(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】電池及び電力消費機器
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6556 20140101AFI20230526BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20230526BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20230526BHJP
H01M 10/633 20140101ALI20230526BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/633
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558483
(86)(22)【出願日】2022-02-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2022076043
(87)【国際公開番号】W WO2022206188
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202110357856.4
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】王 偉
(72)【発明者】
【氏名】洪 家栄
(72)【発明者】
【氏名】侯 躍攀
(72)【発明者】
【氏名】銭 木
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031KK08
(57)【要約】
本発明は、電池エネルギーの技術分野に関し、電池及び電力消費機器を提供する。電池は、第1の電池モジュール、第2の電池モジュール、及びサーマルマネジメント部材を含む。第1の電池モジュールは複数の第1の電池セルを含み、第2の電池モジュールは複数の第2の電池セルを含み、複数の第2の電池セルは複数の第1の電池セルの外周に位置する。サーマルマネジメント部材は、第1の流路と、第2の流路と、第1の流路に流体を導入する第1の入口と、第2の流路に流体を導入する第2の入口とを含む。第1の流路と第2の流路のそれぞれは、第1の流路が複数の第1の電池セルに対して温度を調節し、第2の流路が複数の第2の電池セルに対して温度を調節するように、独立して流れることが可能な2本の流路を形成することで、異なる領域の電池セルの温度制御を実現し、各電池セル間の温度差が過大になることを避けるとともに、サーマルマネジメントシステムのエネルギー利用率を向上させることができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の電池セルを含む第1の電池モジュールと、
前記複数の第1の電池セルの外周に位置する複数の第2の電池セルを含む第2の電池モジュールと、
前記複数の第1の電池セルに対して温度を調節するように流体を収容するための第1の流路と、前記複数の第2の電池セルに対して温度を調節するように流体を収容するための第2の流路とを含むサーマルマネジメント部材とを含み、
ここで、前記サーマルマネジメント部材は、前記第1の流路に流体を導入するための第1の入口と、前記第2の流路に流体を導入するための第2の入口とをさらに含み、且つ前記第1の入口と前記第2の入口は互いに隔離されている、電池。
【請求項2】
前記サーマルマネジメント部材は、
前記第1の流路内の流体を排出するための第1の出口と、
前記第2の流路内の流体を排出するための第2の出口とをさらに含み、
ここで、前記第1の出口と前記第2の出口は互いに連通している、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記第1の流路と前記第2の流路は互いに隔離されている、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記電池は、
前記第1の流路内に流体を導入するように前記第1の入口と接続されるための第1の入口ダクトと、
前記第2の流路内に流体を導入するように前記第2の入口と接続されるための第2の入口ダクトとをさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の電池。
【請求項5】
前記電池は、
前記第1の入口ダクトに設けられ、前記第1の入口ダクトと前記第1の流路との間のオンオフを制御するための第1のスイッチと、
前記第2の入口ダクトに設けられ、前記第2の入口ダクトと前記第2の流路との間のオンオフを制御するための第2のスイッチとをさらに含む、請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記電池は、
少なくとも1つの前記第1の電池セルの温度を検出するための第1の温度センサと、
少なくとも1つの前記第2の電池セルの温度を検出するための第2の温度センサと、
前記第1の温度センサ、前記第2の温度センサ、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチと電気的に接続するためのコントローラであって、前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサが検出した温度に基づいて、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチのオンオフをそれぞれ制御するように構成されるコントローラとをさらに含む、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
前記サーマルマネジメント部材は、前記第1の電池モジュール及び前記第2の電池モジュールと熱交換を行うための熱交換板を含み、
前記熱交換板の内部には、前記第1の流路と前記第2の流路が設けられている、請求項1~6のいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
前記熱交換板は、
前記第1の電池モジュール及び前記第2の電池モジュールと熱交換するための熱交換上板と、
前記熱交換上板の前記第1の電池モジュール及び前記第2の電池モジュールから離れた側に配置される熱交換下板とを含み、
ここで、前記第1の流路と前記第2の流路は、流体がその中を流れるように、前記熱交換上板と前記熱交換下板との間に形成される、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記熱交換板と前記第1の電池モジュールとの間は、熱伝導構造用接着剤により接続されており、及び/又は
前記熱交換板と前記第2の電池モジュールとの間は、熱伝導構造用接着剤により接続されている、請求項7に記載の電池。
【請求項10】
前記第1の流路は湾曲状に設けられており、及び/又は
前記第2の流路はU字状に設けられている、請求項1~9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
電気エネルギーを供給するための、請求項1~10のいずれか1項に記載の電池を含む、電力消費機器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年04月01日に中国で提出された「電池及び電力消費機器」と称される中国特許出願202110357856.4の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、ここに参照として取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、電池エネルギー技術分野に関し、特に電池及び電力消費機器に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー技術の発展に伴い、電池のエネルギー密度はますます高くなり、その応用の範囲もますます広くなっている。一方、電池は温度に非常に敏感であり、温度が低すぎたり高すぎたりすると、電池の充放電能力及び使用寿命が低下する。電池の温度を制御するために、通常、サーマルマネジメントアセンブリを設置して電池に対して降温処理又は昇温処理をすることで、電池が所定の温度範囲内で作動することが保証され、電池の温度が高すぎたり低すぎたりすることが防止される。
【発明の概要】
【0004】
上記技術的課題を解決するために、本発明の実施例は、異なる領域の電池セルをそれぞれ温度管理する電池及び電力消費機器を提供する。
【0005】
本発明の実施例は、その技術的課題を解決するために以下の技術案を用いる。
【0006】
第1の電池モジュール、第2の電池モジュール、及びサーマルマネジメント部材を含む電池を提供する。前記第1の電池モジュールは複数の第1の電池セルを含み、前記第2の電池モジュールは複数の第2の電池セルを含み、前記複数の第2の電池セルは前記複数の第1の電池セルの外周に位置する。前記サーマルマネジメント部材は、複数の第1の電池セルに対して温度を調節するように流体を収容するための第1の流路と、複数の第2の電池セルに対して温度を調節するように流体を収容するための第2の流路とを含む。前記サーマルマネジメント部材は、前記第1の流路に流体を導入するための第1の入口と、前記第2の流路に流体を導入するための第2の入口とをさらに含み、かつ前記第1の入口と前記第2の入口は互いに隔離されている。
【0007】
いくつかの実施例では、前記サーマルマネジメント部材は、前記第1の流路内の流体を排出するための第1の出口と、前記第2の流路内の流体を排出するための第2の出口とをさらに含む。ここで、前記第1の出口と前記第2の出口とは互いに連通している。
【0008】
いくつかの実施例では、第1の流路と第2の流路は互いに隔離されている。
【0009】
いくつかの実施例では、前記電池は、第1の流路内に流体を導入ように前記第1の入口と接続されるための第1の入口ダクトと、第2の流路内に流体を導入するように前記第2の入口と接続される第2の入口ダクトとをさらに含む。
【0010】
いくつかの実施例では、電池は、第1のスイッチ及び第2のスイッチをさらに含む。前記第1のスイッチは、前記第1の入口ダクトに設けられており、前記第1のスイッチは、前記第1の入口ダクトと前記第1の流路との間のオンオフを制御するためのものである。前記第2のスイッチは、前記第2の入口ダクトに設けられており、前記第2のスイッチは、前記第2の入口ダクトと前記第2の流路との間のオンオフを制御するためのものである。
【0011】
いくつかの実施例では、電池は、第1の温度センサ、第2の温度センサ、及びコントローラをさらに含む。前記第1の温度センサは、少なくとも1つの前記第1の電池セルの温度を検出するために用いられ、前記第2の温度センサは、少なくとも1つの前記第2の電池セルの温度を検出するために用いられる。前記コントローラは、前記第1の温度センサ、前記第2の温度センサ、前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチと電気的に接続するために用いられ、前記コントローラは、前記第1の温度センサ及び前記第2の温度センサが検出した温度に基づいて、前記第1のスイッチ及び第2のスイッチのオンオフをそれぞれ制御するように構成される。
【0012】
いくつかの実施例では、前記サーマルマネジメント部材は、第1の電池モジュール及び第2の電池モジュールと熱交換するための熱交換板を含み、熱交換板の内部には、第1の流路及び第2の流路が設けられている。
【0013】
いくつかの実施例では、熱交換板は、前記第1の電池モジュール及び前記第2の電池モジュールと熱交換するための熱交換上板と、熱交換上板の前記第1の電池モジュール及び前記第2の電池モジュールから離れた側に配置される熱交換下板とを含む。ここで、前記第1の流路と前記第2の流路は、流体がその中を流れるように、前記熱交換上板と前記熱交換下板との間に形成される。
【0014】
いくつかの実施例では、前記熱交換板と前記第1の電池モジュールとの間は熱伝導構造用接着剤により接続され、及び/又は、前記熱交換板と前記第2の電池モジュールとの間は、熱伝導構造用接着剤により接続されている。
【0015】
いくつかの実施例では、前記第1の流路は湾曲状に設けられており、及び/又は、前記第2の流路はU字状に設けられている。
【0016】
第2の側面によれば、電気エネルギーを供給するための上記のいずれか1つに記載の電池を含む電力消費機器を提供する。
【0017】
従来技術と比較すると、本発明の実施例における電池は、複数の第1の電池セルと、複数の第1の電池セルの外周に設けられた複数の第2の電池セルとを含み、サーマルマネジメント部材は、第1の流路、第2の流路、前記第1の流路に流体を導入する第1の入口、及び第2の流路に流体を導入する第2の入口を含み、前記第1の流路及び第2の流路のそれぞれは、前記第1の流路が前記複数の第1の電池セルに対して温度を調節し、前記第2の流路が前記複数の第2の電池セルに対して温度を調節するように、独立して流れることが可能な2本の流路を形成することで、異なる領域の電池セルの温度制御を実現し、各電池セル間の温度差が大きすぎることを回避し、同時にサーマルマネジメントシステムのエネルギー利用率を高める。
【図面の簡単な説明】
【0018】
1つ又は複数の実施例は、それに対応する図面を通じて例示的に説明され、これらの例示的な説明は実施例の限定を構成するものではなく、図面中の同じ符号を持つ要素は、類似の要素として表され、特に記載がない限り、図面中の図は縮尺を限定するものではない。
【
図1】本発明の一実施例による電池の構造概略図である。
【
図2】
図1に示す電池の電池モジュールの構造概略図である。
【
図3】本発明の別の実施例による電池の電池モジュールの構造概略図である。
【
図4】
図1に示す電池のサーマルマネジメント部材の構造概略図である。
【
図6】本発明の別の実施例による電池のサーマルマネジメント部材の構造概略図である。
【
図7】本発明の別の実施例による電池のサーマルマネジメント部材の構造概略図である。
【
図8】
図6に示すサーマルマネジメント部材の入口ダクト及びダクトスイッチの構造概略図である。
【
図9】本発明の別の実施例による電池のサーマルマネジメント部材の構造概略図である。
【
図10】
図8に示すサーマルマネジメント部材の入口ダクト及びダクトスイッチ構造の概略図である。
【
図11】本発明の別の実施例による電池の機能モジュール図である。
【
図12】本発明の別の実施例による電池の構造概略図である。
【0019】
図面は実際のスケールで描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の理解を容易にするために、以下に図面と具体的な実施例を結び付けて、本発明をより詳細に説明する。説明すべきことは、要素が他の要素に「固定されている」と表現される場合、要素は他の要素上に直接存在するか、又はそれらの間に1つ又は複数の介在要素が存在してもよい。一つの要素が他の要素に「接続されている」と表現される場合、その要素はもう一つの要素に直接接続されているか、又はそれらの間に1つ又は複数の介在要素が存在してもよい。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」、「内」、「外」及び類似している表現は、説明のみを目的としている。
【0021】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を記述するためにのみ用いられ、本発明を制限することを意図するものではない。本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、関連するリストされたアイテムの1つ又は複数のあらゆる組み合わせを含む。
【0022】
なお、以下に記述する本発明の異なる実施例に係る技術的特徴は、互いの間に衝突がなければ互いに結合することができる。
【0023】
本発明の発明者らは、本発明を実現する過程で、電池作動時に、電池セルの配置の影響を受けることにより、エッジ領域に近い電池セルは一般的に温度が低い、ということを発見した。同時に、電池の伝熱は電池中心からエッジに伝達され、中間領域の電池セルは熱蓄積により放熱が遅いため、エッジ領域の電池セルと中間領域の電池セルとの間には大きな温度差が形成される。そのため、電池の性能を保証するためには、それぞれ異なる領域の電池セルに対して温度管理をする必要がある。
【0024】
図1を参照すると、本発明の一実施例は、電池100を提供し、電池100は、電池モジュール10と、サーマルマネジメント部材20とを含み、電池モジュール10は、サーマルマネジメント部材20に設けられており、サーマルマネジメント部材20は、電池モジュール10の温度を調節するために用いられる。ここでの温度調節は、昇温又は降温のいずれを指してもよい。
【0025】
図1及び
図2を併せて参照すると、電池モジュール10は、順に積み重ねられて配列される複数の第1の電池セル110を含む第1の電池モジュール11と、第2の電池モジュール12とを含む。第2の電池モジュール12は、複数の第1の電池セル110の外周に設けられた複数の第2の電池セル120を含む。ここで、電池100が作動しているときに、第1の電池セル110の温度は、第2の電池セル120の温度よりも高い。
【0026】
複数の第2の電池セル120は、電池モジュール10の第1の側縁A1に位置する少なくとも1列の電池セル、電池モジュール10の第2の側縁A2に位置する少なくとも1列の電池セル、及び電池モジュール10の第3の側縁A3に位置する少なくとも1列の電池セルを含み、複数の第2の電池セル120はU字状に配列されている。ここで、第1の側縁A1と第2の側縁A2は、対向して設けられた2辺である。
図2に示すように、第1の電池モジュール11と第2の電池モジュール12との間は、破線で示すフレームX1によって仕切るように例示的に説明され、第1の電池モジュール11は、破線で示すフレームX1の内側に位置する複数の第1の電池セル110を含み、第2の電池モジュール12は、破線で示すフレームX1の外側に位置する複数の第2の電池セル120を含む。
【0027】
図3を参照すると、いくつかの他の実施例では、複数の第2の電池セル120は、電池モジュール10の第4の側縁A4に位置する少なくとも1列の電池セルを含んでもよく、複数の第2の電池セル120は、「口」字状を形成するように配列されている。ここで、第4の側縁A4と第3の側縁A3とは、対向して設けられた2辺である。
図3に示すように、第1の電池モジュール11と第2の電池モジュール12との間は、破線で示すフレームX2によって仕切るように例示的に説明され、第1の電池モジュール11は、破線で示すフレームX2の内側に位置する複数の第1の電池セル110を含み、第2の電池モジュール12は、破線で示すフレームX2の外側に位置する複数の第2の電池セル120を含む。
【0028】
いくつかの他の実施例では、複数の第2の電池セルは、電池モジュール10の第1の側縁部に位置する少なくとも1つの電池セルと、電池モジュール10の第2の側縁部に位置する少なくとも1つの電池セルとのみを含んでもよく、又は、他の低温領域の電池セルとを含んでもよく、ここでは限定されない。
【0029】
図2及び
図4を併せて参照すると、サーマルマネジメント部材20は、第1の流路201及び第2の流路202を含む。第1の流路201は湾曲状に設けられており、第1の流路201の位置は、第1の電池モジュール11の位置に対応する。第1の流路201は、複数の第1の電池セル110に対して温度を調節するように流体を収容するために用いられる。第2の流路202はU字状に設けられており、第2の流路202は第1の流路201の外周に設けられており、第2の流路202の位置は第2の電池モジュール12の位置に対応する。第2の流路202は、複数の第2の電池セル120に対して温度を調節するように流体を収容するために用いられる。第1の流路201及び第2の流路202に収容される流体は、水、ガス、水及びエチレングリコールの混合液等であり、且つ循環して流れてもよい。理解できるように、いくつかの他の実施例では、第2の流路202の形状は、実際の需要に応じて設定することができ、例えば「口」字状、L字状などに設定することができる。第2の流路202の形状は、第2の電池モジュール12の熱交換需要を満たすように第2の電池モジュール12の形状に対応する必要がある。好ましくは、第2の流路202は、熱交換効率を高めるために、各第2の電池セル120を被覆するように設けることができる。
【0030】
サーマルマネジメント部材20は、互いに隔離された第1の入口203及び第2の入口204をさらに含む。第1の入口203は、第1の流路201に流体を導入するための第1の流路201の一端と連通している。第2の入口204は、第2の流路202に流体を導入するための第2の流路202の一端と連通している。
【0031】
サーマルマネジメント部材20は、第1の出口205と第2の出口206とをさらに含む。第1の出口205は、第1の流路201の他端と連通しており、流体は、第1の入口203を介して第1の流路201に導入され、第1の出口205から排出されることができる。第2の出口206は第2の流路202の他端と連通しており、流体は第2の入口204を介して第2の流路202に導入され、第2の出口206から排出されることができる。
【0032】
図4及び
図5を併せて参照すると、サーマルマネジメント部材20は、熱交換板21を含み、第1の流路201と第2の流路202は、それぞれ熱交換板21の内部に設けられる。電池モジュール10は、熱交換板21の上に設けられており、熱交換板21は、第1の電池モジュール11及び第2の電池モジュール12と熱交換するためのものである。熱交換板21と第1の電池モジュール11又は第2の電池モジュール12との間は、熱交換板21と電池モジュール10との間の接続を固定するように、熱伝導構造用接着剤(図示せず)により接続されていることができ、かつ熱交換板21の熱交換効果を強化するように、熱伝導構造用接着剤は熱交換板21と電池モジュール10との間の隙間を充填できる。
【0033】
熱交換板21は、熱交換上板210と熱交換下板212とを含む。熱交換上板210の一方の面は熱交換下板212に接続され、熱交換上板210の他方の面は第1の電池モジュール11と第2の電池モジュール12に接続されている。第1の流路201と第2の流路202は、熱交換上板210と熱交換下板212との間に形成されている。ここで、熱交換上板210及び熱交換下板212の材質は金属アルミニウム又は他のアルミニウム合金を採用することができ、熱交換上板210及び熱交換下板212はろう付け又は他の溶接方式により固定することができる。
【0034】
熱交換下板212の、熱交換上板210に向かう面に、第1の溝201aと第2の溝202aが設けられ、熱交換上板210は熱交換下板212に被覆されて第1の溝201aと第2の溝202aを閉鎖し、それによって第1の流路201と第2の流路202を形成する。理解できるように、いくつかの他の実施例では、第1の溝及び第2の溝は、熱交換上板に設けられてもよく、熱交換下板は、熱交換上板に被覆されて第1の流路及び第2の流路を形成する、又は、熱交換上板と熱交換下板には、それぞれ位置が対応する第1の溝及び第2の溝が設けられ、熱交換上板と熱交換下板は合わせて第1の流路及び第2の流路を形成するが、ここでは限定されない。
【0035】
熱交換上板210には、熱交換上板210をそれぞれ貫通する第1の入口203と第2の入口204が設けられている。第1の入口203は第1の流路201を外部と連通し、第2の入口204は第2の流路202を外部と連通する。
【0036】
熱交換上板210には、熱交換上板210を貫通する第1の出口205と第2の出口206がさらに設けられている。第1の出口205は第1の流路201を外部に連通し、第2の出口206は第2の流路202を外部に連通する。ここで、第1の出口205と第2の出口206とは互いに連通せず、第1の流路201と第2の流路202とは互いに隔離されている。
【0037】
図6を参照すると、いくつかの実施例では、第1の出口205と第2の出口206とは、相互に連通してもよく、第1の流路201と第2の流路202内の流体が総出口を通って排出される。例えば、第2の出口206は総出口とすることができ、第1の流路201の第1の出口205は第2の流路202と連通し、流体は第1の入口203から第1の流路201に導入された後、第1の出口205を通じて第2の流路202に導入され、また第2の出口206から排出されるようにできる。又は、第1の出口205は総出口(図示せず)とすることができ、第2の流路202の第2の出口206は第1の流路201と連通し、流体は第2の入口204から第2の流路202に導入された後、第2の出口206を通じて第1の流路201に導入され、また第1の出口205から排出されるようにできる。又は、第1の流路201と第2の流路202はそれぞれ総出口に連通するようにできる。ここでは限定されない。
【0038】
図5、
図7及び
図8を併せて参照する。さらに、サーマルマネジメント部材20は、熱交換上板210に取り付けられた入口ダクトをさらに含み、入口ダクトは、第1の入口ダクト220及び第2の入口ダクト222を含む。第1の入口ダクト220の一端は、第1の流路201内に流体を導入するように第1の入口203に接続されている。第2の入口ダクト222は、第2の流路202内に流体を導入するように第2の入口204に接続されている。ここで、第1の入口ダクト220と第2の入口ダクト222は互いに隔離されており、第1の入口ダクト220と第2の入口ダクト222はそれぞれ外部の熱交換器(図示せず)に接続されており、この熱交換器は流体の熱交換処理に用いられる。ここで、第1の入口ダクト220及び第2の入口ダクト222の材質は、ダクトの密封性を保証するために、それぞれ金属合金又はナイロン等であってもよい。
【0039】
さらに、サーマルマネジメント部材20は、入口ダクトに設けられたダクトスイッチをさらに含む。ダクトスイッチは、第1のスイッチ230と第2のスイッチ232とを含む。第1のスイッチ230は、第1の入口ダクト220に設けられており、第1のスイッチ230は、第1の入口ダクト220と第1の流路201との間のオンオフを制御するために用いられる。第2のスイッチ232は、第2の入口ダクト222に設けられており、第2のスイッチ232は、第2の入口ダクト222と第2の流路202との間のオンオフを制御するために用いられる。このうち、ダクトスイッチは、第1の入口ダクト220と第1の入口203との間に設けられ、かつ第2の入口ダクト222と第2の入口204との間に設けられたクイックジョイントを採用することができる。又は、ダクトスイッチは、第1の入口ダクト220と熱交換器との間に設けられ、かつ第2の入口ダクト222と熱交換器との間に設けられた制御弁を用いてもよい。
【0040】
図9及び
図10を併せて参照すると、いくつかの実施例では、第1の入口ダクト220と第2の入口ダクト222は、総入口ダクト224を介して接続され、総入口ダクト224は、外部の熱交換器に接続され、流体は、それぞれ総入口ダクト224から第1の入口ダクト220と第2の入口ダクト222に導入される。ここで、第1のスイッチ230は、第1の入口ダクト220と総入口ダクト224との間に設けられており、第1のスイッチ230は、第1の入口ダクト220と総入口ダクト224との間のオンオフを制御することによって、第1の流路201と第1の入口ダクト220との間のオンオフを制御する。第2のスイッチ232は、第2の入口ダクト222と総入口ダクト224との間に設けられており、第2の入口ダクト222は、第2の入口ダクト222と総入口ダクト224との間のオンオフを制御ことによって、第2の流路202と第2の入口ダクト222との間のオンオフを制御する。
【0041】
図11を参照すると、さらに、サーマルマネジメント部材20は、温度センサと、コントローラ25とをさらに含み、コントローラ25は、それぞれ温度センサ、ダクトスイッチに電気的に接続される。温度センサは、電池モジュール10に設けられており、温度センサは、電池モジュール10の温度変化を検出し、コントローラ25と通信接続するために用いられる。温度センサが第1の電池モジュール11又は第2の電池モジュール12の温度が所定温度より高いことを検出すると、コントローラ25は、熱交換器を制御して流体を冷却し、ダクトスイッチをオンにして、流体が第1の電池モジュール11又は第2の電池モジュール12を冷却するように第1の流路201又は第2の流路202に導入されるようにし、温度センサが第1の電池モジュール11又は第2の電池モジュール12の温度が所定温度未満であることを検出すると、コントローラ25は、熱交換器を制御して流体を加熱し、ダクトスイッチをオンにして、流体が第1の電池モジュール11又は第2の電池モジュール12を加熱するように第1の流路201又は第2の流路202に導入されるようにする。それによってサーマルマネジメント部材20は、電池モジュール10に対して自動化された温度管理機能を実現する。
【0042】
温度センサは、第1の温度センサ240と第2の温度センサ242とを含む。第1の温度センサ240は、第1の電池モジュール11に設けられており、第1の温度センサ240は、少なくとも1つの第1の電池セル110に接続されており、第1の温度センサ240は、少なくとも1つの第1の電池セル110の温度を検出するために用いられる。第2の温度センサ242は、第2の電池モジュール12に設けられており、第2の温度センサ242は、少なくとも1つの第2の電池セル120に接続されており、第2の温度センサ242は、少なくとも1つの第2の電池セル120の温度を検出するために用いられる。
【0043】
コントローラ25は、第1の温度センサ240、第1のスイッチ230にそれぞれ電気的に接続され、コントローラ25は、第1の温度センサ240が検出した温度に基づいて第1のスイッチ230のオンオフを制御する。コントローラ25はまた、第2の温度センサ242、第2のスイッチ232にそれぞれ電気的に接続され、コントローラ25は、第2の温度センサ242が検出した温度に基づいて第2のスイッチ232のオンオフを制御する。いくつかの実施例では、コントローラは、それぞれ、第1のスイッチ230及び第2のスイッチ232を制御するための2つのコントローラであってもよいことを理解できる。
【0044】
図12を参照すると、いくつかの実施例では、電池100は、電池モジュール10及びサーマルマネジメント部材20の外部に設けられたハウジング30をさらに含む。ハウジング30は、箱体31と、蓋体32とを備え、蓋体32は箱体31に接続され、箱体31内には収容空間が設けられており、電池モジュール10とサーマルマネジメント部材20はともに収容空間内に設けられており、蓋体32は箱体31上に設けられて収容空間を閉鎖する。ここで、前記箱体31及び前記蓋体32は、電池モジュール10又はサーマルマネジメント部材20の熱をさらに外部に伝達するために、それぞれ熱伝導性材料で構成されていてもよい。
【0045】
上述の図面を併せて参照する。電池100が作動すると、電池モジュール10で発生した熱がサーマルマネジメント部材20に伝導され、電池セルの配置の影響を受けて、中間領域の複数の第1の電池セル110は熱蓄積により放熱が遅く、エッジ領域の複数の第2の電池セル120は一般的に温度が低い。高温で作動する場合、第1の流路201を開いて第1の電池モジュール11を冷却し、電池内部の温度差を低減し、電池温度差の効果的な制御を実現することができる。電池が低温で作動する場合、第2の流路202を開いて第2の電池モジュール12を加熱し、外縁電池セルの温度を急速に上昇させ、エネルギー利用の最適化を保証することができる。第1の流路201と第2の流路202は、同時に開いて、第1の電池モジュール11と第2の電池モジュール12を冷却又は加熱して、電池モジュール10の温度均一性を保証することも理解できる。
【0046】
本発明の別の実施例は、電気エネルギーを提供するための上記のいずれかの実施例の電池100を含む電力消費機器を提供する。ここで、電力消費機器は車両、汽船、航空機、エネルギー貯蔵設備、手持ち電動工具などの電池を使用する設備であってもよい。
【0047】
最後に説明すべきこととして、上記実施例は、本発明の技術案を説明するためにのみ使用され、それを限定するものではない。本発明の考え方の下で、上記実施例又は異なる実施例における技術的特徴の間で組み合わせてもよく、ステップは任意の順序で実現でき、上述したような本発明の異なる面での多くの他の変化が存在し、簡明化のために詳細には提供されていない。前述の実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば理解できるように、前述の各実施例に記載された技術案を修正したり、その一部の技術的特徴を同等のものに置き換えたりすることができ、これらの変更又は置き換えは、相応な技術案の本質を本発明の各実施例の技術案の範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0048】
100、電池
10、電池モジュール
11、第1の電池モジュール
110、第1の電池セル
12、第2の電池モジュール
120、第2の電池セル
20、サーマルマネジメント部材
201、第1の流路
202、第2の流路
203、第1の入口
204、第2の入口
205、第1の出口
206、第2の出口
21、熱交換板
210、熱交換上板
212、熱交換下板
201a、第1の溝
202a、第2の溝
220、第1の入口ダクト
222、第2の入口ダクト
224、総入口ダクト
230、第1のスイッチ
232、第2のスイッチ
240、第1の温度センサ
242、第2の温度センサ
25、コントローラ
30、ハウジング
31、箱体
32、蓋体
【国際調査報告】