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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】新規の造粒球状黒鉛の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/205 20170101AFI20230525BHJP
   H01M 4/587 20100101ALN20230525BHJP
【FI】
C01B32/205
H01M4/587
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574227
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 KR2020010578
(87)【国際公開番号】W WO2021246571
(87)【国際公開日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0067265
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522467404
【氏名又は名称】チョン、ヨン ウン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヨン ウン
(72)【発明者】
【氏名】オウ、チョン フン
【テーマコード(参考)】
4G146
5H050
【Fターム(参考)】
4G146AA02
4G146AA19
4G146AB02
4G146AB03
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC07B
4G146AC22A
4G146AC22B
4G146AD23
4G146AD25
4G146BA02
4G146BA22
4G146BB03
4G146CB04
4G146CB10
4G146DA07
5H050AA19
5H050BA17
5H050CB08
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA10
5H050GA12
5H050HA01
5H050HA05
5H050HA08
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
本発明は、高効率による低コストで大量生産が可能な造粒球状黒鉛の製造方法を提供し、(a)鱗片状の天然黒鉛を微粉化する段階と、(b)前記(a)段階の微粉化天然黒鉛を溶媒とピッチを含む液状ピッチと混合する段階と、(c)前記(b)段階の混合が完了した混合物のうち溶媒の全部または一部を除去する段階と、(d)前記(c)段階の溶媒が除去された混合物を造粒球状化して、造粒球状化黒鉛を製造する段階と、(e)前記(d)段階の造粒球状化黒鉛を熱処理する段階と、(f)前記(e)段階の熱処理した造粒球状黒鉛を分級する段階と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)鱗片状の天然黒鉛を微粉化する天然黒鉛の微粉化段階と、
(b)前記(a)段階の微粉化天然黒鉛を溶媒とピッチを含む液状ピッチと混合する段階と、
(c)前記(b)段階の混合が完了した混合物のうち溶媒の全部または一部を除去する段階と、
(d)前記(c)段階の溶媒が除去された混合物を造粒球状化して、造粒球状化黒鉛を製造する段階と、
(e)前記(d)段階の造粒球状化黒鉛を熱処理する段階と、
(f)前記(e)段階の熱処理した造粒球状黒鉛を分級する段階と、を含むことを特徴とする、造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項2】
前記(a)天然黒鉛の微粉化段階は、5~500μmの鱗片状天然黒鉛を1μm以下の天然黒鉛に微粉化することを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項3】
(b)段階の液状ピッチ中、溶媒およびピッチの使用量は、重量%の割合で80:20~50:50の範囲であり、前記溶媒は、灯油、重油、軽油などの鉱油;トルエン、デカンなどの炭化水素溶媒;アセトン、テトラヒドロフラン、ピリジンなどのヘテロ原子含有溶媒;およびこれらの混合物からなるグループから選ばれる1つ以上であり、ピッチは、石油ピッチ系、石炭系ピッチ、または高分子樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項4】
前記(b)段階で「微粉化天然黒鉛と液状ピッチ」の使用量は、重量%割合で80:20~50:50の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項5】
前記(b)段階における混合は、液状ピッチと微粉化天然黒鉛の混合物を混合器を用いて50℃~200℃の温度で2時間~8時間の間100~800rpmの速度で撹拌して混合することを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項6】
前記(c)段階の溶媒除去は、(b)段階で使用された溶媒の50%以上を除去することを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項7】
前記(d)段階の造粒球状化は、3,000rpm~8,000rpmの回転力で作動する造粒球状化装置を用い、作動時間は、100秒~600秒であることを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項8】
前記(e)熱処理段階の熱処理温度は、200℃~500℃であり、熱処理時間は、0.5時間~2.5時間であることを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項9】
前記(f)の分級段階で分級で得られる造粒球状黒鉛の粒度D50は、5μm~30μmの範囲であり、前記5μm~30μmの範囲を外れた造粒球状黒鉛は、前記(a)段階に進行されることを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項の製造方法によって製造された造粒球状黒鉛。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の造粒球状黒鉛の製造方法に関し、具体的には、鱗片状天然黒鉛から機械的過程で得られる粒径数十nmの球状黒鉛の製造時、前記機械的過程で廃棄される天然黒鉛から複合球状黒鉛を製造する新規の造粒球状黒鉛の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコン、5G通信などの登場による携帯電話のような携帯用情報機器の発達に伴い、電池の需要が急速に増加しており、また、電池の用途も拡大している。このような状況によって要求される電池が電池の小型化と軽量化を満たすリチウムイオン2次電池である。このようなリチウム2次電池の高い性能のために、電池の負極活物質として黒鉛のような炭素質材料が用いられている。
【0003】
前記2次電池用負極活物質に使用される炭素質材料の黒鉛は、電池の充放電効率のために、球状の形態で使用しなければならず、より好ましくは、結晶性の球状形態で使用しなければならない。2次電池用負極活物質に使用される球状黒鉛の製造は、多様な方法が知られている。
【0004】
一方、一般的に結晶性の高い黒鉛であるほど結晶性が規則的に成長して鱗片状を示す。これによって、2次電池用負極活物質として好ましい結晶性の球状黒鉛を得る1つの方法としては、天然資源から採取した鱗片状の天然黒鉛を破砕、精製、粉砕、選別などの機械的方法を通じて球状形態に加工する方法が用いられる。このような機械的方法で鱗片状の天然黒鉛から結晶性の球状黒鉛が得られる収率は約30%以下であり、残りの70%以上は前記機械的過程で廃棄される。
【0005】
鱗片状の天然黒鉛は、安価に購入できるが、鱗片状の天然黒鉛から結晶性の球状黒鉛の製造効率が上記のように約30%に低くなり、結局、結晶性の球状黒鉛製造に高コストがかかる。
【0006】
したがって、廃棄される鱗片状の天然黒鉛の効用性を高め、高効率で製造が比較的容易で、大量生産が可能な造粒球状黒鉛を製造できる新しい製造方法の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許登録第0732458号公報
【特許文献2】韓国特許登録第0453920号公報
【特許文献3】韓国特許登録第0515593号公報
【特許文献4】日本国特許登録第4215633号公報
【特許文献5】韓国特許公開第2017-0046114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、廃棄される天然黒鉛を利用して高効率で低コストでありながらも製造が容易で、大量生産が可能な造粒球状黒鉛の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の新規の造粒球状黒鉛の製造方法は、
(a)鱗片状の天然黒鉛を微粉化する段階(「天然黒鉛微粉化段階」)と、
(b)前記(a)段階の微粉化天然黒鉛を溶媒とピッチを含む液状ピッチと混合する段階(「混合段階」)と、
(c)前記(b)段階の混合が完了した混合物のうち溶媒の全部または一部を除去する段階(「溶媒除去段階」)と、
(d)前記(c)段階の溶媒が除去された混合物を造粒球状化して、造粒球状化黒鉛を製造する段階(「造粒球状化段階」)と、
(e)前記(d)段階の造粒球状化黒鉛を熱処理する段階(「熱処理段階」)と、
(f)前記(e)段階の熱処理した造粒球状黒鉛を分級する段階(「分級段階」)と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明による新規の造粒球状黒鉛の製造方法は、低コストと高効率、および製造の容易性による大量生産が可能であるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の造粒球状黒鉛の製造方法の実施例1の(a)段階で製造された天然黒鉛微粒のSEMである。
図2】本発明の実施例1によって製造された造粒球状黒鉛1つのSEMである。
図3】本発明の実施例1によって製造された造粒球状黒鉛集合体のSEMである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
下記の説明では、本発明の実施例を理解するのに必要な部分のみが説明され、その他の部分の説明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で省略されることに留意されたい。
【0013】
以下で説明される本明細書および請求範囲に使用された用語や単語は、通常的または辞書的意味に限定して解釈されるべきものではなく、発明者は、自分の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則して本発明の技術的思想に符合する意味と概念に沿って解釈されるべきものである。したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例がありえることを理解すべきである。
【0014】
本発明は、高効率による低コストで大量生産が可能な造粒球状黒鉛の製造方法を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態に係る造粒球状黒鉛の製造方法は、
(a)鱗片状の天然黒鉛を微粉化する段階(「天然黒鉛の微粉化段階」)と、
(b)前記(a)段階の微粉化天然黒鉛を溶媒とピッチを含む液状ピッチと混合する段階(「混合段階」)と、
(c)前記(b)段階の混合が完了した混合物のうち溶媒の全部または一部を除去する段階(「溶媒除去段階」)と、
(d)前記(c)段階の溶媒が除去された混合物を造粒球状化して、造粒球状化黒鉛を製造する段階(「造粒球状化段階」)と、
(e)前記(d)段階の造粒球状化黒鉛を熱処理する段階(「熱処理段階」)と、
(f)前記(e)段階の熱処理した造粒球状黒鉛を分級する段階(「分級段階」)と、を含む。
【0016】
以下では、前記(a)~(f)段階について具体的に説明する。
【0017】
前記本発明の造粒球状黒鉛の製造方法において、前記(a)段階の「鱗片状の天然黒鉛」は、その平均粒径が5μm~500μmであってもよく、好ましくは、5μm~100μmであってもよく、平均粒径が500μmを超えると、全体的な製造時間が増えて、経済的に好ましくない。
【0018】
前記本発明の造粒球状黒鉛の製造方法において、前記(a)段階の天然黒鉛の微粉化は、高速機械式ミリング装置であるハンマーミル、ジェットミル、ビーズミル、またはこれらの混合で行われ、好ましくは、ジェットミルを使用する。この際、前記ハンマーミル、ジェットミル、ビーズミルの使用圧力は、それぞれ使用されるミルに必要な圧力で使用され、ジェットミルを用いて微粉化する場合の圧力は、5.5bar~9.9barである。
【0019】
また、上記のような鱗片状の天然黒鉛からジェットミルなどで微粉化過程を経た天然黒鉛の粉砕品は、Turboなどの超微細分級機を用いて平均粒径1μm以下およびタップ密度(Tap Density)0.2g/cc~0.3g/ccの天然黒鉛粒子のみを選別分級する。このように分級選別した平均粒径1μm以下の天然黒鉛粒子を「微粉化天然黒鉛」という。
【0020】
前記「微粉化天然黒鉛」のSEMは、図1に示されたように、その表面に鋭角の部分を有する。
【0021】
前記本発明の造粒球状黒鉛の製造方法において、前記(b)段階の「混合段階」で、「溶媒とピッチを含む液状ピッチ」中、溶媒およびピッチの使用量は、重量%の割合で80:20~50:50の範囲である。
【0022】
前記溶媒は、ピッチを溶解できる溶媒がいずれも可能であり、好ましくは、灯油、重油、軽油などの鉱物油;トルエン、デカンなどの炭化水素溶媒;アセトン、テトラヒドロフラン、ピリジンなどのヘテロ原子含有溶媒;およびこれらの混合物からなるグループから選ばれる1つ以上であり、より好ましくは、灯油、軽油、重油などの石炭系油である。
【0023】
前記ピッチは、石油ピッチ系、石炭系ピッチ、または高分子樹脂であり、好ましくは、石油系ピッチである。
【0024】
前記液状ピッチの粘度は、2,000~20,000cPである。
【0025】
前記本発明の造粒球状黒鉛の製造方法において、前記(b)段階の「混合段階」で、「微粉化天然黒鉛と液状ピッチ」の使用量は、重量%の割合で80:20~50:50の範囲である。
【0026】
前記範囲の混合比で大部分が鱗片状の形態を示す微粉化天然黒鉛の球状化が良好に行われる。液状ピッチの使用量の割合が前記20重量%より少ないと、微粉化天然黒鉛の球状化が部分的に行われず、造粒化しない天然黒鉛微粒が多くなり得るので、造粒球状黒鉛の製造効率が低下ことがあり、また、液状ピッチの使用量の割合が前記50重量%より多いと、製造される造粒球状黒鉛の平均粒径に差異が大きくなり、2次電池用負極活物質などのような利用可能な粒子直径の造粒球状黒鉛粒子の製造収率に問題が発生することがある。
【0027】
前記本発明の造粒球状黒鉛の製造方法において、前記(b)段階の「混合段階」における混合は、液状ピッチと微粉化天然黒鉛の混合物をスクリューミキサーのような混合器を用いて50℃~200℃の温度で2時間~8時間の間100~800rpmの速度で撹拌して混合する。
【0028】
前記混合時間を外れると、造粒球状黒鉛の製造効率が低下し、また、下記の比較例1、2から分かるように、(b)段階を実施しない場合にも、造粒球状黒鉛の製造効率が大幅に低下する(比較例1、2参照)。
【0029】
前記本発明の造粒球状黒鉛の製造方法において、前記(c)段階の「溶媒除去段階」における溶媒除去は、減圧下で行われる。前記使用される減圧程度は、使用される前記溶媒の50%以上、好ましくは、70%以上、より好ましくは、80%以上を除去できる減圧であってもよく、この際、所要時間は、前記減圧と関連して決定できる。好ましい例として、50torrの減圧下で1時間の間80%以上の溶媒を除去した。前記真空圧を用いて溶媒の除去は常温で行われる。
【0030】
前記本発明の造粒球状黒鉛の製造方法において、前記(d)段階の「造粒球状化段階」は、前記(c)段階における減圧処理した混合物を造粒球状化装置を用いて造粒球状化した黒鉛を製造する段階である。
【0031】
前記造粒球状化装置は、当業界において知られた回転が可能な装置であり、ローターにブレードが形成されていて、回転時に摩擦とせん断応力を前記減圧処理した混合物に加える球状化装置が好ましい。このような減圧処理した混合物に加えられた摩擦とせん断応力によって微粒化黒鉛の球状化が行われると見られる。
【0032】
前記造粒球状化装置は、3,000rpm~8,000rpmの回転力で作動し、好ましくは、4,500rpm~6,000rpmの回転力で作動する。また、前記回転力における作動時間は、100秒~600秒であり、好ましくは、150秒~400秒である。前記回転力および作動時間の範囲を外れると、造粒球状黒鉛の製造効率が低くなる。
【0033】
前記本発明の造粒球状黒鉛の製造方法において、前記(e)段階の「熱処理段階」は、前記(d)段階の造粒球状化段階で製造された造粒球状化黒鉛を熱処理する段階であり、これを通じて、使用されたピッチおよび/または溶媒を炭化し、不純物を除去し、造粒球状化黒鉛の表面性を改善する。
【0034】
前記熱処理温度は、200℃~500℃であり、好ましくは、300℃~400℃であり、より好ましくは、350℃~400℃である。
【0035】
熱処理のための時間は、0.5時間~2.5時間であり、好ましくは、1時間~2時間である。
【0036】
また、前記本発明の造粒球状黒鉛の製造方法において、前記(f)段階の「分級段階」は、前記(e)段階で熱処理を通じて炭化、不純物除去および製造された造粒球状黒鉛の表面性が改善された造粒球状黒鉛を分級する段階である。
【0037】
前記分級段階は、前記(e)段階の「熱処理段階」で製造が完了した造粒球状黒鉛粒子のうち特定のサイズ以下の微粒を除去するための段階である。この際、前記特定のサイズは、粒度D50が5μm~30μmの範囲であってもよく、好ましくは、8μm~25μmである。このような粒度サイズは、各産業に使用できるサイズであり、例えば、2次電池の負極材産業に使用できる。
【0038】
前記分級は、当業界において知られた気流分級機を用い、分級して得られた粒度D50が5μmより小さいか、30μmより大きい造粒球状黒鉛は、さらに、前記(a)段階の「天然黒鉛の微粉化段階」に進行したり、または、他の産業用に使用できる。
【0039】
以上では、(a)段階~(f)段階を含む本発明の造粒球状黒鉛の製造方法で製造された造粒球状黒鉛1つの粒子のSEMを図2に示しており、図3は、製造された造粒球状黒鉛集合体のSEMを示す図である。
【0040】
図2および図3のSEMから分かるように、本発明の造粒球状黒鉛の製造方法で製造された造粒球状黒鉛は、球状の形態を示す。
【0041】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳述するが、下記実施例は、本発明を例示したり、具体的に説明するためのものであり、本発明の範疇がこれらによって限定されるものではない。
【0042】
なお、ここで記載されていない内容は、当該技術分野における熟練者なら十分に類推できるものであるから、その説明を省略する。
【0043】
<実施例1>
サイズ5~100μmの鱗片状天然黒鉛の原料を粉砕圧力5.5bar~9.9barにセットしたジェットミルで粉砕して、超微細分級機であるTurbo分級機を用いて平均粒径1μm以下の天然黒鉛粒子を選別分級した(「(a)段階」)。灯油700重量部と石油系ピッチ300重量部をスクリューミキサーに入れ、1時間の間ピッチを溶解させて、液状ピッチを製造した。前記製造した液状ピッチ300重量部と平均粒径1μm以下の天然黒鉛粒子700重量部をスクリューミキサーに入れ、200rpmの速度で150℃の温度で5時間の間混合した(「(b)段階」)。混合が完了すると、真空ポンプを用いて50torrの真空圧で1時間の間処理して、灯油成分を80%以上除去した(「(c)段階」)。減圧処理した混合物を造粒球状化装置に入れ、4,500rpmで260秒間加工して、造粒球状黒鉛を完了した(「(d)段階」)。加工が完了した造粒球状黒鉛は、350℃で1時間の間熱処理を行った(「(e)段階」)。熱処理が完了した造粒球状黒鉛を気流分級機を用いて加工中に発生した微粒を除去して(「(f)段階」)、最終の造粒球状黒鉛を製造した。
【0044】
<実施例2>
前記実施例1の(d)段階を「減圧処理した混合物を造粒球状化装置に入れ、4,500rpmで150秒間加工して、造粒球状黒鉛を完了したもの」に変えたことを除いて、実施例1と同じ方法で進行して、最終の造粒球状黒鉛を製造した。
【0045】
<実施例3>
前記実施例1の(d)段階を「減圧処理した混合物を造粒球状化装置に入れ、4,500rpmで350秒間加工して、造粒球状黒鉛を完了した」に変えたことを除いて、実施例1と同じ方法で進行して、最終の造粒球状黒鉛を製造した。
【0046】
<実施例4>
前記実施例1の(d)段階を「減圧処理した混合物を造粒球状化装置に入れ、6,000rpmで170秒間加工して、造粒球状黒鉛を完了した」に変えたことを除いて、実施例1と同じ方法で進行して、最終の造粒球状黒鉛を製造した。
【0047】
<実施例5>
前記実施例1の(d)段階を「減圧処理した混合物を造粒球状化装置に入れ、3,500rpmで600秒間加工して、造粒球状黒鉛を完了した」に変えたことを除いて、実施例1と同じ方法で進行して、最終の造粒球状黒鉛を製造した。
【0048】
<比較例1>
前記実施例1の(b)段階を「灯油700重量部と石油系ピッチ300重量部をスクリューミキサーに入れ、1時間の間ピッチを溶解させて、液状ピッチを製造した。前記製造した液状ピッチ300重量部と平均粒径1μm以下の天然黒鉛粒子700重量部をスクリューミキサーに入れ、200rpmの速度で温度150℃で0.5時間の間混合した」に変えたことを除いて、実施例1と同じ方法で進行して、最終の造粒球状黒鉛を製造した。
【0049】
<比較例2>
前記実施例1の(b)段階と(c)段階を「平均粒径1μm以下の微粒化天然黒鉛900重量部と平均粒径4μmサイズの石油系ピッチ100重量部を造粒球状化装置に入れ、4,500rpmで260秒間加工する」という1つの段階に変えたことを除いて、実施例1と同じ方法で進行して、最終の造粒球状黒鉛を製造した。
【0050】
下記の表1に前記実施例1~5、比較例1、および比較例2の工程条件で製造した造粒球状黒鉛の収率、球形度、粒度D50、Tap密度、比表面積を示した。
【0051】
収率は、気流分級の前・後の重量比で測定し、球形度は、SEM分析を通じて測定し、粒度D50、Tap密度、比表面積をそれぞれ分析した。
【0052】
【表1】
【0053】
前記表1の実施例1~5は、本発明の(a)段階~(f)段階を含む本発明の造粒球状黒鉛の製造方法で製造されたものであり、比較例1は、本発明の造粒球状黒鉛の製造方法「(b)段階の混合段階」の微粉化天然黒鉛と液状ピッチの混合物の混合時間である「2時間~8時間」の範囲を外れた「0.5時間」で微粉化天然黒鉛と液状ピッチの混合物を混合したものであり、比較例2は、本発明の造粒球状黒鉛の製造方法の「(b)段階の混合段階」を省略して製造したものである。
【0054】
前記表1から、造粒球状黒鉛の製造方法に関する実施例1~5は、比較例1および2に比べて造粒球状黒鉛の製造効率が顕著に高いことが分かる。
【0055】
このように本発明の新規の造粒球状黒鉛の製造方法は、安価の従来の鱗片状天然黒鉛から造粒球状黒鉛を製造する製造工程中に廃棄される鱗片状の天然黒鉛を微粉化して液状ピッチと混合する段階を、発明の必須構成として、低価の鱗片状の天然黒鉛から造粒球状黒鉛の製造効率を上げることによって、製造コストが低くなって、結晶性造粒球状黒鉛の大量生産に有利であるという効果がある。

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)鱗片状の天然黒鉛を微粉化する天然黒鉛の微粉化段階と、
(b)前記(a)段階の微粉化天然黒鉛を溶媒とピッチを含む液状ピッチと混合する段階と、
(c)前記(b)段階の混合が完了した混合物のうち溶媒の全部または一部を除去する段階と、
(d)前記(c)段階の溶媒が除去された混合物を造粒球状化して、造粒球状化黒鉛を製造する段階と、
(e)前記(d)段階の造粒球状化黒鉛を熱処理する段階と、
(f)前記(e)段階の熱処理した造粒球状黒鉛を分級する段階と、を含
前記(a)段階の微粉化天然黒鉛は、平均粒径1μm以下およびタップ密度0.2g/cc~0.3g/ccの天然黒鉛粒であり、
前記(b)段階の混合は、液状ピッチと微粉化天然黒鉛の混合物を混合器を用いて50℃~200℃の温度で2時間~8時間の間100~800rpmの速度で撹拌することにより行われ、
前記(b)段階での微粉化天然黒鉛と液状ピッチの使用量は、重量%割合で80:20~50:50の範囲であり、
前記(d)段階の造粒球状化は、4,500rpm~6,000rpmの回転力で作動する造粒球状化装置を用い、作動時間は、150秒~260秒である、
ことを特徴とする、造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項2】
前記(a)天然黒鉛の微粉化段階は、5~500μmの鱗片状天然黒鉛を1μm以下の天然黒鉛に微粉化することを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項3】
(b)段階の液状ピッチ中、溶媒およびピッチの使用量は、重量%の割合で80:20~50:50の範囲であり、前記溶媒は、灯油、重油、軽油などの鉱油;トルエン、デカンなどの炭化水素溶媒;アセトン、テトラヒドロフラン、ピリジンなどのヘテロ原子含有溶媒;およびこれらの混合物からなるグループから選ばれる1つ以上であり、ピッチは、石油ピッチ系、石炭系ピッチ、または高分子樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法。
【請求項4】
前記(c)段階の溶媒除去は、(b)段階で使用された溶媒の50%以上を除去することを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法
【請求項5】
前記(e)熱処理段階の熱処理温度は、200℃~500℃であり、熱処理時間は、0.5時間~2.5時間であることを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法
【請求項6】
前記(f)の分級段階で分級で得られる造粒球状黒鉛の粒度D50は、5μm~30μmの範囲であり、前記5μm~30μmの範囲を外れた造粒球状黒鉛は、前記(a)段階に進行されることを特徴とする請求項1に記載の造粒球状黒鉛の製造方法
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項の製造方法によって製造された造粒球状黒鉛
【国際調査報告】