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▶ アデア ファーマシューティカルズ エスアーエスの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】腸内ビフィズス菌の増殖の刺激
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20230526BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20230526BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20230526BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20230526BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20230526BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
C12N1/20 A ZNA
C12N1/20 E
C12N15/09 Z
A23L33/135
A61K35/747
A61P1/04
A61P1/12
A61P39/02
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563988
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2021061392
(87)【国際公開番号】W WO2021219846
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】63/018,908
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】520363535
【氏名又は名称】アデア ファーマシューティカルズ エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワルダ,アリチャ
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,コリン
(72)【発明者】
【氏名】ペレット,スティーブン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B018MD87
4B018ME11
4B065AA30X
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC56
4C087CA08
4C087CA10
4C087MA02
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA66
4C087ZA68
4C087ZA73
4C087ZB11
4C087ZC37
(57)【要約】
本開示は、腸内ビフィズス菌の増殖を刺激し、それにより腸の健康を維持/改善するための組成物を提供する。製品LACTEOL(登録商標)を含む、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞を含む組成物が特に対象となる。組成物で治療され得る具体的な症状の例は、抗生物質起因性下痢、腸内毒素症、過敏性大腸症候群(IBS)及び炎症性腸疾患(IBD)を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞を含む組成物。
【請求項2】
ラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞も含む、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項3】
ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞が増殖されている培地を含む組成物。
【請求項4】
ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞が増殖されている培地も含む、請求項1に記載の使用のための組成物。
【請求項5】
ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞が増殖されている培地も含む、請求項2に記載の使用のための組成物。
【請求項6】
ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞が増殖されている培地の上清を含む組成物。
【請求項7】
ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、請求項6に記載の上清の画分52を含む組成物であって、画分52は、MALDI TOF質量分析において約5200m/zで単一ピークを有するサイズ排除HPLC画分である、組成物。
【請求項8】
ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及び/又はラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の前記細胞は、死細胞である、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項9】
ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、LACTEOL(登録商標)を含む組成物。
【請求項10】
前記対象は、健康なヒトである、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項11】
前記対象は、前記腸の疾患を有するヒトである、請求項1~9のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
前記腸疾患は、抗生物質起因性下痢、腸内毒素症、過敏性大腸症候群(IBS)及び炎症性腸疾患(IBD)から選択される、請求項11に記載の使用のための組成物。
【請求項13】
医薬組成物、食品サプリメント又は栄養サプリメントの形態である、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記食品サプリメント又は栄養サプリメントは、ミルク、ヨーグルト若しくはヨーグルトスタイルの製品、チーズ、アイスクリーム、穀類ベースの製品、ミルクベースの粉末、乳児用調製乳、栄養調合乳、乾燥経口用粗粒若しくは粉末、湿潤経口用ペースト若しくはゼリー、乾燥経管栄養のための粗粒若しくは粉末又は湿潤経管栄養のための流動物から選択される食品中に含まれる、請求項13に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
[0001] 本開示は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することができる作用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 腸内微生物叢組成物は、宿主の健康状態において重要な役割を果たし得る。特に、微生物叢の破壊は、下痢、過敏性大腸症候群(IBS)、肥満症、アレルギー及び行動障害及び自閉症などの発達障害と関連付けられている。微生物叢組成物に影響するように設計された方策としては、プロバイオティクス、プレバイオティクス及びシンバイオティクス(プロバイオティクス菌と、この細菌及び他の細菌の増殖を刺激するプレバイオティクス菌との組み合わせ)の摂取が挙げられる。微生物叢を調節するアプローチとしては、抗菌(抗生物質又はバクテリオシンなど)の補充又は糞便微生物叢移植(FMT)など、より抜本的な方法があるが、予測は困難である。微生物代謝産物のレベルの変化は、鬱病、結腸直腸癌、心血管疾患、肥満症及び2型糖尿病などの症状とも関連している。したがって、神経伝達物質、短鎖脂肪酸(SCFA)、インドール、胆汁酸、コリン代謝産物、乳酸及びビタミンなどの微生物由来分子は、健康及び満足な状態において重要な役割を果たす。
【0003】
[0003] SCFAは、非消化性食事性炭水化物の微生物発酵中に産生される。SCFA産生が宿主エネルギー代謝に直接寄与し得、酢酸及びプロピオン酸が肝臓及び周辺臓器によって吸収及び代謝され、酪酸が主に結腸上皮によって利用され、特定の細菌によってエネルギー源として使用され得る。更に、SCFAは、細胞分化の調節、抗癌性及び抗炎症作用又は満腹の増強及び食欲の抑制によって有益な作用を有する。ビフィズス菌によるプロピオン酸及び酢酸の産生は、宿主の健康に対するその有益な作用の理由の1つとして示唆されている。
【0004】
[0004] ビフィズス菌は、ヒト胃腸管内に見出されることが多い嫌気性のグラム陽性細菌である。健康な成人において、総糞便微生物叢の4.4%及び17.9%がビフィズス菌である。一般に、ビフィズス菌のレベルが高いほど、腸内の内毒素レベルの低減、腸管透過性の低減、細菌移行率の低減及び代謝改善など、有益な作用と関連付けられる。同時に、ビフィズス菌数の減少は、多様な障害と関連付けられている。したがって、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の刺激は、多くの疾患を予防し、及び/又はその程度を低減し、また生活の質を向上させる有効な方策である。内因性のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の刺激が特に対象となる。
【0005】
[0005] ラクトバシラス(Lactobacillus)は、グラム陽性の通性嫌気性又は微好気性で棒状の非胞子形成細菌の属である。それらは、乳酸菌グループの主要部分である(すなわち、それらは、糖を乳酸に変換する)。ヒトにおいて、それらは、多くの身体部位で微生物叢の重要な成分を構成する。ラクトバシラス(Lactobacillus)は、現在、180を超える種を含み、多様な生物を包含する。本開示の目的のために、ラクトバシラス(Lactobacillus)の参照としては、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)が挙げられ、それは、最近、リモシラクトバシラス・ファーメンタム(LimosiLactobacillus fermentum)と命名された。したがって、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びリモシラクトバシラス・ファーメンタム(LimosiLactobacillus fermentum)は、本開示において区別なく使用される。
【0006】
[0006] 本発明者らは、ここで、驚くべきことに、ラクトバシラス(Lactobacillus)株の細胞(例えば、死細胞)、及び/又はその上清(すなわち無細胞上清)及び細胞画分と共に、かかる細胞が増殖されている培地を含む組成物が哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激し得ることを見出した。これらの組成物及び画分は、健康な哺乳動物(例えば、ヒト)の腸の維持並びに抗生物質起因性下痢、腸内毒素症、過敏性大腸症候群(IBS)及び炎症性腸疾患(IBD)などの腸内のビフィズス菌量の増加によって促進される疾患の治療に特に有用である。本開示の態様を要約する報告は、2021年2月12日にオンラインで公開されたApplied and Microbiology Environmental, doi: 10.1128/AEM.02459-20(Wardaら)(http://aem.asm.org)に記載されている。この記事及びその具体的な内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
[0007] 本明細書で使用される「培地」とは、好ましくは、MRSブロス(すなわち寒天成分を含まない従来のMRS製品)であり、ラクトバシラス属(Lactobacillus)の1つ又は複数の株の細胞増殖から生じる物質を含む。
【0008】
[0008] 哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することができる本開示の1つの特定の製品は、LACTEOL(登録商標)である。LACTEOL(登録商標)は、再水和及び/又は食事性処置に補足される、成人及び小児における下痢の対症療法薬として市販されている。しかしながら、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激について、それは、以前に報告されていなかった。
【0009】
[0009] 哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することができる本開示の他の特定の製品は、低ラクトースLACTEOL(登録商標)(LLLと本明細書で呼ばれる)である。LLLは、市販されるLACTEOL(登録商標)完成品を形成するために、ラクトースを添加する前のLACTEOL(登録商標)を製造するための製品である。LLLは、LACTEOL(登録商標)中にラクトースを10%(w/w)未満含有する。
【0010】
[0010] 哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することができる本開示の他の特定の製品は、LACTEOL(登録商標)の成分、すなわちラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)である。
【0011】
[0011] LACTEOL(登録商標)、LLL及びラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の上清及び細胞(例えば、死細胞)の画分、例えば哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することができる、画分(Fraction)52と指定されるLACTEOL(登録商標)上清の画分も特に対象となる。
【0012】
[0012] 本開示は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激を担う、画分52に含まれる1種又は複数の化合物に更に関する。
【0013】
[0013] LACTEOL(登録商標)中の活性成分は、ラクトバシラス(Lactobacillus)LB株(ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の組合せ)の加熱死細胞を含有する培養液及び発酵培地から誘導される。ラクトバシラス(Lactobacillus)死細胞を含む本開示の他の活性製品と共に、LACTEOL(登録商標)は、組成物のコンシステンシー及び効果、貯蔵の容易さ、脆弱な患者における感染のリスクがないこと、細菌毒性又は抗生物質抵抗性カセットの転座がないことなど、プロバイオティクスなどの生きた生物を含有する製品と比べて潜在的な多くの利点を有し、その製品は、抗生物質又は抗真菌剤と合わせて使用した場合に活性を維持する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
[0014] 本明細書の全体を通して、「治療」及び「治療すること」という用語は、指定の病状又は疾患に対する本開示の組成物の予防的及び保護的使用も含むことを意図する。
【0015】
[0015] 本開示の一態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)を含む組成物を提供する。
【0016】
[0016] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)を含む組成物を提供する。
【0017】
[0017] 本開示の更なる態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞が増殖されている培地を含む組成物を提供する。
【0018】
[0018] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞が増殖されている培地と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)を含む組成物を提供する。
【0019】
[0019] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞が増殖されている培地と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)を含む組成物を提供する。
【0020】
[0020] 本開示の更なる態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するためのLACTEOL(登録商標)を提供する。
【0021】
[0021] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するためのLLLを提供する。
【0022】
[0022] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するためのLACTEOL(登録商標)又はLLLの上清画分又は細胞画分を提供する。
【0023】
[0023] 本開示の特定の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するためのLACTEOL(登録商標)又はLLLの上清画分を提供する。
【0024】
[0024] 本開示の更なる特定の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するための画分52(本明細書に定義される)を提供する。
【0025】
[0025] 本開示の別の特定の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖の刺激に使用するための、画分52内の1種又は複数の化合物を提供する。
【0026】
[0026] 本開示の一態様は、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法であって、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)の有効量を患者に投与して、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることを含む方法を提供する。
【0027】
[0027] 本開示の更なる態様は、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法であって、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)、例えばラクトバシラス(Lactobacillus)LBの細胞(例えば、死細胞)の有効量を患者に投与して、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることを含む方法を提供する。
【0028】
[0028] 本開示の別の態様は、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法であって、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞が増殖されている培地の有効量を患者に投与して、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることを含む方法を提供する。
【0029】
[0029] 本開示の更なる態様は、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法であって、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞が増殖されている培地と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)の有効量を患者に投与して、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることを含む方法を提供する。
【0030】
[0030] 本開示の別の態様は、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法であって、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞が増殖されている培地と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)の有効量を患者に投与して、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることを含む方法を提供する。
【0031】
[0031] 本開示の別の態様は、LACTEOL(登録商標)の有効量を患者に投与して、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることを含む、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法を提供する。
【0032】
[0032] 本開示の更なる態様は、LLLの有効量を患者に投与して、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることを含む、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法を提供する。
【0033】
[0033] 本開示の別の態様は、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法であって、LACTEOL(登録商標)又はLLLの上清画分又は細胞画分の有効量を患者に投与して、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることを含む方法を提供する。
【0034】
[0034] 本開示の特定の態様は、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法であって、LACTEOL(登録商標)又はLLLの上清画分の有効量を患者に投与して、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることを含む方法を提供する。
【0035】
[0035] 本開示の更なる態様は、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法であって、画分52の有効量を患者に投与して、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることを含む方法を提供する。
【0036】
[0036] 本開示の別の態様は、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康を改善する方法であって、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させる能力を示す、画分52の1種又は複数の化合物の有効量を患者に投与することを含む方法を提供する。
【0037】
[0037] 本明細書で使用される「腸の健康を改善する」及び「腸の健康を改善すること」という用語は、(1)腸内毒素症などの腸疾患の出現を予防又は緩和するための、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激する本開示の製品の予防的使用;及び(2)抗生物質起因性下痢、腸内毒素症、過敏性大腸症候群(IBS)及び炎症性腸疾患(IBD)などの腸及び消化管の疾患を治療するための、腸内のビフィズス菌の増殖を刺激する本開示の製品の使用を含む。
【0038】
[0038] 本開示の一態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、1種又は複数の薬剤として許容される担体又は賦形剤と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)を含む医薬組成物を提供する。
【0039】
[0039] 本開示の更なる態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、1種又は複数の薬剤として許容される担体又は賦形剤と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)、例えばラクトバシラス(Lactobacillus)LBの細胞(例えば、死細胞)を含む医薬組成物を提供する。
【0040】
[0040] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、1種又は複数の薬剤として許容される担体又は賦形剤と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞が増殖されている培地を含む医薬組成物を提供する。
【0041】
[0041] 本開示の更なる態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、1種又は複数の薬剤として許容される担体又は賦形剤と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞が増殖されている培地と共にラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)を含む医薬組成物を提供する。
【0042】
[0042] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、1種又は複数の薬剤として許容される担体又は賦形剤と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞が増殖されている培地と共にラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)を含む医薬組成物を提供する。
【0043】
[0043] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、LACTEOL(登録商標)の有効量を含む医薬組成物を提供する。
【0044】
[0044] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、1種又は複数の薬剤として許容される担体又は賦形剤と共に、LLLの有効量を含む医薬組成物を提供する。
【0045】
[0045] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、1種又は複数の薬剤として許容される担体又は賦形剤と共に、LACTEOL(登録商標)又はLLLの上清画分又は細胞画分の有効量を含む医薬組成物を提供する。
【0046】
[0046] 本開示の特定の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、1種又は複数の薬剤として許容される担体又は賦形剤と共に、LACTEOL(登録商標)又はLLLの上清画分の有効量を含む医薬組成物を提供する。
【0047】
[0047] 本開示の更なる態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、1種又は複数の薬剤として許容される担体又は賦形剤と共に、画分52の有効量を含む医薬組成物を提供する。
【0048】
[0048] 本開示の別の態様は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の量を増加させることにより、動物(ヒトを含む)患者における腸の健康の改善に使用するための、1種又は複数の薬剤として許容される担体又は賦形剤と共に、画分52の1種又は複数の化合物の有効量を含む医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図面の説明
図1】[0049]ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)ロード及び水、乳酸、ラクトース又はLACTEOL(登録商標)が補充された容器内での糞便発酵の24時間前及び24時間後の総菌数の当量を示す。
図2A】[0050]10倍希釈培地における、ある範囲の幼児及び成人関連ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)株の増殖に対するLACTEOL(登録商標)の作用を示す。
図2B】[0050]10倍希釈培地における増殖に対するLACTEOL(登録商標)成分[上清、細胞及び低ラクトースLACTEOL(登録商標)(LLL)]の作用を示す。
図2C】[0050]10倍希釈培地における増殖に対するLACTEOL(登録商標)用量の作用を示す。
図2D】[0050]10倍希釈培地における増殖に対する酵素的又は物理的に処理されたLACTEOL(登録商標)の作用を示す。
図2E】[0050]10倍希釈培地における増殖に対する酵素的又は物理的に処理されたLACTEOL(登録商標)の作用を示す。
図2F】[0050]10倍希釈培地における増殖に対するLACTEOL(登録商標)様製剤の作用を示す。
図2G】[0050]15倍希釈培地における増殖に対するLLL及びLb.ファーメンタム(Lb. fermentum)[上清、細胞及び透析された]の作用を示す。
図3A】[0051]15倍希釈培地におけるB.ロンガム(B. longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697(B1)の24時間増殖に対するプロバイオティクスの作用を示す。
図3B】[0051]15倍希釈培地におけるB.ロンガム(B. longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697(B1)の24時間増殖に対するプロバイオティクスの作用を示す。
図4A】[0052]B.ロンガム(B. longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697の24時間増殖に対するLACTEOL(登録商標)、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249及びLLLのSPE C18精製を示す。
図4B】[0052]B.ロンガム(B. longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697の24時間増殖に対するLACTEOL(登録商標)、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249及びLLLのSPE C18精製を示す。
図4C】[0052]B.ロンガム(B. longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697の24時間増殖に対するLACTEOL(登録商標)、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249及びLLLのSPE C18精製を示す。
図5】[0053]10倍希釈培地におけるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖に対するアンモニウム沈殿画分のC18精製の作用を示す。
図6】[0054]サイズ排除カラムを通したLACTEOL(登録商標)及びその画分の紫外線吸収クロマトグラムを示す。
図7】[0055]C18精製1/2濃度LACTEOL(登録商標)のHPLC画分に応じたビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖(15倍希釈培地)を示す。
図8】[0056]C18精製LACTEOL(登録商標)の画分52及び周囲画分のMALDI TOF質量分析結果を示す。
図9】[0057]ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の24時間増殖(15倍希釈培地)に対するLACTEOL(登録商標)様製剤の濃度作用を示す。
図9A】[0057]LACTEOL(登録商標)の重量当量の全量及び半量でのLb.ファーメンタム(Lb. fermentum)株の上清の作用を示す。
図9B】[0057]LACTEOL(登録商標)の重量当量の全量及び半量での細胞と上清の組合せの作用を示す。
図10】[0058]10倍希釈培地(図10A)及び15倍希釈培地(図10B)におけるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の増殖に対する濃縮MRS製剤(cMRS;3.4g/水10ml)の作用を示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
詳細な説明
[0059] 本開示は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激し、それにより腸の健康を維持及び改善することを促進する微生物組成物に関する。
【0051】
[0060] 本開示の適切な組成物は、一態様において、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)の混合物、例えばラクトバシラス(Lactobacillus)LBを含む。本開示の特定の組成物は、LACTEOL(登録商標)を含む。
【0052】
[0061] 別の態様において、本開示の適切な組成物は、LACTEOL(登録商標)、LLL又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の成分を含む。
【0053】
[0062] 特定の態様において、適切な組成物は、LACTEOL(登録商標)、LLL又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の上清及び/又は細胞を含む。
【0054】
[0063] 本開示の特定の組成物は、LACTEOL(登録商標)又はLLLの上清の画分を含む。特に対象となる1つのかかる画分は、画分52である。
【0055】
[0064] 別の態様において、本開示の適切な組成物は、哺乳動物(例えば、ヒト)の腸内の有益なビフィズス菌の増殖の刺激を担う、画分52内の1種又は複数の化合物を含む。
【0056】
[0065] 更なる態様において、本開示の適切な組成物は、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)が増殖される培地を含む。
【0057】
[0066] 別の態様において、本開示の適切な組成物は、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞が増殖される培地と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)を含む。
【0058】
[0067] 更に別の態様において、本開示の適切な組成物は、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞が増殖される培地と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)を含む。
【0059】
[0068] 本明細書で言及される生物学的寄託物は、Institut Pasteur, 25-28 rue du Docteur Roux, 75724 Paris Cedex 15に位置するCollection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)において寄託された。発酵培地中のラクトバシラス(Lactobacillus)LBは、参照コードMA65/4E(MA65/4E-1b:ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、MA65/4E-2z:ラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)でCNCMにおいて寄託されている。MA65/4Eは、1991年8月26日に寄託された。ラクトバシラス(Lactobacillus)LBの個々の2つの菌株は、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、CNCMI-2998(参照:MA65/4E-1b;最初の寄託日:1992年8月26日;ブダペスト条約に従うための変換日:2003年3月27日)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)、CNCMI-4831(参照:MA65/4E-2z;最初の寄託日:1992年8月26日;ブダペスト条約に従うために最初の寄託を変換する要求:2013年12月20日;2014年1月9日発行の変換受領)として、ブダペスト条約下において記録されている。
【0060】
[0069] ラクトバシラス(Lactobacillus)LB死細胞は、発酵培地中で生細胞を約110℃において約1時間加熱することによって得ることができる。ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の死細胞又はその混合物は、加熱死プロセスを介して同様の手法で得ることができる。
【0061】
[0070] 混合物として使用した場合、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)とラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)との重量比は、約99:1~約1:99、例えば9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8、1:9を含む約9:1~1:9のいずれかの適切な比であり得る。ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)とラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)との重量比は、特に約9:1であり得る。
【0062】
[0071] LACTEOL(登録商標)は、本発明で使用される適切な組成物中に配合される前に、発酵培地と共にラクトバシラス(Lactobacillus)LBの死細胞を乾燥させることによって(例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥又は流動床乾燥によって)調製され得る。特定の態様において、乾燥前にラクトースが湿潤発酵生成物に添加され得る。別の態様において、ラクトースは、配合工程の一部として乾燥後に添加され得る。
【0063】
[0072] LACTEOL(登録商標)は、加熱死されたラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)とラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)との乾燥した組み合わせを培地において約9:1の比で含有する。
【0064】
[0073] ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の死細胞又はその混合物、例えばラクトバシラス(Lactobacillus)LBは、乾燥工程を省くか又は水などの適切な液体で乾燥生成物を再構成することにより、ラクトースを含んで又は含まずに液体状態でも使用され得る。
【0065】
[0074] LACTEOL(登録商標)、LLL又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の上清及び細胞は、遠心などの従来の分離技術に続いて固体材料を液体から分離することにより(例えば、濾過により)、それぞれLACTEOL(登録商標)、LLL又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の溶液から調製され得る。LACTEOL(登録商標)又はLLLの上清の画分は、サイズ排除HPLCカラムクロマトグラフィーなどのサイズ排除クロマトグラフィーによって得ることができる。溶媒-溶媒抽出を用いて及び固相抽出カラム、例えばC18精製によって画分が精製/濃縮され得る。画分からの活性化合物は、LC-MS/MS(液体クロマトグラフィー、タンデム質量分析)を用いて分析され、特徴付けられ得る。
【0066】
[0075] 画分52は、サイズ排除HPLCによって得られ、C18を用いた複数の実行で精製されたLACTEOL(登録商標)又はLLCの上清の画分であり;MALDI TOF質量分析において、画分52は、約5200m/z(5237.08m/zなど)で単一ピークを有する。
【0067】
[0076] 一態様において、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)又はその混合物、例えばラクトバシラス(Lactobacillus)LBは、所望の効果を達成するのに十分な量で本開示の組成物に存在する。本開示の例示的な一実施形態において、ラクトバシラス(Lactobacillus)LB株の死細胞は、本開示の組成物中において、約10億細胞数/g以上、例えば約100~約1000億細胞数/g、例えば約400~約800億細胞数/g(例えば、約600億細胞数/g)の割合で存在する。
【0068】
[0077] 本開示の組成物は、適切な用量で経口投与され得、その用量は、対象の年齢、体重及び性別、治療される病状並びに投与期間及び投与経路などの因子に応じて異なる。通常通りに訓練を受けた医師又は獣医師は、それぞれのヒト又は非ヒト動物患者に対して本開示の医薬組成物の有効用量を容易に決定し、処方することができる。適切な剤形の本開示の医薬組成物は、好都合には、1日1回又は2回患者に投与され得る。幼児又はそれより若い小児において、20~40kgの範囲の体重に基づいて成人投薬量のおよそ1/2が投与され得、20kg未満の体重に基づいて成人投薬量のおよそ1/4が投与され得る。
【0069】
[0078] 本開示の組成物の好都合な1回量は、例えば、カプセル剤、又は錠剤、又はサッシェなどの標準的製剤剤形において、1日1回又は2回、成人ヒト患者に投与される、約2000mgまでのいずれかの有効用量であり得る。
【0070】
[0079] 本開示の組成物は、食品若しくは栄養サプリメントとして又は食品、例えばヨーグルト中でも投与され得る。この場合、約100gまでの非常に高い用量を摂取することができる。
【0071】
[0080] 本開示の医薬組成物は、薬剤的に利用可能な担体及び/又は賦形剤を用いて製剤化され得、当業者によって容易に実行することができる方法に従い、単位用量で製造されるか又は高投薬量容器内に収容され得る。本明細書において、その剤形は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、粉末を含有するサッシェ又は液剤、例えば水性媒体含有溶液、懸濁剤又は乳剤であり得る。
【0072】
[0081] 例えば、一態様において、カプセル剤として医薬組成物を製剤化するために、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の乾燥(例えば、凍結乾燥)細胞又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞の混合物、例えばラクトバシラス(Lactobacillus)LBは、(任意選択的に発酵培地及び/又は凍結乾燥添加剤と共に)1種又は複数の適切な非毒性の薬剤的に利用可能な不活性担体及び賦形剤と混合され得る。例としては、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、希釈剤、着色剤及び乾燥剤が挙げられる。適切な結合剤は、限定されないが、デンプン、ゼラチン、グルコース若しくはβ-ラクトースなどの天然糖、又はトウモロコシ甘味料、アカシア、トラガカントゴムなどの合成ガム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム若しくは塩化ナトリウムであり得る。崩壊剤としては、限定されないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト又はキサンタンガムが挙げられる。適切な滑沢剤としては、タルク及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。適切な乾燥剤としては、ケイ酸が挙げられ、適切な希釈剤としては、無水ラクトースなどのラクトースが挙げられる。適切な凍結乾燥添加剤としては、ラクトース一水和物及び炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩が挙げられる。製品混合物は、ゼラチンカプセルなどの標準的カプセルケーシングに収容され得る。
【0073】
[0082] 別の態様において、経口懸濁剤のための粉末状の本開示の医薬組成物は、例えば、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の乾燥(例えば、凍結乾燥)細胞又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞を(任意選択的に発酵培地及び/又は凍結乾燥添加剤と共に)1種又は複数の適切な非毒性の薬剤的に利用可能な不活性担体及び賦形剤と混合することによって調製され得る。例としては、希釈剤、着香剤、甘味剤及び乾燥剤が挙げられる。適切な乾燥剤としては、ケイ酸が挙げられ、適切な希釈剤としては、ラクトース、例えば無水ラクトース又はショ糖が挙げられ、後者は、甘味剤としての役割も果たし得る。適切な凍結乾燥添加剤としては、ラクトース一水和物及び炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩が挙げられる。粉末生成物は、飲用液体と混合する準備が整った状態で標準的サッシェに収容され得る。
【0074】
[0083] 経口投与のための組成物は、液体若しくは固体食品又は栄養性製品(例えば、栄養サプリメント)の一部でもあり得る。例としては、ミルク、ヨーグルト若しくはヨーグルトスタイルの製品、チーズ、アイスクリーム、穀類ベースの製品、ミルクベースの粉末、乳児用調製乳、栄養調合乳、乾燥経口用粗粒若しくは粉末、湿潤経口用ペースト若しくはゼリー、乾燥経管栄養のための粗粒若しくは粉末又は湿潤経管栄養のための流動物が挙げられる。
【0075】
[0084] 更に、本開示の組成物と共に使用される任意選択的な更なる活性成分も存在し得る。任意選択的な活性成分としては、例えば、ビタミン、抗生物質、プロバイオティクス又はプレバイオティクスが挙げられる。その更なる活性成分及び本開示の組成物は、同時投与されるか又は個々の組成物として別々に(例えば、逐次的に)投与され得る。代わりに、活性成分は、同じ組成物に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)又はラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)の混合物、例えばラクトバシラス(Lactobacillus)LBとして、任意選択的に発酵培地及び/又は凍結乾燥添加剤と共に組み込まれ得る。
【0076】
[0085] 本開示の組成物及びその画分は、健康な哺乳動物(例えば、ヒト)の腸の維持並びに腸内のビフィズス菌の量を増加させることによって促進され得る、疾患、例えば抗生物質起因性下痢、腸内毒素症、過敏性大腸症候群(IBS)及び炎症性腸疾患(IBD)の治療に特に有用である。
【0077】
[0086] 本開示の具体的な実施形態を以下に示す:
実施形態1:腸疾患の発症に対してヒト又は非ヒト動物対象を保護する方法であって、ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激するのに有効な量のラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞を対象に投与することを含む方法。
実施形態2:腸疾患の発症に対してヒト又は非ヒト動物対象を保護する方法であって、ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激するのに有効な量のラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞を対象に投与することを含む方法。
実施形態3:ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及び/又はラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞は、死細胞である、実施形態1又は2に記載の方法。
実施形態4:腸疾患の発症に対してヒト又は非ヒト動物対象を保護する方法であって、ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激するのに有効な量の製品LACTEOL(登録商標)を対象に投与することを含む方法。
実施形態5:腸疾患の発症に対してヒト又は非ヒト動物対象を保護する方法であって、ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激するのに有効な量の、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)が増殖されている培地の上清を対象に投与することを含む方法。
実施形態6:腸疾患の発症に対してヒト又は非ヒト動物対象を保護する方法であって、ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激するのに有効な量の、実施形態5の上清の画分52を対象に投与することを含む方法。
実施形態7:対象は、健康なヒトである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
実施形態8:ヒト又は非ヒト動物対象において腸疾患を治療する方法であって、ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激するのに有効な量のラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞を対象に投与することを含む方法。
実施形態9:ヒト又は非ヒト動物対象において腸疾患を治療する方法であって、ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激するのに有効な量のラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞を対象に投与することを含む方法。
実施形態10:ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及び/又はラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞は、死細胞である、実施形態8又は9に記載の方法。
実施形態11:ヒト又は非ヒト動物対象において腸疾患を治療する方法であって、ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激するのに有効な量の製品LACTEOL(登録商標)を対象に投与することを含む方法。
実施形態12:ヒト又は非ヒト動物対象において腸疾患を治療する方法であって、ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激するのに有効な量の、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)が増殖されている培地の上清を対象に投与することを含む方法。
実施形態13:ヒト又は非ヒト動物対象において腸疾患を治療する方法であって、ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激するのに有効な量の、実施形態12の上清の画分52を対象に投与することを含み、画分52は、サイズ排除HPLCによって得られ、C18を用いた複数の実行で精製されたLACTEOL(登録商標)又はLLCの上清の画分であり;MALDI TOF質量分析において、それは、約5200m/z(5237.08m/zなど)で単一ピークを有する、方法。
実施形態14:対象は、ヒトである、実施形態8~13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15:腸疾患は、抗生物質起因性下痢、腸内毒素症、過敏性大腸症候群(IBS)及び炎症性腸疾患(IBD)から選択される、実施形態8~14のいずれか1つに記載の方法。
実施形態16:ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞を含む組成物。
実施形態17:ラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞も含む、実施形態15に記載の組成物。
実施形態18:ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞が増殖されている培地を含む組成物。
実施形態19:ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞と、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞が増殖されている培地とを含む組成物。
実施形態20:ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞が増殖されている培地と共に、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞を含む組成物。
実施形態21:ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)及び/又はラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞は、死細胞である、実施形態16~20のいずれか1つに記載の組成物。
実施形態22:ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、LACTEOL(登録商標)を含む組成物。
実施形態23:ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、ラクトバシラス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)の細胞(例えば、死細胞)及びラクトバシラス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)の細胞(例えば、死細胞)が増殖されている培地の上清を含む組成物。
実施形態24:ヒト又は非ヒト動物の腸内のビフィズス菌の増殖を刺激することにより、ヒト又は非ヒト動物対象の腸の健康を維持及び/又は改善するのに使用するための、実施形態22の上清の画分52を含む組成物。
実施形態25:対象は、健康なヒトである、実施形態16~24のいずれか1つに記載の組成物。
実施形態26:腸の疾患を治療するための、実施形態16~24のいずれか1つ記載の使用のための組成物。
実施形態27:ヒト対象における腸の疾患を治療するための、実施形態16~24のいずれか1つ記載の使用のための組成物。
実施形態28:腸疾患は、抗生物質起因性下痢、腸内毒素症、過敏性大腸症候群(IBS)及び炎症性腸疾患(IBD)から選択される、実施形態26又は27に記載の使用のための組成物。
実施形態29:医薬組成物、食品サプリメント又は栄養サプリメントの形態である、実施形態16~28のいずれか1つに記載の使用のための組成物。
実施形態30:前記食品サプリメント又は栄養サプリメントは、ミルク、ヨーグルト若しくはヨーグルトスタイルの製品、チーズ、アイスクリーム、穀類ベースの製品、ミルクベースの粉末、乳児用調製乳、栄養調合乳、乾燥経口用粗粒若しくは粉末、湿潤経口用ペースト若しくはゼリー、乾燥経管栄養のための粗粒若しくは粉末又は湿潤経管栄養のための流動物から選択される食品中に含まれる、実施形態29に記載の使用のための組成物。
【0078】
[0087] 本開示は、例示的な実施形態及び具体的な実施例を参照して本明細書において記述されており、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における修正形態がなされ得ることが当業者によって理解されるであろう。
【実施例
【0079】
実施例
実施例1
LACTEOL(登録商標)製剤
[0088] 糞便発酵容器に供給するために、LACTEOL(登録商標)粉末が使用された。
【0080】
糞便発酵 - 凍結標準化接種材料(FSI)の調製
[0089] O’Donell MM et al. in Journal of Microbiological Methods. (2016) vol. 9, pages 9-16によって記載された方法と類似の手法で凍結標準化接種材料を調製した。簡潔には、ボランティア/ドナー(n=5)は、厳密な基準に準拠した:すべてのドナーは、健康な成人であり、提供前の6か月間にわたって抗生物質を摂取しなかった。ドナーからの糞便試料をプラスチック容器に収集し、嫌気的条件の発生器(GENbox anaer、BioMerieux、フランス)を備えたジップバッグに入れ、4℃で保管した。平均で9時間以内に無酸素雰囲気(10%H、0%O、0%N)下の嫌気性チャンバ(Don Whitley、West Yorkshire、英国)内に糞便試料を移した。嫌気性チャンバ内において、70μmフィルター挿入物(Sparks lab supplies、アイルランド)を備えた大きいストマッカーバッグに一緒にプールした。0.05%(w/v)l-システイン塩酸塩(Sigma Aldrich、アイルランド)を含む50mMリン酸緩衝液400ミリリットル(pH6.8)(更にリン酸緩衝液と呼ばれる)をストマッカーバッグに添加し、続いて手作業で試料を均質化した。次いで、Sorvall SLA-3000遠心機において、濾過されたスラリーを4000×gで25分間遠心し、再び嫌気性キャビネット内で400mlリン酸緩衝液に再懸濁した。次いで、第2の遠心(4000×gで25分間)を行い、続いて400mlリン酸緩衝液に再懸濁した。次いで、得られた糞便細菌懸濁液に200mlのグリセロールを補充し、アリコートに分けて、使用するまで-80℃で1~9週間凍結した(以下ではFSIと呼ばれる)。遠心工程を除いて、すべての処理は、嫌気性キャビネット内で行われた。FSIの使用前に、アリコートを、発酵容器内に接種する前に37℃で0.5~1時間にわたって解凍した。
【0081】
糞便発酵 - 遠位結腸モデル
[0090] Fooks LJ及びGibson GRによってAnaerobe (2003) vol. 9 (5), pages 231-42に記載されたように、1リットル当たりの発酵容器(総容積200ml)における最終濃度:ペプトン2g、酵母抽出物2g、NaCl 0.76g、KHPO 0.04g、KHPO 0.04g、CaCl-2HO 0.007g、MgSO-7HO 0.01g、NaHCO 2g、Tween 80 2ml、L-システイン-HCl 0.5g、胆汁酸塩0.5g、可溶性デンプン10g、ヘミン(3滴の1M NaOHに溶解された)0.05g及びビタミンK1(Sigma Aldrich)10μlでデンプン補充糞便培地を調製した。LACTEOL(登録商標)3.4g/100ml(100ml中、340mgでLACTEOL(登録商標)の10個のサッシェ/カプセルに対応する)又は対照として乳酸(30mM)、ラクトース(36mM)若しくは水の均等な量のいずれかがベース培地180mlに補充された。必要に応じて、水を添加して体積を187.5mlにした。MultiForsシステム(Infors、英国)の発酵容器に培地を添加し、そのpHを6.8に調整し、それぞれの容器を酸素不含Nで少なくとも120分間スパージして、嫌気的条件を確立した。FSI 12.5mlを使用して、各容器に接種した。発酵を37℃で24時間にわたって実施し、1M NaOH又は1M HClの自動添加によってpH6.8で一定に維持し;酸素不含Nでスパージし、200rpmで連続して攪拌した。発酵からT0、1時間(T1)、2時間(T2)、3時間(T3)、4時間(T4)、5時間(T5)、6時間(T6)、22(T22)及び24時間(T24)後の時点で容器のそれぞれから試料を取り除き、処理まで-80℃で保存した。条件のそれぞれを少なくとも3重反復で試験した。
【0082】
DNAの単離
[0091] 軽微な修正を加えた製造元の推奨に従い、QIAamp Fast DNA Stool Miniキット(Qiagen、ドイツ)を使用し、使用されたビーズ式破砕(FastPrep-24、MP Biomedicals、米国)溶液の体積を600μlに増加させ、最終溶離体積を30μl TAEに低減して、糞便発酵試料からのDNA単離を行った。Qubit dsDNA BRアッセイキットを使用し、品質評価のためにゲル上に試料5μlを流して、DNA濃度を測定することにより、DNA量及び品質の評価を行った。
【0083】
16Sメタゲノミクス - 微生物叢分析
DNA増幅、索引付け、正規化及びシークエンシング
[0092] Warda AKらによってBehavioural brain research (2018) vol. 362, pages 213-23に記載されたように、ライブラリーの作製を行った。Phusion Polymerase Master Mix及びV3-V4(フォワード5’-TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAGCCTACGGGNGGCWGCAG-3’(配列番号1);リバース5’-GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAGGACTACHVGGGTATCTAATCC-3’(配列番号2))プライマー(98℃30秒;98℃10秒、55℃15秒、72℃20秒の25サイクル;72℃5分)を使用して、16S遺伝子のV3及びV4領域を増幅した。Qubit dsDNA HSアッセイキット及びゲル上へのランニングにより、アンプリコンを品質及び量についてチェックし、Ampure XP磁気ビーズを使用してクリーニングした。Phusion Polymerase Master Mix and Nextera XT Index Kit(95℃30秒;95℃30秒、55℃30秒、72℃30秒の8サイクル;72℃5分)を用いて、インデックスPCRにクリーニングされたアンプリコン5μlを鋳型として使用した。索引付けされたアンプリコンを、Ampure X磁気ビーズを用いてクリーニングし、Qubit dsDNA HSアッセイキット及びゲル上へのランニングにより、品質及び量をチェックした。すべての試料を水中で4nMに規準化し、続いて各試料5μlを一緒にプールし、Illumina MiSeqシークエンシングのためにGTAC(ドイツ)に送った。
【0084】
16Sデータ分析
[0093] 未加工読み取り値の質をFastQC v0.11.3で可視化した。次いで、Callahan BJ et al .Nat Methods (2016) vol. 13 (7), pages 581-3に従い、DADA2パッケージ(v1.03)で分析するために読み取り値をR v3.3.0にインポートした。シークエンシングプロセス中に導入されたエラーを修正し、リボソーム配列バリアント(RSV)を産生した。これらをエクスポートし、ChimeraSlayer gold database v20110519と共にUSEARCH v8.1.1861に実装されたデノボ及び参照ベースのキメラのフィルタリングを用いて、更なるキメラをフィルタリングした。残りのRSVをRDPデータベース11.4バージョンに対してmothur v1.38[Schloss PD et al. in Applied and environmental microbiology (2009) vol. 75 (23), pages 7537-41を参照されたい]で分類し、SPINGOで種レベルに分類した[Allard G et al. in BMC bioinformatics (2015) vol, 16, page 324を参照されたい]。細菌又は古細菌のドメイン分類を有するRSVのみを更なる分析のために保持した。中間点で根付いたRSV配列の系統樹をFastTreeで作成した[Price MN et al. Molecular biology and evolution (2009) vol. 26 (7), pages 1641-50を参照されたい]。PhyloSeq v1.16.2を使用して、α多様性及びβ多様性が作成され、Ape v3.5で実行される主座標分析にも使用された。有意差分析をRSVレベルについてESeq2 v1.12.4[Love MI et al. Genome Biol. (2014) vol. 15 (12), page 550を参照されたい]で行い、属に対して、門についてのウィルコクソン検定を行った。ベンジャミニホッホベルク法を用いて、必要に応じてP値を調整した。Rにおけるすべての可視化がggplot2 v2.2.1で実施された。この刊行物で議論されているシークエンシングデータは、Sequence Read Archive(SRA)に寄託されており、アクセッション番号PRJNA545405でアクセス可能である。
【0085】
qPCR
[0094] 単離DNAを用いて、総微生物ロード及びビフィズス菌ロードを相対的に定量化した。LightCycler480プレート及び接着性カバー(Roche)を使用して、384ウェルLightCycler 480 PCR(Roche)で反応を実施した。15μl反応は、水6.5μl、2×SensiFAST(商標)SYBR No-ROX Master Mix(Bioline)7.5μl、それぞれ10μMプライマー(フォワード及びリバース)0.3μl及びDNA試料1μlをそれぞれ含有した。DNAの代わりに水を使用して、鋳型対照(NTC)は、作成しなかった。使用前に試料を100倍希釈した。各反応を四重反復で実施した。総菌数に使用されたプライマーU16SRT-F(5-ACTCCTACGGGAGGCAGCAGT-3(配列番号3)、U16SRT-R(5-TATTACCGCGGCTGCTGGC-3(配列番号4))及びビフィズス菌定量化に使用されたプライマーBif-xfp-F1(5-CGTCCGTTCTACCCGATG-3(配列番号5))、Bif-xfp-R1(5-GGTCTTCTTGCCGTCGAT-3(配列番号6))。サイクルパラメータは、95℃で5分間、続いて95℃で10秒、60℃で30秒及び72℃で30秒の45サイクルであった。融解曲線分析(60~97℃)は、非特異的な増幅を排除するためにすべてのプログラムの最後に含まれた。交差点(Cp)値及び融解温度は、ソフトウェア機器を使用して自動的に計算された。ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697の一晩増殖された培養液10mlから単離されたDNAの10倍希釈を用いて、プライマーの効率をチェックし、U16SRT及びBif-xfpプライマーのそれぞれについて、95.7%及び95.5%に等しいEが得られた。両方の微生物群に対する標準曲線として、同じ希釈範囲を用いてCFU/mlをCp値と相関させた。同時に、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697ゲノムにおける16S遺伝子の4コピーに基づいて、16Sr RNAコピー数/mlを計算した[rrnDBデータベースに基づいて、細菌ゲノムの平均コピー数は、4.9である(https://rrndb.umms.med.umich.edu/;2018年12月12日エントリー)]。
【0086】
代謝産物分析
[0095] 試料を氷上で解凍し、最高速度で1分間遠心した。0.2μmフィルターを通して上清を濾過し、HPLC容器に移し、測定まで-20℃で保管した。MS-Omicsによって試料の分析を以下の通りに行った:塩酸を使用してSCFA分析試料を酸性化し、重水素標識化内標準を添加した。すべての試料を無作為な順序で分析した。四重極検出器(5977B、Agilent)と連結されたGC(7890B、Agilent)に設置された高極性カラム(Zebron- ZB-FFAP、GC Cap.カラム30m×0.25mm×0.25μm)を使用して分析を実施した。代謝産物分析を目立たせるために、Smartら(DOI:10.1038/nprot.2010.108)によって記載されたプロトコルに従い、クロロギ酸メチルで試料を誘導体化した。すべての試料を無作為な順序で分析した。四重極型質量検出器(5977B、Agilent)と連結されたガスクロマトグラフィー(7890B、Agilent)を使用して分析を実施した。いずれの場合にも、ChemStation(Agilent)によってシステムを制御した。JohnsenによってJournal of chromatography A. (2017) vol. 1503, pages 57-64に記載されたPARADISeソフトウェアを使用して、Matlab R2014b(Mathworks, Inc.)にデータをインポート及び処理する前に、Chemstation(Agilent)を使用してnetCDFフォーマットに生データを変換した。
【0087】
結果
微生物の変化 - 16S rRNA遺伝子メタゲノミクス
[0096] 発酵中に収集された試料からDNAを単離し、16Sr RNA遺伝子アンプリコンシークエンシングを行った。遺伝子レベルにおいて、すべての実験容器における発行開始時に高い多様性が確認され、ヒト腸マイクロバイオームの高い多様性を意味した。経時的に組成物が徐々にすべての容器において変化し、水の容器で起こった変化が最も遅く、乳酸及びLACTEOL(登録商標)容器内で起こった変化が最も速かった。実際に、エシェリキア(Escherichia)/シゲラ(Shigella)の最初の増加後、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の相対存在量の劇的な増加がLACTEOL(登録商標)容器で起こり、他の容器ではその程度が少なかった。確認された変化は、反復容器において再現性があったが、おそらく1グループ当たりの試料数が限定されていたため、科レベルでの有意な変化を検出することはできなかった(ウィルコクソン検定)。属レベルでは、水容器内で24時間にわたって統計学的に有意な変化が確認され(ウィルコクソン検定)、この条件について4重反復が実施され、これは、このグループに対して力を増加させた可能性が高い。同様に、Chao1及びShannon指数によって測定されるα-多様性も経時的に明らかに減少した。α多様性のこの低下は、閉じたシステムで起こる種の自然な損失を反映する可能性が高い。しかしながら、選択された分類群の有意な異常増殖の現象において、残りの分類群のレベルが検出レベル未満であり得るため、α多様性の低下も確認され得る。それにもかかわらず、0、6及び24時間で試験された条件間でのα多様性の統計学的に有意な変化だけでなく、個々の条件に対する変化も確認されなかった。4重反復を有した水容器を除外すると、1つの条件当たりの反復数の制限が再びその原因であり得る。
【0088】
[0097] 個体間の微生物叢多様性(β多様性)を更に調べるために、主座標分析(PCoA)アプローチを用いた。微生物叢組成物の明確なシフトが実験の24時間中に起こったことが明らかとなり、発酵の長さは、多様性に対して主な影響を有し、PC1は、閉じたシステムで予想される変動の66.07%を説明する。初めに、すべての容器が互いに確実にクラスター形成し、これは、開始条件が十分に標準化されたことを再び意味する。発酵の最後に、微生物叢がPC2に沿って広がる(変動の12.44%が説明される)。特に、LACTEOL(登録商標)容器からの微生物叢は、ラクトース容器からの微生物叢と共にPC2軸の上部にクラスター形成し、乳酸容器からの微生物叢は、水容器からの微生物叢と共にPC2軸の低い部分にクラスター形成した(図2)。0、6及び24時間で試験された条件間でのβ多様性の統計学的に有意な変化だけでなく、個々の条件に対する変化も確認されなかった。1条件当たりの反復数の制限が再びその原因であり得る。
【0089】
[0098] 最後に、RSVレベルでの分析により、より具体的に分類学的差を評価することが可能となった。26RSVの存在量が増加したのに対して、33RSVは、水の容器と比べてLACTEOL(登録商標)容器において低減した。同時に、3RSV及び14RSVのみの存在量が、水の容器とそれぞれ比較して乳酸及びラクトース容器で変化した。特に、LACTEOL(登録商標)容器で増加した6RSVは、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属に割り当てられ、それらの1つのみ、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)を種のレベルに割り当てることができた。ラクトース容器では、水の容器と比較して、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)に割り当てられた5RSVのレベルが増加し、それらの3つのみがLACTEOL(登録商標)容器と重複した。
【0090】
[0099] 経時的な存在量の変化の分析により、少なくとも1つの条件において、豊富さが異なる302RSVが得られた。特に、36RSVは、すべての条件で経時的に増加したのに対して、108RSVは、低減した。8RSVは、LACTEOL(登録商標)容器において、20RSVは、ラクトースにおいて、4RSVは、乳酸において、及び19RSVは、水の容器において特異的に変化した。
【0091】
LACTEOL(登録商標)は、発酵中のビフィズス菌の数を増加させる
[00100] 発光の開始時、容器のいずれかの間でビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)レベル(一元配置分散分析;F3,8=0.912、p=0.477)及び総細菌ロード(一元配置分散分析;F3,8=0.074、p=0.972)の差はなかった(図1)。24時間の発酵後、容器間のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)レベルの差があった(クラスカル・ウォリス検定、p=0.031)(図1)。水及びLACTEOL(登録商標)が補充された容器におけるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)レベルは、有意に異なり(手作業の事後検定(post-hoc)、多重比較に対して制御されたp値、p=0.007<α/k)、他のすべての容器間の他の差はわずかであった。また、各容器における経時的なビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の増加は、有意ではなかった(関連試料のウィルコクソン符号順位検定、p=0.109)。同時に、容器補充は、24時間発酵で総細菌ロードに対して有意な効果を有しなかった(ウェルチの検定、p=0.108;ブラウン・フォーサイス検定、p=0.285)(図1)。時間の経過による変化もなかった(関連試料のウィルコクソン符号順位検定、p≧0.109)。
【0092】
代謝産物の変化
[00101] 発酵プロセスのモニタリングにより、乳酸又は水の対照と比較して、LACTEOL(登録商標)の存在下でpHを制御するために、およそ4倍多い量のNaOHが必要であること(及び長期の必要性)が明らかとなった。このことから、LACTEOL(登録商標)の存在下では、発酵プロセスによってより多量の酸が生成されたこと及びこのプロセスがより長い時間維持されたことが示唆される。発酵前及び後に容器に存在する化合物の性質を解明するために、メタボロミクス分析を実施した。水、乳酸及びラクトースが補充された容器から発酵開始時に収集された試料は、互いに密接にクラスターを形成したのに対して、LACTEOL(登録商標)容器からの試料は、別々のクラスターを形成した。特に、最初に、33のアノテートされた化合物は、水の容器と比較してLACTEOL(登録商標)容器において高いレベルを有した。24時間の発酵後、すべての容器における代謝組成物がシフトし、LACTEOL(登録商標)容器における変化が最も顕著であった。この段階では、39のアノテートされた化合物は、水の容器と比較してLACTEOL(登録商標)容器において有意に高いレベルを有した。
【0093】
短鎖脂肪酸(SCFA)
[00102] 産生された代謝産物の性質を同定するために、本発明者らは、SCFA、特にその有益な作用について知られている酪酸に注目した。発酵の開始前に、個々のSCFAのレベルは、低く、本発明者らにより、酢酸(クラスカル・ウォリス検定、p=0.037;ボンフェローニ(Bonferroni)事後検定、p>0.05)、イソ酪酸(クラスカル・ウォリス検定、p=0.023;ボンフェローニ事後検定、p>0.05)及び吉草酸(クラスカル・ウォリス検定、p=1.000)のレベルにおいて容器間の差は確認されなかった。LACTEOL(登録商標)容器において、本発明者らは、乳酸容器と比べてわずかに高いレベルの酪酸(クラスカル・ウォリス検定、p=0.030;ボンフェローニ事後検定、p=0.050)及びプロピオン酸(クラスカル・ウォリス検定、p=0.026;ボンフェローニ事後検定、p=0.016)を検出したが、水又はラクトース容器と比べて差はなかった(クラスカル・ウォリス検定、p<0.05;ボンフェローニ事後検定、p>0.05)。ギ酸のレベルは、乳酸容器とラクトース容器との間でのみ異なった(クラスカル・ウォリス検定、p=0.012;ボンフェローニ事後検定、p=0.013)。24時間の発酵後、本発明者らは、他のすべての容器と比べてLACTEOL(登録商標)容器の酢酸レベルが高いことを確認した。更に、24時間の発酵後、ギ酸レベルは、水容器及びラクトース容器と比べてLACTEOL(登録商標)容器において有意に高かった。発酵後、プロピオン酸(F(3,9)=0.382、p=0.769)、酪酸(クラスカル・ウォリス検定、p=0.401)、イソ酪酸(クラスカル・ウォリス検定、p=0.094)及び吉草酸(クラスカル・ウォリス検定、p=0.205)レベルにおいて容器間で有意な差はなかった。すべての試料中のイソ吉草酸、ヘキサン酸及びヘプタン酸のレベルは、検出下限(LOD)未満であった。更に、発酵前の吉草酸濃度は、LOD未満であった。
【0094】
TCAサイクル
[00103] 発酵前に、水と比較して高いレベルのコハク酸がLACTEOL(登録商標)容器において検出され(クラスカル・ウォリス検定、p=0.018、ボンフェローニ事後検定、p=0.010)、高いレベルのフマル酸がラクトース容器において検出された(F(3,9)=5.599、p=0.019;ボンフェローニ事後検定、p=0.017)。予想通り、乳酸のレベルは、水と比較して乳酸容器において高かった(クラスカル・ウォリス検定、p=0.010、ボンフェローニ事後検定、p=0.008)。乳酸レベルは、LACTEOL(登録商標)容器で増加したが、多重比較基準に合格しなかった(クラスカル・ウォリス検定、p=0.010、対比較ボンフェローニ事後検定、p=0.028、多重比較調整ボンフェローニ事後検定、p=0.171)。ピルビン酸の差は、乳酸容器とラクトース容器との間で検出された(クラスカル・ウォリス検定、p=0.013、ボンフェローニ事後検定、p=0.019)。24時間の発酵後、フマル酸(クラスカル・ウォリス検定、p=0.025、ボンフェローニ事後検定、p=0.035)、コハク酸(F(3,9)=22.239、p<0.0005;ボンフェローニ事後検定p<0.0005)及び乳酸(F(3,9)=120.294、p<0.0005;ボンフェローニ事後検定p<0.0005)のレベルは、水と比較してLACTEOL(登録商標)容器で高かった。LACTEOL(登録商標)容器において見出されたレベルではなく、水と比較して(ボンフェローニ事後検定、両方に対してp<0.0005)、乳酸のレベルも乳酸(F(3,9)=120.294、p<0.0005;ボンフェローニ事後検定p=0.001)容器及びラクトース(F(3,9)=120.294、p<0.0005;ボンフェローニ事後検定p<0.0005)容器において高かった。残りの6つのTCAサイクル化合物についての測定において、発酵前及び/後に容器間の差はなかった(クラスカル・ウォリス検定p>0.05)。
【0095】
アミノ酸
[00104] 発酵前に、19個の試験されたアミノ酸のうち、12個は、水容器と比較してLACTEOL(登録商標)容器において高いレベルを有した。特にトリプトファンレベルは、他の容器と比較してLACTEOL(登録商標)容器において高かった(F(3,9)=17.431、p<0.0005;ボンフェローニ事後検定、p≦0.006)。発酵後、19個の試験されたアミノ酸のうち、10個は、水の容器と比較してLACTEOL(登録商標)容器において高いレベルを有した。
【0096】
他の代謝産物
[00105] 発酵前に、試験、同定及びアノテートされた61個の化合物のうち、20個は、水の容器と比較してLACTEOL(登録商標)容器において高いレベルを有した。発酵後、試験、同定及びアノテートされた61個の化合物のうち、26個は、水の容器と比較してLACTEOL(登録商標)容器において高いレベルを有した。
【0097】
結論
[00106] 実施例1では、ヒト糞便試料が接種された嫌気性バッチ培養物中の微生物叢組成物へのLACTEOL(登録商標)の影響を調べた。LACTEOL(登録商標)は、L.ファーメンタム(L. fermentum)及びL.デルブルエッキイー(L. delbrueckii)によって初期発酵中に産生された乳酸並びに凍結乾燥プロセスを促進するために産生後に添加されるラクトースを含有することが知られている。したがって、水以外の更なる対照として、本発明者らは、個々に乳酸及びラクトースでの補充を含めた。マイクロバイオーム分析及び代謝産物分析の両方から発酵前に収集された試料の密なクラスター形成が示され、一方では製剤の再現性が確認され、他方ではヒト腸マイクロバイオームの高い組成多様性が確認された。予想されるように、本発明者らは、マイクロバイオームに関して容器間の差を認識しなかった。しかしながら、LACTEOL(登録商標)容器は、対照を除いて、この条件設定で主にアミノ酸の高レベルの点に関して変化した代謝産物プロファイルを示した。
【0098】
[00107] すべての容器におけるマイクロバイオーム及び代謝産物の両方が経時的にシフトし、LACTEOL(登録商標)容器の変化が最も顕著であった。LACTEOL(登録商標)補充により、24時間発酵中のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の相対的及び絶対的存在量が増加した。LACTEOL(登録商標)容器におけるこの増殖と合致して、本発明者らは、ビフィズス菌によって産生されることが以前に示された酢酸、ギ酸及び乳酸のレベルの増加を確認した。ビフィズス菌又はSCFAのいずれかの存在は、一般に有益であるとみなされている。
【0099】
実施例2
LACTEOL(登録商標)製剤
[00108] 増殖実験において、再構成LACTEOL(登録商標)粉末(0.34g/ml)を使用した。代わりに、低ラクトースLACTEOL(登録商標)(LLL)を使用した。各調製物は、別段の指定がない限り、溶液1mlにつき5×10~1×1010細胞体を含有する。
【0100】
ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)接種材料の製造
[00109] L-システイン(最終濃度0.6g/L)及びレズザリン(rezuzarin)(最終濃度1mg/L)を補充したMRSブロス(Difco、BD)10mlを含有する嫌気性ハンゲートチューブにビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)株(表1)の-80℃ストック100μlを注入した。チューブを37℃で一晩インキュベートした。別段の指定がない限り、100倍希釈された一晩培養液100μlを接種材料として使用した。B.ビフィダム(B. bifidum)LMG11041及びB.ガリカム(B. gallicum)APC838株については、一晩の増殖が不十分であるため、10倍希釈一晩培養液100μlを使用した。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
ビフィドジェニック(Bifidogenic)アッセイ
[00110] 嫌気性ハンゲートチューブ内のL-システイン(最終濃度0.6g/L)及びレサズリン(最終濃度1mg/L)が補充された、ベース培地(10倍又は15倍希釈;水が補充された場合のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の増殖なし又は最低限の増殖に必要とされる培地のそれぞれのバッチに対して設定された希釈率)MRSブロス9mlに試験溶液(LACTEOL(登録商標)製剤)又は対照の1つ(主に水)1mlを補充した。次に、ハンゲートチューブに接種し、シリンジ及び針を使用してT0試料を採取して、酸素のアクセスを制限した。ハンゲートチューブを37℃及び一定間隔でインキュベートし、試料を採取した。収集された試料をPBS中で連続希釈し、L-システイン(最終濃度0.6g/L)を補充された新たなMRS寒天平板上に100μlを二重反復でプレーティングした。コロニーのカウント前に、嫌気性発生器(BioMerieux)を備えた広口瓶内でプレートを37℃で少なくとも48時間インキュベートした。
【0104】
LACTEOL(登録商標)処理
(a)酵素的処理
[00111] LACTEOL(登録商標)溶液5mlに10mgのプロテイナーゼK(1mM CaCl-2HOが添加された)、トリプシン、ペプシン、プロナーゼ、リゾチーム又はα-キモトリプシンを補充した。LACTEOL(登録商標)溶液の細胞及び上清画分5mlにセルラーゼ1000単位、α-グルコシダーゼ25単位、α-アミラーゼ1000単位及びβ-ガラクトシダーゼ125単位を補充した。チューブを振盪しながら37℃で4時間、続いて92℃で1時間インキュベートした。ビフィドジェニックアッセイで試験するまで、酵素的処理されたLACTEOL(登録商標)、細胞及び上清画分を4℃で保存した。α-アミラーゼ及びβ-ガラクトシダーゼで処理された上清のpHは、酵素添加前に7.16に増加し、インキュベーション後に元のpHに調整して戻し、濾過した。酵素的処理された細胞又は上清1mlをビフィドジェニックアッセイ(10倍希釈培地)で使用した。
【0105】
(b)物理的処理
透析
[00112] 水15mlに再懸濁されたLACTEOL(登録商標)5.1gを、洗浄された1kDa透析チューブ(Pur-A-Lyser Magna1000、Sigma)に移した。次いで、チューブを脱イオン水4.5Lに入れ、4℃で4日間攪拌しながらインキュベートした。水は、毎日取り換えた。チューブの内容物をハンゲートチューブに移し、ビフィドジェニックアッセイ(10倍希釈培地)で使用する前に4℃で保管した。
【0106】
音波処理
[00113] LACTEOL(登録商標)溶液を遠心し、上清を濾過し、細胞ペレットを2回洗浄した。上清及び細胞画分を4時間超音波処理し、ビフィドジェニックアッセイ(10倍希釈培地)で使用する前に4℃で保管した。
【0107】
代替の処理 - プロバイオティクス
実験室で製造された乳酸桿菌(Lactobacilli)調製物の製造
[00114] ラクトバシラス(Lactobacillus)株(表1)をMRSプレート上に-80℃ストックから画線した。MRSブロス10mlに単一コロニーを接種し、37で一晩、嫌気的にインキュベートした。L-システイン(最終濃度0.6g/L)が補充されたMRSブロスを含むフラスコについて、1%接種材料を使用した。Lb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)2zの増殖のための培地にカゼインからの1%ペプシンを補充し、その増殖の必要条件を促進した。37℃で一晩嫌気性インキュベーションした後、フラスコの内容物を大きいペトリ皿に分散させ、凍結乾燥まで-80℃に置いた。凍結乾燥内容物をプレートから掻き取り、110℃で1時間熱処理する(LACTEOL(登録商標)製造中に適用される熱処理)前に0.34g/ml水に再懸濁し、使用まで4℃で保存した。
【0108】
ビフィズス菌に対する市販の製品の効果
[00115] その日用量に対応する濃度で市販の製品の溶液を調製した。特に、カルチュレル(Culturelle)1カプセルの内容物(ラクチカゼイバチルス・ラムノサス(Lacticaseibacllus rhamnosus)GG及びイヌリンの100億個の細胞)を水1mlに再懸濁した。エンテロゲルミナ(Enterogermina)の3つの小瓶の内容物(SANOFI;チルス・クラウジイ(Bacillus clausii)SIN、B.クラウジイ(B. clausii)O/C、B.クラウジイ(B. clausii)T及びB.クラウジイ(B. clausii)N/R)の芽胞60億個)を遠心し(4696×gで10分間)、水1mlに再懸濁した。バイオガイア(BioGaia)(リモシラクトバシラス・ロイテリ(Limosilactobacillus reuteri)DSM17938の10CFU)5滴を水1mlに再懸濁した。ウルトラリヴレ(Ultra Levure)1カプセルの内容物(BIOCODEX;サッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)CNCM I-745 200mg)を水1mlに再懸濁した。LACTEOL(登録商標)1カプセルの当量(340mg、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)及びLb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)の100億個の細胞)を水1mlに再懸濁した。市販の製品溶液1mlを用いて、修正ビフィドジェニックアッセイ(15倍希釈培地)におけるその効果を試験した。連続希釈された試料を、L-システイン(0.6g/L)、シクロヘキシミド(70mg/L)及びムピロシン(50mg/L)を有するMRSプレート上にプレーティングした。製品カウントの選択的計数をLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)GG(MRSカウントからビフィズス菌数を引き算する)、B.クラウジイ(B. clausii)(BHI上にプレーティング、好気性インキュベーション)、Lb.ロイテリ(Lb. reuteri)DSM17938(MRS+テトラサイクリン(30μg/mL)、嫌気性)及びサッカロマイセス・ブラウディ(Saccharomyces boulardii)CNCM I-745(サブロー(Saboraud)(4%ブドウ糖)、好気性インキュベーション)について実施した。
【0109】
LACTEOL(登録商標)精製
固相抽出C18カラム
[00116] すべてのC18精製において、Strata C18固相抽出カラム(Phenomenex)10gの最大結合能力であることから、LACTEOL(登録商標)製剤の半量(10ml中1.7gに等しい)を使用した。結果的に、フロー、洗浄液及び溶離画分は、別段の指定がない限り、半量であった。半量のLACTEOL(登録商標)を5000rpmで5分間遠心した(ローターTX-400を備えたServall ST 16R)。得られた上清を0.2μmフィルターで濾過し、固体粒子を除去した。Strata C18固相抽出カラム(Phenomenex)10gを真空ポンプに連結し、メタノール120mlでコンディショニングし、HPLC水120mlで平衡化した。濾過した上清をカラムに適用し、重力で通過させ、得られたフロースルーを回収した。次に、カラムを5%メタノール120mlで洗浄し、洗浄液を回収した。カラムを真空乾燥させてから5分後、メタノール120mlをカラムに適用して、吸着剤に依然として結合している画分を溶離させ、溶離液を回収した。回収された洗浄液及び溶離画分を回転蒸発させて、溶媒を除去し、水中での初期濃度に試料を濃縮した。フロースルー、洗浄液及び溶離画分を濾過滅菌(0.2μmフィルター)し、使用するまで4℃で保管した。
【0110】
硫酸アンモニウム沈殿
[00117] 低ラクトースLACTEOL(登録商標)(LLL)溶液(10ml中の3.4gに等しい)を5000rpmで10分間(装置の詳細)遠心した。0.2μmフィルターを通して、得られた上清を濾過し、固体粒子を除去した。徐々に硫酸アンモニウム3.18g(飽和50%に達することを目標として)を上清10mlに室温において二重反復で溶解した。振とうしながら、室温で1つのフラスコを6時間インキュベートし、第2のフラスコを1時間インキュベートした。次に、フラスコの内容物を4℃で5000rpmにおいて15分間遠心した。第2フラスコからの上清に硫酸アンモニウムを補充して、飽和60%に到達させ、上述のようにインキュベートした。飽和80%に達するまでこのアプローチを続けた(飽和90%に達するのに必要とされる硫酸アンモニウムは溶解しなかった)。異なる段階で回収された沈殿物を緩衝液(150mMトリス、150mM NaCl、pH7.5)10mlに溶解し、C18カラムを使用して脱塩するまで4℃で保管した(上記を参照されたい)。
【0111】
HPLC分析
未処理試料のHPLC分析
[00118] ミリQ水中において、2分の1(LACTEOL(登録商標)及びLLL)及び7分の1(Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)及びLb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii))に上清試料を希釈した。1ml/分で30%アセトニトリルの均一濃度勾配を流すToso Haasゲル浸透カラム(直列でTSK gel G2000SW及びG2000SWXL、5μ、7.8×30cm)にアリコート100μlを適用した。HPLC溶離剤を214nmで紫外線吸収によってモニターし、アッセイのために35分間にわたって1分間隔で画分を回収した。
【0112】
C18精製試料のHPLC分析
[00119] 1ml/分で35分間にわたって30%アセトニトリル0.1%TFAの均一濃度勾配を流すToso Haasゲル浸透カラム(直列でTSK gel G2000SW及びG2000SWXL、5μ、7.8×30cm)に上清試料のアリコート27×80μl(合計2160μl)を適用した。HPLC溶離剤を214nmで紫外線吸収によってモニターし、アッセイのために1分間隔で画分を回収した。MALDI TOF質量分析において画分37~60を試験し、遠心後にビフィドジェニックアッセイにおいて試験した。
【0113】
非ビフィズス菌株の試験
[00120] E.フェシウム(E. faecium)及び大腸菌(E. coli)の-80℃ストックをトリプトンダイズ寒天(TSA、製造元)及びLuria-Bertani(LB、製造元)プレート上にそれぞれ画線し、37℃で一晩インキュベートした。単一コロニーを使用して、TSB又はLBブロスのいずれか20mlを接種し、続いて37℃で一晩インキュベートした。1.1×MRSブロス(0.6g/L L-システイン、1mg/Lレサズリン)或いは希釈範囲のLB(水若しくはPBS中)又はPBSのいずれか9mlを含有する嫌気性ハンゲートチューブに水1ml又はLACTEOL(登録商標)溶液1mlを補充し、100倍希釈一晩培養液100μlを接種した。嫌気性チューブを37℃で一晩インキュベートした。収集した試料を連続希釈し、TSA又はLBプレートのいずれかにプレーティングし、続いて37℃で一晩好気性インキュベーションを行った。
【0114】
結果
選択されたビフィズス菌の増殖に対するLACTEOL(登録商標)及びLACTEOL(登録商標)様製剤の効果
[00121] LACTEOL(登録商標)は、純粋培養における乳児関連及び成人関連ビフィズス菌の増殖を刺激した。具体的には、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697(B1;t=18.555、p<0.0005)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)亜種ロンガム(longum)JCM7053(B2;t=15.626、p=0.003)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)LMG11041(ATCC29521)(B3;t=-7.432、p=0.002)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)JCM7017(B4;t=7.667、p=0.016)、ビフィドバクテリウム・ガリカム(Bifidobacterium gallicum)APC838(ATCC49850)(B5;t=-2.828、p=0.047)、ビフィドバクテリウム・アンギュラタム(Bifidobacterium angulatum)APC329(ATCC27535)(B7;t4=12.065、p<0.0005)及びビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)亜種ロンガム(longum)APC2744(ATCC15707)(B8;t=14.603、p<0.0005)(図2A)である。より詳細には、LACTEOL(登録商標)は、純粋培養においてB.ロンガム(B. longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697の増殖を刺激した(ANOVA;F4,10=108.650、p<0.0005;ボンフェローニ事後検定、p<0.0005)(図2B)。同時に、LACTEOL(登録商標)の可溶性画分(上清)及び不溶性画分(主に細胞)の両方は、LACTEOL(登録商標)と同程度にB.ロンガム(B. longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697の増殖を刺激した(ボンフェローニ事後検定、水と比較してすべてp<0.0005であり、LACTEOL(登録商標)と比較してそれぞれp=1、p=0.165である)(図2B)。LACTEOL(登録商標)の低ラクトースバージョンも完全LACTEOL(登録商標)と同等の増殖刺激を示した((ボンフェローニ事後検定、水と比較してp<0.0005、LACTEOL(登録商標)と比較してp=0.225)(図2B)。
【0115】
[00122] ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の増殖は、LACTEOL(登録商標)用量に依存する(図2C;ANOVA;F5,11=59.654、p<0.0005)。半量のLACTEOL(登録商標)は、LACTEOL(登録商標)と同程度に増殖を刺激したのに対して(ボンフェローニ事後検定、p=1)、100倍希釈LACTEOL(登録商標)におけるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)カウントは、水の対照における場合と同じであった(ボンフェローニ事後検定、p=1)。LACTEOL(登録商標)活性は、酵素的処理によって影響を受けず、熱処理は、通常、酵素を不活性化するために使用された(92℃で1時間)。ある範囲のタンパク質分解酵素(図2D)及び擬似処理LACTEOL(登録商標)(図2D)で処理されたLACTEOL(登録商標)製剤は、純粋培養におけるB.ロンガム(B. longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697の増殖を刺激した(ANOVA;F8,18=73.582、p<0.0005;水と比較したボンフェローニ事後検定、すべてp<0.0005;LACTEOL(登録商標)と比較したボンフェローニ事後検定、すべてp=1)(図2D)。炭水化物消化酵素(図2E)及びその疑似処理バージョン(図2E)で処理されたLACTEOL(登録商標)製剤の上清及び細胞画分は、純粋培養におけるB.ロンガム(B. longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697の増殖を刺激した(ANOVA;F10,22=85.783、p<0.0005;水と比較したボンフェローニ事後検定、すべてp<0.0005;LACTEOL(登録商標)の上清又は細胞画分と比較したボンフェローニ事後検定、すべてp>0.05)(図1E)。興味深いことに、1kDa透析LACTEOL(登録商標)も純粋培養におけるB.ロンガム(B. longum)亜種インファンティス(infantis)ATCC15697の増殖を刺激したが(図2D;ANOVA;F8,18=73.582、p<0.0005;水と比較したボンフェローニ事後検定、p<0.0005)、LACTEOL(登録商標)のレベルには刺激しなかった(ANOVA;F8,18=73.582、p<0.0005;LACTEOL(登録商標)と比較したボンフェローニ事後検定、p<0.0005)。音波処理は、LACTEOL(登録商標)の上清又は細胞画分の活性に影響しなかった(図2E;ANOVA;F10,22=85.783、p<0.0005;水と比較したボンフェローニ事後検定、すべてp<0.0005;LACTEOL(登録商標)の上清又は細胞画分と比較したボンフェローニ事後検定、すべてp=0.05)。LACTEOL(登録商標)様製剤に応答した24時間増殖レベルに差があった(図2F;ANOVA;F10,21=141.368、p<0.0005)。LACTEOL(登録商標)及びLb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1bは、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の増殖を同等に刺激し(互いに比較されるボンフェローニ事後検定、p=1、水との比較ではp<0.0005)、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249、Lb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)APC2421、Lb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)APC2516、Lb.ロイテリ(Lb. reuteri)APC2482は、増殖を促進しなかった(ボンフェローニ事後検定、すべてp<0.0005)。プレート上で回収されたCUFが6以下であったため、Lb.ホミニシス(Lb. hominis)APC2512の補充は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)に対する明らかな死滅作用を有した。Lb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)2z及びLb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)亜種ブルガリクス(bulgaricus)APC2493は、水の補充と同じ作用を有した(ボンフェローニ事後検定、それぞれp=1及びp=0.060)。
【0116】
[00123] LLL及びLb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1bの両方について、上清及び全製剤(上清及び細胞を含有する)は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の増殖を等しく刺激したが(図2G;ANOVA;F9,20=113.988、p<0.0005;ボンフェローニ事後検定、p≧0.514)、LACTEOL(登録商標)と同じレベルではなかった(ボンフェローニ事後検定、p≦0.039)。LLL細胞(Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1b細胞ではないが)並びにLLL及びLb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1bの非透析成分は、同等の中間のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖刺激を示した(互いに比較したボンフェローニ事後検定、p=1、水及びLACTEOL(登録商標)と比較してp≦0.036)。
【0117】
ビフィズス菌の増殖に対する市販のプロバイオティクス製剤の作用
[00124] 市販の製品とのインキュベーション前に、条件間で差はなかった(ANOVA;F5、12=0.627、p=0.683)。24時間のインキュベーション後、ビフィズス菌数は、有意に異なった(ANOVA;F5,12=574.535、p<0.0005)。カルチュレルの補充により、ビフィズス菌の回復が防がれた(互いに比較したボンフェローニ事後検定、p<0.0005)。エンテロゲルミナ及びバイオガイアの両方は、ビフィズス菌数に影響せず、水と同等の菌数であった(水と比較したボンフェローニ事後検定、それぞれp=0.192及びp=0.242)。最後に、カルチュレルは、LLLと同等のレベルにビフィズス菌の増殖を刺激した(水と比較したボンフェローニ事後検定、p<0.0005;低ラクトースLACTEOL(登録商標)と比較したボンフェローニ事後検定、p=1)(図3A)。24時間にわたり、市販の製品:カルチュレル(ウィルコクソン検定、p=0.109)、エンテロゲルミナ(t=1.941、p=0.192)、バイオガイア(t=0.595、p=0.612)及びウルトラリヴレ(t=-0.253、p=0.824)を構成する微生物の数は、変化しなかった(図3B)。
【0118】
LACTEOL(登録商標)製剤の精製
SPEC18精製
[00125] C18カラムに対して最適化精製プロトコルを用いて半量LACTEOL(登録商標)上清を処理することにより、得られた画分のビフィズス菌CFU数の差が生じた(図4A;ANOVA、F5,12=117.546、p<0.0005)。フロースルー(ボンフェローニ事後検定、p=1)を除いて、すべての画分が水の対照と比べて有意な差を示した(ボンフェローニ事後検定、p<0.0005)。洗浄液及びプールされた画分は、半量LACTEOL(登録商標)上清と比較して差を示さず(ボンフェローニ事後検定、それぞれp=1及びp=0.066)、活性画分が洗浄液画分中に存在することが示された。半量Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1b(図4B;ANOVA、F5,12=110.087、p<0.0005;ボンフェローニ事後検定、p=0.053)及び半量Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249(図4B;ANOVA、F5,12=57.473、p<0.0005;ボンフェローニ事後検定、p=1)の両方のC18精製からの洗浄液画分は、半量LLL上清(及びそれ自体の半量上清)と同じレベルのビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖刺激を示したのに対して、フロー及び溶離画分は、増殖刺激を示さなかった。Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1bの全量洗浄液画分(半量Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1bの2倍濃度の洗浄液画分)を試験した場合、本発明者らは、LLL(図4C;ANOVA、F15,32=189.939、p<0.0005;ボンフェローニ事後検定、p=1)及び半量Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1b(ボンフェローニ事後検定、p=0.700)上清と同じビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖刺激を確認した。半量Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249上清は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖を刺激したが(全量又は半量LLL及びLb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249のレベルにではないが)、全量Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249上清は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖(水と比較したボンフェローニ事後検定、それぞれp<0.0005及びp=1)を刺激せず、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249上清中の濃度依存性ビフィドスタティック化合物の存在を意味する。しかしながら、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249の全量洗浄液画分(半量Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249の2倍濃縮洗浄液画分)の場合、同じビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖刺激が半量LLL上清と同様に見られ(ボンフェローニ事後検定、p=1)、ビフィドスタティック化合物がC18精製プロセス中に少なくとも部分的に除去されることが示唆される。
【0119】
硫酸アンモニウム沈殿
[00126] ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の24時間増殖後の菌数の差が確認された(図5;独立した試料のクラスカル・ウォリス検定、χ(23)=69.998、p<0.0005)。硫酸アンモニウム沈殿物のC18浄化からの洗浄液1の画分は、一貫して、最も多いビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)菌数を与えた。硫酸アンモニウム濃度のそれぞれの段階的増加により、LLL及び水と同等のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖の刺激を示す製剤が得られた。
【0120】
LACTEOL(登録商標)及びその画分のHPLC分析
[00127] 2つの製造元の株のLACTEOL(登録商標)、LLL及び上清の紫外線吸収プロファイルから、製剤の非常に多様な組成が確認された。C18又はSI1カラムのいずれかを用いたSPE精製により、ビフィズス菌の増殖に影響を及ぼさない大きい割合の化合物を除去し、その結果、23分あたりでシンプルな紫外線吸収ピークが生じた(図6)。
【0121】
[00128] 濃縮後、C18精製された半量LACTEOL(登録商標)を用いた複数のHPLC実行中に回収された画分がビフィドジェニックアッセイにおいて試験された。画分52は、より高いビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)数を有したことから、有望な結果を示した。しかしながら、これは、ネガティブ対照(濃縮HPLC溶媒)を用いた1回反復であり、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)レベルの低減を示した(図7)。
【0122】
[00129] MALDI TOF質量分析から、測定試料からのピークではなく、質量分析測定セットアップから得られた顕著なピークを有する、画分51、52及び53の類似のプロファイルが明らかとなった。画分52において、本発明者らは、2500~3000m/zの範囲の質量出現の増加を確認し、不確定分子の存在が示された。5237.08m/zでの単一ピークが画分52に存在するが、隣接画分には存在しなかった(図8)。
【0123】
ビフィズス菌の増殖に対するLACTEOL(登録商標)様製剤の濃度依存性作用
[00130] LACTEOL(登録商標)様製剤の上清を試験した場合、差が確認された(図9A;ANOVA;F15,32=189.939、p<0.0005)。全量Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249製剤の上清は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖を刺激しなかったのに対して(水と比較したボンフェローニ事後検定、p=1)、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1及びLLLの全量(LLLと比較したボンフェローニ事後検定、p<0.0005、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1bと比較してp=0.024)並びに半量上清(1/2LLL上清と比較したボンフェローニ事後検定、p=0.009、1/2Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1b上清と比較してp<0.0005)のレベルにではないが、その半分の濃度は、増殖を刺激した(水と比較したボンフェローニ事後検定、p<0.0005)。上清及び細胞の両方を含有する製剤を使用した場合、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の24時間増殖に対する濃度依存的作用も確認された(図9B;ANOVA;F12,26=120.838、p<0.0005)。Lb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)APC2421、Lb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)APC2516及びLb.ロイテリ(Lb. reuteri)APC2482の全濃度は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の24時間増殖を刺激することもできず(水と比較したボンフェローニ事後検定、それぞれp=1、p=0.912及びp=1)、しかしながら、その半分の濃度は、LLLについて確認されたレベル(LLLと比較したボンフェローニ事後検定、すべてp<0.0005)ではないが、増殖を刺激した(水と比較したボンフェローニ事後検定、すべてp<0.0005)。対照的に、LLLの半分の濃度は、全濃度LLLと比較して少ない刺激を生じさせ(ボンフェローニ事後検定、p=0.003)、Lb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)2z(ボンフェローニ事後検定、p=0.104)及びLb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)亜種ブルガリクス(bulgaricus)APC2493(ボンフェローニ事後検定、p=0.112)の半濃度及び全濃度は、濃度に依存しない同等の刺激を示した。
【0124】
ビフィズス菌に対するMRWの作用
[00131] 10倍希釈培地において、濃縮MRS(cMRS;LACTEOL(登録商標)の重量当量)は、LACTEOL(登録商標)と同等の程度にビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖を刺激し(図10A;ANOVA;F3,8=12.078、p=0.002;ボンフェローニ事後検定、p=1)、LLL及びその上清(ボンフェローニ事後検定、p≦0.003)よりも優れていた。半濃縮MRS(1/2cMRS)のC18画分を補充した後、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)数の差があった(図10B;独立した試料クラスカル・ウォリス検定;クラスカル・ウォリス検定、χ(5)=15.222、p=0.009)。1/2cMRSに続いて、1/2cMRS C18洗浄液画分は、数値的に最も高い数を有する。
【0125】
結論
[00132] 実施例1において、LACTEOL(登録商標)の補充により、24時間のヒト糞便発酵中にビフィズス菌の相対的及び絶対的存在量の両方が増加することが実証された。実施例2から、LACTEOL(登録商標)がビフィズス菌の増殖を刺激するという発酵槽データが確認される。例えば、乳児及び成人の個体から単離された試験ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)株の71%(7つのうちの5つ)の増殖刺激によってこれが説明される。LACTEOL(登録商標)活性は、最も高い活性が34mg/mlで見られる用量依存性であり、100分の1の用量(0.34mg/ml)では効果がない。
【0126】
[00133] プレバイオティクスは、一般に、ビフィズス菌の増殖を刺激するために使用され、特にラクツロース及びGOSなどのラクトース関連化合物並びにイヌリン及びFOがビフィズス菌の増殖の刺激について知られている。しかしながら、LACTEOL(登録商標)(LLL)の低ラクトースバージョンがLACTEOL(登録商標)と同等の活性を示したことから、ビフィズス菌の刺激は、LACTEOL(登録商標)に存在するラクトースに起因しなかった。
【0127】
[00134] ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖を刺激する能力は、プロバイオティクス製剤の中で一般的な特性ではない。その1日量での3種の市販の細菌産物は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖を刺激しなかった。これらは、B.クラウジイ(B. clausii)の芽胞、Lb.ロイテリ(Lb. reuteri)DSM17938及びLb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)GGの細胞を含んだ。興味深いことに、Lb.ラムノサス(Lb. rhamnosus)GG製剤の補充は、イヌリンを含有し、この既知のプレバイオティクスの存在にもかかわらず、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)細胞を完全に不活性化した。対照的に、S.ブラウディ(S. boulardii)CNCMI-745を含有する酵母ベースの製剤は、LACTEOL(登録商標)と類似の様式でビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖を刺激した。
【0128】
[00135] LACTEOL(登録商標)上清及び細胞画分の両方は、ビフィズス菌の増殖の同等の刺激を示した。しかしながら、LLL細胞及びLb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1b細胞は、等しい刺激を示さず、ラクトース添加及び/又は噴霧乾燥/凍結乾燥プロセスが細胞画分の活性に影響を及ぼすことが示唆された。
【0129】
[00136] LACTEOL(登録商標)製造に使用される2種類の株の中では、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)のみがLACTEOL(登録商標)と同等のビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)増殖の刺激を示し、Lb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)は、増殖の増強を示さなかったか又は極めてわずかな増殖の増強を示した。更に、試験された乳酸桿菌(Lactobacilli)によって産生された他の5つの全量製剤のいずれも、LACTEOL(登録商標)レベルまでビフィズス菌の増殖を刺激することができなかった。意外なことに、これらの製剤の半濃度は、ビフィズス菌の増殖に対してより多様な影響を有した。半量製剤のうちの4つは、LACTEOL(登録商標)のレベルにではないが、刺激作用を示した(Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249、Lb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)APC2421、Lb.デルブルエッキイー(Lb. delbrueckii)APC2516、Lb.ロイテリ(Lb. reuteri)APC2482)。これは、これらの4種の株の全量製剤が抑制的であるのに対して、半量製剤が刺激作用を有する点で別の意外な結果である。
【0130】
[00137] 7つの分離実験を行って、ビフィズス菌の増殖の刺激を担う1種又は複数の化合物を同定した。最初に、LACTEOL(登録商標)活性を担う化合物は、水性マトリックスから疎水性又は極性有機検体を抽出するために通常使用されるC18カラムを用いて部分的に精製できることが実証された。活性化合物は、5%メタノール洗浄液でカラムから遊離され、これらの化合物がカラム吸着剤にごく弱く結合されたことが示された。一般に、LACTEOL(登録商標)、LLL及びLb.ファーメンタム(Lb. fermentum)1bの半量製剤の再構成洗浄液画分は、それらの非精製製剤と同程度の活性であり、はるかによりきれいなクロマトグラムを有した。洗浄液画分が全濃度に濃縮された場合、その活性は、LACTEOL(登録商標)上清に等しく、抑制的化合物がいくらか除去されたことが再度実証された。興味深いことに、Lb.ファーメンタム(Lb. fermentum)APC249のC18精製により、不純物だけでなく、この株によって生成されたビフィドスタティック化合物も除去された。第2に、サイズ排除カラムから回収された濃縮画分をビフィドジェニックアッセイにおいて試験し、画分52が増殖刺激性化合物を包含する可能性を有すると同時に、画分52のMALDI TOF質量分析によって潜在的な興味深いピークが生じたことが明らかとなった。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図8-5】
図9A
図9B
図10A
図10B
【配列表】
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【国際調査報告】