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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】高粘度材料のパターン転写
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/20 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
H05K3/20 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564446
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 NL2021050270
(87)【国際公開番号】W WO2021215929
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】20171361.7
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511095850
【氏名又は名称】ネーデルランドセ・オルガニサティ・フォール・トゥーヘパスト-ナトゥールウェテンスハッペライク・オンデルズーク・テーエヌオー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロプ・ヤーコプ・ヘンドリクス
【テーマコード(参考)】
5E343
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343AA33
5E343BB23
5E343BB24
5E343BB25
5E343BB72
5E343DD56
5E343FF08
5E343GG08
(57)【要約】
レシービング基板(20)への伝導性ペーストなどのような高粘度機能性材料の転写方法であって、少なくとも1つのキャビティを含むキャビティ表面を有するプレートを提供するステップと、抵抗加熱デバイスを備えた前記キャビティ、および、前記加熱デバイスに接続されている制御回路を提供するステップと、少なくとも1つのキャビティの中に機能性材料を提供するステップであって、機能性材料は、加熱デバイスによって加熱すると、キャビティ内の前記キャビティ表面と前記機能性材料との間の界面においてガスを発生させる材料組成を有し、ガス発生によって前記少なくとも1つのキャビティからレシービング基板の上に前記機能性材料を転写する、ステップとを含む、転写方法を提供することが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝導性ペーストなどの粘性機能性材料をレシービング基板(20)の上に転写するための転写デバイスであって、前記転写デバイスは、
少なくとも1つのキャビティを含むキャビティ表面を有するプレートを備え、
前記キャビティには、抵抗加熱デバイスと、前記抵抗加熱デバイスに接続されている制御回路とが設けられ、
前記制御回路は、使用時に、前記抵抗加熱デバイスを加熱して、前記少なくとも1つのキャビティの中に提供される前記機能性材料を加熱するように配置されており、前記機能性材料は、加熱すると、前記キャビティ内の前記キャビティ表面と前記機能性材料との間の界面においてガスを発生させる組成を有し、ガス発生によって前記少なくとも1つのキャビティからレシービング基板の上に前記機能性材料を転写し、
前記抵抗デバイスは、プレートに平行な抵抗層として提供されている、転写デバイスにおいて、
前記キャビティは、前記プレートの断熱層の中に形成されており、前記キャビティには、前記抵抗デバイスと熱的に接触している熱伝導体が設けられており、前記熱伝導体は、前記キャビティ表面に沿って延在しており、前記キャビティ表面に制限されていることを特徴とする、転写デバイス。
【請求項2】
前記キャビティに向けて熱流束を方向付けることを目的としている熱流束反射部をさらに含む、請求項1に記載の転写デバイス。
【請求項3】
前記熱流束反射部は、前記キャビティに局所的に適合されている、請求項2に記載の転写デバイス。
【請求項4】
前記抵抗加熱デバイスは、バスバー構造体を通して前記制御回路に接続されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の転写デバイス。
【請求項5】
前記バスバー構造体には、その遠位と前記キャビティとの間に断熱ギャップが設けられており、それによって、前記キャビティへのおよび前記キャビティから前記バスバー構造体への熱伝導率を低減させる、請求項4に記載の転写デバイス。
【請求項6】
前記抵抗加熱デバイスは、選択されたキャビティまたはキャビティのグループから前記機能性材料を選択的に転写するために、キャビティごとにまたはキャビティのグループごとに前記抵抗加熱デバイスに個別に対処するために前記プレートの上に設けられている配線パターンで配線されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の転写デバイス。
【請求項7】
前記配線パターンは、前記キャビティと反対側の前記プレートの上にコンタクトパッドを有しており、前記コンタクトパッドは、電力供給部の端子構成に対応しており、前記コンタクトパッドは、前記端子構成に対して前記プレートを移動させることによって、前記端子構成と接触させられる、請求項6に記載の転写デバイス。
【請求項8】
前記プレートは、複数のキャビティを備えた回転可能なドラムのフェイスの上にフレキシブルに提供されており、前記複数のキャビティは、前記回転可能なドラムの周囲部に沿って少なくとも部分的にパターンで提供されており、回転によって、前記複数のキャビティの後続のグループのキャビティが、前記キャビティから前記レシービング基板の上に前記機能性材料を転写する前に、前記レシービング基板に対して対向する位置に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の転写デバイス。
【請求項9】
前記機能性材料を複数のキャビティに装填するように配置されたペースト装填デバイスをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の転写デバイス。
【請求項10】
前記ペースト装填デバイスはドクターブレードを含む、請求項9に記載の転写デバイス。
【請求項11】
前記キャビティは、1~1000ミクロンの深さを有し、1ミクロンから5000ミクロンの間の範囲にある最小直径を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の転写デバイス。
【請求項12】
レシービング基板(20)の上への伝導性ペーストなどの粘性機能性材料の転写方法であって、
請求項1から11のいずれか一項に記載の転写デバイスを提供するステップと、
前記少なくとも1つのキャビティの中に機能性材料を提供するステップであって、前記機能性材料が、前記加熱デバイスによって加熱すると、前記キャビティ内の前記キャビティ表面と前記機能性材料との間の界面においてガスを発生させる材料組成を有し、ガス発生によって前記少なくとも1つのキャビティから前記レシービング基板の上に前記機能性材料を転写する、ステップと
を含む、転写方法。
【請求項13】
前記加熱デバイスに接続されている前記制御回路は、10kW/cmよりも大きい平均電力で、100マイクロ秒未満で前記加熱デバイスを加熱するように制御される、請求項12に記載の転写方法。
【請求項14】
前記制御回路は、ガス発生ステップの前に予備加熱ステップを実行する、請求項12または13に記載の転写方法。
【請求項15】
前記機能性材料は、前記界面において前記ガスを発生させるために、少なくとも5K/マイクロ秒の加熱速度で加熱される、請求項12から14のいずれか一項に記載の転写方法。
【請求項16】
前記機能性材料には、溶媒と、50体積%よりも大きい固体状態材料の固体状態組成物とが提供される、請求項12から15のいずれか一項に記載の転写方法。
【請求項17】
前記機能性材料は、導電性ポリマー、金属化ポリマー、はんだペースト、伝導性接着剤、または接着剤などの伝導性材料である、請求項12から16のいずれか一項に記載の転写方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板への伝導性ペーストなどの高粘度機能性材料の転写方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の上のディスクリートベアチップコンポーネントまたはマイクロエレクトロニクスコンポーネント(チップ)の相互接続は、小型の電気的なまたは他のタイプの相互接続を可能にするために十分な精度を有する精密材料堆積が必要なプロセスであり、チップコンポーネントが設置位置に取り付けられるようになるときに、基板へのすべての電気的な接続および固定が、伝導性材料またはペーストによって行われ得るようになっている。伝導性接着剤の例は、銀粒子を装填された熱硬化性樹脂もしくはUV硬化性樹脂、または、はんだ粒子およびフラックスを含むはんだペーストである。機能性材料を基板の上に選択的に堆積させるための共通の方法は、印刷を介するものである。典型的に、機能性材料は、機能性材料が基板の上に印刷され得る前に、他の材料と配合される必要がある。配合は、たとえば、溶媒または液体の中に機能性材料を分散させることによって形成され得る。したがって、配合は、一般的に湿っている。配合は、粘度に応じて、インクまたはペーストと称されることが多い。そのような機能性材料を転写するための課題が存在している。その理由は、理想的には、機能性インク材料を基板の上に印刷する代わりに、純粋な機能性材料のみを基板の上に選択的に堆積させることが最も好ましいからである。そのような材料は、たとえば、50体積%よりも大きい(たとえば、さらには90体積%もの)導電性ポリマーなどのような固体状態材料から構成されている。それらの高粘性の性質に起因して(たとえば、50Pa/sよりも高いものから、約1000Pa/s(10^6cps)にもなる)、そのような材料は、重力および流れに起因して大きく変形することとはならず、転写において意図されたアスペクト比および形態定義を実質的に維持することとなる。米国特許出願公開第2017/0268100号は、フォトニック印刷としても知られる転写方法が説明されており、そこでは、透明な転写プレートが、その中に形成されたキャビティを有しており、キャビティは、機能性材料によって充填されている。転写プレートは、パルス光によって照射され、光吸収材料の層を加熱し、光吸収材料の層と機能性材料との間の界面においてガスを発生させるようになっており、キャビティから機能性材料を放出するようになっている。この方法に伴う問題は、シャドウ効果に起因する不均一なインク放出である。特に、密接にパッキングされている高アスペクト比のキャビティに関して、光は、困難性を伴って、側部のみに到達する。特に、高分解能パターンが比較的に大きな距離にわたって転写されるときに、インクの均一な放出は、不十分なプリント品質を結果として生じさせる。そのうえ、インクを過熱させることなく、5~10μmの特徴サイズを適正に転写するために、熱流束は、マイクロ秒のオーダーで少なくとも40kW/cmになる必要があり、それは、フラッシュランプにとって非現実的な動作条件である。別の問題は、光が選択的でないので、その方法が、基板の中に提供されているパターン化されたキャビティを介して設計されている構造体のグローバルな転写にのみ適切であるということである。理想的には、パターンは、必要なパターンに応じて、選択的に形成および転写され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2017/0268100号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
先行技術のアセンブリは、十分なフレキシビリティおよび信頼性を提供する基板の上のファインピッチ転写の高分解能ボンディングのための十分な方法を提供することができておらず、本発明は、そのための解決策を求めるものである。この目的のために、レシービング基板(receiving substrate)(20)の上への伝導性ペーストなどの高粘度機能性材料のデバイスおよび転写方法を提供することが提案される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、本発明は、伝導性ペーストなどの粘性機能性材料をレシービング基板の上に転写するための転写デバイスに関する。デバイスは、少なくとも1つのキャビティを含むキャビティ表面を有するプレートを含む。プレート(たとえば、複数のキャビティをパターン化されたプレート)は、少なくとも、断熱材料(たとえば、ガラス(シリカなど))から形成された断熱層をさらに含む。少なくとも1つのキャビティが、断熱層の中に形成されている。少なくとも1つのキャビティは、熱伝導体を提供されている。熱伝導体は、高い熱伝導率を有する材料(たとえば、シリコンまたは金属(たとえば、銅またはアルミニウムなど))から形成されている。熱伝導体は、たとえば、キャビティの底部表面および側壁部表面をカバーする層またはコーティングとして、キャビティ表面に沿って延在しており、キャビティ表面に制限されている。したがって、キャビティは、断熱層の中の前記熱伝導体によって画定または形成されるように理解され得る。転写デバイスは、少なくとも、熱伝導体と熱的に接触している抵抗デバイスと、前記抵抗加熱デバイスに接続されている制御回路とをさらに含む。熱的な接触は、直接的な接触によって提供され得る。代替的に、熱的な接触は、1つまたは複数の中間層を介して提供され得る。制御回路は、抵抗加熱デバイスを加熱するように配置されており、使用時に、熱伝導体を加熱することによって、キャビティの中の前記キャビティ表面と前記キャビティの中に提供される機能性材料との間の界面においてガスを発生させ、前記ガス発生によって前記少なくとも1つのキャビティからレシービング基板の上に前記機能性材料を転写する。抵抗デバイスは、プレートに平行な抵抗層として提供される。
【0006】
有利には、本明細書で開示されているような転写デバイスは、転写パターンの外側に存在する残留材料(たとえば、ドクターブレードによる充填サイクルにおいてキャビティの隣に堆積された残留物、たとえば、図4に示されているように断熱層の表面の上の半球形の液滴)の材料の転写、乾燥、および/または硬化を軽減する。
【0007】
とりわけ、均一なまたはグローバルな加熱を有するデバイス(たとえば、光パルスによって加熱されるデバイスなど)を上回って、この利点が実現される。その理由は、使用時に、デバイスが、デバイスの転写エリア(キャビティはヒートスプレッダを有している)と非転写エリア(たとえば、キャビティの隣の断熱体の表面)との間に熱コントラストを発生させるからである。
【0008】
パターン化されたプレートは、たとえば、ドクターブレードによってプレートを横切ってペーストを広げることによって、便利なおよび/または迅速な方式で機能性材料によって充填され得る。
【0009】
熱コントラストを最大化するために、プレートの断熱層を形成する材料の熱拡散率によって分割されているヒートスプレッダを形成する材料の熱拡散率は、好ましくは、可能な限り大きい。最小比は、約10であると理解され得、より良好な比は、>50であり、好ましくは、比は、少なくとも100である。たとえば、銅およびガラスは、適切な1対の材料を形成する。
【0010】
さらなる態様の別のものでは、本発明は、伝導性ペーストなどの高粘度機能性材料をレシービング基板の上に転写する方法に関する。方法は、本発明によるデバイス(たとえば、本明細書で開示されているような少なくとも1つのキャビティを含むキャビティ表面を有するプレート)を提供するステップと、前記少なくとも1つのキャビティの中に機能性材料を提供するステップであって、前記機能性材料は、前記加熱デバイスによって加熱すると、前記キャビティ内の前記キャビティ表面と前記機能性材料との間の界面においてガスを発生させる材料組成を有し、ガス発生によって前記少なくとも1つのキャビティから前記レシービング基板の上に前記機能性材料を転写する、ステップとを含む。前記機能性材料には、溶媒と、50体積%よりも大きい固体状態材料の固体状態組成物とが提供され得る。前記機能性材料は、伝導性インク、たとえば、伝導性接着剤材料、たとえば、導電性ポリマー、金属化ポリマー、または、はんだペーストもしくは接着剤などであることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(AおよびB)は、転写プレートの概略的な開示を示す図である。
図2】ロールツーロールプロセスにおける転写方法の例示的な使用の概略的な開示を示す図である。
図3図3(AおよびB)は、熱遮蔽または熱伝導層を含む転写プレートのさらなる詳細を示す図である。
図4】導電性のバスバーの側面図を図示する、さらなる実施形態を示す図である。
図5】平面的な抵抗構造体を有する転写プレートのための代替的な実施形態を示す図である。
図6】プリントヘッドの実用的な実施形態を示す図である。
図7】回転可能なプリントヘッドのさらなる実施形態を示す図である。
図8】現在開示されているような転写方法のための繰り返しサイクルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
一態様では、直接的な書き込み方法が、基板の上のディスクリートチップコンポーネントのためのダイボンディング材料を高速に位置決めするために提供されており、それは、リールツーリール製造方式で動作され得る。とりわけ、方法は、高アスペクト比特徴を有する厚い層の中に堆積され得る高粘性材料の高分解能堆積のために使用され得る。開示されている方法およびシステムの達成可能な分解能によって、転写されたダイボンディング材料の分解能スポットサイズは、50ミクロンよりも小さい転写されたボンディング材料のスポット直径によって達成され得る。図1は、レシービング基板(20)の上への高粘度機能性材料50(たとえば、伝導性ペーストなど)の転写方法およびデバイスの実施形態を概略的に図示しており、その方法は、少なくとも1つのキャビティ12を含むキャビティ表面11を有するプレート10を提供するステップ、または、本明細書で開示されているような転写デバイスを提供するステップを含む。図において、キャビティ12には、抵抗加熱デバイス13が設けられる。制御回路14は、前記加熱デバイス13に接続されており、前記加熱デバイス13は、抵抗加熱デバイス13を加熱するように配置されている。機能性材料50が、キャビティ12の中に提供され、加熱デバイスによって加熱されると、キャビティの中の前記キャビティ表面と前記機能性材料との間の界面においてガスを発生させる材料組成を有しており、前記ガス発生によって前記機能性材料を前記少なくとも1つのキャビティ12からレシービング基板20の上に転写する。さらに下記に図示されているように、その方法は、フレキシブル基板20のウェブ変形を補正するのに十分な精度を有している。このテキストにおいて使用されている「フレキシブル基板」という用語は、とりわけ、リールツーリールプロセスにおいて使用されるのに十分に曲げ可能な基板を指す。換言すれば、このテキストにおいて使用されているようなフレキシブル基板は、基板が本質的な機能性を失うことなく、たとえば、(リール直径に応じて)1~100センチメートルの半径を有する、特定の曲率で曲がることを可能にするのに十分に可撓性の基板である。チップボンディング材料物質50の供給は、たとえば、パッド構造体の上にまたはチップパッドの上に設置され得る。ウェルの中に機能性材料を有するプレート10は、基板から離れるように所定の距離に保持され得る。先行技術の方法とは対照的に、実施形態は、それらが、マイクロエレクトロニクスコンポーネントのパッドが基板のそれぞれのパッド構造体に対する状態でのマイクロエレクトロニクスコンポーネントの設置の後に、(たとえば、マイクロエレクトロニクスコンポーネントの)高速高分解能ボンディングを提供するという共通の概念を有している。これは、大規模な産業目的のために非常に効率的でコスト効率の良い可能性のある方法である。伝導性ダイボンディング材料によって選択的なパーツをカバーすることは、パッド構造体と伝導性ダイとの間に適切な電気的な接続を提供する機能を有する。たとえば、図1aおよび図1bによって見られ得るように、熱硬化性の等方性の伝導性接着剤材料が転写され得、それは、典型的に4~10E-4Ohm.cmの体積抵抗率によって、たとえば、コーティングされたCu基板または銀トラックの上に電気伝導性を有している。方法の一般的な適用可能性を図示するために、160~180Pa.sの粘度を有する高粘性の伝導性接着剤から構成される実験的な伝導性接着剤が転写される。伝導性接着剤は、20~30ミクロン(とりわけ、25ミクロン)厚さの均質層として提供され得る。厚さは、25μmまたは50μm程度になるように制御されるが、理論的には、任意の厚さのものであることが可能である。たとえば、キャビティ12は、5~10ミクロンのオーダーの深さであることが可能であり、50ミクロン未満の最小直径を有することが可能である。
【0013】
図2は、先に図示されているように、転写セクション250における方法によって、チップボンディングおよび相互接続物質を転写することを含む、マイクロエレクトロニクスコンポーネント60のための概略的な組み立てプロセスを示している。とりわけ、伝導性ダイアタッチ物質50および非伝導性ダイアタッチ物質60によって、フレキシブル基板またはフォイル20の上にベアチップコンポーネント60を相互接続およびボンディングするためのベアチップコンポーネント相互接続方法が開示されている。その方法は、コンタクト40を備えたフレキシブル基板20を提供するステップと、位置決め手段255によって事前定義された設置の上に設置されることとなるコンタクトを備えたベアチップコンポーネント60を提供するステップとを含む。その方法は、フレキシブル基板または前記フォイルがリール270の上に巻き戻される前に、熱的暴露ステップ260を含むことが可能である。図2の開示されているリールツーリール方法では、基板20またはキャリアウェブは、第1のリール265から巻きを解かれ、1セットのガイドローラー240を介して第2のリール270にガイドされ、巻き上げられる。巻きを解かれた条件では、さまざまなサブプロセスが実施され得、とりわけ、サブプロセスのうちの1つとして、以前の図1に現在開示されているようなベアチップコンポーネントボンディングが実施され得る。とりわけ、これらのサブプロセスは、高粘度伝導性ペースト50の転写方法によって相互接続部を作製250するステップと、ピックアンドプレースユニット255によって、相互接続材料の上に、基板20の上のターゲットエリアに、ベアチップコンポーネント10(たとえば、シリコンベースのベアチップコンポーネントまたはLED10)を供給するステップ、および、圧力を制御するステップと、伝導性非伝導性ペースト(conductive non-conductive paste)の熱硬化によって、熱硬化ユニット260によってダイチップコンポーネント10を固定するステップとを含むことが可能である。
【0014】
非平面的な加熱デバイス
図3は、熱遮蔽部133-1または熱伝導性部133-2を含む転写プレートのさらなる詳細を示している。電気回路14は、抵抗デバイス13に連結されており、抵抗デバイス13は、コンフォーマル電極層抵抗層と電極層との間に挟まれているキャビティにコンフォーマルな抵抗層の層状スタックによって形成されている。良好な抵抗加熱コントラストのために、最適には、前記抵抗層および電極層は、少なくとも100の比率で、抵抗率が異なっている。電気伝導体の目的は、キャビティの中の加熱デバイスに電流を運搬することである。伝導体自体での電圧降下は可能な限り低いことが重要である。電流密度は、好ましくは、抵抗器を通して可能な限り均質であり、したがって、加熱が均一な様式で起こる。伝導体の抵抗が、抵抗器を通る抵抗に等しいかまたはそれよりも高いときには、それは、伝導体が加熱デバイスの代わりに加熱されることとなるということを意味することとなる。したがって、抵抗器および伝導体の抵抗比(抵抗率ではない)は、以下のようになることが可能である:
-最小比:約10
-より良好な比:>100
-好適な比:>1000
【0015】
伝導体の抵抗率は、10-7Ohmm以下であることが可能である。下記の式を使用することによって、必要な伝導体の抵抗率が、抵抗器の抵抗率および層厚さに基づいて計算され得る。転写方法は、回路14からの電気パルスを使用し、薄膜抵抗器132を迅速に加熱し、キャリアからの機能性材料50をアクセプター基板の上に転写する。たとえば、制御回路14は、10kW/cmよりも大きい平均電力で、100マイクロ秒未満で前記加熱デバイス13を加熱するように制御される。制御回路14がガス発生ステップの前に予備加熱ステップを可能にする場合には、放出方法がより効果的になる可能性がある。
【0016】
薄膜加熱デバイス13は、この例では、転写プレート10の凹んだキャビティパーツの中にのみ位置付けされている。電流がすべての抵抗器を通って流れるときに、ジュール加熱は、機能性材料の中の溶媒(または、ポリマー)が蒸発することを引き起こす。これはLeidenfrost効果と比較され得るが、このケースのみでは、加熱は、選択的であり、非常に短い時間期間(<100μs)にわたって行われる。パターン化されたプレートは、たとえば、ドクターブレードを使用することによって、迅速に充填され得、そのときに、機能的なパターンが、平面的なまたは非平面的な基板の上に転写される。転写プレート材料は、好ましくは、加熱デバイスがトリガーされるときにヒートシンクを低減させるために、低い熱伝導率を有している。プレート(および、ペースト)の熱伝導率が低ければ低いほど、より迅速で効率的に溶媒が蒸発され得る。機能性材料は、界面において前記ガスを発生させるために、少なくとも0.5、好ましくは5K/マイクロ秒、または、さらには50K/マイクロ秒と同程度の高さの加熱速度で加熱されるが、好ましくは、抵抗器スタックを損傷することなく可能な限り高い加熱速度で加熱される。この熱衝撃は、スタックの中の材料の熱膨張係数がプレート10自体のものに密接にマッチされることを意味する。薄膜の中の高過ぎる応力は、損傷または剥離につながる可能性がある。
【0017】
いくつかのケースでは、ペーストの吐出特性を制御するために、異なる加熱速度を有することが好適である可能性がある。たとえば、ペーストが上部よりも側部においてわずかに早く放出するときに有益である可能性がある。これは、選択的にコーティングされた熱反射層133-1、133-2または断熱層133-1もしくは133-2の中に抵抗器を埋め込むことによって実現され得る(図3を参照)。したがって、熱反射層133は、キャビティ12に局所的に適合され、キャビティの中への熱流束をガイドすることが可能である。代替的に、抵抗層132は、キャビティ12に局所的に適合されているさまざまな電気抵抗率を有することが可能である。所望の熱流束、所望の層厚さ、および最大電圧を考慮して、抵抗器材料の抵抗率が計算される。最大電圧は、抵抗層の絶縁耐力に依存する。絶縁体と同様に、抵抗層の厚さは、厚くなり過ぎないべきである。層が厚すぎるときには、熱質量が増加し、それは、加熱速度を制限する。そのうえ、プレート材料、伝導体、および抵抗器の間に熱膨張の差が存在しているときには、熱的に誘導される応力が、より高い作用力に起因して、より厚い層を損傷(剥離、亀裂)させる可能性がより高くなる。抵抗器および絶縁体の両方に関する厚さ要件:
-最大厚さ:約5000nm
-より良好な厚さ:<500nm
-好適な厚さ:<50nm
【0018】
【数1】
【0019】
ここで、ρrは、抵抗器の抵抗率(Ohmm)であり、Aは、抵抗器面積(m)であり、Uは、抵抗器にかかる電圧(ボルト(V))であり、Pは、電力(ワット(W))であり、trは、厚さ(メートル(m))である。
【0020】
典型的に、薄い層によって高い熱流束を可能にするために、抵抗率値は、10-2~10Ohmmのオーダーにある。加熱プロセス全体の間に、抵抗器を通る抵抗は、伝導体を通る抵抗よりも常に高いということが重要である。
【0021】
たとえば、図3において、例Aでは、例Bと比較して、断熱層133-1の熱拡散率が、キャビティの底部において、側壁部と比較して低くなっているということが表示されている。逆に、例Bでは、キャビティの底部において、断熱層133-2は、より高い熱拡散率を有している。コンフォーマル電極層131は、キャビティ12ごとにまたはキャビティのグループごとに抵抗デバイス13に個別に対処するための配線パターンで配線されており、選択されたキャビティまたはキャビティのグループから前記機能性材料50を選択的に転写することが可能である。
【0022】
ガラスまたは石英キャリアプレートを使用するときに、機能性ペースト材料を放出するための典型的なフルエンスは、パルス幅が100μsであるときに、0.4J/cm2のオーダーにあることが可能である。これは、ペーストの中に使用されている溶媒のタイプ、および、どれくらい速く抵抗器が加熱されるかということに依存する。
【0023】
電力要件は、このプロセスに関してかなり厳しい。100μsパルスに関して、必要な平均電力レベルは、10kW/cm程度であることが可能である。しかし、インクを放出するための閾値フルエンスは、平均電力レベルが増加するときに、著しく低下する可能性がある。また、薄膜抵抗器は、機能性材料が吐出される前に、機能性材料を予熱することを可能にする。これは、たとえば、熱溶融性のポリマーを印刷するために使用され得る。
【0024】
この電力を送達するために、事前定義された電圧および電流密度が、プレートに供給される。薄膜抵抗器全体を横切る抵抗は、パターンサイズおよび抵抗器材料に依存しているので、キャパシターの必要な電圧は、パターンごとに変化する可能性がある。抵抗器材料の抵抗が既知であるときには、薄膜抵抗器の合計表面積が計算され得る。合計表面積を知ることで、合計の必要なエネルギーが決定され得る。次いで、オームの法則が、回路14のための電力および電圧を計算するために使用される。電圧降下は、抵抗層の上にのみ起こり、伝導体の面内には起こらないということが重要である。これは、伝導体は、抵抗性コーティングよりも何桁(たとえば、100以上)も高い、高度に伝導性のものである必要があるということを意味している。電極層に関する適切な例は、加熱に起因する熱応力を低減させるために、モリブデン(たとえば、非常に薄い500nmのMo)であることが可能である。抵抗器の適切な例は、SiCまたはGaNであることが可能である。これらの材料は、同等の膨張係数を有している。抵抗デバイス13は、摩耗を低減させるために、硬化された層(たとえば、SiN層)によってキャップされ得る。
【0025】
抵抗が伝導性層を通して高くなるときに、ジュール加熱が、この層において起こることとなり、それは望ましくない。半導体(ドープされていない)に関して、温度が上昇するときに、抵抗率が著しく降下する。この負の温度係数(NTC)効果は、加熱の均質性に関して問題を引き起こす可能性がある。抵抗器の厚さが完全に均一ではない場合には、層が最も薄い場所で、加熱がより速く起こることとなる。したがって、抵抗は、その場所においてさらに降下することとなり、電流は、抵抗器のその部分を通って主に流れることとなる。
【0026】
したがって、正の温度係数(PTC)を有することが好適であり、それは、温度とともに抵抗が増加し、電力消費が減少することを意味している。10-2~10Ohmmの範囲にある抵抗率を有するPTCを取得するために、ドープされた半導体(たとえば、シリコン、炭化ケイ素、および窒化ガリウム)を使用することが可能である。しかし、典型的に、PTC材料の抵抗率は、比較的に低く、それは、伝導性層の抵抗要件がより厳しくなることとなるということを意味することとなる。理想的には、抵抗器は、20Cから400Cの間のPTC挙動を有する高抵抗率(10^0~10^2Ohmm)を有する材料から作製されている。
【0027】
単一の抵抗器(ドープされた半導体)材料の他に、複数の層を備えたスタックを使用することも可能である。たとえば、Schottkyバリアが追加され得る。
【0028】
プレートのサイズおよび層厚さに応じて、抵抗器材料の電気抵抗率が計算され得る。電圧降下が依然として高過ぎる場合には(たとえば、プレートが非常に大きいときには)、スルーホールビア143が、プレートのバックサイドにおける高度に伝導性のバスバー144に(たとえば、代替的な回路144に)伝導体を接続するために追加され得る。
【0029】
平面的な加熱デバイス
図3の実施形態とは対照的に、図4は、さらなる実施形態を示しており、そこでは、抵抗デバイスが、プレート10に平行な抵抗層132として提供されている。抵抗層は、プレート抵抗層に平行な断熱層の中に提供される熱伝導体122と熱的に接触しており、前記熱伝導体は、キャビティ12を形成している。熱伝導体は、抵抗層123からの熱をキャビティ12に向けて広げるために、ヒートスプレッダまたは熱流束反射体として機能する。
【0030】
複雑な印刷パターンのための局所的なヒーターを設計することは困難であるので、抵抗層は、好ましくは、製造のしやすさのためにプレート10の全エリアをカバーするが、プレート10の上のより小さなエリアにおいてパターン化されてもよい。
【0031】
ヒートスプレッダ122が存在しない場所において、抵抗層132がプレートを過熱および損傷させないことを確実にするために、キャリア基板プレート10は、いくつかの実施形態において、高熱伝導性材料(たとえば、シリコンなど)から提供され得る。これは、抵抗層132からの熱が、印刷パターンが存在しないキャリアの中へ拡散することを可能にし、それは、ヒーター自体のピーク温度を制限し、プレートの底部において高いピーク温度(過熱)を回避する。
【0032】
また、この表面の上に残留ペーストが存在しているときに、この材料が転写すること、乾燥すること、または硬化することを防止することが望まれる。
【0033】
ヒートスプレッダ/熱伝導体122の中に高い温度をさらに生成させるために、転写デバイス100は、熱流束反射部133をさらに含み、熱流束反射部133は、キャビティ12に向けて熱流束を方向付けることを目的としている。熱流束反射部133は、少なくともキャビティの反対側の断熱体であることが可能であり、それは、(たとえば、シリコンプレートの中に埋め込まれているガラス(シリカなど)熱流束反射部の)さらなるプレート10に対して相対的に高い断熱コントラストを有するパーツである。そのような熱流束反射部は、たとえば、3~5ミクロンの厚さを有することが可能であるが、他の寸法(最大で100ミクロン)も機能することが可能である。したがって、熱流束反射体は、キャビティ12の上部にサーマルバッファーを提供し、熱をキャビティ12へ下向きに方向付ける。これは、プレート10のパターン化された部分とパターン化されていない部分との間に、高い熱コントラストを生成させる。
【0034】
非平面的な実施形態に関するものと同様に、プレート10は、低い熱伝導率を有する材料(たとえば、ガラス(シリカなど))から形成され得るということが明確であることとなる。低い熱伝導率を有する材料のプレートを形成することは、プレートの外側表面と熱伝導性材料を有するキャビティとの間の熱コントラストを増加させ、熱伝導性材料は、キャビティに沿って延在しており、キャビティに制限されている。低い熱伝導率を有する材料のプレートを形成することは、ヒートシンク(加熱デバイスがトリガーされるときにプレートの中への熱の伝達)をさらに低減させ、それは、熱伝導性材料から形成されたプレートを有するデバイスと比較して、所与のエネルギーパルスに関して、キャビティに向けての熱の伝達を改善する。
【0035】
(たとえば、銅の)高度に伝導性のバスバー144が、プレート10の中へ追加され、高い熱流束を実現するための必要な電圧を低減させ、それは、高い動作電圧が隣接するヒーターの間の電気絶縁破壊の可能性を増加させる可能性があるので、有利である。例では、バスバー144は、図に示されているように、たとえば、キャビティ構造体12の上に距離を置いて、および、バスバーへの熱伝導を防止するためにそこから所定の距離に、アノードバスバーおよびカソードバスバーを交互に配線することによって、平面的な電流を引き込む。プレートの伝導性性質に応じて、抵抗層132は、両側において、追加的な電気絶縁体層134によって電気的に遮蔽され得る。
【0036】
例では、熱伝導体122は、キャビティを完全に形成しており、それは、たとえば、少なくとも5ミクロンの深さになっていることが可能であり、キャビティの底部においてのみ熱的に接触していることが可能であり、それは、平面的な抵抗層132に適合する平面的なものであることが可能である。
【0037】
たとえば、示されているように、キャビティに沿って延在しており、キャビティに制限されている熱伝導体122を有するキャビティは、複数の方法によって製造され得る。これらは、微細加工方法(たとえば、局所堆積(たとえば、マスキングによる)など)を含む。有利には、熱伝導体122を備えたキャビティは、以下のステップを含むプロセスによって、コスト効率良く正確に製造され得る:i)プレートの断熱層を抵抗層に平行にパターニングし、キャビティを形成するステップ;ii)断熱層をカバーし、キャビティに沿って延在する、所望の厚さの熱伝導体(たとえば、ブランケット層)を堆積させるステップ;および、iii)たとえば、研削または研磨によって、プレートに沿ってキャビティの外側の熱伝導体を除去するステップ。
【0038】
図5は、さらなる実施形態を示しており、このケースでは、それは、非平面的な加熱デバイスを含み、それは、導電性のバスバー144の側面図を図示している。同様の考慮事項が、図4に図示されているような平面的な加熱デバイスにも適用され、したがって、構造体は、加熱デバイスの特定の形状に依存していない。断熱性ギャップが、バスバー144の遠位端部とキャビティ12との間に提供されており、キャビティ12へのおよびキャビティ12からの熱伝導率を低減させる。キャビティとバスバー144との間のスペーシング(ギャップ距離)は、典型的に、少なくとも10マイクロメートルであり、たとえば、少なくとも50マイクロメートルであり、たとえば、最大で500マイクロメートルまでの範囲にあり、たとえば、100マイクロメートルから500マイクロメートルの間にある。他のスペーシング(たとえば、少なくとも5マイクロメートル)も、同様に適切である可能性がある。適切なスペーシングは、たとえば、キャビティとバスバーとの間のプレート10に沿った測定されたまたはモデル化された熱伝導率または熱プロファイルによって決定され得る。電気伝導性および熱伝導率は互いに強く相関しているので、印刷プレート10の上の伝導性層131を可能な限り薄くし、キャビティまたは溝部12から離れる横方向の熱流を制限することが望まれる。厚い電気伝導性層に関して、これは、キャビティの内側が縁部においてよりもはるかに温かくなる可能性があるということを意味している。これは、インクの不均質な放出パターンを結果として生じさせ、内側よりも縁部において、より長く付着する。伝導性層131の推奨可能な厚さ寸法は、10-7Ohmm以下の抵抗率における伝導体に関して、以下の通りである:
-最大厚さ:約2000nm
-より良好な厚さ:<500nm
-好適な厚さ:<100nm
【0039】
しかし、薄い伝導性層131を使用することは、パターンがより大きなエリアにスケールアップされるときに、問題を引き起こす可能性がある。好ましくは、均質な電流密度分布が、最小電圧降下によって実現される。印刷プレート10がより大きくなるときに、電圧降下がはるかにより顕著になる可能性がある。伝導体の伝導性およびキャビティの中の層厚さは限られているので、シート抵抗を低減させるための解決策は、高度に伝導性のバスバーを追加することによるか、または、キャビティ12から離れるように伝導性層の厚さを増加させることによる。バスバー144は、平坦なトポロジーを維持するために、印刷プレートの中へ埋め込まれ得る。
【0040】
断熱性ギャップ145は、キャビティと伝導体との間の距離にわたることが可能である:たとえば、ガラス基板の上の銅伝導体の実施形態において、熱拡散率の特定の値に関して:
熱拡散率ガラス:0.5~1.5mm/s
熱拡散率銅:111mm/s
最小ギャップ距離は、約1μm以上であり、好ましくは、10μmよりも大きく、または、さらに100μmよりも大きい。
【0041】
キャビティの中の熱流束が高ければ高いほど、印刷プロセスに影響を与えるヒートシンク効果なしに、距離が小さくなることが可能である。
【0042】
図6および図7は、制御回路14を含むプリントヘッド100の実用的な実施形態を示している。電力供給部14は、プリントプレート10の中へ多量の電力を発生させるように設計されている。プリントプレートは、好ましくは、基板ホルダーまたはテーブル21の上のスペーサー22を通して、基板20の反対側に位置決めされている。たとえば、配線パターンは、コンタクトパッド142を有することが可能であり、コンタクトパッド142は、電力供給部141の端子構成に対応しており、コンタクトパッド142は、端子構成141に対して基板10を移動させることによって、端子構成と接触させられる。コンタクトパッド142は、ビア143によって伝導性層131に接続している。
【0043】
電流密度を低減させるために、高い電圧において動作することが好適である。しかし、最大電圧は、絶縁体層の絶縁耐力および厚さによって制限される。高過ぎる電圧は、2つの電極の間の電気絶縁破壊につながることとなる。非限定的な例として、1μmの膜厚さにおいて、二酸化ケイ素は、0.5GV/mの絶縁耐力を有することが可能である。これは、この厚さにおいて、最大電圧が500Vになることとなるということを意味している。
【0044】
高絶縁耐力材料が望まれる。その理由は、それがスタックを可能な限り薄く維持しながら、高電圧を使用することを可能にするからである。スタックが薄くなればなるほど、キャビティの隣のトポロジーおよび熱的な問題が少なくなる。たとえば、望ましくない薄いインクの薄膜が転写され得、または、絶縁体膜が比較的に厚いときには、不十分な縁部加熱に起因する望まれない剪断力が起こる。
【0045】
印刷プレート10は、典型的に、1mm未満の厚さであるので、そのようなプレートの寸法安定性は、特に、より大きなプレート(低いアスペクト比(厚さ対幅))に関して、困難である可能性がある。これは、大きなエリアにわたって印刷ギャップを制御することを困難にする。このギャップを制御するために、理想的には、印刷プレートは、リジッドの寸法的に安定した真空チャック30に対して引っ張られる。この真空チャック30は、印刷プレートを適切な位置に保持するために、平坦であるかまたは湾曲(凸形または凹形)していることが可能である。理想的には、真空チャックは、導電性ピンが印刷プレート10の中のビアと接触するための孔部301を有している。真空チャック30は、安定した印刷温度を維持するために冷却され得、真空シーリングプレート302を有しており、真空シーリングプレート302は、シール304によってシールされており、真空接続部303を有しており、真空接続部303は、制御回路14への電気接続部146を提供している。
【0046】
自動化のために、スペーサーピン142は、それらのすべてが印刷プレート10と接触しているときに、トリガー信号を発生させることが可能である。上部伝導体および底部伝導体およびそれぞれのビア143のための接続制御回路14は、別個の回路基板145において分離されている。これは、正しいサンプルホルダーが正しい位置にあるときに、印刷プロセスは、即座に開始され得るということを意味している。これは、プロセスをスピードアップし、それは、サンプルホルダーが下に存在しているときにのみ印刷が起こることとなるということを保証する。トリガーすることは、スペーサーピン142間の抵抗測定によって電子的に行われ得る。スペーサーピン同士は、電子的に接続されることを必要とし、印刷プレート10の上のトリガーパッドと電気的接触をしている。
【0047】
プリントヘッド100に関する電気的な要件は、印刷プレート材料の熱拡散率に依存する。加熱プロセスの間に、熱は、インク50およびプレートの中へ消散することとなる。熱拡散率が高ければ高いほど、溶媒が爆発的に蒸発するインク/プレート界面において、より高い熱流束がピーク温度を発生させることを必要とする。典型的に、これは、インクの中の溶媒タイプに応じて、室温から150~400C程度までになることを意味する。
【0048】
蒸発タイムスケール要件:
-最小タイムスケール:約1000μs
-より良好なタイムスケール:<100μs
-好適なタイムスケール:<10μs
【0049】
インクの溶媒の沸点があまりにゆっくりと接近されるときには(>1ms)、発生させられる気泡は、大きくなり過ぎる傾向があり、それは、2つの気泡の間の界面において、より多い固体の残留物をもたらす。インクが加熱されるのが速ければ速いほど、気泡サイズは小さくなり、より少ない残留物(インクの中の固体)を結果として生じさせることとなる。残留物の量を制限することが重要である。その理由は、それが中間クリーニングステップなしに安定した様式で複数回の印刷を可能にするからである。この理由のために、高い熱流束が好適である。
【0050】
ガラス/石英印刷プレートに関する熱流束要件:
-熱拡散率:0.5~1.5mm/s
-最小熱流束:約1kW/cm
-より良好な熱流束:>10kW/cm
-好適な熱流束>100kW/cm
【0051】
より低い熱拡散率において、必要な熱流束は低下し(プラスチック)、より高い熱拡散率において(金属)、インクを局所的に加熱するための必要な熱流束は、著しく上昇することとなる。
【0052】
吐出のために抵抗ヒーターを使用することの他に、それらは、機能性インクの材料特性を変化させるためにも使用され得る。沸騰効果および気泡形成を回避するために、加熱は、より長いタイムスケールで起こることとなる。
【0053】
-限られた蒸発によって粘度を変化させるための、印刷前の迅速な温度上昇(数十ミリ秒)
-粘度を増加させ、質量を低減させるために、溶媒を蒸発させる(秒)
-機能性材料(たとえば、ポリマーなど)を硬化させる(数十ミリ秒~数分)
-充填プロセスの間に加熱し、溝部の中へのフローを改善する(数十ミリ秒)
【0054】
図7は、複数のキャビティを備えた回転可能なフェイスの上にフレキシブルに提供されている回転可能なプリントヘッド101のさらなる実施形態を示しており、前記複数のキャビティは、回転可能なフェイスの周囲部に沿って少なくとも部分的にパターンで提供されており、回転によって、複数のキャビティからの後続のグループのキャビティが、キャビティからレシービング基板20の上に機能性材料50を転写する前に、レシービング基板20に対して対向する位置に配置される。ペースト装填デバイス40は、印刷プレートを基板20に回転させる前に、印刷プレートに機能性材料50を提供することが可能である。
【0055】
図8は、現在開示されているような転写方法のための繰り返しサイクルを示している。これは、たとえば、複数のキャビティを備えた回転可能なドラム表面の上に印刷プレートを提供することによって実施され得る。ペースト装填デバイスは、機能性ペーストによってキャビティのパターンを充填することが可能である。複数のキャビティは、回転可能なドラム表面の周囲部に沿って少なくとも部分的にパターンで提供されており、ドラムの回転によって、複数のキャビティからの後続のグループのキャビティが、キャビティからレシービング基板の上に機能性材料を転写する前に、レシービング基板に対して対向する位置に移動させられるようになっている。最終的なステップにおいて、後続のロードによってキャビティを補充する前に、印刷プレートがクリーニングされ得る。
【0056】
本発明は、図面および先述の説明において詳細に図示および説明されてきたが、そのような図示および説明は、例示目的のものまたは例示的なものと考えられるべきであり、限定的なものと考えられるべきではない。本発明は、開示されている実施形態に限定されない。とりわけ、文脈から明確でない限り、別個に議論されているさまざまな実施形態において取り扱われているさまざまな実施形態の態様は、関連性のある物理的に可能な任意の組み合わせバリエーションに開示されていると見なされ、本発明の範囲は、そのような組み合わせにまで及ぶ。
【0057】
開示されている実施形態に対する他のバリエーションは、図面、本開示、および、添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求されている発明を実践する当業者によって理解され得る。特許請求の範囲において、「含む(comprising)」という語句は、他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「a」または「an」は、複数を除外しない。単一のユニットが、特許請求の範囲に記載されているいくつかのアイテムの機能を果たすことが可能である。特定の対応策が相互に異なる従属請求項の中に記載されているという単なる事実は、これらの対応策の組み合わせを有利に使用することができないということを示すものではない。特許請求の範囲の中の任意の参照記号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。加えて、機能性材料は、転写することが可能な広範囲の粘度を有することが可能である(50Pa.sから1000Pa.s(完全に網羅されてはいない))。ステンシル印刷およびスクリーン印刷とは対照的に、それは、非接触の直接的な書き込み方法であり、そこでは、基板表面までの距離は、好ましくは、1ミクロンよりも高くに維持される。機能性インクの転写精度は、印刷ギャップに依存する。典型的に、印刷ギャップは、良好な印刷精度を取得するために、特徴サイズと同じオーダーになっていることを必要とする。小さい印刷ギャップが必要とされるときに、プリントヘッドをサンプルホルダーと整合させることは、技術的により困難になる。したがって、スペーサーピンを使用することによってギャップを制御し、プリントヘッドおよびサンプルホルダーを押し付けることが好適である。プリントヘッドとサンプルホルダーとの間に少なくとも3つの自由度(ヒーブ、ロール、ピッチ)を有することが好適である。例では、ペーストは、以下の通りに形成され得る:
固体含有量90±5重量%
材料 固体含有量 目的
金属(Ag、Cu、Au): 86.5±5重量% 伝導性
ポリマーバインダー 2.5±2重量% 接着性および凝集性
フュームドシリカ 1±1重量% スランプ防止(anti-slump)、レオロジー制御
溶媒: 10±5重量% 印刷適性
【0058】
粘度は、100Pa*sから1000Pa*sの間の範囲にある。従来のスクリーンプリントペーストおよびインクとは対照的に、シアシニング(shear thinning)は、たとえば、アクセプター基板の上のペーストのフローを防止するためにフュームドシリカを追加することによって最小化され得る。また、これは、たとえば、レーザー照射によって、インクを硬化/乾燥させることによって防止され得、それは、高い固体含有量および低い溶媒含有量によって都合よく実現され得る。
【符号の説明】
【0059】
10 プレート
11 キャビティ表面
12 キャビティ
13 抵抗加熱デバイス
14 制御回路
20 レシービング基板
21 基板ホルダー、テーブル
22 スペーサー
30 真空チャック
40 コンタクト
50 高粘度機能性材料
60 マイクロエレクトロニクスコンポーネント
100 プリントヘッド
101 回転可能なプリントヘッド
122 ヒートスプレッダ
131 伝導性層
132 薄膜抵抗器、抵抗層
133 熱反射層、熱流束反射部
133-1 熱遮蔽部、断熱層
133-2 熱伝導性部、断熱層
134 追加的な電気絶縁体層
142 スペーサーピン
143 ビア
144 バスバー
145 断熱性ギャップ、別個の回路基板
146 電気接続部
240 ガイドローラー
250 転写セクション
255 位置決め手段、ピックアンドプレースユニット
260 熱的暴露ステップ、熱硬化ユニット
265 第1のリール
270 第2のリール
301 孔部
302 真空シーリングプレート
303 真空接続部
304 シール
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】