(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】薬物送達部材の弾性を試験する治具及び関連方法
(51)【国際特許分類】
G01N 3/20 20060101AFI20230526BHJP
G01N 3/00 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
G01N3/20
G01N3/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562294
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-10-21
(86)【国際出願番号】 US2021028542
(87)【国際公開番号】W WO2021216804
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コラー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アシュラフ,ジャハーンギール
(72)【発明者】
【氏名】スウィフト,ロバート・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】ロサス,オスカー
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA07
2G061AA13
2G061AB04
2G061BA01
2G061BA15
2G061CB04
2G061DA16
2G061EA04
(57)【要約】
薬物送達装置の弾性を試験する治具及び関連方法を開示する。一例によれば、薬物送達装置のカニューレ(108)の弾性を試験する方法は、薬物送達装置のバレルを治具(100)内に、バレルの遠位端に固定されたカニューレ(108)が治具(100)から外へ伸長するように固定するステップを含む。本方法は、カニューレ(108)の遠位端(189)を閾値距離だけ移動させるべく打撃部材(170)を用いてカニューレの遠位端に横向きの力を加えるステップを含む。本方法は、カニューレ(108)から力を除去するステップを含む。本方法は、力が除去された後でカニューレ(108)の遠位端(189)の最終位置を決定するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達装置のカニューレの弾性を試験する治具アセンブリであって、
バレル容器を画定すると共に遠位端面を有している治具ブロックにおいて、
前記バレル容器が前記薬物送達装置を収容すべく適合され、前記薬物送達装置がバレルを有し、前記カニューレが、前記薬物送達装置が前記バレル容器内に収容された場合に前記カニューレが前記治具ブロックから外へ前記遠位端面を越えて伸長するように前記バレルの遠位端から伸長することにより、前記カニューレを前記遠位端面に配置され、前記バレルの遠位端から間隔を空けた支点を有するものとして画定する治具ブロックと、
前記支点から間隔を空けた前記カニューレの遠位端に選択的に負荷を加えるべく構成された可動打撃部材を含む治具アセンブリ。
【請求項2】
前記バレル容器内に配置された前記薬物送達装置を更に含む、請求項1に記載の治具アセンブリ。
【請求項3】
前記打撃部材が、前記カニューレの遠位端面及び支点から所定の距離に配置されている、請求項1~2のいずれか1項に記載の治具アセンブリ。
【請求項4】
前記所定の距離が約25
*D
2であり、Dがミリメートル単位の前記カニューレの外径である、請求項3に記載の治具アセンブリ。
【請求項5】
前記打撃部材と前記遠位端面との間に所定の距離を設定するための複数のゲージブロックを更に含み、各ゲージブロックが複数の所定のカニューレの1個に対応する明確な長さ寸法を有している、請求項3又は4に記載の治具アセンブリ。
【請求項6】
各ゲージブロックが約10ゲージ~約34ゲージのカニューレゲージに対応している、請求項5に記載の治具アセンブリ。
【請求項7】
前記治具ブロックが第1の治具ブロック及び第2の治具ブロックを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の治具アセンブリ。
【請求項8】
前記第1の治具ブロック及び前記第2の治具ブロックがクラムシェル構成に結合されている、請求項7に記載の治具アセンブリ。
【請求項9】
各治具ブロックが、第1の終端、第2の終端を有していて、前記第1の終端と前記第2の終端の間に延在するバレル溝を画定し、前記第1及び前記第2の治具ブロックが、前記バレル溝が互いに整列して対応する前記バレル容器を形成するように、互いに結合されるべく適合されている、請求項7又は8に記載の治具アセンブリ。
【請求項10】
前記第1の治具ブロックと前記第2の治具ブロックを互いに固定するラッチを更に含む、請求項7、8又は9のいずれか1項に記載の治具アセンブリ。
【請求項11】
前記第1及び第2の治具ブロックの第2の終端に各々結合された第1の終端プレート及び第2の終端プレートを更に含み、各終端プレートがプランジャ溝を画定し、前記プランジャ溝が、前記薬物送達装置が前記バレル容器内に配置されている場合に前記薬物送達装置のプランジャロッドを収容するためのプランジャ容器を包括的に画定する、請求項7、8、9又は10のいずれか1項に記載の治具アセンブリ。
【請求項12】
前記治具ブロックが、天板支持面及び遠位端面を含む支持ブロックを含み、前記薬物送達装置が前記バレル容器内に収容された場合、前記カニューレが前記支持ブロックの天板支持面を横断して伸長する請求項1~11のいずれか1項に記載の治具アセンブリ。
【請求項13】
前記治具ブロックが第1の材料で形成され、前記支持ブロックが前記第1の材料とは異なる第2の材料で形成されている、請求項12に記載の治具アセンブリ。
【請求項14】
薬物送達装置のカニューレの弾性を試験する方法であって、
薬物送達装置のバレルを治具内に、前記バレルの遠位端に固定された前記カニューレが前記治具から外へ伸長するように固定するステップと、
前記カニューレの遠位端を閾値距離だけ移動させるべく打撃部材を用いて前記カニューレの遠位端に横向きの力を加えるステップと、
前記カニューレから前記力を除去するステップと、
前記力が除去された後で前記カニューレの遠位端の最終位置を決定するステップを含む方法。
【請求項15】
前記力をカニューレの遠位端に加える前に、前記打撃部材を移動させて前記カニューレの遠位端に接触させることにより前記カニューレの遠位端の初期位置を決定するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記打撃部材を移動させて前記カニューレの遠位端に接触させることにより前記最終位置と前記初期位置との間で変化を判定するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記最終位置と前記初期位置との間の前記カニューレの角度の変化を判定するステップを更に含む、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記バレルの遠位端から一定の間隔を空けて設けられた前記カニューレの支点を画定するステップを更に含む、請求項14~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記支点を画定するステップが、一対の治具ブロック及び前記治具ブロックから延在する支持ブロックを前記治具に設けるステップを含み、前記支持ブロックが前記カニューレを支持する天板支持面と、前記薬物送達装置のバレルの遠位端から間隔が空けられ且つ前記カニューレの遠位端がより遠方に伸長する遠位端面を画定し、これにより前記カニューレの支点が前記支持ブロックの遠位端面に配置されている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カニューレの遠位端に横向きの力を加える前に前記カニューレの支点から所定の距離に前記打撃部材を配置するステップを更に含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記打撃部材を配置するステップが、前記打撃部材を前記カニューレの支点から約25
*D
2の距離に配置するステップを含み、Dは前記カニューレのミリメートル単位の外径である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記打撃部材を配置するステップが、前記カニューレの外径に基づいて複数のゲージブロックから1個のゲージブロックを選択し、前記選択されたゲージブロックを前記カニューレに隣接した治具に配置して、前記打撃部材を動して前記選択されたゲージブロックに接触させるステップを含む、請求項20又は21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2020年4月22日出願の米国仮特許出願第63/014006号に対する優先権を主張するものであり、その全文を参照により本明細書に引用している。
【0002】
本開示は一般に薬物送達装置の試験に関し、より具体的には、カニューレ及び/又は針等の薬物送達部材の弾性の試験に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の薬物送達は、例えば、剛性中空カニューレ及び/又は針の形の薬物送達部材を有する注射器の使用を通じて実現することができる。信頼性及び有効性を確保すべく、この種のカニューレ/針は、横方向に注入する何らかの方式の下で特定の弾性又は変形耐性を維持することを求める特定の標準及び/又は規制を制定することができる。従って製造業者には、このような標準及び/又は規制を確実に遵守すべく自社のカニューレ/針を試験することに利点がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の例によれば、薬物送達装置のカニューレの弾性を試験する治具アセンブリは治具ブロック及び可動打撃部材を含む。治具ブロックは、バレル容器を画定しており、遠位端面を有している。バレル容器は薬物送達装置を収容すべく適合されている。薬物送達装置はバレルを有し、カニューレは、薬物送達装置がバレル容器内に収容された場合、カニューレが治具ブロックから外へ遠位端面を越えて伸長するようにバレルの遠位端から伸長することにより、バレルの遠位端から間隔を空けた支点を遠位端面に有するものとしてカニューレを画定する。可動打撃部材は、支点から間隔を空けたカニューレの遠位端に選択的に負荷を加えるべく構成されている。
【0005】
第2の例によれば、薬物送達装置のカニューレの弾性を試験する方法は、バレルの遠位端に固定されたカニューレが治具から外へ伸長するように、薬物送達装置のバレルを治具内に固定するステップを含む。本方法は、打撃部材を用いてカニューレの遠位端に横向きの力を加えてカニューレの遠位端を閾値距離だけ移動させるステップを含む。本方法は、カニューレから力を除去するステップを含む。本方法は、力が除去された後のカニューレの遠位端の最終位置を決定するステップを含む。
【0006】
更に上述の第1及び/又は第2の例によれば、装置及び/又は方法が下記の1項以上を更に含んでいてよい。
【0007】
一例によれば、薬物送達装置はバレル容器内に配置されている。
【0008】
別の例によれば、打撃部材は、カニューレの遠位端面及び支点から所定の距離に配置されている。
【0009】
別の例によれば、所定の距離は約25*D2であり、ここにDはカニューレのミリメートル単位の外径である。
【0010】
別の例によれば、治具アセンブリはまた、打撃部材と遠位端面の間に所定の距離を設定する複数のゲージブロックを含む。各ゲージブロックは、複数の所定のカニューレゲージの1個に対応する明確な長さ寸法を有している。
【0011】
別の例によれば、各ゲージブロックは、約10ゲージ~約34ゲージのカニューレゲージに対応している。
【0012】
別の例によれば、図のブロックは、第1の治具ブロック及び第2の治具ブロックを含む。
【0013】
別の例によれば、第1の治具ブロック及び第2の治具ブロックはクラムシェル構成に結合されている。
【0014】
別の例によれば、各治具ブロックは第1の終端、第2の終端を有し、第1の終端と第2の終端の間に延在するバレル溝を画定し、第1及び第2の治具ブロックは、バレル溝が互いに整列して対応するバレル容器を形成するように互いに結合されるべく適合されている。
【0015】
別の例によれば、治具アセンブリはまた、第1の治具ブロックと第2の治具ブロックを互いに固定するラッチを含む。
【0016】
別の例によれば、治具アセンブリはまた、第1及び第2の治具ブロックの第2の終端に各々結合された第1の終端プレート及び第2の終端プレートを含む。各終端プレートはプランジャ溝を画定する。プランジャ溝は、薬物送達装置がバレル容器内に配置されている場合に薬物送達装置のプランジャロッドを収容するプランジャ容器を包括的に画定する。
【0017】
別の例によれば、治具ブロックは、天板支持面及び遠位端面を含む支持ブロックを含み、薬物送達装置がバレル容器内に収容された場合、カニューレは支持ブロックの天板支持面を横断して伸長する。
【0018】
別の例によれば、治具ブロックは第1の材料で形成され、支持ブロックは第1の材料とは異なる第2の材料で形成されている。
【0019】
別の例によれば、本方法はまた、打撃部材を移動させてカニューレの遠位端に接触させることによりカニューレの遠位端に力を加える前に、カニューレの遠位端の初期位置を決定するステップを含む。
【0020】
別の例によれば、本方法はまた、打撃部材を移動させてカニューレの遠位端に接触させることにより、最終位置と初期位置の間における変化を判定するステップを含む。
【0021】
別の例によれば、本方法はまた、最終位置と初期位置の間におけるカニューレの角度の変化を判定するステップを含む。
【0022】
別の例によれば、本方法は、バレルの遠位端から一定の間隔を空けて設けられたカニューレの支点を画定するステップを含む。
【0023】
別の例によれば、支点を画定するステップは、一対の治具ブロック及び当該治具ブロックから延在する支持ブロックを治具に設けるステップを含む。支持ブロックは、カニューレを支持する天板支持面及び薬物送達装置のバレルの遠位端から間隔が空けられ且つカニューレの遠位端がより遠方に伸長する遠位端面を画定し、これによりカニューレの支点が支持ブロックの遠位端面に配置されている。
【0024】
別の例によれば、本方法は、カニューレの遠位端に横向きの力を加える前に、カニューレの支点から所定の距離に打撃部材を配置するステップを含む。
【0025】
別の例によれば、打撃部材の配置は、打撃部材をカニューレの支点から約25*D2の距離に配置するステップを含み、Dはカニューレのミリメートル単位の外径である。
【0026】
別の例によれば、打撃部材の配置は、カニューレの外径に基づいて複数のゲージブロックから1個のゲージブロックを選択し、選択されたゲージブロックをカニューレに隣接した治具に配置して、打撃部材を移動して選択されたゲージブロックに接触させるステップを含む。
【0027】
添付の図面と合わせて以下の説明から本開示に対する理解がより深まるものと思われる。いくつかの図面は、他の要素をより明瞭に示す目的で選択された要素を省略することにより簡素化されている場合がある。いくつかの図面の要素のこのような省略は、対応する記述で明示的に表現されている場合を除き、例示的な実施形態のいずれにおいても特定の要素の有無を表すという訳ではない。また、いずれの図面も必ずしも一定の縮尺で描かれている訳ではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示の第1の例に従い構築された治具アセンブリの一実施形態の模式図である。
【
図3】打撃部材を含む圧縮試験機のベースプレートに固定された
図1の治具アセンブリの等角図である。
【
図4】薬物送達装置のバレルを固定する治具アセンブリ及びカニューレの初期位置を決定できるようにカニューレを係合する打撃部材の一部の等角側面図である。
【
図5】カニューレを閾値距離だけ移動させるべくカニューレに力を加える打撃部材と合わせた
図4に示す治具アセンブリの部分の等角側面図である。
【
図6】打撃部材からの力が除去された
図4に示す治具アセンブリの部分の等角図である。
【
図7】力が除去された後で、打撃部材がカニューレの最終位置を決定する
図4に示す治具アセンブリの部分の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示は一般に、カニューレ及び/又は針(以下に「カニューレ」と称する)等の薬物送達部材の弾性の決定に用いる試験用治具に関する。例示的弾性試験の実行中、カニューレを閾値時間にわたり閾値距離だけ曲げ、次いで解放することができる。例示的治具を用いて、これらの弾性試験の実行中に反復的に薬物送達装置を固定することができる。各試験の実行中にカニューレをほぼ同一の位置に配置することにより、カニューレの移動に用いる打撃部材をカニューレのほぼ同一の部分に接触させることができる。その結果、誰がどこで試験を行ったかに依らず試験をほぼ同様に実行することができる。
【0030】
薬物送達装置の上述の各構成要素について以下により詳細に述べる。
【0031】
図1は、本開示の第1の例に従い構築された治具アセンブリ100の一実施形態の模式図である。治具アセンブリ100は、図示する注射器等の薬物送達装置102の試験に用いられる。しかし、治具アセンブリ100は代替的に、自在カニューレを試験すべく構成されていてよい。薬物送達装置102は、バレル104、フランジ106、及びバレル104に結合されたカニューレ108等の薬物送達部材を含む。薬物送達装置102はまた、バレル104内に移動可能に配置されたプランジャロッド110を含む。プランジャ(図示せず)がプランジャロッド110に結合されて、バレル104内でスライド可能に配置されていてよい。しかし、本明細書に開示する試験は、バレル104内に配置されないプランジャロッド110を有する治具アセンブリ100を用いて実行されてよい。カニューレ108は、中空針等の剛性カニューレであっても、又はカニューレはいくつかのバージョンにおいて柔軟なカニューレであってもよい。一般に、弾性試験の実行中、薬物送達装置102は締め付けその他の仕方で内部に収容されていても、及び/又は治具アセンブリ100に固定されていてもよく、カニューレ108に対して力を加えてから除去する。その後、カニューレ108を測定して、力を加えた結果カニューレ108が可塑的に変形したか否かを判定する。
【0032】
ここで治具アセンブリ100を参照するに、治具アセンブリ100は、第1の治具ブロック112、第2の治具ブロック114、及び支持部116を含む治具ブロック111を含む。第1の治具ブロック112を上側治具ブロックと称し、第2の治具ブロック114を下側治具ブロックと称する場合がある。治具ブロック112、114の各々は第1及び第2の終端118、120を有し、終端118、120の間に延在するバレル溝122(
図2により明らかに示す)を画定する。バレル溝122は嵌合してバレル容器124を形成すべく適合されている。
【0033】
支持部116は、第2の治具ブロック114の第1の終端118に結合され、当該終端から延在する。バレル溝122は、バレル104を収容してカニューレ108が支持部116に被さり、弾性試験の実行中にカニューレ108が曲げられている場合カニューレ108の支点126(
図5参照)をバレル104の遠位端127から間隔を空けるべく適合されている。支点126は支持部116の遠位端面128に隣接して配置されていてよい。遠位端面128は、第2の治具ブロック114の第1の終端118から離れていて、カニューレ108に対する支点を形成する。別の例において、治具ブロック111は、第1及び第2の治具ブロック112、114を含んでいなくてもバレル容器124を画定でき、支持部116を含む。そのような例において、薬物送達装置102は、カニューレ108が遠位端面128を越えて伸長できるように第2の終端120から治具ブロック111内に搭載されていてよい。治具ブロック111内で薬物送達装置102を固定すべく用いるエンドキャップが含まれていてよい。
【0034】
支点126がバレル104の遠位端127から離れているため、弾性試験の実行中、カニューレ108自体は撓んでいるか又は曲げられている。しかし、支点126がカニューレ108とバレル104の結合部位にある場合、代わりにバレル104とカニューレ108の接着又は結合部位が撓んでいても/曲がっていてもよい。接着された結合部位を撓ませることで試験結果が不正確になる、及び/又はカニューレ108自体の弾性が試験されない恐れがある。
【0035】
引き続き
図1を参照するに、支持部116は支持ブロック130である。支持ブロック130は、第2の治具ブロック114の上向き表面134とほぼ平面をなす天板支持面132を有している。カニューレ108は、薬物送達装置102が治具アセンブリ100内で固定されている場合、天板支持面132に被さる。
【0036】
第1の治具ブロック112及び第2の治具ブロック114は、図示するようにクラムシェル構成に結合することができる。従って、治具ブロック112、114は回転可能に結合されてよい。
【0037】
ラッチ135を用いて第1の治具ブロック112と第2の治具ブロック114を互いに固定する。ラッチ135はクランプと称する場合がある。ラッチ135は、第2の治具ブロック114に回転可能に結合された雄部136と、第1の治具ブロック112に結合された雌部138を含む。雄部136及び雌部138を、留め具(例:ボルト)を用いて治具ブロック112、114に結合された状態で示す。しかし、雄及び/又は雌部136、138は異なる仕方で治具ブロック112、114に結合されてよい。例えば、雄及び/又は雌部136、138は対応する治具ブロック112、114に鑞接されていても、及び/又は接着剤を用いてもよい。
【0038】
図示する例において、雄部136は、雌部138の溝142を貫通して延在するねじ込み式の細長い留め具140を含む。ナット144が雄部136にあてがわれて雌部138の前面146にねじ込まれて治具ブロック112、114を互いに固定する。しかし、別の例において、治具ブロック112、114は異なる仕方で結合されてよい。例えば、複数の留め具を用いて第1の治具ブロック112と第2の治具ブロック114を互いに結合してもよい。他の方法も適していることが分かる。
【0039】
上側終端プレート152及び下側終端プレート154は、対応する治具ブロック112、114の第2の終端120に結合された状態で含まれていてよい。終端プレート152、154は、留め具を用いて治具ブロック112、114に結合された状態で示している。終端プレート152、154と治具ブロック112、114を結合する他の複数の方法も適していることが分かる。図示する例において、各々の終端プレート152、154は、互いに嵌合してプランジャ容器158を形成するプランジャ溝156を画定する。薬物送達装置102が治具アセンブリ100内で固定されていれば、薬物送達装置102のプランジャロッド110はプランジャ容器158を貫通して伸長できる。
【0040】
治具ブロック112、114は第1の材料で形成されていてよく、支持部116は第2の材料で形成されていてよい。一例において、治具ブロック112、114はアルミニウム等の金属で形成され、支持部116はポリエーテルエーテルケトンPEEK等のプラスチックで形成されている。支持部116にPEEKを用いることでカニューレ108の摩耗を減らすことができる。しかし、他の材料が治具ブロック112、114、及び/又は支持部116の形成に適していることが分かり、治具ブロック112、114及び/又は支持部116は同一又は異なる材料で形成されていてよい。
【0041】
図2は、
図1の治具アセンブリ100の拡大図である。治具ブロック112、114は、側面159、160を含み、図示する例において、ヒンジ162により側面159で回転可能に結合されている。2個のヒンジ162を示しているが、代替的に任意の個数のヒンジが含まれていてよい。ラッチ135を用いて第2の側面160で治具ブロック112、114を選択的に結合する。
【0042】
図示する例において、支持部116は薬物送達装置102のバレル104の終端を収容すべく適合されたバレルシート164を含む。弾性試験の実行中、バレル104の遠位端127はバレルシート164を圧迫することができる。バレルシート164は切り欠きと称する場合がある。バレルシート164は、半円状の溝により形成されていても、又は薬物送達装置102の断面の少なくとも一部に対応する断面を有していてもよい。他の実装において、且つ試験中の薬物送達装置102の長さ(例:バレル104の長さ)に基づいて、バレルシート164の形状、寸法等を変更する、及び/又は省略することがきる。更に、同一又は異なる製造業者により製造された異なるスタイル及び/又はブランドの薬物送達装置に対応すべく治具アセンブリ100に対する追加的又は代替的な変更がなされてよい。例えば、いくつかの実装において、中心合わせ部品(例:細片、Oリング、又は他の構造)を治具ブロック112、114と共に用いて、例えば異なる物理的形状及び/又は寸法を有しているシリンジバレルに対応することができる。考察する一つのバージョンにおいて、例えば、治具ブロック112、114は、対応するバレル溝122に接続されていて、そこから外向きに延在する、バレル溝122の縦方向寸法に垂直な対向溝を画定することができる。これらの対向する溝はエラストマ材料を、例えば治具アセンブリ100に対して薬物送達装置102、バレル104、及び/又はカニューレ108の中心を合わせる、及び/又は固定すべく用いるゴム細片の形状で収容することができる。他の構成も可能である。
【0043】
治具ブロック112、114はまた、第2の終端120に隣接するフランジ溝165を各々画定する。フランジ溝165は、薬物送達装置102のフランジ106と嵌合して収容すべく適合されている。フランジ溝165により、異なる薬物送達装置に対して弾性試験を実行している間、薬物送達装置102をほぼ同一の固定位置に配置できるようにする。終端プレート152、154はまた、治具ブロック112、114に結合されている場合フランジ溝165の一部を形成する。
【0044】
図3~6に、弾性試験の実行中に治具アセンブリ100を用いる処理を示す。
【0045】
図3は、圧縮試験機168のベースプレート166に固定された
図1の治具アセンブリ100の等角図である。圧縮試験機168は、打撃ピンとして示す打撃部材170を含む。圧縮試験機168は力試験機であってよい。
【0046】
図示する例において、ゲージ172は支持部116に配置されている。ゲージ172はゲージブロックと称する場合がある。ゲージ172はL字状であって上側脚部174及び下側脚部176を含む。
【0047】
実際には、ゲージ172を用いて支持部116の表面180(
図1参照)と打撃部材170の距離178を画定する。いくつかの例において、距離178は式1により定義され、Dは距離178に対応し、直径はカニューレ108の外径に対応している。カニューレ108の直径はミリメートル単位、距離178はミリメートル単位であってよい。直径の2乗が面積の測定値であるとしても、距離Dが長さの測定値であることに注意されたい。一例において、カニューレ108の外径は約1.0ミリメートルである。
式1:
D=25(直径
2)
【0048】
打撃部材170の終端182は例えば、弾性試験の実行中にカニューレ108の遠位端171と係合して移動させるのに適合されている。カニューレ108の遠位端171は治具アセンブリ100から伸長する。打撃部材170は、先端が尖っていても又は丸くてもよい。
【0049】
打撃部材170の位置を調整してゲージ172と係合させて、距離178を画定すべく、治具アセンブリ100及びゲージ172を打撃部材170に向けて移動させてよい。ゲージ172が打撃部材170を係合した後で、ゲージ172と治具アセンブリ100を更に打撃部材170に向けて移動させることはできず、治具アセンブリ100はベースプレート166に固定されている。図示する例において、治具アセンブリ100は、治具アセンブリ100を圧縮試験機168に結合すべく留め具186が貫通して延在するスロット184を含む。留め具186とスロット184の相互作用により、矢印188により略示す方向に治具アセンブリ100を移動させることができる。
【0050】
図3にはゲージ172を示しているが、異なるゲージブロックを用いてもよい。例えば、複数のゲージブロックを提供して各々のゲージブロックが異なるカニューレゲージ(例:針ゲージ)に関連付けられた明確な長さ寸法(例:幅)を有するようにできる。ゲージ172を含むゲージブロックは、約10ゲージ~約34ゲージのカニューレゲージと共に用いられてよい。一例において、ゲージ172には20ゲージ、21ゲージ、22ゲージ、23ゲージ、25ゲージ、29ゲージ、30ゲージ、又は31ゲージを有するカニューレが関連付けられている。
【0051】
カニューレ108の弾性を判定する前に、打撃部材170はまた、約1ニュートン(N)から5Nの力が記録されるまで、打撃部材170を治具アセンブリ100及び/又は支持部116に接触させることによりゼロにできる。軸高を「ゼロ」と定義してよい。弾性試験の開始時及び/又は開始前に、打撃部材170を治具アセンブリ100上方で移動させて薬物送達装置102を治具アセンブリ100内で固定することができる。
【0052】
図4は、薬物送達装置102のバレル104と、カニューレ108に係合する打撃部材170とを固定してカニューレ108の初期位置を決定できるようにする治具アセンブリ100の一部の等角側面図である。薬物送達装置102が治具アセンブリ100内で固定された状態で、バレル104に挿入されたカニューレ108が治具アセンブリ100から伸長することができる。カニューレ108が支持部116に被さって支持ブロック116の遠位端面128を越えて伸長する様子を示す。図示する例において、打撃部材170が弾性試験の実行中にカニューレ108を曲げる/移動させる前に圧縮試験機168がカニューレ108の初期位置を決定できるように、打撃部材170がカニューレ108に接触している様子を示す。
【0053】
一例において、打撃部材170が最初にカニューレ108に接触する場合、打撃部材170が約5ミリメートル(mm)/分の速度でカニューレ108に接近する。しかし、打撃部材170は、約0.1mm/分~約500mm/分の速度、又は別の速度でカニューレ108に接近することができる。打撃部材170は、ゲージ172により設定される距離178により画定されるカニューレ108の部分189でカニューレ108に接触することができる。打撃部材170は、約0.15Nの力が記録された後で約1秒間にわたり移動を停止することができる。打撃部材170の軸距離は、カニューレ108の初期位置として記録されてPiで表すことができる。
【0054】
図5は、カニューレ108を閾値距離190だけ移動させるべく打撃部材170がカニューレ108に力を加えている状態での
図4に示す治具アセンブリ100の部分の等角側面図である。閾値距離190を試験条件又は閾値量と称する場合がある。弾性試験の実行中、打撃部材170はカニューレ108を、所与の曲げ角(単位:度)、所与の軸距離、及び/又は所与の量の力を閾値時間にわたり曲げることができる。支点126が薬物送達装置102のバレル104の遠位端127から距離192だけ離されて支持部116の上に形成された様子を示す。
【0055】
一例において、弾性試験の実行中、打撃部材170はカニューレ108に、約5mm/分の速度でベースプレート166に向かう横向きの力を矢印193で示す方向に加える。別の例において、打撃部材170を、約0.1mm/分~約500mm/分の速度でベースプレート166に向けて閾値距離に達するまで移動させることができる。一例として、いくつかの弾性試験ではカニューレ108を初期位置から12度の角度に曲げて60秒間にわたり12度に保つことが求められる。しかし、異なる国の弾性試験には異なる要件があり得る。
【0056】
図6は、打撃部材170から力を除去した状態での
図4に示す治具アセンブリ100の部分の等角図である。従って、カニューレ108は打撃部材170により移動させられた後で自身の自然な状態及び/又は最終位置に移動できている。一例において、閾値距離190に達した後で、打撃部材170は約500mm/分の速度でカニューレ108から離されてよい。別の例において、打撃部材170は、約0.1mm/分~約2000mm/分の任意の速度でカニューレ108から離されてよい。打撃部材170を移動させる他の速度も適していることが分かるであろう。
【0057】
図7は、力が除去された後のカニューレ108の最終位置を打撃部材170が決定している状態での
図4に示す治具アセンブリ100の部分の等角図である。カニューレ108を検査して、カニューレ108が自身の初期位置に戻ったか否か、又はカニューレ108に負荷が掛けられていた間に塑性変形が生じたか否かを判定することができる。従って、開示する複数の例を用いて、カニューレ108の塑性変形(生じていれば)を、カニューレ108の初期位置とカニューレ108の最終位置の間における変化を測定することにより定量化することができる。初期位置と最終位置の間における変化はミリメートル単位又は度単位の偏向角で定義することができる。
【0058】
弾性試験の結果の出力は圧縮可能な試験機108により生成することができる。結果は、ユーザーインターフェースに結果を表示する、異なる装置で結果にアクセス可能にする、結果を印刷する等、異なる方法を用いて表示することができる。
【0059】
一例において、カニューレ108の最終位置を決定すべく、打撃部材170は約5mm/分の速度でカニューレ108に接近することができる。別の例において、打撃部材170は約0.1mm/分~約500mm/分の速度でカニューレ108に向けて移動できる。打撃部材170は、カニューレ108の部分189のカニューレ108に接触して約0.15Nの力が記録された後で約1秒間にわたり移動を停止することができる。打撃部材170の軸距離はカニューレ108の最終位置として記録されてPfで表すことができる。
【0060】
式2を用いてカニューレ108の位置の変化(曲がり)を判定することができ、Piはカニューレ108のミリメートル単位の初期位置、Pfはカニューレ108のミリメートル単位の最終位置、Dはカニューレ108のミリメートル単位の名目外径であり、偏向角は、カニューレ108の初期位置とカニューレ108の部分189に力を加えた後のカニューレ108の最終位置とにより形成される角度である。
式2:
【数1】
【0061】
撓みはまた、距離Pf-Piとして求められる。
【0062】
本開示について各種の実施形態との関連で述べてきたが、本開示には更なる変更が可能であることが理解されよう。本開示は、開示する主題の、一般に本開示の原理に従うあらゆる変形、使用、又は適合を包含し、且つ本開示が関係する当技術分野における公知及び慣習的な実施の範囲内で本開示からのそのような逸脱を含むことを意図されている。
【0063】
各種の例示的な実施形態に示すような、薬物送達装置の構造及び構成、及び各種の要素並びにアセンブリが説明目的に過ぎないことに注意されたい。本開示では注目する主題の僅かな実施形態だけを詳述したが、本開示を精査する当業者には、本明細書に開示する主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく多くの変更(例:各種要素のサイズ、寸法、構造、形状及び比率、パラメータの値、搭載配置、材料の使用、色、向き等のバリエーション)が可能であることが容易に理解されよう。例えば、一体形成されたものとして示す要素が複数の部分又は要素で構成されていても、又はその逆であってもよい。また、要素の位置を反転又は別途変更することができ、別々の要素の性質又は個数或いは位置を変更又は変化させることができる。従って、このような変更は全て、添付の請求項で規定される本開示の範囲内に含まれるものとする。更に、任意の処理又は方法ステップの順序又は並びを代替的な実施形態に従い変更又は並べ替えてもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、各種の例示的な実施形態の設計、動作条件及び配置に他の置換、変更、変化及び省略を行なってもよい。
【国際調査報告】