(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なアセンブリ及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/148 20060101AFI20230526BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
A61M5/148
A61M5/168 502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563166
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 DK2021050134
(87)【国際公開番号】W WO2021219187
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522405624
【氏名又は名称】オサア イノベーション アーペーエス
【氏名又は名称原語表記】OSAA INNOVATION APS
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】ヘッサム、アフメド、アブドゥラ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066DD09
4C066EE01
4C066FF04
4C066HH08
4C066QQ25
(57)【要約】
患者のIV治療法などのために圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なアセンブリおよびシステム。アセンブリは、装置と可撓性マットとを含む。装置は、分注端部と反対側の後端部とを有するハウジングと、平坦な床面と一対の平行な案内トラックとを含む床と、ローラ本体を含むローラ装置と、を含む。ローラ装置は、それぞれの案内トラックに係合する第1のローラ装置端部と第2のローラ装置端部とを有する。マットは、ローラ本体に取り付けられた、又は取り付けられるように構成された第1のマット端部を有し、マットは、少なくとも一部が当該案内トラック間の平坦な床面上に配置されている。
【選択図】
図3b
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置及び可撓性マットを備えた、圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なアセンブリであって、前記装置が、分注端部と反対側の後端部とを有するハウジングと、平坦な床面と一対の平行な案内トラックとを備えた床と、第1及び第2のローラ本体端部と円周状の断面とを有するローラ面を備えたローラ装置と、を備え、前記ローラ装置が、前記それぞれの案内トラックとそれぞれ係合した第1のローラ装置端部と第2のローラ装置端部とを有し、前記案内トラックが、前記ローラ装置を案内して前記後端部の位置から前記分注端部へ向かって回転させるように配置され、
前記マットが、第1のマット端部と第2のマット端部との間に延びる長さを有し、前記第1のマット端部が、前記ローラ本体に取り付けられているか、又は取り付けられるように構成され、前記マットが、前記ローラが前記後端部の位置に位置するときに、前記案内トラック間の前記平坦な床上に少なくとも部分的に配置される、アセンブリ。
【請求項2】
前記第2のマット端部が、少なくとも前記ローラ装置が前記後端部の位置に位置するときに、前記第1のマット端部よりも前記分注端部の近くに位置する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記マットが、完全に繰り出され取り付けからローラまで伸びたときに、前記分注端部まで5cm以下の距離に、好ましくは分注端部まで分注の2%以下の距離まで、例えば、分注端部まで延びる、請求項1又は請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記マットが、ローラ円周の少なくとも1.5倍の長さ、例えばローラ円周の約2~約10倍の長さを有する、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記マットが、最大で前記ローラ本体の長さの幅、好ましくは、最大で前記それぞれの案内トラック間の距離の幅、例えば、最大で前記それぞれの案内トラック間の距離の約90%の幅を有し、好ましくは前記幅が少なくとも約5cm、例えば約8cm~約30cm、例えば約10~約20cmである、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記マットが可撓性であり、前記ローラ本体上に巻き取られるのに好適な、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記マットが、上面と、前記ローラ本体から繰り出されていないときに前記床面に対向する反対側の底面を有し、前記底面が前記上面よりも低い粗さを有し、好ましくは前記底面が、約10μm未満、例えば5μm未満、例えば1μm以下のRA粗さを有する、請求項1から請求項6の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記底面が、ASTM D3702-94(2019)に従って決定される、約0.3以下、例えば約0.2以下、例えば約0.1以下の静摩擦係数(CoSF)を有する、請求項7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記底面が、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、フルオロポリマー、PFA(パーフルオロアルコキシ)及び/又はFEP(フッ素化エチレンプロピレン)などのフルオロポリマーを含む低摩擦ポリマーによって少なくとも部分的に提供され、前記底面が、任意選択で、前記低摩擦ポリマーの層又は前記低摩擦ポリマーのコーティングの形態である、請求項7又は請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記上面が、ゴム、例えばシリコーンゴムなどのエラストマーを含む高摩擦ポリマーによって少なくとも部分的に提供され、好ましくは、前記高摩擦ポリマーが、デュロメータ測定によるショアA硬度が90以下、例えば80以下である、請求項7から請求項9の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記マットが、少なくとも前記第1のマット端部及び前記第2のマット端部において界面で接合されるか又は相互結合される2つ以上の層を備えた、請求項7から請求項10の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記マットの前記ローラ本体への取り付けが、化学的取り付け(接着剤による)、物理的取り付け(テープによる)及び/又は機械的取り付け(ローラ本体の溝及び/又は突起への取り付け)であり、好ましくは前記マットが解放可能に取り付けられた、請求項1から請求項11の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記床が、アクリル、ポリカーボネート、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、アセタール(ポリオキシメチレン)、ポリアミド、又はそれらの任意の組み合わせから選択される剛性ポリマーを含む、請求項1から請求項12に記載の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記床が、繊維強化ポリマー繊維強化ポリマー、好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、又はこれらの1つ以上を含む任意の組み合わせから選択される繊維で強化された繊維強化ポリマーを含む、請求項1から請求項13に記載の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記床面が、ASTM D3702-94(2019)に従って決定される約0.4以下、例えば約0.3以下、例えば約0.2以下のCoSFを有する、請求項1から請求項14の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記ローラ装置が、前記それぞれの案内トラックに係合する前記それぞれの第1及び第2の端部の各々にトラック係合装置を備え、前記トラック係合装置の少なくとも片方が、前記案内トラックに係合して前記案内トラックに沿って摺動するトラックスライダを備え、好ましくは、前記トラック係合装置の両方が、前記案内トラックに係合して前記案内トラックに沿って摺動するトラックスライダを備えた、請求項1から請求項15の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記ローラ装置が、前記それぞれの案内トラックに係合する前記それぞれの第1及び第2の端部の各々にトラック係合装置を備え、前記トラック係合装置の少なくとも一方が、係合する前記案内トラック上又は前記案内トラック内を走行するように構成されたホイールを備えた、請求項1から請求項16の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記トラック係合装置が、前記それぞれの案内トラックに係合し、前記ローラ装置が前記後端部から前記分注端部へ向かって通過するとき、前記ローラ本体を前記平坦な床面までの事前定義の及び/又は選択可能な距離に保持する、請求項16及び17の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記トラック係合装置が、前記それぞれの案内トラックに係合し、前記ローラ装置が前記後端部から前記分注端部へ向かって通過するとき、前記ローラ本体を前記平坦な床面までの固定された、事前定義の及び/又は選択可能な距離に保持する、請求項16から請求項18の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記平坦な床面までの前記事前定義の及び/又は選択可能な距離は、前記マットの厚さよりも大きく、例えば、前記マットの厚さよりも約2mm~約3cm大きく、例えば、前記マットの厚さよりも約5mm~約2cm大きく、例えば、前記マットの厚さよりも約8mm~約1cm大きい、請求項18及び請求項19の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記マットが約0.1mm~約1cm、例えば、約1mm~約5mmの厚さを有する、請求項1から請求項20の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項22】
前記マットが、前記第2のマット端部に、前記マットの前記第2の端部が前記ローラ本体上に巻き取られることを防止する停止装置を有する、請求項1から請求項21の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項23】
前記停止装置が、前記トラック係合装置が前記マットの前記第2の端部に到達したとき、前記トラック係合装置によって阻止されるように構成され、前記停止装置が、好ましくは、剛性ロッドなどの剛性ストッパを備えた、請求項1から請求項22に記載の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項24】
前記ローラ装置が、前記ローラ装置が前記後端部から前記分注端部へ向かって通過するとき、前記平坦な床面に平行な中心軸平面内に位置する中心軸を有する、請求項1から請求項23の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項25】
前記装置が、前記ローラ装置に係合して前記ローラ装置の前記ロールを前記後端部から前記分注端部へ向かって駆動する駆動装置を備え、前記駆動装置が、好ましくは、ばね装置及び/又は電動機を備えた、請求項1から請求項24の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項26】
前記駆動装置が、前記分注端部が前記ローラ本体の左に位置する側から見て、前記ローラ本体を時計回りに駆動するように構成された、請求項25に記載のアセンブリ。
【請求項27】
前記駆動装置がばね装置を備え、前記ばね装置が、単一ばね装置、又はマルチばね装置、例えば、並列に動作する2つ以上のばねを備えたばね装置を備えた、請求項25又は請求項26に記載のアセンブリ。
【請求項28】
前記駆動装置が、前記ローラ本体内に少なくとも部分的に配置されたばね装置を備えた、請求項25から請求項27の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項29】
前記ばね装置が、前記ローラ本体内に配置された少なくとも1つの螺旋ねじりばねを備え、好ましくは、前記ローラ本体が、前記1つ又は複数の螺旋ねじりばねのためのハウジングを形成する、請求項28に記載のアセンブリ。
【請求項30】
前記ローラ装置が、軸を備え、前記ローラ本体が、前記軸周りに回転するように構成された、請求項1から請求項29の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項31】
前記ばね装置が、前記ローラ本体を駆動して前記軸周りに回転させるように構成された、請求項30に記載のアセンブリ。
【請求項32】
少なくとも1つの螺旋ねじりばねが、前記ローラ本体と前記軸との間に配置された、請求項30又は請求項31に記載のアセンブリ。
【請求項33】
前記軸が、少なくとも1つの軸フランジに堅固に結合され、前記螺旋ねじりばねの第1の端部が前記ローラ本体に係合し、前記螺旋ねじりばねの第2の端部が前記軸フランジに係合する、請求項31に記載のアセンブリ。
【請求項34】
前記ローラ本体が、円筒状本体部と、前記円筒状本体に対して垂直な少なくとも1つのローラフランジとを備え、前記螺旋ねじりばねの前記第1の端部が、前記ローラフランジ又は前記円筒状本体部に係合する、請求項33に記載のアセンブリ。
【請求項35】
前記軸フランジの少なくとも1つが係合軸フランジであり、前記ローラフランジの少なくとも1つが係合ローラフランジであり、前記係合軸フランジが前記係合ローラフランジに係合し、好ましくは、前記ローラ本体の回転を制御、誘導及び/又は抑止する、請求項34に記載のアセンブリ。
【請求項36】
前記係合軸フランジ及び前記係合ローラフランジに、対応する環状フランジ、環状チャネル及び/又はフランジの環状セクションが係合する、請求項35に記載のアセンブリ。
【請求項37】
前記係合軸フランジ及び前記係合ローラフランジが、回転抑止機構を形成し、前記ローラ本体の回転を事前定義の回転速度に抑止する、請求項35又は請求項36に記載のアセンブリ。
【請求項38】
前記係合軸フランジ及び前記係合ローラフランジが、回転抑止機構を形成し、前記係合軸フランジ及び前記係合ローラフランジの一方が、環状チャネルを備え、前記係合軸フランジ及び前記係合ローラフランジの他方が、前記係合軸フランジ及び前記係合ローラフランジの前記一方の前記環状チャネルに係合する環状フランジ又はフランジのセクションを備えた、請求項35から請求項37の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項39】
前記環状チャネルが、油又はグリースなどの潤滑剤を備え、好ましくは、前記潤滑剤が、前記環状フランジ間又はフランジのセクション間の前記チャネル内の空間を充填し、好ましくは、前記潤滑剤が、例えば、前記環状フランジ内の貫通孔を通して、且つ/又はフランジのセクション間を、1つの環状チャネルから別の環状チャネルへ通過できる、請求項38に記載のアセンブリ。
【請求項40】
前記環状チャネルが、各々、チャネル幅を有し、前記環状チャネルに係合する前記環状フランジ又はフランジのセクションの少なくとも1つが、前記チャネルの前記チャネル幅の約75%~約100%の幅、例えば、約90%~約99%の幅を有する、請求項38又は請求項39に記載のアセンブリ。
【請求項41】
前記ばね装置が、前記ばね装置に少なくとも部分的に負荷を掛ける負荷装置を備え、前記負荷装置が、好ましくは、前記マットを前記ローラ本体から繰り出すことによって、又は、前記ローラ装置を前記分注端部から前記後端部へ向かう方向に移動させることによって、前記ばね装置に少なくとも部分的に負荷を掛けるように構成された、請求項27から請求項40の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項42】
前記ばね装置が、前記ばね装置に負荷を掛ける負荷ステーションを備え、前記負荷ステーションが、好ましくは、前記ハウジングの後端部の位置で前記ローラ装置に係合するように配置された、請求項27から請求項41の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項43】
前記負荷ステーションが、歯付きホイールと、前記歯付きホイールを回転させるためのバーとを備え、前記ローラ本体が、前記ローラ本体が前記負荷ステーション内に位置するときに前記歯付きホイールに係合するように配置された歯のリングを備え、好ましくは、前記歯のリングが、そのローラ本体端部の一方に位置するローラフランジの外縁部に位置する、請求項42に記載のアセンブリ。
【請求項44】
前記ローラ装置が、前記負荷ステーション内に前記ローラ本体を一時的に保持するためのスナップロックを備えた、請求項42又は請求項43に記載のアセンブリ。
【請求項45】
前記ローラ装置が、前記ローラ本体を前記負荷ステーションから解放するためのレバーを備えた、請求項42から請求項44の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項46】
前記装置が、マットへのアクセスを可能にするために完全に又は部分的に移動できる蓋のような頂部を備えた、請求項1から請求項45の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項47】
前記ハウジングの後部が、最後方位置にあるとき、前記ローラ装置のためのシェルターを形成する、請求項1から請求項46の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項48】
前記ローラが、前記負荷ステーションに係合するときに前記シェルター内に位置する、請求項47に記載のアセンブリ。
【請求項49】
前記装置が、前記マット上に配置された圧縮可能な袋の少なくとも1つの状態を監視及び表示するための監視センサ及びディスプレイを備え、前記状態が、好ましくは、前記袋内の液体の温度、及び/又は分注速度、分注ステータス、又は残り分注時間などの少なくとも1つの分注状態を含む、請求項1から請求項48の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項50】
前記装置が、前記マット上に配置された袋からの液体の分注の開始又は停止を自動又は遠隔制御するためのレギュレータ装置を備えた、請求項1から請求項49の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項51】
前記監視センサが、前記レギュレータ装置と一体化された又は関連付けられた、請求項50に記載のアセンブリ。
【請求項52】
前記装置が、前記ばね装置の負荷状態を表示するためのディスプレイを備えた、請求項1から請求項51の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項53】
前記装置が、前記マット上に配置された圧縮可能な袋内の液体を加熱するように構成された温度調整装置を備えた、請求項1から請求項52の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項54】
前記温度調整装置が、前記マット、前記床、及び/又は前記蓋に組み込まれた1つ又は複数の加熱要素を備えた、請求項53に記載のアセンブリ。
【請求項55】
前記温度調整装置が、前記ハウジング内の前記空間を選択された温度まで加熱するように構成された熱風送風機を備えた、請求項53又は請求項54に記載のアセンブリ。
【請求項56】
前記温度調整機構が、少なくとも1つの温度センサを備え、前記温度センサが、有利には、前記加熱要素を制御するための前記加熱要素に関連付けられている、請求項53から請求項55の何れか一項に記載のアセンブリ
【請求項57】
前記1つ又は複数のセンサが前記床、前記マット、及び/又は前記トラック内に配置された、請求項49から請求項56の何れか一項に記載のアセンブリ。
【請求項58】
圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なシステムであって、前記システムが請求項1から請求項57の何れか一項に記載のアセンブリと、圧縮可能な袋とを備え、前記圧縮可能な袋が、後端部と分注端部とを有し、前記分注端部が、前記液体を投与するためのチューブ装置に結合されるのに好適な分注ポートを備える、システム。
【請求項59】
前記マットが、少なくとも、前記圧縮可能な袋の幅と同じ幅を有する。、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記マットが、少なくとも、前記圧縮可能な袋の前記後端部と前記分注端部との間の距離と同じ長さを有する、請求項58又は請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記トラック係合装置が、前記それぞれの案内トラックに係合し、前記ローラ装置が前記後端部から前記分注端部へ向かって通過するとき、前記ローラを前記平坦な床面までの事前定義の及び/又は選択可能な距離に保持し、前記平坦な床面までの前記事前定義の及び/又は選択可能な距離が、前記マットと空の状態の前記圧縮可能な袋との合計の厚さよりも約1mm~約2.5cm大きく、例えば、マットと空の状態の圧縮可能な袋との合計の厚さよりも約2mm~約2cm大きく、例えば、約4mm~約1cm大きい、請求項58から請求項60の何れか一項に記載のシステム。
【請求項62】
前記システムが、前記液体を投与するための前記チューブ装置をさらに備え、前記チューブ装置が、チューブと、前記チューブを通るフローを調整するためのローラピンチクランプとを備え、前記ローラピンチクランプが、少なくとも2つの調整ローラを備えた、請求項58から請求項61の何れか一項に記載のシステム。
【請求項63】
少なくとも2つの調整ローラが、前記ローラ間に前記チューブを挟む支持フランジを介して直接的及び/又は間接的に相対して配置された、請求項62に記載のシステム。
【請求項64】
前記チューブ装置が、前記分注ポートと前記チューブとの間に結合されたスパイク/ドリップチャンバを備え、前記ローラピンチクランプが、好ましくは、前記ドリップチャンバと一体化されているか、前記チューブに沿って前記ドリップチャンバまで最大約0.5m、例えば、最大約0.2m、例えば、最大約0.1mの距離に配置されている、請求項62又は請求項63に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の医学療法による液体又は薬剤の注入などのために、圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なアセンブリ及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者は、入院中に、液体及び薬剤を静脈に受容するIV処置法を受けることが多い。静脈内に液体を流入させることができるように、液体と薬剤とを充填したIV用の袋を持ち上げる必要がある。上記のようなIV治療法では、IVポールが最も広く使用されている用具である。
【0003】
IV処置法及びIVポールは、病院での日常生活において、患者と医療スタッフとの双方に大きな影響を与える。
【0004】
例えば、看護師及び診療補助者が患者を移動させなければならない場合に、IVポールの欠点が露呈する。病院のスタッフは、往々にして、患者を移動させるための追加のリソースを割り当てなければならない。
【0005】
さらに、IVポールは、病棟内の多大な空間を占有し、スタッフは不快な作業位置にいるか、又は液体の流入速度を上げるためにIVポールの高さを調整しなければならないことが原因で、スタッフの劣悪な作業状態を引き起こす。
【0006】
また、IVポールに依存している患者は、病院の看護師、職業療法士、生理療法士などの専門を異にするスタッフ間の連携に関わる問題も増大する可能性がある。例えば、患者がリハビリを行わなければならず、同時にIV処置法を完了しなければならない場合に、待ち時間が発生することがある。
【0007】
病院が抱える別の頻発する問題は、ホイールを備えたIVポールが不足していることである。これは、患者の行動が制限されており、IVポールに依存しているためにベッドに留まる必要があるということを意味する。したがって、患者は不必要に長い時間にわたってベッドに留まることになり、このことが不要な固定化を生み出し、褥瘡のリスクを高める可能性がある。
【0008】
さらに、IVポールは、子供達が、IVポールへの依存によって、ゲームやその他の活動に参加する機会を減少させる。
【0009】
妊婦がIV処置法を受けている間に出産が始まることも多い。この状況では、妊婦が移動できるならばそれは絶対的な利点になるであろう。というのは、そうであれば、妊婦は実際に出産が始まるまでは自由に動き回ることができるからである。
【0010】
急性事故又は病院外若しくは救急車外での処置の場合、人がIVポールの役割を果たす必要があることが多い。
【0011】
これまで、ポールを必要としない袋のポンプを提供しようという多くの試みがなされてきた。
【0012】
米国特許第4850971号明細書は、一定の流れを有し、重力に依存しない装置を提供するために、可変流量調整針と組み合わせて、1つ又は複数の定荷重ばねによって駆動される線形ローラを利用する注入ポンプについて記載している。定荷重ばねは、収納ドラムに取り付けられたコイルタイプを備え、コイルばねの端部は、ドラムが板から引き離されるとばねが繰り出されるように板に装着されている。使用時には、袋は、コイルばねの巻線に挟まれてドラム上に巻き上げられる。
【0013】
米国特許第6669668号明細書は、薬物送達容器を使用して注入療法を施すように構成された薬物送達ポンプを開示する。可撓性の袋に収容された薬剤は、注入部位へ送達されることで袋から排出される。流体送達ポンプは、ばねが流体容器を圧縮する最大速度を制限することができる定荷重ばね及び機械式タイマを有していてもよい。定荷重ばねは、可撓性流体容器を圧縮するように構成されている。流体容器は、繰り出されロードされたばね上に敷設され、ばねが巻き上がるとばねの各層間で圧縮される。機械的タイマアセンブリは、定荷重ばねに結合されて制限を実行する。
【0014】
袋からの液体の分注中に、袋のカール及び収縮が頻繁に発生することが見出された。袋のカール及び収縮によって、袋を充分且つ確実に空にできないという事態が引き起こされる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、分注中の袋のカール及び収縮のリスクが低減された、圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なアセンブリ及びシステムを提供することである。
【0016】
一実施形態では、本発明の目的は、高信頼に、且つ分注される液体の量及び速度を制御しながら圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なアセンブリ及びシステムを提供することである。
【0017】
一実施形態では、目的は、圧縮可能な袋が完全に空にされるなど、事前に選択された段階まで空にできる、圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なアセンブリ及びシステムを提供することである。
【0018】
一実施形態では、目的は、異なるサイズの圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なアセンブリ及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記及びその他の目的は、特許請求の範囲に記載する、又は以下に説明する本発明又はその実施形態によって解決されている。
【0020】
本発明又はその実施形態は、以下の説明から当業者には自明ないくつかの追加の利点を有することが見出された。
【0021】
本明細書で使用される場合の「備える/備えた」という用語は、オープンタームとして解釈されるべきである、すなわち、要素、単位、整数、ステップ、装置要素及びそれらの組み合わせなど、具体的に言明された特徴の存在を特定するものと解釈すべきであるが、1つ又は複数の他の言明された特徴の存在又は追加を排除するものではない。
【0022】
「実質的に」という用語は、本明細書では、通常の製品のばらつき及び公差が含まれることを意味するものでなければならない。
【0023】
「いくつかの実施形態」又は「一実施形態」への言及は、そのような実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、開示された主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書中の様々な箇所での「いくつかの実施形態では」又は「一実施形態では」という語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を指すものではない。さらに、当業者は、特定の特徴、構造、又は特性が、特許請求の範囲によって定義される発明の範囲内で任意の適切な方法で組み合わせ可能であることを理解するであろう。
【0024】
本明細書又は特許請求の範囲を通して、文脈により別段に指定又は要求されない限り、単数は複数を包含する。
【0025】
ある範囲及び好ましい範囲を含む、本明細書に記載される本発明の全ての特徴及び本発明の全ての実施形態は、そのような特徴を組み合わせない特定の理由がない限り、本発明の範囲内において様々な方法で組み合わせることができる。
【0026】
本発明のアセンブリは、装置及び可撓性マットを備える。有利には、可撓性マットは、装置に取り付けられる。この装置は、分注端部と反対側の後端部とを有するハウジングを備える。また、この装置は、平坦な床面と、一対の平行な案内トラックとを備えた床と、ローラ装置とを備える。ローラ装置は、第1のローラ本体端部及び第2のローラ本体端部と、円周状の断面を備えたローラ面とを有するローラ本体を備える。ローラ装置は、第1のローラ装置端部と第2のローラ装置端部とを有する。第1及び第2のローラ装置端部は、それぞれの案内トラックとそれぞれ係合している。案内トラックは、ローラ装置を案内して後端部の位置から分注端部へ向かって回転させるように配置されている。
【0027】
マットは、第1のマット端部と第2のマット端部との間に延びる長さを有し、第1のマット端部は、ローラ本体に取り付けられているか、又は取り付けられるように構成される。
【0028】
有利には、マットは、ローラが後端部の位置に位置するときに、案内トラック間の平坦な床上に少なくとも部分的に配置される。
【0029】
「後端部の位置」とは、ローラ本体が分注端部よりも後端部の近くにある位置を意味する。
【0030】
本発明者らは、本発明のアセンブリが圧縮可能な袋から液体を分注するのに驚異的に有効であることを見出した。マットが圧縮可能な袋を支持しながら同時に圧縮可能な袋を引き裂くリスクが低いか又は全くない効果的な分注を保証することが見出された。さらに、アセンブリは、簡単に使用でき、実質的に任意のタイプ及びサイズの圧縮可能な袋と併用することができる。
【0031】
第2のマット端部は、有利には、少なくともローラ装置が後端部の位置に位置するときに、第1のマット端部よりも分注端部の近くに位置する。
【0032】
第1のマット端部は、任意の方法又は手段によってローラ本体に取り付けることができる。取り付けは、有利には、ローラ本体が回転すると確実にマットがローラ本体に巻き取られるようにすれば充分である。取り付けは、例えば、ローラ本体上の1つ又は複数のノブと、第1のマット端部をローラ本体に固定するためのマットに空いた対応するスリットとによって実行されてもよく、その他の締結方法及び手段は、ベルクロファスナー(登録商標)、接着剤、のり、及び/又は第1のマット端部を押しつぶし取り付け手段によって固定することを含んでいてもよい。一実施形態では、マットは、何回も使用された後に摩耗した場合に交換マットと交換できるように、取り外していてもよいことが望ましい。
【0033】
一実施形態では、マットのローラ本体への取り付けは、化学的取り付け(接着剤による)、物理的取り付け(テープによる)及び/又は機械的取り付け(ローラ本体の溝及び/又は突起への取り付け)であって、好ましくは、マットは脱着可能に取り付けられる。
【0034】
一実施形態では、アセンブリは、単一のマットを有し、マットは、1つ、2つ、又はそれ以上の層を備えていてもよい。
【0035】
一実施形態では、アセンブリは、少なくとも2つ以上の同一のマットを備えた一組のマットを備える。
【0036】
一実施形態では、アセンブリは、少なくとも2つの異なるマットを備えた一組のマットを含み、マットは、あるタイプの袋のための1つのマットと、別のタイプの袋のための別のマットなどの、特定の使用法に従って選択してもよい。
【0037】
マットの長さは、有利には、袋の長さに基づいて選択され、したがって、マットの長さは、袋よりも少なくとも約2cm長く、例えば、圧縮可能な袋よりも約5cm~約20cm長くなるように構成されている。原則として、マットはそれよりも長くてもよいが、この装置は通常は所望されない。
【0038】
一実施形態では、マットは総延長(長さ)を有し、したがって、完全に繰り出されたときに、ローラへの取り付け位置から分注端部まで5cm以下の距離まで延び、好ましくは分注端部まで2cm以下の距離まで、例えば、分注端部まで到達する。
【0039】
ローラ円周及びマット長は、例えば、マットがローラ円周の少なくとも1.5倍の長さ、例えばローラ円周の約2倍~約10倍の長さを有すると規定するために、互いに基づいて選択できる。このことは、分注速度を厳密に制御しながらローラ本体への円滑な巻き取りを保証できるという効果がある。
【0040】
一実施形態では、マットは、最大でローラ本体の長さの幅、好ましくは、最大でそれぞれの案内トラック間の距離の幅、例えば、最大でそれぞれの案内トラック間の距離の約90%の幅を有する。好ましくは、幅は少なくとも約5cm、例えば約8cm~約30cm、例えば約10~約20cmである。さらに、幅は、適合される袋の長さに基づいて選択してもよい。一実施形態では、マットの幅は、同時に分注するためにマット上に2つ以上の圧縮可能な袋を並べて辺dに敷設するのに充分である。
【0041】
マットは、有利には可撓性であり、ローラ本体上に巻き取られるのに好適である。マットは、有利には、作用する引張力によって引き裂かれるリスクなしに巻き取れるだけの充分な強度がある必要がある。
【0042】
マットは、上面と、ローラ本体から繰り出されていないときに床面に対向する反対側の底面を有する。上面と底面とは、同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0043】
有利には、底面は、上面よりも低い粗さを有する。底面の低い粗さは、マットと床面との間に低い摩擦を提供する効果を有し、それにより、さらに、ローラ本体上への滑らかで制御された巻き取りが保証される。好ましくは、底面は、約10μm未満、例えば5μm未満、例えば1μm以下のRA粗さを有する。
【0044】
マットの底面は、有利には、ASTM D3702-94(2019)に従って決定される、約0.3以下、例えば約0.2以下、例えば約0.1以下の静摩擦係数(CoSF)を有する。
【0045】
低摩擦底面は、例えば、二硫化タングステン(WS2)及び/又は二硫化モリブデン(MoS2)などの潤滑粒子を含む樹脂などの好適な低摩擦ポリマー、例えばポリマーコーティングによって提供することができる。
【0046】
一実施形態では、底面は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、フルオロポリマー、PFA(パーフルオロアルコキシ)及び/又はFEP(フッ素化エチレンプロピレン)などのフルオロポリマーを含む低摩擦ポリマーによって提供され、底面は、任意選択で、低摩擦ポリマーの層又は低摩擦ポリマーコーティングの形をとる。
【0047】
約0.05以下のCoSFを有するPTFEが、特に好適である。
【0048】
マットの上面は、有利には、比較的高摩擦を有する。これは、圧縮可能な袋を良好に把持する機能を有し、それにより、ローラ本体上へのマットの巻き取りの間に、袋を引きずってローラ本体とマットとの間に押し込める機能を有する。
【0049】
一実施形態では、上面は、エラストマー、例えばゴム、例えばシリコーンゴム、を含む高摩擦ポリマーによって提供され、好ましくは、高摩擦ポリマーは、デュロメータ測定によるショアA硬度が90以下、例えば80以下である。
【0050】
マットの上面は、高い粗さを有することができるが、有利には、圧縮可能な袋内の過剰な量の流体が袋から排出されて分注されるほどの高過ぎる粗さを有しない。
【0051】
マットの上面及び底面の各々は、互いに独立して、均一な粗さ、均一なCoSF、均一な異方性などの均一な面特性を有する1つ又は複数の面領域を有していてもよい。一実施形態では、マットの上面及び底面の少なくとも一方は、少なくとも、異方性面特性を有する面部分を備える。
【0052】
一実施形態では、マットの上面及び底面の少なくとも一方は、単一の面特性を有する。
【0053】
一実施形態では、マットの上面及び底面の少なくとも一方は、異なる面特性を有する2つ以上の面部分を備える。マットは、1つ又は複数の層を備えていてもよい。
【0054】
マットは、有利には、少なくとも第1のマット端部及び第2のマット端部において界面で接合されるか又は相互結合される少なくとも2つの層を備えていてもよい。一実施形態では、2つ以上の層は、点状の結合スポットにおいて相互に結合され、点状結合スポットの数、強度及び分布によって、層が通常の使用中に層間剥離を起こすことが確実に防止される。
【0055】
マットが敷設される床は、有利には、床とマットとの間の低摩擦を保証するために、比較的硬く、平滑である。
【0056】
一実施形態では、床-好ましくは床面を提供する床-は、好ましくはアクリル、ポリカーボネート、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、アセタール(ポリオキシメチレン)、ポリアミド(ナイロン6又は6/6など)又はそれらの任意の組み合わせから選択される剛性ポリマーを含む。
【0057】
一実施形態では、床は、プレキシグラスなどの細胞キャストアクリルを含む。
【0058】
一実施形態では、床は、繊維強化ポリマー、好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維、アラミド繊維、又はこれらの1つ以上を含む任意の組み合わせから選択される繊維で強化された繊維強化ポリマーを含む。
【0059】
一実施形態では、床は、繊維強化材を含まない。
【0060】
床面は、有利には、ASTM D3702-94(2019)に従って決定される約0.4以下、例えば約0.3以下、例えば約0.2以下のCoSFを有していてもよい。
【0061】
一実施形態では、床面は、PTFEなどのフルオロポリマーのコーティングによって提供される。
【0062】
一実施形態では、床面は、少なくとも約75ショアD、例えば少なくとも約80ショアD、例えば少なくとも約85ショアD、例えば少なくとも約95ショアDの硬度を有する。
【0063】
ローラ装置は、好ましくは、それぞれの案内トラックに係合するそれぞれの第1の第2の端部の各々にトラック係合装置を備える。トラック係合装置の少なくとも片方、好ましくは両方は、各々、スライダ及び/又はホイールに係合し、案内トラックに沿ってローラ装置を案内し、それにより、ローラ本体をスライド間で長手方向に案内する。
【0064】
一実施形態では、トラック係合装置の少なくとも一方は、係合する案内トラック上又は案内トラック内を走行するように構成されたホイールを備える。
【0065】
一実施形態では、トラック係合装置の少なくとも一方は、案内トラックに係合して案内トラックに沿って摺動するトラックスライダを備え、好ましくは、両方のトラック係合装置が、案内トラックに係合して案内トラックに沿って摺動するトラックスライダを備える。トラック係合装置が、案内トラックに係合して案内トラックに沿って摺動するトラックスライダを備えるときに、非常に平滑で安定した摺動が得られ、同時に、スライダはホイールと比較して非常に耐久性があることが見出された。したがって、所望の実施形態では、トラック係合装置の一方又は両方は、ホイールを含まない。
【0066】
一実施形態では、トラック係合装置は、トラックの上側に接触して配置された上側フランジと、トラックの下側に接触して配置された下側フランジとを備えたグラブロックを備え、それにより、トラック係合装置はトラックに係止し、トラックに沿って長手方向に摺動することが可能になる。グラブロックは、有利にはスライダの一部であるか又は一部を形成する。
【0067】
一実施形態では、トラック係合装置は、それぞれの案内トラックに係合し、ローラ装置が後端部から分注端部へ向かって通過するとき、ローラ本体を平坦な床面までの事前定義の及び/又は選択可能な距離に保持する。
【0068】
一実施形態では、トラック係合装置は、それぞれの案内トラックに係合し、ローラ装置が後端部から分注端部へ向かって通過するとき、ローラ本体を平坦な床面までの単一の事前定義の距離に保持する。
【0069】
一実施形態では、トラック係合装置は、それぞれの案内トラックに係合し、ローラ装置が後端部から分注端部へ向かって通過するとき、ローラ本体を平坦な床面までの選択された距離に保持する。この実施形態では、トラック係合装置及び/又はそれぞれの案内トラックは調整可能であり、ローラ本体と平坦な床との間の距離をユーザが選択することができる。
【0070】
有利には、トラック係合装置及び/又はそれぞれの案内トラックは、2つ以上の所定の位置に調整可能であり、その結果、ローラ本体と平坦な床との間にそれぞれの所定の距離が確保できる。これにより、ローラ本体と平坦な床との間の距離は、大型の/分厚い圧縮可能な袋から流体を分注するように構成されたときには比較的大きく設定でき、ローラ本体と平坦な床との間の距離が小型の/薄い圧縮可能な袋から流体を分注するように構成されたときには比較的小さく設定することができる。
【0071】
一実施形態では、トラック係合装置は、それぞれの案内トラックに係合し、ローラ装置が後端部から分注端部へ向かって通過するとき、ローラ本体を平坦な床面までの、固定された、事前定義の及び/又は選択可能な距離に保持する。
【0072】
望ましくは、ローラと平坦な床との間の距離は、マットの厚さよりも大きくなければならず、好ましくは、使用時に、圧縮可能な袋が空の状態で圧縮されないようにすることが望ましい。これは、効果的な分注を確実に行いつつ、同時に圧縮可能な袋を損傷させるリスクを極めて小さくするという効果を有する。
【0073】
有利には、平坦な床面までの事前定義の及び/又は選択可能な距離は、マットの厚さよりも約2mm~約3cm大きく、例えば、マットの厚さよりも約5mm~約2cm大きく、例えば、マットの厚さよりも約8mm~約1cm大きい。
【0074】
マットは、原則的には、ローラ本体上にマットを巻き取ることが実質的に可能な厚さを有していてもよい。ただし、実際には、装置が膨張する必要があるため、マットは厚すぎてはならない。一方、マットは、有利には、所望の引張強度を確保でき、ローラ本体上に巻き取られた状態で圧縮可能な袋を支持するのに充分な程度に厚い必要がある。好ましいマット厚は、約0.1mm~約1cm、例えば、約1mm~約5mmである。
【0075】
有利には、第2のマット端部のマットは、マットの第2の端部がローラ本体上に巻き取られることを防止する停止装置を有する。
【0076】
停止装置は、例えば、第2の端部においてマットに固定された剛性ストッパ要素であってもよい。剛性ストッパは、例えば、ローラ本体上への巻き取りが阻止されるように固定されていてもよい。第2の端部においてマットに固定された剛性ストッパは、例えば、トラック係合装置によって阻止することができる。
【0077】
一実施形態では、停止装置は、トラック係合装置がマットの第2の端部に到達したとき、トラック係合装置によって阻止されるように構成されている。剛性ストッパは、例えば、案内トラックに垂直に取り付け可能な長さ寸法を有する剛性ロッドなどの剛性ロッドを備えていてもよい。
【0078】
ローラ装置は、ローラ装置が後端部から分注端部へ向かって通過するとき、平坦な床面に対して平行な中心軸平面内に位置する中心軸を有してもよい。
【0079】
中心軸平面は、案内トラックを備えていてもよい。
【0080】
装置は、ローラ装置に係合してローラ装置のロールを後端部から分注端部へ向かって駆動する駆動装置を備えていてもよい。駆動装置は、ばね装置及び/又は電動機を備える。
【0081】
有利には、駆動装置は、分注端部がローラ本体の左に位置する側から見て、ローラ本体を反時計回りに駆動するように構成されている。これにより、マット及び圧縮可能な袋は、マット上に配置されると、ローラ本体の下方を通過し、分注の間にローラ本体上に巻き取られる。
【0082】
駆動装置は、好ましくは、ばね装置を備え、ばね装置は、単一ばね装置、又はマルチばね装置、例えば、並列に動作する2つ以上のばねを備えたばね装置を備える。
【0083】
駆動装置が、例えば、ローラ本体内に完全に又は部分的に配置された、すなわちローラ本体の壁面内に配置されたばね装置を備えていてもよい。
【0084】
有利には、ばね装置は、ローラ本体内に配置された少なくとも1つの螺旋ねじりばねを備える。ローラ本体は、1つ又は複数の螺旋ねじりばねのためのハウジングを形成してもよい。
【0085】
一実施形態では、ローラ装置は、軸を備え、ローラ本体は、ばね装置によって駆動される軸周りに回転するように構成されている。
【0086】
一実施形態では、少なくとも1つの螺旋ねじりばねは、ローラ本体と軸との間に配置されている。軸は、少なくとも1つの軸フランジに直接的又は間接的に堅固に結合されていてもよく、螺旋ねじりばねの第1の端部はローラ本体に係合していてもよく、螺旋ねじりばねの第2の端部は軸フランジに係合していてもよい。これにより、螺旋ねじりばねが負荷状態にあるときに、ばね装置によってローラ本体の回転が駆動されてローラ装置が軸周りに回転してもよい。例えば、ばね負荷段階に対する軸とローラ本体との間の関係を調整するために、すなわち、ばねが無負荷状態にあるときにローラ本体上の固定手段が所望の位置に確実に位置するように、軸は、軸との係合状態から解放可能である。
【0087】
ローラ本体は、円筒状本体部と、円筒状本体及び/又は軸に対して垂直な少なくとも1つのローラフランジとを備えていてもよい。螺旋ねじりばねの第1の端部は、ローラフランジ及び/又は円筒状本体部に係合していてもよい。
【0088】
一実施形態では、軸フランジの少なくとも1つは係合軸フランジであり、ローラフランジの少なくとも1つは係合ローラフランジであり、係合軸フランジは係合ローラフランジに係合し、好ましくは、ローラ本体の回転を制御、誘導及び/又は抑止する。有利には、係合軸フランジ及び係合ローラフランジに、対応する環状フランジ、環状チャネル及び/又はフランジの環状セクションが係合する。
【0089】
好ましい実施形態では、係合軸フランジ及び係合ローラフランジは、回転抑止機構を形成し、ローラ本体の回転を所定事前定義の回転速度に抑止する。抑止機構は、所望の駆動力がばね装置からローラ本体に確実に伝達されるようにする機能を有し、これにより、圧縮可能な袋からの液体の完全かつ基本的に一定の分注を確実にするためにばね装置に高負荷を掛け得ることが保証される。
【0090】
一実施形態では、係合軸フランジ及び係合ローラフランジは、回転抑止機構を形成し、係合軸フランジ及び係合ローラフランジの一方は、環状チャネルを備え、係合軸フランジ及び係合ローラフランジの他方は、係合軸フランジ及び係合ローラフランジの上記一方の環状チャネルに係合する環状フランジ又はフランジのセクションを備える。環状チャネルは、有利には、油又はグリースなどの潤滑剤を備えていてもよい。好ましくは、潤滑剤は、環状フランジ又はフランジのセクション間のチャネル内の空間の少なくとも約75体積%、例えば、少なくとも約85体積%、例えば、少なくとも約95体積%を充填する。これにより、ばね装置からローラ本体に伝達される力の所望の減衰が保証できる。
【0091】
好ましくは、潤滑剤は、例えば、環状フランジ内の穿孔を通して、且つ/又はフランジのセクション間を、1つの環状チャネルから別の環状チャネルへ通過できる。これにより、減衰調整の簡単で効果的な方法が確保される。一実施形態では、回転抑止機構は、フランジのサイズ(例えば、チャネルへの侵入深さ)を調整することによって、且つ/又はチャネル内の潤滑剤の量を調整することによって調整可能である。
【0092】
一実施形態では、環状チャネルは、各々、チャネル幅を有し、環状チャネルに係合する環状フランジ又はフランジのセクションの少なくとも1つは、チャネルのチャネル幅の約75%~約100%の幅、例えば、約90%~約99%の幅を有する。
【0093】
ばね装置は、ばね装置に少なくとも部分的に負荷を掛ける負荷装置を備えていてもよい。負荷装置は、好ましくは、ローラ本体からマットを繰り出すことによって、又は、ローラ装置を分注端部から後端部へ向かう方向に移動させることによって、ばね装置に少なくとも部分的に負荷を掛けるように構成されている。
【0094】
有利には、ばね装置は、ばね装置に負荷を掛ける負荷ステーションを備える。負荷ステーションは、有利には、ハウジングの後端部の位置でローラ装置に係合するように配置できる。
【0095】
一実施形態では、負荷ステーションは、歯付きホイールと、歯付きホイールを回転させるためのバーとを備える。ローラ本体は、ローラ本体が負荷ステーション内に位置するときに歯付きホイールに係合するように配置された歯のリングを備えていてもよい。好ましくは、歯のリングは、ローラ本体端部の一方に配置されたローラフランジの外縁部に位置する。
【0096】
有効で比較的簡単に使用できる負荷ステーションを提供するために、ローラ装置は、有利には、負荷ステーション内にローラ本体を一時的に保持するためのスナップロックを備えていてもよい。さらに、ローラ装置は、ローラ本体を負荷ステーションから解放するためのレバーを備え、ユーザがばね装置のばねへの所望の及び/又は完了した負荷の印加後にローラ本体を負荷ステーションから確実に解放できることが望ましい。
【0097】
装置は、便利には、マットへのアクセスを可能にするために完全に又は部分的に移動できる蓋のような頂部を備えていてもよい。蓋によって、アセンブリ内に配置された圧縮可能な袋の意図しない圧縮が防止されると同時に、装置が塵埃から保護される。
【0098】
有利には、ハウジングの後部は、最後方位置にあるとき、ローラ装置のためのシェルターを形成する。ローラ本体は、有利には、負荷ステーションに係合するときにシェルター内に位置していてもよい。これにより、シェルターは、負荷ステーションの保護を強化する。
【0099】
装置は、有利には、1つ又は複数のセンサを備えていてもよい。一実施形態では、装置は、監視センサと、マット上に配置された圧縮可能な袋の少なくとも1つの状態を監視し表示するためのディスプレイとを備える。上記の状態は、有利には、圧縮可能な袋内にある、且つ/又は袋からの分注の間の液体の温度、及び/又は分注速度、分注ステータス、又は残り分注時間などの少なくとも1つの分注状態を含んでいてもよい。
【0100】
装置は、例えば、看護師のハンドヘルドタブレットなどの、ユーザへの無線送信(例えば、Bluetooth技術を用いた)のための送信機を備えていてもよい。
【0101】
一実施形態では、装置は、マット上に配置された袋からの液体の分注の開始又は停止を自動制御又は遠隔制御するためのレギュレータ装置を備える。
【0102】
監視センサは、レギュレータ装置と一体化されてもよく、又はレギュレータ装置に関連付けられていてもよい。
【0103】
一実施形態では、装置は、ばね装置の負荷状態を表示するためのディスプレイを備える。
【0104】
有利には、装置は、マット上に配置された圧縮可能な袋内の液体を加熱するように構成された温度調整装置を備える。温度調整装置は、マット、床及び/又は蓋に組み込まれた1つ又は複数の加熱要素を備えていてもよい。
【0105】
一実施形態では、温度調整装置は、ハウジング内の空間を選択された温度まで加熱するように構成された熱風送風機を備える。
【0106】
温度調整装置は、有利には、少なくとも1つの温度センサを備えていてもよい。温度センサは、有利には、加熱要素を制御するための加熱要素に関連付けられていてもよい。
【0107】
一実施形態では、1つ又は複数のセンサは、床、マット、及び/又はトラック内に配置されている。
【0108】
また、本発明は、圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なシステムを備える。本発明のシステムは、特許請求の範囲に記載の、圧縮可能な袋と組み合わせて上述したアセンブリを備える。
【0109】
圧縮可能な袋は、後端部と分注端部とを有し、分注端部は、患者に液体を投与するためのチューブ装置に結合するのに好適な分注ポートを備える。
【0110】
圧縮可能な袋から液体を分注するための先行技術の分注システムで使用するチューブ装置のタイプなどの、任意の好適なチューブ装置を適用することができる。
【0111】
システムの一実施形態では、マットは、少なくとも、圧縮可能な袋の幅と同じ幅を有する。
【0112】
システムの一実施形態では、マットは、少なくとも、圧縮可能な袋の後端部と分注端部との間の距離と同じ長さを有する。
【0113】
有利には、トラック係合装置は、それぞれの案内トラックに係合し、上記のようにローラ装置が後端部から分注端部へ向かって通過するとき、ローラを平坦な床面までの事前定義の及び/又は選択可能な距離に保持し、平坦な床面までの事前定義の及び/又は選択可能な距離は、マットと空の状態の圧縮可能な袋との合計の厚さよりも約1mm~約2.5cm大きく、例えば、マットと空の状態の圧縮可能な袋との合計の厚さよりも約2mm~約2cm大きく、例えば、約4mm~約1cm大きい。
【0114】
一実施形態では、システムは、液体を投与するためのチューブ装置をさらに備え、チューブ装置は、チューブと、チューブを通るフローを調整するためのローラピンチクランプとを備える。
【0115】
有利には、ローラピンチクランプは、少なくとも2つの調整ローラを備える。ローラピンチクランプの2つ以上の調整可能なローラによって、比較的簡単に使用できる高精度の速度調整が実現する。
【0116】
有利には、ローラピンチクランプの少なくとも2つの調整ローラは、ローラ間でチューブを挟む支持フランジを介して直接的又は間接的に相対して配置されている。これにより、極めて簡単な方法で調整が可能になる。チューブは、例えば、2つのフランジ間のハウジング内に配置されていてもよく、2つのローラは、2つのフランジの間でチューブを圧縮するように配置されている。この変形例では、ローラはチューブに直接作用する。
【0117】
一実施形態では、チューブ装置は、分注ポートとチューブとの間に結合されたスパイク/ドリップチャンバを備える。ローラピンチクランプは、好ましくは、ドリップチャンバと一体化されていてもよく、チューブに沿ってドリップチャンバまで最大約0.5m、例えば、最大約0.2m、例えば、最大約0.1mの距離に配置されていてもよい。
【0118】
ローラピンチクランプをドリップチャンバと一体化しているか、又はドリップチャンバから非常に近い位置、例えば最大約5cmの位置に配置していることで、結合されたローラピンチクランプ及びドリップチャンバは、片手で調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
本発明について、複数の実施形態に関連して、図面を参照しながら以下に詳細に例示する。図面は概略図であって、縮尺通りに描かれていない場合もある。
【0120】
【
図1】本発明の一実施形態のアセンブリを使用する患者を示す図である。
【
図2】例えば国際公開第2019/145004号に記載の一組のストラップを備えたアセンブリを示す図である。
【
図3a】本発明の一実施形態のアセンブリの、蓋を閉じた状態の斜視図である。
【
図3b】本発明の一実施形態のアセンブリの、蓋を閉じた状態の斜視図である。
【
図3c】
図3aに示す実施形態の一変形例を示す図である。
【
図4a】ローラ装置の第1の端部に着目した、本発明の一実施形態のアセンブリのローラ装置の概略斜視図である。
【
図4b】ローラ装置の第2の端部に着目した、
図4aに示すローラ装置の別の概略斜視図である。
【
図4c】
図4aに示す実施形態の一変形例を示す図である。
【
図4d】
図4bに示す実施形態の一変形例を示す図である。
【
図5a】ローラ本体の円筒状本体部が取り外された状態の、
図4aに示すローラ装置を示す図である。
【
図5b】
図5aに示す実施形態の一変形例を示す図である。
【
図6a】本発明の一実施形態のマットと組み合わせたローラ装置の概略斜視図である。
【
図6b】
図6aに示す実施形態の一変形例を示す図である。
【
図7a】本発明の一実施形態のアセンブリのローラ装置の概略断面図である。
【
図7b】
図7aに示す実施形態の一変形例を示す図である。
【
図8a】回転抑止機構を形成する係合軸フランジ及び係合ローラフランジを備えた一組のフランジの概略斜視図である。
【
図8b】回転抑止機構を形成する係合軸フランジ及び係合ローラフランジを備えた一組のフランジの概略斜視図である。
【
図8c】
図8aに示す実施形態の一変形例を示す図である。
【
図8d】
図8aに示す実施形態の別の変形例を示す図である。
【
図8e】
図8bに示す実施形態の第1の変形例を示す図である。
【
図8f】
図8bに示す実施形態の第2の変形例を示す図である。
【
図8g】
図8bに示す実施形態の第3の変形例を示す図である。
【
図9a】回転抑止機構を形成する別の組の係合フランジの概略斜視図である。
【
図9b】回転抑止機構を形成する別の組の係合フランジの概略斜視図である。
【
図10】ドリップチャンバと、チューブと、ローラピンチクランプとを備えた、液体を投与するためのチューブ装置を備えた本発明の一実施形態のアセンブリシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0121】
図1は、上記の装置及びマットのアセンブリと、上述したチューブ装置とを備えたアセンブリシステムを使用する、異なる体位の患者を示す。
図1の右側では、患者3は、ベッド4に寝ており、患者3は、ベッド4上で仰臥位にあるか又は座位にあってもよい。アセンブリ1は、装置と、図示しないマットと、チューブ装置2を介して患者に液体が分注される圧縮可能な袋とを備える。アセンブリ1は、ベッド4の側面、すなわち、患者3の心臓3aの高さよりも低い位置に吊り下げられている。これが可能であるのは、アセンブリ1が、患者の心臓3aに対するアセンブリ1の高さとは無関係に、袋からの液体の所望の、信頼性の高い、一定の分注を提供するからである。図の左側では、患者3は、アセンブリ1を手に持って-すなわち、心臓の高さよりもはるかに下側に持って立っている。アセンブリ1は、圧縮可能な袋が空になるまで、極めて信頼性の高い安定した分注速度を保証する。アセンブリ1が心臓3aに対して非常に低い高さに位置する場合であっても、逆流の危険性はない。同時に、アセンブリ1は非常に小型であって、患者及び看護師が容易に取り扱うことができる。アセンブリ1は、患者3が手で携帯してもよいし、肩部から掛けたり、バッグに差し込んだり、車椅子や歩行器に吊り下げたりできる。アセンブリ1の高い信頼性によって、使用法が極めて簡単になり、ポールは不要である。
【0122】
図2では、アセンブリ10は、例えば、国際公開第2019/145004号に記載の一組のストラップを備える。本実施形態では、当該一組のストラップは、2つの主ストラップ11及び12を備える。第1の主ストラップ11は、アセンブリ10の分注端部18に隣接する第1の側面パネル15上に位置する第1の底部結合構造16に一方の端部が取り付けられている。ストラップ11の他方の端部は、アセンブリ1の第1の頂部結合構造13aに取り付けられていてもよい。
【0123】
第2の主ストラップ12は、その第1の端部で第2の上部結合構造13bに取り付けられている。主ストラップ12の第2の端部は、例えば、バックル17を用いて、アセンブリ上の第2の底部結合構造(図示せず)に取り付けられていてもよい。
【0124】
したがって、アセンブリ1をバッグに差し込んで運ぶ患者は、主ストラップ11及び12を使用することができる。主ストラップ11は、例えばIV処置法の間、チューブ装置のチューブを固定するために使用できるチューブホルダー14を備えて取り付けられている。各ストラップは、例えば、国際公開第2019/145004号に記載のように、いくつかの位置でアセンブリの装置に結合されていてもよい。
【0125】
図3a及び
図3bでは、アセンブリは、蓋20を閉じた状態で示されている。
図3bでは、蓋は透明であるが、蓋の詳細は
図3aに示されている。アセンブリは、分注端部22aと反対側の後端部22bとを有するハウジングを有する装置を備える。底部23は、マット27が配置される平坦な床面を備えた床を形成する。第1のマット端部が、一対のノブ27aを介してローラ本体26に固定されている。装置は、一対の平行な案内トラック24と、第1及び第2のローラ本体端部並びに円周状の断面を有するローラ面を有するローラ本体26を備えたローラ装置25とを備える。
【0126】
ローラ装置は、それぞれの第1及び第2の端部に、当該それぞれの案内トラックに係合するトラック係合装置を備える。ローラ装置25は、それぞれの第1及び/又は第2の端部に、それぞれの案内トラック24に係合するトラック係合装置25aを備える。
図3a及び
図3bでは、トラック係合装置25aのうちの一方のみが示されている。
【0127】
装置は、ローラ本体26を駆動するための駆動装置を備える。駆動装置は、ローラ本体26とローラ装置25の軸との間に配置されたねじりばねを含むばね装置を備える。装置は、ねじりばねに負荷を掛けるための負荷ステーションを備える。負荷ステーションは、ハウジングの後端部に配置され、ハウジングは、負荷ステーション内に位置するときにローラ本体26のためのシェルター21を形成する。負荷ステーションは、歯付きホイールと、歯付きホイールを回転させるためのバー28とを備える。ローラ本体は、ローラ本体が負荷ステーション内に位置するときに歯付きホイールに係合するようにローラ本体端部に配置されたローラフランジ29の外縁部に位置する歯のリング29を備える。
【0128】
図4a及び
図4bは、マットなしのローラ装置を示し、第1のローラ装置端部及び第2のローラ装置端部は、それぞれ
図4a及び
図4bに示されている。
【0129】
トラック係合装置25aは、各々、案内トラック24に係合して案内トラック24に沿って摺動するトラックスライダ25bを備える。
【0130】
トラックスライダ25bは、トラック24の上側に接触して配置された上側フランジ25cと、トラックの下側に接触して配置された下側フランジ25cとを備え、トラック係合装置をトラックに係止し、トラック係合装置がトラックに沿って長手方向に摺動することを可能にするグラブロックを備える。グラブロックは、有利には、スライダであるか又はスライダを備える。
【0131】
図5aでは、ローラ本体の円筒状本体部が取り外されており、駆動装置のねじりばね30が示されている。駆動装置は、2つ以上のねじりばねを備えていてもよい。螺旋ねじりばね31の第1の端部は、ローラ本体に直接又は間接的に、たとえばローラ本体に結合されたフランジを介してローラ本体に係合するように構成されている。
【0132】
図6aは、マット27と組み合わせたローラ装置を示す。第1のマット端部は、一対のノブ27aを介してローラ本体26に固定されている。これにより、駆動装置がローラ本体を駆動してマット27上に配置された圧縮可能な袋を回転させると、圧縮可能な袋はローラ本体26とマット27との間に捕捉され、圧縮可能な袋は圧縮され、圧縮可能な袋から液体を分注する。マット27の第2の端部に、マット27は、剛性ロッド27bの形態の停止装置と、分注終了後にマットを繰り出すためのストラップ27cとを備える。剛性ロッド27bは、スライダ25aが剛性ロッド27bを制止するという意味で、マット27の第2の端部がローラ本体上に完全に巻き取られないことを保証する。分注終了後に、ストラップ27cを引き裂くだけで、ローラ本体からマットを繰り出すことができる。
【0133】
図7aは、ローラ装置の一部の内部を示す図である。ローラ装置は、ローラ本体と、2つのねじりばね43a、43bと、各端部にある取り付け孔44aを有する軸44と、軸フランジとを備える。ローラ本体は、円筒状本体部40と、ねじりばね43a、43bに負荷を掛けるための係合ローラフランジ41及び歯付きフランジ42とを備える。軸44は軸フランジ45、46に堅固に結合され軸フランジ47に間接的に堅固に結合されている。軸フランジ45はローラ本体の端部に配置されているが、ローラ本体は軸フランジ45に対して回転可能である。軸フランジ45は、軸フランジ47と着脱可能で、堅固に結合されている。軸フランジ46は係合軸フランジであり、係合ローラフランジ41と共に回転抑止機構を形成し、ローラ本体の回転を事前定義の回転速度に抑止する。
【0134】
ばね43a、43b各々の第1の端部は、ここで係合ローラフランジ41を介してローラ本体に係合する。ばね43a、43bの第2の端部は、軸フランジ47に係合し、軸フランジ47は、軸フランジ45を介して軸に堅固に結合されている。軸フランジ45と軸フランジ47との間の堅固な結合は、ばね負荷ステージに対する軸とローラ本体との間の関係を調整するために、すなわち、ばねが無負荷状態にあるとき、ローラ本体上の固定手段が所望の位置に位置することを保証するように、解放可能である。軸フランジ45と軸フランジ47との間の解放可能なロックは、小さなローラ又は他の適切な手段を配置することによって提供されてもよい。
【0135】
図7bに示す変形例では、ローラ装置は、単一のねじりばね43aを備える。
【0136】
抑止機構を形成する係合軸フランジ46及び係合ローラフランジ41は、
図8a及び
図8bに詳細に示され、
図8aは、係合ローラフランジ41に対向する係合軸フランジ46の係合面を示し、
図8bは、係合軸フランジ46に対向する係合ローラフランジ41の係合面を示す。
【0137】
図9に示すように、係合軸フランジ46は、それぞれの係合面を介して係合ローラフランジ41に係合し、それにより、回転抑止機構を形成し、ローラ本体の回転を事前定義の回転速度に抑止する。
【0138】
係合ローラフランジ41は、環状チャネル41aを備え、係合軸フランジ46は、係合ローラフランジの環状チャネル41aに係合するフランジ46aの環状セクションを備える。上記のように、潤滑剤を環状チャネル41内に配置し、好ましくは、フランジ46aの環状セクション間のチャネル41a内の空間の主要部分を充填できる。これにより、ばね装置からローラ本体に伝達される力の所望の減衰が保証される。
【0139】
図9a及び
図9bは、係合軸フランジ46及び係合ローラフランジ41の別の図である。ここで、係合軸フランジ46は、軸の形状に合致し、それにより係合軸フランジ46を軸に堅固に係止する正方形の中心孔を有することが分かる。係合ローラフランジ41は円形の中心孔を有し、これにより、係合ローラフランジ41は軸に係止されないことが保証される。
【0140】
図7に戻ると、軸は、トラック係合装置を堅固に取り付けるために各端部に取り付け孔44aを有し、トラック係合装置がトラックに係合しているときに軸が回転するのが防止されることが分かる。
【0141】
これにより、使用時には、ねじりばね43a、43bが解放されると、ばね43a、43bが軸フランジ45を介して、この段階では軸に係止された軸フランジ47に対してローラ本体を回転させ、それにより、ばね43a、43bが軸44に対してローラ本体を回転させる。軸44はトラック係合装置によって回転を規制されているので、ローラ装置が自然に回転し、ローラ本体上に巻き付くと同時に、マット上に配置された圧縮可能な袋から液体が分注される。
【0142】
図10は、マット57及びステアリングトラック54を有する装置1の一部分の概略上面図である。マット上には、分注装置56aを介して分注する液体を有する圧縮可能な袋56が配置され、圧縮可能な袋56と分注装置56aとはドリップチャンバ57内に滴下するように構成されている。ドリップチャンバ57は、保持装置58を介して装置1に固定されている。チューブ52は、ドリップチャンバ57から患者に液体を輸液するように構成されている。上記のローラピンチクランプ59は、投与速度を調整するように構成されている。ローラピンチクランプは、調整可能なストラップ59aを介して保持装置58に固定されていてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置及び可撓性
のマットを備えた、圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なアセンブリであって、前記装置が、分注端部と反対側の後端部とを有するハウジングと、平坦な床面と一対の平行な案内トラックとを備えた床と、第1
のローラ本体端部及び第2のローラ本体端部と円周状の断
面を有するローラ面
とを有するローラ本体を備えたローラ装置と、を備え、前記ローラ装置が、前記それぞれの案内トラックとそれぞれ係合した第1のローラ装置端部と第2のローラ装置端部とを有し、前記案内トラックが、前記ローラ装置を案内して前記後端部の位置から前記分注端部へ向かって回転させるように配置され、
前記マットが、第1のマット端部と第2のマット端部との間に延びる長さを有し、前記第1のマット端部が、前記ローラ本体に取り付けられているか、又は取り付けられるように構成され、前記マットが、前記ローラ
本体が前記後端部の位置に位置するときに、前記案内トラック間の前記平坦な床上に少なくとも部分的に配置される、アセンブリ。
【請求項2】
前記マットが、上面と、前記ローラ本体から繰り出されていないときに前記床面に対向する反対側の底面を有し、前記底面が前記上面よりも低い粗さ及びASTM D3702-94(2019)に従って決定される、0.3以下の静摩擦係数(CoSF)の少なくとも1つを有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記マットが、少なくとも前記第1のマット端部及び前記第2のマット端部において界面で接合されるか又は相互結合される2つ以上の層を備えた、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記マットの前記ローラ本体への取り付けが、化学的取り付け、物理的取り付け及び機械的取り付けの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記床面が、ASTM D3702-94(2019)に従って決定される、0.4以下のCoSFを有する、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記ローラ装置が、前記それぞれの案内トラックに係合する前記それぞれの第1及び第2の端部の各々にトラック係合装置を備え、前記トラック係合装置の少なくとも片方が、前記案内トラックに係合して前記案内トラックに沿って摺動するトラックスライダを備えた、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記トラック係合装置が、前記それぞれの案内トラックに係合し、前記ローラ装置が前記後端部から前記分注端部へ向かって通過するとき、前記ローラ本体を前記平坦な床面までの事前定義の及び/又は選択可能な距離に保持する、請求項
6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記マットが、前記第2のマット端部に、前記マットの前記第2の
マット端部が前記ローラ本体上に巻き取られることを防止する停止装置を有する、請求項
6又は7に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記停止装置が、前記トラック係合装置が前記マットの前記第2の
マット端部に到達したとき、前記トラック係合装置によって阻止されるように構成された剛性ストッパを備えた、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記装置が、前記ローラ装置に係合して前記ローラ装置の前記ロー
ラを前記後端部から前記分注端部へ向かって駆動する駆動装置を備え、前記駆動装置が、ばね装置及び電動機の少なくとも一方を備えた、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記駆動装置が単一ばね装置又はマルチばね装置から選択されたばね装置を備え、前記ばね装置が前記ローラ本体内に少なくとも部分的に位置する、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記ばね装置が、前記ローラ本体内に配置された少なくとも1つの螺旋ねじりばねを備え、前記ローラ装置が軸を備え、前記ローラ本体が、前記軸周りに回転するように構成され
、前記ローラ本体が前記1つ又は複数の螺旋ねじりばねのためのハウジングを形成する、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記ばね装置が、前記ローラ本体を駆動して前記軸周りに回転させるように構成され、前記軸が、少なくとも1つの軸フランジに堅固に結合され、前記螺旋ねじりばねの第1の端部が前記ローラ本体に係合し、前記螺旋ねじりばねの第2の端部が前記軸フランジに係合し、前記ローラ本体が、円筒状本体部と、前記円筒状本体部に対して垂直な少なくとも1つのローラフランジとを備え、前記螺旋ねじりばねの前記第1の端部が、前記ローラフランジ又は前記円筒状本体部に係合し、前記軸フランジの少なくとも1つが係合軸フランジであり、前記ローラフランジの少なくとも1つが係合ローラフランジであり、前記係合軸フランジが前記係合ローラフランジに係合する、請求項12に記載のアセンブリ。
【請求項14】
前記係合軸フランジ及び前記係合ローラフランジが、回転抑止機構を形成し、前記係合軸フランジ及び前記係合ローラフランジの一方が、環状チャネルを備え、前記係合軸フランジ及び前記係合ローラフランジの他方が、前記係合軸フランジ及び前記係合ローラフランジの前記一方の前記環状チャネルに係合する環状フランジ又はフランジのセクションを備えた、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記環状チャネルが、前記環状フランジ間又はフランジのセクション間の前記チャネル内の空間を充填する潤滑剤を備え、前記潤滑剤が、1つの環状チャネルから別の環状チャネルへ通過できる、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記ばね装置が、前記ばね装置に少なくとも部分的に負荷を掛ける負荷装置を備え、前記負荷装置が、前記マットを前記ローラ本体から繰り出すことと、前記ローラ装置を前記分注端部から前記後端部へ向かう方向に移動させることとの少なくとも一方によって、前記ばね装置に少なくとも部分的に負荷を掛けるように構成された、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記ばね装置が、前記ばね装置に負荷を掛ける負荷ステーションを備え、前記ローラ装置が、前記負荷ステーション内に前記ローラ本体を一時的に保持するためのスナップロックを備え、前記ローラ装置が、前記ローラ本体を前記負荷ステーションから解放するためのレバーを備えた、請求項11に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記装置が、前記マット上に配置された圧縮可能な袋の少なくとも1つの状態を監視及び表示するための監視センサ及びディスプレイの少なくとも一方を備え、前記状態が、前記袋内の液体の温度、分注状態、及び前記マット上に配置された袋からの液体の分注の開始又は停止を自動又は遠隔制御するためのレギュレータ装置から選択される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記監視センサが、前記マット上に配置された圧縮可能な袋内の液体を加熱するように構成された温度調整装置である、請求項18に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記温度調整装置が、前記マット、前記床、及び/又
は蓋に組み込まれた1つ又は複数の加熱要素を備え、前記温度調整装置が、前記ハウジング内
の空間を選択された温度まで加熱するように構成された熱風送風機を備えた、請求項
19に記載のアセンブリ。
【請求項21】
圧縮可能な袋から液体を分注するのに好適なシステムであって、前記システムが請求項1から請求項20の何れか一項に記載のアセンブリと、圧縮可能な袋とを備え、前記圧縮可能な袋が、後端部と分注端部とを有し、前記分注端部が、前記液体を投与するためのチューブ装置に結合されるのに好適な分注ポートを備える、システム。
【請求項22】
トラック係合装置が、前記それぞれの案内トラックに係合し、前記ローラ装置が前記後端部から前記分注端部へ向かって通過するとき、前記ローラを前記平坦な床面までの事前定義の又は選択可能な距離に保持し、前記平坦な床面までの前記事前定義の又は選択可能な距離が、前記マットと空の状態の前記圧縮可能な袋との合計の厚さより
も1mm
~2.5cm
大きい、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記システムが、前記液体を投与するための前記チューブ装置をさらに備え、前記チューブ装置が、チューブと、前記チューブを通るフローを調整するためのローラピンチクランプとを備え、前記ローラピンチクランプが、
調整ローラ間に前記チューブを挟む支持フランジを介して直接的及び/又は間接的に相対して配置された少なくとも2つの
前記調整ローラを備えた、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記チューブ装置が、前記分注ポートと前記チューブとの間に結合されたスパイク/ドリップチャンバを備えた、請求項23に記載のシステム。
【国際調査報告】