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特表2023-523015ポリグリセロールエステルを有する相乗的な殺生物組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】ポリグリセロールエステルを有する相乗的な殺生物組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/00 20060101AFI20230525BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20230525BHJP
   A01N 37/02 20060101ALI20230525BHJP
   A01N 33/12 20060101ALI20230525BHJP
   A01N 33/04 20060101ALI20230525BHJP
   A01N 31/02 20060101ALI20230525BHJP
   A01N 47/44 20060101ALI20230525BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
A01N25/00 101
A01P3/00
A01N37/02
A01N33/12 101
A01N33/04
A01N31/02
A01N47/44
C11D3/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564546
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2021060524
(87)【国際公開番号】W WO2021214215
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】20171207.2
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504280067
【氏名又は名称】アーチ・ユーケイ・バイオサイズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ナイチンゲール,アーロン・トーマス・アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】ブロムフィールド,マット
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ペトコフ,ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ショー,ニール・スコット
(72)【発明者】
【氏名】パンブー,イライアス
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4H003AC03
4H003AE04
4H003BA12
4H003DA01
4H003DA02
4H003DA20
4H003ED02
4H003FA34
4H011AA01
4H011AA03
4H011BB03
4H011BB04
4H011BB06
4H011BB14
4H011BC06
(57)【要約】
効果的な消毒用組成物であるために必要な殺生物剤の量の低減を可能にする相乗的効果を有する、殺生物剤とポリグリセロールエステルの消毒用組成物が、本明細書で提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒用組成物であって、
(i)殺生物剤;および
(ii)ポリグリセロールエステルを含み、
前記ポリグリセロールエステルが、前記殺生物剤単独と比較して、前記殺生物剤の効力を十分に増加させる量で存在し、そしてその増加量は、単独で用いられた前記殺生物剤およびポリグリセロールエステルの殺生物活性の相加効果より大きい、
消毒用組成物。
【請求項2】
前記ポリグリセロールエステルと前記殺生物剤との重量比が、0.00001~10.0の範囲、例えば0.0001~2.0の範囲、例えば0.001~1.5の範囲、例えば0.01~1.0の範囲である、請求項1に記載の消毒用組成物。
【請求項3】
前記殺生物剤が、第四級アンモニウム化合物、第三級アミン、グアニド、ビグアニド、アルコール、フェノール化合物、有機酸、過酸化物、過酸、鉄キレート剤、ピリジン化合物、ヨウ素化合物またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の消毒用組成物。
【請求項4】
前記第三級アミンが、N,N-ビス(3-アミノプロピル)ドデシル-1,3プロパンアミンなどの(C~C16)アルキル第三級アミンを含む、請求項3に記載の消毒用組成物。
【請求項5】
前記殺生物剤が、アルキル第四級アンモニウム化合物、ベンジル第四級アンモニウム化合物またはジ-第四級アンモニウム化合物などの第四級アンモニウム化合物を含む、請求項3に記載の消毒用組成物。
【請求項6】
前記アルキル第四級アンモニウム化合物が、ジC8~18アルキルジメチルアンモニウム化合物またはベンジルC8~18アルキルジメチルアンモニウム化合物を含む、請求項5に記載の消毒用組成物。
【請求項7】
前記ジ-第四級アンモニウム化合物が、ビス(2-N,N-ジメチル-N-アルキルアンモニウムエチルエーテル)化合物を含む、請求項5に記載の消毒用組成物。
【請求項8】
前記第四級アンモニウム化合物が、塩アニオンを有し、前記アニオンが、ハロゲン化物イオン、炭酸イオン、重炭酸/炭酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオンまたはリン酸イオンを含む、請求項5に記載の消毒用組成物。
【請求項9】
前記殺生物剤が、ビグアニドなどのグアニドを含む、請求項3に記載の消毒用組成物。
【請求項10】
前記グアニドが、ポリヘキサメチレンモノグアニド、ポリヘキサメチレンビグアニドまたはクロルヘキシジンを含む、請求項9に記載の消毒用組成物。
【請求項11】
前記殺生物剤が、酸を含む、請求項3に記載の消毒用組成物。
【請求項12】
前記殺生物剤が、パラ-クロロメタキシレノール、2-ピリジノール-1-オキシド(HPNO)、オクテニジン、またはポビドン-ヨードを含む、請求項3に記載の消毒用組成物。
【請求項13】
前記ポリグリセロールエステルが、(a)平均値に基づき2~12個のグリセロール分子から構成されるポリグリセロール成分、および(b)カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、オレイン酸、またはデカオレイン酸を含む脂肪酸から誘導されるポリグリセロールエステルを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の消毒用組成物。
【請求項14】
前記ポリグリセリル脂肪酸エステルが、1つまたは複数のラウリン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10;モノステアリン酸ポリグリセリル-3;ジステアリン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-10;オレイン酸ポリグリセリル-10;ジパルミチン酸ポリグリセリル-10、またはカプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-10を含む、請求項13に記載の消毒用組成物。
【請求項15】
消毒溶液中の殺生物剤の効力を増加させる方法であって、殺生物剤を準備するステップと、有効量のポリグリセロールエステルを前記殺生物剤に添加するステップとを含み、前記ポリグリセロールエステルを伴わない等量の殺生物剤と比較して、前記殺生物剤の効力を増加させる、方法。
【請求項16】
硬質表面用クリーナー、手および皮膚用除菌剤、手および皮膚用クリーナー、器具用の事前消毒クリーナー、無菌化および高レベルの消毒剤組成物、または軟質表面用消毒薬、例えば洗濯用洗剤または布および室内装飾品用の洗浄剤などの、請求項1から14のいずれか一項に記載の殺生物剤を含む、最終使用配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[002]本開示は、単一の殺生物製剤を有する組成物と比較して、殺生物特性が強化された殺生物性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[004]消毒剤は、生物体、特に微生物を死滅させ、破壊するか、またはその成長を阻害することができる任意の化学薬剤/組成物を指す。消毒剤製品は、硬質表面用クリーナー、手および皮膚用除菌剤、手および皮膚用クリーナー、器具用の事前消毒クリーナー、無菌化および高レベルの消毒剤組成物、ならびに軟質表面用消毒薬、例えば洗濯用洗剤、布および室内装飾品用の洗浄剤および消毒剤などを含む。
【0003】
[005]理想的には、消毒剤組成物は、全ての種類の微生物に対して、さまざまなpHレベルにおいて広域スペクトル活性を有する。消毒剤組成物はまた、費用を削減し、殺生物剤により引き起こされる可能性がある有害作用を回避または低減するために、最小量の殺生物剤が使用され得るような高い効力も持たなければならない。また、消毒剤組成物が、製造、包装、および輸送中と同様に保管中に、直面するあらゆる温度変化に対して安定であることが望ましい。さらに、理想的な消毒剤組成物は、消毒剤組成物が、さまざまな最終使用製品に好適に組み込まれ得るように、異なる用途系の原料と物理的および化学的に適合し、最終使用配合物中に存在する異なる成分と適合性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[006]消毒剤分野における近年の開発において、殺生物剤の効力を高めるため、および/または消毒剤配合物中の最小量の殺生物剤を使用しながら、所望の消毒特性を有する消毒剤組成物を有する消毒剤組成物に必要な殺生物剤の量を効果的に低減するために、消毒剤組成物中の殺生物剤と相乗的に相互作用する化合物を見出すための多大な努力がなされてきた。本開示は、消毒剤組成物中に存在する殺生物剤とポリグリセロールエステル化合物の相乗的な混合物を提供することにより、その必要性に対する答えを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[008]第1の実施形態では、(i)殺生物剤;および(ii)ポリグリセロールエステルを含有する消毒用組成物が提供される。ポリグリセロールエステルは、殺生物剤単独と比較して、殺生物剤の効力を十分に増加させる量で存在し、その増加量は、単独で用いられた殺生物剤およびポリグリセロールエステルの殺生物活性の相加効果より大きい。
【0006】
[009]別の実施形態では、ポリグリセロールエステルと殺生物剤との重量比が、0.00001~10.0の範囲、詳細には0.0001~2.0の範囲、より詳細には0.001~1.5の範囲、さらにより詳細には0.01~1.0の範囲である第1の実施形態による消毒用組成物が提供される。
【0007】
[010]さらなる実施形態では、消毒用組成物は、第四級アンモニウム化合物、第三級アミン、グアニド、ビグアニド、アルコール、フェノール化合物、有機酸、過酸化物、過酸、鉄キレート剤、ピリジン化合物、ヨウ素化合物またはこれらの混合物である殺生物剤を含有する。
【0008】
[011]さらに別の実施形態では、消毒用組成物において、殺生物剤は、N,N-ビス(3-アミノプロピル)ドデシル-1,3プロパンアミンなどの(C8~C16)アルキル第三級アミンである第三級アミンである。
【0009】
[012]またさらなる実施形態では、消毒用組成物は、第四級アンモニウム化合物である殺生物剤を含有する。第四級アンモニウム化合物は、アルキル第四級アンモニウム化合物、ベンジル第四級アンモニウム化合物などの化合物を含む。アルキル第四級アンモニウム化合物の例は、ジC8~18アルキルジメチルアンモニウム化合物またはベンジルC8~18アルキルジメチルアンモニウム化合物を含む。第四級アンモニウム化合物は、典型的には、ハロゲン化物イオン、炭酸イオン、重炭酸/炭酸イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオンまたはリン酸イオンである塩アニオンを有する。
【0010】
[013]本開示の別の態様では、消毒用組成物において、殺生物剤はグアニドである。グアニドは、ビグアニド、例えば、ポリヘキサメチレンモノグアニド、もしくはポリヘキサメチレンビグアニド、またはクロルヘキシジンを含む。
【0011】
[014]本発明の別の態様では、殺生物剤は酸であってもよい。
【0012】
[015]さらなる態様では、消毒用組成物は、パラ-クロロメタキシレノール、ピリジノール-1-オキシド(HPNO)、オクテニジン、またはポビドン-ヨードである殺生物剤を含有する。
【0013】
[016]別の実施形態では、消毒用組成物は、(a)平均値に基づき2~12個のグリセロール分子から構成されるポリグリセロール成分、および(b)カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、オレイン酸、またはデカオレイン酸を含む脂肪酸から誘導されるポリグリセロールエステルを含有する。特定のポリグリセリル脂肪酸エステルは、1つまたは複数のラウリン酸ポリグリセリル-10、デカオレイン酸ポリグリセリル-10;モノステアリン酸ポリグリセリル-3;ジステアリン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-10;オレイン酸ポリグリセリル-10;ジパルミチン酸ポリグリセリル-10、またはカプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-10を含む。
【0014】
[017]さらなる実施形態では、消毒溶液中の殺生物剤の効力を増加させる方法が提供される。該方法は、殺生物剤を準備するステップと、有効量のポリグリセロールエステルを殺生物剤に添加するステップとを含み、ポリグリセロールエステルを伴わない等量の殺生物剤と比較して、殺生物剤の効力を増加させる。
【0015】
[018]別の実施形態では、硬質表面用消毒組成物の効力を増加させる方法が提供される。該方法は、硬質表面用消毒組成物を提供するステップと、有効量のポリグリセロールエステルを硬質表面用消毒組成物に添加するステップとを含む。ポリグリセロールエステルの添加は、ポリグリセロールエステルを伴わない硬質表面用消毒組成物と比較して、硬質表面用消毒組成物の効力を増加させる。
【0016】
[019]別の実施形態では、軟質表面用消毒組成物の効力を増加させる方法が提供される。本方法は、軟質表面用消毒組成物を提供するステップと、有効量のポリグリセロールエステルを軟質表面用消毒組成物に添加するステップとを含む。ポリグリセロールエステルの添加は、ポリグリセロールエステルを伴わない軟質表面用消毒組成物と比較して、軟質表面用消毒組成物の効力を増加させる。
【0017】
[020]本発明のさらなる実施形態では、効果的な殺生物活性のために必要な殺生物剤最小量を低減する方法が提供される。本方法は、殺生物剤を提供するステップと、ある量のポリグリセロールエステルを殺生物剤に添加して、消毒用組成物を形成するステップとを含む。効果的な殺生物活性のために必要な殺生物剤の最小量は、ポリグリセロールエステルを有する消毒用組成物において、殺生物剤が単独で使用された組成物と比較して、より少ない。
【0018】
[021]これらおよび他の態様は、発明を実施するための形態を読むと明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[023]本議論は、例示的な実施形態の記載のみであり、本開示のより広範な態様を制限することを意図するものではないことを当業者は理解されたい。
【0020】
[024]一般に、本開示は、消毒剤組成物に関する。本明細書で使用される場合、用語「消毒剤」は、表面で生存している微生物を破壊するために、表面に適用されることが意図される殺生物性組成物を意味する。本開示の消毒剤組成物は、多くの使用および用途を有する。消毒剤は、表面が、微生物を本質的に含まないことを必要とする任意の好適な産業または分野において使用され得る。例えば、消毒剤は、施設用製品、家庭用製品、または健康管理製品を含み得る。消毒剤は、例えば、硬質表面用消毒剤、手用除菌剤、無菌化または高レベルの消毒剤組成物、器具用の事前消毒クリーナー、軟質表面用消毒薬、例えば洗濯用洗剤中の消毒剤原料、室内装飾および布用のクリーナー/消毒剤などを含み得る。1つの特定の使用において、消毒剤は、食品および飲料の分野で、カウンター、食卓テーブル、食品容器などの食品接触表面の洗浄用に使用され得る。一般に、食品接触が承認された消毒剤は、相対的に低量の殺生物剤を有する。
【0021】
[025]驚いたことに、ある量のポリグリセロールエステルを、消毒剤組成物における使用のための殺生物剤に添加することが、殺生物剤とポリグリセロールエステルとの間に相乗的な相互作用を有する、効果的な消毒剤組成物を提供し得ることが見出された。本明細書で使用される場合、「相乗的な相互作用」は、殺生物剤が、ポリグリセロールエステルと組み合わせられた場合、殺生物製剤単独、またはポリグリセロールエステル単独の殺生物特性より大きい、総合的な効果を有するという事実を指す。言い換えれば、本開示の殺生物剤は、特定の微生物に対してそれぞれの存在において、同じ濃度における殺生物剤単独の抗菌活性またはポリグリセロールエステル単独の抗菌活性と比較して、より大きい抗菌活性を有するように、ポリグリセロールエステルと相乗的に作用する。相乗的効果に起因して、所望の効力を依然として生み出しながら、消毒用組成物中に存在する殺生物剤の量は低減され得る。この効果はまた、消毒剤組成物中の殺生物剤の増強性としても公知である。殺生物剤のこの増強性はまた、本明細書で、殺生物剤とポリグリセロールエステルとの間で、殺生物剤の効力を高める「相乗的効果」とも呼ばれる。
【0022】
[026]一実施形態では、殺生物剤は、第四級アンモニウム化合物を含み得る。第四級アンモニウム化合物は、例えば、アルキル第四級アンモニウム化合物またはベンジルアンモニウム化合物を含み得る。第四級アンモニウム化合物はまた、「クアット(Quat)」としても公知であり、典型的には、適切なアニオンと共に少なくとも1つの第4級アンモニウムカチオンを含む。クアットは、一般に、一般式I:
【0023】
【化1】
【0024】
を有する。
【0025】
[027]R、R、RおよびRの基は広い範囲内で変わり得て、抗菌特性を有する第四級アンモニウム化合物の例は、当業者に周知である。典型的には、R、R、RおよびRのうちの2つは低級アルキルであり、メチル、エチル、プロピルまたはブチル基などの、1~4個の炭素原子を有することを意味する。加えて、R、R、RおよびRのうちの2つは、6~24個の炭素原子のより長鎖のアルキル基であり、それは直鎖もしくは分岐であってもよく、またはベンジル基であってもよい。Mは、無機酸または有機酸の1価のアニオンまたは1当量の多価アニオンである。Mに好適なアニオンは、原則として、全ての無機または有機のアニオンであり、詳細には、ハロゲン化物イオン、例えば塩素イオンもしくは臭素イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、重炭酸/炭酸イオン、またはこれらの混合物である。一実施形態では、第四級アンモニウム化合物は、以下のR基を有してもよい:Rは、ベンジルまたはC6~18-アルキルであり、Rは、C1~18-アルキルまたは-[(CH-O]であり、式中、n=1~20、RおよびRは、互いに独立してC1~4-アルキルであり、Rは、水素または非置換もしくは置換されたフェニルであり、Mは、無機酸または有機酸の1価のアニオンまたは1当量の多価アニオンである。
【0026】
[028]一実施形態では、第四級アンモニウム化合物は、ジメチルジアルキルアンモニウム化合物などのジアルキルアンモニウム化合物を含み得る。一実施形態では、ジメチルジアルキルアンモニウム化合物は、それぞれのアルキル基において、約8~約12個の炭素原子、例えば約8~約10個の炭素原子などを有し得る。
【0027】
[029]第1の殺生物製剤として使用され得るジメチルジアルキルアンモニウム化合物の例は、ジメチルジオクチルアンモニウムクロリドなどのジメチルジオクチルアンモニウム化合物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリドなどのジメチルジデシルアンモニウム化合物などを含む。ジメチルジアルキルアンモニウム化合物の混合物もまた使用されてもよく、上述のものなどの他のアニオンもまた使用されてもよい。市販のジメチルジアルキルアンモニウム化合物は、例えば、Lonza America社により、BARDAC(商標)の商標名で市場販売されている組成物を含む。
【0028】
[030]代替の実施形態では、第1の殺生物製剤は、アルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物などのベンジルアンモニウム化合物を含み得る。一般に、アルキル基は、約10~約18個の炭素原子、例えば約12~約16個の炭素原子などを含有し得る。
【0029】
[031]第1の殺生物製剤として使用可能なアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物の例は、C12アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、C14アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、およびC16アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドを含む。加えて、これらのアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物の混合物が使用され得る。市販のアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物は、例えば、Lonza America社により、BARQUAT(登録商標)の商標名で市場販売されている組成物を含む。これらの市販のアルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物は、C12、C14、およびC16のアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドのブレンドである。一般に、アルキルジメチルベンジルアンモニウム化合物は、ブレンドされる場合、C16アルキル成分より高濃度のC12アルキルおよびC14アルキルの成分を含有することが好ましい。上述のものを含む他のアニオンもまた使用されてもよいことに留意されたい。
【0030】
[032]また別の実施形態では、第四級アンモニウムは、第四級アンモニウムプロピオネートを含み得る。第四級アンモニウムプロピオネートは、例えば、ポリ(オキシアルキル)アンモニウムプロピオネートを含み得る。特定の一実施形態では、例えば、第1の殺生物製剤は、N,N-ジデシル-N-メチル-ポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオネートを含み得る。
【0031】
[033]1つの特定の第四級アンモニウム化合物は、第四級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重炭酸塩を含んだ。炭酸第四級アンモニウムは、以下の式:
【0032】
【化2】
【0033】
(式中、Rは、C~C20アルキルまたはアリール置換されたアルキル基であり、Rは、C~C20アルキル基であり、好ましくはRはRと同じであり、Rは、C~C12アルキル基である)により表され得、同様に組成物は、対応する重炭酸第四級アンモニウム
【0034】
【化3】
【0035】
(式中、Rは、上記と同じもしくは異なるC~C20アルキルまたはアリール置換されたアルキル基であり、Rは、上記と同じまたは異なるC~C20アルキル基であるが、好ましくはRはRと同じであり、Rは、C~C12アルキル基である)をさらに含む。
【0036】
[034]一実施形態では、組成物中に含有される第1の殺生物製剤は、炭酸/重炭酸ジC~C12アルキルアンモニウムを含む。例えば、特定の一実施形態では、抗菌性または防腐性の組成物は、炭酸ジデシルジメチルアンモニウムおよび重炭酸ジデシルジメチルアンモニウムを含有する。
【0037】
[035]他の実施形態では、しかしながら、第四級アンモニウムカチオンの炭酸塩/重炭酸塩は、炭酸ジオクチルジメチルアンモニウム、炭酸デシルオクチルジメチルアンモニウム、炭酸ベンザルコニウム、炭酸ベンゼトニウム、炭酸ステアラルコニウム、炭酸セトリモニウム、炭酸ベヘントリモニウム、重炭酸ジオクチルジメチルアンモニウム、重炭酸デシルオクチルジメチルアンモニウム、重炭酸ベンザルコニウム、重炭酸ベンゼトニウム、重炭酸ステアラルコニウム、重炭酸セトリモニウム、重炭酸ベヘントリモニウム、および1つまたは複数のこのような炭酸塩の混合物から選択され得る。
【0038】
[036]上に列記した第四級アンモニウム化合物に加えて、他の化合物ならびに、オリゴマーおよびポリマー材料は、1つまたは複数の第四級アンモニウム基を有し、また殺生物剤として使用され得る。1つのそのような例は、連結基により連結された2つの第四級アンモニウム基を有するジ-第四級アンモニウム化合物としても公知の「ジェミニ」クアットである。ジェミニクアットの例は、例えば、一般式:
【0039】
【化4】
【0040】
の第四級アンモニウム化合物を含む。R、R、R、R、R、RおよびRは広い範囲内で変動することができ、抗菌特性を有する第四級アンモニウム化合物の例は、当業者に周知である。典型的には、R、R、Rのうちの2つ、ならびにR、RおよびRのうちの2つは低級アルキルであり、メチル、エチル、プロピルまたはブチル基などの、1~4個の炭素原子を有することを意味する。加えて、R、R、Rのうちの少なくとも1つ、ならびにR、RおよびRのうちの少なくとも1つは、6~24個の炭素原子のより長鎖のアルキル基、またはベンジル基である。Xは、無機酸または有機酸の1価のアニオンまたは1当量の多価アニオンである。XまたはMに好適なアニオンは、原則として、全ての無機または有機のアニオンであり、詳細には、ハロゲン化物イオン、例えば塩素イオンもしくは臭素イオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、重炭酸/炭酸イオン、またはこれらの混合物である。ジェミニクアットの例は、ビス(2-N,N-ジメチル-N-アルキルアンモニウムエチルエーテル)ジクロリドである。
【0041】
[037]別の実施形態では、殺生物剤は、アミンを含み得る。アミンは、例えば、細菌、特にグラム陰性菌の成長を制御する場合、炭酸第四級アンモニウムと相乗的な相互作用を有することが見出された。好適なアミンは、(C8~C14)アルキルアミンなどの第三級アミンを含むが、これらに限定されない。用語「(C8~C14)アルキルアミン」は、(C1~C14)アルキル基を含有する全てのアミンを包含する。1つの(C8~C14)アルキルアミンは、N,N-ビス(3-アミノプロピル)ドデシルアミンであり、Lonza社からLonzabac(登録商標)12.30および12.100として入手可能である。
【0042】
[038]他の例示的な第三級アミンは、例えば、N-(3-アミノプロピル)-N-ドデシル-1,3プロパン-ジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-デシル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-テトラデシル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-オクチル-1,3-プロパンジアミン、N-(3-アミノプロピル)-N-ヘキサデシル-1,3-プロパンジアミン;同様にこれらの酸付加化合物を含む。他の同様の第三級アミンが使用されてもよい。
【0043】
[039]一実施形態では、殺生物剤は、グアニジン、詳細にはビグアニドおよび/またはその置換生成物、塩、類似体、誘導体、および/またはこれらの組合せを含み得る。ビグアニドは、他の形態で存在することが公知であるが、一般的に以下の式
【0044】
【化5】
【0045】
(式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたフェニル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチレングリコールおよびテトラエチレングリコールから選択されるか、またはR、R、RおよびRのうちの1つは
【0046】
【化6】
【0047】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたフェニル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチレングリコールおよびテトラエチレングリコールから選択される)であってもよい)で表される。アルキルおよびフェニル基の置換基は、ハロ、例えばクロロ、ブロモ、フルオロまたはヨード、ヒドロキシおよびアミノを含むが、これらに限定されない。アルキル基は、1~6個の炭素を有してもよく、飽和または不飽和、直鎖または分岐であってもよい。
【0048】
[040]一実施形態では、殺生物剤は、ポリマービグアニド、あるいはポリビグアニドとして公知のもの、またはその塩、類似体、もしくは誘導体を含み得る。一実施形態では、ポリビグアニドは、コポリマーまたはヘテロポリマーであってもよい。ポリビグアニドは、直鎖、分岐、環状、および/またはデンドリマーであってもよい。ポリマー繰り返し単位の数は、2~1,000、例えば5~750など、10~500など、25~250など、50~100などの繰り返し単位で変化し得る。特定の一実施形態では、ポリビグアニドは、ポリヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ポリヘキサメチレンモノグアニド(PHMG)、ポリエチレンビグアニド(PEB)、ポリテトラメチレンビグアニド(PTMB)、ポリエチレンヘキサメチレンビグアニド(PHMB)、ポリメチレンビグアニド(PMBs)、ポリ(アリルビグアニドニオ-co-アリルアミン、ポリ(N-ビニル-ビグアニド)、ポリアリルビグアニドなどを含み得る。
【0049】
[041]例えば、特定の一実施形態では、殺生物剤は、ポリヘキサメチレンビグアニドなどのポリアルキレンビグアニドを含み得る。一実施形態では、殺生物剤は、ポリアミノプロピルビグアニド(PABP)としても公知のポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩(PHMB)を含み得る。PHMBは、グアニジン(図示せず)を含むさまざまな末端基を有するポリマービグアニドの複合混合物として存在することが公知であるが、一般的に以下の式
【0050】
【化7】
【0051】
により表される。
n値は、ビグアニドポリマーの繰り返し単位の数を表す。
【0052】
[042]より詳細には、PHMBは、末端基、例えば、アミン、シアノグアニジノ、およびグアニジンの異なる組合せを含み得るさまざまなビグアニドポリマーの混合物であり得る。これらの3つの末端基にのみ基づいて、少なくとも6つの可能なビグアニドポリマーが存在し得る。PHMB-AAと称される、2つの末端アミン基を有する1つのビグアニドポリマー、PHMB-CGCGと称される、2つの末端シアノグアニジノ基を有するもの、およびPHMB-GGと称される、2つの末端グアニジン基を有するもの(以下を参照のこと)が存在し得る。2つの異なる末端基の組合せを有する、3つの可能なビグアニドポリマーもまた存在する。さらに、上述の末端基に基づいて、それらはアミン-シアノグアニジノ(PHMB-ACG)、アミン-グアニジノ(PHMB-AG)およびグアニジン-シアノグアニジノ(GCG)を含む。したがって、PHMBの試料は、言及した3つの末端基を有するポリマービグアニドの混合物を含み得る。その上、いくつかの組成物は、鎖状のポリマーグアニド(図示せず)を含み得る。添え字「n」は、繰り返し基の平均数を表し、ポリマー長の分布は、以下に示すそれぞれのポリマー:
【0053】
【化8】
【0054】
(式中、nは、約1~約50、例えば約1~約20などであり得る)に関して存在する。
【0055】
[043]ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩などのポリヘキサメチレンビグアニドは、広い抗菌範囲を有し、速効性である。さらに、抗菌剤は、広いpH範囲にわたり安定である。
【0056】
[044]一実施形態では、殺生物剤は、ビス-ビグアニドを含み得る。ビス-ビグアニドは、他の形態で存在することが公知であるが、一般的に以下の式:
【0057】
【化9】
【0058】
(式中、AおよびAは、それぞれ、(1)任意選択で、1~約4個の炭素原子を含有するアルキルもしくはアルコキシ基、ニトロ基、またはハロゲン原子により置換されたフェニル基;(2)1~約12個の炭素原子を含有するアルキル基;または(3)4~約12個の炭素原子を含有する脂環式基のいずれかを表し;XおよびXは、それぞれ、1~3個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し;ZおよびZは、それぞれ、0または1のいずれかであり得て;RおよびRは、それぞれ、水素、もしくは1~約12個の炭素原子を含有するアルキル基、または7~約12個の炭素原子を含有するアラルキル基のいずれかを表し;nは、2~12を含めた整数であり;鎖(CHは、任意選択で、酸素またはイオウ原子、芳香核などにより中断されるか、またはハロゲン化物、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、もしくはアセチル基、芳香核などで置換されてもよい)で表される。一実施形態では、鎖(CHは、任意選択で、二価の架橋基により置き換えられてもよく、二価の架橋基は、酸素またはイオウ原子、芳香核などで置換されるかまたは中断され得る、アルキレン、脂環式基、環状核、芳香核などから選択され得るが、これらに限定されない。例示的なビス-ビグアニド化合物は、クロルヘキシジン、アレキシジン、トリフルオロメチルフェニルビス-ビグアニド、これらの類似体、誘導体、および/または塩を含むが、これらに限定されない。
【0059】
[045]特定の一実施形態では、殺生物剤は、クロルヘキシジンまたはその誘導体もしくは塩を含み得る。クロルヘキシジンは、一般的に、以下の式
【0060】
【化10】
【0061】
で表される。
【0062】
[046]一実施形態では、殺生物剤は、クロルヘキシジン塩を含み得る。例えば、殺生物剤は、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン塩、または酢酸クロルヘキシジンを含み得る。
【0063】
[047]一実施形態では、殺生物剤は、ビグアニド塩を含み得る。例えば、一実施形態では、殺生物剤は、ビグアニド、ポリビグアニド、ビスビグアニド、これらの誘導体、および/または類似体の無機塩または有機塩を含み得る。特定の一実施形態では、殺生物剤は、ビグアニド、ポリビグアニド、および/またはハロゲン化ビス-ビグアニドを含み得て;塩化物、臭化物およびヨウ化物を含み;塩酸塩;硫酸塩;グルコン酸塩;酢酸塩;シュウ酸塩;コハク酸塩;酒石酸塩;亜リン酸塩;リン酸塩;ホスホン酸塩;亜硝酸塩;硝酸塩;炭酸塩;硫酸塩;スルホン酸塩;スルホン酸アルキル;スルホン酸フェニル;アミノカルボン酸塩;カルボン酸塩;ヒドロキシカルボン酸塩;有機リン酸塩;有機ホスホン酸塩;有機スルホン酸塩;有機硫酸塩など、およびこれらの組合せを含む。
【0064】
[048]別の実施形態では、殺生物剤は、ビグアニドの金属錯体を含み得る。一実施形態では、例えば、殺生物剤は、鉄、亜鉛、ニッケル、クロム、カドミウム、ルテニウム、イリジウム、メンデレビウム、銀、オスミウム、シリコーン、白金、マンガン、コバルト、銅、ホウ素、テクネチウム、レニウム、パラジウム、バナジルなど、およびこれらの組合せと錯体化されたビグアニド、これらの誘導体、および/または類似体を含む群から選択され得るが、これらに限定されない。
【0065】
[049]一実施形態では、殺生物剤は、ジメトキシフェニルビグアニド、アリールビグアニド、N-アリール化ビグアニド、N-アルキル化ビグアニド、Ν,Ν-二置換ビグアニド、ジメチル-ビグアニド(メトホルミン)、N-(4-クロロフェニル)-N’-(イソプロピル)-イミドジカルボンイミド酸ジアミド(プログアニル)、1-[アミノ-(3,4-ジクロロアニリノ)メチリデン]-2-プロパン-2-イルグアニジン(クロル-プログアニル)、1-ブチルビグアニド(ブホルミン)、フェネチルビグアニド(フェンホルミン)、ピリメタミン、フェナントリジンビグアニド、アリールメチルビグアニド、およびクロロフェニルビグアニドなどを含む群から選択されるビグアニドを含み得る。
【0066】
[050]本開示で使用可能な別の殺生物剤は、フェノール化合物を含む。1つの特定のフェノール化合物は、パラクロロメタキシレノール(「PCMX」)である。PCMXは、グラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方に対して効果的である。PCMXは、クロロキシレノール;4-クロロ-3,5キシレノール;4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール;2-クロロ-m-キシレノール;2-クロロ-5-ヒドロキシ-m-キシレン;2-クロロ-5-ヒドロキシ-m-キシレン;2-クロロ-5-ヒドロキシ-1,3-ジメチルベンゼン;4-クロロ-1-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンゼン;および3,5-ジメチル-4-クロロフェノールを含む他の名称で呼ばれることもある。典型的な量は、消毒剤組成物の約3重量%までである。
【0067】
[051]本開示で使用可能な別の殺生物剤は、アルコール化合物を含む。アルコールは、典型的には、一官能性低分子アルコール、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノールもしくはブタノールなどの1~4個の炭素原子を有するアルカノール、またはこれらの組合せから選択される。特に好適なアルコールは、エタノールおよびイソプロピルアルコールを含む。
【0068】
[052]殺生物剤はまた、有機酸化合物であってもよい。有機酸は、少なくとも1つのモノカルボン酸またはポリカルボン酸の有機酸であってもよい。そのようなものは、飽和または不飽和であっても、水に可溶性である任意のモノカルボン酸、またはポリカルボン酸であってもよい。有機酸構成要素は、式:R-COOHを有する化合物であり得て、式中、Rは、水素、低級アルキル;置換された低級アルキル;ヒドロキシ低級アルキル;カルボキシ低級アルキル;カルボキシ、ヒドロキシ低級アルキル;カルボキシ、ハロ低級アルキル;カルボキシ、ジヒドロキシ低級アルキル;ジカルボキシ、ヒドロキシ低級アルキル;カルボキシ低級アルケニル;ジカルボキシ低級アルケニル;フェニル;置換フェニルであり、置換された低級アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、チオール、ニトロ、およびシアノからなる1つまたは複数の基により置換される。そのような酸の代表的な例は、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、乳酸、アスコルビン酸、サリチル酸などのモノカルボン酸;フマル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、イタコン酸、酒石酸などのジカルボン酸;クエン酸などのトリカルボン酸であり;前記酸は、単一でまたはこれらの混合物として使用されてもよい。
【0069】
[053]本開示で使用可能な別の殺生物剤は、過酸化物化合物を含む。例示的な過酸化物は、例えば、本発明で使用される過酸化水素源を含み、過酸化水素水溶液、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウムおよび過ホウ酸カリウム、過酸化水素尿素、同様にこれらの水和物、ならびにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。一実施形態では、過酸化水素源は、水に溶解された約0.5重量%~約50重量%の過酸化水素を含有する水溶液である。別の実施形態では、過酸化水素源は、過炭酸ナトリウムの固体配合物であってもよい。
【0070】
[054]過酸化水素系消毒剤に加えて、過酸系消毒剤が使用されてもよい。本明細書で使用される場合、用語「過酸」または「ペルオキシ酸」は、ヒドロキシル基の水素が、ヒドロキシ基により置き換えられた酸を指す。酸化過酸は、本明細書でペルオキシカルボン酸と呼ばれる。従来のペルオキシカルボン酸組成物は、酸触媒平衡反応を通して形成される。しかし、酸触媒平衡反応は、一般的に、ペルオキシカルボン酸を生成するために使用されるものである。ペルオキシカルボン酸(またはペルカルボン酸)は、一般に式R(CO3H)nを有し、式中、例えば、Rは、アルキル、アリールアルキル、シクロアルキル、芳香族、またはヘテロシクリル基であり、nは、1、2、または3であり、親酸の前にペルオキシをつけることにより命名される。R基は、飽和または不飽和、同様に置換または非置換であり得る。
【0071】
[055]消毒用剤のさらなる例は、鉄キレート剤、ビスピリジン化合物およびヨウ素化合物を含む。例示的な鉄キレート剤は、ピリチオン化合物などの化合物およびピロクトンオラミンなどの化合物またはヒドロキシルピリジン化合物およびこれらの塩を含む。ピリチオンは、2メルカプトピリジン-N-オキシド;2-ピリジンチオール-1-オキシド(CAS登録番号1 121-31-9)を含むいくつかの名称で公知である。他の鉄キレート剤は、例えば、1-ヒドロキシピリジン-2-チオンおよび1ヒドロキシ-2(1H)-ピリジンチオン(CAS登録番号 1 121-30-8);2-ピリジノール-1-オキシド(HPNO)およびN-ヒドロキシ-6-オクチルオキシピリジン2(1H)-オンおよび-ヒドロキシ-6-オクチルオキシピリジン2(1H)-オンエタノールアミン塩を含む。ピリチオン塩は、OMADINEナトリウム(登録商標)またはOMADINE亜鉛(登録商標)など、例えば、2-ピリジノール-1-オキシド(HPNO)のようなピリジノール化合物がLonza社から市販されている。ビスピリジン化合物は、オクテニジンなどの化合物を含む。ヨウ素化合物は、ポビドン-ヨードなどの化合物を含む。
【0072】
[056]加えて、殺生物剤は、単一の殺生物剤、単一種の殺生物剤からの2種以上の殺生物剤の混合物であってもよく、または異なる種類の殺生物剤の2種以上の混合物であってもよい。例えば、殺生物剤は、異なる第四級アンモニウム化合物の混合物、第四級アンモニウム化合物とアミンの混合物、第四級アンモニウム化合物とビグアニドの混合物、および他の同様の混合物であってもよい。
【0073】
[057]一実施形態では、本開示で使用可能なポリグリセロールエステルは、飽和、不飽和、天然または合成の脂肪酸などから形成され得る。例えば、飽和脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、これらの組合せ、これらの誘導体などを含む。さらに、ポリグリセロールエステルは、(a)平均値に基づき2~12個のグリセロール分子から構成されるポリグリセロール成分、および(b)カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、オレイン酸、デカオレイン酸、これらの混合物などからなる群から選択される脂肪酸から誘導される。
【0074】
[058]本開示で使用可能なポリグリセロールエステルの例は、モノデカオレイン酸ポリグリセリル、例えばデカオレイン酸ポリグリセリル-10;モノオレイン酸ポリグリセリル、例えばモノオレイン酸ポリグリセリル-2、モノオレイン酸ポリグリセリル-3、モノオレイン酸ポリグリセリル-4、モノオレイン酸ポリグリセリル-6、またはモノオレイン酸ポリグリセリル-10;ジオレイン酸ポリグリセリル、例えばジオレイン酸ポリグリセリル-2、ジオレイン酸ポリグリセリル-3、ジオレイン酸ポリグリセリル-5、ジオレイン酸ポリグリセリル-6またはジオレイン酸ポリグリセリル-10;トリオレイン酸ポリグリセリル、例えばトリオレイン酸ポリグリセリル-5またはトリオレイン酸ポリグリセリル-10;テトラオレイン酸ポリグリセリル、例えばテトラオレイン酸ポリグリセリル-2、テトラオレイン酸ポリグリセリル-6、またはテトラオレイン酸ポリグリセリル-10;ペンタオレイン酸ポリグリセリル、例えばペンタオレイン酸ポリグリセリル-4、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-6、またはペンタオレイン酸ポリグリセリル-10;ヘプタオレイン酸ポリグリセリル、例えばヘプタオレイン酸ポリグリセリル-6、ヘプタオレイン酸ポリグリセリル-10;モノステアリン酸ポリグリセリル、例えばモノステアリン酸ポリグリセリル-2、モノステアリン酸ポリグリセリル-3、モノステアリン酸ポリグリセリル-4、モノステアリン酸ポリグリセリル-5、モノステアリン酸ポリグリセリル-6またはモノステアリン酸ポリグリセリル-10;ジステアリン酸ポリグリセリル、例えばジステアリン酸ポリグリセリル-2、ジステアリン酸ポリグリセリル-3、ジステアリン酸ポリグリセリル-4、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、またはジステアリン酸ポリグリセリル-10;トリステアリン酸ポリグリセリル、例えばトリステアリン酸ポリグリセリル-4、トリステアリン酸ポリグリセリル-5、トリステアリン酸ポリグリセリル-6、またはトリステアリン酸ポリグリセリル-10;テトラステアリン酸ポリグリセリル、例えばテトラステアリン酸ポリグリセリル-2;ペンタステアリン酸ポリグリセリル、例えばペンタステアリン酸ポリグリセリル-4、ペンタステアリン酸ポリグリセリル-6、またはペンタステアリン酸ポリグリセリル-10;ヘプタステアリン酸ポリグリセリル、例えばヘプタステアリン酸ポリグリセリル-10;イソステアリン酸ポリグリセリル、例えばイソステアリン酸ポリグリセリル-2、イソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、またはイソステアリン酸ポリグリセリル-10;ジイソステアリン酸ポリグリセリル、例えばジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-4、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-6、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-10、またはジイソステアリン酸ポリグリセリル-15;トリイソステアリン酸ポリグリセリル、例えばトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-3、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-5、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-10;テトライソステアリン酸ポリグリセリル、例えばテトライソステアリン酸ポリグリセリル-2;カプリル酸ポリグリセリル、例えばカプリル酸ポリグリセリル-2、カプリル酸ポリグリセリル-3、カプリル酸ポリグリセリル-4、カプリル酸ポリグリセリル-6、またはカプリル酸ポリグリセリル-10;ジカプリル酸ポリグリセリル、例えばジカプリル酸ポリグリセリル-5;セスキカプリル酸ポリグリセリル、例えばセスキカプリル酸ポリグリセリル-2;オクタカプリル酸ポリグリセリル、例えばオクタカプリル酸ポリグリセリル-6;カプリン酸ポリグリセリル、例えばカプリン酸ポリグリセリル-2、カプリン酸ポリグリセリル-3、カプリン酸ポリグリセリル-4、カプリン酸ポリグリセリル-5、カプリン酸ポリグリセリル-6、カプリン酸ポリグリセリル-10、ジカプリン酸ポリグリセリル、例えばジカプリン酸ポリグリセリル-3またはジカプリン酸ポリグリセリル-6;カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル、例えばカプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-4、カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-6、またはカプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-10;パルミチン酸ポリグリセリル、例えばパルミチン酸ポリグリセリル-2、パルミチン酸ポリグリセリル-3、パルミチン酸ポリグリセリル-6またはパルミチン酸ポリグリセリル-10;ジパルミチン酸ポリグリセリル、例えばジパルミチン酸ポリグリセリル-6またはジパルミチン酸ポリグリセリル-10;テトラベヘン酸ポリグリセリル、例えばテトラベヘン酸ポリグリセリル-6;ミリスチン酸ポリグリセリル、例えばミリスチン酸ポリグリセリル-6またはミリスチン酸ポリグリセリル-10;リンシノレイン酸ポリグリセリル、例えばポリリンシノレイン酸ポリグリセリル-6またはリンシノレイン酸ポリグリセリル-10;またはこれらの混合物、他の複合体もしくはその誘導体などを含むが、これらに限定されない。
【0075】
[059]好適には、ポリグリセロールエステルは、1つまたは複数のデカオレイン酸ポリグリセリル-10、モノステアリン酸ポリグリセリル-3、ジステアリン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、ジパルミチン酸ポリグリセリル-10、カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-10;およびこれらの混合物であり得る。一態様では、ポリグリセロールエステルは、カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-10である。
【0076】
[060]本開示では、ポリグリセロールエステル(PGE)と殺生物剤(BA)との重量比は、典型的には、約0.00001~約10.0(PGE/BA)の範囲である。本明細書で使用される場合、「重量比」は、ポリグリセロールエステルの量を、殺生物剤の量で除算することにより算出される(例えば、重量比10は、10PGE:1BAと同じである)。より典型的には、ポリグリセロールエステル(PGE)と殺生物剤(BA)との重量比は、典型的には、約0.0001~約2.0の範囲、より典型的には0.001~1.5およびさらにより詳細には0.01~1.0の範囲である。PGEとBAとの重量比は、最小値と最大値の間の任意の量であってもよい。例えば、該比は、0.00001~2.0;0.0001~1.5;0.00001~1;0.00001~0.5;0.0001~10;0.0001~1.5;0.0001~1;0.0001~0.5;0.001~10;0.001~1.5;0.001~1;0.001~0.5;0.01~10;0.01~1.5;0.01~1;0.01~0.5の間であってもよい。
【0077】
[061]本開示の消毒剤組成物で使用される殺生物剤の量は、殺生物剤に応じて変動する量で使用される。例えば、クアット、ビグアニドおよびアミンは、典型的には、最終使用配合物中で5重量%未満の量で使用される。「最終使用配合物」により、消毒剤として使用される場合の配合物を意図する。アルコールなどの他の殺生物剤は、意図される最終使用配合物に応じて、最終使用配合物中に50重量%以上までの量で存在し得る。実際の殺生物剤に応じて、特定の薬剤の最大量は、国ごとに、かつ地域ごとに異なる規制により管理される。
【0078】
[062]殺生物剤が、第四級アンモニウム化合物、アミン、ビグアニドまたはこれらの混合物である場合、最終使用配合物は、一般に約10ppm(百万分率)~約10000ppmの合計含有量の殺生物剤を含有する。例えば、殺生物剤は、典型的には、最終使用配合物中に、約50ppm~5000ppmの量で、より典型的には、100ppm~3000ppmの量で存在する。
【0079】
[063]代替の実施形態では、消毒剤は、消毒剤濃縮物の形態であってもよい。「消毒剤濃縮物」により、使用前に溶媒で希釈され得る組成物が意味される。消毒剤濃縮物中では、殺生物剤の量は、典型的な最終使用量より多い。スペースおよび輸送費用を削減するために、消毒剤は、典型的には、消毒剤濃縮物として提供される。消毒剤濃縮物の希釈は、典型的には、使用前に水性溶媒を用いる。使用され得る1つの特定の水性溶媒は、水である。希釈は、濃縮物をその意図される使用のための活性成分の所望レベルまで希釈するために、任意の量の溶媒が必要とされ得る。設定量の濃縮物が、特定量の溶媒に添加されるのが典型的である。例えば、28.35g(1オンス)の濃縮物が、0.47L(1パイント)の溶媒に添加され得て、1:16の希釈率に;28.35g(1オンス)の濃縮物が、0.95L(1クォート)の溶媒に添加され得て、1:32の希釈率に、28.35g(1オンス)の濃縮物が、1.89L(1/2ガロン)の溶媒に添加され得て、1:64の希釈率に;28.35g(1オンス)の濃縮物が、3.78L(1ガロン)の水に添加され得て、1:128の希釈率になるなどである。同様にメートル法希釈率もまた使用され得て、例えば1リットル当たり10mlで1:100の希釈率などである。
【0080】
[064]消毒剤製品に含有される場合、殺生物剤およびポリグリセロールエステルは、さまざまな異なる成分と組み合わせられてもよい。例えば、一実施形態では、溶媒が製品中に存在し得る。一般に、溶媒は、水などの極性溶媒、またはアルコールおよび/もしくはグリコールエーテルなどの水混和性溶媒である。水に加えて、抗菌性組成物はさらに水混和性の有機溶媒を含み得る。水混和性溶媒の例は、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテルおよびこれらの組合せを含む。
【0081】
[065]溶媒に加えて、消毒剤製品は、界面活性剤を含有し得る。典型的には、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤である。界面活性剤は、消毒剤濃縮物の約1重量%~約20重量%の量で存在する。典型的には、界面活性剤は、濃縮物の2重量%~15重量%である。
【0082】
[066]特に好適な界面活性剤は、アルコキシル化アルコール界面活性剤であり、一般に約2~約8モルのアルコキシル化を有する。典型的には、3~6モルのアルコキシル化がある。1つの特定の例は、約4.5モルのアルコキシル化である。アルコキシル化度を有することに加えて、アルコキシレートであるアルコールは、C4~C12アルキルアルコールである。一実施形態では、アルキルアルコールは、C8~C10アルキルアルコールである。アルコキシル化は、エトキシル化であってもよい。一般に、8~14の範囲のHLB(親水親油バランス)、より一般的には10~12、例えば約11のHLBを有することが望ましい。
【0083】
[067]本発明で使用され得る非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル、グルコシドアルキルエーテル、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、グリセロールアルキルエステル、ラウリン酸グリセリル、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ドデシルジメチルアミンオキシド、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ポロキサマーおよびポリエトキシル化タロウアミン(POEA)、ならびにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。濃縮物中の非イオン性界面活性剤の量は、配合物の約1~約8%の重量%である。典型的には、濃縮物は、2~5重量%の非イオン性界面活性剤を含有する。即時使用可能な製品中の非イオン性界面活性剤の量は、溶液の約0.05~約3重量%である。別の実施形態では、製品中の非イオン性界面活性剤は、溶液の約0.05~約1.5重量%である。典型的には、消毒剤製品は、0.06~1重量%の非イオン性界面活性剤を含有する。
【0084】
[068]加えて、消毒剤製品は、任意選択の金属イオン封鎖剤(Sequestering agent)を含有し得る。金属イオン封鎖剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、EDTA四ナトリウムからなる群から選択される酢酸誘導体を含む。金属イオンを除去するNTAおよびEDTAの能力は、硬度(カルシウム)析出を防ぐことにより溶液を促進する。金属イオン封鎖剤はまた、組成物中の消毒用成分の有効性に悪影響を及ぼし得る他の金属イオンと結合することにも役立ち得る。加えて、金属イオン封鎖剤はまた、使用中に、汚れ除去および/または消毒用組成物への汚れの再付着を防ぐ補助ともなり得る。金属イオン封鎖剤は、濃縮物中に存在する場合、一般に、約20重量%までの量で存在し、典型的には、約2~約8重量%の量で存在する。
【0085】
[069]消毒剤製品はまた、pH調整剤も含有し得る。好適なpH調整剤は、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよび他の同様の化合物を含む。本発明では、濃縮物および最終消毒剤組成物は、約6~約13の範囲のpHを有する。一般に、消毒剤組成物は、pHが約6~約8の範囲である場合、中性の消毒用組成物と考えられる。消毒剤組成物は、pHが約8を超えて約12までの範囲である場合、アルカリ性の消毒用組成物と考えられる。
【0086】
[070]消毒剤組成物は、任意選択で、腐食防止剤、錯化剤、補助剤、防腐剤、芳香剤、着色剤などをさらに含有し得る。例示的な腐食防止剤は、例えば、有機リン化合物および有機リン化合物とポリマー成分のブレンドを含む。例示的な補助剤は、例えば、ポリエチレングリコールまたは他の同様の化合物を含む。着色剤および芳香剤は、組成物の機能を妨害せず、組成物を識別するのに役立ち得るという条件で、添加されてもよい。一般に、任意選択のさらなる原料は、組成物の約20重量%未満を構成する。
【0087】
[071]消毒剤組成物はまた、少なくとも1つの酸またはその塩を含み得る。酸は、無機酸または有機酸であってもよい。好ましい実施形態では、酸は、C1~C8カルボン酸である。特定の実施形態では、酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、またはこれらの混合物である。付加的な実施形態では、酸は、ヒドロキシル酸、芳香族酸、またはこれらの混合物である。別の付加的な実施形態では、酸は、メタンスルホン酸、リン酸、エチドロン酸、フィチン酸、ホスホ酢酸、N-(ホスホノメチル)イミノ二酢酸、ジエチレントリアミンペンタキス(メチルホスホン酸)、S,S-エチレンジアミン-N’N’-二コハク酸、これらのアルカリ塩、またはこれらの任意の混合物である。
【0088】
[072]一部の実施形態では、酸は、クエン酸、リン酸、コハク酸、乳酸、S,S-エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸、1-ヒドロキシエタン1,1-ジホスホン酸(HEDP)、ジピコリン酸(DPA)、メタンスルホン酸(MSA)、これらのアルカリ塩、またはこれらの任意の混合物である。
【0089】
[073]一実施形態では、酸は、酸の混合物である。一部の実施形態では、酸は、1つまたは複数の以下の有機酸:クエン酸、コハク酸、リン酸、および乳酸を含む。別の実施形態では、酸は、1つまたは複数の以下の酸:クエン酸、コハク酸、リン酸、および乳酸を、別の酸と組み合わせて含む。例えば、クエン酸は、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸もしくはそのアルカリ塩、HEDP、および/またはMSAと組み合わせて使用され得る。別の例として、コハク酸は、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸もしくはそのアルカリ塩、HEDP、および/またはMSAと組み合わせて使用され得る。別の例として、リン酸は、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸もしくはそのアルカリ塩、HEDP、および/またはMSAと組み合わせて使用され得る。別の例として、乳酸は、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸もしくはそのアルカリ塩、HEDP、および/またはMSAと組み合わせて使用され得る。
【0090】
[074]消毒剤組成物は、約1重量%~約5重量%の有機酸、例えばクエン酸、コハク酸、リン酸、乳酸、またはこれらの混合物などを、別の酸と組み合わせて含み得る。別の態様では、本組成物は、約1重量%~約5重量%の有機酸、例えばクエン酸、コハク酸、リン酸、乳酸、またはこれらの混合物などを、約0.05重量%~約5重量%の別の酸と組み合わせて含み得る。別の実施形態では、本組成物は、約2重量%~約4重量%の有機酸、例えばクエン酸、コハク酸、リン酸、乳酸、またはこれらの混合物などを、約0.1重量%~約4重量%の別の酸、例えばエチレンジアミン-N,N’-二コハク酸もしくはそのアルカリ塩、HEDP、および/またはMSAなどと組み合わせて含み得る。
【0091】
[075]消毒剤の用途
[076]さまざまな異なる消毒剤組成物が、本開示により製造され得る。消毒剤製品は、例えば、硬質表面を洗浄するため、器具を事前洗浄無菌化または高レベル消毒をするため、および/または手用除菌剤として使用され得る。一般に、殺生物剤は、任意の好適な消毒剤製品に組み込まれ得る。
【0092】
[077]硬質表面用クリーナーとして使用される場合、消毒剤組成物は、洗浄、除菌または消毒される表面に従来の手段により送達され得て、例えば、表面上に組成物を注ぐこと;噴霧;噴霧は、ポンプ式噴霧アプリケーター、加圧式噴霧アプリケーターなどを含むが、これらに限定されない噴霧手段を介して表面に適用され;十分に染み込ませたワイプ;ラグおよびバケット;モップおよびバケット;スポンジおよびバケット;または自動洗浄機器および他の同様の従来の方法を介するなどで、表面を除菌または消毒する目的で、抗菌組成物を表面に適用する。
【0093】
[078]本開示の消毒剤組成物を使用するために、抗菌組成物を表面に噴霧すること、注ぐこと、ワイプすることまたは他の適用により、基材を用いて表面が処理される。いったん表面に適用されると、抗菌組成物は、ある期間、表面上に残存することができる。抗菌組成物は表面に適用され得て、乾燥され得るか、または代替的に表面を乾燥ワイプもしくはワイプ器具でワイプすることにより乾燥されてもよい。
【0094】
[079]本組成物で消毒され得る表面は、乳製品製造所、家庭、ヘルスケア施設、水泳プール、缶詰工場、食品加工工場施設、レストラン、病院、施設、および二次石油回収を含む産業に位置するものを含むが、これらに限定されない。ガラスおよび研磨アルミニウムなどの硬質表面は、適用に特に適している。適用の対象となる特定の領域は、台所の調理台、戸棚、電気器具、廃棄用缶、洗濯室、ゴミ箱、浴室用備品、トイレ、水槽、蛇口、鏡、化粧台、浴槽、およびシャワーなどの家庭における硬質表面を含む。本組成物はまた、床、壁、家具、鏡、トイレ用備品、窓、および木材表面、例えばフェンス板、テラス柵、テラス、屋根、羽目板、窓枠、およびドア枠などを除菌するために使用され得る。本組成物、第四級アンモニウムクロリド化合物、および消毒用活性物質は、まな板、台所用品、容器、皿、流し台、電気器具、および調理台などの食品との間接な接触表面への適用に特に適している。本組成物または第四級アンモニウムクロリド化合物は、酪農施設機器、搾乳機、乳用ペール、タンクローリなどを除菌するために使用され得る。病院の領域は、ベッド、台車付き担架、テーブル、キャニスター、トイレ、廃棄用缶、スタンド、戸棚、シャワー室、床、壁または任意の他の非多孔質表面を含む。
【0095】
[080]特に有用な適用方法の1つは、ワイプ基材内に消毒剤組成物を含浸させることである。この実施形態では、ワイプは、消毒用組成物を含浸させた単回使用ワイプであり、使用者がワイプを分けて取り出せる容器に保存される。ワイプを有する容器は、単一のワイプ、または複数のワイプを含有してもよい。好適な容器は、使用者により開封される湿ったタオレットなどの単一のワイプを含有するパウチを含むか、または再封可能な開口部を有するパウチであってもよく、それは一度に開口部から単一のワイプを取り出すことを可能にするように積み重ね、ロール状もしくは他の好適な様式のいくつかのワイプを含有する。パウチは、一般に、フィルム、塗工紙もしくはホイルなどの液体不透過性材料、または他の同様の液体不透過性材料から作製される。本発明のワイプを分けて取り出す別の方法は、容器中のワイプに手が届くような開口部を有する液体不透過性容器中にワイプを入れることである。容器は、液体不透過性の蓋を有する成形されたプラスチック容器であってもよい。一般に、蓋は、容器中のワイプに手が届くような開口部を有する。容器中のワイプは、1つのワイプが容器から取り出された時、使用者が次のワイプを取り出すように準備されて、次のワイプが容器の開口部に位置するように交互に積み重ねられてもよい。あるいは、ワイプは、連続体の材料の個々のワイプの間にミシン目を入れた、連続体の材料であってもよい。ミシン目を有する連続体のワイプ材料は、折りたたみ形態であってもよく、またはロール状形態であってもよい。一般に、ロール状形態では、ワイプ材料は、ロール状材料の中心から供給される。交互に積み重ねられているため、1つのワイプが容器から取り出された時、必要な場合、次のワイプを取り出す使用のために、次のワイプが開口部に位置する。
【0096】
[081]使い捨てワイプは、再利用可能なスポンジ、ラグなどの他の適用媒体に勝る利点をもたらす。繰り返し使用されるスポンジ、ラグなどとは異なり、含浸ワイプは、単回で使用されて処分される。上述のように、再使用されるスポンジまたはラグは、消毒用組成物により容易に死滅させられない微生物をスポンジまたはラグが運び得るため、問題を引き起こす。さらに、消毒用組成物は、硬質表面を処理するように配合され、スポンジまたはラグに存在する多孔質の軟質表面を処理するようには配合されていない。
【0097】
[082]ワイプを予め湿らせて、処理される表面上をワイプが動き回る時、消毒用組成物を表面に出現させるかまたは放出するように、消毒用組成物をワイプに含浸させ得る。一般に、ワイプ動作を通して、ワイプが消毒用組成物を表面に放出するように、消毒用組成物をワイプ内に十分に染み込ませる。
【0098】
[083]ワイプ基材に応じて、一般に、十分に染み込ませるために1重量部のワイプ基材当たり、約3重量部の使用消毒用組成物を使用して十分に染み込ませた。一般に、消毒用組成物は、1重量部のワイプ基材当たり、約4重量部~6重量部使用される。これらの範囲で、基材に完全に十分に染み込ませることができる。特定のワイプ基材に応じて、消毒溶液の量は、ワイプ基材に完全に十分に染み込ませるために、増えるかまたは減る場合があることに留意されたい。
【0099】
[084]好適なワイプ基材は、織材料および不織材料を含む。本質的に、任意の不織ウェブ材料が使用されてもよい。例示的な不織材料は、溶融ブロー、コフォーム、スパンボンド、エアレイド、水流交絡不織布、スパンレース、ボンデッドカーデッドウェブ、およびこれらの積層体を含み得るが、これらに限定されない。任意選択で、不織布は、同様にフィルム材料で積層されてもよい。ワイプ基材を作製するために使用される繊維は、セルロース系繊維、熱可塑性繊維およびこれらの混合物であってもよい。繊維はまた、連続繊維、不連続繊維、短繊維およびこれらの混合物であってもよい。不織ウェブの坪量は、1平方メートル当り約12グラム~1平方メートル当り200グラム以上で変化し得る。
【0100】
[085]一実施形態では、ワイプは、活性成分および不活性成分の両方を許容耐性レベル内で含有する液体成分で含浸され、ワイプから出現した消毒用組成物は、活性成分を許容耐性レベル内で含有する。いったん表面に適用されると、抗菌消毒用組成物は、ある期間、表面上に残存することができる。抗菌組成物は、表面上に適用され得て、乾燥され得るか、または代替的に表面上を乾燥ワイプもしくは好ましくは未使用のワイプ器具でワイプすることにより乾燥されてもよい。
【0101】
[086]本発明のワイプまたは消毒用組成物が表面をワイプするのに使用される場合、消毒は、4分未満、一般に3分以内、特に90秒以内に達成される。抗菌消毒用組成物が、消毒が行われるのに十分な時間、消毒を必要とする表面と接触したままであることが、当業者には理解されよう。本発明の組成物が、含むが限定されない多くの異なる微生物に対して効果的であることが発見された。
【0102】
[087]さらに別の実施形態では、消毒剤組成物は、手用除菌剤として使用され得る。手用除菌剤として使用される場合、本開示の殺生物製剤は、上述のいずれかの原料と組み合わせられ得る。一実施形態では、例えば、殺生物製剤は、水および/またはアルコールなどの溶媒と組み合わせられてもよい。1つの特定の用途では、ディスペンサーから押し出された場合、組成物を発泡させるための発泡剤が添加されてもよい。発泡剤は、殺生物製剤と適合する任意の好適な発泡剤を含み得る。一実施形態では、例えば、発泡剤は、手用除菌剤を発泡させ得るジメチコンまたは他の同様の薬剤を含み得る。
【0103】
[088]一実施形態では、消毒剤組成物は、事前洗浄および消毒用、または端末用などの器具の消毒、機器、医療器具または内視鏡の高レベル消毒に使用され得る。一実施形態では、器具が手動で処理される場合、消毒剤組成物は、器具を適切な濃度の消毒剤組成物に浸漬することにより適用され得る。例えば、消毒剤組成物を入れる容器として、プラスチックまたは金属の容器、ステンレス鋼シンク、または任意の他の好適な容器が使用され得る。一実施形態では、空隙、穴、および中空部分を含む器具または機器または内視鏡の完全な浸漬が必要となり得る。内視鏡などの器具の消毒に使用される場合、内視鏡および他の器具のチャンネルは、洗い流される必要があり得る。一般に、消毒後、器具は、水、好ましくは大量の水ですすぎ、完全に洗い流されなければならない。
【0104】
[089]器具を含む用途では、消毒剤組成物の適切な濃度は、約500mg/L~約25,000mg/L、例えば約1,000mg/L~約23,000mg/Lであり得る。事前洗浄には、消毒剤組成物の好ましい濃度は、約500mg/L~約10,000mg/L、例えば約1,000mg/L~約9,000mg/Lなど、約2,000mg/L~約8,000mg/Lなど、約3,000mg/L~約7,000mg/Lなど、約4,000mg/L~約6,000mg/Lなどであり得る。高レベル消毒には、消毒剤組成物の好ましい濃度は、約5,000mg/L~約25,000mg/L、例えば約8,000~約23,000mg/Lなど、約10,000~約20,000mg/Lなどであり得る。器具が消毒剤組成物に浸漬される実施形態では、必要な接触時間は、約10分~約60分、好ましくは約15分~約30分の範囲であり得る。必要な接触時間は、標的となる消毒レベルに基づいて調整され得る。さらに別の実施形態では、消毒剤組成物は、自動洗浄消毒器における器具の消毒に使用され得る。
【0105】
[090]さまざまな異なる微生物が、本開示により死滅または制御され得る。例えば、本開示の消毒剤組成物は、グラム陽性菌、グラム陰性菌などを制御することができる。細菌に加えて、本開示の消毒剤組成物はまた、ウイルス、胞子、マイコバクテリアなどのさまざまな他の微生物を死滅させ、その成長を制御することができる。本開示により死滅または制御され得る特定の微生物の例は、Staphylococcus aureus、Streptococcus pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Serratia marcescens、Salmonella enteritidis、Neisseria gonorrhoeae、Escherichia coli、Enterococcus hirae、Acinetobacter baumannii、Listeria monocytogenes、Enterobacter gergoviae、Klebsiella pneumoniae、Burholderia cepacia、Pseudomonas putida、Kocuria rhizophila、Candida albicans、Saccharomyces cerevisiae、Aspergillus brasiliensis、Penicillium funiculosum、Eupenicillium levitum、Bacillus cereus、Bacillus subtilis、Clostridium difficile、Clostridium perfringens、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium terrae、Mycobacterium avium、Poliovirus、Adenovirus、Norovirus、Vaccinia virus、インフルエンザウイルス、Hepatitis B virus、Human Immunodeficiency virus、ヒトパピローマウイルス、またはこれらの混合物を含む。
【実施例
【0106】
[092]相乗的効果を実証するために、以下の実施例を実施した。
【0107】
[093]試験生物体の調製
[094]対象とする生物体のPseudomonas aeruginosaATCC 15442を冷凍庫から取り出し、トリプトンダイズ寒天(TSA)上で37℃で24時間成長させた。第2の継代培養を第1から生成し、同じ条件で成長させた。次に、ループ1杯分の生物体をトリプトン緩衝食塩水に添加することにより試験懸濁液を作り、内部確立した検量線分光光度計を600nmの波長で使用して、細胞濃度を1×10および5×10CFU/mlに調整した。正確なCFU/mlを確立するために、次に1mlのアリコートを試験懸濁液から取り出し、10-6および10-7に連続希釈し、次に1mlの各希釈物を、混釈平板法を使用してTSAに反復して(in duplicate)プレーティングした。次にプレートを、24時間37℃でインキュベートし、計数した。
【0108】
[095]試験試料の調製
[096]試験する各殺生物製剤に関して、一連の3試料を減菌蒸留水中で調製した;
[097]試験試料1-殺生物製剤単独(殺生物製剤の基本的効力を測定するため)
[098]試験試料2-カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-10と組み合わせた殺生物製剤(殺生物製剤とポリグリセロールエステルの組合せの効力を測定するため)
[099]対照-カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-10の対照試料を、脱イオン水中で調製し、ポリグリセロールエステル単独の効力を測定した。
【0109】
[100]試験手順中の、試験生物体懸濁液の添加からの希釈効果を考慮して、各試験試料を、目標濃度より10%高い濃度で調製した。
【0110】
[101]試験手順
[102]試験生物体懸濁液の0.1mlアリコートをチューブに入れ、続いて0.9mlの試験試料(上記で調製)を添加することにより、試験混合物を調製した。次に、この組合せを混合し、即座にタイマーを開始した。各試験混合物を、表1に示す規定の接触時間静置した。
【0111】
[103]
【0112】
【表1】
【0113】
[104]規定の接触時間に達した時に、試験混合物の0.1mlアリコートを0.9mlの中和培養液に添加し、全溶液を混合することにより、試験混合物を非活性化した。この溶液を5分間放置し、殺生物製剤の作用が効果的に中和されたことを確認した。
【0114】
[105]中和された試験混合物中の生物体の残存数を定量化するために、4×0.025mlのアリコートを取り出し、乾燥TSAの表面にスポットプレーティングした。次に、プレートを24時間37℃でインキュベートした。
【0115】
[106]対数減少のカウントおよび算出
[107]検出限界(LOD)
[108]細胞を計数するために使用される方法および技術の希釈パラメータに応じて、信頼できる計数を確実にするために、特定の検出限界が設定されなければならない。
【0116】
[109]混釈プレートのカウントに関して、<10のカウント下限および>330のカウント上限を使用して、インキュベートしたプレートからのコロニーを計数した。例えば、プレートが、カウント可能な7つの視認できるコロニーを有する場合、<10が記録され、10が算出に使用される。上限に関して、407のコロニーがプレート上にカウントされた場合、>330が記録され、330が算出に使用される。
【0117】
[110]スポットプレーティングに関して、<1のカウント下限および>150のカウント上限を使用して、インキュベートしたプレートからのコロニーを計数した。例えば、プレートが、視認できるコロニーを0個有する場合、<1が記録され、1が算出に使用される。上限に関して、156のコロニーがプレート上にカウントされた場合、>150が記録され、150が算出に使用される。
【0118】
[111]最終対数減少値を報告する場合に、算出するためにより低い検出限界を使用した場合、「>」値、例えば「>5.02対数減少」が報告され、一方、算出するためにより高い検出限界を使用した場合、「<」値、例えば「<2.92対数減少」が報告される。
【0119】
[112]N(試験生物体懸濁液)およびNの計数および算出
【0120】
【数1】
【0121】
式中、
Cは、生存カウント値の合計であり、
は、より低い希釈、すなわち10-6に関する生存カウント値の数であり、
は、より高い希釈、すなわち10-7に関する生存カウント値の数であり、
10-6は、より低い希釈に対応する希釈倍率であり、
例えば:
【0122】
【数2】
【0123】
は、接触時間の開始時における、試験混合物中1ml当たりの細胞数である。Nは、試験製品の添加による10倍希釈に起因して、Nの加重平均の10分の1である。したがって、この例では、Nは、1.9×10cfu/mlである。
【0124】
[113]T(試験混合物)の計数および算出
最初に、以下の計算を使用して、0.025mlのスポット当たりのcfuの平均(mean average)を確定した;
【0125】
【数3】
【0126】
式中、
は、4スポットからの生存カウント値の合計であり、
例:
【0127】
【数4】
【0128】
次に、これに40を乗算し、cfu/mlを確定した;
例;
T=29.5×40=1180cfu/ml
中和ステップ中に、試験混合物は、10倍希釈を受けた。これを考慮して、最終的に10倍の乗算を適用する;
T=1180×10=11800=1.18×10cfu/ml
対数減少算出(N-T)
対数減少を算出する前に、NとTの両方を、基底10の対数値に変換した。例えば;
=1.9×10=7.28log10
T=1.18×10=4.07log10
最終対数減少を算出するために、以下の計算式を使用した;
-T=対数減少
例えば;
7.28-4.07=3.21
この例に関する最終対数減少は、3.21である。
【0129】
[114]実施例1
[115]上に概説した試験手順を使用して、カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリル-10(PG10CC)と、表1に列記したさまざまな殺生物剤との間の相乗作用を試験した。カプリル酸/カプリン酸ポリグリセリルグリセリル-10は、以下の表2に報告されるように、100ppmにおいて、ほとんどまたは全く活性を示さなかった。異なる濃度のものを調製し、Pseudomonas aeruginosaの存在に関して、5分で試験した。以下の表2で示すのは、殺生物剤とPG10CCとの間の相乗作用の初期徴候があった、殺生物原料およびPG10CCの量である。算出した対数減少は、Pseudomonas aeruginosaにおけるものであり、さまざまな混合物について表2に示す。
【0130】
[116]
【0131】
【表2】
【0132】
[117]本発明は、その特定の実施形態を参照して上に記載されるが、本明細書に開示される発明概念から逸脱することなく、多くの変更、修正および変形がなされ得ることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨および広い範囲内である、全てのそのような変更、修正および変形を包含することが意図される。
【国際調査報告】