(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】蘇生装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
A61N1/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564547
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 IL2021050456
(87)【国際公開番号】W WO2021214768
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522413272
【氏名又は名称】ジョルツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】JOLTZ LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ローズマン, イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】マッセ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチズ, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】キシネフスキー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マッギン, サム
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンブラム, ジョナサン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ18
4C053JJ23
(57)【要約】
本明細書には、対象者に対して印加される電気パルスを生成するように構成される電気パルス生成器と、電気パルスを対象者に印加するように機能する電極と、対象者のバイタルサインを測定するように構成される少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの処理ユニットとを備え、少なくとも1つの処理ユニットが、少なくとも1つのセンサによって測定されるバイタルサインを監視し、バイタルサインの監視に従ってハウジング及び電極が対象者上に適切に配置されていると判定し、どの処置を対象者に施さなければならないかを判定し、対象者に施されるべき処置を指示する通知を生成し、提供される処置及び対象者の状態のリアルタイムな連続するフィードバックを与えるように構成される、蘇生装置が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に対して印加される電気パルスを生成するように構成されている電気パルス生成器と、
前記電気パルスを対象者に印加するように機能する電極と、
対象者のバイタルサインを測定するように構成されている少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つの処理ユニットと
を備える、蘇生装置であって、
前記少なくとも1つの処理ユニットが、
前記少なくとも1つのセンサによって測定される前記バイタルサインを監視し、
前記バイタルサインの前記監視に従ってハウジング及び電極が対象者上に適切に配置されていると判定し、
どの処置を対象者に施さなければならないかを判定し、
対象者に施されるべき処置を指示する通知を生成し、
提供される処置及び対象者の状態のリアルタイムな連続するフィードバックを与える、
ように構成されている、蘇生装置。
【請求項2】
前記電気パルス生成器が、電気パルスを生成するための電気回路を備え、前記電気回路が、
コントローラと、
スイッチと、
インダクタと、
充電回路と、
前記充電回路に電気的に接続されるとともに、前記充電回路によって供給されるエネルギーを蓄積するようになっているコンデンサアレイと
を備え、
前記コントローラが、前記スイッチを制御して、前記インダクタにエネルギーを蓄積させ、エネルギーを前記充電回路に放電させるようになっている、請求項1に記載の蘇生装置。
【請求項3】
前記コントローラがコントローラ・ゲートドライバチップであり、前記インダクタが薄型ブーストインダクタであり、前記充電回路が複数の相互接続された充電コンデンサ及びダイオードである、請求項2に記載の蘇生装置。
【請求項4】
コントローラチップ、前記スイッチ、及び充電コンデンサが表面実装部品である、請求項2又は3に記載の蘇生装置。
【請求項5】
前記回路が薄型AED用の電気パルス生成器を備える、請求項2~4のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【請求項6】
前記コンデンサアレイが、所定量までの二相電気パルスエネルギーを蓄積できる複数の相互接続された個別のエネルギー蓄積コンデンサを備える、請求項2~5のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【請求項7】
前記コンデンサアレイが、少なくとも100マイクロファラッド及び1.5キロボルトの総静電容量を有し、少なくとも150ジュールのエネルギー蓄積を行う、請求項2~6のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【請求項8】
モバイル装置と通信するように構成されている通信ユニットを更に備え、
前記モバイル装置が、
ユーザインタフェース及び指導内容をユーザに提示し、
前記電気パルスを対象者に印加するためのユーザコマンドを受信し、
前記ユーザコマンドを前記通信ユニットに送信する
ように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【請求項9】
ハウジングと、
前記ハウジング及び前記電極を収容するように機能するケースと
を更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【請求項10】
ケースと、
起動スイッチと、
前記ケースが開放される時期を検知するように構成されているセンサケースと
を更に備え、
プロセッサが、
前記ケースが開放されることをケースセンサが検出するときにスリープモードからハイバネーションモードに切り換わり、
前記起動スイッチが関与されるときにアクティブモードに切り換わる
ように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【請求項11】
対象者のバイタルサインを測定して監視し、
対象者に電気パルスを印加し、
対象者に与えられる処置の処置提供者に指示を与える
ように構成されている蘇生装置と、
前記蘇生装置と無線通信するように構成される少なくとも1つのモバイル装置と
を備える、蘇生装置を動作させるように構成されているシステムであって、
前記少なくとも1つのモバイル装置が、前記バイタルサインを受信するように構成され、
前記少なくとも1つのモバイル装置が、前記モバイル装置のユーザに対して、前記バイタルサインを表示すると共に、前記蘇生装置に与えられるコマンドをユーザから取得するように構成されるユーザインタフェースを提示するように構成され、
前記少なくとも1つのモバイル装置が、前記コマンドを前記蘇生装置に送信するように構成されており、
前記蘇生装置が、前記モバイル装置から受信される前記コマンドを実行する、システム。
【請求項12】
前記蘇生装置が、
モバイル装置が前記蘇生装置から所定の距離内にあることを認識し、
前記モバイル装置から認証情報を受信し、
前記認証情報が記憶された認証情報と一致すると判定し、
前記蘇生装置と通信するためのモバイル通信アクセスを許可する
ように更に構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記蘇生装置が、
複数のモバイル装置が前記蘇生装置にアクセスする権限を有すると判定し、
優先順位階層に従って最も高い優先順位を有する前記モバイル装置へのアクセスを許可する
ように更に構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記蘇生装置が、
前記バイタルサインを測定するように構成されている少なくとも1つのセンサと、
前記電気パルスを生成するように構成されている電気パルス生成器と
前記電気パルスを印加するように構成されている少なくとも2つの電極と
を備える、請求項11~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記電気パルス生成器が、前記電気パルスの蓄積を印加前に容易にするように構成されているコンデンサアレイを備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記蘇生装置が、医療処置を施す最中に対象者の胸部を覆うことを容易にするように機能するタープを更に備える、請求項11~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
対象者の身体に電気パルスを印加するように機能する電極と、
前記電極を介して対象者に印加される前記電気パルスを生成するように構成され、前記電気パルスを生成するのに十分な電荷を蓄積するように構成されている電気回路を備える、電気パルス生成器と
を備える、電気パルスを対象者に印加するように構成される蘇生装置。
【請求項18】
対象者のバイタルサインを測定するように構成される少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つの処理ユニットと
を更に備え、
前記少なくとも1つの処理ユニットが、
前記少なくとも1つのセンサによって測定される前記バイタルサインを監視し、
前記バイタルサインの前記監視に従ってハウジング及び電極が対象者上に適切に配置されると判定し、
どの処置を対象者に施さなければならないかを判定し、
対象者に施されるべき処置を指示する通知を生成し、
提供される処置及び対象者の状態のリアルタイムな連続するフィードバックを与える
ように構成されている、請求項17に記載の蘇生装置。
【請求項19】
コントローラと、
スイッチと、
インダクタと、
充電回路と、
前記充電回路に電気的に接続されるとともに、前記充電回路によって供給されるエネルギーを蓄積するようになっているコンデンサアレイと、
を備える、電気パルスを生成するための電気回路であって、
前記コントローラが、前記スイッチを制御して、前記インダクタにエネルギーを蓄積させ、エネルギーを前記充電回路に放電させるようになっている、電気回路。
【請求項20】
前記コントローラがコントローラ・ゲートドライバチップであり、前記インダクタが薄型ブーストインダクタであり、前記充電回路が複数の相互接続された充電コンデンサ及びダイオードである、請求項19に記載の電気回路。
【請求項21】
コントローラチップ、前記スイッチ、及び充電コンデンサが表面実装部品である、請求項19又は20に記載の電気回路。
【請求項22】
前記回路が薄型AED用の電気パルス生成器を備える、請求項19~21のいずれか一項に記載の電気回路。
【請求項23】
前記コンデンサアレイが、所定量までの二相電気パルスエネルギーを蓄積できる複数の相互接続された個別のエネルギー蓄積コンデンサを備える、請求項19~22のいずれか一項に記載の電気回路。
【請求項24】
前記コンデンサアレイが、少なくとも100マイクロファラッド及び1.5キロボルトの総静電容量を有し、少なくとも150ジュールのエネルギー蓄積を行う、請求項19~23のいずれか一項に記載の電気回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は蘇生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の主な仕事は、酸素化された栄養豊富な血液を体全体に送出することである。心臓の一部によって生成される電気インパルスは、送出サイクルを調節する。電気インパルスが規則的で一貫したパターンに従うと、心臓は正常に機能し、血液の送出が最適化される。心臓の電気インパルスが乱されると(すなわち、心不整脈)、突然の心停止が生じ、血液の循環が阻害される場合がある。結果として、脳及び他の重要な器官は、栄養素及び酸素を奪われる。突然の心停止となっている人は、処置せずに放置すれば、突然意識を失い、その後すぐに死亡する場合がある。
【0003】
突然の心停止又は不整脈におけるよく知られた有効な処置は、除細動である。除細動は、心臓にショックを与えて正常な律動に戻すために、人に電流を流すことを伴う。多種多様な蘇生装置がある。例えば、植込み型心臓除細動蘇生装置(「ICD」)は、ワイヤコイル及び発電機装置を人の体内に外科的に植え込むことを伴う。ICDは、一般に、心不整脈のリスクが高い人々のためのものである。心不整脈が検出されると、第三者による介入が殆ど又は全くなくても、電流がユーザの心臓を自動的に通過する。
【0004】
より一般的なタイプの別の蘇生装置は、自動体外式蘇生装置(「AED」)である。AEDは、植え込まれるのではなく、突然の心停止に見舞われた人を蘇生させるために第三者によって使用される外部装置である。従来のAEDは、ベースユニットと、電気ケーブルを使用してベースユニットに接続される2つのパッドとを含む。パッドの代わりにハンドル付き電極が用いられることがある。
【0005】
突然の心停止に見舞われた対象者(「患者」)にAEDを使用するための典型的なプロトコルは以下の通りである。患者が最初に床の上に置かれる。対象者の衣服を剥がして胸部を露出させる。AEDパッドが胸部の適切な位置に貼り付けられる。ベースユニット内の電気システムは、2つのパッド間に高電圧を生成し、これが対象者に電気ショックをもたらす。理想的には、ショックは正常な心調律を回復させ、場合によっては複数のショックが必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
以下の実施形態及びその態様は、範囲を限定するものではなく、典型的且つ例示的であることを意図したシステム、ツール及び方法と併せて説明されて示される。
【0007】
一実施形態によれば、対象者に対して印加される電気パルスを生成するように構成される電気パルス生成器と、電気パルスを対象者に印加するように機能する電極と、対象者のバイタルサインを測定するように構成される少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの処理ユニットとを含み、少なくとも1つの処理ユニットが、少なくとも1つのセンサによって測定されるバイタルサインを監視し、バイタルサインの監視に従ってハウジング及び電極が対象者上に適切に配置されていると判定し、どの処置を対象者に施さなければならないかを判定し、対象者に施されるべき処置を指示する通知を生成し、提供される処置及び対象者の状態のリアルタイムな連続するフィードバックを与えるように構成される、蘇生装置が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態において、電気パルス生成器が、電気パルスを生成するための電気回路を含み、前記電気回路は、コントローラと、スイッチと、インダクタと、充電回路と、充電回路に電気的に接続されるとともに、充電回路によって供給されるエネルギーを蓄積するようになっているコンデンサアレイとを含み、コントローラは、スイッチを制御して、インダクタにエネルギーを蓄積させ、エネルギーを充電回路に放電させるようになっている。
【0009】
いくつかの実施形態では、コントローラがコントローラ・ゲートドライバチップであり、インダクタが薄型ブーストインダクタであり、充電回路が複数の相互接続された充電コンデンサ及びダイオードである。
【0010】
いくつかの実施形態では、コントローラチップ、スイッチ、及び充電コンデンサが表面実装部品である。
【0011】
いくつかの実施形態では、回路が薄型AED用の電気パルス生成器を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、コンデンサアレイは、所定量までの二相電気パルスエネルギーを蓄積できる複数の相互接続された個別のエネルギー蓄積コンデンサを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、コンデンサアレイは、少なくとも100マイクロファラッド及び1.5キロボルトの総静電容量を有し、少なくとも150ジュールのエネルギー蓄積を行う。
【0014】
いくつかの実施形態において、蘇生装置は、モバイル装置と通信するように構成される通信ユニットを更に含み、モバイル装置は、ユーザインタフェース及び指導内容をユーザに提示し、電気パルスを対象者に印加するためのユーザコマンドを受信し、ユーザコマンドを通信ユニットに送信するように構成される。
【0015】
いくつかの実施形態において、蘇生装置は、ハウジングと、ハウジング及び電極を収容するように機能するケースとを更に含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、蘇生装置は、ケースと、起動スイッチと、ケースが開放される時期を検知するように構成されるセンサケースとを更に含み、プロセッサは、ケースが開放されることをケースセンサが検出するときにスリープモードからハイバネーションモードに切り換わり、起動スイッチが関与されるときにアクティブモードに切り換わるように構成される。
【0017】
一実施形態によれば、対象者のバイタルサインを測定して監視し、対象者に電気パルスを印加し、対象者に与えられる処置の処置提供者に指示を与えるように構成される蘇生装置と、蘇生装置と無線通信するように構成される1つ以上のモバイル装置とを含み、1つ以上のモバイル装置が、バイタルサインを受信し、モバイル装置のユーザに対して、バイタルサインを表示し、及び、蘇生装置に与えられるコマンドをユーザから取得するように構成されるユーザインタフェースを提示し、コマンドを蘇生装置に送信するように構成され、蘇生装置が、モバイル装置から受信される前記コマンドを実行する、システムが更に提供される。
【0018】
いくつかの実施形態において、蘇生装置は、モバイル装置が蘇生装置から所定の距離内にあることを認識し、モバイル装置から認証情報を受信し、認証情報が記憶された認証情報と一致すると判定し、蘇生装置と通信するためのモバイル通信アクセスを許可するように更に構成される。
【0019】
いくつかの実施形態において、蘇生装置は、複数のモバイル装置が蘇生装置にアクセスする権限を有すると判定し、優先順位階層に従って最も高い優先順位を有するモバイル装置へのアクセスを許可するように更に構成される。
【0020】
いくつかの実施形態において、蘇生装置は、バイタルサインを測定するように構成される少なくとも1つのセンサと、電気パルスを生成するように構成される電気パルス生成器と、電気パルスを印加するように構成される少なくとも2つの電極とを含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、電気パルス生成器は、電気パルスの蓄積を印加前に容易にするように構成されるコンデンサアレイを含む。
【0022】
いくつかの実施形態において、蘇生装置は、医療処置を施す最中に対象者の胸部を覆うことを容易にするように機能するタープを更に含む。
【0023】
一実施形態によれば、対象者の身体に電気パルスを印加するように機能する電極と、電極を介して対象者に印加される電気パルスを生成するように構成され、電気パルスを生成するのに十分な電荷を蓄積するように構成される電気回路を含む、電気パルス生成器とを含む、電気パルスを対象者に印加するように構成される蘇生装置が更に提供される。
【0024】
いくつかの実施形態において、蘇生装置は、対象者のバイタルサインを測定するように構成される少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの処理ユニットとを更に含み、少なくとも1つの処理ユニットは、少なくとも1つのセンサによって測定されるバイタルサインを監視し、バイタルサインの監視に従ってハウジング及び電極が対象者上に適切に配置されていると判定し、どの処置を対象者に施さなければならないかを判定し、対象者に施されるべき処置を指示する通知を生成し、提供される処置及び対象者の状態のリアルタイムな連続するフィードバックを与えるように構成される。
【0025】
一実施形態によれば、コントローラと、スイッチと、インダクタと、充電回路と、充電回路に電気的に接続されるとともに、充電回路によって供給されるエネルギーを蓄積するようになっているコンデンサアレイとを含み、コントローラが、スイッチを制御して、インダクタにエネルギーを蓄積させ、エネルギーを充電回路に放電させるようになっている、電気パルスを生成するための電気回路が更に提供される。
【0026】
いくつかの実施形態では、コントローラがコントローラ・ゲートドライバチップであり、インダクタが薄型ブーストインダクタであり、充電回路が複数の相互接続された充電コンデンサ及びダイオードである。
【0027】
いくつかの実施形態では、コントローラチップ、スイッチ、及び充電コンデンサが表面実装部品である。
【0028】
いくつかの実施形態では、回路が薄型AED用の電気パルス生成器を含む。
【0029】
いくつかの実施形態において、コンデンサアレイは、所定量までの二相電気パルスエネルギーを蓄積できる複数の相互接続された個別のエネルギー蓄積コンデンサを含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、コンデンサアレイは、少なくとも100マイクロファラッド及び1.5キロボルトの総静電容量を有し、少なくとも150ジュールのエネルギー蓄積を行う。
【0031】
前述の例示的な態様及び実施形態に加えて、図面を参照して以下の詳細な説明を検討することによって更なる態様及び実施形態が明らかになる。
【0032】
開示された主題のいくつかの非限定的で例示的な実施形態又は特徴が以下の図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】特定の例示的な実施形態に係る、電気パルスを印加するために対象者に接続される蘇生装置を示す。
【
図2A】特定の例示的な実施形態に係る様々な構成の蘇生装置を概略的に示す。
【
図2B】特定の例示的な実施形態に係る様々な構成の蘇生装置を概略的に示す。
【
図2C】特定の例示的な実施形態に係る様々な構成の蘇生装置を概略的に示す。
【
図3】特定の例示的な実施形態に係る、蘇生装置の動作のためのシステムを概略的に示す。
【
図4】特定の例示的な実施形態に係る、電気パルス生成器を充電するように構成される
図3の蘇生装置の電気回路を概略的に示す。
【
図5】特定の例示的な実施形態に係る、
図4の電気回路のコンデンサアレイを概略的に示す。
【
図6】特定の実施形態に係る、蘇生装置をモバイル装置と接続するための方法の動作の概要を示す。
【
図7】例示的な実施形態に係る、電気パルスを対象者に印加するための方法の動作の概要を示す。
【
図8】特定の例示的な実施形態に係る、蘇生装置を作動させるための方法の動作の概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
1つ以上の図面に現れる同一の、重複する、同等の、又は類似の構造、要素、又は部分は、一般に、同じ参照番号で、任意選択的に、類似の実体間又は実体の変形同士の間を区別するための更なる1つ又は複数の文字でラベル付けされ、また、繰り返しラベル付け及び/又は説明されなくてもよい。
【0035】
図に示される構成要素及び特徴の寸法は、提示の便宜又は明確さのために選択され、必ずしも原寸に比例して又は真の観点で示されない。便宜上又は明確にするために、いくつかの要素又は構造は、示されず、或いは、部分的にのみ及び/又は異なる観点で又は異なる視点からのみ示される。既に提示された要素への言及は、それらが現れる図面又は説明を必ずしも更に引用することなく暗示される。
【0036】
本明細書では、特定の例示的な実施形態に係る、蘇生を施すためのシステム及び方法が開示される。
【0037】
図1は、特定の実施形態に係る、対象者185に電気パルスを印加するための蘇生装置100を概略的に示す。蘇生装置100は、不整脈の突発事象中に対象者185の身体190上に配置される電極120、125を含む。蘇生装置100は、電極120、125を介して選択された形状及びサイズの電気パルスを身体190に通過させるように構成される。電極120、125は、リード線121、126によってそれぞれ蘇生装置100に接続される。いくつかの実施形態において、電極120、125は、身体190に取り付けられたときにバイタルサインを測定するように構成され、それにより、
図3に関連して更に説明されるように、処置提供者(図示せず)が対象者185の状態を監視するとともに求められる必要な処置及び電気パルスを印加する必要があるかどうかを判定することを容易にする。蘇生装置100は、
図3及び
図7に関連して説明されるように、処置提供者によって操作されるモバイル装置170と、矢印175によって表わされるように通信するべく構成される。
【0038】
図2A~
図2Cは、特定の例示的な実施形態に係る蘇生装置100を概略的に示す。
図2Aは、特定の実施形態に係るハウジング200を有する蘇生装置100を示す。ハウジング200は、それが使用されていないときに蘇生装置100の便利な運搬及び保管を行うように構成される。いくつかの実施形態において、ハウジング200は、例えばバッテリの交換のために電源315(
図3)へのアクセスを行うように或いは蘇生装置を電気ソケットなどの外部電源に接続するように構成される電力アクセスポート205を含む。ハウジング200は、蘇生装置100が使用されていないときにハウジング200を閉じてハウジングが開くのを防止するように構成されるクリップ210を含む。
【0039】
図2Bは、特定の例示的な実施形態に係る蘇生装置100の開放形態を示す。蘇生装置100の動作の前に、ハウジングが開かれて、電極120、125、リード線121、126、ユーザインタフェース220などを格納するための215の参照符号が付された内部格納領域が露出される。内部格納領域215は、リード線125、126を蘇生装置100に接続するためのコネクタ240を含む。
【0040】
図2Cは、特定の実施形態に係るユーザインタフェース220を示す。ユーザインタフェース220は、電源ボタン225、パルス印加ボタン230、及び、蘇生装置100を動作させるための指示を処置提供者に与えるための指示インタフェース235を含む。指示インタフェース235は、蘇生装置100に関する動作手順を示す写真、図などを含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、蘇生装置100は、ハウジング200の開放又は電源ボタン225の関与を介して、低電力モードに及び低電力モードから切り換えるように構成される。蘇生装置100は、最初に電源が投入されると、一連の電力試験を実行し、その後、電極120、121が対象者190に取り付けられるのを待つ。
【0042】
図3は、特定の例示的な実施形態に係る、蘇生装置100の構成要素を概略的に示す。蘇生装置100は、1つ以上のプロセッサ300と、通信ユニット305と、指示ユニット310と、電源315と、電気パルス生成器320とを含む。電極120、125は、電極120、125が身体190(
図1)に取り付けられるときに対象者185(
図1)のバイタルサインを測定するように構成される、一般に302、304の参照符号が付される1つ以上のセンサを含む。いくつかの実施形態において、バイタルサインは、心拍数、血圧、呼吸数などを含むことができる。
【0043】
通信ユニット305は、矢印175によって表わされるように、モバイル装置170と接続して通信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、モバイル装置170は、認可された処置提供者によって操作される。通信ユニット305は、リアルタイムでバイタルサインをモバイル装置170に連続的に送信し、モバイル装置170からコマンド、例えば、対象者190に電気パルスを印加するためのコマンドを受信するように構成され得る。
【0044】
モバイル装置170は、蘇生装置100から受信されるバイタルサインを表示するように構成されるモバイルユーザインタフェース325を提示するためにモバイル装置170によって実行されるアプリケーションを含むことができる。モバイルユーザインタフェース325は、処置提供者が対象者に電気パルスを印加するためのコマンドを入力することができる入力部を含むことができる。いくつかの実施形態において、モバイルユーザインタフェース325は、処置提供者が蘇生装置100を操作するのを支援するアプリケーションによって提供されるチュートリアルビデオを示すディスプレイを含むことができる。いくつかの実施形態において、モバイル装置170は、蘇生装置100の操作を支援するためのオーディオチュートリアルを与えることができる。
【0045】
指示ユニット310は、対象者185上への電極120、125の配置のため及び対象者185への電気パルスの印加のための音声及び視覚指示を与えるように構成され得る。電気パルス生成器320は、電極120、125を介して対象者185に印加される電気パルスを生成する。
【0046】
プロセッサ300は、
図4~
図5に関連して説明したように、蘇生装置を動作させてモバイル装置170との通信を調整するように構成される。
【0047】
電気パルス生成器320は、好ましくは、電気パルスを生成するためのコンデンサに取って代わるべくコンデンサ平坦パックアレイ405(
図4)を含むように構成される。次に、特定の実施形態に係る電気パルス生成器320の電気回路600を概略的に示す
図4を参照する。
【0048】
いくつかの実施形態において、蘇生装置100は、ケース200(
図2)がいつ開かれるかを検出するように構成されるケースセンサ325も含むことができる。蘇生装置100は、ケース200が閉じたままである間、ハイバネーションモードのままであり得る。そのような実施形態では、ケース200が開放されると、ケースセンサ325は、蘇生装置100をハイバネーションモードからスリープモードに切り換えるケース200の開放を検出する。スリープモード中、蘇生装置100は、定期的な自己テストを実行し、電極120、125からの微小電流又は他の信号を検出するのを待つことができる。微小電流又は任意の他の所定の状態が検出されると、蘇生装置100は、電気パルスを印加することができる完全動作モードに切り換わることができる。いくつかの実施形態において、電気パルス生成器320は、蘇生装置100がスリープモードに切り換わった時点で電気パルスとして使用するための電荷の充電を自動的に開始する。
【0049】
特定の例示的な実施形態に係る、対象者185に印加されるべき電気パルスを生成するように構成される電気パルス生成器320の例示的な電気回路400を概略的に示す
図4を参照する。電気回路400は、コントローラ・ゲートドライバチップ410と、薄型ブーストインダクタ420と、半導体スイッチ430と、複数の充電コンデンサ450と、複数の並列交互方向充電ダイオード460と、出力エネルギー蓄積コンデンサアレイ405とを含む薄型充電回路を概略的に表わす。電気回路400は、処置電荷をその中に蓄積して貯留できるようにするべく構成され、除細動中に対象者185(
図1)への二相電気パルス放電を容易にし、それによって対象者185を洞調律に戻す。放電されると、電気回路400は、電気パルス生成器320によって送達され得る後続の電気パルス放電のために出力エネルギー蓄積コンデンサアレイ405を再充電することができる。
【0050】
この回路設計は、可搬式AED又は他の用途に使用されるかどうかにかかわらず、そのような薄型フォームファクタを必要とする任意の電気パルス生成器のための「超薄型」充電トポロジを可能にする。多数のダイオード460及び充電コンデンサ450を使用し、多くのAEDのパルス生成器に一般に見られる変圧器を充電回路用のブーストインダクタ420に置き換えることは、回路全体の高さを低くする(物理的プロファイルを低くする)ことができるため有利である。1つの主な理由は、インダクタ420が、両方とも巻線を伴うという点で変圧器と構造が類似しているが、この回路設計では他の設計よりも少ないエネルギーを蓄積する必要があり、単一の巻線のみから成るのに対して、より大きな変圧器が少なくとも2つの巻線を必要とすることである。この薄型構成要素は、充電回路400を収容するための低い高さを可能にする。いくつかの実施形態において、電気回路400内の他の構成要素は、好ましくは非常に薄型の「表面実装」構成要素である。
【0051】
図5は、特定の例示的な実施形態に係る電気回路400のコンデンサアレイ405をより詳細に概略的に示す。コンデンサアレイ405は、複数の直列及び並列接続された個別コンデンサ500間に必要な二相電気パルスエネルギーを蓄積するように構成される。いくつかの実施形態において、コンデンサアレイ405は、150ジュールの二相電気パルスエネルギーを蓄積する。単一のコンデンサは、電気パルス生成器320における全ての電気的要件を満たすことができるが、コンデンサアレイ405は、単一のコンデンサよりも可撓な電気パルス生成器320全体のパッケージングを容易にし、それによって、蘇生装置100のサイズ寸法の縮小を更に可能にし、非常にコンパクトで携帯可能な設計を可能にする。
【0052】
図4に戻ると、回路400においてこれらの省スペース設計を組み合わせることにより、電気パルス生成器320、ひいては蘇生装置100のフォームファクタを非常にコンパクトにすることができる。例えば、いくつかの実施形態において、充電回路400を伴って設計された蘇生装置100は、1~1.5インチの範囲内の高さ、6~6.50インチの範囲内の長さ、及び3.6~3.65インチの範囲内の幅を有することができる。
【0053】
動作中、コントローラチップ410は、スイッチ430を制御してオンにし、それにより、ブーストインダクタ420に電流を通過させ、インダクタ420の磁場に蓄積されるエネルギーをもたらす。その後、コントローラ410は、スイッチ420をオフにし、それにより、インダクタ420が複数の充電ダイオード460を通じて充電コンデンサ450に放電できるようにする。コントローラチップ410は、蓄積コンデンサアレイ405に蓄積する出力電圧を監視し、スイッチ430のデューティサイクルを調整して、出力電圧、したがってコンデンサアレイ405に蓄積されるエネルギーを調整する。
【0054】
コンデンサアレイ405は、電気パルスエネルギーの必要なエネルギー蓄積及び貯蔵を行うように構成される、所定数のコンデンサ500、本実施形態では12個のコンデンサのアレイを含む。例えば、コンデンサアレイ405は、9~16の範囲内のいくつかのコンデンサ500を含むことができる。いくつかの用途において、アレイ500内の蓄積コンデンサの数は、少なくて2個、多くても64個以上であってもよい。図示のようにコンデンサアレイ405が12個のコンデンサ500を含む特定のケースでは、各コンデンサ500は、それぞれ140マイクロファラッド(「μF」)の静電容量及び425ボルト(「V」)の電圧定格を有することができ、それにより、約150ジュールのエネルギー貯蔵をもたらすために105μF及び1.7キロボルト(「kV」)の総静電容量を達成する。
【0055】
図3に戻って参照する。モバイル装置170は、処置提供者などのモバイル装置170のユーザに、処置提供者が蘇生装置100と通信して対象者185のバイタルサイン及び状態を監視できるようにするユーザインタフェース325を提供するアプリケーションを実行することができる。ユーザインタフェース325は、蘇生装置100の動作を容易にするとともに処置提供者が蘇生装置100にコマンドを与えることができるようにするビデオ指示及び音声指示を処置提供者に提示することができる。例えば、処置提供者は、ユーザインタフェース325を介して電気パルスを印加するように蘇生装置100に指示することができる。ユーザインタフェース325は、蘇生装置100を正しく動作させるための段階的な指示、例えば、各指示ステップの後に提供者にそのステップを実行する時間を与えるビデオ指示及び音声指示をユーザに提供する指示ビデオ提示を表示することができる。蘇生装置100は、ステップの実行に関するリアルタイムのフィードバックをモバイル装置100に提供することができ、また、ユーザインタフェース178は、処置提供者に更なる指示材料を提供し、指示ステップを繰り返し、又は処置提供者の実行に従って次のステップに進むことができる。
【0056】
ここで
図6を参照すると、特定の実施形態に係る、蘇生装置100(
図1)をモバイル装置170(
図1)に関連付けるためにプロセッサ300(
図3)によって実行される工程の概要が示される。救急サービスが蘇生装置100の動作を必要とする医学的な緊急事態を通知されると、救急サービスは、処置提供者に突発事象を通知することができ、処置提供者はそこに派遣される。それに従って処置提供者を蘇生装置100付近に派遣することができ、これは、蘇生装置100を位置ベースのクラウドソーシングプラットフォームに登録する又は任意の従来の地理的位置特定技術と組み合わせて、都市、地域、州などの所定のエリア内の医療サービスに登録することによって決定され得る。
【0057】
処置提供者が蘇生装置100から所定の距離内にいるとき、プロセッサ300は、モバイル装置170が蘇生装置100から所定の距離内にあるかどうかを検出する工程600を実行する。プロセッサ300は、例えば、蘇生装置100の近くのモバイル装置から受信されるピング(pings)から、モバイル装置170が蘇生装置100から所定の距離内にあるかどうかを検出する。例えば、この距離は、蘇生装置100の位置から半径1メートル以内とすることができる。
【0058】
工程605において、プロセッサ300は、モバイル装置170からの認証情報を通信ユニット305から受信する。通信ユニット305は、
図3と関連して説明したように、モバイル装置170から認証情報を受信する。
【0059】
工程610において、プロセッサ300は、蘇生装置100とモバイル装置170との間の通信を可能にするために必要な許可をモバイル装置170が有するかどうかを判定する。いくつかの実施形態において、プロセッサ300は、モバイル装置170から受信される認証情報を記憶された認証情報と比較する。記憶された認証情報は、例えば、製造中、最初の起動中などの医学的な緊急事態前に蘇生装置100に登録される認証情報となり得る。記憶された認証情報は、市、地区などの所定のエリア内の全ての処置提供者に関する認証情報を含むことができ、或いは、赤十字、応急処置応答者などの所定の組織のものとし得る。特定の実施形態では、登録をクラウドソーシングプラットフォームを介して達成することができる。
【0060】
認証情報が記憶された認証情報と一致する場合、プロセッサは、蘇生装置100とモバイル装置170との間の通信175(
図1)を可能にするステップ615を実行する。認証情報が記憶された認証情報モバイル装置170と一致しない場合、プロセッサ300は、モバイル装置170の蘇生装置へのアクセスを拒否するステップ620を実行する。
【0061】
特定の例示的な実施形態において、複数のモバイル装置は、蘇生装置100との通信を可能にする認証情報を有することができる。そのような場合、認証の階層を蘇生装置100で記憶することができ、プロセッサ300は、モバイル装置170の優先順位を判定するために任意選択敵なステップ625を実行する。モバイル装置170の優先順位に従って、プロセッサ300は、モバイル装置170の認証情報に基づく認証の階層に従って、モバイル装置170を他のモバイル装置よりも優先し、ステップ430を実行して、最も高い優先順位を有するモバイル装置170との通信を可能にする。
【0062】
工程635において、プロセッサ300は、蘇生装置100の動作のための指示材料の出力を開始する。プロセッサ300がコマンドを通信ユニット305に提供し、通信ユニット305がコマンドをモバイル装置170に送信する。コマンドを受信すると、モバイル装置170は、モバイル装置170のアプリケーションにおける指示提示を開始する。指示提示は、対象者185上に電極120、125(
図1)を適切に配置させるように且つ対象者190に電気パルスをいつ印加するかをモバイル装置170のユーザに案内するビデオ指示及び/又は音声提示の形態となり得る。
【0063】
図7は、例示的な実施形態に係る、対象者に処置を施すためのプロセッサ300(
図3)によって実行される工程の概要を示す。
【0064】
工程700において、プロセッサ300は、電極120、125(
図1)内のセンサ302、304(
図3)から受信するバイタルサインを監視する。いくつかの実施形態において、センサ302、304は、シール被覆電極120、125が除去された時点で作動する。
【0065】
工程705において、プロセッサ300は、電極120、125(
図1、
図3)が対象者185(
図1)上の指定された位置に配置されたかどうかを判定する。プロセッサ300は、電極120、125内のセンサ302、304によって測定されるバイタルサインに従って電極120、125の適切な位置を判定する。
【0066】
工程708において、プロセッサ300は、電極120、125が指定された位置に配置されているかどうかをユーザに知らせるモバイル装置170のための通知を生成する。プロセッサ300は通知を通信ユニット305に転送し、通信ユニット305は通知をモバイル装置170に送信する。いくつかの実施形態において、通知は、ユーザインタフェース325(
図1)を介してアクセス可能である。通知は、電極120、125が指定された位置に適切に配置されていること又は電極が適切に配置されておらず且つ指定された位置に移動されなければならないことをユーザに通知することができ、その後、プロセッサ300は、電極120、125が適切に配置されるまで工程500、505、508を実行する。
【0067】
工程710において、プロセッサ300は、バイタルサインをモバイル装置170に送信するように通信ユニット310を動作させ、バイタルサインは、その後、ユーザインタフェース325上に表示される。プロセッサ300は、通信ユニット305(
図3)を動作させて、センサ302、304により測定されたバイタルサインをモバイル装置170にリアルタイムで送信し続ける。モバイル装置に送信されたバイタルサインの監視を通じて、処置提供者は、対象者の状態を評価し、処置の最良の経過を判定することができる。
【0068】
工程712において、プロセッサ300は、対象者185の状態を評価し、処置推奨を生成する。プロセッサ300は、バイタルサインを解析し、それによって対象者185の状態の評価を行う。いくつかの実施形態において、解析は、センサ302、304によって得られたバイタルサインを対象者185と比較することによって達成され、対象者185に必要な処置を判定する。例えば、プロセッサ300は、対象者185が不整脈を患っており、したがって電気パルスを対象者185に印加しなければならないと定めることができる。
【0069】
工程715において、プロセッサ300は、通信装置305によってモバイル装置170に送信される、対象者にとって必要な処置を指示する通知を生成する。
【0070】
工程725において、プロセッサ300は、電気パルスを対象者185に印加することを処置印加者に通知するためのパルス印加通知を生成する。通知は、通信ユニット305によってモバイル装置170に送信されてユーザインタフェース325に表示され、それにより、能力を伴う処置提供者は、電気パルスを印加するためのコマンドを与えることができる。
【0071】
工程730において、プロセッサ300は、対象者325に電気パルスを印加するためのコマンドを受信する。
【0072】
工程740において、プロセッサ300は、対象者190に電気パルスを印加する。プロセッサ300は、電極120、125を介して対象者185に印加される電気パルスを生成するように電気パルス生成器169を動作させる。電気パルスの印加後、プロセッサ300は、必要に応じて工程710、712、715及び工程725、730を連続的に実行する。
【0073】
図8は、特定の例示的な実施形態に係る、蘇生装置100(
図1)を起動させるための方法の工程を概説する。工程800において、プロセッサ300(
図3)は、起動動作が行われたかどうかを検出する。蘇生装置100は、ケース200(
図2)が密閉されたままである限り、ハイバネーションモードのままであるように構成される。ケースセンサ325(
図3)は、ケース200が開かれることを検出し、プロセッサ300に信号を送信する。
【0074】
工程805において、プロセッサ300はスリープモードに切り換わる。プロセッサ300は、ケース200が開かれるという検出を受信した後、ハイバネーションモードからスリープモードに切り換わる。スリープモード中、プロセッサ300は、アクティブモードに切り換わるようにプロセッサ300に信号を送る微小電流の検出を受信するのを待つ。いくつかの実施形態において、スリープモード中、プロセッサ300は、定期的な内部診断テストを実行して、蘇生装置100の適切な動作を確保し、電気パルス生成器320(
図3)を動作させて、電気パルスを印加するために使用することができる電荷の充電を開始する。
【0075】
工程810では、プロセッサ300が微小電流を検出する。いくつかの実施形態において、微小電流は、カバー(図示せず)が電極120、125(
図1)から取り外されるとき、電極120、125がパック(図示せず)から取り外されるとき、プラスチックライン(図示せず)が電極120、125から取り外されるときなどに、センサ302、304(
図3)によって検出することができる。
【0076】
工程815では、プロセッサ300がアクティブモードに切り換わる。微小電流が検出されると、プロセッサ300はアクティブモードに切り換わり、アクティブモードは、電気パルスを印加する形態で蘇生装置100の動作を開始し、対象者185(
図1)のバイタルサインを監視し、モバイル装置170(
図1)と通信するなどする。
【0077】
工程820では、プロセッサ300が緊急医療サービスに連絡する。
【0078】
工程825において、プロセッサは、緊急医療サービスにGPS位置メッセージを送信する。
【0079】
本開示のいくつかの実施形態との関連において、「動作」又は「実行」などの用語は、限定ではなく例として、「動作可能」又は「実行可能」などの能力もそれぞれ意味する。
【0080】
例として、「物特性」などの複合用語は、その文脈から別段明らかに明白でなければ、その物の特性を意味する。
【0081】
「プロセッサ」又は「コンピュータ」という用語或いはそのシステムは、本明細書では、場合によってはメモリ又は通信ポートなどの更なる要素を備える汎用プロセッサ又はマイクロプロセッサ、RISCプロセッサ、或いはDSPなど、当該技術分野の通常の文脈として使用される。任意選択的に又は付加的に、「プロセッサ」又は「コンピュータ」という用語或いはそれらの派生語は、提供された又は組み込まれたプログラムを実行することができる及び/又はデータ記憶装置及び/又は入力ポート及び出力ポートなどの他の装置を制御及び/又はアクセスすることができる装置を示す。また、「プロセッサ」又は「コンピュータ」という用語は、場合によってはメモリなどの1つ以上の他のリソースを共有する接続された及び/又はリンクされた及び/又は通信する複数のプロセッサ又はコンピュータも示す。
【0082】
「ソフトウェア」、「プログラム」、「ソフトウェア手順」又は「手順」又は「ソフトウェアコード」又は「アプリケーション」という用語は、その文脈に応じて置き換え可能に使用されてもよく、一般にアルゴリズム及び/又は他のプロセスもしくは方法を表わす一連の動作を実行するための1つ以上の命令又は指令又は回路を意味する。プログラムは、RAM、ROM、又はディスクなどの媒体に記憶され、又は、プロセッサもしくは他の回路などの装置によってアクセス可能且つ実行可能な回路に埋め込まれる。
【0083】
プロセッサ及びプログラムは、任意選択的にプロセッサ又は他の回路を備える又はそれとリンクされるプログラムされた一連の動作を実行するように設計される、FPGA又はASICなどの電子ゲートのアレイなど、少なくとも部分的に同じ装置を構成することができる。
【0084】
コンピュータ化された装置又はコンピュータ化されたシステムという用語又は同様の用語は、1つ以上のプログラムに従って動作可能又は動作する1つ以上のプロセッサを備える装置を示す。
【0085】
本明細書で使用されるモジュールは、限定を伴うことなく、同じユニット上又は異なるユニット上の1つ以上の他の部品と動作する又は相互作用するプログラムの一部、或いは、1つ以上の他の部品と相互作用するための電子部品又はアセンブリなどのシステムの一部を表わす。
【0086】
本明細書で使用されるプロセスは、限定を伴うことなく、特定の目的又は結果を達成するための一群の動作を表わす。
【0087】
本明細書で使用される「サーバ」という用語は、1つ以上の他の装置にデータ及び/又は1つもしくは複数の動作サービスを提供するコンピュータ化された装置を示す。
【0088】
目的のための「設定」及び/又は「適応」という用語或いはその変形は、その目的を達成するように設計される及び/又は実装される及び/又は動作可能である又は作用する少なくともソフトウェア及び/又は電子回路及び/又は補助装置を使用することを意味する。
【0089】
プログラム及び/又はデータを記憶する及び/又は含むデバイスは、製品を構成する。別段に定められなければ、プログラム及び/又はデータは、持続性媒体内又は持続性媒体上に記憶される。
【0090】
電気機器又は電子機器が開示される場合、その動作のために適切な電源が使用されることが想定される。
【0091】
フローチャート及びブロック図は、本開示の主題の様々な実施形態に係るシステム、方法及びコンピュータプログラムプロダクトの想定し得る実装のアーキテクチャ、機能性又は動作を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、定められた論理機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又はプログラムコードの一部を表わすことができる。いくつかの別の実施態様では、図示又は説明された動作が、同じ又は同等の効果を達成するために順次動作の代わりに異なる順序で又は組み合わせて又は同時動作として行われてもよいことにも留意すべきである。
【0092】
以下の特許請求の範囲における全てのミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素の対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に特許請求の範囲に記載された、他の特許請求の範囲に記載された要素と組み合わせて機能を果たすための任意の構造、材料、又は動作を含むことが意図される。本明細書中で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さなければ、複数形も含むことが意図される。「備える」及び/又は「備えている」及び/又は「有する」という用語は、この明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は付加を排除しないことが更に理解され得る。
【0093】
本明細書中で使用される、目的のための「設定」及び/又は「適応」という用語或いはその変形は、その目的を達成するように設計される及び/又は実装される及び/又は動作可能である又は作用する態様で材料及び/又は構成要素を使用することを意味する。
【0094】
別段明記しなければ、大きさ又は数値に関する「約」及び/又は「近い」という用語は、それぞれの大きさ又は値の-10%~+10%の包括的な範囲内を意味する。
【0095】
別段明記しなければ、長さなどの寸法又は範囲に関する「約」及び/又は「近い」という用語は、それぞれの寸法又は範囲の-10%~+10%の包括的な範囲内を意味する。
【0096】
別段明記しなければ、「約」又は「近い」という用語は、物体の他の部分又は領域に対する物体の位置又は部分の領域にある又は領域内にある或いは位置又は部分に近いことを意味する。
【0097】
値の範囲が記載されている場合、それは、単に便宜上又は簡潔さのためであり、全ての想定し得る部分範囲並びにその範囲の境界内及びその境界付近の個々の数値を含む。任意の数値は、別段明記しなければ、実施形態又は方法を可能にする実用的な近い値も含み、整数値は分数値を除外しない。部分範囲値及び実用的な近い値は、具体的に開示された値と見なされるべきである。本明細書で使用される、2つの実体又は値の間の省略符号(...)は、実体又は値のそれぞれの包括的な範囲を示す。例えば、A...Zは、包括的にAからZまでの全ての文字を意味する。
【0098】
本明細書で使用される用語は、別段明記しなければ、限定するものとして理解されるべきではなく、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、開示された主題を限定することを意図するものではない。開示された主題の特定の実施形態を図示して説明してきたが、本開示が本明細書に記載の実施形態に限定されないことは明らかである。多数の修正、変更、変形、置換及び均等物は排除されない。以下の特許請求の範囲における用語は、限定を伴うことなく、本明細書において特徴付けられる又は記載されるものとして解釈されるべきである。
【国際調査報告】