(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】埋め込み可能デバイスの頭部、前記頭部を製造する方法、および前記頭部内に嵌合可能なプラグ組立体
(51)【国際特許分類】
A61N 1/362 20060101AFI20230526BHJP
A61N 1/375 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
A61N1/362
A61N1/375
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564737
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2022-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2021059291
(87)【国際公開番号】W WO2021219344
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】102020205350.2
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517119556
【氏名又は名称】ニューロループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キミヒ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ボレティウス,ティム
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053KK02
(57)【要約】
埋め込み可能デバイスの頭部、その製造方法および当該頭部内へと嵌合可能なプラグ組立体が記載される。頭部は、頭部ハウジングを備える。頭部ハウジングは、ソケット開口と、ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを有する少なくとも1つの止まり穴型プラグ接触ソケットを備える。これに沿って少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとが、同軸配置かつ軸方向に連続する順序で互いに接合され、これらは凝固済流延材料によって囲まれる。本発明は、ソケット基部が接続手段によって制限され、接続手段が少なくとも部分的に凝固済流延材料によって囲まれ、止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口する少なくとも1つの媒体チャネルに取り付けられ、少なくとも部分的に凝固済流延材料によって囲まれ、
接続手段から離れる方向に向けられたチャネル端部を備え、媒体源に接続され、少なくとも1つの媒体チャネルは、流体ラインの形態に構成され、媒体源は、流体容器に接続される流体ポンプであることを特徴とする。媒体チャネルに対応して、プラグ組立体は、少なくとも1つの内部中空チャネルを有するプラグ本体を備え、これは一端において遠位プラグ本体端において開口する。さらに、遠位プラグ本体端は接合外形を有し、プラグ組立体がプラグ接触ソケット内に嵌合すると、接合外形は、中空チャネルの、止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口する媒体チャネルへの、面一の接合を確実にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能医療デバイスの頭部であって、
頭部ハウジングを備え、前記頭部ハウジングは、少なくとも1つの止まり穴型プラグ接触ソケットを有し、前記止まり穴型プラグ接触ソケットは、ソケット開口と、前記ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを備え、
それに沿って、少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとが、同軸配置かつ軸方向に連続する順序で互いに接合され、
前記少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとは、凝固済流延材料によって囲まれる、
頭部において、
前記頭部は、
前記ソケット基部が接続手段によって制限され、
前記接続手段は、前記凝固済流延材料によって少なくとも部分的に囲まれ、少なくとも1つの媒体チャネルに取り付けられ、
前記少なくとも1つの媒体チャネルは、前記止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口し、少なくとも部分的に前記凝固済流延材料によって囲まれ、チャネル端部を備え、前記チャネル端部は、前記接続手段から離れる方向に向いており、媒体源に接続される
ことを特徴とし、
前記少なくとも1つの媒体チャネルは、流体ラインの形態に設計される、
ことを特徴とする、
頭部。
【請求項2】
前記媒体源は、流体容器に接続された流体ポンプであるか、
前記媒体源は、媒体シンクとして設計される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の頭部。
【請求項3】
前記媒体チャネルは、前記接続手段から開始し、前記頭部ハウジングを介して外向きに突出し、前記頭部ハウジングの外側で前記媒体源に接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載の頭部。
【請求項4】
前記凝固済流延材料によって少なくとも部分的に囲まれる前記媒体チャネルに沿って、少なくとも1つのセンサが、前記媒体チャネル内に存在する媒体の感覚的な記録のために適用されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項5】
少なくとも1つのセンサが、前記少なくとも1つの導電性の接触リング要素に、電気的および/または機械的に接続されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、
超音波センサ、光センサ、圧力センサ、ホール効果センサ、フローセンサ
からなるセンサのグループから選択されることを特徴とする、請求項4または5に記載の頭部。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサは、評価および制御ユニットに接続され、前記評価および制御ユニットは、メモリユニットおよび/または前記媒体源に接続されることを特徴とする、請求項4~6のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項8】
前記接続手段は接合外形を備え、
前記接合外形は、前記媒体チャネルを取り囲み、
前記媒体チャネルは、前記止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口し、
前記止まり穴型プラグ接触ソケットは、前記プラグ接触ソケット内に配置される第2媒体チャネルが、前記止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口する前記媒体チャネルに接続可能となるように、設計され配置される、
ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項9】
前記頭部ハウジングは、パルス生成器として設計される埋め込み可能医療デバイスに、機械的かつ電気的に接続されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の頭部。
【請求項10】
前記媒体源は前記埋め込み可能医療デバイスに一体化されることを特徴とする、請求項9に記載の頭部。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の頭部内の止まり穴プラグ接触ソケットへと挿入するために設計され適合される埋め込み可能プラグ組立体であって、
前記プラグ組立体は、少なくとも1つの内部中空チャネルを有するプラグ本体を備え、前記少なくとも1つの内部中空チャネルは、一端において遠位プラグ本体端において開口することを特徴とし、
前記遠位プラグ本体端は接合外形を有し、
前記プラグ組立体が前記プラグ接触ソケット内に嵌合すると、前記接合外形は、前記止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口する前記媒体チャネルに対する、前記中空チャネルの面一の接合を確実にする、
ことを特徴とする、埋め込み可能プラグ組立体。
【請求項12】
前記中空チャネルは、前記止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口する媒体チャネルの種類の媒体チャネルを有することを特徴とする、請求項11に記載のプラグ組立体。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか一項に記載の頭部を製造する方法であって、
前記接続手段、前記少なくとも1つの接触リング要素および前記少なくとも1つのシールリングは、棒状の組立工具に沿って配置され、前記棒状の組立工具に沿って、接合力の生成を介して、積極的な態様で互いに接合されることを特徴とし、
前記棒状の組立工具に沿って配置され積極的に接合される前記接続手段と、前記少なくとも1つの接触リング要素と、前記少なくとも1つのシールリングと、前記接続手段に直接的または間接的に適用される前記少なくとも1つの媒体チャネルとは、少なくとも部分的に、流れることが可能な形態で存在する硬化可能な流延材料によって囲まれることを特徴とし、
流延材料が固体化した後に、前記棒状の組立工具が、前記接続手段と、前記少なくとも1つの接触リング要素と、前記少なくとも1つのシールリングとから解放されて除去され、
前記流延材料は、前記頭部ハウジングの少なくとも一部を形成する寸法的に安定したマトリックスの形態で、前記軸方向の接合力を担持する、
ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み可能医療デバイスの頭部、その製造方法、および前記頭部内に嵌合可能なプラグ組立体に関する。頭部は、ソケット開口を有する少なくとも1つの止まり穴型プラグ接触ソケットと、前記ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを有する頭部ハウジングを備え、これに沿って、少なくとも1つの導電性の接触リング要素および電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリング(凝固済流延材料によって囲まれている)が同軸配置で軸方向に連続する順序で互いに接合されている。
【背景技術】
【0002】
局所的体内組織または神経領域の電気的刺激のための埋め込み可能医療デバイス、略して埋め込み可能パルス生成器(IPG:implantable pulse generator)(たとえばいくつかを挙げると、心臓処置、除細動、ペースメーカー、再同期適用、神経刺激手段(脊髄刺激、脳刺激または迷走神経刺激)のためのもの)は、一般的に、電気的パルス生成のための構成要素(したがって少なくとも1つの電源およびこれに接続された電気回路構造)を収容する自給式ハウジングを備える。加えて、ハウジングに隣接するのはいわゆる頭部であり、これは、電源および電気回路構造に接続された電気的接触装置を収容し、その内部へとソケット組立体(流体密(fluid-tight)に頭部を閉鎖する)が嵌合可能であり、体内の局所的な電気的刺激信号の適用のための(さらに必要であれば、体内で局所的にピックアップされた電気信号をハウジング内に存在する電気回路構造へと供給するための)電気供給ラインおよび放出ラインと接触する。
【0003】
欧州特許第2 134 418号明細書には、問題のタイプの埋め込み可能医療デバイスの頭部が記載されている。結合継ぎ目に沿って、互いに接合可能な2つの頭部ハウジング半部分(これに連続する順序で中間壁によって分離された準円筒形の凹部が導入され、導電性の接触リング要素および電気的絶縁性のシールリングが連続的に交互の順序で挿入される)を備える。頭部は、したがって、互いに関して同軸に配置される電気的絶縁性の接触リング要素の配置を備え、これの電気的接触のために、頭部内に横へのアクセスが提供され、これを介して、全周接触リング要素によって囲まれる中空空間に電気的プラグ組立体が流体密に挿入可能である。
【0004】
ドイツ特許出願公開第10 2012 010 901号明細書は、医療用の埋め込み可能デバイスを電気的に接触させるために頭部内で電気的接触およびシールを位置決めし保持するための方法を開示する。生体適合性かつ電気的絶縁性の材料からなる頭部ハウジングの片側に、止まり穴型中ぐりが導入され、これに、導電性の周シール要素が交互の順序で挿入され、ピン状のプラグ組立体が嵌合可能な中空空間を結合して囲む。頭部内において、周接触リングのそれぞれは、電気的接続ラインによって、医療用埋め込み可能デバイスのハウジング内に配置された電気的構成要素へと接続される。
【0005】
ドイツ実用新案出願公開第20 2013 012 073号明細書は、プラグ中ぐりモジュール組立体であり、その組み立てのために、ピン状の組立工具に沿って、いくつかの接触リングおよびシール要素が交互の順序で配置される。クランプデバイスによって、組立工具に沿ったすべての接触リングおよびシール要素が、軸方向接合力の印加によって互いにクランプされる。接合力を保存するために、組立工具上にグラブねじによって軸方向に固定される態様で取り付けられるスリーブ要素が用いられ、これは、端部における組立工具頭部とともに、両側の接触リングおよびシール要素の配置を軸方向に制限する。このクランプされた状態で、配置が硬化可能な流延材料内に流延され、これが凝固した状態で接合力をテークアップする。
【0006】
ピン状の組立工具に沿って配置された接触リングおよびシールリング要素の系列に作用する軸方向接合力を保存するための端部における固定支援としてのグラブねじに代えて、国際公開第2019/115176号パンフレットでは、開口および内周ネジ山を設けた組立プレートを用いることが提案され、その内周ネジ山開口には、その端部に外周ネジ山が配置されたピン状の組立工具が挿入される。
【0007】
米国特許出願公開第2008/0077190号明細書は、医療インプラントの電気的接触のための頭部を開示し、それの内部にプラグユニットが流体密に嵌合可能であり、電気的に接触可能である。プラグおよび頭部に設けられる接触電極に加え、これら2つの構成要素には、それぞれ光学的送信チャネルが設けられ、双方の構成要素が互いに嵌合すると、互いに光学的に結合して光信号を送信する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、既知の、電気的刺激信号の生成、送信および適用に加え、サイズを実質的に変更することなく、埋め込み可能パルス生成器(IPG)の機能範囲を増大させることが可能な態様で、埋め込み可能医療デバイスの頭部、その製造方法、および、頭部内に嵌合可能なプラグ組立を修正することである。
【0009】
本発明の基礎を形成するタスクに対する解決策は、請求項1に記載される。請求項11の事項は、頭部内に嵌合可能となるよう設計される埋め込み可能プラグ組立体である。請求項13では、頭部を製造する方法が記載される。発明的概念をさらに有利に発展させる特徴は、各従属項の事項を形成し、本記載から(とくに、例示される実施形態の例を参照して)収集可能である。
【0010】
埋め込み可能医療デバイスの、本解決策による頭部は、頭部ハウジングを備え、前記頭部ハウジングは、少なくとも1つの止まり穴型プラグ接触ソケットを有し、前記止まり穴型プラグ接触ソケットは、ソケット開口と、前記ソケット開口に対して軸方向反対側に配置されるソケット基部とを備え、それに沿って、少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとが、同軸配置かつ軸方向に連続する順序で互いに接合され、前記少なくとも1つの導電性の接触リング要素と、電気的に絶縁性で弾性変形可能なシールリングとは、凝固済流延材料によって囲まれる、
頭部において、前記頭部は、前記ソケット基部が接続手段によって制限され、前記接続手段は、前記凝固済流延材料によって少なくとも部分的に囲まれ、少なくとも1つの媒体チャネルに取り付けられ、前記少なくとも1つの媒体チャネルは、前記止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口し、少なくとも部分的に前記凝固済流延材料によって囲まれ、チャネル端部を備え、前記チャネル端部は、前記接続手段から離れる方向に向いており、媒体源に接続される。前記少なくとも1つの媒体チャネルは、流体ラインの形態に設計される。好ましくは、媒体源は流体ポンプに接続され、好ましくは、それは流体容器に接続される。代替的に、媒体源に接続される代わりに、媒体チャネルは媒体シンクに接続され、これに沿って、流体を収容することを意図する複数の収集容器またはただ1つの収集容器を有する能動的運搬手段が配置される。
【0011】
本発明の基礎を形成する思想は、上述の国際公開第2019/115176号パンフレットに記載される内周ネジ山を設けた組立プレート内の開口を利用し、それにおいて、開口を介して任意の種類の媒体流を向けるために、完成した頭部から組立工具を除去した後(そうでなければ機能を有しない)。組立プレート(上述の先行技術では、一種の失われた構成要素(頭部の流延材料によって凝固済流延材料内で完全に囲まれ、そうでなければ、頭部と、頭部に接続された埋め込み可能パルス生成器(IPG)とのさらなる動作のための機能を有しない)と考えられ得る)は、本解決策による修正された頭部の中央構成要素を形成し、それは、結合開口を介して媒体流が向けられる、その結合開口としての上述の機能に加え、端部に媒体チャネルを適用するための機械的保持または支持構造としても機能する。
【0012】
媒体チャネル(実施形態の最もシンプルな形態では中空チャネルとして設計される)は、組立プレート(以下では「接続手段」と呼ぶ)の片側において終端し、それは、導入部において記載したように、内周ネジ山を設けることを介して軸方向の接合力を生成するための補助的構成要素としての元の機能を維持する。
【0013】
接続手段から開始する媒体チャネルは、頭部の流延材料によって取り囲まれ、好適な実施形態では、連続する中空ラインの形態で頭部を介して突出し、その端部は媒体源に接続される。実施形態の第1の例では、頭部の外部の媒体チャネルと、端部において媒体チャネルに接続される媒体源とは、頭部からも、それに直接的に隣接する埋め込み可能医療デバイスからも、分離して配置および設計される。その内部にパルス生成器が収容される。代替的に、実施形態のさらなる例は、埋め込み可能医療デバイスの内部で、媒体チャネルとそれに接続される媒体源との一体化を想定する。
【0014】
頭部の内部へおよび外部へと導く媒体チャネルと、一端において媒体チャネルに接続された媒体源とは、媒体の種類に適合するよう設計される。
【0015】
媒体チャネルは流体チャネルとして設計される。すなわち、媒体は気体または液体であり、媒体源(止まり穴型プラグ接触ソケット(その内部へと媒体チャネルが開口する)の方向に、好適には構造的ユニットの形態の流体容器と組み合わせられるかまたは媒体チャネルに沿って配置される流体搬送ユニットによって支持される流体容器として構成される)から流体密に媒体チャネルを介して搬送される。
【0016】
上述の実施形態と組み合わせて、媒体チャネル(それに沿って導光流体が流れる)は、好適には、光ガイドとしても作用する。止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口する光ガイド端部へと媒体チャネルに沿って延びる光ガイドを介してガイドされる光を発する光源は、この場合、媒体源としても作用する。
【0017】
端部において前記接続手段に接続される媒体チャネルの機械的に頑強な位置決定のために、前記接続手段は接合外形を想定し、前記接合外形は、前記媒体チャネルを取り囲み、
前記媒体チャネルは、前記止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口し、前記止まり穴型プラグ接触ソケットは、前記プラグ接触ソケット内に配置される第2媒体チャネルが、前記止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口する前記媒体チャネルに接続可能となるように、設計され配置される。前記プラグ接触ソケット内に配置される第2媒体チャネルは、上述の頭部の止まり穴型プラグ接触ソケット内へと接合するよう設計され適合される解決策によって設計される埋め込み可能プラグ組立体の一部である。より具体的には、プラグ組立体は、少なくとも1つの内部中空チャネル(上述の第2媒体チャネルに対応し、一端において遠位プラグ本体端へと開口する)を有するプラグ本体を備える。さらに、遠位プラグ本体端は接合外形を有し、接合外形は、プラグ組立体がプラグ接触ソケット内へと嵌合すると、中空チャネルの、止まり穴型プラグ接触ソケット内へと開口する媒体チャネルに対する面一の遷移を確実にする。この結果、可能な限り無損失の結合と、さらに、第2媒体チャネルとしての役割を果たす中空チャネル内への、第1媒体チャネルからの媒体の搬送または伝送が可能になるはずである。
【0018】
これとは別に、埋め込み可能プラグ組立体は、それ自体電気信号の送信のための既知の態様で設計され、プラグの長手方向の範囲において、プラグ組立体接触ソケットに沿って、電気的接触リング要素およびシールリングの数および配置に応じて、プラグ接触リングおよびシールリングまたは電気的絶縁リングの連続的な系列を備える。
【0019】
頭部側に設けられるプラグ接触ソケット内に埋め込み可能プラグ組立体が接合した状態において、電気刺激信号の適用のための埋め込み可能デバイスの電気的機能は、修正された頭部および修正されたプラグ組立体にも関わらず、制約なく維持される。頭側およびプラグ側に追加的に設けられた媒体チャネル(放電用電気ラインとともに、またはこれから分離して開始する)を介して、追加の体内の局所的に適用可能な媒体アウトプット(たとえば気体または液体の流れの形態)が、場合によっては追加の光送信と組み合わせて、もたらされ得る。
【0020】
さらに好適な形の実施形態では、頭部内で媒体チャネルに沿って(これは少なくとも部分的に凝固済流延材料によって囲まれる)、少なくとも1つのセンサが一体化され、これは、媒体チャネル内で搬送される媒体を、搬送体積、搬送レートまたは光強度の点で、少なくとも定量的に検出または感覚的に記録できる。この少なくとも1つのセンサの種類および設計によっては、それは媒体チャネルに沿って頭部内に適切に配置されるべきであり、たとえば、当該少なくとも1つのセンサを、頭部内に適用される少なくとも1つの導電性の接触リング要素に直接的または間接的に電気的および/または機械的に接続することは良いアイデアである。可能なセンサとして、以下のグループからのセンサが考慮され得る:超音波センサ、光センサ、圧力センサ、ホール効果センサ、フローセンサ、触針センサ、蛍光センサ、圧力センサ、等。
【0021】
媒体チャネルに沿って配置されるこの少なくとも1つのセンサは、好適には、医療デバイス内でパルス生成器に電気エネルギーを供給する電気エネルギー源に接続される。さらに、この少なくとも1つのセンサは、追加のメモリユニットおよび/または媒体源に接続される評価および制御ユニットに接続される。このようにすると、媒体チャネルに沿って流れるまたは搬送される媒体の実際の状態を記録し、実際の状態の関数として媒体源を制御または調整することができる。
【0022】
本解決策によって組み立てられる頭部と、流体(および好適には光)の形式の媒体の追加的伝送のための機能的に修正されたプラグ組立体とは、問題の種類の既知の医療インプラントの形状およびサイズをあまり変更しないが、関連する比較可能なインプラントの作用の機能性および治療的モードを実質的に拡張する。したがって、体内の局所的組織および/または神経領域の電気的刺激に加え、流体(および必要であれば光)を適用することも可能である。
【0023】
そのような頭部の革新的な製造方法は、支持構造としての組立プレートとして作用する接続手段と、互いに当接する態様で隣接する2つの媒体チャネルのための接続フランジとを組合せて用いることを介してもたらされる。したがって、第1処理ステップでは、接続手段は従来の意味での支持プレートとして作用し、すなわち、棒状の組立工具に沿って、少なくとも1つの接触リング要素および少なくとも1つのシールリングとともに接続手段が配置され、また、この棒状の組立工具に沿って、軸方向クランプ力の生成を介して積極的な態様でこれらが互いに接合される。
【0024】
次のステップでは、中空ラインまたは中空カニューラの形態で、媒体チャネルが接続手段内の開口において直接的または間接的に隣接するように、媒体チャネルが、その端部において接続手段に接続される。たとえば、媒体チャネルは、接続手段の後部において突出する棒状の組立工具の端部へと、囲む態様で正確に嵌合可能である。
【0025】
これに続いて、棒状の組立工具に沿って配置され積極的に接合された接続手段と、少なくとも1つの接触リング要素と、少なくとも1つのシールリングと、接続手段に直接的または間接的に適用された少なくとも1つの媒体チャネルとが、流れることが可能な形状で存在する硬化可能な流延材料によって、少なくとも部分的に取り囲まれる。棒状の組立工具は、その後、流延材料(それは、頭部ハウジングの少なくとも一部を形成する寸法的に安定したマトリックスの形態で、軸方向の接合力を吸収する)の凝固後に、接続手段と、少なくとも1つの接触リング要素と、少なくとも1つのシールリングとから解放されて除去される。組立工具を除去することにより、接続手段に直接的または間接的に適用される媒体チャネルは、片側において、頭部の止まり穴型プラグ接触ソケット(組立工具を除去することによって形成される)内へと開口する。
【0026】
[発明の簡単な説明]
本発明は、以下に、添付図面を参照して、実施形態の例によって一般的発明概念を限定することなく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】適切に構成されたプラグ組立体とともに追加の媒体チャネルと組み合わされる埋め込み可能なパルス生成器の頭部を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[本発明を実施する方法、産業用途]
図1は、構成要素を形成するためのパルス生成器として設計される埋め込み可能医療デバイス2と組み合わされる頭部1の概略図を示す。複数の、電気的に絶縁性の、電気的に変形可能なシールリング3と、導電性の接触リング要素4とが、それぞれ交互の順序で、軸方向に連続する順序で、硬化可能な流延材料からなる頭部1内に配置される。シールリング3と、電気的接触リング要素4とは、頭部1の外壁上でアクセス可能なソケット開口6を有する止まり穴型プラグ接触ソケット5を囲む。ソケット開口6の反対側のソケット基部7は、組立目的で用いられる組立工具のための機械的当接の役割を(頭部1の製造のために、また、とくに、複数のシールリング3および電気的接触リング要素4を軸方向に整列させるために)果たす接続手段8によって制限される。このために、接続手段8は開口9を想定し、開口9に沿って、少なくとも部分的に、内周ネジ山10が組み込まれる。
【0029】
媒体チャネル11が、開口9の領域内の接続手段8に嵌合して、またはその内部で、存在する。媒体チャネル11は止まり穴型プラグ接触ソケット5内に開口する。媒体チャネル11は、部分的に頭部1内で延び、したがって、頭部1の凝固済流延材料によって囲まれる。中空チャネルとして構成される媒体チャネル11は、頭部1から横方向に突出し、端部において媒体源12に接続される。媒体源12は、たとえば媒体容器であり、これから、媒体(たとえば気体または液体)が、制御された態様で、搬送ユニットによって媒体チャネル11に沿って搬送される。この場合には、媒体チャネル11は中空チャネルとして設計され、これを介して気体状または液体の媒体が、可能な限り無損失な態様で、頭部1の方向に搬送される。
【0030】
媒体源12は、光源として設計することもできる。この場合には、可能な限り光に対して透明な流体が、媒体チャネル11を介して搬送されることになり、これは一種の光ガイドを構成し、これに沿って、流体および光の組み合わされた媒体源12からの流体および光が、大まかに無損失な態様で、頭部1の方向に搬送される。
【0031】
止まり穴型プラグ接触ソケット5内には、プラグ接触ソケット5の寸法および形状に適合したプラグ本体14を備える発明に従って完成されるプラグ組立体13も嵌合し、その外周上には、電気的接触リング要素4の配置に対応して、対応する対向接触要素15が配置される。対向接触要素15同士の間には、電気的に絶縁性のプラグ本体領域16が設けられる。頭部1の止まり穴状プラグ接触ソケット5内のプラグ接触組立体13の電気的接触に関して、
図1に示すデバイスは、問題の種類の比較可能なプラグ組立体と変わらない。
【0032】
本解決策によれば、プラグ接触組立体13は第2媒体チャネル17を想定し、第2媒体チャネル17はプラグ本体14を介して中央的に突出し、ソケット基部7の領域において、止まり穴型プラグ接触ソケット5内へと開口する媒体チャネル11に当接の形態で面一に隣接する。媒体チャネル11、17の種類および設計によっては、頭側の媒体チャネル11およびプラグ側の第2媒体チャネル17は、それぞれの媒体の低損失または無損失の接続および伝送のために接続されるべきである。これのために、媒体チャネル11および17の間のシームレスな遷移を確実にするために、接続手段8内に、追加のシールおよび/または接合外形18が任意選択で導入される。
【0033】
媒体チャネル11および/または17に沿って、媒体チャネル11、17に沿って搬送される媒体を検出および/または監視するために、頭部1内にセンサ19が任意選択で配置される。センサ19の種類および設計によっては、それは、接続手段8に、シールリング3の少なくとも1つに、または電気的接触リング要素4の少なくとも1つに、媒体チャネル11に沿って、またはこれに一体化されて、直接的に配置される。少なくとも1つのセンサ19の種類および適用は、媒体チャネル11、17に沿って伝送される媒体(たとえば気体、液体および場合によっては光)によってガイドされる。センサ19は、以下のセンサの種類から適切に選択することができる:ホール効果センサ、光センサ、フローセンサ、超音波センサ、温度センサ、圧力センサ、等。
【0034】
プラグ接触組立体13は、放出ライン20に接続され、これは、少なくとも1つの電気的ラインに加え、放出用媒体チャネル17を備える。放出用媒体チャネル17を介して、媒体は制御された態様で適用可能であり、すなわち、選択された体内領域において治療的目的のために投与可能である。
【0035】
図1に例示された実施形態の例は、頭部から延びる媒体チャネル11を示し、これはIPG2に対して媒体源12に別々に接続される。
図1内の破線によって示すように、頭部1内およびIPG2内で媒体チャネル11をガイドし、IPG内に配置される媒体源に接続することも可能である。
【0036】
評価および制御ユニット22(少なくとも1つのセンサ19に接続され、少なくとも1つのセンサ信号の関数として媒体源12に影響を与える制御または調整信号を生成する)は、パルス生成のために必要な構成要素22に加えて、パルス生成器として設計される埋め込み可能医療デバイス2内に配置される。このようにすると、媒体チャネル11、17を介して向けられる材料の流れおよび/または強度が影響を受け得る。
【符号の説明】
【0037】
1 頭部
2 パルス生成器IPGとして設計される埋め込み可能医療デバイス
3 シールリング
4 電気的接触リング要素
5 止まり穴型プラグ接触ソケット
6 ソケット開口
7 ソケット基部
8 接続手段
9 開口
10 内周ネジ山
11 媒体チャネル
12 媒体源
13 プラグ接触組立体
14 プラグ本体
15 対向接触要素
16 絶縁中間領域
17 第2媒体チャネル
18 シール接合外形
19 センサ
20 放出ライン
21 IPGの電気的構成要素
22 評価および制御ユニット
【国際調査報告】