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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】触媒物品を形成する方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/04 20060101AFI20230526BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20230526BHJP
   B01J 37/30 20060101ALI20230526BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20230526BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20230526BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
B01J35/04 301P
B01J37/08 ZAB
B01J35/04 301N
B01J37/30
B01J29/76 A
B01D53/94 222
B01D53/94 400
F01N3/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549409
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 GB2021051045
(87)【国際公開番号】W WO2021220010
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】20172398.8
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(71)【出願人】
【識別番号】504109285
【氏名又は名称】ジョンソン マッセイ キャタリスツ (ジャーマニー) ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Johnson Matthey Catalysts (Germany) GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】アモス-ライヒェルト、ニッキ
(72)【発明者】
【氏名】エイヴィス、ダニエル ロバート
(72)【発明者】
【氏名】バウアー、ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ビダル、ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラー、ガイ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】グリーン、アレクサンダー、ニコラス、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】グリーンハム、ニール
(72)【発明者】
【氏名】ハリス、マシュー エーベン
(72)【発明者】
【氏名】ロペス-オロスコ、ソフィア
(72)【発明者】
【氏名】ミュンヒ、イェルク
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス、ポール リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ピラス、アイリーン
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA02
3G091AA06
3G091AB05
3G091BA39
3G091CA16
3G091GA06
3G091GB09W
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4G169ZF02B
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(57)【要約】
本開示は、(a)H形態又はNH 形態の結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブと、不溶性活性金属前駆体と、無機マトリックス成分と、有機助剤と、水性溶媒と、任意に無機繊維と、を共に混合することによって、50重量%を超える固形分を有する可塑性混合物を形成することと、(b)可塑性混合物を成形物品にモールドすることと、(c)成形物品を焼成して、固体触媒体を形成することと、を含む、触媒物品を形成する方法に関する。本開示は、触媒物品、特に、窒素酸化物の選択的触媒還元での使用に好適な触媒物品及び排気システムに更に関する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒物品を形成する方法であって、
(a)少なくとも以下の成分:
(i)H形態又はNH 形態の結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブと、
(ii)不溶性活性金属前駆体と、
(iii)無機マトリックス成分と、
(iv)有機助剤と、
(v)水性溶媒と、を共に混合することによって、可塑性混合物を形成することであって、
前記混合物は、50重量%を超える固形分を有する、ことと、
(b)前記可塑性混合物を成形物品にモールドすることと、
(c)前記成形物品を焼成して、固体触媒体を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
工程(a)において、共に混合される前記成分は、(vi)無機繊維を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)で使用される前記成分の相対的な量の割合は、工程(c)で形成される前記固体触媒体が、60~85重量%の金属担持モレキュラーシーブ、20~40重量%のマトリックス成分、及び0~10重量%の無機繊維を含むように選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記結晶性モレキュラーシーブは、CHA、AEI又はAFX、LTA又はERIから選択される骨格型を有する小細孔ゼオライトである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸コバルト、炭酸鉄、炭酸パラジウム、炭酸白金、炭酸セリウム、炭酸イットリウム、炭酸ニオブ、炭酸ランタン、炭酸亜鉛、炭酸ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化銅、水酸化マンガン、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化鉄、水酸化パラジウム、水酸化白金、水酸化セリウム、水酸化イットリウム、水酸化ニオブ、水酸化ランタン、水酸化亜鉛、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、シュウ酸銅、シュウ酸カルシウム、シュウ酸鉄、シュウ酸マンガン、シュウ酸コバルト、シュウ酸セリウム、シュウ酸イットリウム、シュウ酸亜鉛、及びそれらのうちの2つ以上の任意の混合物からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅(II)、水酸化銅(II)、及びシュウ酸銅のうちの1つ以上を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記水性溶媒は水である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)で形成される前記可塑性混合物の固形分は、少なくとも60重量%、好ましくは、60~80重量%の範囲、より好ましくは、70~80重量%の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記無機マトリックス成分は、アルミナ前駆体及び/又は粘土を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記有機助剤は、アクリル繊維、セルロース誘導体、有機可塑剤、潤滑剤、及び水溶性樹脂のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(a)は、10~35℃の範囲、10~30℃の範囲、又は18~28℃の範囲の温度で実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(b)は、10~35℃の範囲、10~30℃の範囲、又は18~28℃の範囲の温度で実施される、請求項1~11のいずれか一項に規定された方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に規定された方法により得られる又は得ることのできる触媒物品。
【請求項14】
SCRに対して触媒活性を有する、請求項13に記載の触媒物品。
【請求項15】
窒素系還元剤源と、窒素系還元剤を、流動する排ガス中に注入する注入器と、を備え、前記注入器は、請求項14に規定された触媒物品よりも上流に配設される、排気システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒物品を形成する方法に関する。特に、本発明は、排ガスにおける窒素酸化物(nitrogen oxide、NO)の選択的触媒還元での使用に好適な触媒物品を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動式及び固定式の動力源からの排出物を処理するために使用される触媒コンバータが、毎年、多数製造されている。自動車用における使用のための触媒コンバータは、典型的には、排ガスの貫流のためのチャネルが設けられた、押出成形セラミックハニカムモノリスを備える。モノリスのチャネルは、(「ウォッシュコート」として既知である)触媒活性材によってコーティングされ得る。あるいは、押出成形モノリス自体が(「全活性押出成形物」又は「押出成形触媒」と称される)触媒活性材で形成される。
【0003】
全活性押出成形物を製造するために、触媒活性成分が、押出プロセスに好適であるように流動学的特性が設定された押出組成物に含まれる。この押出組成物は、可塑性(つまり、容易に成形又はモールドが可能)、粘性の高い組成物である。押出組成物に所望の流動学的特性を持たせ、押出成形物にも機械的特性を持たせるには、典型的に、接合剤又は添加剤を押出組成物に添加する。次いで、この可塑性組成物は、例えば、ハニカム体を作製するための押出成形プロセスに供される。こうして得た、いわゆる「グリーン」体を、続いて高温焼成処理して、最終的な押出成形触媒体を形成する。
【0004】
全活性押出成形物は、一般的に、成形物の第1の端部から第2の端部まで延びる、均一な大きさの平行なチャネルを有するハニカムの形態の一体構造を含む。一般的に、チャネルは、第1の端部及び第2の端部の両端において開放されている、いわゆる、”フロースルー型”構造となっている。あるいは、チャネルは、第1の上流端で好適なセラミックセメントで塞がれてもよく、チャネルは、第1の上流端で塞がれず、第2の下流端で塞がれてもよく、いわゆるウォールフロー型フィルタを形成してもよい。
【0005】
アンモニア(NH-SCR)による窒素酸化物(NO)の選択的触媒還元は、自動車、トラック、機関車、及び船舶などの車両のための、固定源及び移動エンジン、原則的にはディーゼルエンジンから放出される排ガスからのNOの軽減のための最も実用的かつ効率的な技法であると考えられる。
【0006】
既知のSCR(selective catalytic reduction、選択的触媒還元)触媒としては、モレキュラーシーブが挙げられる。有用なモレキュラーシーブとしては、例えば、アルミノケイ酸塩(ゼオライト)又はシリコアルミノリン酸塩(silicoaluminophosphate、SAPO)であり得る結晶性又は準結晶性材料が挙げられる。このようなモレキュラーシーブは、規則的な結晶内空洞及び分子寸法のチャネルを有する骨格を形成するために、例えば、環に連結された、繰り返しSiO、AlO、及び任意にPO四面体単位で構築されている。四面体単位(環員)の特定の配置は、モレキュラーシーブの骨格を生じさせるものであり、慣例によって、各独特の骨格には、国際ゼオライト学会(International Zeolite Association、IZA)によって独特の3文字コード(例えば、「CHA」)が割り当てられている。既知のSCR触媒であるモレキュラーシーブの骨格の例としては、骨格型コードCHA(chabazite、チャバザイト)、BEA(beta、ベータ)、MOR(mordenite、モルデナイト)、AEI、MFI、及びLTAが挙げられる。
【0007】
モレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト)はまた、細孔径、例えばモレキュラーシーブの骨格中に存在する四面体原子の最大数によって分類することができる。本明細書に定義されるように、CHAなどの「小細孔」モレキュラーシーブは、8個の四面体原子の最大環サイズを含有し、一方、中細孔モレキュラーシーブ、例えばMFIは、10個の四面体原子の最大環サイズを含有し、BEAなどの大細孔モレキュラーシーブは、12個の四面体原子の最大環サイズを含有する。小細孔及び中細孔モレキュラーシーブ、特に、小細孔モレキュラーシーブは、例えば、改善されたSCR性能及び/又は改善された炭化水素耐性を提供し得るため、SCR触媒での利用において好ましい。
【0008】
モレキュラーシーブ触媒は、金属で促進化され得る。金属促進化モレキュラーシーブ触媒の例としては、鉄、銅、及びパラジウム促進化モレキュラーシーブが挙げられ、金属は、モレキュラーシーブ内に担持され得る。金属担持モレキュラーシーブにおいて、担持された金属は、「骨格外金属」の種類、すなわち、モレキュラーシーブ内及び/又はモレキュラーシーブ表面の少なくとも一部に存在する金属であり、モレキュラーシーブの骨格を構成する原子を含まない。例えば、鉄及び銅担持の、小細孔及び中細孔ゼオライトがSCR触媒として利用できることが知られている。
【0009】
金属担持モレキュラーシーブ、特に、金属担持ゼオライトを作製する複数の方法が文献に記載されている。金属担持ゼオライトの直接合成は、複雑なプロセスであり、合成条件に依存する(M.Moliner,ISRN Materials Science,2012,Article ID 789525を参照されたい)。代替案として、市販のゼオライト担体を使用し、その後、例えば、湿式含浸、湿式イオン交換、又は固体イオン交換といった、ゼオライトの合成後処理により、金属を添加することである。
【0010】
モレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト)に金属を添加するための、既知の湿式イオン交換方法では、典型的には、酢酸金属塩、金属硫酸塩、又は金属塩化物といった可溶性金属塩を、活性金属前駆体として利用し、活性金属前駆体は、水溶液中のモレキュラーシーブと反応する。イオン交換を促進するために、こうしたプロセスは、典型的には、加熱工程を必要とし、70~80℃の範囲の温度に、最長数時間にわたって、混合物が加熱され得る。更に、得られる金属担持モレキュラーシーブが、全活性押出成形物を形成するための、押出成形用ペーストに利用され得る前に、追加の処理工程(例えば、フィルタリング、蒸発、噴霧乾燥、焼成等)が必要とされ得る。そして更に、特定の酢酸金属塩(例えば、酢酸銅)が、SCR触媒として使用される金属担持モレキュラーシーブ(例えば、金属担持ゼオライト)の作製に利用された場合、焼成後に残ったいかなる残留酢酸金属塩も、SCR触媒の下流又はその近くで使用されるアンモニアスリップ触媒(ammonia slip catalyst、ASC)に対し、被毒の影響を有し得ることが、明らかになった。
【0011】
本発明は、金属担持の小細孔又は中細孔結晶性モレキュラーシーブを触媒活性材として利用した、押出成形触媒物品の作製のための改善されたプロセスを提供する。
【0012】
本開示の第1の態様により、触媒物品を形成する方法であって、当該方法は、
(a)少なくとも以下の成分:
(i)H形態又はNH 形態の結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブと、
(ii)不溶性活性金属前駆体と、
(iii)無機マトリックス成分と、
(iv)有機助剤と、
(v)水性溶媒と、を共に混合することによって、可塑性混合物を形成することであって、
混合物は、(混合物の総重量に基づいて)50重量%を超える固形分を有する、ことと、
(b)可塑性混合物を成形物品にモールドすることと、
(c)成形物品を焼成して、固体触媒体を作製することと、を含む、方法が提供される。
【0013】
有利な点として、成形物品を焼成するために用いられる熱は、モレキュラーシーブへの金属担持を促進させるために利用され得ることが明らかになった。これにより、湿式イオン交換又は含浸プロセス中における、いかなる加熱工程も必要なく、また、高価な高温耐熱機器も不要であり得る。更に、湿式イオン交換又は含浸プロセスにおいて典型的な長い反応期間並びに/又は噴霧乾燥等のエネルギー及び手間のかかるプロセスを避けることができる。これにより、第1の態様に係る本方法は、より効率的かつ経済的であり得る。
【0014】
また更に、第1の態様に係る本方法の工程(a)において作製された混合物は、いかなる追加の処理工程も必要とすることなく、直接、押出成形用ペーストとして利用され得ることが明らかになった。特に、第1の態様の本方法は、金属担持の小細孔又は中細孔モレキュラーシーブを含む押出成形触媒を製造する際に消費される水の総量を低減させ得る。これは、従来、担持前の小細孔/中細孔モレキュラーシーブの粉状の形態が利用され、粉状の形態が、湿式プロセス、それに続く乾燥及び/又は焼成によって作製されていたからである。
【0015】
そして更に、第1の態様によるプロセスで作製された触媒は、湿式イオン交換又は含浸によって作製された、金属担持小細孔/中細孔モレキュラーシーブ(例えば、金属担持ゼオライト)を含む触媒と、少なくとも同等のSCR活性を提供し得ることが明らかになった。そのうえ、活性金属前駆体として酢酸金属塩を利用して作製された金属担持結晶性モレキュラーシーブを含むSCR触媒と比較し、関連付けられたアンモニアスリップ触媒の被毒が軽減され得ることも明らかになった。
【0016】
本開示の第2の態様により、第1の態様の方法によって得た又は得ることのできる触媒物品が提供される。
【0017】
本開示の第3の態様により、排気システムが提供され、排気システムは、窒素系還元剤源と、窒素系還元剤を、流動する排ガス中に注入する注入器と、を備え、注入器は、第2の態様に係る触媒物品よりも上流に配設されている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の第1の態様によって作製された触媒によって得られたNO変換を、従来の方法で作製された触媒と比較して示したグラフである。
図2】本開示の第1の態様によって作製された触媒によって得られたNO選択活性を、従来の方法で作製された触媒と比較して示したグラフである。
図3】本開示の第1の態様によって作製された触媒によって得られたNO変換を、可溶性活性金属前駆体を利用して作製した触媒と比較して示したグラフである。
図4】本開示の第1の態様によって作製された触媒によって得られたNO選択活性を、可溶性活性金属前駆体を利用して作製した触媒と比較して示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これから、本開示を更に説明する。以下の節において、本開示の異なる態様/実施形態がより詳細に定義される。そのように定義された各態様/実施形態は、別途明確に示されていない限り、任意の他の態様/実施形態又は態様/実施形態と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示された任意の特徴は、好ましい又は有利であると示された任意の他の特徴又は複数の特徴と組み合わせることができる。
【0020】
更に、本明細書において使用される際、用語「含む(comprising)」は、定義「から本質的になる(consisting essentially of)」又は「からなる(consisting of)」と交換することができる。用語「含む(comprising)」は、指定された要素が必須であることを意味することを意図するものであるが、他の要素が追加されてもよく、それでもなお、請求項の範囲内に構成を形成してもよい。用語「から本質的になる(consisting essentially of)」は、指定された材料又は工程、並びに、特許請求される発明の基本的かつ新規な特性に実質的に影響しないものに請求項の範囲を限定する。用語「からなる(consisting of)」は、通常それに関連する不純物を除いて、列挙されたもの以外の材料を含めることに対して請求項を閉鎖する。
【0021】
結晶性モレキュラーシーブは、典型的には、アルミニウム、ケイ素、及び/又はリンから構成される。結晶性モレキュラーシーブは、概して、酸素原子の共有によって結合される、SiO、AlO、及び任意にPO四面体単位を繰り返して、三次元配列(例えば、骨格)を有する。小細孔モレキュラーシーブは、最大で8個の四面体原子の環サイズを有する。中細孔モレキュラーシーブは、最大で10個の四面体原子の環サイズを有する。
【0022】
モレキュラーシーブに関連して、用語「H形態」は、骨格の電荷が陽子(つまり、Hカチオン)によって平衡を保たれる、アニオン性骨格を有するモレキュラーシーブを指す。
【0023】
モレキュラーシーブに関連して、用語「NH 形態」は、骨格の電荷がアンモニウムカチオン(NH カチオン)によって平衡を保たれる、アニオン性骨格を有するモレキュラーシーブを指す。
【0024】
結晶性モレキュラーシーブがアルミノケイ酸塩骨格を有する場合には、モレキュラーシーブは、好ましくはゼオライトである。
【0025】
結晶性モレキュラーシーブが小細孔モレキュラーシーブである場合、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、KFI、LEV、LTA、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SFW、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型群から選択される骨格型を有し得る。好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、AEI、AFT、AFX、CHA、DDR、ERI、KFI、LEV、LTA、SFW、及びRHOからなる骨格型群から選択される骨格型を有する。より好ましくは、小細孔結晶性モレキュラーシーブは、AEI、AFX、CHA、LTA、ERI、又はAEI-CHA連晶である骨格型を有する。
【0026】
結晶性モレキュラーシーブが中細孔モレキュラーシーブである場合、中細孔モレキュラーシーブは、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、-SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、並びにこれらの混合物及び/又は連晶からなる骨格型群から選択され得る。好ましくは、中細孔結晶性モレキュラーシーブは、FER、MEL、MFI、STI及びSTTからなる骨格型群から選択される。
【0027】
好ましくは、結晶性モレキュラーシーブは、骨格型CHA、AEI、AFX、LTA、又はERIを有する小細孔ゼオライトである。
【0028】
結晶性モレキュラーシーブがゼオライトの場合、ゼオライトのシリカ-アルミナ比(silica-to-alumina ratio、SAR)は、5~200、好ましくは、5~100、より好ましくは、10~80であり得る。例えば、ゼオライトのシリカ-アルミナ比(SAR)は、5~30であり得る。
【0029】
結晶性モレキュラーシーブがSAPOである場合、SAPOは、(モレキュラーシーブの総重量に基づいて)5~30重量%、好ましくは、8~16重量%の範囲のケイ素含有量を有し得る。
【0030】
結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブは、好ましくは、粉状結晶性モレキュラーシーブ(つまり、粒子状)であり、粒子は、個々の結晶、結晶の凝集体、又はそれらの組み合わせを含む。結晶性モレキュラーシーブは、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)によって測定される際、0.5μm以上、好ましくは、約0.5~約15μm、例えば、約0.5~10μm、約0.5~約5μm、約1~約5μm、又は、約2~約5μmの平均結晶サイズを有し得る。
【0031】
粉状結晶性モレキュラーシーブは、好ましくは、約30μm未満のD90粒径を有する。粉状結晶性モレキュラーシーブ、好ましくは、約50μm未満のD99粒径を有する。本明細書において使用される際、用語「D90粒径」及び「D99粒径」は、粒径分布を指す。D90粒径の値は、特定のサンプル中の総粒子の90体積%が存在する、以下の粒径値に対応する。D99粒径の値は、特定のサンプル中の総粒子の99体積%が存在する、以下の粒径値に対応する。D90粒径及びD99粒径は、レーザー回折法を使用して(例えば、Malvern Mastersizer 2000を使用して)、求めることができる。
【0032】
所望に応じて、第1の態様の方法の工程a)で可塑性混合物を形成する前に、モレキュラーシーブは、ジェット粉砕、湿式粉砕、又は蒸気アシストジェット粉砕等の粒径削減処理を受け得る。
【0033】
第1の態様の工程(a)で共に混合される成分は、H又はNH 形態の2つ以上の結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブを含み得る。よって、工程(c)で形成され得られる固体触媒体は、2つ以上の異なる種類の金属担持モレキュラーシーブを含み得る。
【0034】
本明細書において使用される際、「活性金属前駆体」は、結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブに対し、骨格外金属を供給可能な金属類を指す。本明細書において使用される際、用語「骨格外金属」は、モレキュラーシーブ内(つまり、イオン交換位置又は非イオン交換位置のどちらか一方における微小孔内)、かつ/又は、モレキュラーシーブ表面の少なくとも一部に(例えば、イオン又は酸化物の形態で)存在し、モレキュラーシーブの骨格をなす四面体単位の金属原子を含まない金属を指す。追加の金属種は、それ自体が金属担持に関わらない、工程(a)で形成される混合物内に存在し得ることが理解されるだろう。
【0035】
「不溶性活性金属前駆体」によって、不水溶性の活性金属前駆体を意味する。特に、不溶性活性金属前駆体は、1g/100mL未満、例えば、0.1g/100mL未満、又は0.01g/100mL未満の水溶性を有し得る。水溶性の性質とは、決まった温度及び圧力で、特定の体積の水に溶けて、飽和溶液を形成する、材料の量の測定値である。本明細書において使用される際、不溶性活性金属前駆体に関連して、用語「水溶性」は、20℃の温度、1大気圧において、100ミリリットルの水(g/100mL)に溶ける不溶性活性金属前駆体の量(グラム単位)を指す。
【0036】
好適な不溶性活性金属前駆体は、特定の金属塩を含む。特に、不溶性活性金属前駆体は、金属炭酸塩、金属水酸化物、又は金属シュウ酸塩であり得る。
【0037】
不溶性活性金属前駆体は、好ましくは、500℃未満の温度での熱分解によって、熱分解される金属塩を含む。
【0038】
不溶性活性金属前駆体は、遷移金属塩、貴金属塩、又は希土類金属塩を含み得る。例えば、不溶性活性金属前駆体は、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、白金、セリウム、イットリウム、ニオブ、ランタン、亜鉛、カルシウム、マグネシウムのうちの1つ以上の塩、又はそれらのうちの2つ以上の任意の混合物を含み得る。
【0039】
特に、不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸コバルト、炭酸鉄、炭酸パラジウム、炭酸白金、炭酸セリウム、炭酸イットリウム、炭酸ニオブ、炭酸ランタン、炭酸亜鉛、炭酸ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化銅、水酸化マンガン、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化鉄、水酸化パラジウム、水酸化白金、水酸化セリウム、水酸化イットリウム、水酸化ニオブ、水酸化ランタン、水酸化亜鉛、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、シュウ酸銅、シュウ酸カルシウム、シュウ酸鉄、シュウ酸マンガン、シュウ酸コバルト、シュウ酸セリウム、シュウ酸イットリウム、シュウ酸亜鉛、及びそれらのうちの2つ以上の任意の混合物からなる群から選択され得る。
【0040】
好ましくは、不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅(II)、水酸化銅(II)、及びシュウ酸銅のうちの1つ以上を含み得る。より好ましくは、不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅(II)を含む。一例において、不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅(II)及び炭酸セリウムの混合物を含み得る。
【0041】
不溶性活性金属前駆体に加えて、工程(a)で共に混合される成分は、1つ以上の可溶性(つまり、水溶性)活性金属前駆体を更に含み得る。好適な可溶性活性金属前駆体は、酢酸金属塩若しくは金属硝酸塩、又はそれらのうちの任意の2つ以上の混合物を含み得る。一例において、不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅を含み得、可溶性活性金属前駆体は、酢酸セリウムを含み得る。
【0042】
工程(a)で利用する、モレキュラーシーブ及び不溶性活性金属前駆体の相対量は、モレキュラーシーブの目標とする金属担持及び使用する任意の可溶性活性金属前駆体の量に左右される。工程(c)で生成される固体内に存在する金属担持モレキュラーシーブは、0.1重量%以上10重量%以下、好ましくは、0.1重量%以上7重量%以下、より好ましくは、0.1重量%以上5重量%以下の金属担持を有し得る。
【0043】
特に、結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブがゼオライトの場合、工程(a)で使用されるモレキュラーシーブ、不溶性活性金属前駆体、及び任意の可溶性活性金属前駆体の相対量は、金属担持ゼオライト中の金属-アルミナ比が0.2~0.5の範囲、好ましくは、0.3~0.5の範囲の金属担持ゼオライトを含む固体触媒体が提供できるように、選択され得る。
【0044】
本明細書で使用される際、用語「水性溶媒」は、水を含有する溶媒を指す。好ましくは、水性溶媒は本質的に水からなる。すなわち、水性溶媒は水を含有するが、微量の非水性(例えば、有機又は無機)不純物も含有してもよい。水は脱イオン水又は脱塩水であってもよい。
【0045】
工程(a)で形成される可塑性混合物の固形分は、少なくとも50重量%、好ましくは、少なくとも60重量%である。「固形分」は、可塑性混合物内に存在する固形材料の割合を混合物の総重量に基づいて表したものである。特に、可塑性混合物は、ペースト状であり得る。混合物の固形分は、好ましくは、60~80重量%の範囲、より好ましくは、70~80重量%の範囲である。例えば、混合物の固形分は、約75重量%であり得る。
【0046】
無機マトリックス成分は、最終的な固体触媒体に構造的一体性及び/又は孔性を提供する不活性充填剤(永久接合剤とも称される)を含み得る。焼成の過程において、無機マトリックス成分は、固体触媒体が剛性と機械的強度を備えるよう、焼結ブリッジを形成し得る。無機マトリックス成分の中には、製造を補助するうえで望ましい特性に寄与するものもあってもよい。例えば、粘土は、本質的に可塑性を有するため、工程(a)で形成される混合物内に含ませることによって、所望の程度の可塑性を実現又は促進し得る。
【0047】
好ましくは、無機マトリックス成分は、焼成時にアルミナを形成する、ベーマイト又はバイエライト等のアルミナ前駆体を含む。無機マトリックス成分は、好ましくは、ベーマイトを含む。
【0048】
あるいは又は追加で、無機マトリックス成分は、例えば、コロイドシリカ、シラン、又は、ポリシロキサン等の、シリカ又はシリカ前駆体を含み得る。
【0049】
あるいは又は追加で、無機マトリックス成分は、粘土を含み得る。好適な粘土は、ベントナイト、耐火粘土、アタパルガイト、フラー土、セピオライト、ヘクトライト、スメクタイト、カオリン、珪藻土、及びそれらのうちの任意の2つ以上の混合物を含む。
【0050】
任意に、工程(a)で共に混合される成分は、無機繊維を更に含み得る。好適な無機繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、及びセラミック繊維からなる群から選択され得る。有利な点として、無機繊維は、焼成物の機械的堅牢性を改善可能である。
【0051】
有機助剤は、処理の向上のために、又は、最終的な固体触媒体に所望の特性を導入するために使用されるが、焼成工程時に焼失する。こうした材料により、可塑性処理を向上させるか、かつ/又は固体触媒体に孔性を導入することができる。第1の態様の工程(a)での使用に好適な有機助剤は、アクリル繊維(押出成形補助剤及び孔形成剤)、セルロース誘導体(可塑剤及び/又は乾燥補助剤)、その他の有機可塑剤(例えば、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)又はポリエチレンオキシド(polyethylene oxide、PEO)、潤滑剤(押出成形補助剤)、及び水溶性樹脂のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、例えば、触媒物品が多機能性を有する(つまり、2つ以上の触媒機能を発揮する)ことが望ましい場合、更なる触媒活性材が、工程(a)で形成された可塑性混合物に内包され得る。
【0053】
可塑性混合物が必要な固形分を有し、有機助剤が焼失した後の固体触媒体が、(固体触媒体の総重量に基づいて)55~85重量%、好ましくは、60~85重量%の金属担持モレキュラーシーブ及び20~40重量%の無機マトリックス成分を含むように、工程(a)で使用される成分の相対的な量の割合を選択し得る。出発材料の適切な量の選択は、当業者の能力の範囲内である。好ましくは、工程(c)で生成される固体触媒体が、(固体触媒体の総重量に基づいて)60~85重量%の金属担持モレキュラーシーブ、20~40重量%の無機マトリックス成分、及び0~10重量%の無機繊維を含むように、工程(a)で使用される成分の相対的な量の割合を選択する。
【0054】
工程(a)で形成される可塑性混合物は、例えば、(可塑性混合物の総重量に基づいて)25~70重量%の、H又はNH4+形態の結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブと、0.06~8重量%の不溶性活性金属前駆体と、12~33重量%の無機マトリックス成分と、0~8重量%の無機繊維と、最大15重量%の有機助剤と、を含み得る。
【0055】
工程(a)では、可塑性混合物は、成分を共に混合することで形成される。好ましくは、混合物は実質的に均一、つまり、混合物中の成分分布が実質的に均一となっている。これらの成分は、任意の好適な方法によって混合され得る。好ましくは、成分はニーディングによって混合される。
【0056】
可塑性混合物のpHは、任意に、酸又は塩基の添加によって調整されてもよい。
【0057】
工程(a)は、周囲温度で実施され得る。好ましくは、工程(a)は、10~35℃の範囲、好ましくは、10~30℃の範囲の温度で実施される。例えば、工程(a)は、18~28℃の範囲の温度で実施され得る。
【0058】
本発明の特筆すべき利点は、工程(a)で形成された可塑性混合物を、そのまま押出成形用ペーストとして利用できることにある。よって、工程a)で形成された混合物は、いかなる追加の処理工程を伴うことなく、工程b)において直接使用され得る。
【0059】
工程(b)では、当該技術分野では周知の押出成形技法によって、混合物をモールドし得る。例えば、混合物は、押出成形用プレス又は押出成形用の型を備えた押出機を使用して、モールドされ得る。
【0060】
工程(b)は、周囲温度で実施され得る。好ましくは、工程(b)は、10~35℃の範囲、好ましくは、10~30℃の範囲の温度で実施される。例えば、工程(b)は、18~28℃の範囲の温度で実施され得る。
【0061】
最も好ましくは、工程(a)及び(b)は両方とも、10~35℃、好ましくは、10~30℃、より好ましくは、18~28℃の範囲の温度で実施される。
【0062】
好ましくは、工程(c)の焼成の前段階において、可塑性混合物の温度は、35℃を超えない。例えば、工程(c)の焼成の前に、可塑性混合物の温度は、30℃以下又は28℃以下に維持され得る。
【0063】
好ましくは、成形物品は、ハニカムモノリス形状を有する。ハニカム体は、都合に合わせた任意の大きさ及び形状を有し得る。あるいは、成形物品は、板又はペレットのような、その他の形状を有し得る。
【0064】
工程(c)の焼成の前段階において、成形物品を乾燥プロセスに供し得る。よって、第1の態様の方法は、工程(c)実施前に、工程(b)で形成された成形物品を乾燥させることを更に含み得る。成形物品の乾燥は、フリーズドライ及びマイクロ波乾燥(例えば、国際公開第2009/080155号を参照されたい)を含む、標準的な技法によって実施され得る。
【0065】
第1の態様の工程(c)では、工程(b)で形成された(任意に乾燥された)成形物品を焼成して、固体触媒体を形成する。用語「焼成する」又は「焼成」は、熱処理工程を指す。焼成によって、いかなる残留溶媒の除去、並びに有機助剤の(例えば、焼失による)除去が行われ、それにより、成形物品が固化される。
【0066】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、驚くべきことに、成形物品の焼成時において、小細孔又は中細孔モレキュラーシーブの金属担持が少なくとも一部起こると考えられる。例えば、焼成時に固形状態のイオン交換が起こり得る。
【0067】
成形物品の焼成は、当該技術分野において既知の技法によって実施され得る。特に、焼成は、(例えば、ベルト式炉を利用して)静的又は動的に実施され得る。
【0068】
成形物品がハニカムモノリスの形状を有する場合、ハニカムのチャネルに加熱された気体を流す、フロースルー型焼成技法が採用され得る。
【0069】
好ましくは、焼成工程(c)は、500~900C、好ましくは、600~800Cの範囲の温度で実施される。
【0070】
好ましくは、成形物品は、最長5時間、好ましくは、1~3時間焼成される。
【0071】
工程(c)で実施される焼成は、複数の熱処理工程を含み得る。例えば、成形物品は、第1の温度で第1の熱処理、そして、第2の温度で第2の熱処理が施され得る。
【0072】
例えば、焼成は、還元雰囲気又は酸化性雰囲気下で実施され得る。複数の熱処理工程が採用される場合、異なる工程が、異なる雰囲気下で実施され得る。
【0073】
本開示の第2の態様に係る触媒物品は、燃焼排ガス流の処理に利用され得る。すなわち、触媒物品は、内燃機関(移動式又は固定式のいずれか)、ガスタービン、又は発電プラント(例えば、石炭又は石油を燃料とした発電プラント)等の燃焼プロセスに由来する排ガスを処理するために使用できる。本開示の触媒物品の好ましい用途は、自動車車両用の排気システムにおけるものである。特に、触媒物品はSCR触媒として利用され得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、例えば、触媒物品が多機能性を有する(つまり、2つ以上の触媒機能を同時に発揮する)ことが望ましい場合、本方法は、触媒ウォッシュコートを触媒物品に塗布する更なる工程を含み得る。よって、第1の態様の本方法は、工程(c)で生成された固体触媒体を、触媒活性材が含まれた組成物でコーティングする、工程(d)を更に含み得る。例えば、この組成物は、SCR触媒及び/又はアンモニアスリップ触媒(ASC)を含み得る。このようなウォッシュコート工程は、当該技術分野において周知のプロセスによって実施され得る。
【0075】
触媒物品は、各チャネルが、両端で開放され、チャネルが基材の全軸長にわたって延在する、フロースルー型ハニカムモノリスとして構成され得る。あるいは、触媒物品は、一部のチャネルが物品の一端部で塞がれ、その他のチャネルが反対側の端部で塞がれる、フィルタ基材として構成され得る。このような配置は当該技術分野においてウォールフロー型フィルタとして知られるようになった。ウォールフロー型フィルタの形成は、触媒物品の孔性の好適な設定に影響され得る。最終的な触媒物品の孔性は、例えば、有機孔形成成分を第1の態様の工程(a)で使用される有機助剤に組み込むことによって、制御され得る。
【0076】
触媒物品は、排ガス処理システムの一部であってもよく、触媒物品は、窒素系還元剤源の下流に配設される。
【実施例
【0077】
以下の実施例を参照して、本開示を更に説明するが、これは例示的なものであり、本発明を限定するものではない。
【0078】
・比較例A
粉末状の銅交換SSZ-39(AEI)ゼオライト(湿式イオン交換プロセス、そして、その後の噴霧乾燥及び焼成によって事前作製済)を、粘土鉱物、粉末状の合成ベーマイトアルミナ(Pural(登録商標)SB)、及びガラス繊維(CP160、MUHLMEIERより入手可能)と混合し、その後、室温で、pH値4の水溶液中に、カルボキシメチルセルロース、可塑剤/押出成形補助剤(Zusoplast,オレイン酸、グリコール、酸類、及びアルコールの混合物,Zschimmer&Schwarz GmbH&Co KGの商標名)、及びポリエチレンオキシド(Alkox(登録商標)PEO)と共に混和した。これにより、モールド可能なペーストを形成した。モールド可能なペーストは、64重量%の固形分を含んでいた。出発材料の量的割合は、最終固体触媒体が65重量%の銅交換ゼオライト、25重量%のγ-Al及び粘土鉱物、並びに10重量%のガラス繊維を含むように選択された。
【0079】
モールド可能なペーストは、20℃で、直径1インチの円形断面及びセル密度600cpsi(cells per square inch、1平方インチあたりのセル数)を有するフロースルー型ハニカムに押出成形された。押出成形されたハニカムは、国際公開第2009/080155号に記載の方法に従って、2ミリバールで数時間フリーズドライされ、その後、実験室規模のマッフル炉で600℃の温度で焼成され、固体触媒体を形成した。
【0080】
・実施例1
前交換した銅ゼオライトの代わりに、ゼオライト及び炭酸銅(CuCO・Cu(OH))の対応するH形態が利用されている点以外は、比較例Aで採用された方法に従って、モールド可能なペーストを作製した。ペースト作製で使用された他の全ての成分は、同一であった。比較例Aで使用されたCu交換ゼオライトによって提供されたのと同等の重量%の銅となるよう、炭酸銅の量を選択した。65重量%の銅及びゼオライト、25重量%のγ-Al及び粘土鉱物、並びに10重量%のガラス繊維を含む、最終的な固体触媒体が得られるよう、出発材料の量の割合を選択した。続いて、比較例と同一の形状及び寸法を有するフロースルー型ハニカムに、モールド可能なペーストが押出成形され、次に、同様に乾燥及び焼成されて、固体触媒体を形成した。
【0081】
・実施例2
炭酸銅の代わりに、水酸化銅(Cu(OH))が採用された点以外は、実施例1に記載の方法に従って、固体触媒体を作製した。
【0082】
・比較例B
炭酸銅の代わりに、硝酸銅(Cu(NO)(つまり、可溶性活性金属前駆体)が採用された点以外は、実施例1に記載の方法に従って、固体触媒体を作製した。
【0083】
・実施例3
形態のSSZ-13(CHA)がゼオライトとして利用された点以外は、実施例1に記載の方法に従って、固体触媒体を作製した。
【0084】
・触媒試験
比較例A及び実施例1の同一の体積のサンプルに対し、合成触媒活性試験(synthetic catalytic activity test、SCAT)装置で試験を実施した。試験は、300ppmのNO(NOは0%)、300ppmのNH(アンモニア対NO比(Ammonia to NOx ratio、ANR)=1.0)、9.3%のO、7%のHO、及び残りがNの入口ガス混合物を使用して、選択された入口ガス温度で、120000h-1の空間速度(space velocity、SV)で実施された。フレッシュ状態及び熱水によるエイジング(10体積%のHOにおいて、650℃で50時間)を施した状態の両方で触媒サンプルを試験した。
【0085】
結果を図1及び図2に示す。
【0086】
図1は、選択された入口温度での各サンプルによって得られたNO変換率を示し、図2は、選択された入口温度での各サンプルによって得られたNO選択活性を示す。
【0087】
図1及び図2において示されるデータで示された通り、比較例Aと比較すると、実施例1は、同等の又はわずかに優れたNO変換率及び同等のNO選択性を示している。比較触媒性能によれば、実施例1で作製された触媒体は、Cu担持ゼオライトを含み、得られた銅担持ゼオライトが、比較例Aで使用された、粉末状の前交換したゼオライトのものと類似していることが分かる。
【0088】
有利な点として、比較例Aでの作製全体と比較して、実施例1の作製では、プロセス工数も少なくてすみ、消費される水及びエネルギーも少なくてすむ。
【0089】
フレッシュな状態の、実施例2及び3並びに比較例Bの同体積のサンプルに対し、上記と同じ条件で、合成触媒活性試験(SCAT)装置を用いて、試験を実施した。
【0090】
結果を図3及び図4に示す。比較の目的のために、フレッシュな条件下での実施例1に関して発生した結果は、図3及び図4にも再現した。
【0091】
本開示の更なる態様及び実施形態を以下に番号を振った条項に記載する。
条項1. 触媒物品を形成する方法であって、
(a)少なくとも以下の成分:
(i)H形態又はNH4形態の結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブと、
(ii)不溶性活性金属前駆体と、
(iii)無機マトリックス成分と、
(iv)有機助剤と、
(v)水性溶媒と、を共に混合することによって、可塑性混合物を形成することであって、
混合物は、50重量%を超える固形分を有する、ことと、
(b)可塑性混合物を成形物品にモールドすることと、
(c)成形物品を焼成して、固体触媒体を形成することと、を含む、方法。
条項2. 工程(a)において、共に混合される成分は、(vi)無機繊維を更に含む、条項1に規定された方法。
条項3. 触媒物品を形成する方法であって、
(a)以下の成分:
(i)H形態又はNH4形態の結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブと、
(ii)不溶性活性金属前駆体と、
(iii)無機マトリックス成分と、
(iv)有機助剤と、
(v)水性溶媒と、
(vi)任意に無機繊維と、を共に混合することによって、可塑性混合物を形成することであって、
混合物は、50重量%を超える固形分を有する、ことと、
(b)可塑性混合物を成形物品にモールドすることと、
(c)成形物品を焼成して、固体触媒体を形成することと、を含む、方法。
条項4. 触媒物品を形成する方法であって、
(a)以下の成分:
(i)不溶性活性金属前駆体と、
(ii)無機マトリックス成分と、
(iii)有機助剤と、
(iv)水性溶媒と、
(v)任意に無機繊維と、を共に混合することによって、可塑性混合物を形成することであって、
可塑性混合物は、50重量%を超える固形分を有する、ことと、
(b)可塑性混合物を成形物品にモールドすることと、
(c)成形物品を焼成して、固体触媒体を形成することと、からなり、
工程(b)の後、かつ工程(c)の前に、成形物品を任意に乾燥させる、方法。
条項5. 工程(a)で使用される成分の相対的な量の割合は、工程(c)で形成される固体触媒体が、55~85重量%の金属担持モレキュラーシーブ、20~40重量%の無機マトリックス成分、及び0~10重量%の無機繊維を含むように選択される、条項1~4のいずれか一条項に規定された方法。
条項6. 工程(a)で使用される成分の相対的な量の割合は、工程(c)で形成される固体触媒体が、60~85重量%の金属担持モレキュラーシーブ、20~40重量%の無機マトリックス成分、及び0~10重量%の無機繊維を含むように選択される、条項1~5のいずれか一条項に規定された方法。
条項7. 工程(a)で形成される可塑性混合物は、(可塑性混合物の総重量に基づいて)25~70重量%の、H形態又はNH 形態の結晶性小細孔又は中細孔モレキュラーシーブと、0.06~8重量%の不溶性活性金属前駆体と、12~33重量%の無機マトリックス成分と、0~8重量%の無機繊維と、最大15重量%の有機助剤と、を含む、条項1~6のいずれか一条項に規定された方法。
条項8. 結晶性モレキュラーシーブは、小細孔モレキュラーシーブである、条項1~7のいずれか一条項に規定された方法。
条項9. 小細孔モレキュラーシーブは、AEI、AFT、AFX、CHA、DDR、ERI、KFI、LEV、LTA、SFW、及びRHOから選択される骨格型を有する、条項8に規定された方法。
条項10. 結晶性モレキュラーシーブは、CHA、AEI又はAFX、LTA又はERIから選択され、好ましくは、CHA又はAEIから選択される骨格型を有する小細孔ゼオライトである、条項1~9のいずれか一条項に規定された方法。
条項11. 結晶性モレキュラーシーブは、シリカ-アルミナ比(SAR)が5~200、5~100、10~80、又は5~30のゼオライトである、条項1~10のいずれか一条項に規定された方法。
条項12. 結晶性モレキュラーシーブは粒子形態であり、30μm未満のD90粒径を有する、条項1~11のいずれか一条項に規定された方法。
条項13. 結晶性モレキュラーシーブは粒子形態であり、50μm未満のD99粒径を有する、条項1~12のいずれか一条項に規定された方法。
条項14. 成分(i)は、H形態又はNH 形態の2つ以上の小細孔又は中細孔結晶性モレキュラーシーブを含む、条項1~13のいずれか一条項に規定された方法。
条項15. 不溶性活性金属前駆体は、1g/100mL未満、0.1g/100mL未満、又は0.01g/100mL未満の水溶性を有する、条項1~14のいずれか一条項に規定された方法。
条項16. 不溶性活性金属前駆体は、金属炭酸塩、金属水酸化物、金属シュウ酸塩、又はそれらのうちの任意の2つ以上の混合物から選択される、条項1~15のいずれか一条項に規定された方法。
条項17. 不溶性活性金属前駆体は、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、パラジウム、白金、セリウム、イットリウム、ニオブ、ランタン、亜鉛、カルシウム、マグネシウムの塩、又はそれらのうちの2つ以上の任意の混合物を含む、条項1~16のいずれか一条項に規定された方法。
条項18. 不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅、炭酸マンガン、炭酸ニッケル、炭酸コバルト、炭酸鉄、炭酸パラジウム、炭酸白金、炭酸セリウム、炭酸イットリウム、炭酸ニオブ、炭酸ランタン、炭酸亜鉛、炭酸ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化銅、水酸化マンガン、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化鉄、水酸化パラジウム、水酸化白金、水酸化セリウム、水酸化イットリウム、水酸化ニオブ、水酸化ランタン、水酸化亜鉛、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、シュウ酸銅、シュウ酸カルシウム、シュウ酸鉄、シュウ酸マンガン、シュウ酸コバルト、シュウ酸セリウム、シュウ酸イットリウム、シュウ酸亜鉛、及びそれらのうちの2つ以上の任意の混合物からなる群から選択される、条項1~17のいずれか一条項に規定された方法。
条項19. 不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅(II)、水酸化銅(II)、及びシュウ酸銅のうちの1つ以上を含む、条項1~18のいずれか一条項に規定された方法。
条項20. 不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅(II)を含む、条項1~19のいずれか一条項に規定された方法。
条項21. 不溶性活性金属前駆体は、炭酸銅(II)及び炭酸セリウムの混合物を含む、条項1~20のいずれか一条項に規定された方法。
条項22. 不溶性活性金属前駆体は、500未満の温度での熱分解によって、熱分解された1つ以上の金属塩を含む、条項1~21のいずれか一条項に規定された方法。
条項23. 工程(a)において、共に混合される成分は、(vii)可溶性活性金属前駆体を更に含む、条項1~22のいずれか一条項に規定された方法。
条項24. 水性溶媒は水から本質的になる、条項1~23のいずれか一条項に規定された方法。
条項25. 水性溶媒は水である、条項1~25のいずれか一条項に規定された方法。
条項26. 工程(a)で形成された可塑性混合物の固形分は、少なくとも60重量%である、条項1~25のいずれか一条項に規定された方法。
条項27. 工程(a)で形成された可塑性混合物の固形分は、60~80重量%の範囲、より好ましくは、70~80重量%の範囲である、条項1~26のいずれか一条項に規定された方法。
条項28. 無機マトリックス成分は、ベーマイト及び/又はバイエライト、好ましくは、ベーマイトを含む、条項1~27のいずれか一条項に規定された方法。
条項29. 無機マトリックス成分は、粘土を含む、条項1~28のいずれか一条項に規定された方法。
条項30. 粘土は、ベントナイト、耐火粘土、アタパルジャイト、フラー土、セピオライト、ヘクトライト、スメクタイト、カオリン、珪藻土、及びそれらのうちの任意の2つ以上の混合物から選択される、条項29に規定された方法。
条項31. 工程(a)では、共に混合される成分は、(vi)無機繊維を更に含み、無機繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、ホウ素繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、シリカ-アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、セラミック繊維のうちの1つ以上を含む、条項1~30のいずれか一条項に規定された方法。
条項32. 有機助剤は、アクリル繊維、セルロース誘導体、有機可塑剤、潤滑剤、及び水溶性樹脂のうちの少なくとも1つを含む、条項1~31のいずれか一条項に規定された方法。
条項33. 工程(a)では、成分はニーディングによって共に混合される、条項1~32のいずれか一条項に規定された方法。
条項34. 工程(a)は、周囲温度で実施される、条項1~33のいずれか一条項に規定された方法。
条項35. 工程(a)は、10~35℃の範囲、10~30℃の範囲、又は18~28℃の範囲の温度で実施される、条項1~33のいずれか一条項に規定された方法。
条項36. 工程a)で形成された可塑性混合物は、いかなる追加の処理工程を伴うことなく、工程b)で直接使用される、条項1~35のいずれか一条項に規定された方法。
条項37. 工程(b)は、押出成形によって実施される、条項1~36のいずれか一条項に規定された方法。
条項38. 工程(b)は、周囲温度で実施される、条項1~37のいずれか一条項に規定された方法。
条項39. 工程(b)は、10~35℃の範囲、10~30℃の範囲、又は18~28℃の範囲の温度で実施される、条項1~37のいずれか一条項に規定された方法。
条項40. 工程(c)の焼成前において、可塑性混合物の温度は、35℃を超えない、好ましくは、30℃を超えない、より好ましくは、28℃を超えない、条項1~39のいずれか一条項に規定された方法。
条項41. 成形物品はハニカムモノリスである、条項1~40のいずれか一条項に規定された方法。
条項42. 当該方法は、工程(b)で形成された成形物品を、工程(c)の前に乾燥することを更に含む、条項1~41のいずれか一条項に規定された方法。
条項43. 工程(c)は、500~900の範囲、好ましくは、600~800の範囲の温度で実施される、条項1~42のいずれか一条項に規定された方法。
条項44. 工程(c)において、焼成が最長5時間、好ましくは、1~3時間にわたって実施される、条項1~43のいずれか一条項に規定された方法。
条項45. 工程(c)で形成される固体触媒体が金属担持モレキュラーシーブを含む、条項1~44のいずれか一条項に規定された方法。
条項46. 工程(c)で形成される固体触媒体が、SCRに対して触媒活性である、金属担持モレキュラーシーブを含む、条項1~45のいずれか一条項に規定された方法。
条項47. 工程(c)の間、モレキュラーシーブの少なくとも一部の金属担持が起こる、条項1~46のいずれか一条項に規定された方法。
条項48. 条項1~47のいずれか一条項に規定された方法により得た又は得ることのできる触媒物品。
条項49. フロースルー型ハニカムモノリス又はウォールフロー型フィルタとして構成される、条項48に規定された触媒物品。
条項50. SCRに対して触媒活性である、条項48又は49に規定された触媒物品。
条項51. 窒素系還元剤源と、窒素系還元剤を、流動する排ガス中に注入する注入器と、を備え、注入器は、条項50に規定された触媒物品よりも上流に配設されている、排気システム。
【0092】
いずれの誤解も回避するために、本明細書に引用される全ての文書及び全ての文書の内容全体が、参照により本出願に組み込まれる。

図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】