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2023-523161同じ方向の溝が入れ子にならないように設計された気化冷却パック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】同じ方向の溝が入れ子にならないように設計された気化冷却パック
(51)【国際特許分類】
   F28F 25/08 20060101AFI20230526BHJP
   F28C 1/04 20060101ALI20230526BHJP
   F28F 25/06 20060101ALN20230526BHJP
【FI】
F28F25/08 A
F28C1/04
F28F25/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561096
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 US2021028855
(87)【国際公開番号】W WO2021222021
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/014,233
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513307933
【氏名又は名称】パーカー-ハネフィン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PARKER-HANNIFIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6035 Parkland Blvd. Cleveland, OH 44124 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】パドロン,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】カー,トーマス・ディ
(57)【要約】
第1の波形媒体シート及び第2の波形媒体シートから形成される気化冷却パックが提供される。気化冷却パックは、冷却流体を使用して空気流を冷却する。第1の波形媒体シート及び第2の波形媒体シートは、基準線に対して異なる角度で延在する溝を有し、そのような相対角度で、隣接し合うシートが入れ子にならないようにする溝ピッチを有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却流体を使用して空気流を冷却する気化冷却パックであって、前記気化冷却パックは、
第1の波形媒体シートであって、前記第1の波形媒体シートは、第1の複数の溝区分を有し、前記第1の複数の溝区分の溝は、基準線に対して第1の角度(θ)で延在し、前記第1の複数の溝区分は、前記第1の区分の溝に直交して測定された第1の溝ピッチ(f)を有し、前記第1の複数の溝区分の溝は、前記基準線に平行に測定された深さ(d)を有する、第1の波形媒体シートと、
前記第1の波形媒体シートに隣接する第2の波形媒体シートであって、前記第2の波形媒体シートは、第2の複数の溝区分を有し、前記第1の複数の溝区分は、前記第2の複数の溝区分に隣接し、前記第2の複数の溝区分の溝は、前記第2の区分の溝に直交して測定された第2の溝ピッチ(f)を有し、前記第2の複数の溝区分の溝は、前記基準線に対して第2の角度(θ)で延在し、前記第2の角度(θ)は、前記第1の角度(θ)とは異なる、第2の波形媒体シートと
を備え、前記第2の角度(θ)は、式:
【数1】
によって決定された最小値を有し、
前記第1の溝ピッチ(f)に対する前記第2の溝ピッチ(f)は、式:
【数2】
によって決定される、気化冷却パック。
【請求項2】
前記第1の波形媒体シートは、第3の複数の溝区分を有し、前記第3の複数の溝区分の溝は、前記基準線に対して第3の角度(θ)で延在し、前記第3の角度(θ)は、前記第1の角度(θ)及び前記第2の角度(θ)とは異なる、請求項1に記載の気化冷却パック。
【請求項3】
前記第1の複数の溝区分の溝は、前記基準線に対して凸勾配を有し、前記第3の複数の溝区分の溝は、前記基準線に対して凹勾配を有する、請求項2に記載の気化冷却パック。
【請求項4】
前記第2の複数の溝区分の溝は、前記基準線に対して凸勾配を有する、請求項3に記載の気化冷却パック。
【請求項5】
前記第1の区分の溝は、前記第3の区分の溝に接続され、連続溝を形成し、前記連続溝は、前記第1の区分の溝が前記第3の区分の溝に接続する屈曲部を有する、請求項2に記載の気化冷却パック。
【請求項6】
前記基準線は、前記第1のシートの第1の側部、前記第2のシートの第1の側部に平行であり、前記第1のシートの第1の側部は、前記第2のシートの第1の側部に平行である、請求項1に記載の気化冷却パック。
【請求項7】
前記第1のシートは、第1の側部と第2の側部と第3の側部とを有し、前記第1の側部は、前記第2の側部と前記第3の側部との間に、前記第2の側部及び前記第3の側部に対して直交に延在し、前記第2の側部及び前記第3の側部は、平行であり、
前記第2のシートは、第1の側部と第2の側部と第3の側部とを有し、前記第1の側部は、前記第2の側部と前記第3の側部との間に、前記第2の側部及び前記第3の側部に対して直交に延在し、前記第2の側部及び前記第3の側部は、平行であり、
前記基準線は、前記第1のシートの第1の側部に平行であり、前記第2のシートの第1の側部に平行である、請求項5に記載の気化冷却パック。
【請求項8】
前記第1の複数の溝区分の溝は、互いに対して平行に延在し、
前記第2の複数の溝区分の溝は、互いに対して平行に延在する、請求項1に記載の気化冷却パック。
【請求項9】
前記第3の角度は、前記第1の複数の溝区分の溝の傾斜が前記基準線に対して凸であり、前記第3の複数の溝区分の溝の傾斜が前記基準線に対して凹であるという点で、前記第1の角度とは異なる、請求項2に記載の気化冷却パック。
【請求項10】
前記第3の角度(θ)は、前記第3の角度(θ)の大きさが前記第1の角度(θ)の大きさより大きいという点で、前記第1の角度(θ)とは異なり、前記第1の角度(θ)及び前記第3の角度(θ)の両方は、鋭角である、請求項9に記載の気化冷却パック。
【請求項11】
前記第1のシートは、前記第1のシートの第1の側部に平行な第4の側部を含み、
前記第2のシートは、前記第2のシートの第1の側部に平行な第4の側部を含み、
前記第4の側部は、冷却流体入口を提供し、
前記第2の側部は、空気入口を提供し、前記第3の側部は、空気出口であり、
前記第1の溝区分の溝は、前記第2の側部から前記第3の側部の方に延在する方向で移動する際、重力に反して延在する上向き成分を有し、
前記第2の溝区分の溝は、前記第2の側部から前記第3の側部の方に延在する方向で移動する際、重力に反して延在する上向き成分を有する、請求項7に記載の気化冷却パック。
【請求項12】
前記第3の区分の溝は、前記第2の側部から前記第3の側部の方に延在する方向で移動する際、重力と共に延在する下向き成分を有する、請求項11に記載の気化冷却パック。
【請求項13】
前記第3の区分の溝は、前記第2の側部にあり、前記第3の側部まで延在せず、
前記第1の区分の溝は、前記第2の側部からずれ、前記第3の側部で終端する、請求項12に記載の気化冷却パック。
【請求項14】
前記第1の複数の溝区分は、前記第2の複数の溝区分の第1の部分に隣接し、前記第3の複数の溝区分は、前記第2の複数の溝区分の第2の部分に隣接する、請求項5に記載の気化冷却パック。
【請求項15】
複数の第1の波形媒体シートと、複数の第2の波形媒体シートとを含み、前記第1の波形媒体シート及び前記第2の波形媒体シートは、前記第1の波形媒体シートと前記第2の波形媒体シートとの間で交互に積層される、請求項1に記載の気化冷却パック。
【請求項16】
前記屈曲部は、前記第2の側部と前記第3の側部との間に位置し、前記基準線に概ね直交する軸を形成する、請求項7に記載の気化冷却パック。
【請求項17】
前記軸は、前記第2の側部よりも第3の側部の近くに位置し、前記深さ(d)は、前記軸と前記第3の側部との間で、前記軸及び前記第3の側部に直交して画定される、請求項16に記載の気化冷却パック。
【請求項18】
気化冷却システムであって、前記気化冷却システムは、
冷却流体供給部、空気入口及び空気出口を有する筐体と、
前記空気入口と前記空気出口との間で前記筐体内に配置された請求項1から17のいずれか一項に記載の気化冷却パックと
を備え、前記第1の複数の溝区分の溝及び前記第2の複数の溝区分の溝は、前記気化冷却流体を出た空気が上に延在する向きを有するように向けられる、気化冷却システム。
【請求項19】
前記冷却流体供給部は、冷却流体が、重力により前記気化冷却パックを通じて垂直下方に流れるように配置される、請求項18に記載の気化冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本特許出願は、2020年4月23日出願の米国仮特許出願第63/014,233号の利益を主張するものであり、当該出願全体の教示及び開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、気化冷却に関し、詳細には、ガス・タービンに取り入れる空気を冷却する気化冷却パッドに関する。
【背景技術】
【0003】
ガス・タービン・エンジンは、発電等の分野で広く利用されている。従来のガス・タービン・エンジンは、電力を生成するため、周囲空気を圧縮する圧縮器と、圧縮空気と燃料流とを混合し、混合物を燃焼する燃焼器と、燃焼混合物によって駆動されるタービンとを含む。
【0004】
ガス・タービン・エンジンが生成できる電力量を増大させるため、様々な方策が公知である。電力の出力を増大させる1つの方法は、圧縮器の上流の周囲空気を冷却することによる。そのような冷却により、空気がより高い密度を有するようにし、これにより、より高い質量流量を圧縮器内に生成し得る。圧縮器内のより高い質量流量により、より多くの空気を圧縮可能にし、ガス・タービンがより多くの電力を生成可能にする。更に、周囲空気の冷却は、概して、高温環境でガス・タービン・エンジンの総合効率を増大し得る。
【0005】
様々なシステム及び方法を利用して、ガス・タービン・エンジンに入る周囲空気を冷却し得る。例えば、熱交換器は、潜熱冷却又は顕熱冷却を通じて周囲空気を冷却するために利用し得る。そのような熱交換器は、周囲空気の冷却を促進するため、気化冷却パックを利用することが多い。これらの気化冷却パックは、周囲空気と冷却剤流との間の熱及び/又は質量の伝達を可能にし得る。周囲空気は、気化冷却パック内の冷却剤流と相互作用し、冷却剤流と熱交換する。これらの気化冷却パックは、媒体パッドとも呼び得る。
【0006】
気化冷却パックは、溝を有する波形シートの層を含み、溝は、気化冷却パックを通る空気流路を画定する。
【0007】
図1は、波形シートの積層を使用する気化冷却パックが入れ子になる問題を示す。この例では、2つの媒体シート10(実線)、12(破線)が示される。ここで、隣接し合うシートの波形部は、互いの中に入れ子になっている。この入れ子のために、隣接し合うシート10、12の間に形成された空気流路14は閉鎖され、空気流を制限する。空気流の制限により、媒体パックの効率を低減し得る。
【0008】
入れ子は、気化冷却パックの場合、全てのシートの溝角度が同じ凸傾斜又は凹傾斜を伴って向けられた際、特に問題となり得る。このことにより、図1に示すように、一方のシート10の山20が隣接するシート12の山22と位置合わせされ、同様に、一方のシート10の谷24が隣接するシート12の谷26と位置合わせされるため、シートが互いに入れ子になる。
【0009】
図2は、隣接し合うシート30(実線)、32(破線)の好ましい構成を示す。ここで、一方のシート30の谷34は、隣接するシート32の山36と位置合わせされる。このことにより、2つのシート30、32が互いに入れ子にならない干渉部をもたらし、隣接し合うシート30と32との間に形成される流路40の断面積を最大にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の例は、気化冷却パックを通過する空気流を冷却するために冷却流体を使用する気化冷却システムで使用する気化冷却パックに改善をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一例では、気化冷却パックの隣接し合うシートの入れ子を防止する新たな改善された気化冷却パックを提供する。別の例では、気化冷却パックを使用する新たな改善された気化冷却システムを提供する。
【0012】
一例では、第1の波形媒体シート及び第2の波形媒体シートから形成される気化冷却パックが提供される。気化冷却パックは、冷却流体を使用して空気流を冷却する。第1の波形媒体シートは、第1の複数の溝区分を有する。第1の複数の溝区分の溝は、基準線に対して第1の角度(θ)で延在する。第1の複数の溝区分は、第1の区分の溝に直交して測定される第1の溝ピッチ(f)を有する。第1の複数の溝区分の溝は、基準線に平行に測定される深さ(d)を有する。第2の波形媒体シートは、第1の波形媒体シートに隣接する。第2の波形媒体シートは、第2の複数の溝区分を有する。第1の複数の溝区分は、シートを積層した際、第2の複数の溝区分に隣接する。第2の複数の溝区分は、第2の区分の溝に直交して測定される第2の溝ピッチ(f)を有する。第2の複数の溝区分の溝は、基準線に対して第2の角度(θ)で延在する。第2の角度(θ)は、第1の角度(θ)とは異なる。第2の角度(θ)は、式:
【0013】
【数1】
【0014】
によって決定される最小値を有する。
【0015】
第1の溝ピッチ(f)に対する第2の溝ピッチ(f)は、式:
【0016】
【数2】
【0017】
によって決定される。
【0018】
一例では、第1の波形媒体シートは、第3の複数の溝区分を有する。第3の複数の溝区分の溝は、基準線に対して第3の角度(θ)で延在する。第3の角度(θ)は、第1の角度(θ)及び第2の角度(θ)とは異なる。
【0019】
一例では、第1の複数の溝区分の溝は、基準線に対して凸勾配を有し、第3の複数の溝区分の溝は、基準線に対して凹勾配を有する。
【0020】
一例では、第2の複数の溝区分の溝は、基準線に対して凸勾配を有する。
【0021】
一例では、第1の区分の溝は、第3の区分の溝に接続され、連続溝を形成し、連続溝は、第1の区分の溝が第3の区分の溝に接続する屈曲部を有する。
【0022】
一例では、基準線は、第1のシートの第1の側部及び第2のシートの第1の側部に平行である。第1のシートの第1の側部は、第2のシートの第1の側部に平行である。
【0023】
一例では、第1のシートは、第1の側部と第2の側部と第3の側部とを有する。第1の側部は、第2の側部と第3の側部との間で、第2の側部及び第3の側部に対して直交に延在する。第2の側部及び第3の側部は平行である。第2のシートは、第1の側部と第2の側部と第3の側部とを有する。第1の側部は、第2の側部と第3の側部との間で、第2の側部及び第3の側部に対して直交に延在する。第2の側部及び第3の側部は平行である。基準線は、第1のシートの第1の側部に平行であり、第2のシートの第1の側部に平行である。
【0024】
一例では、第1の複数の溝区分の溝は、互いに対して平行に延在する。第2の複数の溝区分の溝は、互いに対して平行に延在する。
【0025】
一例では、第3の角度は、第1の複数の溝区分の溝の傾斜が基準線に対して凸であり、第3の複数の溝区分の溝の傾斜が基準線に対して凹であるという点で、第1の角度とは異なる。
【0026】
一例では、第3の角度(θ)は、第3の角度(θ)の大きさが第1の角度(θ)の大きさより大きいという点で、第1の角度(θ)とは異なる。第1の角度(θ)及び第3の角度(θ)の両方は、鋭角である。
【0027】
一例では、第1のシートは、第1のシートの第1の側部に平行な第4の側部を含む。第2のシートは、第2のシートの第1の側部に平行な第4の側部を含む。第4の側部は、冷却流体入口を提供する。第2の側部は、空気入口を提供する。第3の側部は、空気出口である。第1の溝区分の溝は、第2の側部から第3の側部の方に延在する方向で移動する際、重力に反して延在する上向き成分を有する。第2の溝区分の溝は、第2の側部から第3の側部の方に延在する方向で移動する際、重力に反して延在する上向き成分を有する。
【0028】
一例では、第3の区分の溝は、第2の側部から第3の側部の方に延在する方向で移動する際、重力と共に延在する下向き成分を有する。
【0029】
一例では、第3の区分の溝は、第2の側部にあり、第3の側部まで延在しない。第1の区分の溝は、第2の側部からずれ、第3の側部で終端する。
【0030】
一例では、例えば、第1のシート及び第2のシートを積層した際、第1の複数の溝区分は第2の複数の溝区分の第1の部分に隣接し、第3の複数の溝区分は第2の複数の溝区分の第2の部分に隣接する。
【0031】
一例では、複数の第1の波形媒体シートと、複数の第2の波形媒体シート、第1の波形媒体シート及び第2の波形媒体シートは、第1の波形媒体シートと第2の波形媒体シートとの間で交互に積層される。
【0032】
一例では、屈曲部は、第2の側部と第3の側部との間に配置され、基準線に概ね直交する軸を形成する。
【0033】
一例では、軸は、入口側よりも出口側の近くに位置する。
【0034】
別の例では、気化冷却システムが提供される。システムは、冷却流体供給部と、空気入口と、空気出口とを有する筐体を含む。システムは、上記で概説した、空気入口と空気出口との間で筐体内に配置される気化冷却パックを含む。第1の複数の溝区分の溝及び第2の複数の溝区分の溝は、気化冷却流体を出た空気が上に広がる向きを有するように向けられる。
【0035】
一例では、冷却流体供給部は、冷却流体が、気化冷却パックを通じて重力により垂直下方に流れるように配置される。
【0036】
本発明の他の態様、目的及び利点は、添付の図面と併せた以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0037】
本明細書内に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本明細書と共に、本発明のいくつかの態様を示し、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】入れ子になった気化冷却パックのシートの概略図である。
図2】入れ子になっていない気化冷却パックのシートの概略図である。
図3】本開示の一例による気化冷却システムを含むガス・タービン・システムの概略図である。
図4】本開示による気化冷却パックの側部の概略図である。
図5図4の気化冷却パックの第1のシートの簡略図である。
図6図4の気化冷却パックの第2のシートの簡略図である。
図7】第1のシート及び第2のシートの溝の相対的な向きを示すように積層された図5及び図6の第1のシート及び第2のシートの簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、いくつかの好ましい実施形態に関して説明するが、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図しない。反対に、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての代替形態、修正形態及び等価物を含むことを意図する。
【0040】
図3は、ガス・タービン104に空気を供給する吸気口102を含むガス・タービン・システム100の概略図である。吸気口102は、空気入口106と空気出口108とを有する筐体105を含む。ガス・タービン104内で燃焼された空気109は、入口106を通じて入り、出口108を通じて出る。
【0041】
気化冷却パック110は、空気入口106と空気出口108との間で筐体105内に位置する。冷却流体供給部112は、冷却流体114を気化冷却パック110に供給するように、筐体105内に位置する。
【0042】
この例では、冷却流体供給部112は、気化冷却パック110の上に垂直に位置し、冷却流体114は、気化冷却パック110を通じて垂直下方に流れる。空気109は、冷却流体114の流れに対して交差する向きで気化冷却パック110を通じて横に流れる。
【0043】
冷却流体供給部112は、気化冷却パック110の上部にわたり広がるノズルを有し得る。上記のように、冷却流体114は、この例では、気化冷却パック110の湿潤を維持するように垂直下方に流れ、気化冷却パック110を通じて流れる空気109が冷却流体114と相互作用し、熱を冷却流体114に伝達できるようにする。
【0044】
この例では、気化冷却パック110の側部120は、空気109が気化冷却パック110に入る入口側を形成する。反対側122は、空気109が気化冷却パック110を出る出口側を形成する。側部124は、気化冷却パック110の垂直上部を形成し、冷却流体入口を形成する。気化されない任意の冷却流体114は、側部126を通じて気化冷却パック110を出る。側部126は、気化冷却パック110垂直底部を形成し、冷却流体出口を形成する。
【0045】
いくつかの例では、気化冷却パック110は長方形であり、側部120、122が互いに平行であり、同様に互いに平行である側部124、126に直交する。
【0046】
気化冷却パック110は、複数の波形シートの層から形成される。図4は、気化冷却パック110の側部面図を簡略的な形態で示し、複数のシートが互いに隣接して積層されることを示す。この例では、複数の第1のシート130(実線)及び複数の第2のシート132(破線)が交互にあり、各第1のシート130が一対の第2のシート132の間に配置され、各第2のシートが一対の第1のシート130の間に配置されるようにする。
【0047】
シート130、132の山及び谷は、各130、132内で溝を形成する。隣接し合うシート130、132内の溝は、空気が冷却される際に中を流れる空気流路134を形成するように連結する。
【0048】
図5は、第1のシート130の一例の簡略図である一方で、図6は、第2のシート132の一例の簡略図である。この図面において、実線は山を表す一方で、破線は隣接し合う山の間の谷を表す。
【0049】
図示の例では、シート130、132は、長方形の形であり、各第1のシート130は、第1の側部136、第2の側部137、第3の側部138及び第4の側部139を有する。第1の側部136及び第4の側部139は平行である。第2の側部137及び第3の側部138は平行である。第1の側部136及び第4の側部139は、第2の側部137及び第3の側部138に直交する。
【0050】
各第2のシート132は、第1の側部140、第2の側部141、第3の側部142及び第4の側部143を有する。第1の側部140及び第4の側部143は平行である。第2の側部141及び第3の側部142は平行である。第1の側部140及び第4の側部143は、第2の側部141及び第3の側部142に直交する。
【0051】
積層した際、第1の側部136、140は、互いに隣接し、第2の側部137、141は、互いに隣接し、第3の側部138、142は、互いに隣接し、第4の側部139、143は、互いに隣接し、得られた気化冷却パック110が概ね長方形の角柱であるようにする。
【0052】
この例では、第2の側部137、141は、気化冷却パック110への空気入口を形成し、第3の側部138、142は、気化冷却パック110からの空気出口を形成しており、図3で示すシステムで使用される場合、第4の側部139、143は、気化冷却パック110の冷却流体入口/受入れ端部を形成する。
【0053】
この例では、山150(実線)及び谷152(破線)は、第2の側部137と第3の側部138との間に延在する溝154を形成する。特に、第1のシート130は、第1の溝区分156と第3の溝区分158とを含む。溝154の一部又は大部分に対し、溝154の一部分は、第1の溝区分156によって形成され、溝の一部分は、第3の溝区分158によって形成される。
【0054】
ここで、第1の溝区分156内に形成された溝部分154は、基準線、例えば、第1の側部136との間に形成された第1の角度θ(第1の溝角度とも呼ぶ)を有する一方で、第3の溝区分158内に形成された溝部分154は、基準線、同様に、例えば第1の側部136に対して第3の角度θ(第3の溝角度とも呼ぶ)を有する。
【0055】
この例では、第1の角度θ及び第3の角度θは、異なる角度である。この例では、角度は、第2の側部137から第3の側部138に移動しながら見ると、大きさ及び傾斜の両方で異なる。第3の角度θは、第1の角度θよりも大きい大きさである。この例では、第1の溝区分156における溝部分154は、第1の側部136に対して凸傾斜を有する。より詳細には、第1の溝区分156における溝部分154は、入口側から出口側の方に延在する方向で横に移動する際、垂直上方に延在する一方で、第3の溝区分158の溝部分154は、第2の側部137から第3の側部138の方に同じ方向で移動する際、第1の側部136に対して凹傾斜を有する。より詳細には、第3の溝区分158の溝部分154は、入口側から出口側の方に横に移動する際、垂直下方に延在する。
【0056】
特に、第1の角度θ及び第3の角度θは、共に第1の側部136に対する角度である。
【0057】
いくつかの例では、第1の溝区分156内の溝部分154は、空気流を重力に反して概ね垂直に誘導する一方で、第3の溝区分158内の溝部分154は、空気流を重力と共に概ね垂直に誘導する。特に、たった今述べた垂直成分に加えて、空気流は、空気が入口側から出口側に(例えば、第2の側部137から第3の側部138に)流れるため、横成分も有する。
【0058】
角度θ、θの差により、入口側、例えば第2の側部137から出口側、例えば第3の側部138に移動する際、各溝154内に屈曲部160をもたらす。この例では、隣接し合う溝の屈曲部160は、軸162を全体に画定し、軸162は、第2の側部137及び第3の側部138に概ね平行であり、第1の側部136及び第4の側部139に概ね直交する。
【0059】
この例では、各溝154の両部分(即ち、区分156を形成する部分及び区分158を形成する部分)は、第1のシートの側部136~139の全てに対して非平行非直交角度で延在する。
【0060】
第1の溝区分156内の溝部分154は、ピッチfを有し、ピッチfは、第1の溝区分156内の溝154の延在部に概ね直交に測定される。好ましくは、第1の溝区分156内の溝部分の全ては、互いに平行である。第3の区分158内の溝部分154は、互いに平行でも、平行でなくてもよい。
【0061】
また更に、第1の溝区分156は、基準線、例えば第1の側部136に平行に測定される深さdを有する。この例では、深さdは、軸162と第3の側部138との間で測定される。
【0062】
図6は、第2のシート132を示す。第2のシート132は、波形であり、それぞれ鎖線及び点線によって示される山172及び谷170を有する。同様に、山172及び谷170は、第1のシート130と共に積層した際、気化冷却パック110を通る空気通路部分を形成する溝174を画定する。
【0063】
この例では、溝174は、第2の側部141から第3の側部142の方に移動する際、延在部全体にわたり、実質的に線形である。ここで、シート132全体は、第2の溝区分178を形成する。この例では、第2の溝区分178は、基準線、例えば第1の側部140に対して第2の角度θを有する。入れ子を防止するため、第2の角度θは、第1の角度θとは異なる大きさを有する。このことは、第1の角度θ及び第2の角度θの両方が基準線に対して凸傾斜を有する際、特に当てはまる。これらの角度が同じであった場合、気化冷却パック110を形成するために積層した際、第1の区分156と第2の区分178との間が入れ子になる可能性が高い。
【0064】
積層した際、第1のシート130の第1の区分156及び第3の区分158の両方は、第2のシート132の第2の区分178の対応する部分に隣接する。しかし、第3の区分158が凹傾斜を有し、第2の区分178が凸傾斜を有するので、これらの区分の間が入れ子になる可能性が低い。
【0065】
第1の角度θ及び第2の角度θの大きさが近いほど、入れ子が生じる可能性がより高い。出願人等は、深さd、第1の角度θ及び溝ピッチfを基準として、第2の角度θのための最小角度θ2,最小を以下の式:
【0066】
【数3】
【0067】
に基づき決定し得ることを決定した。
【0068】
溝ピッチfは、以下の式:
【0069】
【数4】
【0070】
に基づき決定し、第1の溝区分156及び第2の溝区分178における溝154と174との間の入れ子を防止又は著しく制限し得る。このことは、溝154、157の傾斜が共に凸であるか、又は他の例では共に凹である場合、特に当てはまる。
【0071】
これらの制約条件、及び第1のシート130が第2のシート132の下にある場合、第1のシート130の第1の溝区分156の山150は、第2のシート132の第2の溝区分178の1つ又は複数の谷170に交差する/1つ又は複数の谷170を横切る。この山150と谷170との間の交差/横切りにより、入れ子を防止する。やはり、このことは、第2のシート132が第1のシート130の上部に位置することを仮定する。代替的に、第1のシート130が第2のシート132の上部にある場合、第1のシート130の第1の溝区分156の谷152は、第2のシートの第2の溝区分178の1つ又は複数の山172に交差する/1つ又は複数の山172を横切る。
【0072】
好ましい構成では、対応する山150/谷170の交差は、図7に示すように、近接軸162及び近接し合う第3の側部138、142等の2つの場所で生じる。特に、図7において、2つの場所で交差する第2のシートの谷170は、第1のシートの2つの個別の山150に実際に交差する。より詳細には、第2のシートの所与の谷170は、第1の山150(例えば、隣接軸162)に交差し、次に、第2の山150(例えば、隣接し合う側部138/142)にも交差する。
【0073】
第1の角度θと第2の角度θと第3の角度θとの組合せは、気化冷却パックを通る空気流を制御し得る。したがって、冷却流体を迅速に気化させる。溝の全てを流れる空気が全ての垂直位置で気化冷却パック110の冷却効果に露出されるように、全体に垂直の気化冷却パック110の湿潤度を実質的に保持することが望ましい。
【0074】
本明細書で引用した刊行物、特許出願、特許を含む引用文献は、まるで各参照が個々に具体的に示され、参照により組み込まれて本明細書でその全体が示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a、an、the)」及び同様の指示対象の使用は、本明細書で別段に規定されていない限り、又は文脈によって明確に否定されていない限り、単数形及び複数形の両方を含むと解釈されたい。用語「備える」、「有する」、「含む」及び「含有する」は、別段に記載されていない限り、オープンエンドの(即ち、「限定はしないが、を含む」を意味する)用語として解釈されたい。本明細書の値範囲の列挙は、本明細書で別段に規定されていない限り、当該値内にある各個の値を個々に指す簡潔な方法として働くことを意図するにすぎず、各個の値は、まるで個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書で別段に規定されていない限り、又は文脈によって明確に否定されていない限り、あらゆる適切な順で実施し得る。本明細書で提供するあらゆる全ての例、又は例示的な言い回し(例えば、「等」)の使用は、本発明をより明らかにすることを意図するにすぎず、別様に請求されない限り、本発明の範囲に対する限定をもたらすものではない。本明細書の言い回しは、本発明の実行に必須の非請求要素を示すものとして解釈すべきではない。
【0076】
本発明の好ましい実施形態は、本発明者等が知っている、発明を実施するための最良の形態を含めて本明細書に記載される。これら好ましい実施形態に対する変形形態は、上記の説明を読めば当業者にとって明らかになるであろう。本発明者等は、当業者がそのような変形形態を適切に利用することを予期しており、本明細書に具体的に記載されるものとは別の様式で本発明が実行されることが意図されている。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲で列挙される主題に対する、適用可能な法が許容する全ての修正形態及び等価物を含む。更に、全ての可能な変形形態における上述の要素のあらゆる組合せは、本明細書で別段に規定されていない限り、又は文脈によって明確に否定されていない限り、本発明に包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】