(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】蘇生装置
(51)【国際特許分類】
A61H 31/00 20060101AFI20230526BHJP
A61N 1/39 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
A61H31/00
A61N1/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564597
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 IL2021050453
(87)【国際公開番号】W WO2021214765
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522413272
【氏名又は名称】ジョルツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】JOLTZ LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ローズマン, イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】マッセ, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチズ, ショーン
(72)【発明者】
【氏名】キシネフスキー, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マッギン, サム
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンブラム, ジョナサン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C074
【Fターム(参考)】
4C053JJ23
4C074AA04
4C074BB04
4C074GG11
(57)【要約】
本明細書では、対象者への心肺蘇生の実施を容易にする蘇生装置であって、上面及び底面を有するハウジングを備える蘇生装置が開示されている。前記上面は、対象者に心肺蘇生を実施する救助者の手の位置を上面上で案内するように構成された凹部を有し、前記底面は、対象者の胸骨上にハウジングを位置決めして安定させるように構成されている。ハウジングは、心肺蘇生力の均一な分布を対象者の胸部に伝達するように構成され、均一な分布は、心肺蘇生力を直接受ける上面の面積よりも大きい表面積全体にわたって心肺蘇生力を分布させることを容易にし、それにより、対象者の肋骨及び胸骨への損傷及び挫傷の防止を容易にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者への心肺蘇生の実施を容易にする蘇生装置であって、
上面及び底面を有するハウジングであって、前記上面が、心肺蘇生を対象者に施す救助者の手の位置を該上面上で案内するように構成された凹部を有し、前記底面が、前記対象者の胸骨上に前記ハウジングを位置決めして安定させるように構成されている、ハウジングを備え、
前記ハウジングが、心肺蘇生力の均一な分布を前記対象者の胸部に伝達するように構成され、前記均一な分布が、心肺蘇生力を直接受ける前記上面の面積よりも大きい表面積全体にわたって心肺蘇生力を分布させることを容易にし、もって前記対象者の肋骨及び胸骨に対する損傷及び挫傷防止を容易にする、蘇生装置。
【請求項2】
前記底面が、心肺蘇生力の適用中に前記ハウジングが前記対象者の胸部上のその位置から外れることを防止する摩擦面を含む、請求項1に記載の蘇生装置。
【請求項3】
前記凹部が、乳児への心肺蘇生力の適用を容易にするように構成された二次的な凹部を含む、請求項1又は2に記載の蘇生装置。
【請求項4】
心肺蘇生力の適用のための圧迫リズムの表示を提供するように構成された圧迫インジケータを更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【請求項5】
心肺蘇生力の適用中に対象者の胸部を覆うことを容易にするように機能するタープを更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【請求項6】
前記対象者のバイタルサインを測定するように構成された少なくとも1つのセンサと、
少なくとも1つの処理ユニットと
を更に備え、
前記少なくとも1つの処理ユニットが、
前記少なくとも1つのセンサによって測定されたバイタルサインを監視するように、
前記バイタルサインの前記監視に従って、前記ハウジングが前記胸部上に適切に配置されているかどうかを判定するように、
心肺蘇生力を適用するための指示を含む通知を生成するように、
適用された処置及び対象者の状態に関するリアルタイムの連続的なフィードバックを提供するように
構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【請求項7】
モバイル装置と通信するように構成された通信ユニットを更に備え、
前記モバイル装置が、ユーザにユーザインタフェース及び指示コンテンツを提示するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【請求項8】
乳児の心肺蘇生中に心肺蘇生力の適用を容易にするように構成された第2の凹部を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の蘇生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は蘇生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の主な仕事は、酸素化された栄養豊富な血液を体全体に送出することである。心臓の一部によって生成される電気インパルスは、送出サイクルを調節する。電気インパルスが規則的で一貫したパターンに従うと、心臓は正常に機能し、血液の送出が最適化される。心臓の電気インパルスが乱されると(すなわち、心不整脈)、突然の心停止が生じ、血液の循環が阻害される場合がある。結果として、脳及び他の重要な器官は、栄養素及び酸素を奪われる。突然の心停止となっている人は、処置せずに放置すれば、突然意識を失い、その後すぐに死亡する場合がある。
【0003】
突然の心停止又は不整脈におけるよく知られた有効な処置は、心肺蘇生(「CPR」)である。CPRは、心停止している人の自発的な血液循環及び呼吸を回復させるためのさらなる手段がとられるまで、損傷のない脳機能を手動で保存するために行う、胸部圧迫と人工呼吸とを組み合わせる緊急処置である。CPRは、成人に対して、5cm(2.0インチ)~6cm(2.4インチ)の深さで、1分あたり少なくとも100~120の速度での胸部圧迫を含む。救助者はまた、対象者の口又は鼻に空気を吐き出すこと(マウスツーマウス式人工呼吸蘇生術)、又は対象者の肺に空気を押し込むデバイスを使用すること(機械的換気)のいずれかによって、人工的な換気を提供し得る。
【発明の概要】
【0004】
以下の実施形態及びその態様は、範囲を限定するものではなく、典型的且つ例示的であることを意図したシステム、ツール及び方法と併せて説明されて示される。
【0005】
一実施形態によれば、対象者への心肺蘇生の実施を容易にする蘇生装置が提供される。この蘇生装置は、上面及び底面を有するハウジングを含み、上面は、対象者に心肺蘇生を施す救助者の手の位置を該上面上で案内するように構成された凹部を有し、底面は、対象者の胸骨上にハウジングを位置決めして安定させるように構成されている。ハウジングは、心肺蘇生力の均一な分布を対象者の胸部に伝達するように構成され、均一な分布は、心肺蘇生力を直接受ける上面の面積よりも大きい表面積全体にわたって心肺蘇生力を分布させることを容易にし、それにより、対象者の肋骨及び胸骨への損傷及び挫傷防止を容易にする。
【0006】
いくつかの実施形態では、底面は、心肺蘇生力の適用中にハウジングが対象者の胸部上のその位置から外れることを防止するための摩擦面を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、凹部は、乳児への心肺蘇生力の付与を容易にするように構成された二次的な凹部を含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、蘇生装置は、心肺蘇生力の適用のための圧迫リズムの表示を提供するように構成された圧迫インジケータを更に含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、蘇生装置は、心肺蘇生力の適用中に対象者の胸部を覆うことを容易にするように機能するタープ(シート状部材)を更に含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、蘇生装置は、対象者のバイタルサインを測定するように構成された少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つの処理ユニットとを更に含む。処理ユニットは、少なくとも1つのセンサによって測定されたバイタルサインを監視するように、バイタルサインの監視に従ってハウジングが胸部上に適切に配置されているか否かを判定するように、心肺蘇生力を与えるための指示を含む通知を生成するように、そして、適用される処置及び対象者の状態に関するリアルタイムの連続的なフィードバックを提供するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、蘇生装置は、モバイル装置と通信するように構成された通信ユニットを更に含み、モバイル装置は、ユーザにユーザインタフェース及び指示内容を提示するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、蘇生装置はまた、乳児の心肺蘇生中に心肺蘇生力の適用を容易にするように構成された第2の凹部を更に含む。
【0013】
前述の例示的な態様及び実施形態に加えて、図面を参照して以下の詳細な説明を検討することによって更なる態様及び実施形態が明らかになる。
【0014】
開示された主題のいくつかの非限定的で例示的な実施形態又は特徴が以下の図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】特定の例示的な実施形態に係る、心肺蘇生を容易にするために対象者の胸部に配置された蘇生装置を示す。
【
図2A】特定の例示的な実施形態に係る
図1の蘇生装置を示す。
【
図2B】特定の例示的な実施形態に係る
図1の蘇生装置を示す。
【
図2C】特定の例示的な実施形態に係る
図1の蘇生装置を示す。
【
図2D】特定の例示的な実施形態に係る
図1の蘇生装置を示す。
【
図2E】特定の例示的な実施形態に係る
図1の蘇生装置を示す。
【
図2F】特定の例示的な実施形態に係る
図1の蘇生装置を示す。
【
図3】特定の例示的な実施形態に係る、
図1すら
図2Fの蘇生装置を概略的に示す。
【
図4】特定の実施形態に係る、
図1の蘇生装置をモバイル装置と接続するために該蘇生装置によって実行される方法の工程の概要を示す。
【
図5】例示的な実施形態に係る、心肺蘇生による処置管理を支援するために
図1の蘇生装置によって実行される方法の工程の概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
1つ以上の図面に現れる同一の、重複する、同等の、又は類似の構造、要素、又は部分は、一般に、同じ参照番号で、任意選択的に、類似の実体間又は実体の変形同士の間を区別するための更なる1つ又は複数の文字でラベル付けされ、また、繰り返しラベル付け及び/又は説明されなくてもよい。
【0017】
図に示される構成要素及び特徴の寸法は、提示の便宜又は明確さのために選択され、必ずしも原寸に比例して又は真の観点で示されない。便宜上又は明確にするために、いくつかの要素又は構造は、示されず、或いは、部分的にのみ及び/又は異なる観点で又は異なる視点からのみ示される。
【0018】
既に提示された要素への言及は、それらが現れる図面又は説明を必ずしも更に引用することなく暗示される。
【0019】
本明細書では、特定の例示的な実施形態に係る、心肺蘇生(「CPR」)を施すためのシステム及び方法が開示されている。
【0020】
図1は、特定の例示的な実施形態に係る、CPRの実施のために対象者185の胸部190に配置された蘇生装置100を概略的に示す。蘇生装置100は、対象者185の胸骨195の上部に配置されるように構成され、それにより、救助者によって加えられる心肺蘇生力(CPR力)を分布させて、CPRの効果的な適用を確実にする。いくつかの実施形態では、蘇生装置100は、
図3~
図5に関連して説明するように、救助者又は救急医療技術者(「EMT」)によって操作されるモバイル装置170との接続(矢印175で示す)を確立するように構成される。接続を通じて、蘇生装置100は、EMTに不整脈イベントを通知し、医療支援を要求することができる。
【0021】
図2A~
図2Cは、特定の例示的な実施形態に係る蘇生装置100を概略的に示す。
図2Aは、特定の実施形態に係る、ケース205内に格納されたハウジング200を有する蘇生装置100を示す。ケース205は、蘇生装置100が使用されていないときにそれを保護するように構成される。ハウジング200は、ハウジング200の上面215上に中央部分210を有する。中央部分215は、CPR中にCPR力の均一な分布を確実にするために救助者の手280の適切な位置決めを容易にするように構成された凹部220を含む。特定の実施形態では、中央部分210は、乳児へのCPRの実施を容易にするように構成された二次的な凹部221を含む。二次的な凹部221は、救助者の1本以上の指282を適切に配置して、乳児CPR中のCPR力の均一な分布を容易化するように構成される。ハウジング200は、中央部分210の境界に沿って位置合わせすることができる圧迫インジケータ225を含むことができる。圧迫インジケータ225は、CPRを施すリズムを救助者に提供するように構成される。特定の例示的なケースでは、圧迫インジケータ225は、点滅光などの視覚的表示、ビープ音などの音声表示、振動などの動作表示などを提供することができる。
【0022】
図2Bを参照すると、特定の例示的な実施形態に係る、ケース205から取り出された蘇生装置100が示されている。
【0023】
図2Cを参照すると、特定の例示的な実施形態に係る蘇生装置100の底面230が示されている。底面230は、胸骨195(
図1)上の最適な位置決めのために構成され、それによって、CPR力の均一な分布を確実にし、それによって、CPRの均一な適用を確実にする。底面230は、粘着層(図示せず)を含むか、又は胸部190(
図1)との十分な摩擦を生成する化合物を有することができ、蘇生装置100が胸骨195の上部の位置から外れることを防止する。例えば、化合物は、胸骨195と蘇生装置100との間に乾燥した静摩擦を生じさせて、救助者によって蘇生装置100に下向きのCPR力が加えられたときにも蘇生装置100がその位置から外れることを防止する。
【0024】
図2Dを参照すると、特定の実施形態に係る、ケース205からの取外し中の蘇生装置100が示されている。蘇生装置100がケース205から取り外されると、蘇生装置100の上部255と底部250との間に収容された収納区画260からタープ240を取り出すことができる。蘇生装置100がケース205から取り外された後、ハウジング200の底面230が露出せ、胸骨195上に配置することができる(
図1)。いくつかの実施形態において、蘇生装置100は、救助者に対して蘇生装置100を対象者185上に配置するための適切な位置を示す指示カバー又はステッカー(290で示す)を含む。指示カバー290は、CPRの障害とならないように取り外すことができる。
【0025】
図2Eを参照すると、特定の例示的な実施形態に係る、収納区画260を露出させるために分離された上部255及び底部250を有する蘇生装置100が示されている。収納区画260は、収納区画260内に収まるように折り畳まれたタープ240を収納する。
【0026】
図2Fを参照する。特定の例示的な実施形態によれば、CPR中、タープ240は、ケース205から取り出されると、引っ張られ、対象者190の胸部(
図1)を覆うように広げられる。いくつかの実施形態では、タープ240は、女性対象の胸部190を覆い、それによって、対象者185(
図1)からの衣類の除去を必要とする医療支援の実施から生じ得る不快感を軽減する。いくつかの実施形態では、タープ240は、対象者185と救助者との間の接触を防止するための個人用保護具(「PPE」)として利用することができる。CPR中の対象者185と救助者との間の密接な相互作用に起因して、それらの間で物理的接触する可能性が高く、これは、感染、疾患などをもたらすウイルス、細菌などの伝播の可能性を増大させる。タープ240は、対象者と救助者との間の潜在的な接触領域を減少させるのに十分な表面カバーをもたらす。
【0027】
図3は、特定の実施形態に係る蘇生装置100を概略的に示す。蘇生装置は、電源320と、1つ又は複数のセンサ305と、通信ユニット310と、表示ユニット315と、プロセッサ300とを含む。センサ305は、蘇生装置100と胸部190(
図1)との間に接触があるときに対象者185(
図1)のバイタルサインを測定するように構成されている。バイタルサインは、心拍数、血圧、呼吸数など、並びに圧迫レート及び深度に関する情報を含むものとすることができる。センサ305は、底面230内に埋め込まれ、それによって、センサ305が胸部190と物理的に接触することを可能にする。特定の実施形態では、センサ305は、CPR中に施される圧迫の深さ及び速度を測定するように構成された加速度計を含むことができ、心臓充填や心拍出量を測定するように構成された音響ソノグラムを含むことができる。
【0028】
通信ユニット310は、緊急事態を通知し、支援を要求するために、EMTのモバイル装置170と接続し、矢印175によって表されるように通信するよう構成されている。いくつかの実施形態では、通信ユニット310は、救助者のモバイル装置170と接続して通信する(175)ように構成され、それにより、蘇生装置100上の適切な手の位置を救助者に示す指示アプリケーションを起動する。例えば、指示アプリケーションは、音声指示と共に指示映像を表示する。
【0029】
圧迫表示ユニット225は、必要な圧迫リズム及び深度の視覚的、聴覚的及び/又は運動支援表示を救助者に提供するように構成される。いくつかの実施形態では、提供される表示は、対象者185(
図1)に応じて、例えば対象者185の年齢や性別などに応じて、カスタマイズすることができる。プロセッサ300は、
図4~
図5に関連して説明される工程を実行するように構成される。
【0030】
いくつかの任意選択的な実施形態では、圧迫表示ユニット225は、底面230が胸骨195(
図1)の上に位置付けられていないという表示をすることができる。表示は、センサ305がバイタルサインを測定していないというプロセッサ300によってなされる判定に従うことができ、プロセッサ300は、蘇生装置100が胸骨195の上に再配置されなければならないという指示を生成するように圧迫指示ユニット225を動作させる。
【0031】
モバイル装置170は、救助者などのモバイル装置170のユーザが蘇生装置100と通信して対象者190のバイタルサイン及び状態を監視することを可能にするユーザインタフェース330をユーザに提供するアプリケーションを実行することができる。ユーザインタフェース330は、蘇生装置100の操作ないしは動作を容易にする映像指示及び音声指示を救助者に提示することができる。ユーザインタフェース330は、蘇生装置100を正しく動作させるための段階的な指示、例えば、各指示ステップの後に提供者にそのステップを実行する時間を与える映像指示や音声指示をユーザに提供するという指示映像提示を表示することができる。蘇生装置100は、ステップの実行に関するリアルタイムのフィードバックをモバイル装置170に提供することができ、ユーザインタフェース330は、救助者に更なる指示材料を提供し、指示ステップを繰り返し、又は救助者の実行に従って次のステップに進むことができる。
【0032】
ここで
図4を参照すると、特定の実施形態に係る、蘇生装置100(
図3)をモバイル装置170(
図3)に関連付けるためにプロセッサ300(
図3)によって実行される方法の工程の概要が示されている。救急サービスが蘇生装置100の操作ないしは動作を必要とする医学的な緊急事態を通知されると、救急サービスは救助者に事故を通知することができ、救助者はそこに派遣される。それに従って、救助者は、蘇生装置100の付近に派遣され、これは、蘇生装置100をクラウドソーシングプラットフォームに登録する又は都市、地域、州などの所定のエリア内の医療サービスに登録することによって決定され得る。
【0033】
救助者が蘇生装置100から所定の距離内にいるとき、プロセッサ300は、モバイル装置170が蘇生装置100から所定の距離内にあるかどうかを検出する工程400を実行する。プロセッサ300は、例えば蘇生装置100の近くのモバイル装置から受信したピング(pings)から、モバイル装置170が蘇生装置100から所定の距離内にあるかどうかを検出する。例えば、この距離は、蘇生装置100の位置から半径1メートル以内とすることができる。
【0034】
工程405において、プロセッサ300は、モバイル装置170から認証情報を受信する。通信ユニット310(
図3)が受信したモバイル装置170からの認証情報は、プロセッサ300に提供される。
【0035】
工程410において、プロセッサ300は、蘇生装置100とモバイル装置170との間の通信を可能にするために必要な許可をモバイル装置170が有するかどうかを判定する。プロセッサ300は、モバイル装置170から受信される認証情報を記憶された認証情報と比較する。記憶された認証情報は、例えば、製造中、最初の起動中などの医学的な緊急事態前に蘇生装置100に登録される認証情報となり得る。記憶された認証情報は、市、地区などの所定のエリア内の全ての救助者に関する認証情報を含むことができ、或いは、赤十字、応急処置応答者などの所定の組織のものとし得る。特定の実施形態では、登録をクラウドソーシングプラットフォームを介して行うことができる。
【0036】
認証情報が記憶された認証情報と一致する場合、プロセッサ300は、蘇生装置100とモバイル装置170との間の通信175(
図3)を可能にする工程415を実行する。認証情報が記憶された認証情報モバイル装置170と一致しない場合、プロセッサ300は、モバイル装置170の蘇生装置へのアクセスを拒否する工程420を実行する。
【0037】
特定の例示的な実施形態において、複数のモバイル装置は、蘇生装置100との通信を可能にする認証情報を有することができる。そのような場合、認証の階層を蘇生装置100で記憶することができ、プロセッサ300は、モバイル装置170の優先順位を判定するために任意選択敵な工程425を実行する。モバイル装置170の優先順位に従って、プロセッサ300は、モバイル装置170の認証情報に基づく認証の階層に従って、モバイル装置170を他のモバイル装置よりも優先し、工程430を実行して、最も高い優先順位を有するモバイル装置170との通信を可能にする。
【0038】
工程435において、プロセッサ300は、蘇生装置100を動作させるための指示材料開始のコマンドを発する。プロセッサ300は、モバイル装置170に転送されるコマンドを通信ユニット310に提供して、モバイル装置170のアプリケーションにおける指示提示を開始する。指示提示は、蘇生装置100を配置する方法、CPRのために手を配置する方法、及びCPRを施す方法をモバイル装置170のユーザに示す映像提示及び音声提示の形態とすることができる。
【0039】
図5は、例示的な実施形態による、対象者185(
図1)へのCPR実施を支援するためにプロセッサ300(
図3)によって実行される方法の工程の概要を示している。
【0040】
工程500において、プロセッサ300はバイタルサインを監視する。プロセッサ155はセンサ160(
図3)を動作させて、
図3に関連して説明したように、対象者185のバイタルサインに関連付けられたデータを監視及び収集する。
【0041】
工程505において、プロセッサ300は、蘇生装置100が胸部190(
図1)上に適切に配置されたかどうかを判定する。プロセッサ300は、センサ160によって測定されたバイタルサインに従って適切な位置を判定する(
図3)。底面230に埋め込まれたセンサ160は、底面230がCPRの適用のための所定の最適位置で胸部190と接触しているときにバイタルサインを測定し、それを通じてプロセッサ300は、底面230が胸骨195(
図1)の上の正しい位置に配置されていることを判定する。
【0042】
工程508において、プロセッサ300は、蘇生装置100の位置についての通知をモバイル装置170に送信する。通知はモバイル装置170に提供され、これはユーザインタフェース178(
図1)を介して見ることができる。通知は、蘇生装置100が胸部190上に適切に配置されていること、又は蘇生装置100が正しく配置されておらず救助者によって動かされなければならないことを知らせることができ、その後、プロセッサ155は、蘇生装置100及び電極120、125が適切に配置されるまでステップ500、505及び508を実行する。
【0043】
工程510において、プロセッサ300は、通信ユニット310を動作させて、バイタルサインをモバイル装置170に通信し、次いで、ユーザインタフェース330(
図3)に表示させることができる。
【0044】
工程512において、プロセッサ300は、対象者190の状態及び必要な処置を評価する。プロセッサ300は、バイタルサインを分析し、対象者190に必要な処置を決定する。例えば、プロセッサ300は、対象者190が心不整脈に罹患しており、したがって電気パルスが対象者190に印加されなければならないか、又はCPRが対象者190に適用されなければならないことを判定することができる。
【0045】
工程520において、プロセッサ300は、救助者によるCPRの適切な管理のためのフィードバック及び指示を提供する。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態との関連において、「動作」又は「実行」などの用語は、限定ではなく例として、「動作可能」又は「実行可能」などの能力もそれぞれ意味する。
【0047】
例として、「物特性」などの複合用語は、その文脈から別段明らかに明白でなければ、その物の特性を意味する。
【0048】
「プロセッサ」又は「コンピュータ」という用語或いはそのシステムは、本明細書では、場合によってはメモリ又は通信ポートなどの更なる要素を備える汎用プロセッサ又はマイクロプロセッサ、RISCプロセッサ、或いはDSPなど、当該技術分野の通常の文脈として使用される。任意選択的に又は付加的に、「プロセッサ」又は「コンピュータ」という用語或いはそれらの派生語は、提供された又は組み込まれたプログラムを実行することができる及び/又はデータ記憶装置及び/又は入力ポート及び出力ポートなどの他の装置を制御及び/又はアクセスすることができる装置を示す。また、「プロセッサ」又は「コンピュータ」という用語は、場合によってはメモリなどの1つ以上の他のリソースを共有する接続された及び/又はリンクされた及び/又は通信する複数のプロセッサ又はコンピュータも示す。
【0049】
「ソフトウェア」、「プログラム」、「ソフトウェア手順」又は「手順」又は「ソフトウェアコード」又は「アプリケーション」という用語は、その文脈に応じて置き換え可能に使用されてもよく、一般にアルゴリズム及び/又は他のプロセスもしくは方法を表わす一連の動作を実行するための1つ以上の命令又は指令又は回路を意味する。プログラムは、RAM、ROM、又はディスクなどの媒体に記憶され、又は、プロセッサもしくは他の回路などの装置によってアクセス可能且つ実行可能な回路に埋め込まれる。
【0050】
プロセッサ及びプログラムは、任意選択的にプロセッサ又は他の回路を備える又はそれとリンクされるプログラムされた一連の動作を実行するように設計される、FPGA又はASICなどの電子ゲートのアレイなど、少なくとも部分的に同じ装置を構成することができる。
【0051】
コンピュータ化された装置又はコンピュータ化されたシステムという用語又は同様の用語は、1つ以上のプログラムに従って動作可能又は動作する1つ以上のプロセッサを備える装置を示す。
【0052】
本明細書で使用されるモジュールは、限定を伴うことなく、同じユニット上又は異なるユニット上の1つ以上の他の部品と動作する又は相互作用するプログラムの一部、或いは、1つ以上の他の部品と相互作用するための電子部品又はアセンブリなどのシステムの一部を表わす。
【0053】
本明細書で使用されるプロセスは、限定を伴うことなく、特定の目的又は結果を達成するための一群の動作を表わす。
【0054】
本明細書で使用される「サーバ」という用語は、1つ以上の他の装置にデータ及び/又は1つもしくは複数の動作サービスを提供するコンピュータ化された装置を示す。
【0055】
目的のための「設定」及び/又は「適応」という用語或いはその変形は、その目的を達成するように設計される及び/又は実装される及び/又は動作可能である又は作用する少なくともソフトウェア及び/又は電子回路及び/又は補助装置を使用することを意味する。
【0056】
プログラム及び/又はデータを記憶する及び/又は含むデバイスは、製品を構成する。別段に定められなければ、プログラム及び/又はデータは、持続性媒体内又は持続性媒体上に記憶される。
【0057】
電気機器又は電子機器が開示される場合、その動作のために適切な電源が使用されることが想定される。
【0058】
フローチャート及びブロック図は、本開示の主題の様々な実施形態に係るシステム、方法及びコンピュータプログラムプロダクトの想定し得る実装のアーキテクチャ、機能性又は動作を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、定められた論理機能を実装するための1つ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、又はプログラムコードの一部を表わすことができる。いくつかの別の実施態様では、図示又は説明された動作が、同じ又は同等の効果を達成するために順次動作の代わりに異なる順序で又は組み合わせて又は同時動作として行われてもよいことにも留意すべきである。
【0059】
以下の特許請求の範囲における全てのミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素の対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に特許請求の範囲に記載された、他の特許請求の範囲に記載された要素と組み合わせて機能を果たすための任意の構造、材料、又は動作を含むことが意図される。本明細書中で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さなければ、複数形も含むことが意図される。「備える」及び/又は「備えている」及び/又は「有する」という用語は、この明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は付加を排除しないことが更に理解され得る。
【0060】
本明細書中で使用される、目的のための「設定」及び/又は「適応」という用語或いはその変形は、その目的を達成するように設計される及び/又は実装される及び/又は動作可能である又は作用する態様で材料及び/又は構成要素を使用することを意味する。
【0061】
別段明記しなければ、大きさ又は数値に関する「約」及び/又は「近い」という用語は、それぞれの大きさ又は値の-10%~+10%の包括的な範囲内を意味する。
【0062】
別段明記しなければ、長さなどの寸法又は範囲に関する「約」及び/又は「近い」という用語は、それぞれの寸法又は範囲の-10%~+10%の包括的な範囲内を意味する。
【0063】
別段明記しなければ、「約」又は「近い」という用語は、物体の他の部分又は領域に対する物体の位置又は部分の領域にある又は領域内にある或いは位置又は部分に近いことを意味する。
【0064】
値の範囲が記載されている場合、それは、単に便宜上又は簡潔さのためであり、全ての想定し得る部分範囲並びにその範囲の境界内及びその境界付近の個々の数値を含む。任意の数値は、別段明記しなければ、実施形態又は方法を可能にする実用的な近い値も含み、整数値は分数値を除外しない。部分範囲値及び実用的な近い値は、具体的に開示された値と見なされるべきである。本明細書で使用される、2つの実体又は値の間の省略符号(...)は、実体又は値のそれぞれの包括的な範囲を示す。例えば、A...Zは、包括的にAからZまでの全ての文字を意味する。
【0065】
本明細書で使用される用語は、別段明記しなければ、限定するものとして理解されるべきではなく、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、開示された主題を限定することを意図するものではない。開示された主題の特定の実施形態を図示して説明してきたが、本開示が本明細書に記載の実施形態に限定されないことは明らかである。多数の修正、変更、変形、置換及び均等物は排除されない。以下の特許請求の範囲における用語は、限定を伴うことなく、本明細書において特徴付けられる又は記載されるものとして解釈されるべきである。
【国際調査報告】