(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】ポリマー堆積のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/48 20060101AFI20230525BHJP
C23C 16/00 20060101ALI20230525BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230525BHJP
H01L 21/312 20060101ALI20230525BHJP
C23C 16/32 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
C23C16/48
C23C16/00
H01L21/31 B
H01L21/31 C
H01L21/312 A
C23C16/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564554
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 US2021027394
(87)【国際公開番号】W WO2021216344
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522413456
【氏名又は名称】ジーブイディー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オーショネッシー, ダブリュー. シャナン
(72)【発明者】
【氏名】グラント, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】バーン, ケリー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スタジンスキ, マイケル イー.
(72)【発明者】
【氏名】ルイス, ヒルトン プライス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA04
4K030AA24
4K030BA36
4K030BA61
4K030FA10
4K030JA06
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4K030KA25
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5F045DP28
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5F045EK07
5F045HA01
5F045HA06
5F058AC05
5F058AE10
5F058AF01
(57)【要約】
フッ素化ポリマーコーティングを基材上に堆積するのに有利な1つまたは複数の特徴を有するシステムと、そのようなシステムを、そのようなコーティングを堆積するのに用いる方法が、概して提供される。本開示は一般に、フッ素化ポリマーコーティングを基材上に堆積するためのシステム、関連した方法を提供する。本明細書に記述される主題は、ある場合には、相互に関係ある生成物、特定の課題に対する代替の解決策、ならびに/または1つもしくは複数のシステムおよび/もしくは物品の複数の種々の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容積を含む堆積チャンバーであって、
前記反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含むプロセスガスの供給源および真空源と流体連通し、
前記反応容積は、その内部を前記プロセスガスの一次元流が通過するように構成され、
前記反応容積は、前記真空源によって空気を排気することが可能であり、
前記反応容積は、そこに電圧を印加することで温度を上昇させるように構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含み、
前記ワイヤーは、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こすように構成され、
前記反応容積は、複数の壁およびベース部によって囲まれ、
前記壁および前記ベース部の少なくとも1つは、移動可能でありおよび/または移動可能な部分を含み、
前記反応容積のサイズは、移動可能な前記壁、移動可能な前記ベース部、ならびに/または1つもしくは複数の壁および/もしくは前記ベース部の1つもしくは複数の移動可能な部分の1つまたは複数を移動させることによって変化させることが可能である、堆積チャンバー。
【請求項2】
反応容積を囲む壁および/またはベース部の少なくとも一部を移動させることを含む、方法であって、
前記反応容積は、堆積チャンバー内に位置決めされ、
前記反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含むプロセスガスの供給源および真空源と流体連通し、
前記反応容積は、その内部を前記プロセスガスの一次元流が通過するように構成され、
前記反応容積は、前記真空源によって空気を排気することが可能であり、
前記反応容積は、そこに電圧を印加することで温度を上昇させるよう構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含み、
前記ワイヤーは、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こすよう構成され、
前記反応容積は、複数の壁およびベース部によって囲まれ、
前記堆積チャンバーの前記壁および/または前記ベース部の部分および/または全体を移動させることで、前記反応容積のサイズを変更させる、方法。
【請求項3】
反応容積を含む堆積チャンバーであって、
前記反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含むプロセスガスの供給源および真空源と流体連通し、
前記反応容積は、その内部を前記プロセスガスの一次元流が通過するように構成され、
前記反応容積は、前記真空源によって空気を排気することが可能であり、
前記反応容積は、そこに電圧を印加することで温度を上昇させるように構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含み、
前記ワイヤーは、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こすように構成され、
前記反応容積は、複数の壁およびベース部によって囲まれ、
前記ベース部の少なくとも一部は回転可能である、堆積チャンバー。
【請求項4】
複数の壁と一緒に反応容積を囲むベース部の少なくとも一部を回転させることを含む、方法であって、
前記反応容積は、堆積チャンバー内に位置決めされ、
前記反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含むプロセスガスの供給源および真空源と流体連通し、
前記反応容積は、その内部を前記プロセスガスの一次元流が通過するように構成され、
前記反応容積は、前記真空源によって空気を排気することが可能であり、
前記反応容積は、そこに電圧を印加することで温度を上昇させるよう構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含み、
前記ワイヤーは、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こすよう構成される、方法。
【請求項5】
ワイヤーの形をとるフィラメントに電圧および引張り力を加えることを含む、方法であって、
前記ワイヤーが、最大で10mTorrの空気を含み、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含む、反応容積内に位置決めされ、
前記反応容積が、堆積チャンバー内に位置決めされ、
前記電圧により、前記ワイヤーは温度を上昇させ、
前記ワイヤーは、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こし、
加えられた前記引張り力の、前記ワイヤーを形成する材料の定格引張り強さに対する比が、フィラメントの温度で0.6よりも大きくまたはそれに等しい、方法。
【請求項6】
反応容積を含む堆積チャンバーと、
前記反応容積内に少なくとも部分的に位置決めされたフィラメントと
を含むシステムであって、
前記反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、真空源によって空気を排気することが可能であり、
前記フィラメントは、そこに電圧が印加されることで温度を上昇させるよう構成されたワイヤーの形をとり、
前記フィラメントは、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こすように構成され、
前記フィラメントは、第1の場所に安定して位置決めされることが可能であり、
前記フィラメントは、第2の場所に安定して位置決めされることが可能であり、
前記第2の場所は、前記第1の場所とは異なり、
前記フィラメントは、前記第1の場所と前記第2の場所との間に位置決めされた第3の場所に安定して位置決めされることができない、システム。
【請求項7】
ワイヤーの形をとるフィラメントに電流を通して前記ワイヤーを抵抗加熱すること、
前記ワイヤーの抵抗を感知すること、および
前記ワイヤーの抵抗が設定点の101%よりも大きくもしくはそれに等しくまたは99%未満もしくはそれに等しい場合、前記ワイヤーに印加された電圧を調節すること
を含む方法であって、
前記ワイヤーが、反応容積内に少なくとも部分的に位置決めされ、
前記反応容積が、堆積チャンバー内に位置決めされ、
前記反応容積が、最大で10mTorrの空気を含み、およびヘキサフルオロプロピレンオキシドの蒸気を含み、
前記ワイヤーが、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こす、方法。
【請求項8】
ワイヤーの抵抗を感知すること、および
前記ワイヤーの抵抗が設定点の101%よりも大きくもしくはそれに等しくまたは99%未満もしくはそれに等しい場合、警告を提供すること
を含む方法であって、
前記ワイヤーが、反応容積内に少なくとも部分的に位置決めされ、
前記反応容積が、堆積チャンバー内に位置決めされ、
前記反応容積が、最大で10mTorrの空気を含み、およびヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、
前記ワイヤーが、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こす、方法。
【請求項9】
反応容積を含む堆積チャンバー、および
冷却素子
を含む、システムであって、
前記反応容積が、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、真空源によって空気を排気することが可能であり、
前記反応容積が、そこに電圧を印加することで温度を上昇させるよう構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含み、
前記ワイヤーが、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシドを加熱し、それによって分解を引き起こすよう構成され、
基材が前記反応容積内に位置決めされ、
前記冷却素子が、前記基材付近に位置決めされ、
前記冷却素子が、前記基材の底部から前記基材の上部まで延びる、システム。
【請求項10】
反応容積を含む堆積チャンバー、および
冷却素子
を含む、システムであって、
前記反応容積が、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、真空源によって空気を排気することが可能であり、
前記反応容積が、そこに電圧を印加することで温度を上昇させるよう構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含み、
前記ワイヤーが、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こすよう構成され、
基材が前記反応容積内に位置決めされ、
前記冷却素子が、前記基材付近に位置決めされ、
前記基材が、前記冷却素子に対して自由に移動可能である、システム。
【請求項11】
ヘキサフルオロプロピレンオキシドを重合して、ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む粒子を形成すること、および
ポリ(テトラフルオロエチレン)を含む前記粒子を表面に堆積すること
を含む方法であって、
前記重合が、反応容積内で行われ、
前記反応容積が、堆積チャンバー内に位置決めされ、
前記反応容積が、最大で10mTorrの空気を含み、およびヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、
前記反応容積が、抵抗加熱されたワイヤーの形をとるフィラメントを含み、
前記ワイヤーが、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こし、
前記粒子が形成されるとき、前記粒子は気体に取り囲まれる、方法。
【請求項12】
ポリ(テトラフルオロエチレン)を含むコーティングを基材上に堆積することを含む方法であって、
前記基材が反応容積内に位置決めされ、
前記反応容積が堆積チャンバー内に位置決めされ、
前記反応容積が、最大で10mTorrの空気を含み、およびヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、
前記反応容積が、抵抗加熱されたワイヤーの形をとるフィラメントを含み、
前記ワイヤーが、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こし、
前記基材は、前記コーティングの堆積中に1種または複数の気体を放出し、
前記1種または複数の気体は、前記コーティングの堆積中、前記反応容積に存在する気体の0.1mol%よりも多くまたはそれに等しくかつ10mol%未満またはそれに等しい量を構成する、方法。
【請求項13】
基材の表面から、前記基材を溶媒に浸漬することによって汚染物質を除去すること、および
前記汚染物質が除去された後、30分以内に、ポリ(テトラフルオロエチレン)を含むコーティングを化学気相成長によって前記基材の表面に堆積することを含む、方法であって、前記堆積ステップ中、
前記基材は、反応容積内に位置決めされ、
前記反応容積は、堆積チャンバー内に位置決めされ、
前記反応容積は、最大で10mTorrの空気を含み、およびヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、
前記反応容積は、抵抗加熱されたワイヤーの形をとるフィラメントを含み、
前記ワイヤーは、前記ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こし、
前記堆積ステップの後、前記コーティングは、その接着スコアがASTM D3359に記載される手順により決定して4よりも大きくまたはそれに等しくなるように、前記基材に対して接着を有する、方法。
【請求項14】
前記ベース部の部分が一方向に回転するように構成される、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項15】
前記ベース部の部分が連続して回転するように構成される、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項16】
前記ワイヤーの温度が150℃よりも高くまたはそれに等しくかつ1500℃未満またはそれに等しい、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項17】
前記反応容積内のヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気の量が、前記反応容積内に存在する気体の1mol%よりも多くまたはそれに等しくかつ100mol%未満またはそれに等しい、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項18】
前記反応容積がさらにキャリアガスを含む、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項19】
前記反応容積の圧力が、1mTorrよりも高くまたはそれに等しくかつ100Torr未満またはそれに等しい、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項20】
ポートが、前記プロセスガスの供給源と前記反応容積との間に位置決めされる、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項21】
前記一次元流が、前記フィラメントに平行である、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項22】
前記一次元流が、前記フィラメントに垂直である、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項23】
前記反応容積が複数のフィラメントを含む、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項24】
前記一次元流が、前記反応容積の少なくとも上部25%かつ前記反応容積の上部95%以下に存在する、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項25】
前記ベース部が、2つまたはそれよりも多くの回転可能な部分を含む、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項26】
前記ベース部が、0.1rpmよりも大きいまたはそれに等しいかつ10rpm未満またはそれに等しい速度で回転することが可能である、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項27】
前記ベース部および/または前記壁の1つもしくは複数が、除去可能である、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項28】
前記ベース部および/または前記壁の1つもしくは複数が、冷却されおよび/または加熱されることが可能である、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項29】
前記ベース部および前記壁が、前記反応容積を、前記反応容積の外側の環境から流体的に隔離する、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項30】
前記コーティングが、前記基材の内側から前記基材の表面への汚染物質の認識可能な移送の前に堆積される、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項31】
前記キャリアガスが不活性ガスである、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項32】
前記反応容積が、ワイヤーの形をとる複数のフィラメントを含む、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項33】
前記ワイヤー間の平均距離が、0.1インチよりも長くまたはそれに等しくかつ2.5インチ未満またはそれに等しい、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項34】
前記ワイヤーと前記反応容積のベース部との間の平均距離が、0.1インチよりも長くまたはそれに等しくかつ24インチ未満またはそれに等しい、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項35】
前記ワイヤーと前記反応容積のベース部との間の平均距離が、0.25インチよりも長くまたはそれに等しくかつ5インチ未満またはそれに等しい、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項36】
前記第1および第2の安定な場所が、複数の安定な場所の内部の2つの安定な場所である、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項37】
前記安定な場所の間の平均距離が、0.1mmよりも長くまたはそれに等しくかつ100mm未満またはそれに等しい、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項38】
前記安定な場所の間の平均距離が、2mmよりも長くまたはそれに等しくかつ10mm未満またはそれに等しい、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項39】
前記ワイヤーの抵抗が、設定点の101%よりも大きくもしくはそれに等しくまたは99%未満またはそれに等しい場合、前記フィラメントをオフにすることをさらに含む、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項40】
加えられた前記引張り力の、前記ワイヤーを形成する材料の前記定格引張り強さに対する比が、前記フィラメントの温度で0.8未満またはそれに等しい、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項41】
前記重合反応の90%よりも大きいまたはそれに等しい量が、気体によって取り囲まれる粒子の生成をもたらす、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項42】
前記基材がエラストマーを含む、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項43】
前記冷却素子が、前記冷却素子を横断するおよび/または通る冷却流体の循環によって冷却される、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項44】
前記冷却素子が前記基材の下に位置決めされる、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項45】
前記粒子が、0.5nmよりも大きくまたはそれに等しくかつ50ミクロン未満またはそれに等しい直径を有する、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項46】
前記粒子が、1nmよりも大きくまたはそれに等しくかつ1ミクロン未満またはそれに等しい直径を有する、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項47】
前記基材により放出された気体が、水および/または空気を含む、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【請求項48】
前記汚染物質が、前記基材に配合された小分子、オリゴマー、低分子量ポリマー、加工助剤、および/または化学物質を含む、前記請求項のいずれかに記載のシステム、方法、または堆積チャンバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
フッ素化ポリマーを基材上に堆積するためのシステムおよび方法が、概して提供される。
【背景技術】
【0002】
背景
化学気相成長は、フッ素化ポリマーコーティングを堆積するのに用いられ得る。しかしながら、そのようなプロセスを行うのに用いられるいくつかのシステムは、不均一なコーティング、一貫性のないコーティングをもたらし、ならびに/または望ましくない頻繁な修復および/もしくは調節を必要とする、1つまたは複数の欠点を示し得る。
【0003】
したがって、フッ素化ポリマーコーティングを堆積するための改善されたシステムおよび方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
本開示は一般に、フッ素化ポリマーコーティングを基材上に堆積するためのシステム、関連した方法を提供する。本明細書に記述される主題は、ある場合には、相互に関係ある生成物、特定の課題に対する代替の解決策、ならびに/または1つもしくは複数のシステムおよび/もしくは物品の複数の種々の使用に関する。
【0005】
一部の実施形態では、堆積チャンバーが提供される。堆積チャンバーは、反応容積を含む。反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含むプロセスガスの供給源および真空源と流体連通する。反応容積は、その内部を流れるプロセスガスの一次元流を可能にするように構成される。反応容積は、真空源によって空気を排出させることが可能である。反応容積は、そこに電圧を印加することで温度が上昇するように構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含む。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解が引き起こされるように構成される。反応容積は、複数の壁およびベース部によって囲まれる。壁およびベース部の少なくとも1つは、移動可能でありおよび/または移動可能な部分を含む。反応容積のサイズは、移動可能な壁、移動可能なベース部、ならびに/または1つもしくは複数の壁および/もしくはベース部の1つもしくは複数の移動可能な部分の1つまたは複数を移動させることによって変化させることが可能である。
【0006】
一部の実施形態では、堆積チャンバーは反応容積を含む。反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含むプロセスガスの供給源および真空源と流体連通する。反応容積は、その内部を通るプロセスガスの一次元流が可能になるように構成される。反応容積は、真空源によって空気を排出することが可能である。反応容積は、そこに電圧を印加することで温度が上昇するように構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含む。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解が引き起こされるように構成される。反応容積は、複数の壁およびベース部によって囲まれる。ベース部の少なくとも一部は回転可能である。
【0007】
一部の実施形態では、方法が提供される。方法は、反応容積を囲む壁および/またはベース部の少なくとも一部を移動させることを含む。反応容積は、堆積チャンバー内に位置決めされる。反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含むプロセスガスの供給源および真空源と流体連通する。反応容積は、内部を通るプロセスガスの一次元流が可能になるように構成される。反応容積は、真空源により空気を排出することが可能である。反応容積は、そこに電圧を印加することで温度を上昇させるように構成されるワイヤーの形をとるフィラメントを含む。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こすように構成される。反応容積は、複数の壁およびベース部により囲まれる。堆積チャンバーの壁および/またはベース部の部分および/または全体を移動することは、反応容積のサイズを変化させる。
【0008】
一部の実施形態では、方法は、複数の壁と一緒に反応容積を囲む、ベース部の少なくとも一部を回転させることを含む。反応容積は、堆積チャンバー内に位置決めされる。反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含むプロセスガスの供給源および真空源と流体連通する。反応容積は、その内部を通るプロセスガスの一次元流を可能にするよう構成される。反応容積は、真空源により空気を排出することが可能である。反応容積は、そこに電圧を印加することで温度が上昇するように構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含む。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解が引き起こされるように構成される。
【0009】
一部の実施形態では、方法が提供される。方法は、ワイヤーの形をとるフィラメントに電圧および引張り力を加えることを含む。ワイヤーは、最大で10mTorrの空気を含み、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含む反応容積内に位置決めされる。反応容積は、堆積チャンバーに位置決めされる。電圧は、ワイヤーの温度を上昇させる。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こさせる。加えられた引張り力の、ワイヤーを形成する材料の定格引張り強さに対する比は、フィラメントの温度で0.6よりも大きくまたはそれに等しい。
【0010】
一部の実施形態では、方法は、ワイヤーの形をとるフィラメントに電流を通してワイヤーを抵抗加熱すること、ワイヤーの抵抗を感知すること、およびワイヤーの抵抗が設定点の101%よりも大きくもしくはそれに等しくまたは99%未満でありもしくはそれに等しい場合にワイヤーに印加される電圧を調節することを含む。ワイヤーは、反応容積の内部に少なくとも部分的に位置決めされる。反応容積は、堆積チャンバー内に位置決めされる。反応容積は、最大で10mTorrの空気を含み、およびヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含む。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こす。
【0011】
一部の実施形態では、方法は、ワイヤーの抵抗を感知すること、およびワイヤーの抵抗が設定点の101%よりも大きくもしくはそれに等しくまたは99%未満でありもしくはそれに等しい場合に警告を提供することを含む。ワイヤーは、反応容積の内部に少なくとも部分的に位置決めされる。反応容積は、堆積チャンバー内に位置決めされる。反応容積は、最大で10mTorrの空気を含み、およびヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含む。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こす。
【0012】
一部の実施形態では、システムが提供される。システムは、反応容積と、反応容積内に少なくとも部分的に位置決めされたフィラメントとを含む、堆積チャンバーを含む。反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、真空源により空気を排出することが可能である。フィラメントは、そこに電圧を印加することで温度を上昇させるように構成されたワイヤーの形をとる。フィラメントは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こすように構成される。フィラメントは、第1の場所で安定して位置決めされることが可能である。フィラメントは、第2の場所で安定して位置決めされることが可能である。第2の場所は、第1の場所とは異なる。フィラメントは、第1の場所と第2の場所との間に位置決めされた第3の場所に安定して位置決めすることができない。
【0013】
一部の実施形態では、システムが提供される。システムは、反応容積を含む堆積チャンバー、および冷却素子を含む。反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、真空源により空気を排出することが可能である。反応容積は、そこに電圧を印加することで温度が上昇するように構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含む。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こすように構成される。基材は、反応容積内に位置決めされる。冷却素子は、基材付近に位置決めされる。冷却素子は、基材の底部から基材の上部まで延びる。
【0014】
一部の実施形態では、システムは、反応容積を含む堆積チャンバーおよび冷却素子を含む。反応容積は、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、真空源により空気を排出することが可能である。反応容積は、そこに電圧を印加することで温度を上昇させるよう構成されたワイヤーの形をとるフィラメントを含む。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こすように構成される。基材は、反応容積内に位置決めされる。冷却素子は、基材付近に位置決めされる。基材は、冷却素子に対して自由に移動可能である。
【0015】
一部の実施形態では、方法が提供される。方法は、ヘキサフルオロプロピレンオキシドを重合してポリ(テトラフルオロエチレン)を含む粒子を形成すること、およびポリ(テトラフルオロエチレン)を含む粒子を表面に堆積することを含む。重合は、反応容積内で行われる。反応容積は、堆積チャンバー内に位置決めされる。反応容積は、最大で10mTorrの空気を含み、およびヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含む。反応容積は、抵抗加熱されたワイヤーの形をとるフィラメントを含む。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こす。粒子が形成されると、それはガスによって取り囲まれる。
【0016】
一部の実施形態では、方法は、基材上にポリ(テトラフルオロエチレン)を含むコーティングを堆積することを含む。基材は、反応容積内に位置決めされる。反応容積は、堆積チャンバー内に位置決めされる。反応容積は、最大で10mTorrの空気を含み、およびヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含む。反応容積は、抵抗加熱されたワイヤーの形をとるフィラメントを含む。ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こす。基材は、コーティングの堆積中に1種または複数のガスを放出する。1種または複数のガスは、コーティングの堆積中、反応容積中に存在するガスの0.1mol%よりも多くまたはそれに等しいかつ10mol%未満またはそれに等しい量を構成する。
【0017】
一部の実施形態では、方法は、溶媒中に基材を浸漬することによって基材の表面から汚染物質を除去すること、および汚染物質が除去された後30分以内に、化学気相成長によってポリ(テトラフルオロエチレン)を含むコーティングを基材の表面に堆積することを含む。堆積ステップ中、基材は反応容積内に位置決めされ、反応容積は堆積チャンバー内に位置決めされ、反応容積は、最大10mTorrの空気を含み、およびヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を含み、反応容積は、抵抗加熱されたワイヤーの形をとるフィラメントを含み、ワイヤーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド蒸気を加熱し、それによって分解を引き起こす。堆積ステップ後、コーティングは、その接着スコアがASTM D3359に記載される手順により決定して4よりも大きくまたはそれに等しくなるように、基材への接着を有する。
【0018】
本発明のその他の利点および新規な特徴は、添付図面と併せて考慮したとき、本発明の様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な記述から明らかにされよう。本明細書および参照により組み込まれる文献が相反するおよび/または矛盾のある開示を含む場合、本明細書を優先するものとする。参照により組み込まれる2つまたはそれよりも多くの文献が、互いに相反するおよび/または矛盾のある開示を含む場合、最新の有効日を有する文献を優先するものとする。
本発明の非限定的な実施形態について、概略的でありかつ縮尺を合わせて描くことを意図していない添付図面を参照しながら、例として記述する。図中、図示される同一のまたはほぼ同一の各構成要素は、典型的には単一の数値によって表される。明瞭にする目的で、全ての図で全ての構成要素に標識するものではなく、図示は、当業者に本発明を理解させることが必ずしも必要ではない場合、本発明の各実施形態の全ての構成要素が示されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、一部の実施形態による、堆積チャンバーおよび反応容積を含むシステムを示す。
【
図2】
図2は、一部の実施形態による、2つの供給源を含むシステムを示す。
【
図3】
図3は、一部の実施形態による、フィラメントを含むシステムを示す。
【
図4】
図4は、一部の実施形態による、反応容積内で生じる反応を示す。
【
図5】
図5は、一部の実施形態による、ガス中に最初に形成されたポリマーが基材の表面に堆積し、それによって基材をコーティングする、堆積プロセスを示す。
【
図6】
図6は、一部の実施形態による、複数の壁とベース部とに囲まれた反応容積を示す。
【
図7】
図7は、一部の実施形態による、フィラメントの一部を含む反応容積を示す。
【
図8】
図8は、一部の実施形態による、基材付近に位置決めされた冷却素子を示す。
【
図9】
図9は、一部の実施形態による、基材の窪みの上面よりも高い高さを有する冷却素子冷却素子を示す。
【
図10】
図10は、一部の実施形態による、ポートを含む反応容積を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
基材上にフッ素化ポリマーコーティングを堆積するために有利な1つまたは複数の特徴を有するシステムと、そのようなシステムを、そのようなコーティングを堆積するのに用いる方法が、概して提供される。本明細書に記述される一部の構成要素は、同様に本明細書に記述されるその他の構成要素がない状態で提供されたときに有利な特徴を有し、本明細書に記述される2つまたはそれよりも多くの構成要素のいくつかの組合せは、全体としてシステムに相乗的利益を提供するような手法で相互に作用する。
【0021】
本明細書に記述されるシステムは一般に、フッ素化ポリマーコーティングを基材上に一緒に堆積させる複数の構成要素を含む。これらの構成要素は、典型的には、フッ素化ポリマーが形成される反応容積を含む堆積チャンバーを含む。
図1は、これらの構成要素を有するシステムの上面図の、1つの非限定的な実施形態を示す。
図1において、システム100は、反応容積300を含む堆積チャンバー200を含む。
【0022】
システムは、反応容積と流体連通するとき、反応容積に1種または複数の化学種を導入するように、および/または反応容積から1種または複数の化学種を除去するように構成され得る1つまたは複数の供給源を含んでいてもよい。
図2は、2つのそのような供給源:第1の供給源402および第2の供給源502を含むシステムを示す。第1および第2の供給源のそれぞれは独立して、反応容積に1種または複数の化学種を導入するように、および/または反応容積から1種または複数の化学種を除去するように構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、第1および/または第2の供給源は、試薬および/または試薬の組合せを反応容積に供給するように構成される。試薬は、1種または複数の非反応性種(例えば、不活性キャリアガスなどのキャリアガス)の存在下で供給されてもよく、または純粋な構成成分として提供されてもよい。2種またはそれよりも多くの試薬が供給されるとき、それらは全て一緒に供給されてもよく(例えば、単一の予備混合された流れで)、それらは全て別々に供給されてもよく(例えば、別々の流れで)、またはそれらは少なくとも1種のその他の試薬と一緒にかつ少なくとも1種のその他の試薬とは別に供給される少なくとも1種の試薬が存在していてもよい。
【0023】
別の例として、一部の実施形態では、第1および/または第2の供給源は、反応容積内に含むのに望ましくない1種または複数の化学種の除去を可能にするおよび/または促進させるように構成される。そのような化学種の除去は、反応容積内の気状種の全てを一緒に除去することを伴ってもよい(例えば、供給源は真空源であってもよい)。システムは、1種または複数の化学種が反応容積から選択的に除去されるように構成されることも可能である。例えば固体吸着剤は、表面に吸着される1種または複数の化学種(例えば、水)を除去するように、しかし表面で吸着されない1種または複数の化学種を除去しないように構成されてもよい。
【0024】
システムは、反応容積内に導入された任意の試薬の反応を促進させるさらなる構成要素を含むことも可能である。一例として、一部の実施形態では、システムはさらにフィラメントを含む。システムは、追加としてまたは代替として、プラズマ源(例えば、高周波プラズマ源)および/またはランプ(例えば、紫外線ランプ)を含むことも可能である。存在する場合、フィラメント(および/またはプラズマ源および/またはランプ)は、反応容積に熱などのエネルギーを提供するように構成されてもよく、および/またはエネルギーを供給することが可能であってもよい。このエネルギーは、基材上にフッ素化ポリマーコーティングを堆積させる反応などの反応を、反応容積内で開始してもよい。熱などの、フィラメントによって(および/または別のエネルギー源によって)提供されるエネルギーは、反応容積内の反応を触媒することも可能である。1つの特定の例として、一部の実施形態では、フィラメントは、モノマー、モノマーへの前駆体、および/または開始剤を加熱し得るワイヤーを含んでいてもよい。熱は、モノマーに重合反応を受けさせてもよく、前駆体からモノマーに分解してもよく(例えば、モノマー内に)、および/または開始剤を分解させてもよい(例えば、それによって活性化する)。加熱は、抵抗率を含む様々な適切な手法を伴ってもよい。例えばフィラメントは、DC電圧源および電気接地に接続されてもよい。
【0025】
一部の実施形態では、システムは、ワイヤーの形をとるフィラメントを含む。電位差は、ワイヤーを横断して確立されてもよく、電流は一端から他端に流されかつフィラメントは抵抗損失に起因して熱を引き起こす。言い換えれば、電圧はワイヤーに印加されてその温度を上昇させてもよく、および/またはワイヤーはそこに電圧が印加されたときに温度を上昇させるように構成されてもよい。
図3は、ワイヤーの形をとるフィラメント(要素604と標識される)を含むシステムの1つの非限定的な実施形態を示す。
図3に示されていないが、システムは2つまたはそれよりも多くのフィラメントを含んでいてもよい。そのようなフィラメントは、ワイヤーの形をとる場合、互いに平行なワイヤーを含んでいてもよく、および/または互いに平行ではないワイヤーを含んでいてもよい。同様に、そのようなフィラメントは、反応容積のベース部に対して同じ高さに位置決めされたワイヤーを含んでいてもよく、および/または反応容積のベース部に対して異なる高さで位置決めされたワイヤーを含んでいてもよい。
【0026】
やはり
図3に示されないように、フィラメントを含むシステムはさらに、1つまたは複数の供給源(例えば、
図2に示される供給源のような)を含んでいてもよい。気体(例えば、モノマー、モノマーに対する前駆体、開始剤、キャリアガス)を反応容積内に導入するように構成された供給源は、気体がフィラメントの様々な角度で反応容積を経て進入しおよび/または流れるよう、気体を導入するために構成されてもよい。例として、フィラメントがワイヤーの形をとる場合、供給源は、気体がワイヤーに平行な方向に、ワイヤーに垂直に、またはそれらの間の任意の角度で反応容積を経て進入しおよび/または流れるよう、気体を導入するために構成されてもよい。2つまたはそれよりも多くの供給源を含むシステムでは、種々の供給源は、気体が同じ方向および/または異なる方向で反応容積を経て進入しおよび/または流れるよう、気体を反応容積内に反応容積内に導入するために構成されてもよい。同様に、2つまたはそれよりも多くの供給源を含むシステムでは、種々の供給源は、気体が同じ場所におよび/または異なる場所で反応容積を経て進入しおよび/または流れるよう、気体を反応容積内に反応容積内に導入するために構成されてもよい。例えば、システムが2つまたはそれよりも多くの供給源およびワイヤーの形をとる2つまたはそれよりも多くのフィラメントを含む場合、種々の供給源は、種々の気体を種々のワイヤーに向けて方向付けるよう構成されてもよい。
【0027】
以下にさらに詳述するように、いくつかの供給源は、ポートまたは別のシステム構成要素によって反応容積から離間してもよいことに留意すべきである。そのような場合、供給源自体は、気体を関連ある手法で導入するように構成されてもよく、ポートまたはその他のシステム構成要素は、関連ある手法で気体を導入するよう構成されてもよく、および/または供給源およびポートまたはその他のシステム構成要素は一緒に、関連ある手法で気体を導入するよう構成されてもよい。一部の実施形態では、供給源は、供給源により提供された気体を2つまたはそれよりも多くの流れに分割するようにおよびその流れの少なくとも一部を異なる場所でおよび/または互いに異なる方向に流れるよう反応容積に導入するように構成されたシステム構成要素によって、反応容積から離間していてもよい。
【0028】
システムは、さらなる構成要素および/または
図1~3に示されるものに類似するが1つまたは複数の観点で異なる構成要素を含んでいてもよい。そのようなシステム構成要素に関するさらなる詳細を以下に提供する。
【0029】
本明細書の他の箇所に記述されるように、本明細書に記述されるシステムは、フッ素化ポリマーコーティングを基材上に堆積するのに適切であってもよい。フッ素化ポリマーコーティングは、その内部に導入されるフッ素化モノマーから反応容積内に形成されてもよい(例えば、供給源によって、その内部に導入されるモノマーへの前駆体の化学反応によって)。反応容積の内部に入ると、モノマーは重合反応を受けてフッ素化ポリマーを形成してもよい。
図4は、反応容積内で発生した反応の一例を示す。
図4では、2種のポリマー706および756が、モノマー806から反応容積306内で形成される。重合は、反応容積内の様々な適切な場所で生じてもよい。一部の実施形態では、
図4に示される実施形態のように、重合は、気体により取り囲まれた環境(例えば、気状モノマーおよび/または1種もしくは複数のキャリアガスを含む)で生じる。重合は、表面に生じることも可能である(例えば、ベース部および/または反応容積を囲む壁、コーティングされる基材上)。
【0030】
ポリマーは、気体によって取り囲まれたときに形成された場合、粒子を形成するのに十分な分子量を実現すると、最終的には表面(例えば、コーティングされる表面)に堆積されてもよい。
図5は、気体(例えば、気体により全ての面上で取り囲まれた)中に最初に形成されるポリマーが基材の表面に堆積され、それによって基材をコーティングする、堆積プロセスの一例を示す。
図5では、ポリマー708は、
図4に示されるポリマー706から成長され、したがってその分子量は2つのモノマーにより増大したものである。これによりポリマー708は、基材908上に反応容積308内で気状環境から堆積する粒子を形成した。ポリマー758は分子量が増大しておらず、したがって気状のままでありかつ基材908上に堆積しない。
【0031】
一部の実施形態では、分子量が増大するポリマーは、表面に堆積する前のある期間にわたり、反応容積の気状内部に懸濁したままの粒子を核生成し得ることも理解すべきである。粒子は、他のポリマー鎖に関する核生成部位として働いてもよく、および/またはその他の成長するポリマー鎖が粒子と凝集してもよい。得られた粒子が、気状環境でもはや懸濁しないよう十分なサイズのものになると、表面(例えば、コーティングされる基材の)上に堆積し得る。このように生じる堆積は、凝集した粒子を含むモルホロジーを有するコーティングの形成をもたらし得る。
【0032】
上述のシステムに関するように、基材上にポリマーコーティングを堆積するためのプロセスは、1つまたは複数のさらなるステップを含んでいてもよく、および/または1つもしくは複数の観点から上述のプロセスとは異なっていてもよい。ここでフッ素化ポリマーコーティングを形成するのに用いられ得る例示的なシステム、およびそれによってそのようなコーティングが形成され得る例示的なプロセスの概観を提供してきたが、そのような例示的なシステムならびにそのような例示的なシステムを実施するよう用いられ得る方法で用いられ得る構成要素に関するさらなる詳細を、以下にさらに詳細に記述する。
【0033】
本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態では、システムは、反応容積を含む。反応容積は、複数の壁およびベース部によって囲まれてもよい。
図6は、この性質を有する反応容積の断面の1つの非限定的な実施形態を示す。
図6において、反応容積310は、壁1010、1040、および1070によって、ならびにベース部1110によって囲まれる。壁およびベース部は、反応容積が内部に位置決めされる堆積チャンバーの壁およびベース部であってもよい。言い換えれば、堆積チャンバーは反応容積を囲んでもよく、堆積チャンバーの内部は反応容積の内部と同一であってもよい。反応容積を囲む壁およびベース部は、堆積チャンバーの内部に位置決めされることも可能である。言い換えれば、堆積チャンバーは壁およびベース部を囲んでもよく、これらの壁およびベース部は、反応容積を囲んでもよい。そのような実施形態では、堆積チャンバーはさらに、システムの他の構成要素、例えば反応容積に位置決めされていない1つまたは複数のフィラメントの部分、反応容積に位置決めされていない冷却システムの1つまたは複数の構成要素の部分、モーター、電気部品、ならびに/または反応容積内に含むのに適していない、および/もしくは反応容積から有利に排除され得るその他のシステム構成要素を囲んでもよい。
【0034】
一部の実施形態では、反応容積を囲む壁および/またはベース部の1つまたは複数は、1つまたは複数のタイプの運動を受けることが可能であってもよい。例えば一部の実施形態では、壁の1つ、いくつか、または全てが移動可能であってもよい。別の例として、ベース部は移動可能であってもよい。壁またはベース部は、移動可能である1つまたは複数の部分、および移動可能ではない1つまたは複数の部分を含むことも可能である。壁および/またはベース部の1つまたは複数(および/またはそれらの1つもしくは複数の部分)を移動させることは、反応容積のサイズを変化し得る。例として、壁および/またはベース部(および/またはそれらの1つまたは複数の部分)を反応容積の中心に向かって移動させることは、反応容積をより小さくし得る。同様に、壁および/またはベース部(および/またはそれらの1つもしくは複数の部分)を反応容積の中心から離して移動させることは、反応容積をより大きくし得る。壁および/またはベース部が、移動可能な2つまたはそれよりも多くの部分を含むとき、それらの部分は互いに別々に移動可能であってもよく、および/または一緒に移動可能であってもよい。それらの部分は、互いに直接隣接していてもよく、または移動不可能な部分によって互いに離間していてもよい。移動可能な部分は、互いに隣り合っていてもよく、または1つの部分が別の部分の周りに位置決めされていてもよい(例えば、全ての面におけるその他の部分を取り囲み、その縁部の大部分であるが全てではない箇所の周りのその他の部分を取り囲む)。
【0035】
反応容積のサイズを調節する能力は、様々なサイズを有する基材上にコーティングを堆積するのにシステムを使用するのが望ましいときに有利であってもよい。例えば、比較的小さい基材上にコーティングを堆積するのに比較的小さい反応容積を使用することが望ましいと考えられるが、それはコーティングを形成するのに必要な試薬の量を最小限に抑えられ得るからでありおよび/または比較的大きいパーセンテージの堆積されたコーティングの基材上での形成(例えば、ベース部および/または壁の代わりに)を促進し得るからである。別の例として、より広い基材をコーティングするのに、より大きい反応容積を使用することが必要となり得るが、それは反応容積を、基材を囲むのに十分なサイズのものにすることが望ましいからである。第3の例として、一部の実施形態では、反応容積が種々のタイプのプロセスで使用されているとき、反応容積のサイズを変えることが望ましいと考えられる。例えば反応容積は、システムがより小さい試験操作に用いられているとき、より小さくすることが望ましい場合がある。後に、生成操作中、より広い基材および/または単一操作中でのより多くの基材をコーティングすることが望ましい場合があり、より大きい反応容積が望ましくなる。両方のプロセスに関して同じ反応容積を用いることは、両方のプロセス中に類似の反応条件を維持するのを容易にし得る。
【0036】
その他の利点は、反応容積のサイズを調節する能力に由来し得ることも可能である。例えば一部の実施形態では、反応容積を調節することは、その内部で生じる反応の1つまたは複数の特徴を変化させてもよく、したがって反応容積のサイズを調節する能力により、オペレーターはそのような反応の1つまたは複数の特徴および/またはそのような反応により形成されたフッ素化ポリマーコーティングの1つまたは複数の特徴(例えば、そのモルホロジー、分子量、均一性、および/または共形性)を調節することが可能になり得る。一例として、ベース部を上向きに移動させることによって反応容積を調節することは、ベース部を、反応容積内に位置決めされたフィラメントの部分により近付けてもよく、これはフィラメントにより提供される熱によって触媒される任意の反応に影響を及ぼし得る。したがって、比較的容易で、迅速な、および/または経済的な手法で反応容積のサイズを調節する能力によって、オペレーターは、そのような手法で反応条件を調節することが有利に可能になり得る。
【0037】
一部の実施形態では、ベース部および/またはベース部の一部は回転可能であってもよい。ベース部は、回転可能な1つまたは複数の部分および回転可能ではない1つまたは複数の部分を含むことも可能である。ベース部が、回転可能な2つまたはそれよりも多くの部分を含むとき、それらの部分は、互いに別々に回転可能であってもよく(例えば、異なる時点で)、および/または一緒に回転可能であってもよい(例えば、同時に)。これらの部分は、互いに直接隣接してもよく、または回転不可能な部分によって互いに離間されていてもよい。これらの部分は、互いに隣り合っていてもよく、または一部が、別の部分の周りに位置決めされていてもよい(例えば、全ての面上のその他の部分を取り囲み、その縁部の大部分であるが全てではない部分の周りのその他の部分を取り囲む)。
【0038】
ベース部および/またはベース部の一部が回転可能であるとき、回転軸は一般に、望み通りに選択されてもよい。一部の実施形態では、回転軸は、ベース部におよび/またはベース部の回転可能な部分に垂直である。回転軸は、ベース部の中心および/またはその回転可能な部分を通過してもよく、または中心から外れていてもよい。
【0039】
任意の特定の理論に拘泥するものではないが、ベース部(および/またはその一部)を回転させることは、ベース部上に位置決めされた基材上での均一なコーティング、および/またはベース部に位置決めされた複数の基材上での均一なコーティングの堆積を有利に促進し得ると考えられる。ベース部(および/またはその一部)が回転するにつれ、その表面に位置決めされた任意の基材を回転軸の周りにアーク状に移動させることができ、その基材は順次、反応容積の種々の部分に曝露され得る。反応容積のいくつかの部分が互いに異なってフッ素化ポリマーがその内部で異なる状態で形成されるようになる場合、そのような回転は、基材および/または複数の基材全体にわたりばらつくコーティングの堆積を実質的に低減および/または防止し得る。例として、基材はベース部の回転によって反応容積を経て移動するので、基材(およびその一部)は反応容積のこれらの種々の部分に順次曝露される可能性があり、反応容積のこれらの種々の部分に、フッ素化ポリマーを含むコーティングが蓄積され得る。基材の各部分で得られたコーティングは、反応容積内の様々な場所に形成されているコーティングの「平均」であってもよく、したがってコーティングは、そこから形成される反応が反応容積の全体にわたって様々な場合であっても、全体として均一になり得る。
【0040】
回転可能なベース部は、様々な種々のタイプの回転を受けることが可能であってもよい。一部の実施形態では、回転可能なベース部は、一方向に回転することができるだけである(例えば、時計回り、反時計回り)。回転可能なベース部は、一方向にのみ回転するように構成されることも可能である。例えばシステムは、ベース部に一方向にのみ回転するよう指示するソフトウェアを含んでいてもよい。一部の実施形態では、ベース部は、連続して(例えば、設定期間にわたり、無期限に)および/またはオペレーターの介入なしに回転することが可能であってもよく、および/または回転するよう構成されてもよい。一例として、ベース部には、能動的なオペレーターの関与なしにベース部を自律的に回転させることができるソフトウェアが設けられていてもよい。
【0041】
回転可能なベース部は、様々な適切な速度で回転することが可能であってもよい。一部の実施形態では、回転速度は、反応容積内で行われる堆積プロセスの過程において、回転可能なベース部が厳密に1回の完全回転を受けるようにまたは整数倍の完全回転を受けるように選択される。一部の実施形態では、回転速度は0.1rpmよりも大きくもしくはそれに等しく、0.2rpmよりも大きくもしくはそれに等しく、0.5rpmよりも大きくもしくはそれに等しく、0.75rpmよりも大きくもしくはそれに等しく、1rpmよりも大きくもしくはそれに等しく、2rpmよりも大きくもしくはそれに等しく、5rpmよりも大きくもしくはそれに等しく、または7.5rpmよりも大きくもしくはそれに等しい。一部の実施形態では、回転速度は10rpm未満もしくはそれに等しく、7.5rpm未満もしくはそれに等しく、5rpm未満もしくはそれに等しく、2rpm未満もしくはそれに等しく、1rpm未満もしくはそれに等しく、0.75rpm未満もしくはそれに等しく、0.5rpm未満もしくはそれに等しく、または0.2rpm未満もしくはそれに等しい。上記参照された範囲の組合せも可能である(例えば、0.1rpmよりも大きくまたはそれに等しく、かつ10rpm未満またはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0042】
一部の実施形態では、システムは、反応容積の壁および/またはベース部の1つまたは複数が、除去および/または置換え可能になるよう構成される。1つまたは複数の壁および/またはベース部が、除去および/または置換え可能な1つまたは複数の部分を含むように、ならびに除去および/または置換え不可能な1つまたは複数の部分を含むようにすることも可能である。一例として、一部の実施形態では、システムは、ベース部および/またはベース部の一部が除去可能であるように構成される。このことは、種々のタイプのプロセスに関して種々のタイプのベース部を使用することが有利な実施形態に望ましいと考えられる。例えば、一部の実施形態では、回転ベース部と非回転ベース部との間で可逆的に切り換えることが望ましい場合がある。ベース部および/または壁が除去可能であるとき、それらは比較的迅速に除去および/または置き換えられるように構成されてもよい。例えば一部の実施形態では、何秒および/または何分の期間にわたり、1つの壁が別の壁で置き換えられてもよくおよび/または1つのベース部が別のベース部で置き換えられてもよい。
【0043】
一部の実施形態では、システムは、加熱され、冷却され、および/または特定の範囲内の温度で維持されることが可能な、ベース部(例えば、回転可能ベース部、非回転可能ベース部)および/または1つもしくは複数の壁を含む。例えば、反応容積を囲むベース部および/または1つもしくは複数の壁は、加熱され、冷却され、および/または特定の範囲内の温度で維持されることが可能であってもよい。別の例として、堆積チャンバー(例えば、反応容積を囲むベース部および1つまたは複数の壁を囲んでいる、堆積チャンバー)のベース部および/または1つもしくは複数の壁は、加熱され、冷却され、および/または特定の範囲内の温度で維持されることが可能であってもよい。一部の実施形態では、ベース部および/または壁は、冷却システムおよび/または加熱システムと熱連通してもよい。例えば、ベース部および/または壁は、冷却されたおよび/または加熱された流体を、ベース部および/または壁(例えば、基材が位置決めされている表面に対向する表面)の全体にわたって、および/またはベース部および/または壁の内部を経て流すことにより、冷却および/または加熱されてもよい。この目的に適した流体の一例は、水である。一部の実施形態では、ベース部および/または壁は、電気的に冷却および/または加熱されてもよい。例えば、ベース部および/または壁は、抵抗加熱されてもよい。別の例として、熱は、ペルチェ冷却システムを使用することにより、ベース部および/または壁に提供されてもよく、および/またはベース部および/または壁から除去されてもよい。
【0044】
ベース部および/または壁は、直接加熱および/または冷却されてもよく、および/または間接的に加熱および/または冷却されてもよいことにも留意すべきである。直接加熱および/または冷却は、先の段落で記述された方法の1つまたは複数により、ベース部および/または壁を直接加熱および/または冷却することを含んでいてもよい。間接的に加熱および/または冷却することは、先の段落で記述される方法の1つまたは複数によってベース部または壁以外の物品を直接加熱および/または冷却すること、ならびにベース部および/または壁を、直接加熱および/または冷却された物品に接触させることを含んでいてもよい。
【0045】
冷却素子をベース部上に配置することが可能であることも留意すべきであり、これは本明細書のさらに他の箇所に記述される実施形態である。言い換えれば、一部の実施形態において、ベース部自体は加熱および/または冷却され、さらなる冷却素子は設けられておらず、一部の実施形態ではベース部自体が加熱も冷却もされずに冷却素子がベース部上に配置されて、その表面に位置決めされた基材を冷却し、一部の実施形態では、ベース部自体が加熱および/または冷却され、さらなる冷却素子がベース部上に配置されて、その表面に位置決めされた基材を冷却し、一部の実施形態では、ベース部が加熱も冷却もされずかつ冷却素子が設けられていない。
【0046】
一部の実施形態では、壁およびベース部は、反応容積が反応容積の外部の環境と流体連通しないように、反応容積を囲む。反応容積は、他ではなくいくつかの時点でこのように隔離されてもよい。例えば、反応容積は、真空源と流体連通するときにおよび/または反応容積内で行われる反応(例えば、重合反応)中に、このように隔離されてもよい。反応容積の隔離は、気密であり気密な接続によって接合される、複数の壁およびベース部を用いることによって実現されてもよい。一部の実施形態では、反応容積の隔離は、任意の開口および/または可能性ある気体漏出源から離れた方向に向かうような手法で、気体を反応容積内に導入することによって実現される(および/または反応容積から出る気体輸送が低減される)。
【0047】
本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態では、フィラメントおよび/または複数のフィラメントが反応容積を通過する。フィラメントは、全体が反応容積内に含有されてもよく、および/または反応容積の外側にあるいくつかの部分を構成していてもよい。同様にフィラメントは、全体が堆積チャンバー内に含有されていてもよく、および/または堆積チャンバーの外側であるいくつかの部分を構成していてもよい。
【0048】
一部の実施形態では、フィラメントおよび/または複数のフィラメントは、フィラメントを1つの場所から別の場所に容易に移動できるように位置決めされる。例として、一部の実施形態では、システムは、比較的容易な手法で、フィラメントが反応容積内の2つまたはそれよりも多くの個別の場所に位置決めできるように、および/または反応容積内の2つもしくはそれよりも多くの個別の場所の間を移動できるように、構成されてもよい。例えば、一部の実施形態では、フィラメントが位置決めされ得る、反応容積内の2つまたはそれよりも多くの安定した場所、ならびに2つまたはより多くの安定な場所の間の1つまたは複数の不安定な場所があってもよい。フィラメントは、不安定な場所に安定して位置決めすることができなくてもよい。例えば、
図7を参照すると、フィラメント612は、安定な場所1212および1262に安定して位置決めできてもよく、しかし2つの安定な場所1212と1262との間に位置決めされた不安定な場所1312に安定に位置決めできなくてもよい。
図7は、反応容積312の断面図を示す。
【0049】
ある場所に安定して位置決めされたフィラメントは、オペレーターによりフィラメントに力が加えられない状態で、その場所に無制限に維持され得るように位置決めされてもよい。一部の実施形態では、フィラメントは、その場所から除去する小さな摂動を受けた後、オペレーターにより加えられる任意の追加の力がない状態でその場所に戻るように、その場所に安定して位置決めされる。フィラメントは、オペレーターにより加えられた小さい値を有する力が加えられた状態にあってもそこに維持されるよう、ある場所に安定して位置決めすることも可能である。
【0050】
ある場所に不安定に位置決めされたフィラメントは、オペレーターによりフィラメントに力が加えられない状態でその場所から別の場所に(例えば、安定に位置決めされた場所に)移るように位置決めされてもよい。一部の実施形態では、フィラメントは、その場所から除去する小さな摂動を受けた後、別の場所に(例えば、安定して位置決めされる場所に)移るようにおよび/またはこれまで不安定に位置決めされた場所に戻らないように、ある場所に不安定に位置決めされる。フィラメントは、オペレーターにより加えられた小さい値を有する力が加えられた状態にあってもそこに維持されないように、ある場所に不安定に位置決めすることも可能である。
【0051】
いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、フィラメントの安定な位置を1つまたは複数の定められたおよび/または事前に決定された場所に限定することは、有利になり得ると考えられる。例えばこの性質により、オペレーターは比較的予測可能なおよび/または再現可能な手法でシステムを用いることが可能になり得ると考えられる。例として、オペレーターは最初に、安定な場所の1つまたは複数に位置付けられるようにフィラメントを位置決めし得る。次いでオペレーターは、フィラメントが同じ安定した場所に位置決めされつつフッ素化ポリマーを堆積するのにシステムを使用してもよい。場所の安定性により、フィラメントが初期の配置後に移動しない事実をオペレーターは信頼することができ得るので、オペレーターは、フィラメントの位置の良好な制御を行うことが可能になり得る。さらに一部の実施形態では、フィラメントは、システムの使用と使用の間でそれらの安定な場所に保持されてもよい。これは同じ、変化しない構成を多数の一連の操作中に有するように、システムを用いることでオペレーターを支援し得る。第3の例として、一部の実施形態では、オペレーターは、一貫したしかし種々の安定な場所を、種々のプロセスに関して使用し得る。例えばオペレーターは、コーティングされる1つのタイプの基材に関して1つの安定な場所を用いてもよく、第2の異なるタイプの基材をコーティングするのに異なる安定な場所を用いてもよい。オペレーター(および/またはシステムにより提供されたソフトウェア)は、用いられる種々の安定な場所に注意を払ってもよく、投入された後に基材に関して適切で再現可能な安定な場所を選択してもよい。
【0052】
一部の実施形態では、システムは、反応容積内に少なくとも部分的に位置決めされた1つまたは複数のフィラメントに関して安定なおよび不安定な場所を定めることで支援するラッキングシステムを含む。ラッキングシステムは、ある特定の安定した構成およびある特定の不安定な構成(例えば、安定な構成の間に位置決めされる)を有することができるように構成されてもよい。例として、一部の実施形態では、ラッキングシステムは、ギア、ラチェット、およびツメの組合せ、静止フィラメント支持体(例えば、スロット、クランプなど)、および/または別の構成要素、および/または構成要素の組合せであって、一緒になってこの結果を引き起こし得るものを含んでいてもよい。一部の実施形態では、ラッキングシステムは、フィラメントに関する安定な場所が均一な距離で離間するように構成される。言い換えれば、フィラメントは、複数の安定な場所に位置決めすることが可能であってもよく、安定な場所のそれぞれとその最も近い隣接場所との間の距離は、比較的均一であってもよい。
【0053】
存在する場合、フィラメントに関する安定な場所は、様々な適切な平均距離だけ離間していてもよい。一部の実施形態では、安定な場所は、0.1mmよりも大きくもしくはそれに等しい、0.2mmよりも大きくもしくはそれに等しい、0.5mmよりも大きくもしくはそれに等しい、0.75mmよりも大きくもしくはそれに等しい、1mmよりも大きくもしくはそれに等しい、2mmよりも大きくもしくはそれに等しい、5mmよりも大きくもしくはそれに等しい、7.5mmよりも大きくもしくはそれに等しい、10mmよりも大きくもしくはそれに等しい、20mmよりも大きくもしくはそれに等しい、50mmよりも大きくもしくはそれに等しい、または75mmよりも大きくもしくはそれに等しい平均距離だけ離間される。一部の実施形態では、安定な場所は、100mm未満もしくはそれに等しい、75mm未満もしくはそれに等しい、50mm未満もしくはそれに等しい、20mm未満もしくはそれに等しい、10mm未満もしくはそれに等しい、7.5mm未満もしくはそれに等しい、5mm未満もしくはそれに等しい、2mm未満もしくはそれに等しい、1mm未満もしくはそれに等しい、0.75mm未満もしくはそれに等しい、0.5mm未満もしくはそれに等しい、または0.2mm未満もしくはそれに等しい平均距離だけ離間される。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、0.1mmよりも大きくもしくはそれに等しくかつ100mm未満もしくはそれに等しい、または2mmよりも大きくもしくはそれに等しくかつ10mm未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0054】
一部の実施形態では、フィラメントおよび/または複数のフィラメントは、反応容積内で少なくとも部分的に位置決めされる前に使用するために調製されてもよい。実際の使用前に使用するためフィラメントを調製することは、通常ならフィラメントが調製されるにつれ発生する可能性のあるシステムの休止時間を削減し得る。フィラメントおよび/または複数のフィラメントが使用のために調製され得る手法の一例は、そのようなフィラメントがワイヤーの形をとる場合、反応容積内に導入される前にフィラメントの支持体(例えば、本明細書の他の箇所に記述されるラッキングシステム)に事前に吊るされ得る。次いで事前に吊るされたフィラメントの支持体は、導入されかつ各フィラメントが別々に吊るされる代わりに、1片として反応容積内に導入されてもよい。さらに、オペレーターがフィラメントをシステムから除去することを望むとき(例えば、その他のフィラメントと置き換えるため)、オペレーターは、各フィラメントを個々に除去する代わりにフィラメント支持体を除去することによってそのようにすることが可能となり得る。このことはさらに、設備の休止時間を削減し得る。
【0055】
システムが、ワイヤーの形をとる複数のフィラメントを含むとき、ワイヤーは、それらに最も近い隣接物から有利な距離に位置決めされてもよい。一部の実施形態では、各ワイヤーとそれに最も近い隣接物との間の平均距離は、0.1インチよりも大きくもしくはそれに等しく、0.25インチよりも大きくもしくはそれに等しく、0.5インチよりも大きくもしくはそれに等しく、0.75インチよりも大きくもしくはそれに等しく、1インチよりも大きくもしくはそれに等しく、1.25インチよりも大きくもしくはそれに等しく、1.5インチよりも大きくもしくはそれに等しく、1.75インチよりも大きくもしくはそれに等しく、2インチよりも大きくもしくはそれに等しく、または2.25インチよりも大きくもしくはそれに等しくてもよい。一部の実施形態では、各ワイヤーとそれに最も近い隣接物との間の平均距離は、2.5インチ未満もしくはそれに等しく、2.25インチ未満もしくはそれに等しく、2インチ未満もしくはそれに等しく、1.75インチ未満もしくはそれに等しく、1.5インチ未満もしくはそれに等しく、1.25インチ未満もしくはそれに等しく、1インチ未満もしくはそれに等しく、0.75インチ未満もしくはそれに等しく、0.5インチ未満もしくはそれに等しく、または0.25インチ未満もしくはそれに等しくてもよい。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、0.1インチよりも大きくまたはそれに等しくかつ2.5インチ未満またはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0056】
一部の実施形態では、複数のワイヤーのうちの各ワイヤーは、実質的に同じであるそれに最も近い隣接物からの距離に位置決めされてもよい(例えば、各ワイヤーとそれに最も近い隣接物との間の距離の標準偏差は、各フィラメントとそれに最も近い隣接物との間の平均距離の10%未満もしくはそれに等しく、5%未満もしくはそれに等しく、2%未満もしくはそれに等しく、または1%未満もしくはそれに等しくてもよい)。一部の実施形態では、複数のワイヤーにおける種々のワイヤーは、それらに最も近い隣接物から実質的に異なる距離に位置決めされてもよい。
【0057】
システムが、反応容積内に少なくとも部分的にワイヤーの形をとる複数のフィラメントを含むとき、ワイヤーは、反応容積を囲む(複数の壁と一緒に)ベース部から有利な距離に位置決めされてもよい。ワイヤーとベース部との間の平均距離は、0.1インチよりも大きくもしくはそれに等しく、0.2インチよりも大きくもしくはそれに等しく、0.25インチよりも大きくもしくはそれに等しく、0.3インチよりも大きくもしくはそれに等しく、0.4インチよりも大きくもしくはそれに等しく、0.5インチよりも大きくもしくはそれに等しく、0.75インチよりも大きくもしくはそれに等しく、1インチよりも大きくもしくはそれに等しく、1.5インチよりも大きくもしくはそれに等しく、2インチよりも大きくもしくはそれに等しく、3インチよりも大きくもしくはそれに等しく、4インチよりも大きくもしくはそれに等しく、5インチよりも大きくもしくはそれに等しく、7.5インチよりも大きくもしくはそれに等しく、10インチよりも大きくもしくはそれに等しく、12.5インチよりも大きくもしくはそれに等しく、15インチよりも大きくもしくはそれに等しく、17.5インチよりも大きくもしくはそれに等しく、または20インチよりも大きくもしくはそれに等しくてもよい。ワイヤーとベース部との間の平均距離は、24インチ未満もしくはそれに等しく、20インチ未満もしくはそれに等しく、17.5インチ未満もしくはそれに等しく、15インチ未満もしくはそれに等しく、12.5インチ未満もしくはそれに等しく、10インチ未満もしくはそれに等しく、7.5インチ未満もしくはそれに等しく、5インチ未満もしくはそれに等しく、4インチ未満もしくはそれに等しく、3インチ未満もしくはそれに等しく、2インチ未満もしくはそれに等しく、1.5インチ未満もしくはそれに等しく、1インチ未満もしくはそれに等しく、0.75インチ未満もしくはそれに等しく、0.5インチ未満もしくはそれに等しく、0.4インチ未満もしくはそれに等しく、0.3インチ未満もしくはそれに等しく、0.25インチ未満もしくはそれに等しく、または0.2インチ未満もしくはそれに等しくてもよい。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、0.1インチよりも大きくもしくはそれに等しくかつ24インチ未満もしくはそれに等しく、または0.25インチよりも大きくもしくはそれに等しくかつ5インチ未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0058】
一部の実施形態では、複数のワイヤーにおける各ワイヤーは、実質的に同じであるベース部からの距離で位置決めされる(例えば、各ワイヤーとベース部との間の距離の標準偏差は、各フィラメントとベース部との間の平均距離の10%未満もしくはそれに等しく、5%未満もしくはそれに等しく、2%未満もしくはそれに等しく、または1%未満もしくはそれに等しくてもよい)。一部の実施形態では、複数のワイヤーにおける種々のワイヤーは、ベース部から実質的に異なる位置に位置決めされる。
【0059】
本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態では、システムは、ワイヤー(および/または複数のワイヤー)とベース部との間の距離が変化し得るように構成される。変化は、上記言及された範囲内の値の1つから、上記言及された範囲の1つまたは複数の第2の異なる値までの距離を調節することを含んでいてもよい。この変化は、比較的迅速に生じ得る。一例として、一部の実施形態では、システムは、ワイヤー(および/または複数のワイヤー)とベース部との間の距離が何秒または何分の期間にわたり変化し得るように構成されてもよい。
【0060】
一部の実施形態では、1つまたは複数のプロセスは、フィラメントで行われてもよい。例として、一部の実施形態では、および本明細書の他の箇所に記述されるように、電圧がフィラメントの両端(例えば、ワイヤーの形をとるフィラメントの両端)に加えられて、抵抗加熱を引き起こす。一部の実施形態では、フィラメントの両端への電圧の印加は、フィラメントを望ましい温度まで加熱させる。例えば、フィラメントの両端での電圧の印加は、フィラメントを150℃よりも高くもしくはそれに等しく、200℃よりも高くもしくはそれに等しく、250℃よりも高くもしくはそれに等しく、300℃よりも高くもしくはそれに等しく、350℃よりも高くもしくはそれに等しく、400℃よりも高くもしくはそれに等しく、450℃よりも高くもしくはそれに等しく、500℃よりも高くもしくはそれに等しく、550℃よりも高くもしくはそれに等しく、600℃よりも高くもしくはそれに等しく、650℃よりも高くもしくはそれに等しく、700℃よりも高くもしくはそれに等しく、750℃よりも高くもしくはそれに等しく、800℃よりも高くもしくはそれに等しく、850℃よりも高くもしくはそれに等しく、900℃よりも高くもしくはそれに等しく、950℃よりも高くもしくはそれに等しく、1000℃よりも高くもしくはそれに等しく、1100℃よりも高くもしくはそれに等しく、1200℃よりも高くもしくはそれに等しく、1300℃よりも高くもしくはそれに等しく、または1400℃よりも高くもしくはそれに等しい温度まで加熱させてもよい。一部の実施形態では、フィラメントの両端での電圧の印加は、フィラメントを1500℃未満もしくはそれに等しい、1400℃未満もしくはそれに等しい、1300℃未満もしくはそれに等しい、1200℃未満もしくはそれに等しい、1100℃未満もしくはそれに等しい、1000℃未満もしくはそれに等しい、950℃未満もしくはそれに等しい、900℃未満もしくはそれに等しい、850℃未満もしくはそれに等しい、800℃未満もしくはそれに等しい、750℃未満もしくはそれに等しい、700℃未満もしくはそれに等しい、650℃未満もしくはそれに等しい、600℃未満もしくはそれに等しい、550℃未満もしくはそれに等しい、500℃未満もしくはそれに等しい、450℃未満もしくはそれに等しい、400℃未満もしくはそれに等しい、350℃未満もしくはそれに等しい、300℃未満もしくはそれに等しい、250℃未満もしくはそれに等しい、または200℃未満もしくはそれに等しい温度まで加熱させる。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、150℃よりも高くもしくはそれに等しくかつ1500℃未満もしくはそれに等しい、または150℃よりも高くもしくはそれに等しくかつ1000℃未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。フィラメントの温度は、熱電対の使用によって決定されてもよい。
【0061】
フィラメントの両端で印加される電圧および/またはフィラメントの温度を、ある特定の範囲内に維持することも可能である。この範囲は、1つまたは複数の所望の反応の速度を高める、および/または1つまたは複数の望ましくない反応の速度を低減させる範囲であってもよい。例えば重合反応の場合、温度範囲は、認識可能な速度で所望のモノマーの重合を促進させ、前駆体の分解を促進させて開始剤を認識可能な速度で形成し、および/または前駆体の分解を促進させて所望のモノマーを認識可能な速度で形成させるが望ましくない副反応をかなりの程度まで促進させない範囲であってもよい。フィラメントの温度範囲は、一部の実施形態では、自動化プロセスによって特定の範囲内に維持されてもよい。自動化プロセスは、フィラメントの温度を感知すること(および/またはフィラメントの性質および/またはフィラメントの温度の代わりとなる反応容積を感知すること)を含んでいてもよい。フィラメントへの1つまたは複数の入力(および/または反応容積の1つまたは複数の性質)を、フィラメント(および/またはその代用物)の温度がある特定の範囲を超えるまたはそれよりも下に降下する場合、調節することを含んでいてもよい。フィラメント(および/またはその代用物)の温度がその範囲内である場合、フィラメントへの入力(および/または反応容積の性質)は、維持され得る。
【0062】
1つの特定の例として、一部の実施形態では、フィラメントの温度は、抵抗加熱されたフィラメントを通過する電流を感知し調節することによって、ある特定の範囲内に維持される。フィラメントにより散逸するエネルギーは、フィラメントを通過する電流およびフィラメントの両端に印加される電圧に対して公知の関係を有していてもよい。例えば、フィラメントにより散逸されたエネルギーは、以下の方程式:エネルギー=(電流)×(電圧)を解くことによって計算され得る。フィラメントの温度は、以下の方程式:フィラメントの抵抗率=(参照温度での抵抗率)+(温度により抵抗率の公知のばらつき)×(参照温度とフィラメント温度との間の差)を解くことによって決定されてもよい。
【0063】
より詳細には、一部の実施形態では、フィラメントの温度は、電流をフィラメントに流し、フィラメントの抵抗を感知し、およびその測定された抵抗がある特定のパーセンテージを超えて設定点とは異なる場合にフィラメントの両端に印加された電圧を調節することによって、ある特定の温度範囲内に維持される。フィラメントの抵抗は、直接感知されてもよく、または間接的に感知されてもよい(例えば、抵抗の代用物を感知し、次いでこの代用物から抵抗を決定することによって)。フィラメントの抵抗を間接的に感知する方法の一例は、フィラメントを通過する電流を感知し、次いでオームの法則を適用してフィラメントの抵抗を決定することを含む。フィラメント内を通る電流は、例えば電流計の使用によって決定されてもよい。電圧は、ある特定の温度範囲内にあるフィラメントを示す範囲内に電流を戻すように調節されてもよい。例えば電圧は、低レベルの電流がフィラメント内を流れることが感知された場合に増大させてもよく、または電圧は、高レベルの電流がフィラメント内を流れるのを感知したときに減少させてもよい。
【0064】
1つまたは複数のフィラメントの性質に対する調節は、比例積分微分制御器によって行われてもよい。比例積分微分制御器は、入力として、感知されるおよび/またはその値が印加電圧の調節を誘発させ得る、任意の適切な性質を得てもよい。例えば、フィラメントを通過する電流が感知されるおよび/または印加電圧がフィラメントを通過する電流に基づいて調節される場合、比例積分微分制御器は、感知された電流に基づいて電圧を調節し得る。別の例として、フィラメントの抵抗が感知されたおよび/または印加電圧がフィラメントの抵抗に基づいて調節された場合、比例積分微分制御器は、フィラメントの抵抗に基づいて(したがって、オームの法則がこの抵抗を計算するのに用いられる場合には、フィラメントに印加された電圧およびフィラメントを通過する電流に基づいて)、電圧を調節し得る。第3の例として、フィラメントによって散逸した電力が感知されたおよび/または印加電圧がフィラメントにより散逸した電力に基づいて調節された場合、比例積分微分制御器は、フィラメントによって散逸した電力に基づいて(したがって、上記提供されたエネルギー散逸に関する方程式がこの抵抗を計算するのに用いられる場合、フィラメントに印加された電圧およびフィラメントを通過する電流に基づいて)、電圧を調節し得る。
【0065】
フィラメントの両端に印加される電圧の調節は、フィラメントの抵抗が設定点に対して、設定点の0.1%よりも大きくもしくはそれに等しい、設定点の0.2%よりも大きくもしくはそれに等しい、設定点の0.5%よりも大きくもしくはそれに等しい、設定点の0.75%よりも大きくもしくはそれに等しい、設定点の1%よりも大きくもしくはそれに等しい、設定点の1.5%よりも大きくもしくはそれに等しい、設定点の2%よりも大きくもしくはそれに等しい、設定点の2.5%よりも大きくもしくはそれに等しい、設定点の3%よりも大きくもしくはそれに等しい、または設定点の4%よりも大きくもしくはそれに等しい量で異なるときに行われてもよい。フィラメントの両端に印加された電圧の調節は、フィラメントの抵抗が設定点に対して、設定点の5%未満もしくはそれに等しい、設定点の4%未満もしくはそれに等しい、設定点の3%未満もしくはそれに等しい、設定点の2.5%未満もしくはそれに等しい、設定点の2%未満もしくはそれに等しい、設定点の1.5%未満もしくはそれに等しい、設定点の1%未満もしくはそれに等しい、設定点の0.75%未満もしくはそれに等しい、設定点の0.5%未満もしくはそれに等しい、または設定点の0.2%もしくはそれに等しい量で異なるときに行われてもよい。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、設定点の0.1%よりも大きくもしくはそれに等しくかつ設定点の5%未満もしくはそれに等しい、または設定点の0.1%よりも大きくもしくはそれに等しくかつ設定点の1.5%未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0066】
先の段落における範囲は独立して、設定点を超えた値または設定点よりも下の値を指してもよいことを理解すべきである。例として、上記設定点の1%より大きいまたはそれに等しいばらつきでフィラメントの両端に印加された電圧の調節への言及は、独立して、フィラメントの抵抗が設定点の101%よりも大きくまたはそれに等しいときにフィラメントの両端に印加された電圧の調節、およびフィラメントの抵抗が設定点の99%未満またはそれに等しいときにフィラメントの両端に印加された電圧の調節を、指してもよい。フィラメントの両端に印加された電圧の調節は、同じ絶対値を有する設定点からの抵抗の正および負の偏差で誘発させることが可能であり(例えば、フィラメントの両端に印加された電圧の調節は、フィラメントの抵抗が設定点からその設定点の1%より大きくまたはそれに等しい量を超過したときまたは設定点の1%よりも大きくまたはそれに等しい量だけ設定点から低減させたときに、誘発されてもよい)、または種々の値を有する設定点からの抵抗の正および負の偏差で誘発されてもよい(例えば、フィラメントの両端に印加された電圧の調節は、フィラメントの抵抗が、設定点の0.5%よりも大きいまたはそれに等しい量だけ設定点を超えたときまたは設定点の1%よりも大きいまたはそれに等しい量だけ設定点から低減したときに誘発されてもよい)。
【0067】
システムは、フィラメントの加熱および/またはフィラメントの両端の電圧の印加を遮断する、安全性の特徴を含むことも可能である。安全性の特徴の一例は、反応容積が開放されたときにフィラメントの加熱および/またはフィラメントの両端の電圧の印加を防止する特徴であり、オペレーターが生きているフィラメントに接触するのを有利に防止するものである。安全性の特徴は、フィラメントから逃げて行く熱および/またはフィラメントの両端の電圧の印加であって破壊されおよび/または実質的に弱くなったものを、防止する特徴であることも可能である。例えば、一部の実施形態では、フィラメントの温度を感知する(および/またはフィラメントの性質および/またはフィラメントの温度の代用物である反応容積を感知する)ための自動化プロセスは、先の段落で記述されたように行われてもよい。フィラメントの温度および/またはフィラメントの温度の代用物が、ある特定の範囲外にある場合(例えば、フィラメントへの入力および/または反応の性質の調節が行われ得る範囲よりも大きい範囲)、警告が提供されてもよくおよび/またはフィラメントをオフにしてもよい(例えば、その両端に印加される電圧を除去することによって)。フィラメントへの入力(および/または反応容積の性質)の特定の組の調節が、適切な期間の後に、フィラメントの温度を所望の範囲に戻すことを示す手法でフィラメントの温度および/またはフィラメントの温度の代用物の変化をもたらさない場合、警告を提供することおよび/またはフィラメントをオフにすることも可能である。
【0068】
別の例として、一部の実施形態では、フィラメントの抵抗を感知する(および/またはフィラメントの性質および/またはフィラメントの抵抗の代用物である反応容積を感知する)ための自動化プロセスは、先の段落に記述されたように行われてもよい。フィラメントの抵抗および/またはフィラメントの抵抗の代用物がある特定の範囲外である場合(例えば、フィラメントへの入力および/または反応の性質の調節が行われ得る範囲よりも大きい範囲)、警告が提供されてもよく、および/またはフィラメントがオフにされてもよい(例えば、その両端に印加される電圧を除去することによって)。フィラメントへの入力(および/または反応容積の性質)に対する特定の組の調節が、適切な期間の後、所望の範囲にフィラメントの抵抗が戻ることを示す手法でフィラメントの抵抗および/またはフィラメントの温度の代用物に変化をもたらさない場合、警告を提供することおよび/またはフィラメントをオフにすることも可能である。
【0069】
一部の実施形態では、フィラメントを通過する電流は、フィラメントの温度および/または抵抗の代用物であってもよい。上述のように、フィラメントを通過する電流は、フィラメントの温度を決定するのに用いられてもよい。さらに、いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、公知の電圧の印加後にフィラメントを通過する電流は、フィラメントの抵抗を示し得ることが考えられる。例えば、オームの法則を適用することによってフィラメントの抵抗は、印加電圧の、このフィラメントを通過する電流に対する比に、等しくなることが見出され得る。したがって、フィラメントの抵抗の大きな変化、フィラメントの抵抗の迅速な変化、および/またはフィラメントの両端の印加電圧の変化に応答しないフィラメントの抵抗の変化は、異なる抵抗率を持たせる物理的および/または化学的プロセスを受けたフィラメントを示し得る。フィラメントの低効率が非常に高くなった場合、フィラメントは、望ましくないが大量の熱を反応容積に散逸させ、融解させ、および/または壊滅的な不具合(それらの後者は、無限の抵抗を示すフィラメントとして感知され得る)を受ける可能性がある。これらの理由で、そのようなプロセスをフィラメントが受けた可能性があることおよび/またはフィラメントを遮断することをオペレーターに警告するシステムの存在は、システムの安全な操作を促進し得る。
【0070】
フィラメントの抵抗が、設定点の0.1%よりも大きいもしくはそれに等しい、設定点の0.2%より大きいもしくはそれに等しい、設定点の0.5%よりも大きいもしくはそれに等しい、設定点の0.75%よりも大きいもしくはそれに等しい、設定点の1%よりも大きいもしくはそれに等しい、設定点の1.5%よりも大きいもしくはそれに等しい、設定点の2%よりも大きいもしくはそれに等しい、設定点の2.5%よりも大きいもしくはそれに等しい、設定点の3%よりも大きいもしくはそれに等しい、または設定点の4%よりも大きいもしくはそれに等しい量で設定点から異なる場合、警告が提供されてもよくおよび/またはフィラメントが遮断されてもよい。フィラメントの抵抗が、設定点の5%未満もしくはそれに等しい、設定点の4%未満もしくはそれに等しい、設定点の3%未満もしくはそれに等しい、設定点の2.5%未満もしくはそれに等しい、設定点の2%未満もしくはそれに等しい、設定点の1.5%未満もしくはそれに等しい、設定点の1%未満もしくはそれに等しい、設定点の0.75%未満もしくはそれに等しい、設定点の0.5%未満もしくはそれに等しい、または設定点の0.2%未満もしくはそれに等しい量で設定点とは異なる場合、警告が提供されてもよくおよび/またはフィラメントが遮断されてもよい。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、設定点の0.1%よりも大きくもしくはそれに等しくかつ設定点の5%未満もしくはそれに等しい、または設定点の0.1%よりも大きくもしくはそれに等しくかつ設定点の1.5%未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0071】
先の段落における範囲は独立して、設定点よりも過剰なまたは設定点よりも下の値を指す場合があることを理解すべきである。例として、上記設定点の1%よりも大きいまたはそれに等しいばらつきで警告を発することへの言及は、独立して、フィラメントの抵抗が設定点の101%よりも大きくまたはそれに等しいときに警告を発すること、およびフィラメントの抵抗が設定点の99%未満またはそれに等しいときに警告を発することを、指してもよい。同じ絶対値を有する設定点からの抵抗の正および負の偏差で警告を誘発させることが可能であり(例えば警告は、フィラメントの抵抗が、設定点の1%よりも大きいまたはそれに等しい量で設定点を超えたとき、または設定点の1%よりも大きいまたはそれに等しい量で設定点から低減したときに誘発させてもよい)、または種々の値を有する設定点からの抵抗の正および負の偏差で誘発させてもよい(例えば警告は、フィラメントの抵抗が設定点の0.5%よりも大きいまたはそれに等しい量で設定点を超えたときまたは設定点の1%よりも大きいまたはそれに等しい量で設定点から低減したときに誘発させてもよい)。
【0072】
抵抗以外の性質の値の変化に応答しておよび/または設定点付近の範囲外の抵抗以外の性質の感知後に、その抵抗以外のフィラメントの性質を感知させることおよび/またはシステムが動作をすること(例えば、フィラメントの両端に印加された電圧の増大または減少、フィラメントの遮断、警告の発生)も可能である。一例として、フィラメントの温度(例えば、高温計の使用により決定されるように)は感知されてもよく、および/または少なくとも部分的には感知された温度に基づいてシステムが1つまたは複数の動作をとってもよい。別の例として、フィラメントにより散逸された電力は感知されてもよく、および/または少なくとも部分的に、感知されたように散逸した電力に基づいてシステムが動作をとってもよい。
【0073】
その性能を増大させるようフィラメントに対して行い得るプロセスの別の例は、フィラメントに力を加えることである。例えば一部の実施形態では、引張り力が、ワイヤーの形をとるフィラメントに加えられる。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、ワイヤーに引張り力を加えることで、ワイヤーは緊張するようになってもよく、これは弛みを防止することができおよび/またはワイヤーを反応容積内の所望の位置に維持することができる(例えば、安定して)。ワイヤーの弛みは、望ましくないがワイヤーを破断させおよび/または反応容積内の別の構成要素と接触して短絡を形成し得るので、ワイヤーの緊張を保つことは、システムの性能を有利に高めることができる。加えられる力の量は、ワイヤーの1つまたは複数の機械的性質に基づいて選択されてもよい。例として、力は、ワイヤーを引っ張って緊張させるのに十分であるように、しかしワイヤーを破断しおよび/またはワイヤーの認識可能な弾性変形を引き起こすのに不十分ではないように、選択されてもよい。
【0074】
一部の実施形態では、ワイヤーに加えられる引張り力の、ワイヤーを形成する材料の定格引張り強さに対する比が、0.1よりも大きくもしくはそれに等しく、0.15よりも大きくもしくはそれに等しく、0.2よりも大きくもしくはそれに等しく、0.25よりも大きくもしくはそれに等しく、0.3よりも大きくもしくはそれに等しく、0.35よりも大きくもしくはそれに等しく、0.4よりも大きくもしくはそれに等しく、0.45よりも大きくもしくはそれに等しく、0.5よりも大きくもしくはそれに等しく、0.55よりも大きくもしくはそれに等しく、0.6よりも大きくもしくはそれに等しく、0.65よりも大きくもしくはそれに等しく、0.7よりも大きくもしくはそれに等しく、0.75よりも大きくもしくはそれに等しく、0.8よりも大きくもしくはそれに等しく、0.85よりも大きくもしくはそれに等しく、または0.9よりも大きくもしくはそれに等しい。一部の実施形態では、ワイヤーに加えられる引張り力の、ワイヤーを形成する材料の定格引張り強さに対する比は、0.95未満もしくはそれに等しく、0.9未満もしくはそれに等しく、0.85未満もしくはそれに等しく、0.8未満もしくはそれに等しく、0.75未満もしくはそれに等しく、0.7未満もしくはそれに等しく、0.65未満もしくはそれに等しく、0.6未満もしくはそれに等しく、0.55未満もしくはそれに等しく、0.5未満もしくはそれに等しく、0.45未満もしくはそれに等しく、0.4未満もしくはそれに等しく、0.35未満もしくはそれに等しく、0.3未満もしくはそれに等しく、0.25未満もしくはそれに等しく、0.2未満もしくはそれに等しく、または0.15未満もしくはそれに等しい。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、0.1よりも大きくもしくはそれに等しくかつ0.95未満もしくはそれに等しい、または0.6よりも大きくもしくはそれに等しくかつ0.8未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0075】
先の段落における値は、様々な適切な温度でワイヤーを形成する材料の定格強度を指してもよい。一部の実施形態では、ワイヤーに加えられた引張り力の、その定格引張り強さに対する比は、ワイヤーの温度が、フッ素化ポリマーコーティングの堆積中にフィラメントが加熱される温度であるときに、上述の範囲の1つまたは複数の範囲内にある(例えば、本明細書の他の箇所で提供される1つまたは複数のそのような範囲にある温度)。同様に、引張り力の量は、ワイヤーが様々な適切な環境で位置決めされるときに、ワイヤーに適用されてもよい。例として、一部の実施形態では、引張り力は、基材上へのフッ素化ポリマーコーティングの堆積中にワイヤーに加えられてもよい。そのような実施形態では、ワイヤーが位置決めされる環境の温度および/または圧力は、本明細書の他の箇所でそのような堆積反応に関して記述された範囲の1つまたは複数にあってもよい。
【0076】
本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態では、エネルギーは、プラズマによって反応容積に提供されてもよい。このエネルギーは、反応容積内で生じる1つまたは複数の反応(例えば、重合反応、前駆体からモノマーに分解してモノマーを形成する分解反応、前駆体から開始剤に分解して開始剤を形成する分解反応)を触媒してもよい。プラズマは、帯電したおよび/または遊離ラジカルを含む粒子を含む物質の相であってもよい。
【0077】
一部の実施形態では、プラズマは、高周波などの波の形で提供される。プラズマは、3MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、5MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、7.5MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、10MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、12.5MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、15MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、17.5MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、20MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、25MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、30MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、35MHzよりも大きいもしくはそれに等しい、40MHzよりも大きいもしくはそれに等しい周波数で提供されてもよい。一部の実施形態では、プラズマは、50MHz未満もしくはそれに等しい、35MHz未満もしくはそれに等しい、30MHz未満もしくはそれに等しい、25MHz未満もしくはそれに等しい、20MHz未満もしくはそれに等しい、17.5MHz未満もしくはそれに等しい、15MHz未満もしくはそれに等しい、12.5MHz未満もしくはそれに等しい、10MHz未満もしくはそれに等しい、7.5MHz未満もしくはそれに等しい、または5MHz未満もしくはそれに等しい周波数で提供される。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、7.5MHzよりも大きくもしくはそれに等しくかつ20MHz未満もしくはそれに等しい、10MHzよりも大きくもしくはそれに等しくかつ15MHz未満もしくはそれに等しい、または10MHzよりも大きくもしくはそれに等しくかつ20MHz未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0078】
一部の実施形態では、プラズマは、1つまたは複数のパルスの形で供給される。パルスは、任意の周波数で生じてもよい。一部の実施形態では、プラズマは、周波数が0.25kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、0.5kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、0.75kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、1kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、1.5kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、2kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、3kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、5kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、7.5kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、10kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、15kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、25kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、50kHzよりも大きくもしくはそれに等しい、または75kHzよりも大きくもしくはそれに等しい周波数を持つパルスの形で供給される。一部の実施形態では、プラズマは、100kHz未満もしくはそれに等しい、75kHz未満もしくはそれに等しい、50kHz未満もしくはそれに等しい、25kHz未満もしくはそれに等しい、15kHz未満もしくはそれに等しい、10kHz未満もしくはそれに等しい、7.5kHz未満もしくはそれに等しい、5kHz未満もしくはそれに等しい、3kHz未満もしくはそれに等しい、2kHz未満もしくはそれに等しい、1.5kHz未満もしくはそれに等しい、1kHz未満もしくはそれに等しい、0.75kHz未満もしくはそれに等しい、または0.5kHz未満もしくはそれに等しい周波数を持つパルスの形で供給される。上記参照される範囲の組合せも可能である(例えば、0.5kHzよりも大きくもしくはそれに等しくかつ10KHz未満もしくはそれに等しい、1kHzよりも大きくもしくはそれに等しくかつ15kHz未満もしくはそれに等しく、または1kHzよりも大きくもしくはそれに等しくかつ10kHz未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0079】
一部の実施形態では、プラズマは、デューティーサイクルを含むパルスの形で供給される。そのデューティーサイクルは、プラズマが印加される時間の長さを、全サイクル時間(プラズマが印加される時間およびプラズマが印加されない時間の合計)で割った値と同等である。任意の適切なデューティーサイクルが用いられてもよい。一部の実施形態では、プラズマは、0.02よりも大きくもしくはそれに等しい、0.05よりも大きくもしくはそれに等しい、0.1よりも大きくもしくはそれに等しい、0.2よりも大きくもしくはそれに等しい、0.3よりも大きくもしくはそれに等しい、0.4よりも大きくもしくはそれに等しい、または0.5よりも大きくもしくはそれに等しいデューティーサイクルを含むパルスの形で供給される。一部の実施形態では、プラズマは、0.75未満もしくはそれに等しい、0.5未満もしくはそれに等しい、0.4未満もしくはそれに等しい、0.3未満もしくはそれに等しい、0.2未満もしくはそれに等しい、0.1未満もしくはそれに等しい、または0.05未満もしくはそれに等しいデューティーサイクルを含むパルスの形で供給される。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、0.05よりも大きくまたはそれに等しくかつ0.2未満またはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。一部の実施形態では、プラズマは、一定の強度で反応容積に供給される。
【0080】
一部の実施形態では、プラズマは、リモートプラズマの形で供給される。リモートプラズマは、基材から任意の距離で供給されてもよい。一部の実施形態では、プラズマは、基材から、1cmよりも大きいもしくはそれに等しい、3cmよりも大きいもしくはそれに等しい、5cmよりも大きいもしくはそれに等しい、8cmよりも大きいもしくはそれに等しい、10cmよりも大きいもしくはそれに等しい、15cmよりも大きいもしくはそれに等しい、20cmよりも大きいもしくはそれに等しい、25cmよりも大きいもしくはそれに等しい、または30cmよりも大きいもしくはそれに等しい距離で供給される。一部の実施形態では、プラズマは、基材から50cm未満もしくはそれに等しい、30cm未満もしくはそれに等しい、25cm未満もしくはそれに等しい、20cm未満もしくはそれに等しい、15cm未満もしくはそれに等しい、10cm未満もしくはそれに等しい、8cm未満もしくはそれに等しい、5cm未満もしくはそれに等しい、または3cm未満もしくはそれに等しい距離で供給される。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、1cmよりも大きいもしくはそれに等しくかつ30cm未満もしくはそれに等しい、3cmよりも大きくもしくはそれに等しくかつ25cm未満もしくはそれに等しい、または8cmよりも大きくもしくはそれに等しくかつ50cm未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0081】
プラズマは、任意の適切な電力密度で提供されてもよい。プラズマの電力密度は、プラズマ電極の平方センチメートル当たりのプラズマで提供されたエネルギーに等しい。一部の実施形態では、プラズマは、0.5mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、0.75mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、0.1mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、1.5mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、2mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、5mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、7.5mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、10mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、12.5mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、15mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、20mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、30mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、35mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、40mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい、または45mW/cm2よりも大きいもしくはそれに等しい電力密度で存在する。一部の実施形態では、プラズマは、50mW/cm2未満もしくはそれに等しい、45mW/cm2未満もしくはそれに等しい、40mW/cm2未満もしくはそれに等しい、35mW/cm2未満もしくはそれに等しい、30mW/cm2未満もしくはそれに等しい、25mW/cm2未満もしくはそれに等しい、20mW/cm2未満もしくはそれに等しい、15mW/cm2未満もしくはそれに等しい、12.5mW/cm2未満もしくはそれに等しい、10mW/cm2未満もしくはそれに等しい、7.5mW/cm2未満もしくはそれに等しい、5mW/cm2未満もしくはそれに等しい、2mW/cm2未満もしくはそれに等しい、1.5mW/cm2未満もしくはそれに等しい、1mW/cm2未満もしくはそれに等しい、または0.75mW/cm2未満もしくはそれに等しい電力密度で存在する。上記参照された範囲の組合せも可能である(例えば、0.5mW/cm2よりも大きくもしくはそれに等しくかつ1mW/cm2未満もしくはそれに等しい、0.5mW/cm2よりも大きくもしくはそれに等しくかつ2mW/cm2未満もしくはそれに等しい、0.75mW/cm2よりも大きくもしくはそれに等しくかつ5mW/cm2未満もしくはそれに等しい、1mW/cm2よりも大きくもしくはそれに等しくかつ10mW/cm2未満もしくはそれに等しい、または0.5mW/cm2よりも大きくもしくはそれに等しくかつ15mW/cm2未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0082】
存在する場合、プラズマは、それが供給される反応容積全体にわたって実質的に均一であってもよい。プラズマの均一性は、反応容積での電力密度の標準偏差の、反応容積での平均電力密度に対する比によって特徴付けられてもよい。一部の実施形態では、反応容積での電力密度の標準偏差の、反応容積での平均電力密度に対する比は、25%未満もしくはそれに等しく、20%未満もしくはそれに等しく、15%未満もしくはそれに等しく、10%未満もしくはそれに等しく、または5%未満もしくはそれに等しい。その他の範囲も可能である。
【0083】
一部の実施形態では、高いプラズマ均一性は、ある特定の設計要素を反応容積および/または堆積チャンバー内に組み込むことによって実現される。例えば、反応容積および/または堆積チャンバーは、電極を含んでいてもよく、電極の中心付近で連結されている。別の例として、反応容積および/または堆積チャンバーは、遮蔽された入口電源を含んでいてもよい。反応容積におけるプラズマの均一性を改善し得るその他の設計特徴を組み込んでもよい。
【0084】
本明細書のその他の箇所に記述されるように、一部の実施形態では、システムは、反応容積に1種または複数の化学種を導入しおよび/またはそこから除去するように構成された1つまたは複数の供給源を含む。供給源は、反応容積と常に流体連通する供給源であってもよく、または反応容積との流体連通内に配置されおよび/またはそこから除去され得る供給源であってもよい(例えば、可逆的に)。特定のタイプの供給源に関するさらなる詳細を、以下に提示する。
【0085】
本明細書に記述される供給源は、様々な適切な形を有していてもよい。一部の実施形態では、供給源は、ポートによって反応容積との流体連通内に配置されおよび/またはそこから除去され得る材料の(または真空の)リザーバーの形をとる。一例として、気体の供給源は、気体シリンダー(例えば、加圧された気体を含む)の形をとってもよくおよび/または気体シリンダーを含んでいてもよい。ポートは、反応容積を供給源から切り離してもよく、開放されおよび/または閉鎖されて供給源を反応容積との流体連通内におよび/またはその外に配置してもよい。ポートは、供給源と直接または間接的に流体連通していてもよい。例えばポートは、管材を介して供給源と流体連通していてもよい。
【0086】
ポートと反応容積との間の界面は、様々な適切なデザインを有していてもよい。一部の実施形態では、ポートは、ポートが開放しているときにそこを通して供給源が反応容積と流体連通して配置される、単一の開口を有する。単一の開口は、様々な適切な形状およびサイズを有していてもよい。例えば丸みを帯びていてもよく、長方形、正方形などであってもよい。いくつかの適切なポートは、多数の開口を有する。1つの特定の例として、ポートは、複数の開口を有していてもよい。複数の開口は、反応容積の壁に沿っておよび/または反応容積内に存在するチューブに沿って位置決めされてもよい。
【0087】
一部の実施形態では、2つの供給源を含むシステムは、反応容積を横断して互いに対向して位置決めされた供給源と流体連通するポートを含む。しかしながらシステムは、さらにまたは代わりに互いに対向して位置決めされないようなポートを含むことも可能である。そのようなポートは、反応容積の対向面に、しかし互いに直接対向しないよう互い違いに配置されてもよく、または反応容積の隣接面に位置決めされてもよい。
【0088】
一部の実施形態では、ポートに加えてまたはポートの代わりに、流動制御器が供給源と反応容積との間に位置決めされていてもよい。一例として、一部の実施形態では、質量流量制御器が気体の供給源と反応容積との間に配置される。別の例として、本明細書の他の箇所に記述されるように、スロットル弁が真空源と反応容積との間に配置されていてもよい。
【0089】
本明細書の他の箇所にも記述されるように、一部の実施形態では、供給源および/または複数の供給源は、基材上にフッ素化ポリマーコーティングを堆積するよう反応し得る気体および/または気体の組合せを導入することが可能でありおよび/または導入するよう構成される。気体および/または気体の組合せは、プロセスガスを含んでいてもよい。プロセスガスは、1種または複数の気状モノマー(例えば、1種または複数のフッ素化モノマーなど、フッ素化ポリマーを形成するよう重合反応を受け得る1種または複数の気状モノマー)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、プロセスガスは、それ自体はモノマーではなく反応容積内でモノマーを形成し得る、1種または複数の化学種を含む(言い換えれば、モノマーの前駆体である化学種)。例えば一部の実施形態では、プロセスガスは、分解および/または熱分解反応など、化学反応を受けてモノマーを反応容積内に形成するように構成される1種または複数の化学種を含む。この化学反応は、1つまたは複数の条件および/または反応容積内に存在する化学種により触媒されてもよい。例えば化学反応は、加熱されたフィラメントへの曝露によるなど、熱によって触媒されてもよい。プロセスガスは、開始剤および/またはキャリアガス(例えば、窒素、ヘリウム、および/またはアルゴンなどの不活性ガス)を含むことも可能である。
【0090】
適切なモノマーおよび/またはモノマー前駆体(即ち、モノマーを形成するための反応を受け得る化学種)の非限定的な例は、C3F6O(HFPOまたはヘキサフルオロプロピレンオキシドであって、フィラメントからそこに熱を加えた後などにモノマーを形成するよう分解する化学種であってもよいもの)、C2F4、C3F8、CF3H、CF2H2、CF2N2(ジフルオルジアキシリン)、CF3COCF3、CF2ClCOCF2Cl、CF2ClCOCFCl2、CF3COOH、ジフルオロハロメタン(例えば、CF2Br、CF2HBr、CF2HCl、CF2Cl2、およびCF2FCl)、ジフルオロシクロプロパン(例えば、C3F6、C3F4H2、C3F2Cl4、C2F3Cl3、およびC3F4Cl2)、トリフルオロメチルフルオロホスファン(例えば、(CF3)3PF3、(CF3)3PF3、および(CF3)PF4)、およびトリフルオロメチルホスフィノ化合物(例えば、(CF3)3P、(CF3)2P-P(CF3)2、(CF3)2PX、およびCF3PX2、但しXはF、Cl、またはHである)を含む。上述の気体の2種またはそれよりも多くを互いに組み合わせて提供することも可能である(例えば、単一の供給源によって、2つまたはそれよりも多くの供給源によって)。
【0091】
一部の実施形態では、プロセスガスはさらに1種または複数のキャリアガスを含み、および/または1種または複数のキャリアガスは、供給源により提供される。キャリアガスは、モノマーを溶解しおよび/またはモノマーの輸送を支援するよう働いてもよい。適切なキャリアガスの非限定的な例には、不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン)が含まれる。
【0092】
本明細書の他の箇所に記述されるように、システムは、真空源を含むことも可能である。真空源は、それに流体連通するとき、反応容積から排気するように構成されてもよい。このことは、例えば、反応容積がフッ素化ポリマーコーティングの堆積中に含むことが望ましくないと考えられる気体の組合せを反応容積が最初に含むとき、有利になり得る。例えば、いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、一部の気体は重合反応を阻害し得ると考えられる。そのような気体は、さらなる成長を終端させるように認識可能な長さに到達する前に、成長するポリマー鎖と反応してもよく、および/または非反応性にするような手法で成長するポリマー鎖に組み込まれる前にモノマーと反応してもよい。そのような気体の非限定的な例には、空気、水蒸気、アセトン、およびイソプロパノールが含まれる。
【0093】
1種または複数の気体を反応容積から除去することが望ましいと考えられる状況の別の例は、コーティングの堆積中に行われるステップの終わりにある。コーティングの堆積中、反応容積は、様々な反応性および/または毒性の気体を含み得る。反応容積は、1つまたは複数のさらなるプロセスが行われる前に、そのような気体をパージすることが望ましいと考えられる。例えば、2種の全く異なる化学組成を持つ2つの層を順次堆積することを含む方法を行うのにシステムが用いられるとき、第2の層の堆積を開始する前に第1の層を形成するよう反応した気体を除去することが望ましい場合がある。これらの化学種の除去は、第2の層へのこれらの気体の反応生成物の組込みおよび/またはこれらの気体と第2の層を形成するため反応するように構成された気体との間の有害反応を防止し得るので、望ましい化学組成を有する第2の層の堆積を容易にし得る。
【0094】
1種または複数の気体を反応容積から除去するのが望ましいと考えられる状況の第3の例は、コーティングを堆積するためのプロセスの終わりにある。上述のように、反応容積は、コーティング堆積中、反応性および/または毒性の気体を含んでいてもよい。オペレーターがそのような気体に曝され、および/または制御できない手法でそのような気体が反応容積の外の環境に放出されるのは、望ましくない場合がある。したがってそのような場合、コーティングプロセスの終わりにコーティングされた基材を回復させるため、反応容積がその外の環境に曝露される前に、反応容積内に存在する気体はそこから除去されることが望ましい場合がある。
【0095】
様々な適切なタイプの真空源が用いられてもよい。例として、一部の実施形態では、真空源が真空ポンプを含む。真空ポンプは、オンにして反応容積と流体連通したとき、その内容物を外にポンプ送出することにより反応容積を排気し得る。
【0096】
一部の実施形態では、真空源は、反応容積から空気および/またはその他の気体を除去するのに有利なものにする1つまたは複数の性質を有する。一例として、一部の実施形態では、真空源は、反応容積からの気体の除去が比較的ゆっくりとした期間にわたって生じるように構成される。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、反応容積からの比較的ゆっくりとした気体の除去は、小さいおよび/または軽い部品が反応容積内に位置決めされたときに望ましくなり得ると考えられる。そのような部品は、真空源に曝露された後、気体が反応容積から素早く流出したときに発生し得る気体の流れにより移動される傾向を有すると考えられる。反応容積からの気体のよりゆっくりとした除去は、そのような流れの大きさおよび/または数を低減し得ると考えられる。
【0097】
反応容積からの気体のゆっくりとしたおよび/または制御された除去は、真空源と反応チャンバーとの間に位置決めされたスロットル弁の使用によって実現され得る。スロットル弁は、真空源への反応容積の曝露を制限してもよく、および/またはゆっくり開放して、時間と共に真空源への反応容積の曝露を増大させてもよい。これらのプロセスは、真空源がそのようなスロットル弁を持たない可能性がある場合よりも遅い速度で、真空源でその内部の気体を除去させ得る。
【0098】
一部の実施形態では、システムは、反応容積と流体連通する真空源を配置すること以外の手法で、1種または複数の気体が反応容積から除去され得るように構成される。一例として、一部の実施形態では、システムは、1種または複数の気体が反応容積に導入されてこの反応容積内に存在するその他の気体をそこから変位させ得るように構成されてもよい。例えばシステムは、不活性ガス(および/または複数の不活性ガス)が反応容積内に導入されて反応性および/または毒性の気体(および/または複数の反応性および/または毒性の気体)を変位させ得るように構成されてもよい。不活性ガスは、反応性および/または毒性の気体を供給する(および/または事前に供給する)供給源以外の1つまたは複数の供給源など、反応容積と流体連通する1つまたは複数の供給源から導入されてもよい。
【0099】
1種または複数の不活性ガスを反応容積内に導入することは、そこに流体連通する真空源を配置することによってまたはそのようなプロセスと併せて、反応容積から気体を除去する代わりに行われてもよい。後者の場合、真空源は、反応容積と流体連通するとき、反応容積からの不活性ガスならびに反応性および/または毒性の気体の両方を排気し得る。1つの特定の例では、真空源は、反応性および/または毒性の気体を含みかつ不活性ガスの1つまたは複数の供給源と流体連通する、反応容積と流体連通して配置されてもよい。真空源は、最初に両方のタイプの気体を排気し得る。次いで不活性ガスの供給源は、真空源と反応容積との間の流体連通を維持しつつ、反応容積との流体連通から除去されてもよい。次いで真空源はさらに、反応容積からその内部に残された全ての気体を排気してもよい。
【0100】
一部の実施形態では、システムは、反応容積と流体連通して配置され得る出口を含む。出口は、反応容積内に存在する1種または複数の気体が、反応容積と流体連通するときに反応容積から流出するように構成されてもよい。出口は、ヒュームフードなど、反応容積内に存在する気体が安全に排出されていく場所と、流体連通していてもよい。一部の実施形態では、出口は、反応容積と可逆的に流体連通していてもよい。例えば出口は、反応容積が真空源と流体連通する期間中、反応容積との流体連通から除外されてもよい。出口は、気体が反応容積から出口を経て流出し得るように、しかし気体は出口を経て反応容積に流入できないように構成されることも可能である。例えば一部の実施形態では、出口は、逆止弁、気体バブラー、および/またはこの機能性を提供する別の構成要素を含んでいてもよい。一部の実施形態では、出口は、気体を反応容積に流入させかつそこから流出させるように構成されるが、反応容積に流入する気体(例えば、1つまたは複数の供給源から)は、出口から反応容積に入る認識可能な流れがないように、十分な量および/または十分な速度で反応容積に流入してもよい。
【0101】
一部の実施形態では、本明細書に記述されるシステムは、冷却システムを含む。冷却システムは、反応容積の1つまたは複数の部分を冷却するように構成されてもよい。例えば例として、一部の実施形態では、システムは、反応容積内でコーティングされている基材を冷却するように構成された冷却システムを含む。有利には、基材を冷却することは、所望のモルホロジーを有し、所望の分子量を有し、および/または所望の速度で形成する、その表面でのコーティングの形成を促進してもよい。例として基材の温度は、基材上に堆積される気状種(例えば、気状ポリマー)の傾向に影響を及ぼし得る。例えば、基材が反応容積の1つまたは複数のその他の部分よりも冷却した場合、気状種は、反応容積内のその他のより温かい表面と比較して、基材上に優先的に堆積されてもよい。別の例として、基材の温度は、その表面に堆積される任意の化学種の移動度に影響を及ぼし得る。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、熱は、表面での化学種の移動度を高めると考えられ、したがってより冷たい基材は、より温かい基材と比較して、表面に堆積された任意の化学種の移動度を抑制し得る。冷却された基材は、反応容積内の比較的温かい気状雰囲気におけるよりも、その表面での重合の低減した速度を示し得ることも考えられる。
【0102】
一部の実施形態では、冷却された基材は、通常なら堆積プロセス中に1つまたは複数の望ましくないプロセスを受ける可能性がある、基材上でのコーティングの堆積を、容易にし得る。例えば、一部の実施形態では、通常ならコーティング中に溶融しおよび/または有害な化学反応(例えば、分解反応、反応容積内に存在する1種または複数の気体との反応)を受ける可能性があるコーティングを基材上に堆積することが望ましい場合がある。基材の冷却は、そのようなプロセスを受ける基材の傾向を低減させおよび/またはなくし得る。
【0103】
存在するとき、冷却システムは様々なデザインを有していてもよい。一部の実施形態では、冷却システムは冷却素子を含む。冷却素子は、反応容積の1つまたは複数のその他の構成要素よりも低い温度で保持されるように構成された冷却システムの構成要素であってもよい。冷却素子は、一定温度で(例えば、設定点で)、一定の温度範囲内で(例えば、設定点付近で定められた範囲で)、および/または様々な温度範囲内で(例えば、ある特定の値よりも下の任意の温度で、そこまで冷却することができる最も低い温度で)維持されるように構成されてもよい。冷却素子は、基材を冷却するように構成された物品であってもよい。例として、冷却素子は、それ自体を冷却することによって基材を冷却するよう構成されてもよい。さらに基材の1つまたは複数の部分に直接接触してもよく、基材の1つまたは複数の部分に直接隣接して位置決めされた反応容積の1つまたは複数の構成要素に直接接触してもよく(例えば、冷却素子と基材の1つまたは複数の部分との間に直接位置決めされた熱伝導層)、および/または基材に近接する気体を冷却し次いで基材を冷却するように、基材に近接していてもよい。
【0104】
一部の実施形態では、冷却素子は、比較的高い熱伝導度を持つ1種または複数の材料を含む。例として、一部の実施形態では、冷却素子は金属(例えば、アルミニウム)を含む。
【0105】
冷却素子は、それ自体が冷却システムの1つまたは複数のその他の構成要素により冷却されてもよい。例として一部の実施形態では、冷却システムはさらに、冷却素子を冷却するよう構成された1つまたは複数の構成要素を含む。適切なそのような構成要素の一例は、冷却された流体を冷却素子を横断しておよび/または通して循環するよう構成されたシステムである(例えば、基材に接触する表面以外の冷却素子の表面の全体にわたり、冷却素子の本体を通して)。冷却素子が、流体が冷却素子を経ておよび/または全体にわたり循環し得るように構成されたとき、冷却素子は、そのような流体用の供給源および/またはドレインに接続されてもよい。一部の実施形態では、この接続および/または切断は、可逆的でありおよび/または比較的容易に行い得る。これは冷却素子の容易な導入および/または除去を有利に促進させ得る。例えば一部の実施形態では、冷却素子は、クイックコネクトにより流体の供給源および/またはドレインに接続される。冷却システムのさらなる構成要素の別の例は、チラーなど、冷却材を冷却するよう構成された構成要素である。第3の例は、冷却素子を冷却するよう構成された構成要素であり、冷却素子は、ペルチェ冷却によって冷却素子を冷却する電子部品の組合せである。
【0106】
一部の実施形態では、冷却素子は、有利な手法で基材の冷却を促進されるよう、反応容積内に位置決めされる。一例として、一部の実施形態では、冷却素子が基材付近に位置決めされる。
図8は、この性質を有する冷却素子の上面の、1つの非限定的な実施形態を示す。
図8において、冷却素子1414は、基材1514の付近に位置決めされる。
図8に示される冷却素子1414は、基材1514の側方で、全ての面で取り囲む。
【0107】
図8に示される実施形態のように、冷却素子は、基材の周りであるが、基材とは異なる形状を有するようにおよび/または基材に接触しないように位置決めすることが可能である。冷却素子は、基材の周りであるが基材と実質的に同じ断面形状を有するようにおよび/または1つもしくは複数の場所で基材と接触するように(例えば、1つまたは複数の個別の場所で、基材の外面の全体に沿って、ある特定の高さよりも下に位置決めされた基材の外面の全体に沿って)、位置決めされることも可能である。一部の実施形態では、冷却素子は、基材の周りに完全に位置決めされる(即ち、基材の全面を側方で取り囲むように)。冷却素子は、基材の周りで部分的に位置決めすることも可能である。そのような冷却素子は、基材の側面の一部であるが全てではない所に位置決めされてもよい。例えば基材は、正方形の断面を有していてもよく、冷却素子は、その4つの側面のうち3つの近傍に位置決めされてもよい。
【0108】
同様に、
図8に示される実施形態のように、冷却素子は、基材の周りに位置決めされるが基材の下または上方に位置決めされないことが可能である。冷却素子は、基材の周りおよび基材の下の両方に、ならびに/または基材の周りおよび基材の上方に位置決めされることも可能である。そのような場合、冷却素子は、基材の全ての部分の下および/または上方に位置決めされてもよい。冷却素子は、基材の1つまたは複数の部分の下および/または上方であるが基材の1つまたは複数のその他の部分の下および/または上方ではない所で位置決めされることも可能である。基材の下および/または上方に位置決めされた冷却素子の部分は、基材に直接接触する部分を排他的に含んでいてもよく、基材に直接接触する1つまたは複数の部分ならびに基材に直接接触しない1つまたは複数の部分を含んでいてもよく、および/または基材に直接接触する任意の部分に欠けていてもよい。
【0109】
一部の実施形態では、冷却素子および基材は、一方が他方に対して自由に移動可能であるように位置決めされてもよい。例として、一部の実施形態では、冷却素子および基材は、基材が冷却素子に対して自由に移動可能であるように位置決めされる。別の例として、一部の実施形態では、冷却素子および基材は冷却素子が基材に対して自由に移動可能であるように位置決めされる。一部のそのような実施形態では、冷却素子および/または基材は、互いに直接接触しない。冷却素子および基材が、互いに直接接触する部分を含むか否かとは無関係に、基材は、一定の位置に冷却素子を維持しながら、少なくとも一方向に認識可能な距離を移動できる場合(例えば、少なくとも0.1インチ、少なくとも0.25インチ、少なくとも0.5インチ、および/または少なくとも1インチ)に冷却素子に対して自由に移動可能であってもよい。方向は垂直であってもよく、水平であってもよく、冷却素子の1つまたは複数の部分に向かう方向にあってもよく、および/または冷却素子の1つまたは複数の部分から離れる方向にあってもよい。一部の実施形態では、基材は、冷却素子に対して、全ての方向に認識可能な距離を移動することが可能であってもよい。
【0110】
同様に冷却素子は、一定の位置に基材を維持しつつ、少なくとも一方向に認識可能な距離(例えば、少なくとも0.1インチ、少なくとも0.25インチ、少なくとも0.5インチ、および/または少なくとも1インチ)を移動できる場合、基材に対して自由に移動可能であってもよい。同様に、方向は垂直であってもよく、水平であってもよく、基材の1つまたは複数の部分に向かう方向にあってもよく、および/または基材の1つまたは複数の部分から離れる方向にあってもよい。一部の実施形態では、冷却素子は、基材に対して全ての方向に認識可能な距離を移動することが可能であってもよい。
【0111】
一部の実施形態では、冷却素子は、望ましいサイズを有する1つまたは複数の寸法を有するようなデザインを有する。例えば一部の実施形態では、冷却素子は、この冷却素子が周囲に位置決めされている基材の底部から、この冷却素子が周囲に位置決めされている基材の上部まで(または上部を超えて)延びるような高さを有する。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、この性質を有する冷却素子は、均一に基材を冷却することが有利に可能となり得ると考えられる。比較的高い基材は、そのようなデザインを持つ冷却素子が存在しない状態で、上方の冷却されていない部分から下方の冷却された部分まで温度勾配を経験する。この温度勾配は、基材の温度がその上部に形成されたコーティングの物理的性質に影響を及ぼすと考えられるように、不都合にも、不均等になるようにフッ素化ポリマーコーティングを基材上に堆積させ得る。高い基材は、基材上を十分高く延びない冷却素子によって不十分に冷却される可能性もあり、その結果、基材の上方部分を適切に冷却できず、したがって基材の上方部分は、本明細書の他の箇所に記述される過熱に起因して望ましくないプロセスを受ける可能性がある。
【0112】
一部の実施形態では、冷却素子は基材の全高を延びず、基材の1つまたは複数の特徴よりも高い高さを延びる。一例として、一部の実施形態では、基材は、その表面に1つまたは複数の窪みを含み、冷却素子は、窪みの上面よりも高い高さを有していてもよい。
図9は、この性質を有する冷却素子の一例を示す。冷却素子および基材の断面を示す
図9では、冷却素子1416が基材1516の周りおよび下に位置決めされ、この基材はさらに2つの窪み1616および1666を含む。
図9に示されるように、冷却素子1416は、下方の窪み1616の上面よりも高い高さまで延びるが、基材の最上面よりも高い高さまで延びない。基材の窪みの表面は、基材の上面よりも基材のベース部に近い。この理由で、冷却が基材のベース部からのみ提供される場合、窪みの表面は、基材の上面よりも低い温度まで冷却され得ると考えられ、これは本明細書の他の箇所に記述される理由により、フッ素化ポリマーコーティングを基材上に不均一に堆積させ得る。
【0113】
一部の実施形態では、冷却素子は、0.1インチよりも大きくもしくはそれに等しい、0.15インチよりも大きくもしくはそれに等しい、0.2インチよりも大きくもしくはそれに等しい、0.25インチよりも大きくもしくはそれに等しい、0.3インチよりも大きくもしくはそれに等しい、0.4インチよりも大きくもしくはそれに等しい、0.5インチよりも大きくもしくはそれに等しい、0.75インチよりも大きくもしくはそれに等しい、1インチよりも大きくもしくはそれに等しい、1.5インチよりも大きくもしくはそれに等しい、2インチよりも大きくもしくはそれに等しい、3インチよりも大きくもしくはそれに等しい、4インチよりも大きくもしくはそれに等しい、5インチよりも大きくもしくはそれに等しい、7.5インチよりも大きくもしくはそれに等しい、10インチよりも大きくもしくはそれに等しい、12.5インチよりも大きくもしくはそれに等しい、15インチよりも大きくもしくはそれに等しい、17.5インチよりも大きくもしくはそれに等しい、または20インチよりも大きくもしくはそれに等しい高さを有する。一部の実施形態では、冷却素子は、24インチ未満もしくはそれに等しい、20インチ未満もしくはそれに等しい、17.5インチ未満もしくはそれに等しい、15インチ未満もしくはそれに等しい、12.5インチ未満もしくはそれに等しい、10インチ未満もしくはそれに等しい、7.5インチ未満もしくはそれに等しい、5インチ未満もしくはそれに等しい、4インチ未満もしくはそれに等しい、3インチ未満もしくはそれに等しい、2インチ未満もしくはそれに等しい、1.5インチ未満もしくはそれに等しい、1インチ未満もしくはそれに等しい、0.75インチ未満もしくはそれに等しい、0.5インチ未満もしくはそれに等しい、0.4インチ未満もしくはそれに等しい、0.3インチ未満もしくはそれに等しい、0.25インチ未満もしくはそれに等しい、0.2インチ未満もしくはそれに等しい、または0.15インチ未満もしくはそれに等しい高さを有する。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、0.1インチよりも大きくもしくはそれに等しくかつ24インチ未満もしくはそれに等しい、または0.5インチよりも大きくもしくはそれに等しくかつ5インチ未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0114】
存在する場合、冷却素子は、様々な適切な温度で維持されるように、および/または様々な適切な温度で基材を維持するように構成されてもよい。一部の実施形態では、冷却素子は、0℃よりも高いもしくはそれに等しい、1℃よりも高いもしくはそれに等しい、2℃よりも高いもしくはそれに等しい、3℃よりも高いもしくはそれに等しい、5℃よりも高いもしくはそれに等しい、7.5℃よりも高いもしくはそれに等しい、10℃よりも高いもしくはそれに等しい、15℃よりも高いもしくはそれに等しい、20℃よりも高いもしくはそれに等しい、25℃よりも高いもしくはそれに等しい、30℃よりも高いもしくはそれに等しい、40℃よりも高いもしくはそれに等しい、50℃よりも高いもしくはそれに等しい、75℃よりも高いもしくはそれに等しい、100℃よりも高いもしくはそれに等しい、または125℃よりも高いもしくはそれに等しい温度で維持されるように、および/またはそのような温度で基材を維持するように、構成される。一部の実施形態では、冷却素子は、150℃未満もしくはそれに等しい、125℃未満もしくはそれに等しい、100℃未満もしくはそれに等しい、75℃未満もしくはそれに等しい、50℃未満もしくはそれに等しい、40℃未満もしくはそれに等しい、30℃未満もしくはそれに等しい、25℃未満もしくはそれに等しい、20℃未満もしくはそれに等しい、15℃未満もしくはそれに等しい、10℃未満もしくはそれに等しい、7.5℃未満もしくはそれに等しい、5℃未満もしくはそれに等しい、3℃未満もしくはそれに等しい、2℃未満もしくはそれに等しい、または1℃未満もしくはそれに等しい温度で維持されるように、および/またはそのような温度で基材を維持するように、構成される。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、0℃よりも高くもしくはそれに等しくかつ150℃未満もしくはそれに等しい、0℃よりも高くもしくはそれに等しくかつ100℃未満もしくはそれに等しい、または5℃よりも高くもしくはそれに等しくかつ100℃未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0115】
先の段落における範囲は独立して、冷却素子の外面(例えば、基材に最も近い表面)上の平均温度を指す、および/または基材の外面(例えば、冷却素子に最も近い表面、冷却素子の反対側の表面、上面)の平均温度を指す。
【0116】
本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態では、反応容積が1種または複数の気体を含む。反応容積は、そのような気体を有利な量で含んでいてもよく、および/または1つもしくは複数のその他の有利な性質を有するものを含んでいてもよい。そのような性質に関するさらなる情報を、以下に提供する。
【0117】
反応容積内の気体が有し得る有利な性質の一例は、一次元的に反応容積内を流れることである。一次元流は、関連ある気体が主にまたは全体として一方向に流れる流れであってもよい。一次元流は層状になることも可能である。一次元流の一例として、気体の一次元流は、気体が全体として一方向に流れるようにかつその方向以外のいかなる方向にも流れないように、流れてもよい。別の例として、一部の実施形態では、気体の一次元流は、主にしかし全体ではない一方向への流れを含む。例えば、一次元流は、主方向以外の方向に少量の流れを含んでいてもよい。これら少量の流れは、一次元流の50%未満もしくはそれに等しい、20%未満もしくはそれに等しい、10%未満もしくはそれに等しい、および/または5%未満もしくはそれに等しい量を構成してもよい。
【0118】
2つまたはそれよりも多くの異なるタイプの気体が反応容積内を流れるとき(例えば、共通の供給源から提供される2つまたはそれよりも多くのタイプの気体、異なる供給源から提供され、同じ供給源から提供される、2つまたはそれよりも多くのタイプの気体)、異なるタイプの気体は一緒に、単一方向に一次元流を示してもよい。言い換えれば、気体の全てが一緒に、全体として同じ方向に流れてもよく、および/または先の段落に記述された範囲の1つまたは複数で主方向以外の方向を流れる量を一緒に含んでいてもよい。2つまたはそれよりも多くの異なるタイプの気体(例えば、異なる供給源から提供され、同じ供給源から提供される)が、互いに異なる流れを有することも可能である。例えば、2つまたはそれよりも多くの異なるタイプの気体はそれぞれ、一次元的に反応容積内を流れてもよいが、異なるタイプの気体が流れる方向は互いに異なっていてもよい。別の例として、一部の実施形態では、1つまたは複数のタイプの気体は一次元流を示してもよく、1つまたは複数のタイプの気体は一次元流を示さなくてもよい(例えば、1つまたは複数のタイプの気体は対流および/または乱流を示し得る)。
【0119】
一次元流が反応容積内に存在するとき、一次元流の方向は一般に、望み通りに選択され得る。一部の実施形態では、一次元流の方向は、気体が反応容積内に導入される場所から反応容積の出口まで延びる方向であってもよい。例えば、一部の実施形態では、一次元流の方向は、関連ある気体の供給源に流体連通するポートから出口まで延びる方向である。別の例として、一部の実施形態では、一次元流の方向は、反応容積を囲む1つの壁から、反応容積を囲む反対側の別の壁までである。第3の例として、一部の実施形態では、一次元流の方向は、フィラメントおよび/または複数のフィラメントが反応容積を横断して延びる方向に平行である(例えば、反応容積を横断して延びるワイヤーの最長直径に平行)。一次元流の方向は、フィラメントおよび/もしくは複数のフィラメントが反応容積を横断して延びる方向に直交すること、ならびに/またはフィラメントおよび/もしくは複数のフィラメントが反応容積を横断して延びる方向に平行な角度と直交する角度との間の任意の角度をとることも可能である。
【0120】
反応容積が一次元流を含むとき、一次元流は、反応容積の全てにおいて存在してもよく、または反応容積のいくらかの部分に存在してもよいが他の部分には存在しなくてもよい。一次元流が存在しない反応容積の部分は、流れがなくてもよく(例えば、反応容積のこれらの部分の気体は、静止および/または実質的に静止していてもよい)、または一次元ではない流れを含んでいてもよい(例えば、異なる方向の流れ、複数の異なる方向の流れ)。一部の実施形態では、気体の供給源に流体連通するポートに近い反応容積の部分は、一次元流を示す。一例として、一部の実施形態では、1つまたは複数のそのようなポートは、反応容積の上方部分の近くに位置決めされてもよく、反応容積の上方部分は一次元流を示し得る。
【0121】
一部の実施形態では、一次元流は、反応容積の少なくとも上部25%、反応容積の少なくとも上部50%、反応容積の少なくとも上部67%、反応容積の少なくとも上部75%、反応容積の少なくとも上部80%、および/または反応容積の少なくとも上部90%を横断して生じる。一部の実施形態では、一次元流は、反応容積の上部95%以下、反応容積の上部90%以下、反応容積の上部80%以下、反応容積の上部75%以下、反応容積の上部67%以下、または反応容積の上部50%以下を横断して生じる。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、反応容積の少なくとも上部25%かつ上部95%以下)。その他の範囲も可能である。
【0122】
反応容積は、その内部を様々な適切な手法で一次元流が流れるように構成されてもよい。一例として、一部の実施形態では、一次元流は、気体の供給源に流体連通するポートによって気体をポートの近くに位置決めされた反応容積の壁に方向付けるよう、向きを定めることによって得られる。この設計により、気体は最初にポートから全方向に外向きに流され得るが、次いでその後に壁から跳ね返って実質的に一方向(即ち、壁に垂直)に流され得ると考えられる。
図10は、このように位置決めされたポートの1つの非限定的な実施形態を示す。
図10において、ポート1718は反応容積318の壁1078の近くに位置決めされる。気体は、矢印によって示されるようにポート1718から流出すると考えられる。
【0123】
一次元流を得ることができる手法の別の例は、複数のバッフルの使用による。バッフルは、気体を一次元的に流れるように方向付けてもよい。
【0124】
一部の実施形態では、反応容積は、1つまたは複数の時点で比較的低い圧力を有する。この比較的低い圧力は、例えば反応(例えば、フッ素化ポリマーコーティングを堆積する反応)が反応容積内で行われる時に存在してもよい。一部の実施形態では、反応容積内の圧力は、100Torr未満もしくはそれに等しく、75Torr未満もしくはそれに等しく、50Torr未満もしくはそれに等しく、20Torr未満もしくはそれに等しく、10Torr未満もしくはそれに等しく、7.5Torr未満もしくはそれに等しく、5Torr未満もしくはそれに等しく、2Torr未満もしくはそれに等しく、1Torr未満もしくはそれに等しく、750mTorr未満もしくはそれに等しく、500mTorr未満もしくはそれに等しく、200mTorr未満もしくはそれに等しく、100mTorr未満もしくはそれに等しく、75mTorr未満もしくはそれに等しく、50mTorr未満もしくはそれに等しく、30mTorr未満もしくはそれに等しく、20mTorr未満もしくはそれに等しく、10mTorr未満もしくはそれに等しく、7.5mTorr未満もしくはそれに等しく、5mTorr未満もしくはそれに等しく、または2mTorr未満もしくはそれに等しい。一部の実施形態では、反応容積内の圧力は、1mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、2mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、5mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、10mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、20mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、30mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、50mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、75mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、100mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、200mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、500mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、750mTorrよりも大きくもしくはそれに等しく、1Torrよりも大きくもしくはそれに等しく、2Torrよりも大きくもしくはそれに等しく、5Torrよりも大きくもしくはそれに等しく、7.5Torrよりも大きくもしくはそれに等しく、10Torrよりも大きくもしくはそれに等しく、20Torrよりも大きくもしくはそれに等しく、50Torrよりも大きくもしくはそれに等しく、または75Torrよりも大きくもしくはそれに等しい。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、100Torr未満もしくはそれに等しくかつ1mTorrよりも大きくもしくはそれに等しい、または10Torr未満もしくはそれに等しくかつ5mTorrよりも大きくもしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0125】
一部の実施形態では、上述のように、反応容積が比較的低レベルの空気を1つまたは複数の時点で含む。この比較的低レベルの空気は、例えば反応(例えば、フッ素化ポリマーコーティングを堆積する反応)が反応容積内で行われる時に存在してもよい。一部の実施形態では、反応容積内の空気の量は、反応容積の全圧に関して先の段落に記述される1つまたは複数の範囲内にあってもよい(例えば、30mTorr未満もしくはそれに等しく、20mTorr未満もしくはそれに等しく、および/または10mTorr未満もしくはそれに等しい)。
【0126】
反応容積は、比較的低レベルの水を含むことも可能である。この比較的低レベルの水は、例えば反応(例えば、フッ素化ポリマーコーティングを堆積する反応)が反応容積内で行われる時に存在してもよい。一部の実施形態では、反応容積内の水の量は、反応容積内の全圧に関して先の段落で記述された範囲の1つまたは複数にあってもよい(例えば、30mTorr未満もしくはそれに等しい、20mTorr未満もしくはそれに等しい、および/または10mTorr未満もしくはそれに等しい)。
【0127】
反応容積内の比較的低レベルの水は、比較的低レベルの相対湿度によって明らかにされることも可能である。反応容積の相対湿度は、0.5%未満もしくはそれに等しく、0.4%未満もしくはそれに等しく、0.3%未満もしくはそれに等しく、0.2%未満もしくはそれに等しく、0.1%未満もしくはそれに等しくてもよい。反応容積の相対湿度は、0%よりも大きくもしくはそれに等しく、0.1%よりも大きくもしくはそれに等しく、0.2%よりも大きくもしくはそれに等しく、0.3%よりも大きくもしくはそれに等しく、または0.4%よりも大きくもしくはそれに等しくてもよい。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、0.5%未満またはそれに等しくかつ0%よりも大きくまたはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0128】
一部の実施形態では(例えば、その内部にフッ素化ポリマーコーティングを堆積中)、反応容積は、比較的高い量のモノマーおよび/またはモノマーの前駆体を含んでいてもよい。一部の実施形態では、モノマーおよび/またはモノマーの前駆体は、反応容積中の気体の1mol%よりも多くもしくはそれに等しい、2mol%よりも多くもしくはそれに等しい、5mol%よりも多くもしくはそれに等しい、7.5mol%よりも多くもしくはそれに等しい、10mol%よりも多くもしくはそれに等しい、15mol%よりも多くもしくはそれに等しい、20mol%よりも多くもしくはそれに等しい、30mol%よりも多くもしくはそれに等しい、40mol%よりも多くもしくはそれに等しい、50mol%よりも多くもしくはそれに等しい、または75mol%よりも多くもしくはそれに等しい量を構成する。一部の実施形態では、モノマーおよび/またはモノマーの前駆体は、反応容積内の気体の100mol%未満もしくはそれに等しい、75mol%未満もしくはそれに等しい、50mol%未満もしくはそれに等しい、40mol%未満もしくはそれに等しい、30mol%未満もしくはそれに等しい、20mol%未満もしくはそれに等しい、15mol%未満もしくはそれに等しい、10mol%未満もしくはそれに等しい、7.5mol%未満もしくはそれに等しい、5mol%未満もしくはそれに等しい、または2mol%未満もしくはそれに等しい量を構成する。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、1mol%よりも多くまたはそれに等しくかつ100mol%未満またはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0129】
先の段落における範囲は独立して、反応容積における下記のいずれかの量を指し得ることを理解すべきである:1つのタイプのモノマー(例えば、その他のタイプのモノマーおよび/またはそのモノマーの前駆体の存在下、そのような化学種のいずれかまたは両方が存在しない状態)、モノマーの全てが一緒に(例えば、モノマーの1種または複数の前駆体の存在下、そのような化学種が存在しない状態)、1つのタイプのモノマーおよびその前駆体(例えば、その他のタイプのモノマーおよび/またはその他のタイプのモノマーの前駆体の存在下、そのような化学種のいずれかまたは両方が存在しない状態)、ならびにモノマーの全ておよびモノマーの前駆体の全てが一緒に。
【0130】
本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態では、本明細書に記述されるシステムは、基材上にフッ素化ポリマーコーティングを創出するのに適しており、および/またはそのような創出に用いられる。フッ素化ポリマーコーティングは、気状モノマーを重合することによって形成されてもよい。このプロセスのさらなる詳細を以下に提示する。
【0131】
1つまたは複数の反応は、フッ素化ポリマーコーティングを形成するため反応容積内で行われてもよい。本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態では、1つのそのような反応が重合反応である。重合反応は、様々な適切なメカニズムを経て進行してもよい。そのようなメカニズムの一例は連鎖成長反応である。そのようなメカニズムの別の例は、ステップ成長反応である。連鎖成長反応およびステップ成長反応において、成長するポリマー鎖は、1種または複数の反応性種をその端部の1つまたは複数に含む。これらの反応性種はモノマーと反応してもよく、次いで成長する鎖に組み込まれ、それ自体は他のモノマーと反応し得る反応性末端基になり得る。
【0132】
連鎖成長反応では、成長するポリマー鎖を形成するよう反応するモノマーは、それ自体は、何らかの手法で活性化されるまで(例えば、成長するポリマー鎖に組み込まれることによって、および/または開始剤など、反応性にする化学種と反応することによって)、他のモノマーと反応しなくてもよい。したがって連鎖成長は、反応性末端基が非反応性になるまでモノマーを添加することにより、個々のポリマー鎖を成長させることによって進行し得る。これは別の反応性の鎖(それによって両方の鎖が不活性になる)または末端基を不活性化するよう働く別の化学種(例えば、酸素などの汚染物質)との反応によって生じ得る。任意の単鎖の成長中、新しい鎖が形成および/または成長してもよく、および/またはその他の鎖の成長が終端してもよい。反応性末端基は、様々な手法で反応性であってもよい。一例として、一部の実施形態では、反応性末端基がフリーラジカルを含む。これらのフリーラジカルは、他のモノマーと反応してもよく、それと反応するモノマーにフリーラジカルを渡してもよく、したがって反応後、フリーラジカルを最初に含む末端基は非反応性になり、新たに添加されたモノマーはフリーラジカルを含む反応性末端基になるようになる。
【0133】
連鎖成長反応は、自発的に開始する反応であってもよく、または自発的に開始しない反応であってもよい。自発的に生じる連鎖成長反応は、モノマーが自発的に反応性になる反応であってもよい。例として、一部のモノマーは分解しおよび/または反応を受けて、反応チャンバー内に存在する条件下、反応性種(例えば、フリーラジカル)を含む化学種を形成する。連鎖成長反応は、反応の1つまたは複数が前駆体の形で提供されるとき、非自発的に生じてもよい。例えば一部の実施形態では、連鎖成長反応は、モノマーの前駆体が分解して結果的にモノマーが得られるまで、生じなくてもよい。この分解プロセスは、非自発的であってもよい(例えば、加熱フィラメントにより提供される熱など、熱を加えることを必要としてもよい)。モノマーの前駆体からモノマーへの分解の後、得られたモノマーは自発的に重合してもよい。
【0134】
連鎖成長反応は、開始剤を必要としおよび/または開始剤によって加速されることも可能である。開始剤は、反応を容易に受けおよび/または分解して反応性種(例えば、フリーラジカルを含む化学種)を形成する化学種であってもよい。開始剤は、そのような反応および/または分解を、やはり反応容積内に存在する任意のモノマーおよび/またはその他の化学種よりも容易に受けてもよい。反応および/または分解を受けた後、開始剤は、上述と同じ手法でモノマーと反応してもよい。適切な開始剤の非限定的な例には、ペルオキシド基、過硫酸塩基、および/またはアゾ基を含む開始剤が含まれる。一部の実施形態では、開始剤は、過酸化tert-ブチルおよび過酸化tert-アミルの1種または複数を含む。
【0135】
ステップ成長反応では、モノマーは典型的には、活性化なしで互いに反応する。ステップ成長反応は、成長する鎖にモノマーを添加することによって、成長する鎖を一緒に接合することによって、および/またはモノマーを互いに反応させることにより新しく成長する鎖を形成することによって、進行し得る。これらのプロセスは典型的には、成長する鎖を不活性化するものではない。反応性末端基および/またはモノマーは、様々な手法で反応性であってもよい。一例として、一部の実施形態では、成長する鎖の反応性末端基は、互いに反応性のある官能基を含む。これらの官能基は互いに反応して、結果的に得られるポリマー鎖の主鎖になる共有結合を形成してもよい。ステップ成長重合は、典型的には自発的に開始するが、モノマー同士の反応を促進させる熱および/または任意の化学種および/または反応条件の存在によって加速されてもよい。ステップ成長重合反応は自発的に生じないことも可能である。一例として、ステップ成長反応は、その前駆体が反応容積に提供されるモノマー同士で生じることが可能である。この場合、ステップ成長反応は、前駆体が分解してモノマーを形成するまで生じなくてもよく、これはエネルギーを加えることでのみ生じ得るものである(例えば、フィラメントによって提供される熱)。
【0136】
一部の実施形態では、重合反応以外の1つまたは複数の反応が、反応容積内で行われてもよい。一例として、一部の実施形態では、1つまたは複数の分解反応が反応容積内で行われる。例えば、それ自体はモノマーではない化学種が反応容積に導入されてもよく、しかし分解反応を受けてモノマーを形成し得る。一部の実施形態では、化学種の分解は、反応容積に存在する1つまたは複数の状態によって促進され得る。例として、一部の実施形態では、熱の存在(例えば、加熱フィラメントから)は、前駆体からモノマーへの分解を促進させる。
【0137】
本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態では、重合反応は気相で生じる。重合反応は、気体によって取り囲まれた固体のポリマー粒子の形成をもたらしてもよい。一部の実施形態では、反応容積で生じる全重合の比較的高いパーセンテージが気相内で核形成してもよく、および/または気体によって取り囲まれたポリマー粒子の生成をもたらしてもよい。例として、一部の実施形態では、反応容積内で生じる全重合の50%よりも多くもしくはそれに等しい、60%よりも多くもしくはそれに等しい、80%よりも多くもしくはそれに等しい、90%よりも多くもしくはそれに等しい、92.5%よりも多くもしくはそれに等しい、95%よりも多くもしくはそれに等しい、97.5%よりも多くもしくはそれに等しい、99%よりも多くもしくはそれに等しい、99.5%よりも多くもしくはそれに等しい、または99.9%よりも多くもしくはそれに等しい量が、気相内で核形成し、および/または気体によって取り囲まれたポリマー粒子の生成をもたらす。一部の実施形態では、反応容積で生じる全重合の100%未満もしくはそれに等しい、99.9%未満もしくはそれに等しい、99.5%未満もしくはそれに等しい、99%未満もしくはそれに等しい、97.5%未満もしくはそれに等しい、95%未満もしくはそれに等しい、92.5%未満もしくはそれに等しい、90%未満もしくはそれに等しい、80%未満もしくはそれに等しい、または60%未満もしくはそれに等しい量が気相内で核形成し、および/または気体により取り囲まれたポリマー粒子の生成をもたらす。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、50%よりも多くもしくはそれに等しくかつ100%未満もしくはそれに等しい、または90%よりも多くもしくはそれに等しくかつ100%未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0138】
存在する場合、気相内で重合により形成された粒子は、様々な適切なサイズを有していてもよい。一実施形態では、気相内で形成された粒子の平均直径は、0.5nmよりも大きくもしくはそれに等しく、0.75nmよりも大きくもしくはそれに等しく、1nmよりも大きくもしくはそれに等しく、1.5nmよりも大きくもしくはそれに等しく、2nmよりも大きくもしくはそれに等しく、5nmよりも大きくもしくはそれに等しく、10nmよりも大きくもしくはそれに等しく、20nmよりも大きくもしくはそれに等しく、50nmよりも大きくもしくはそれに等しく、75nmよりも大きくもしくはそれに等しく、100nmよりも大きくもしくはそれに等しく、200nmよりも大きくもしくはそれに等しく、500nmよりも大きくもしくはそれに等しく、750nmよりも大きくもしくはそれに等しく、1ミクロンよりも大きくもしくはそれに等しく、2ミクロンよりも大きくもしくはそれに等しく、5ミクロンよりも大きくもしくはそれに等しく、7.5ミクロンよりも大きくもしくはそれに等しく、10ミクロンよりも大きくもしくはそれに等しく、20ミクロンよりも大きくもしくはそれに等しい。一部の実施形態では、気相で形成された粒子の平均直径は、50ミクロン未満もしくはそれに等しく、20ミクロン未満もしくはそれに等しく、10ミクロン未満もしくはそれに等しく、7.5ミクロン未満もしくはそれに等しく、5ミクロン未満もしくはそれに等しく、2ミクロン未満もしくはそれに等しく、1ミクロン未満もしくはそれに等しく、750nm未満もしくはそれに等しく、500nm未満もしくはそれに等しく、200nm未満もしくはそれに等しく、100nm未満もしくはそれに等しく、75nm未満もしくはそれに等しく、50nm未満もしくはそれに等しく、20nm未満もしくはそれに等しく、10nm未満もしくはそれに等しく、5nm未満もしくはそれに等しく、2nm未満もしくはそれに等しく、1.5nm未満もしくはそれに等しく、1nm未満もしくはそれに等しく、0.75nm未満もしくはそれに等しい。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、0.5nmよりも大きくもしくはそれに等しくかつ50ミクロン未満もしくはそれに等しい、または1nmよりも大きくもしくはそれに等しくかつ1ミクロン未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0139】
本明細書の他の箇所にも記述されるように、上述の重合反応は、基材上にコーティングが形成されるよう気体および/または堆積物に取り囲まれたときに形成されるフッ素化ポリマーなど、フッ素化ポリマーを形成するように用いられてもよい。適切なフッ素化ポリマーの一例は、ポリ(テトラフルオロエチレン)である。適切なフッ素化ポリマーの別の例は、フッ素官能基を含むポリマーである。
【0140】
そのようなポリマー中のフッ素化レベルは、CF2基であるポリマー中の反復単位の割合に等しい、CF2の割合によって定量され得る。一部の実施形態では、本明細書に記述される反応は、比較的高いCF2の割合を有するポリマーの形成をもたらし得る。例として、CF2の割合は、50%よりも多くもしくはそれに等しく、75%よりも多くもしくはそれに等しく、90%よりも多くもしくはそれに等しく、および/または95%よりも多くもしくはそれに等しい。一部の実施形態では、CF2の割合は、100%未満、95%未満もしくはそれに等しく、90%未満もしくはそれに等しく、または75%未満もしくはそれに等しい。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、75%よりも多くもしくはそれに等しくかつ100%未満)。その他の範囲も可能である。ポリマーのCF2の割合は、XPSによって決定されてもよい。
【0141】
ポリマー中のフッ素化レベルが定量され得る別の手法は、その内部にあるフッ素の炭素に対する原子比による。一部の実施形態では、ポリマーは、1.1よりも大きいもしくはそれに等しい、1.2よりも大きいもしくはそれに等しい、1.3よりも大きいもしくはそれに等しい、1.4よりも大きいもしくはそれに等しい、1.5よりも大きいもしくはそれに等しい、1.6よりも大きいもしくはそれに等しい、1.7よりも大きいもしくはそれに等しい、1.8よりも大きいもしくはそれに等しい、1.9よりも大きいもしくはそれに等しい、2よりも大きいもしくはそれに等しい、または2.1よりも大きいもしくはそれに等しい、フッ素の炭素に対する原子比を有する。一部の実施形態では、ポリマーは、2.2未満もしくはそれに等しい、2.1未満もしくはそれに等しい、2未満もしくはそれに等しい、1.9未満もしくはそれに等しい、1.8未満もしくはそれに等しい、1.7未満もしくはそれに等しい、1.6未満もしくはそれに等しい、1.5未満もしくはそれに等しい、1.4未満もしくはそれに等しい、1.3未満もしくはそれに等しい、または1.2未満もしくはそれに等しい、フッ素の炭素に対する原子比を有する。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、1.1よりも大きくもしくはそれに等しくかつ2.2未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0142】
一部の実施形態では、本明細書に記述されるプロセスによって堆積されるポリマーは、堆積後に1つまたは複数のさらなるプロセスを受けてもよい。一例として、一部の実施形態では、本明細書に記述されるプロセスによって堆積されるフッ素化ポリマーは、堆積された後にアニールされる。フッ素化ポリマーのアニールは、フッ素化ポリマーの加熱を含んでいてもよい。フッ素化ポリマー、基材、および/またはフッ素化ポリマーが位置決めされる環境が加熱される温度は、50℃よりも高くもしくはそれに等しく、75℃よりも高くもしくはそれに等しく、100℃よりも高くもしくはそれに等しく、125℃よりも高くもしくはそれに等しく、150℃よりも高くもしくはそれに等しく、175℃よりも高くもしくはそれに等しく、200℃よりも高くもしくはそれに等しく、225℃よりも高くもしくはそれに等しく、250℃よりも高くもしくはそれに等しく、275℃よりも高くもしくはそれに等しく、300℃よりも高くもしくはそれに等しく、325℃よりも高くもしくはそれに等しく、350℃よりも高くもしくはそれに等しく、または375℃よりも高くもしくはそれに等しくてもよい。フッ素化ポリマー、基材、および/またはフッ素化ポリマーが位置決めされる環境が加熱される温度は、400℃未満もしくはそれに等しく、375℃未満もしくはそれに等しく、350℃未満もしくはそれに等しく、325℃未満もしくはそれに等しく、300℃未満もしくはそれに等しく、275℃未満もしくはそれに等しく、250℃未満もしくはそれに等しく、225℃未満もしくはそれに等しく、200℃未満もしくはそれに等しく、175℃未満もしくはそれに等しく、150℃未満もしくはそれに等しく、125℃未満もしくはそれに等しく、100℃未満もしくはそれに等しく、または75℃未満もしくはそれに等しくてもよい。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、50℃よりも高くもしくはそれに等しくかつ400℃未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0143】
アニールステップは、様々な適切な時間にわたって行われてもよい。一部の実施形態では、アニールは、30分よりも長くもしくはそれに等しい、1時間よりも長くもしくはそれに等しい、2時間よりも長くもしくはそれに等しい、5時間よりも長くもしくはそれに等しい、10時間よりも長くもしくはそれに等しい、15時間よりも長くもしくはそれに等しい、20時間よりも長くもしくはそれに等しい、24時間よりも長くもしくはそれに等しい、または30時間よりも長くもしくはそれに等しい期間にわたり行われる。一部の実施形態では、アニールは、48時間未満もしくはそれに等しい、30時間未満もしくはそれに等しい、24時間未満もしくはそれに等しい、20時間未満もしくはそれに等しい、15時間未満もしくはそれに等しい、10時間未満もしくはそれに等しい、5時間未満もしくはそれに等しい、2時間未満もしくはそれに等しい、または1時間未満もしくはそれに等しい期間にわたり行われる。上記参照される範囲の組合せも可能である(例えば、1時間よりも長くもしくはそれに等しくかつ24時間未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0144】
フッ素化ポリマーコーティングは、様々な適切な環境でアニールされ得る。一部の実施形態では、アニールは空気中で行われる。アニールは、不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン)の存在下で行うことも可能である。アニールは、反応容積および/または堆積チャンバーの内部で行ってもよく、および/または反応容積および/または堆積チャンバーからコーティングされた基材を除去した後に行ってもよい。
【0145】
一部の実施形態では、反応容積内で行われるプロセス(例えば、重合、アニールなど)は、自動化されてもよい。そのような自動化は、行われる様々なプロセスに関する命令を読み取り(例えば、反応システム内に導入される気体の流量および/またはタイプ、フィラメントの温度、基材の温度など)、次いでこれらの命令を、さらなるシステムコンポーネントを実施するように方向を定めることによって実行する、ソフトウェアを提供することを含んでいてもよい。一例として、一部の実施形態では、ソフトウェアは、様々なシステムプロパティ、ならびにシステムが様々な条件で費やされるべきおよび/または様々な方法を実行する時間の長さを含む、エクセルスプレッドシードを読み取ってもよい。一部の実施形態では、エクセルスプレッドシートにより提供されるものなどの命令は、条件依存性の命令を含んでいてもよい。例えば、命令のセットは、システムがある特定の状態にありおよび/または反応容積の1つまたは複数の性質がある特定の範囲内になるまで(例えば、全圧、1種または複数の気体の分圧、フィラメント温度、フィラメント抵抗)ある特定のプロセスを遅延させること必要としてもよい。一例として、命令のセットは、反応容積の圧力が設定量よりも低くなるまでモノマーおよび/またはモノマーの前駆体の導入を遅延させる命令を含んでいてもよい。別の例として、命令のセットは、モノマーおよび/またはモノマーの前駆体を導入する前にフィラメントの抵抗を決定し、抵抗が設定範囲外にある場合はモノマーおよび/またはモノマーの前駆体の導入を拒否する命令を含んでいてもよい。
【0146】
本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態は、フッ素化ポリマーコーティングの堆積および/またはフッ素化ポリマーコーティングに関する。そのようなコーティングに関するさらなる詳細を、以下に提示する。
【0147】
コーティング特性の一例として、一部の実施形態では、コーティングは、それが堆積される基材に接着される。コーティングと基材との間の接着強度は、比較的強力であってもよい。例えば一部の実施形態では、コーティングは、接着スコアが4よりも大きいもしくはそれに等しくなるような接着強度で基材に接着される。接着スコアは、ASTM D3359に記述される手順によって決定され得る。
【0148】
コーティング特性の別の例として、一部の実施形態では、コーティングは基材の表面の比較的大きいパーセンテージを覆ってもよい。例として、コーティングは、基材の表面の50%よりも多くもしくはそれに等しい、75%よりも多くもしくはそれに等しい、90%よりも多くもしくはそれに等しい、95%よりも多くもしくはそれに等しい、99%よりも多くもしくはそれに等しい、99.5%よりも多くもしくはそれに等しい、99.8%よりも多くもしくはそれに等しい、99.9%よりも多くもしくはそれに等しい、または99.99%よりも多くもしくはそれに等しい量を覆ってもよい。一部の実施形態では、コーティングは、基材の表面の100%未満もしくはそれに等しい、99.99%未満もしくはそれに等しい、99.9%未満もしくはそれに等しい、99.8%未満もしくはそれに等しい、99.5%未満もしくはそれに等しい、99%未満もしくはそれに等しい、95%未満もしくはそれに等しい、90%未満もしくはそれに等しい、または75%未満もしくはそれに等しい量を覆う。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、50%よりも多くまたはそれに等しくかつ100%未満またはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0149】
本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態は、基材上でのフッ素化ポリマーコーティングの堆積および/またはフッ素化ポリマーコーティングが堆積される基材に関する。そのような基材に関するさらなる詳細を、以下に提示する。
【0150】
本明細書に記述されるシステムおよび方法によりコーティングされ得る基材のタイプは、一般に、望み通りに選択されてもよい。一部の実施形態では、基材は、ポリマー材料(例えば、プラスチック、エラストマー)を含む。基材は、金属を含むようにコーティングされることも可能である。基材は、様々な適切な物品であってもよく、その非限定的な例には封止材、ガスケット、oリング、および金型が含まれる。
【0151】
本明細書の他の箇所に記述されるように、一部の実施形態では、基材は、その表面に1つまたは複数の窪みを含む。窪みは、任意の適切な深さを有していてもよい。一部の実施形態では、基材は、0.1インチよりも大きいもしくはそれに等しい、0.2インチよりも大きいもしくはそれに等しい、0.25インチよりも大きいもしくはそれに等しい、0.3インチよりも大きいもしくはそれに等しい、0.4インチよりも大きいもしくはそれに等しい、0.5インチよりも大きいもしくはそれに等しい、0.75インチよりも大きいもしくはそれに等しい、1インチよりも大きいもしくはそれに等しい、1.5インチよりも大きいもしくはそれに等しい、2インチよりも大きいもしくはそれに等しい、3インチよりも大きいもしくはそれに等しい、4インチよりも大きいもしくはそれに等しい、5インチよりも大きいもしくはそれに等しい、7.5インチよりも大きいもしくはそれに等しい、10インチよりも大きいもしくはそれに等しい、12.5インチよりも大きいもしくはそれに等しい、15インチよりも大きいもしくはそれに等しい、17.5インチよりも大きいもしくはそれに等しい、または20インチよりも大きいもしくはそれに等しい深さを有する窪みを含む(および/またはそのような平均深さを有する窪みを含む)。一部の実施形態では、基材は、24インチ未満もしくはそれに等しい、20インチ未満もしくはそれに等しい、17.5インチ未満もしくはそれに等しい、15インチ未満もしくはそれに等しい、12.5インチ未満もしくはそれに等しい、10インチ未満もしくはそれに等しい、7.5インチ未満もしくはそれに等しい、5インチ未満もしくはそれに等しい、4インチ未満もしくはそれに等しい、3インチ未満もしくはそれに等しい、2インチ未満もしくはそれに等しい、1.5インチ未満もしくはそれに等しい、1インチ未満もしくはそれに等しい、0.75インチ未満もしくはそれに等しい、0.5インチ未満もしくはそれに等しい、0.4インチ未満もしくはそれに等しい、0.3インチ未満もしくはそれに等しい、0.25インチ未満もしくはそれに等しい、または0.2インチ未満もしくはそれに等しい深さを有する窪みを含む(および/またはそのような平均深さを有する窪みを含む)。上記言及される範囲の組合せも可能である(例えば、0.1インチよりも大きくもしくはそれに等しくかつ24インチ未満もしくはそれに等しい、または0.1インチよりも大きくもしくはそれに等しくかつ5インチ未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0152】
一部の実施形態では、方法は、表面にフッ素化ポリマーコーティングを堆積する前に、基材に1つまたは複数のプロセスを受けさせることを含む。そのようなプロセスの一例は、清浄化プロセスである。清浄化プロセスは、1種または複数の汚染物質を基材および/または基材表面から除去することを含んでいてもよい。清浄化プロセスは、基材を流体に曝し、次いで基材を流体に浸漬しおよび/または染み込ませ、基材を流体で濯ぎ、および/または基材を流体の存在下で超音波処理することを含んでいてもよい。一部の実施形態では、これらのプロセスの1つまたは複数の後、必要に応じた加熱ステップおよび/または必要に応じた乾燥ステップが続く(例えば、基材が窒素および/または真空に曝される乾燥ステップ)。そのようなプロセスに適切な流体の非限定的な例には、有機溶媒(例えば、イソプロピルアルコール、アセトン)、水、および/または有機もしくは水性溶媒および界面活性剤を含む溶液が含まれる。基材が曝される流体は、基材および/またはその表面に存在する汚染物質を可溶化および/または懸濁してもよく、それを後で除去してもよい。適切な清浄化プロセスの別の例は、基材をプラズマに曝してそこから汚染物質(例えば、表面汚染物質)を除去することを含む。
【0153】
一部の実施形態では、方法は、清浄化プロセスの直後にフッ素化ポリマーコーティングを基材上に堆積することを含む。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、そのようにすることは、フッ素化ポリマーコーティングの清浄化後および堆積前に周囲環境に存在する汚染物質による基材の再汚染を防止し得るので、有利になり得ると考えられる。清浄化プロセスの直後に基材上にフッ素化ポリマーコーティングを堆積することは、清浄化後に基材の表面に移送された内部汚染物質の量を予防および/または低減させるとも考えられる。例えば、一部の基材は、その内部全体にわたり低分子量汚染物質(例えば、基材に配合された小分子、オリゴマー、低分子量ポリマー、加工助剤、化学物質)を含んでいてもよく、そのような汚染物質を表面から除去することは、時間と共に拡散によって基材の内部から基材の表面へのそのような汚染物質の移送を引き起こし得ると考えられる。基材の表面に存在する低分子量汚染物質は、不都合にも表面に堆積されたフッ素化ポリマーコーティングと基材との間の接着に干渉すると考えられるため、そのような移送を防止することは、基材へのフッ素化ポリマーコーティングの接着を強化し得る。
【0154】
一部の実施形態では、方法は、清浄化プロセスが行われた後、2時間以内、1.5時間以内、1.25時間以内、1時間以内、45分以内、30分以内、25分以内、20分以内、15分以内、10分以内、または5分以内にフッ素化ポリマーコーティングを基材上に堆積することを含む。清浄化プロセスとフッ素化ポリマーコーティングの堆積との間の遅延は、少なくとも0分、少なくとも5分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも1時間、少なくとも1.25時間、または少なくとも1.5時間であってもよい。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、0分から2時間の間の期間内、または0分から30分の間の期間内)。その他の範囲も可能である。
【0155】
一部の実施形態では、方法は、接着促進剤によりそこにフッ素化ポリマーコーティングの接着を促進させるため、表面にフッ素化ポリマーコーティングを堆積する前に基材表面を処理することを含んでいてもよい。そのような実施形態では、接着促進剤は、フッ素化ポリマーコーティングを堆積する前に、反応容積内でin situで気相成長させることができる。適切な接着促進剤の例には、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルトリクロロシラン、およびビニルシランの全てのクラスが含まれる。
【0156】
フッ素化ポリマーコーティングを表面に堆積する前に、基材を加熱し(例えば、20℃から300℃の間の温度に)および/または真空源に曝す(例えば、基材を取り囲む環境の圧力を0.1mTorrから760Torrの間にするため)ことも可能である。
【0157】
一部の基材は、反応容積内に導入されるとき、1種または複数の揮発性成分を含んでいてもよい。揮発性成分は、基材上へのフッ素化ポリマーコーティングの堆積中に放出されてもよい。一部の実施形態では、フッ素化ポリマーコーティングの堆積中に基材から放出された気体の量は、比較的高くてもよい。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、本明細書に記述される方法のいくつかの特徴は、基材から放出された認識可能な量の気体の存在下で有利な性質を有するフッ素化ポリマーコーティングの堆積を容易にし得ると考えられる。
【0158】
一例として、反応容積内に存在するその他の気体に非反応性である放出された気体は、基材上に堆積されたフッ素化ポリマーコーティングに対して少しの影響を及ぼしまたは全く及ぼさないと考えられる。例えば、フッ素化ポリマーコーティングを形成するよう反応するモノマーおよび/またはモノマーの前駆体に対して非反応性の気体を放出することは、特に反応容積に存在するその他の気体が不活性ガスであるときに比較的安全となり得る。
【0159】
別の例として、比較的低温で保持されるフィラメントの存在下で気体を放出することは、比較的低温で保持されたフィラメントが、基材から放出される気体の反応を触媒するのに十分なエネルギーを提供できないので、基材上に堆積されたフッ素化ポリマーコーティングに少しの影響を及ぼしまたは全く影響を及ぼさないと考えられる。
【0160】
第3の例として、基材から気体を放出することは、反応容積内を通る大量のその他の気体(例えば、大量のモノマー、モノマーの前駆体、および/または不活性ガス)および/または高流量のその他の気体(例えば、高流量のモノマー、モノマーの前駆体、および/または不活性ガス)の存在下で放出が生じるとき、基材上に堆積されたフッ素化ポリマーコーティングに少しの影響を及ぼしまたは全く影響を及ぼさないと考えられる。そのような条件下、基材から放出される気体は、反応容積内の気体の総量の比較的少量を構成してもよく、したがってその内部で生じる反応に対して比例して少しの影響を及ぼし得る。
【0161】
表面でのフッ素化ポリマーコーティングの堆積中に基材から放出され得る気体の非限定的な例には、水および空気が含まれる。
【0162】
一部の実施形態では、基材から放出される気体は、コーティングの堆積中に反応容積内に存在する気体の0.01mol%よりも多くもしくはそれに等しい、0.02mol%よりも多くもしくはそれに等しい、0.05mol%よりも多くもしくはそれに等しい、0.075mol%よりも多くもしくはそれに等しい、0.1mol%よりも多くもしくはそれに等しい、0.2mol%よりも多くもしくはそれに等しい、0.5mol%よりも多くもしくはそれに等しい、0.75mol%よりも多くもしくはそれに等しい、1mol%よりも多くもしくはそれに等しい、2mol%よりも多くもしくはそれに等しい、5mol%よりも多くもしくはそれに等しい、7.5mol%よりも多くもしくはそれに等しい、10mol%よりも多くもしくはそれに等しい、12.5mol%よりも多くもしくはそれに等しい、15mol%よりも多くもしくはそれに等しい、17.5mol%よりも多くもしくはそれに等しい、20mol%よりも多くもしくはそれに等しい、または22.5mol%よりも多くもしくはそれに等しい量を構成する。一部の実施形態では、基材から放出された気体は、コーティングの堆積中に反応容積に存在する気体の25mol%未満もしくはそれに等しい、22.5mol%未満もしくはそれに等しい、20mol%未満もしくはそれに等しい、17.5mol%未満もしくはそれに等しい、15mol%未満もしくはそれに等しい、12.5mol%未満もしくはそれに等しい、10mol%未満もしくはそれに等しい、7.5mol%未満もしくはそれに等しい、5mol%未満もしくはそれに等しい、2mol%未満もしくはそれに等しい、1mol%未満もしくはそれに等しい、0.75mol%未満もしくはそれに等しい、0.5mol%未満もしくはそれに等しい、0.2mol%未満もしくはそれに等しい、0.1mol%未満もしくはそれに等しい、0.075mol%未満もしくはそれに等しい、0.05mol%未満もしくはそれに等しい、または0.02mol%未満もしくはそれに等しい量を構成する。上記言及された範囲の組合せも可能である(例えば、0.01mol%よりも多くもしくはそれに等しくかつ25mol%未満もしくはそれに等しい、または0.1mol%よりも多くもしくはそれに等しくかつ10mol%未満もしくはそれに等しい)。その他の範囲も可能である。
【0163】
一部の実施形態は、本明細書に記述されるシステムがその最適な性能でまたはそれに近く維持される方法に関してもよい。この性能は、システムのオペレーターがそのようにする努力を同時に低減させながら維持することも可能である。これはシステムの1つまたは複数の状態を記録し、次いで1つまたは複数のそのような状態が、1つまたは複数の維持ステップを実施することでシステム性能を改善し得ることを示すときにオペレーターに警告する、自動化ソフトウェアを使用することによって実現され得る。そのようなシステム条件は、反応容積を所望の圧力に到達させるため真空源に曝すのに必要とされる時間の長さ、任意の供給源と反応容積との間に位置決めされた任意の弁の状態(例えば、真空源と反応容積との間に位置決めされたスロットル弁などの弁)、先の維持ステップからの時間の長さ、フッ素化ポリマーコーティングを堆積するのにシステムが用いられてきた時間の長さ、システムを通過してきた気体の量、1つまたは複数のフィラメントが抵抗加熱されてきた時間の長さなどを含んでいてもよい。
【0164】
本発明のいくつかの実施形態について本明細書に記述し例示してきたが、当業者なら、機能を発揮しおよび/または本明細書に記述される結果および/または利点の1つまたは複数を得るための様々なその他の手段および/または構造が容易に想像されるであろうし、そのような変形例および/または修正例のそれぞれは本発明の範囲内にあると考えられる。より一般的には、当業者なら、本明細書に記述される全てのパラメーター、寸法、材料、および構成は例示であることを意味し、実際のパラメーター、寸法、材料、および/または構成は、特定の適用例または本発明の教示が使用される適用例に依存することになることが、容易に理解されよう。当業者なら、本明細書に記述される本発明の特定の実施形態の多くの均等物を、理解しまたはただの通常の実験装置を使用して確認できるであろう。したがって、前述の実施形態は単なる例として提示され、添付される特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、本発明は特に記述されかつ請求項に記載される以外の手法で実施され得ることを理解されたい。本発明は、本明細書に記述される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法のそれぞれを対象とする。さらに、2つまたはそれよりも多くのそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組合せは、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に一貫性がない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0165】
本明細書で定義され使用されるような全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献での定義、および/または定義される用語の通常の意味に優先して理解されるべきである。
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」は、他に矛盾することが明示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解すべきである。
【0166】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」という文言は、そのように結合された要素、即ちある場合には接合的に存在しその他の場合には離接的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解すべきである。「および/または」で列挙される多数の要素は同様に解釈すべきであり、即ち、そのように接合された要素の「1つまたは複数」と解釈すべきである。その他の要素は、特に特定されたそれらの要素に関係があっても無関係であっても、「および/または」という句によって特に特定された要素以外、必要に応じて存在していてもよい。このように非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む」などのオープンエンドの語と併せて使用されるとき、一実施形態ではAのみ(必要に応じてB以外の要素を含む)を;別の実施形態ではBのみ(必要に応じてA以外に要素を含む)を;さらに別の実施形態ではAおよびBの両方(必要に応じてその他の要素を含む)などを指すことができる。
【0167】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「または」は、上記定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えばリスト中の項目を分離するとき、「または」または「および/または」は包括的と解釈するものとし、即ち要素のいくつかまたはリスト、および必要に応じて追加の列挙されていない項目の、少なくとも1つを含むが複数も含むものとする。反対の内容を明示する用語のみ、例えば「~のただ1つ」もしくは「~のまさに1つ」など、または請求項で使用されるとき、「~からなる」は、要素のいくつかまたはリストのまさに1つの要素を含むことを指すことになる。一般に、本明細書で使用される「または」という用語は、「いずれか」、「~の1つ」、「~のただ1つ」、または「~のまさに1つ」などの排他的な用語が先行するとき、排他的代替例(即ち、「1つまたはその他であるが両方ではない」)を示すと単に解釈されるものとする。「~から本質的になる」は、請求項で使用されるとき、特許法の分野で使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0168】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、「少なくとも1つ」という文言は、1つまたは複数の要素のリストを参照する際、要素のリストにおける要素のいずれか1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト中に特に列挙されたそれぞれおよび全ての要素の少なくとも1つを必ずしも含まずかつ要素のリスト中の要素の任意の組み合わせを排除するものではないと理解されるべきである。この定義は、特に特定されたそれらの要素に関係があっても無関係であっても、「少なくとも1つ」という文言が指す要素のリスト中で特に特定された要素以外の要素が必要に応じて存在していてもよいことも可能にする。したがって非限定的な例として「AおよびBの少なくとも1つ」(または等しく「AまたはBの少なくとも1つ」または等しく「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、必要に応じて複数を含む少なくとも1つのAであり、Bが存在しない状態(および必要に応じてB以外の要素を含む)を;別の実施形態では、必要に応じて複数を含む少なくとも1つのBであり、Aが存在しない状態(および必要に応じてA以外の要素を含む)を;さらに別の実施形態では、必要に応じて複数を含む少なくとも1つのAと、必要に応じて複数を含む少なくとも1つのBと(および必要に応じてその他の要素を含む)などを指すことができる。
【0169】
反対の内容が明示されない限り、複数のステップまたは動作を含む本明細書で主張される任意の方法において、方法のステップまたは動作の順序は、方法のステップまたは動作が列挙されている順序に必ずしも限定されないことも理解すべきである。
【0170】
特許請求の範囲において、ならびに上記明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関る(involving)」、「保持する(holding)」、「~から構成される(composed of)」、および同様のものなどの全ての移行句は、オープンエンドであると理解され、即ち含むがそれに限定されないことを意味すると理解される。「~からなる(consisting of)」および「~から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみ、the United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures, Section 2111.03に記載されるように、それぞれクローズドまたはセミクローズドの移行句であるとする。
【国際調査報告】