標が、前記第1の呼吸信号の少なくとも一部分および前記第2の呼吸信号の少なくとも一部分のグラフィカル表現を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記第1のデータの前記オーディオデータ、前記第2のデータの前記オーディオデータ、またはその両方の少なくとも一部分を前記ユーザに伝えることをさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記第1の組の睡眠関連パラメータが、無呼吸-低呼吸指数(AHI)、1時間当たりの事象数、事象パターン、睡眠スコア、全睡眠時間、全就床時間、覚醒時刻、起床時刻、睡眠経過記録、全浅睡眠時間、全深睡眠時間、全レム睡眠時間、覚醒回数、入眠潜時、またはそれらの任意の組み合わせを含み、前記第2の組の睡眠関連パラメータが、無呼吸-低呼吸指数(AHI)、1時間当たりの事象数、事象パターン、睡眠スコア、全睡眠時間、全就床時間、覚醒時刻、起床時刻、睡眠経過記録、全浅睡眠時間、全深睡眠時間、全レム睡眠時間、覚醒回数、入眠潜時、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項60から92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
1つ以上のプロセッサを備える制御システムと、
機械可読命令を記憶したメモリと、を備え、
前記制御システムが前記メモリに連結され、前記メモリ内の前記機械実行可能命令が前記制御システムの前記1つ以上のプロセッサのうちの少なくとも1つによって実行されると、請求項60から93のいずれか一項に記載の方法が実施される、システム。
【請求項95】
1つ以上の指標を前記ユーザに伝えるためのシステムであって、請求項60から93のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御システムを備える、システム。
【請求項96】
コンピュータによって実行されると、請求項60から93のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項97】
前記コンピュータプログラム製品が、非一時的コンピュータ可読媒体である、請求項96に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項98】
ユーザと関連付けられた生理学的データを受信することと、
前記生理学的データに少なくとも部分的に基づいて、(i)前記ユーザと関連付けられた第1の感情スコア、(ii)前記ユーザと関連付けられた眠気レベル、または(i)および(ii)の両方を判断することと、
前記感情スコア、前記眠気レベル、またはその両方に少なくとも部分的に基づいて、療法システムとの対話を促すプロンプトを前記ユーザに伝えることと、を含む方法。
【請求項99】
前記療法システムが持続気道陽圧(CPAP)システムである、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記ユーザと関連付けられた前記感情スコアを判断することが、呼吸数、呼吸数変動、一回換気量、吸気持続時間、呼気持続時間、心拍数、心拍数変動、心原性振動、ガルバニック皮膚反応、交感神経系反応、皮膚温度、核心体温、またはそれらの任意の組み合わせを判断することを含む、請求項98または請求項99に記載の方法。
【請求項101】
提供された刺激を受けて、前記ユーザの反応を示す情報を受信することをさらに含み、前記眠気レベルが、前記提供された刺激を受けて、前記ユーザの前記反応を示す前記情報に少なくとも部分的に基づいて判断される、請求項98から100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記生理学的データが、前記ユーザの開目、前記ユーザの閉目、前記ユーザの眼の瞬き、前記ユーザの眼の瞳孔拡張、前記ユーザの体温、前記ユーザの頭部運動、前記ユーザの心拍数、前記ユーザの心拍数変動、前記ユーザの呼吸数、またはそれらの任意の組み合わせを示す、請求項98から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
1つ以上のプロセッサを備える制御システムと、
機械可読命令を記憶したメモリと、を備え、
前記制御システムが前記メモリに連結され、前記メモリ内の前記機械実行可能命令が前記制御システムの前記1つ以上のプロセッサのうちの少なくとも1つによって実行されると、請求項98から102のいずれか一項に記載の方法が実施される、システム。
【請求項104】
1つ以上の指標を前記ユーザに伝えるためのシステムであって、請求項98から102のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御システムを備える、システム。
【請求項105】
コンピュータによって実行されると、請求項98から102のいずれか一項に記載の方法を前記コンピュータに実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項106】
前記コンピュータプログラム製品が、非一時的コンピュータ可読媒体である、請求項105に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項107】
前記第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の睡眠ラベルと関連付けられた入力を受信することと、前記第1のデータを前記第1の睡眠ラベルと関連付けることと、をさらに含む、請求項60から93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の睡眠ラベルと関連付けられた入力を受信することと、前記第2のデータを前記第2の睡眠ラベルと関連付けることと、をさらに含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記第1の睡眠ラベルが前記第2の睡眠ラベルとは異なる、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記第1の睡眠ラベルと関連付けられた前記入力が前記第1の睡眠セッション前に受信される、請求項107から109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記第1の睡眠ラベル、前記第2の睡眠ラベル、またはその両方が、療法システムの使用と関連付けられている、請求項107から110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記第1の睡眠ラベル、前記第2の睡眠ラベル、またはその両方が、ユーザインターフェースタイプの使用と関連付けられている、請求項107から110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
前記第1の睡眠セッション前、前記第2の睡眠セッション前、またはその両方に、前記ユーザと関連付けられた活動情報を受信することをさらに含む、請求項60から112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記活動情報が、前記ユーザの運動、前記ユーザの1回以上の仮眠、前記ユーザのカフェイン摂取、前記ユーザのアルコール摂取、またはそれらの任意の組み合わせと関連付けられた情報を含む、請求項113に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月20日に出願された米国仮特許出願第63/012,869号および2020年2月19日に出願された米国仮特許出願第63/151,507号の利益および優先権を主張するものであり、両出願の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は概して、複数の睡眠セッションにおける1つ以上の睡眠関連パラメータを判断するためのシステムおよび方法に関するものであり、特に、第1の睡眠セッションと関連付けられた1つ以上の睡眠関連パラメータと第2の睡眠セッションと関連付けられた1つ以上の睡眠関連パラメータとを比較するためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
多くの人が、例えば、周期性四肢運動障害(PLMD)、下肢静止不能症候群(RLS)、睡眠呼吸障害(SDB)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、呼吸努力関連覚醒(RERA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)、および胸壁障害などの睡眠関連障害および/または呼吸障害に罹患している。これらの障害は、呼吸療法システムを用いて治療されることが多い。しかし、一部のユーザにとっては、かかるシステムが不快であり、使い難く、高価であり、審美性が低く、かつ/またはシステムを使用することと関連付けられた便益が認識されない。その結果、一部のユーザは、呼吸療法システムが自身の睡眠の質を改善し、これらの障害の症状を軽減しているという励みや肯定感を持てず、呼吸療法システムの使用を中止してしまう。本開示は、これらの問題などを解決することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ある方法が、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを受信することを含む。この方法は、第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、そのユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断することも含む。この方法は、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを受信することも含む。この方法は、第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断することも含む。この方法は、可変状況と関連付けられた第3のデータを受信することも含む。この方法は、可変状況および第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、またはその両方と関連付けられた1つ以上の指標をユーザに伝えることも含む。
【0005】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ある方法が、ユーザと関連付けられた生理学的データを受信することを含む。この方法は、(i)ユーザと関連付けられた第1の感情スコア、(ii)ユーザと関連付けられた眠気レベル、または(i)および(ii)の両方を、生理学的データに少なくとも部分的に基づいて判断することも含む。この方法は、感情スコア、眠気レベル、またはその両方に少なくとも部分的に基づいて、療法システムとの対話を促すプロンプトをユーザに伝えることも含む。
【0006】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ある方法が、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを1つ以上のセンサから受信することであって、第1のデータが、(i)ユーザと関連付けられた第1の呼吸データ、(ii)第1の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音として再現可能な第1のオーディオデータ、または(iii)(i)および(ii)の両方を含み、ユーザが、第1の睡眠セッション中に呼吸療法システムを使用しなかった、受信することを含む。この方法は、第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、そのユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断することも含む。この方法は、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを1つ以上のセンサから受信することであって、第2のデータが、(i)ユーザと関連付けられた第2の呼吸データ、(ii)第2の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音として再現可能な第2のオーディオデータ、または(iii)(i)および(ii)の両方を含み、ユーザが、第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に呼吸療法システムを使用した、受信することも含む。この方法は、第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断することも含む。この方法は、第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、またはその両方と関連付けられた1つ以上の指標を、第2の睡眠セッション後にユーザデバイスを介してユーザに伝えることも含む。
【0007】
本開示のいくつかの実装形態によれば、あるシステムが、呼吸療法システムと、機械可読命令を記憶するメモリと、制御システムと、を含む。呼吸療法システムは、加圧空気を供給するように構成された呼吸デバイスと、導管を介して呼吸デバイスに連結されたユーザインターフェースと、を含み、ユーザインターフェースは、ユーザに係合し、供給された加圧空気をユーザの気道に方向付けることを支援するように構成されている。制御システムは、1つ以上のセンサによって生成され、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを受信することであって、ユーザが、第1の睡眠セッション中に呼吸療法システムを使用した、受信することを行うために機械可読命令を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含む。制御システムは、第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断するようにさらに構成されている。制御システムは、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを1つ以上のセンサから受信することであって、第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に呼吸療法システムのユーザインターフェースが、ユーザに係合している、受信することを行うようにさらに構成されている。この制御システムは、第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断するようにさらに構成されている。この制御システムは、第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、またはその両方と関連付けられた1つ以上の指標を、第2の睡眠セッション後にユーザデバイスのディスプレイを介してユーザに伝えるようにさらに構成されている。
【0008】
本開示のいくつかの実装形態によれば、ある方法が、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを1つ以上のセンサから受信することであって、第1のデータが、(i)ユーザと関連付けられた第1の呼吸データ、(ii)第1の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音として再現可能な第1のオーディオデータ、または(iii)(i)および(ii)の両方を含み、ユーザが、第1の睡眠セッション中に呼吸療法システムを使用しなかった、受信することを含む。この方法は、第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断することであって、第1の組の睡眠関連パラメータが、第1の睡眠セッションにおける第1の無呼吸低無呼吸指数(AHI)を含む、判断することと、第1のAHIに少なくとも部分的に基づいて、第1の睡眠セッションにおける第1の睡眠疾患を判断することと、も含む。この方法は、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを1つ以上のセンサから受信することであって、第2のデータが、(i)ユーザと関連付けられた第2の呼吸データ、(ii)第2の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音として再現可能な第2のオーディオデータ、または(iii)(i)および(ii)の両方を含み、ユーザが、第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に呼吸療法システムを使用した、受信することも含む。この方法は、第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断することであって、第2の組の睡眠関連パラメータが、第2の睡眠セッションにおける第2のAHIを含む、判断することと、第2のAHIに少なくとも部分的に基づいて、第2の睡眠セッションにおける第1の睡眠疾患を判断することと、(i)第1の睡眠疾患、(ii)第2の睡眠疾患、または(iii)(i)および(ii)の両方についての1つ以上の指標を、第1の睡眠セッション後にユーザデバイスを介してユーザに伝えることと、も含む。
【0009】
上記の要旨は、本開示の各実装形態または各態様を示すことを意図していない。本開示のさらなる特徴および便益は、下記の詳細な説明および図から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示のいくつかの実装形態に係る、システムの機能ブロック図である。
【
図2】本開示のいくつかの実装形態に係る、
図1のシステムの少なくとも一部分、ユーザ、および同床者の斜視図である。
【
図3】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠セッションの例示的な時系列を表している。
【
図4】本開示のいくつかの実装形態に係る、
図3の睡眠セッションと関連付けられた例示的な睡眠経過記録を表している。
【
図5A】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠セッションを手動で開始するための例示的なセットアップ図を表している。
【
図5B】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠セッションを手動で終了させるための例示的な睡眠図を表している。
【
図5C】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠セッションを終了させるための例示的なアラーム図を表している。
【
図6】本開示のいくつかの実装形態に係る、第1の睡眠セッションと第2の睡眠セッションとを比較する方法のプロセスフロー図である。
【
図7A】本開示のいくつかの実装形態に係る、睡眠セッションと関連付けられた主観的フィードバックを提供するための第1のプロンプトを表している。
【
図7B】本開示のいくつかの実装形態に係る、第1の睡眠セッションと関連付けられた主観的フィードバックを提供するための第2のプロンプトを表している。
【
図7C】本開示のいくつかの実装形態に係る、第1の睡眠セッションと関連付けられた主観的フィードバックを提供するための第3のプロンプトを表している。
【
図7D】本開示のいくつかの実装形態に係る、第1の睡眠セッションと関連付けられた主観的フィードバックを提供するための第4のプロンプトを表している。
【
図8A】本開示のいくつかの実装形態に係る、第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の複数の指標を表している。
【
図8B】本開示のいくつかの実装形態に係る、第1の睡眠セッションと関連付けられた第2の複数の指標を表している。
【
図8C】本開示のいくつかの実装形態に係る、第1の睡眠セッションと関連付けられた第3の複数の指標を表している。
【
図9A】本開示のいくつかの実装形態に係る、第2の睡眠セッション中の呼吸療法システムの使用状況と関連付けられた主観的フィードバックを提供するためのプロンプトを表している。
【
図9B】本開示のいくつかの実装形態に係る、第2の睡眠セッションと関連付けられた第1の複数の指標を表している。
【
図9C】本開示のいくつかの実装形態に係る、第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の複数の指標を表している。
【
図10】本開示のいくつかの実装形態に係る、第2の睡眠セッションの1つ以上の睡眠関連パラメータと第2の睡眠セッションの1つ以上の睡眠関連パラメータとの間での比較を表している。
【
図11】本開示のいくつかの実装形態に係る方法のプロセスフロー図である。
【
図12】本開示のいくつかの実装形態に係る方法のプロセスフロー図である。
【
図13A】本開示のいくつかの実装形態に係る第1の睡眠ラベルビューである。
【
図13B】本開示のいくつかの実装形態に係る第2の睡眠ラベルビューである。
【
図13C】本開示のいくつかの実装形態に係る第3の睡眠ラベルビューである。
【
図14】本開示のいくつかの実装形態に係る活動報告ビューである。
【
図15】本開示のいくつかの実装形態に係る睡眠ダッシュボードである。
【
図16A】本開示のいくつかの実装形態に係る第1の傾向ビューである。
【
図16B】本開示のいくつかの実装形態に係る第2の傾向ビューである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、様々な変更および代替形態が可能であるが、本開示の具体的な実装形態および実施形態が図面に例として示されており、本明細書において詳述される。ただしそれは、開示された特定の形態に本開示を限定することを意図するものではなく、本開示は、添付の請求項によって定義される本開示の精神および範囲内に属するすべての改変物、均等物、および代替物を網羅するということを理解すべきである。
【0012】
多くの人が、睡眠関連障害および/または呼吸障害を患っている。睡眠関連障害および/または呼吸障害の例としては、周期性四肢運動障害(PLMD)、下肢静止不能症候群(RLS)、睡眠呼吸障害(SDB)、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、ならびに混合性無呼吸や低呼吸など他のタイプの無呼吸、呼吸努力関連覚醒(RERA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁障害が挙げられる。
【0013】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の一形態であり、異常に小さな上気道と、舌、軟口蓋、中咽頭後壁の領域における筋緊張の通常損失との組み合わせによる睡眠中の上気道の閉塞や遮断などの事象によって特徴付けられる。より一般的には、無呼吸とは概して、空気の閉塞によって生じる呼吸の休止(閉塞性睡眠時無呼吸)または呼吸機能の停止(中枢性睡眠時無呼吸と称されることが多い)のことである。他のタイプの無呼吸としては、低呼吸、過呼吸、および高炭酸ガス血症が挙げられる。低呼吸は概して、気道の閉塞ではなく、気道の狭窄によって生じる遅い呼吸または浅い呼吸によって特徴付けられる。過呼吸は概して、呼吸の深さおよび/または速度の増大によって特徴付けられる。高炭酸ガス血症は概して、血流中の二酸化炭素量の急増または過剰によって特徴付けられ、不十分な呼吸によって生じるのが典型的である。
【0014】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の障害であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。
【0015】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0016】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、空気の移動に対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長、肺の正常な弾力性の喪失など、ある特性を共通して有する下気道疾患群のいずれかを包含する。
【0017】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する。胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。
【0018】
呼吸努力関連覚醒(RERA)事象は、睡眠からの覚醒に至る10秒以上の呼吸努力増によって特徴付けられるのが典型的であり、無呼吸または低呼吸事象の基準を満たさない。RERAは、睡眠からの覚醒に至る呼吸努力増によって特徴付けられるが、無呼吸または低呼吸の基準を満たさない一連の呼吸と定義される。これらの事象は、(1)食道の負圧が漸増するパターンが、負圧レベルの急低下および覚醒によって終了し、(2)事象が10秒以上続く、という両方の基準を満たす必要がある。いくつかの実装形態においては、鼻カニューレ/圧力トランスデューサシステムが、RERAの検出に十分かつ信頼できる。RERA検出器は、呼吸療法デバイスから導出された実流れ信号に基づき得る。例えば、流れ制限尺度が、流れ信号に基づいて判断され得る。その後、覚醒の尺度が、流れ制限尺度および換気量の急増の尺度の関数として導出され得る。1つのかかる方法が、レスメド社に付与された国際特許公開第2008/138040号および米国特許公開第2011/0203588号に記載されており、両文献の開示内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
これらを始めとする障害は、睡眠中に起こる特定事象(例えば、いびき、無呼吸、低呼吸、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増、呼吸困難、喘息発作、てんかん挿間症、発作、またはそれらの任意の組み合わせ)によって特徴付けられる。これらの他の睡眠関連障害は、不眠症と同様の症状を有し得るが、これらの他の睡眠関連障害を不眠症と区別することは、種々の治療を必要とし得る特徴を区別する効果的な治療計画をカスタマイズする上で有用である。例えば、疲労が一般に不眠症の特徴であるのに対し、日中の過剰な眠気は、他の障害(例えばOSA)に特有の特徴であり、無意識に眠りに落ちる生理学的傾向を反映したものである。
【0020】
無呼吸-低呼吸指数(AHI)とは、睡眠セッション中の睡眠時無呼吸の重症度を示すのに使用される指数のことである。AHIは、睡眠セッション中にユーザが経験した無呼吸および/または低呼吸事象の数を、その睡眠セッションにおける全睡眠時間数で除算することによって求められる。この事象は、例えば、少なくとも10秒以上続く呼吸の一時停止であり得る。5未満のAHIは正常とみなされる。5以上15未満のAHIは、軽度の睡眠時無呼吸を示すものととみなされる。15以上30未満のAHIは、中程度の睡眠時無呼吸を示すものとみなされる。30以上のAHIは、重度の睡眠時無呼吸を示すものとみなされる。小児では、1よりも大きいAHIが異常とみなされる。睡眠時無呼吸は、AHIが正常であるとき、またはAHIが正常もしくは軽度であるときに、「制御されている」とみなすことができる。AHIは、酸素飽和度と組み合わせて、閉塞性睡眠時無呼吸の重症度を示すのに使用することもできる。
【0021】
また、多くの人が、不眠症、すなわち、睡眠の質または持続時間に対する不満(例えば、睡眠開始困難、最初に就眠した後の頻繁または長時間の覚醒、および睡眠に復帰できない早期覚醒)を概して特徴とする疾患にも罹患している。世界全体で26億人超が何らかの形態の不眠症を経験し、世界全体で7億5000万人超が、不眠障害との診断を受けていると推定される。米国では、不眠症が1年あたり総額推定1075億ドルの経済負担をもたらしており、全休職日数13.6%および医療処置を必要とする傷害の4.6%を占める。また、最近の研究により、不眠症が2番目に多い精神障害であり、不眠症がうつ病の第一危険因子であることも示されている。
【0022】
併存性不眠症は、不眠症症状が、少なくとも部分的に、別の身体疾患または精神疾患(例えば、不安、うつ、病状、および/または薬剤使用)の症状または合併症によってもたらされる不眠症のタイプを指す。混合性不眠症は、他のタイプの不眠症の属性の組み合わせ(例えば、睡眠開始、睡眠維持、および後期不眠症症状の組み合わせ)を指す。逆説性不眠症は、ユーザが知覚する睡眠の質とそのユーザの実際の睡眠の質との間の断絶または不一致を指す。
【0023】
夜間不眠症症状としては、例えば、睡眠の質の低下、睡眠持続時間の短縮、入眠障害、中途覚醒、遅発性不眠症、混合型不眠症、および/または逆説性不眠症が一般に挙げられる。入眠障害は、就寝時の睡眠開始困難を特徴とする。中途覚醒は、初回就眠後、夜間における頻繁および/または長時間の覚醒を特徴とする。遅発性不眠症は、睡眠に復帰できない早朝(例えば、目標または所望の覚醒時刻前の)覚醒を特徴とする。
【0024】
日中(例えば昼間)の不眠症症状としては、例えば、疲労、エネルギー低下、認知障害(例えば、注意、集中、および/または記憶)、学術もしくは職業環境における機能困難、および/または気分障害が挙げられる。これらの症状は、例えば、パフォーマンスの低下、反応時間の遅延、うつリスクの増大、および/または不安障害リスクの増大などの心理的合併症へと至り得る。不眠症症状は、例えば、免疫系機能の低下、高血圧、心疾患リスクの増大、糖尿病リスクの増大、体重増加、および/または肥満などの生理学的合併症にも至り得る。不眠症は、その持続時間に基づいて分類することもできる。例えば、不眠症症状の発現が3か月未満で収まれば、急性または一過性とみなされるのが典型的である。逆に、不眠症症状が、例えば3か月以上にわたって発現した場合には、慢性または持続性とみなされるのが典型的である。持続性/慢性不眠症症状は、急性/一過性不眠症症状とは異なる治療経路が必要となることが多い。
【0025】
不眠症の機序としては、素因、憎悪因子、および遷延因子が挙げられる。素因として挙げられるのが過剰覚醒で、睡眠中および覚醒中の生理学的覚醒の増大を特徴とする。過剰覚醒の尺度としては、例えば、コルチゾールレベルの増大、(例えば、安静時心拍数増および/または心拍数変動によって示される)自律神経系活性の増大、脳活性の増大(例えば、睡眠中のEEG周波数増および/またはレム睡眠中の覚醒回数増)、代謝速度の増大、体温の上昇および/または下垂体-副腎軸における活性の増大が挙げられる。憎悪因子としては、ストレスの多い生活事象(例えば、雇用または教育、人間関係などに関連するもの)が挙げられる。遷延因子として挙げられるのは、睡眠不足およびその結果についての過度の心配で、これにより、増悪因子が除去された後でも不眠症症状が持続し得る。
【0026】
図1を参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係るシステム100が表されている。システム100は、制御システム110と、メモリデバイス114と、電子インターフェース119と、1つ以上のセンサ130と、1つ以上のユーザデバイス170と、を含む。いくつかの実装形態においては、システム100が、任意選択で、呼吸療法システム120および/または活動トラッカー180をさらに含む。
【0027】
制御システム110は、1つ以上のプロセッサ112(以下、プロセッサ112)を含む。制御システム110は概して、システム100の様々な構成要素を制御(例えば、作動)し、かつ/またはシステム100の構成要素によって取得および/または生成されたデータを分析するのに使用される。プロセッサ112は、汎用または特殊用途のプロセッサまたはマイクロプロセッサであり得る。
図1には1個のプロセッサ112が示されているが、制御システム110は、単一のハウジング内に存在し得るか、互いに離れて位置し得る任意の適切な数のプロセッサ(例えば、1個のプロセッサ、2個のプロセッサ、5個のプロセッサ、10個のプロセッサなど)を含み得る。制御システム110は、例えば、ユーザデバイス170のハウジング、および/またはセンサ130うちの1つ以上のハウジングに連結すること、および/またはそれらの内部に位置付けることができる。制御システム110は、(1つのかかるハウジング内に)集中させるか、(物理的に別個である2つ以上のかかるハウジング内に)分散させることができる。制御システム110を格納する2つ以上のハウジングを含むかかる実装形態においては、かかるハウジングが、互いに近接して、かつ/または遠隔で位置し得る。
【0028】
メモリデバイス114は、制御システム110のプロセッサ112によって実行可能な機械可読命令を記憶する。メモリデバイス114は、例えば、ランダムまたはシリアルアクセスメモリデバイス、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリデバイスなど、任意の適切なコンピュータ可読ストレージデバイスまたはメディアであり得る。
図1には1つのメモリデバイス114が示されているが、システム100は、任意の適切な数のメモリデバイス114(例えば、1個のメモリデバイス、2個のメモリデバイス、5個のメモリデバイス、10個のメモリデバイスなど)を含み得る。メモリデバイス114は、呼吸療法デバイス122のハウジング、ユーザデバイス170のハウジング、センサ130うちの1つ以上のハウジング、またはそれらの任意の組み合わせに連結すること、および/またはそれらの内部に位置付けることができる。制御システム110と同様に、メモリデバイス114は、(1つのかかるハウジング内に)集中させるか、(物理的に異なる2つ以上のかかるハウジング内に)分散させることができる。
【0029】
いくつかの実装形態においては、メモリデバイス114(
図1)が、ユーザと関連付けられたユーザプロファイルを記憶する。ユーザプロファイルは、例えば、ユーザと関連付けられた人口統計情報、ユーザと関連付けられた生体情報、ユーザと関連付けられた医療情報、自己申告によるユーザフィードバック、ユーザと関連付けられた睡眠パラメータ(例えば、1つ以上の以前の睡眠セッションから記録された睡眠関連パラメータ)、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。人口統計情報は、例えば、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザの人種、不眠症の家族歴、または睡眠時無呼吸、ユーザの雇用状況、ユーザの教育状況、ユーザの社会経済的状況、またはそれらの任意の組み合わせを示す情報を含み得る。医療情報は、例えば、ユーザと関連付けられた1つ以上の病状、ユーザによる薬剤使用、またはその両方を示す情報を含み得る。医療情報データは、反復睡眠潜時検査(MSLT)の結果またはスコアおよび/もしくはピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)のスコアまたは値をさらに含み得る。自己申告によるユーザフィードバックは、自己申告による主観的な睡眠スコア(劣悪、普通、良好など)、自己申告によるユーザの主観的なストレスレベル、自己申告によるユーザの主観的な疲労レベル、自己申告によるユーザの主観的な健康状態、ユーザが経験した最近の生活事象、またはそれらの任意の組み合わせを示す情報を含み得る。
【0030】
電子インターフェース119は、1つ以上のセンサ130からデータ(例えば、生理学的データおよび/またはオーディオデータ)を受け取るように構成されており、そのデータは、メモリデバイス114に記憶すること、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することができる。電子インターフェース119は、有線接続または無線接続を用いて(例えば、RF通信プロトコル、Wi-Fi通信プロトコル、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル、セルラーネットワークなどを用いて)1つ以上のセンサ130と通信することができる。電子インターフェース119は、アンテナ、受信機(例えば、RF受信機)、送信機(例えば、RF送信機)、トランシーバ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。電子インターフェース119は、本明細書に記載のプロセッサ112およびメモリデバイス114と同一または同様であるもう1つのプロセッサおよび/またはもう1つのメモリデバイスも含み得る。いくつかの実装形態においては、電子インターフェース119が、ユーザデバイス170に連結または統合されている。他の実装形態においては、電子インターフェース119が、制御システム110および/またはメモリデバイス114に連結されているか、それらと(例えば、ハウジング内で)統合されている。
【0031】
上記のとおり、いくつかの実装形態においては、システム100が、呼吸療法システム120(呼吸療法システムとも呼ばれる)を任意選択で含む。呼吸療法システム120は、(本明細書において呼吸療法デバイス122と称される)呼吸圧力療法デバイス122、ユーザインターフェース124、(チューブまたは空気回路とも称される)導管126、ディスプレイデバイス128、加湿タンク129、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態においては、制御システム110、メモリデバイス114、ディスプレイデバイス128、センサ130のうちの1つ以上、および加湿タンク129が、呼吸療法デバイス122の一部である。呼吸圧力療法とは、(例えば、タンクベンチレータや陽陰圧体外式人工呼吸器(cuirass)などの陰圧療法とは異なり、)ユーザの呼吸サイクル全体を通じて大気に対して名目上陽である制御された目標圧力で、ユーザの気道の入口に空気供給を印加することを指す。呼吸療法システム120は一般に、1つ以上の睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性睡眠時無呼吸、または混合性睡眠時無呼吸)に罹患している個人を治療するのに使用される。
【0032】
呼吸療法デバイス122は一般に、(例えば、1つ以上のコンプレッサを駆動する1つ以上のモータを使用して)ユーザに送達される加圧空気を生成するのに使用される。いくつかの実装形態においては、呼吸療法デバイス122が、ユーザに送達される連続的な一定の空気圧を生成する。他の実装形態においては、呼吸療法デバイス122が、2つ以上の所定の圧力(例えば、第1の所定の空気圧および第2の所定の空気圧)を生成する。さらに他の実装形態においては、呼吸療法デバイス122が、所定の範囲内の様々な異なる空気圧を生成するように構成されている。例えば、呼吸療法デバイス122は、少なくとも約6cmH2O、少なくとも約10cmH2O、少なくとも約20cmH2O、約6cmH2Oから約10cmH2O、約7cmH2Oから約12cmH2Oなどを送達することができる。呼吸療法デバイス122は、(周囲圧力に対して)陽圧を維持しながら、例えば、約-20L/分と約150L/分との間の所定の流量で加圧空気を送達することもできる。
【0033】
ユーザインターフェース124は、ユーザの顔の一部分と係合し、呼吸療法デバイス122からユーザの気道に加圧空気を送達して、睡眠中に気道が狭窄および/または閉塞しないように支援する。これにより、睡眠中のユーザの酸素摂取量も増加し得る。適用される療法に応じて、ユーザインターフェース124は、例えばユーザの顔の領域または部分との密着を形成し得、これにより、周囲圧力に対して約10cmH2Oの陽圧など、周囲圧力に対して十分に異なり、治療効果をもたらせる圧力でのガスの送達を促進する。酸素送達などの、他の療法の形態において、ユーザインターフェースは、約10cmH2Oの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分な密閉を含まない場合がある。
【0034】
図2に示すとおり、いくつかの実装形態においては、ユーザインターフェース124が、ユーザの鼻および口を覆う顔面マスクである。代替として、ユーザインターフェース124は、ユーザの鼻に空気を提供する鼻マスク、またはユーザの鼻孔に空気を直接送達する鼻枕マスクであり得る。ユーザインターフェース124は、ユーザの一部分(例えば顔)にインターフェースを位置付け、かつ/または安定させるための複数のストラップ(例えば面ファスナを含む)と、ユーザインターフェース124とユーザとの間での気密密着を提供するのを支援する形状適合性クッション(例えば、シリコーン、プラスチック、発泡体など)と、を含み得る。ユーザインターフェース124は、ユーザ210によって吐き出された二酸化炭素および他の気体を逃がせるようにするためのうちの1つ以上の通気孔も含み得る。他の実装形態においては、ユーザインターフェース124が、マウスピース(例えば、ユーザの歯に適合するように成形されたナイトガードマウスピース、下顎骨位置変更デバイス(MRD)など)を含む。
【0035】
(空気回路またはチューブとも称される)導管126は、呼吸療法デバイス122およびユーザインターフェース124など、呼吸療法システム120の2つの構成要素間で空気が流れるようにする。いくつかの実装形態においては、この導管に吸気および呼気用の別々の枝管が存在し得る。他の実装形態においては、単枝型導管が吸気および呼気の両方に使用される。
【0036】
呼吸療法デバイス122、ユーザインターフェース124、導管126、ディスプレイデバイス128、および加湿タンク129のうちの1つ以上が、1つ以上のセンサ(例えば、圧力センサ、流量センサ、より一般的には、本明細書に記載されている他のセンサ130のいずれか)を含み得る。これらの1つ以上のセンサは、例えば、呼吸療法デバイス122によって供給される加圧空気の空気圧および/または流量を測定するのに使用することができる。
【0037】
ディスプレイデバイス128は概して、静止画、動画、もしくはその両方を含む画像(単数または複数)、および/または呼吸療法デバイス122に関する情報を表示するのに使用される。例えば、ディスプレイデバイス128は、呼吸療法デバイス122の状態に関する情報(例えば、呼吸療法デバイス122がオンかオフか、呼吸療法デバイス122によって送達されている空気の圧力、呼吸療法デバイス122によって送達されている空気の温度など)および/または他の情報(参照により全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2016/061629号および米国特許公開第2017/0311879号などに記載されているmyAir(商標)スコアとも称される)睡眠スコアまたは療法スコア、現在の日付/時刻、ユーザ210の個人情報などを提供することができる。いくつかの実装形態においては、ディスプレイデバイス128が、入力インターフェースとして画像(単数または複数)を表示するように構成されたグラフィックユーザインターフェース(GUI)を含むヒューマンマシンインターフェース(HMI)の働きをする。ディスプレイデバイス128は、LEDディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等であり得る。入力インターフェースは、例えば、タッチスクリーンまたは接触感知基板、マウス、キーボード、または呼吸療法デバイス122とやりとりする人間ユーザによって行われる入力を感知するように構成された任意のセンサシステムであり得る。
【0038】
加湿タンク129は、呼吸療法デバイス122に連結または統合されており、呼吸療法デバイス122から送達された加圧空気を加湿するのに使用できる貯水器を含む。呼吸療法デバイス122は、ユーザに提供された加圧空気を加湿するために加湿タンク129内の水を加熱するヒータを含み得る。加えて、いくつかの実装形態においては、導管126が、ユーザに送達された加圧空気を加熱する加熱要素(例えば、導管126に連結され、かつ/または埋め込まれたもの)も含み得る。
【0039】
呼吸療法システム120は、例えば、気道陽圧(PAP)システム、持続気道陽圧(CPAP)システム、自動気道陽圧システム(APAP)、二相性または可変気道陽圧システム(BPAPまたはVPAP)、ベンチレータ、またはそれらの任意の組み合わせとして使用することができる。CPAPシステムは、(例えば、睡眠医によって判断される)所定の空気圧をユーザに送達する。APAPシステムは、例えば、ユーザと関連付けられた呼吸データに基づいて、ユーザに送達される空気圧を自動的に変化させる。BPAPまたはVPAPシステムは、第1の所定圧力(例えば、吸気気道陽圧またはIPAP)および第1の所定圧力より低い第2の所定圧力(例えば、呼気気道陽圧またはEPAP)を送達するように構成されている。
【0040】
図2を参照すると、いくつかの実装形態に係るシステム100(
図1)の一部分が表されている。呼吸療法システム120のユーザ210および同床者220がベッド230に居り、マットレス232に横たわっている。ユーザインターフェース124(例えばフルフェイスマスク)は、睡眠セッション中のユーザ210によって着用され得る。ユーザインターフェース124は、導管126を介して呼吸療法デバイス122に流体的に連結および/または接続されている。呼吸療法デバイス122は、導管126およびユーザインターフェース124を介してユーザ210に加圧空気を送達してユーザ210の喉における空気圧を高め、睡眠中に気道が閉塞および/または狭窄しないように支援する。呼吸療法デバイス122は、
図2に示すとおり、ベッド230に直に隣接するナイトスタンド240上か、より一般的には、ベッド230および/またはユーザ210に概ね隣接する任意の表面または構造物上に位置付けることができる。
【0041】
改めて
図1を参照すると、システム100の1つ以上のセンサ130は、圧力センサ132、流量センサ134、温度センサ136、モーションセンサ138、マイクロフォン140、スピーカ142、無線周波(RF)受信機146、RF送信機148、カメラ150、赤外線センサ152、光電式(PPG)センサ154、心電図(ECG)センサ156、脳波(EEG)センサ158、静電容量センサ160、力センサ162、歪みゲージセンサ164、筋電図(EMG)センサ166、酸素センサ168、分析物センサ174、水分センサ176、LiDARセンサ178、またはそれらの任意の組み合わせを含む。一般に、1つまたはセンサ130のそれぞれが、メモリデバイス114または1つ以上の他のメモリデバイスに受信および記憶されたセンサデータを出力するように構成されている。
【0042】
1つ以上のセンサ130は、圧力センサ132、流量センサ134、温度センサ136、モーションセンサ138、マイクロフォン140、スピーカ142、RF受信機146、RF送信機148、カメラ150、赤外線センサ152、光電式(PPG)センサ154、心電図(ECG)センサ156、脳波(EEG)センサ158、静電容量センサ160、力センサ162、歪みゲージセンサ164、筋電図(EMG)センサ166、酸素センサ168、分析物センサ174、水分センサ176、およびLiDARセンサ178のそれぞれを含むものとして図示および記載されているが、1つ以上のセンサ130は、本明細書に記載および/図示されたセンサのそれぞれの任意の組み合わせおよび任意の個数を含み得るのが、より一般的である。
【0043】
本明細書に記載のとおり、システム100は概して、睡眠セッション中にユーザ(例えば、
図2に示す呼吸療法システム120のユーザ)と関連付けられた生理学的データを生成するのに使用することができる。生理学的データは、分析して1つ以上の睡眠関連パラメータを生成することができ、このパラメータは、睡眠セッション中にユーザと関連付けられた任意のパラメータや測定値などを含み得る。睡眠セッション中にユーザ210に関して判断できる1つ以上の睡眠関連パラメータは、例えば、無呼吸-低呼吸指数(AHI)スコア、睡眠スコア、流れ信号、呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりの事象数、事象パターン、段階、呼吸療法デバイス122の圧力設定、心拍数、心拍数変動、ユーザ210の移動、温度、EEG活動、EMG活動、覚醒、いびき、窒息、咳、口笛、喘鳴、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0044】
1つ以上のセンサ130は、例えば、生理学的データ、オーディオデータ、またはその両方を生成するのに使用することができる。センサ130のうちの1つ以上によって生成された生理学的データは、制御システム110により、睡眠セッション中のユーザと関連付けられた睡眠覚醒信号および1つ以上の睡眠関連パラメータを判断するのに使用することができる。睡眠覚醒信号は、覚醒、リラックスした覚醒、微小覚醒、急速眼球運動(レム)段階、第1のノンレム段階(「N1」と称されることが多い)、第2のノンレム段階(「N2」と称されることが多い)、第3のノンレム段階(「N3」と称されることが多い)、またはそれらの任意の組み合わせを含むの睡眠状態および/または睡眠段階を示すことができる。1つ以上のセンサ130などのうちの1つ以上のセンサによって生成された生理学的データから睡眠状態および/または睡眠段階を判断するための方法が、例えば、国際特許公開第2014/047310号、米国特許公開第2015/0230750号、米国特許公開第2014/0088373号、国際公開第2017/132726号、国際公開第2019/122413号、および国際公開第2019/122414号、ならびに米国特許公開第2020/383580号に記載されており、いずれも、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0045】
いくつかの実装形態においては、本明細書に記載されている睡眠覚醒信号に、ユーザの就床時刻、ユーザの離床時刻、ユーザの就眠試行時刻などを示すタイムスタンプを付与することができる。睡眠覚醒信号は、睡眠セッション中に、例えば、1秒につき1サンプル、30秒につき1サンプル、1分につき1サンプルなど所定のサンプリングレートで1つ以上のセンサ130によって測定することができる。いくつかの実装形態においては、睡眠覚醒信号が、睡眠セッション中の呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりの事象数、事象パターン、呼吸療法デバイス122の圧力設定、またはそれらの任意の組み合わせも示し得る。この事象(単数または複数)は、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、閉塞性無呼吸、混合性無呼吸、低呼吸、(例えばユーザインターフェース124からの)マスク漏れ、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増、呼吸困難、喘息発作、てんかん挿間症、発作、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。睡眠覚醒信号に基づいて睡眠セッション中のユーザについて判断できる1つ以上の睡眠関連パラメータとしては、例えば、全就床時間、全睡眠時間、入眠潜時、入眠後覚醒パラメータ、睡眠効率、断片化指数、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。本明細書にさらに詳述するとおり、生理学的データおよび/または睡眠関連パラメータを分析して、1つ以上の睡眠関連スコアを判断することができる。
【0046】
1つ以上のセンサ130によって生成された生理学的データおよび/またはオーディオデータは、睡眠セッション中のユーザと関連付けられた呼吸信号を判断するのに使用することもできる。呼吸信号は概して、睡眠セッション中のユーザの呼吸または気息を示す。呼吸信号は、例えば、呼吸数、呼吸数変動、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりの事象数、事象パターン、呼吸療法デバイス122の圧力設定、またはそれらの任意の組み合わせを示すことができる。この事象(単数または複数)は、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、閉塞性無呼吸、混合性無呼吸、低呼吸、(例えばユーザインターフェース124からの)マスク漏れ、下肢静止不能、睡眠障害、窒息、心拍数増、呼吸困難、喘息発作、てんかん挿間症、発作、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0047】
圧力センサ132は、メモリデバイス114に記憶すること、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することのできる圧力データを出力する。いくつかの実装形態においては、圧力センサ132が、呼吸療法システム120のユーザの呼吸(例えば、吸気および/もしくは呼気)ならびに/または周囲圧力を示すセンサデータを生成する空気圧センサ(例えば大気圧センサ)である。かかる実装形態においては、圧力センサ132が、呼吸療法デバイス122に連結または統合することができる。圧力センサ132は、例えば、静電容量センサ、電磁センサ、圧電センサ、歪みゲージセンサ、光学センサ、電位差センサ、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0048】
流量センサ134は、メモリデバイス114に記憶すること、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することのできる流量データを出力する。いくつかの実装形態において、流量センサ134は、呼吸療法デバイス122からの空気流量、導管126を通過する空気流量、ユーザインターフェース124を通過する空気流量、またはそれらの任意の組み合わせを判断するのに使用される。かかる実装形態においては、流量センサ134が、呼吸療法デバイス122、ユーザインターフェース124、または導管126に連結または統合することができる。流量センサ134は、例えば、回転流量計(例えば、ホール効果流量計)、タービン流量計、オリフィス流量計、超音波流量計、熱線センサ、渦流センサ、膜センサ、またはそれらの任意の組み合わせなどの質量流量センサであり得る。
【0049】
温度センサ136は、メモリデバイス114に記憶すること、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することのできる温度データを出力する。いくつかの実装形態においては、温度センサ136が、ユーザ210(
図2)の核心体温、ユーザ210の皮膚温度、呼吸療法デバイス122から、および/または導管126を通過して流れる空気の温度、ユーザインターフェース124内の温度、周囲温度、またはそれらの任意の組み合わせを示す温度データを生成する。温度センサ136は、例えば、熱電対センサ、サーミスタセンサ、シリコンバンドギャップ温度センサもしくは半導体ベースのセンサ、抵抗温度検出器、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0050】
モーションセンサ138は、メモリデバイス114に記憶すること、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することのできるモーションデータを出力する。モーションセンサ138は、睡眠セッション中のユーザ210の動きを検出するのに、および/または呼吸療法デバイス122、ユーザインターフェース124、もしくは導管126など、呼吸療法システム120の構成要素のいずれかの動きを検出するのに使用することができる。モーションセンサ138は、加速度計、ジャイロスコープ、および磁力計など1つ以上の慣性センサを含み得る。いくつかの実装形態においては、モーションセンサ138が、代替または追加として、ユーザの体動を表す1つ以上の信号を生成し、この信号から、例えばユーザの呼吸運動を介して、ユーザの睡眠状態を表す信号が取得され得る。いくつかの実装形態においては、モーションセンサ138からのモーションデータを、別のセンサ130からの追加データと併用して、ユーザの睡眠状態を判断することができる。
【0051】
マイクロフォン140は、メモリデバイス114に記憶すること、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することのできる音および/またはオーディオデータを出力する。マイクロフォン140によって生成されたオーディオデータは、睡眠セッション中の1つ以上の音(単数または複数)(例えば、ユーザ210からの音)として再現可能である。マイクロフォン140からのオーディオデータは、本明細書でさらに詳述するとおり、睡眠セッション中のユーザが経験した事象を(例えば、制御システム110を使用して)特定するのに使用することもできる。マイクロフォン140は、呼吸療法デバイス122、使用インターフェース124、導管126、またはユーザデバイス170に連結または統合することができる。いくつかの実装形態においては、システム100が複数のマイクロフォン(例えば、ビーム形成機能を有する2つ以上のマイクロフォンおよび/またはマイクロフォンの配列)を含み、複数のマイクロフォンのそれぞれによって生成された音データが、その複数のマイクロフォンのうちの別のものによって生成された音データを区別するのに使用できるようになっている。
【0052】
スピーカ142は、システム100のユーザ(例えば、
図2のユーザ210)にとって可聴である音波を出力する。スピーカ142は、例えば、目覚まし時計として使用すること、または(例えば、事象を受けて)ユーザ210にアラートまたはメッセージを再生する目的で使用することができる。いくつかの実装形態においては、スピーカ142が、マイクロフォン140によって生成されたオーディオデータをユーザに伝えるのに使用することができる。スピーカ142は、呼吸療法デバイス122、ユーザインターフェース124、導管126、またはユーザデバイス170に連結または統合することができる。
【0053】
マイクロフォン140およびスピーカ142は、別々のデバイスとして使用することができる。いくつかのの実装形態においては、マイクロフォン140およびスピーカ142を、例えば、参照によりそれぞれ全体が本明細書に組み込まれる国際特許公開WO2018/050913およびWO2020/104465に記載のとおり、音響センサ141に組み入れることができる。かかる実装形態においては、スピーカ142が、所定の間隔および/または周波数で音波を生成または放出し、マイクロフォン140が、スピーカ142から放出された音波の反射を検出する。スピーカ142が生成または放出する音波は、ユーザ210または同床者220(
図2)の睡眠を妨げないように、人間の耳には聞こえない周波数(例えば、20Hz未満または約18kHz超)を有する。制御システム110は、マイクロフォン140および/またはスピーカ142からのデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザ210(
図2)の位置および/または、例えば、呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりの事象数、事象パターン、睡眠状態、呼吸療法デバイス122の圧力設定、またはそれらの任意の組み合わせなど、本明細書に記載の睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を判断することができる。この文脈では、ソナーセンサが、超音波または低周波数超音波感知信号(例えば、約17~23kHz、18~22kHz、または17~18kHzの周波数範囲内)を空中で生成/送信することなどによるアクティブ音響センシングに関わるものと理解され得る。かかるシステムは、上記の国際公開第2018/050913号および国際公開第2020/104465号を踏まえて検討され得る。
【0054】
いくつかの実装形態においては、センサ130が、(i)マイクロフォン140と同一または同様であり、音響センサ141に統合されている第1のマイクロフォンと、(ii)マイクロフォン140と同一または同様だが、音響センサ141に統合されている第1のマイクロフォンとは別々かつ別個である第2のマイクロフォンと、を含む。
【0055】
RF送信機148は、所定の周波数および/または所定の振幅(例えば、高周波帯域内、低周波帯域内、長波信号、短波信号など)を有する電波を生成および/または放射する。RF受信機146は、RF送信機148から放射された電波の反射を検出し、このデータは、制御システム110によって分析することにより、ユーザ210(
図2)の位置および/または本明細書に記載されている睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を判断することができる。RF受信機(RF受信機146およびRF送信機148のどちらか、または別のRFペア)は、制御システム110、呼吸療法デバイス122、1つ以上のセンサ130、ユーザデバイス170、またはそれらの任意の組み合わせの間での無線通信に使用することもできる。RF受信機146およびRF送信機148は、
図1において別々かつ別個の要素として示されているが、いくつかの実装形態においては、RF受信機146およびRF送信機148がRFセンサ147の一部として組み合わせられている。一部のかかる実装形態においては、RFセンサ147が制御回路を含む。RF通信の具体的な形式は、Wi-FiやBluetooth(登録商標)などであり得る。
【0056】
いくつかの実装形態においては、RFセンサ147がメッシュシステムの一部である。メッシュシステムの一例がWi-Fiメッシュシステムであり、このシステムは、メッシュノード、メッシュルータ(単数または複数)、およびメッシュゲートウェイ(単数または複数)を含み得、これらのそれぞれが移動式/可動式または固定式であり得る。かかる実装形態においては、Wi-Fiメッシュシステムが、Wi-Fiルータおよび/またはWi-Fiコントローラ、ならびに1つ以上の衛星(例えばアクセスポイント)を含み、これらのそれぞれが、RFセンサ147と同一または同様であるRFセンサを含む。Wi-Fiルータおよび衛星は、Wi-Fi信号を使用して互いに常時通信する。Wi-Fiメッシュシステムは、物体や人が移動して信号を部分的に妨害することによってルータと衛星(単数または複数)との間で生じるWi-Fi信号の変化(例えば、受信信号強度の差)に基づいてモーションデータを生成するのに使用することができる。このモーションデータは、モーション、呼吸、心拍数、歩行、転倒、挙動など、またはそれらの任意の組み合わせを示し得る。
【0057】
カメラ150は、メモリデバイス114に記憶できる1つ以上の画像(例えば、静止画、動画、熱画像、またはそれらの任意の組み合わせ)として再現可能な画像データを出力する。制御システム110は、カメラ150からの画像データを使用して、例えば、1つ以上の事象(例えば、周期性四肢運動または下肢静止不能症候群)、呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりの事象数、事象パターン、睡眠状態、睡眠段階、またはそれらの任意の組み合わせなど、本明細書に記載されている睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を判断することができる。さらには、カメラ150からの画像データを使用して、例えば、ユーザの位置を特定し、ユーザ210(
図2)の胸の動きを判断し、ユーザ210の口および/または鼻の空気流を判断し、ユーザ210がベッド230に入った時刻を判断し、ユーザ210がベッド230(
図2)を後にした時刻を判断することができる。いくつかの実装形態においては、カメラ150が広角レンズまたは魚眼レンズを含む。
【0058】
赤外線(IR)センサ152は、メモリデバイス114に記憶できる1つ以上の赤外線画像(例えば、静止画、動画、またはその両方)として再現可能な赤外線画像データを出力する。IRセンサ152からの赤外線データは、ユーザ210の温度および/またはユーザ210の移動を含む、睡眠セッション中の1つ以上の睡眠関連パラメータを判断するのに使用することができる。IRセンサ152は、ユーザ210の存在、位置、および/または移動を測定する際に、カメラ150と組み合わせて使用することもできる。IRセンサ152が、例えば、約700nmと約1mmとの間の波長を有する赤外光を検出することができるのに対し、カメラ150は、約380nmと約740nmとの間の波長を有する可視光を検出することができる。
【0059】
PPGセンサ154は、例えば、心拍数、心拍数変動、心周期、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、推定血圧パラメータ(単数または複数)、またはそれらの任意の組み合わせなど1つ以上の睡眠関連パラメータを判断するのに使用できる、ユーザ210(
図2)と関連付けられた生理学的データを出力する。PPGセンサ154は、ユーザ210が着用すること、ユーザ210が着用する衣類および/または織地に埋め込むこと、ユーザインターフェース124および/またはその関連ヘッドギア(例えばストラップなど)に埋め込むことおよび/または連結すること、などができる。
【0060】
ECGセンサ156は、ユーザ210の心臓の電気的活動と関連付けられた生理学的データを出力する。いくつかの実装形態においては、ECGセンサ156が、睡眠セッション中のユーザ210の一部分の上または周囲に位置付けられている1つ以上の電極を含む。ECGセンサ156からの生理学的データは、例えば、本明細書に記載されている睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を判断するのに使用することができる。
【0061】
EEGセンサ158は、ユーザ210の脳の電気的活動と関連付けられた生理学的データを出力する。いくつかの実装形態において、EEGセンサ158は、睡眠セッション中のユーザ210の頭皮の上または周囲に位置付けられている1つ以上の電極を含む。EEGセンサ158からの生理学的データは、例えば、睡眠セッション中の任意の所与の時期におけるユーザ210の睡眠状態または睡眠段階を判断するのに使用することができる。いくつかの実装形態において、EEGセンサ158は、ユーザインターフェース124および/またはその関連ヘッドギア(例えばストラップなど)に統合することができる。
【0062】
静電容量センサ160、力センサ162、および歪みゲージセンサ164は、メモリデバイス114に記憶でき、かつ本明細書に記載されている睡眠関連パラメータのうちの1つ以上を判断するのに制御システム110が使用できるデータを出力する。EMGセンサ166は、1つ以上の筋肉によって生み出された電気的活動と関連付けられた生理学的データを出力する。酸素センサ168は、(例えば、導管126内またはユーザインターフェース124における)気体の酸素濃度を示す酸素データを出力する。酸素センサ168は、例えば、超音波酸素センサ、電気酸素センサ、化学酸素センサ、光学式酸素センサ、パルスオキシメータ(例えばSpO2センサ)、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。いくつかの実装形態においては、1つ以上のセンサ130が、ガルバニック皮膚反応(GSR)センサ、血流センサ、呼吸センサ、脈拍センサ、血圧計センサ、オキシメトリセンサ、またはそれらの任意の組み合わせも含む。
【0063】
分析物センサ174は、ユーザ210の吐出息における分析物の存在を検出するのに使用することができる。分析物センサ174によって出力されたデータは、メモリデバイス114に記憶することができ、ユーザ210の息に含まれる任意の分析物の同一性および濃度を判断するために制御システム110によって使用することができる。いくつかの実装形態においては、分析物センサ174が、ユーザ210の口付近に位置付けられ、ユーザ210の口から吐き出された息に含まれる分析物を検出する。例えば、ユーザインターフェース124が、ユーザ210の鼻および口を覆う顔面マスクである場合、分析物センサ174は、ユーザ210の口呼吸を監視するためにその顔面マスク内に位置付けられ得る。ユーザインターフェース124が鼻マスクまたは鼻枕マスクである場合など、他の実装形態においては、分析物センサ174が、ユーザの鼻を通じて吐き出される息に含まれる分析物を検出するために、ユーザ210の鼻付近に位置付けられ得る。さらに他の実装形態においては、ユーザインターフェース124が鼻マスクまたは鼻枕マスクである場合に、分析物センサ174が、ユーザ210の口付近に位置付けられ得る。この実装形態においては、分析物センサ174を、ユーザ210の口から不用意に空気が漏れていないかどうかを検出するのに使用することができる。いくつかの実装形態においては、分析物センサ174が、炭素系化学物質または化合物を検出するのに使用できる揮発性有機化合物(VOC)センサである。いくつかの実装形態においては、分析物センサ174を、ユーザ210が鼻または口のどちらで呼吸しているかを検出するのに使用することもできる。例えば、ユーザ210の口付近または(ユーザインターフェース124が顔面マスクである実装形態において)顔面マスク内に位置付けられた分析物センサ174によって出力されたデータによって分析物の存在が検出された場合、制御システム110は、ユーザ210が口で呼吸しているという指標としてこのデータを使用することができる。
【0064】
水分センサ176は、メモリデバイス114に記憶でき、かつ制御システム110が使用できるデータを出力する。水分センサ176は、ユーザを取り巻く様々な領域(例えば、導管126またはユーザインターフェース124の内部、ユーザ210の顔付近、導管126とユーザインターフェース124との間の接続部付近、導管126と呼吸療法デバイス122との間の接続部付近など)において水分を検出するのに使用することができる。そのため、いくつかの実装形態においては、水分センサ176を、呼吸療法デバイス122からの加圧空気の湿度を監視するために、ユーザインターフェース124に連結または統合すること、または導管126に統合することができる。他の実装形態においては、水分センサ176が、水分レベルを監視する必要がある任意の領域付近に配置されている。水分センサ176は、例えば寝室内の空気など、ユーザ210を取り巻く周囲環境の湿度を監視するのに使用することもできる。
【0065】
光検出および測距(LiDAR)センサ178は、深度感知に使用することができる。このタイプの光学センサ(例えばレーザセンサ)は、物体を検出し、生活空間など周囲環境の3次元(3D)マップを作成するのに使用することができる。LiDARは一般に、パルスレーザを利用して飛行時間を計測する。LiDARは、3Dレーザスキャンとも称される。かかるセンサの一使用例においては、LiDARセンサ166を有する固定または(スマートフォンなどの)モバイルデバイスが、センサから5メートル以上離れた領域を測定およびマッピングすることができる。LiDARデータは、例えば電磁式RADARセンサによって推定されたポイントクラウドデータと融合させることができる。LiDARセンサ(単数または複数)178は、人工知能(AI)を使用して、(RADARに対して高反射性であり得る)ガラス窓など、RADARシステムにとっての問題をもたらし得る空間内の特徴を検出および分類することにより、RADARシステムのジオフェンスを自動的に作成することもできる。LiDARは、人の身長に加え、人が座ったとき、倒れたときなどに生じる身長の変化を推定するのに使用することもできる。LiDARは、環境の3Dメッシュ表現を形成するのに使用され得る。さらなる用途では、電波が通過する固体表面(例えば電波透過性材料)にLiDARが反射し得ることにより、異なるタイプの障害物の分類が可能となる。
【0066】
いくつかの実装形態においては、1つ以上のセンサ130が、ガルバニック皮膚反応(GSR)センサ、血流センサ、呼吸センサ、脈拍センサ、血圧計センサ、オキシメトリセンサ、ソナーセンサ、RADARセンサ、血糖センサ、色センサ、pHセンサ、空気質センサ、傾斜センサ、雨センサ、土壌水分センサ、水流センサ、アルコールセンサ、またはそれらの任意の組み合わせも含む。
【0067】
図1では別々に示されているが、1つ以上のセンサ130の任意の組み合わせを、呼吸療法デバイス122、ユーザインターフェース124、導管126、加湿タンク129、制御システム110、ユーザデバイス170、活動トラッカー180、またはそれらの任意の組み合わせを含むシステム100の構成要素のうちの任意の1つ以上に統合および/または連結することができる。例えば、マイクロフォン140およびスピーカ142は、ユーザデバイス170に統合および/または連結され、圧力センサ130および/または流量センサ132は、呼吸療法デバイス122に統合および/または連結される。いくつかの実装形態においては、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つが、呼吸療法デバイス122、制御システム110、またはユーザデバイス170に連結されておらず、睡眠セッション中のユーザ210に概ね隣接して位置付けられている(例えば、ユーザ210の一部分の上に位置付けられているか接触している、ユーザ210によって着用されている、ナイトスタンドに連結されているか位置付けられている、マットレスに連結されている、天井に連結されている、など)。
【0068】
ユーザデバイス170(
図1)は、ディスプレイデバイス172を含む。ユーザデバイス170は、例えば、スマートフォン、タブレット、ゲーム・コンソール、スマートウォッチ、ノートパソコン等のモバイルデバイスであり得る。代替として、ユーザデバイス170は、外部感知システム、テレビ(例えばスマートテレビ)、または別のスマートホームデバイス(例えば、Google Home(登録商標)、Amazon Echo(登録商標)、Amazon Alexaなどのスマートスピーカ(単数または複数))であり得る。ディスプレイデバイス172は概して、静止画、動画、またはその両方を含む画像(単数または複数)を表示するのに使用される。いくつかの実装形態においては、ディスプレイデバイス172が、画像(単数または複数)および入力インターフェースを表示するように構成されたグラフィックユーザインターフェース(GUI)を含むヒューマンマシンインターフェース(HMI)の働きをする。ディスプレイデバイス172は、LEDディスプレイ、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等であり得る。入力インターフェースは、例えば、タッチスクリーンまたは接触感知基板、マウス、キーボード、またはユーザデバイス170とやりとりする人間ユーザによって行われる入力を感知するように構成された任意のセンサシステムであり得る。いくつかの実装形態においては、1つ以上のユーザデバイスを、システム100が使用すること、および/またはシステム100に含めることができる。
【0069】
いくつかの実装形態においては、ユーザデバイス170がスマートフォンであり、ディスプレイデバイス172と、(例えば、プロセッサ112と同一または同様である)1つ以上のプロセッサと、(例えば、メモリデバイス114と同一または同様である)1つ以上のメモリデバイスと、センサ130(例えば、マイクロフォン140、スピーカ142、RF受信機146、RF送信機148、およびカメラ150)のうちの1つ以上と、を含む。他の実装形態においては、ユーザデバイス170が、ディスプレイデバイス172と、(例えば、プロセッサ112と同一または同様である)1つ以上のプロセッサと、(例えば、メモリデバイス114と同一または同様である)1つ以上のメモリデバイスと、センサ130(例えば、マイクロフォン140、スピーカ142、RF受信機146、RF送信機148)のうちの1つ以上と、を含む(例えば、Google Home(登録商標)、Google Nest(登録商標)、Google Nest Hub(登録商標)、Amazon Echo(登録商標)、Amazon Alexaなどと同一または同様である)スマートスピーカまたはハブである。かかる実装形態においては、ユーザデバイス170に含まれるセンサ(単数または複数)を、本明細書に記載されている睡眠セッションと関連付けられたデータ(例えば、生理学的データやオーディオデータなど)を生成または取得するのに使用することができる。いくつかの実装形態においては、このユーザデバイスがウェアラブルデバイス(例えばスマートウォッチ)である。
【0070】
いくつかの実装形態においては、ユーザデバイス170が、本明細書に記載されている方法のいずれかのためのユーザインターフェースを実行および/または提供するためのモバイルアプリケーション174を含む。モバイルアプリケーション174は、アプリケーションストアからユーザデバイス170にダウンロードすること、または(例えば、ネイティブオペレーティングシステムの一部として)ユーザデバイス170にプリインストールすることができる。
【0071】
いくつかの実装形態においては、システム100が活動トラッカー180も含む。活動トラッカー180は一般に、ユーザと関連付けられた生理学的データの生成を支援するのに使用される。活動トラッカー180は、例えば、モーションセンサ138(例えば、1つ以上の加速度計および/またはジャイロスコープ)、PPGセンサ154、および/またはECGセンサ156など、本明細書に記載されているセンサ130のうちの1つ以上を含み得る。活動トラッカー180からの生理学的データを使用して、例えば、歩数、移動距離、登坂歩数、身体活動の持続時間、身体活動のタイプ、身体活動の強度、立って過ごした時間、呼吸数、平均呼吸数、安静時呼吸数、最大呼吸数、呼吸数変動、心拍数、平均心拍数、安静時心拍数、最大心拍数、心拍数変動、燃焼カロリー数、血中酸素飽和度、皮膚電気活動(皮膚コンダクタンスまたはガルバニック皮膚反応とも称される)、またはそれらの任意の組み合わせを判断することができる。いくつかの実装形態においては、活動トラッカー180がユーザデバイス170に(例えば、電子的または物理的に)連結されている。
【0072】
いくつかの実装形態においては、活動トラッカー180が、スマートウォッチ、リストバンド、リング、またはパッチなど、ユーザが装着できるウェアラブルデバイスである。例えば
図2を参照すると、活動トラッカー180がユーザ210の手首に装着されている。活動トラッカー180は、ユーザが着用する衣類または衣服に連結または統合することもできる。代替として、活動トラッカー180は、ユーザデバイス170(例えば、同じハウジング内)に連結または統合することもできる。活動トラッカー180は、制御システム110、メモリ114、呼吸療法システム120、および/またはユーザデバイス170と通信可能に連結できること、または物理的に(例えば、ハウジング内に)統合できることがより一般的である。言い換えれば、活動トラッカー180は、制御システム110、メモリ114、呼吸療法システム120、および/またはユーザデバイス170と同期することができる。
【0073】
改めて
図1を参照すると、制御システム110およびメモリデバイス114は、システム100の別々かつ別個の構成要素として
図1に記載および図示されているが、いくつかの実装形態においては、制御システム110および/またはメモリデバイス114が、ユーザデバイス170および/または呼吸療法デバイス122に統合されている。代替として、いくつかの実装形態においては、制御システム110またはその一部分(例えばプロセッサ112)がクラウドに位置し得(例えば、サーバに統合され、モノのインターネット(IoT)デバイスに統合され、クラウドに接続され、エッジクラウド処理を受け得るなど)、1つ以上のサーバ(例えば、リモートサーバ、ローカルサーバなど、またはそれらの任意の組み合わせ)に位置し得る。いくつかの実装形態においては、本明細書に記載されている処理のいくつかの態様が、生理学的データおよび/または睡眠関連パラメータを更新できることを利点とするクラウドで実行される。
【0074】
システム100は、上記構成要素のすべてを含むものとして示されているが、本開示の種々の実装形態によれば、生理学的データを生成するため、およびユーザにとって勧奨される通知または行動を判断するためにシステムに含めることのできる構成要素は、それより多くも少なくもある。例えば、第1の代替システムは、制御システム110と、メモリデバイス114と、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つと、を含む。別の例として、第2の代替システムは、制御システム110と、メモリデバイス114と、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つと、ユーザデバイス170と、を含む。さらに別の例として、第3の代替システムが、制御システム110と、メモリデバイス114と、呼吸療法システム120と、1つ以上のセンサ130のうちの少なくとも1つと、ユーザデバイス170と、を含む。そのため、本明細書に表示および記載されている構成要素の任意の部分(単数または複数)を使用して、かつ/または1つ以上の他の構成要素と組み合わせて、様々なシステムを形成することができる。
【0075】
本明細書で使用されている睡眠セッションは、例えば、初回の開始時刻および終了時刻に基づいていくつかの方法で定義することができる。いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、ユーザが眠っている持続時間であり、すなわち睡眠セッションは、開始時刻と終了時刻とを有し、睡眠セッション中はユーザが終了時刻まで覚醒しない。すなわち、ユーザが覚醒している時間は、睡眠セッションに含まれない。睡眠セッションの第1の定義からは、ユーザが一晩で複数回覚醒および就眠した場合、それらの覚醒期間によって隔てられたそれぞれの睡眠期間が睡眠セッションとなる。
【0076】
代替として、いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、開始時刻と終了時刻とを有し、その睡眠セッション中は、ユーザが覚醒している連続時間が覚醒持続時間閾値未満である限り、そのユーザは、睡眠セッションが終了せずに覚醒することができる。覚醒持続時間閾値は、睡眠セッションの百分率と定義することができる。覚醒持続時間閾値は、例えば、睡眠セッションの約20パーセント、睡眠セッション持続時間の約15パーセント、睡眠セッション持続時間の約10パーセント、睡眠セッション持続時間の約5パーセント、睡眠セッション持続時間の約2パーセント等、または他の任意の閾値百分率であり得る。いくつかの実装形態においては、覚醒持続時間閾値が、例えば、約1時間、約30分、約15分、約10分、約5分、約2分など、または他の任意の量の時間と定義される。
【0077】
いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、ユーザが最初に就床した夜の時刻から、ユーザが最後に起床した翌朝の時刻までの総時間と定義される。別の言い方をすれば、睡眠セッションは、(ユーザが寝る前に最初にテレビを見たりスマートフォンをいじったりすることを意図した場合ではなく)ユーザが寝るという意図を持って最初に就床した、現在の夜と称せる第1の日付(例えば、2020年1月6日月曜日)の第1の時刻(例えば午後10:00)に始まり、ユーザがその翌朝に再び寝ないという意図を持って最初に起床した、翌朝と称せる第2の日付(例えば2020年1月7日火曜日)の第2の時刻(例えば午前7:00)に終わる時間と定義することができる。
【0078】
いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、ユーザが最初に就床した夜の時刻から、ユーザが最後に起床した翌朝の時刻までの総時間と定義される。別の言い方をすれば、睡眠セッションは、(ユーザが寝る前に最初にテレビを見たりスマートフォンをいじったりすることを意図した場合ではなく)ユーザが寝るという意図を持って最初に就床した、現在の夜と称せる第1の日付(例えば、2020年1月6日月曜日)の第1の時刻(例えば午後10:00)に始まり、ユーザがその翌朝に再び寝ないという意図を持って最初に起床した、翌朝と称せる第2の日付(例えば2020年1月7日火曜日)の第2の時刻(例えば午前7:00)に終わる時間と定義することができる。
【0079】
いくつかの実装形態においては、ユーザが睡眠セッションの開始を手動で定義し、かつ/または睡眠セッションを手動で終了させることができる。例えば、ユーザは、ユーザデバイス170(
図1)のディスプレイデバイス172に表示される1つ以上のユーザ選択可能要素を(例えば、クリックすること、またはタップすることによって)選択して、睡眠セッションを手動で開始または終了させることができる。
【0080】
睡眠セッションは、ユーザ210がベッド230(または睡眠するつもりで利用する別の領域または物体)に横たわったり座ったりした後、および呼吸療法デバイス122をオンにし、かつユーザインターフェース124を身に付けた後の任意の時点を含むのが一般的である。そのため、睡眠セッションは、(i)ユーザ210がCPAPシステムを使用しているが、就眠試行前である期間(例えば、ユーザ210がベッド230に横になって本を読んでいる期間)、(ii)ユーザ210が就眠しようとし始めるがまだ覚醒している期間、(iii)ユーザ210が浅睡眠(非急速眼球運動(ノンレム)睡眠の段階1および段階2とも呼ばれる)に入っている期間、(iv)ユーザ210が深睡眠(徐波睡眠(SWS)、またはノンレム睡眠の段階3とも呼ばれる)に入っている期間、(v)ユーザ210が急速眼球運動(レム)睡眠に入っている期間、(vi)ユーザ210が、浅睡眠、深睡眠、またはレム睡眠の間で周期的に覚醒している期間、または(vii)ユーザ210が覚醒して眠りに戻らない期間を含み得る。
【0081】
いくつかの例においては、睡眠セッションが、ユーザ210がユーザインターフェース124を取り外し、呼吸療法デバイス122をオフにし、かつベッド230から出ると終了するものと一般に定義することができる。いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、追加の時間期間を含むこと、または上に開示された期間の一部のみに限定することができる。例えば、睡眠セッションは、呼吸療法デバイス122が気道またはユーザ210に加圧空気を供給し始めたときに始まり、呼吸療法デバイス122がユーザ210の気道に加圧空気を供給するのを停止したときに終わり、かつ、ユーザ210が眠っているか覚醒しているときにその間の時点の一部または全部を含む期間を包含するように画定することができる。
【0082】
図3を参照すると、ある睡眠セッションの例示的な時系列300が表されている。時系列300は、就床時刻(t
bed)と、入眠時刻(t
GTS)と、初回睡眠時刻(t
sleep)と、第1の微小覚醒MA
1および第2の微小覚醒MA
2と、覚醒A
1と、覚醒時刻(t
wake)と、起床時刻(t
rise)と、を含む。
【0083】
就床時刻t
bedは、ユーザが就眠する前に最初に就床(例えば、
図2のベッド230)する(例えば、ユーザがベッドに横になったり座ったりする)時刻と関連付けられている。就床時刻t
bedは、ユーザが寝るために就床する時刻と、ユーザが他の理由で(例えば、テレビを見るために)就床する時刻と、を区別するために、就床閾値持続時間に基づいて特定することができる。例えば、就床閾値持続時間は、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間、少なくとも約30分間、少なくとも約45分間、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間などであり得る。本明細書においては、ベッドを参照して就床時刻t
bedを説明しているが、就床時刻t
bedは、ユーザが寝るために最初に何らかの箇所(例えば、ソファ、椅子、寝袋など)に就いた時刻を表し得るのが、より一般的である。
【0084】
入眠時刻(tGTS)は、ユーザが、床に就いた後、最初に就眠を試行する時刻(tbed)と関連付けられている。例えば、ユーザは、床に就いた後、眠ろうとする前に、くつろぐために1つ以上の活動(例えば、読書、テレビ視聴、音楽鑑賞、ユーザデバイス170の使用など)をし得る。初回睡眠時刻(tsleep)は、ユーザが最初に就眠した時刻である。例えば、初回睡眠時刻(tsleep)は、ユーザが最初にノンレム睡眠段階に入った時刻であり得る。
【0085】
覚醒時刻twakeは、(例えば、ユーザが夜中に目覚めて眠りに戻るのではなく、)ユーザが眠りに戻ることなく目覚めた時期と関連付けられた時刻である。ユーザは、最初に就眠した後、短い持続時間(例えば、5秒、10秒、30秒、1分など)を有する、より多くの無意識の微小覚醒(例えば、微小覚醒MA1およびMA2)のうちの1つを経験し得る。ユーザは、覚醒時刻twakeではなく、微小覚醒MA1およびMA2のそれぞれを経て、再び眠る。同様に、ユーザは、最初に就眠した後、1つ以上の意識的な覚醒(例えば、覚醒A1)(例えば、トイレに行くために起きる、子供やペットの世話をする、夢中歩行するなど)を有し得る。ただし、ユーザは覚醒A1の後に睡眠に戻る。そのため、覚醒時刻twakeは、例えば、(例えば、ユーザが少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間等にわたって覚醒している)覚醒閾値持続時間に定義することができる。
【0086】
同様に、起床時刻triseは、(例えば、ユーザが夜中にトイレに行くこと、子供やペットの世話をすること、夢中歩行することなどではなく、)睡眠セッションを終了するという意図を持ってユーザがベッドを後にし、離れた時刻と関連付けられている。言い換えれば、起床時刻triseは、ユーザが次の睡眠セッション(例えば、翌日の夜)までベッドに戻ることなく、最後にベッドを離れた時刻である。そのため、起床時刻triseは、例えば、(例えば、ユーザが少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間などにわたって離床している)起床閾値持続時間に基づいて定義することができる。第2の後続の睡眠セッションの就床時刻tbedも、(例えば、ユーザが少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間などにわたって離床している)起床閾値持続時間に基づいて定義することができる。
【0087】
上記のとおり、ユーザは、初回のtbedから最終のtriseまでの夜間にもう1回目覚めて離床し得る。いくつかの実装形態においては、事象(例えば、就眠または離床)後の所定の閾値持続時間に基づいて特定または判断される最終覚醒時刻twakeおよび/または最終起床時刻trise。かかる閾値持続時間は、ユーザに合わせてカスタマイズすることができる。夜就床し、朝覚醒および起床する標準的なユーザの場合には、約12時間から約18時間の間の任意の時間(ユーザが覚醒(twake)または起床(trise)してから就床(tbed)、入眠(tGTS)または就眠(tsleep)するまでの間)を用いることができる。ベッドで過ごす時間が長いユーザであれば、より短い閾値時間(例えば、約8時間から約14時間)が使用され得る。この閾値時間は、ユーザの睡眠挙動を監視するシステムに基づいて、最初に選択および/または後で調整され得る。
【0088】
全就床時間(TIB)は、就床時刻t
bedから起床時刻t
riseまでの持続時間である。全睡眠時間(TST)は、初回睡眠時刻から覚醒時刻までの持続時間から、その間の意識的または無意識的な覚醒および/または微小覚醒を除外した時間と関連付けられている。全睡眠時間(TST)は、全就床時間(TIB)よりも短く(例えば、1分短く、10分短く、1時間短くなど)なるのが一般的である。例えば、
図3の時系列300を参照すると、全睡眠時間(TST)は、初回睡眠時刻t
sleepから覚醒時刻t
wakeまでであるが、第1の微小覚醒MA
1、第2の微小覚醒MA
2、および覚醒Aの持続時間が除外されている。図示のとおり、この例においては、全睡眠時間(TST)が全就床時間(TIB)よりも短い。
【0089】
いくつかの実装形態においては、全睡眠時間(TST)を、全持続睡眠時間(PTST)と定義することができる。かかる実装形態においては、全持続睡眠時間が、第1のノンレム段階(例えば、深睡眠段階)の所定の初期部分または初期時間を除外している。例えば、この所定初期部分は、約30秒間から約20分間、約1分間から約10分間、約3分間から約5分間などであり得る。全持続睡眠時間は、持続的睡眠の測定値であり、睡眠/覚醒睡眠経過記録を滑らかにする。例えば、ユーザの初回就眠時に、そのユーザは、非常に短い時間(例えば約30秒間)にわたる第1のノンレム段階に入り、短時間(例えば1分間)の覚醒段階に戻った後に、第1のノンレム段階に戻り得る。本例においては、全持続睡眠時間が、第1のノンレム段階の最初の事例(例えば約30秒間)を除外している。
【0090】
いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、就床時刻(tbed)に始まり、起床時刻(trise)に終わる時間、すなわち全就床時間(TIB)と定義されている。いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、初回睡眠時刻(tsleep)に始まり、覚醒時刻(twake)に終わるものと定義されている。いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、全睡眠時間(TST)と定義されている。いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、入眠時刻(tGTS)に始まり、覚醒時刻(twake)に終わるものと定義されている。いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、入眠時刻(tGTS)に始まり、起床時刻(trise)に終わるものと定義されている。いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、就床時刻(tbed)に始まり、覚醒時刻(twake)に終わるものと定義されている。いくつかの実装形態においては、睡眠セッションが、初回睡眠時刻(tsleep)に始まり、起床時刻(trise)に終わるものと定義されている。
【0091】
図4を参照すると、いくつかの実装形態に係る、時系列300(
図3)に対応する例示的な睡眠経過記録400が表されている。図示のとおり、睡眠経過記録400は、睡眠覚醒信号401と、覚醒段階軸410と、レム段階軸420と、深睡眠段階軸430と、深睡眠段階軸440と、を含む。睡眠覚醒信号401と軸410~440のうちの1つとの交点は、睡眠セッション中の任意の所与の時刻における睡眠段階を示している。
【0092】
睡眠覚醒信号401は、ユーザと関連付けられた(例えば、本明細書に記載されているセンサ130のうちの1つ以上によって生成された)生理学的データに基づいて生成することができる。睡眠覚醒信号は、覚醒、リラックスした覚醒、微小覚醒、レム段階、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の睡眠状態を示し得る。いくつかの実装形態においては、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階、および第3のノンレム段階のうちの1つ以上をひとまとめにし、深睡眠段階または深睡眠段階として分類することができる。例えば、深睡眠段階は、第1のノンレム段階を含み得、深睡眠段階は、第2のノンレム段階と第3のノンレム段階とを含み得る。睡眠経過記録400は、
図4において、深睡眠段階軸430と深睡眠段階軸440とを含むものとして示されているが、いくつかの実装形態において、睡眠経過記録400は、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階、および第3のノンレム段階のそれぞれを表す軸を含み得る。他の実装形態においては、睡眠覚醒信号が、呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、1時間当たりの事象数、事象パターン、またはそれらの任意の組み合わせも示し得る。睡眠覚醒信号について記述している情報は、メモリデバイス114に記憶することができる。
【0093】
睡眠経過記録400は、例えば、入眠潜時(SOL)、入眠後覚醒(WASO)、睡眠効率(SE)、睡眠断片化指数、睡眠ブロック、またはそれらの任意の組み合わせなど、1つ以上の睡眠関連パラメータを判断するのに使用することができる。
【0094】
入眠潜時(SOL)は、入眠時刻(tGTS)と初回睡眠時刻(tsleep)との間の時間と定義される。言い換えれば、入眠潜時は、ユーザが最初に就眠を試行してから実際に就眠するまでに要した時間を示す。いくつかの実装形態においては、入眠潜時が持続的入眠潜時(persistent sleep onset latency:PSOL)と定義される。持続的入眠潜時は、入眠時刻から所定量の持続的睡眠までの持続時間と定義されるという点で、入眠潜時とは異なる。いくつかの実装形態においては、所定量の持続的睡眠が、例えば、第2のノンレム段階内、第3のノンレム段階内、ならびに/または2分間以下の覚醒、第1のノンレム段階、および/もしくはその間の移動を伴うレム段階内の少なくとも10分間の睡眠、を含み得る。言い換えれば、持続的入眠潜時は、例えば、第2のノンレム段階内、第3のノンレム段階内、および/またはレム段階内での最大8分間の持続的睡眠を要する。他の実装形態においては、所定量の持続的睡眠が、初回睡眠時刻後の第1のノンレム段階内、第2のノンレム段階内、第3のノンレム段階内、および/またはレム段階内の少なくとも10分間の睡眠を含み得る。かかる実装形態においては、所定量の持続的睡眠が、一切の微小覚醒を除外し得る(例えば、10秒間の微小覚醒後に、その10分間が再開されることはない)。
【0095】
入眠後覚醒(WASO)は、初回睡眠時刻から覚醒時刻までの間でユーザが覚醒している全持続時間と関連付けられている。そのため、入眠後覚醒は、意識的か無意識的かを問わず、睡眠セッション中の短時間覚醒と微小覚醒と(例えば、
図4に示す微小覚醒MA
1とMA
2と)を含む。いくつかの実装形態においては、入眠後覚醒(WASO)が、所定の長さ(例えば、10秒間超、30秒間超、60秒間超、約5分間超、約10分間超など)を有する全覚醒持続時間だけを含む持続的入眠後覚醒(PWASO)と定義される。
【0096】
睡眠効率(SE)は、全就床時間(TIB)と全睡眠時間(TST)との比率と判断される。例えば、全就床時間が8時間で、全睡眠時間が7.5時間であれば、その睡眠セッションの睡眠効率は93.75%である。睡眠効率は、ユーザの睡眠衛生を示す。例えば、ユーザが就床し、睡眠前に他の活動(例えば、テレビの視聴)に時間を費やすと、睡眠効率が低下する(例えば、そのユーザが罰則を受ける)。いくつかの実装形態においては、全就床時間(TIB)と、ユーザが入眠を試行する全時間と、に基づいて睡眠効率(SE)を計算することができる。かかる実装形態においては、ユーザが入眠を試行する全持続時間が、本明細書に記載されている入眠(GTS)時刻から起床時刻までの時間と定義される。例えば、全睡眠時間が8時間(例えば、午後11時から午前7時まで)、入眠時刻が午後10:45、起床時刻が午前7:15であれば、かかる実装形態においては、睡眠効率パラメータが約94%と計算される。
【0097】
断片化指数は、睡眠セッション中の覚醒回数に少なくとも部分的に基づいて判断される。例えば、ユーザが2回の微小覚醒(例えば、
図4に示す微小覚醒MA
1および微小覚醒MA
2)を有していた場合には、断片化指数を2と表すことができる。いくつかの実装形態においては、この断片化指数が、所定範囲の整数間(例えば、0から10の間)でスケーリングされる。
【0098】
睡眠ブロックは、任意の睡眠段階(例えば、第1のノンレム段階、第2のノンレム段階、第3のノンレム段階、および/またはレム)と覚醒段階との間での移行と関連付けられる。睡眠ブロックは、例えば、30秒の分解能で計算することができる。
【0099】
いくつかの実装形態においては、本明細書に記載されているシステムおよび方法が、就床時刻(tbed)、入眠時刻(tGTS)、初回睡眠時刻(tsleep)、1回以上の第1の微小覚醒(例えば、MA1およびMA2)、覚醒時刻(twake)、起床時刻(trise)、またはそれらの任意の組み合わせを睡眠経過記録の睡眠覚醒信号に少なくとも部分的に基づいて判断または特定するために、睡眠/起床信号を含む睡眠経過記録を生成または分析することを含み得る。
【0100】
他の実装形態においては、センサ130のうちの1つ以上を使用して、就床時刻(tbed)、入眠時刻(tGTS)、初回睡眠時刻(tsleep)、1回以上の第1の微小覚醒(例えば、MA1およびMA2)、覚醒時刻(twake)、起床時刻(trise)、またはそれらの任意の組み合わせを判断または特定することができ、ひいては睡眠セッションを定義することができる。例えば、就床時刻tbedは、モーションセンサ138、マイクロフォン140、カメラ150、またはそれらの任意の組み合わせなどによって生成されたデータに基づいて判断することができる。入眠時刻は、例えば、モーションセンサ138からのデータ(例えば、ユーザによる動きがないことを示すデータ)、カメラ150からのデータ(例えば、ユーザによる動きがないこと、および/またはユーザが照明を消したことを示すデータ)、マイクロフォン140からのデータ(例えば、使用がテレビを消したことを示すデータ)、ユーザデバイス170からのデータ(例えば、ユーザがユーザデバイス170をもう使用していないことを示すデータ)、圧力センサ132および/または流量センサ134からのデータ(例えば、ユーザが呼吸療法デバイス122の電源を投入したことを示すデータ、ユーザがユーザインターフェース124を着用したことを示すデータなど)、またはそれらの任意の組み合わせなどに基づいて判断することができる。
【0101】
図5A~
図5Cを遍く参照すると、いくつかの実装形態においては、ユーザが睡眠セッションの開始を手動で定義すること、および/または睡眠セッションを手動で終了させることができる。
図5Aを参照すると、セットアップビュー500が、ユーザデバイス170(
図1)のディスプレイデバイス172を介して表示されている。セットアップビュー500は、第1のユーザ選択可能要素501と、第2のユーザ選択可能要素502と、第3のユーザ選択可能要素503と、を含む。第1のユーザ選択可能要素501は、ユーザが(例えば、第1のユーザ選択可能要素501をクリックまたはタップすることによって)睡眠セッションの開始を定義できるようにする。第2のユーザ選択可能要素502により、ユーザは覚醒時刻(例えば午前6:30)を指定することができる。第2のユーザ選択可能要素502は、例えば、ユーザが覚醒時刻を指定できるようにするためのスクロールホイールメニューまたはドロップダウンメニューを含み得る。第3のユーザ選択可能要素503により、選択された覚醒時刻に基づいてアラームを生成するスマートアラーム機能をユーザが(例えば、トグルボタンを用いて)選択することができる。
【0102】
スマートアラームは、選択された覚醒時刻に基づいて所定の時間範囲内(例えば、午前6:30から午前7:00の間)にアラームを生成すること、ならびに生理学的データおよび/または睡眠関連パラメータに基づいてその範囲内の最適な時期にアラームを生成することができる。例えば、スマートアラームは、ユーザが浅睡眠に最も近い所望の覚醒時刻(本明細書に記載のとおり、1つ以上の睡眠関連パラメータに基づいて判断される)を基準とする所定の時間窓内(例えば、15分以内、20分以内、30分以内、45分以内、1時間以内など)にアラームを生成することができる。例えば、所定の時間窓が30分であり、所望の起床が午前7:00であれば、スマートアラームは、ユーザが浅睡眠に最も近い午前6:30から午前7:00の間の時期にアラームを生成することができる。
【0103】
図5Bを参照すると、睡眠ビュー510が、ユーザデバイス170(
図1)のディスプレイデバイス172に表示されている。睡眠ビュー510は、ユーザがセットアップビュー500(
図5A)の第1のユーザ選択可能要素501を選択した後に(例えば、選択を受けて)表示される。睡眠ビュー510(
図5B)は、ユーザが(例えば、第1のユーザ選択可能要素511をクリックまたはタップすることによって)睡眠セッションを手動で終了できるようにする第1のユーザ選択可能要素511を含む。
【0104】
図5Cを参照すると、アラームビュー520が、ユーザデバイス170(
図1)のディスプレイデバイス172に表示されている。アラームビュー520は、セットアップビュー500(
図5A)の第2のユーザ選択可能要素502を介して生成されたアラームの後に(例えば、アラームを受けて)表示される。アラームビュー520は、(例えば、第1のユーザ選択可能要素521をクリックまたはタップすることによって)ユーザがアラームをオフにできるようにする第1のユーザ選択可能要素521を含む。図示のとおり、この例においては、上記のスマートアラーム機能によって設定された所定の範囲内(午前6:30から午前7:00の間)である午前6:43にアラームが生成される。
【0105】
図6を参照すると、ユーザの第1の睡眠セッションにおける第1の睡眠疾患と、ユーザの第2の睡眠セッションにおける第2の睡眠疾患と、を比較する方法600が示されている。本明細書に記載のとおり、第2の睡眠セッションは、ユーザが第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に呼吸療法システム(例えば、本明細書に記載されている呼吸療法システム120と同一または同様の呼吸療法システム)を使用するのに対し、第1の睡眠セッション中には呼吸療法システムを使用しないという点で、第1の睡眠セッションとは異なる。方法600の1つ以上のステップは、本明細書に記載されているシステム100(
図1~
図2)の任意の要素または態様を用いて実施することができる。
【0106】
方法600のステップ601は、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを生成および/または受信することを含む。ユーザは、第1のデータが生成または取得される第1の睡眠セッション中に、(例えば、本明細書に記載される呼吸療法システム120と同一または同様である)呼吸療法システムを使用しない。第1のデータ(ステップ601)は、例えば、音響センサ141など、本明細書に記載されているセンサ130(
図1)のうちの1つ以上によって生成することができる。
【0107】
第1のデータは、例えば、ユーザと関連付けられた第1の呼吸データ、ユーザと関連付けられた第1のオーディオデータ、またはその両方を含み得る。第1の呼吸データは、第1の睡眠セッションの少なくとも一部分(例えば、第1の睡眠セッションの少なくとも10%、第1の睡眠セッションの少なくとも50%、第1の睡眠セッションの75%、第1の睡眠セッションの少なくとも90%など)におけるユーザの第1の呼吸信号を示す。この呼吸信号は、第1の睡眠セッションの少なくとも一部分におけるユーザの呼吸数、呼吸数変動、一回換気量、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比など、またはそれらの任意の組み合わせを示す。第1のオーディオデータは、第1の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音(例えば、いびき、窒息、呼吸困難など)として再現可能である。
【0108】
いくつかの実装形態においては、第1の呼吸データおよび第1のオーディオデータの両方が音響センサ141(
図1)によって生成され、音響センサは、ユーザデバイス170に連結または統合されている。他の実装形態においては、第1の呼吸データが音響センサ141によって生成され、第1のオーディオデータは、音響センサとは別々かつ別個のマイクロフォン(例えば、マイクロフォン140と同一または同様のもの)によって生成される。第1のデータは、例えば、本明細書に記載されている電子インターフェース119および/またはユーザデバイス170(
図1)によって受信することができる。
【0109】
いくつかの実装形態においては、ステップ601の実行中に受信される第1のデータが睡眠ラベルデータを含み得る。睡眠ラベルデータは、第1の睡眠セッション中の製品(例えば、呼吸療法システムまたはデバイス)のユーザの使用状況を示すのが一般的である。かかる実装形態においては、ステップ601の実行中に受信された第1のデータを、選択された睡眠ラベルと関連付けることができる。
【0110】
例えば
図13Aを参照すると、第1の睡眠ラベルビュー1300を第1の睡眠セッション前にディスプレイデバイス172に表示することができる。第1の睡眠ラベルビュー1300は、第1のユーザ選択可能要素1310と第2のユーザ選択可能要素1320とを含み得る。
図13Aに示す例示的な実装形態においては、ユーザが、第1のユーザ選択可能要素1310を選択して、(例えば、第1の睡眠セッション中に呼吸療法システムまたはデバイスが使用されていないことを示す)第1の睡眠ラベルを適用することができる。代替として、ユーザは、第2のユーザ選択可能要素1320を選択して、(例えば、第1の睡眠セッション中の呼吸療法システムまたはデバイスが使用されていることを示す)第2の睡眠ラベルを適用することができる。第1の睡眠ラベルビュー1300を介した第1の睡眠ラベルまたは第2の睡眠ラベルの選択は、ステップ601の実行中に受信される他の第1のデータの少なくとも一部分と関連付けられている。
【0111】
いくつかの実装形態においては、第1の睡眠ラベルビュー1300が、第3の睡眠ラベル(例えば、第1のユーザ選択可能要素1312と関連付けられた第1の睡眠ラベルとは異なり、かつ第2のユーザ選択可能要素1314と関連付けられた第2の睡眠ラベルとは異なる第3の睡眠ラベル)と関連付けられた別のユーザ選択可能要素を第1の睡眠ラベルビュー1300内に表示させるためにユーザが選択することのできる第3のユーザ選択可能要素1314をさらに含む。例えば
図13Bを参照すると、第1の睡眠ラベルビュー1300において第3のユーザ選択可能要素1316を選択すると、第2の睡眠ラベルビュー1302がディスプレイデバイス172に表示されている。一般に、第2の睡眠ラベルビュー1302では、ユーザが、第1の睡眠ラベルビュー1300(
図13A)においてオプションとして追加される複数の所定の睡眠ラベルから選択すること、またはカスタム睡眠ラベルを作成することができる。
【0112】
図13Bに示す例においては、第2の睡眠ラベルビュー1302が、複数のユーザ選択可能要素1340A~1340Eを含み、それぞれが、複数の所定の睡眠ラベルのうちの1つと関連付けられている。例えば、第1のユーザ選択可能要素1340Aは、呼吸療法システムの第1のユーザインターフェースタイプ(例えばフルフェースマスク)と関連付けることができ、第2のユーザ選択可能要素1340Bは、呼吸療法システムの第2のユーザインターフェースタイプ(例えば鼻クレードルマスク)と関連付けることができ、第3のユーザ選択可能要素1340Cは、呼吸療法システムの第3のユーザインターフェースタイプ(例えば枕マスク)と関連付けることができ、第4のユーザ選択可能要素1340Dは、第1の睡眠ラベルビュー1300(
図13A)における第1のユーザ選択可能要素1310と関連付けられた呼吸療法システムとは異なるタイプ(例えば旅行用)の呼吸療法システムと関連付けることができる。第5のユーザ選択可能要素1340Eは、第1の睡眠ラベルビュー1300(
図13A)における第1のユーザ選択可能要素1310と関連付けられた呼吸療法システムとは異なる(例えば不眠症用の)療法システムと関連付けることができる。ユーザ選択可能要素1340A~1340Eのそれぞれが、対応するデバイスまたはシステムと関連付けられた英数字テキストおよび/または画像を含み得る。第2の睡眠ラベルビュー1302は、カスタム睡眠ラベルを作成するための第6のユーザ選択可能要素1350を含み得る(例えば、ユーザは英数字テキストを使用してカスタム睡眠ラベルを入力することができる)。他の実装形態においては、追加の睡眠ラベルが、補完デバイス(例えば、枕、寝具、掛毛布など)または薬剤ラベル(例えば、ユーザが睡眠セッション前にどの薬剤を使用したか)の使用状況を含み得る。いくつかの実装形態においては、この補完デバイスが、国際出願第PCT/US2020/048633号(国際公開第2021/041987号)および/または国際出願第PCT/IB2020/061244号に記載されているスマート枕などのスマート枕であり、両文献は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0113】
いくつかの実装形態においては、第2の睡眠ラベルビュー1302(
図13B)における複数のユーザ選択可能要素1340A~1340Eのうちの1つが選択されたことを受けて、第3の睡眠ラベルビューを表示することができる。例えば
図13Cを参照すると、第5のユーザ選択可能要素1340Eが選択されたことを受けて、第3の睡眠ラベルビュー1303がディスプレイデバイス172に表示されている。第3の睡眠ラベルビュー1303は、第5のユーザ選択可能要素1340E(例えば、第5のユーザ選択可能要素1340Eの拡大版)および不眠症治療デバイスと関連付けられた情報(例えば、英数字テキスト、ウェブページへのリンク、取扱説明書など)を増やす場合に選択できる別のユーザ選択可能要素1342Eと同一または同様の英数字テキストおよび/または画像を含む。ユーザは、ユーザ選択可能要素1344Eを選択することにより、不眠症治療デバイスと関連付けられた別のユーザ選択可能要素を第1の睡眠ラベルビュー1300(
図13A)に追加することができる。
【0114】
いくつかの実装形態においては、睡眠ラベルを自動的に判断して、第1のデータと関連付けることができる。例えば、ステップ601は、ユーザが呼吸療法システムの使用を手動で示すのではなく、ユーザが呼吸療法システムを使用していることを(例えば、本明細書に記載されているセンサ130のうちの1つ以上を使用して)自動的に検出することを含み得る。さらに、いくつかの例においては、治療デバイスのタイプ(例えば、ユーザインターフェースのタイプ)が自動的に検出され、睡眠ラベルとして適用することができる。例えば、カメラ150からのデータを(例えば、物体認識アルゴリズムを使用して)分析して、治療デバイスのデバイス(例えば、ユーザインターフェースのタイプ)を特定することができる。
【0115】
方法600のステップ602は、ステップ601の実行中に生成および/または受信された第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断することを含む。例えば、制御システム110は、(例えば、メモリデバイス114に記憶されている)第1のデータを分析して、第1の睡眠セッションにおける第1の組の睡眠関連パラメータを判断することができる。判断された第1の組の睡眠関連パラメータについて記述した情報は、例えば、メモリデバイス114(
図1)に記憶することができる。
【0116】
第1の組の睡眠関連パラメータは、例えば、無呼吸-低呼吸指数(AHI)、ユーザが経験した1つ以上の事象の特定、1時間当たりの事象数、事象パターン、全睡眠時間、全就床時間、覚醒時刻、起床時刻、睡眠経過記録、全浅睡眠時間、全深睡眠時間、全レム睡眠時間、覚醒回数、入眠潜時、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態においては、第1の組の睡眠関連パラメータが、国際公開第2015/006364号および米国特許公開第2016/0151603号に記載されている睡眠スコアなどの睡眠スコアを含み得、両文献は、参照より全体が本明細書に組み込まれる。第1の組の睡眠関連パラメータは、任意の数の睡眠関連パラメータ(例えば、1つの睡眠関連パラメータ、2つの睡眠関連パラメータ、5つの睡眠関連パラメータ、50つの睡眠関連パラメータなど)を含み得る。
【0117】
睡眠ラベル(
図13A~
図13C)が第1の睡眠セッション前に選択され、第1のデータと関連付けられている実装形態においては、第1の組の睡眠関連パラメータを睡眠ラベルと関連付けることができる。
【0118】
方法600のステップ603は、第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の主観的フィードバックを提供するよう第1の睡眠セッション後にユーザに促すことを含む。第1の主観的フィードバックは、ユーザデバイス170によって(例えば、ディスプレイデバイス172を介して)受信し、メモリデバイス114(
図1)に記憶することができる。例えば、睡眠ビュー510(
図5B)の第1のユーザ選択可能要素511またはアラームビュー520(
図5C)の第1のユーザ選択可能要素521をクリックまたはタップした直後に第1の後続フィードバックを提供するようユーザに促すことができる。第1の睡眠セッション後であり、次の後続の睡眠セッション前である任意の時期(例えば、第1の睡眠セッションの30秒後、第1の睡眠セッションの1分後、第1の睡眠セッションの5分後、第1の睡眠セッションの15分後、第1の睡眠セッションの30分後、第1の睡眠セッションの1時間後、第1の睡眠セッションの8時間後、第1の睡眠セッションの12時間後など)にユーザを促すことができるのが、より一般的である。第1の主観的フィードバックは、例えば、第1の睡眠セッション後の主観的眠気レベル、第1の睡眠セッション前の主観的眠気レベル、第1の睡眠セッションにおける主観的睡眠満足度評価、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0119】
ユーザからの第1の主観的フィードバックと関連付けられているか、そのフィードバックを示す情報は、例えば、ユーザデバイス170を通じて(例えば、英数字テキスト、音声テキスト変換などを介して)受信することができる。
図7A~
図7Dを遍く参照すると、いくつかの実装形態においては、ユーザに対して第1の主観的フィードバックの提供を求める一連の連続プロンプトを、ユーザデバイス170(
図1)のディスプレイデバイス172に表示することができる。
【0120】
図7Aを参照すると、英数字テキストを含む第1のプロンプト710が、複数のユーザ選択可能要素712を使用して(例えば、要素712のうちの1つ以上をクリックまたはタップすることによって)、第1の睡眠セッション後のユーザの感覚を明示するようユーザに促す。例えば、ユーザは、第1の睡眠セッション後の疲労または眠気についての指標を提供することができる。
図7Aに示す例示的実装形態においては、複数のユーザ選択可能要素712が、ユーザが疲れている、元気である、眠い、不機嫌である、楽しい、困憊している、またはそれらの任意の組み合わせであることを明示するための個々の要素を含む。ユーザは、ナビゲーション要素714を選択(例えば、クリックまたはタップ)することによって要素712の選択を確定し、次のプロンプト(単数または複数)(例えば
図7B)に進むことができる。
【0121】
図7Bを参照すると、英数字テキストを含む第2のプロンプト720が、第1の睡眠セッションの評価を明示するようユーザに促す。この評価は、第1の睡眠セッションについてユーザが知覚した睡眠の質(例えば、劣悪、良好、平均的、優良など)を概して示すことができる。
図7Bに示す例示的実装形態においては、第2のプロンプト720が、第1の睡眠セッションを1つ星、2つ星、3つ星、4つ星、または5つ星(5つ星が最良で、1つ星が最悪)で評価するためのユーザ選択可能星入力722を含む。ユーザは、ナビゲーション要素724を選択する(例えば、クリックまたはタップする)ことによってユーザの星選択を確定し、次のプロンプトに進むことができる。
【0122】
図7Cを参照すると、英数字テキストを含む第3のプロンプト730が、第1の睡眠セッションを開始する前に眠気または疲労レベルを明示するようユーザに促す。第3のプロンプト730は、ユーザが第1の睡眠セッション前に眠気または疲労レベル(例えば、極度に疲れている、かなり疲れている、疲れていない、その他)を明示できるようにするための複数のユーザ選択可能要素732を含む。いくつかの実装形態においては、第3のプロンプト730を、第1の睡眠セッション前に(例えば、セットアップビュー500(
図5A)において第1のユーザ選択可能要素501を選択した後に)ユーザに提供することができる。
【0123】
図7Dを参照すると、英数字テキストを含む第4のプロンプト740が、睡眠セッションの翌日(例えば、第1の睡眠セッションの8時間後、第1の睡眠セッションの12時間後、第1の睡眠セッションの16時間後、第1の睡眠セッションの終了と次の睡眠セッションとの間の全時間など)に居眠りまたは仮眠をすることなく覚醒していられたかどうかを明示するようユーザに促す。第4のプロンプト740は、「はい」または「いいえ」を明示するための第1の複数のユーザ選択可能要素742を含む。ユーザは、ナビゲーション要素744を選択し、第1の睡眠セッションと関連付けられた情報を参照することによって自身の選択を確定することができる。第4のプロンプト740は、第1の睡眠セッション後であり、第2の後続の睡眠セッション(例えば、第1の睡眠セッション直後の睡眠セッション)の前に表示できるのが一般的である。
【0124】
いくつかの実装形態においては、主観的フィードバックが活動情報を含み得る。活動情報は、例えば、第1の睡眠セッション前、または第1の睡眠セッション後かつ第2の睡眠セッション前におけるユーザの活動と関連付けることができる。活動情報は、第1の睡眠セッション前または後に受信することができる(例えば毎日のログ)。活動情報は、運動、仮眠、カフェイン摂取、アルコール摂取、またはそれらの任意の組み合わせと関連付けられた情報を含み得る。いくつかの例においては、療法システム(例えば、本明細書に記載されている呼吸療法システム)を使用せずに仮眠(単数または複数)が行われる。他の例においては、療法システムを使用して仮眠(単数または複数)が行われる。療法システムを使用して仮眠することは、ユーザが今後(例えば夜間における)の療法システム利用に順応するのに役立ち得る。
【0125】
図14を参照すると、いくつかの実装形態においては、活動報告ビュー1400をディスプレイデバイス172に表示することができる。活動報告ビュー1400は、第1の複数のユーザ選択可能要素1410A~1410Dと、第2の複数のユーザ選択可能要素1420A~1420Dと、第3の複数のユーザ選択可能要素1430A~1430Cと、第4の複数のユーザ選択可能要素1440A~1440Dと、を含む。
【0126】
第1の複数のユーザ選択可能要素1410A~1410Dは、(例えば、第1の睡眠セッション前に)ユーザが運動した時間量と関連付けられている。第1の複数のユーザ選択可能要素1410A~1410Dのうちの対応するものを選択することにより、ユーザは、例えば、運動なし、30分超の運動、1時間超の運動、または2時間超の運動を明示することができる。
【0127】
第2の複数のユーザ選択可能要素1420A~1420Dは、(例えば、第1の睡眠セッション前に)ユーザが行った仮眠の回数と関連付けられている。第2の複数のユーザ選択可能要素1420A~1420Dのうちの対応するものを選択することにより、ユーザは、例えば、仮眠なし、1回の仮眠、2または3回の仮眠、または4回以上の仮眠を明示することができる。
【0128】
第3の複数のユーザ選択可能要素1430A~1430Cは、(例えば、第1の睡眠セッション前の)カフェイン摂取と関連付けられている。第3の複数のユーザ選択可能要素1410C~1410Cのうちの対応するものを選択することにより、ユーザは、例えば、カフェインを午前中(AM)、午後もしくは夕方(PM)、またはその両方に消費したことを明示することができる。
【0129】
第4の複数のユーザ選択可能要素1440A~1440Dは、(例えば、第1の睡眠セッション前の)ユーザによるアルコール摂取と関連付けられている。第4の複数のユーザ選択可能要素1440A~1440Dのうちの対応するものを選択することにより、ユーザは、例えば、(例えば、第1の睡眠セッション前に消費された)アルコール摂取なし、1本のアルコール飲料、2本から3本のアルコール飲料、または4本超のアルコール飲料を明示することができる。
【0130】
方法600(
図6)のステップ604は、判断された第1の組の睡眠関連パラメータ(ステップ602)の少なくとも一部分についての指標を、第1の睡眠セッション後にユーザに伝えることを含む。判断された第1の組の睡眠関連パラメータの指標(単数または複数)は、例えば、ユーザデバイス170(
図1)を使用して、英数字テキスト、画像、音声、またはそれらの任意の組み合わせを介してユーザに伝えることができる。
【0131】
図8Aを参照すると、第1の睡眠セッションと関連付けられた複数の指標810~820がユーザデバイス170(
図1)のディスプレイデバイス172に表示されている。いくつかの実装形態においては、指標810~820を、ユーザが上記のナビゲーション要素744(
図7D)を選択した(例えば、クリックまたはタップした)ことを受けて表示することができる。この複数の指標は、第1の睡眠セッションにおける判断されたAHIを示す情報(例えば英数字テキスト)を含むAHI指標810を含む。本明細書に記載のとおり、AHIは、第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータに基づいて判断できる睡眠関連パラメータの1つである。AHI指標810は、例えば、判断されたAHI値(例えば数値)および/または相対修飾語(例えば、低、中、高など)を含み得る。
図8Aの例においては、AHI値が1時間当たり21であり、相対修飾語は高である。AHI指標810は、AHI値および重症度をユーザに説明する英数字テキストも含み得る(Last night, you stopped breathing 20 times per hour.This suggests you have severe sleep apnea.(例えば、昨夜、1時間当たり20回呼吸を停止した。これは、重度の睡眠時無呼吸を有することを示唆している))。
【0132】
この複数の指標は、第1の睡眠セッションにおける全睡眠時間、就床時刻、覚醒時刻、またはそれらの任意の組み合わせを示す情報を含む睡眠分析指標812も含む。
図8Aの例においては、睡眠分析指標812が、全睡眠時間が8時間33分であり、就床時刻が午後10:30であり、覚醒時刻が午前6:30であることを示す英数字テキストを含む。
【0133】
図8Aに示すとおり、ユーザが第1の睡眠セッションと関連付けられた睡眠要約を閲覧できるようにするための睡眠要約要素814もディスプレイデバイス172を表示することもできる。
図8Bを参照すると、睡眠要約要素814(
図8A)の選択後に(例えば、選択を受けて)、睡眠要約820がディスプレイデバイス172に表示されている。睡眠要約820は、睡眠分析指標822と、睡眠疾患指標824と、AHI指標826と、睡眠スコア指標828と、を含む。
【0134】
睡眠分析指標822は、上記の睡眠解析指標812(
図8A)と同一または同様であり、全睡眠時間、就床時刻、覚醒時刻、またはそれらの任意の組み合わせを含む。睡眠疾患指標824は、ユーザが、例えば、第1の睡眠セッション中に睡眠時無呼吸を経験したかどうか、および睡眠時無呼吸の重症度(例えば、軽度、中程度、重度など)を示す情報を提供する。
図8Bの例においては、睡眠疾患指標824が、ユーザが第1の睡眠セッション中に睡眠時無呼吸を経験したこと、および睡眠時無呼吸が重度であるとみなされたことを示している。AHI指標826は、上記のAHI指標810(
図8A)と同一または同様である。睡眠スコア指標828は、第1の睡眠セッションの睡眠スコアを示す情報、および/または判断された睡眠スコアが目標睡眠スコアを満たしているか超えているかを示す情報を提供する。睡眠スコアは、例えば、国際公開第2016/061629号および同第2017/0311879号などに記載されているmyAir(商標)スコアであり得、両文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図8Bの例においては、睡眠スコア指標828が、第1の睡眠セッションの睡眠スコアが50であること、およびこのスコアがユーザの目標スコアを下回っていることを示している。
【0135】
ナビゲーション要素829も睡眠要約820とともにディスプレイデバイス172に表示できるため、ユーザは、第1の睡眠セッションにおける判断された第1の組の睡眠関連パラメータのさらなる指標を閲覧するかどうかを選択することができる。
図8Cを参照すると、ナビゲーション要素829(
図8B)の選択後に(例えば、選択を受けて)、第1の睡眠セッションと関連付けられた複数の指標830~840がディスプレイデバイス172に表示されている。複数の指標830~840は、睡眠グラフ830と、浅睡眠指標832と、深睡眠指標834と、レム睡眠指標836と、覚醒指標838と、入眠潜時指標840と、を含む。
【0136】
睡眠グラフ830は、睡眠セッション中の中断(例えば、ユーザが覚醒したとき)、睡眠セッション中の不在(例えば、ユーザが夜間に離床したとき)、覚醒、レム睡眠、浅睡眠、深睡眠、またはそれらの任意の組み合わせを示す棒図表である。浅睡眠指標832は、第1の睡眠セッションの浅睡眠時間(
図8Cの例においては1時間20分)を示す情報を提供する。深睡眠指標834は、第1の睡眠セッションの深睡眠時間(
図8Cの例においては2時間30分)を示す情報を提供する。レム睡眠指標836は、第1の睡眠セッションのレム睡眠時間(
図8Cの例においては40分)を示す情報を提供する。覚醒指標838は、第1の睡眠セッション中の覚醒回数(
図8Cの例においては3回の覚醒)を示す情報を提供する。入眠潜時指標840は、第1の睡眠セッションのための入眠潜時(
図8Cの例においては54分)を示す情報を提供する。
【0137】
いくつかの実装形態においては、ステップ604が、第1の睡眠セッション後に音声指標をユーザに伝えることを含む。上記のとおり、第1のデータ(ステップ601)は、第1の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音として再現可能なオーディオデータを含み得る。ステップ602の間、第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、いびき、窒息、呼吸困難など1つ以上の事象を特定することができる。例えば、そのオーディオデータと旧記録オーディオデータとの間での比較(例えば機械学習アルゴリズムを使用)または所定のデシベルレベルを超えたオーディオデータに基づいて、そのオーディオデータにおけるこれらの事象を特定することができる。これらの事象を含む、ステップ601の実行中に受信されたオーディオデータは、再生のためにメモリデバイス114(
図1)に記憶することができ、事象が特定されない他のオーディオデータは、メモリデバイス114内の記憶容量を確保するために削除することができる。
【0138】
いびき、窒息、または呼吸困難など特定の事象と関連付けられたノイズは、(例えば、
図2の同床者220にとっては)相当に大きい可能性があるが、ユーザは、眠っているのでこれらのノイズが聞こえない。これらのノイズを聞くことができれば、ユーザは、これらの事象を低減または一掃するために、将来的に治療を求め、呼吸療法システムを使用することに対しての可能性が高まったり、前向きになったりし得る。そのため、ステップ604は、ユーザが第1の睡眠セッション後にこれらの事象を聞けるように、それらの事象に対応するオーディオデータの部分を(例えば、スピーカ142を使用して)ユーザに伝えることを含み得る。
【0139】
いくつかの実装形態においては、ステップ604が、第1の睡眠セッションの呼吸信号についての指標を(例えば、ユーザデバイス170のディスプレイデバイス172を介して)ユーザに伝えることを含む。呼吸信号の指標は、例えば、グラフまたはプロットであり得る。かかる実装形態においては、判断された事象であって、第1の睡眠セッションと関連付けられたもの(例えば、無呼吸、いびき、窒息など)についての1つ以上の指標を、表示された呼吸信号に重ね合わせることができる。
【0140】
改めて
図6を参照すると、方法600のステップ605は、第1の睡眠セッション後のユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを受信することを含む。第2の睡眠セッションは、ユーザが第1の睡眠セッションではなく第2の睡眠セッション中に本明細書に記載されている呼吸療法システム120(
図1)を使用しているという点で、第1の睡眠セッションとは異なる。第2のデータは、例えば、本明細書に記載されている電子インターフェース119および/またはユーザデバイス170(
図1)によって受信することができる。
【0141】
第2のデータ(ステップ605)は、第1のデータ(ステップ601)と同じセンサまたは異なるセンサ(単数または複数)を使用して生成することができる。いくつかの実装形態においては、第1のデータ(ステップ601)および第2のデータ(ステップ605)が、どちらも音響センサ141(
図1)によって生成される。他の実装形態においては、第1のデータが、ユーザデバイス170に連結または統合されている音響センサ141によって生成され、第2のデータが、呼吸療法デバイス122に連結または統合されている本明細書に記載のセンサ130(例えば、圧力センサ132、流量センサ134、またはその両方)のうちの1つ以上によって生成される。さらに他の実装形態においては、第2のデータが、ユーザデバイス170に連結または統合されている音響センサ141と、呼吸療法デバイス122に連結または統合されている本明細書に記載のセンサ130のうちの1つ以上と、の両方によって生成される。
【0142】
第2のデータは、第1のデータ(ステップ601)と同一または同様であり、例えば、ユーザと関連付けられた第2の呼吸データ、ユーザと関連付けられた第2のオーディオデータ、またはその両方を含み得る。第2の呼吸データは、第2の睡眠セッションの少なくとも一部分(例えば、第2の睡眠セッションの少なくとも10%、第2の睡眠セッションの少なくとも50%、第2の睡眠セッションの75%、第2の睡眠セッションの少なくとも90%など)におけるユーザの第2の呼吸信号を示す示す。この呼吸信号は、第2の睡眠セッションの少なくとも一部分におけるユーザの呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比など、またはそれらの任意の組み合わせを示す。第2のオーディオデータは、第2の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音(例えば、いびき、窒息、呼吸困難など)として再現可能である。第2のデータ(ステップ602)は、第1のデータ(ステップ601)と同一または同様の様式で、1つ以上の睡眠ラベル(
図13A~
図13C)と関連付けることができる。例えば、この方法は、第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の睡眠ラベルをステップ601の実行中に受信することと、第2の睡眠セッションにおいて第1の睡眠ラベルとは異なる第2の睡眠ラベルをステップ605の実行中に受信することと、を含み得る。
【0143】
いくつかの実装形態においては、第2の睡眠セッション(ステップ605)が、第1の睡眠セッション(ステップ601)の直後の睡眠セッションである(例えば、第1の睡眠セッションが月曜日の夜で、第2の睡眠セッションが火曜日の夜である)。他の実装形態においては、第1の睡眠セッションと第2の睡眠セッションとの間に1つ以上の他の睡眠セッションが存在する(例えば、第1の睡眠セッションが月曜日の夜で、第2の睡眠セッションが次の木曜日の夜である)。第2の睡眠セッションは、第1の睡眠セッション(
図5A~
図5C)と同一または同様の方法で、ユーザが手動で開始および/または終了することができる。
【0144】
方法600のステップ606は、ステップ605の実行中に生成および/または受信された第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断することを含む。例えば、制御システム110は、(例えば、メモリデバイス114に記憶されている)第2のデータを分析して、第2の睡眠セッションにおける第2の組の睡眠関連パラメータを判断することができる。判断された第2の組の睡眠関連パラメータについて記述した情報は、例えば、メモリデバイス114(
図1)に記憶することができる。
【0145】
第2の組の睡眠関連パラメータは、例えば、無呼吸-低呼吸指数(AHI)、ユーザが経験した1つ以上の事象の特定、1時間当たりの事象数、事象パターン、睡眠スコア、全睡眠時間、全就床時間、覚醒時刻、起床時刻、睡眠経過記録、全浅睡眠時間、全深睡眠時間、全レム睡眠時間、覚醒回数、入眠潜時、呼吸数、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。第2の組の睡眠関連パラメータ(ステップ606)は、第1の組の睡眠関連パラメータ(ステップ602)と同じパラメータまたは異なるパラメータを含み得る。第2の組の睡眠関連パラメータは、任意の数の睡眠関連パラメータ(例えば、1つの睡眠関連パラメータ、2つの睡眠関連パラメータ、5つの睡眠関連パラメータ、50つの睡眠関連パラメータなど)を含み得るのが、より一般的である。
【0146】
方法600のステップ607は、第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の主観的フィードバックを提供するようユーザに促すことを含む。ユーザからの第2の主観的フィードバックと関連付けられているか、そのフィードバックを示す情報は、例えば、ユーザデバイス170を通じて(例えば、英数字テキスト、音声テキスト変換などを介して)受信することができる。第2の主観的フィードバックは、ユーザデバイス170によって(例えば、ディスプレイデバイス172を介して)受信し、メモリデバイス114(
図1)に記憶することができる。第2の睡眠セッション後であり、次の後続の睡眠セッション前であり任意の時期(例えば、第2の睡眠セッションの30秒後、第2の睡眠セッションの1分後、第2の睡眠セッションの5分後、第2の睡眠セッションの15分後、第2の睡眠セッションの30分後、第2の睡眠セッションの1時間後、第2の睡眠セッションの8時間後、第2の睡眠セッションの12時間後など)にユーザを促すことができるのが、より一般的である。第2の主観的フィードバックは、例えば、第2の睡眠セッション後の主観的眠気レベル、第2の睡眠セッション前の主観的眠気レベル、第2の睡眠セッションにおける主観的睡眠満足度評価、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0147】
第2の睡眠セッション(ステップ607)を求めるプロンプトは、第1のプロンプト710(
図7A)、第2のプロンプト720(
図7B)、第3のプロンプト730(
図7C)、第4のプロンプト740(
図7D)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、第1の睡眠セッション(ステップ603)における上記のプロンプトと同一または同様であり得る。
図9Aを参照すると、いくつかの実装形態においては、英数字テキストを含む第5のプロンプト910が、第2の睡眠セッション中の呼吸療法システムの使用と関連付けられたフィードバックを明示するようユーザに促す。図示のとおり、第5のプロンプト910は、呼吸療法システムが使いやすかったか、使いにくかったか、またはよくわからなかったかを明示するようユーザに促すための複数のユーザ選択可能要素912を含む。ユーザは、ナビゲーション要素914を選択することにより、ユーザ選択可能要素912のうちの1つの選択を確定することができる。第2の主観的フィードバックは、活動情報も含み得、ステップ603(
図14)に関する上記の方法と同一または同様の方法で受信することができる。
【0148】
方法600のステップ608は、第2の組の睡眠関連パラメータ(ステップ606)の少なくとも一部分と関連付けられた1つ以上の指標を、第2の睡眠セッション後にユーザに伝えることを含む。判断された第2の組の睡眠関連パラメータの指標(単数または複数)は、例えば、ユーザデバイス170(
図1)を使用して、英数字テキスト、画像、音声、またはそれらの任意の組み合わせを介してユーザに伝えることができる。第2の組の睡眠関連パラメータの1つ以上の指標(ステップ606)は、第1の組の睡眠関連パラメータの1つ以上の指標(ステップ604)と同じであり得る。
【0149】
図9Bを参照すると、睡眠時無呼吸指標920および治療指標922が、ユーザデバイス170(
図1)のディスプレイデバイス172に表示されている。睡眠時無呼吸指標920は、ユーザが第2の睡眠セッション中に(例えば、AHIに基づいて)睡眠時無呼吸を経験したかどうかを示す情報を提供する。
図9Bの例においては、ユーザが睡眠セッション中に睡眠時無呼吸を経験していない(例えば、AHIが5未満であった)ため、睡眠時無呼吸指標920は、無呼吸が制御されていることを示している。治療指標922は、例えば、全睡眠時間、就床時刻、覚醒時刻、またはそれらの任意の組み合わせを含む、第2の睡眠セッション中の呼吸療法システムの使用状況を示す情報を提供する。ユーザは、ナビゲーション要素924を選択(例えば、クリックまたはタップ)することにより、第2の睡眠セッションの概要へと移動することができる。
【0150】
図9Cを参照すると、第2の睡眠セッションの要約ビュー930が、ユーザデバイス170(
図1)のディスプレイデバイス172に表示されている。要約ビュー930は、複数の指標932~938を含む。第1の指標932は、治療指標922(
図9B)と同一または同様であり、例えば、全睡眠時間、就床時刻、覚醒時刻、またはそれらの任意の組み合わせを含む、第2の睡眠セッション中の呼吸療法システムの使用状況を示す情報を提供する。第2の指標934は、睡眠時無呼吸指標920と同一または同様であり、第2の睡眠セッション中にユーザが(例えば、AHIに基づいて)睡眠時無呼吸を経験したかどうかを示す情報を提供する。第3の指標936は、第2の睡眠セッションのAHIを示す情報を提供する。第4の指標938は、第2の睡眠セッションの睡眠スコアを示す情報、および/または判断された睡眠スコアが目標睡眠スコアを満足ないし超過しているかどうかを示す情報を提供する。
【0151】
いくつかの実装形態においては、ステップ605~608を、ユーザが呼吸療法システムを使用しているときに、第2の睡眠セッション後の1つ以上の追加睡眠セッション(例えば、第3の睡眠セッション、第4の睡眠セッション、第10の睡眠セッション、第100の睡眠セッションなど)において繰り返すことができる。これらの追加睡眠セッションにおける判断された睡眠関連パラメータが、ユーザが呼吸療法システムおよび/または他の追加睡眠セッションのうちのいずれか1つを使用しなかった第1の睡眠セッションにおける判断された睡眠関連パラメータと比較され得る。同様に、ステップ601~604を、ユーザが呼吸療法システムを使用していない第1の睡眠セッション後の1つ以上の追加睡眠セッションにおいて繰り返すことができる。例えば、ステップ605~608は、ユーザが呼吸療法システムを使用している第3の睡眠セッションに対して繰り返すことができ、ステップ601~605は、ユーザが呼吸療法システムを使用していない第4の睡眠セッションに対して繰り返すことができる。
【0152】
方法600のステップ609は、第1の組の睡眠関連パラメータの少なくとも一部分と第2の組の睡眠関連パラメータの少なくとも一部分との間での1つ以上の比較をユーザに伝えることを含む。例えば、第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の睡眠関連パラメータのうちの第1のパラメータを、第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータのうちの対応するものと比較することができる。判断された第2の組の睡眠関連パラメータの比較(単数または複数)は、例えばユーザデバイス170(
図1)を使用して、英数字テキスト、画像、グラフもしくは図表(例えば、線グラフもしくは線プロット、棒グラフもしくは棒図表など)、音声、またはそれらの任意の組み合わせを介してユーザに伝えることができる。
【0153】
図10を参照すると、第1の比較1010、第2の比較1020、および第3の比較1030が、ユーザデバイス170(
図1)のディスプレイデバイス172に表示されている。第1の比較1010は、第1の睡眠セッションと関連付けられた睡眠満足度(例えば、ステップ603において第1の主観的フィードバックの一部として提供されたもの)を、第2の睡眠セッションと関連付けられた睡眠セッション満足度(例えば、ステップ607において第2の主観的フィードバックの一部として提供されたもの)と比較する線プロットである。図示のとおり、睡眠満足度は概して、ユーザが呼吸療法システムを使用していた第2の睡眠セッションにおいて向上した。
【0154】
第2の比較1020は、第1の睡眠セッションのAHIと第2の睡眠セッションのAHIとを比較する棒グラフである。図示のとおり、比較1020は、ユーザが第1の睡眠セッション中に(呼吸療法システムを使用せずに)重度の睡眠時無呼吸を経験したが、第2の睡眠セッション中には軽度の睡眠時無呼吸を経験しただけだったことを示しており、第2の睡眠セッション中に呼吸療法システムを使用した効果を実証している。第3の比較1030は、第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータおよび第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータのうちの追加のパラメータに関する情報を提供する英数字テキストを含む。
【0155】
第1の比較1010、第2の比較1020、および第3の比較1030とともに、日付要素1040も表示されている。日付要素1040を選択することにより、ユーザは、比較に含める睡眠セッションの日付範囲(例えば、3月4日から3月11日までの全睡眠セッション)を指定することができる。このようにして、ユーザは2つより多くの睡眠セッション(例えば、3つの睡眠セッション、5つの睡眠セッション、7つの睡眠セッション、30つの睡眠セッションなど)の比較を閲覧することができる。
【0156】
いくつかの実装形態においては、ステップ609が、第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、またはその両方の進行中においてユーザが呼吸を停止した時間量と関連付けられた指標を(例えば、ディスプレイデバイス172を介して)ユーザに伝えることを含む。例えば、この1つ以上の指標は、ユーザが第1の睡眠セッション中に(例えば、呼吸療法システム120を使用していないときに)10分間呼吸を停止し、第2の睡眠セッション中に(例えば、呼吸療法システム120を使用しているとき)呼吸を停止しなかったことを明示することができる。
【0157】
いくつかの実装形態においては、ステップ609が、第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、またはその両方の進行中において経験した1つ以上の事象と関連付けられた1つ以上の指標をユーザに伝えることを含む。かかる実装形態においては、その1つ以上の指標を、それぞれの睡眠セッションと関連付けられた睡眠経過記録(例えば、
図5の睡眠経過記録500と同一または同様のもの)の少なくとも一部分に重ね合わせることができる。これらの指標は、ユーザが睡眠中に経験した事象を視覚化するのに役立ち得る。例えば、これらの指標は、事象(例えば無呼吸)が発生する可能性が最も高い睡眠中の時期(例えば、時刻や睡眠段階など)をユーザが理解するのに役立ち得る。本明細書に記載のとおり、一部の呼吸療法システムユーザは、システムを使い始めても、(例えば、不快であるなどの理由で)睡眠中にシステムを取り外し得る。場合によっては、処方された使用法に臨床的に従うために、ある時間量(例えば4時間)だけ呼吸療法システムを使用する必要があることがユーザに知らされ得る。ただし、これらの指標を伝えることは、例えば、ユーザが4時間睡眠した後に事象が発生する可能性がより高いことをユーザが理解するのに役立ち、それにより、睡眠セッション中に呼吸療法システムを使用し続けるようユーザに促すことができる。そのため、これらの指標は、ユーザがコンプライアンスを高めるのに役立ち得る。
【0158】
本明細書に記載されている呼吸療法システム(例えばCPAPシステム)のユーザの中には、かかるシステムが不快であり、使用しにくく、高価であり、かつ/または審美性が低いと感じる人もいる。これらのシステムのユーザの中には、最初に治療を開始した後に、使用の利点に気付かない人もいる。その結果、これらのユーザは、自分の呼吸療法システムを処方どおりに(例えば毎晩)使用しなくなること、さらには、呼吸療法システムの使用を完全に中止してしまうことさえある。第1の睡眠セッション(呼吸療法システムなし)と第2の睡眠セッション(呼吸療法システムあり)との間での比較(単数または複数)を表示することは、後続の睡眠セッションにおいて呼吸療法システムを引き続き使用し続けるようユーザに促すのに役立ち得る。この比較により、例えば、第2の睡眠セッションにおけるAHIの低下または改善、第2の睡眠セッション中の覚醒の減少、第2の睡眠セッションにおける睡眠ブロック(例えばレム睡眠)の長期化、第2の睡眠セッションにおける主観的フィードバックの改善などが証明するとおり、呼吸療法システムを使用したことによる恩恵を受けているということをユーザに知らせることなどができる。この比較は、ユーザが呼吸療法システムを使用しなかった場合に第1の睡眠セッション後に感じた陰性の症状および影響をユーザに思い出させることもできる。
【0159】
代替として、いくつかの実装形態においては、方法600が、ユーザが呼吸療法システムの使用を中止するという勧奨を提供するステップを含む。例えば、判断された第1の組の睡眠関連パラメータであって、第1の睡眠セッションと関連付けられたものと、第2の睡眠(および/または第2の睡眠セッション後の追加の睡眠セッション)と関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータとの間での比較から、ユーザが呼吸療法システムの恩恵を受けていない(例えば、呼吸療法システムを使用するときにAHIが同じであるか悪化している)こと、および異なる治療または療法を必要とする併存性睡眠時無呼吸をユーザが経験している可能性があることが明らかとなる。
【0160】
いくつかの実装形態においては、ステップ604および/またはステップ609の実行中に表示される1つ以上の指標が、第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、またはその両方における選択された睡眠ラベルと関連付けられた情報を含む。さらに、いくつかの実装形態においては、ステップ609の実行中にユーザに伝えられる1つ以上の比較が、第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、または両方に対して選択された睡眠ラベルと関連付けられた情報を含み得る。第1の睡眠ラベルと第2の睡眠ラベルとの間での比較は、ユーザが睡眠の質向上に役立つ製品(単数または複数)(例えば、呼吸療法システムまたはデバイス)を選択するのに役立ち得る。例えば、第1の睡眠ラベルが療法の不使用を示しており、第2の睡眠ラベルが呼吸療法システムの使用を示している場合には、これらの睡眠ラベルの比較が、療法実施時の睡眠の違い(例えば改善)をユーザが視覚化するのに役立ち得る。別の例として、第1の睡眠ラベルが第1の治療デバイス(例えば、第1のユーザインターフェース)の使用を示しており、第2の睡眠ラベルが第2の治療デバイス(例えば、第1のユーザインターフェースとは異なる第2のユーザインターフェース)の使用を示している場合には、これらの睡眠ラベルの比較が、それらの治療デバイスのうちのどれが睡眠改善に最も効果的であるかをユーザが選択するのに役立ち得る。睡眠ラベルはさらに、代替的な療法システムまたはデバイス(例えば、CPAPシステムの代わりにMRD)または手術をユーザに勧奨するのに使用することもできる。睡眠ラベルはさらに、睡眠の質を改善するために、補完的なデバイス(例えば、寝具、掛毛布、枕など)をユーザに勧奨するのに使用することもできる。
【0161】
図15を参照すると、いくつかの実装形態においては、方法600が、睡眠ダッシュボード1500をユーザおよび/または第三者(例えば睡眠コーチ)に伝えることを含む。睡眠ダッシュボード1500は、例えば、ディスプレイデバイス172に表示することができる。睡眠ダッシュボード1500は、第1の睡眠セッション後(例えば、ステップ604の実行中)、第2の睡眠セッション後(例えば、ステップ608またはステップ609の実行中)、またはその両方において表示することができる。睡眠ダッシュボード1500は、
図8A~
図8C、
図9A~
図9C、および
図10に示すものと同一または同様のタイプの情報を含むのが一般的である。特に、睡眠ダッシュボード1500はコーチング情報1510を含む。コーチング情報1510は、本明細書に記載されている判断された睡眠関連パラメータおよび/または療法システム(例えば、呼吸療法システム)の使用(またはその欠如)に関してユーザと第三者(例えば、医師、療法システムの製造業者または販売業者などの医療従事者)との間で行われるやりとりを含むのが一般的である。コーチング情報1510は、例えば、第1のコーチングインジケータ1512Aと、第2のコーチングインジケータ1512Bと、第3のコーチングインジケータ1512Cと、を含み得る。これらのコーチングインジケータ1512A~1512Cは、ユーザの進捗についての要約または概要を提供し、勧奨される療法システムを使用するようユーザに促すのに役立ち得る。
【0162】
加えて、いくつかの実装形態においては、コーチングインジケータ1512A~1512Cが、訓練プログラム(例えば、呼吸療法システムの使い方をユーザに訓練または指導すること、ユーザの睡眠を遍く支援することなど)を含み得る。訓練プログラムは、例えば、デバイス(例えば、ユーザデバイス170、呼吸療法デバイス122など)が1つ以上の光および/または音を自動的に生成する時期および時間を明示することができる。いくつかの例においては、訓練プログラムが、所定の時期に所定の色の光を発して、ユーザに覚醒および離床する時期を合図する。訓練プログラムは、プログラムの開始時刻、プログラムの終了時期もしくは持続時間、プログラムの頻度もしくは開始日、またはそれらの任意の組み合わせを含むいくつかの設定パラメータに基づいてスケジュールを組むことができる。訓練プログラムは、メモリ114(
図1)に記憶することができる。
【0163】
いくつかの実装形態においては、本明細書に記載されているシステムおよび方法が、対話型チャットアシスタントソフトウェアのモジュールおよびインターフェースを含む。(チャットボットと称されることもある)このチャットアシスタントは、(例えば、上記のコーチング情報と同一または同様である)自動化されたコーチング情報をユーザに提供するのが一般的である。このチャットアシスタントは特に、ユーザからの入力(例えば質問)を受けて情報(例えばコーチング情報)を提供することができる。対話型チャットアシスタントインターフェースは、本明細書に記載されているユーザデバイス170を介して表示することができ、例えば、1つ以上のチャットウィンドウを使用して入力(例えば質問)を提供するようユーザに促す。ユーザからの入力(例えば質問)は、ユーザデバイス170を介して受信することができる(ユーザは、例えば、キーボードまたはマウスを介して入力された英数字テキストで、または音声テキスト変換を用いて口頭で質問することができる)。
【0164】
かかる実装形態においては、メモリ114(
図1)が、様々な画像、動画、アニメーション、または他の媒体を記憶するチャットアシスタントデータベースを含む。チャットアシスタントデータベース内のかかる情報は、例えば、患者がシステム100の一部分をセットアップおよび構成するのを支援するのに役立ち得る。チャットアシスタントデータベースは、例えば、呼吸療法システム120をセットアップし、オンにし、使用する方法、ユーザインターフェース124のサイズを決め、それを調整し、配置する方法、または呼吸療法システム120を使用する際の患者の学習曲線を減少させるための他のヘルプコンテンツを患者に示す画像または動画を含み得る。チャットアシスタントデータベース内の情報は、入力を受けて適切な情報がユーザに伝えられるように、ユーザからの特定の入力(例えば質問)と関連付けたり、リンクしたりすることができる。例えば、ユーザは、質問(例えば、私は自分のインターフェース/マスクをどのように着用すればよいか?)を含む入力を提供することができ、チャットアシスタントは、その質問に応える情報(例えば、インターフェース/マスクを着用するテキスト/音声命令を含む画像/動画)を提供することができる。チャットアシスタントインターフェースは自動化されているものとして記載してきたが、いくつかの実装形態においては、チャットアシスタントインターフェースにより、ユーザが、生身の人間である担当者と話すことができる。例えば、チャットアシスタントインタフェースは、ユーザが生身の担当者と話すことを選択できるようにするオプション(例えば選択可能要素)を含む。別の例として、チャットアシスタントは、ユーザによって尋ねられた質問にチャットアシスタントが回答できない場合に、ユーザを生身の担当者へと自動的に導くことができる。
【0165】
本明細書に記載のとおり、いくつかの実装形態においては、ステップ601~604が、ユーザが呼吸療法システムを使用していない第1の睡眠セッションにおいて実行され、ステップ605~607が、ユーザが呼吸療法システムを使用している第2の睡眠セッションにおいて実行される。他の実装形態においては、ステップ601~604を、ユーザが呼吸療法システムを使用していない睡眠セッションにおいて1回以上繰り返すことができ、その後、ステップ605~609が、ユーザが呼吸療法システムを使用している1つ以上の睡眠セッションにおいて実行される。例えば、ステップ601~604は、ユーザが呼吸療法システムを使用しない第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、および第3の睡眠セッションにおいて繰り返すことができる。本明細書に記載のとおり、判断された睡眠関連パラメータは、睡眠関連障害を有するユーザを診断して呼吸療法システムを処方できるようにするにあたって有用であり得る。
【0166】
呼吸療法システムを使用しない複数の睡眠セッションにおいてステップ601~604を繰り返すことは、複数の睡眠セッションにおける判断された睡眠関連パラメータを、睡眠関連障害を有するユーザを診断する目的で評価できるという点で利点があり得る。例えば、第1の睡眠セッションのAHIに基づいてユーザを診断するのではなく、3つの睡眠セッションのAHIを、診断のために平均化することができる。複数の睡眠セッションにおける睡眠関連パラメータに任意の適切な統計分析を、呼吸療法システムを使用せずに適用して、睡眠関連障害の正確な診断または特定(例えば、外れ値の除去、平均化、加重平均など)に役立てられるのが、より一般的である。
【0167】
方法600は、ステップ601~609のそれぞれを含むものとして本明細書に記載してきたが、方法600は、ステップ601~609の任意の適切な組み合わせを含み得るのが、より一般的である。例えば、第1の代替方法は、ステップ601と、ステップ602と、ステップ603と、ステップ605と、ステップ606と、ステップ607と、ステップ609と、を含み得る。別の例として、第2の代替方法は、ステップ601と、ステップ602と、ステップ605と、ステップ606と、ステップ609と、を含み得る。さらに、方法600は、特定の順序で行われるものとして本明細書に明示および記載してきたが、方法600のステップは、任意の適切な順序で実行できるのが、より一般的である。
【0168】
図11を参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係る方法1100が表されている。方法1100の1つ以上のステップは、本明細書に記載されているシステム100(
図1)の任意の要素または態様を用いて実施することができる。
【0169】
方法1100のステップ1101は、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1のデータを生成および/または受信することを含む。第1のデータは、例えば、ユーザと関連付けられた第1の呼吸データ、ユーザと関連付けられた第1のオーディオデータ、またはその両方を含み得る。第1の呼吸データは、第1の睡眠セッションの少なくとも一部分(例えば、第1の睡眠セッションの少なくとも10%、第1の睡眠セッションの少なくとも50%、第1の睡眠セッションの75%、第1の睡眠セッションの少なくとも90%など)におけるユーザの第1の呼吸信号を示す示す。この呼吸信号は、第1の睡眠セッションの少なくとも一部分におけるユーザの呼吸数、呼吸数変動、一回換気量、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比など、またはそれらの任意の組み合わせを示す。第1のオーディオデータは、第1の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音(例えば、いびき、窒息、呼吸困難など)として再現可能である。第1のデータは、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた任意の生理学的データを含み得るのが、より一般的である。
【0170】
第1のデータは、例えば、本明細書に記載されているセンサ130(
図1)のうちの1つ以上によって生成することができる。いくつかの実装形態においては、第1の呼吸データおよび第1のオーディオデータの両方が音響センサ141(
図1)によって生成され、音響センサは、ユーザデバイス170に連結または統合されている。他の実装形態においては、第1の呼吸データが音響センサ141によって生成され、第1のオーディオデータは、音響センサとは別々かつ別個のマイクロフォン(例えば、マイクロフォン140と同一または同様のもの)によって生成される。第1のデータは、例えば、本明細書に記載されている電子インターフェース119および/またはユーザデバイス170(
図1)によって受信することができる。
【0171】
方法1100のステップ1102は、第1のデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の組の睡眠関連パラメータを判断することを含む。例えば、システム100(
図1)の制御システム110は、(例えば、メモリデバイス114に記憶されている)第1のデータを分析して、第1の睡眠セッションの第1の組の睡眠関連パラメータを判断することができる。判断された第1の組の睡眠関連パラメータについて記述した情報は、例えば、メモリデバイス114(
図1)に記憶することができる。
【0172】
第1の組の睡眠関連パラメータは、例えば、無呼吸-低呼吸指数(AHI)、ユーザが経験した1つ以上の事象の特定、1時間当たりの事象数、事象パターン、全睡眠時間、全就床時間、覚醒時刻、起床時刻、睡眠経過記録、全浅睡眠時間、全深睡眠時間、全レム睡眠時間、覚醒回数、入眠潜時、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実装形態においては、第1の組の睡眠関連パラメータが、国際公開第2015/006364号および米国特許出願公開第2016/0151603号に記載されている睡眠スコアなどの睡眠スコアを含み得、両文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。第1の組の睡眠関連パラメータは、任意の数の睡眠関連パラメータ(例えば、1つの睡眠関連パラメータ、2つの睡眠関連パラメータ、5つの睡眠関連パラメータ、50つの睡眠関連パラメータなど)を含み得る。
【0173】
いくつかの実装形態においては、方法1100が、第1の睡眠セッションと関連付けられた第1の主観的フィードバックを、本明細書に記載されている方法600(
図6)のステップ603と同一または同様の方法で第1の睡眠セッション後に受信することをさらに含む。
【0174】
方法1100のステップ1103は、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2のデータを受信することを含む。第2のデータは、例えば、本明細書に記載されている電子インターフェース119および/またはユーザデバイス170(
図1)によって受信することができる。第2のデータは、第1のデータ(ステップ1101)と同じセンサまたは異なる1つ以上のセンサを使用して生成することができる。いくつかの実装形態においては、第1のデータ(ステップ1101)および第2のデータ(ステップ1105)が、どちらも音響センサ141(
図1)によって生成される。他の実装形態においては、第1のデータが、ユーザデバイス170に連結または統合されている音響センサ141によって生成され、第2のデータが、呼吸療法デバイス122に連結または統合されている本明細書に記載のセンサ130(例えば、圧力センサ132、流量センサ134、またはその両方)のうちの1つ以上によって生成される。さらに他の実装形態においては、第2のデータが、ユーザデバイス170に連結または統合されている音響センサ141と、呼吸療法デバイス122に連結または統合されている本明細書に記載のセンサ130のうちの1つ以上と、の両方によって生成される。
【0175】
第2のデータは、第1のデータ(ステップ1101)と同一または同様であり、例えば、ユーザと関連付けられた第2の呼吸データ、ユーザと関連付けられた第2のオーディオデータ、またはその両方を含み得る。第2の呼吸データは、第2の睡眠セッションの少なくとも一部分(例えば、第2の睡眠セッションの少なくとも10%、第2の睡眠セッションの少なくとも50%、第2の睡眠セッションの75%、第2の睡眠セッションの少なくとも90%など)におけるユーザの第2の呼吸信号を示す。この呼吸信号は、第2の睡眠セッションの少なくとも一部分におけるユーザの呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比など、またはそれらの任意の組み合わせを示す。第2のオーディオデータは、第2の睡眠セッション中に記録された1つ以上の音(例えば、いびき、窒息、呼吸困難など)として再現可能である。
【0176】
第2の睡眠セッションは、第1の睡眠セッション後である。いくつかの実装形態においては、第2の睡眠セッション(ステップ1103)が、第1の睡眠セッション(ステップ1101)の直後の睡眠セッションである(例えば、第1の睡眠セッションが月曜日の夜で、第2の睡眠セッションが火曜日の夜である)。他の実装形態においては、第1の睡眠セッションと第2の睡眠セッションとの間に1つ以上の他の睡眠セッションが存在する(例えば、第1の睡眠セッションが月曜日の夜で、第2の睡眠セッションが次の木曜日の夜である)。第2の睡眠セッションは、第1の睡眠セッション(
図5A~
図5C)と同一または同様の方法で、ユーザが手動で開始および/または終了することができる。
【0177】
方法1100のステップ1104は、第2のデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザの第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の組の睡眠関連パラメータを判断することを含む。例えば、制御システム110は、(例えば、メモリデバイス114に記憶されている)第2のデータを分析して、第2の睡眠セッションにおける第2の組の睡眠関連パラメータを判断することができる。判断された第2の組の睡眠関連パラメータについて記述した情報は、例えば、メモリデバイス114(
図1)に記憶することができる。第2の組の睡眠関連パラメータは、例えば、無呼吸-低呼吸指数(AHI)、ユーザが経験した1つ以上の事象の特定、1時間当たりの事象数、事象パターン、睡眠スコア、全睡眠時間、全就床時間、覚醒時刻、起床時刻、睡眠経過記録、全浅睡眠時間、全深睡眠時間、全レム睡眠時間、覚醒回数、入眠潜時、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。第2の組の睡眠関連パラメータ(ステップ1106)は、第1の組の睡眠関連パラメータ(ステップ1102)と同じパラメータまたは異なるパラメータを含み得る。第2の組の睡眠関連パラメータは、任意の数の睡眠関連パラメータ(例えば、1つの睡眠関連パラメータ、2つの睡眠関連パラメータ、5つの睡眠関連パラメータ、50つの睡眠関連パラメータなど)を含み得るのが、より一般的である。
【0178】
いくつかの実装形態においては、方法1100が、第2の睡眠セッションと関連付けられた第2の主観的フィードバックを、本明細書に記載されている方法600(
図6)のステップ607と同一または同様の方法で第2の睡眠セッション後に受信することをさらに含む。
【0179】
方法1100のステップ1105は、可変状況と関連付けられた第3のデータを受信することを含む。第3のデータは、例えば、本明細書に記載されている電子インターフェース119および/またはユーザデバイス170(
図1)によって受信することができる。いくつかの実装形態においては、第3のデータを、第1のデータ(ステップ1101)および/もしくは第2のデータ(ステップ1103)と同じセンサまたは異なるセンサ(単数または複数)を使用して生成することができる。他の実装形態においては、第3のデータを、1つ以上のユーザ入力を介して、または受けて受信することができる。いくつかの実装形態においては、第3のデータの少なくとも一部分が、(i)第1の睡眠セッション前、(ii)第1の睡眠セッションの少なくとも一部分中、(iii)第1の睡眠セッション後かつ第2の睡眠セッション前、(iv)第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中、(v)第2の睡眠セッション後、または(vi)それらの任意の組み合わせにおいてに受信される。
【0180】
一般に、可変状況とは、第1の睡眠セッションと第2の睡眠セッションとの間で変化する(例えば、ユーザによって変更される)条件のことである。可変状況についての情報は、その可変状況がユーザの睡眠に及ぼした影響についての洞察をユーザに提供することができる。可変状況は、第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、またはその両方と関連付けることができる。いくつかの実装形態においては、可変状況が、第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、または両方の進行中における、ユーザによる療法システムの使用と関連付けられている。例えば、ユーザは、第1の睡眠セッション中に療法システム(例えば、本明細書に記載されている呼吸療法システム120)を使用せず、第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に療法システムを使用し得る。この例においては、第3のデータが、(例えば、呼吸療法システムに連結または統合された1つ以上のセンサが示すとおり、)ユーザが第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中には療法システムを使用したが、第1の睡眠セッション中には使用しなかったという事実を反映する。別の例として、ユーザは、第1の睡眠セッション中の第1の時間量にわたって療法システムを使用し、第2の睡眠セッション中の第2の時間量にわたって療法システムを使用し得る。さらに別の例として、ユーザは、第1の睡眠セッションの少なくとも一部分中に第1の療法システム(例えば、MRDなどの代替療法システム)を使用し、第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に第2の療法システム(例えば呼吸療法システム)を使用し得る。この例においては、ユーザが、第1の療法システムおよび/または第2の療法システムの使用についての指標を手動で提供できたり、第1の療法システムおよび/または第2の療法システムの使用を自動的に検出できたりし得る。
【0181】
いくつかの実装形態においては、可変状況が睡眠環境条件と関連付けられている。睡眠環境条件は、補完デバイス、または補完デバイスを利用する補完療法と関連付けることができる。注釈デバイスは、例えば、枕、枕ケース、マットレス、マットレスカバー、マットレストッパー、シーツ、毛布、またはそれらの任意の組み合わせなど、第1の睡眠セッションおよび/または第2の睡眠セッション中にユーザによって使用される寝具であり得る。ユーザは、例えば、第1の睡眠セッションの少なくとも一部分中に第1の枕を使用し、第2の睡眠セッションの少なくとも一部分中に第2の枕を使用し得る(か、枕を使用しない)。この例においては、第3のデータを、1つ以上のユーザ入力(例えば、寝具と関連付けられた指標)を介して、もしくは受けて、または(例えば、物体認識アルゴリズムを使用してカメラ150からのデータを分析することによって)自動的に受信することができる。例えば、補完デバイスの存在を、例えば、通信機能(例えば、Wi-FiまたはBluetooth(登録商標))を有するベッド、毛布、またはマットレスセンサなど1つ以上の補完デバイスを含む任意の「スマート」デバイスと通信し、かつ/またはそのデバイスを特定することによって自動的に検出することができる。この例においては、1つ以上のセンサ130(例えばカメラ150)を、例えば、使用された寝具のタイプを推定するために補完デバイス(例えばベッド)をスキャンするのに使用することができる。かかるスキャンは、例えば、QRコード(登録商標)および/またはRFIDタグのスキャンを含み得る。このシステムは、サーモスタット(例えば、Google Nest(商標)サーモスタット)、空気清浄機、加湿器、電気的に作動するカーテンもしくはブラインド、サウンドマシンプログラムなど、またはそれらの任意の組み合わせなど、他のデバイスに接続することもでき得る。
【0182】
他の実装形態においては、睡眠環境条件が、周囲温度、周囲湿度、周囲照明条件、位置、またはそれらの任意の組み合わせと関連付けられている。例えば、第1の睡眠セッションは、第1の位置(例えば自宅)であり得、第2の睡眠セッションは、第2の位置(例えばホテル)であり得る。この例においては、第3のデータが、例えば、ユーザまたはセンサ(例えば、GPSまたは他の位置センサ)からの1つ以上の入力によって提供される、位置と関連付けられた情報を含む。別の例として、(例えば、本明細書に記載されている温度センサによって判断される)第1の睡眠セッション中の第1の周囲温度および第2の睡眠セッション中の第2の周囲温度があり得る。さらに別の例として、周囲照明条件を変更すること(例えば、周囲照明をオンまたはオフにすること、周囲照明の強度または輝度を増減すること、周囲照明の色を変更することなど)ができる。さらなる例として、周囲音(例えば、1つ以上のスピーカまたはテレビからの音楽などの音声)を修正すること(例えば、オン/オフの切り替えや音量を増減など)ができる。
【0183】
いくつかの実装形態においては、可変状況が、ユーザの活動レベルと関連付けられている。可変状況は、例えば、第1の睡眠セッション前のユーザの第1の活動レベル、第1の睡眠セッション後かつ第2の睡眠セッション前のユーザの第2の活動レベル、またはその両方と関連付けることができる。かかる実装形態においては、第3のデータを、本明細書に記載されている活動トラッカー180(
図1)から生成または取得することができる。他の実装形態においては、可変状況が、ユーザの食生活と関連付けられている。可変状況は、例えば、ユーザによるカフェインまたはアルコール摂取(例えば、第1の睡眠セッション前、第2の睡眠セッション前、またはその両方)と関連付けることができる。
【0184】
方法1100のステップ1106は、1つ以上の指標をユーザに伝えることを含む。この1つ以上の指標は、例えば、ユーザデバイス170(
図1)を使用して、英数字テキスト、画像、グラフもしくは図表(例えば、線グラフもしくは線プロット、棒グラフもしくは棒図表など)、音声、またはそれらの任意の組み合わせを介してユーザに通信することができる。この1つ以上の指標は、可変状況、第1の睡眠セッション、第2の睡眠セッション、またはそれらの任意の組み合わせと関連付けることができる。いくつかの実装形態においては、この1つ以上の指標を、(例えば、方法600のステップ609と同一または同様の方法で)第1の組の睡眠関連パラメータ、第2の組の睡眠関連パラメータ、またはその両方のうちの1つと関連付けることもできる。かかる実装形態においては、この1つ以上の指標が、第1の睡眠セッションにおける第1の組の睡眠関連パラメータのうちの第1のパラメータと、第2の睡眠セッションにおける第2の組の睡眠関連パラメータのうちの第2のパラメータとの間での比較を含み得る。
【0185】
この1つ以上の指標は、睡眠に対する可変状況の影響を例証または実証するためにユーザに伝えられるのが一般的である。例えば、可変状況と関連付けられた指標を伝えること、および第1の組の睡眠関連パラメータのうちの1つ以上と第2の組の睡眠関連パラメータのうちの1つ以上との間での比較の1つ以上の指標を伝えることは、睡眠に対する可変状況の影響をユーザに実証するのに役立ち、それにより、今後の睡眠セッションに向けてその可変状況を変更するようユーザに促し、睡眠の改善を達成するのに役立てることができる。例えば、可変状況が、第1の睡眠セッションではなく第2の睡眠セッション中に使用される枕などの寝具であれば、第1の睡眠セッションおよび第2の睡眠セッションのAHIなどの睡眠関連パラメータ間の比較により、枕が(例えば、OSAの防止を支援したことによって)睡眠の質を改善したことをユーザに示すことができる。このようにして、これらの指標は、ユーザの睡眠に対する1つ以上の可変状況の影響についての洞察を提供することができる。
【0186】
いくつかの実装形態においては、ステップ1103~1106を、第2の睡眠セッション後の1つ以上の追加睡眠セッション(例えば、第3の睡眠セッション、第4の睡眠セッション、第10の睡眠セッション、第100の睡眠セッションなど)において繰り返すことができる。これらの追加睡眠セッションにおける判断された睡眠関連パラメータを、第1の睡眠セッションにおける判断された睡眠関連パラメータと比較して、睡眠に対する可変状況の経時的な影響をさらに例証することができる。
【0187】
図12を参照すると、本開示のいくつかの実装形態に係る方法1200が表されている。方法1100の1つ以上のステップは、本明細書に記載されているシステム100(
図1)の任意の要素または態様を用いて実施することができる。
【0188】
方法1200のステップ1201は、ユーザと関連付けられたデータを受信することを含む。このデータは、例えば睡眠セッション中にユーザと関連付けられた生理学的データを含み得る。ユーザと関連付けられたデータは、方法600(
図6)のステップ601の実行中に受信した第1のデータ、または方法1100(
図11)のステップ1101の実行中に受信した第1のデータと同一または同様であり得る。このデータは、本明細書に記載されているセンサ130(
図1)のうちの1つ以上によって生成することができ、例えば、本明細書に記載されている電子インターフェース119および/またはユーザデバイス170によって受信することができる。
【0189】
方法1200のステップ1202は、ユーザと関連付けられたデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザと関連付けられた第1の感情スコアを判断することを含む。感情スコアは、ユーザが現在経験している不安またはストレスを示すのが一般的である。ユーザは、呼吸療法システム120を使用する前に、例えば、不安、ストレス、懸念、不快感などを経験し得る。ストレス、不安、不快感などのレベルが高まると、ユーザにとって就眠が困難となり得、かつ/またはユーザが呼吸療法システム120の使用を放棄したくなり得る。感情スコアを介したユーザのストレスまたは不安の定量化は、ユーザが呼吸療法システム120を使い始めるべき時期を提案または勧奨するのに使用することができる。
【0190】
感情スコアは、例えば、所定の尺度(例えば、1~10の間、1~100の間など)上にある数値、レターグレード(例えば、A、B、C、D、またはF)、または記述語(例えば、高、低、中、不良、正常、異常、可、良、優、平均、平均未満、平均超、要改善、満足など)であり得る。いくつかの実装形態においては、感情スコアが、以前の感情スコア(例えば、感情スコアが、以前の感情スコア(例えば、前日の感情スコア)よりも良い、感情スコアが以前の感情スコアよりも悪い、感情スコアが以前の感情スコアと同じである、など)または基準感情スコア(例えば、感情スコアが基準感情スコアよりも50%高い、感情スコアが基準感情スコアに等しい、など)を基準にして判断される。
【0191】
いくつかの実装形態においては、ステップ1202が、例えば、呼吸数、心拍数、心拍数変動、心臓波形、呼吸数、呼吸数変動、呼吸深度、一回換気量、吸気振幅、呼気振幅、吸気対呼気比、発汗、温度(例えば、周囲温度、体温、核心体温、表面温度など)、血液酸素化、フォトプレチスモグラフィ(例えば、SpO2、末梢灌流、脈拍数、他の心臓関連パラメータなどを測定するのに使用可能)、パルス送信時期、血圧、またはそれらの任意の組み合わせなど、ユーザと関連付けらた1つ以上の生理学的パラメータを判断することを含む。
【0192】
これらの生理学的パラメータは、ユーザの感情または不安を示し得る。例えば、過換気、(例えば、ユーザと関連付けられた基準、ユーザのグループの基準、標準値などに対する)呼吸数増、(例えば、ユーザと関連付けられた基準、ユーザのグループの基準、標準値などに対する)心拍数変動減、心不整脈、心拍数、および血圧(例えば、ユーザが高血圧であるか非高血圧であるか、夜間血圧降下などを調整する)は、不安レベルの上昇を示し得る。逆に、(例えば、ユーザと関連付けられた基準、ユーザのグループの基準、標準値などに対する)心拍数変動増は、よりリラックスした状態を示し得る。感情スコアは、上記のユーザプロファイルに記憶されているユーザの旧記録生理学的パラメータ、複数の他のユーザの旧記録生理学的パラメータ、またはその両方に基づき、生理学的パラメータのうちの1つ以上をスケーリングまたは標準化することによって少なくとも部分的に判断することができる。代替として、感情スコアは、関連付けられた生理学的パラメータ(単数または複数)をパラメータ(単数または複数)の所望値または目標値でスケーリングすることによって判断することができる。
【0193】
いくつかの実装形態においては、ステップ1201で受信したデータが、ユーザからの主観的フィードバックをさらに含み、ステップ1202が、受信した主観的フィードバックに少なくとも部分的に基づいて感情スコアを判断することを含む。主観的フィードバックは、例えば、説明的指標(例えば、高、低、中、不明)、数値(例えば、10をストレス大とし、0をストレスなしとする1~10のスケール)などの形態でユーザの現在のストレスまたは不安レベルを示す自己申告ユーザフィードバックを含み得る。主観的フィードバックは、例えば、ユーザデバイス170を介して受信することができる。かかる実装形態においては、方法1200が、(例えば、ユーザデバイス170のディスプレイデバイス172を介して)1つ以上のプロンプトをユーザに伝えて主観的フィードバックを求めることを含み得る。
【0194】
いくつかの実装形態においては、ステップ1202が、ユーザと関連付けられた人口統計情報に少なくとも部分的に基づいて感情スコアを判断することを含む。人口統計情報は、ユーザの年齢、ユーザの性別、ユーザの体重、ユーザの肥満度指数(BMI)、ユーザの身長、ユーザの人種、ユーザの関係または婚姻状況、不眠症の家族歴、ユーザの雇用状況、ユーザの教育状況、ユーザの社会経済的状況、またはそれらの任意の組み合わせを示す情報を含み得る。人口統計情報は、例えば、ユーザと関連付けられた1つ以上の病状、ユーザによる薬剤使用、またはその両方を示すなど、ユーザと関連付けられた医療情報も含み得る。人口統計情報は、メモリ114(
図1)によって受信および記憶することができる。人口統計情報は、例えば、ユーザデバイス170を介して(例えば、ディスプレイデバイス172を通じて提示されるアンケートまたは調査を介して)、ユーザが手動で提供することができる。代替として、人口統計情報は、ユーザと関連付けられた1つ以上のデータソース(例えば医療記録)から自動的に収集することができる。
【0195】
方法1200のステップ1203は、ユーザと関連付けられたデータに少なくとも部分的に基づいて、ユーザと関連付けられた第1の眠気レベルを判断することを含む。眠気レベルは、ユーザの疲労、眠気、警戒、および/または意識を示すのが一般的であり、ユーザがどの程度就眠に近づいているかを示すのが、より一般的である。眠気レベルは、様々な方法で判断および/または表現することができる。眠気レベルは、例えば、最高値が非常に眠く、最低値が眠くないこと(またはその逆)を示す所定の範囲(例えば、1から10の間)内のスケーリングされた値であり得る。代替として、眠気レベルは、主観的記述語(例えば、極度に眠い、非常に眠い、眠い、どちらでもない、覚醒している、非常に覚醒している、極度に覚醒している、など)を用いて表すこともできる。眠気レベルを表すための他の例としては、エプワース眠気尺度、スタンフォード眠気尺度、カロリンスカ眠気尺度などを使用することが挙げられる。
【0196】
眠気レベルは、様々なタイプのデータまたはデータの組み合わせに基づいて判断することができる。一例においては、眠気レベルを、本明細書に記載されているEEGセンサ158(
図1)からの生理学的データに基づいて判断することができる。別の例においては、眠気レベルを、カメラ150(
図1)からのデータを用いて判断して、眠気を示すユーザの眼の1つ以上の特性を判断すること(例えば、垂直開眼または眼高、開眼、閉眼、眼の瞬き、眼球運動、瞳孔拡張などを測定すること)ができる。さらに別の例においては、眠気データを、ユーザの心拍数、ユーザの心拍数変動、ユーザの呼吸数、ユーザの呼吸数変動、ユーザの体温、またはそれらの任意の組み合わせに基づいて判断することができる。
【0197】
いくつかの実装形態においては、ステップ1201が、ユーザから主観的フィードバックを受信することを含み、ステップ1202が、主観的フィードバックに少なくとも部分的に基づいて初期眠気レベルを判断することを含む。主観的フィードバックは、例えば、自己報告された主観的眠気レベル(例えば、疲れている、眠い、平均的、中立的、覚醒している、安息しているなど)を含み得る。ユーザからのフィードバックと関連付けられているか、そのフィードバックを示す情報は、例えば、外部デバイス170を通じて(例えば、英数字テキスト、音声テキスト変換などを介して)受信することができる。いくつかの実装形態においては、方法1200が、フィードバックを提供するようユーザに促すことを含む。例えば、制御システム110は、ユーザがフィードバックを提供する(例えば、ユーザがクリックまたはタップしてフィードバックを入力したり、ユーザが英数字キーボードを使用してフィードバックを入力したりする)ためのインターフェースを提供する外部デバイス170(
図1)のディスプレイデバイス172上に1つ以上のプロンプトを表示させることができる。受信したユーザフィードバックは、例えば、本明細書に記載されているメモリデバイス114(
図1)に記憶することができる。
【0198】
方法1200のステップ1204は、療法システムとの対話を促すプロンプトを、感情スコア、眠気レベル、またはその両方に少なくとも部分的に基づいてユーザに伝えることを含む。本明細書に記載のとおり、呼吸療法システムの多くのユーザが、様々な理由で、処方されたとおりにシステムを使用する気にならないことがある。ユーザは、使用前に呼吸療法システムをセットアップするためにいくつかのステップを実施すのが一般的であり、これには数分かかり得る。このセットアッププロセスが、所与のユーザが呼吸療法システムを使用しないと決断し得るもう1つの理由であり得る。例えば、ユーザが就床する直前に疲れすぎていたり気分が悪かったりすると、呼吸療法システムをセットアップして使用するのではなく、入眠することを決断し得る。逆に、ユーザが冴えており、機嫌が良かったり意欲的であったりする場合には、療法システムをセットアップして使用するのに時間をかけられる可能性が高い。これらなどの理由で、感情スコアおよび/または眠気レベルに少なくとも部分的に基づいて所定の時間に療法システムと対話する(例えば設定する)ようユーザに促すことには利点があろう。
【0199】
例えば、いくつかの実装形態においては、第1の感情スコアが所定の条件を満たしたことを受けてプロンプトがユーザに伝えられる。所定の条件は、ユーザの不安またはストレスが許容できるレベルにある(ため、例えば、ユーザが就眠でき、呼吸療法システム120を使い始められる)ことを示し得る。言い換えれば、感情スコアが所定の条件を満たしているときには、ユーザが十分にくつろいでいるため、呼吸療法システム120をセットアップして使用する可能性が高まる。例えば、感情スコアの数値が高いと不安またはストレスが高いことを示すのであれば、所定の条件は、ユーザの不安またはストレスが許容できるレベルにあることを示す数値であり得る。この例においては、感情スコアが所定の条件以下であれば、その感情スコアは所定の条件を満たしている。
【0200】
いくつかの実装形態においては、所定の条件が、ユーザと関連付けられた旧記録生理学的データに少なくとも部分的に基づいて判断される。かかる実装形態においては、機械学習アルゴリズムを用いて所定の条件を判断することができる。機械学習アルゴリズムは、ユーザと関連付けられた旧記録生理学的データを用いて(例えば、教師ありまたは教師なし訓練技法を用いて)、所定の条件を判断するような構成となるように訓練することができる。かかる実装形態においては、旧記録生理学的データが、例えば、入眠潜時、入眠後覚醒、睡眠効率、断片化指数、就寝時間、全就床時間、全睡眠時間、またはそれらの任意の組み合わせなど、ユーザの就眠能力に関する対応データを含み得る。機械学習アルゴリズムを訓練するための旧記録データは、本明細書に記載のとおり、ユーザからの主観的フィードバックを含み得る。
【0201】
例えば、いくつかの実装形態においては、第1の眠気レベルが所定の条件または閾値を満たしたことを受けてプロンプトがユーザに伝えられる。所定の条件または閾値は、ユーザの眠気または覚醒が許容できるレベルにある(ため、例えば、呼吸療法システム120を効果的にセットアップすることができる)ことを示し得る。言い換えれば、第1の眠気レベルが所定の条件を満たしているときには、ユーザが十分に冴えているため、呼吸療法システム120をセットアップして使用する可能性が高まる。例えば、眠気レベルが、数値が高いほど疲労が大きく、冴えていないことを示すのであれば、所定の条件は、ユーザの不安またはストレスが許容できるレベルにあることを示す数値であり得る。この例においては、眠気レベルが所定の条件以下であれば、感情スコアは所定の条件を満たす。
【0202】
いくつかの実装形態においては、判断された眠気レベルに少なくとも部分的に基づいて予想就眠時刻を判断することができる。予想就眠時刻は、例えば、ユーザが所定の時間内(例えば、1分以内、5分以内、15分以内、1時間以内、3時間以内など)またはある時間範囲内(例えば、約5分~15分、約15分~30分など)に就眠する可能性が高いことを示し得る。予想就眠時刻は、例えば、訓練された(例えば、1人以上のユーザから以前に取得したデータを使用して、眠気レベルを入力として受信し、予測就眠時刻を出力と判断するように訓練された)機械学習アルゴリズムを使用して判断することができる。いくつかの実装形態においては、ユーザが、睡眠セッションを開始する前に媒体を消費している(例えば、見ている、聴いているなど)ことがある。かかる実装形態においては、本明細書の方法およびシステムを、予想就眠時刻に基づいて、媒体に再生を停止させたり、媒体の1つ以上のパラメータ(例えば、音量や輝度など)を修正させたりするように構成することができる。
【0203】
図16Aおよび
図16Bを参照すると、本開示のいくつかの実装形態にかかる1つ以上の傾向ビューを、(例えば、本明細書に開示されている方法のうちのいずれかの一部として)表示することができる。例えば、かかる傾向ビューは、ディスプレイデバイス172を使用して表示することができる。
図16Aを参照すると、傾向ビュー1600がディスプレイデバイス172に表示されている。傾向ビュー1600は、週フィルタ1602と月フィルタ1604とを含む。ユーザは、週フィルタ1602を選択(例えば、クリックまたはタップ)して、1週間分の傾向を閲覧することができる。ユーザは、月フィルタ1604を選択(例えば、クリックまたはタップ)して、1か月分の傾向を閲覧することができる。
図16Aに示す例においては、月フィルタ1604が選択されている。傾向ビューは、月/週セレクタ1606も含んでおり、ユーザが(例えば、矢印または他の選択可能要素をクリックまたはタップすることによって)具体的な週または月でフィルタリングできるようになっている。例えば、月フィルタ1604が選択されると、ユーザは月/週セレクタ1606を使用して月(例えば2020年9月)を選択することができる。
【0204】
傾向ビュー1600は、睡眠時無呼吸プロット1610と呼吸プロット1620とを含む。睡眠時無呼吸グラフ1610は概して、ユーザが呼吸療法システムを使用しなかった(例えば、睡眠検査とラベル付けされた)場合、およびユーザが呼吸療法システムを使用した(例えば、CPAP療法とラベル付けされた)場合の平均睡眠時無呼吸重症度(例えば、重度、中程度、軽度、正常(睡眠時無呼吸なし))を示す。睡眠時無呼吸プロット1610はさらに、呼吸療法システムを使用する利点の視覚化にも役立ち得るため、呼吸療法システムの使用を奨励または促進することにも役立ち得る。呼吸休止プロット1620は、選択された期間(例えば、月または週)における呼吸休止を概して示す(例えば、y軸にAHIを用いて示される)。
【0205】
図16Bを参照すると、傾向ビュー1600は、睡眠の質プロット1630と睡眠一貫性プロット1640とを含む。睡眠の質プロット1630は、選択された期間(例えば、月、週など)にわたる睡眠の質を概して示す。睡眠の質は、例えば、本明細書に記載されている睡眠スコアのうちの1つを使用して(例えば、線グラフまたは他の適切なグラフ、図表、もしくはプロットを使用して)表すことができる。加えて、ユーザは、(例えば、左または右にスワイプすることによって)スクロールして、指定した時間範囲内のさらなる曜日(単数または複数)および/または週(単数または複数)を参照することができる。睡眠一貫性プロット1640は、選択された期間(例えば、月、週など)における睡眠一貫性を概して示す。睡眠の質は、例えば、y軸が時刻(例えば、午前8時から午後10時まで)であるプロット上に、睡眠の段階または状態を(例えば、浅睡眠を表す第1の色、深睡眠を表す第2の色、およびレム睡眠を表す第3の色など、異なる睡眠段階または状態を表す異なる色を使用して)表す線または帯を有する曜日ごとの線または帯で示すことができる。いくつかの実装形態においては、睡眠一貫性プロット内のそれぞれの帯または線が、追加情報(例えば、時間および分単位の全睡眠時間、日付など)を表示するためにユーザによって(例えば、クリックまたはタップすることによって)選択可能である。
【0206】
以下の請求項1~114のうちいずれかの1つ以上からの1つ以上の要素または態様またはステップあるいはその一部(単数または複数)をその他の請求項1~114のいずれかの1つ以上あるいはその組み合わせからの1つ以上の要素または態様またはステップあるいはその一部(単数または複数)と組み合わせることにより、本開示の1つ以上のさらなる実装形態および/または請求項を形成することができ得る。
【0207】
本開示について1つ以上の特定の実施形態または実装形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、本開示の意図および範囲から逸脱すること無く多数の変更が可能であり得ることを認識する。これらの実装形態およびその明確な変更例はそれぞれ、本開示の意図および範囲に収まるものとして企図される。そして、本開示の各種態様によるさらなる実装形態が、本明細書に記載された実装形態のいずれかから任意の数の特徴を組み合わせ得ることも企図されている。
【国際調査報告】