(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】改善されたモーター効率のための弱め界磁を伴うパルス変調制御
(51)【国際特許分類】
H02P 27/06 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
H02P27/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562309
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 US2021022756
(87)【国際公開番号】W WO2021216228
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520347203
【氏名又は名称】トゥラ イーテクノロジー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】カーヴェル,ポール
(72)【発明者】
【氏名】トリパシ,アディア エス.
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505BB02
5H505CC01
5H505DD03
5H505DD05
5H505DD08
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5H505EE02
5H505EE07
5H505EE48
5H505EE49
5H505GG01
5H505HB01
5H505LL41
(57)【要約】
(a)要求されたトルク需要が電気機械のピーク効率のトルクを超えるときに連続モードで、或いは、(b)要求されたトルク需要が電気機械のピーク効率トルク未満のときはパルス化変調モードで、電気機械を動作させることにより、よりエネルギー効率に優れた方式で望ましい出力を供給する、電気機械の変調パルス制御である。パルス化変調モードで動作しているとき、逆電磁力(BEMF)が機械のインバータの供給電圧を超過している状況で制動トルクの生成を軽減又は除去するために、弱め界磁が必要とされていない場合にシステム効率を更に改善するために、インバータを停止することができる。
【選択図】
図7A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法において、
トルク需要を受け取るステップと、
前記受け取られたトルク需要が閾値を超過している場合に連続モードにおいてモーターを動作させるステップと、
前記受け取られたトルク需要が前記閾値未満である場合にパルス化モードにおいて前記モーターを動作させるステップと、
前記モーターの逆電磁力(BEMF)が前記モーターを励起するために使用されているパワーインバータに印加されている供給電圧超である場合に前記モーターに弱め界磁を印加するステップと、
前記パルスモードにおいて動作しているときに、パルス間の時間期間において前記弱め界磁を前記モーターに適用するときに、前記インバータを起動状態に維持するが、トルクを要求しないステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記パルスモードにおいて動作しているときに、パルス間の前記時間期間において弱め界磁が印加されていないときに、前記インバータを停止するステップを更に有することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記モーターの前記BEMFが、前記連続モード及び前記パルス化モードにおいて前記パワーインバータに印加されている前記供給電圧未満である際に、前記モーターに弱め界磁を印加しないステップを更に有することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法において、前記パルスモードにおいて前記モーターを動作させているときにパルス用のデューティサイクルを特定するステップを更に有し、前記パルスの前記デューティサイクルは、前記要求された平均トルク需要を充足するために十分なものであることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記パルスモードにおいて前記モーターを動作させているときにパルスを変調するためにシグマ-デルタ変調を使用するステップを更に有することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法において、前記弱め界磁が前記モーターに印加されるときに、前記モーターが、制動トルクの生成を防止又は軽減するステップを更に有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法において、前記パルス化モードにおいて前記モーターを動作させるステップは、前記モーターが前記閾値以上のトルクを生成しているパルスを、前記モーターが前記パルス間の時間期間においてトルクを生成していない期間と共に散在させるステップを更に有し、前記モーターが動作している前記パルスは、前記パルスにおける前記モーターの平均トルク出力が、前記要求されたトルク需要を充足するために十分であるデューティサイクル及び大きさを有することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法において、前記モーター用の効率トルクマップにアクセスすることにより、前記受け取られたトルク需要が所与のモーター速度用の前記モーターの前記閾値を超過しているかどうかを特定するステップを更に有し、
前記効率トルクマップは、ヒステリシス損失マップ、渦電流損失マップ、銅損失マップ、インバータ損失マップ、又はモーターシャフト損失マップを含む群から選択された前記モーターの1つ又は複数の動作パラメータの損失マップから導出されていることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法において、前記モーターの前記BEMFが前記供給電圧未満であるかどうかを特定するステップと、前記モーターの前記BEMFが前記供給電圧未満であるときに前記パルス化モードにおいてパルスの間の期間に前記インバータを停止するステップと、を更に有することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法において、前記閾値は、前記モーターの現時点の速度に依存しており、且つ、前記モーター用のピーク効率トルクと同一であるか又はこれから導出されていることを特徴とする方法。
【請求項11】
モーター組立体において、前記組立体のモーターの逆電磁力(BEMF)が、前記モーターを励起するために使用されているインバータに提供されている供給電圧を超過している際に、前記モーターのパルス化モード動作において弱め界磁を印加するように構成されていることを特徴とするモーター組立体。
【請求項12】
請求項11に記載のモーター組立体において、
弱め界磁が印加されているときに、パルス間の時間期間に起動された状態において、但し、ゼロの要求されたトルクを伴って、前記インバータを維持するステップと、
弱め界磁が印加されていないときに、パルス間の時間期間に停止された状態において前記インバータを維持するステップと、
を更に有することを特徴とするモーター組立体。
【請求項13】
請求項11又は12に記載のモーター構成において、
前記モーター用のトルク需要を受け取り、
前記受け取られたトルク需要が閾値トルクを超過している場合に連続モードにおいて前記モーターを動作させ、且つ、
前記受け取られたトルク需要が前記閾値トルク未満である場合に前記パルス化モードにおいて前記モーターを動作させる、
ように構成されたトルク決定モジュールを更に有することを特徴とするモーター構成。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記トルク変調決定モジュールは、前記受け取られたトルク需要がそれぞれ前記モーターの前記閾値トルクを上回るか又は下回るかに応じて、前記連続モードにおける前記モーターの連続動作又は前記パルス化モードにおけるパルス動作を通知する波形を、前記インバータに提供するように更に構成されていることを特徴とするモーター組立体。
【請求項15】
請求項11乃至14のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記波形は、前記パルスモードにおいて前記モーターを動作させる際の前記パルス用のデューティサイクルを通知していることを特徴とするモーター組立体。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記インバータは、(a)前記モーターの前記BEMFが前記インバータに提供されている前記供給電圧を超えるときに前記弱め界磁を印加するように、或いは、(b)前記BEMFが前記インバータに提供される前記供給電圧未満であるときに前記弱め界磁を印加しないように、弱め界磁モジュールを更に含むことを特徴とするモーター組立体。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記パルス化動作において前記モーターのパルス化を制御するために、前記インバータ用の変調された波形を生成するためにシグマ-デルタ変調を使用するように構成された、シグマ-デルタトルク変調モジュールを更に有することを特徴とするモーター組立体。
【請求項18】
請求項11乃至17のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記モーターは、
内部永久磁石モーター、
表面永久磁石モーター
誘導モーター、
同期リラクタンスモーター、
永久磁石支援型同期リラクタンスモーター、
他励誘導モーター、
磁束スイッチングモーター、及び、
スイッチリラクタンスモーター、
というタイプのモーターを含む群から選択されていることを特徴とするモーター組立体。
【請求項19】
請求項11乃至18のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記モーターの前記BEMFが前記モーターを励起するために使用されている前記インバータに提供されている供給電圧を超過しているときに、前記モーターの連続動作のときにも弱め界磁を印加するように更に構成されていることを特徴とするモーター組立体。
【請求項20】
請求項11乃至19のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記モーターは、前記モーターと関連する界磁を弱めることによる前記弱め界磁に応答して前記BEMFを低減する能力を有することを特徴とするモーター組立体。
【請求項21】
請求項11乃至20のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記モーターは、発電機として動作する能力を有する電気機械であることを特徴とするモーター組立体。
【請求項22】
請求項11乃至21のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記インバータは、BEMFが前記供給電圧を超過していないときの状況において、制動モータートルクの生成を軽減又は除去するために弱め界磁が必要とされていないときに、前記パルス化動作において停止されていることを特徴とするモーター組立体。
【請求項23】
請求項11乃至22のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記閾値トルクは、前記モーターの速度に依存しており、且つ、前記モーター用のピーク効率トルクと同一であるか又はこれから導出されていることを特徴とするモーター組立体。
【請求項24】
少なくとも3つのモードにおいて動作するように構成されたモーター組立体において、3つのモードは、
(a)前記モーターについて要求されたトルク需要が閾値を超過している際の連続モード、
(b)前記モーターを励起するために使用されているインバータが、(i)前記トルク需要が閾値トルク未満である、且つ、(ii)前記モーターの逆電磁力(BEMF)が前記インバータに提供されている供給電圧未満である、際にパルスの間の期間において停止されている第1パルス化モード、及び、
(c)前記インバータが、(i)前記トルク需要が閾値トルク未満である、且つ、(ii)前記モーターの逆電磁力(BEMF)が前記インバータに提供されている前記供給電圧超である、際にパルスの間の期間において起動されているが、トルクは要求されていない第2パルス化モード、
を含むことを特徴とするモーター組立体。
【請求項25】
請求項24に記載のモーター組立体において、前記モーターの前記BEMFが前記インバータに提供されている前記供給電圧超であるときは常に前記モーターに対して弱め界磁を印加するように更に構成されており、前記弱め界磁は、前記モーターが制動トルクを生成することを防止又は軽減するように機能することを特徴とするモーター組立体。
【請求項26】
請求項24又は25に記載のモーター組立体において、前記モーターは、
内部永久磁石モーター、
表面永久磁石モーター
誘導モーター、
同期リラクタンスモーター
永久磁石支援型同期リラクタンスモーター、
他励誘導モーター、
磁束スイッチングモーター、及び、
スイッチリラクタンスモーター、
のタイプのモーターを含む群から選択されていることを特徴とするモーター組立体。
【請求項27】
請求項24乃至26のいずれか1項に記載のモーター組立体において、パルスは、前記パルスにおける前記モーターの平均トルク出力が前記要求されているトルク需要を充足するために十分なデューティサイクル及び大きさを有することを特徴とするモーター組立体。
【請求項28】
請求項24乃至27のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記閾値トルクは、前記モーターの速度に依存していることを特徴とするモーター組立体。
【請求項29】
請求項24乃至28のいずれか1項に記載のモーター組立体において、前記閾値トルクは、前記モーターのピーク効率トルクと同一であるか又はこれから導出されていることを特徴とするモーター組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年4月21日付で出願された「Pulsed Modulated Control with Field Weakening for Improved Motor Efficiency」という名称の米国仮特許出願第63/013,396号及び2021年3月15日付で出願された「Dynamic Motor Drive:Optimizing Electric Motor Controls to Improve Efficiency」という名称の米国仮特許出願第63/161,405号の優先権を主張するものであり、これらの特許文献は、いずれも、引用により、すべての目的のために本明細書に包含される。
【0002】
本出願は、一般に、よりエネルギー効率に優れた方式で望ましい出力を選択的に供給するための電気機械の変調パルス制御に関し、更に詳しくは、逆電磁力(BEMF)がモーターインバータ用の供給電圧を超過している状況において、制動モータートルクの生成を軽減又は除去するために弱め界磁を使用する、パルス変調制御に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書において使用されている「電気機械」という用語は、電気モーター及び発電機の両方を意味するべく広く解釈されるように意図されている。電気モーター及び発電機は、構造的に非常に類似している。いずれも、いくつかの極を有するステーターと、1つのローターと、を含む。電気機械は、モーターとして動作しているときは、電気エネルギーを機械的エネルギーに変換している。発電機として動作しているときは、電気機械は、機械エネルギーを電気エネルギーに変換している。
【0004】
現在の電気機械は、相対的に高いエネルギー変換効率を有する。但し、大部分の電気機械のエネルギー変換効率は、その動作負荷に基づいて相当に変化し得る。多くの用途においては、電気機械は、様々な異なる動作負荷状態下で動作することが必要とされている。その結果、機械は、通常、特定の時点では、最高効率のレベルで又はその近傍で動作している一方で、その他の時点では、より低い効率レベルで動作している。
【0005】
電池によって電力供給される電気車両は、様々な効率レベルで動作する電気機械の良好な例を提供する。通常の運転サイクルにおいて、電気車両は、加速、クルージング、減速、制動、コーナリング、などを実行する。特定のローター速度及び/又はトルクの範囲内において、電気機械は、最も効率的な動作ポイント、即ちその「スイートスポット」で又はその近傍で動作する。これらの範囲の外側では、電気機械の動作は、あまり効率的ではない。運転状態が変化すると、ローター速度及び/又はトルクが変化するのに伴って、電気機械は高い動作効率レベルと低い動作効率レベルとの間を遷移する。高効率動作領域内で運転サイクルのより大きな割合を動作させるように電気機械を製作することができれば、所与の電池電荷レベルにおける車両の範囲が広がることになろう。電池によって電力供給される電気車両の範囲が限られていることが、電気車両の使用における主要な商業的障害であることから、車両の動作範囲の拡張は非常に有利である。
【0006】
従来の電気機械のエネルギー変換効率は全般的に良好ではあるが、動作状態のより広い範囲にわたってエネルギー変換効率を更に改善するための努力が続けられている。
【発明の概要】
【0007】
本出願は、よりエネルギー効率に優れた方式で望ましい出力を選択的に供給するための、電気機械の変調パルス制御に関する。
【0008】
非限定的な一実施形態において、電気機械は、(a)要求されているトルク需要が指定されたパルス化閾値を超えているときは連続的モードで、或いは、(b)要求されているトルク需要がパルス化閾値未満であるときはパルス変調モードで、動作する。パルス変調モードで動作しているときはデューティサイクルが定義され、且つ、機械のインバータがパルス化されている。パルスのデューティサイクル及び大きさを適切に選択することにより、パルス化における機械の平均シャフトトルクは、継続的に動作した場合の機械のシャフトトルク出力と等しくなる。但し、モーターは、パルスの間、そのピーク効率性トルクで又はその近傍で動作していることから、ピーク効率トルク未満の連続動作と比較すると、機械の全体的な効率が改善されている。いくつかの実施形態において、パルス化閾値は、電気機械のシャフト速度の関数として変化する。いくつかの実施形態において、任意の特定の機械速度におけるパルス化閾値は、その機械速度におけるピーク効率トルクであるか、又はこれに近接する。
【0009】
パルスの間はインバータが有効になっており、且つ、モーターは、そのピーク効率レベルで又はその近傍でトルクを生成している。パルスの間の期間は、インバータは理想的には、電気機械がトルクを生成しないように無効になっている。但し、弱め界磁に対するニーズがある場合、このニーズは一般に、モーターの逆電磁力(BEMF)がインバータの電力供給を超過しているときに発生するが、インバータは有効状態に留まるが、トルクは要求されない(即ち、ゼロトルクである)。この結果、インバータは、パルスの間のゼロトルク期間において、弱め界磁の印加を継続することができる。電気モーターがモーターとして動作しているとき、弱め界磁は、この弱め界磁がなければパルスの間にモーターによって生成される、あらゆる制動トルクを軽減又は除去している。
【0010】
様々な実施形態において、電気機械は、弱め界磁を印加することによってBEMFを低減する能力を有する、任意のタイプの電気機械である。代表的な電気機械は、限定するものではないが、内部永久磁石、表面永久磁石、誘導、同期リラクタンス、永久磁石支援型同期リラクタンス、他励誘導、磁束スイッチング、スイッチリラクタンス、及びその他のタイプの機械を含む。
【0011】
記述されている方式は、モーター及び発電機の両方のエネルギー変換効率を改善するために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明及びその利点については、以下のとおりである添付図面との関連において提供されている以下の説明を参照することにより、十分に理解することができよう。
【0013】
【
図1】
図1は、異なる動作状態下において電気モーターとして動作している状態の代表的な電気機械のエネルギー変換効率を示す代表的なトルク/速度/効率グラフである。
【
図2】
図2は、本発明の非限定的な一実施形態によるパルス化制御された電気機械を示す。
【
図3】
図3は、モーターとして動作している間にトルク需要に応答して電気機械に印加されるパルス化電流信号を示すグラフである。
【
図4】
図4Aは、電気機械に提供される連続三相AC波形の図式的な表現である。
図4Bは、
図4Aの連続波形と同一のトルクを提供する類似のデューティサイクルを有するパルス化三相AC波形の異なる例である。
図4Cは、
図4Aの連続波形と同一のトルクを提供する類似のデューティサイクルを有するパルス化三相AC波形の異なる例である。
【
図5】
図5は、例示用の電気機械用の変調効率マップ、ピーク効率トルクマップ、及びゼロトルク損失マップの生成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の非限定的な一実施形態による電気機械に供給されるエネルギーを変調するためのコントローラを示す図である。
【
図7A】
図7Aは、電気機械の制御を変調するための制御ステップを示すフロー図である。
【
図7B】
図7Bは、電気機械の制御を変調するための制御ステップを示すフロー図である。
【
図8】
図8Aは、様々な実施形態による様々な状態下において電気モーターを励起するために使用される三相化ACパワー信号の例である。
図8Bは、様々な実施形態による様々な状態下において電気モーターを励起するために使用される三相化ACパワー信号の例である。
図8Cは、様々な実施形態による様々な状態下において電気モーターを励起するために使用される三相化ACパワー信号の例である。
図8Dは、様々な実施形態による様々な状態下において電気モーターを励起するために使用される三相化ACパワー信号の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面では、しばしば、同一の構造的要素を表記するために同一の参照符号が使用されている。また、図中の描画は、図式的であり、且つ、縮尺が正確ではないことをも理解されたい。
【0015】
パルス化電気機械制御については、2020年3月13日付けで出願された米国特許出願第16/818,570号明細書、2019年3月14日付けで出願された米国特許出願第16/353,159号明細書、並びに、2018年3月19日付けで出願された米国仮特許出願第62/644,912号明細書、2018年4月17日付けで出願された米国仮特許出願第62/658,739号明細書、及び2019年2月26日付けで出願された米国仮特許出願第62/810,861号明細書において記述されている。上述の特許出願のそれぞれは、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0016】
本出願は、さもなければ連続的な方式で動作させられる、様々な電気機械(例えば、電気モーター及び発電機)のパルス化制御に対する更なる改善に関する。わかりやすさを目的として、以下の説明は、主にモーターとして動作する電気機械に関連して記述されている。但し、モーターに関連して記述されている概念は一般に、発電機として動作する電気機械にも等しく適用可能であることを理解されたい。
【0017】
車両モーター効率マップ
図1を参照すれば、異なる負荷及び速度状態下においてモーターとして動作している状態の、例示用の車両電気機械効率マップ100が示されている。マップ10は、水平方向軸に沿った電気機械速度(RPM)の関数として垂直方向軸に沿ったトルク(N*m)をプロットしている。最大安定状態出力パワーが曲線102によって付与されている。
【0018】
ピークトルク/速度曲線102の下方のエリアは、それぞれが動作効率百分率によってラベル付けされている複数の領域にマッピングされている。図示の特定の電気機械の場合には、以下の特性が明白である。
・その動作範囲の最も効率的な領域、すなわち「スイートスポット」領域は、104というラベルが付与されている動作領域であり、これは、一般に、約40~70N*mの範囲内のトルク出力を有する、4,500~6,000RPMの範囲内である。領域104内において、エネルギー変換効率は96%のレベルにあり、これにより、ここが「スイートスポット」となっており、モーターは、その最も効率的な動作範囲内で動作している。
・モーター速度が約6,000+RPMを超えて増大するのに伴って、効率は、出力トルクとは無関係に減少する傾向を有する。
・出力トルクが70N*mを超えて増大するか又は40N*M未満に降下するのに伴って、効率百分率は、いくつかの状況ではかなり大幅に、そのピークから減少する傾向を有する。例えば、モーターが約2,000RPM及び100N*mの出力トルクにおいて動作しているときは、効率は約86%である。トルク出力が約30N*m未満に降下したときは、モーター速度とは無関係に効率は低下し、ゼロ負荷ではゼロに近づく。
・任意の特定の電気機械速度に対応する最も効率的な出力トルクが存在し、このことは、最大効率曲線106によって図式的に示されている。
【0019】
図示のマップ100は、2010年製のトヨタプリウスにおいて使用されている電気モーターから導出されたものである。マップ100は、内部永久磁石同期電気機械におけるものである。このマップ100は例示を目的としたものに過ぎず、且つ、決して限定として解釈されてはならないことを理解されたい。車両内で、又は他の用途に使用されるかどうかにかかわらず、任意の電気機械について類似のマップを生成することができる。
【0020】
マップ100から観察され得るように、モーター動作している際には、電気機械は、一般に、スイートスポット104の速度及びトルク範囲内において動作している際に最も効率的である。動作状態が、モーターがそのスイートスポット104において又はその近傍において時間のより大きな割合を動作させるように制御され得る場合には、モーターの全体的なエネルギー変換効率を格段に改善することができる。
【0021】
但し、実際的な観点からは、多くの運転状況は、モーターがスイートスポット104の速度及びトルク範囲の外側において動作することを強制している。電気車両はトランスミッション又はギアボックスを持たないことが一般的であり、従って、車輪回転レートに対する電気モーター回転レートの比率が固定されている。この場合、モーター速度は、車両が停止しているときのゼロと、高速道路速度でクルージングしているときのより大きなRPMとの間で変化し得る。また、トルク要件も、車両が加速しているのか、減速しているのか、上り坂を進行しているのか、下り坂を進行しているのか、水平な表面上において移動しているのか、制動しているのか、などのような要因に基づいて広く変化し得る。
【0022】
また、
図1において観察されるように、任意の特定の速度において、最大効率曲線106によって図式的に示されている、対応する最も効率的な出力トルクが存在する。概念的な立場からは、望ましいモータートルクが現時点のモーター速度用の最も効率的な出力トルク未満であるときには、所与の速度におけるそのピーク効率で又はその近傍では、ある時間の割合にわたって、そして低い又はゼロトルク出力レベルでは、その時間の残りの部分にわたってモーターを動作させるように、モーターをパルス化することにより、そのモーターの全体的な効率を改善することができる。このようにして生成される平均トルクは、電気機械に印加されるピーク効率トルクのデューティサイクルを制御することにより制御される。
【0023】
電気機械は、発電機として機能するときにその効率を特徴付ける、類似の効率性マップを有することを理解されたい。
【0024】
パルス化動作
図3は、パルス化モーター動作の一例を図示的に示すグラフ30である。この特定の例では、望ましいモータートルクは、10Nmであるが、現時点の動作モーター速度用の最も効率的なトルク出力は、50Nmである。概念的に、モーターは、モーターが時間の20%にわたって50Nmのトルクを供給し、次いで、時間の残りの80%にわたってトルクを供給しない(ゼロトルクを供給する)ようにすることにより、10Nmの正味トルクを供給するように駆動することができる。モーターは、10Nmを供給しているときよりも50Nmを供給しているときに、より効率的に動作することから、記述されている方式でモーターの動作をパルス化することにより、モーターの全体的な効率を改善することができる。
図3に示されている例では、モーターは、5時間単位ごとに1時間単位の期間にわたって(34とラベル付けされた)50Nmのモーター出力を生成し、次いで、モーターは、介在している4時間単位ではゼロトルクを生成するように制御される。
【0025】
図3において、グラフ30は、垂直方向軸上に、(電気モーターとして機能している)電気機械12に対する合計印加電流を、水平方向軸上に時間をプロットしている。例示を目的として、印加電流のそれぞれのアンペアが出力トルクの1N*mを生成すると仮定する。この特定の例では、望ましいモーター出力トルクは、10N*mであり、これは、破線32によって表されているように、10アンペアの電流を必要とする。また、この例では、モーター用の最も効率的なトルク出力は、印加された50アンペアの電流に対応する50N*mである。
【0026】
従来の動作では、モーターは、望ましいトルクがこの値に留まっている場合には、10N*mを継続的に生成するであろう。パルス化制御動作によれば、モーターは、時間の20%にわたって50N*mのトルクを供給するために、パルス34によって表されているようにパルス化される。時間の残りの80%では、この例では、モーターはオフである。従って、モーターの正味の出力は、10N*mという動作需要を充足している。モーターは、10N*mを供給している際よりも50N*mを供給している際により効率的に動作することから、モーターの全体的な効率は、20%のデューティサイクルを使用してモーターをパルス化することにより、平均トルク需要を充足しながらも改善される。
【0027】
上述の例では、デューティサイクルは必ずしも20%に限定されるものではない。望ましいモーター出力が50N*mを超過しない限り、望ましいモーター出力を広い範囲の異なるデューティサイクルによって充足することができる。例えば、望ましいモーター出力が20N*mに変化した場合には、50N*mで動作しているモーターのデューティサイクルを40%に増大させることが可能であり、望ましいモーター出力が40N*mに変化した場合には、デューティサイクルを80%に増大させることが可能であり、望ましいモーター出力が5N*mに変化した場合には、デューティサイクルを10%に低減することが可能であり、以下同様である。一般に、パルス化モーター制御は、潜在的に、望ましいモータートルクがその最大効率曲線(即ち、
図1の曲線106)未満に低下した任意の時点において有利に使用することができる。
【0028】
その一方で、望ましいモータートルクが最大効率曲線以上にある場合には、モーターは、望ましいトルクを供給するために、従来の(連続又は非パルス)方式で動作させることができる。従って、パルス化動作は、モーターが所与のモーター速度におけるピーク効率トルク未満の平均トルクを供給することが必要とされる場合に、効率向上の機会を提供する。
【0029】
本明細書において提供される電流、トルク値、及び時間スケールは、例示を目的としたものに過ぎず、決して限定を意図したものではないことに留意されたい。実際のモーターパルス化実施形態では、使用されるパルス持続時間は、任意の特定のシステムの設計ニーズに基づいて広く変化し得る。但し、一般的には、それぞれのパルスサイクルにおける周期のスケールは、10μ秒~10.0秒のレベルで広く変化し得る。非限定的な実施形態では、パルスは、例えば、0.2~100ミリ秒(10~5000Hz)の範囲を有し得る。更には、様々な異なるモーターが存在しており、それぞれのモーターは独自の固有の効率特性を有する。更には、異なるモーター速度において、所与のモーターは異なる最大効率曲線を有する。曲線の特性は、特定のモーター又は特定の用途に応じて変化し得る。例えば、電流パルスは、
図2において描かれているように上部が平らである必要はなく、及び/又は、電流は、パルスの間の期間でゼロになる必要はなく、いくらかの非ゼロ値であってもよい。但し、使用される特定の曲線とは無関係に、時間のいくらかの割合において、モーターは、好ましくは、所与のモーター速度におけるその最高効率領域で又はその近傍で動作している。
【0030】
パワーインバータ
図2を参照すると、三相電機機械12をパルス動作させるための、パワーコントローラ10の図が示されている。上述のように、電気機械12は、例えば、永久磁石支援型同期リラクタンス機械及びIPM機械を含む、永久磁石ローター設計を有する任意のタイプの電気機械などの、弱め界磁能力を有する任意のタイプの電気機械である。
【0031】
パワーコントローラ10は、パワーインバータ14、DC電源16、及びパルスコントローラ20を含む。パワーインバータ14は、システムを通るエネルギーフローの方向に応じて、パワーインバータ又はパワー整流器として動作させることができる。
【0032】
電気機械12がモーターとして動作しているとき、パワーインバータ14は、DC電源16に(それぞれ、位相A、B、及びC用の18A、18B、及び18Cとして表記された)三相化ACパワーを生成させる役割を担う。三相化入力パワーは、回転磁気力(RMF)を生成する電気機械12のステーターの巻線に印加されている。最も一般的な永久磁石モーターの場合、ローター磁界は、永久磁石の磁界である。誘導モーターでは、この回転磁界はローター巻線に流れる電流を誘導し、これが次に、ローター磁界を誘導する。ローター磁界とステーター磁界との相互作用は、ローターの回転を生成する電磁力(EMF)を生成し、これが次に、モーターシャフトを回転させる。回転するシャフトは、モーターの出力トルクを提供する。
【0033】
3つの位相18A~18Cは、それぞれ、電流がいずれの方向に流れることができるかを通知する、両端に矢印を有する線で描かれている。モーターとして使用されているとき、電流は、電源16から、パワーインバータ14を通って電気機械12に流れる。発電機として使用されているときは、電流は、電気機械12から、パワーインバータ14を通って電源16に流れる。発電機として動作しているとき、パワーインバータ14は基本的にパワー整流器として動作するので、電気機械12から到来するACパワーは、電池又はコンデンサなどのDC電源に蓄積されるDCパワーに変換される。
【0034】
パルスコントローラ20は、電気機械12への三相化入力電流18A~18Cを選択的にパルス化する役割を担う。従来の(即ち、連続的な)動作では、電気機械12に供給される三相化入力電流は、それぞれが相互の関係において位相が120°だけずれた、連続的な正弦波電流信号である。パルス化動作では、位相がずれた3つの正弦波電流信号18A~18Cが、本明細書において記述されている任意の方式を使用して、選択的にパルス化される。
【0035】
図4A~
図4Cを参照すると、電気機械に供給される/電気機械によって供給される連続的な且つパルス化された三相化電流の間の差を示すために、プロットが提供されている。それぞれにおいて、電流は垂直方向軸上にプロットされ、時間は水平方向軸上にプロットされている。
【0036】
図4Aは、励起の際に電気機械12に供給される/電気機械12によって生成される、従来の正弦波三相化電流42a、42b、及び42cを示す。曲線42bによって表記された位相Bは、42aによって表記された位相Aから120度だけ遅れている。曲線42cによって表記された位相Cは、位相Bから120度だけ遅れている。正弦波周期は、τである。三相化電流42a、42b、及び42cは連続的であり(パルス化されていない)、且つ、指定された約50アンペアの最大振幅を有する。50アンペアは代表的な最大電流であるに過ぎず、また、最大電流は任意の値を有し得ることを理解されたい。
【0037】
図4B及び
図4Cは、それぞれ、異なるパルス化三相化正弦波電流波形の2つの例、44a、44b、及び44c並びに46a、46b、及び46cを示す。波形のそれぞれの組は、50%のデューティサイクル及び約100アンペアのピーク振幅を有することに留意されたい。
【0038】
図4Aにおいて、正弦波波形44a、44b、及び44cの周期は、τであるが、正弦波波形はそれぞれ、オン及びオフ変調されている。
図4Cのパルス化電流44a~c及び46a~cの間の差は、その個々の電流パルスの持続時間及びインターリーブされた「オフ」期間である。
図4Bにおいて、電流パルス44a~cは、等しい長さの「オフ」期間でインターリーブされている。それぞれのオン及びオフ期間の長さは、2τである。
図4Cにおいては、電流パルス46a~c及びインターリーブされた「オフ」期間は、再び等しい持続時間を有する。この場合、持続時間は、τ/2である。両方の例において、デューティサイクルは50%である。但し、「オン」及び「オフ」持続時間の周期の持続時間が異なっており、即ち、パルス変調の周波数が異なっている。パルス変調の周波数は、使用されている電気機械のタイプ、ノイズ及び振動考慮事項、現時点の動作しているローター速度、及びその他の要因に基づいて変化し得る。
【0039】
モーターとして動作しているとき、
図4B及び
図4Cの励起電流は、
図4Aの連続的に印加された三相化電流と同一の平均トルクを供給する(トルクが電流に比例するという仮定によるものであるが、この比例は、表面永久磁石タイプの電気機械ではよくみられる)。
【0040】
図4B及び
図4Cは、「オン」駆動パルスが等しく離隔している状態において、電気機械が、安定状態の望ましい出力レベルで動作する用途を示す。このような方式は、多くの状況で良好に機能するが、要件ではない。デューティサイクルは、50%である必要はなく、且つ、望ましい平均トルクにマッチングするように調節することができる。
図4B及び
図4Cでは、パルスの位相は、印加されるACパワーと同期されているが、いくつかの実施形態においては、パルスの位相は、印加されるACパワーの位相と同期される必要はない。従って、電気機械の駆動パルスの相対的なサイズ及び/又はタイミングは、望ましい平均トルクに平均化される限り、変更することができる。
【0041】
電気機械の効率及びマップ
システム内において動作している電気機械の効率は、より効率的な領域内で発生するように動作を調節し、且つ要求されているトルク需要を依然として充足しつつ、非効率的な領域における動作を極小化することにより、改善することができる。従って、所与のシステムの効率を改善するためには、そのシステムのピーク効率及びより効率的ではない動作領域を識別する必要がある。
【0042】
図5を参照すると、例示的なシステムのための、連続動作効率マップ52、ピーク効率トルクマップ54、及びゼロトルク損失マップ56が生成される方式を示す、
図50が示されている。図に描かれているように、検討対象のシステムのマップ52、54、及び56は、所与の機械のためのヒステリシス損失マップ58A、渦損失マップ58B、銅損失マップ58C、インバータ損失マップ58D、及びシャフトパワーマップ58Eの生成から導出される。その他のシステムは、検討するべきウィンデージ、及び同様に検討を要する摩擦などの、更なる及び/又は異なる損失を有し得る。パラメータ58A~58Eのそれぞれのためのマップは、システムの動作及び試験の際に生成された経験的データから生成される。
【0043】
効率マップを生成するために、電気機械は、様々なトルク需要及び速度にわたって動作させられる。電気機械が稼働するのに伴って、上記のパラメータのそれぞれが計測される。これらの計測から、機械の異なる速度及びトルク範囲にわたるヒステリシス、渦、銅、インバータ、及び機械シャフトパワー損失を表す、マップ58A~58Eが生成されている。
【0044】
マップ58A~58Eが定義されると、次に、電気機械用の連続動作効率マップ52及びゼロトルク損失マップ56を生成するために、マップ生成モデル55が使用される。次いで、ピーク効率トルクマップ54が連続動作効率マップ52から抽出される。ピーク効率トルクマップ54は、基本的に、速度の関数として電気機械の最大効率に対応するトルクをマッピングしたプロットである。同様に、ゼロトルク損失マップも、インバータがゼロトルクを制御している状態において、電気機械の動作中に速度の広い範囲にわたって収集された経験的データから生成されている。
【0045】
更に詳細に後述するように、連続動作効率マップ52、ピーク効率トルクマップ54、及びゼロトルク損失マップ56は、それぞれ、モーターとして動作しているのか又は発電機として動作しているのかとは無関係に、電気機械の変調制御の際に使用される。
【0046】
永久磁石、BEMF、及び弱め界磁
電池によって電力供給される、ハイブリッドを含む車両を含む特定の用途の場合には、永久磁石を使用したローター設計の電気機械が一般的である。このような電気機械は、限定するものではないが、永久磁石支援型同期リラクタンスモーター及び内部永久磁石(IPM)モーターを含む。このような電気機械は、一般的に効率的であり、廉価であり、従って、有利に電気車両用途に使用されているが、これらは、理想的とは言い難いいくつかの課題を有する。
【0047】
永久磁石を使用したローター設計の電気機械がエネルギーを供給されると、そのローターは、ステーター磁界との同期状態において回転を開始する。そして、ローターの回転する永久磁石は、逆EMF又は「BEMF」と一般に呼称される電磁力又は「EMF」をステーター巻線内に誘導する。BEMFは、ステーター電流が流れるようにする、つまりローターが第1の場所で回転するようにする、印加された電圧に対して作用する。その結果、ステーター内に流れる電流は、BEMFが電気機械への印加電圧に近づくに従って低下してゼロに向かい、これにより、自然にシャフト速度を制限する。
【0048】
弱め界磁は、BEMFの負の効果を低減するために使用されている既知の技法である。磁界を低減する、すなわち弱めることにより、BEMFが低減され、これにより、モーター動作トルクが生成され、生成中に、インバータ供給電圧による制限未満にBEMFを制御することにより、制御された電流が、弱め界磁なしでも流れることができる速度を超過した速度で、インバータ電源に戻ることができる。
【0049】
弱め界磁がない場合には、モーター速度は、インバータの供給電圧により、モーター動作の際に弱め界磁を必要とする速度未満に、自然に制限される。更に高速で動作するためには、インバータの供給電圧によって再度制限された状態になる時点までモーター速度が増大できるようにBEMFが低減されるように、徐々に界磁を弱めることが可能である。供給電圧を再度超過すると、更に大きな弱め界磁を印加することができる。BEMFをインバータの供給電圧未満に維持することに弱め界磁が失敗した際にのみ、BEMFはインバータの供給電圧を超過する。その結果、インバータ内で通常使用されているパワー半導体装置の単極特性に起因して、整流が制御されないことになり得る。この事態が発生すると、エネルギーがモーターから引き出され、インバータの電源に戻される(即ち、発電)。これはモーターの速度を制動し、その結果、急速にBEMFがインバータの電圧以下になる。
【0050】
発電している際には、機械は、自身が回転している速度の制御下にはない。従って、モーター動作に応じて界磁が弱められない限り、BEMFはインバータの電圧を超過するが、この場合には、制御されない整流は、速度を減速することもあり、しないこともあるシャフトに対してのみ、制動トルクを働かせることになる。これは、通常、望ましくない動作エリアであり、その理由は、インバータを無効化しても、制御されていない整流が停止しないからである。
【0051】
変調電気機械制御
図6を参照すると、電気機械12に供給される、及びこれから供給されるエネルギーをパルス変調するためのシステム60を示す図が示されている。システム60は、電気機械12、電気機械12を制御するためにDC電源16への、及びDC電源16からの(それぞれ、位相A、B、及びC用の18A、18B、及び18Cとして表記された)三相化ACパワーを制御するためのパワーインバータ14、トルク制御決定モジュール62、インバータ14に設けられた弱め界磁モジュール63、電気機械12のローターの角度位置を通知するフィードバック信号64Aを生成する、任意選択のフィードバックセンサ64、及び任意選択の、トルク及び速度推定器66を含む。
【0052】
システム60の動作の際に、トルク変調決定モジュール62は、トルク需要を受け取っている。これに応答して、トルク変調決定モジュール62は、要求されたトルク需要が現時点の機械速度と関連する指定された「パルス化」閾値超であるのか又は未満であるのかの判定を実施する。パルス化閾値は、電気機械12の速度、及び恐らくはその他の考慮事項の関数として変化する。いくつかの実施形態では、所与の速度用のパルス化閾値は、その速度における電気機械12のピーク効率トルクと同一であってよい。その他の状況では、その他の考慮事項又は要因が、任意の特定のモーター/発電機速度における適切なパルス化閾値の判定に関与し得る。また、電気機械又は電気機械を含む、更に大きなシステムの正味の動作効率を考慮することもできる。例えば、トルク需要がピーク効率トルクに非常に近接している(例えば、ピーク効率トルクの98%又は99%である)場合には、パルス化動作と関連する現実世界損失などのその他の考慮事項が、パルス化動作対連続動作の任意の増分ゲインを圧倒する場合がある。この場合、連続的な動作ができるように、閾値を変更することができる。その他の要因(例えば、NVH軽減懸念)も同様に考慮することができる。従って、本明細書において使用されている「閾値」という用語は、幅広く解釈することを要し、所与の電気機械12のピーク効率トルクのみに限定してはならない。
【0053】
トルク需要が閾値を超えるときは、トルク変調決定モジュール62は、連続モードにおいて電気機械12を動作させる。この場合、パワーインバータ14に提供される波形68は、電気機械12の連続動作を通知する。これに応答して、図示の三相電気機械の場合には、インバータ14によって生成される三相パワー信号18A、18B、及び18Cは、要求されたトルクをサポートするために必要な大きさ及び位相を有する、連続的な正弦波である。連続動作のときは、弱め界磁モジュール63は、弱め界磁を必要に応じて印加することができる。
【0054】
トルク需要が閾値未満である際には、電気機械12は、パルス化モードで動作する。この場合、トルク変調決定モジュール62によってインバータ14に提供される波形68は、要求されたトルクを充足するように、三相パワー信号18A、18B、及び18Cをパルス化するための(a)デューティサイクル及び(b)大きさを定義する。
【0055】
モーター12のパルス化動作中、インバータは、パルス中に起動され、理想的には、パルスとパルスの間で停止される。インバータを停止することは概念的に望ましく、その理由は、これにより、ノートルク期間におけるインバータ損失及びインバータにより誘発される損失の低減が促進されるからである。但し、インバータがノートルク期間(或いは、ノートルク期間の少なくとも一部分)においてゼロトルクを能動的に命令するようにすることが望ましい時点がある。この理由はいくつかある。理解するのが最も容易なものの1つは、逆BEMFに関係している。上述のように、モーターのBEMFがモーターによって使用される供給電圧16を超過すると、モーターの効率を大幅に低下させ得る制動トルクが生成される。弱め界磁は、通常、制動トルクを軽減又は除去するために使用される。モーターによって生成されたBEMFは、主には、モーター速度の関数である。従って、BEMFは、パルス化モーター制御のノートルク期間における問題を残したままである。弱め界磁はインバータによって印加されていることから、弱め界磁が望ましいモーターの動作状態において、パルス化制御のノートルク期間にインバータを停止することは、BEMFがこれらの期間にモーターを制動することを許し、これにより、モーターの全体的な効率を(しばしば、非常に大幅に)低減するという効果を有することになろう。これらの影響を軽減するために、インバータは好ましくは、BEMFが供給電圧を超過する動作領域におけるパルス化制御のノートルク期間に、ゼロトルクを命令する状態に置かれる。
【0056】
いくつかの実施形態では、インバータ14は、事実上、電気機械12のBEMFがインバータ14によって使用される供給電圧16を超過しているかどうかを判定する。これは、機械の現時点のシャフト速度(例えば、RPM)を既知の速度閾値と比較することにより、或いは、その他の適切な技法を介して、実現することができる。BEMFが供給電圧16未満であるときは、インバータは、パルス化制御のノートルク期間に停止されている。その一方で、BEMF値が供給電圧を超えるときは、インバータ14は起動された状態に留まり、ゼロトルクが要求され、且つ、弱め界磁モジュール63が適宜弱め界磁を印加する。これに応答してBEMFが低減され、電気機械によって生成されるあらゆる制動トルクが軽減されるか又は完全に除去される。
【0057】
上述のパルス化電気機械制御フレームワークでは、一般に、効率、及び潜在的にその他の考慮事項に基づいて、任意の所与の動作状態(例えば、機械速度及びトルク需要)のための3つの動作モード状態の1つが選択される。第1に、パルス化制御が効率利益を提供していない動作領域では、電気機械は、連続方式によって連続的に動作する。パルス化制御が利益を提供している動作領域では、パルス化が利用されている。パルス化モードで動作しているときは、ノートルク期間にインバータを無効化するかどうかに関する更なる決定が実施される。インバータの無効化決定は、主には、効率考慮事項に基づいて実施される。状態が許し、且つ、ノートルク期間にインバータを無効化することがよりエネルギー効率的である場合、インバータは無効化される。インバータがパルス化制御のノートルク期間にゼロトルクを命令する状態を維持することがよりエネルギー効率的である場合、インバータはこの方式で動作する。BEMFとの関連では、BEMFが供給電圧16を超過すると、インバータ14は弱め界磁の印加を促進し、これにより、電気機械の効率にとって有害な制動トルクを軽減又は除去するように、有効な状態に維持される。
【0058】
実際に、電気機械及び電気機械を含むシステムの特性は、上述の効率及び損失マップなどの動作マップの生成を通じて特徴付けることができる。このようなマップに基づいて、任意の及びすべての動作状態のための最も効率的な動作状態(例えば、すべての可能な機械速度及び出力レベルの組合せ)を判定することができる。これに関連して、動作状態は、パルス化制御が有効化されるかどうかの通知を含んでいてもよく、含んでいる場合には、(a)トルクオン期間にあるときの望ましいターゲット出力レベル、(b)望ましいデューティサイクル、及び(c)インバータが有効状態に留まるべきか又はノートルク期間に停止されるべきか、を含むことができる。いくつかの実施形態において、この情報は、現時点の機械速度などに基づいて任意の命令された出力(例えば、トルク需要)に適切なインバータ制御信号68を判定するためにトルク変調決定モジュール62によって利用され得る、ルックアップテーブルなどのデータ構造に保存することができる。その他の実施形態では、トルク変調決定モジュールは、このような決定を実施するために、アルゴリズム的な又はその他の適切な方式を使用することができる。
【0059】
任意選択の一実施形態において、フィードバックセンサ64は、フィードバック信号64Aを生成し、これは、電気機械12のローターの角度位置を通知する。フィードバック信号64Aは、パワーインバータ14並びにトルク及び速度推定器66のそれぞれに提供されている。既知のローターの角度位置により、トルク及び速度推定器66は、電気機械のトルク及び速度の正確な推定値をトルク変調決定モジュール62に提供することができる。これに応答して、位相18A、18B、及び18Cのそれぞれが、トルクパルスの分布がNVHを誘発しないことを保証するようにタイミング設定されるように、パワーインバータ14内のスイッチングネットワークのタイミング(即ち、スイッチS1~S6をターンオン/オフするタイミング)が正確に制御され得るように、波形68を必要に応じて調節することができる。この結果、電気機械12の動作は、スムーズであるのみならず、効率的でもある。
【0060】
フィードバックセンサ64の使用は必須ではなく、且つ、電気機械12のローターの角度位置を計測又は推定するために、その他の技法が使用され得ることに留意されたい。例えば、いくつかの、センサなし方式の任意のものを同様に使用することができる。センサなし方式の例は、BEMF検知、位相電流検知、高周波数注入を通じた顕著性検出、若しくはその他の方法、又はこれらの任意の組合せを含むことができる。
【0061】
従来の連続動作によれば、損失は連続的である。その一方で、パルス化変調によれば、損失は、主にデューティサイクルに依存する。パルス化変調によれば、電気機械は、パルスではその動作ピーク効率の間に発振し、パルス間の時間期間では、インバータは停止されるか又はインバータは起動され、ゼロトルクが要求され、及び、任意の制動トルクが軽減又は除去される。その結果、損失は最小限であり、且つ、平均トルクは、従来の連続動作によって生成される同一の平均トルクと比較すると、全体的に、より大きな効率レベルで生成されている。従って、パルス化変調は、電気機械がそのピーク効率トルク未満の領域で動作しているときは、従来の連続動作と比較して、効率の向上を提供する。
【0062】
いくつかの状況では、一定のパルス化デューティサイクルの使用は、望ましくないノイズ、ハーシュネス、及び振動(NVH)を結果的にもたらし得ることに留意されたい。いくつかの実装形態では、このような課題を軽減するために、シグマ-デルタ変調を使用することができる。非限定的な一実施形態では、トルク変調決定モジュール62は、シグマ-デルタ決定モジュールである。例示としてのシグマ-デルタ決定モジュールは、いずれも2019年3月14日付けで出願された米国特許出願第16/353,159号明細書及び同第16/353,166号明細書に記述され、これらの特許文献はいずれも、すべての目的のために引用により本明細書に包含される。
【0063】
電気機械12の上述の説明は、主にモーターとしての動作に関連して記述されていることに留意されたい。電気機械が発電機として動作するときは、パルス化制御は、電気エネルギーのより効率的な生成を提供することを理解されたい。
【0064】
動作フロー図
図7A及び
図7Bを参照すると、弱め界磁を伴うパルス化変調を実装するための動作フロー
図70A、70Bが示されている。
【0065】
ステップ72において、電気機械12の要求されるトルク需要が受け取られている。
【0066】
決定74において、トルク変調決定モジュール62が、要求されているトルクを現時点の速度用の既定のパルス化閾値と比較する。上述のように、閾値は、現時点の速度用のピーク効率トルクと同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0067】
ステップ76において、トルク変調決定モジュール62は、トルク需要がパルス化閾値を超えるとき、電気機械12が連続モードで動作するべきであると判定する。連続動作の際には、弱め界磁モジュール63は、必要に応じて弱め界磁を印加することができる。その一方で、トルク需要が閾値未満である場合には、電気機械12をパルス化モードで動作させるという決定が実施される。
【0068】
ステップ78において、パルス用のデューティサイクルが、トルク変調決定モジュール62によって定義されている。上述のように、通常、いくつかの異なるデューティサイクルのうち任意のものが、要求されるトルク需要を充足するために使用されてもよく、且つ、選択されるデューティサイクルは、ノイズ及び振動考慮事項、現時点の動作しているローター速度、及びその他の要因などのいくつかの考慮事項に基づくものであってよい。また、モジュール62がシグマ-デルタモジュールである実施形態では、デューティサイクルを充足するパルスオン/パルスなしシーケンスは、シグマ-デルタ変調を使用して定義される。
【0069】
決定80において、モーターBEMFとインバータ供給電圧の比較に基づいて、弱め界磁モジュール63が弱め界磁を印加するべきであるかどうかが判定される。次いで、この決定は、インバータがパルス間の時間期間に停止され得るかどうかを決定するために使用されている。
【0070】
BEMFがインバータ用の供給電圧未満である場合には、電気機械は、インバータ14が弱め界磁なしでパルスの間の時間期間に停止された状態において、パルス化モードで動作させられる。
【0071】
BEMFがインバータ用の供給電圧超である場合には、インバータ14は、命令されたゼロのトルクで、パルス間のトルクなし期間において、有効な状態に留まる。これにより、パルス間のトルクなし期間に、インバータが弱め界磁の印加を継続することができる。この結果、制御されていない戻りの整流電流が低減され、且つ、結果的にもたらされる制動トルクが軽減又は除去される。
【0072】
上述の構成によれば、2つのパルス間の期間に停止されたインバータから、弱め界磁を伴うゼロトルク需要を有する、起動されたインバータに遷移する(或いはこの逆)ことが可能であることに留意されたい。但し、パルス間の時間期間は、通常、大部分の現実世界用途においては、より小さいことから、これを実行することが実際的ではない場合がある。
【0073】
フロー
図70A、70Bと関連する動作ステップは、いくつかの方法で実装することができる。一実施形態では、トルク変調決定モジュール62は、上述のステップを実装するためにアルゴリズムに依存し得る。一代替実施形態において、トルク変調決定モジュール62は、1つ又は複数のルックアップテーブルに依存することができる。トルク需要及び現時点の速度に応じて、トルク変調決定モジュール62は、トルク需要がパルス化閾値を超えているのか又はパルス化閾値未満であるのか、及び弱め界磁が印加されるべきであるのかどうかの決定を実施することができる。このような実施形態では、通常、様々な速度及びトルク需要にわたって電気機械12を稼働させている間に収集された経験的データから、1つ又は複数のテーブルが構築されている。電気機械12が試験されるのに伴って、パラメータが、様々な速度及びトルク要求の組合せにわたって収集され、次いで、表にされ、1つ又は複数のルックアップテーブルが得られる。
【0074】
ブーストを有するパワーインバータ
同一出願人による、2020年3月13日に出願された米国特許出願第16/818,570号明細書には、ブースト回路を含む、例示としてのパワーインバータが開示されている。開示されているインバータは、機械を励起するために個別に結合された位相A、B、及びCのそれぞれに、正電圧レールと負電圧レールとの間にそれぞれが結合されたスイッチのペアを有するスイッチングネットワークを含む。ブースト回路は、ブースト電圧を生成する能力を有するブースト供給源(例えば、チャージポンプ又は別個の電圧源)及び/又は別のコンデンサ及び/又は電池などのストレージ装置を含む。パルス化動作の際に、ブースト供給源は、正のレールの電圧をブーストするために使用されている。その結果、パルスの遷移がより高速であり、これが効率を更に改善している。非限定的な一実施形態では、上述の米国特許出願第16/818,570号明細書に記述されているブースト回路が、その内部に包含されており、且つ、本明細書において記述されているパワーインバータ14として使用され得る。
【0075】
三相化エネルギー信号の例
以上、本明細書において記述されているように、連続モードにおける、パルス化モードにおける、デルタ-シグマ変調を使用したパルスモードにおける、及び、最後に、弱め界磁の印加を伴うパルス化モードにおける、電気機械12の動作について説明した。以下、わかりやすさを目的として、それぞれのシナリオごとに、機械12を励起するために使用される位相A、B、及びCのための、例示としての三相化AC電流信号18A、18B、及び18Cについて説明する。
【0076】
図8Aを参照すると、連続動作の際に機械12を励起するために使用される位相A、B、及びCのための、例示としての三相化ACパワー信号が示されている。この状況では、電流信号は、要求されているトルクに比例している。その結果、シャフトトルクは、要求されているトルクを充足している。
【0077】
図8Bを参照すると、パルス動作中の、位相A、B、及びCのための例示としての三相化ACパワー信号が示されている。図示のように、パルス中のピーク効率と、パルス間のオフ状態との間で信号の位相励起を変調することにより、平均シャフトトルクは、要求されているトルク(例えば、40%)に等しくなるが、通常は、同一のレベルで連続的トルク出力を生成するよりも、効率的に動作する。上述のように、ノイズ、振動、及びハーシュネス、並びに/又は、その他の考慮事項に基づいて、パルス周波数若しくはデューティサイクルを必要に応じて調節することができる。
【0078】
図8Cを参照すると、トルク変調決定モジュール62がシグマ-デルタ変調を使用している際のACパワー信号の、例示のための位相励起電流が示されている。この特定の例では、40%のデューティサイクルが示されている。
図8Bの同一のパルス幅が使用された場合には、シグマ-デルタ変調を使用して40%のデューティサイクルを実現するために、(パルス、スキップ、スキップ、パルス、及びスキップ)という例示のためのパルスパターンを使用することができる。
【0079】
最後に、
図8Dは、BEMFが電圧供給16を超過し且つ弱め界磁が印加された際のAC電流信号の、例示のための位相励起電流を示す。
図8Dでは、
図8B及び
図8Cに示されるように弱め界磁を伴わないパルス化動作との関連において、いくつかの相違点がある。第1に、パルス間において、小さな磁化電流がインバータ14を通って流れている。その結果、インバータは、パルス間で完全に無効化されていない。また、
図8Dでは、起動された期間と停止された期間との間の波形において、トルク生成電流と純粋な消磁するのみの電流との間の位相シフトを表す位相シフトが発生していることにも留意されたい。
【0080】
電気機械タイプ
本明細書に記述されている電気機械12は、弱め界磁を印加することによってBEMFを低減する能力を有する、任意のタイプの電気機械である。例には、限定するものではないが、内部永久磁石、表面永久磁石、誘導、同期リラクタンス、永久磁石支援型同期リラクタンス、他励誘導、磁束スイッチング、スイッチリラクタンス、及びその他のタイプの機械、並びに、限定するものではないが、モーターを含む機械及び/又はモーターを含む。
【0081】
本実施形態は、例示が目的であって限定するものではないと見なされるべきであり、また本発明は、本明細書において与えられている詳細に限定されるものではなく、添付の請求項及びその均等物の範囲内で変更することができる。
【国際調査報告】