(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】金属-セラミック基板を製造する方法及びこのような方法によって製造された金属-セラミック基板
(51)【国際特許分類】
C04B 37/02 20060101AFI20230525BHJP
H05K 3/38 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
C04B37/02 B
H05K3/38 D
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022566158
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2021052470
(87)【国際公開番号】W WO2021219260
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】102020111698.5
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515063390
【氏名又は名称】ロジャーズ ジャーマニー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Rogers Germany GmbH
【住所又は居所原語表記】Am Stadtwald 2, D-92676 Eschenbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】ヴァーグル、ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルカー、ティロ
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、カルステン
【テーマコード(参考)】
4G026
5E343
【Fターム(参考)】
4G026BA01
4G026BB21
4G026BE01
4G026BF24
4G026BF42
4G026BF52
4G026BG03
4G026BG22
4G026BH07
5E343AA02
5E343AA23
5E343BB24
5E343DD52
5E343ER31
5E343FF07
5E343GG02
(57)【要約】
本発明は、金属-セラミック基板(1)を製造するプロセスであって、-セラミック要素(10)及び金属層を用意することと、-セラミック要素(10)を内包する気密容器(25)を用意することであって、容器(25)は、好ましくは金属層から形成されている又は金属層を含む、ことと、-熱間等方加圧によって金属層をセラミック要素(10)に接続することにより金属-セラミック基板(1)を形成することと、を含み、金属-セラミック基板(1)を形成する目的で、活性金属層(15)又は活性金属を含むコンタクト層が金属層とセラミック要素(10)との間の少なくともいくつかの部分に配置され、セラミック要素(10)への金属層の接続をサポートする、プロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属-セラミック基板(1)を製造する方法であって、
-セラミック要素(10)及び金属シートを用意することと、
-前記セラミック要素(10)を内包する気密容器(25)を用意することであって、前記容器(25)は、好ましくは、前記金属シートから形成されている又は前記金属シートを含む、ことと、
-熱間等方加圧を使用して前記金属シートを前記セラミック要素(10)に接合することにより前記金属-セラミック基板(1)を形成することと、を含み、
前記金属-セラミック基板(1)を形成するために、活性金属層(15)又は活性金属を含むコンタクト層が前記金属シートと前記セラミック要素(10)との間に少なくとも部分的に配置され、前記セラミック要素(10)への金属シート接合を促進する、方法。
【請求項2】
前記活性金属層(15)は、前記セラミック要素(10)に、及び/又は前記金属シートの側に、特に、前記容器(25)の内側に、蒸着によって適用される、及び/又は電気化学的に若しくは化学的に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性金属層(15)は、構造化された状態で適用される及び/又は構造化される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性金属層(15)は、熱間等方加圧に先だって、エネルギー入力にさらされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記気密容器(25)の形成は、真空中又は所定のガス雰囲気中で実施され、特に、前記容器(25)の内部空間は真空にされる及び/又は窒素でフラッシュされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記容器(25)を形成する金属シート及び/又は追加的な金属シートの第2の厚さ(D2)に対する前記活性金属層(15)の第1の厚さ(D1)の比率は、0.003未満、好ましくは0.0015未満、特に好ましくは0.001未満の値を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
熱間等方加圧中、加熱加圧装置(40)内の前記容器(25)は、10~200MPa(100~2000バール)、好ましくは、15MPa~120MPa(150バール~1200バール)、特に好ましくは30~100MPa(300~1000バール)のガス圧力に、及び300℃から融解温度までの、特に、前記金属層の前記融解温度未満の温度までのプロセス温度にさらされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
金属容器(25)を形成するために金属シート及び追加的な金属シートが用意され、前記金属シートは、前記金属シート及び前記追加的な金属シートのそれぞれの一部分が前記セラミック要素(10)の最外縁部からはみ出すような寸法にされ、好ましくは、締付け力によるはみ出た部分の変形後に、前記はみ出た部分は結合されて前記金属容器(25)を形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属シートは、前記容器(25)内に別個の構成要素として配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記コンタクト層中の活性金属の割合は、15重量%超、好ましくは25重量%超、特に好ましくは50重量%超である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属-セラミック基板(1)を形成するために、活性金属層(15)及び活性金属を含むコンタクト層が前記金属シートと前記セラミック要素(10)との間に少なくとも部分的に配置され、前記セラミック要素(10)への金属シート接合を促進する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の方法によって製造された金属-セラミック基板(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属-セラミック基板を製造する方法及びこのような方法によって製造された金属-セラミック基板に関する。
【背景技術】
【0002】
金属-セラミック基板は、例えばプリント回路基板又は回路基板として、従来技術から、例えば特許文献1、特許文献2、及び特許文献3から十分に周知である。一般に、電気構成要素と導体トラックとの接続領域は金属-セラミック基板の1つの部品面に配置され、電気構成要素と導体トラックとの相互接続を可能にし、電気回路を形成する。金属-セラミック基板の必須構成要素は、好ましくはセラミックでできた絶縁層、及び絶縁層に接合された少なくとも1つの金属シートである。セラミックでできた絶縁層は、その比較的高い絶縁強度のために、パワーエレクトロニクスにおいて特に有利であることが判明している。したがって、金属層の構造化により、電気構成要素の導電性トラック及び/又は接続領域を実現することができる。
【0003】
このような金属-セラミック基板を設けるための要件は、金属シートとセラミック層との間の永久的な接合である。いわゆる直接金属接合法、すなわちDCB又はDAB法に加えて、はんだ材料を使用したセラミック層への金属シートの接合が従来技術から周知である。
【0004】
例えば、金属層又は金属箔、特にまた銅層又は銅箔をセラミック材料に接合する活性はんだ付け法は、金属-セラミック基板の製造で特に用いられる方法であると理解されている。この方法では、金属箔、例えば銅箔と、セラミック基板、例えば窒化アルミニウムセラミックとの間の接合は、銅、銀及び/又は金などの主成分に加えて活性金属も包含する硬ろうを使用して約650~1000℃の温度で作製される。この活性金属は、例えば、Hf、Ti、Zr、Nb、Ceからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、はんだとセラミックとの間の接続を化学反応によって形成する一方で、はんだと金属との間の接続は、金属硬ろう接続である。
【0005】
更に、特許文献4及び特許文献5から、例えば、熱間等方加圧を使用して金属シートをセラミック層に接合し、金属-セラミック基板を形成する方法が知られている。熱間等方加圧はまた、後処理において、はんだ付け法又は直接金属接合法を用いた接合中に形成されたボイドの数を低減するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013104739号明細書
【特許文献2】独国特許発明第19927046号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102009033029号明細書
【特許文献4】独国特許発明第102013113734号明細書
【特許文献5】特許第4325470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術から始まり、本発明の目的は、特に、成功裏の、好ましくはボイドなしの、省エネルギーの、方法に安全な手法(prozesssichere)でのセラミックへの金属の接合に関して、従来技術から周知の方法と比べて更に改良された金属-セラミック基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の金属-セラミック基板を製造する方法及び請求項10に記載の金属-セラミック基板を提供することにより実現される。他の実施形態は、従属請求項及び明細書に記載されている。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、金属-セラミック基板を製造する方法であって、
-セラミック部材及び金属シートを用意することと、
-セラミック部材を内包する気密容器を用意することと、
-熱間等方加圧によって金属シートをセラミック部材に接合することにより金属-セラミック基板を形成することと、を含み、
金属-セラミック基板を形成するために、活性金属シート又は活性金属を含むコンタクト層が金属シートとセラミック要素との間に少なくとも部分的に配置され、セラミック要素への金属シートの接合、特に、金属容器の接合を促進する、方法が提供される。
【0010】
従来技術で周知の方法とは対照的に、熱間等方加圧を使用して金属シート又は金属シートをセラミック要素に接合し、活性金属シートが金属シートとセラミック要素との間に少なくとも部分的に配置され、セラミック要素への金属シートの接合を補助する。活性金属シートを使用すると、例えば、気密金属容器の一部である金属シートをセラミック要素に、成功裏に、信頼できる方法で接合すること及び永久接合することの確度が高まることが判明している。この状況において、製造された金属-セラミック基板の接合された金属シート又はメタライゼーションは、本来、気密容器の一部であること、又はセラミック要素とともに容器内、好ましくはガラス容器内に配置される別個の金属シートであることが特に意図される。その後、熱間等方加圧プロセスにおいて、金属シートはセラミック要素に接合され、容器は、好ましくは、金属シート及び/又は追加的な金属シートから金属容器として形成される。或いは、ガラス容器を使用することも考えられる。
【0011】
熱間等方加圧においては、特に金属容器の金属シート及び/又は追加的な金属シート、特に金属-セラミック基板の後続の金属層が金属シートの融解相及び/又は追加的な金属シートの融解相に転移しない加熱、特に焼結が実施されると認識される。同様に、熱間等方加圧においては、直接金属接合法、特にDCB法よりも低い温度が必要とされる。金属シートの融解温度未満の温度が通常使用される、はんだ材料を用いた金属シートとセラミック層との接合に比べて、本方法では、はんだ母材を有利には省略することができ、活性金属のみを必要とする。熱間等方加圧中における圧力の使用又は利用もまた、有利であることが判明している。なぜなら、その結果、一方の金属シート及び/又は追加的な金属シートと他方のセラミック要素との間の内包空気を低減することができ、それにより、空洞形成の頻度を低下させる、又は更には、形成若しくは製造される金属-セラミック基板中の空洞形成が回避されるからである。このことは、金属容器の金属層及び/又は金属シート及び/又は追加的な金属シートとセラミック要素との間の接合の品質に有利な効果をもたらす。特に、「固相拡散接合」(SDB:solid-state diffusion bonding)法はこのように実現される。
【0012】
特に、当業者であれば、活性金属を含むコンタクト層は、活性金属の量が15重量%超、好ましくは25重量%超、特に好ましくは50重量%超の層であると理解する。したがって、当業者であれば、活性金属を含むコンタクト層は、活性金属もわずかに包含し得る活性はんだ材料ではないと考える。
【0013】
互いに重ねられて配置されるいくつかの活性金属層が使用されることも考えられる。活性金属及び/又は活性金属を含有するコンタクト層が金属シート及びセラミック要素それぞれに適用されることも考えられる。好ましくは、活性金属層及び活性金属含有コンタクト層の両方が金属シートとセラミック要素との間に配置される。好ましくは、活性金属層は、セラミック要素上に配置され、組み立てられた状態ではコンタクト層により被覆される。
【0014】
更に、例えば、DCB法によって製造される基板で達成され得る分離トレンチの幅に対応する寸法の、より狭い分離トレンチを実現することができる。特に、活性はんだ付け法が使用された場合に一般に分離トレンチ内に最大約200μmはみ出るはんだくずが見込まれないことで、分離トレンチは、サイズを約200μm削減することができる。はんだくずは、エッチング側面の端部から始まり分離トレンチの方向に測定される。はんだくずは、互いに対向し、分離トレンチを主伸張面に平行な方向に画定する全体的な金属部分において測定される。
【0015】
好ましくは、金属-セラミック基板は、製造された状態において、セラミック要素に接合された金属層又はメタライゼーションが構造化されたプリント回路基板として提供される。例えば、この目的のため、電気若しくは電子構成要素用の導体トラック及び/又は接続を実現するために使用される金属-セラミック基板を形成するために、熱間等方加圧に加えて、例えば、レーザ構造化、エッチング、及び/又は機械加工による構造化も実施されるようになっている。好ましくは、裏面メタライゼーション及び/又は冷却要素が、製造される金属-セラミック基板上の、金属層の反対側のセラミック要素上に適用されるようになっている。好ましくは、裏面メタライゼーションはたわみを相殺し、冷却要素は、動作中にプリント回路基板又は金属-セラミック基板に接続された電気又は電子構成要素から発生する熱を効果的に放散する。
【0016】
好ましくは、1つのみの活性金属層又は1種のみの活性金属が金属容器とセラミック要素との間に提供される。
特に、接合は、はんだ母材なしで実施される、又ははんだ母材を使用することなく実施される。
【0017】
活性金属の例は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、セリウム(Ce)、タンタル(Ta)、マグネシウム(Mg)、ランタン(La)、及びバナジウム(V)である。ここで、金属La、Ce、Ca、及びMgは容易に酸化し得ることに留意されたい。元素Cr、Mo、及びWは、従来の活性金属材料ではなく、少なくとも1つの金属層、例えば銅と金属間相を形成せず、縁部溶解性を有しないため、Si3N4と少なくとも1つの金属層又ははんだ系又ははんだ材料との間のコンタクト層として好適であることに更に留意されたい。特に、本方法において省略され得るはんだ母材は、金属系の母材、好ましくは、銀系の母材又は銅系の母材である。銀系の母材においては、銀が主成分、すなわち、重量百分率の観点において最大含有量の成分であり、銅系の母材においては、銅が主成分である。銀系の母材の例は、AgCu、特に、AgCu28、AgCuln、AgCuSn、及びAgCuGaである。銅系の母材の例は、銅CuSn、CuAg、Culn、CuGa、CulnSn、CulnMb、CuGaSnである。NiCrMn又はSnCuをベースとするはんだ母材をなしで済ますことも考えられる。
【0018】
更に、活性金属を含むコンタクト層は、例えば、TiN、TiC、又はTiOなどの活性金属を含有する化合物、特に、異なる酸化状態の又は異なる化学量論的及び非化学量論的化合物を含む層として理解される。1種以上の活性金属を含む合金であることも考えられる。
【0019】
はんだ母材を伴わない接合の代わりとして、活性金属を含むはんだ母材又ははんだ材料が活性金属層又はコンタクト層と金属容器との間に配置されることも考えられる。これにより、追加的な接合が形成される。この場合、接合は、はんだ材料又ははんだ母材の方法温度(Prozess-temperatur)を下回る又は上回る温度で実施されることが考えられる。更に、この場合、銀を含有しないはんだ材料又ははんだ母材を使用すると有利である。
【0020】
金属-セラミック基板又は絶縁要素内の少なくとも1つの金属層及び/又は少なくとも1つの追加的な金属層に好適な材料は、銅、アルミニウム、モリブデン、タングステン、及び/又はそれらの合金、例えば、CuZr、AlSi、若しくはAlMgSi、及び積層体、例えば、CuW、CuMo、CuAI及び/若しくはAICu、又はMMC(金属マトリックス複合材(metal matrix composite))、例えば、CuW、CuMo若しくはAlSiCである。更に、製造された金属-セラミック基板の少なくとも1つの金属層は、特に、構成要素メタライゼーションとして表面改質されていることが好ましい。表面改質としては、例えば、貴金属、特に、銀及び/若しくは金若しくは(無電解)ニッケル又はENIG(「無電解ニッケル浸漬金(electroless nickel immersion gold)」)での封止、又はクラック形成若しくは拡張を抑制するためのメタライゼーションのエッジキャストが適切である。
【0021】
好ましくは、セラミック要素は、Al2O3、Si3N4、AIN、HPSXセラミック(すなわち、構成比率xパーセントのZrO2を含むAL2O3マトリックスを有するセラミック、例えば、9%のZrO2を有するAL2O3=HPS9、又は25%のZrO2を有するAL2O3=HPS25)、SiC、BeO、MgO、高密度MgO(理論密度の90%超)、セラミック材料の材料としてのTSZ(正方晶安定化酸化ジルコニウム)を含む。様々な所望の性質を組み合わせるために、この状況において、セラミック要素が、それぞれがその材料組成の点で異なるいくつかのセラミック層が互いに重なり合って配置され、接合されて絶縁要素を形成する複合材又はハイブリッドセラミックとして設計されることも考えられる。
【0022】
好ましくは、活性金属層は、物理蒸着法及び/若しくは化学蒸着法、例えば、スパッタリング法によって、並びに/又は電気化学的に若しくは化学的に、セラミック要素及び/又は金属容器の内側表面に適用される。蒸着法、例えば、スパッタリング法を使用することにより、有利には、比較的薄い活性金属層を提供することが可能であり、この比較的薄い活性金属層は、特にその厚さに関して、接合性能に有益な効果はもたらしても、例えば、構造体のエッチングなどの更なる方法工程をそれ以上阻害することのないように形成され得る。提供される金属容器の内側に活性金属層が形成されるように、活性金属層は、金属容器の形成前又は後に、金属シート及び/又は追加的な金属シートに適用され得る。
【0023】
特に、活性金属層は、構造化されるように適用される及び/又は構造化されることになっている。このようにして、特に、活性金属層がない特定の領域、特に、製造された金属-セラミック基板において金属が提供されない又は接合が局所的に望ましくない領域に相当することになる領域が実現され得る。これらの領域内に、例えば、いわゆるアイソトレンチ(Isograben(aはウムラウト付き))が形成される。目標を定めた活性金属の排除又は非含有により、金属層とセラミック要素との間の接合領域中の活性金属を多額の費用をかけて再度除去する必要がないため、製造方法において、構造化方法、特に第2のエッチングが簡素化される又は省略される。例えば、蒸着の過程で、セラミック要素の上面及び/又は金属容器の内側の特定の領域が活性金属を含まないままであることを確実とするために、マスキングを使用することが考えられる。或いは、接合方法に先だって、適用された活性金属層の一部が、例えば、エッチング及び/又はレーザ光によって再度除去されることが考えられる。この状態においては、セラミック要素と活性金属との間の接合は未だ実施されていないため、この段階での除去は比較的容易である。
【0024】
活性金属層は、熱間等方加圧の前にエネルギー入力にさらされることが有用である。例えば、エネルギーは光のフラッシュを用いて活性金属層に加えられることが考えられ、これは「フラッシュライトアニーリング(flash light annealing)」で行われる。これにより、活性金属層を介したセラミック要素に対する金属容器の接合性能が更に向上する、又は特に、アルミニウム及びその合金などの融点の低い金属に関するHIP法時のピーク温度が更に低下し得る。本明細書では、エネルギー入力は、絶縁要素又は少なくとも1つの金属層上に活性金属層を配置した後に行われることが好ましい。
【0025】
好ましくは、気密金属容器の形成は、真空中又は指定のガス雰囲気中で実施され、特に、金属容器の内部は真空にされる及び/又は窒素でフラッシュされる。
更に、金属容器が形成される若しくは構築される金属シート及び/又は追加的な金属シートの第2の厚さに対する活性金属層の第1の厚さの比率は、0.003未満、好ましくは0.0015未満、特に好ましくは0.001未満の値を有することが考えられる。更に、好ましくは、第2の厚さに対する第1の厚さの比率は、0.00015超、好ましくは0.0002超、より好ましくは0.0003超の値を有することになっている。例えば、第2の厚さに対する第1の厚さの比率は、0.00015~0.003、好ましくは0.0002~0.0015、より好ましくは0.0003~0.001の値を有する。本値は、特に、300μm~1000μmの第2の厚さに適用される。この結果、金属シート及び/又は追加的な金属シートに比べて薄い活性金属層が提供され、これもまた、特に、製造方法後に、又は金属シート及び/若しくは追加的な金属シートをセラミック要素に接合後に、エッチングプロセスを使用して比較的容易に除去され得る。
【0026】
特に、1mmを超える第2の厚さに関しては、金属容器が作製若しくは形成される金属シート及び/又は追加的な金属層の第2の厚さに対する活性金属層の第1の厚さの比率は、0.0006未満、好ましくは0.0004未満、特に好ましくは0.0003未満の値を有することになっている。更に、好ましくは、第2の厚さに対する第1の厚さの比率は、0.00005超、好ましくは0.00008超、より好ましくは0.0001超の値を有することになっている。例えば、第2の厚さに対する第1の厚さの比率は、0.00005~0.0006、好ましくは0.00008~0.0004、より好ましくは0.0001~0.0003の値を有する。
【0027】
好ましくは、熱間等方加圧において、金属容器は、加熱加圧装置内において、10~200MPa(100~2000バール)、好ましくは15MPa~120MPa(150バール~1200バール)、特に好ましくは30~100MPa(300~1000バール)のガス圧力に、及び300℃から融解温度までの、特に、金属シート及び/若しくは追加的な金属シートの融解温度未満の温度までのプロセス温度にさらされるようになっている。有利には、したがって、直接金属接合法、例えば、DCB法若しくはDAB法の要求温度に達することなく、及び/又は活性はんだ付けで使用されるはんだ母材なしに、金属層、すなわち金属容器の金属シート及び/又は追加的な金属シートをセラミック要素に接合することが可能であることが判明している。更に、適切なガス圧力の使用により、金属-セラミック基板が、可能な限り少ないボイドを有して、すなわち、金属層とセラミック要素との間に内包ガスを有さずに製造されることが可能になる。特に、独国特許出願公開第102013113734号明細書で言及され、本明細書で明示的に参照される方法パラメータが使用される。
【0028】
更に、好ましくは、金属容器を形成するために金属シート及び追加的な金属シートが用意され、金属シート及び追加的な金属シートは、金属シート及び追加的な金属シートのそれぞれの一部分がセラミック要素の最外縁部に対してはみ出すような寸法にされ、好ましくは、締付け力によるはみ出た部分の変形後に、はみ出た部分は結合されて金属容器を形成するようになっている。気密金属容器はこのようにして製造することができ、金属シート及び追加的な金属シートの突き出た部分は、結合後、セラミック要素を主伸張面に平行に延びる平面内において周方向又はフレーム状に包囲する結合された領域を形成することが判明している。特に、金属容器を形成するために、金属シート及び追加的な金属シートの自由縁部部分は、これらが直接結合される前に締付け力を印加することにより変形され、その後、金属シートの自由縁部部分は、溶接、特に、接触溶接若しくはレーザ溶接によって、又は硬ろう付けを含むはんだ付けによって、縁部で互いに結合されるようになっている。代替的に又は追加的に、金属シート及び追加的な金属シートの縁部側の直接接続は、機械的な接合、又は自由縁部部分の圧延、プレス成形、及び/若しくはビーディングなどの機械加工による方法を使用して行われ得る。金属容器の形態に関しては、本出願は、独国特許出願公開第102013113734号明細書の開示の内容を明示的に参照する。
【0029】
更に、活性金属層は箔として提供されることが好ましい。例えば、活性金属層は、金属容器を形成する金属シート及び/又は追加的な金属シートとともに提供されると考えられる。例えば、金属シート及び/又は更なる金属シートと活性金属層の両方は一緒に提供され、好ましくは、ロールを用いて好ましい厚さに巻き出される。或いは、活性金属層は単一箔としてセラミック要素上に又はセラミック要素と金属容器との間に別々に配置されることが考えられる。単一箔を使用すると、特に、可能な限り均質且つ均一な活性金属層の厚さを提供することができるため、有利であることが判明している。更に、このようにして、比較的薄い活性金属層が実現され得る。更に、活性金属層は少なくとも1つの金属層に適用されることが考えられる。
【0030】
好ましくは、金属シートは、容器の一部となるように又は容器を少なくとも部分的に形成するように提供される。この場合、金属シート及び/又は更なる金属シートは、後続の金属-セラミック基板の一部になる。好ましくは、気密容器、特にガラス容器は、熱間等方加圧中に、金属シート及び/又は更なる金属シートをセラミック要素に均一に押し付けるために、その内側が金属シート及び/又は更なる金属シートに載置され、この押し付けの効果は、容器から集合体に伝えられる。この目的のために、対応する圧力が容器の外側に印加され、集合体に対して圧迫作用を生じさせる。
【0031】
本発明の別の目的は、本発明による方法により製造された金属-セラミック基板である。本方法に関して記載した全ての性質及び利点は金属-セラミック基板にも同様に適用することができ、その逆もまた然りである。
【0032】
特に、提案する方法は、既存の圧力条件により、ボイドが事実上発生しない、又はAMB法若しくはDCB法により製造された金属-セラミック基板に比べてボイドの数が減少した金属-セラミック基板を提供する。更に、セラミック表面のプロファイルに対応するプロファイル中に一定の金属層厚さが形成される。更に、本方法は、銀含有はんだ母材を排除することを可能とし、第2のエッチングを簡素化する。その結果、例えば、DCB法により製造された基板において実現され得る分離トレンチの幅に対応する寸法のより狭い分離トレンチが実現され得る。特に、通常、各側で分離トレンチ内に最大100μmはみ出るはんだくずが見込まれないため、分離トレンチは、サイズを約200μm削減することができる。このはんだくずは、エッチング側面の端部から始まり分離トレンチの方向に測定される。はんだくずは、主伸張面に平行な方向に分離トレンチを限定する対向する金属部分の合計として測定される。更に、金属層とセラミック要素との間の境界部におけるフリンジ形成を低減することができる。なぜなら、主伸張面に平行な方向にフリンジ状に進行するものとして明らかに顕在化する制御困難なエッチングに至っていたはずのはんだ材料中の銀成分。更に、金属-セラミック基板全体にわたって変化しない金属層の一定の厚さにより、エッチング方法が金属-セラミック基板の全領域に対して同一の状態で実施されることを可能にし、金属層の厚さの調整を行う必要はない。一定の厚さは、熱間等方加圧で使用される圧力により金属シート又は金属層がセラミック要素のプロファイルに対して均一に押し付けられることで実現される。更に、金属層中の均質な材料分布により、金属-セラミック基板にわたってエッチング側面の均一な形状寸法を実現することが有利に可能である。
【0033】
特に、少なくとも1つの金属層及び絶縁要素は、主伸張面に沿って延び、主伸張面に垂直に延びる積層方向に沿って互いに重なって配置され、製造されたキャリア基板内の少なくとも1つの金属層と絶縁要素との間に接合層が形成され、接合層の接着促進層は、5ohm/sq超、好ましくは10ohm/sq超、特に好ましくは20ohm/sq超のシート抵抗を有する。
【0034】
従来技術から周知のキャリア基板と比べると、本発明によれば、接合層の接着促進用層のシート抵抗は、5ohm/sq超、好ましくは10ohm/sq超、特に好ましくは20ohm/sq超である。決定されるシート抵抗は、少なくとも1つの金属層を絶縁要素に接合するために必須の、接合層中の活性金属の割合に直接関係する。シート抵抗は、接合層中の活性金属の割合が減少するにつれて増加する。したがって、同様に高いシート抵抗は、接合層中の低い活性金属含有量に対応する。活性金属含有量が増加することで、脆い金属間相の形成が促進され、このことは更に、絶縁層からの金属層の剥離強度に悪影響を及ぼすことが判明している。換言すると、本発明により必要とされるシート抵抗率は、脆い金属間相の形成を低減することにより剥離強度が向上した、すなわち増加した接合層を提供する。したがって、要件に従いシート抵抗率を選択的に調整することにより、少なくとも1つの金属層とセラミック要素との間の特に強固な接合が実現され得る。
【0035】
シート抵抗を決定するために、金属層及び場合によりはんだベース層は、製造された基板から、例えばエッチングによって最初に除去される。その後、4点測定を使用して、少なくとも1つの金属層及びはんだベース層が除去されたキャリア基板の上面又は下面のシート抵抗が測定される。特に、材料サンプルの表面抵抗は、正方形の表面積に関するその抵抗として理解されている。表面抵抗率にはohm/sqの単位を割り当てることが一般的である。表面抵抗の物理単位はオームである。
【0036】
好ましくは、積層方向に測定され、主伸張面に平行に延びる所定の領域内又は複数の領域内の複数の測定点にわたって平均化される接合層の厚さは、20μm未満、好ましくは10μm未満、特に好ましくは6μm未満の値を有する。複数の領域の参照とは、少なくとも1つの金属層が可能な限り同じサイズの領域に更に分割され、少なくとも1つの金属層を更に分割したこれらの領域のそれぞれにおいて、厚さに関する少なくとも1つの値、好ましくは複数の測定値が検出されることを特に意味する。異なる点においてこのように決定された厚さは、算術的に平均化される。
【0037】
したがって、従来技術から周知のキャリア基板と比べると、比較的薄い接合層が少なくとも1つの金属層と絶縁要素との間に形成される。接合層の関連の厚さを決定するために、被測定厚さは、所定の又は既定の表面内に位置する多数の測定点にわたって平均化される。これにより、絶縁要素、特にセラミック要素には一般に起伏がある、すなわち、絶縁要素はうねりを有するとされることを有利に考慮に入れる。特に、うねりは、主伸張面に平行に延びる方向に沿って数ミリメートル又はセンチメートルにわたって見られる絶縁要素の略平坦コースの変化であると当業者は理解する。これにより、絶縁要素上に通常更に存在する絶縁要素の表面粗さとこのような起伏とを区別する。絶縁要素のこのような一般的に不可避の起伏を厚さ決定に含めることにより、接合層は、起伏によって変化する可能性があり、特に、絶縁要素のピーク領域よりも絶縁要素の谷領域において大きくなる可能性がある。
【0038】
この起伏にもかかわらず、平均化された厚さ値は、従来技術のキャリア基板で知られるものよりも大幅に低い。これは、特に又は例えば、絶縁要素と少なくとも1つの金属層との間に、個々に、すなわち別々に、例えば、はんだ母材に加えて特に配置される必要な活性金属層を配置することにより実現される。好ましくは、活性金属は、化学蒸着法及び/又は物理蒸着法、例えばスパッタリングを使用してはんだ母材及び/又は少なくとも1つの金属層及び/又は絶縁要素に適用され、更に、比較的薄い接合層、特に、均質で薄い接着促進層をもたらす比較的薄い活性金属層が実現される。真空中でプラズマを使用して及び/又は蒸着によって、はんだ母材、絶縁要素、及び/又は少なくとも1つの金属層上に活性金属層を提供することも考えられる。活性金属層を電気めっきにより実現することも考えられる。活性金属層は箔として提供されることが特に好ましい。
【0039】
比較的薄い接合層を形成すると、例えば、「第2のエッチング」法で少なくとも特定の領域内の接合層を除去して、キャリア基板を構造化する、特に、その少なくとも1つの金属層及び接合層を構造化するのに必要な労力が特に減少する。好ましくは、少なくとも1つの金属層の複数の金属部分を互いに電気的に分離するこの構造化は、エッチング及び/若しくは機械加工工程によって並びに/又はレーザ光を使用して実施される。更に、薄い層厚さを使用することで、例えばはんだ材料の材料欠陥に起因する接合層内の潜在的欠陥の数を有利に低減できると有利であることが示されている。接合層内の欠陥又ははんだ材料の材料欠陥は、例えば、活性金属粒子などのはんだ材料中の大きな粒子であると理解され、これは、接合層内における巨大な粒子の形成、及び/又は大きな粒子が完全に融解しないことでスペーサとしてのはんだギャップの最小化を妨げる原因となり得る。特に、スパッタリングを用いた適用は、比較的大きな粒子が、活性金属層、特に、後続の接合層の一部となることを阻止する簡単な手法である。最終的には、製造されるキャリア基板上に薄い接合層が均一に形成されると有利である。
【0040】
特に好ましくは、キャリア基板のサイズとは無関係に、決定に寄与する測定範囲を決定し、選択するために以下の方法が提供される。
第1の工程において、キャリア基板の少なくとも1つの金属層は、同等のサイズの9つの矩形、特に正方形、すなわちいくつかの領域に分割される。このように定義された各々の測定領域内に2つ又は3つの切欠図を生成し、これらの切欠図を使用して、切欠図のそれぞれにおける少なくとも1つの金属層の平均厚さを決定する。切欠図は、SEM法を用いて、例えば、2000倍又は2500倍の倍率で記録されることが好ましい。次いで、第2の工程において、切欠図で記録された合計18又は27個の平均厚さの平均を取る。これらの厚さは、9つの矩形の測定領域の全てに分布する。このようにして、有利には、平均厚さが、少なくとも1つの金属層と絶縁要素との間の接合層の代表値であることが確実となる。換言すると、本明細書に記載される手順は、均一に分布する測定領域に見られる少なくとも1つの金属層において決定される平均厚さを提供する。厚さの平均値の決定に寄与する測定範囲を選択するための本明細書に記載される手順は、シート抵抗率の決定のためにも同様に使用される。
【0041】
好ましくは、接合層及び/又は追加的な接合層は、活性金属を含む接着促進層である。特に、接合層は、活性金属を含む接着促進層のみから形成される。この点に関して、接合層内の接着促進層は、窒素、酸素、又は炭素などのセラミック要素の成分、及びセラミックの他の成分を有する接合剤を有する。同様に、接着促進用層は、例えば、窒化チタン、酸化チタン、及び/又は炭化チタンを含む。この場合、主伸張面に平行な表面内の複数の測定点又は複数の表面にわたって平均された、積層方向に測定した接合層の厚さは、0.003mm未満、好ましくは0.001mm未満、特に好ましくは0.0005未満、又は更には0.00035mm未満の値をとる。特に、そのような接合層において、はんだ母材及び/又は銀部分が排除された場合、更に薄い接合層を同様に形成することができる。
【0042】
添付の図を参照しながら、本発明の好ましい実施形態の以下の説明から更なる利点及び特性が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1a】本発明の第1の例示的な実施形態による金属-セラミック基板を製造する方法を示す。
【
図1b】本発明の第1の例示的な実施形態による金属-セラミック基板を製造する方法を示す。
【
図1c】本発明の第1の例示的な実施形態による金属-セラミック基板を製造する方法を示す。
【
図1d】本発明の第1の例示的な実施形態による金属-セラミック基板を製造する方法を示す。
【
図1e】本発明の第1の例示的な実施形態による金属-セラミック基板を製造する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1a~
図1eに、本発明の第1の例示的な実施形態による金属-セラミック基板1を製造する方法が示される。このような金属-セラミック基板1は、好ましくは、金属-セラミック基板1の金属層20に接続可能な電子又は電気構成要素のためのキャリア又はプリント回路基板としての役割を果たす。この状況において、金属層20は、適切な導体トラック及び/又は接続領域を形成するように構造化されることが好ましい。したがって、主伸張面HSEに沿って実質的に延びる金属層20とセラミック要素10は、主伸張面HSEに垂直に延びる積層方向Sに沿って互いに重なり合って配置され、好ましくは、互いに結合又は接続される。金属層20に加えて、金属-セラミック基板1は、好ましくは、裏面メタライゼーション20’を含む。裏面メタライゼーション20’は、積層方向Sに見られるように、セラミック要素10の、金属層20と反対の側に配置され、これに接合される。裏面メタライゼーション20’及び/又は追加的な冷却要素は、例えば特に、金属-セラミック基板1のたわみを相殺するためのものである、及び/又は金属-セラミック基板1上の電気若しくは電子構成要素に起因する熱入力を放散するためのものである。
【0045】
図1a~
図1eに記載されている方法は、特に、金属層20及び/又は裏面メタライゼーション20’をセラミック要素10に接合するために使用される。このため、セラミック要素10が最初に用意される(
図1aを参照)。
図1b及び
図1cでは、集合体30が形成される。集合体30は、セラミック要素10に加えて、活性金属層15及び金属容器25を含む。図示される実施形態では、活性金属層15は、最初に、セラミック要素10の好ましくは両側に配置される。これは、例えば、物理蒸着法及び/若しくは化学蒸着法を使用することにより、並びに/又は電気化学的に行うことができる。或いは、活性金属層15はまた、金属容器25の内側に形成され得る。集合体30において、金属容器25の内面はセラミック要素10に面している。
【0046】
図1cに示される集合体30において、金属容器25はセラミック要素10及び活性金属層15を完全に内包している。本明細書では、内包とは、活性金属層15の一部が金属容器25内に配置されることを指すものとされる(例えば、活性金属層15は金属容器25の縁部を越えて延びることができる)。そのため、活性金属層15は、積層方向Sに見られるように、金属容器25の内側とセラミック要素10との間に配置される。特に、金属容器25は気密金属容器25であり、特に、その内側表面の全体にわたって、活性金属層15及び/又はセラミック要素10に載置される。
【0047】
例えば、このタイプの金属容器25は、金属シート及び追加的な金属シートを使用して、この金属シートと追加的な金属シートとの間に、セラミック要素10と、好ましくは、セラミック要素の両側に配置された活性金属層15とを有するサブ集合体を配置することによって製造され得る。この場合、金属シート及び追加的な金属シートは、セラミック要素10及び/又は活性金属層15の最外縁部に対して主伸張面HSEの方向に突き出るような寸法にされることが好ましい。或いは、金属容器25は、例えば、硬ろう付けによって、金属シート及び/又は追加的な金属シートをセラミック要素10に接合することにより形成されることも考えられる。この場合、金属シート及び/又は追加的な金属シートは、セラミック要素10に対してはみ出る必要はない。その後、金属シート及び追加的な金属シートの各々のはみ出た部分は、好ましくは、セラミック要素10と活性金属層15とのサブ集合体の外周部に沿って互いに接合され、気密金属容器25を形成し得る。好ましくは、金属容器25の形成は真空下で実施される。バッグが金属シートから形成され、その中に、セラミック要素10及び活性金属層15が配置されることも考えられる。その後、バッグは気密シールされる。
【0048】
更に、活性金属層15は、積層方向Sに平行に延びる方向に第1の厚さD1を有し、金属容器25を形成する金属シート及び/又は追加的な金属シートは、特に、サブ集合体の上側及び/又は下側の領域内に同じ方向の寸法の第2の厚さD2を有し、その結果、第2の厚さD2に対する第1の厚さD1の比率は、0.0006未満、好ましくは0.0004未満、特に好ましくは0.0003未満になるようになっていることが好ましい。換言すると、活性金属層15は、金属容器25を形成するために使用される金属シート及び/又は追加的な金属シートの第2の厚さD2と比べると比較的薄い。
【0049】
更に、積層方向Sに見られるような、金属容器25と、セラミック要素10と、金属容器25とセラミック要素10との間に配置された活性金属層15とを含む集合体30は、加熱加圧装置40(
図1d)に供給される。加熱加圧装置40内で、熱間等方加圧を用いて、集合体30を10MPa~200MPa(100バール~2000バール)、好ましくは15MPa~120MPa(150バール~1200バール)、特に好ましくは30~100MPa(300~1000バール)のガス圧力に、及びそれぞれ、300℃から金属シートの融解温度未満の温度までの、又は融解温度までの方法温度にさらすことにより、金属容器25とセラミック要素10との少なくとも部分的な接合が実施される。特に、熱間等方加圧は、焼結、すなわち、DCBプロセスにおいて金属層をセラミック要素に接合するために典型的に用いられる融解を発生させない、加熱を伴う。これにより、DCB法のより高い要求温度の印加を要することなく、金属容器25の金属シートとセラミック要素10との間に接合を形成することが可能になる。同時に、熱間等方加圧時のガス圧力により、ボイド、すなわち、金属シート及び/又は追加的な金属シートとセラミック要素10との間の内包ガスの数又は頻度を低減する。その結果、セラミック要素10と金属層20との間に改良された接合及びより高品質の接合が形成される。
【0050】
この点に関して、活性金属層15の使用は、接合方法、並びにセラミック要素10に対する金属容器25の金属シート及び/又は追加的な金属シートの接合によい影響を及ぼすことが見出された。特に、ろう付けプロセスでは、金属層20とセラミック要素10との間の接合を確実とするために、一般に、活性金属に加えてろう付け用母材が必要となるという点で、活性金属層15を使用する熱間等方加圧はろう付けプロセスとは異なる。セラミック要素10に対する金属容器の金属シート20又は追加的な金属シートそれぞれの接合後に、集合体30は、特に、金属容器25を形成している金属シート又は追加的な金属シートの部分をそれぞれ除去することにより、一部又は一部分がそれぞれ取り除かれる。
【0051】
好ましくは、熱間等方加圧の過程における金属シート及び/若しくは追加的な金属シート、又はセラミック要素10に接合された金属層20の構造化は、同時に実施される。特に、主伸張面HSEの方向にはみ出して、セラミック要素10及び/又は活性金属層15に対向する金属層25を形成し、互いに接合されて気密金属層25を形成する部分は除去される(
図1cを参照)。換言すると、好ましくは、セラミック要素10を包囲し取り囲む金属容器25の部分は除去される。
【0052】
更に、製造された金属基板1の金属シート及び/若しくは追加的な金属シート又は金属層20、すなわちメタライゼーションは、セラミック要素10が金属層20の最外縁部に対して主伸張面HSEに平行な方向にはみ出すように構造化される又は構造化されることになる。このようにして、金属層20と裏面メタライゼーション20’との間の電気絶縁に寄与し、フラッシュオーバを防ぐ、いわゆるプルバックが形成される。
【符号の説明】
【0053】
1 金属セラミック基板
10 セラミック要素
15 活性金属層
20 金属層
20’ 裏面メタライゼーション
25 金属容器
30 集合体
40 加熱加圧装置
S 積層方向
D1 第1の厚さ
D2 第2の厚さ
HSE 主伸張面
【手続補正書】
【提出日】2022-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属-セラミック基板(1)を製造する方法であって、
-セラミック要素(10)及び金属シートを用意することと、
-前記セラミック要素(10)を内包する気密容器(25)を用意することであって、前記容器(25)は、好ましくは、前記金属シートから形成されている又は前記金属シートを含む、ことと、
-熱間等方加圧を使用して前記金属シートを前記セラミック要素(10)に接合することにより前記金属-セラミック基板(1)を形成することと、を含み、
前記金属-セラミック基板(1)を形成するために、活性金属層(15)又は活性金属を含むコンタクト層が前記金属シートと前記セラミック要素(10)との間に少なくとも部分的に配置され、前記セラミック要素(10)への金属シート接合を促進
し、
前記活性金属は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、クロム、ニオブ、セリウム、タンタル、マグネシウム、ランタン、バナジウム、モリブデン、又はタングステンであり、
前記コンタクト層中の活性金属の割合は、15重量%超であり、
前記金属シートは、プリント回路基板として好適な金属-セラミック基板を形成するように構造化されている、方法。
【請求項2】
前記活性金属層(15)は、前記セラミック要素(10)に、及び/又は前記金属シートの側に、特に、前記容器(25)の内側に、蒸着によって適用される、及び/又は電気化学的に若しくは化学的に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性金属層(15)は、構造化された状態で適用される及び/又は構造化される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性金属層(15)は、熱間等方加圧に先だって、エネルギー入力にさらされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記気密容器(25)の形成は、真空中又は所定のガス雰囲気中で実施され、特に、前記容器(25)の内部空間は真空にされる及び/又は窒素でフラッシュされる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記容器(25)を形成する金属シート及び/又は追加的な金属シートの第2の厚さ(D2)に対する前記活性金属層(15)の第1の厚さ(D1)の比率は、0.003未満、好ましくは0.0015未満、特に好ましくは0.001未満の値を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
熱間等方加圧中、加熱加圧装置(40)内の前記容器(25)は、10~200MPa(100~2000バール)、好ましくは、15MPa~120MPa(150バール~1200バール)、特に好ましくは30~100MPa(300~1000バール)のガス圧力に、及び300℃から融解温度までの、特に、前記金属層の前記融解温度未満の温度までのプロセス温度にさらされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
金属容器(25)を形成するために金属シート及び追加的な金属シートが用意され、前記金属シートは、前記金属シート及び前記追加的な金属シートのそれぞれの一部分が前記セラミック要素(10)の最外縁部からはみ出すような寸法にされ、好ましくは、締付け力によるはみ出た部分の変形後に、前記はみ出た部分は結合されて前記金属容器(25)を形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記金属シートは、前記容器(25)内に別個の構成要素として配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記コンタクト層中の活性金属の割合は
、25重量%超
、好ましくは50重量%超である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記金属-セラミック基板(1)を形成するために、活性金属層(15)及び活性金属を含むコンタクト層が前記金属シートと前記セラミック要素(10)との間に少なくとも部分的に配置され、前記セラミック要素(10)への金属シート接合を促進する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】