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特表2023-523265トラックにおけるモータースポーツイベントを表すインタラクティブなハイブリッド環境を制御するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】トラックにおけるモータースポーツイベントを表すインタラクティブなハイブリッド環境を制御するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/65 20140101AFI20230526BHJP
   A63F 13/803 20140101ALI20230526BHJP
   A63F 13/57 20140101ALI20230526BHJP
【FI】
A63F13/65
A63F13/803
A63F13/57
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564587
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-06
(86)【国際出願番号】 GB2021051008
(87)【国際公開番号】W WO2021214496
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】2006084.4
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2020297.4
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522414006
【氏名又は名称】アイ アール キネティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】I R KINETICS LIMITED
【住所又は居所原語表記】29 Rostle Top Road, Earby, Lancashire, BB18 6NJ, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガードナー, デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー, アンドリュー
(57)【要約】
トラックにおけるモータースポーツイベントを表すインタラクティブなハイブリッド環境を制御するコンピュータ実装方法を記載する。インタラクティブなハイブリッド環境は、トラックにおける実車両及び仮想車両の表現を含む。この方法は、現実のセンサデータのストリームを受信するステップであって、現実のセンサデータは、トラックにおける赤外線センサによってキャプチャされた、トラック上の実車両の現実の運動学的データと、車両センサによってキャプチャされ実車両からテレメトリーシステムを介して得られた、実車両のドライバーによる制御に関する現実の制御データと、を含むステップと、現実の運動学的データを用いて、インタラクティブなハイブリッド環境内の実車両の表現の位置及び運動学的挙動を判定するステップと、現実の制御データに基づいたトラック上の実車両の位置のブラックボックス判定を生成するために、現実の制御データ及び現実の運動学的データを用いるステップと、インタラクティブなハイブリッド環境をユーザに提示し仮想車両の表現の運動学的挙動を制御するためのユーザ入力をキャプチャするコンピュータとのユーザインタラクションによって得られる、コンピュータ生成制御データのストリームを受信するステップと、ブラックボックス判定及びコンピュータ生成制御データを用いることによって、インタラクティブなハイブリッド環境内での仮想車両の表現の位置及び運動学的挙動を判定するステップと、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックにおけるモータースポーツイベントを表すインタラクティブなハイブリッド環境を制御するコンピュータ実装方法であって、前記インタラクティブなハイブリッド環境は前記トラック上の実車両及び仮想車両の表現を含み、前記方法は、
現実のセンサデータのストリームを受信するステップであって、前記現実のセンサデータは、
a.前記トラックにおける赤外線センサによってキャプチャされた、前記トラック上の実車両の現実の運動学的データと、
b.車両センサによってキャプチャされ前記実車両からテレメトリーシステムを介して得られた、ドライバーによる前記実車両の制御に関する現実の制御データと、を含むステップと、
前記現実の運動学的データを用いて、前記インタラクティブなハイブリッド環境内の前記実車両の表現の位置及び運動学的挙動を判定するステップと、
前記現実の制御データに基づいた前記トラック上の前記実車両の位置のブラックボックス判定を生成するために、前記現実の制御データ及び前記現実の運動学的データを用いるステップと、
前記インタラクティブなハイブリッド環境をユーザに提示し仮想車両の表現の運動学的挙動を制御するためのユーザ入力をキャプチャするコンピュータとのユーザインタラクションによって得られる、コンピュータ生成制御データのストリームを受信するステップと、
前記ブラックボックス判定及び前記コンピュータ生成制御データを用いることによって、前記インタラクティブなハイブリッド環境内での前記仮想車両の表現の位置及び運動学的挙動を判定するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記現実のセンサデータは、前記トラック上の複数の実車両の現実の運動学的データと、前記複数の実車両のそれぞれのドライバーによる制御に関する現実の制御データと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記複数の実車両のうちの各実車両の前記現実のセンサデータは、車両識別子を含む、請求項2に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記コンピュータ生成制御データのストリームは、コンピュータ生成データの複数のストリームを含み、各ストリームは、各コンピュータとの異なるユーザインタラクション及び各ユーザ入力のキャプチャによって生成される、請求項2又は3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記コンピュータ生成データの複数のストリームのうちのそれぞれの、コンピュータ生成制御データのストリームは、コンピュータ装置識別子を含む、請求項4に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記複数の実車両は、前記コンピュータ生成データの複数のストリームよりも少なく、前記方法は、前記仮想車両の複数の表現のうちのサブセットを1台の実車両の表現と関連付けて、関連付けられた表現を生成するステップをさらに含む、請求項2~4のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記関連付けられた表現を使用して、前記仮想車両の複数の表現のうちのサブセットを、前記サブセットの仮想車両の位置が前記実車両の許容限度内にある間、前記インタラクティブなハイブリッド環境内で表すステップをさらに含む、請求項6に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記コンピュータ生成データの複数のストリームは、前記複数の実車両よりも複数倍も多く、前記関連付けるステップは、複数のコンピュータ生成データのそれぞれを前記実車両の複数の表現に、平均分布で関連付けるステップを含む、請求項6又は7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記コンピュータ生成データの複数のストリームは、前記複数の実車両よりも複数倍も多く、前記関連付けるステップは、前記複数のコンピュータ生成データのそれぞれを前記実車両の複数の表現に、対数分布で関連付けるステップを含む、請求項6又は7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記インタラクティブなハイブリッド環境を、受信した前記現実のセンサデータ及び前記コンピュータ生成データによって決定されるような前記実車両及び仮想車両の表現の新たな位置により更新するステップと、
更新された前記インタラクティブなハイブリッド環境を生成するステップと、
更新された前記インタラクティブなハイブリッド環境を、中央サーバから、遠隔に配置された複数のコンピュータにブロードキャストするステップと、をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記ブラックボックス判定及び前記現実のセンサデータを、中央サーバから、遠隔に配置された複数のコンピュータにブロードキャストするステップと、
前記インタラクティブなハイブリッド環境を、遠隔に配置された各コンピュータにおいて生成するステップと、
前記インタラクティブなハイブリッド環境を、受信した前記現実のセンサデータ及び前記コンピュータ生成データによって決定されるような前記実車両及び仮想車両の表現の新たな位置により更新するステップと、
前記仮想車両の表現の新たな位置を前記中央サーバに送信するステップと、をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記コンピュータ生成制御データと結果として得られた前記仮想車両の位置との関連性を、前記ブラックボックス判定を参照する人工知能エンジンを使用して変化させるステップをさらに含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
受信した前記現実の運動学的データは、トラックに対する縦方向位置データ、トラックに対する横方向位置データ、及び、トラックに対する車両方位データを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記現実の制御データは、前記実車両の1つ又は複数のステアリングホイール位置、加速装置位置、ブレーキペダル位置、及び、ギア選択を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
前記現実のセンサデータが生成された時の前記現実のセンサデータのコピーを記憶したデータ記憶装置から、前記現実のセンサデータを回収するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項16】
前記受信するステップは、前記現実のセンサデータを、スポーツイベントが行われている時にほぼリアルタイムで受信するステップを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項17】
前記現実のセンサデータのストリームは少なくとも25Hzのサンプリングレートを有し、ある時点において前記実車両の位置がキャプチャされ、キャプチャされてから40ミリ秒以内に前記インタラクティブなハイブリッド環境に提供される、請求項1~16のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項18】
前記現実のセンサデータのストリームは少なくとも60Hzのサンプリングレートを有し、ある時点において前記実車両の位置がキャプチャされ、キャプチャされてから16.7ミリ秒以内に前記インタラクティブなハイブリッド環境に提供される、請求項1~16のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項19】
前記インタラクティブなハイブリッド環境を生成するために、記憶されたデータモデルを用いるステップをさらに含む、請求項1~18のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項20】
前記実車両からビデオデータのストリームを受信し、前記ビデオデータのストリームを前記インタラクティブなハイブリッド環境に含めるステップをさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項21】
前記実車両から音響データのストリームを受信し、前記ビデオデータのストリームを前記インタラクティブなハイブリッド環境に含めるステップをさらに含む、請求項1~20のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項22】
前記仮想車両の表現の位置が前記実車両の表現の位置の所定の閾値内にある時点において、前記複数の仮想車両のうちの1台の仮想車両の表現を前記複数の実車両のうちの1台の実車両の表現に関連付けて、前記実車両の表現を前記インタラクティブなハイブリッド環境における前記仮想車両の表現として使用するステップをさらに含む、請求項2に記載の、又は、請求項2に従属する請求項3~21のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項23】
前記関連付けるステップは、前記実車両から受信された前記音響データ又は前記ビデオデータのストリームを、前記インタラクティブなハイブリッド環境をユーザに提示するコンピュータに提供することを作動させる、請求項20又は21に従属する請求項22に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項24】
前記仮想車両の表現の位置が前記実車両の表現の位置の所定の閾値の外側にある時点において、前記複数の仮想車両のうちの1台の仮想車両の表現と前記複数の実車両のうちの1台の実車両の表現との関連付けを解除し、前記仮想車両の表現を、前記インタラクティブなハイブリッド環境内で、前記実車両の表現とは別に提示するステップをさらに含む、請求項22又は23に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項25】
前記実車両の表現に関連付けられた任意の仮想車両の詳細を、遠隔に位置する第三者のコンピュータに提供するステップをさらに含む、請求項22~24のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項26】
各実車両は1組の性能特徴を備え、前記方法は、前記複数の実車両のうち、前記仮想車両の表現の最も近くに配置された1台の実車両の表現を決定し、前記最も近い実車両の表現の1組の性能特徴を、前記仮想車両の性能特徴として導入するステップをさらに含む、請求項2に記載の、又は、請求項2に従属する請求項3~25のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項27】
前記赤外線センサを用いて前記トラック上の前記実車両の位置データをキャプチャし、前記位置データを、時間と共に現実の運動学的データのストリームに変換し、前記現実の運動学的データのストリームをリアルタイムで中央サーバに送信するステップをさらに含む、請求項1~26のいずれか1項に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項28】
前記キャプチャするステップは、前記トラックの異なる位置を監視するセンサ群を用いて前記位置データをキャプチャすることを含み、各センサ群の各センサは、前記センサの視野(FOV)内の前記トラック上で動作する1つ又は複数の車両から放射された、反射された、又は、送信された赤外線放射を検出する、請求項27に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項29】
赤外線センサによって検出された前記赤外線放射を処理して、前記トラック上で動作している1つ又は複数の実車両の運動学的データを判定するステップをさらに含む、請求項28に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項30】
トラックにおけるモータースポーツイベントを表すインタラクティブなハイブリッド環境を制御するためのコンピュータシステムであって、前記インタラクティブなハイブリッド環境は前記トラック上の実車両及び仮想車両の表現を含み、前記システムは、
現実のセンサデータのストリームを受信するための受信機であって、前記現実のセンサデータは、前記トラック上の実車両の現実の運動学的データと、ドライバーによる前記実車両の制御に関する現実の制御データとを含み、前記現実の運動学的データは、前記トラックにおける赤外線センサによってキャプチャされたものであり、前記現実の制御データは、車両センサによってキャプチャされ前記実車両からテレメトリーシステムを介して得られたものである、受信機と、
前記インタラクティブなハイブリッド環境をユーザに提示し前記仮想車両の表現の運動学的挙動を制御するためのユーザ入力をキャプチャするコンピュータとのユーザインタラクションによって得られる、コンピュータ生成制御データのストリームを受信するように構成された仮想レースコマンドプロセッサと、
仮想レースシミュレーションエンジンと、を備え、
前記仮想レースシミュレーションエンジンは、
前記現実の運動学的データを用いて、前記インタラクティブなハイブリッド環境内の実車両の表現の位置及び運動学的挙動を判定するためのレースシミュレーション出力エンジンと、
前記現実の制御データに基づいた前記トラック上の前記実車両の位置のブラックボックス判定を生成するために、前記現実の制御データ及び前記現実の運動学的データを使用するように構成された参照ブラックボックスモデル生成器と、
前記ブラックボックス判定及び前記コンピュータ生成制御データを用いることによって、前記インタラクティブなハイブリッド環境内での前記仮想車両の表現の位置及び運動学的挙動を判定するように構成されたゲーミングブラックボックス実施エンジンと、を含む、コンピュータシステム。
【請求項31】
前記仮想車両の最終的な位置との間の関連性を変化させるように構成された人工知能エンジンをさらに含む、請求項30に記載のコンピュータシステム。
【請求項32】
前記人工知能エンジンは、前記仮想車両の所定の位置を生成するために、受信された前記コンピュータ生成制御データから必要とされる閾値を拡大するように構成されている、請求項31に記載のコンピュータシステム。
【請求項33】
対戦エリアで動作する1つ又は複数の移動体の位置データを中央サーバに提供するための検知システムであって、前記検知システムは複数のセンサ群を含み、各前記センサ群は前記対戦エリアの一部を監視するように構成されており、各前記センサ群は、
前記対戦エリアの周りに配置された複数の位置検知装置を備え、各前記位置検知装置は、前記対戦エリアの、上方の位置とは異なる部分を監視するように構成されており、各前記位置検知装置は、
視野(FOV)を有する赤外線センサであって、前記FOV内の前記対戦エリア上で動作すると共にセンサ出力を生成する1つ又は複数の移動体から放射された、反射された、又は、送信された赤外線放射を検出するための赤外線センサと、
前記赤外線センサのセンサ出力又はこれに由来する情報を、前記位置検知装置のセンサ群の前記複数の位置検知装置のうちの、前記センサ群の通信ノードとして動作する別の1つの位置検知装置に送信するように構成された送信機と、
1つのセンサ群において前記通信ノードとして動作する前記位置検知装置に通信可能に結合された通信設備であって、前記センサ群の各赤外線センサのセンサ出力又はこれに由来する情報を中央照合サーバに送信するように構成された通信設備と、を含む検知システム。
【請求項34】
各前記センサ群は10個以下の位置検知装置を含む、請求項33に記載の検知システム。
【請求項35】
前記センサ群の前記位置検知装置のうちの少なくとも1つは、前記FOV内の前記対戦エリア上で動作している前記1つ又は複数の移動体の現在の運動学的データを少なくとも2つの次元において、前記センサ出力又はこれに由来する情報に基づいて判定するように構成されたプロセッサを含む、請求項33又は34に記載の検知システム。
【請求項36】
前記複数のセンサ群のうちの第1のセンサ群が、前記第1のセンサ群によって判定される前記センサ出力又はこれに由来する情報を、前記複数のセンサ群のうちの第2のセンサ群に中継するように構成されている、請求項33~35のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項37】
前記複数の検知装置のうちの1つ又は複数は、前記対戦エリア上の1つ又は複数の現実の移動体によって放射された熱IRを検出するように構成された長波赤外線(LWIR)マイクロボロメータ又は中波赤外線(MWIR)光子検出カメラを含む、請求項33~36のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項38】
前記複数の検知装置のうちの1つ又は複数は、前記移動体から放射された、又は、反射された、又は、送信された広帯域又は狭帯域の光を検出するための短波赤外線(SWIR)又は近赤外線(NIR)光子検出カメラを含む、請求項33~37のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項39】
前記複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数は、少なくとも60Hzのフレームレートを有する、請求項33~38のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項40】
前記複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数は、対戦エリアの一部に向けられたLED投光照明を含み、前記LED投光照明に由来する反射光を検出するように構成されている、請求項33~39のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項41】
前記複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数は、変調赤外光から成る、前記移動体の赤外線サインを検出するように構成されている、請求項33~40のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項42】
前記複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数は、前記赤外線サインに基づいて、前記移動体の一意の識別子を検出するように構成されている、請求項41に記載の検知システム。
【請求項43】
前記複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数は、前記対戦エリアの縁部において反射又は放射された赤外線放射を検出するように構成されており、前記システムは、検出された前記情報を基準系として使用して、前記移動体の横方向位置を判定する、請求項33~42のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項44】
前記位置検知装置のうちの少なくとも幾つかは、水平面に対して鋭角である視野(FOV)のボアサイトを有するように、かつ、使用時に、移動体が前記対戦エリア内を前進する時に接近してくる移動体に対向するように配置されている、請求項33~43のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項45】
前記複数の位置検知装置のうちの少なくとも幾つかは、20~30度のFOV及び最大50メートルの検出範囲を含む、請求項33~44のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項46】
前記複数の位置検知装置のうちの少なくとも幾つかは、70度のFOV及び最大15メートルの検出範囲を含む、請求項33~45のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項47】
前記センサ出力又はこれに由来する情報用の時間スタンプを提供するGPS受信機をさらに備え、前記システムは、前記時間スタンプを使用して、前記位置検知装置のうちの少なくとも幾つかからのセンサ出力又はこれに由来するデータのための共通の時間規準を確立するように構成されている、請求項33~46のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項48】
前記通信設備は、最小25Hzのリフレッシュ速度で動作して、前記対戦エリア上で動作する前記1つ又は複数の移動体のセンサ出力又はこれに由来する情報を前記中央サーバに提供するように構成されている、請求項33~47のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項49】
前記通信設備は、最小60Hzのリフレッシュ速度で動作して、前記対戦エリア上で動作する前記1つ又は複数の移動体のセンサ出力又はこれに由来する情報を前記中央サーバに提供するように構成されている、請求項33~47のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項50】
前記システムは、前記対戦エリアに沿った縦方向位置、前記対戦エリアを横切る横方向位置、及び、前記移動体の回転方位を判定するように構成されている、請求項33~48のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項51】
センサ群の複数の位置検知装置が連続して配置されており、連続した配置の中間点に位置する位置検知装置が前記センサ群の通信ノードとして機能する、請求項33~50のいずれか1項に記載の検知システム。
【請求項52】
前記移動体は車両を含み、前記対戦エリアはトラックを含む、請求項33~51のいずれか1項に記載の検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックにおけるモータースポーツイベントを表すインタラクティブなハイブリッド環境を制御するためのシステム及び方法に関する。より詳細に言えば、本発明は、遠隔に位置するゲーミングコンピュータや想定し得る他のエンターテイメント装置が現実のモータースポーツイベントと集団対戦するための方法及びシステムに関するが、これらに限定されない。本発明は、ライブモータースポーツイベントから高精度のリアルタイム車両追跡及び車両制御データをリアルタイムでキャプチャ及びライブブロードキャストすることにも及び、当該データを使用して、遠隔に位置するゲーマーがモータースポーツイベントの実際の参加者と競争したり、遠隔に位置する視聴者がそのイベントとインタラクティブに対戦したりすることが可能な新たな形態のゲーミング又は視聴体験を提供することにも及ぶ。正確な運動学的データをキャプチャすることにより、本システム及び方法を、サッカー、バスケットボール、サイクリング及びスキーといった他の種類の屋内及び屋外スポーツイベントの範囲における集団対戦に適用することが可能となる。
【背景技術】
【0002】
プレーヤーが制御するモータースポーツイベントの仮想表現のための実物そっくりなシステム及び方法を提供するために、様々なアプローチが使用されている。それらのうちのほとんどは、完全に仮想であり、ユーザのアクチュエータへの入力に応じた仮想車両の運動学的挙動を判定して見かけ上の現実性を提供しようとする複雑なモデルを使用するものである。この現実性は、多くの場合、レース中の車両の動きを記録することにより得られる現実の運動学的データを使用するモデルを構築することによって提供される。しかしながら、このようなモデルは構築が複雑かつ困難であるだけでなく、不正確な運動学的データに基づいている場合が多い。また、このような従来技術のアプローチは、単独又は少数のプレーヤーに向けられている場合が多く、これは他のプレーヤーとのインタラクションの範囲が非常に限られていることを意味している。これらすべてのことにより、拡張不可能で非現実的なシミュレーション及びゲーミング体験しか実現できない。
【0003】
現実のライブレースにインタラクト(対話)するためのプレーヤーが制御するシミュレーション用のシステム及び方法の規定を試みる公知の従来技術のどれも、世界中の多数のプレーヤー及びフォロワーが現実のドライバー、車、レースチーム、トラック、トラック以外の競争路、及び、イベント環境と同時に集団対戦し、コンピュータゲームプレーヤーにとって満足できるかつ挑戦的であることを証明し、eスポーツトーナメントの集団競争を支援し、ライブモータースポーツイベントにもっと没入して楽しみたいという希望を持つゲームに参加していないフォロワーにこの特徴を提供するような実用的な方法にまでは拡張していない。これらの目的のいずれかを達成すれば、例えば自動車レースの魅力を、従来のテレビ視聴者又は有名ドライバーのファンから、コア層の自動車レースコンピュータゲームファンを介して、「オーバーザトップ(over the top)」のレース及び技術データサービスの消費者までを含むファン層に訴えることが拡大及び強化されるだろう。
【0004】
本願発明者は、正確に車を追跡するシステム、方法、及び、技術を記載する従来技術の英国特許第2518602号Bの著者である。この特許は、幾つかある用途のうち特に、現実のライブ自動車レース(例えば、フォーミュラ1)において、受動的かつ最悪の天候状態を除いて、コンピュータゲーマーにこれらの車のうちの1台を仮想車に置き換えて事実上ライブレースで競争する能力を提供しながら、正確に車を追跡するものである。英国特許第2518602号Bによって提供されるデータは、トラック上の自動車の位置情報に関するものであり、例えばヘリコプタ、ドローン、又は、軽飛行機上といった、レーシングサーキットの上方のかなりの高度(1~2km)に配置された単一のIR追跡センサによって非侵襲的に検知されるような位置情報に関するものである。これは、対戦エリア全体を含む単一のセンサの視野(FOV)に基づくものである。フォーミュラ1を例に挙げると、このアプローチは、FOVが植物(伸びた木)やグランドの観客席により妨害される場合や、市街レーシングサーキットの場合に全ての建物や他の構造物により妨害される場合には、実行できない。したがって、この従来技術のアプローチは、実際の用途においてある程度制限される。
【0005】
プレーヤーに制御された仮想車が、ライブイベントから従来のコンピュータレースゲームに配信されるデータを介して、限定的かつ多少人工的に実車の表現とインタラクトするインゲーム方法を記載する、ライブイベントとインタラクトするビデオゲームが知られている(例えば、米国特許出願公開第2010/0271367号を参照)。仮想車の性能は、プレーヤーの入力、車のソフトウェアモデル、及び、その環境の組み合わせによって決定される。この物理学ベースのモデルは、ビデオゲームソフトウェアの一部であり、自動車レースイベントに典型的な極めて複雑かつ動的なシナリオをシミュレートしようとすることを実現可能な忠実性において、多くの制限を受ける。このことにより、仮想車と実車の表現との間のインタラクションの質が悪くなる。
【0006】
他の従来技術文献(例えば、英国特許出願公開第2365360号A)は、この主要な不備を、コンピュータゲーム内の仮想車の動力学とその環境との物理モデルシミュレーションが、実際の走行から集めたデータによって事前に規定可能である、又は、実車やその環境からライブで送信された性能データからリアルタイムで規定し、その後ゲームプレーヤーによって制御可能な車及びその環境の「最適な物理モデル」を生成可能であると示唆することにとって、解決しようとしている。このアプローチは、極めて高性能の追跡を実現するために記載される現実的な手段がない点で同じ基本的制約を受ける。また、極めて複雑な環境において動作する極めて複雑な自動車に関与する現実のシナリオのソフトウェアモデルが、非常に多くの変数や、変数の極めて複雑な関係式を含むので、より明らかな変数のうちの幾つかを連続的に測定及び使用する場合でも、このモデルは、
a)多くの近似とモデルの不足とにより、現実から極めて速く逸脱する、又は、
b)莫大な量の計算能力を必要とし、場合によっては最も大きなコンピュータにおいてもリアルタイムで動作できない。
【0007】
さらに他の従来技術文献(例えば、米国特許第6155927号)は、コンピュータゲームプレーヤーがライブレース及び記録された現実のレースで競争することを可能にするシステムを抽象的な形で記載しているが、その抽象概念を実際に実現可能にするであろう英国特許第2518602号Bに記載の具体的な方法及びシステムについて何の記載もない。
【0008】
本願発明者も共同著者となっている英国特許出願公開第2585165号Aは、高速道路、車道及び街路の交通網上の普通車、大型トラック等の赤外線(IR)追跡のアプローチを記載している。ここでは、追跡装置が街灯柱といった低い高度にあるインフラストラクチャに配置され、IR放射器が車に配置されて車を検出可能になっているか、又は、代替的にIR反射器が車に配置されており、選択的にIRランプが追跡装置に備えられている。その後、追跡装置によって、車両及びその付近用の高精度のリアルタイム追跡データが車両に通信され、車両のナビゲーション及び自律又は半自律駆動を支援する。追跡装置同士が接続されて信頼性の高い線形ネットワークが形成され、車両が連続的かつ均一に延びた車道に沿って追跡可能となっている。英国特許出願公開第2585165号Aに記載の追跡装置の配置は、本発明に関連しない特徴を有している(例えば、追跡装置から自動車自体への高信頼性データの集合及び配信)。さらにモータースポーツイベントは、典型的に、自動車やオートバイ等といった高性能の車両を、自動車両が極めて高い加速度、速さ、コーナリング速度等で走行する挑戦的な形状(急なカーブ、障害物、傾斜、凸部、ピットストップ等)を有する閉鎖された同質でないサーキットに沿って追跡することを必要とするので、一般に、ゆっくりと動く車両を監視するように構成されている英国特許出願公開第2585165号Aに記載のシステム及び方法は、うまく処理することができないだろう。
【0009】
したがって、本発明の目的は、上述の従来技術文献の制限を克服することにある。また異なる実施形態において、英国特許第2518602号Bに規定されていると共に上記した正確な追跡能力に関する制限を克服することを目的とし、複雑な環境における高性能モータースポーツイベントのために、世界中の多数のプレーヤー及びフォロワーが同時に、インタラクティブな現実仮想自動車レースの集団対戦を行うための、初めて実務上実現可能な改善されたシステム及び方法を提供することを目的とする。また異なる実施形態において、どのように仮想のドライバーが現実のレース及び現実のドライバーとインタラクトしてプレーヤーの体験を強化することができるかを特定し、地方、地域、国、又は、世界的なeスポーツ又は自動車競争レースイベントを、現実のモータースポーツイベント及び競技会と高度に一体化されながら公平に行うことを可能にすることを目的とする。本発明は、競合する車両の運動学的データ及び車両制御データ(場合によってはドライバーの入力)が、英国特許第2518602号Bに規定されたコンピュータゲーミング用の精度及び遅延要件に忠実に、記録又は再構築された現実のモータースポーツイベントについての記録データの生成及び使用にも適用可能である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の一態様によれば、トラックにおけるモータースポーツイベントを表すインタラクティブなハイブリッド環境を制御するコンピュータ実装方法が提供される。インタラクティブなハイブリッド環境はトラック上の実車両及び仮想車両の表現を含み、この方法は、現実のデータのストリームを受信するステップであって、現実のデータは、トラックにおける赤外線センサによってキャプチャされた、トラック上の実車両の現実の運動学的データと、車両センサによってキャプチャされ実車両からテレメトリーシステムを介して得られた、ドライバーによる実車両の制御に関する現実の制御データと、を含むステップと、現実の運動学的データを用いて、インタラクティブなハイブリッド環境内の実車両の表現の位置及び運動学的挙動を判定するステップと、現実の制御データに基づいたトラック上の実車両の位置のブラックボックス判定を生成するために、現実の制御データ及び現実の運動学的データを用いるステップと、インタラクティブなハイブリッド環境をユーザに提示し仮想車両の表現の運動学的挙動を制御するためのユーザ入力をキャプチャするコンピュータとのユーザインタラクションによって得られる、コンピュータ生成制御データのストリームを受信するステップと、ブラックボックス判定及びコンピュータ生成制御データを用いることによって、インタラクティブなハイブリッド環境内での仮想車両の表現の位置及び運動学的挙動を判定するステップと、を含む。
【0011】
運動学的データ及び制御データの両方をインタラクティブなハイブリッド環境に含めるリアルデータの使用は、正確なブラックボックス判定が生成されることを可能にする。これが今度は、受信されたコンピュータ生成制御データ用の参照を提供し、トラック上の実車両の表現に関連して実物そっくりな正確な仮想車両の運動学的制御を可能にする。ユーザがアクチュエータを操作する度合は、ドライバーによる実車両における制御の操作が実車両の運動学的データ(例えば、速さ、方位、加速度及び位置)に影響を与えるのと同じように、例えば仮想車両に与える作用において正確に反映される。これは、従来技術のアプローチでは不可能であった現実性を提供し、仮想ドメイン及び現実ドメインの両方における動きが正確に反映されることを可能にする。さらに、この特徴の組み合わせにより、異なるドメインからの車両の表現が同じく現実的かつ正確に同一のハイブリッド環境に提供される相互運用性の課題が克服される。リアルデータがライブデータである場合、つまり、データがインタラクティブなハイブリッド環境の制御と同時に生じているイベントからストリームされている場合、例えば、本発明は、仮想ドメインにおける仮想のドライバーが、リアルタイムで現実ドメインにおける現実のドライバーと競争することを可能にする。このことは、従来は可能ではなかった。
【0012】
好ましくは、現実のセンサデータは、トラック上の複数の実車両の現実の運動学的データと、複数の実車両のそれぞれのドライバーによる制御に関する現実の制御データと、を含む。本発明の実施形態は、多数の車両の競争挙動が、全体的にキャプチャされること、例えば、フォーミュラ1レースにおいて認識されることを可能にするように構成されている。複数の実車両の挙動を表すリアルデータのストリームを有することは、このような競争環境を生成することを可能にする。各リアルデータストリームは、別々に処理可能であり、一意の車両識別子を含み得る。
【0013】
同様に、コンピュータ生成制御データのストリームは、コンピュータ生成データの複数のストリームを含んでいてよく、各ストリームは、各コンピュータとの異なるユーザインタラクション及び各ユーザ入力のキャプチャによって生成される。これは、多数のユーザがスポーツイベントに関連付けられることを可能にし、有利にも、集団ゲームが実現されることを許容する。各コンピュータ生成データストリームは、別々に処理可能であり、一意のコンピュータ装置識別子を含み得る。
【0014】
好ましくは、複数の実車両は、コンピュータ生成データの複数のストリームよりも少なく、方法は、仮想車両の複数の表現のうちのサブセットを1台の実車両の表現と関連付けて、関連付けられた表現を生成するステップをさらに含む。明らかに、集団ゲーミング環境では、ゲーミングコンピュータ/装置を介して参加しているユーザの数は、レースにおける車両の数をかなり上回っている(なぜなら、典型的には、安全性の理由によりレースに参加できる車両の数には物理的限定が存在するからである)。したがって、2つ以上の仮想車両の表現を単一の実車両の表現に関連付けることによって、任意の数のユーザに対応することが可能となる。これにより、この方法を、仮想ドメインにおける数十万のユーザが現実ドメインにおけるドライバーと同時に競争することが可能な集団ゲームシナリオに拡張することが可能となる。
【0015】
幾つかの実施形態では、この方法は、この関連付けられた表現を使用して、仮想車両の複数の表現のうちのサブセットを、サブセットの仮想車両の位置が実車両の許容限度内にある間、インタラクティブなハイブリッド環境内で表すステップをさらに含む。
【0016】
コンピュータ生成データの複数のストリームは、典型的には、多くの実施形態において複数の実車両よりも複数倍も多く、関連付けるステップは、コンピュータ生成データの複数のストリームのそれぞれを実車両の複数の表現に、平均分布で関連付けるステップを含んでいてよい。コンピュータ生成データの複数のストリームが複数の実車両よりも複数倍も多い他の実施形態では、関連付けるステップは、複数のコンピュータ生成データのそれぞれを実車両の複数の表現に、対数分布で関連付けるステップを含んでいてもよい。いずれの場合も、少ない数の実車両表現しか存在しないインタラクティブなハイブリッド環境において、膨大な数のプレーヤー/ユーザに対応することが可能である。
【0017】
一実施形態では、インタラクティブなハイブリッド環境を生成し、その後これを全てのゲーミング装置に通信ネットワークを介して提供する中央ゲーミングサーバを有することが可能である。この場合、本方法は、インタラクティブなハイブリッド環境を、受信した現実のセンサデータ及びコンピュータ生成データによって決定されるような実車両及び仮想車両の表現の新たな位置により更新するステップと、更新されたインタラクティブなハイブリッド環境を生成するステップと、更新されたインタラクティブなハイブリッド環境を、中央サーバから、遠隔に配置された複数のコンピュータにブロードキャストするステップと、をさらに含んでいて良い。主要な解決策は、より大きな処理能力を必要とし得るが、更新及び制御は比較的容易である。
【0018】
代替的な一実施形態では、各ユーザ/プレーヤーのゲーミング装置が、インタラクティブなハイブリッド環境をローカルに生成し、このような生成されたローカル環境が複数存在する。この場合、本方法は、ブラックボックス判定及び現実のセンサデータを、中央サーバから、遠隔に配置された複数のコンピュータにブロードキャストするステップと、インタラクティブなハイブリッド環境を、遠隔に配置された各コンピュータにおいて生成するステップと、インタラクティブなハイブリッド環境を、受信した現実のセンサデータ及びコンピュータ生成データによって決定されるような実車両及び仮想車両の表現の新たな位置により更新するステップと、仮想車両の表現の新たな位置を中央サーバに送信するステップと、をさらに含んでいてよい。このような分散された解決策は、より多くの管理を必要とし得るが、潜在的な障害には悩まされることはなく、概して、インタラクティブなハイブリッド環境の生成における時間遅延又はタイムラグの影響は受けない。
【0019】
幾つかの実施形態では、本方法は、コンピュータ生成制御データと結果として得られた仮想車両の位置との関連性を、ブラックボックス判定を参照する人工知能エンジンを使用して変化させるステップをさらに含む。このような人工知能エンジンの使用は、プレーヤーの仮想車両の制御において各プレーヤーに支援が提供されることを可能にする。このような支援は、弱い仮想ゲーマーが現実ドメインにおけるプロのドライバーと公正に競争することを可能にするハンディキャップ要因を提供可能である。
【0020】
ほとんどの実施形態では、受信された現実の運動学的データは、トラックに対する縦方向位置データ、トラックに対する横方向位置データ、及び、トラックに対する車両方位データを含む。これらの種類のデータが、車両の運動学的挙動が仮想ドメイン中に正確にマップされることを可能にする。
【0021】
幾つかの実施形態では、現実の制御データは、実車両の1つ又は複数のステアリングホイール位置、加速装置位置、ブレーキペダル位置、及び、ギア選択を含む。これらは、典型的な制御データであり、その情報がテレマティックスシステムによって提供され、制御データは、実車両のトラック位置を判定するドライバー制御入力を判定することを支援する。また有利にも、これらのデータは、仮想の世界においてプレーヤーによって制御され得る対応するアクチュエータに容易に関連付けられ得る。
【0022】
異なる実施形態が、異なる源からのリアルデータからインタラクティブなハイブリッド環境を生成する。一実施形態では、この源は、以前に記録されたリアルデータの格納装置である。したがって、この方法は、現実のセンサデータが生成された時の現実のセンサデータのコピーを記憶したデータ記憶装置から、現実のセンサデータを回収するステップをさらに含んでいてよい。代替的な一実施形態では、この源はスポーツイベント自体であり、この場合、受信するステップは、現実のセンサデータを、スポーツイベントが行われている時にほぼリアルタイムで受信するステップを含む。
【0023】
一実施形態では、現実のセンサデータのストリームは少なくとも25Hzのサンプリングレートを有し、ある時点において実車両の位置がキャプチャされ、キャプチャされてから40ミリ秒以内にインタラクティブなハイブリッド環境に提供される。これは、25Hzの最小リフレッシュ速度で動作する仮想ドメイン内での現実ドメインのリアルタイムの実現を可能にする。より詳細に言えば、幾つかの実施形態では、現実のセンサデータのストリームは少なくとも60Hzのサンプリングレートを有し、ある時点において実車両の位置がキャプチャされ、キャプチャされてから16.7ミリ秒以内にインタラクティブなハイブリッド環境に提供される。このリフレッシュ速度は、典型的には、ほとんどのコンピュータモニターにおいて設けられているものであり、したがって、仮想ドメイン内でのリアルタイムイベントの高品質の表現を支援する。
【0024】
インタラクティブな仮想環境の生成を支援するために、本方法は、記憶されたデータモデルを用いるステップをさらに含んでいてよい。これによって、仮想環境をプレーヤーにとってより現実的なものにすることが可能である。
【0025】
さらに、実車両からビデオ及び音響データストリームを受信して、インタラクティブなハイブリッド環境を強化することが可能である。この場合、本方法は、実車両からビデオデータ又は音響データのストリームを受信し、ビデオデータ又は音響データのストリームをインタラクティブなハイブリッド環境に含めるステップをさらに含む。
【0026】
集団ゲームを促進するためには、幾つかの実施形態において、本方法は、仮想車両の表現の位置が実車両の表現の位置の所定の閾値内にある時点において、複数の仮想車両のうちの1台の仮想車両の表現を複数の実車両のうちの1台の実車両の表現に関連付けて、実車両の表現をインタラクティブなハイブリッド環境における仮想車両の表現として使用するステップをさらに含む。これは、有利にも、膨大な数の仮想車両が、膨大な数の仮想車両の表現でスクリーンを取り散らかさずに、インタラクティブなハイブリッド環境に含まれることを可能にする。実際、この形態の表現は、場合によっては何百万のプレーヤーを限られたスクリーンサイズ内に含むモータースポーツイベントをどのように提示するかの技術的問題を解決する。さらに、世界中の何百万のコンピュータゲームプレーヤー及び他のファンとモータースポーツイベントとをライブで関連付けるという課題は、本実施形態のうちの幾つかによって解決される。これは、ゲーマー及び視聴者にとって挑戦的、満足する、かつ、面白いインタラクティブな体験であって、プロのゲームプレーヤーを益々引き付けるeスポーツイベントにとって重要である、全てのプレーヤーを、現実仮想自動車レースイベントの一体化された一部として、公正に管理及び順位付けすることが可能なインタラクティブな体験を提供することが可能である。
【0027】
音響及び/又はビデオデータが実車両から提供されている幾つかの実施形態では、関連付ける(ここでは、「スナップ」することとも呼ばれる)ステップは、実車両から受信された音響データ又はビデオデータのストリームを、インタラクティブなハイブリッド環境をユーザに提示するコンピュータに提供することを作動させてよい。これは、特定の実車両によって体験されている景色や音を仮想ドメイン内に提供して、インタラクティブなハイブリッド環境をより現実的にすることを可能にする。
【0028】
幾つかの実施形態では、本方法は、仮想車両の表現の位置が実車両の表現の位置の所定の閾値の外側にある時点において、複数の仮想車両のうちの1台の仮想車両の表現と複数の実車両のうちの1台の実車両の表現との関連付けを解除し、仮想車両の表現を、インタラクティブなハイブリッド環境内で実車両の表現とは別に提示するステップをさらに含む。これは、仮想車両の表現が、実車両表現と一致しない場合に、仮想車両の表現が表示されることを可能にし、これによって、実車両の表現に対する仮想車両の実際の位置が、プレーヤーに視認できるようにし、インタラクティブなハイブリッド環境内での実車両の表現の間の移行を可能にする。
【0029】
幾つかの実施形態では、インタラクティブなハイブリッド環境の態様が、後述の通りに、実車両と関連するチームに中継されることも可能である。この場合、本方法は、実車両の表現に関連付けられた任意の仮想車両の詳細を、遠隔に位置する第三者のコンピュータに提供するステップをさらに含んでいてよい。
【0030】
幾つかの実施形態では、仮想車両の性能と、近傍に配置された実車両の表現の性能とを一致させることが可能である。各実車両が異なる1組の性能特徴を有する場合、より公正なゲームが可能になる。この実施形態では、本方法は、複数の実車両のうち、仮想車両の表現の最も近くに配置された1台の実車両の表現を決定し、最も近い実車両の表現の1組の性能特徴を、仮想車両の性能特徴として導入するステップをさらに含む。
【0031】
幾つかの実施形態では、赤外線センサを用いてトラック上の実車両の位置データをキャプチャし、位置データを、時間と共に現実の運動学的データのストリームに変換し、現実の運動学的データのストリームをリアルタイムで中央サーバに送信するステップをさらに含む。
【0032】
好ましくは、トラックの異なる位置を監視するセンサ群を用いて位置データをキャプチャすることを含み、各センサ群の各センサは、センサの視野(FOV)内のトラック上で動作する1つ又は複数の車両から反射された、又は、送信された赤外線放射を検出する。この構成は、インタラクティブなハイブリッド環境のための後述する正確なリアルタイム情報を提供するためには、特に都合がよい。
【0033】
幾つかの実施形態では、本方法は、赤外線センサによって検出された赤外線放射を処理して、トラック上で動作している1つ又は複数の実車両の運動学的データを判定するステップをさらに含む。好ましくは、この処理は、各センサで実施され、少量のデータがインタラクティブなハイブリッド環境において使用するために送信されることを可能にする。
【0034】
本発明の他の一態様によれば、トラックにおけるモータースポーツイベントを表すインタラクティブなハイブリッド環境を制御するためのコンピュータシステムが提供される。 インタラクティブなハイブリッド環境はトラック上の実車両及び仮想車両の表現を含み、システムは、現実のセンサデータのストリームを受信するための受信機であって、現実のセンサデータは、トラック上の実車両の現実の運動学的データと、ドライバーによる実車両の制御に関する現実の制御データとを含み、現実の運動学的データは、トラックにおける赤外線センサによってキャプチャされたものであり、現実の制御データは、車両センサによってキャプチャされ実車両からテレメトリーシステムを介して得られたものである、受信機と、インタラクティブなハイブリッド環境をユーザに提示し仮想車両の表現の運動学的挙動を制御するためのユーザ入力をキャプチャするコンピュータとのユーザインタラクションによって得られる、コンピュータ生成制御データのストリームを受信するように構成された仮想レースコマンドプロセッサと、
仮想レースシミュレーションエンジンと、を備え、仮想レースシミュレーションエンジンは、現実の運動学的データを用いて、インタラクティブなハイブリッド環境内の実車両の表現の位置及び運動学的挙動を判定するためのレースシミュレーション出力エンジンと、現実の制御データに基づいたトラック上の実車両の位置のブラックボックス判定を生成するために、現実の制御データ及び現実の運動学的データを使用するように構成された参照ブラックボックスモデル生成器と、ブラックボックス判定及びコンピュータ生成制御データを用いることによって、インタラクティブなハイブリッド環境内での仮想車両の表現の位置及び運動学的挙動を判定するように構成されたゲーミングブラックボックス実施エンジンと、を含む。
【0035】
このコンピュータシステムは、幾つかの実施形態において、仮想車両の最終的な位置との間の関連性を変化させるように構成された人工知能エンジンをさらに含んでよい。人工知能エンジンは、幾つかの実施形態において、仮想車両の所定の位置を生成するために、受信されたコンピュータ生成制御データから必要とされる閾値を拡大するように構成されていてもよい。
【0036】
以下に詳細に説明するように、本発明の実施形態の幾つかは、世界中のモータースポーツコンピュータゲームの何百万のプレーヤーが、何らかのエンターテインメント目的で、現実のライブモータースポーツイベントと同時にインタラクトするシステム及び方法に関する。何らかのエンターテインメントには、コンピュータゲーミング、eスポーツトーナメント、ストリーミング、観戦、ギャンブルや、一般的な強化モータースポーツとのファンの関与を強化することが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態は、特定のパラメータに応じて、実車のうちの1台とデジタル対を形成して、車から車に移行すること又はさらなる車として動作することによって、コンピュータゲームプレーヤーがレースを開始することを可能にする。用語「車」及び「車両」は、本明細書では、互いに置き換え可能に使用されており、あらゆる車両のより広い意味を有していることは理解されよう。1台の車と対を形成する場合、動的ブラックボックスシミュレーションの方法を用いて仮想車の性能をその環境において、緊密かつ信頼性を有して一致させることが可能であり、したがって、コンピュータゲームプレーヤーと現実のドライバーとの間に現実的、挑戦的、楽しい、かつ、公正なコンテントを提供する。その後、1人のプレーヤーのためのシステム及び方法が、何百万のプレーヤー用の拡大されたシステム及び方法の基本を形成して、現実のイベントと同時にかつ競争してインタラクトする。コンピュータゲームをプレイするのではなく、単にモーターレースを観戦している参加者が、モータースポーツイベントとより強く関与してインタラクトすることを可能にするために、当該システム及び方法を使用してもよい。視聴者及びコンピュータゲーマーと様々な範囲のスポーツとの関与を強化するために、当該システム及び方法を使用してもよい。
【0037】
概して、発明の実施形態は、モータカーレース(例えば、フォーミュラ1)における高精度のリアルタイム車両追跡データをキャプチャ及びライブブロードキャストし、これによって、コンピュータゲーマーとプロのドライバーとの間の真に公正、競争的、及び、楽しいレースを可能にすると共に、広範囲の他の観戦及びエンターテインメントの強化機能を可能にするための公知の従来技術に対する改善に関する。この改善は、ライブイベントにおいて競争するかなりの数の高性能車両の、任意のモータースポーツ会場から追跡データをキャプチャ及びライブブロードキャストし、ブロードキャストされたデータがリアルタイムで十分に正確であり、コンピュータゲーム及び他のエンターテインメントメディアが、ライブデータであろうと以前に記録されたデータであろうと、これと一体化しこれを利用することを可能にするために適したフォーマットであるようにすることを含み、これによって、コンピュータゲーミング体験を強化し、及び/又は、ユーザが選択可能な視点、顧客に合わせたストリーミング、ユーザに焦点をあてた広告、ライブのギャンブル等といった追加的な利点をモータースポーツ主催者やファンに提供する。特定の実施形態では、ライブで関連付けられたレースにおいて競争すると同時に、ゲーマーは、レースの開始時に選択された実車を、レース中に異なる実車に変更する、又は、さらなる車、所定の特定のパラメータとして動作し、これによってゲーマーが、レース中に自分が居ることが分かった任意の位置で、その能力を他の車のドライバーと一致させることが許可される。選択肢を選択して新たな実車に変更する際には、ゲーマーの車の能力を新たな実車に一致させ、再び、新たな現実のドライバーとの公正かつ競争的なレースが確立される。そして、ここに記載するシステム及び方法は、無制限の数のゲーマーが魅力的で公正かつ競争的な方法で参加することを可能にすることに拡張される。特定の状況では、ゲーマーは他の仮想車を見てインタラクトすることも可能であるが、全ての状況において、当該システム及び方法は、仮想環境における無制限の数のゲーマーと現実の環境における現実のドライバーとの間の公正かつ競争的なレースを可能にする。これらを一体化したものを、インタラクティブなハイブリッド環境と呼ぶ。ここに記載するシステム及び方法は、他のスポーツイベントにも適用可能であり、多数の代表例を記載する。
【0038】
したがって本発明の実施形態は、有利にも、インタラクティブな現実仮想自動車レースイベントのためのシステム及び動作方法を提供する。これによって、システム及び方法を使用する時に、仮想環境(インタラクティブなハイブリッド環境)を使用する任意の数の参加者は、
a)全ての体験及び技能レベルの個々の仮想のドライバーとして、及び、現実のドライバーと場合によっては制限された数の他の仮想のドライバー(仮想のドライバーの総数は最大で現実のドライバーの数である任意の数)との間で、互換性のあるライブモータースポーツイベントにおいて、現実的、満足する、挑戦的、かつ公正な方法で競争することによって、又は、
b)ライブの競争的モータースポーツイベントと、現実的、満足の行く、挑戦的、かつ公正な方法で高度に一体化された、大量のマルチプレーヤーで開催されるeスポーツコンピュータゲーミングイベント、又は、他の何らかの(多くの場合、友人や関係者間で自己管理された)コンピュータゲーミングイベント若しくは活動において競争することによって、又は、
c)本実施形態のシステム及び方法を用いる観察者として含まれることにより、そのライブの観戦又はライブのストリーミング体験を強化することによって、
現実のライブイベント及び現実のドライバーとインタラクトすることが可能である。
【0039】
本発明の他の一態様によれば、対戦エリアで動作する1つ又は複数の移動体の位置データを中央サーバに提供するための検知システムが提供される。検知システムは複数のセンサ群を含み、各センサ群は対戦エリアの一部を監視するように構成されており、各センサ群は、対戦エリアの周りに配置された複数の位置検知装置を備え、各位置検知装置は、対戦エリアの、上方の位置とは異なる部分を監視するように構成されており、各位置検知装置は、視野(FOV)を有する赤外線センサであって、FOV内の対戦エリア上で動作すると共にセンサ出力を生成する1つ又は複数の移動体から放射された、反射された、又は、送信された赤外線放射を検出するための赤外線センサと、赤外線センサのセンサ出力又はこれに由来する情報を、当該位置検知装置のセンサ群の複数の位置検知装置のうちの、当該センサ群の通信ノードとして動作する別の1つの位置検知装置に送信するように構成された送信機と、1つのセンサ群において通信ノードとして動作する位置検知装置に通信可能に結合された通信設備であって、センサ群の各赤外線センサのセンサ出力又はこれに由来する情報を中央照合サーバに送信するように構成された通信設備と、を含む。
【0040】
幾つかの実施形態では、各センサ群は10個以下の位置検知装置を含む。位置検知装置の数を最小化することは、有利にも、データ送信の遅延とさらなる通信経路が必要となることによるシステムの複雑性との間の最適なバランスを確保する。
【0041】
一群の幾つかの実施形態では、センサ群の位置検知装置のうちの少なくとも1つは、FOV内の対戦エリア上で動作している1つ又は複数の移動体の現在の運動学的データを少なくとも2つの次元において、センサ出力又はこれに由来する情報に基づいて判定するように構成されたプロセッサを含む。この特徴は、システムの周りに送信されることになるデータ量の低減を大きく改善することが可能であり、センサ出力は通信ノードに送信される前に処理されるため、これによって、情報送信速度を上昇させることが可能である。
【0042】
幾つかの実施形態では、複数のセンサ群のうちの第1のセンサ群が、第1のセンサ群によって判定されるセンサ出力又はこれに由来する情報を、複数のセンサ群のうちの第2のセンサ群に中継するように構成されている。
【0043】
様々な実施形態では、複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数は、複数の検知装置のうちの1つ又は複数は、対戦エリア上の1つ又は複数の現実の移動体によって放射された熱IRを検出するように構成された長波赤外線(LWIR)マイクロボロメータ又は中波赤外線(MWIR)光子検出カメラを含んでいてよい。また、複数の検知装置のうちの1つ又は複数は、移動体から放射された、又は、反射された、又は、送信された広帯域又は狭帯域の光を検出するための短波赤外線(SWIR)又は近赤外線(NIR)光子検出カメラを含んでいてよい。
【0044】
好ましくは、非常に高速で早く動く車両を正確に検出するために、複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数は、少なくとも60Hz、より好ましくは少なくとも100Hzのフレームレートを有していてよい。これは、典型的には25Hz~60Hzの最小ゲーミングリフレッシュ速度と比べても遜色がない。
【0045】
好ましくは、幾つかの実施形態では、複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数は、赤外線サインに基づいて、移動体の一意の識別子を検出するように構成されている。これは、位置検知装置の同じFOV内で追跡されている多数の移動体が存在する追跡目的のためには極めて有用である。一意の識別名は、移動体上の放射器からの変調IR信号であってよく、異なる各移動体は異なる変調信号を有する。
【0046】
複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数の他の選択的特徴は、対戦エリアの一部に向けられたLED投光照明を含み、LED投光照明に由来する反射光を検出するように構成されている。実車両のこのような照明は、照明が暗く悪天候の条件において復元力をより提供する。幾つかの実施形態では、複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数は、変調赤外光から成る、車両の赤外線サインを検出するように構成されている。このような変調は、変化しやすい環境要因に対してさらなる復元力を提供し、有利にも、距離測定をより正確に行うことも可能にする。
【0047】
相対位置判定を支援するために、複数の位置検知装置のうちの1つ又は複数は、対戦エリアの縁部において反射又は放射された赤外線放射を検出するように構成されていてもよく、システムは、検出された情報を基準系として使用して、移動体の横方向位置を判定することができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、位置検知装置は、接近してくる実車両に対向するように向けられていてもよい。実車両の赤外線サインをキャプチャするために、これらは水平及び垂直方向に対して角度を成して配置されていてもよい。より詳細に言えば、これらの実施形態では、位置検知装置のうちの少なくとも幾つかは、水平及び垂直面に対して鋭角である視野(FOV)のボアサイト(中心線)を有するように、かつ、使用時に、移動体が対戦エリア内を前進する時に接近してくる移動体に対向するように配置されている。異なる構成が可能であり、したがって、幾つかの実施形態では、複数の位置検知装置のうちの少なくとも幾つかは、20~30度のFOV及び最大50メートルの検出範囲を含む。他の実施形態では、複数の位置検知装置のうちの少なくとも幾つかは、70度のFOV及び最大15メートルの検出範囲を含む。
【0049】
幾つかの実施形態において、当該システムは、GPS受信機をさらに備えている。GPS受信機は、センサ出力又はこれに由来する情報用の時間スタンプを提供し、当該システムは、時間スタンプを使用して、位置検知装置のうちの少なくとも幾つかからのセンサ出力又はこれに由来するデータのための共通の時間規準を確立するように構成されている。
【0050】
上述のように、幾つかの実施形態において、通信設備は、最小25Hzのリフレッシュ速度で動作して、対戦エリア上で動作する1つ又は複数の移動体のセンサ出力又はこれに由来する情報を中央サーバに提供するように構成されている。このリフレッシュ速度を使用すると、(例えば最大220mphで動作する)高速車両の追跡を可能にする十分な解像度のデータが提供され、及び、これらの運動学的データがインタラクティブなハイブリッド環境に提供される。しかしながら、より好ましい一実施形態では、通信設備は、最小60Hzのリフレッシュ速度で動作して、対戦エリア上で動作する1つ又は複数の移動体のセンサ出力又はこれに由来する情報を中央サーバに提供するように構成されている。このリフレッシュ速度の使用は、ほとんどのコンピュータゲーミングモニターの使用に合致するので、例えばインタラクティブなハイブリッド環境内での移動体の動きの実物そっくりな現実の表現を提供することの一助となる。
【0051】
各位置検知装置のプロセッサは、幾つかの実施形態において、対戦エリアに沿った縦方向位置、対戦エリアを横切る横方向位置、及び、移動体の回転方位を判定するように構成されている。
【0052】
幾つかの実施形態において、センサ群の複数の位置検知装置が連続して配置されており、連続した配置の中間点に位置する位置検知装置がセンサ群の通信ノードとして機能する。この構成は、位置検知装置間の通信ホップを通信ノードに短縮する。したがって、例えば、9個のセンサの群では、5番目のセンサが通信ノードであり、任意の位置検知装置のセンサ出力又はこれに由来する情報にとって、通信ノードに達するまでのホップの最大数は、4ホップである。
【0053】
モータースポーツイベントの実施形態では、移動体は車両を含み、対戦エリアはトラックを含む。
【0054】
本発明の他の一態様によれば、トラックにおけるモータースポーツイベントを表すインタラクティブなハイブリッド環境を生成及び制御するためのシステムが提供される。インタラクティブなハイブリッド環境は、トラック上の実車両及び仮想車両の表現を含み、システムは、上述のコンピュータシステムと上述の検知システムとの組み合わせを含む。
【0055】
本発明の他の一態様によれば、トラックの仮想表現上で1人又は複数のユーザに動作される仮想車両の更新された位置を、トラック上の1つ又は複数の物理的な車両からのデータを用いて判定するコンピュータ実装方法が提供される。この方法は、プロセッサにおいて、1つ又は複数のユーザに動作される仮想車両のそれぞれを、1つ又は複数の物理的な車両のうちの1つに関連付けるステップと、プロセッサにおいて、1つ又は複数の物理的な車両のトラック上の第1の時間における位置を示す初期位置データを受信するステップと、プロセッサにおいて、トラックの仮想表現上の1つ又は複数のユーザに動作される仮想車両のそれぞれについての初期位置データを、それが関連付けられている物理的な車両の初期位置データに基づいて判定するステップと、プロセッサにおいて、1つ又は複数の物理的な車両のトラック上の第2の時間における位置を示す位置データ、1つ又は複数の物理的な車両のそれぞれについてのドライバー入力データ、及び、1つ又は複数のユーザに動作される仮想車両の動作を制御するためのユーザ入力を連続的に受信するステップと、連続的に受信した位置データ、ドライバー入力データ及びユーザ入力に基づいて、1つ又は複数のユーザに動作される仮想車両の第3の時間における位置を判定するステップと、を含む。
【0056】
本発明の幾つかの実施形態は、特に、市街、都会、又は、大都会に関わらず任意の種類の環境において世界的に開催され得るレーシングイベントで、同質でないレーシングサーキットの周りを極めて高速に移動する車両によって求められる、データ遅延及び多数の車両からのデータの調整についての追跡能力を提供する。具体的には、これらの実施形態は、如何に、現実のドライバーの追跡を、複雑で雑然とした市街地ベースのトラックで、トンネルや隣接する建物、及び、他の障害物が単一視線かつ高高度のIRセンサによる追跡を妨げるトラックの周りで同時に実現可能であるかを特定するものである。本発明を実施するシステムは、コンピュータ、通信、及び、コンピュータソフトウェアを含むセンサハードウェアの特定のアーキテクチャを特徴とする。これら全ては、単独で構成されているか、又は、構成可能かつ広範囲のモータースポーツ会場に有利に配置可能であり、全ての競争車両が、車両をその性能限界まで強いるように調整された様々な構成及び環境において複雑なレーシングサーキットの周りを同時に追跡可能なようになっている。個々のレーシングサーキットに合わせて構成された設備及びソフトウェアの各アーキテクチャは、少なくとも形状が現実のレーシングサーキットである極めて代表的なコンピュータベースのモデル内における、現実の全競争車両の正確な位置を示すリアルタイムの単一の動的データストリームを配信可能である。このデータストリームは、インターネットや他の通信技術を介して何百万のコンピュータゲーミング装置に同時に配信される際の正確性、遅延性、及び、場合によっては表現の忠実性の他の態様において好適である。コンピュータゲーミング装置は、以下に記載する方法の幾つか又は全てを実施し、典型的にはモータースポーツに関連するコンピュータゲームをプレイするため、又は、商業的又は他のサプライヤーによって提供されるデジタルデータストリームを介したモータースポーツイベント又は記録を体験するために従来参加者が使用する任意の範囲のコンピュータハードウェアを含む。
【0057】
本実施形態は、以下の英国特許第2,585,165Aに記載の技術に対する強化策を提供する。これによって、複雑な環境における高性能モータースポーツ車両を追跡するという困難な課題に対処することができ、ブロードキャスト及び使用に好適なゲーミング及び他のエンターテインメント環境に適した、全競争相手のための高精度かつリアルタイムの追跡データを同時に含む単一の一体化されたリアルタイムデータストリームを構築するアーキテクチャに構成される。ここに記載の追跡装置のIR検知能力は、英国特許第2,585,165Aに記載のものを含むが、英国特許第2,585,165Aに記載の熱IR追跡技術が本願に含まれることは、英国特許第2,518,602Bに記載の技術の範囲を超え、その熱IRサインだけに基づいてモータースポーツ車両を追跡する能力を可能にする。
【0058】
上述の実施形態の特徴は、様々な方法で組み合わせ可能であり、特に他の記載が無い限り、以下に示す本発明の実施形態の具体的な説明に追加することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明がより容易に理解されるために、以下に添付の図面を例として説明する。
図1】本発明の一実施形態を含む三部ゲーミング環境を示す概略図であり、三部とは、複数のゲーミング装置、1つのゲーミングサーバ、及び、1つのライブイベントデータキャプチャシステムを含む。
図2図1のゲーミングサーバをより詳細に示す概略図である。
図3a図1のライブイベントデータキャプチャシステムから受信したリアルデータのフォーマットを示す概略的なブロック図である。
図3b図1のゲーミングコンピュータ/装置から受信した仮想レースコマンドのフォーマットを示す概略的なブロック図である。
図4図1のゲーミングサーバの動作方法を示すフロー図である。
図5図1のゲーミングサーバに置き換わる、本発明の他の一実施形態のゲーミング及びエンターテインメントサーバを示す概略図である。
図6】異なる種類のIRセンサの位置を示す、モナコグランプリルートマップの平面図である。
図7a】レーシングサーキットの極めて代表的かつコンピュータベースのデータモデルを生成するための、本実施形態で使用される想定可能な2つの戦略を示す概略図である。
図7b】レーシングサーキットの極めて代表的かつコンピュータベースのデータモデルを生成するための、本実施形態で使用される想定可能な2つの戦略を示す概略図である。
図8】本発明の一実施形態に係る、レーシングトラックの周りのセンサ配列及びそのそれぞれの視野を示す3次元図をまとめて示す図である。
図9図1のセンサ群、及び、レーシングトラックの周りのより詳細な当該センサ群とそのそれぞれの視野との間の通信構成を示す3次元図である。
図10a】1人のプレーヤーだけによるビデオゲームに関連付けられた、24台の実車と24人の現実のドライバーとを含むフォーミュラ1モーターレースの初期構成を示す概略的な平面図であり、これらの実車は、そのスタート位置に割り当てられているか、又は、プレーヤーによってそのスタート位置として選択されている。
図10b】トラック上の実車両表現及びプレーヤーのシミュレートされた車両を示す概略的な平面図であり、プレーヤーのシミュレートされた車両は、瞬時位置において、及び、場合によっては速さ、速度及び加速度といった他の属性において実車両表現から既知量だけそれている。
図11a】シミュレートされた車が3つの最も近い実車表現の間に配置されている、レーシング状況の概略的な平面図である。
図11b図11aのレーシング状況の続きであって、少し後の、シミュレートされた車が前進して、先行する実車表現に近づいた状況を示す概略的な平面図である。
図11c】より長い時間間隔後の、図11bのレーシング状況の概略的な平面図であり、シミュレートされた車が先導する実車表現に近づいている、サーキットの別の部分における図である。
図12a】レースのスタート構成を示すスタート位置の概略的な平面図であり、当該レースは、1000万人のビデオゲームプレーヤーを有するeスポーツ又はオンラインゲーミングレースにライブで関連付けられると共に一体化され、スタート位置に均一に分散された24台の実車を含む。
図12b図12aに示される構成に対する代替的なスタート構成を示すスタート位置の概略的な平面図であり、ここでは、1億人のビデオゲームプレーヤーが対数的に分散されて、最高位の仮想車だけが先導する実車に関連付けられている。
図13】24台の実車とそれぞれが1台の実車に関連付けられた多数のコンピュータゲームプレーヤーとのレースの途中までのレーシング状況を示す図である。
図14】ブラックボックス動的シミュレーション方法の原理を説明するための、ライブイベントデータキャプチャサーバによって送信される様々なパラメータを時間の経過と共に示すグラフである。
図15図2の仮想レースシミュレーションエンジンをより詳細に示す概略図である。
図16】さらなる代替的な一実施形態に係る分散処理システムの、図1のゲーミング装置を示す概略的なブロック図である。
図17図16のゲーミング装置と共に使用するための分散処理システムの、図1のゲーミングサーバを示す概略的なブロック図である。
図18a図16のゲーミング装置において使用するための、ライブイベントデータキャプチャシステムから受信したリアルデータのフォーマットを示す概略的なブロック図である。
図18b図16のゲーミング装置から受信した仮想車位置データのフォーマットを示す概略的なブロック図である。
図19図17の仮想レース管理エンジンをより詳細に示す概略的なブロック図である。
図20図16のゲーミング装置の動作方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下に記載するコンピュータゲーミング方法は全て、システム(ゲームプレーヤーのコンピュータ/タブレット/電話等、及び/又は、リモートサーバハードウェア、並びに、結び付けられた全てのソフトウェアを含む)の各コンピュータゲーミング要素が、モータースポーツに関連したゲームに典型的な従来の機能を提供可能であると仮定する。これによって、プレーヤーは、コンピュータシステムに入力を提供して、シミュレートされた自動車が現実のレーシングトラック詳細なデータモデルの周りを前進することを制御可能である。プレーヤーのシミュレートされた車両は、トラックモデルや、他のシミュレートされた車両とインタラクトすることが可能である。他のシミュレートされた車両は、ゲームの物理モデル及び人工知能(AI)機能によって、又は他の種類のシミュレーションによって、又は他のプレーヤーによって制御されるものである。これらの他のプレーヤーは、そこに存在し同じコンピュータシステムに入力を提供することが可能であり、又は、他の場所において遠隔コンピュータシステムを使用することが可能である。遠隔コンピュータシステムは、インターネット又は他の好適なネットワーク(ゲームサーバを含むこともある)を介して、元の1人又は複数のプレーヤーのコンピュータシステムと通信し、全ての車両間、及び、全ての車両とトラックとの間に現実のインタラクションを提供する。以下に記載する本実施形態の方法は全て、これらの従来の機能に対して、追加、変更、又は、置き換えるものである。
【0061】
全体として考えると、本発明を実施するシステムが存在するこの新たな環境は、コンピュータゲームプレーヤー及び他のインタラクティブな視聴者が、ライブモータースポーツ及び他の種類のスポーツイベントと集団対戦するための支援を提供する多成分インフラストラクチャとして考えられ得る。本実施形態が存在する新たな環境は、以下の3つの要素を含む。
a.ゲーミングコンソール、パーソナルコンピュータ、シミュレータ、アーケードゲーミング装置、衛星受信及び処理設備、スマートフォン、タブレット等といった、プレーヤー及び視聴者によって使用される多数の装置であって、場合によっては、世界のあらゆる所の参加者から配信するためのカメラ及び音響キャプチャ装置を含む装置。
b.プレーヤー及び視聴者からのデータの受信、操作、混合、格納及び拡散をリアルタイムに支援するためのインターネット、及び、サーバ、リアルタイムデータセンタ、リアルタイムサーバクラウド(及び場合によっては専用のゲーム及びエンターテインメントサーバ)といった結び付けられたコンピュータ設備であって、場合によっては、仮想車を運転する際の音響、ビデオゲームデータ及び制御入力を含むがこれに限定されない、インターネット及び結び付けられたコンピュータ設備。
c.現実のライブモータースポーツ又は他のスポーツイベントであって、英国特許第2518602号B及び英国特許出願公開第2365360号Aのシステム、及び、現実のライブイベントについての他のデータをそれが生じた際に収集及び提供する他のシステム、及び、将来に使用するためのライブイベントに関連するデータを格納するシステムに対する、特に本明細書に記載の強化及び発展形態を含む、現実のライブモータースポーツ又は他のスポーツイベント。
【0062】
以下に、具体的な実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。まず図1を参照すると、本発明の非限定の実施形態を包含する上述の3つの基本要素が概略的に示されている。より詳細に言えば、図1は、中央ゲーミングサーバ4に通信ネットワーク6を介して接続された幾つかの異なるゲーミング装置2を示している。ゲーミングサーバは、異なる種類の運動学的制御データを照合するためのローカルデータ記憶装置5も含む。図1は、モータースポーツイベント10のトラック8も示しており、トラック8には、トラック8の周りの異なる位置に配置された実車両12も含まれる。各車両には、車両テレメトリーシステムが備えられている。車両テレメトリーシステムは、データのストリームをサーキットの周りの通信インフラストラクチャを介して対応するチームのテレメトリーデータキャプチャコンピュータ14に無線で提供し、制御データ(当該車両のドライバーの制御)及び車両12の動作に関連する他のデータを分析可能とする。このテレメトリーデータのストリームは、車両12の車載カメラからのライブビデオデータ、及び、車両12に設けられたマイクロフォンからの音響データを含むことが可能である。このテレメトリーシステム全体は、各チームのデータが、
a.チーム以外には非公開であり、
b.管理及び統治する組織に対して所定の部分が入手可能であり、
c.TV又は他のメディアストリームでのブロードキャストのために所定の部分が入手可能であることを維持可能である。
【0063】
トラック8にはまた、複数のセンサ群16が備えられている(概略的に9個の群を図示したが、これには限定されず、他の実施形態では異なる数の群を提供してもよい)。各センサ群16は、複数のトラック側赤外線センサ18から成る。これらのセンサは、車両12がトラック8の周りで競争している時にこれらから照射された赤外線放射を検出し、センサデータを、センサの視野(FOV)における各車両12についての現実の運動学的データに変換するように構成されている。各センサ群16は、この現実の運動学的データを位置データキャプチャシステム20に通信可能である。位置データキャプチャシステム20は、個別の運動学的データのストリームを照合して、トラック8上の全車両12に関する運動学的データ22のストリームをライブイベントデータキャプチャサーバ24に提供する。チームテレメトリーデータキャプチャシステム14からのライブテレメトリーデータ26のストリームもライブイベントデータキャプチャサーバ24に提供される。
【0064】
ライブイベントデータキャプチャサーバ24は、複数の追跡センサ群16を含む位置データキャプチャシステム20から受信した情報を、チームテレメトリーシステム14と照合する。この情報(現実のセンサデータストリーム28)の全ては、本実施形態では、データ編成を提供すると共に仮想レースシミュレーションを生成するゲーミングサーバ4に提供される。仮想レースシミュレーションは、本実施形態では、全てのゲーミング装置に提供される。しかしながら、別のさらなる実施形態(図16図20を参照して後述する)では、仮想レースシミュレーションは、各ゲーミング装置/コンピュータ2上に生成され、ゲーミングサーバ4は単にゲーミングプロセス全体を編成するだけである。
【0065】
図5を参照しながら後述するさらなる一実施形態では、ライブイベントデータキャプチャシステムは、チームによって生成された全てのデータを含むチームから受信した他の情報も照合し、一般的なイベントデータキャプチャシステムを有している。これは、エンターテインメント及びゲーミング機能に関連し得るモータースポーツイベントに関する他の全てのデータをカバーするものである。このさらなる実施形態では、情報の全てはエンターテインメント及びゲーミングサーバに提供される。このサーバは、認可された配信業者を介して、ゲームをしないファンのためのエンターテインメントフィードを提供し、これ全体は、後述するように、上の段落[0062]でテレメトリーデータについて例示したような全利害関係者のデータ機密保護の必要性が満たされることを確保する。
【0066】
図6に示されるシステムのゲーミングサーバのゲーミング態様を形成する要素が、図2に概略的に示されている。ゲーミングサーバは、ライブイベントデータキャプチャサーバ24から受信したリアルデータ(センサデータストリーム)28を処理するためのリアルデータプロセッサ30を有している。ライブイベントデータキャプチャサーバ24は、詳細は以下に説明するが、寄与するデータソース(運動学的データ22のストリーム及びライブテレメトリーデータ26のストリーム)の全ての同期を確保している。この受信したライブイベントデータ28は、ライブイベント32から現在記録されたリアルデータとしてデータ記憶装置5に記憶され、また仮想レースシミュレーションエンジン36に送信される。そこで、各車両12の現実のドライバーの入力(制御データ26)を当該車両12の運動学的位置データ22にマッピングする参照ブラックボックスモデル生成器(後述する)を生成するために使用される。「ブラックボックス」という用語はその従来の意味で使用され、つまり、入力ポートに印加された信号への応答によって特徴付けられるシステム又はエンジンの技術において使用される。その後、この参照ブラックボックスモデル生成器の出力を仮想レースエンジン36内で使用して、ゲーミング装置2から通信ネットワーク6を介して受信されるプレーヤー仮想レースコマンド(運転入力)38にアクセスし、結果的に各仮想車両が位置するべき場所を判定する。本実施形態では、これらのプレーヤー仮想レースコマンドデータストリーム38を受信して、必要に応じてこれらを共通のフォーマットに変換して、仮想レースシミュレーションエンジン36に提供するために、仮想レースコマンド処理エンジン40が設けられている。
【0067】
リアルタイムライブレースデータ28の代わりとして、データ記憶装置5に記憶されたライブイベントからの前回記録されたリアルデータ42を使用して、仮想ブラックボックス機能を生成してもよい。仮想レースシミュレーションエンジン36はまた、データ記憶装置に記憶されたデータモデル44を使用して、仮想レースシミュレーション46を生成してもよい。最終的に、AIエンジン48が選択的に提供され、ドライバーの入力(仮想レースコマンド38)に対する仮想車の応答を、(後述の)参照ブラックボックスモデル生成器によって生成されたブラックボックスモデルを参照して調節することを支援し、場合によっては、仮想車のドライバー(プレーヤー)が、仮想のドライバーが得たハンディキャップを参照して度合を変更して、例えば、異なる技能及び経験レベルの現実のドライバーと仮想のドライバーとの間のレーシングを公平にすることを支援する。例えばこの支援は、各プレーヤーの入力(仮想レースコマンド38)の周りの閾値を広げて、仮想車両に最適な位置に合わせることを可能にするものである。したがって、規定の車両位置をもたらす最適な制御データ入力セットを判定するために参照ブラックボックスモデル生成器を使用する間は、プレーヤー制御入力38は、車の規定の位置をもたらすこれらの特定の制御データ入力26の閾値内であることが可能である。これらの閾値を調節する程度が、規定のプレーヤーのためのAIエンジン48及びその対応する仮想車の制御によって適用されたハンディキャップを決定可能である。AIエンジン48が使用されるのは、AIエンジン48を制御データ入力の複雑な組み合わせのアレイ上で特定の車両位置出力を行うように訓練可能だからであることは理解されよう。
【0068】
本実施形態においてライブイベントデータキャプチャサーバ24から受信された実車両データ28が、図3aに概略的に示されている。ここで、特定の車両データ28は、車両ID50に関連付けられており、運動学的な実車両データ22(例えば、縦方向位置52b、横方向位置52c、及び、方位データ52a)と、ステアリング位置54a、ブレーキ位置54b、加速装置位置54c、ギア選択54d、及び、場合によっては他のアクチュエータ制御入力(図示しない)といったドライバー入力データ(制御データ)26とを含むことが分かる。特定の車両データ28は、トラック8の周りで競争している各実車両12に提供される。
【0069】
本実施形態でゲーミングサーバ4においてゲーミング装置/シミュレータ/コンピュータ2から受信される仮想車両制御データ(仮想レースコマンド)38が、図3bに概略的に示されている。この仮想制御データ38は、ゲーミングコンピュータID56と、仮想車両及び場合によっては他のデータを制御するためのプレーヤーアクチュエータ入力58とを含む。車両制御プレーヤー入力58は、ステアリング位置データ58a、ブレーキ位置データ58b、加速装置位置データ58c、ギア選択データ58d、及び、場合によっては他のアクチュエータ制御入力(図示しない)を含み、典型的には、現実のドライバーのものと一致しているか、又は、これから測定された量だけ異なっており、参照ブラックボックスを使用して、仮想車両位置をこれらの入力の結果として判定可能なようになっている。
【0070】
ゲーミングサーバ4におけるシステムの一般的な動作方法が、図4の概要フロー図に示されている。方法60は、ステップ62においてセットアップ段階が開始され、特に、全ての仮想参加者がレースに参加している実車両12のうちの1つに割り当てられる。1台の実車両12はそれに割り当てられた多数のプレーヤーを有することが可能であり、これについては後で詳細に説明する。この後、ステップ64において、レースサーキットデータモデルと実車両の仮想表現の初期位置とを含む仮想レース環境モデル46が生成される。先に言及したように、これは、ライブイベント10からのライブデータ28、又は、以前に記録されたライブイベントからの事前記録されたデータ42に基づいていることが可能である。サーキットデータモデル及び場合によっては他のデータモデル44が、仮想レース環境46を生成するために、ローカルデータ記憶装置5に記憶される。レースがステップ66において開始すると、レースの持続時間にわたる一連の正確な時点において測定及び同期されたような全ての実車12用の正確な運動学的データ22を含む、ライブイベント又は事前記録されたイベントからのデータ28、42のストリームが、ステップ68において受信され、これを使用して現実のレース車両12の表現の位置が変更され得る。これらの新たな位置が、ステップ68において、仮想レース環境46における実車両の表現のための新たな位置を生成するために使用される。この新たな位置は、その後、このレースに登録された各ゲーミング装置2に送信され(図示しない)関連するプレーヤーに対して表示される。これに応答して、ゲーミングサーバ4は、ステップ70において、プレーヤーのユーザ入力を示すゲーミング制御データ38を受信し、それらの仮想車両を制御する。このプレーヤーのユーザ入力38は、その後、参照ブラックボックスモデル生成器の入力と比較され、これは、ステップ72において、プレーヤーのユーザ入力38の結果として仮想車両の次の位置を生成するために使用される。幾つかの実施形態(以下の別の実施形態の詳細な説明を参照)では、その後、仮想車両のこれらの新たな位置を各ゲーミング装置2に送信可能である(図示しない)。このステップ68~74のプロセスは、ステップ76において判定されるレースの終了時まで継続する。
【0071】
本実施形態のシステムの動作方法は、以下の有利な特徴によって特徴付けられる。すなわち、
a)任意の種類の環境における現実のモータースポーツイベントからの正確かつ適時なライブデータを世界中の何百万のプレーヤー及びフォロワーに同時に提供すること、
b)全ての技能及び経験レベルのコンピュータゲームプレーヤーに、現実のレースに参加することの現実的、挑戦的、満足の行く、かつ、公正なシミュレーションを、
i.現実のドライバーとレースで戦う1人のプレーヤー、及び、全員がゲームに表現されている限定された数(最大で現実のドライバー引く1)の他のプレーヤーとして、又は、
ii.1人のプレーヤー及び競争相手であって、一部又は全員がゲームに表現されている任意の数の(潜在的に数百万の)他のプレーヤー及び場合によっては現実のドライバーを含む組織化されたeスポーツイベント又は他のコンピュータゲーミングイベントにおける1人のプレーヤー及び競争相手として、提供すること、
c)選択的に、レースイベントの間に、世界中の任意の数のプレーヤー及びフォロワーからのデータを実際のレースチーム及び現実のドライバーに任意の目的のために提供することであって、任意の目的は、当該チームに(又はドライバーにも)イベントに参加しているプレーヤーについての情報をリアルタイムで提示することを含むが、これに限定されない、及び、
d)選択的に、モータースポーツフォロワーに、現実のイベント及び/又は全てのプレーヤー及び/又はライブイベントに関連付けられた全てのeスポーツ競争者からの任意のデータを提供し、彼らがインタラクトし当該イベントと対戦してその楽しみを強化することを可能にすること。
【0072】
さらなる一実施形態では、図2を参照して上記したゲーミングサーバ4を、図5に示されるようにゲーミング及びエンターテインメントサーバ4aに置き換えることが可能である。このゲーミング及びエンターテインメントサーバ4aは、ゲーミングサーバと同じように動作するがさらなる機能を付与する。したがって簡潔にするために、ここでは図2のゲーミングサーバ4と図5のゲーミング及びエンターテインメントサーバ4aとの間の違いだけを説明する。
【0073】
図5を参照すると、ゲーミング及びエンターテインメントサーバ4aの構成要素は、図2のゲーミングサーバの構成要素と同じであり、同一の参照符号が使用されている。違いがある箇所には新たな参照符号を導入した。したがって本実施形態では、ゲーミング及びエンターテインメントサーバ4aは、ゲーミング装置4及び他のエンターテイメント装置(図示しない)から仮想レースコマンド、視聴者コマンド及び他のデータ38aを受信するレースシミュレーション及びエンターテインメントエンジン36aをさらに含むことが分かる。このデータは収集されて、エンターテインメント/レースコマンド及びデータ処理エンジン40aを介してレースシミュレーション及びエンターテインメントエンジン36aまで伝送される。さらに、レースシミュレーション及びエンターテインメントエンジン36aにデータを提供するギャンブリングエンジン78及び広告エンジンも設けられている。
【0074】
位置データキャプチャシステムからの正確な追跡データの入手可能性に基づいて提供され得る多くのエンターテインメント強化特徴があり、以下では、そのうちの3つだけを例として説明する。最初の例はロービング視点である。これによって、エンターテイメント装置からの視聴者コマンドに基づいて、例えば実車のうちの1台におけるドライバーの視点からのライブビデオストリームを、図2の仮想レースシミュレーションエンジンに共通又は極めて類似したエンターテインメントエンジンにおけるソフトウェア機能によって、例えば車の上方のコンピュータに生成された視点に途切れずに切り替える又はパンすることが可能である。2番目の例は、ライブビデオストリームを、説得力のあるようにライブビデオに一体化されたコンピュータで生成されたディスプレイ又はオーバーレイで拡張すること、例えば、車に設置されたセンサ又は他のソースからのライブ技術データに基づいて、温度に依存したタイヤの色合い又は車の機構の「内部(under-the-hood)」画像で拡張することである。これは、例えば、実車のうちの1台におけるドライバーの視点からのライブビデオストリームを、トラック側の広告板又は橋や、又は、車側で説得力のあるようにかつ途切れなく一体化された広告画像で拡張させることに拡張可能である。広告エンジン80からのコンピュータで生成された広告は、トラック側の景色や車と共に動的に動き、ライブビデオストリーム上に現れる広告とは区別不可能である。この広告は特定の既知のユーザに対するストリーミングのために組み合わされるので、エンターテインメントコマンドの中で受信したデータ、及び、データ処理機能、並びに、広告エンジン80に含まれるアルゴリズムに基づき広告をユーザに合わせることが可能である。3番目の例は、エンターテインメント視聴者が、現実のレースにおいて展開するように、イベントにライブで金を賭けること、例えば「車1がインサイド線上で20秒以内に車2を追い越す」というように金を賭ける能力である。ゲーミングエンジンは、このような機能を可能とし、これをレースシミュレーション及びエンターテインメントエンジン36aに提供する。
【0075】
続いて、本発明によって提供されるシステム及び方法の例として、上述の非限定の実施形態において導入されたような追跡センサ群16を含む位置データキャプチャシステム20の特定の動作を説明する。上述の実施形態の位置データキャプチャシステム20をより明確に理解するために、まず、高難度のレーシングトラックを参照する。
【0076】
図6を参照すると、特に高難度のレーシングサーキット8の一例が示されている。これは、単一の高性能IRセンサでは上から監視できず、リアルタイムかつインタラクティブなゲーミングに要求されるデータを提供するためにセンサ18の新規のシステム及び通信設備を必要とする。ライブモータースポーツイベント10の例示的な一例は、ピット、ガレージ、及び、他の設備をそれぞれ有する12チームにおける24台の実車を含む国際フォーミュラ1レースである。レース場所は、図6に示される特に複雑なサーキットである。これは、高い建物、橋、トンネルを含む組み立てられた場所にあり、様々な常設街路及び交通インフラストラクチャや、観客席などの一時的なインフラストラクチャを有する。これは、イベントが開催される時期や場所に応じた雰囲気の支配的な範囲、天候、及び、照明条件の影響を受ける。
【0077】
図7a及び図7bは、レーシングサーキット8の極めて代表的なコンピュータベースのデータモデル44を生成するための、本実施形態において使用される2つの想定可能な戦略を示している。これらの戦略は、実車両12の測定された運動学的データとゲームプレーヤーの仮想車の仮想の運動学的データとの間のリアルタイムの関連付けが可能となることを確保することに適しており、サーキット表現の忠実性が十分に正確かつ正常であることを検証する課題を克服可能なようになっている。モデル44は、実際の環境及び実際のイベント10と、コンピュータゲーミング環境及びコンピュータゲーミングイベント46との間の生体リンクである。なぜなら、追跡センサのネットワークにおける各追跡センサ18がサーキット8の一部の実際の視野(FOV)、及び、そのメモリにおける実際のFOVとレーシングサーキット8のデータモデル44の一部との間の関係を有することになるからである。このように、車のIR反射器又はIR放射の画像器、又は、車からの自然熱赤外線放射の画像が、追跡センサ18内で、レーシングサーキットデータモデル44に関して表現される運動学的データに変換される。なお、別の実施形態では、追跡センサ18からの原データが、全体のシステムの構成要素に最初に通信されることも可能である。そこで、サーキットデータモデルとの原データの関係が、処理のためにゲーミングサーバ4に転送される前に算出される。
【0078】
図7aをより具体的に参照すると、狭い間隔で配された横線及び縦線の直交格子82を含むデータモデル44の基礎となる一例が示されている。格子線の間隔は、コンピュータゲーミングソフトウェアに所望の追跡精度に適合されており、この追跡精度は、追跡センサ18によって実現可能である。このモデルの運動学的データは、典型的には、各車両12について少なくとも縦データ52b、横データ52c、及び、回転方位データ52aを含む。サーキットモデルは、仮想のインタラクティブなハイブリッド環境が垂直なGの力や加速度等をシミュレートすることを可能にする、横線縦格子82における各セルについての正確な高度データを含んでいてもよい。
【0079】
図7bは、計算精度を促進する代替的なモデルを示す図である。このサーキットは、一連の横ストリップとしてモデルされており、各横ストリップは、横ストリップの横中心点の地理上の位置(横線、縦及び高度)、方位、横幅、及び、場合によっては(幾つかの実施形態では)横の傾斜角又は高度プロファイルを有している。そして、各車の運動学的データは、図3aに反映されているように、少なくともトラック8に沿った縦方向位置52b、トラック8の幅を横切る横方向位置52c、及び、回転方位52aを含む。
【0080】
従来、現実の世界におけるサーキットのコンピュータゲームデータモデルとサーキットの地形学との間の高精度の関係は、意外にも確立することが難しかった。このことは、本実施形態の全体のシステムにより、各センサ18のシステムセットアップ時に、例えば静止したIR反映/放射マーカ(図示しない)を各カメラのFOV内でレーストラック8の周縁に沿った正確な測定位置に配置し、データモデルマッピングに対して極めて正確な物体を生成することで較正を行うことによって解消可能である。幾つかの実施形態では、動的較正が、例えば特殊用途較正車両をレーストラック8の各エッジに沿って走行させて、又は、段階的に動かして追跡性能を調整すると共にセンサ18間の連続性を実現することにより、実現される。
【0081】
本願発明者は、図6に示されるようなこのような複雑な環境の形状は、「星」形構成において必要とされる100個以上の追跡センサを、これら全てが平行に通信するように、中央位置データキャプチャシステムに接続することを除外する。無線通信の場合、100個の独立した信頼性のある信号経路を見つけることはおそらく不可能であり、有線接続は、都市の風景を径方向に横切って延びる100km程度のケーブルを含むことになり、これは大きな欠点となる。いずれかの技術用の信頼性のある唯一の経路は、サーキット8の周りで追跡センサ18を閉回路形状に接続するものである。この閉回路において、当該サーキットの上又は近傍の少なくとも一点が、データをリアルタイムで蓄積する必要がある。一点だけの場合、幾つかのセンサから必要とされる装置から装置まで少なくとも50個の個々のデータホップが存在し、蓄積されたデータ転送遅延は、許容できないものとなるだろう。
【0082】
地理的に分離された2つのプレーヤー/コンピュータA及びB間のリアルタイムインタラクティブゲーミングは、ゲーミング装置Aに対するプレーヤー入力が、典型的なコンピュータゲーム更新速度である25~50Hzによって測定して20~40ms以内にゲーミング装置Bによって受信及び処理されること、及び、逆の関係で受信及び処理されるという作用を必要とする。用語「コンピュータゲーム」は、シミュレートされた環境と同じ意味であり、インタラクティブなハイブリッド環境を含むことは理解されよう。本実施形態では、追跡センサ18を含む位置データキャプチャシステム全体は、サーキット上の全24台の実車用のプレーヤー入力と同等のものを提供するものと見なすことが可能であり、このデータは、同様の待ち時間遅延内に遠隔ゲーミング装置2に供給される必要がある。データ時間タグ付けを使用して同期(一選択例として下記により詳細に説明する)を確保することによって、全体のタイムラグ、例えば1秒をデータストリームに導入することが可能であるが、これは、全ライブゲーミング体験を、ライブビデオといった他の情報ストリームを考慮しないことになり、望ましいことではない。したがって、100Hz(最大10msの遅延)の赤外線カメラフレームレートにより原画像信号処理のためにさらに5msを可能にすることで、サーキット8の周りのセンサ18からのデータの集約及びその前方通信のためにおよそ20~30msだけが許容され得る。有線又は無線技術のために、発明者はこれを考慮して、本実施形態では、追跡センササーキットの周りの50個のホップは容認できず、予期される通信技術の発展を考慮しても、必須であるのは、追跡センササーキットの周りの10個のホップだけであると判定した。
【0083】
したがって、図1に示される例示的なセンサ群16は、高性能のローカルネットワークに配置されたセンサの小群16を備えるIRセンサネットワークアーキテクチャに変換されるが、他の要因の範囲を考慮しつつ、図6の現実のサーキットに適合されている。他の要因とは、視角形状、視線、不明瞭化(車12間、及び、車とインフラストラクチャとの間)、入手可能な実装点、画像解像度(典型的には640×512又は1280×1024)及びフレームレート(典型的には100Hz)といったIRセンサ能力、「目標画素(pixels-on-target)」の数(典型的には4より多い数が求められる)といった画像処理パラメータ、必要とされる追跡精度(高速であるがはるかに低い車間相対速度のために、10cm又はより良好には横方向、縦方向にはそれほぼ厳密でなく)、各センサのFOVにおける最大車速、処理最悪ケース実行回数等であり、全ての目的は図1における配置データ取り込みシステム20からの出力を有することである。この出力には、少なくとも25Hzの更新頻度で共通の正確な時間規準に同期された24台の車12のそれぞれについての図3aの運動学的データ(例えば)が含まれ、リアルタイムラグが必要なことが判明した場合、わずか1sの全体リアルタイム遅延が含まれる(なお、当該チームに対して感受性が高くかつ当該チーム外に機密である図3aの現実のドライバー入力データは、ゲーミング装置に送信される場合、又は、中央ゲーミングサーバにおいて使用されゲーミング装置に全く送信されない場合、固定暗号化、又は、動的暗号化によって保護される)。
【0084】
特定のサーキット8用のアーキテクチャの定義方法を説明するために、考えられる複数のセンサ群16への例示的なアプローチを以下により詳細に説明する。これらの例は、ある程度、現在入手可能な技術の能力、例えばIRカメラ画像解像度、フレームレート、LED強度等に基づいており、これらの技術は、急速に発展及び改善していることには留意する必要がある。
【0085】
図8は、特定のクラスのレーシング車12の特定の種類のレーシングサーキット区域を監視するために適した具体的なセンサ配列18の代表的な構成を示す図である。これらの特定の(F1)車12は、空気力学的かつ前方傾斜型の低い姿勢を有している。これは、トラックよりも高い位置に設けられた追跡センサ18が接近してくる車に向けられている場合、つまり、接近してくる車の方を見ている時にFOVが水平面に対して鋭角にあるボアサイトを有している場合、これらの車が信頼性を有して高速で検出される可能性が最も高いことを意味している。FOVのボアサイトは、FOVの中心軸であると考えられる。この構成は、便利にもセンサ18が地面により近い位置に配置されることが可能であり、英国特許出願公開第2585165Aの単に下方を向いたセンサと比べて大きなFOVを有していることが可能であることも意味している。幾つかの状況では、極めて高いポール又は他の構造的実装点84が好ましい場合もある。この場合、トラックを監視するためにより少ないセンサ18が求められ、水平に対するボアサイト角度は増大することになる。代替的な構成は、他の種類の位置や、他の種類の自動車レースイベント、例えばモーターボートレース又はNASCAR自動車レースの場合と同様に規定可能である。
【0086】
特に図6に示される一例のサーキットを参照しながら、以下に、位置データキャプチャシステム20を提供するためにセンサ18を配置し得る方法を説明する。
【0087】
最初に、標準的な街灯柱が設けられた図6のサーキットにおける全2kmの区域について、図8は、トラック8のこの区域の街灯柱84に取り付けられたIRセンサ18の群16の多くの考えられる配置のうちの1つを示している。各センサ(検知装置)は、例示的な640x512ピクセルの解像度、約20度~30度までの(ビューA及びBを参照)の視野、及び、最大50mの検出範囲を有している。この形状により、最悪でも10cmの解像度までの信頼性を有した検出を、以下の実装用センサ装置18の配置のいずれかで実現可能であると考えられる。
a)車(そのタイヤ、エンジン、排気等)が放射する熱IRを検出する、あるいは、IR非放射マーカ又は材料を車に塗布又は付着させることにより生成される熱IR「冷スポット」を検出する、長波赤外線(LWIR)マイクロボロメータ又は中波赤外線(MWIR)光子検出(又は他の好適な技術の)カメラ。
b)車に取り付けられた少なくとも2つの小型LED又はLEDクラスタによって放射され広帯域(又は狭帯域)の光を検出する、又は、車の反射器からの自然な(日光由来の)IR放射線を検出する、又は、車のIR非放射器からの冷スポットを検出する、短波赤外線(SWIR)又は近赤外線(NIR)光子検出(又は他の好適な技術の)カメラ。LEDによって放射された光は、一定であってもよいし時間と共に調光されてもよい。
c)IRカメラの近傍に配置されたLED投光照明によって提供され、及び、車に取り付けられた少なくとも2つの小型反射器によって反射される広帯域(又は狭帯域)のSWIR又はNIR光を検出する、又は、車のIR非放射器からの反射画像内の冷スポットを検出するSWIR又はNIRカメラ。これは夜間レースを可能にすると共に、LED投光照明はパルス状であり、カメラにおける撮像と同期されて、極端な天候条件の場合の検出性能を改善することが可能となるだろう。
【0088】
上述のように、カメラ焦点面アレイ上の原画像における全ての個々の標的(LED放射器、反射器、非放射器又は車/タイヤ)の位置を、追跡センサの特定の場所、構成、又は、方位に合わせた信号処理及び幾何学的計算によって、サーキットモデル内の正確な位置に変換する。追跡センサの特定の場所、構成、又は、方位には、場合によっては、車12の2つの各放射器(又は反射器又は非放射器)の、その外側の物理的限度について測定された相対位置を含む。このような技術は、十分、当業者の能力の範囲であり、したがって以下に記載する必要はない。
【0089】
個々の車12の識別及び追跡を連続して行うことは、英国特許出願公報第2585165Aにおいて、各追跡センサが、車がそのFOVを去る際に、車の位置を前方の次のセンサに通信することによって実現可能である。なお、上記のb)に記載したようにSWIR又はNIRカメラの配置に関連して、LED光は一定であってもよいし、各車12に特徴的なパターン(又はIRサイン)を放射するように調光されてもよい。これは、各追跡センサが同時に追跡及び識別することを可能にし、追跡センサが車両識別子を次の追跡センサに「受け渡し」する必要を排除するものである。
【0090】
次に、サーキット8の周りには、建物の上部又は可動式ブームリフト(最大45m)又は作業台(最大100m)に取り付けられた、又は、ドローンやテザードローンといった航空機によって運ばれる(これによって、飛行時間が延長された場合や地上局に配信されたデータのために電力を供給可能である)より高い高さに配置された単一のIRカメラ18に役立つ位置(例えば、図6の黒四角形81)があり得る。100mの高さにおいて、単一のIRセンサ18のFOVには、約140m×140m(図6の黒四角形81は縮尺において典型例である)に拡大される広角レンズが取り付けられている。幾つかのサーキット8では、完全な閉回路ネットワークを形成するために、幾つかのドローンが取り付けられたセンサ18をサーキットの周りに配置することが好ましい場合がある。各ドローンは、独自の車載GPSを使ってステーションに滞在し、固定されたIR無線標識を地上に配置することによって正確な参照画像を提供することになり、これから、絶対的な追跡検出精度を実現可能である。これは、効率の良い配置である。なぜなら、サーキット全体をカバーするためにより少ない数のセンサしか必要でなく、この配置の配備が容易であるためセンサが固定式に取り付けられていないサーキットにとって極めて都合が良いからである。高性能のモーターレースの上方を飛行するドローンの安全な状態を実現可能である。なぜならドローンがサーキットの真上又は観客席の真上にある必要がないからである。テザードローンは、ドローンが故障するとすぐに基地局の周りの規定のクラッシュゾーンに旋回して落下するために、特に利点を有し得る。
【0091】
三番目に、図8の短い街灯柱84aには広いFOV(70度)IRセンサが取り付けられていてもよい。各IRセンサは、約15mの長さの短い車道部分をカバーする。同じことがトンネル83にも当てはまり、ここでセンサ18はトンネルの屋根に取り付けられる。他の代替的な一実施形態では、短い街灯柱84aを使用せず、それぞれ最大50mの長さの車道部分をカバーする最大30mの高さの可動式柱を配置すれば、費用効率がより高くなり得る。まとめると、本例の3.3kmの長さの複雑なサーキットは、50個の標準センサ、50個の広角センサ、及び、2個の長距離高プラットフォーム又はドローンが取り付けられたセンサを必要とすることになる。
【0092】
なお、多くのレーシングサーキット上では、街灯柱が安全性の理由により設けられていない若しくはより広く分離されている場合があり、又は、車に安全上のリスクを提示しないように保護されている必要があり得る。異なる実施形態において、追跡センサを一時的に建物又は適切に配置された可動式柱に取り付けることが必要な場合や、好ましい場合がある。
【0093】
最後に、上述のリアルタイムデータストリーミング性能基準を実現するために、本例の地上追跡センサ及び/又はドローンが取り付けられた追跡センサを、複数の群16にまとめる。これについては、一般的には図1に示される通りであるが、より詳細には図9に示される通りである。図9は、位置データキャプチャシステム20の全体的なリアルタイム性能を実現するためにはセンサ18を群16においてどのように配置するか、及び、リアルタイムのインタラクティブなゲーミング環境46に送信するために適した好適な遅延で、完全かつ連続的に同期化された単一のデータストリーム28を提供するためにはセンサ18及び群16がどのようにデータを通信することが可能かを示す例示的な一例である。図19は、街灯柱に取り付けられた7つのセンサ18から成る1つの群16を示しているが、異なる実施形態において他の構成も可能である。トラック8の周りに複数の群16が生成されて、求められる完全な受信可能範囲を提供する。このように、インタラクティブゲーミングに求められる低遅延及び及び同時並行性も実現しつつ、レーシングサーキット8の周りに配置された追跡センサ18の完全な組に、全ての実車用の単一のデータストリームを生成する単一の群として同時に動作させることが可能である。
【0094】
図9をより詳細に参照すると、各群のセンサは、高性能かつ低遅延の通信リンク86に接続されている。このような通信リンク86は、好適な通信技術を使用している(これは、地上センサのための技術であり、900Mbit/sより高いデータ転送速度かつ100~500μsの遅延の、ギガビットイーサネットといった有線接続による技術であってもよいし、又は、地上センサ又はドローンが取り付けられたセンサのための技術であり、90Mb/sより高いデータ転送速度かつ1~2msの遅延のデュアルバンドWi-Fiといった無線接続による技術であってもよい)。センサの各群16には、前方通信ノード88が備えられており、このノードは、典型的には光ファイバ(「有線」)又は無線ネットワークで使用され、多くの場合、自動車レーススポーツにおけるテレメトリーデータのストリーミングに使用される。この前方通信ノード88は、ライブイベントデータキャプチャサーバに有線又は無線で通信するように構成されており、ここでは、全24台の車の位置データが、前方送信の場合少なくとも25Hzのリフレッシュ速度で集められる。加えて、かつ、サーキットからサーキットへの、事実上はネットワークの周りの通信時間遅延に応じて、全ての組のセンサ又は各センサ群16に、あるいは、幾つかの実施形態では各センサ18に、GPS受信機を備えて、センサネットワーク全域における共通の正確な時間規準を設立可能であるようにしてもよい。車12の正確な位置測定に、その後時間タグが付され、小さいタイムラグ(<1秒)をゲーミングサーバ4への前方送信に導入する場合であっても、ライブイベントデータキャプチャサーバ24が車の位置データを集めて求められる同時発生のセットとすることが可能になる。
【0095】
次に、本発明によって提供されるインタラクティブなハイブリッド(現実仮想)ゲーミング環境46に関するシステム及び方法の例として、上述の非限定の実施形態の具体的な動作について、図10a~図14を参照してさらに詳細に説明する。
【0096】
本例において、図10aは24台の実車及びドライバーを含むフォーミュラ1モーターレースのスタート構成を示す図である。これらの実車12の表現(89a、89b、89c、89d、…、89x)は、1人のプレーヤーだけのコンピュータゲームに関連付けられており、ここで、実車表現89fは、プレーヤーに割り当てられて、又は、プレーヤーによってその開始位置として選択されて、そのシミュレートされた車90の表現が選択された実車表現89fに正確に重なるようになっている。
【0097】
図10aによれば、上記した第1のケースは、レースの開始時に現実のイベントでの実車12fと同じコンピュータゲームにおける位置にあるシミュレートされた車90を制御する一人のコンピュータゲームプレーヤーを含む。レースの開始後、プレーヤーがそのコンピュータ装置(ゲーミング装置/コンピュータ2)に行う入力によって、及び、ゲーミングサーバ4による車とその環境のシミュレーションによって、シミュレートされた車90の前進が判定される。実車表現89の前進は、ドライバーが実車12に行う入力によって、及び、極めて複雑な車12のその極めて複雑な環境における物理的挙動によって判定される。i)車とその環境のシミュレーショの忠実性が不足しているため、又は、ii)プレーヤーとドライバーとの間の入力の違いのため、シミュレートされた車90の前進は、実車12fの前進とは異なる。本実施形態は、前者の理由を最小化し、これによって、現実のドライバーと仮想のプレーヤーとの間の競争を出来るだけ公正で、現実的で、楽しめるものとしている。
【0098】
記載される実施形態の方法の主な特徴のうちの1つは、シミュレートされた車90が多くの方法で規定され得る許容度まで実車表現89fに十分に近づいた状態(以下の説明は、実車表現89に「スナップ」されたシミュレートされた車90を指す)を維持しながら、コンピュータゲームが特に行動性を示し、実車12とのインタラクションを増大させる点である。これは、次のことを含むがこれに限定されない。
a)実車表現89は表示されず、プレーヤーのシミュレートされた車90と、スナップされたプレーヤーのゲームの一部としてインタラクトしない。
b)スナップされたプレーヤーの車90は、実車表現89と「デジタル的に対にされ」、シミュレートされた車90は、実車表現89の性能を、ドライバーとプレーヤーとの間の競争が公平な競争に十分に近くなるように複製する。
c)現実のドライバー(操縦装置、加速装置、ギア選択等)の入力(制御データ26)は、ストリームされることが可能であり、ゲーミングサーバによってリアルタイムで生成されるインタラクティブなハイブリッド環境に利用可能である。
d)実車12からの音響、ビデオ及び他のデータフィード、そのドライバー及び広範のレーシングチームは、ゲーミングサーバによってリアルタイムで生成されるコンピュータゲーム(インタラクティブなハイブリッド環境)にストリームされ得る。
e)スナップされたプレーヤーからの音響、ビデオ及び他のデータフィードは、実車12及び/又はチーム及び/又は他のコンピュータゲーマーに対して逆方向に利用可能であり得る。
【0099】
図10bは、レーシング状況を示す図であり、ここで、プレーヤーのシミュレートされた車90は、瞬時位置、及び、場合によっては他の属性、例えば速さ、速度及び加速度において、実車表現89fから既知の量だけずれている。ここで、いつプレーヤーの車90が実車表現89fにスナップされたかを規定する非限定の単純な方法を説明する。ゲーミングサーバ4上で動作するコンピュータゲームソフトウェア内で、実車表現89f上の参照点94fのレーストラック上の位置を用いて近接点96fの領域、この場合は四角形の箱を規定する。シミュレートされた車90上の同等の参照点91の位置が近接点96fの領域内に当てはまる場合、プレーヤーの車は、実車表現89fに「スナップされる」。
【0100】
他にも考えられる多くのスナップ方法があり、例えば、プレーヤーの車表現90が実車表現89に対して時間的にどれ位前又は後ろにあるかといった他のパラメータに依存し得るスナップ方法がある(追いかけする車が、前方の車の特定の範囲内にある場合、「ブースト」を実現可能である、F1の「抵抗低減システム(DRS)」において使用されるような方法)。他のスナップ方法は、速さ、速度ベクトル、角運動量等を含んでいてもよいが、原理は明らかである。加えて、コンピュータゲームAIエンジン48は、アルゴリズム的又は他の戦略を使用して、より柔軟な許容度を提供する「スティクション」の度合を、スナップがジッターの対象とならないように実施することが可能である。ここで、ハンディキャッピングのシステムが用いられ、より高いランクのプレーヤーには、より低いランクのプレーヤーよりも低い「AI支援」が与えられ得る。また、実車表現89から「非スナップ」する際に、ゲーミングサーバ上で動作するゲームソフトウェアが他のプレーヤーの仮想車の近接点を考慮し得る。
【0101】
プレーヤーのシミュレートされた車90が、レースにおいて24台の実車の表現のうちのいずれかにスナップされていない場合、車の表現の全てはコンピュータゲームに従来の方法で表示される。プレーヤーのシミュレートされた車90が実車表現89にスナップされている場合、他の23台の実車表現89だけがそのプレーヤーに表示され、そのプレーヤーは、特にライブ音響フィードがチームからそのプレーヤーに提供されるならば、実車を運転して現実のドライバー及びそのレースチームと極めて密接にインタラクトしているかのように感じる可能性が高い。
【0102】
このスナップ方法は、実車表現89を回避することによって、又は、実車表現89から実車表現89に移動してこれらをスナップすることによって(又はプレーヤーがその操作によって選択するようにではなく)、プレーヤーがレースの間前進することを可能にする。図11aは、レースの開始後すぐの時点でのレーシング状況を示す図である。ここで、シミュレートされた車90は、幾分、3つの最も近い実車表現89c、89b、89eの間にある。プレーヤーのシミュレートされた車90は、その元の対(レースカー表現89f)から、これよりも性能を向上させることによってスナップ解除され、ここでその前方にいる。この時、プレーヤーの仮想車に最も近い実車表現は、実車表現89b、89c及び89eである。プレーヤーや3人の現実のドライバーの技能や動作に応じて、位置関係98b、98c及び98eが迅速に変化することになる。図11aの時点では、コンピュータゲーム(仮想レースシミュレーション)は、プレーヤーの車90の前方に実車表現89cを表示し、そのバックミラーに実車表現89eを表示する。
【0103】
図11bは、図11aのレーシング状況の続きであって、少し後の、シミュレートされた車90が前進して実車表現89cに近づいた時点を示している。シミュレートされた車90が、実車表現89cの近接点ゾーン96cに入ったことが示されており、ここでこれにスナップされる。この時、ゲーミングサーバは、実車表現89cがプレーヤーの画面に表示されるのを妨げ、上述のような特徴が有効になる。
【0104】
図11cは、より長い時間間隔の後の、図11bのレーシング状況のさらなる続きであって、シミュレートされた車90が指定され、先導する実車表現89a上に近づいている、サーキット8の別の部分を示す図である。ここで、コンピュータゲームプレーヤーのシミュレートされた車90は、実車表現89cのはっきりと前方に移動しており、実車表現89cとレースリーダーの実車表現89aとの間を半分以上進んでいることが分かる。しかしながら、プレーヤーの仮想車90は、実車表現89aのスナップゾーン96aにはまだ到達しておらず、これを追いかけている。この図は、各実車表現89の周りのさらなる2つのゾーンを紹介している。第1のゾーン98aは、実車表現89aの前方にあり「追い越し後ゾーン」と呼ばれ、第2のゾーン100aは、実車表現89aの背後にあり「追いかけゾーン」と呼ばれる。これら3つのゾーン96a、98a、100aが一緒に、図11cに図示されるような連続したセットを形成し得る。これによって、シミュレートされた車100が実車表現89に結び付けられたこれら3つのゾーンのうちのいずれかに入ると、実車表現の性能に極めて近く適合するシミュレートされた車90の性能について、デジタル的に対にされる。この特徴は、仮想車90が実車表現89を追跡する機会を均一にし、又は、その逆で、DRSといった現実の特徴と自然に一体化することが可能になる。したがって、シミュレートされた車90は、ここで、実車表現89aの追いかけゾーン100aにある。シミュレートされた車90が実車表現96cの追い越し後ゾーン98cから実車89aの追いかけゾーン100aに移動するとすぐに、その性能特徴は、実車表現89cの性能特徴と実車表現89aの性能特徴との間で切り替えられる。これは、シミュレートされた車90の性能が常に、最も近接してインタラクト及び競争している実車表現89に適合していることを意味しており、コンピュータゲームプレーヤーと現実のドライバーとの間の運転技能だけに基づいた公正な競争を確保するものである。このゾーニング方法はゾーニングの原理の一例であり、この方法には幾つかの想定可能な変形例が存在する。
【0105】
先の段落[0038]のa)で述べたように、ライブ又は記録されたレースに関連付けられたレースシミュレーションに含まれる2人以上のコンピュータゲームプレーヤーが存在していてもよい。従来技術のモータースポーツコンピュータゲームでは、多数のプレーヤー(1人から最大で実際のレースの現実の通常参加者の数のプレーヤー)が世界中のどこであれ彼らが位置する場所においてオンラインで一緒にプレイすることは、一般的なことである。したがって、従来の比較実施例である上述のフォーミュラ1の例では、最大24人のプレーヤーがプレイすること、すなわち、各人がスタート位置につき、任意の空の場所が、ゲームソフトウェアのアルゴリズムやAIによって制御されたシミュレートされた車で占領されることは普通のことであろう。この種の限定的なプレーヤーゲーミングモードは、本実施形態においても可能であろう。しかしながら、以下に説明する他の実施形態では、プレーヤーの数によって制限されない他のゲーミングモードを実施することが可能である。上述の本発明の実施形態によれば、上述の制限されたプレーヤーゲーミングモード、すなわち、空のプレーヤーの場所が実際のレースにおける実車表現89に割り当てられ、ライブでイベントからストリームされるそれらのデータがゲームにおけるそれらの挙動を制御するプレーヤーゲーミングモードを実施可能である。この場合、常に、コンピュータゲームにおいて表示される24人のドライバー及び/又はプレーヤーが存在することになる、多数の、すなわち「n」の、コンピュータプレーヤーが、「24-n」台の実車と競争することになる。上述の「追いかけ及びスナップ」方法の全ての態様が適用可能であり、各車がレースにおいて表示される実車表現89の「追いかけ及びスナップ」ゾーンにいた場合を除いて、各車のシミュレーション90の性能は、スタート位置に置き換えられる実車表現89の性能と対にされる。
【0106】
制限されたプレーヤーのゲーミングモードを実施する代替的な一実施形態によれば、24人のゲームプレーヤー及び24人の現実のドライバーが存在し、プレーヤーの仮想車90が実車表現89にスナップされていない場合はいつでも、それらの仮想車90がコンピュータゲームの環境に現れ、全ての他のプレーヤーの仮想車90に視認可能となり、これらとインタラクトすることになる。したがって、コンピュータレースシミュレーションにおいて視認可能な24台の実車表現及び0~24台程度のスナップされていないシミュレートされた車90が、常に存在することになる。このゲーミングモードにおけるこれらの2つの方法変形例は、一例であり、他にも想定可能な多くの変形例が存在するが、本方法の原理は明らかである。
【0107】
多くの種類のモータースポーツ(フォーミュラ1は、本発明の極めて一般的な用途の一例に過ぎない)では、実車は、例えば故障修理、燃料補給、又は、新しいタイヤの付け替えといった、メンテナンス又は改造動作のためにレースのタイムアウトを取ることが可能である。したがって、本実施形態では、コンピュータゲームプレーヤーは、シミュレートされたバージョンの、実車と同じメンテナンス又は改造動作のためのレースのタイムアウトを同じように取ることを選択できる。この場合、ゲームプレーヤーのシミュレートされた車90は、実車表現89の変更された性能特徴を引き継ぐ。あるいは、コンピュータゲームプレーヤーの車90が実車表現89とスナップされていない場合、コンピュータゲームプレーヤーは、シミュレートされたメンテナンス又は改造動作のためのレースのタイムアウトを取ることを選択できる。これは、実際のレースに戻ると、コンピュータゲームプレーヤーの車90と、類似又は互換性のあるメンテナンス又は改造動作を行ったいずれかの実車表現89とを関連付ける資格を与えるものになる。これは、実車がレース中にメンテナンス又は改造を受けることが可能な場合に競争が公正であることを確保する方法の多数の可能な実施例のうちの1つである。
【0108】
上述のように、プレーヤーの数によって制限されない他のゲーミングモードを実施することが可能である。このような上述の段落[0038]b)に記載した状況に一致する実施形態の1つである、非常に多くのコンピュータゲームプレーヤーがゲームに参加し、同時にゲームがライブ又は記録された現実のイベントに関連付けられる実施形態を以下に説明する。集団eスポーツレースはこのような状況の単なる一例であり、各プレーヤーが現実のレースと現実的、魅力的、かつ、挑戦的にインタラクトすることが求められ、非常に多くのプレーヤーをその性能やeスポーツイベントにおける最終位置について順位付ける公正な方法が求められている。
【0109】
図12a及び図12bは、eスポーツにライブで関連付けられインタラクトしている24台の実車を含むレース、又は、スタート位置が実車のスタート位置の間に分散された数千万人のゲームプレーヤーを含むオンラインゲーミングレースの考えられるスタート構成の2つの例を示している。より詳細に言えば、図12aは、24台の実車が、スタート位置の間に均一に分散された1000万人のビデオゲームプレーヤーに関連付けられたレースのスタート構成を示している。図12bは、図12aに示されるスタート構成に対する代替構成であって、24台の実車表現にわたって対数的に分散された1億人のビデオゲームプレーヤーによるスタート構成であるが、最高位の仮想車90だけが先導する実車表現89に関連付けられた構成を示している。これらのゲーミングモードは、無制限のプレーヤーゲーミングモードと呼ばれる。これらの例は、多くの類似の選択肢のうちの単なる2つの例であり、本実施形態の方法の目的のためには、コンピュータゲームの各参加プレーヤーがこれらの車のうちの1台に割り当てられているだけで良い。したがって、各プレーヤーは、実車表現のうちの1つにスナップされたレースを開始する。同じ実車表現89にスナップされた各プレーヤーは、当該実車とデジタル的に対にされ、その環境において実車表現89と同一の性能モデルを有する。
【0110】
図13は、24台の実車と多数のコンピュータゲームプレーヤーとのレースの途中までのレーシング状況を示しており、各コンピュータゲームプレーヤーは、1つの実車表現89に関連付けられた仮想車90を有する。図13の実際のレースの状況は、図11cの、実車表現89aが先頭に立ち、次に実車表現89cが続き、その次に実車表現89bが続いている状況に似ている。各コンピュータゲームプレーヤーは、上述した1人のプレーヤーが24台の実車の表現とインタラクトする場合とほぼ同じように、レースを体験する。図13に示される状況は、3人のプレーヤー102a(3)のシミュレートされた車90が、先頭(実車表現89a)より前のゾーン98aにある場合である。これは、トラック上の1台の破線の車によって、及び、具体的には、正確かつ接近した状態で分離された位置における3台の個々のシミュレートされた車90c、90f、90zとしての拡大図において示されている。この先頭ゾーンでは、各プレーヤーは、当該ゾーン内の他の数人又は全員のプレーヤーに関する情報及び/又は表現と共に表示され、先頭位置に立つためのインタラクティブな競争を促進することが可能であり得る。4台の車104a(4)が、実車表現89aのスナップゾーン96a内にあり、実車表現89aにスナップされている。これらは、図13において、トラック8上の1台の破線の車として示されており、拡大図において、4台の個々の破線の車表現90b、90m、90w、90sとして、ゲーム内のその実車表現89aに対する正確な位置に示されている。9人のプレーヤー106a(9)が、実車表現89aの追いかけゾーン100aにいる。ゾーン96a、98a及び100a内の全てのシミュレートされた車は、実車表現89aとデジタル的に対にされている。実車表現89cは、現在スナップされている25台の車104c(25)がいるスナップゾーン96cを有している。この追い越し後ゾーン98cは18人のプレーヤー102c(18)を含み、追いかけゾーン100cは57人のプレーヤー106c(57)を含む。全てのプレーヤーは、実車表現89cとデジタル的に対にされている。追い越し後ゾーン及び追いかけゾーンでは、各プレーヤーの仮想車90は、それらの仮想車90を同じゾーンに有する他の数人又は全員のプレーヤーに関する情報及び/又は表現と共に表示されて、追い越し後及び追いかけゾーン98、100において仮想のプレーヤーの間でのインタラクティブな競争を促進することが可能である。この表現方法は、有利にも、大量のプレーヤー情報が小さいスクリーンサイズ内に提供され、小さいスクリーンサイズのゲーミング装置が、表示される大量の情報を最大化することが可能となる。実車のクラッシュが実際のレースで発生すると、そのプレーヤーの入力コマンドが、ブラックボックスモデルを参照して判定されるようにクラッシュを低減及び回避するようなものでないならば、スナップされた仮想車90も後に続くことになる。それ以外の場合には、スナップされていない車90として、うまく道から外れた地点から続けることになる。
【0111】
したがって、この無制限のプレーヤーモードでは、上述の方法は、便利にも、任意の数のコンピュータゲームプレーヤーがライブレースとインタラクトし、各プレーヤーがイベント10を体験して、全領域の実車と魅力的かつ刺激的に競争することを提供する。これは、各プレーヤーのゲーミング装置2が、実車がサーキットの周りを前進することのライブデータストリームと、適切な場合、チームの音響及びドライバービデオといった他のデータストリームによるドライバーの入力(仮想レースシミュレーション内への)とを受信することによって可能となる。加えて、プレーヤーが、集団対戦にライブで関連付けられたレースに参加している場合、通常、各プレーヤーがサーキットの周りを前進することが通信され、中央ゲーミングサーバ4においてまとめられる。これは、図13に示されるサーキット8全体をまとめた視点を可能にし、多数のプレーヤーの仮想車90のレースにおける相対位置が連続的、かつ、ある程度正確に監視可能であるように、リアルタイムで分析される(例えば、コンピュータゲームソフトウェアシミュレーションは、シミュレートされた任意の車の瞬時位置をどんな時にも任意の所望の精度で提示することが可能である)。これはその後、以下のことを可能にする。
a)レースの終了時の全てのプレーヤーの最終位置が、曖昧さを残さずかつ公正に判定されること、及び、
b)コンピュータゲームプレーヤー間の競争が強化され得る環境において、個々のプレーヤーには、上述のように、近傍に居る他の関連するプレーヤーの車の画像が提示され得る。
【0112】
また、各プレーヤーのコンピュータゲームは、挙動及び現実のイベント10とのインタラクションを表示するが、多くのプレーヤーの集団対戦により強化される。例えば、現実のドライバー及びチームのライブ音響フィードが、スナップされた全てのプレーヤーにストリームされるだけでなく、スナップされ、追いかけている及び追い越されたプレーヤーの数も、現実のチーム若しくは多数の観客又は現実のドライバー(個々のプレーヤーの名前等であり得る)に提示され得る。現実のドライバーがスナップされたドライバーの数名又は全員にコメントすることが可能であり、選択したスナップされたドライバーが、そのコメントに返信することが可能である(もちろん、安全性の視点から許容できるものかの評価の対象である)。本実施形態によって可能となる、このような多くの他の没入型エンターテインメント機能が潜在的に存在する。
【0113】
コンピュータゲームプレーヤーの集団対戦とライブで関連付けられたイベント10では、どのように組織化されているかにもよるが、ゲームプレーヤー人口には広範囲の技能レベルが存在する可能性がある。本実施形態は、上述のような、各プレーヤーにとってのハンディキャップパラメータを含むことによる「参加希望者全員」又は「オープン」イベントを許容することに容易に拡張可能である(全てのハンディキャップシステムのように、以前の体験の公正な評価に基づいて)。例えば、各プレーヤーは、0~100のハンディキャップを実現できただろう。ここで、0はプロのゲーマーステータスを表し、100は初心者のゲーマーステータスを表す。ハンディキャップ0は、プレーヤーの入力を受け取り、これらをそれらの仮想車のサーキット8の周りの前進に転換する際に、ゲーミングサーバ4のAIエンジン48がゲームにいかなる支援もしないことを意味することになり、反対に、ハンディキャップ5は、プレーヤーのデータ入力38が現実のドライバー26の入力の5%以内である場合、これらが適合するものと考えられることを意味し得る。
【0114】
上述の方法の全ては、有利にも、以下の特徴を提示することが可能である。すなわち、実車の性能のその環境におけるコンピュータゲームシミュレーションが、ゲームプレーヤー間だけでなく、ゲームプレーヤーと現実のドライバーとの間の公正かつ楽しい競争を提示することが可能であるという特徴を提示可能である。換言すると、現実のドライバーが現実の制御入力26を実車に対して行うように、ゲームプレーヤーが同等のシミュレートされた入力38をシミュレートされた車に対して行う場合、シミュレートされた車90の前進が、実車表現89の前進と許容可能な精度で一致することになる。高レベルの忠実性を実現することは、長年、モーターカーレーシングコンピュータゲーム開発及びプロのシミュレータの目的であり、既にかなりの能力が存在している。しかしながら、集団対戦にライブで関連付けられたイベントの場合、どんなイベントであってもプレイに多くの要因が存在することになる。この要因は、測定されてコンピュータゲームに通信されることが必要になり、コンピュータゲームアルゴリズム及びAIにおいて現実的に説明されることになる。上述のように、このような多くの測定値をライブでコンピュータゲームに送信し、シミュレーションに基づいて従来の物理モデルを強化することを示唆する従来技術がある。代替的かつ好ましいアプローチは、以下に記載する最後の実施形態において実現され、事実上、「現実仮想インタラクションのためのリアルタイムの動的ブラックボックスシミュレーション」の方法としてまとめられる。
【0115】
本実施形態は、ライブイベントに関連付けられたコンピュータゲーム内で動的ブラックボックスシミュレーションモデルを実施可能である。これらの実施形態では、コンピュータゲームに実車の正確な位置データ22が図1に示される位置データキャプチャシステム20を介してリアルタイムで提供されることに加えて、現実のドライバーが実車12に対して行う制御入力26も測定されて、リアルタイムでゲーミングサーバ4に送信される。図14は、ブラックボックス動的シミュレーションの方法の原理を説明するための、ライブイベントデータキャプチャサーバ24によって送信される様々なパラメータ28を時間の経過と共に示すグラフである。
【0116】
図14を参照すると、本実施形態は、実車に対する例示的かつ単純化した一組のドライバー入力(制御入力)、すなわちステアリングホイール位置54a、加速装置位置54c及びブレーキペダル位置54b、のための動的ブラックボックスシミュレーションモデルをリアルタイムで使用する。実際には、ギアチェンジ(図14には図示されていない)といったより多くのドライバー入力があり得る。これらは、ブラックボックスモデルへの動的データ入力である。ブラックボックスモデルからの動的出力は、経時位置に関する実車89の前進である。すなわち本例のモデルでは、これらは、トラック8上の移動した長手距離52b及び横方向位置52cとして示されている。図5は、ドライバーの入力における変動が実車89のトラック位置/場所の経時の出力における変動と一致し得ることを示している。1ラップにわたる入力及び出力のタイムヒストリーを記録及び相互に関連付けることが、ブラックボックス動的モデルの最も単純なバージョンを提供する。これはその後、ユーザのコンピュータで生成される入力38に基づいて仮想車90の想定可能なトラック位置を判定するために使用される。
【0117】
本実施形態は、中央サーバ4において生じるレースシミュレーションに基づいている。この場合に、仮想レースシミュレーションエンジン36が如何に動的ブラックボックスシミュレーションを実施するかの一例を以下に説明し、図15に図示する。運動学的レース位置データ22が、(前述の)参照ブラックボックスモデル生成器110によってライブ又は記録されたイベント10からの現実のドライバー入力26と一致している。このデータの出力は、ゲーミングブラックボックス実施生成器112に提供され、ゲーミングブラックボックス実施生成器112はこれを参照して、プレーヤー入力データ(運転コマンド)38が、レースで制御している仮想車両90の位置に作用しているかを判定する。実際、参照ブラックボックス生成器は、入力を出力に伝達する関数を規定し、これは、ゲーミングブラックボックス実施エンジン112によって使用され得る。上述のように、プレーヤーが実車両のプロのドライバーと競争することを支援するためにAIエンジン48も設けられている。一旦、ゲーミングブラックボックス実施エンジン112によって仮想車両90の位置が決定されると、これは、レースシミュレーション出力エンジン114に送られ、レースにおける当該車両の表現90を生成するために使用される。レースを行っている全ての車両89、90のインタラクティブなハイブリッドレース環境は、格納されているデータモデル44を使用して仮想レース環境46を関連する全てのゲーミング装置2に出力するレースシミュレーション出力エンジン114によって生成される。
【0118】
ブラックボックス動的モデルは、極めて複雑な車であって、その極めて複雑かつ動的に変化する環境が動的に変化する車の高精度の「ホワイトボックス」モデル(つまり、より詳細なモデルを複雑な物理学に基づき組み合わせるモデルであり、より詳細なモデルもより詳細なモデルを組み合わせるモデルであり、…)を生成する必要性を最小化する。したがって、動的に測定及びモデル化することが不可能な複雑な要因、例えば、機体の損耗や裂傷、トラック表面のタイヤ複合物の堆積が車輪の接着に作用すること、突風が車の前進の空気力学に作用すること(ここに挙げたのは多くのうちの3つに過ぎない)が全て、測定されたブラックボックスモデルの現実性にまとめられる。参照ブラックボックス生成器110によって生成された測定されたブラックボックスモデルは、その後、ゲームにおいてAIエンジン48のAIアルゴリズム用の参照モデルとして機能し、コンピュータゲームプレーヤーによって参照モデル入力と異なる入力38が与えられると、当該出力を、整合的に、比例して、かつ、現実的に変化させることになる。
【0119】
1台の車のブラックボックスモデルは、ラップ毎のドライバー入力の大きな変動や、他の物理的要因における(通常は、連続的かつ段階的な、場合によっては個別の)変動により、ラップ毎に異なることになる。しかしながら、この方法がレースの間に最適な動的かつ正確なシミュレーションを提供することを確保するために、本実施形態で使用可能な多くの詳細な戦略及び技術がある。これらは、以下のものを含むがそれらに限定されない。すなわち、
i.実践セッション及び現実のレースを通して多数のラップからのブラックボックスモデルデータを平均化するか、そうでなければ、組み合わせて、当日にドライバー、車、及び、トラックを最も良く表す参照ブラックボックスラップモデルを生成する。
ii.a)と同じことを行うが、トラックのより短い区域、例えば特定のコーナー又は特定の直線で行う。
iii.当日のドライバー、車、及び、トラックの最終的な性能用の参照ブラックボックスモデルとして最良のラップ時間で、ラップを取る。
iv.c)と同じことを行うが、トラックのより短い区域、例えば特定のコーナー又は特定の直線で行う。
v.ブラックボックスモデルを秒毎に構築する、ゲームプレーヤー入力38と現実のドライバー入力26とを比較する、及び、出力を直接かつ即時型反応で調整する(この方法は、履歴が入手できない場合の第1のラップに、又は、「ピットストップ」及びしたがって実車の改造後の第1のラップの場合に、特に便利であろう)。
vi.連続性及び相対的単純性を適用することが知られている既知の物理法則のモデリングを、測定されたブラックボックスモデルに補足する。
vii.車の性能、例えば最大直線加速度、トップ直線速さ等に対する既知の限定をモデル化する。
【0120】
他にも多くの技術があるが、本方法の要点は、極めて複雑な物理学的システムのホワイトボックスモデルをリアルタイムで生成するよりも、有効であると知られる1つ又は複数の動的ブラックボックス参照モデルに関する変化についてモデル化及びシミュレーションを行うことがずっと実用的である点である。
【0121】
実際のモータースポーツイベント10にライブで関連付けることだけでなく、本発明の他の実施形態は、コンピュータゲームプレーヤーのインタラクションが過去のライブレースの記録されたバージョン42とのインタラクションである状況にも適用可能である。この記録42は、過去のレースの環境で極めて正確に測定された実車89の運動性能22と当該レース中の現実のドライバーの実車に対する入力26とから成る。これらの実施形態では、上述の説明の全てが記録されたレースとコンピュータゲームプレーヤーとの対戦に適用可能である。
【0122】
あるいは、実際のレースの記録42が、この環境で極めて正確に測定された実車89の運動性能22だけから成り、現実のドライバーの入力26の記録が無い、別の一実施形態では、デジタル的に対にすることは、その環境におけるゲームプレーヤーの車90のシミュレートされた性能が、ゲームプレーヤーと現実のドライバー又は自律走行車との間の公正な競争を生成する程度に十分に、実車89の性能の表現に近いことを確保する他の任意の方法に基づいて行われ得る。これには、例えば、高忠実性のレーシングカーシミュレータを用いたドライバー入力26のリバースエンジニアリングが含まれ得る。ここでは、ドライバーがリハーサルを行い、その後ドライバーが、記録されたレースにおける各実車89の性能を再現することを可能にする入力履歴を記録する。これは、元のイベントからのデータが入手可能でない場合に、入力26を動的ブラックボックスモデルに再構成するための方法の例示的な一例である。
【0123】
図16~20を参照すると、上述の実施形態と主により分散された態様で実施される点において異なる、本発明のさらなる一実施形態が記載される。このさらなる実施形態には、図1~4の実施形態の構成要素と同様に機能する多くの構成要素があり、不要な繰り返しを避けるために違いだけを以下に説明する。図16を参照すると、ゲーミング装置2の構成が示されている。ここで、ゲーミング装置2には、中央サーバ4ではなく仮想レースシミュレーションエンジン36が備えられ、プレーヤー入力に由来するプレーヤー入力コマンド38は、直接、仮想レースシミュレーションエンジン36に入力されることが可能であり、中央サーバ4に送信される必要はない。これは、効率及び帯域幅消費を大幅に改善する。仮想レースシミュレーションエンジン36には、少なくともライブイベント10からの実車89の位置データ22及びドライバー入力データ26、記録された参照ブラックボックスデータ120、及び、補足データ122が、ゲーミングサーバ4から通信エンジン124を介して提供される。この受信されたデータは、ローカルデータ記憶装置5に格納され、図2の実施形態において上記した説明と同じように、仮想レースシミュレーションエンジン36によって使用される。同様に、データモデル44が、シミュレートされたレース環境46の生成のためのさらなる支援を提供する。既に説明したように、プレーヤーが現実のドライバーと競争することを助けるための支援を提供するために、AIエンジン48が設けられている。仮想レースシミュレーションへのより分散されたアプローチを有する結果、中央サーバ4は各プレーヤーの仮想車両90の位置で更新される必要がある。したがって、通信エンジン124は、レースの開始のためのレースカー選択126及びレース中のそれに対する変更126だけでなく、仮想レースシミュレーションエンジン36によって決定されるような仮想車両位置データ126も、中央ゲーミングサーバ4にレース中に送信するために配置されている。
【0124】
図17を参照すると、この分散された実施形態のゲーミングサーバ4aが示されている。ゲーミングサーバ4aは、各仮想車両位置90を照合してこれを仮想レース管理エンジン130に提供する仮想車両位置プロセッサ128を有している。その後、仮想レース管理エンジン130は、各ゲーミング装置2に、レース中のそれらの位置及び相対性能、並びに、場合によっては(仮想のプレーヤーの間のレースが強化されるか、又は、より競争的になると判定される場合)レース中の他の仮想車両90の位置に関する情報を提供し、レーシング環境を完成させる。仮想レース管理エンジン130は、過去に記録されたデータ42用の参照ブラックボックスを生成することも可能であり、これを全てのゲーミング装置2に提供することが可能である。これは事前記録されたデータ42であるので、情報は、リアルタイムレーシングと結び付けられることになるタイムクリティカルな方法で提供されない。その後、ゲーミングサーバ4aは、全ての競争相手の位置を認識するので競争の監視を扱うだけであり、仮想及び現実に、場合によってはテレメトリー及び他のデータを「スナップされた」車に供給したり(したがって、ライブイベントデータキャプチャサーバ24からのリンクを必要とする)、場合によっては選択された競争画像を各仮想競争相手に供給したり、場合によっては仮想競争に関する統計を現実のチームに供給したりする。
【0125】
また、本実施形態では、現実のライブイベントデータ28は、ライブイベントデータキャプチャサーバ24からゲーミングサーバ4aに送られ、ゲーミングサーバ4aから、ゲーミング装置2に配信される。これは、同期にとって都合がよい。しかしながら、他の一実施形態では、現実のライブイベントデータは、各ゲーミング装置2に直接送られることが可能であり、これは、遅延時間を短縮し、中央サーバにおいて求められる処理能力が低減されるという利点がある。
【0126】
図18aは、ライブイベントデータキャプチャサーバ24からのデータと、ゲーミングサーバ4aにおいてゲーミング装置2から受信される仮想車位置データと、を示す図である。図8a及び図13aは極めて類似しているものの、本実施形態では、他のデータ132も中央サーバ4aに提供される。この他のデータ132は、ライブテレメトリーデータや、チームとドライバー等との間の無線通信データであり得る。これらの追加的なデータストリーム132は、上述したように、ゲーミングをより現実的又は魅力的にすることが可能である。
【0127】
図18bは、ゲーミング装置2からゲーミングサーバ4aに送信された仮想車位置データ134を示す図である。このデータは、ゲーミングコンピュータ識別子56をさらに含む。この位置データ134を使用して、仮想車両90の位置を更新し、ゲーミングサーバ4aによって決定されるように、当該位置が同じレース内の他の参加者に、他のゲーミング装置2を使用して通信可能なようにする。他のデータフィールド136は、結び付けられることになる実車両の選択、又は、ハンディキャップデータといった他のデータに関連するものである。
【0128】
ここで図19を参照すると、ゲーミングサーバ4a内の仮想レース管理エンジン130が示されている。仮想レース管理エンジン130は、どのゲーミング装置2がどの更新位置データ38を受信することになるかを判定する。その中心となるのは、レースエンジン管理プロセッサ140であり、このプロセッサは、異なるデータストリームから中央サーバ4aに提供されたレースの写真を集める。さらに、仮想レース管理エンジン130は、参照ブラックボックスモデル生成器142を含む。これは、上述の実施形態で図15を参照して説明したものと同じであるが、過去の記録されたイベントデータ42においてのみ動作する点を除く。ライブデータ参照ブラックボックスモデルの生成は、各ゲーミング装置2に移譲される。通信エンジン144は、位置データ38及び参照ブラックボックスモデルデータ146を適切な各ゲーミング装置2に提供する。さらに、通信エンジン144は、(上述のような)他のレースデータ132を各ゲーミング装置2に提供することが可能であり、各ゲーミング装置2に直接提供されない場合はライブイベントデータを送信することが可能である。
【0129】
図20を参照すると、本実施形態のシステムのゲーミング装置2における動作方法150が示されている。この方法150は、ステップ152においてゲーミング装置が、レースへの参加リクエストをゲーミングサーバ4aに送信することを開始する。このリクエストは、特定の構成の詳細を含み、これは、ゲームサーバ4aがゲーミング装置2とインタラクトすることを可能にし、当該装置2のプレーヤーが関連付けられることになる実車両89を特定することも可能にする。例えば、ゲーミング装置2がライブイベントデータキャプチャサーバ24及び/又はライブテレマティックスフィード26からライブデータを直接のフィードすることを必要とする場合、これらのゲーミングオプションを特定可能である。次のステップにおいて、ゲーミングサーバは、ステップ154において、要求された情報、例えば、ライブイベントデータキャプチャサーバ24からフィードされたライブデータへのリンクや、仮想レース管理エンジン130によって判定されるレース中の他の仮想プレーヤー90の位置、を提供する。図示していないが、この情報で評価されたゲーミングサーバ4aは、特定のイベント10に割り当てられたアクティブなゲーミング装置2の全体写真を生成することが可能である。先に説明した実施形態と同様に、単一の実車両89は、これに関連付けられた多数のプレーヤーを有していることが可能である。その後、ステップ156において、仮想レース環境を、実車両の仮想表現89の初期位置を含むゲーミング装置上に局所的に生成する。先に説明したように、これは、ライブイベントからのライブデータ28、又は、過去に記録されたライブイベントからの事前記録されたデータ42に基づく。ローカルデータ記憶装置5に格納されたデータモデル44を用いて、仮想レース環境を生成する。レースがステップ158において開始されると、ライブイベント又は事前記録されたイベントからのデータストリーム28、42が、ステップ160において受信され、これを用いて、実際のレース車両の表現の位置がステップ162において変更され得る。これらの新たな位置を用いて、ステップ160において、仮想レース環境における実車両12の表現89のための新たな位置を生成する。これはその後、ゲーミング装置2においてプレーヤーに提示される。これに対して、ゲーミング装置は、ステップ162において、プレーヤーのユーザ入力38に由来するゲーミング制御データ(仮想レースコマンド)を生成して、それらの仮想車両を制御する。その後、これらの仮想レースコマンドを、仮想レースシミュレーションエンジン36内で参照ブラックボックスの出力と比較して、ステップ166において、仮想車両の次の位置をプレーヤーのユーザ入力に結果として生成するために使用する。(本実施形態のリアルタイムブラックボックス生成は、図10を参照して説明した通りであることは理解されよう)。仮想車両のこの新たな位置を、その後、ステップ168において、ゲーミングサーバ4aに送信することが可能であり、他のプレーヤーの仮想車両90の位置を、ゲーミングサーバ4aから受信して、ゲーミングサーバ4aによって関連するものと判定される。その後、関連する仮想車両の新たな位置を、ステップ170においてゲーミング装置2上のプレーヤーに提示する。このプロセスは、レースの終了がステップ172において判定されるまで継続される。
【0130】
最後に、本発明の特徴は、区切られた競技フィールドにおいてリアルタイムで追跡される移動物体が自動車ではなく、例えばサッカーピッチやバスケットボールコート上のプレーヤーや、ダウンヒルスキーイベントの競争相手、又は、レーストラック上の猟犬であるような広範囲のスポーツイベントへの適用に拡張させることが可能であることは明らかであろう。これらは全て、トラックではない対戦エリア、及び、車両ではない移動体の例である。位置データキャプチャシステムは、適合するアーキテクチャのセンサ、コンピュータ設備、及び、通信設備となろう。現実の競争相手の衣服に、赤外線を放射しない繊維や小型赤外線放射装置(一定光又は調光を放射することが可能であり、場合によってはトリガされ得る)を組み込んで、追跡及び識別に適したコールドスポット又はホットスポットを提供することも可能である。現実のプレーヤー又はチームと仮想のプレーヤー又はチームとのインタラクティブな競争は、モータースポーツの場合ほど実用的ではないかもしれないが、上記の18)に記載の没入型エンターテインメント及び観戦強化機能は実用的である。スポーツ統計及び分析の収集を容易な方法で自動化することが可能である。さらに、例えばサッカーボール又はバスケットボールに、人間の目には見えない赤外線反射又は非放射のマーカを組み込む技術を開発し、追跡装置の性能が、ボールの回転を連続的に測定可能にすることも可能であろう。これは、例えば、1つのセンサがテーブルの上に配置されたスヌーカーやビリヤードゲームにおける付き玉にも適用可能である。共通の特徴的かつ新規の特徴は、移動物体(車両、プレーヤー、ボール…)を比較的短い範囲(<100m)で広角赤外線センサや照明器、及び、結び付けられたコンピュータ設備及び通信設備を用いて追跡して、受動的又は能動的な赤外線マーカ、反射器、吸収材、又は、放射器を検出することである。このようにして得られたリアルタイムデータを使用して、幅広いインタラクティブエンターテインメント及びゲーミング体験を強化する。
【0131】
本実施形態の特徴を、以下に箇条書きで提示して説明する。
1) ドライバー付きの実車、又は、自律走行実車を含む現実のライブレースと、コンピュータゲームプレーヤーがインタラクトするシステム及び方法が記載される。これによって、単一のプレーヤーは、それらのシミュレートされた車を実車のうちの1台に関連付けてレースを開始でき、初期の車に関連付けられた状態を維持することによって、又は、規定の近接点パラメータに基づき実車から実車に関連付けることによって前進でき、これによって、現実のレースにおける仮想のドライバーとして、現実のドライバーに対して競争的に競争する。
2) コンピュータゲームプレーヤーのシミュレートされた車が1台の実車に関連付けられない場合、全ての実車がレースに表示され、コンピュータゲームプレーヤーは、自らの判断で、実車を回避して、独立した移動体として競争すること、又は、規定の近接点パラメータに基づいて、1台の実車と関連付けることを選択することが可能なシステム及び方法が記載される。プレーヤーのシミュレートされた車が1台の実車に関連付けられている場合、当該実車は、プレーヤーのコンピュータゲームでは、競争している車として表示されない。
3) コンピュータゲームプレーヤーの車が1台の実車に関連付けられている場合、ゲームプレーヤーの車のシミュレーションは実車のデジタル対であり、その環境におけるゲームプレーヤーの車の性能がその環境における実車の性能のシミュレーションに、ゲームプレーヤーと現実のドライバー又は自律走行車との間の公正な競争を作り出す程度に十分近いことを意味している、システム及び方法が記載される。
4) デジタルで対にすることが、その環境において極めて正確な測定された実車の運動学的性能と動的ブラックボックスシミュレーション現実のドライバーの実車への入力とに基づいて行われる、システム及び方法が記載される。
5) コンピュータゲームが仮想ゾーンと各実車とを動的に結び付け、コンピュータゲームプレーヤーの車がそのゾーンに入ると、実車のデジタル対になるか、又は、実車に関連する特定の性能特徴を引き継ぐ、システム及び方法が記載される。
6) コンピュータゲームプレーヤーの車が1台の実車に関連付けられて、その実車がメンテナンス又は改造動作(故障修理、燃料補給、又は、新しいタイヤの付け替え)のためにレースのタイムアウトを取る場合、コンピュータゲームプレーヤーは、同様にレースのタイムアウト(1ラップだけ遅延され得る)を取ることを選択できる。この場合、これらのシミュレートされた車は、変更された実車の性能特徴を引き継ぐ、システム及び方法が記載される。
7) コンピュータゲームプレーヤーの車が1台の実車に関連付けられていない場合、コンピュータゲームプレーヤーは、シミュレートされたメンテナンス又は改造動作のためにレースのタイムアウトを取ることを選択でき、これは、実際のレースに戻ると、コンピュータゲームプレーヤーの車を類似のメンテナンス又は改造動作を行ったいずれかの実車と関連付ける資格を与えるものになる、システム及び方法が記載される。
8) 最大でレース中の実車の数を含む多数のコンピュータゲームプレーヤーは、レースの間に実車と関連付けることが可能であり、これによって1つの現実のライブレースにおいて互いに及び実車に対して競争できる、システム及び方法が記載される。
9) ドライバー付きの実車、又は、自律走行実車を含む現実のライブレースと、多数のコンピュータゲームプレーヤーとの集団インタラクションのためのシステム及び方法が記載される。これによって、各プレーヤーは、それらのシミュレートされた車を実車のうちの1台に関連付けてレースを開始でき、規定のパラメータに基づいて実車から実車に関連付けることによって前進でき、これによって、現実のレースにおける仮想のドライバーとして、現実のドライバー及び他の全てのコンピュータゲームプレーヤーに対して競争的に競争する。
10) ゲームプレーヤーが集団eスポーツレースにおいて競争するシステム及び方法が記載される。ここで、各プレーヤーが現実のレースと現実的、魅力的、かつ、挑戦的にインタラクトすることが求められ、非常に多くのプレーヤーをその性能やeスポーツイベントにおける最終位置について順位付ける公正な方法が求められており、この方法は、コンピュータゲームプレーヤーのシミュレートされた車の互いに対する極めて正確な位置に基づいている。
11) コンピュータゲームプレーヤーのインタラクションが過去レースの記録されたバージョンとのインタラクションであり、この記録は、過去のレースの環境で極めて正確に測定された実車の運動性能と当該レース中の現実のドライバーの実車に対する入力とから成る、システム及び方法が記載される。
12) あるいは、コンピュータゲームプレーヤーのインタラクションが過去レースの記録されたバージョンとのインタラクションであり、この記録は、この環境で極めて正確に測定された実車の運動性能だけから成る、システム及び方法が記載される。この場合、デジタル的に対にすることは、それらの環境における実車の運動性能のデジタル記録に関連付いた、その環境におけるゲームプレーヤーの車のシミュレートされた性能が、ゲームプレーヤーと現実のドライバー又は自律走行車との間の公正な競争を生成する程度に十分に、その性能の表現に近いことを確保する他の任意の方法に基づいている。
13) コンピュータゲームプレーヤーのシミュレートされた車が実車に置き換えられる場合、ゲームプレーヤーのコンピュータシステムと実車及び/又はその結び付けられたチーム及びそれらの施設との間で、任意の方向及び任意の目的のためにビデオ、音響、又は、他の任意の技術データの交換がある、システム及び方法が記載される。
14) 各コンピュータゲームプレーヤーには、それらの過去の経験及び蓄積された技能の公正な評価に基づくハンディキャップが割り当てられており、そのハンディキャップがコンピュータゲームによって使用され、プレーヤーの入力に対するその環境における車の応答を緩和し、異なる体験及び技能のレベルのプレーヤーが実車における現実のドライバーと競争する機会、及び/又は、互いに対して競争してレースに勝つ機会をほぼ均一化する、システム及び方法が記載される。
15) 随意で上述の方法のいずれかを用いて、任意の数の実車とコンピュータゲームプレーヤーの車とを関連付けることにより、コンピュータゲームプレーヤーではない自動車レースファンがインタラクティブな観戦体験に参加すること、及び、上述のシステム及び方法に含まれる技術データ、ビデオストリーム、音響ストリーム、又は、他の任意のデータを受信することが可能である、システム及び方法が記載される。
16) ゲーミングプレーヤーの仮想車両を、現実の自動車の表現と結び付けて、レースにおける実車両に関する入力位置データとして、及び、現実のドライバーの入力として受け取り、これらを用いて、参照ブラックボックス表現を生成することが可能である。参照ブラックボックス表現に対して、レースの間のゲーミングプレーヤー入力を評価して、仮想のプレーヤーの車両を実車両の表現に一致させて、現実のレーシング環境をシミュレートすることが可能な、シミュレートされたゲーミング環境を判定する、システム及び方法が記載される。
17) 実車両の動的入力及び出力データがキャプチャされ、ブラックボックスモデリング方法を用いて分析され、その結果は、競合するチームにリアルタイムでフィードバックされることが可能であり、ドライバー及び車の性能に関するその理解を支援し、特に、これまで得ることができなかったそれらの車の性能に関する極めて正確な運動学的データをチームに提供する、システム及び方法が記載される。
【0132】
レーストラックの周りに配置された位置検知装置群によって車両の動きを検知するシステム及び方法が記載される。各検知装置は、車両から放射された、反射された、又は、送信されたIR放射線を検出して車両のトラック位置を判定するためのIRセンサと、当該位置データを位置データキャプチャシステムに送信するための通信手段とを含み、データは、これらの車両を含むレーシングイベントに関するライブ位置データとして照合され、ゲーミング装置又はサーバに提供される。しかしながら、上述したように、動き追跡システムは車両の動きに制限されないことは理解されよう。赤外線センサ群であって、適切な構成を有し他の赤外線センサ群への接続を有する赤外線センサ群を使用する際の精度が、移動体の正確な位置検出を可能にし、例えば、人間又は動物の動きを含む非モータースポーツに適用可能である。
【0133】
記載した実施形態の様々な変形例が可能であり、一実施形態の要素を他の実施形態の要素と容易に組み合わせることが可能であることも理解されよう。したがって、ここに記載される方法及びシステムは、本発明の異なる態様をどのように実施できるかを示す非限定の例であり、本発明は、本開示の要点及び範囲によって規定されることは、理解されよう。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10a
図10b
図11a
図11b
図11c
図12a
図12b
図13
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図15
図16
図17
図18a
図18b
図19
図20
【国際調査報告】