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特表2023-523126バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物
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  • 特表-バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物 図1
  • 特表-バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物 図2
  • 特表-バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物 図3
  • 特表-バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物 図4
  • 特表-バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物 図5
  • 特表-バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物 図6A
  • 特表-バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物 図6B
  • 特表-バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物 図7A)
  • 特表-バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物 図7B)
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】バイオサーファクタント、補助界面活性剤、および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20230526BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20230526BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20230526BHJP
   A61K 31/121 20060101ALN20230526BHJP
   A61K 31/167 20060101ALN20230526BHJP
   A61K 9/107 20060101ALN20230526BHJP
   A61K 47/14 20170101ALN20230526BHJP
   A61K 47/10 20170101ALN20230526BHJP
   A61K 47/42 20170101ALN20230526BHJP
【FI】
A61K8/64
A61K8/04
A61Q19/00
A61K8/34
A61K8/42
A61K31/121
A61K31/167
A61K9/107
A61K47/14
A61K47/10
A61K47/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550685
(86)(22)【出願日】2020-02-20
(85)【翻訳文提出日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 IB2020051416
(87)【国際公開番号】W WO2021165724
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】432956
(32)【優先日】2020-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522331437
【氏名又は名称】インヴェンティオンビオ スポルカ ズ オルガニショナ オドポウィエジアルノシュア
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】レウィンスカ アグニエシュカ
(72)【発明者】
【氏名】バズィリンスカ ウルシュラ
(72)【発明者】
【氏名】ルカシェウィッツ マルシン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076DD39
4C076DD46
4C076EE41
4C076FF16
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC252
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC472
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD641
4C083AD642
4C083AD661
4C083AD662
4C083BB11
4C083DD31
4C083DD33
4C206CB14
4C206GA19
4C206GA31
4C206KA01
4C206MA42
(57)【要約】
本発明の課題は、バイオサーファクタント、補助界面活性剤および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物であって、前記バイオサーファクタント、前記補助界面活性剤および前記油相の重量比がそれぞれ0.01~96.99重量%:0.01~96.99重量%:3~70重量%であり、前記バイオサーファクタントは、サーファクチンまたはその塩であり、前記補助界面活性剤は、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールまたはコカミドプロピルベタインであることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオサーファクタント、補助界面活性剤および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物であって、前記バイオサーファクタント、前記補助界面活性剤および前記油相の重量比がそれぞれ0.01~96.99重量%:0.01~96.99重量%:3~70重量%であり、前記バイオサーファクタントは、サーファクチンまたはその塩であり、前記補助界面活性剤は、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールまたはコカミドプロピルベタインであることを特徴とする、自己乳化組成物。
【請求項2】
前記バイオサーファクタント、前記補助界面活性剤および前記油相の重量比が、10~50重量%:20~50重量%:10~50重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記バイオサーファクタント、前記補助界面活性剤および前記油相の重量比が、50重量%:30重量%:20重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記サーファクチンが枯草菌によって生産されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記サーファクチンがサーファクチンナトリウムであることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記油相が、Capmul MCM C8、カナンガ花油、バーベナ油、タマヌ油、オレイン酸、ヒマワリ種子(ヘリアンサス アナス)油のトコフェロール、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、菜種油、脂肪酸エステルを含む群から選択される少なくとも1つの化合物であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
水で希釈されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
10~5000w/wの希釈液が使用されることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、バイオサーファクタント、補助界面活性剤および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物である。
【背景技術】
【0002】
自己乳化系とは、界面活性剤、補助界面活性剤、油相からなる等方性の系(isotropic systems)で、適切な比率で希釈すると、自然に自己乳化する。
【0003】
バイオサーファクタントは、表面張力を下げる化合物で、バクテリア、酵母、またはカビによって生産される細胞外の代謝物であり、細胞壁の一部である可能性がある(Bednarski W., Fiedurek J. (ed.) Podstawy biotechnologii przemyslowej. WNT, Warsaw 2007)。これらの物質は微生物によって生産され、その低毒性、入手の容易さ、興味深い性質のおかげで、多くの産業で利用することができる(Kosaric N., Biosurfactants in industry. Pure Appl. Chem., 64, 1731 (1992))。例えば、化粧品業界では、シャンプー、パウダーならびに保湿クリームおよび保護クリームの製造において、バイオサーファクタントは合成界面活性剤の優れた代替品となり得る。
【0004】
界面活性剤は、相界面の張力を低下させるため、キャリアの形成に広く利用することができる。親水性-疎水性という特徴的な構造により、水溶性の弱い化合物や非常に弱い化合物をカプセル化することができ、バイオアベイラビリティを向上させることが可能である。皮膚に適用するシステムにおいては、効率とバイオアベイラビリティの向上が特に重要である。疎水性物質を専用の担体システムでカプセル化することで、皮膚への送達と浸透を容易になる。リポソーム、ナノカプセル、リポスフィア、その他の自己組織化ナノシステムなどの脂質ナノキャリアは、疎水性の高い化合物の封入を可能にし、投与後の効果を高める。
【0005】
この種の界面活性剤によって作られた製剤は特許で保護されており、例えば、アニオン性界面活性剤と増粘剤との組み合わせで、バイオサーファクタントを含む、優れた起泡性と洗浄性を有する化粧品洗浄剤(PEG-free cosmetic cleansing agents comprising biosurfactants、US 20170071835 A1)などがある。
【0006】
別の出願では、バイオサーファクタントを含み、プレバイオティック活性を有する化粧品用洗浄剤が記載されている。プレバイオティック効果は、バイオサーファクタントをアニオン性界面活性剤と組み合わせることによって生み出される。この薬剤はまた、優れた起泡性および洗浄性を有する(Cleansing agents containing biosurfactants and having prebiotic activity US 20170071842 A1)。
【0007】
さらなる発明は、例えば、特定のコポリマーと、スルホサクシネートおよびバイオサーファクタントからなる群から選択される少なくとも1つの界面活性剤を含む製剤に関する(Cosmetic formulation containing copolymer and sulfosuccinate and/or biosurfactant、US 20160045424 A1)。
【0008】
スキンケア、特にその肌荒れの改善に用いられる化粧品としては、バイオサーファクタント、特にMEL-A、MEL-BまたはMEL-Cを含有するものが知られている(Biosurfactant-containing skin care cosmetic and skin roughness-improving agent、US 20110257116 A1)。
【0009】
また、Candida bombicolaが生産する糖脂質構造のバイオサーファクタントであるソホロリピッドは、クリーム、シャンプー、ヘアジェル、ボディジェルにおいて天然の保湿剤として作用することができる。本発明の一つは、特に、0.01~30重量%の濃度の酸性ソホロリピッドまたは一価もしくは二価の塩と結合したソホロリピッドを含む化粧品および皮膚科用組成物、およびその使用に関する。その組成物は、w/o、o/wエマルジョン、またはo/wマイクロエマルジョンの形態であってよい。ソホロリピッドベースの組成物は、抗フリーラジカル剤および抗炎症剤として有用である(Use of sophorolipids in cosmetic and dermatological compositions, EP 0820273 B1)。
【0010】
特許WO 2006028996 A2(Emulsan-alginate microspheres and methods of use thereof)には、薬物担体となり得るエマルジョン-アルジネート組成物が記載されている。その発明の組成物は、ミクロスフェアまたはアルギン酸粒子の調製に関連する問題のいくつかを回避することを可能にする。
【0011】
マイクロカプセル化およびナノカプセル化は、化粧品やパーソナルケア製品の市場でますます利用されるようになっている。これは、これらのタイプの化粧品のほとんどが、皮膚の深層部まで到達することなく、皮膚の表層に作用するという事実によるものである。化粧品の効果は、その有効成分が角質層を通って皮膚に浸透する能力に直接起因することは、一般的に知られている。そのため、新しいキャリアシステムの開発が進められている。このような構造の利点としては、有害な外部影響から活性物質を保護できること、カプセル化された物質の制御された放出が可能であること、水に溶解しにくい物質をカプセル化できることなどが挙げられる。皮膚浸透性の向上を達成できる最も有望なシステムの1つが、固体脂質粒子、リポソーム、マイクロエマルジョン、ナノエマルジョンである(Neubert HR. Potentials of new nanocarriers for dermal and transdermal drug delivery. Eur J Pharm Biopharm. 2011;77(1):1-2)。ナノエマルションは、調製が容易であることや工業規模の生産が可能であることなど、多くの利点があるため、医薬品業界をはじめとする多くの産業で広く利用されている(Campos VEB, Ricci-Junior E, Mansur CRE. Nanoemulsions as delivery systems for lipophilic drugs. J Nanosci Nanotechnol. 2012;12(3): 2881-2890)。ナノエマルションは、そのナノメートルサイズにより皮膚への浸透を促進し、さらにその大きな表面積により皮膚との接触を促進することができる(Trommer H, Neubert HR. Overcoming the stratum corneum: the modulation of skin penetration: a review. Skin Pharmacol Physiol.2006; 19(2):106-121)。
【0012】
出願KR100452165は、リン脂質とペプチド系界面活性剤を含むナノエマルションに関するものである。使用されるリン脂質は、レシチンまたはレシチン誘導体、ステロール-1またはステロール誘導体である。
【0013】
出願KR101837433は、界面活性剤としてラウリルカルバミン酸イヌリンを1~10重量%、サーファクチンナトリウムをナノエマルションの総重量あたり0.01~3%含む低粘度の液体またはペーストの特性を有する水中油型(o/w)ナノエマルションに関するものである。油相としては、シリコーン油、エステル油、炭化水素油、植物油、ワックス、サンスクリーンなどが用いられた。油相は、ナノエマルジョンの10~60重量%を占める。ナノエマルジョンは、水溶性ビタミンを含む群から選択される少なくとも1つの活性物質を0.001~30重量%含有する。
【0014】
出願番号CN107661287は、重量パーセントで以下の成分を含むことを特徴とする自己乳化型サポニン供給システムに関する:油相(labrafil M 1944CS):0.05%-0.25%; 界面活性剤(ziyuglycoside):0.45%-0.65%; 界面活性剤(Tween-20, transcutol P): 0.1%-0.3%。
【0015】
出願番号CN107049945は、イベルメクチンの水溶性が低く、保存安定性が悪いという問題を解決することを目的としたイベルメクチンナノエマルジョン製剤に関するものである。この製剤は、イベルメクチン0.5~2%、油相-オレイン酸エチル0.5~5%、ポリオキシエチレン乳化剤-水添ヒマシ油(RH-40)8~30%、乳化剤-トランスクトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、水1~10%、を含むことに特徴を有するものである。
【0016】
出願WO2016141098は、油、難水溶性薬物および1種以上の界面活性剤を含む非水系外用眼科用組成物に関し、該組成物は、眼に滴下した後に水溶液と混合すると自己乳化できるものであり、該組成物の約5重量%~約60重量%が油から構成されている。組成物は、1重量%未満の水を含有する。組成物は、さらに、1つ以上の共溶媒を含む。ナノメトリックエマルジョンは、10~200nmの大きさの範囲の自己乳化後の分散した油滴を含む。
【0017】
出願KR101440726は、リンパ系への薬物送達システム(経口製剤)に関するもので、可溶化剤がトランスキュトール(トランスキュトールHP)(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、エタノールおよびプロピレングリコールを含む群から選択されるものである。
【0018】
出願CN204307112Uは、発酵ブロスからバイオサーファクタントを精製する方法に関するもので、化粧品乳化剤系を製造するのに使用することができるものである。式は、発酵生成物からサーファクチンを分離するための装置を記載している。
【0019】
出願CN105213210は、化粧品組成物における抗老化(または抗シワ)処置の調製における界面活性剤(サーファクチン)の送達に関し、当該組成物は、界面活性剤および薬学的に許容されるキャリア、賦形剤、希釈剤、アジュバントなどを含む。好ましくは、界面活性剤は、7つのアミノ酸(L-アスパラギン酸、L-ロイシン、グルタミン酸、L-ロイシン、L-2つのD-バリン、およびロイシン)からなるヘプタペプチドを含むシクロリピジンである。
【0020】
出願US2012280261(EP3391872)は、皮膚に使用される外用剤に便利な水中油型エマルション組成物およびその製造方法に関するものである。本発明は、水中油型エマルション組成物の製造方法であって、第1界面活性剤、第2界面活性剤および水を混合して中間相を作る段階と、中間相に油相成分を添加する段階と、水相成分をさらに添加する段階とを含み、第1界面活性剤が少なくとも一つの水溶液中で40~80重量%の濃度の第1相を形成し、第2界面活性剤が少なくとも一つの水溶液中で40~80重量%の濃度の第2相を形成する。実施形態において、第1の界面活性剤は、好ましくは、サーファクチンおよびその塩、マンノシルエリスリトール脂質、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソホロリピッド、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸、ポリエチレングリコールの脂肪酸およびリン脂質から選ばれる少なくとも一つの界面活性剤、好ましくはポリグリセリンエステル脂肪酸またはリン脂質を含む。本実施形態において、第2の界面活性剤は、下記式(1)を有するアルキルグリコシド、アシルアミノ酸リジンおよび/またはそれらの塩、ショ糖と脂肪酸のエステル、アルキルポリグリセロールエーテル、脂肪酸グリコシド、モノアルキルリン酸塩およびそれらの塩から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、アルキルグリコシドまたはモノアルキルリン酸塩およびその塩を含むことが好ましい。
【0021】
出願US2016030322Aは、25~100μMの濃度でサーファクチンを含む化粧品組成物と、薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤またはアジュバントを投与し、化粧品組成物の老化防止効果はサーチュインの増強に関わる、という内容の老化防止治療に関するものである。サーファクチンは、β-ヒドロキシ脂肪酸に関連するヘプタペプチド(L)Glu-(L)Leu-(D)Leu-(L)Val-(L)Asp-(D)Leu-(L)Leuを含むシクロ脂肪族ペプチドであり、サーファクチンの脂肪酸の分布は次の通り(1) iso-C13>3%、(2) C13>0,65%、(3) iso-C14>17%、(4) C14<41%、(5) iso-C15<11%である。サーファクチン脂肪酸の好ましい分布は、以下の通り(1)iso-C13>10%;(2)C13>25%;(3)iso-C14>35%;(4)C14<25%;および(5)iso-C15<3%である。アンチエイジング化粧品組成物の方法において、アンチエイジング化粧品組成物が、さらに以下の成分:アルコール、エステル、複合多糖類、ピーナッツオイル、およびビタミンの少なくとも1つを含有する。
【0022】
出版物 Kural FH, Gursoy RN. Formulation and characterization of surfactin-containing self-microemulsifying drug delivery systems (SF-SMEDDS). Hacettepe University Journal of the Faculty of Pharmacy, 2010, 30(2): 171-186.は、サーファクチンを含有する自己乳化型ドラッグデリバリーシステム(SMEDDS)に関する。著者らによると、この研究は、サーファクチンの剤形への実装を説明する最初の研究である。研究の目的は、生物活性化合物としてサーファクチンを含む安定したSMEDDS製剤を設計し、その特性を明らかにすることであった。研究の初期段階では、3成分相図を用いて、様々な組成の賦形剤を含むSMEDDS製剤が調製された。
【0023】
・シリーズF1:PEG3000、Gelucire 44/14、Labrasol、ビタミンE
・シリーズF2:PEG3000、Gelucire 44/14、Tyloxapol、ビタミンE
・シリーズF3:PEG3000、Tyloxapol、Labrasol、Vitamin E
・シリーズF4:プロピレングリコール、Gelucire 44/14、Labrasol、ビタミンE
【0024】
次に,最も有利な提案を選択するために,試験した製剤の物理的安定性をモニターした。サーファクチン-SMEDDS製剤のサーモグラムでは、サーファクチンの融解吸熱は観察されず、これは水中油型エマルジョン中においてサーファクチンと賦形剤の間に強い相互作用が存在することを示唆している。
【0025】
その結果は、ビタミンE,Labrasol,Gelucire 44/14,PEG 3000を1:1:8:0.5(% w/w)の割合で含むSMEDDS製剤が最も高い物理的安定性を有することを示した。最終的な結論として、著者らは、今後、新たに開発されるSMEDDS(自己乳化型ドラッグデリバリーシステム)製剤において、サーファクチンの生物活性を調査する必要があると指摘している。
【0026】
論文 Wu Y-S, Ngai S-C, Goh B-H, Chan K-G, Lee L-H and Chuah L-H. Anticancer activities of surfactin and potential application of nanotechnology assisted surfactin delivery. Frontiers in Pharmacology; 2017; 8:761. doi: 10.3389/fphar.2017.00761は、サーファクチンの両親媒性の性質が、ポリマーナノ粒子、マイセル、マイクロエマルジョン、リポソームのようなナノ粒子の形成を可能にすることを示している。著者らによれば、ナノ製剤の使用は、抗癌剤治療におけるサーファクチンの送達を最適化するとのことである。本書は、サーファクチンの抗がん作用と、ナノテクノロジーによるサーファクチン送達の潜在的応用に関する最新文献のレビューである。本研究の目的は、サーファクチン、その特性、生合成方法、抗がん活性、およびサーファクチンの最適な送達のためのナノ製剤の潜在的な適用に関する現在の知識を分析しまとめることであった。
【0027】
Joe MM, Bradeeba K, Parthasarathi R, Sivakumaar PK, Chauhan PS, Tipayno S, Benson A, Sa T. Development of surfactin based nanoemulsion formulation from selected cooking oils: Evaluation for antimicrobial activity against selected food associated microorganisms. Journal of The Taiwan Institute of Chemical Engineers 2012; 43: 172-180,という研究の著者らは、ヒマワリ油、ヒマシ油、ココナッツ油、ピーナッツ油、ゴマ油などの食用油を用いて、界面活性剤ベースのナノエマルジョンを開発した。O/Wナノエマルジョンの油相は、選択した食用油14%、エタノール3%、界面活性剤3%からなる。様々な界面活性剤ベースのエマルションの平均液滴サイズは72.52から875.22 nmの範囲にあり、最小のサイズはヒマワリ油の処方で得られた。さらなる研究により、界面活性剤ベースのヒマワリ油ナノエマルションは、Salmonella typhi、Listeria monocytogenes、Staphylococcus aureusに対して抗菌効果を発揮することが示された。また、Rhizopus nigricans、Aspergillus niger、Penicillium sp.に対して強い抗真菌活性を示し、Bacillus cereusとBacillus circulansに対して殺胞子活性を有することが示された。この結果は、サーファクチンの食品保存料としての可能性を示唆している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、バイオサーファクタントを含有する、皮膚への投与を目的とする新規の自己乳化組成物を創製することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の要旨は、バイオサーファクタント、補助界面活性剤および油相を含む、皮膚への投与を目的とする自己乳化組成物であって、前記バイオサーファクタント、前記補助界面活性剤および前記油相の重量比がそれぞれ0.01~96.99重量%:0.01~96.99重量%:3~70重量%であり、前記バイオサーファクタントは、サーファクチンまたはその塩であり、前記補助界面活性剤は、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールまたはコカミドプロピルベタインであることを特徴とする。
【0030】
前記バイオサーファクタント、前記補助界面活性剤、および前記油相の好ましい重量比は、10~50重量%:20~50重量%:10~50重量%である。
【0031】
前記バイオサーファクタント、前記補助界面活性剤、および前記油相の好ましい重量比は、50重量%:30重量%:20重量%である。
【0032】
好ましくは、前記サーファクチンは、枯草菌によって生産される。
【0033】
好ましくは、前記サーファクチン塩がサーファクチンナトリウムである。
【0034】
好ましくは、前記油相が、Capmul MCM C8、カナンガ花油、バーベナ油、タマヌ油、オレイン酸、ヒマワリ種子(ヘリアンサス アナス(Helianthus annuus))油のトコフェロール、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(ascorbyl tetraisopalmitate)、菜種油、脂肪酸エステルを含む群から選択される少なくとも1つの化合物である。
【0035】
前記組成物は、水で希釈されていることが好ましい。
【0036】
好ましい希釈は、10~5000w/wである。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、以下の利点を提供する。
【0038】
- 本発明による組成物を水と混合することによって製造されるナノエマルジョンは、良好な皮膚浸透能力を示す。
【0039】
- 皮膚に投与するための本発明による組成物は、化粧品産業において使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、サーファクチンナトリウムの化学式である。
図2図2は、Capmul MCM C8、サーファクチンナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノール(40:10:50 w/w)を含む濃縮物を1:100 w/vの割合で水で希釈して形成されたナノエマルションのサイズ分布である。
図3図3は、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノール(40:10:50 w/w)を含む濃縮物を1:100w/vの割合で水で希釈後に形成されたナノエマルションのゼータ電位の分布である。
図4図4は、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノール(50:30:20 w/w)を含む濃縮物を1:100w/vの割合で水で希釈後に形成されたナノエマルションのサイズ分布を示している。
図5図5は、菜種油、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノール(20:50:30 w/w)を含む濃縮物を1:200 w/vの割合で水で希釈後に形成したナノエマルションのゼータ電位の分布である。
図6図6は、実施形態17で製造したナノエマルジョンのTEM撮影によるモルフォロジーを示す図であり、A)は500nmでの拡大図、B)は200nmでの拡大図である。
図7図7は、蛍光色素(クマリン)の浸透性を示す図であり、油相に懸濁させたもの(A)、本発明によるナノエマルジョンにカプセル化したもの(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明は、以下の非限定的な実施形態で示される。それによって、本発明による組成物の個々の成分は既知であり、毒性について試験されており、利用可能な試験結果は、成分のいずれも人体毒性を示さず、それらの各々は、人の皮膚に適用される組成物を製造するために使用できる。
【実施例
【0042】
[実施形態1.]
サーファクチン(細菌由来のバイオサーファクタントで、相間張力を低下させるため、ナノキャリアが得られる)により共形成された自己乳化(自発)ナノエマルション製剤の調製
【0043】
Capmul MCM C8、サーファクチンナトリウム(図1)および2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを40:10:50 w/wの割合で十分に混合して、皮膚への投与のための本発明による組成物である濃縮物を形成させた。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、125.2±1.6nmのサイズ、0.182±0.009の多分散性指数(PdI)、および-87.86±1.42mVのゼータ電位を有するo/w型のナノエマルションを得た。
【0044】
上記で明らかにした組成の濃縮物は、水で1:100 w/vに希釈した後、116.8±0.7nmのサイズ、0.162±0.014の多分散性指数(PdI)(図2)、および-87.63±0.98mV(図3)のゼータ電位のo/wタイプのナノエマルションを得ることが可能である。
【0045】
得られたナノエマルジョンは、水で1:1000w/vに再稀釈して最終希釈物とすることができ、その希釈物は以下のパラメータを有する。サイズ129.5±0.4nm、多分散性指数(PdI)0.153±0.012、ゼータ電位-61.2±3.03mV。
【0046】
サイズ(ナノエマルション液滴の流体力学的直径)、多分散性指数(PdI)、ゼータ電位などのパラメータは、適切な動的光散乱(DLS)および電気泳動光散乱(ELS)技術によって得られたものである。
【0047】
[実施形態2.]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを50:10:40 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌して、サイズが161.3±4nm、多分散性指数(PdI)が0.362±0.021、ゼータ電位が-94,23±4.96mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0048】
上記で明らかにした組成の濃縮物は、水で1:100w/vに希釈した後、166.7±4.5nmのサイズ、0.402±0.014の多分散性指数(PdI)、および-92.6±0.86のゼータ電位のo/w型ナノエマルションを得ることができる。得られたナノエマルジョンは、水で1:1000w/vに再希釈して最終希釈物とすることができ、その希釈物は以下のパラメータを有する。サイズ161.7±1.7nm、多分散性指数(PdI)0.291±0.023、ゼータ電位-63,33±0.66mV。
【0049】
[実施形態3.]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを50:30:20 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが82.85±0.9nm、多分散性指数(PdI)が0.159±0.009(図4)およびゼータ電位が-90.93±3.09mVのo/w型のナノエマルジョンを得た。
【0050】
上記で明らかにした組成の濃縮物は、水で1:100w/vに希釈した後、67.2±1.2nmのサイズ、0.201±0.005の多分散性指数(PdI)、および-87.60±1.05mVのゼータ電位のo/wタイプのナノエマルションを得ることができる。得られたナノエマルジョンは、水で1:1000w/vに再希釈して最終希釈物とすることができ、その希釈物は以下のパラメータを有する。サイズ105.8±0.5nm、多分散性指数(PdI)0.071±0.014、ゼータ電位-67,93±8.07mV。
【0051】
[実施形態4.]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを10:50:40 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが69.6±1.5nm、多分散性指数(PdI)が0.287±0.025、およびゼータ電位が-87,46±2.20mVのo/w型のナノエマルジョンを得た。
【0052】
上記で明らかにした組成の濃縮物は、水で1:100 w/vに希釈した後、サイズが59.8±0.9nm、多分散性指数(PdI)が0.293±0.037、ゼータ電位が-74.23±0.30mVのo/wタイプのナノエマルションを得ることができる。得られたナノエマルジョンは、水で1:1000w/vに再希釈して最終希釈物とすることができ、その最終希釈物は以下のパラメータを有する。サイズ100.1±0.8nm、多分散性指数(PdI)0.139±0.008、ゼータ電位-71,86±5.44mV。
【0053】
[実施形態5.]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌して、サイズが69.3±1.4nm、多分散性指数(PdI)が0.084±0.019、およびゼータ電位が-77.36±1.61mV(図5)のo/w型ナノエマルションを得た。
【0054】
上記で明らかにした組成の濃縮物を水で1:100w/vに希釈した後、67.9±0.2nmのサイズ、0.054±0.015の多分散性指数(PdI)、-75,93±2.10mVのゼータ電位のo/wタイプのナノエマルションを得ることができる。得られたナノエマルジョンは、水で1:1000w/vに再希釈して最終希釈物とすることができ、その最終希釈物は以下のパラメータを有する。サイズ97.4±0.5nm、多分散性指数(PdI)0.027±0.015、ゼータ電位-54±6.60mV。
【0055】
[実施形態6.]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製では、実施形態1と同様に、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを3:96.99:0.01 w/wの割合で混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水5mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが536.63±302.77nm、多分散性指数(PdI)が0.684±0.277、ゼータ電位が-99.13±6.16のo/w型のナノエマルジョンを得た。
【0056】
[実施形態7.]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製では、実施形態1と同様に、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを3:0.01:96.99 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水5mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが216.86±5.74nm、多分散性指数(PdI)が0.439±0.023、ゼータ電位が-69.66±2.85のo/w型のナノエマルジョンを得た。
【0057】
[実施形態8.]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルション製剤の調製では、実施形態1と同様に、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを95:2:3 w/wの割合で混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを、37℃の水5mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが570.56±7.39nm、多分散性指数(PdI)が0.991±0.014、ゼータ電位が-63.06±1.45のo/w型のナノエマルションを得た。
【0058】
本実施形態では、自己乳化型エマルションの調製のために、枯草菌が生産するサーファクチンが用いられる。
【0059】
この非限定的な実施形態では、枯草菌によって生産されたサーファクチンを使用したが、バチルス属の他の種、例えば、B. mojavensis、B. amyloliquefaciens、B. circulans、B. licheniformisによって生産されたサーファクチンを使用することが可能である。
【0060】
[実施形態9.]
カナンガ油を油相として使用する、サーファクチンによって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製。
カナンガ油、サーファクチンナトリウム、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で十分に混合し、濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが174.2±2.3 nm、多分散指数(PdI)が0.076±0.010、ゼータ電位が-73.5±1.8mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0061】
[実施形態10.]
Litsea cubeba油を油相とする、サーファクチンによって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルション製剤の調製。
Litsea cubeba油、サーファクチンナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で十分に混合し、濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが86.78±4.58nm、多分散性指数(PdI)が0.408±0.034、ゼータ電位が-56,83±8.32mVのo/w型ナノエマルションを得た。
【0062】
[実施形態11.]
トコフェロールを油相とする、サーファクチンによって共形成された自己乳化(自発的)ナノエマルション製剤の調製。
トコフェロール、サーファクチンナトリウム、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で十分に混合し、濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが150.25±52.85nm、多分散指数(PdI)が0.656±0.248、ゼータ電位が-58,83±3.44mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0063】
[実施形態12.]
油相としてヒマワリ(Helianthus annuus)種子油を使用する、サーファクチンによって共形成された自己乳化(自発的)ナノエマルション製剤の調製。トコフェロールが70%、ヒマワリ油が30%を占めている。
油相としてヒマワリ(Helianthus annuus)種子油中のトコフェロール、サーファクチンナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で慎重に混合し、濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが183.9±7.64nm、多分散指数(PdI)が0.328±0.01、ゼータ電位が-95,03±5.11mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0064】
[実施形態13.]
アスコルビルテトライソパルミテートを油相として使用する、サーファクチンによって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製。
アスコルビルテトライソパルミテート、ナトリウムサーファクチンおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で十分に混合し、濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが176.46±0.50nm、多分散指数(PdI)が0.108±0.014、ゼータ電位が-82,7±1.9mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0065】
[実施形態14.]
オレイン酸を油相として使用する、サーファクチンによって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製。
オレイン酸、サーファクチンナトリウム、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で十分に混合し、濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが147.96±2.89nm、多分散指数(PdI)が0.255±0.013、ゼータ電位が-87.63±2.19mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0066】
[実施形態15.]
油相として菜種油を使用する、サーファクチンによって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製。
菜種油、サーファクチンナトリウム、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で十分に混合し、濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが780.36±117.67nm、多分散性指数(PdI)が0.680±0.033、ゼータ電位が-103.33±1.52mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0067】
[実施形態16.]
油相として脂肪酸エステルを使用する、サーファクチンによって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製。
脂肪酸エステル、サーファクチンナトリウム、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で十分に混合し、濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが164.9±2.98nm、多分散指数(PdI)が0.235±0.008、ゼータ電位が-93,46±5.33mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0068】
[実施形態17.]
サーファクチンによって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルション製剤の調製において、Capmul MCM C8、サーファクチンナトリウム、2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した、。この濃縮物は、溶解したクルクミンを含む。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが68.03±0.91nm、多分散性指数(PdI)が0.271±0.017、ゼータ電位が-73,40±4.71mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0069】
化粧品および医薬品に使用される生理活性化合物のモデルとしてクルクミンを選択した。得られたクルクミンを内包したエマルジョンの形態は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて示した(図6)。調製したナノエマルジョンをメッシュ上に塗布し、乾燥後、透過型電子顕微鏡に導入し、加速電圧80eVで撮像した。
【0070】
[実施形態18.]
活性物質の担体としてサーファクチンによって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製。
この非限定的な実施形態では、リドカインを活性物質として使用した。
サーファクチンによって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールを20:50:30 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、活性物質であるリドカインを、油1g中に10mgの量で濃縮物に溶解させた。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが60.92±0.11nm、多分散性指数(PdI)が0.157±0.021、ゼータ電位が-70,06±4.21mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0071】
[実施形態19.]
本発明の組成物による皮膚への浸透性を顕微鏡で分析した。
自己乳化型(自発)ナノエマルジョン製剤系を準備し、サーファクチンナトリウム、テトライソパルミチン酸アスコルビルおよび2-(2-エトキシエトキシ)エタノールによって共形成し、20:50:30 w/wの割合で十分に混合して本発明の組成物である濃縮物を形成した。さらに、蛍光色素であるクマリンを濃縮物に溶解させた。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで攪拌し、o/w型ナノエマルジョンを得た。対照試料は、クマリンを上記のナノエマルジョンと同じ濃度でテトライソパルミチン酸アスコルビルに溶解させたものである。調製品のサンプルは、豚の耳から調製した豚の皮膚に塗布した。実験はフランツチャンバーで1時間行った。その後、標準的な手順に従い、共焦点顕微鏡を用いて組織イメージングを行った。結果は図7に示すとおりであり、対照試料(図7A)と比較して、1時間後に蛍光色素(クマリン)を含むナノエマルジョンが皮膚に良好に浸透していることがわかる(図7B)。
【0072】
[実施形態20]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、オレイン酸、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを10:20:70 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを、37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが143.2±0.5 nm、多分散性指数(PdI)が0.267±0.025、ゼータ電位が-42.4±5.03mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0073】
[実施形態21]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、オレイン酸、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを10:20:70 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを、37℃の水30mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが121.32±0.6nm、多分散性指数(PdI)が0.198±0.022、ゼータ電位が-74.5±3.03mVのo/w型のナノエマルジョンを得た。
【0074】
[実施形態22]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、オレイン酸、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを05:25:70 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが91.2±0.2nm、多分散性指数(PdI)が0.266±0.014、ゼータ電位が-50.4±4.03mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0075】
[実施形態23]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、オレイン酸、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを05:25:70 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水30mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが80.45±0.6nm、多分散性指数(PdI)が0.210±0.021、ゼータ電位が-61.5±2.03mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0076】
[実施形態24]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、オレイン酸、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを10:30:60 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを、37℃の水20mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが152.41±0.8nm、多分散性指数(PdI)が0.216±0.014、ゼータ電位が-52.01±5.16mVのo/w型のナノエマルジョンを得た。
【0077】
[実施形態25]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、オレイン酸、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを10:30:60 w/wの割合で十分に混合して、本発明による組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが162.72±0.5nm、多分散性指数(PdI)が0.254±0.039、ゼータ電位が-43.01±3.19mVのo/w型のナノエマルジョンを得た。
【0078】
[実施形態26]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、オレイン酸、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを10:30:60 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合し、全体をマグネチックスターラーで攪拌した。好ましくは、得られたナノエマルジョンを水で2.5倍に希釈し、1:2500 w/vの最終希釈度を得て、サイズが65.65±0.4nm、多分散性指数(PdI)が0.169±0.053およびゼータ電位が-63.54±2.18mVのo/w型製剤とすることができる。
【0079】
[実施形態27]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、オレイン酸、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを05:25:70 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次いで、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。好ましくは、得られたナノエマルジョンを水で2.5倍に希釈し、1:5000 w/vの最終希釈度を得て、サイズが68.75±0.3nm、多分散性指数(PdI)が0.124±0.036、ゼータ電位が69.32±1.88mVのo/w型製剤とすることができる。
【0080】
[実施形態28]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを5:25:70 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水10mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが80.45±0.6nm、多分散性指数(PdI)が0.210±0.021、ゼータ電位が-61.5±2.03mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
【0081】
[実施形態29]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを5:25:70 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを、37℃の水20mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが105.83±0.7nm、多分散性指数(PdI)が0.289±0.072、ゼータ電位が-53.5±4.02mVのo/w型のナノエマルションを得た。
【0082】
[実施形態30]
界面活性剤によって共形成された自己乳化(自発)ナノエマルジョン製剤の調製において、Capmul MCM C8、界面活性剤ナトリウムおよびコカミドプロピルベタインを5:25:70 w/wの割合で十分に混合して、本発明の組成物である濃縮物を形成した。次に、この組成物50mgを37℃の水30mlと混合した。全体をスターラーで撹拌し、サイズが110.03±0.7nm、多分散性指数(PdI)が0.235±0.024、ゼータ電位が-75.6±2.14mVのo/w型ナノエマルジョンを得た。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A)】
図7B)】
【国際調査報告】