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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】老眼用マルチレンズシステム
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20230526BHJP
   A61B 3/028 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
G02C7/04
A61B3/028
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563983
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 IB2021051962
(87)【国際公開番号】W WO2021214564
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】16/854,058
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ナンキビル・デレク・ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ウーリィ・ベンジャミン
【テーマコード(参考)】
2H006
4C316
【Fターム(参考)】
2H006BC03
4C316AA13
4C316AA15
4C316FC12
4C316FC21
(57)【要約】
本明細書において、老眼者用の眼間屈折差(屈折不同)を有するコンタクトレンズのシステムを設計するためのシステムおよび/または方法が記載される。例示的な方法は、老眼者を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための複数のレンズを決定するステップを含み得る。複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され得、それに関連付けられた度数プロファイルを有し得る。複数のレンズは、光学補正に基づいてグループ化され得る。特定の群のレンズの各々は、異なる度数プロファイルを有し得る。例示的な方法は、少なくとも複数のレンズおよび必要加入度数に基づいて、フィットガイドを作成するステップを含み得る。フィットガイドは、有効加入度数の眼間差を提供し得る。有効加入度数の眼間差は、範囲調節要求および照度レベルにわたって単眼パフォーマンスを最適化することによって決定され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
老眼者用の眼間差を有するコンタクトレンズのシステムであって、
老眼者を治療するための複数のレンズタイプであって、前記レンズシステムは、少なくとも3つのレンズタイプ(レンズA、レンズB、およびレンズCの呼称)を含み、
前記複数のレンズの各々が、光学補正のために構成され、それに関連付けられた度数プロファイルを有し、
前記複数のレンズは、前記光学補正に基づいてグループ化され、特定のタイプの前記レンズの各々が、異なる度数プロファイルを有し、
前記レンズ呼称の各々についての光学補正の範囲にわたる光学補正正規化度数プロファイルは、少なくとも、[1]処方(Rx)、年齢および眼球球面収差の適応依存性、および[2]Rx、年齢および入射瞳径の輝度依存性に基づいて性能を改善するように変更される、複数のレンズタイプと、
前記複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドであって、有効加入度数の眼間差を提供するフィットガイドと、を含むシステム。
【請求項2】
各レンズグループは、少なくとも3つの中心近用連続多焦点レンズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
レンズの各グループは3つのレンズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
レンズの各グループは4つのレンズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
レンズの各グループは5つのレンズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記度数プロファイルは-20D~+20Dである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記フィットガイドは、前記複数のレンズグループ内の前記レンズのうちの1つ以上に対する視覚性能マニホールドに依存する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記フィットガイドは、以下のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】
【請求項9】
老眼者用の眼間屈折差を有するコンタクトレンズのシステムを設計する方法であって、
老眼者を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための複数のレンズタイプを決定するステップであって、前記レンズシステムは、少なくとも3つのレンズタイプ(レンズA、レンズB、およびレンズCの呼称)を含み、
前記複数のレンズの各々が、光学補正のために構成され、それに関連付けられた度数プロファイルを有し、
前記複数のレンズは、前記光学補正に基づいてグループ化され、特定のタイプの前記レンズの各々が、異なる度数プロファイルを有し、
前記レンズ呼称の各々についての光学補正の範囲にわたる光学補正正規化度数プロファイルは、少なくとも、[1]処方(Rx)、年齢および眼球球面収差の適応依存性、または[2]Rx、年齢および入射瞳径の輝度依存性に基づいて性能を改善するように変更される、決定するステップと、
少なくとも前記複数のレンズおよび必要加入度数に基づいて、前記複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドを作成するステップであって、前記フィットガイドは、有効加入度数の眼間差を提供する、作成するステップと、を含む方法。
【請求項10】
各レンズグループは、少なくとも3つの中心近用連続多焦点レンズを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
レンズの各グループは3つのレンズを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
レンズの各グループは4つのレンズを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
レンズの各グループは5つのレンズを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記光学補正は-20D~+20Dである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
複数のレンズグループを決定することは、前記複数のレンズグループ内の前記レンズのうちの1つ以上に対する視覚性能マニホールドを決定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記フィットガイドは、以下のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】
【請求項17】
老眼者用の眼間屈折差を有するコンタクトレンズのシステムを設計する方法であって、
老眼者を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための複数のレンズを決定するステップであって、前記複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され、それに関連付けられた度数プロファイルを有し、前記複数のレンズは、前記光学補正に基づいてグループ化され、特定のグループの前記レンズの各々は、異なる度数プロファイルを有する、決定するステップと、
少なくとも前記複数のレンズおよび必要加入度数に基づいて、前記複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドを作成するステップであって、前記フィットガイドは、有効加入度数の眼間差を提供する、作成するステップと、を含む方法。
【請求項18】
レンズの各グループは3つのレンズを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
レンズの各グループは4つのレンズを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
レンズの各グループは5つのレンズを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記度数プロファイルは-20D~+20Dである、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
複数のレンズを決定することは、前記レンズのうちの1つ以上に対する視覚性能マニホールドを決定することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
前記フィットガイドは、以下のうちの1つ以上を含む、請求項17に記載の方法。
【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般に、多焦点または焦点深度拡張(EDOF)レンズは、老眼の影響を大幅に軽減するが、それらは性能トレードオフを必要とする。典型的には、改善された近方視力性能を達成するために、ピーク距離視力が犠牲にされる。市場をリードする多焦点同時視レンズシステム(多焦点(MF))のいくつかの優れた視覚性能にもかかわらず、シミュレーションが示唆するところによれば、特に近方において、一定の調節性要求にわたって性能を改善すべき状況が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本レンズ、レンズシステム、および方法は、MFと比べて、調節要求の範囲にわたる全体的な視覚性能に関する優れたトレードオフを提供する。これは、単眼の焦点深度(DOF)をさらに増大させるように、視覚システムの能力を強化して眼間屈折差を許容することによって達成され得る。それに代わって、あるいはそれに加えて、この設計は、MFとは異なり、より大きな加入度数、ストック保管ユニット(SKU)にわたって、設計においてより多くのバリエーションを用いるものであり、ここで各SKUは、異なる処方箋(Rx)、および視覚性能マニホールドを最適化されたフィット/再フィット処方(例えば、フィッティングガイド)を区別する。
【0003】
本明細書には、老眼者用の屈折不同を有するコンタクトレンズのシステムを設計するためのシステムおよび/または方法である。例示的な方法は、老眼者を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための複数のレンズタイプを決定するステップを含み得る。本レンズシステムは、少なくとも3つのレンズタイプ(レンズA、レンズB、およびレンズCの呼称)を含み得る。レンズタイプは、有効加入度数もしくはDOF、またはその両方によって異なり得る。複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され得、それに関連付けられた度数プロファイルを有し得る。複数のレンズは、光学補正に基づいてグループ化され得る。特定のタイプのレンズの各々は、異なる度数プロファイルを有し得る。レンズ呼称の各々についての光学補正の範囲にわたる光学補正正規化度数プロファイルは、[1]処方(Rx)、年齢および眼球球面収差の適応依存性、ならびに/または[2]Rx、年齢および入射瞳径の輝度依存性を考慮して性能を改善するように変更され得る。性能要因の他の組み合わせが使用されてもよく、また単一の個別の要因を含んでもよい。例示的な方法は、少なくとも複数のレンズおよび必要加入度数に基づいて、複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドを作成するステップを含み得る。フィットガイドは、有効加入度数の眼間差を提供し得る。
【0004】
本明細書には、老眼者用の屈折不同を有するコンタクトレンズのシステムを設計するためのシステムおよび/または方法である。例示的な方法は、老眼者を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための複数のレンズを決定するステップを含み得る。複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され得、それに関連付けられた度数プロファイルを有し得る。複数のレンズは、光学補正に基づいてグループ化され得る。特定のグループのレンズの各々は、異なる度数プロファイルを有し得る。この例示的な方法は、少なくとも複数のレンズおよび必要加入度数に基づいて、複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドを作成するステップを含み得る。フィットガイドは、有効加入度数の眼間差を提供し得る。
【0005】
本明細書において、老眼者用の屈折不同を有するコンタクトレンズの方法および/またはシステムが開示される。例示的なシステムは、老眼者を治療するための複数のレンズタイプを含み得る。本レンズシステムは、少なくとも3つのレンズタイプ(レンズA、レンズB、およびレンズCの呼称)を含み得る。複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され得、それに関連付けられた度数プロファイルを有し得る。複数のレンズは、光学補正に基づいてグループ化され得る。特定のタイプのレンズの各々は、異なる度数プロファイルを有し得る。レンズ呼称の各々についての光学補正の範囲にわたる光学補正正規化度数プロファイルは、[1]処方(Rx)、年齢および眼球球面収差の適応依存性、[2]Rx、年齢および入射瞳径の輝度依存性を考慮して性能を改善するように変更され得る。この例示的なシステムは、複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドを含み得る。フィットガイドは、有効加入度数の眼間差を提供する。
【0006】
本明細書において、老眼者用の屈折不同を有するコンタクトレンズのシステムをカスタマイズするためのシステムおよび/または方法が開示される。ある例示的な方法は、老眼を示す少なくとも一人のユーザに関連付けられたフィット(例えば、プロファイル)を決定する(例えば、選択する)ステップを含み得る。この例示的な方法は、フィットに基づいて、1つ以上の視覚性能マニホールドを選択する(例えば、シミュレートする)ステップを含み得る。視覚性能マニホールドの各々は、レンズ設計、アイモデル、および環境条件に基づいて生成され得る。この例示的な方法は、1つ以上の視覚性能マニホールドに基づいて、老眼者を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための、または主観的フィードバックが与えられたときのレンズフィットの変更のための複数のレンズを選択するステップを含み得る。複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され得、それに関連付けられた度数プロファイルを有し得る。複数のレンズは、光学補正に基づいてグループ化され得る。特定の群のレンズの各々は、異なる度数プロファイルを有し得る。この例示的な方法は、少なくとも複数のレンズおよび必要加入度数に基づいて、複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドを作成するステップを含み得る。フィットガイドは、有効加入度数の眼間差を提供し得る。
【0007】
これらの複数のレンズは、レンズグループが-20D~+20Dなどの特定の光学補正レベルまたは指定に関連付けられるように、光学補正に基づいてグループ化され得る。例えば、レンズシステムは、-6Dの光学補正に基づいてグループ化された複数のレンズを含み得る。しかしながら、ユーザの必要加入度数が存在してもよく、また、好ましい性能のためにグループ/システム内のレンズのうちのどれがユーザのどちらの目に装着されるべきかを選択するために、フィットガイドが使用されてもよい。各レンズグループは、少なくとも3つの中心近用連続多焦点レンズを含み得る。各レンズグループは、3つのレンズを含み得る。各レンズグループは、4つのレンズを含み得る。各レンズグループは、5つのレンズを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図面は、例として、ただし限定としてではなく、本開示で検討される様々な実施例を一般的に示したものである。図面は以下のとおりである。
図1】は、比較用3レンズシステムの例示的な度数プロファイルを示す。
図2】は、様々な処方(Rx)および0.75Dの加入度数に関する比較用レンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図3】は、様々な処方(Rx)および1.00Dの加入度数に関する比較用レンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図4】は、様々な処方(Rx)および1.25Dの加入度数に関する比較用レンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図5】は、様々な処方(Rx)のおよび1.50Dの加入度数に関する比較用のレンズシステムの視覚的能の例示的なグラフを示す。
図6】は、様々な処方(Rx)のおよび1.75Dの加入度数に関する比較用のレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図7】は、様々な処方(Rx)のおよび2.00Dの加入度数に関する比較用のレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図8】は、様々な処方(Rx)のおよび2.25Dの加入度数に関する比較用のレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図9】は、様々な処方(Rx)のおよび2.50Dの加入度数に関する比較用のレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図10】は、本開示によるレンズシステムの例示的な度数プロファイルおよびフィットガイドを示す。
図11】は、様々な処方(Rx)および0.75Dの加入度数に関する本開示によるレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図12】は、様々な処方(Rx)および1.00Dの加入度数に関する本開示によるレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図13】は、様々な処方(Rx)および1.25Dの加入度数に関する本開示によるレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図14】は、様々な処方(Rx)および1.50Dの加入度数に関する本開示によるレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図15】は、様々な処方(Rx)および1.75Dの加入度数に関する本開示によるレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図16】は、様々な処方(Rx)および2.0Dの加入度数に関する本開示によるレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図17】は、様々な処方(Rx)および2.25Dの加入度数に関する本開示によるレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図18】は、様々な処方(Rx)および2.5Dの加入度数に関する本開示によるレンズシステムの視覚性能の例示的なグラフを示す。
図19】は、焦点深度(DOF)および有効加入度数(E.Add)を例示するための、両眼転導の関数としての視覚性能のプロット(視距離)を示す。
図20】は、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での利き目に対する、図1の比較用レンズシステムのピーク位置(LoP)視力のプロットを示す。
図21】は、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での非利き目に対する、図1の比較用レンズシステムのピーク位置視力のプロットを示す。
図22】は、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での利き目に対する、図1の比較用レンズシステムの焦点深度のプロットを示す。
図23】は、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での非利き目に対する、図1の比較用レンズシステムの焦点深度のプロットを示す。
図24】は、本開示によるレンズシステムのピーク位置視力のプロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での利き目に対する例が図10に示されている。
図25】は、本開示によるレンズシステムのピーク位置視力のプロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での非利き目に対する例が図10に示されている。
図26】は、本開示によるレンズシステムの焦点深度のプロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での利き目に対する例が図10に示されている。
図27】は、本開示によるレンズシステムの焦点深度のプロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での非利き目に対する例が図10に示されている。
図28】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間におけるピーク位置視力の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図29】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間におけるピーク位置視力の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での非利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような比較用レンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図30】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間における焦点深度の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、DOFがより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図31】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間における焦点深度の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での非利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、DOFがより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図32】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間におけるピーク位置視力の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる中輝度(輝度=20cd/m)での利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図33】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間におけるピーク位置視力の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる中輝度(輝度=20cd/m)での非利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図34】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間における焦点深度の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる中輝度(輝度=20cd/m)での利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、DOFがより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図35】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間における焦点深度の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる中輝度(輝度=20cd/m)での非利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、DOFがより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図36】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間におけるピーク位置視力の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる高輝度(輝度=400cd/m)での利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図37】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間におけるピーク位置視力の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる高輝度(輝度=400cd/m)での非利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図38】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間における焦点深度の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる高輝度(輝度=400cd/m)での利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、DOFがより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
図39】は、図1の比較用レンズシステムと本開示によるレンズシステムとの間における焦点深度の差の比較用プロットを示し、様々な加入度数にわたる高輝度(輝度=400cd/m)での非利き目に対する例が図10に示されている。破線は、ゼロ差を表す基準であり、線の下は、図1に示されるような従来技術のレンズに対し、DOFがより大きくなることを示し、線の上は、図10に示されるものなど、本開示によるレンズに対し、有効加入度数がより大きくなることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、老眼者用の両眼差を有するコンタクトレンズのシステムをカスタマイズするためのシステムおよび/または方法が記載される。ある例示的な方法は、老眼を示す少なくとも一人のユーザに関連付けられたフィットを選択するステップを含み得る。フィットを決定することは、特定のユーザのための治療計画を最適化することを含み得る。最適化は、本明細書に示され説明されるように、1つ以上の視覚性能マニホールドを使用することを含み得る。
【0010】
本明細書において、老眼者用の両眼差を有するコンタクトレンズのシステムを設計および実現するためのシステムおよび/または方法が記載される。例示的なシステムは、老眼者を治療するための複数のレンズタイプを含み得る。本レンズシステムは、少なくとも3つのレンズタイプ(レンズA、レンズB、およびレンズCの呼称)を含み得る。レンズタイプは、有効加入度数またはDOFのうちの1つ以上によって異なり得る。複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され得、それに関連付けられた度数プロファイルを有し得る。複数のレンズは、光学補正に基づいてグループ化され得る。特定のタイプのレンズの各々は、異なる度数プロファイルを有し得る。レンズ呼称の各々についての光学補正の範囲にわたる光学補正正規化度数プロファイルは、[1]処方(Rx)、年齢および眼球球面収差の適応依存性、[2]Rx、年齢および入射瞳径の輝度依存性を考慮して性能を改善するように変更され得る。
【0011】
この例示的な方法は、老眼を示す少なくとも一人のユーザに関連付けられたフィットを決定することを含み得る。この方法は、フィットプロファイルに基づいて、1つ以上の視覚性能マニホールドをシミュレートすることであって、視覚性能マニホールドの各々は、レンズ設計、アイモデル、および環境条件に基づいて生成される、シミュレートすることを含み得る。この方法は、選択された1つ以上の視覚性能マニホールドに基づいて、老眼者を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための、または視覚性能が達成された場合にレンズフィットを変更するための複数のレンズを選択することであって、該複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され、それに関連付けられた度数プロファイルを有し、該複数のレンズは、光学補正に基づいてグループ化され、特定のグループのレンズの各々は、異なる度数プロファイルを有する、選択することを含み得る。この方法は、少なくとも複数のレンズおよび必要加入度数に基づいて、複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドを作成することであって、フィットガイドは、有効加入度数の眼間視差を提供する、作成することを含み得る。
【0012】
例示的な方法は、老眼者を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための複数のレンズタイプを決定するステップを含み得る。本レンズシステムは、少なくとも3つのレンズタイプ(レンズA、レンズB、およびレンズCの呼称)を含み得る。他のグループ化およびレンズタイプの数が使用されてもよい。複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され得、それに関連付けられた度数プロファイルを有し得る。複数のレンズは、光学補正に基づいてグループ化され得る。各レンズグループは、少なくとも3つの中心近用連続多焦点レンズを含み得る。各レンズグループは、3つのレンズを含み得る。各レンズグループは、4つのレンズを含み得る。各レンズグループは、5つのレンズを含み得る。度数プロファイルは、-20D~+20Dであり得る。複数のレンズグループを決定することは、複数のレンズグループ内のレンズのうちの1つ以上に対する視覚性能マニホールドを決定することを含み得る。
【0013】
特定のタイプのレンズの各々は、異なる度数プロファイルを有し得る。しかしながら、レンズ呼称の各々についての光学補正の範囲にわたる光学補正正規化度数プロファイルは、処方(Rx)、眼球球面収差およびRxの適応依存性、年齢、ならびに入射瞳径の輝度依存性を考慮して性能を改善するように変更され得る。言い換えれば、SKU(例えば、光学補正レベル)にわたる正規化度数プロファイルの変動は、従来のレンズまたはレンズシステムにおける変動と比較して増加され得る。開示されたレンズシステムおよび方法は、従来のレンズおよびレンズシステムに対する全体的なスルーフォーカスの視覚性能に関する優れたトレードオフを可能にする。説明のための例として、そのような性能改善は、単眼の焦点深度(DOF)をさらに増大させるように、視覚システムの能力を強化して眼間屈折視差を許容することによって達成され得る。それに加えて、あるいはそれに代わって、開示されるレンズ設計は、従来のレンズまたはレンズシステムと比較して、より高度な加入度数、SKU全体の設計のより大きな変動、および視覚性能マニホールド最適化フィット/再フィット処方を用いるものである。
【0014】
フィットガイドが作成および/または使用され得る。フィットガイドは、少なくとも複数のレンズおよび加入度数の必要性に基づいて作成され得る。フィットガイドは、ユーザまたはユーザのグループに関してカスタマイズされ得る。ユーザにとって最適な性能に関して、様々なフィットガイドが作成され、比較され得る。フィットガイドは、複数のレンズのうちのどのレンズが利き目および非利き目に着用されるべきかを示し得る。例示的なフィットガイドは、以下の例示的なフィットガイドのうちの1つ以上を含み得る。特定のフィットガイドアプリケーションに対する指定が示されているが、これは説明のためのものであり、したがって、必ずしも限定されるべきではない。
【0015】
初期レンズ選択:
【0016】
【表1】
【0017】
遠方に関する訴えにより必要な場合、レンズ変更:
【0018】
【表2】
【0019】
近方に関する訴えにより必要な場合、レンズ変更:
【0020】
【表3】
【0021】
第2の遠方に関する訴えにより必要な場合、レンズ変更:
【0022】
【表4】
【0023】
第2の近方に関する訴えにより必要な場合、レンズ変更:
【0024】
【表5】
【0025】
フィットガイドは、有効加入度数の眼間視差を提供し得る。図19は、両眼転導の関数としての視覚性能のプロット(視距離)を示す。有効加入度数は、0両眼転導(遠方視力)とピーク性能の両眼転導との間のシフトとして定義され得る。有効加入度数の両眼差は、利き目と非利き目との間の有効加入度数の差である。
【0026】
DOFは、ピーク性能からの3ラインドロップである。図19のプロットは、各レンズおよび結果として生じる視差を説明する際に例示的となり得る。本開示におけるそのような視差は、低度および中度の必要加入度数におけるMFなど、従来のレンズに対するフィットガイドの相違である0とは異なり得る。他のフィットガイドが使用されてもよい。最適化は、遠方および/または近方調整のための付加的なフィットガイドの使用に基づくものであってもよく、また患者申告による性能に基づくものであってもよい。様々な技術が用いられ得るが、フィット最適化は、患者からのフィードバックを用いて医師によって行われ得る。患者からの特定の訴えがある場合に最良の視覚性能を提供する代替物を得るために、代替のフィットガイドが視覚性能マニホールドを使用して決定され得る。
【0027】
比較として、以下の表は、従来のMFレンズシステムおよび本開示によるレンズシステムの有効加入度数を示す。
【0028】
有効加入度数の表
【表6】
【0029】
【表7】
【0030】
【表8】
【0031】
【表9】
【0032】
図28図39は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における有効加入度数およびDOFの比較を示す。
【0033】
さらなる例として、フィットガイドは、1つ以上の視覚性能マニホールドに基づいてもよい。したがって、フィットガイドは、ユーザに対して視覚性能マニホールドを試験または最適化する比較に基づいて、ユーザまたはユーザのグループに関してカスタマイズされ得る。
【0034】
説明のための例として、レンズ設計最適化手順は、視覚性能に基づき得る。単眼の視覚性能の測定基準は、以下によって与えられる。
【0035】
【数1】
式中、MTFは、レンズと眼の組み合わせの変調伝達関数であり、NCSFは、所与の瞳孔サイズおよび輝度に対する神経コントラスト感度関数であり、νは空間周波数である。
【0036】
両眼の視覚性能は、次のベクトルモデルを使用して取得される。
【0037】
【数2】
式中、下付き文字のdomおよびnonは、利き目および非利き目をそれぞれ指し、αは定数である。
【0038】
視覚性能の最適化は、次の最小化によって、ある範囲のアイモデル(老眼集団に典型的な年齢および必要加入度数に及ぶ)にわたって得られる。
【0039】
【数3】
ここで、ψidealは、回折限界の両眼視覚性能を使用して得られる。
【0040】
図20は、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での利き目に対する、図1の比較用レンズシステムのピーク位置視力のプロットを示す。図22は、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での利き目に対する、図1の比較用レンズシステムの焦点深度のプロットを示す。図24は、本開示によるレンズシステムのピーク位置視力のプロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での利き目に対する例が図10に示されている。図26は、本開示によるレンズシステムの焦点深度のプロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での利き目に対する例が図10に示されている。低度の照度条件では、MFは、利き目においてより多くの有効加入度数を使用し、本開示の例示的なレンズシステムは、中度および高度の加入度数に対してより大きなDOFを使用する。
【0041】
図21は、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での非利き目に対する、図1の比較用レンズシステムのピーク位置視力のプロットを示す。図23は、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での非利き目に対する、図1の比較用レンズシステムの焦点深度のプロットを示す。図25は、本開示によるレンズシステムのピーク位置視力のプロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での非利き目に対する例が図10に示されている。図27は、本開示によるレンズシステムの焦点深度のプロットを示し、様々な加入度数にわたる低輝度(輝度=2cd/m)での非利き目に対する例が図10に示されている。低度の照度条件では、MFは、低加入度数に関して非利き目においてより多くの有効加入度数を使用し、本開示の例示的なレンズシステムは、中度および高度の加入度数においてより多くの有効加入度数を使用する。本開示の例示的なレンズシステムは、低度および中度の加入度数においてより大きなDOFを使用し、MFは高度な加入度数の近視者においてより大きなDOFを使用するが、本開示の例示的なレンズシステムは、高度の加入度数の遠視者においてより大きなDOFを使用する。
【0042】
図28は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、低輝度の照度条件での利き眼の様々な加入度数に対する有効加入度数の比較を示す。図30は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、低輝度の照度条件での利き眼の様々な加入度数に対するDOFの比較を示す。低輝度の照度条件では、MFは、利き目により大きな加入度数を使用し、本開示の例示的なレンズシステムは、中度および高度の加入度数に対してより大きなDOFを使用する。
【0043】
図29は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、低輝度の照度条件での非利き眼の様々な加入度数に対する有効加入度数の比較を示す。図31は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、低輝度の照度条件での利き眼の様々な加入度数に対するDOFの比較を示す。低輝度の照度条件では、本開示の例示的なレンズシステムは、中度および高度の加入度数の非利き目において、より大きな有効加入度数を使用する。本開示の例示的なレンズシステムは、低度および中度の加入度数においてより大きなDOFを使用し、MFは、高加入度数の近視者においてより大きなDOFを使用する一方で、本開示の例示的なレンズシステムは、高加入度数の遠視者においてより大きなDOFを使用する。
【0044】
図32は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、中輝度の照度条件での利き眼の様々な加入度数に対する有効加入度数の比較を示す。図34は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、中輝度の照度条件での利き眼の様々な加入度数に対するDOFの比較を示す。中輝度の照度条件では、MFは、利き目においてより大きな有効加入度数を使用する。
【0045】
図33は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、中輝度の照度条件での非利き眼の様々な加入度数に対する有効加入度数の比較を示す。図35は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、中輝度の照度条件での利き眼の様々な加入度数に対するDOFの比較を示す。中輝度の照度条件では、本開示の例示的なレンズシステムは、非利き目においてより大きな有効加入度数を使用し、低度および中度の加入度数においてより大きなDOFを使用する。
【0046】
図36は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、高輝度の照度条件での利き目の様々な加入度数に対する有効加入度数の比較を示す。図38は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、高輝度の照度条件での利き眼の様々な加入度数に対するDOFの比較を示す。高輝度の照度条件では、MFは、利き目においてより大きな有効加入度数を使用する。
【0047】
図37は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、高輝度の照度条件での非利き目の様々な加入度数に対する有効加入度数の比較を示す。図39は、従来のレンズ/レンズシステム(MF)と本開示によるレンズシステムとの間における、高輝度の照度条件での非利き目の様々な加入度数に対するDOFの比較を示す。高輝度の照度条件では、本開示の例示的なレンズシステムは、低度および中度の加入度数において、非利き目により大きな有効加入度数を使用する。
【0048】
図示されるように、シミュレーションが示唆することとして、本開示の例示的なレンズシステムは、同等または優れた遠方および近方の性能を提供し、MFと比較すると低度の照度で中間の性能をわずかに犠牲にする。一般に、本開示の例示的なレンズシステムは、より大きな有効加入度数を使用し、非利き目においてより大きなDOFを提供するが、MFは、より大きな有効加入度数を使用し、本開示の例示的なレンズ系は、利き目においてより大きなDOFを提供する。しかしながら、瞳孔が小さくなる高輝度の条件では、両方の設計を有する単眼のDOFは同等である。本開示の例示的なレンズシステムのDOFの増大は、低度の照度条件で有意となり得るが、2つのシステム(低輝度から高輝度の照度)の主な違いは、有効加入度数の違いによるものである。したがって、本開示の例示的なレンズシステムは、有効加入度数の眼間差の視覚的システムの許容範囲を最適に拡大することによって、スルーフォーカスの単眼視覚性能を改善する。
【実施例
【0049】
度数プロファイルおよび視覚性能マニホールド
シミュレートされる各設計について、レンズシステム内の各レンズの度数プロファイルを、-9、-6、-3、2、4および6Dの屈折異常に関してプロットし、視覚性能マニホールドを提示する。フィットガイドを各設計について表形式で提示する。フィットガイドは、レンズ設計に関する情報、および利き目と非利き目の両方についてのフィットを含む。フィットは、フィッティングされたレンズの度数ラベルと被験者の屈折力との差である。視覚性能は、-2~0.5の-10logMARの単位でグレーレベルコード化される。0.5超の値は飽和し、濃い灰色のままであり、-2未満の値は飽和し、白色として表示される。
【0050】
【表10】
【0051】
【表11】
【0052】
図10は、本開示の例示的なレンズシステムの3つのレンズ設計の度数プロファイルである。
【0053】
図11は、0.75Dの必要加入度数に対する本開示の例示的なレンズシステムの視覚性能マニホールドである。
【0054】
図12は、1Dの必要加入度数に対する本開示の例示的なレンズシステムの視覚性能マニホールドである。
【0055】
図13は、1.25Dの必要加入度数に対する本開示の例示的なレンズシステムの視覚性能マニホールドである。
【0056】
図14は、1.5Dの必要加入度数に対する本開示の例示的なレンズシステムの視覚性能マニホールドである。
【0057】
図15は、1.75Dの必要加入度数に対する本開示の例示的なレンズシステムの視覚性能マニホールドである。
【0058】
図16は、2Dの必要加入度数に対する本開示の例示的なレンズシステムの視覚性能マニホールドである。
【0059】
図17は、2.25Dの必要加入度数に対する本開示の例示的なレンズシステムの視覚性能マニホールドである。
【0060】
図18は、2.5Dの必要加入度数に対する本開示の例示的なレンズシステムの視覚性能マニホールドである。
【0061】
ここで図示および説明した実施形態は、最も実用的で好適な実施形態と考えられるが、当業者であれば、ここに図示および開示した特定の設計および方法からの変更はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本開示は、記載し例証した特定の構成に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれ得るすべての修正と一貫するように構成されているべきである。
【0062】
〔実施の態様〕
(1) 老眼者用の眼間屈折差を有するコンタクトレンズのシステムを設計する方法であって、
老眼者を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための複数のレンズタイプを決定するステップであって、前記レンズシステムは、少なくとも3つのレンズタイプ(レンズA、レンズB、およびレンズCの呼称)を含み、
前記複数のレンズの各々が、光学補正のために構成され、それに関連付けられた度数プロファイルを有し、
前記複数のレンズは、前記光学補正に基づいてグループ化され、特定のタイプの前記レンズの各々が、異なる度数プロファイルを有し、
前記レンズ呼称の各々についての光学補正の範囲にわたる光学補正正規化度数プロファイルは、少なくとも、[1]処方(Rx)、年齢および眼球球面収差の適応依存性、または[2]Rx、年齢および入射瞳径の輝度依存性に基づいて性能を改善するように変更される、決定するステップと、
少なくとも前記複数のレンズおよび必要加入度数に基づいて、前記複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドを作成するステップであって、前記フィットガイドは、有効加入度数の眼間差を提供する、作成するステップと、を含む方法。
(2) 各レンズグループは、少なくとも3つの中心近用連続多焦点レンズを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) レンズの各グループは3つのレンズを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) レンズの各グループは4つのレンズを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) レンズの各グループは5つのレンズを含む、実施態様1に記載の方法。
【0063】
(6) 前記光学補正は-20D~+20Dである、実施態様1に記載の方法。
(7) 複数のレンズグループを決定することは、前記複数のレンズグループ内の前記レンズのうちの1つ以上に対する視覚性能マニホールドを決定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記フィットガイドは、以下のうちの1つ以上を含む、実施態様1に記載の方法。
【表12】
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
(9) 老眼者用の眼間差を有するコンタクトレンズのシステムであって、
老眼者を治療するための複数のレンズタイプであって、前記レンズシステムは、少なくとも3つのレンズタイプ(レンズA、レンズB、およびレンズCの呼称)を含み、
前記複数のレンズの各々が、光学補正のために構成され、それに関連付けられた度数プロファイルを有し、
前記複数のレンズは、前記光学補正に基づいてグループ化され、特定のタイプの前記レンズの各々が、異なる度数プロファイルを有し、
前記レンズ呼称の各々についての光学補正の範囲にわたる光学補正正規化度数プロファイルは、少なくとも、[1]処方(Rx)、年齢および眼球球面収差の適応依存性、および[2]Rx、年齢および入射瞳径の輝度依存性に基づいて性能を改善するように変更される、複数のレンズタイプと、
前記複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドであって、有効加入度数の眼間差を提供するフィットガイドと、を含むシステム。
(10) 各レンズグループは、少なくとも3つの中心近用連続多焦点レンズを含む、実施態様9に記載のシステム。
【0064】
(11) レンズの各グループは3つのレンズを含む、実施態様9に記載のシステム。
(12) レンズの各グループは4つのレンズを含む、実施態様9に記載のシステム。
(13) レンズの各グループは5つのレンズを含む、実施態様9に記載のシステム。
(14) 前記度数プロファイルは-20D~+20Dである、実施態様9に記載のシステム。
(15) 前記フィットガイドは、前記複数のレンズグループ内の前記レンズのうちの1つ以上に対する視覚性能マニホールドに依存する、実施態様9に記載のシステム。
【0065】
(16) 前記フィットガイドは、以下のうちの1つ以上を含む、実施態様9に記載の方法。
【表18】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
(17) 老眼者用の眼間屈折差を有するコンタクトレンズのシステムを設計する方法であって、
老眼者を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための複数のレンズを決定するステップであって、前記複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され、それに関連付けられた度数プロファイルを有し、前記複数のレンズは、前記光学補正に基づいてグループ化され、特定のグループの前記レンズの各々は、異なる度数プロファイルを有する、決定するステップと、
少なくとも前記複数のレンズおよび必要加入度数に基づいて、前記複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドを作成するステップであって、前記フィットガイドは、有効加入度数の眼間差を提供する、作成するステップと、を含む方法。
(18) レンズの各グループは3つのレンズを含む、実施態様17に記載の方法。
(19) レンズの各グループは4つのレンズを含む、実施態様17に記載の方法。
(20) レンズの各グループは5つのレンズを含む、実施態様17に記載の方法。
【0066】
(21) 前記度数プロファイルは-20D~+20Dである、実施態様17に記載の方法。
(22) 複数のレンズを決定することは、前記レンズのうちの1つ以上に対する視覚性能マニホールドを決定することを含む、実施態様17に記載の方法。
(23) 前記フィットガイドは、以下のうちの1つ以上を含む、実施態様17に記載の方法。
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
(24) 老眼者用の眼間屈折差を有するコンタクトレンズのシステムをカスタマイズするための方法であって、
老眼を呈する少なくとも一人のユーザと関連付けられたフィットを決定するステップと、
前記フィットに基づいて、1つ以上の視覚性能マニホールドをシミュレートするステップであって、前記視覚性能マニホールドの各々は、レンズ設計、アイモデル、および環境条件に基づいて生成される、シミュレートするステップと、
前記シミュレートされた1つ以上の視覚性能マニホールドに基づいて、老眼を治療するためのコンタクトレンズのシステムに含めるための複数のレンズを選択するステップであって、前記複数のレンズの各々は、光学補正のために構成され、それに関連付けられた度数プロファイルを有し、前記複数のレンズは、前記光学補正に基づいてグループ化され、特定のグループの前記レンズの各々は、異なる度数プロファイルを有する、選択するステップと、
少なくとも前記複数のレンズおよび必要加入度数に基づいて、前記複数のレンズのうちのどれが利き目および非利き目に着用されるべきかを指示するフィットガイドを作成するステップであって、前記フィットガイドは、有効加入度数の眼間差を提供する、作成するステップと、を含む方法。
(25) レンズの各グループは3つのレンズを含む、実施態様24に記載の方法。
【0067】
(26) レンズの各グループは4つのレンズを含む、実施態様24に記載の方法。
(27) レンズの各グループは5つのレンズを含む、実施態様24に記載の方法。
(28) 前記光学度数は-20D~+20Dである、実施態様24に記載の方法。
(29) フィットプロファイルを決定するステップは、前記特定のユーザのための治療プランを最適化することを含む、実施態様24に記載の方法。
(30) 前記最適化することは、1つ以上の視覚性能マニホールドを使用することを含む、実施態様29に記載の方法。
【0068】
(31) 前記フィットガイドは、以下のうちの1つ以上を含む、実施態様24に記載の方法。
【表30】
【表31】
【表32】
【表33】
【表34】
【表35】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
【国際調査報告】