(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】連結された中空繊維の巻き芯への巻付けを実施するための巻付けシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 1/18 20060101AFI20230526BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20230526BHJP
B65H 75/14 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
A61M1/18 511
A61M1/18 525
B01D63/02
B65H75/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561505
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2021058939
(87)【国際公開番号】W WO2021219330
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】102020111803.1
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519461679
【氏名又は名称】エンモデス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】リッター・イルゼ・フィリーネ
(72)【発明者】
【氏名】ボルヒャルト・ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】カーデン・イェンス
【テーマコード(参考)】
3F058
4C077
4D006
【Fターム(参考)】
3F058AA01
3F058AC04
3F058BB17
3F058CA03
3F058DA05
3F058DB05
3F058DB15
4C077AA03
4C077BB06
4C077LL05
4D006GA35
4D006HA01
4D006JA30C
4D006JB02
4D006MA01
4D006PA01
4D006PB09
4D006PB62
4D006PB64
4D006PB67
4D006PC48
(57)【要約】
本発明は、連結された中空繊維、特に物質及び/又はエネルギー透過性の中空繊維の巻き芯(1)への巻付けを実施するための巻付けシステムであって、2つの媒体の間の物質及び/又は熱交換用の交換装置の、特に人工肺及び/又は熱交換器の巻き芯(1)を有し、この巻き芯に、連結された中空繊維が巻付け可能であり、この巻き芯は、巻き芯に巻き付けられた中空繊維と共に装置のハウジングに挿入されかつハウジング内に留まるように設けられて、特に設定されており、少なくとも1つの連結要素(2)、好ましくは2つの連結要素(2)を有し、少なくとも1つの連結要素(2)は、軸方向に対抗する2つの結合領域(2a,2b)を備え、第1の結合領域(2a)でもって一時的に巻き芯(1)と回転不能に結合可能であり、第2の結合領域(2b)でもって駆動装置と回転不能に結合可能であり、この駆動装置によって、巻き芯(1)が、巻き軸(A)を中心として回転可能であり、連結要素(2)の第1の結合領域(2a)が、拡開要素(2d)を有し、特に拡開要素の外横断面が、拡開によって拡大可能であり、巻き芯(1)が、少なくとも一方の軸方向の端面、好ましくは両方の軸方向の端面に、巻き軸(A)を中心として配置された凹部(1a)を備え、この凹部に、連結要素(2)の第1の結合領域(2a)が差込み可能であり、拡開要素(2d)の拡開によって、巻き芯(1)が、連結要素(2)と回転不能に結合可能であること、を特徴とする巻付けシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結された中空繊維、特に物質及び/又はエネルギー透過性の中空繊維の巻き芯(1)への巻付けを実施するための巻付けシステムであって、
a.2つの媒体の間の物質及び/又は熱交換用の交換装置の、特に人工肺及び/又は熱交換器の巻き芯(1)を有し、この巻き芯に、連結された中空繊維が巻付け可能であり、この巻き芯は、巻き芯に巻き付けられた中空繊維と共に装置のハウジングに挿入されかつハウジング内に留まるように設けられて、特に設定されており、
b.少なくとも1つの連結要素(2)、好ましくは2つの連結要素(2)を有し、少なくとも1つの連結要素(2)は、軸方向に対抗する2つの結合領域(2a,2b)を備え、第1の結合領域(2a)でもって一時的に巻き芯(1)と回転不能に結合可能であり、第2の結合領域(2b)でもって駆動装置と回転不能に結合可能であり、この駆動装置によって、巻き芯(1)が、巻き軸(A)を中心として回転可能であり、
c.連結要素(2)の第1の結合領域(2a)が、拡開要素(2d)を有し、特に拡開要素の外横断面が、拡開によって拡大可能であり、巻き芯(1)が、少なくとも一方の軸方向の端面、好ましくは両方の軸方向の端面に、巻き軸(A)を中心として配置された凹部(1a)を備え、この凹部に、連結要素(2)の第1の結合領域(2a)が差込み可能であり、拡開要素(2d)の拡開によって、巻き芯(1)が、連結要素(2)と回転不能に結合可能であること、
を特徴とする巻付けシステム。
【請求項2】
少なくとも1つの連結要素(2)が、第1の結合領域(2a)に軸部材を備え、この軸部材が、軸方向に、少なくとも2つの軸方向に平行に相並んで位置する軸部分に分割され、これら軸部分の間に、拡開要素として、軸部分の間で軸方向に可動の楔要素が配置されていること、を特徴とする請求項1に記載の巻付けシステム。
【請求項3】
少なくとも1つの連結要素(2)が、第1の結合領域に、軸部(2c)を有する軸部材を備え、この軸部の周囲に、拡開要素として、弾性材料、特にエラストマー、好ましくはシリコンゴム又は天然ゴムの加硫物から成るスリーブ(2d)が配置され、スリーブ(2d)が、その端面(2d1,2d2)を互いに対して軸方向に移動させることによって、特にスリーブ(2d)のリング状の端面(2d1,2d2)に軸方向に力を作用させることによって、半径方向に大きさを変更可能であること、を特徴とする請求項1に記載の巻付けシステム。
【請求項4】
スリーブ(2d)が、軸方向の両終端(2d1,2d2)の第1の終端(2d1)でもって、連結要素(2)の軸領域(2c)に対して位置不動の第1の加力面(2e)に当接し、スリーブ(2d)が、第2の軸方向の終端(2d2)でもって、連結要素(2)の第2の加力面に当接し、第2の加力面が、第1の加力面(2e)に対してスリーブ(2d)の軸方向に、好ましくは連結要素(2)に設けられた操作要素によって、特に軸部材上で可動であること、を特徴とする請求項3に記載の巻付けシステム。
【請求項5】
拡開の状態で、連結要素(2)の位置が、巻き芯(1)に対して、及び、連結要素(2)の第1の結合領域(2a)を巻き芯(1)の凹部(1a)に挿入した後に連結要素(2)を越えて巻き芯(1)の一方の軸方向の端面に取付け可能な、巻き芯(1)とは別個の補助要素(3)に対して、軸方向に固定可能であること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の巻付けシステム。
【請求項6】
補助要素(3)が、横断面/直径に関して巻き芯(1)から半径方向に突出するディスク(3)によって形成されており、特に、このディスクによって、巻付け時に中空繊維マットが、巻き芯(1)に対して位置決め可能であること、を特徴とする請求項5に記載の巻付けシステム。
【請求項7】
補助要素(3)が、スリーブ(2d)のために第2の加力面を構成し、この第2の加力面が、スリーブ(2d)の第2の軸方向の終端(2d2)と、特に連結要素(2)の第2の結合領域(2b)の方を向いたスリーブ(2d)の終端と接触可能であり、
a.連結要素(2)の第2の結合領域(2b)の方を向いたスリーブ(2d)の第2の終端(2d2)が、連結要素(2)の巻き芯(1)に挿入された状態で、巻き芯(1)の軸方向の端面から突出し、スリーブ(2d)への加力が、補助要素(3)の取付けによって実現可能であり、特に、これにより、スリーブ(2d)の第2の終端(2d2)が、スリーブ(2d)の第1の終端(2d1)の方向に移動可能であるか、
b.連結要素(2)の第2の結合領域(2b)の方を向いたスリーブ(2d)の第2の終端(2d2)が、連結要素(2)の巻き芯(1)に挿入された状態で、巻き芯(1)の軸方向の端面の下又は軸方向の端面の面内に位置し、補助要素(3)の取付け後の加力/拡開が、連結要素(2)の軸方向の移動により、特に巻き芯(1)から外に向かう移動により実現可能であり、特に、これにより、スリーブ(2d)の第1の終端(2d1)が、スリーブ(2d)の第2の終端(2d2)の方向に移動可能である
こと、を特徴とする請求項5又は6に記載の巻付けシステム。
【請求項8】
連結要素(2)の位置が、連結要素(2)の環状溝(2f)に挿入可能な固定リング(4)によって軸方向に固定可能であり、この固定リングによって、連結要素(2)が、補助要素(3)の表面に支持可能であること、を特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の巻付けシステム。
【請求項9】
連結要素(2)に、操作要素(5)が設けられており、この操作要素によって、第1の結合領域(2a)での拡開要素(2d)の拡開及び/又は連結要素(2)の軸方向の固定が実現可能であり、特に、操作要素が、補助要素(3)に又は第2の加力面を備える要素に又は連結要素(2)に配置された支持要素に支持され、特に、操作要素(5)が、拡開要素(2d)と結合された、連結要素(2)のネジ部上のナットとして又は軸を中心として回転可能な、レバーによって移動可能な偏心体として形成されていること、を特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の巻付けシステム。
【請求項10】
連結要素(2)を収容するための巻き芯(1)内の凹部(1a)が、巻き芯(1)を少なくとも領域的に貫通する、物質交換装置のハウジング内への巻き芯(1)の挿入後に媒体、特に血液によって貫流可能な通路によって構成されていること、を特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の巻付けシステム。
【請求項11】
連結要素(2)を収容するための巻き芯(1)内の凹部(1a)が、凹部(1a)に対して少なくとも領域的に同軸に延在する、物質交換装置のハウジング内への巻き芯(1)の挿入後に媒体、特に血液によって貫流可能な通路によって包囲されていること、を特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の巻付けシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結された中空繊維、特に物質及び/又はエネルギー透過性の中空繊維の巻き芯への巻付けを実施するための巻付けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、巻き取られた中空繊維パケットを、2つの媒体の間で物質及び/又はエネルギー交換をするための交換装置、特に人工肺及び/又は熱交換器内で使用するために、物質又はエネルギー透過性の中空繊維、特に、経糸と結合されてマットをなすような繊維を芯に巻き取ることが知られている。これを、例えば、欧州特許出願公開第0089122号明細書と欧州特許出願公開第0285812号明細書は示す。
【0003】
このため、巻き取られた中空繊維パケットは、交換装置のハウジングに挿入され、次いで、中空繊維端が、互いにかつハウジングと接着され、これは、ポッティングとも呼ばれる。ハウジング内で、中空繊維端の開放後、即ち端側の接着剤を除去した後、次に、2つの媒体を、中空繊維壁によって別々に案内することが、即ち、一方の媒体、例えば血液は中空繊維の外側を案内し、他方の媒体、例えばガス又はガス混合物又は温度調節された流体は、中空繊維を経て案内することができる。
【0004】
次に、中空繊維を介して、特に物質交換のために半透過性の中空繊維を介して、交換を、例えば人工肺内では酸素と二酸化炭素の交換を行なうことができる。このような巻き付けられた中空繊維パケットは、透析目的用の物質交換装置内でも又は一酸化炭素除去のためにも使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0089122号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0285812号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
中空繊維の芯への巻付けと、作成された巻物の交換装置への統合は、複雑なプロセスであり、本発明によって簡素化されるべきである。特に、本発明の別の課題は、巻付けのために利用される巻き芯を、一方では、モータによる巻付けを可能にする駆動装置に簡単に適応させることができ、他方では、交換装置内で直接的に使用することができるように、巻付けを簡素化して形成することである。特に、課題は、迅速な適応と適応の非残留物除去が可能であるように、巻き芯の駆動装置への適応を形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、連結された中空繊維、特に物質及び/又はエネルギー透過性の中空繊維の巻き芯への巻付けを実施するための巻付けシステムであって、2つの媒体の間の物質交換及び/又は熱交換用の交換装置の、特に人工肺及び/又は熱交換器の巻き芯を有し、この巻き芯に、連結された中空繊維が巻付け可能であり、この巻き芯は、巻き芯に巻き付けられた中空繊維と共に装置のハウジングに挿入されかつハウジング内に留まるように設けられて、特に設定されており、更に、少なくとも1つの連結要素、好ましくは2つの連結要素を有し、少なくとも1つの連結要素は、軸方向に対抗する2つの結合領域を備え、第1の結合領域でもって一時的に巻き芯と回転不能に結合可能であり、第2の結合領域でもって駆動装置と回転不能に結合可能であり、この駆動装置によって、巻き芯が、巻き軸を中心として回転可能であり、連結要素の第1の結合領域が、拡開要素を有し、特に拡開要素の外横断面が、拡開によって拡大可能であり、巻き芯が、少なくとも一方の軸方向の端面、好ましくは両方の軸方向の端面に、巻き軸を中心として配置された凹部を備え、この凹部に、連結要素の第1の結合領域が差込み可能であり、拡開要素の拡開によって、巻き芯が、連結要素と回転不能に結合可能であること、を特徴とする巻付けシステムによって解決される。
【0008】
従って、巻付けシステムの核心思想は、巻付けシステムによって利用される巻き芯が、中空繊維もしくは中空繊維マットの巻付け後に交換装置、例えば物質交換装置のハウジング内で直接的に中空繊維のキャリアとして使用され得ることに基づくものであり、巻付けの、特にモータでの巻付けのため、巻き芯は、簡単かつ迅速に駆動装置と連結することができる。
【0009】
このため、本発明による巻付けシステムは、1つの連結要素、又は、好ましくは巻き芯を中心として共通の回転軸上で対向する2つの連結要素を利用するが、この/これらの連結要素によって、駆動装置への適応が行なわれる。この場合、巻き芯と連結要素の間の回転不能の固定は、巻き芯の方を向いたもしくは巻き芯と協働する第1の結合領域でのそれぞれの連結要素の拡開によって行なわれる。
【0010】
このような拡開は、例えば2つの拡開位置の間で行なうことができるが、一方の拡開位置では、連結要素と巻き芯の間の結合が解離されており、他方の拡開位置では、回転不能の結合が達成されているので、連結要素の第2の結合領域に連結された駆動装置は、巻き芯を回転させ、巻き芯にガイドされた中空繊維マットを巻き付けることができる。
【0011】
以下で巻き芯と連結要素が更に説明される範囲内で、対向する両方の軸方向の端面において巻き芯にそれぞれ1つの連結要素が固定され得る場合でも、説明が妥当であることに留意されたい。いずれにしても、これは、好ましい実施形態である。この場合、巻き芯に対する説明は、特に同一に形成され得る両方の端面と利用可能な両方の連結要素のそれぞれに関して当て嵌まる。
【0012】
巻き芯と連結要素の間の拡開結合は、結合すべき両方の要素が、結合の形成時に軸方向、即ち並進的に又は回転的に互いに移動することなく、結合が行なわれるとの利点を有する。
【0013】
むしろ、拡開結合時、好ましくは、協働する接触面が、拡開要素の拡開によって互いに接近しかつ互いに接触し、これにより、摩擦結合及び/又は力結合が達成される。
【0014】
その点で、これは、他の結合形式に対してゆうりであるが、それは、例えば連結要素を巻き芯にねじ込むことにそれらの間に生じ得る、両結合パートナーの間の材料の摩耗が防止されるからである。このような潜在的な摩耗は、物質交換装置内で巻き芯を使用することによって物質交換装置にもたらされ、患者の血液回路内達し得る場合には、負の作用をもたらし得る。更に、本発明による拡開結合は、射出成型技術により製造し得るとの利点を提供する。
【0015】
巻付けシステムで使用され、巻付け後に交換装置のハウジングに挿入され、運転のためにハウジング内に留まる巻き芯は、例えば、1つの連結要素又は複数の連結要素の取外し以外に変更なくハウジングに挿入されるために、巻き芯が、形状及び又は寸法に関してハウジングに完全に適合されていることによって、この使用のために設定され得る。更に、好ましくは、巻き芯は、この目的のために、少なくとも1つの通路を巻き芯内に備えることもでき、この通路を経て、後から運転中に媒体を案内することができる。
【0016】
この目的のための巻き芯の設定又は適性は、更に有利であると見なされる構成でも、連結要素を収容するための巻き芯内の凹部(特に両凹部)が、巻き芯を少なくとも領域的に貫通する、物質交換装置のハウジング内への巻き芯の挿入後に媒体、特に血液によって貫流可能な通路によって構成されていること、にあり得る。従って、このような通路は、2つの機能を、即ち連結要素を固定するための巻付けシステム内でも、媒体搬送用の後続の物質交換装置内でも有する。
【0017】
通路は、巻き芯を、例えば軸方向に完全に貫通することができ、これにより、特に、2つの連結要素が、巻き芯の両側に取り付けられ得る。連結要素を収容するための凹部が2つの場合、一方は、媒体搬送のために使用される、特に完全には軸方向に巻き芯を経て案内されていない通路によってしか構成され得ない。
【0018】
前記通路は、特に通路が軸方向に完全に巻き芯を貫通しない場合には、片側で、連結要素を固定するための凹部に通じ、他端で、巻き芯の側面の1つ又は複数の開口に通じることができる。
【0019】
連続的な通路は、巻き芯の外側面に通じる分岐を備えることもできる。
【0020】
巻き芯の側面の開口により、後からの運転で、媒体、例えば血液が、好ましくは半径方向の流入成分によって、これら開口を経て巻き付けられた中空繊維パケットに浸透し得ることが達成され得る。
【0021】
更に、連結要素を収容するための巻き芯内の(それぞれの)凹部が、凹部に対して少なくとも領域的に同軸に延在する、物質交換装置のハウジング内への巻き芯の挿入後に媒体、特に血液によって貫流可能な通路によって包囲されていること、も企図され得る。このような同軸の通路に対して、前記構成は、同様に適用することができ、即ち、特に、通路は、巻き芯の側面に通じること、又は、側面に通じる分岐を備えることができる。
【0022】
物質交換装置に対する巻き芯の適性を得るとのこれら前記可能性に依存せずに、本発明は、少なくとも1つの連結要素が、第1の結合領域に軸部材を備え、この軸部材が、軸方向に、少なくとも2つの軸方向に平行に相並んで位置する軸部分に分割され、これら軸部分の間に、拡開要素として、軸部分の間で軸方向に可動の楔要素が配置されていること、を企図し得る。従って、軸部分の間で楔要素の軸方向の移動が行なわれる場合、軸部分は、半径方向外方に移動される。
【0023】
好ましくは、軸部材は、少なくとも3つの軸部分を備える。楔要素は、好ましくは円錐形にもしくは円錐部状に形成することができる。軸方向の移動時、拡開のため、楔要素は、好ましくは第1の結合領域から第2の結合領域の方向に移動可能であり得る。移動力を楔要素に作用させるため、楔要素は、軸部材の中空領域を経て、例えば第2の結合領域内へ又は第2の結合領域外へ案内することができる。
【0024】
他の構成では、少なくとも1つの連結要素が、第1の結合領域に、軸部を有する軸部材を備え、この軸部の周囲に、拡開要素として、弾性材料、特にエラストマー、好ましくはシリコンゴム又は天然ゴムの加硫物から成るスリーブが配置され、スリーブが、その端面を互いに対して軸方向に移動させることによって、特にスリーブのリング状の端面に軸方向に力を作用させることによって、半径方向に大きさを変更可能であること、が企図され得る。特に、スリーブが、連結要素と巻き芯の間の非結合状態で無力もしくは弛緩状態であり、結合のために軸方向の力が加えられ、この軸方向の力は、スリーブの軸方向の端面を互いに向かって移動させ、これにより、スリーブが半径方向に肥大化する。
【0025】
可能な構成では、スリーブが、軸方向の両終端の第1の終端でもって、連結要素の軸領域に対して位置不動の第1の加力面に当接し、スリーブが、第2の軸方向の終端でもって、連結要素の第2の加力面に当接し、第2の加力面が、第1の加力面に対してスリーブの軸方向に、好ましくは連結要素に設けられた操作要素によって、特に軸部材上で可動であること、が企図され得る。位置不動の第1の加力面は、巻き芯の凹部に差し込まれる第1の結合領域の自由端に配置することができる。加力面の外横断面/外径は、好ましくは、軸方向の終端での弛緩したスリーブの直径以上であり、巻き芯内の凹部の内横断面/内径以下である。
【0026】
拡開の形式に依存せず、本発明は、好ましくは、拡開の状態で、連結要素の位置が、巻き芯に対して、軸方向に固定可能であり、好ましくはまた、連結要素の第1の結合領域を巻き芯の凹部に挿入した後に連結要素を越えて巻き芯の一方の軸方向の端面に取付け可能な、芯とは別個の補助要素に対して、軸方向に固定可能であること、を企図し得る。
【0027】
巻き芯の凹部内に連結要素を固定するための補助要素の使用は、複数の利点を有し得る。
【0028】
例えば、補助要素は、横断面/直径に関して巻き芯から半径方向に突出するディスクによって形成することができる。このようなディスクは、好ましくは、特に巻き芯の両側に連結要素がそれぞれのディスクによって固定される場合には、巻付け時に中空繊維マットを巻き芯に対して位置決め、特に調心するために使用することができるので、巻き付けられる中空繊維マットは、巻付け時にディスクの間に位置する。
【0029】
更に、補助要素は、スリーブのために第2の加力面を構成し、この第2の加力面が、スリーブの第2の軸方向の終端と、特に連結要素の第2の結合領域の方を向いたスリーブの終端と接触可能であり、連結要素の第2の結合領域の方を向いたスリーブの第2の終端が、連結要素の巻き芯に挿入された状態で、巻き芯の軸方向の端面から突出し、スリーブへの加力が、補助要素の取付けによって実現可能であり、特に、これにより、スリーブの第2の終端が、スリーブの第1の終端の方向に移動可能である。
【0030】
同様に、連結要素の第2の結合領域の方を向いたスリーブの第2の終端が、連結要素の巻き芯に挿入された状態で、巻き芯の軸方向の端面の下又は軸方向の端面の面内に位置し、補助要素の取付け後の加力が、連結要素の軸方向の移動により、特に巻き芯から外に向かう移動により実現可能であり、特に、これにより、スリーブの第1の終端が、スリーブの第2の終端の方向に移動可能であること、が企図され得る。
【0031】
両場合で、スリーブの軸方向の端面と補助要素もしくはディスクの協働により、スリーブの両端面の互いに向かう移動が発生し、これにより、スリーブの半径方向の肥大化が発生する。
【0032】
拡開要素の構成の形式に依存せずに、本発明は、連結要素の位置が、例えば、連結要素の環状溝に挿入可能な固定リングによって軸方向に固定可能であり、この固定リングによって、連結要素が、補助要素の表面に支持可能であること、を企図し得る。
【0033】
この環状溝は、好ましくは、連結要素の両結合領域の間に、特に連結要素の部分片内に位置することができ、この部分片は、拡開要素を有する又は構成する領域に移行し、即ち好ましくはスリーブを支持する又は楔要素に移行する軸領域に移行する。
【0034】
更に、全ての可能な構成では、連結要素に、操作要素が設けられており、この操作要素によって、第1の結合領域の拡開及び/又は連結要素の軸方向の固定が実現可能であり、特に、操作要素が、補助要素に又は第2の加力面を備える要素に又は連結要素に配置された支持要素に支持される。
【0035】
この場合、操作要素は、例えば、拡開要素と結合された、連結要素のネジ部上のナットとして形成することができる。ネジ部は、例えば、スリーブを支持する又は楔要素に移行する軸領域に移行することができる。
【0036】
操作要素は、軸を中心として回転可能で連結要素又は補助要素に支持される、レバーによって移動可能な偏心体として形成ことができ、軸を備える部分は、スリーブを支持する又は楔要素に移行する軸領域に移行する。こうして、偏心移動により、軸を連結領域内で移動させ、拡開要素を操作することができ、特に、スリーブを圧縮すること又は楔要素を軸方向に移動させることができる。
【0037】
本発明の実施例を、以下で図により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2】2つの状態の組み立てられた巻付けシステムの断面図
【
図3】別の構成の巻付けシステムの
図2に対応する図
【
図4】連結要素2の固定を行なうための選択的な構成
【
図5】可能な拡開の形式に依存せずに選択することができる可能な形態
【発明を実施するための形態】
【0039】
【0040】
巻取りシステムは、巻き芯1を有し、この巻き芯に、ここには示してない中空繊維もしくは中空繊維マットが巻付け可能である。巻き芯1は、巻き軸Aを中心として配置された中央の凹部1aを、好ましくは対向するその両端面に有し、好ましくは、この凹部は、それぞれ端面を起点として巻き芯内にまで延在する。凹部は、巻き芯内の通路によって構成されている。凹部1aは、更に、通路1bによって同軸に包囲され、特に、両通路1a,1bの壁の間に半径方向のブレースを有する。このような構成は、必ずしも必要でない。
【0041】
ここでは円形の横断面を有するように形成された凹部1aには、連結要素2を差し込むことができる。この連結要素は、凹部1aに嵌入される第1の結合領域2aと、ここでは詳細には示してない駆動装置と結合するために設けられた第2の結合領域2bを有する。従って、この第2の結合領域は、駆動装置、例えば駆動装置のカップリングと回転不能に結合するために設定されている。
【0042】
連結要素2は、更に、軸領域2cを備え、この軸領域の周囲に、拡開要素として、エラストマー、例えばシリコンから成るスリーブ2dが配置されている。第1の結合領域2aの自由端にて、スリーブは、第1の軸方向の終端2d1でもって連結要素の加力面2eに当接する。スリーブ2dの第2の軸方向の終端2d2は、自由である。スリーブ2dの軸方向の圧縮、即ち軸方向の終端2d1,2d2を互いに向かって移動させる加力により、スリーブ2dは、半径方向に肥大化させることができる。
【0043】
巻付けシステムは、更に、ディスク3として形成し得る保持要素3を有することができる。このディスクは、内側の開口3aを有し、この開口は、連結要素2の第2の結合領域2bを越えて案内することができる。ディスク3の外形は、巻き芯1の外形よりも大きい。
【0044】
巻付けシステムは、可能な構成では、連結要素2の結合領域2aと2bの間の環状溝2fに挿入し得る固定リング4を有する。
【0045】
図1の右に、連結要素2が巻き芯1の凹部1aに挿入され、ディスク3が連結要素2を越えて案内され、巻き芯1の端面に載置された後の、組み立てられた巻付けシステムが図示されている。
【0046】
図2は、断面図で、組み立てられた巻付けシステムを2つの状態で示す。
【0047】
図2の左に、拡開要素2d、ここではスリーブ2dが拡開されない、即ち肥大化されないで、連結要素2が巻き芯1の凹部1aに挿入されていることが認められる。ディスク3は、巻き芯1の端面に載置され、好ましくは、テンションをかけない状態で既にスリーブ2dの第2の軸方向の端面2d2と接触することができる。そのため、スリーブの第2の軸方向の終端2d2は、巻き芯の端面の面内に位置する。スリーブの第2の軸方向の終端2d2は、選択的に、巻き芯の端面の面の下に位置することもでき、最初は補助要素と接触しない。
【0048】
連結要素2の環状溝2fは、ディスク3の表面の下に位置し、固定リング4にとってアクセス可能でない。
【0049】
結合領域2aは、完全に、しかしながら結合されずに巻き芯1内に位置する。結合領域2bは、巻き芯1外に位置し、示してない駆動装置に連結するためにアクセス可能である。
【0050】
巻き芯1内に連結要素2を固定するため、スリーブが拡開され、これは、連結要素が凹部から領域的に、少なくともディスク3の上の環状溝がアクセス可能になるまで、引き出されることによって行なわれる。これにより、加力面2eがディスク3の方向に移動される。スリーブ2dが加力面2eとディスク3の間に閉じ込められているので、加力面2eの移動によって、スリーブ2dは、軸方向に圧縮され、これにより肥大化する。これにより、スリーブ2dの側面は、凹部1aの内面に押し付けられ、これが、
図2の右の図による半径方向に作用する力F1による摩擦係合を発生させる。
【0051】
図2の右では、固定リング4が挿入されているので、連結要素2は、凹部1aに再び戻ることはできない。これにより、力F1が静的に作用し続け、連結要素が巻き芯1の凹部1a内に固着する。
【0052】
更に、スリーブ2dが、その軸方向の圧縮に基づいて連結要素2を凹部1a内に引き戻すことによって生じる力F2が作用するが、これは、ディスク3上での固定リング4の支持によって可能でない。従って、力F2は、固定リング4を介してディスク3に作用し、このディスクを付加的に巻き芯1の端面に押し付ける。
【0053】
図2の右の部分の拡開された状態で、巻き芯1は、少なくとも1つの中空繊維マットを巻き芯に巻き付けるために、駆動装置と両側で結合することができる。
【0054】
それが行なわれた後、巻き芯を駆動装置から分離すること、固定リング4をそれぞれの連結要素から引き抜くこと、及び、連結要素をディスク3と共に巻き芯1から除去することができる。
【0055】
次に、巻き芯を、支持された中空繊維と共に交換装置のハウジング内に挿入し、これにより中空繊維をポッティングすることができる。巻き芯内の通路1a及び/又は1bは、好ましくは、巻き芯によって媒体、例えば血液を搬送するために利用することができる。
【0056】
図3は、右に、非拡開状態で、スリーブ2dが、巻き芯1への連結要素2の挿入後に、軸方向の終端2d2でもって巻き芯1の端面から突出し、従って、補助要素としてのディスク3の取付けによりスリーブが軸方向に圧縮され、これによりスリーブが肥大化し、摩擦係合的結合が生じる構成を示す。
図3の左には、
図2における右のように、そのようにして得られた位置の固定リング4による軸方向の固定が示されている。それ以外は、
図3は、
図2の構成に一致する。
【0057】
図4は、連結要素2の固定を行なうための選択的な構成を示す。
【0058】
連結要素2は、駆動装置との結合用の結合領域2bとスリーブ2dの軸方向の終端2d2との間に雄ネジ部を備え、この雄ネジ部には、ディスク3が結合領域2bを越えて、巻き芯1の端面に載置された後に、相応の雌ネジを有するリング5又はナット5をねじ込むことができる。ねじ込み時にリング5がディスク3と接触した後で、リング5は、連結要素2を軸方向に巻き芯から領域的に引き出し、これにより、その上の軸方向の終端2d2でもってディスク3に当接するスリーブ2dは、軸方向に圧縮され、半径方向に拡開/肥大化される。これにより、摩擦係合的結合が形成される。
図4の右に、非拡開状態が示され、左に拡開状態が示されている。
【0059】
図5は、可能な拡開の形式に依存せずに選択することができる可能な形態を示す。模範的に、
図2でのような拡開が示されている。
図5に関して、巻き芯1内の上の凹部は、通路6として形成され、この通路は、巻き芯1の上の端面を起点として巻き芯内まで延在し、巻き芯1の側面に通じる通路部6aに分岐する。こうして、中空繊維に対して、半径方向内側からこの通路を経て案内される媒体が流れることができる。
図5の左では、連結要素2が拡開され、右では拡開されていない。
【国際調査報告】