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特表2023-523013B群レンサ球菌(GBS)感染症の治療における使用のための組成物
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  • 特表-B群レンサ球菌(GBS)感染症の治療における使用のための組成物 図1A
  • 特表-B群レンサ球菌(GBS)感染症の治療における使用のための組成物 図1B
  • 特表-B群レンサ球菌(GBS)感染症の治療における使用のための組成物 図1C
  • 特表-B群レンサ球菌(GBS)感染症の治療における使用のための組成物 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】B群レンサ球菌(GBS)感染症の治療における使用のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20230525BHJP
   A61K 38/40 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230525BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 31/59 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 33/06 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 33/18 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 31/714 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 31/525 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230525BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
A61K35/747
A61K38/40
A61P43/00 121
A61P31/04
A61K31/07
A61K31/59
A61K33/06
A61K33/18
A61K31/375
A61K31/355
A61K31/714
A61K45/00
A61K31/525
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/10
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022564533
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2021060394
(87)【国際公開番号】W WO2021214139
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】20170598.5
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522413227
【氏名又は名称】ビオファルマ ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】テルッツィ カルロ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C087
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC32
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA22
4C084DC50
4C084MA17
4C084MA23
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA41
4C084MA43
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZB35
4C084ZC75
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4C086AA02
4C086AA03
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4C086BA18
4C086BC83
4C086DA14
4C086DA39
4C086GA07
4C086GA10
4C086HA02
4C086HA04
4C086HA09
4C086HA11
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB35
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC56
4C087BC57
4C087BC58
4C087MA17
4C087MA23
4C087MA35
4C087MA37
4C087MA41
4C087MA43
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZB35
4C087ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206CA10
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA37
4C206MA43
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA61
4C206MA63
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、細菌感染、特に妊娠中および妊娠後のB群レンサ球菌(GBS)感染の分野に関する。
本発明は、B群レンサ球菌(GBS)感染症の予防的および/または治療的な処置における、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の菌株、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)の菌株、およびラクトフェリンを含む組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B群レンサ球菌(GBS)感染症の予防的および/または治療的な処置における使用のための、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の菌株、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)の菌株およびラクトフェリンを含む組成物であって、前記B群レンサ球菌(GBS)感染症は、妊娠中または妊娠後に生じる、組成物。
【請求項2】
前記ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株と前記ラクトバチルス・ラムノサスの菌株が、互いに独立して、107~1012 CFU/dose、好ましくは109 CFU/doseの総濃度である、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株が、受託番号SD5212およびLMG S-29159、L. アシドフィルス NCFM、L. アシドフィルス La-5、L. アシドフィルス Lafti L-10、L. アシドフィルス W22ならびにL. アシドフィルス BIFOLAC 5で寄託されたL. アシドフィルスからなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記ラクトバチルス・ラムノサスの菌株が、受託番号SD5675、L. ラムノサス Lr-32、L. ラムノサス GG、L. ラムノサス GR-1およびL. ラムノサス SP-1で寄託されたL. ラムノサスからなる群から選択される、請求項1-3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株が、配列番号:1の配列と少なくとも95%の同一性を有する16s領域を有する、請求項1-4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株が、受託番号LMG S-29159で寄託され、前記ラクトバチルス・ラムノサスの菌株が受託番号SD5675で寄託される、請求項1-5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記ラクトフェリン、好ましくはウシラクトフェリンが、5 mg/dose~300 mg/doseの範囲、好ましくは50 mg/doseの総濃度である、請求項1-6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
ミネラル、ビタミン、プロバイオティクス、プレバイオティクス、タンパク質またはそれらの任意の混合物からなる群より選択される少なくとも1の追加成分をさらに含む、請求項1-7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記ミネラルが、カルシウム、リン、銅、マグネシウム、カリウム、鉄、セレン、ナトリウム、亜鉛、塩化物およびヨウ素からなる群から選択され、前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6、ビタミンB8(ビオチン)、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEおよび葉酸からなる群から選択され、前記プロバイオティクスが、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ビフィダス(Lactobacillus bifidus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・イエンセニイ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・イナース(Lactobacillus iners)からなる群から選択され、前記タンパク質が、ホセイおよびカゼインから選択される、請求項8に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
107~1012 CFU/doseの範囲のラクトバチルス・アシドフィルス、107~1012 CFU/doseの範囲のラクトバチルス・ラムノサス、5 mg/dose~300 mg/doseの範囲のラクトフェリン、および薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項1-9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記組成物が、107~1012 CFU/doseの範囲、好ましくは109 CFU/doseの1日用量で、5 mg/dose~300 mg/doseの範囲、好ましくは50 mg/doseのラクトフェリンとの組み合わせで使用される、請求項1-10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記組成物が、経口投与のためのものである、請求項1-11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記組成物が、錠剤、カプセル、散剤、顆粒、可溶性スティック、液体懸濁液からなる群から選択され、固体、液体または半液体の形態である、請求項1-12のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌感染、特に妊娠中および妊娠後のB群レンサ球菌(GBS)感染の分野に関する。
【0002】
本発明は、B群レンサ球菌(GBS)感染の予防的および/または治療的な処置における、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の菌株、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)の菌株およびラクトフェリンを含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)またはB群レンサ球菌(GBS)は、世界中の母親および新生児の双方にとって罹患率および死亡率の重要な原因である。消化管はGBSの自然宿主であり、この細菌は移動し、膣にコロニーを形成し得る。米国で実施された研究は、妊娠中の女性の10~35%がGBSの無症候性キャリアであることを示している。コロニー形成は、希少な、慢性のまたは断続的な事象であり得る。新生児感染の最も重要なリスク因子は、分娩および胎児の産道通過の間の母親の尿生殖路における病原細菌の存在である。あるいは、破水後の上行性の流れから病原細菌が羊水に到達し得るが、この後者の事象は細菌のコロニー形成のために必要ではない。
【0004】
後期新生児感染の病因に関しては、伝播は水平であると推測される。感染の原因因子としては、母親との濃厚接触、授乳、院内感染が挙げられる。
【0005】
母親の泌尿生殖器および消化管の両方におけるGBSの存在と相関する主な問題は、無症候性のコロニー形成によって示される。実際、無症候性細菌尿は妊娠中にしばしば見られる。無症候性の場合において、妊婦における臨床症状には、絨毛羊膜炎、膀胱炎、腎盂腎炎および発熱性菌血症、ならびに産褥期における発熱および子宮内膜炎が含まれる。さらに、この病原体は、遷延分娩、前期破水(PROM)および早産(PPT)と相関する。それほど普通ではないが、この病原体は帝王切開、骨盤膿瘍、敗血症性骨盤静脈血栓症、および骨髄炎後の手術創の感染に関連している。
【0006】
出生時において、コロニー形成された母親からの新生児の50~65%の外耳道、咽頭、臍、および肛門直腸管にGBSが見られる。
【0007】
コロニー形成の徴候を示す新生児の約98%は感染症を発症しないが、この感染症は1~2%のケースで生じる。
【0008】
GBSは、早期および後期新生児感染症の、2つの異なる臨床病態を引き起こし得る。前者(早期感染)は生後最初の7日以内に起こり、その主な症状は呼吸窮迫である。肺炎および敗血症が最も一般的な臨床症状であるが、新生児の5~10%には髄膜炎をきたす。早期感染は、早産児においては、10倍頻度が高い。
【0009】
後期感染は生後7日から3カ月の間に生じる。このような患者は通常、早生であり、しばしば髄膜炎、敗血症、および骨関節感染症を発症する。GBSによって起因する髄膜炎にて生存した新生児の20%以上が、感音難聴、精神遅滞、皮質盲等の永続的な神経学的損傷を発症する。米国における死亡率は過去30年間で有意に低下しており:1970年の50%から1990年の6%にまで低下しており;より最近のCDCからのデータでは、より低い率が示されている。
【0010】
妊娠中の女性の診断は以下のように実施される:
- 膣スワブまたは肛門直腸スワブのいずれかから病原細菌を検出するための培養アッセイ;
- 尿培養検査。
【0011】
新生児の診断は以下のように実施される:
- 鼻咽頭スワブまたは耳スワブのいずれかから病原細菌を検出するための培養アッセイ;
- 血液培養;
- 髄液検査。
【0012】
現在、早期新生児感染症の発生率を低下させるための最も効果的な方法は、(無症状の)病原細菌を同定することを目的とした妊婦のスクリーニングおよび分娩時抗菌療法である。この後者は、母親の合併症、感染症および新生児の事象を予防する最良の方法であると思われる。それは、妊娠35~37週の間の培養スクリーニングに基づいて、または、出生前もしくは分娩中の両方のリスク因子を考慮して、以下のように実施され得る:
- 妊娠35~37週の間の膣直腸コロニー形成;
- 早産;
- スワブの結果がない場合、病歴、特に早産(<37週)、pPROM、18時間以上からのPROM、分娩中の発熱(>38℃または100°F)、以前の新生児がGBSに陽性、母親の尿培養がGBSに陽性でることを考慮する。
【0013】
妊娠中、分娩前の経口抗菌療法は、尿サンプル中にてGBS優位である場合にのみ適応となるが、GBSに起因する膣炎は治療の適応とならない。
【0014】
分娩まで4時間ごとにペニシリンまたはアンピシリンを投与することにより、分娩時予防を実施しなければならない。感染リスクのある新生児に対する抗菌療法は、感染の臨床症状および診断の後においてのみ実施しなければならない。
【0015】
GBS感染に対するワクチンは未だ得られていない。
【0016】
母親および新生児への合併症および感染を回避することを可能にするようなGBSに対する治療を欠く現状を考慮すると、妊娠および分娩中の抗菌療法の使用に対する代替治療の開発の必要性および重要性がますます高まっている。
【発明の概要】
【0017】
本発明の根底にある問題は、B群レンサ球菌感染症の予防および治療のための利用可能な治療を見出すことである。
【0018】
この問題は、B群レンサ球菌(GBS)感染症の予防的および/または治療的な処置において、ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株、ラクトバチルス・ラムノサスの菌株、およびラクトフェリンを含む組成物を使用することによる本知見によって解決される。
【0019】
発明の詳細な説明にさらに記載されるように、本発明の組成物は、抗生物質を使用することなく、ストレプトコッカス・アガラクチア感染症の治療を可能にするという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明の特徴および利点は、以下に報告される詳細な説明、例示的かつ非限定的な目的のために与えられる実施例、ならびに添付の図1および2から明らかになるのであろう:
図1図1A、1Bおよび1Cは、L. アシドフィルス、L. ラムノサス、両乳酸菌の混合物、およびラクトフェリンとの混合物(0.1~10 mg/ml)による様々な治療の後のGBS(106 CFU)の増殖抑制を報告するグラフを示す。両乳酸菌株を、実施例7に記載されるように107 CFUで用いた。図1A、1Bおよび1Cは、それぞれ6、12および24時間後のGBSの増殖抑制を示す。
図2図2は、ラクトフェリン(Lf)の存在下でのGBSの増殖を報告するグラフを示す。
【発明の詳細な説明】
【0021】
本発明はB群レンサ球菌(GBS)感染症の予防的および/または治療的な処置における使用のための、ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株、ラクトバチルス・ラムノサスの菌株、およびラクトフェリンを含む組成物に関する。ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株、ラクトバチルス・ラムノサスの菌株、およびラクトフェリンを含む組成物は、B群レンサ球菌(GBS)感染症の予防的および/または治療的な処置のための医薬の調製における使用に適している。
【0022】
ラクトバチルス・アシドフィルスおよびラクトバチルス・ラムノサス等の乳酸菌は、適切な量で投与された場合、ヒトの健康に対していくつかの有益な効果を及ぼす微生物である。そのため、これらはプロバイオティクスと考えられている。
【0023】
ラクトバチルス属菌は、健常な膣生態系において優勢である微生物カテゴリーに当たる。乳酸菌類は、病原性微生物の増殖を阻止することが可能な抗菌性物質を産生して、様々な細菌の集団のバランスをとることによって膣の恒常性に寄与する。さらに、乳酸菌類はまた、膣の生理学的な低pHを維持する乳酸を産生することにより、健常な膣環境に寄与する。膣生態系の微生物組成における変化は、細菌性膣炎(BV)および好気性膣炎(AV)等のいくつかの有害な健康転帰に関連している。
【0024】
ラクトフェリン(Lf)は涙液、乳汁、唾液および膣分泌物を含む大部分の外分泌生体液の無害かつ天然の成分であり、可能性のある治療薬として注目に値する。Lfは、自然免疫系の主要な免疫調節成分の1つを構成する~80kDaの鉄結合性多機能性糖タンパク質である。科学文献に記載されているLfの他の生物学的活性には、広範囲の病原性細菌、真菌、原虫およびウイルスに対する抗微生物活性、ならびに抗炎症性および鉄の担体が含まれる。他の乳の糖複合体のように、Lfは、粘膜細胞表面への病原体の結合を阻害する可溶性受容体ミメティックとして機能する。上述したLfの広範な抗菌スペクトルおよび免疫調節活性にもかかわらず、膣細菌の増殖を制御するLfの活性については、比較的ほとんど知られていない。
【0025】
いかなる理論にも拘束されるものではないが、女性におけるGBS感染の予防に関与する作用機序は、消化管における本発明の組成物の抗菌作用による直接的な効果である。実際に、腸は、下部泌尿生殖器感染症のようなヒトにおける疾患を引き起こす多くの病原体性微生物の宿主である。本発明者らの組成物は、GBSの増殖、その遊走および下部尿生殖路のコロニー形成を著しく減少させることができる。
【0026】
以前の実験研究において、本発明者らは、乳酸菌類、すなわち、L. アシドフィルスおよびL. ラムノサスの組み合わせが、いくつかの特定の病原体および日和見細菌の増殖および成長を阻害することにより抗菌効果を発揮することを見出した。特に、本発明者らはプロバイオティクスの組合せが、下部尿路感染症の最も一般的な原因と考えられている黄色ブドウ球菌および大腸菌の有意な効果を誘導することを示した。これに対し、GBSに対するこの複合物の効果については何も知られていない。
【0027】
上記のエビデンスに基づいて、本発明者らは、選ばれたラクトバチルス、主にラクトバチルス・アシドフィルスおよびラクトバチルス・ラムノサスが、単独または組み合わせの、Lf、好ましくはウシラクトフェリンの存在下または非存在下での、GBSの成長および増殖に対する能力を検証した。
【0028】
驚くべきことに、本発明者らは、組成物中において、ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株、ラクトバチルス・ラムノサスの菌株およびラクトフェリンを一緒に組み合わせた場合、その組成物がGBSに対して相乗的な効果を有することを見出した。
【0029】
図1および2に示され、実施例7に記載されるように、ラクトバチルス・アシドフィルスもラクトバチルス・ラムノサスも、単独でも、組み合わせた場合でも、6時間のインキュベーション後においてGBSの増殖を阻害しない。12時間後にL. アシドフィルスにおいてわずかな阻害が見られたが、インキュベーションのいずれの時点においてもラクトフェリン単独では有意な阻害効果は発揮されない。
【0030】
図1および2の結果は、L. アシドフィルス LMG S-29159株およびL. ラムノサス SD5675株で得られた。
【0031】
しかしながら、異なる細菌株が非常に目立たない遺伝的変異を有するのと同時に同じ活性を有する可能性が非常に頻繁にあるため、当業者には、様々な菌株のL.アシドフィルスおよびL.ラムノサスを用いることによっても、同様の結果を得ることができることが知られている。同じ細菌株が、異なる受託番号および/または異なる商業上の名称を有し得ることも、当業者に知られている。
【0032】
本発明者らは驚くべきことに、ラクトバチルス・アシドフィルス La-14株(例えば、L. アシドフィルス L MGS-29159およびL. アシドフィルス GLA-14)に由来するラクトバチルス・アシドフィルス菌株が、本発明に記載の効果を有する組成物を得ることを可能にすることを見出した。
【0033】
特に、驚くべき活性を有するラクトバチルス・アシドフィルスは、16s rRNA遺伝子配列を比較することによって同定され得る。
【0034】
L. アシドフィルス L MGS-29159、L. アシドフィルス La-14およびL. アシドフィルス GLA-14の16s領域からの500塩基対の領域を配列番号:1に記載する。
【0035】
配列番号:1
TGGAGAGTTTGATCCTGGCTCAGGACGAACGCTGGCGGCGTGCCTAATACATGCAAGTCGAGCGAGCTGAACCAACAGATTCACTTCGGTGATGACGTTGGGAACGCGAGCGGCGGATGGGTGAGTAACACGTGGGGAACCTGCCCCATAGTCTGGGATACCACTTGGAAACAGGTGCTAATACCGGATAAGAAAGCAGATCGCATGATCAGCTTATAAAAGGCGGCGTAAGCTGTCGCTATGGGATGGCCCCGCGGTGCATTAGCTAGTTGGTAGGGTAACGGCCTACCAAGGCAATGATGCATAGCCGAGTTGAGAGACTGATCGGCCACATTGGGACTGAGACACGGCCCAAACTCCTACGGGAGGCAGCAGTAGGGAATCTTCCACAATGGACGAAAGTCTGATGGAGCAACGCCGCGTGAGTGAAGAAGGTTTTCGGATCGTAAAGCTCTGTTGTTGGTGAAGAAGGATAGAGGTAGTAACTGGCCTTTATTTGACGGTAATCAACCAGAAAGTCACGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTA
【0036】
ラクトバチルス・ラムノサスおよびラクトフェリン、ならびに、配列番号:1の配列に対して90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性を有する16s領域を有する16s rRNA遺伝子配列を有するL. アシドフィルスの任意の組み合わせは、請求項1に記載の使用のための組成物を得ることを可能にする。
【0037】
好ましい態様においては、本発明は、ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株を含む組成物の使用を提供し、前記ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株は、配列番号:1の配列と少なくとも95%の同一性を有する16s領域を有する。
【0038】
それでもやはり、Lfと一緒に組み合わせた場合、前記乳酸菌株による阻害効果はより強くなり、より早く現れ、有意に増強され、相乗効果を強調した。
【0039】
好ましい態様においては、本発明は、ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株、ラクトバチルス・ラムノサスの菌株およびラクトフェリンを含む組成物の使用を提供し、ここでラクトバチルス・アシドフィルスの菌株およびラクトバチルス・ラムノサスの菌株は、107~1012 CFU/dose、好ましくは109 CFU/doseの総濃度で互いに独立している。
【0040】
さらなる態様において、本発明の組成物における、ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株は、受託番号SD5212(ATCC(American Type Culture Collection))で寄託されたL. アシドフィルスおよび受託番号LMG S-29159(ベルギーのゲント大学のBCCM(Belgian Coordinated Collections of Microorganisms)/LMG)(L. アシドフィルス La-14およびL. アシドフィルス GLA-14と同等)で寄託されたL. アシドフィルス、ならびに、限定されるものではないが、L. アシドフィルス La-5、L. アシドフィルス Lafti L-10、L. アシドフィルス W22およびラクトバチルス・アシドフィルス BIFOLAC 5菌株等と同種に属する他の乳酸菌からなる群より選択され、ラクトバチルス・ラムノサスの菌株は、受託番号SD5675(ATCC、L. ラムノサス HN001と同等)で寄託されたL. ラムノサス、ならびに、限定されるものではないが、L. ラムノサス Lr-32、L. ラムノサス GG、L. ラムノサス GR-1およびL. ラムノサス SP-1菌株等と同種に属する他の乳酸菌からなる群から選択される。
【0041】
好ましい態様では、本発明の組成物において、ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株は受託番号LMG S-29159で寄託されたラクトバチルス・アシドフィルスであり、ラクトバチルス・ラムノサスの菌株は受託番号SD5675で寄託されたラクトバチルス・ラムノサスである。
【0042】
より好ましい態様では、本発明の組成物において、ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株は、配列番号:1の配列と少なくとも90%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有する16s領域を有し、より好ましくは、その16s領域は配列番号:1である。
【0043】
なお、さらなる態様では、本発明の組成物において、前記ラクトフェリン、好ましくはウシラクトフェリンは、総濃度が、5 mg/dose~300 mg/doseの範囲、好ましくは50 mg/doseである。
【0044】
別の態様によれば、本発明は、ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株、ラクトバチルス・ラムノサスの菌株およびラクトフェリンを含む組成物の使用を提供し、前記組成物は、ミネラル、ビタミン、プロバイオティクス、プレバイオティクス、タンパク質、またはそれらの任意の混合物からなる群から選択される少なくとも1の追加成分を含んでいてもよい。
【0045】
好ましくは、前記ミネラルは、カルシウム、リン、銅、マグネシウム、カリウム、鉄、セレン、ナトリウム、亜鉛、マンガン、塩化物およびヨウ素からなる群から選択され、前記ビタミンは、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6、ビタミンB8(ビオチン)、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEおよび葉酸からなる群から選択され、前記プロバイオティクスは、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ビフィダス(Lactobacillus bifidus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・イエンセニイ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・イナース(Lactobacillus iners)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)からなる群から選択されるビフィズス菌または乳酸菌であり、前記タンパク質は、ホエイおよびカゼインから選択される。
【0046】
より好ましい態様では、本発明は、107~1012 CFU/doseの範囲のラクトバチルス・アシドフィルス、107~1012 CFU/doseの範囲のラクトバチルス・ラムノサス、5 mg/dose~300 mg/doseの範囲のラクトフェリン、および薬学的に許容される賦形剤を含む組成物の使用に関する。
【0047】
そのような薬学的に許容される賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ステアリン酸マグネシウムおよび二酸化ケイ素であってよいが、これらに限定されない。他の賦形剤は、実施例に従って組成物を調製することができる当業者には公知である。
【0048】
別の態様では、ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株およびラクトバチルス・ラムノサスの菌株を含む組成物は、107~1012 CFU/dose、好ましくは109 CFU/doseの範囲の1日用量で使用することができ、ここで、L. アシドフィルスとL. ラムノサスとの間の比率は、20:1~2:1の範囲、好ましくは4:1であり、L. アシドフィルスの比率はL. ラムノサスよりも常に高い。
【0049】
ラクトフェリン、好ましくはウシラクトフェリンは、5 mg/dose~300 mg/doseの範囲、好ましくは50 mg/doseの1日用量で使用することができる。
【0050】
このような用量は、410人の妊婦が処置に従って2グループに無作為化された(verumまたはプラセボ)、現在進行中の本発明者らの多施設臨床試験にて用いられた。彼女らは、妊娠32~37週の間、1日に1カプセルの製剤を服用する。1カプセルは、5×109 CFUの乳酸菌混合物(L. アシドフィルスおよびL. ラムノサス)および50 mgのラクトフェリンを含有する。好ましい態様では、本発明による使用のための組成物は、経口投与のためのものであり、前記組成物は、錠剤、カプセル、散剤、顆粒、可溶性スティック、液体懸濁液からなる群から選択される固体、液体形態に含まれる。
【0051】
本明細書に記載の組成物は、妊娠中または妊娠後に起こるB群レンサ球菌(GBS)感染症の予防および/または治療に有効に使用される。
【0052】
上記にて示され、以下の特許請求の範囲でクレームされるように、本発明の様々な実施形態および態様は、以下の実施例において実験的なサポートを見出す。
【実施例
【0053】
ここで、上記の説明と共に、本発明のいくつかの実施形態を例示する以下の実施例を参照されたい。
【0054】
実施例1.
本発明による組成物の調製(カプセル)
本発明による組成物は、L. アシドフィルス、L. ラムノサス、ラクトフェリン、脂肪酸マグネシウム塩および二酸化ケイ素の各原料を、20~30%の範囲の制御された湿度の作業環境において秤量し、調製した。その後、各成分を篩にかけ、混合機に導入し、酸素を極力排除するために窒素の存在下で混合する。制御された環境条件(温度および湿度)下で、混合物(粉末)を、HPMCカプセルを製造するためのカプセルマシンのホッパーに充填する。充填後、カプセルは一次包装のために、alu/aluブリスターまたは適切なジャーの中でブリスタリングマシンに輸送される。
【0055】
組成物
ラクトフェリン54.3 mg
L. アシドフィルス+ラムノサス:5×109 CFU
ヒドロキシプロピルメチルセルロース80 mg
デンプン53.6 mg
脂肪酸マグネシウム塩5 mg
二酸化ケイ素3.7 mg
【0056】
実施例2.
本発明による組成物の調製(コーティング錠1g)
ラクトフェリン60 mg
L. アシドフィルス20×109
L. ラムノサス5×109
リン酸カルシウム300 mg
微結晶セルロース150 mg
脂肪酸マグネシウム塩10 mg
二酸化ケイ素5 mg
コーティング剤50 mg
様々な粘度を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(200 mg)とメチルセルロース125 mgの混合
【0057】
実施例3.
本発明による組成物の調製(分包2 g)
ラクトフェリン100 mg
L. アシドフィルス10×109
L. ラムノサス2×109
マルトデキストリン1780 mg
二酸化ケイ素20 mg
【0058】
実施例4.
本発明による組成物の調製(即時使用可能な経口スティックパック1.5 g)
ラクトフェリン50 mg
L. アシドフィルス15×109
L. ラムノサス5×109
フルクトオリゴ糖1000 mg
ソルビトール335 mg
二酸化ケイ素 15 mg
【0059】
実施例5.
本発明による組成物の調製(油中懸濁液10 ml)
ラクトフェリン30 mg
L. アシドフィルス6×109
L. ラムノサス3×109
10mlまでのヒマワリ油
脂肪酸モノ-ジグリセリド5 mg
ビタミンE 15 mg
【0060】
実施例6.
本発明による組成物の調製(液体懸濁液)
バイアル10 ml
プラグ:ラクトフェリン25 mg;ラクトバチルス混合物15×109(L アシドフィルス;L ラムノサス)75 mg、二酸化ケイ素5 mg
バイアル:水、フルクトース、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、香料、クエン酸。
【0061】
実施例7.
本発明の組成物の活性のインビトロ分析:液体共培養アッセイ。
L. アシドフィルスおよびL. ラムノサスの、単独およびラクトフェリンとの組み合わせが、GBSの増殖を阻害する能力を、液体共培養アッセイによって評価した。
【0062】
乳酸菌株(L. アシドフィルス LMG S-29159およびL. ラムノサス SD5675)は、乳酵母エキス(MYE)に-80℃で保存した。
実験の前に、各菌株を、凍結保存培養物から、非撹拌条件下で37℃でインキュベートしたMRS(De Man Rugosa Sharpe)ブロスに移した。
ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)をブレインハートインフュージョン(BHI)培地で培養した。
共培養試験は、異なる濃度のプロバイオティクス株(107および108 cfu/mL)を、単独で、または異なる濃度(106および107 cfu/mL)の標的病原体と組合せて、DMSGTS(Defined Medium Simulating Genital Tract Secretions)(プロバイオティクスおよび病原体の両方の成長を維持することが可能)中でインキュベートすることによって実施した。プロバイオティクス株を、単独で、およびラクトフェリンと組み合わせて、以下の最終濃度で試験した:0.1~1~5~10 mg/ml。
コントロールは、DMSGTSに細菌を単独で接種することによって実施した。
【0063】
病原体が阻害されたか殺されたかをチェックするために、0.05 mLの共培養懸濁液を希釈し、特定の寒天培地に播種した。37℃で6~24時間インキュベートした後、細菌増殖を評価した。増殖は、殺菌活性(100%阻害)として判断しなかった。
統計分析は、対応のないデータについては、Student's t検定によって行った。データは平均値お標準偏差として表し、0.05未満のP値を有意とみなした。
【0064】
結果
L. アシドフィルス LMG S-29159およびL. ラムノサス SD5675を用いて行った実験の結果を図1および2に示す。
乳酸菌は、単独で試験した場合、GBSの増殖に対して異なる効果を示した。特に、L. アシドフィルスは、病原細菌との12時間のインキュベーション後、わずかな増殖阻害を引き起こした。一方、L. ラムノサスは、6時間後も12時間後も細菌増殖を減少させず、24時間後にわずかな阻害を示した。ラクトフェリンは、GBS成長に有意な影響を及ぼさなかった(図2)。驚くべきことに、Lfを乳酸桿菌混合物に加えた場合、その複合物はより顕著な阻害を示し、これは、6時間のインキュベーション後に既に有意であった。
このような効果は、最初のプロバイオティクス数とは無関係であった(107および108 cfu/mlのいずれからも同様の結果が得られた)。
【0065】
結論
図1および2に示される結果は、GBS病原体細菌の増殖を予防および低減するための、本発明による組成物(L. アシドフィルス LMG S-29159およびL. ラムノサス SD5675の2つの乳酸菌ならびにラクトフェリンとの組み合わせの製剤)の有効性を明確に示す。
ラクトバチルス・アシドフィルスもラクトバチルス・ラムノサスも、単独でも組み合わせにおいても、6時間のインキュベーション後に、GBS増殖を阻害しなかった。L. アシドフィルスについては、12時間後にわずかな阻害が見られたが、いずれのインキュベーション時間においても、ラクトフェリン単独では有意な阻害効果は発揮されなかった。
驚くべきことに、乳酸菌の組合せの効果は、ラクトフェリンによって増強され、相乗効果を強調した。
【0066】
GBSが妊婦および主に新生児の両方において重篤な状態を引き起こす最も一般的で病原性の細菌の1つであることを考慮すると、本発明の組成物は、妊娠中のGBS感染の予防および治療のための潜在的な代替アプローチを示し得る。
【0067】
実施例8.
進行中の臨床試験
妊婦におけるGBS感染の予防における本発明の組成物の有効性を評価するために、多施設、二重盲検、無作為化、プラセボ対照臨床試験が進行中である。
本試験は、各所の独立倫理委員会から書面による承認を得て、イタリア保健省に連絡した後にのみ開始される。本治験は、ヘルシンキ宣言(2013年10月、フォルタレザ(ブラジル))および医薬品の臨床試験の実施に関する基準に従って実施される。
【0068】
妊婦410人(妊娠32~37週)を登録し、処置により無作為に2グループ(verumまたはプラセボ)に分ける。募集は、モデナ大学(コーディネーター)、ミラノ大学、レッジョ・エミリア大学で実施される。
成人(>18歳)で、出産のリスクが低く直腸膣スワブがGBS陽性である妊娠中の女性;妊娠33週以内かつ経腟分娩の予定である妊婦は、すべて採用される予定である。
除外基準には、GBS陽性の尿を有する妊娠中女性;以前に早期敗血症を発症した乳幼児を有する女性;登録の1月前の抗生物質の使用;本研究を理解し、インフォームド・コンセントに同意する能力がないことが含まれる。
主要評価項目は、分娩前スクリーニング(35~37週)におけるGBSコロニー形成を有する妊娠中女性(キャリア)の割合である。
副次評価項目には、送達中に抗生物質で治療された女性の割合;前期破水の女性の割合;5^分でのアプガースコアが>8;生後48時間の間に抗生物質を投与された新生児の割合;早期GBS敗血症の新生児の割合、治験薬/プラセボの安全性および忍容性が含まれる。
【0069】
治療は、治験薬(乳酸菌とラクトフェリンの併用)またはプラセボを妊娠32~37週に1日1カプセル経口投与することからなる。verum 1カプセル中には、5×109 CFUの乳酸菌(L. アシドフィルス、L. ラムノサス)および50 mgのラクトフェリンが含まれる。
【0070】
試験の間、現在の臨床試験の実施の基準に従って、GBS分析のために各女性から直腸および膣スワブを収集する。新生児におけるGBSコロニー形成を評価するために、出産後にフォローアップ診療が実施される。
【0071】
さらに、各施設あたり20人の女性のサブグループにおいて、35~37週の評価の間に、追加の膣スワブが収集される。これは、治験薬に含まれる2つの乳酸菌株の膣内コロニー形成を実証するため、ならびに、膣内細菌叢およびサイトカインプロファイルを分子的アプローチ(スワブからの細菌DNAの抽出および単離;16S rDNA配列;RT-PCR分析)により評価するために使用される。
【0072】
安全性は、有害事象を記録することによって評価される。
すべてのデータは、絶対度数または相対度数として示される。主要評価項目および副次評価項目は、両側Z検定を用いて2つの試験群で比較される。
【0073】
上記の説明および実施例から、本発明により記載され、得られる組成物によって達成される利点が明らとなる。
図1A
図1B
図1C
図2
【配列表】
2023523013000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-03-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B群レンサ球菌(GBS)感染症の予防的および/または治療的な処置における使用のための、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)の菌株、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)の菌株およびラクトフェリンを含む組成物であって、前記B群レンサ球菌(GBS)感染症は、妊娠中または妊娠後生じ、前記ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株は、配列番号:1の配列と少なくとも95%の同一性を有する16s領域を有する、組成物。
【請求項2】
前記ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株と前記ラクトバチルス・ラムノサスの菌株が、互いに独立して、107~1012 CFU/dose、好ましくは109 CFU/doseの総濃度である、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
前記ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株が、受託番号LMG S-29159、L. アシドフィルス GLA-14、L. アシドフィルス La-14で寄託されたL. アシドフィルスからなる群から選択される、請求項1または2に記載の使用のための組成物。
【請求項4】
前記ラクトバチルス・ラムノサスの菌株が、受託番号SD5675、L. ラムノサス Lr-32、L. ラムノサス GG、L. ラムノサス GR-1およびL. ラムノサス SP-1で寄託されたL. ラムノサスからなる群から選択される、請求項1-3のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
前記ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株が、配列番号:1の配列と100%の同一性を有する16s領域を有する、請求項1-4のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
前記ラクトバチルス・アシドフィルスの菌株が、受託番号LMG S-29159で寄託され、前記ラクトバチルス・ラムノサスの菌株が受託番号SD5675で寄託される、請求項1-5のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項7】
前記ラクトフェリン、好ましくはウシラクトフェリンが、5 mg/dose~300 mg/doseの範囲、好ましくは50 mg/doseの総濃度である、請求項1-6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項8】
ミネラル、ビタミン、プロバイオティクス、プレバイオティクス、タンパク質またはそれらの任意の混合物からなる群より選択される少なくとも1の追加成分をさらに含む、請求項1-7のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
前記ミネラルが、カルシウム、リン、銅、マグネシウム、カリウム、鉄、セレン、ナトリウム、亜鉛、塩化物およびヨウ素からなる群から選択され、前記ビタミンが、ビタミンA、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB6、ビタミンB8(ビオチン)、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEおよび葉酸からなる群から選択され、前記プロバイオティクスが、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ビフィダス(Lactobacillus bifidus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・イエンセニイ(Lactobacillus jensenii)、ラクトバチルス・デルブルッキー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・イナース(Lactobacillus iners)からなる群から選択され、前記タンパク質が、ホセイおよびカゼインから選択される、請求項8に記載の使用のための組成物。
【請求項10】
107~1012 CFU/doseの範囲のラクトバチルス・アシドフィルス、107~1012 CFU/doseの範囲のラクトバチルス・ラムノサス、5 mg/dose~300 mg/doseの範囲のラクトフェリン、および薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項1-9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記組成物が、107~1012 CFU/doseの範囲、好ましくは109 CFU/doseの1日用量で、5 mg/dose~300 mg/doseの範囲、好ましくは50 mg/doseのラクトフェリンとの組み合わせで使用される、請求項1-10のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記組成物が、経口投与のためのものである、請求項1-11のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
前記組成物が、錠剤、カプセル、散剤、顆粒、可溶性スティック、液体懸濁液からなる群から選択され、固体、液体または半液体の形態である、請求項1-12のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【国際調査報告】