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特表2023-523223ヘテロ環化合物、それを含む有機発光素子、その製造方法、および有機物層用組成物
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  • 特表-ヘテロ環化合物、それを含む有機発光素子、その製造方法、および有機物層用組成物 図1
  • 特表-ヘテロ環化合物、それを含む有機発光素子、その製造方法、および有機物層用組成物 図2
  • 特表-ヘテロ環化合物、それを含む有機発光素子、その製造方法、および有機物層用組成物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】ヘテロ環化合物、それを含む有機発光素子、その製造方法、および有機物層用組成物
(51)【国際特許分類】
   C07D 403/14 20060101AFI20230526BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20230526BHJP
   C07D 409/14 20060101ALI20230526BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20230526BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20230526BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20230526BHJP
   H10K 50/18 20230101ALI20230526BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20230526BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20230526BHJP
   H10K 71/00 20230101ALI20230526BHJP
【FI】
C07D403/14 CSP
C07D405/14
C07D409/14
H10K50/12
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/18
H10K85/60
H10K71/16
H10K71/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564003
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 KR2021004764
(87)【国際公開番号】W WO2021215742
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0048060
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513298491
【氏名又は名称】エルティー・マテリアルズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LT Materials Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】113-19, Dangha-Ro, Namsa-Myeon, Cheoin-Gu, Yongin-si, Gyeonggi-do 17118, korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ヨン-ソク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ゴン-ユ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン-ジュン
【テーマコード(参考)】
3K107
4C063
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107CC24
3K107DD59
3K107DD66
3K107DD68
3K107DD69
3K107DD72
3K107DD75
3K107FF14
3K107GG04
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB01
4C063BB02
4C063BB06
4C063CC43
4C063CC76
4C063CC94
4C063DD08
4C063DD43
4C063EE10
(57)【要約】
本明細書は、化学式1で表されるヘテロ環化合物、それを含む有機発光素子、その製造方法および有機物層用組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表されるヘテロ環化合物:
【化18】

前記化学式1において、
Ar1~Ar4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
L1は、直接結合;置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Z1は、ハロゲン;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC10~C60のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’;および置換または非置換のアミン基からなる群から選択され、
前記Z1が置換または非置換され、プロトン(proton)数が9以下の二環または四環のC15~C60のアリール基である場合、前記L1は置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
前記R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
aは1~4の整数であり、
bは1~6の整数であり、
aおよびbがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の置換基は同一または異なる。
【請求項2】
前記化学式1は、下記化学式3~化学式8のいずれかで表されるものである、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化19】



前記化学式3~8において、
Ar1~Ar4、L1およびaの定義は、前記化学式1における定義と同一であり、
XはO;S;またはC(R21)(R22)であり、
R1~R5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
R6~R9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基であり、
Z11は-P(=O)RR’;-SiRR’R’’;または置換または非置換のアミン基であり、
Z12およびZ13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基であり、
R、R’およびR’’は、前記化学式1における定義と同一であり、
前記R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合して、置換または非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換または非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
a1~d1はそれぞれ1~4の整数であり、
e1は1~5の整数であり、
a1~e1がそれぞれ2以上である場合、各括弧内の置換基は同一または異なり、
r1およびr2はそれぞれ0または1の整数であり、
前記r1+r2<2である。
【請求項3】
置換または非置換とは、重水素;ハロゲン;シアノ基;C1~C60の直鎖または分枝鎖のアルキル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルキニル;C3~C60の単環または多環のシクロアルキル;C2~C60の単環または多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環または多環のアリール;C2~C60の単環または多環のヘテロアリール;-SiRR’R’’;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環または多環のアリールアミン;およびC2~C60の単環または多環のヘテロアリールアミンからなる群から選択された1以上の置換基で置換または非置換されるか、前記例示の置換基から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換または非置換されたことを意味し、
前記R、R’およびR’’の定義は、前記化学式1における定義と同じである、請求項1に記載のヘテロ環化合物。
【請求項4】
前記化学式1は、下記の化学式9~化学式14のいずれかで表される、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化20】


前記化学式9~14において、
L1、Z1、aおよびbの定義は、前記化学式1における定義と同一であり、
Ar11~Ar14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【請求項5】
前記の化学式1は、下記化合物のいずれかで表される、請求項1に記載のヘテロ環化合物:
【化21】



















【請求項6】
第1の電極;前記第1の電極と対向して設けられた第2の電極;および前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子。
【請求項7】
前記ヘテロ環化合物を含む有機物層は、下記の化学式2で表されるヘテロ環化合物をさらに含む、請求項6に記載の有機発光素子。
【化22】

前記化学式2において、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC2~C60のアルケニル基;置換または非置換のC2~C60のアルキニル基;置換または非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-Si(R10)(R11)(R12);-P(=O)(R10)(R11);および置換または非置換のアミン基からなる群から選択されるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合して、置換または非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換または非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
R10、R11、およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
rおよびsはそれぞれ0~7の整数であり、
rおよびsがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の置換基は同一または異なる。
【請求項8】
前記化学式2は、下記の化学式2-1または化学式2-2で表される、請求項7に記載の有機発光素子:
【化23】

前記化学式2-1および2-2において、
Rc、Rd、rおよびsの定義は、前記化学式2における定義と同一であり、
Ra1、Rb1およびRc1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C60のアリール基であり、
R1’およびR2’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択され、
L1’は、直接結合;または置換または非置換のC6~C60のアリーレン基であり、
Ar1’は、置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換され、SおよびOの少なくとも1つを含むC2~C60のヘテロアリール基であり、
m’は0~4の整数であり、
n’は0~2の整数であり、
m’が2以上であるか、n’が2である場合、各括弧内の置換基は同一または異なる。
【請求項9】
前記化学式2で表されるヘテロ環化合物は、下記の化合物から選択されるいずれかである、請求項7に記載の有機発光素子:
【化24】









【請求項10】
前記RcおよびRdは水素である、請求項7に記載の有機発光素子。
【請求項11】
前記有機物層は発光層を含み、前記発光層は前記ヘテロ環化合物を含む、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項12】
前記有機物層は発光層を含み、前記発光層はホスト物質を含み、前記ホスト物質は前記ヘテロ環化合物を含む、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項13】
前記有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層および正孔阻止層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含む、請求項6に記載の有機発光素子。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項に記載のヘテロ環化合物および下記の化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子の有機物層用組成物:
【化25】

前記化学式2において、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC2~C60のアルケニル基;置換または非置換のC2~C60のアルキニル基;置換または非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-Si(R10)(R11)(R12);-P(=O)(R10)(R11);および置換または非置換のアミン基からなる群から選択されるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合して、置換または非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換または非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
R10、R11、およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
rおよびsはそれぞれ0~7の整数であり、
rおよびsがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の置換基は同一または異なる。
【請求項15】
前記組成物内の前記ヘテロ環化合物:前記化学式2で表されるヘテロ環化合物の重量比は1:10~10:1である、請求項14に記載の有機発光素子の有機物層用組成物。
【請求項16】
基板を準備する段階;
前記基板上に第1の電極を形成する段階;
前記第1の電極上に1層以上の有機物層を形成する段階;および
前記有機物層上に第2の電極を形成する段階を含み、
前記有機物層を形成する段階は、請求項14に記載の有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する段階を含むものである、有機発光素子の製造方法。
【請求項17】
前記有機物層を形成する段階は、前記ヘテロ環化合物および前記化学式2のヘテロ環化合物を予備混合(pre-mixed)して熱真空蒸着方法を用いて形成するものである、請求項16に記載の有機発光素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、ヘテロ環化合物、それを含む有機発光素子、その製造方法、および有機物層用組成物に関する。
本明細書は、2020年4月21日付にて韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0048060号の出願日の利益を主張し、その内容すべては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
電界発光素子は、自発光型表示素子の一種であり、視野角が広く、コントラストに優れるだけでなく、応答速度が速いという利点を有している。
有機発光素子は、2つの電極の間に有機薄膜を配置した構造を有している。このような構造の有機発光素子に電圧が印加されると、2つの電極から注入された電子と正孔が有機薄膜で結合して対を成して消滅しながら光を放つことになる。前記有機薄膜は、必要に応じて単層または多層で構成されることができる。
【0003】
有機薄膜の材料は、必要に応じて発光機能を有することができる。例えば、有機薄膜材料としては、それ自体が単独で発光層を構成することのできる化合物が用いられてもよいし、またはホスト-ドーパント系発光層のホストまたはドーパントの役割を果せる化合物が用いられてもよい。他にも、有機薄膜の材料として、正孔注入、正孔輸送、電子遮断、正孔遮断、電子輸送、電子注入などの役割を果たすことのできる化合物が用いられてもよい。
有機発光素子の性能、寿命または効率を向上させるために、有機薄膜の材料の開発が絶えず求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ヘテロ環化合物、それを含む有機発光素子、その製造方法、および有機物層用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の一実施形態において、下記化学式1で表されるヘテロ環化合物が提供される。
【化1】

前記化学式1において、
Ar1~Ar4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
L1は、直接結合;置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
Z1は、ハロゲン;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC10~C60のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’;および置換または非置換のアミン基からなる群から選択され、
前記Z1が置換または非置換され、プロトン(proton)数が9以下の二環または四環のC15~C60のアリール基である場合、前記L1は置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であり、
前記R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
aは1~4の整数であり、
bは1~6の整数であり、
aおよびbがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の置換基は同一または異なる。
また、本出願の一実施形態において、第1の電極;前記第1の電極と対向して設けられた第2の電極;および前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子を提供する。
【0006】
なお、本出願の一実施形態は、前記化学式1のヘテロ環化合物を含む有機物層は、下記化学式2で表されるヘテロ環化合物をさらに含むものである、有機発光素子を提供する。
【化2】

前記化学式2において、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC2~C60のアルケニル基;置換または非置換のC2~C60のアルキニル基;置換または非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-Si(R10)(R11)(R12);-P(=O)(R10)(R11);および置換または非置換のアミン基からなる群から選択されるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合して、置換または非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換または非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
R10、R11、およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
rおよびsはそれぞれ0~7の整数であり、
rおよびsがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の置換基は同一または異なる。
【0007】
さらに、本出願の他の実施形態は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【0008】
最後に、本出願の一実施形態は、基板を準備する段階;前記基板上に第1の電極を形成する段階;前記第1の電極上に1層以上の有機物層を形成する段階;および前記有機物層上に第2の電極を形成する段階を含み、前記有機物層を形成する段階は、本出願の一実施形態による有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物層を形成する段階を含むものである、有機発光素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に記載の化合物は、有機発光素子の有機物層材料として用いられてもよい。前記化合物は、有機発光素子において正孔注入材料、正孔輸送材料、発光材料、電子輸送材料、電子注入材料などの役割を果たすことができる。特に、前記化合物が有機発光素子の発光層材料として用いられることができる。
【0010】
具体的に、前記化合物は単独で発光材料として用いられてもよく、発光層のホスト材料またはドーパント材料として使用されてもよい。前記化学式1で表される化合物を有機物層に用いる場合、素子の駆動電圧を下げ、光効率を向上させ、化合物の熱的安定性によって素子の寿命特性を向上させることができる。
【0011】
また、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、-(L1)a-(Z1)bの置換基を有することにより、LUMOオービタルがコア構造であるトリアジン基と-(L1)a-(Z1)bの置換基まで十分長く非偏在化されることにより、電子を効果的に安定化させることができ、これによって、これを含む有機発光素子は寿命特性に優れた特徴を有することになる。
【0012】
特に、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物は、同時に有機発光素子の発光層の材料として用いられてもよい。この場合、素子の駆動電圧を下げ、光効率を向上させ、化合物の熱的安定性によって、素子の寿命特性を特に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本出願の一実施形態による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図2図2は、本出願の一実施形態による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
図3図3は、本出願の一実施形態による有機発光素子の積層構造を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本出願について詳細に説明する。
本明細書において、前記「置換」という用語は、化合物の炭素原子に結合された水素原子が他の置換基に変わることを意味し、置換される位置は、水素原子が置換される位置、すなわち、置換基が置換可能な位置であれば限定されず、2以上置換される場合、2以上の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
【0015】
本明細書において、「置換または非置換」とは、C1~C60の直鎖または分枝鎖のアルキル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルキニル;C3~C60の単環または多環のシクロアルキル;C2~C60の単環または多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環または多環のアリール;C2~C60の単環または多環のヘテロアリール;-SiRR’R’’;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環または多環のアリールアミン;およびC2~C60の単環または多環のヘテロアリールアミンからなる群から選択された1以上の置換基で置換または非置換されるか、前記例示の置換基から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換または非置換されたことを意味し、
前記R、R’およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0016】
本明細書において、「置換または非置換」とは、重水素;ハロゲン;シアノ基;C1~C60の直鎖または分枝鎖のアルキル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルケニル;C2~C60の直鎖または分岐鎖のアルキニル;C3~C60の単環または多環のシクロアルキル;C2~C60の単環または多環のヘテロシクロアルキル;C6~C60の単環または多環のアリール;C2~C60の単環または多環のヘテロアリール;-SiRR’R’’;-P(=O)RR’;C1~C20のアルキルアミン;C6~C60の単環または多環のアリールアミン;およびC2~C60の単環または多環のヘテロアリールアミンからなる群から選択された1以上の置換基で置換または非置換されるか、前記例示の置換基から選択された2以上の置換基が連結された置換基で置換または非置換されたことを意味し、
【0017】
前記R、R’およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0018】
本明細書において、「プロトン数」は、特定の化合物が置換基を有していてもよい数を意味し、具体的には、前記プロトン数は水素の数を意味してもよい。例えば、非置換のベンゼンの場合、プロトン数5で表すことができ、非置換のナフチル基の場合、プロトン数7個で表すことができ、フェニル基で置換されたナフチル基の場合、プロトン数6個で表すことができ、非置換のビフェニル基の場合、プロトン数9個で表すことができる。
【0019】
本明細書において、「化学式または化合物構造に置換基が示されない場合」とは、炭素原子に水素原子が結合されたことを意味する。ただし、重水素(H、Deuterium)は水素の同位元素であるため、一部の水素原子は重水素であってもよい。
【0020】
本出願の一実施形態において、「化学式または化合物構造に置換基が示されていない場合」は、置換基に来ることができる位置が全て水素または重水素であることを意味することができる。すなわち、重水素の場合、水素の同位元素であり、一部の水素原子は同位元素である重水素であってもよく、このとき重水素の含量は0%~100%であってもよい。
【0021】
本出願の一実施形態において、「化学式または化合物構造に置換基が表示されていない場合」において、重水素の含量が0%、水素の含量が100%、置換基はいずれも水素など重水素を明示的に排除しない場合には、水素と重水素は化合物に混在されて使用されてもよい。
【0022】
本出願の一実施形態において、重水素は、水素の同位元素(isotope)の一つであり、プロトン(proton)1個と中性子(neutron)1個からなる重陽子(deuteron)を原子核(nucleus)として有する元素であり、水素-2で表すことができ、元素記号はDまたはHと書くこともできる。
【0023】
本出願の一実施形態において、同位元素は、原子番号(atomic number、Z)は同じであるが、質量数(mass number、A)が異なる原子を意味する同位元素は、同数のプロトン(proton)を有するが、中性子(neutron)の数が異なる元素としても解釈できる。
本出願の一実施態様において、特定置換基の含量T%の意味は、基本となる化合物が有し得る置換基の総数をT1と定義し、そのうち特定の置換基の数をT2と定義する場合、T2/T1×100=T%と定義することができる。
【0024】
すなわち、一例において、
【化3】

で表されるフェニル基において重水素の含量20%というのは、フェニル基が有し得る置換基の総個数は5(式中T1)個であり、そのうち重水素の個数が1(式中T2)である場合、20%と表示されることができる。すなわち、フェニル基において重水素の含量が20%であることは、下記構造式で表され得る。
【化4】
【0025】
また、本出願の一実施形態において、「重水素の含量が0%のフェニル基」の場合、重水素原子が含まれない、すなわち水素原子5個を有するフェニル基を意味してもよい。
【0026】
本明細書において、前記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であってもよい。
【0027】
本明細書において、前記アルキル基は、炭素数1~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキル基の炭素数は1~60、具体的には1~40、より具体的には1~20であってもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、ヘプチル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル基、2,2-ジメチルヘプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、前記アルケニル基は、C2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルケニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。具体例としては、ビニル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書において、前記アルキニル基は、C2~60の直鎖または分岐鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。前記アルキニル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、より具体的には2~20であってもよい。
【0030】
本明細書において、アルコキシ基は、直鎖、分岐鎖または環鎖であってもよい。アルコキシ基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~20であることが好ましい。具体的には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、3,3-ジメチルブチルオキシ、2-エチルブチルオキシ、n-オクチルオキシ、n-ノニルオキシ、n-デシルオキシ、ベンジルオキシ、p-メチルベンジルオキシなどがあり得るが、これに限定されない。
【0031】
本明細書において、前記シクロアルキル基は、炭素数3~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記シクロアルキル基の炭素数は3~60、具体的には3~40、さらに具体的には5~20であってもよい。具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書において、前記ヘテロシクロアルキル基は、ヘテロ原子としてO、S、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えばシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記ヘテロシクロアルキル基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~20であってもよい。
【0033】
本明細書において、前記アリール基は、炭素数6~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、多環とは、アリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、アリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えばシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基などであってもよい。前記アリール基は、スピロ基を含む。前記アリール基の炭素数は6~60、具体的には6~40、より具体的には6~25であってもよい。前記アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基(terphenyl)、クォーター(quarter)フェニル基、クインク(quinque)フェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、フェリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、フェナレニル基、ピレニル基、テトラセニル基、ペンタセニル基、フルオレニル基、インデニル基、アセナフチレニル基、ベンゾフルオレニル基、スピロビフルオレニル基、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル基、これらの縮合環基などが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
【0034】
本明細書において、ホスフィンオキシド基は-P(=O)R101102で表され、R101およびR102は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基の少なくとも1つからなる置換基であってもよい。具体的には、アリール基で置換されてもよく、前記アリール基は前述の例示が適用されてもよい。例えば、ホスフィンオキシド基は、ジフェニルホスフィンオキシド基、ジナフチルホスフィンオキシドなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
本明細書において、シリル基はSiを含み、前記Si原子がラジカルとして直接連結される置換基であり、-SiR104105106で表され、R104~R106は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうち少なくとも1つからなる置換基であってもよい。シリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などが挙げられるが、これに限定されない。
【0036】
本明細書において、前記フルオレニル基は置換されていてもよく、隣接した置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
【0037】
前記フルオレニル基が置換されている場合、
【化5】

などになり得るが、これに限定されない。
【0038】
本明細書において、前記ヘテロアリール基は、ヘテロ原子としてS、O、Se、NまたはSiを含み、炭素数2~60の単環または多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてもよい。ここで、前記多環とは、ヘテロアリール基が他の環基と直接連結または縮合された基を意味する。ここで、他の環基とは、ヘテロアリール基であってもよいが、他の種類の環基、例えばシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基などであってもよい。前記ヘテロアリール基の炭素数は2~60、具体的には2~40、さらに具体的には3~25であってもよい。前記ヘテロアリール基の具体例としては、ピリジル基、ピロリル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、フラニル基、チオフェン基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、トリアゾリル基、フラザニル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ジチアゾリル基、テトラゾリル基、ピラニル基、チオピラニル基、ジアジニル基、オキサジニル基、チアジニル基、ジオキシニル基、トリアジニル基、テトラジニル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリニル基、イソキナゾリニル基、キノゾリニル基、ナフチリジル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾピリジニル基、ジアザナフタレニル基、トリアザインデン基、インドリル基、インドリジニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ジベンゾカルバゾリル基、フェナジニル基、ジベンゾシロール基、スピロビ(ジベンゾシロール)、ジヒドロフェナジニル基、フェノキサジニル基、フェナントリジル基、イミダゾピリジニル基、チエニル基、インドロ[2,3-a]カルバゾリル基、インドロ[2,3-b]カルバゾリル基、インドリニル基、10,11-ジヒドロ-ジベンゾ[b,f]アゼピン基、9,10-ジヒドロアクリジニル基、フェナントラジニル基、フェノチアチアジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、ベンゾ[c][1,2,5]チアジアゾリル基、5,10-ジヒドロジベンゾ[b,e][1,4]アザシリニル、ピラゾロ[1,5-c]キナゾリニル基、ピリド[1,2-b]インダゾリル基、ピリド[1,2-a]イミダゾ[1,2-e]インドリニル基、5,11-ジヒドロインデノ[1,2-b]]カルバゾリル基などが挙げられるが、これだけに限定されるものではない。
【0039】
本明細書において、前記アミン基は-NR107108で表され、R107およびR108は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;アルキル基;アルケニル基;アルコキシ基;シクロアルキル基;アリール基;およびヘテロ環基のうち少なくとも1つからなる置換基であってもよい。前記アミン基は、-NH;モノアルキルアミン基;モノアリールアミン基;モノヘテロアリールアミン基;ジアルキルアミン基;ジアリールアミン基;ジヘテロアリールアミン基;アルキルアリールアミン基;アルキルヘテロアリールアミン基;およびアリールヘテロアリールアミン基からなる群から選択することができ、炭素数は特に限定されないが、1~30であることが好ましい。前記アミン基の具体例としては、メチルアミン基、ジメチルアミン基、エチルアミン基、ジエチルアミン基、フェニルアミン基、ナフチルアミン基、ビフェニルアミン基、ジビフェニルアミン基、アントラセニルアミン基、9-メチル-アントラセニルアミン基、ジフェニルアミン基、フェニルナフチルアミン基、ジトリルアミン基、フェニルトリルアミン基、トリフェニルアミン基、ビフェニルナフチルアミン基、フェニルビフェニルアミン基、ビフェニルフルオレニルアミン基、フェニルトリフェニレニルアミン基、ビフェニルトリフェニレニルアミン基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
本明細書において、アリーレン基は、アリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価基を意味する。これらはそれぞれ2価基であることを除いては、前述のアリール基の説明が適用されてもよい。また、ヘテロアリーレン基は、ヘテロアリール基に結合位置が2つあるもの、すなわち2価基を意味する。これらはそれぞれ2価基であることを除いては、前述のヘテロアリール基の説明を適用することができる。
【0041】
本明細書において、「隣接した」基は、該当置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近く位置している置換基、または当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味し得る。例えば、ベンゼン環においてオルソ(ortho)位置で置換された2つの置換基および脂肪族環において、同じ炭素に置換された2つの置換基は、互いに「隣接した」基と解釈することができる。
【0042】
本出願の一実施形態において、前記化学式1で表されるヘテロ環化学式化合物が提供される。
【0043】
前記化学式1において、前記Z1が置換または非置換され、プロトン(proton)数が9以下の二環または四環のC15~C60のアリール基である場合、前記L1は置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0044】
すなわち、前記化学式1において、前記Z1が置換または非置換され、プロトン(proton)数が9以下の二環または四環のC15~C60のアリール基である場合、リンカー(L1)を介して連結されることを特徴とし、前記置換または非置換され、プロトン(proton)数が9以下である二環または四環のC15~C60のアリール基は、ビフェニル基またはピレニル基であってもよい。
【0045】
本出願において、置換または非置換され、プロトン(proton)数が9以下である二環または四環のC15~C60のアリール基に属するピレニル基は、トリアジン基に直接結合する場合、低いTlevel(三重項状態のエネルギー準位値)により、緑色dopantから放出される光エネルギー(約2.4eV)を再び吸収し、素子の効率および寿命が低下することがある。したがって、この場合、リンカー(L1)を介してトリアジンと連結されることによって、素子の効率および寿命を増加させることができる。
【0046】
すなわち、前記化学式1において、前記Z1がビフェニル基またはピレニル基である場合、前記L1は置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0047】
本出願の一実施形態において、前記化学式1は、下記化学式3~化学式8のいずれかで表され得る。
【化6】



前記化学式3~8において、
Ar1~Ar4、L1およびaの定義は、前記化学式1における定義と同一であり、
XはO;S;またはC(R21)(R22)であり、
R1~R5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
R6~R9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基であり、
Z11は-P(=O)RR’;-SiRR’R’’;または置換または非置換のアミン基であり、
Z12およびZ13は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基であり、
R、R’およびR’’は、前記化学式1における定義と同一であり、
前記R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合して、置換または非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換または非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
a1~d1はそれぞれ1~4の整数であり、
e1は1~5の整数であり、
a1~e1がそれぞれ2以上である場合、各括弧内の置換基は同一または異なり、
r1およびr2はそれぞれ0または1の整数であり、
前記r1+r2<2である。
【0048】
特に本出願に係るヘテロ環化合物は、前記化学式3~8のように、十分長い置換基を有するか、分子量の大きい置換基を有することでトリアジンのコアから前記の置換基までLUMOが非偏在化することによって、電子を効果的に安定化することができ、これによって、これを含む有機発光素子は寿命特性に優れた特徴を有することになる。
【0049】
また、コア構造であるトリアジンの末端置換基の種類によってダイポールモーメント(dipole moment)の差があり、分子の移動度を調節することができる。これは素子のチャージバランス(charge balance)に応じて適切なトリアジン末端置換基を選択することができるようになり、末端置換基によって分子のrigidityに影響を与え、昇華温度を調節することができ、これを含む有機発光素子は寿命特性に優れた特徴を有することになる。すなわち、高すぎる昇華温度は、分子が昇華する前に分子の劣化を引き起こし、素子の効率および寿命を阻害する。
【0050】
本出願の一実施形態において、前記化学式1は、下記化学式9~化学式14のいずれかで表され得る。
【化7】


前記化学式9~14において、
L1、Z1、aおよびbの定義は、前記化学式1における定義と同一であり、
Ar11~Ar14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基である。
【0051】
本出願の一実施形態において、Ar1~Ar4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0052】
また他の一実施形態において、Ar1~Ar4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;置換または非置換のC1~C40のアルキル基;置換または非置換のC6~C40のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0053】
また他の一実施形態において、Ar1~Ar4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;あるいは、置換または非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0054】
また他の一実施形態において、Ar1~Ar4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;あるいは、置換または非置換のC6~C20のアリール基であってもよい。
【0055】
また他の一実施形態において、Ar1~Ar4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;あるいは、置換または非置換のC6~C20の単環または多環のアリール基であってもよい。
【0056】
また他の一実施形態において、Ar1~Ar4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;あるいは、置換または非置換のC6~C20の単環のアリール基であってもよい。
【0057】
また他の一実施形態において、Ar1~Ar4は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;またはフェニル基であってもよい。
【0058】
本出願の一実施形態において、Ar11~Ar14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0059】
また他の一実施形態において、Ar11~Ar14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素;あるいは、置換または非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0060】
また他の一実施形態において、Ar11~Ar14は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、重水素;あるいは、置換または非置換のC6~C20の単環のアリール基であってもよい。
【0061】
また他の一実施形態において、Ar11~Ar14は重水素;またはフェニル基であってもよい。
【0062】
本出願の一実施形態において、L1は、直接結合;置換または非置換のC6~C60のアリーレン基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0063】
また他の一実施形態において、L1は、直接結合;置換または非置換のC6~C40のアリーレン基;あるいは、置換または非置換のC2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0064】
また他の一実施形態において、L1は、直接結合;C6~C40のアリーレン基;あるいは、C2~C40のヘテロアリーレン基であってもよい。
【0065】
また他の一実施形態において、L1は、直接結合;あるいは、C6~C40のアリーレン基であってもよい。
【0066】
また他の一実施形態において、L1は、直接結合;あるいは、C6~C40の単環または多環のアリーレン基であってもよい。
【0067】
また他の一実施形態において、L1は、直接結合;フェニレン基あるいはビフェニレン基であってもよい。
【0068】
本出願の一実施形態において、Z1は、ハロゲン;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC10~C60のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基;-P(=O)RR’;-SiRR’R’’;および置換または非置換のアミン基からなる群から選択されてもよい。
【0069】
また他の一実施形態において、Z1は、置換または非置換のC10~C60のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基;-SiRR’R’’からなる群から選択されてもよい。
【0070】
また他の一実施形態において、Z1は、置換または非置換のC10~C40のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C40のヘテロアリール基;-SiRR’R’’からなる群から選択されてもよい。
【0071】
また他の一実施形態において、Z1は、C1~C20のアルキル基またはC6~C20のアリール基で置換または非置換のC10~C40のアリール基;ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C40のヘテロアリール基;および-SiRR’R’’からなる群から選択されてもよい。
【0072】
他の一実施形態において、Z1は、ビフェニル基;C6~C20のアリール基で置換または非置換のターフェニル基;C6~C20のアリール基で置換または非置換のクォーターフェニル基;クインク(quinque)フェニル基;ジメチルフルオレニル基;ジフェニルフルオレニル基;スピロビフルオレニル基;トリフェニレニル基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基、または-SiRR’R’’であってもよい。
【0073】
他の一実施形態において、Z1は、ビフェニル基;ターフェニル基;ジメチルフルオレニル基;ジフェニルフルオレニル基;スピロビフルオレニル基;トリフェニレニル基;ジベンゾフラン基;ジベンゾチオフェン基、または-SiRR’R’’であってもよい。
【0074】
本出願の一実施形態において、XはOであってもよい。
【0075】
本出願の一実施形態において、XはSであってもよい。
【0076】
本出願の一実施形態において、XはC(R21)(R22)であってもよい。
【0077】
本出願の一実施形態において、R1~R5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0078】
また他の一実施形態において、R1~R5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;あるいは、置換または非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0079】
また他の一実施形態において、R1~R5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;あるいは、置換または非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0080】
また他の一実施形態において、R1~R5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;あるいは、置換または非置換のC6~C20のアリール基であってもよい。
【0081】
また他の一実施形態において、R1~R5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;あるいは、C6~C20のアリール基であってもよい。
【0082】
また他の一実施形態において、R1~R5は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;フェニル基;またはビフェニル基であってもよい。
【0083】
他の一実施形態において、前記化学式3のR3は水素であってもよい。
【0084】
また他の一実施形態において、前記化学式4のR4は水素であってもよい。
【0085】
本出願の一実施形態において、R6~R9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0086】
他の一実施形態において、R6~R9は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換または非置換のC1~C40のアルキル基;置換または非置換のC6~C40のアリール基;置換または非置換され、ヘテロ原子としてOまたはSを含むC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0087】
また他の一実施形態において、R6~R9は水素であってもよい。
【0088】
本出願の一実施形態において、Z11は、-P(=O)RR’;-SiRR’R’’;または置換または非置換のアミン基であってもよい。
【0089】
また他の一実施形態において、Z11は、-SiRR’R’’であってもよい。
【0090】
本出願の一実施形態において、前記R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0091】
また他の一実施形態において、前記R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;または置換または非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0092】
他の一実施形態において、前記R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1~C60のアルキル基;またはC6~C60のアリール基であってもよい。
【0093】
また他の一実施形態において、前記R、R’、およびR’’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基;またはフェニル基であってもよい。
【0094】
また他の一実施形態において、前記R、R’、およびR’’はフェニル基であってもよい。
【0095】
本出願の一実施形態において、前記R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合して、置換または非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換または非置換のC2~C60のヘテロ環を形成してもよい。
【0096】
また他の一実施形態において、前記R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C40のアルキル基;あるいは、置換または非置換のC6~C40のアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合して、置換または非置換のC6~C40の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0097】
また他の一実施形態において、前記R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C10のアルキル基;あるいは、置換または非置換のC6~C20のアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合して、置換または非置換のC6~C30の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0098】
また他の一実施形態において、前記R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1~C10のアルキル基;あるいは、C6~C20のアリール基であるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合してC6~C30の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0099】
また他の一実施形態において、前記R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基;あるいは、フェニル基であるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合してフルオレン環を形成してもよい。
【0100】
本出願の一実施形態において、前記R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であるか、前記R21およびR22は互いに結合して、置換または非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換または非置換のC2~C60のヘテロ環を形成してもよい。
【0101】
また他の一実施形態において、前記R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC1~C10のアルキル基;あるいは、置換または非置換のC6~C20のアリール基であるか、前記R21およびR22は互いに結合して置換または非置換のC6~C30の芳香族炭化水素環を形成してもよい。
【0102】
また他の一実施形態において、前記R21およびR22は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、メチル基;あるいは、フェニル基であるか、前記R21およびR22は互いに結合してフルオレン環を形成してもよい。
【0103】
本出願の一実施形態において、前記化学式1は、下記化合物のいずれかで表されるものであるヘテロ環化合物を提供する。
【化8】



















【0104】
また、前記化学式1の構造に様々な置換基を導入することにより、導入された置換基の固有特性を有する化合物を合成してもよい。例えば、有機発光素子の製造の際に用いられる正孔注入層物質、正孔輸送用物質、発光層物質、電子輸送層物質および電荷生成層物質に主に用いられる置換基を前記コア構造に導入することにより、各有機物層で要求される条件を満たす物質を合成することができる。
なお、前記化学式1の構造に様々な置換基を導入することにより、エネルギーバンドギャップを微細に調節することを可能にし、一方で、有機物間の界面での特性を向上させ、物質の用途を多様にすることができる。
【0105】
一方、前記化合物はガラス転移温度(Tg)が高く、熱的安定性に優れる。このような熱的安定性の増加は、素子に駆動安定性を提供する重要な要因となる。
【0106】
また、本出願の一実施形態において、第1の電極;前記第1の電極と対向して設けられた第2の電極;および前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられた1層以上の有機物層を含む有機発光素子であって、前記有機物層のうち1層以上は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含むものである、有機発光素子を提供する。
【0107】
本出願の一実施形態において、前記第1の電極は陽極であり、前記第2の電極は陰極であってもよい。
【0108】
また他の一実施形態において、前記第1の電極は陰極であり、前記第2の電極は陽極であってもよい。
【0109】
本出願の一実施形態において、前記有機発光素子は、青色有機発光素子であってもよく、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、青色有機発光素子の材料として用いられてもよい。
【0110】
本出願の一実施形態において、前記有機発光素子は、緑色有機発光素子であり、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、緑色有機発光素子の材料として用いられてもよい。
【0111】
本出願の一実施形態において、前記有機発光素子は、赤色有機発光素子であり、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、赤色有機発光素子の材料として用いられてもよい。
【0112】
本出願の一実施形態において、前記有機発光素子は、青色有機発光素子であってもよく、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、青色有機発光素子の発光層材料として用いられてもよい。
【0113】
本出願の一実施形態において、前記有機発光素子は、緑色有機発光素子であり、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、緑色有機発光素子の発光層材料として用いられてもよい。
【0114】
本出願の一実施形態において、前記有機発光素子は、赤色有機発光素子であってもよく、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物は、赤色有機発光素子の発光層材料として用いられてもよい。
【0115】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物に関する具体的な内容は、前記と同様である。
【0116】
本発明の有機発光素子は、上述のヘテロ環化合物を用いて1層以上の有機物層を形成することを除いては、通常の有機発光素子の製造方法および材料によって製造されてもよい。
【0117】
前記ヘテロ環化合物は、有機発光素子の製造時の真空蒸着法だけでなく、溶液塗布法によって有機物層に形成されてもよい。ここで、溶液塗布法とは、スピンコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、スクリーンプリンティング、スプレー法、ロールコーティングなどを意味するが、これらに限定されるものではない。
【0118】
本発明の有機発光素子の有機物層は、単層構造からなってもよいが、2層以上の有機物層が積層された多層構造からなってもよい。例えば、本発明の有機発光素子は、有機物層として正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを含む構造を有してもよい。しかしながら、有機発光素子の構造はこれに限定されず、より少ない数の有機物層を含んでもよい。
【0119】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は発光層を含み、前記発光層はヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0120】
本出願の一実施形態による有機発光素子において、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物を含む有機物層は、下記化学式2で表されるヘテロ環化合物をさらに含むものである有機発光素子を提供する。
【化9】

前記化学式2において、
RcおよびRdは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン基;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC2~C60のアルケニル基;置換または非置換のC2~C60のアルキニル基;置換または非置換のC1~C60のアルコキシ基;置換または非置換のC3~C60のシクロアルキル基;置換または非置換のC2~C60のヘテロシクロアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基;-Si(R10)(R11)(R12);-P(=O)(R10)(R11);および置換または非置換のアミン基からなる群から選択されるか、互いに隣接する2以上の基は互いに結合して、置換または非置換のC6~C60の芳香族炭化水素環または置換または非置換のC2~C60のヘテロ環を形成し、
R10、R11、およびR12は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;重水素;-CN;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
RaおよびRbは、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C60のアリール基;または置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基であり、
rおよびsはそれぞれ0~7の整数であり、
rおよびsがそれぞれ2以上である場合、各括弧内の置換基は同一または異なる。
【0121】
前記化学式1のヘテロ環化合物および前記化学式2のヘテロ環化合物を有機発光素子の有機物層に含む場合、より優れた効率および寿命効果を示す。この結果は、両方の化合物が同時に含まれる場合、エキシプレックス(exciplex)現象が起こることを予想することができる。
【0122】
前記エキシプレックス(exciplex)現象は、2分子間の電子交換でdonor(p-host)のHOMO level、acceptor(n-host)LUMO levelの大きさのエネルギーを放出する現象である。2つの分子間エキシプレックス(exciplex)現象が起こると、Reverse Intersystem Crossing(RISC)が起こり、これにより蛍光の内部量子効率が100%まで上がることがある。正孔輸送能力の良いdonor(p-host)と電子輸送能力の良いacceptor(n-host)が発光層のホストとして用いられる場合、正孔はp-hostに注入され、電子はn-hostに注入されるため、駆動電圧を下げることができ、それにより寿命を向上させるのに役立つ。
【0123】
本出願の一実施形態において、前記化学式2は、下記化学式2-1または化学式2-2で表され得る。
【化10】

前記化学式2-1および2-2において、
Rc、Rd、rおよびsの定義は、前記化学式2における定義と同一であり、
Ra1、Rb1およびRc1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C60のアリール基であり、
R1’およびR2’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;および置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択され、
L1’は、直接結合;または置換または非置換のC6~C60のアリーレン基であり、
Ar1’は、置換または非置換のC6~C60のアリール基;または、置換または非置換され、SおよびOの少なくとも1つを含むC2~C60のヘテロアリール基であり、
m’は0~4の整数であり、
n’は0~2の整数であり、
m’が2以上であるか、n’が2である場合、各括弧内の置換基は同一または異なる。
【0124】
本出願の一実施形態において、前記化学式2のRcおよびRdは水素であってもよい。
【0125】
本出願の一実施形態において、前記化学式2-1のRa1およびRb1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0126】
他の一実施形態において、前記化学式2-1のRa1およびRb1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、置換または非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0127】
他の一実施形態において、前記化学式2-1のRa1およびRb1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、C1~C40のアルキル基、C6~C40のアリール基、-CNおよび-Si(R104)(R105)(R106)からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換または非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0128】
他の一実施形態において、前記化学式2-1のRa1およびRb1は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、フェニル基、-CNまたは-Si(R104)(R105)(R106)で置換または非置換のフェニル基;フェニル基で置換または非置換のビフェニル基;ナフチル基;メチル基またはフェニル基で置換または非置換のフルオレニル基;スピロビフルオレニル基;あるいはトリフェニレニル基であってもよい。
【0129】
本出願の一実施形態において、前記化学式2-1のR104、R105、およびR106はフェニル基であってもよい。
【0130】
本出願の一実施形態において、前記化学式2-2のRc1は、置換または非置換のC6~C60のアリール基であってもよい。
【0131】
他の一実施形態において、前記化学式2-2のRc1は置換または非置換のC6~C40のアリール基であってもよい。
【0132】
他の一実施形態において、前記化学式2-2のRc1はC6~C40のアリール基であってもよい。
【0133】
他の一実施形態において、前記化学式2-2のRc1はフェニル基であってもよい。
【0134】
本出願の一実施形態において、前記化学式2-2のR1’およびR2’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換または非置換のC1~C60のアルキル基;置換または非置換のC6~C60のアリール基;および置換または非置換のC2~C60のヘテロアリール基からなる群から選択されてもよい。
【0135】
また他の一実施形態において、前記化学式2-2のR1’およびR2’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;置換または非置換のC1~C40のアルキル基;置換または非置換のC6~C40のアリール基;および置換または非置換のC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択されてもよい。
【0136】
また他の一実施形態において、前記化学式2-2のR1’およびR2’は、互いに同一または異なり、それぞれ独立して、水素;C1~C40のアルキル基;C6~C40のアリール基;およびC2~C40のヘテロアリール基からなる群から選択されてもよい。
【0137】
他の一実施形態において、前記化学式2-2のR1’およびR2’は水素であってもよい。
【0138】
本出願の一実施形態において、前記化学式2-2のL1’は、直接結合;あるいは、置換または非置換のC6~C60のアリーレン基であってもよい。
【0139】
また他の一実施形態において、前記化学式2-2のL1’は、直接結合;あるいは、置換または非置換のC6~C40のアリーレン基であってもよい。
【0140】
また他の一実施形態において、前記化学式2-2のL1’は、直接結合;あるいは、置換または非置換のC6~C20のアリーレン基であってもよい。
【0141】
また他の一実施形態において、前記化学式2-2のL1’は、直接結合;あるいは、C6~C20のアリーレン基であってもよい。
【0142】
また他の一実施形態において、前記化学式2-2のL1’は、直接結合;またはフェニレン基であってもよい。
【0143】
本出願の一実施形態において、前記化学式2-2のAr1’は、置換または非置換のC6~C60のアリール基;あるいは、置換または非置換され、SおよびOの少なくとも1つを含むC2~C60のヘテロアリール基であってもよい。
【0144】
また他の一実施形態において、前記化学式2-2のAr1’は、置換または非置換のC6~C40のアリール基;あるいは、置換または非置換され、SおよびOの少なくとも1つを含むC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0145】
また他の一実施形態において、前記化学式2-2のAr1’は、C1~C10のアルキル基で置換または非置換のC6~C40のアリール基;あるいは、置換または非置換され、SおよびOの少なくとも1つを含むC2~C40のヘテロアリール基であってもよい。
【0146】
また他の一実施形態において、前記化学式2-2のAr1’は、フェニル基;ビフェニル基;ナフチル基;ジメチルフルオレニル基;ジベンゾチオフェン基;あるいは、ジベンゾフラン基であってもよい。
【0147】
本出願の一実施形態において、前記化学式2は以下の化合物のいずれかで表され得る。
【化11】









【0148】
また、本出願の他の実施形態は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含む、有機発光素子の有機物層用組成物を提供する。
【0149】
前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物についての具体的な内容は前記と同様である。
【0150】
前記組成物内の前記化学式1で表されるヘテロ環化合物:前記化学式2で表されるヘテロ環化合物の重量比は、1:10~10:1であり、1:8~8:1であり、1:5~5:1であってもよく、1:2~2:1であってもよいが、これに限定されない。
【0151】
前記組成物は、有機発光素子の有機物形成時に用いることができ、特に発光層のホスト形成時に、より好ましく用いられ得る。
【0152】
本出願の一実施形態において、前記有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含み、燐光ドーパントと共に用いられてもよい。
【0153】
本出願の一実施形態において、前記有機物層は、前記化学式1で表されるヘテロ環化合物、および前記化学式2で表されるヘテロ環化合物を含み、イリジウム系ドーパントと共に用いられてもよい。
【0154】
前記燐光ドーパント材料としては、当技術分野で知られているものを用いてもよい。
【0155】
例えば、LL’MX’、LL’L’’M、LMX’X’’、L2MX’およびL3Mで表される燐光ドーパント材料を使用することができるが、これらの例によって本発明の範囲が限定されるものではない。
ここで、L、L’、L’’、X’およびX’’は互いに異なる二座配位子であり、Mは8面状錯体を形成する金属である。
【0156】
Mはイリジウム、白金、オスミウムなどであってもよい。
【0157】
Lは、sp2炭素およびヘテロ原子によって前記イリジウム系ドーパントでMに配位されるアニオン性二座配位子であり、Xは電子または正孔をトラップする機能をしてもよい。Lの非限定的な例としては、2-(1-ナフチル)ベンゾオキサゾール、(2-フェニルベンゾオキサゾール)、(2-フェニルベンゾチアゾール)、(2-フェニルベンゾチアゾール)、(7,8-ベンゾキノリン)、(チオフェン基ピリジン)、フェニルピリジン、ベンゾチオフェン基ピリジン、3-メトキシ-2-フェニルピリジン、チオフェン基ピリジン、トリルピリジンなどがある。X’およびX’’の非限定的な例としては、アセチルアセトネート(acac)、ヘキサフルオロアセチルアセトネート、サリシリデン、ピコリネート、8-ヒドロキシキノリネートなどがある。
【0158】
より具体的な例を以下に示すが、これらの例に限定されるものではない。
【化12】
【0159】
本出願の一実施形態において、前記イリジウム系ドーパントとしては、緑色燐光ドーパントとしてIr(ppy)が用いられてもよい。
【0160】
本出願の一実施形態において、前記ドーパントの含量は、発光層全体を基準にして1%~15%、好ましくは3%~10%、さらに好ましくは5%~10%の含量を有してもよい。
【0161】
本発明の有機発光素子において、前記有機物層は電子注入層または電子輸送層を含み、前記電子注入層または電子輸送層は前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0162】
また他の有機発光素子において、前記有機物層は電子阻止層または正孔阻止層を含み、前記電子阻止層または正孔阻止層は前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0163】
また他の有機発光素子において、前記有機物層は電子輸送層、発光層または正孔阻止層を含み、前記電子輸送層、発光層または正孔阻止層は、前記ヘテロ環化合物を含んでもよい。
【0164】
本発明の有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、電子阻止層および正孔阻止層からなる群から選択される1層または2層以上をさらに含んでもよい。
【0165】
図1図3に、本出願の一実施形態による有機発光素子の電極と有機物層との積層順序を例示した。しかしながら、これらの図によって本出願の範囲が限定されることを意図したものではなく、当技術分野で知られている有機発光素子の構造が本出願にも適用されてもよい。
【0166】
図1によれば、基板100上に陽極200、有機物層300および陰極400が順次積層された有機発光素子が示されている。しかし、このような構造に限定されるものではなく、図2のように、基板上に陰極、有機物層および陽極が順次積層された有機発光素子が具現されてもよい。
【0167】
図3は、有機物層が多層である場合を例示したものである。図3に係る有機発光素子は、正孔注入層301、正孔輸送層302、発光層303、正孔阻止層304、電子輸送層305および電子注入層306を含む。しかしながら、このような積層構造によって本出願の範囲が限定されるものではなく、必要に応じて発光層を除いた残りの層を省略されてもよいし、必要な他の機能層をさらに追加してもよい。
【0168】
本出願の一実施形態において、基板を準備する段階;前記基板上に第1の電極を形成する段階;前記第1の電極上に1層以上の有機物層を形成する段階;および前記有機物層上に第2の電極を形成する段階を含み、前記有機物層を形成する段階は、本出願の一実施形態による有機物層用組成物を用いて1層以上の有機物を形成する段階を含むものである、有機発光素子の製造方法を提供する。
【0169】
本出願の一実施形態において、前記有機物層を形成する段階は、前記化学式1のヘテロ環化合物および前記化学式2のヘテロ環化合物を予備混合(pre-mixed)して熱真空蒸着法を用いて形成するものである、有機発光素子の製造方法を提供する。
【0170】
前記予備混合(pre-mixed)は、前記化学式1のヘテロ環化合物および前記化学式2のヘテロ環化合物を有機物層に蒸着する前に材料を混合して1つの供源に入れて混合することを意味する。
【0171】
予備混合された材料は、本出願の一実施形態による有機物層用組成物として言及されることがある。
【0172】
前記化学式1を含む有機物層は、必要に応じて他の物質をさらに含んでもよい。
【0173】
前記化学式1および前記化学式2を同時に含む有機物層は、必要に応じて他の物質をさらに含んでもよい。
【0174】
本出願の一実施形態による有機発光素子において、前記化学式1または前記化学式2の化合物以外の材料を以下に例示するが、これらは例示のためのものであり、本出願の範囲を限定するためのものではなく、当技術分野で公知の材料で置き換えられてもよい。
【0175】
陽極材料としては、比較的に仕事関数の大きい材料を用いることができ、透明導電性酸化物、金属または導電性高分子などを用いることができる。前記陽極材料の具体例としては、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、金などの金属またはそれらの合金;酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO:Sbなどの金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子などがあるが、これらに限定されない。
【0176】
陰極材料としては、比較的に仕事関数の低い材料を用いることができ、金属、金属酸化物、導電性高分子などを用いることができる。前記陰極材料の具体例としては、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタニウム、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、錫、および鉛などの金属またはそれらの合金;LiF/AlまたはLiO/Alのような多層構造物質などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0177】
正孔注入材料としては、公知の正孔注入材料を用いることもできるが、例えば、米国特許第4,356,429号に開示されている銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物または文献[Advanced Material、6、p.677(1994)]に記載されているスターバースト型アミン誘導体類、例えばトリス(4-カルバゾイル-9-イルフェニル)アミン(TCTA)、4,4’,4’’-トリ[フェニル(m-トリル)アミノ]トリフェニルアミン(m-MTDATA)、1,3,5-トリス[4-(3-メチルフェニルフェニルアミノ)フェニル]ベンゼン(m-MTDAPB)、溶解性のある導電性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Polyaniline/Dodecylbenzenesulfonic acid)または、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)/Poly(4-styrenesulfonate))、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Polyaniline/Camphor sulfonic acid)またはポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(Polyaniline/Poly(4-styrene-sulfonate))などを用いてもよい。
【0178】
正孔輸送材料としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン系誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などを用いることができ、低分子または高分子材料が用いられてもよい。
【0179】
電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8-ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体などを使用することができ、低分子物質だけでなく高分子物質も使用されてもよい。
【0180】
電子注入材料としては、例えば、LiFが当業界で代表的に用いられるが、本出願はこれに限定されるものではない。
【0181】
発光材料としては、赤色、緑色または青色の発光材料が用いられてもよく、必要な場合、2以上の発光材料を混合して使用してもよい。このとき、2以上の発光材料を別々の供給源で蒸着して使用したり、予備混合して1つの供給源で蒸着して使用してもよい。また、発光材料として蛍光材料を用いてもよいが、燐光材料として用いてもよい。発光材料としては、単独で陽極と陰極からそれぞれ注入された正孔と電子を結合して発光させる材料が用いられてもよいが、ホスト材料とドーパント材料が共に発光に関与する材料が用いられてもよい。
【0182】
発光材料のホストを混合して使用する場合には、同一系列のホストを混合して使用してもよいし、異なる系列のホストを混合して使用してもよい。例えば、nタイプのホスト材料またはpタイプのホスト材料のいずれか2種類以上の材料を選択して発光層のホスト物質として用いてもよい。
【0183】
本出願の一実施形態による有機発光素子は、使用される材料に応じて、前面発光型、後面発光型、または両面発光型であり得る。
【0184】
本出願の一実施形態によるヘテロ環化合物は、有機太陽電池、有機感光体、有機トランジスタなどを含む有機電子素子でも有機発光素子に適用されるものと同様の原理で作用することができる。
【実施例
【0185】
以下では、実施例を通じて本明細書をより詳細に説明するが、これらは本出願を例示するためのものであり、本出願の範囲を限定するためのものではない。
【0186】
<製造例>
<製造例1>化合物1-1の製造
【化13】

1)中間体1-1-1の製造
9H-カルバゾール(9H-carbazole)10.0g(59.8mM)をTHFに溶かした後、-78℃で窒素置換した。2.5M n-BuLi 28.7mL(71.8mM)を-78℃でゆっくりと加え、30分間撹拌した。2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン(2,4,6-trichloro-1,3,5-triazine)5.5g(29.9mM)を入れ、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを加えて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物はメタノールで再結晶して中間体1-1-1 10.9g(82%)を得た。
【0187】
2)化合物1-1の製造
中間体1-1-1 10g(22.42mM)、[1,1’:2’,1’’-ターフェニル]-2-イルボロン酸([1,1’:2’,1’’-terphenyl]-2-ylboronic acid)6.8g(24.67mM)、Pd(PPh1.3g(1.1mM)、KCO 6.2g(44.84mM)を1,4-dioxane/HO 250mL/50mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを加えて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して目的化合物1-1 12.3g(86%)を得た。
前記製造例1において、[1,1’:2’,1’’-ターフェニル]-2-イルボロン酸([1,1’:2’,1’’-terphenyl]-2-ylboronic acid)に代えて、下記表1の化合物Aを用いたことを除いて、製造例1の製造と同様の方法で製造して目的化合物を合成した。
【0188】
【表1】


【0189】
<製造例2>化合物1-177の製造
【化14】

1)中間体1-177-2の製造
9H-カルバゾール(9H-carbazole)10.0g(59.8mM)をTHFに溶かした後、-78℃で窒素置換した。2.5M n-BuLi 28.7mL(71.8mM)を-78℃でゆっくりと加え、30分間撹拌した。2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン(2,4,6-trichloro-1,3,5-triazine)10.9g(59.8mM)を加え、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを加えて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物はメタノールで再結晶して中間体1-177-2 15.6g(83%)を得た。
【0190】
2)中間体1-177-1の製造
2-フェニル-9H-カルバゾール(2-phenyl-9H-carbazole)14.5g(59.8mM)をTHFに溶かした後、-78℃で窒素置換した。2.5M n-BuLi 28.7mL(71.8mM)を-78℃でゆっくりと加え、30分間撹拌した。中間体1-177-2 18.8g(59.8mM)を入れ、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを加えて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物はメタノールで再結晶して中間体1-177-1 25.6g(82%)を得た。
【0191】
2)化合物1-177の製造
中間体1-177-1 11.7g(22.42mM)、[1,1’:2’,1’’-ターフェニル]-4-イルボロン酸([1,1’:2’,1’’-terphenyl]-4-ylboronic acid)6.8g(24.67mM)Pd(PPh1.3g(1.1mM)、KCO6.2g(44.84mM)を1,4-dioxane/HO 250mL/50mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを加えて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して目的化合物1-177 13.6g(85%)を得た。
前記製造例2において、[1,1’:2’,1’’-ターフェニル]-4-イルボロン酸([1,1’:2’,1’’-terphenyl]-4-ylboronic acid)に代えて、下記表2の化合物Bを用いたことを除いて、製造例2の製造と同様の方法で製造して目的化合物を合成した。
【0192】
【表2】
【0193】
前記製造例1において、9H-カルバゾール(9H-carbazole)の代わりに下記表3の化合物Cを用い、[1,1’:2’,1’’-ターフェニル]-2-イルボロン酸([1,1’:2’,1’’-terphenyl]-2-ylboronic acid)の代わりに下記表3の化合物Dを用いたことを除いて、前記製造例1の製造と同様の方法で製造して目的化合物を合成した。
【0194】
【表3】
【0195】
<製造例3>化合物2-2の製造
【化15】

1)中間体2-2-2の製造
2-ブロモジベンゾ[b,d]チオフェン4.2g(15.8mM)、9-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール6.5g(15.8mM)、CuI 3.0g(15.8mM))、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン1.9mL(15.8mM)、KPO3.3g(31.6mM)を1,4-オキサン100mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを加えて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して中間体2-2-2 7.9g(85%)を得た。
【0196】
2)中間体2-2-1の製造
中間体2-2-2 8.4g(14.3mmol)とTHF100mLを入れた混合溶液を-78℃で2.5M n-BuLi 7.4mL(18.6mmol)を滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合物にトリメチルボレート4.8mL(42.9mmol)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを加えて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=100:3)で精製し、DCMで再結晶して中間体2-2-1 3.9g(70%)を得た。
【0197】
3)化合物2-2の製造
中間体2-2-1 6.7g(10.5mM)、ヨードベンゼン2.1g(10.5mM)、Pd(PPh 606mg(0.52mM)、KCO2.9g(21.0mM)をトルエン/EtOH/HO 100/20/20mLに溶解した後、12時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを加えて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して目的化合物2-2 4.9g(70%)を得た。
【0198】
<製造例4>化合物2-3の合成
前記製造例3においてヨードベンゼンの代わりに4-ヨード-1,1’-ビフェニルを用いたことを除いて、化合物2-2の製造と同様の方法で製造して目的化合物2-3(83%)を得た。
【0199】
<製造例5>化合物2-12の合成
前記製造例3において、ヨードベンゼンの代わりに4-ヨードジベンゾ[b、d]フランを用いたことを除いて、化合物2-2の製造と同様の方法で製造し、目的化合物2-12(80%)を得た。
【0200】
<製造例6>化合物3-3の合成
【化16】

3-ブロモ-1,1’-ビフェニル3.7g(15.8mM)、9-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾール6.5g(15.8mM)、CuI 3.0g(15.8mM))、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン1.9mL(15.8mM)、KPO3.3g(31.6mM)を1,4-ジオキサン100mLに溶かした後、24時間還流した。反応が完了した後、室温で蒸留水とDCMを加えて抽出し、有機層はMgSOで乾燥させた後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した。反応物はカラムクロマトグラフィー(DCM:Hex=1:3)で精製し、メタノールで再結晶して目的化合物3-3 7.5g(85%)を得た。
前記製造例6において、3-ブロモ-1,1’-ビフェニルの代わりに下記表4の化合物Eを用い、9-フェニル-9H,9’H-3,3’-ビカルバゾールの代わりに下記表4の化合物Fを用いたことを除いて、製造例6の製造と同様の方法で製造して目的化合物を合成した。
【0201】
【表4】
【0202】
前記表1~表4に記載の化合物以外の残りの化合物も前述の製造例に記載の方法と同様に製造した。
下記表5および表6は、合成された化合物のH NMRデータおよびFD-MSデータであり、下記の資料を通じて、目的の化合物が合成されたことを確認することができる。
【0203】
【表5】



【0204】
【表6】

【0205】
<実験例1>
-有機発光素子の作製
1,500Åの厚さでITO(Indium tin oxide)が薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わったら、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄を行い、乾燥させた後、UV(Ultraviolet)洗浄機でUVを用いて5分間UVO(Ultraviolet ozone)処理した。その後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に移送した後、真空状態でITO仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理を行い、有機蒸着用熱蒸着装置に移送した。
前記ITO透明電極(陽極)上に共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成させた。
その上に発光層を次のように熱真空蒸着させた。発光層は、ホストとして下記表6に記載の化学式1の化合物を400Å蒸着し、緑色燐光ドーパント[Ir(ppy)]を発光層蒸着厚さの7%ドーピングして蒸着した。その後、正孔阻止層としてBCP(bathocuproine)を60Å蒸着し、その上に電子輸送層でAlq3を200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオリド(lithium fluoride:LiF)を10Å厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより有機電界発光素子を作製した。
一方、OLED素子の作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-~10-torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命測定装置(M6000)を通じて基準輝度が6,000cd/mのとき、T90を測定した。
本発明に従って製造された有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色(EL color)、寿命を測定した結果は、下記表7のとおりであった。
【0206】
【表7】

【0207】
【化17】
【0208】
前記表7の結果から分かるように、本発明の有機電界発光素子の発光層材料を用いた有機電界発光素子は、比較例1~18に比べて駆動電圧が低く、発光効率が向上しただけでなく寿命も著しく改善された。
【0209】
具体的には、下記表8において化合物1-298(実施例17)のLUMOオービタルはトリアジンとターフェニル基(terphenyl)の置換基まで非偏在化されている。しかし、Ref.4、7、8、11、14、16および19の化合物のようにトリアジン基に十分長いアリール置換基がない場合には、トリアジンのLUMOオービタルが短いアリール置換基に偏在化されて電子を効果的に安定化できず、寿命が低下することが確認できた。
【0210】
【表8】

【0211】
下記の表9からRef.1、9および10の化合物のようにトリアジン基にカルバゾールがすべて置換される場合には、トリアジンのLUMOオービタルがカルバゾールに非偏在化される。電子を引っ張る特性を有するトリアジンは電子を効果的に安定化させるが、電子を押し出す特性を有するカルバゾールは効果的に電子を安定化できず、寿命が低下することが確認できる。
【0212】
【表9】
【0213】
Ref.2、3、6、17および18の化合物のように、トリアジン基にピリミジン、シアノ基、ピリジン基が置換される場合には、電子移動度が過度に増加し、発光層で正孔と電子のバランスが崩れて寿命が低下することが確認できた。
【0214】
Ref.11、12、13、15、および16の化合物のように、カルバゾールの3位と4位にフェニル基が置換される場合には、置換されないカルバゾールより分子量が高いため昇華温度が上昇し、2位にフェニル基が置換されたカルバゾールより構造的ねじれが小さいため、相対的に平面構造を形成し、昇華温度が上昇する。高い昇華温度で長時間さらされると有機化合物に劣化が発生し寿命が低下することが確認できた。
【0215】
Ref.6、7および8の化合物のようにカルバゾールにアミンまたはカルバゾールが置換される場合、正孔移動度が過度に増加し、発光層で正孔と電子のバランスが崩れて寿命が低下することが確認できた。
【0216】
Ref.10の化合物はトリアジンの代わりにピリジンが結合されている。これは、電子移動度を低下させ、発光層で正孔と電子のバランスが崩れて寿命が低下することが確認できた。
【0217】
以下の表10において、Ref.5の化合物は、トリアジンにピレン基(pyrene)が直接結合している。置換基で置換されたピレン(pyrene)は、低いTlevelによって緑色dopantから放出される光エネルギー(約2.4eV)を再び吸収し、素子の効率および寿命が低下することが確認できた。低いTlevelを有するピレン(pyrene)は、主に前記の燐光OLED素子ではなく蛍光OLED素子のdopantとして使用して、Tenergy transferは防ぎ、Senergy transferを志向して素子を駆動する原理を有する。
【0218】
【表10】
【0219】
<実験例2>
-有機発光素子の作製
1,500Åの厚さでITO(Indium tin oxide)が薄膜コーティングされたガラス基板を蒸留水超音波で洗浄した。蒸留水洗浄が終わったら、アセトン、メタノール、イソプロピルアルコールなどの溶剤で超音波洗浄を行い、乾燥させた後、UV(Ultraviolet)洗浄機でUVを用いて5分間UVO(Ultraviolet ozone)処理した。その後、基板をプラズマ洗浄機(PT)に移送した後、真空状態でITO仕事関数および残膜除去のためにプラズマ処理を行い、有機蒸着用熱蒸着装置に移送した。
【0220】
前記ITO透明電極(陽極)上に共通層である正孔注入層2-TNATA(4,4’,4’’-Tris[2-naphthyl(phenyl)amino]triphenylamine)および正孔輸送層NPB(N,N’-Di(1-naphthyl)-N,N’-diphenyl-(1,1’-biphenyl)-4,4’-diamine)を形成した。
その上に発光層を次のように熱真空蒸着した。発光層は、下記表11に記載したように、ホストとして化学式1の化合物1種と化学式2の化合物1種を下記表11に記載の重量比でpre-mixedして予備混合後、1つの供源で400Å蒸着し、緑色燐光ドーパント[Ir(ppy)]を発光層蒸着厚さの7%の量でドーピングして蒸着した。その後、正孔阻止層としてBCP(bathocuproine)を60Å蒸着し、その上に電子輸送層としてAlq3を200Å蒸着した。最後に、電子輸送層上にリチウムフルオリド(lithium fluoride:LiF)を10Å厚さに蒸着して電子注入層を形成した後、電子注入層上にアルミニウム(Al)陰極を1,200Åの厚さに蒸着して陰極を形成することにより、有機電界発光素子を作製した。
一方、OLED素子の作製に必要な全ての有機化合物は、材料別にそれぞれ10-8~10-6torr下で真空昇華精製してOLED作製に使用した。
前記のように作製された有機電界発光素子に対して、マックサイエンス社のM7000で電界発光(EL)特性を測定し、その測定結果をもってマックサイエンス社で製造された寿命測定装置(M6000)を通じて基準輝度が6,000cd/mのとき、T90を測定した。
【0221】
本発明により製造された有機発光素子の駆動電圧、発光効率、色座標(CIE)、寿命を測定した結果は、下記表11のとおりであった。
【0222】
【表11】
【0223】
前記表11の結果を見ると、化学式1(n type)の化合物および化学式2の化合物を同時に含む場合、より優れた効率および寿命効果を示す。この結果は、2つの化合物を同時に含む場合、エキシプレックス(exciplex)現象が起こることを予想することができる。
【0224】
前記エキシプレックス(exciplex)現象は、2分子間の電子交換でdonor(p-host)のHOMO level、acceptor(n-host)LUMO levelの大きさのエネルギーを放出する現象である。2つの分子間エキシプレックス(exciplex)現象が起こると、Reverse Intersystem Crossing(RISC)が起こり、これにより蛍光の内部量子効率が100%まで上がることがある。正孔輸送能力の良いdonor(p-host)と電子輸送能力の良いacceptor(n-host)が発光層のホストとして用いられる場合、正孔はp-hostに注入され、電子はn-hostに注入されるため、駆動電圧を下げることができ、それにより寿命を向上させるのに役立つ。本願発明では、前記化学式2の化合物がdonorの役割を果たし、前記化学式1の化合物がacceptorの役割を果たし、発光層ホストとして共に使用された場合に、優れた素子特性を示すことが確認できた。
【符号の説明】
【0225】
100 ・・・基板
200 ・・・陽極
300 ・・・有機物層
301 ・・・正孔注入層
302 ・・・正孔輸送層
303 ・・・発光層
304 ・・・正孔阻止層
305 ・・・電子輸送層
306 ・・・電子注入層
400 ・・・陰極
図1
図2
図3
【国際調査報告】