(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】注射器、そのような注射器を製造するための方法及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
A61M5/315 514
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564589
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 US2020029047
(87)【国際公開番号】W WO2021216040
(87)【国際公開日】2021-10-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522414073
【氏名又は名称】メドテック コンセプト エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マーティンソン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】フリッシャー,イヴァル
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066EE14
4C066FF05
4C066HH14
4C066HH17
4C066LL26
(57)【要約】
【課題】 従来技術の注射器に関する問題をそれほど伴わず、それでもなお原理的に再利用の可能性を回避する注射器を提供することである。
【解決手段】 中空の軸方向に延在する針を担持する前部、前記前部から延び、及び容器後端部を形成する容器、容器内において延在し、及び軸方向に可動であるプランジャを有する注射器であって、針後端は、容器と流体接続しており、及びプランジャは、針から離れて引かれると、針を通して液体、例えばインシュリンを含む液体を吸引し、及び針に向かって押されると、針を通して液体を放出するように配置され、プランジャは、針後端に向けられたピストン部と、容器内でピストン部を移動させるためにピストン部と協働するように配置された結合部とを有する、注射器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の軸方向に延在する針(12)を担持する前部(11)、前記前部から延び、及び容器後端部(14)を形成する容器(13)、前記容器内において延在し、及び軸方向に可動であるプランジャ(15)を有する注射器(10)であって、針後端(16)は、前記容器と流体接続しており、及び前記プランジャは、前記針から離れて引かれると、前記針を通して液体、例えばインシュリン、グリカゴン、ワクチン又は他の物質を含む液体を吸引し、及び前記針に向かって押されると、前記針を通して液体を放出するように配置され、前記プランジャは、前記針後端に向けられたピストン部(17)と、前記容器内で前記ピストン部を移動させるために前記ピストン部と協働するように配置された結合部(18)とを有し、前記結合部(18)は、前記ピストン部(17)における空洞(19)内に導入され、及び前記空洞内において前方位置と後方位置との間で軸方向に可動であり、容器長さに対するプランジャ長さは、前記注射器が、前記容器内の前方位置に前記ピストン部があり、及び前記空洞内の前記後方位置に前記結合部(18)がある配送状態で配置されるとき、前記プランジャの後端(15’’)が前記容器の前記後端(14)を越えて特定の距離に延在しており、それによりプランジャ把持部(15’’’)を形成するように適合され、前記容器後端部は、内部ロッキングフランジ配置(20)を含み、及び前記容器後端部を越えて特定の距離に延在する前記プランジャ部(15’’)は、外側ロッキングフランジ配置(21)を含み、それにより、放出状態における、前記結合部を含むプランジャ本体(15’)が、前記空洞内で前記結合部の前記前方位置まで前方に押されると、前記プランジャの前記ロッキングフランジ配置は、前方に押され、前記容器の前記ロッキングフランジ配置を通過し、それにより前記容器内の前記プランジャを前記注射器の非再利用状態にロックする、注射器(10)。
【請求項2】
前記プランジャの前記把持部(15’’’)は、前記プランジャ後端の縁部(22’)を形成するフランジ部(22)を有し、前記把持部の端部は、把持を防止するために前記縁部から延在する凸形状を有する、請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
前記容器の前記後端は、前記プランジャの前記後端把持部(15’’’)を受け、及び前記縁部(22’)を覆うための皿穴配置(23)を有して形成される、請求項1又は2に記載の注射器。
【請求項4】
前記結合部は、前記空洞への導入及びその結合作用を促進するための凸状先端構成(24)と、後部の、好ましくはほぼ円筒状の支持部(25)とを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項5】
前記ピストン部は、前記容器内への導入を促進するための凸状前端と、概して円筒状の構成と、好ましくは前記容器の内面と密封して接触するためのフランジ部とを有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項6】
前記ピストン部(17)は、ゴムベース材料又は高分子材料などの弾性材料で作られる、請求項1~5のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項7】
軸方向にほぼ対称である、請求項1~6のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項8】
前記プランジャ(15)の端部は、取り付けアセンブリ(40)の取り付けピン(34)を受けるように意図された後方開放チャネル状凹部(33)を備え、前記取り付けピンは、前記注射器の取り付け中に注射器部品を支持するように意図される、請求項1~7のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項9】
前記針を有する前記前部は、前面壁(29’)及び開放後端(29’’)部を有するスリーブの形式のカバー(29)によって覆われ、及びしたがって潜在的なユーザによる取り扱い及び輸送中に保護され、前記カバーは、前記前部に着脱可能に適用され、及び内部隆起部(29’’’)と前記前部との間の内部摩擦によって保持されるように設計され、前記カバーは、前記前部の材料以外の弾性材料で作られる、請求項1~8のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項10】
前記カバーは、外側ストップフランジ(30)から延びる円筒状後部を有し、前記後部は、注射器筐体(31、32)に嵌るように意図される、請求項9に記載の注射器。
【請求項11】
前記カバーは、内部及び外部隆起部(28’’’、29’’’)により、前記注射器前部と前記カバーとの間及び前記注射器筐体と前記カバーとの間の液密接続を提供する、請求項9又は10に記載の注射器。
【請求項12】
前記ピストンが引き出された状態で、30~80ミリメートルの範囲、好ましくは40~60ミリメートルの範囲の長さを有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項13】
注射器(10)を製造するための方法であって、前記注射器(10)は、中空の軸方向に延在する針(12)を担持する前部(11)、前記前部から延び、及び容器後端部(14)を形成する容器(13)、前記容器内において延在し、及び軸方向に可動であるプランジャ(15)を有し、針後端(16)は、前記容器と流体接続しており、及び前記プランジャは、前記針から離れて引かれると、前記針を通して液体、例えばインシュリン、グリカゴン、ワクチン又は他の物質を含む液体を吸引し、及び前記針に向かって押されると、前記針を通して液体を放出するように配置され、前記プランジャは、前記針後端に向けられたピストン部(17)と、前記容器内で前記ピストン部を移動させるために前記ピストン部と協働するように配置された結合部(18)とを有し、前記方法は、
- 後部開口部を有し、及び取り付けピン(34)を受けるように意図される、チャネル状の軸方向に延びる凹部(33)を有する前記プランジャ(15)を提供する工程;
- 前記前部内に配置された前記針を有する前記容器を含むユニット(35)を提供すると共に、前記ユニットを取り付け位置に保持し、及び前記取り付けピンによって前記ピストン部(19)を担持する工程;
- 前記取り付けピンにより、前記ピストン部を前記容器内に導入する工程;
- 前記取り付けピンにより、前記プランジャを担持する工程;
- 前記取り付けピンにより、前記容器内で前記ピストン部を前方及び後方に移動させるために協働するように、前記プランジャの前記結合部(18)を前記ピストン部内に導入する工程、及び
- 前記取り付けピンを除去することにより、前記注射器を配送状態にする工程
を含む、方法。
【請求項14】
前記ユニットは、前記注射器前部に適用されるカバー(29)を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法を行うための取り付けアセンブリ(40)であって、取り付けフレーム(36)上に所望の数の取り付けピン(34)を担持し、及び前記フレームを、注射器ユニットフレーム(37)によって保持及び担持される注射器ユニット(35)に又はそれから移動させると共に、前記方法の前記工程を行うための手段(41)が提供される、取り付けアセンブリ(40)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、添付の請求項1の前文による注射器に関する。本発明は、そのような注射器を製造するための、添付の請求項13による方法にさらに関する。またさらに、本発明は、添付の請求項15によるアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
注射器、特にインシュリンを糖尿病患者に自己注射するように意図されたものに関連する一般的な問題は、注射器が極めて高価であり、及びまた広範なものであり、したがって取り扱い及び例えばポケット、水着などでの持ち運びが容易ではなく、したがって個別に使用するのが容易でないことである。
【0003】
注射器、特に物質、例えばインシュリンを含む液体を人体に注入するように意図されたものに関連するさらに別の一般的な問題は、注射器が、汚染理由のため、単回注入目的を意図されることが通常好ましいことである。したがって、よく知られているのは、伝染病の蔓延源としての注射器の再利用に関連する極めて深刻な問題である。
【0004】
さらに、本発明による1つ又は複数の注射器のための好都合で実用的な筐体を設計する問題が存在する。
【0005】
またさらに、注射器の必要性が非常に広範であることから、本発明による注射器を合理的なコストで大量に製造する問題が存在する。
【0006】
従来技術
したがって、再利用を防止するように設計された多くの従来技術の注射器が存在するが、これらの設計は、複雑であり、製造が高価であり、また取り付けが複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の注射器に関する問題をそれほど伴わず、それでもなお原理的に再利用の可能性を回避する注射器を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の目的は、本発明による注射器を低コストで大量に製造するための設計及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これら及び他の目的は、独立請求項1で規定されるものによる注射器並びに独立請求項13で規定されるものによる方法及び独立請求項15によるアセンブリによって得られる。
【0010】
さらなる目的は、従属請求項で規定されるものによって得られる。
【0011】
好ましい実施形態によると、注射器のサイズは、比較的個別の注入と、さらに非常にタイトな又は先細の衣服での快適な持ち運びとを提供するように極めて制限される。したがって、好ましい実施形態によると、注射器は、プランジャが完全に引き出された状態で、30~80ミリメートルの範囲、好ましくは40~60ミリメートルの範囲の長さを有する。
【0012】
さらに、好ましい実施形態によると、注射器のサイズは、注入される液体の種類、例えば液体の活性物質の濃度に適合され、これは、より大きい容積の液体が望ましく、したがってより大きいサイズの注射器が特定の注入の望ましい効果を得るために必要であることを意味する。
【0013】
好ましい実施形態によると、プランジャの後端は、プランジャ前端に向かって狭くなり、及びプランジャ後端の周囲に延びる縁部を形成する円錐状フランジ部を有する。このようにして、把持が促進される。
【0014】
好ましい実施形態によると、容器の後端は、プランジャの後端を受けるための皿穴配置を有して形成される。このようにして、プランジャの後端は、プランジャ後端の把持が実際に防止されるように、注射器の放出状態で容器の端部に嵌め込まれ、端部は、把持困難形状を提供するための凸状構成を有する。
【0015】
好ましい実施形態によると、前記結合部前部は、凸状円形構成と、後部のほぼ円筒状の支持部とを有する。このようにして、前記空洞内への導入並びに空洞内の結合作用及び可動性が促進される。
【0016】
好ましい実施形態によると、ピストン部は、ゴムベース材料又は高分子材料などの弾性材料で作られる。このようにして、容器との液密接続及び結合部上の取り付けが促進される。
【0017】
好ましい実施形態によると、注射器は、軸方向にほぼ対称である。これは、注射器の取り扱い及び製造を容易にする。
【0018】
好ましい実施形態によると、プランジャの端部は、取り付けアセンブリの取り付けピンを受けるように意図された後方開放チャネル状凹部を備え、取り付けピンは、注射器の取り付け中に注射器部品を支持するように意図され、それにより多数の注射器のための非常に効率的な取り付け手順を低コストで得ることができる。
【0019】
好ましい実施形態によると、針を有する前部は、前面壁及び開放後端部を有するスリーブの形式のカバーによって覆われ、及びしたがって潜在的なユーザによる取り扱い及び輸送中に保護され、カバーは、前記前部に着脱可能に適用され、及び内部隆起部に対する内部摩擦によって保持されるように設計され、カバーは、前部の材料以外の弾性材料で作られる。カバーは、外側ストップフランジから延びる円筒状後部を有し、この後部は、注射器筐体に嵌め込まれ、及び外部隆起部によって保持されるように意図される。このようにして、注射器は、前記筐体内に液密に配置されて取り扱われ、及び前記筐体から除去されると、前記カバーによって液密に保護されて取り扱われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図面の簡単な説明
本発明のよりよい理解は、同様の詳細が同様の標記で指定される添付図面と共に、以下の詳細な説明を考慮することによって得ることができる。
【0021】
【
図1a】針、前部及び容器を含む注射器ユニットを図示する。
【
図4】配送状態、したがって液体によって依然として満たされていない状態で示される注射器を収容する単一注射器筐体を断面で示す。
【
図5】3本の注射器を収容する3本注射器筐体を断面で示し、一番下のものは、完全に放出されており、中央及び一番上のものは、液体で充填されており、前記液体を放出する準備ができている。
【
図7a】取り付けアセンブリ内の注射器の取り付けの段階を示し、注射器列において保持された4本の注射器のグループが左側に示され、及び取り付けの段階において取り付け工程を行うために配置された4つの取り付けピンのグループが右側に示される。
【
図7b】取り付けアセンブリ内の注射器の取り付けの段階を示し、注射器列において保持された4本の注射器のグループが左側に示され、及び取り付けの段階において取り付け工程を行うために配置された4つの取り付けピンのグループが右側に示される。
【
図7c】取り付けアセンブリ内の注射器の取り付けの段階を示し、注射器列において保持された4本の注射器のグループが左側に示され、及び取り付けの段階において取り付け工程を行うために配置された4つの取り付けピンのグループが右側に示される。
【
図7d】取り付けアセンブリ内の注射器の取り付けの段階を示し、注射器列において保持された4本の注射器のグループが左側に示され、及び取り付けの段階において取り付け工程を行うために配置された4つの取り付けピンのグループが右側に示される。
【
図7e】取り付けアセンブリ内の注射器の取り付けの段階を示し、注射器列において保持された4本の注射器のグループが左側に示され、及び取り付けの段階において取り付け工程を行うために配置された4つの取り付けピンのグループが右側に示される。
【
図8a】注射器使用の状態を示し、配送状態を示す。
【
図8b】注射器使用の状態を示し、液体が注射器内に吸引されている状態を示す。
【
図8c】注射器使用の状態を示し、注射器が前記液体を放出する準備ができている状態を示す。
【
図8d】注射器使用の状態を示し、注射器が液体で部分的にのみ充填されている状態を示す。
【
図8e】注射器使用の状態を示し、放出状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1a)~1d)の別々の部分に示される実施形態によると、注射器10は、図に指示される、中空の軸方向に延在する針12を担持する前部11、前記前部11から延び、及び容器後端部14を形成する容器13を含む。前記針12を前部11に適用するためのいくつかの異なる配置が存在する。一実施形態によると、針は、前記前部上に圧入されるように配置されたスリーブ部上に接続される。別の実施形態によると、針は、前記前部上にネジ止めされるように配置されたスリーブ部に接続され、それによりネジ山状配置によって締付けられる。
【0023】
注射器は、容器13内において延在し、及び軸方向に可動であるプランジャ15をさらに含み、針後端16は、容器と流体接続しており、及びプランジャは、針から離れて引かれると、針を通して液体を吸引し、及び針に向かって押されると、針を通して液体を放出するように配置される。
【0024】
プランジャは、針後端に向けられたピストン部17と、容器内でピストン部を移動させるためにピストン部と協働するように配置された結合部18とを有する。ピストン部と、結合部を含むプランジャ本体15’とは、別々の部品であり、ピストン部は、結合部によってプランジャ本体に接続される。
【0025】
したがって、結合部は、ピストン部における空洞19内に導入され、及び前記空洞内において前方位置と後方位置との間で軸方向に可動であり、容器長さに対するプランジャ長さは、注射器が、容器内の前方位置にピストン部があり、及び前記空洞内の前記後方位置に結合部がある配送状態で配置されるとき(
図8a))、プランジャの後端15’’が容器の後端部14を越えて特定の距離に延在しており、それによりプランジャ把持部15’’’を形成するように適合される。
【0026】
さらに、容器後端部14は、内部ロッキングフランジ配置20を含み、及び容器後端部を越えて特定の距離に延在するプランジャ部15’’は、外側ロッキングフランジ配置21を含み、それにより、放出状態におけるプランジャ(
図8e))が、前記空洞内で結合部の前方位置まで前方に押されると、プランジャのロッキングフランジ配置は、前方に押され、容器のロッキングフランジ配置を通過し、それにより容器内のプランジャを注射器の非再利用状態にロックする。
【0027】
好ましい実施形態によると、プランジャの後端把持部15’’’は、プランジャ後端の縁部22’を形成するフランジ部22を有する。
【0028】
好ましい実施形態によると、容器の後端14は、注射器の放出状態においてプランジャの後端把持部15’’’を受けるための皿穴配置23を有して形成され、それにより端部15を把持することを極めて難しくするか又はさらに不可能にする(
図8e)に見られ得るように)。
【0029】
さらに、好ましい実施形態によると、前記結合部18は、前記空洞内への導入と、ピストン部の後部ストップフランジ19’を通過するためのその結合作用とを促進するための前部凸状円形先端構成24と、前記空洞に出入りするための、後部のほぼ円筒状の支持部25とを有する。
【0030】
ピストン部は、ゴムベース材料又は高分子材料などの弾性材料で作られ、及び容器内の傾きを防止するために容器の内径より軸方向に長いことも好ましい。前部の低摩擦を促進するために、ピストン部の後部及び中央部は、フランジ17’として設計される。
【0031】
さらに、好ましい実施形態によると、注射器は、軸方向にほぼ対称である。
【0032】
さらに、それから結合部が延在するピストン本体15’前端は、プランジャが後方に引っ張られると、容器のフランジ配置20と協働して、プランジャが容器から離れることを防止するように意図されたフランジ配置28を含む。
【0033】
好ましい実施形態によると、針を有する前部は、前面壁29’及び開放後端29’’部を有するスリーブの形式のカバー29によって覆われ、及びしたがって潜在的なユーザによる取り扱い及び輸送中に保護され、カバーは、前記前部に着脱可能に適用され、及び内部隆起部29’’’に対する内部摩擦によって保持されるように設計され、カバーは、前部の材料以外の弾性材料で作られる。カバーは、外側ストップフランジ30から延びる円筒状後部を有し、この後部は、
図4又は
図7に示すように、注射器筐体31、32に嵌るように意図され、及び外部隆起部29’’’’によって保持される。
【0034】
好ましい実施形態によると、注射器の輸送、持ち運び及び取り扱い中の保護のために、1つ又は複数の注射器のために提供される筐体が存在し、2本以上、例えば3本の注射器のための筐体は、ユーザによって注入のために使用された注射器の数の記録を提供し、使用された注射器は、好ましくは、筐体内に戻される。
【0035】
好ましい実施形態によると、プランジャ15の端部は、取り付けアセンブリ40の取り付けピン34(
図6)を受けるように意図された後方開放チャネル状凹部33を備える(
図1)。取り付けアセンブリは、
図7に関連して後に説明される。取り付けピンは、注射器の取り付け中に注射器部品を支持するように意図される。
【0036】
本発明による注射器の機能は、上記の説明により、相当な及び十分な範囲で明らかにされたはずである。
【0037】
したがって、配送状態(
図8a))では、注射器は、容器内の前方位置にピストン部があり、及び前記空洞内の前記後方位置に結合部18がある状態で配置され、プランジャの後端15’’は、容器の後端14を越えて特定の距離に延在しており、それによりプランジャ把持部15’’’を形成する。
【0038】
注射器を充填するために、針は、液体、例えばインシュリン、グリカゴン、ワクチン又は他の物質を含む液体中に導入され、プランジャは、容器内の後方に引っ張られ、それにより、液体は、容器を所望の程度まで充填するために、結合部によって引き出されたピストン部によって針を通して容器内に吸引される。
【0039】
針を通して液体を注射器から放出して注射器を空にするために、プランジャは、容器内で前方に押される。結合部は、前記空洞内の前方位置まで前方に押され、及びプランジャのロッキングフランジ配置は、前方に押され、容器のロッキングフランジ配置を通過し、それにより容器内のプランジャを注射器の非再利用状態にロックする。
【0040】
好ましい実施形態によると、容器後端の皿穴配置は、プランジャの後端把持部(15’’’)を受け、それにより注射器を再利用するためにプランジャを後方に再び引き出すことを極端に難しくするか又は不可能にする。
【0041】
本発明の重要な部分は、本発明による注射器を製造するための方法でもあり、注射器は、一般的には、中空の軸方向に延在する針(12)を担持する前部(11)、前記前部から延び、及び容器後端部(14)を形成する容器(13)、容器内において延在し、及び軸方向に可動であるプランジャ(15)を有し、針後端(16)は、容器と流体接続しており、及びプランジャは、針から離れて引かれると、針を通して液体、例えばインシュリン、グリカゴン、ワクチン又は他の物質を含む液体を吸引し、及び針に向かって押されると、針を通して液体を放出するように構成され、プランジャは、針後端に向けられたピストン部(17)と、容器内でピストン部を移動させるためにピストン部と協働するように配置された結合部(18)とを有する。
【0042】
好ましい実施形態によると、本方法は、
- 後部開口部を有し、及び注射器の取り付け中に注射器部品15、19を支持するための取り付けピン34を受けるように意図される、チャネル状の軸方向に延びる凹部33(
図1c))を有するプランジャ15を提供する工程;
- 前部11内に配置された針12を有する前記容器13を含むユニット35を提供すると共に(
図7a))、前記ユニットを取り付け位置に保持し、及び取り付けピンによってピストン部19を担持する工程(
図7a));
- 取り付けピンにより、ピストン部19を容器内に導入する工程(
図7b));
- 取り付けピンにより、プランジャを担持する工程(
図7c));
- 取り付けピンにより、容器内でピストン部を前方及び後方に移動させるために協働するように、プランジャの結合部18をピストン部内に導入する工程(
図7d))、及び
- 取り付けピンを除去することにより、注射器を配送状態にする工程(
図7e))
を含む。
【0043】
【0044】
本発明による取り付けアセンブリ40の好ましい実施形態によると、所望の数の取り付けピンは、本発明による方法の必要な工程を行うための注射器ユニットフレーム37によって保持及び担持される注射器ユニット35に又はそれから可動である取り付けフレーム36上に配置される。当然のことながら、
図7で取り付けられている4本の注射器は、単に一例であり、注射器の数は、はるかに大きいことが意図される。
【0045】
上記において、本発明は、好ましい実施形態及び例に関連して説明された。当然のことながら、本発明の基本的な創意から逸脱することなく、さらなる実施形態並びに若干の変更及び追加の詳細が想像され得る。
【0046】
さらに、好ましい実施形態によると、容器及びプランジャは、高分子材料で作られる。
【0047】
したがって、本発明は、示された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更され得る。
【国際調査報告】