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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】ドレーン対応組織拡張デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20230526BHJP
   A61F 2/12 20060101ALI20230526BHJP
   A61M 27/00 20060101ALN20230526BHJP
【FI】
A61M1/00 160
A61F2/12
A61M27/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564662
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 US2021028993
(87)【国際公開番号】W WO2021217099
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/015,403
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018268
【氏名又は名称】アラーガン、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュスラー、デイヴィッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ニュティ、ジーナ エム.
【テーマコード(参考)】
4C077
4C097
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA09
4C077CC02
4C077EE04
4C077FF04
4C077FF06
4C097AA19
4C097BB01
4C267BB26
4C267BB30
4C267CC05
4C267CC30
(57)【要約】
ドレーン対応の軟組織拡張器は、生体の体内から流体を除去可能にするドレナージ構造物を組み込むことができる。軟組織拡張器は、拡張可能なシェルと、例えば、漿液腫の緩和または除去を補助できるドレナージ構造物とを含むことができる。ドレナージ構造物は、複数の位置でシェルに結合することができ、拡張可能なシェルを損傷することなくそこから取り外すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の体内に埋め込むための軟組織拡張器であって、該軟組織拡張器は、
前方部分、後方部分、および周囲部を有する拡張可能なシェルと、
前記拡張可能なシェルに結合され、前記拡張可能なシェルの前記周囲部に沿って延在するドレナージ構造物であって、係合部材と、前記シェルの周囲部の少なくとも一部の周りで前記係合部材に取り外し可能に結合可能なドレーンチューブとを備える、前記ドレナージ構造物とを備える、軟組織拡張器
【請求項2】
前記係合部材は、前記シェルの前記後方部分に結合された複数のタブを備える、請求項1に記載の軟組織拡張器。
【請求項3】
前記複数のタブの各々は、前記ドレーンチューブの挿入を可能にする開口部を備える、請求項2に記載の軟組織拡張器。
【請求項4】
前記複数のタブの各々は、前記タブの周囲部から前記タブの前記開口部まで延在する壊れやすいスリットを備え、前記タブが前記スリットに沿って選択的に引き裂かれ、そこから前記ドレーンチューブを取り外すことができるようになっている、請求項3に記載の軟組織拡張器。
【請求項5】
前記係合部材は、前記シェルの前記後方部分に結合された波形タブリングを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【請求項6】
前記波形リングは複数のタブを備え、前記複数のタブの各々は、前記ドレーンチューブの挿入を可能にする開口部を備える、請求項5に記載の軟組織拡張器。
【請求項7】
前記係合部材は、前記シェルの前記後方部分に結合されて延在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【請求項8】
前記ドレナージ構造物は、前記ドレーンチューブとの摺動可能な係合を可能にする複数の係合開口部を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【請求項9】
前記開口部のサイズは、前記ドレーンチューブのサイズよりも約5%~約50%大きい、請求項8に記載の軟組織拡張器。
【請求項10】
前記ドレナージ構造物は、第1の組の開口部および第2の組の開口部を含み、第1の組の開口部のサイズは、第2の組の開口部のサイズとは異なる、請求項8に記載の軟組織拡張器。
【請求項11】
前記ドレナージ構造物は、前記第1の組の開口部のうちの開口部が前記第2の組の開口部のうちの開口部と交互になるように構成されている、請求項10に記載の軟組織拡張器。
【請求項12】
前記ドレナージ構造物は、3組の異なるサイズの開口部を含み、前記3組の異なるサイズの開口部は、前記ドレナージ構造物の周囲部の周りにあるパターンで配置される、請求項8に記載の軟組織拡張器。
【請求項13】
前記ドレナージ構造物は、前記拡張器の下部の周りのみに延在する、請求項1~12のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【請求項14】
生体の体内に埋め込むための軟組織拡張器であって、軟組織拡張器は、
拡張可能なシェルと、
前記拡張可能なシェルの周囲部に結合され、前記拡張可能なシェルの前記周囲部に沿って延在する縫合タブ構造物と、
前記縫合タブ構造物に複数の位置で結合され、前記拡張可能なシェルを損傷することなく、そこから取り外し可能である、ドレーンチューブと
を備える、軟組織拡張器。
【請求項15】
前記縫合タブ構造物は、複数の伸縮可能なタブを備える、請求項14に記載の軟組織拡張器。
【請求項16】
前記複数の伸縮可能なタブの各々が、収縮位置と伸長位置との間で前記拡張可能なシェルの前記周囲部に対して移動可能になっている、請求項14または15に記載の軟組織拡張器。
【請求項17】
前記ドレーンチューブは、前記縫合タブ構造物に編み込まれている、請求項14~16のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【請求項18】
前記ドレーンチューブは、複数の開口部を備える、請求項14~17のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【請求項19】
前記ドレーンチューブは、複数の長手方向スロットを備える、請求項14~18のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【請求項20】
無細胞真皮マトリックスをさらに含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、補綴インプラントに関するものであり、より具体的には、流体ドレナージシステムを組み込んだ乳房インプラントおよび組織拡張器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移植可能なプロテーゼは、一般的に体組織を交換または増強するために使用される。乳がんの場合、乳腺と周囲の組織の一部または全部を切除するために乳房切除術が必要になることがあり、これは空隙を作る。この空隙は、流体で満たされた移植可能なプロテーゼで満たすことができる。インプラントは、周囲の組織を支え、体の外観を維持するのに役立つ。体の正常な外観の回復は、術後の患者に非常に有益な心理的効果をもたらし、大規模な外科的処置の後にしばしば起こるショックおよびうつ病の多くを軽減する。
【0003】
乳房再建では、長期的なプロテーゼを埋め込む前に、長期的なプロテーゼに必要な空間を徐々に作るために、より一時的なインプラント(例えば、「組織拡張器」として知られているもの)を利用するのが一般的である。例えば、乳房切除術などの一部の状況では、胸部組織は平らで引き締まっている可能性があり、拡張器は、長期的なプロテーゼを受け入れるために体を準備するのに役立つ。組織拡張器は、健康な組織を拡張して、火傷または傷跡などの近くの欠陥を置き換えるために、体内の他の場所にも使用できる。本質的に、組織拡張器は、膨張弁が接続された膨張可能な本体を備える。弁は、膨張可能な本体自体に形成することができるか、または遠隔に配置され、細長い導管によって膨張可能な本体に接続することができる。
【0004】
組織拡張器の膨張可能な本体は、患者の組織が拡張される場所の皮下に配置される。膨張弁は、インプラント上にあるかそれから離れているかに関係なく、皮下に配置または移植され、注射器での注入によって流体、通常は生理食塩水を膨張体に徐々に導入できるように構成される。所定の間隔で徐々に膨張させた後、拡張器の上にある皮膚および皮下組織は、溶液が徐々に導入されるにつれて、膨張可能な本体によってそのような組織に加えられる圧力に応答して膨張する。
【0005】
乳房再建のこのプロセスでは、潜在的な感染および漿液腫の形成など、特定のリスクが存在する可能性がある。漿液腫は、インプラント周囲の組織から流体が滲出する原因となる組織の刺激の結果として形成されると考えられている。漿液腫は、体が浸出流体を吸収するにつれて自然に消散または完全に消失する可能性があるが、漿液腫は痛みを伴う可能性があり、十分に大きい場合は、外科医が外科的手法を使用して漿液腫をドレーンする介入を正当化する可能性がある.したがって、漿液腫のサイズが大きくなり続ける、手術領域、皮膚、臓器に圧力がかかる、痛みを感じる、または感染または炎症の兆候を示す場合は、漿液腫の除去が重要な考慮事項になることがよくある。このため、ドレーンは、手術の性質と、リンパ系によって再吸収され得ない周囲の組織からの流体の浸出率が大幅に増加するため、組織拡張器を使用するほぼすべての乳房再建に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、漿液腫は細針吸引によってドレーン(排出)することができる。このプロセスでは、外科医は針付き注射器を使用して漿液腫にアクセスして吸引し、必要に応じて流体を除去する。しかしながら、十分に深刻な場合、外科医は、漿液腫の継続的かつ安定したドレナージ(排出)を可能にするように、ドレナージチューブを問題の領域に取り付ける可能性がある。ドレナージチューブは、受動的に流体を収集してドレーンするために、または針付き注射器と同様に、閉じた吸引治療の構成要素として使用できる。それにもかかわらず、そのような外科的介入は、感染またはその他の合併症のリスクを高める。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態によれば、組織拡張器自体の配置中にドレナージシステムが組織拡張器に組み込まれる場合、漿液腫形成を最小限に抑えるまたはそれに対処するための効果的な治療が最も効果的であり得ることが認識される。ドレナージシステムは、組織拡張器に組み込むことができるか、または結合可能とすることができる。組織拡張器は、ドレーンチューブを収容できる1つまたは複数のドレナージ構造物を備えることができる。任意選択で、ドレーンチューブは、ドレナージ構造物から取り外し可能であり、組織拡張器から分離可能とすることができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、ドレーン対応の軟組織拡張器は、生体の体から流体を除去することを可能にするドレナージ構造物を組み込むことができる。軟組織拡張器は、拡張可能なシェルと、複数の位置でシェルに連結されたドレーンチューブとを含むことができる。ドレーンチューブは、拡張可能なシェルを損傷することなくそこから取り外すことができる。
【0009】
任意選択で、軟組織拡張器は、その周囲部に沿って拡張可能なシェルに結合された縫合タブ構造を含むことができる。ドレーンチューブは、複数の位置で縫合糸タブ構造物に結合することができ、拡張可能なシェルを損傷することなくそこから取り外すことができる。
【0010】
いくつかの実施形態は、ドレーンチューブを支持するように構成された1つまたは複数のループを有するドレナージ構造物を含むことができる。各々のループは、組織拡張器のリム部品を通って延在する開口部として構成することができる。リム部品は、組織拡張器の円周の周りに少なくとも部分的に延在する1つまたは複数のタブ、環状リング、または環状リングのセクションを備えることができる。リム部品は、組織拡張器の後面と同一平面上に延在する略平面または平坦な構造を備えることができる。
【0011】
任意選択で、リム部品は、タブリングの全周または部分的な円周の周りにタブリングから半径方向に延在する複数のタブまたはペタル(花弁部)を有するタブリングを備えることができる。タブリングのタブまたはペタルはそれぞれ、ドレーンチューブを通すことができる開口部を備えることができる。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、ドレナージ構造物の開口部はすべて、所与の最大直径のドレーンチューブを収容するための単一の共通の直径を有することができる。しかしながら、任意選択で、ドレナージ構造物の開口部は、特定の直径のドレーンチューブを許容するまたは収容するために、様々な直径を有することができる。例えば、ドレナージ構造物は、第1の直径を有する第1の組の開口部および第2の直径を有する第2の組の開口部を含むことができ、第1の直径および第2の直径は互いに異なる。ドレナージ構造物は、異なる直径を有する2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の組の開口部を含むことができる。さらに、ドレナージ構造物の開口部は、円形以外の異なる形状を含むことができる。
【0013】
任意選択で、ドレナージ構造物は、異なる特性を有する開口部の交互パターンを含むことができる。例えば、ドレナージ構造物は、第1および第2の開口部が互いに交互に配置され、異なる直径を有する、第1および第2の開口部のパターンを有することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ドレナージ構造物はまた、ドレナージ構造物の1つまたは複数の部分を組織拡張器に対して折り畳むことを可能にする可撓性材料を含むように構成することができる。例えば、一連のタブを有するドレナージ構造物を操作して、組織拡張器に対してタブの1つまたは複数を隠すまたは収納することができる。これにより、外科医は、ドレーンチューブとドレナージ構造物との係合の配置をより良好に視覚化することができるか、またはドレーンチューブが周囲の組織および流体により良好にアクセスできるようにすることができる。
【0015】
主題技術の追加の構成および利点は、以下の説明に記載され、一部は説明から明らかになるか、または主題技術の実践によって習得することができる。主題技術の利点は、本明細書および特許請求の範囲ならびに添付の図面において特に指摘された構造によって実現および達成されるであろう。
【0016】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方が、例示的かつ説明的であり、特許請求されるような主題技術のさらなる説明を提供することを意図していることを理解すべきである。
【0017】
主題技術のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、主題技術の態様を示し、明細書とともに、主題技術の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示のいくつかの実施形態に係る、ドレナージ構造物を有する軟組織拡張器の正面図である。
図2図1の軟組織拡張器の側面図である。
図3】本開示のいくつかの実施形態に係る、軟組織拡張器のドレナージ構造物と組み合わせて使用することができる様々なドレーンの斜視図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態に係る、ドレナージ構造物を有する軟組織拡張器の別の一実施形態の正面図である。
図5】本開示のいくつかの実施形態に係る、軟組織拡張器用の縫合リムの正面図である。
図6】本開示のいくつかの実施形態に係る、図4に示される縫合リムを組み込む軟組織拡張器の正面図である。
図7A図4の縫合リムを有する軟組織拡張器の側面図を示し、縫合リムのタブは、本開示のいくつかの実施形態に係る、図7Aの初期位置から図7Bの折り畳み位置に向きを変えられている。
図7B図4の縫合リムを有する軟組織拡張器の側面図を示し、縫合リムのタブは、本開示のいくつかの実施形態に係る、図7Aの初期位置から図7Bの折り畳み位置に向きを変えられている。
図8】本開示のいくつかの実施形態に係る、ドレナージ構造物を有する軟組織拡張器のさらに別の一実施形態の正面図である。
図9】本開示のいくつかの実施形態に係る、縫合リムの個々のタブに組み込むことができる任意選択の構成を示す。
図10】本開示のいくつかの実施形態に係る、縫合リムの個々のタブに組み込むことができる任意選択の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の詳細な説明では、主題技術の理解を提供するために特定の詳細が説明される。しかしながら、当業者には、主題技術がこれらの特定の詳細のいくつかなしで実施することができることが明らかであろう。他の例では、主題技術を不明瞭にしないように、周知の構造および技術は詳細には示されていない。
【0020】
上記のように、組織拡張器を使用して、皮膚や軟組織の欠陥、および乳房再建のための追加の天然組織を伸ばして生成促進することができるが、それらの使用には特定の課題が生じる。これらの課題のいくつかに対処するために、外科医が周囲の解剖学的構造に対して拡張器をより正確に配置し、拡張器を特定の所望の位置に固定できるように、いくつかの改善が行われた。例えば、出願人の同時係属中の米国特許出願公開第2020/0085526号(その全体が参照により本明細書に援用される)に開示されているように、臨床医を支援し、移植処置中にデバイスを方向付けるために、1つまたは複数の色または固有の属性を有する複数のタブおよび/またはデバイスのシェルに沿って見える方向指標を有することができるいくつかのデバイスが開発されてきた。
【0021】
本開示は、これらおよび他の課題に対処し、組織拡張器の術後維持を実質的に改善するために使用できる組織拡張器を提供する。さらに、本開示はまた、外科医が、自分の好みまたは患者の必要性のためにデバイスのもとで縫合する正確な位置(複数可)を選択できるように、円周方向の境界を生成するために提供される縫合タブ様材料の選択可能な完全または部分的な周囲ストリップまたはバンドを含むように設計され得る組織拡張器を提供する。
【0022】
いくつかの実施形態では、本開示は、胸腔からの流体のドレーンを促進するためのドレナージ構造物を有することができる組織拡張器を提供し、それによって、患者における漿液腫の発生および影響を緩和する。したがって、本明細書に開示される組織拡張器のいくつかの実施形態は、組織拡張器と一体化および/または分離可能なドレナージ構造物、例えば、シェル、縫合タブ、および/または組織拡張器自体の他の構造を含むことができる。漿液腫が形成された後、流体を引く、またはドレーンを皮下に挿入するための追加の操作を必要とするのではなく、本開示の実施形態に係る組織拡張器は、移植時に直ちに、患者の快適性および回復を改善するための流体ドレーンを提供し、もはや必要ない場合、組織拡張器から迅速かつ容易に離脱され、拡張可能なシェルを損傷せずに患者から取り外され得るドレナージ構造物を組み入れることができる。
【0023】
例えば、図1および図2を参照すると、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、組織拡張器10のシェル14に結合されたドレナージ構造物12を備える組織拡張器10の改良に関するものである。ドレナージ構造物12は、組織拡張器10の後面22に結合された縫合ストリップまたはリム20を備えることができる。リム20は、シェル14の周囲部の周りに延在する単一の連続材料を含むことができる。
【0024】
ドレナージ構造物12はまた、ドレーンチューブなどのドレーン構成要素を含むことができる。リム20は、ドレーンチューブを収容または支持するように設計することができる。例えば、いくつかの実施形態では、リム20は、図1および図2に示されるように、ドレーンを支持するために使用することができる1つまたは複数の開口部30を備えることができる。ドレーン構成要素は、シェル14の周囲部に沿って1つまたは複数の開口部または他の構造物に編み込むか、または結合して、ドレーン構成要素をシェル14の下部ローブまたは下部周囲部に結合することができる。
【0025】
図3は、図1および図2に示される組織拡張器10、ならびに本明細書に開示される他の組織拡張器と組み合わせて使用できるドレーンまたはドレーンチューブ40のいくつかの例を示す。
【0026】
組み立てられると、ドレーンチューブ40は、例えば、1つまたは複数の開口部30を通るように、拡張器10の周囲部近くの固定位置に配置することができる。例えば、ドレーンチューブ40は、余分な流体が集まることができる乳房下襞近くの下方位置に配置することができる。
【0027】
さらに図3を参照すると、ドレーンチューブ40は、中央管腔を有する可撓性管状部材40aとして構成することができる。さらに、いくつかの実施形態では、ドレーンチューブ40は、ドレーンの外面とドレーンの内腔との間に延在する穿孔などの1つまたは複数の側面開口部を備える可撓性管状部材40bとして構成することができる。ドレーンチューブ40はまた、ドレーンの長さに沿って長手方向に延在する一連の管腔またはチャネルを備え、ドレーンの長さに沿って(例えば、管状部材40cの外面に沿って)少なくとも部分的に延在する開口部または長手方向スロットを介して管腔またはチャネルへのアクセスを提供する可撓性管状部材40cとして構成することもできる。このような管状部材40a、40b、40cは、組織から排出される流体の収集、および自然、解剖学的圧力、または吸引による流体のドレーン出口への経路付けを容易にすることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、ドレーンチューブ40の近位端は、胸部の外側の別個の穿刺部位を通って体から出ることができる。ドレーンチューブ40の近位端は、ドレーンチューブ40に沿って連続的な陰圧を加えて体外の流体を貯留槽に蓄積する吸引手段(例えば、吸引貯留槽)に接続することができる。あるいはまた、ドレーンチューブ40の近位端には、胸部の外側領域に埋め込まれたままとすることができる自己封止注入ポート端が設けられ得る。
【0029】
したがって、いくつかの実施形態では、その後、針による経皮吸引および注射器による陰圧の印加または蓄積された流体を除去する他の手段によって、手動で定期的に流体を除去することができる。上述のように、この流体が術後の期間に取り除かれないと、腫れを引き起こし、漿液腫を生成し、痛みおよび感染の原因となる可能性がある.ドレーンチューブ40は、治癒過程が流体生成をリンパ系が維持できる速度まで減少させるまで、1週間または2週間、組織拡張部位に残すことができる。流体の生成が静まると、ドレーンチューブ40の外部近位端を元の刺し傷から引っ張ることによってドレーンチューブ40が取り除かれ、シェル自体を損傷することなく、組織拡張器が所定の位置に残る。
【0030】
任意選択で、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、ドレーンチューブ40が外科医によって望まれる好ましい位置において拡張器に取り付けられ、ドレナージプロセスを通して所望の位置にドレーンチューブ40を維持することを可能にする。縫合リム(例えば、リム20)は、薄く柔軟な材料を含むことができる。例えば、適切な材料は、シリコーン(例えば、ポリエステル繊維強化シリコーン)などの任意の適切な生体適合性ポリマーを含むことができる。
【0031】
また、いくつかの実施形態では、開口部または穴30は、一定の間隔で(例えば、組織拡張器の周囲部の周りに一定の間隔で配置することができる。ドレナージ構造物は、ドレーンチューブ40を穴30の1つまたは複数を通して挿入することができ、柔軟であるが正確な取り付け位置を可能にするように構成することができる。穴30は、ドレーンチューブ40の典型的な直径よりもわずかに大きいサイズにすることができるか、または2つ以上のサイズのドレーンチューブを収容するために別の大きさの穴とすることができる。いくつかの実施形態では、穴30は、ドレーンチューブ40の直径よりもわずかに小さい直径を有することができ、それを通してドレーンを受け入れることができるように伸縮可能または拡張可能である。
【0032】
図4は、ドレナージ構造物12が縫合リム20と、縫合リム20の開口部30と螺合するドレーンチューブ40との両方を備える、組織拡張器10のさらなる一実施形態を示す。図示のように、開口部30は、組織拡張器10の周囲部に沿って下方の位置にドレーンチューブ40の位置を有利に維持することができる。さらに、やはり図示されているように、ドレーンチューブ40は、近位端部分42および遠位端部分44を備えることができる。近位端部分42は、上述のように、ドレーンチューブ40へのアクセスを提供するために刺し傷を通って延在するように構成することができる。遠位端部分44は、患者の組織内に移植することができ、漿液腫からのさらなる流体収集を容易にすることができる開放端または閉鎖端を提供することができる。
【0033】
図5は、縫合リム52および複数のタブまたはペタル54を備えることができるドレナージ構造物50の一例を示す。図示の実施形態では、縫合リム52は、略波形構造の構成である。タブ54は、半径方向に延在することができ、ドレナージ構造物50上に様々な潜在的な縫合糸またはドレーン接続位置を提供することができる。ドレナージ構造物50は、図1および図2に示されるものと同様に、組織拡張器の後部に結合することができる。いくつかの実施形態では、ドレナージ構造物50の縫合リム52は、高デュロメーターシリコーン材料、またはメッシュ強化シリコーン材料、または縫合縁部52の厚さを最小限に抑えることを可能にする強化布または他の材料を含むことができ、それによって、縫合リム52の柔軟性を改善する。あるいはまた、シリコーンなどの他の材料を、ドレナージ構造物50を形成する際に使用することができる。縫合リム52の設計および材料の選択により、当業者は、縫合リム52の所望の属性および構成に応じて、より厚く剛性のある構造、またはより薄くより柔軟な構造を提供可能にし、ならびに所望の引張・剪断強度を提供可能にし得る。
【0034】
したがって、いくつかの実施形態は、ドレーンの取り外しをより容易にすることができるドレーンチューブ40の取り付けにおけるより多くの柔軟性を提供する個々のペタルまたはタブ54を有する縫合リム52で形成されるドレナージ構造物50を含むことができる。この設計の一例を図6に示す。ドレナージ構造物50を利用して、図6に示すように、ドレーンチューブ40を拡張器の下半分の周りの1つまたはいくつかのタブ穴内にそれを貫通して編み込み、ドレーンを所定の位置に保つことによって、拡張器70を形成することができる。縫合リム52の個々のペタルまたはタブ54は、例えば、ドレーンチューブ40の取り外しを容易にするために、ドレーンチューブ40の取り付けにおいて高度の柔軟性を提供するように構造化することができる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、縫合リム52のタブ54の各々は、例えば、隣接するタブ54に対して曲がる、回転する、または移動することによって、互いに独立して機能または移動することができる。例えば、所与のタブ54は、その隣接するタブから180度曲がることができ、それによって特定のタブ54のみが見えるようになる。さらに、いくつかの実施形態では、外科医が好みおよび/または患者の必要性に応じて特定のタブ設計を作り出すことを可能にするために、特定のタブを縫合リム52から切断または除去することができる。このような適応性は、縫合リム52のタブ54が図7Aの初期位置72から図7Bの折り畳み位置74に向きを変えた図7Aおよび図7Bに示されている。縫合リム52のタブ54は、図7Bに示すように、1つまたは複数のタブ(例えば、1つおきのタブ54)が隣接するタブ54に対して前方方向に向きを変えることができるように、操作され曲げられ得る。したがって、組織拡張器70のタブ54は、第1の(初期)位置72と第2の(または折り畳まれた)位置74との間で操作することができる。
【0036】
任意選択で、いくつかの実施形態によれば、ADM(無細胞皮膚マトリックス)などのラップを拡張器とともに使用することができる。例えば、図8は、ドレナージ構造物94の個々のタブ92が、乳房再建に使用することができる強化組織拡張器ラップまたはADM96と共に利用することができる、組織拡張器90の一実施形態を示す。典型的には、ADM96は、シート形態で別個に提供することができ、拡張器90の下方部分98は、例えば移植の前に、バックテーブル上で外科医によってADM96で包まれ、その後、組立体は移植される。
【0037】
このような一実施形態では、外科医がドレーン取り付けまたは縫合の必要性のために必要とする縫合リム100の個々のタブ92は、ラッピングプロセスの間にADM96に適切なスリットを作り、ラップの外側に延在するようにそのようなスリットを通してそれらのタブ92を通して引っ張ることによって利用され得る。タブの残り(図8には図示されない)は、必要に応じて、拡張器90の下に折り畳んでADM96内部に収納するか、または切断除去することができる。ドレーンチューブ40は、必要に応じて取り付けることができ、その後、拡張器90は移植の準備が整う。
【0038】
ドレーンの取り付けを容易にするために使用できる追加の構成は、各々のタブ内において、外側縁部から各々の開口部の端部または側部まで延在する、狭い開口部またはスリットをタブ、または同様の構成に設けることであり、その結果、ドレーンチューブ40の端部は、様々なタブ穴を通して編み込む必要がなく、むしろスリットを通して開口部まで押し込むか、ほとんど適所でスナップすることが必要となる。そのような一実施形態は、図9に示されている。
【0039】
個々のタブを備えた組織拡張器の実施形態の柔軟な単一設計は、外科医に提供され、典型的な乳房再建に使用され、ドレーンチューブ40および/またはADM96の有無にかかわらず完全に機能することができる。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、図9は、ドレナージ構造物のタブ110の1つまたは複数が、スリットまたは穿孔112、または壊れやすい部分を含むように変更されて、ドレーンチューブの取り外し中にタブを優先的に完全または部分的に引き裂くことを可能にし得ることを示しており、これにより、ドレーンチューブを取り外したときに、シェルを完全なまま、損傷することがなく、維持することを促進し得る。
【0041】
例えば、拡張器が十分な期間移植され、ドレナージが完了した後、(移植された拡張器の1つまたは複数の開口部にねじ込まれている)ドレーンチューブは、シェルを損傷することなく取り外すことができる。取り外し中にドレーンチューブによってタブに加えられる引張り、ねじり、および/または剪断応力により、タブ110のスリット112(例えば、壊れやすいスリット112)は、開口部114のサイズを大きくするために、またはタブを通して完全に引き裂き、これによってドレーンチューブをタブとの係合から解放するために、引き裂かれ得る。
【0042】
引き裂き可能なスリットを有するタブに加えて、またはその代わりに、ドレナージ構造物の1つまたは複数のタブを変更して、開いたスリット(つまり、穿孔されていないもの)を含めることができ、これによってドレーンチューブを適所でスナップすることにより、外科医が拡張器をドレーンチューブと組み立てることを可能にする。例えば、そのような一実施形態は、タブの周囲部から開口部の縁部につながる、開いた(すなわち、穿孔されていない、または引き裂き可能ではないが、別個の縁部を有する)スリットまたは同様の構成を提供することによって、ドレーンの取り付けを容易にするために使用することができ、ドレーンチューブの端部を様々なタブの穴に通して編み込む必要はなく、むしろほぼ適所でスナップすることが必要となる。
【0043】
任意選択的で、いくつかの実施形態に関して上述したように、各開口部のドレーンの直径から穴までのサイズは、パターンまたは設計された公差または適合度に従って特別に調整することができる。例えば、約5フレンチ~15フレンチ(例えば、約7フレンチ、8フレンチ、9フレンチ、または10フレンチ)などの所与のサイズのドレーンチューブを使用することが望ましい場合がある。そのような実施形態では、開口部のサイズは、特定の適合度または構成に対応するために、ドレーンチューブのサイズよりも約5%~約50%大きくすることができる。例えば、ドレーンチューブがねじ込み式に結合される縫合リムの取り付けタブに穿孔された引き裂き可能なスリットが存在する場合、組み立てを簡単にすることができるが、ドレーンチューブが開口部とスリットに対してかなりの摩擦力を発揮できることを可能にし、取り外し時にスリットが裂けることを誘発する、より狭い公差または適合度を有することが有益な場合がある。さらに、スリットを使用しない場合、ドレーンチューブの外径と開口部の内径との間の差をより大きくすることが望ましい場合がある。さらに、上述のように、本明細書に開示される実施形態のいずれも、患者の必要性に基づく適切なドレーンチューブサイズである様々な異なるドレーンチューブサイズで単一の拡張器を使用できるようにする複数の開口サイズまたはパターンを組み込むことができる。
【0044】
任意選択で、いくつかの実施形態では、図10に示されるように、ドレナージ構造物は、タブ120のサイズ、長手方向の範囲、形状、または幅が、開口部122の所望のサイズ、直径、または形状に対して構成されるか、またはそれに対応するように構成することができる。例えば、タブ120の幅は、開口部122の直径の1倍、2倍、3倍、または4倍の大きさであってもよい。図10は、開口部122の直径がタブ120の幅の約3分の1である一実施形態を示している。さらに、開口部122は、タブの中心線124から中心を外して配置され、それによって、外科医は、組織拡張器を患者の解剖学的構造に縫合するためにタブ120のかなりの部分を容易に利用することができる。開口部をタブの中心からずれた位置に配置することによって、縫合糸を介して固定するための構造上の利点だけでなく、スリットがタブの縁部から開口部まで延在するように使用される場合にスリットの長さを短縮する、他の様々な利点および利益を達成することができる。また、開口部をタブの遠位位置ではなく拡張器の近くに配置することは、開口部が拡張器の縁部に対する横方向のたわみが減少または最小になるため、外科医にドレーンチューブをより簡単に取り外すことを可能にすることができ、したがって、ドレーンチューブがドレナージ構造物との係合を外れて引き出されているとき、より予測可能な(最小限の)動きを提供する。
【0045】
条項としての主題技術の例示
本開示の態様の様々な例は、便宜上、番号を付けた条項(1、2、3など)として説明される。これらは例として提供されており、主題技術を限定するものではない。図および符号の識別は、単に例として、説明の目的のために以下に提供されており、条項はそれらの識別によって限定されない。
【0046】
(条項1) 生体の体内に埋め込むための軟組織拡張器であって、軟組織拡張器は、前方部分、後方部分、および周囲部を有する拡張可能なシェルと、拡張可能なシェルの後方部分に結合されたドレナージ構造物であって、係合部材と、シェルの周囲部の少なくとも一部の周りで係合部材に取り外し可能に結合可能なドレーンチューブとを備える、ドレナージ構造物とを備える、軟組織拡張器。
【0047】
(条項2) 係合部材は、シェルの後方部分に結合された複数のタブを備える、条項1に記載の軟組織拡張器。
【0048】
(条項3) 複数のタブの各々は、ドレーンチューブの挿入を可能にする開口部を備える、条項2に記載の軟組織拡張器。
【0049】
(条項4) 複数のタブの各々は、タブの周囲部からタブの開口部まで延在する壊れやすいスリットを備え、タブがスリットに沿って選択的に引き裂かれ、そこからドレーンチューブを取り外すことができるようにする、条項3に記載の軟組織拡張器。
【0050】
(条項5) 係合部材は、シェルの後方部分に結合された波形タブリングを備える、条項1~4のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0051】
(条項6) 波形リングは複数のタブを備え、複数のタブの各々は、ドレーンチューブの挿入を可能にする開口部を備える、条項5に記載の軟組織拡張器。
【0052】
(条項7) 係合部材は、シェルの後方部分に結合されて延在する、条項1~6のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0053】
(条項8) ドレーンチューブは、少なくとも5フレンチのサイズを含む、条項1~7のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0054】
(条項9) ドレーンチューブは、5フレンチ~15フレンチの間のサイズを含む、条項1~8のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0055】
(条項10) ドレーンチューブは、7フレンチ~10フレンチの間のサイズを含む、条項1~9のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0056】
(条項11) ドレナージ構造物は、ドレーンチューブとの摺動可能な係合を可能にする複数の係合開口部を備える、条項1~10のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0057】
(条項12) 開口部のサイズは、ドレーンチューブのサイズよりも約5%~約50%大きい、条項11に記載の軟組織拡張器。
【0058】
(条項13) ドレナージ構造物は、第1の組の開口部および第2の組の開口部を含み、第1の組の開口部のサイズは、第2の組の開口部のサイズとは異なる、条項11に記載の軟組織拡張器。
【0059】
(条項14) ドレナージ構造物は、第1の組の開口部のうちの開口部が第2の組の開口部のうちの開口部と交互になるように構成されている、条項13に記載の軟組織拡張器。
【0060】
(条項15) ドレナージ構造物は、3組の異なるサイズの開口部を含み、3組の異なるサイズの開口部は、ドレナージ構造物の周囲部の周りにあるパターンで配置される、条項11に記載の軟組織拡張器。
【0061】
(条項16) ドレナージ構造物は、拡張器の下方部分の周りのみに延在する、条項1~15のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0062】
(条項17) 無細胞真皮マトリックスをさらに含む、条項1~16のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0063】
(条項18) 生体の体内に移植するための軟組織拡張器であって、軟組織拡張器は、前方部分、後方部分、および周囲部を有する拡張可能なシェルと、拡張可能なシェルの後方部分に結合されたドレナージ構造物であって、ドレーンチューブと係合するための係合部材であって、シェル周囲部の少なくとも一部の周りでドレーンチューブを係合部材に取り外し可能に結合させるための係合部材とを備える、ドレナージ構造物とを備える、軟組織拡張器。
【0064】
(条項19) ドレーンチューブをさらに備える、条項18に記載の軟組織拡張器。
【0065】
(条項20) 無細胞真皮マトリックスをさらに含む、条項18または19に記載の軟組織拡張器。
【0066】
(条項21) 生体の体内に移植するための軟組織拡張器であって、軟組織拡張器は、拡張可能なシェルと、拡張可能なシェルに連結され、その周囲部に沿って延在する、ドレナージ構造物とを備える、軟組織拡張器。
【0067】
(条項22) ドレナージ構造物は、係合部材と、シェル周囲部の少なくとも一部の周りで係合部材に取り外し可能に結合可能なドレーンチューブとを備える、条項21に記載の軟組織拡張器。
【0068】
(条項23) ドレナージ構造物は、拡張可能なシェルの後方部分に隣接して結合される、条項21または22に記載の軟組織拡張器。
【0069】
(条項24) ドレナージ構造物は、タブ構造物内に編み込まれたドレーンチューブを備え、タブ構造物は、シェルに結合されている、条項21~23のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0070】
(条項25) ドレナージ構造物は、シェルの下部の周りに延在する、条項21~24のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0071】
(条項26) ドレナージ構造物は、複数の開口部を有するドレーンチューブを備える、条項21~25のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0072】
(条項27) ドレナージ構造物は、複数の長手方向スロットを有するドレーンチューブを備える、条項21~26のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0073】
(条項28) 生体の体内に埋め込むための軟組織拡張器であって、軟組織拡張器は、拡張可能なシェルと、拡張可能なシェルの周囲部に結合され、拡張可能なシェルの周囲部に沿って延在する縫合タブ構造物と、縫合タブ構造物に複数の位置で結合され、拡張可能なシェルを損傷することなく、そこから取り外し可能である、ドレーンチューブとを備える、軟組織拡張器。
【0074】
(条項29) 縫合タブ構造物は、複数の伸縮可能なタブを備える、条項28に記載の軟組織拡張器。
【0075】
(条項30) 複数の伸縮可能なタブの各々が、収縮位置と伸長位置との間で拡張可能なシェルの周囲部に対して移動可能である、条項28または29に記載の軟組織拡張器。
【0076】
(条項31) ドレーンチューブは、縫合タブ構造物に編み込まれている、条項28~30のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0077】
(条項32) ドレーンチューブは、複数の開口部を備える、条項28~31のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0078】
(条項33) ドレーンチューブは、複数の長手方向スロットを備える、条項28~32のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0079】
(条項34) 無細胞真皮マトリックスをさらに含む、条項28~33のいずれか一項に記載の軟組織拡張器。
【0080】
その他の考慮事項
前述の説明は、当業者が本明細書に記載された様々な構成を実施できるようにするために提供されたものである。主題技術は、様々な図および構成を参照して特に説明されてきたが、これらは例示のみを目的としており、主題技術の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことを理解すべきである。
【0081】
主題技術を実装するための他の多くの方法が存在し得る。本明細書に記載される様々な機能および要素は、主題技術の範囲から逸脱することなく、示されるものとは異なるように分割することができる。これらの構成に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般的な原理は、他の構成に適用することができる。したがって、当業者は、主題技術の範囲から逸脱することなく、主題技術に対して多くの変更および修正を行うことができる。
【0082】
開示されたプロセスにおけるステップの特定の順序または階層は、例示的なアプローチの説明であることが理解される。設計上の好みに基づいて、プロセスにおけるステップの特定の順序または階層を再編成できることが理解される。一部のステップは同時に実行され得る。添付の方法クレームは、様々なステップの要素をサンプルの順序で提示しており、提示された特定の順序または階層に限定されることを意図していない。
【0083】
「一態様」などの語句は、そのような態様が主題技術に不可欠であること、またはそのような態様が主題技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。一態様に関する開示は、すべての構成、または1つまたは複数の構成に適用することができる。一態様は、本開示の1つまたは複数の例を提供することができる。「一態様」などの語句は、1つまたは複数の態様を指すことができ、その逆も同様である。「一実施形態」などの語句は、そのような実施形態が主題技術に不可欠であること、またはそのような実施形態が主題技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。一実施形態に関する開示は、すべての実施形態、または1つまたは複数の実施形態に適用することができる。一実施形態は、本開示の1つまたは複数の例を提供することができる。「一実施形態」のような語句は、1つまたは複数の実施形態を指すことができ、逆もまた同様である。「一構成」などの語句は、そのような構成が主題技術に不可欠であること、またはそのような構成が主題技術のすべての構成に適用されることを意味するものではない。一構成に関する開示は、すべての構成、または1つまたは複数の構成に適用することができる。一構成は、本開示の1つまたは複数の例を提供することができる。このような「一構成」のような語句は、1つまたは複数の構成を指すことができ、逆もまた同様である。
【0084】
本明細書で使用される場合、一連の項目の前にある「少なくとも1つの」という語句は、項目のいずれかを区切るための「および」または「または」という用語と共に、リストの各々の要素(つまり、各々の項目)ではなく、リスト全体を修飾する。「少なくとも1つの」という語句は、リストされている各々の項目のうちの少なくとも1つを選択する必要はなく、むしろ、この語句は、項目の任意の1つのうちの少なくとも1つ、および/または項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、および/または項目の各々の少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」または「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」という語句はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、またはCのみ、A、B、およびCの任意の組み合わせ、および/またはA、B、およびCの各々の少なくとも1つを指す。
【0085】
例えば、「上」、「下」、「前」、「後」などの用語は、本開示で使用される場合、通常の重力座標系ではなく、任意の座標系を指すものとして理解されるべきである。したがって、上面、下面、前面、および後面は、重力座標系において上方向、下方向、斜め方向、または水平方向に延在することができる。
【0086】
さらに、「含む(include)」、「有する(have)」などの用語が明細書または特許請求の範囲で使用される限りにおいて、そのような用語は、「備える(comprise)」という用語が請求項で転換語として使用される場合に解釈される「備える(comprise)」という用語と同様に包括的であることを意図している。
【0087】
「例示的な(exemplary)」という言葉は、本明細書では、「例(example)、実例(instance)、または例示(illustration)として役立つ」を意味するために使用される。「例示的(exemplary)」として本明細書に記載される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。
【0088】
単数形の要素への言及は、特に明記されていない限り、「唯一無二」を意味するものではなく、むしろ「1つまたは複数」を意味することを意図している。男性形の代名詞(例えば、彼の(his))には、女性形と中性形(例えば、彼女の(her)およびその(its))が含まれ、その逆も同様である。「いくつかの(some)」という用語は、1つまたは複数を指す。下線および/またはイタリック体の見出しおよび小見出しは、便宜上のみ使用され、主題技術を限定するものではなく、主題技術の説明の解釈に関連して参照されるものではない。当業者に知られている、または後に知られるようになる、本開示を通じて説明される様々な構成の要素に対するすべての構造的および機能的均等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、主題技術に包含されることが意図される。さらに、本明細書に開示されているものは、上記の説明でそのような開示が明示的に記載されているかどうかに関係なく、一般に公開されることを意図したものではない。
【0089】
主題技術の特定の態様および実施形態を説明してきたが、これらは単なる例として提示したものであり、主題技術の範囲を限定することを意図したものではない。実際、本明細書に記載の新規な方法およびシステムは、その趣旨から逸脱することなく、様々な他の形態で具現化することができる。添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、主題技術の範囲および趣旨に含まれる形態または修正を網羅することを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A-7B】
図8
図9
図10
【国際調査報告】