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特表2023-523302静脈疾患治療のための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】静脈疾患治療のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/08 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
A61B18/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564766
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 US2021028779
(87)【国際公開番号】W WO2021216959
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/015,416
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522415645
【氏名又は名称】ヴェンクローズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】マカレーグ,アーサー
(72)【発明者】
【氏名】プリゴダ,ダライアス・エイ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK04
4C160MM33
(57)【要約】
技術は、単一加熱セグメント治療カテーテルとエネルギー送達制御装置との間の電気接続を可能にする。カテーテルおよび制御装置は、先端-スリーブ、先端-リング-スリーブ、先端-リング-リング-スリーブ、先端-リング-リング-リング-スリーブ、または他の好適に構成された押し込み接続もしくはブラインド接続構成を使用して接続される。カテーテルは、個々に選択可能である複数セグメント、または単一セグメントを有し得、エネルギー制御装置ならびに異なるエネルギー送達プロファイルによって認識および差別化される好適な押し込み接続の接続デバイスにも接続される。カテーテルは、患者の穿通枝静脈に熱に基づく治療を送達し得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱カテーテルであって、ハンドル、および前記加熱カテーテルの最遠位端に位置付けられる抵抗コイルから形成される加熱素子を含む、加熱カテーテルと、
ディスプレイ、およびTRSコネクタを受容するためのソケットを有する、エネルギー送達制御装置と、
相互接続ケーブルであって、前記カテーテルの前記ハンドルと前記相互接続ケーブルの終端におけるTRS型コネクタとの間に延びる、相互接続ケーブルとを備え、前記TRSコネクタは、前記エネルギー送達制御装置の前記ソケットに受容されるように構成され、前記相互接続ケーブルは、
電力送達線と、
通信線と、
前記エネルギー送達制御装置への前記電力送達線および前記通信線のための帰路を提供する共有アース線とを含み、前記電力送達線および前記通信線は、前記TRS型コネクタ内で終端する、システム。
【請求項2】
前記加熱素子内の、および前記TRS型コネクタと電気接触状態にある、熱電対をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハンドル上の押しボタンをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記TRS型コネクタは、先端-スリーブ、先端-リング-スリーブ、先端-リング-リング-スリーブ、先端-リング-リング-リング-スリーブ、または他の好適に構成された押し込み接続もしくはブラインド接続構成である、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記加熱素子は、シャフトの遠位端近くに配設される全体的にらせん形状の抵抗加熱器コイルを備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記加熱器コイル、または前記加熱器コイルを含む前記カテーテルのセグメントの上、中、または内部に熱電対をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記加熱素子を覆う絶縁被膜をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記加熱カテーテルは、可撓性であるか、または剛性区域および可撓性区域を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記加熱カテーテルは、40cmの挿入可能長さを有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
患者の穿通枝静脈に熱に基づく治療を送達する方法であって、
加熱カテーテルであって、前記カテーテルの最遠位端に位置付けられる抵抗コイルから形成される単一の5mm長の加熱素子を有する、加熱カテーテルを、前記加熱カテーテルと関連付けられたTRSコネクタを使用して、エネルギー送達制御装置に結合するステップと、
前記カテーテルを単一の5mm長の抵抗加熱素子を有するものとして自動的に認識することによって、前記加熱カテーテルを使用した熱エネルギーの送達のために前記エネルギー送達制御装置を準備するステップと、
針およびカニューレアセンブリを使用して前記患者の血管系にアクセスするステップと、
前記加熱カテーテルを前記患者の前記血管系内へ初期治療部位まで導入するステップと、
前記カテーテルのハンドル上のボタンを押圧することによって、前記エネルギー送達制御装置において単一加熱セグメント熱送達プロファイルを開始するステップと、
エネルギー生成装置が130℃設定点への前記加熱素子と関連付けられた熱電対の出力を監視しながら、前記単一加熱セグメント熱送達プロファイルに従って前記初期治療部位において熱療法を提供するステップとを含む、方法。
【請求項11】
前記初期治療部位は、筋膜層における、または筋膜層より下の穿通枝静脈である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ボタンを押圧するステップは、前記単一加熱セグメント熱送達プロファイルの単一の20秒熱治療の送達を開始する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記針およびカニューレアセンブリを前記筋膜層より上の血管内へ前進させるステップ、ならびに前記加熱セグメントを、前記カニューレを通じて前記筋膜層における、または前記筋膜層より下の前記治療部位へ前進させるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記針およびカニューレアセンブリを前記筋膜層における、または前記筋膜層より下の血管内へ前進させるステップ、ならびにプローブを、前記カニューレを通じて前記筋膜層における、または前記筋膜層より下の前記治療部位へ前進させるステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記治療部位における温度を監視するステップ、および前記監視した温度に応答して、エネルギー素子への電力送達を変調するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記筋膜における、またはこれより下の、前記筋膜にわたる、および前記筋膜より上の前記初期治療部位からの複数のセグメントにおいて前記穿通枝静脈内で複数の熱治療を開始するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
温度を監視する前記ステップは、加熱素子の上、中、または内部の熱電対を使用して実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
治療部位において血管を治療する方法であって、
エネルギー放出プローブを用いるステップであって、前記プローブは、
近位端および遠位端を有する細長いシャフト、ならびに
前記遠位端に隣接するエネルギー素子であって、前記細長いシャフトの前記遠位端の近くに配設される全体的にらせん形状の抵抗加熱器コイルを備える、エネルギー素子を備える、ステップと、
針およびカニューレアセンブリを用いて皮膚を通じて前記血管にアクセスするステップと、
前記カニューレから前記針を除去するステップと、
前記エネルギー放出プローブを、前記カニューレを通じて前記治療部位へ前進させるステップと、
前記エネルギー素子を用いて前記治療部位にエネルギーを印加し、以て、前記血管を収縮させるステップであって、前記エネルギーは、前記血管に対して血管内に印加される、ステップと、
前記プローブおよび前記カニューレを除去するステップと、を含む方法。
【請求項19】
前記針およびカニューレアセンブリを前記筋膜層より上の血管内へ前進させるステップ、ならびに前記プローブを、前記カニューレを通じて前記筋膜層における、または前記筋膜層より下の前記治療部位へ前進させるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記治療部位における温度を監視するステップ、および前記温度に応答して、前記エネルギー素子への電力送達を変調するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記血管は、穿通枝静脈を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記プローブシャフトは、可撓性である、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記細長いシャフトの前記近位端にTRSコネクタをさらに備える、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記針およびカニューレアセンブリを前記筋膜層における、または前記筋膜層より下の血管内へ前進させるステップ、ならびに前記プローブを、前記カニューレを通じて前記筋膜層における、または前記筋膜層より下の前記治療部位へ前進させるステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
治療部位において血管を治療する方法であって、
エネルギー放出プローブを用いるステップであって、前記プローブは、
近位端および遠位端を有する細長いシャフト、ならびに
前記遠位端に隣接するエネルギー素子であって、前記エネルギー素子は、前記シャフトの前記遠位端の近くに配設される全体的にらせん形状の抵抗加熱器コイルセグメントを備え、前記前記らせん形状の抵抗加熱器コイルセグメントは、絶縁被膜を有する、エネルギー素子を備える、ステップと、
針およびカニューレアセンブリを用いて皮膚を通じて前記血管にアクセスするステップと、
前記カニューレから前記針を除去するステップと、
前記エネルギー放出プローブを、前記カニューレを通じて前記治療部位へ前進させるステップと、
前記エネルギー素子を用いて前記治療部位にエネルギーを印加し、以て、前記血管を収縮させるステップであって、前記エネルギーは、前記血管に対して血管内に印加される、ステップと、
前記プローブおよび前記カニューレを除去するステップと、を含む方法。
【請求項26】
前記針およびカニューレアセンブリを前記筋膜層より上の血管内へ前進させるステップ、ならびにプローブを、前記カニューレを通じて前記筋膜層における、または前記筋膜層より下の前記治療部位へ前進させるステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記治療部位における温度を監視するステップ、および前記温度に応答して、前記エネルギー素子への電力送達を変調するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記血管は、穿通枝静脈を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記プローブシャフトは、可撓性である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記細長いシャフトの前記近位端にTRSコネクタをさらに備える、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記針およびカニューレアセンブリを前記筋膜層における、または前記筋膜層より下の血管内へ前進させるステップ、ならびにプローブを、前記カニューレを通じて前記筋膜層における、または前記筋膜層より下の前記治療部位へ前進させるステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記エネルギー送達制御装置と通信状態にあるフットスイッチをさらに備え、療法送達シーケンスの開始は、前記ハンドル上の押しボタンまたは前記フットスイッチを使用した前記エネルギー送達制御装置とユーザとの相互作用によって開始される、請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項33】
加熱カテーテルであって、
ハンドルと、
前記ハンドルから延びる可撓性シャフトであって、最大40cmの挿入可能長さを有する、可撓性シャフトと、
前記シャフトの遠位部分に位置付けられる抵抗コイルを備えて形成される加熱素子と、
前記加熱素子に接続される複数のリードと、
前記加熱カテーテルのコネクタを受容するように構成されるソケットを有するエネルギー送達制御装置であって、前記エネルギー送達制御装置は、前記加熱素子の第1の加熱長さを活性化するために第1のリードおよび第2のリードに電流を印加するように構成され、前記加熱素子の第2の加熱長さを活性化するために前記第1のリードおよび第3のリードに電流を印加するように構成され、前記加熱素子の第3の加熱長さを活性化するために前記第1のリードおよび第4のリードに電流を印加するように構成される、エネルギー送達制御装置と、を備える加熱カテーテル。
【請求項34】
前記加熱カテーテルの前記コネクタは、TRS型コネクタを備え、前記カテーテルは、前記カテーテルの前記ハンドルと前記TRS型コネクタとの間に延びる相互接続ケーブルをさらに備え、前記TRSコネクタは、前記エネルギー送達制御装置の前記ソケットに受容されるように構成され、前記相互接続ケーブルは、
電力送達線と、
通信線と、
前記エネルギー送達制御装置への前記電力送達線および前記通信線のための帰路を提供する共有アース線とを含み、前記電力送達線および前記通信線は、前記TRS型コネクタ内で終端する、請求項33に記載のカテーテル。
【請求項35】
前記加熱素子内に熱電対をさらに備える、請求項33に記載のカテーテル。
【請求項36】
前記熱電対は、前記第1のリードと前記第2のリードとの間に位置付けられる、請求項35に記載のカテーテル。
【請求項37】
前記熱電対は、前記加熱素子に電力供給するように構成される回路からガルバニック絶縁される、請求項35に記載のカテーテル。
【請求項38】
前記熱電対および前記加熱素子は、共通アースを共有しない、請求項37に記載のカテーテル。
【請求項39】
前記第1の加熱長さは、およそ0.5cm~およそ5cmの範囲にあり、前記第2の加熱長さは、およそ2.5cm~20cmの範囲にあり、前記第3の加熱長さは、およそ5cm~40cmの範囲にある、請求項33に記載のカテーテル。
【請求項40】
前記ハンドル上の押しボタンをさらに備える、請求項33に記載のカテーテル。
【請求項41】
前記TRS型コネクタは、先端-スリーブ、先端-リング-スリーブ、先端-リング-リング-スリーブ、先端-リング-リング-リング-スリーブ、または他の好適に構成された押し込み接続もしくはブラインド接続構成である、請求項34に記載のカテーテル。
【請求項42】
前記加熱素子は、全体的にらせん形状の抵抗加熱器コイルを備える、請求項33に記載のカテーテル。
【請求項43】
患者の穿通枝静脈を治療する方法であって、
カニューレアセンブリを用いて、前記患者の筋膜層に、またはこれより上に位置するアクセス場所において前記患者の前記穿通枝静脈にアクセスするステップと、
可撓性加熱カテーテルを、前記カニューレアセンブリを通じて、前記筋膜層における、またはこれより上の前記アクセス場所において前記穿通枝静脈内へ導入するステップと、
前記加熱カテーテルを、前記穿通枝静脈内で、前記筋膜層を過ぎて、前記穿通枝静脈内および前記筋膜層における、またはこれより下の第1の治療場所へ前進させるステップと、
前記第1の治療場所において熱療法を提供するために前記加熱カテーテルの加熱素子を活性化するステップと、
前記穿通枝静脈内の前記加熱カテーテルを前記穿通枝静脈内の前記第2の治療場所まで撤退させるステップと、
前記第2の治療場所において熱療法を提供するために前記加熱カテーテルの前記加熱素子を活性化するステップと、を含む方法。
【請求項44】
前記第2の治療場所は、前記穿通枝静脈内、および前記筋膜層より下に位置付けられる、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記穿通枝静脈内の前記加熱カテーテルを前記穿通枝静脈内の第3の治療場所まで撤退させるステップと、
前記第3の治療場所において熱療法を提供するために前記加熱カテーテルの前記加熱素子を活性化するステップと、を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第3の治療場所は、前記穿通枝静脈内、および前記筋膜層に、またはこれより上に位置付けられる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第2の治療場所は、前記穿通枝静脈内、および前記筋膜層に、またはこれより上に位置付けられる、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
リアルタイム超音波撮像により前記加熱カテーテルを撮像するステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記リアルタイム超音波撮像下で前記穿通枝静脈の閉塞の成功を識別するステップをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記リアルタイム超音波撮像下で前記静脈内の減少するバブリング効果を識別するステップをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記加熱カテーテルは、製造中にカテーテルのタイプを刻印されるファームウェアを有する回路基板をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項52】
前記加熱カテーテルは、前記エネルギー送達制御装置が刻印された前記カテーテルのタイプを認識または許容しない場合、前記エネルギー送達制御装置によって動作不能にされる、請求項51に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001]本出願は、2020年4月24日に提出された「METHODS AND SYSTEMS FOR VENOUS DISEASE TREATMENT」という表題の米国仮特許出願第63/015,416号の利益を主張するものであり、その全体が参照により組み込まれる。
参照による組み込み
[0002]本明細書に記載されるすべての刊行物および特許出願は、各々個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に示されていた場合と同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0003]本開示は、患者の血管系を治療するための、特に、患者の穿通枝静脈(PV)を治療するための新規のシステムおよび方法を詳述する。
【背景技術】
【0003】
[0004]血管および他の生理学的構造体は、それらの適切な機能を実施することができないことがある。例として、静脈内の対向する弁尖が互いに触れない場合、静脈内の血流は、必ずしも心臓に向かう1つの方向へと主に制限されない。この状態は、静脈逆流と呼ばれ、これは、静脈内の局所的な血圧上昇を引き起こす。局所的な血圧上昇は、その後、周囲組織および皮膚へ伝達される。さらに、静脈内の弁の機能停止は、静脈に沿った弁の連続的な機能停止のカスケード反応を引き起こす。慢性静脈障害の多様な症状の報告および治療を標準化するために、包括的な臨床-病因学-解剖学-病態生理学(CEAP:clinical-etiology-anatomy-pathophysiology)分類システムが、均一な診断を可能にするために開発されている。CEAP分類は、一般的に、クモ状静脈から、静脈瘤へ、腫脹(浮腫)へ、皮膚変化(青みがかったしみ、脂肪皮膚硬化症(lipodermatosclerosis))へ、以前に治癒した潰瘍へ、最終的には、最も深刻と見なされる活動性潰瘍へと深刻度が増大する患者症状のレベルを説明するために使用される。慢性静脈不全は、慢性末梢静脈疾患のより深刻な症状を説明するためにしばしば使用される用語である。
【0004】
[0005]ヒト下肢静脈は、表在性静脈系、深部静脈系、ならびに表在性系および深部系を接続する貫通静脈系という3つの系からなる。表在系は、数ある中でも大伏在静脈(GSV)および小伏在静脈(SSV)を含む。深部静脈系は、一体になって膝窩静脈を形成する前および後脛骨静脈を含み、この膝窩静脈は、小伏在静脈によって接合されるとき大腿静脈になる。
【0005】
[0006]穿通枝静脈は、脚の深部静脈系を、皮膚のより近くにある表面静脈に接続する。正常または健全な穿通枝静脈は、正常な血液循環の一部として、表面静脈から深部静脈へ血液を渡す。機能不全の穿通枝静脈は、深部静脈系から表面静脈への血流を可能にして、静脈瘤、浮腫、皮膚および軟組織変化、脂肪皮膚硬化症、慢性セルライト、静脈性潰瘍、および同様のものなどの問題を引き起こすか、またはこれに寄与する。
【0006】
[0007]いくつかの手術が、機能不全の穿通枝静脈の遮断のために提案されている。「リントン」手術は、穿通枝静脈を露出するために中央ふくらはぎ上に非常に長い切開(膝から足首)を必要とする。次いで、個々の静脈は、外科的に切開され、結紮され、表在性静脈系と深部静脈系との間の血流を防ぐために切断される。低侵襲性の代替案は、個々の機能不全の穿通枝静脈が超音波を使用して「リントンの線」に沿って識別されるDePalmaによって開発されている。次いで、小さな切開が、結紮および切開のため、個々のパーフォレータにアクセスするために使用される。さらに近年では、穿通枝静脈の個々の結紮および切開は、近位ふくらはぎに挿入される内視鏡を使用して実施されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0008]概して効果的ではあるが、上述の手術の各々は、静脈の結紮および切断が後に続く外科的切開を必要とする。故に、最も良くても、手術は、患者にとって外傷性であり、著しい手術時間を必要とする。さらには、手術は、複雑であり、多くの場合、手術を手助けする第2の外科医を必要とする。
【0008】
[0009]これらの理由のため、静脈瘤、浮腫、皮膚および軟組織変化、脂肪皮膚硬化症、慢性セルライト、静脈性潰瘍、静脈性潰瘍、ならびに他の病態の治療のために機能不全の穿通枝静脈を遮断するための、追加のおよび改善された技術を提供することが望ましい。そのような手術は、好ましくは、例えば、深部筋膜面における穿通枝静脈へのアクセスを得るための、導入器シース、カニューレ、カテーテル、トロカール、または針に依拠して、最小限に侵襲性でなければならない。特に、切開がわずかであるか全く必要としない方法が、局所麻酔薬の下で実施され得、術後の治癒時間ならびに罹患率および合併症率を低減し、たった一人の外科医のみしか必要としないのであれば望ましい。加えて、穿通枝静脈に加えて他の組織および中空の解剖学的構造体に対して手術を実施するのに有用である装置および方法を提供することが望ましいであろう。これらの目的の少なくともいくつかは、本明細書内以下に説明される本発明の様々な実施形態によって満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[0056]加熱カテーテルであって、ハンドル、および加熱カテーテルの最遠位端に位置付けられる抵抗コイルから形成される加熱素子を含む、加熱カテーテルと、ディスプレイ、およびTRSコネクタを受容するためのソケットを有するエネルギー送達制御装置と、カテーテルのハンドルと相互接続ケーブルの終端におけるTRS型コネクタとの間に延びる相互接続ケーブルとを備え、TRSコネクタは、エネルギー送達制御装置のソケットに受容されるように構成され、相互接続ケーブルは、電力送達線と、通信線と、エネルギー送達制御装置への電力送達線および通信線のための帰路を提供する共有アース線とを含み、電力送達線および通信線は、TRS型コネクタ内で終端する、システムが提供される。
【0010】
[0057]いくつかの実施形態において、本システムは、加熱素子内の、およびTRS型コネクタと電気接触状態にある、熱電対を含む。
[0058]別の実施形態において、本システムは、ハンドル上に押しボタンを含む。
【0011】
[0059]いくつかの実施形態において、TRS型コネクタは、先端-スリーブ、先端-リング-スリーブ、先端-リング-リング-スリーブ、先端-リング-リング-リング-スリーブ、または他の好適に構成された押し込み接続もしくはブラインド接続構成である。
【0012】
[0060]いくつかの実施形態において、加熱素子は、シャフトの遠位端近くに配設される全体的にらせん形状の抵抗加熱器コイルを備える。
[0061]他の実施形態において、熱電対は、加熱器コイル、または加熱器コイルを含むカテーテルのセグメントの上、中、または内部に位置付けられる。
【0013】
[0062]1つの実施形態において、本システムは、加熱素子を覆う絶縁被膜をさらに含む。
[0063]いくつかの実施形態において、加熱カテーテルは、可撓性であるか、または剛性区域および可撓性区域を有する。
【0014】
[0064]多くの実施形態において、加熱カテーテルは、40cmの挿入可能長さを有する。
[0065]患者の穿通枝静脈に熱に基づく治療を送達する方法が提供され、本方法は、加熱カテーテルであって、カテーテルの最遠位端に位置付けられる抵抗コイルから形成される単一の5mm長の加熱素子を有する、加熱カテーテルを、加熱カテーテルと関連付けられたTRSコネクタを使用して、エネルギー送達制御装置に結合するステップと、カテーテルを単一の5mm長の抵抗加熱素子を有するものとして自動的に認識することによって、加熱カテーテルを使用した熱エネルギーの送達のためにエネルギー送達制御装置を準備するステップと、針およびカニューレアセンブリを使用して患者の血管系にアクセスするステップと、加熱カテーテルを患者の血管系内へ初期治療部位まで導入するステップと、カテーテルのハンドル上のボタンを押圧することによって、エネルギー送達制御装置において単一加熱セグメント熱送達プロファイルを開始するステップと、エネルギー生成装置が130℃設定点への加熱素子と関連付けられた熱電対の出力を監視しながら、単一加熱セグメント熱送達プロファイルに従って初期治療部位において熱療法を提供するステップとを含む。
【0015】
[0066]いくつかの実施形態において、初期治療部位は、筋膜層における、またはこれより下の穿通枝静脈である。
[0067]他の実施形態において、ボタンを押圧するステップは、単一加熱セグメント熱送達プロファイルの単一の20秒熱治療の送達を開始する。
【0016】
[0068]1つの実施形態において、本方法は、針およびカニューレアセンブリを筋膜層より上の血管内へ前進させるステップ、ならびに加熱セグメントを、カニューレを通じて、筋膜層における、またはこれより下の治療部位へ前進させるステップをさらに含む。
【0017】
[0069]いくつかの実施形態において、本方法は、針およびカニューレアセンブリを筋膜層における、またはこれより下の血管内へ前進させるステップ、ならびにプローブを、カニューレを通じて、筋膜層における、またはこれより下の治療部位へ前進させるステップを含む。
【0018】
[0070]いくつかの実施形態において、本方法は、治療部位における温度を監視するステップ、および監視した温度に応答して、エネルギー素子への電力送達を変調するステップを含む。
【0019】
[0071]別の実施形態において、本方法は、筋膜における、またはこれより下の、筋膜にわたる、および筋膜より上の初期治療部位からの複数のセグメントにおいて穿通枝静脈内で複数の熱治療を開始するステップを含む。
【0020】
[0072]1つの実施形態において、温度を監視するステップは、加熱素子の上、中、または内部の熱電対を使用して実施される。
[0073]治療部位において血管を治療する方法も提供され、本方法は、エネルギー放出プローブを用いるステップであって、プローブは、近位端および遠位端を有する細長いシャフト、ならびに遠位端に隣接するエネルギー素子であって、細長いシャフトの遠位端の近くに配設される全体的にらせん形状の抵抗加熱器コイルを備える、エネルギー素子を備える、ステップと、針およびカニューレアセンブリを用いて皮膚を通じて血管にアクセスするステップと、カニューレから針を除去するステップと、エネルギー放出プローブを、カニューレを通じて治療部位へ前進させるステップと、エネルギー素子を用いて治療部位にエネルギーを印加し、以て、血管を収縮させるステップであって、エネルギーは、血管に対して血管内に印加される、ステップと、プローブおよびカニューレを除去するステップと、を含む。
【0021】
[0074]いくつかの実施形態において、本方法は、針およびカニューレアセンブリを筋膜層より上の血管内へ前進させるステップ、ならびにプローブを、カニューレを通じて、筋膜層における、またはこれより下の治療部位へ前進させるステップを含む。
【0022】
[0075]1つの実施形態において、本方法は、治療部位における温度を監視するステップ、および温度に応答して、エネルギー素子への電力送達を変調するステップを含む。
[0076]いくつかの実施形態において、血管は、穿通枝静脈を含む。
【0023】
[0077]別の実施形態において、プローブシャフトは、可撓性である。
[0078]1つの実施形態は、細長いシャフトの近位端にTRSコネクタを備える。
[0079]いくつかの実施形態において、本方法は、針およびカニューレアセンブリを筋膜層における、またはこれより下の血管内へ前進させるステップ、ならびにプローブを、カニューレを通じて筋膜層における、またはこれより下の治療部位へ前進させるステップを含む。
【0024】
[0080]治療部位において血管を治療する方法が提供され、本方法は、エネルギー放出プローブを用いるステップであって、プローブは、近位端および遠位端を有する細長いシャフト、ならびに遠位端に隣接するエネルギー素子であって、エネルギー素子は、シャフトの遠位端の近くに配設される全体的にらせん形状の抵抗加熱器コイルセグメントを備え、らせん形状の抵抗加熱器コイルセグメントは、絶縁被膜を有する、エネルギー素子を備える、ステップと、針およびカニューレアセンブリを用いて皮膚を通じて血管にアクセスするステップと、カニューレから針を除去するステップと、エネルギー放出プローブを、カニューレを通じて治療部位へ前進させるステップと、エネルギー素子を用いて治療部位にエネルギーを印加し、以て、血管を収縮させるステップであって、エネルギーは、血管に対して血管内に印加される、ステップと、プローブおよびカニューレを除去するステップと、を含む。
【0025】
[0081]いくつかの実施形態において、本方法は、針およびカニューレアセンブリを筋膜層より上の血管内へ前進させるステップ、ならびにプローブを、カニューレを通じて筋膜層における、またはこれより下の治療部位へ前進させるステップを含む。
【0026】
[0082]1つの実施形態において、本方法は、治療部位における温度を監視するステップ、および温度に応答して、エネルギー素子への電力送達を変調するステップを含む。
[0083]1つの実施形態において、血管は、穿通枝静脈を含む。
【0027】
[0084]別の実施形態において、プローブシャフトは、可撓性である。
[0085]いくつかの実施形態において、本方法は、細長いシャフトの近位端にTRSコネクタをさらに含む。
【0028】
[0086]いくつかの実施形態において、本方法は、針およびカニューレアセンブリを筋膜層における、またはこれより下の血管内へ前進させるステップ、ならびにプローブを、カニューレを通じて筋膜層における、またはこれより下の治療部位へ前進させるステップを含む。
【0029】
[0087]1つの実施形態において、本方法は、エネルギー送達制御装置と通信状態にあるフットスイッチをさらに備え、療法送達シーケンスの開始は、ハンドル上の押しボタンまたはフットスイッチを使用したエネルギー送達制御装置とのユーザの相互作用によって開始される。
【0030】
[0088]加熱カテーテルであって、ハンドルと、ハンドルから延びる可撓性シャフトであって、最大40cmの挿入可能長さを有する、可撓性シャフトと、シャフトの遠位部分に位置付けられる抵抗コイルを備えて形成される加熱素子と、加熱素子に接続される複数のリードと、加熱カテーテルのコネクタを受容するように構成されるソケットを有するエネルギー送達制御装置と、を備える加熱カテーテルが提供され、エネルギー送達制御装置は、加熱素子の第1の加熱長さを活性化するために第1のリードおよび第2のリードに電流を印加するように構成され、加熱素子の第2の加熱長さを活性化するために第1のリードおよび第3のリードに電流を印加するように構成され、加熱素子の第3の加熱長さを活性化するために第1のリードおよび第4のリードに電流を印加するように構成される。
【0031】
[0089]いくつかの実施形態において、加熱カテーテルのコネクタは、TRS型コネクタを備え、カテーテルは、カテーテルのハンドルとTRS型コネクタとの間に延びる相互接続ケーブルをさらに備え、TRSコネクタは、エネルギー送達制御装置のソケットに受容されるように構成され、相互接続ケーブルは、電力送達線、通信線、エネルギー送達制御装置への電力送達線および通信線のための帰路を提供する共有アース線を含み、電力送達線および通信線は、TRS型コネクタ内で終端する。
【0032】
[0090]いくつかの実施形態において、カテーテルは、加熱素子内に熱電対を含む。
[0091]いくつかの実施形態において、熱電対は、第1のリードと第2のリードとの間に位置付けられる。
【0033】
[0092]他の実施形態において、熱電対は、加熱素子に電力供給するように構成される回路からガルバニック絶縁される。
[0093]いくつかの実施形態において、熱電対および加熱素子は、共通アースを共有しない。
【0034】
[0094]1つの実施形態において、第1の加熱長さは、およそ0.5cm~およそ5cmの範囲に及び得、第2の加熱長さは、およそ2.5cm~20cmの範囲に及び得、第3の加熱長さは、およそ5cm~40cmの範囲に及び得る。
【0035】
[0095]いくつかの実施形態において、カテーテルは、ハンドル上に押しボタンをさらに備える。
[0096]別の実施形態において、TRS型コネクタは、先端-スリーブ、先端-リング-スリーブ、先端-リング-リング-スリーブ、先端-リング-リング-リング-スリーブ、または他の好適に構成された押し込み接続もしくはブラインド接続構成である。
【0036】
[0097]いくつかの実施形態において、加熱素子は、全体的にらせん形状の抵抗加熱器コイルを備える。
[0098]患者の穿通枝静脈を治療する方法が提供され、本方法は、カニューレアセンブリを用いて、患者の筋膜層より上に位置するアクセス場所において患者の穿通枝静脈にアクセスするステップと、可撓性加熱カテーテルを、カニューレアセンブリを通じて、筋膜層より上のアクセス場所において穿通枝静脈内へ導入するステップと、加熱カテーテルを、穿通枝静脈内で、筋膜層を過ぎて、穿通枝静脈内および筋膜層より下の第1の治療場所へ前進させるステップと、第1の治療場所において熱療法を提供するために加熱カテーテルの加熱素子を活性化するステップと、穿通枝静脈内の加熱カテーテルを穿通枝静脈内の第2の治療場所まで撤退させるステップと、第2の治療場所において熱療法を提供するために加熱カテーテルの加熱素子を活性化するステップと、を含む。
【0037】
[0099]いくつかの実施形態において、第2の治療場所は、穿通枝静脈内および筋膜層より下に位置付けられる。
[0100]1つの実施形態において、本方法は、穿通枝静脈内の加熱カテーテルを穿通枝静脈内の第3の治療場所まで撤退させるステップと、第3の治療場所において熱療法を提供するために加熱カテーテルの加熱素子を活性化するステップとをさらに含む。
【0038】
[0101]いくつかの実施形態において、第3の治療場所は、穿通枝静脈内および筋膜層より上に位置付けられる。
[0102]他の実施形態において、第2の治療場所は、穿通枝静脈内および筋膜層より上に位置付けられる。
【0039】
[0103]1つの実施形態において、本方法は、リアルタイム超音波撮像により加熱カテーテルを撮像するステップをさらに含む。
[0104]いくつかの実施形態において、本方法は、リアルタイム超音波撮像下で穿通枝静脈の閉塞の成功を識別するステップを含む。
【0040】
[0105]別の実施形態において、本方法は、リアルタイム超音波撮像下で静脈内の減少するバブリング効果を識別するステップを含む。
[0106]いくつかの実施形態において、加熱カテーテルは、生産中にカテーテルタイプを刻印されるファームウェアを有する回路基板をさらに備える。
【0041】
[0107]他の実施形態において、加熱カテーテルは、エネルギー送達制御装置が刻印されたカテーテルタイプを認識または許容しない場合、エネルギー送達制御装置によって動作不能にされる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】[0010]静脈内熱アブレーションを提供するためのエネルギー送達システムの例を描写する図である。
図2】[0011]静脈内熱アブレーションを提供するための加熱カテーテルの加熱素子の例を描写する図である。
図3】[0012]加熱カテーテルを描写する例となる断面図である。
図4A】[0013]図4Aは、加熱カテーテルの例となる加熱素子を描写する図である。
図4B図4Bは、加熱カテーテルの例となる加熱素子を描写する図である。
図5A】[0014]図5Aは、加熱カテーテルの例となる加熱素子を描写する例となる図である。
図5B図5Bは、加熱カテーテルの例となる加熱素子を描写する例となる図である。
図6】[0015]加熱カテーテルを描写する例となるブロック図である。
図7】[0016]加熱カテーテルのための例となる中央処理装置を描写する図である。
図8】[0017]加熱カテーテルの例となる加熱器抵抗測定エンジンおよび例となる電力ルータエンジンを描写する図である。
図9】[0018]加熱カテーテルの例となる熱電対増幅器および例となる温度基準エンジンを描写する図である。
図10】[0019]加熱カテーテルの例となる通信エンジンを描写する図である。
図11A】[0020]図11Aは、加熱カテーテルのための例となる通信接続を描写する図である。
図11B図11Bは、加熱カテーテルのための例となる通信接続を描写する図である。
図11C図11Cは、加熱カテーテルのための例となる通信接続を描写する図である。
図12】[0021]加熱カテーテルをエネルギー送達制御装置に接続する例となる通信線を描写する図である。
図13】[0022]加熱カテーテルをエネルギー送達制御装置に接続するために使用され得る、例となる先端、リング、およびスリーブケーブル接続および線を描写する図である。
図14A】[0023]図14Aは、加熱カテーテルとエネルギー送達制御装置との間の例となる通信線を描写する図である。
図14B図14Bは、加熱カテーテルとエネルギー送達制御装置との間の例となる通信線を描写する図である。
図14C図14Cは、加熱カテーテルとエネルギー送達制御装置との間の例となる通信線を描写する図である。
図15】[0024]例となるエネルギー送達制御装置を描写する例となる図である。
図16】[0025]エネルギー送達制御装置を描写する例となるブロック図である。
図17】[0026]エネルギー送達制御装置のための例となる中央処理装置を描写する図である。
図18】[0027]CPUから電力ドライバに提供される例となるパルス周期長を描写する図である。
図19】[0028]共有電力送達および通信正当化装置(legitimier)の例となる低域フィルタ、弁別器、およびシュミットバッファを描写する図である。
図20】[0029]共有電力送達および通信正当化装置の例を描写する図である。
図21】[0030]共有電力送達および通信アースを介して送信されるデータ信号をフィルタリングするための例となるステップを描写する図である。
図22】[0031]エネルギー送達制御装置のための例となる電力ドライバおよび短絡保護エンジンを描写する図である。
図23】[0032]エネルギー送達制御装置のための例となる電力切り替えエンジンを描写する図である。
図24】[0033]エネルギー送達制御装置によって使用され得る例となる多電圧電力供給装置を描写する図である。
図25】[0034]エネルギー送達制御装置と共に使用され得る例となるセキュアデジタル(SD)カードを描写する図である。
図26】[0035]エネルギー送達制御装置と共に使用され得る例となるサウンドプロセッサおよび音声出力を描写する図である。
図27】[0036]エネルギー送達制御装置と共に使用され得る例となるタッチスクリーンディスプレイを描写する図である。
図28】[0037]エネルギー送達制御装置と共に使用され得る例となるリアルタイムクロックを描写する図である。
図29】[0038]エネルギー送達制御装置と共に使用され得る例となるフラッシュメモリを描写する図である。
図30】[0039]エネルギー送達制御装置と共に使用され得る例となる電磁干渉(EMI)フィルタを描写する図である。
図31】[0040]静脈管腔内に置かれる加熱カテーテルを描写する例となる図である。
図32】[0041]加熱カテーテルに電力供給するための例となる電力-時間曲線を描写する図である。
図33A】[0042]図33Aは、静脈管腔内での自己調心加熱を促進するために利用され得る例となる技術を描写する図である。
図33B図33Bは、静脈管腔内での自己調心加熱を促進するために利用され得る例となる技術を描写する図である。
図33C図33Cは、静脈管腔内での自己調心加熱を促進するために利用され得る例となる技術を描写する図である。
図34A】[0043]図34Aは、静脈管腔内での2重ゾーン加熱を促進するように設計される例となる加熱カテーテルを描写する図である。
図34B図34Bは、静脈管腔内での2重ゾーン加熱を促進するように設計される例となる加熱カテーテルを描写する図である。
図35A】[0044]図35Aは、超音波により加熱カテーテルの可視性を促進するように設計される例となる加熱カテーテル空気通路を描写する図である。
図35B図35Bは、超音波により加熱カテーテルの可視性を促進するように設計される例となる加熱カテーテル空気通路を描写する図である。
図36A】[0045]押しボタンハンドルおよびTRSコネクタを有する単一加熱セグメント治療カテーテルの実施形態の斜視図である。
図36B】[0046]丸みを帯びた遠位端、コイルセグメントの位置、およびコイルセグメント内の熱電対の位置を示す、図36Aのカテーテルの拡大断面図である。
図37】[0047]カテーテル熱電対をカテーテル加熱素子からガルバニック絶縁する回路の概略図である。
図38】[0048]複数セグメント加熱カテーテルの1つの実施形態を示す図である。
図39A】[0049]穿通枝静脈内で経皮シースを通じて導入される、図36Aの可撓性カテーテルの使用のいくつかのステップを例証する図である。
図39B】穿通枝静脈内で前進する、図36Aの可撓性カテーテルの使用のいくつかのステップを例証する図である。
図39C】筋膜層より下の穿通枝静脈のセグメントへの熱治療を実施する、図36Aの可撓性カテーテルの使用のいくつかのステップを例証する図である。
図40A】[0050]図36Bに示されるように位置付けられる熱電対によって測定される、図36A内のカテーテルによって送達される20秒の治療期間にわたって測定される温度のグラフである。
図40B】[0051]図39Aの20秒の治療期間を実施する間、加熱コイルの遠位部分、中央部分、および近位部分に隣接する地点において測定される図36Aのカテーテルの治療コイル近くの外部温度のグラフである。
図41】[0052]単一セグメント熱治療TRSカテーテルまたは複数の選択可能な熱セグメント治療TRSカテーテルを選択し、患者の静脈血管系内の治療部位へ療法を送達する方法を示す図である。
図42A】[0053]図42Aは、TS設計を含む「TRS型コネクタ」を例証する図である。
図42B図42Bは、TRS設計を含む「TRS型コネクタ」を例証する図である。
図42C図42Cは、TRRS設計を含む「TRS型コネクタ」を例証する図である。
図42D図42Dは、TRRRS設計を含む「TRS型コネクタ」を例証する図である。
図43】[0054]熱療法により患者の穿通枝静脈を治療するための1つの方法を説明するフローチャートである。
図44】[0055]熱療法により患者の穿通枝静脈を治療するための方法を説明する別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
[0108]一般に、本発明の様々な態様および実施形態は、TRSコネクタを介して互換性のある生成装置に結合されるとき、血管構造体の熱治療における使用に好適である、熱治療カテーテルのための医療方法および装置に関する。より詳細には、いくつかの実施形態は、静脈血管系の血管を含む血管構造体を熱的に凝固および/または収縮させるための1つの熱治療セグメントまたは2つ以上の熱治療セグメントを有する熱治療カテーテルの設計および使用に関する。より詳細には、単一熱治療セグメントカテーテルは、脚において表在静脈を深部静脈に接続する穿通枝静脈、脚の表在静脈幹(例えば、大伏在静脈、小伏在静脈、および同様のもの)、ならびに脚の表在支流静脈、内部精巣静脈(精索静脈瘤)、卵巣静脈、生殖腺静脈、直腸血管、卵管、動静脈奇形、動静脈瘻側枝、食道静脈瘤、および同様のものの治療のために構成され得る。熱治療カテーテルのための本明細書に説明される装置および方法は、先端-リング-スリーブの実施形態などのブラインド接続または本明細書に説明される生成装置と互換性のある他の好適なコネクタを介して生成装置と共に使用するために構成される単一熱治療セグメントカテーテルを用いて穿通枝静脈を治療することにおける使用を含め、単一熱治療セグメントカテーテルが利用されるにしろ、複数熱治療セグメントカテーテルが利用されるにしろ、適用可能である。
【0044】
[0109]図1は、熱アブレーションを実施するための例となるエネルギー送達システム100を描写する。この例では、エネルギー送達システム100は、静脈などの狭い解剖学的管腔内へ挿入され得る長い、薄い、可撓性の、または剛性のデバイスである加熱カテーテル102と、エネルギー送達制御装置104とを含む。加熱カテーテル102は、治療されるべき静脈の管腔内に置かれ得る加熱カテーテル102の遠位端において加熱を引き起こすエネルギーを提供するために、エネルギー送達制御装置104に接続される。
【0045】
[0110]図2は、電流によって加熱される加熱素子106を有する加熱カテーテル102を描写する。加熱素子106内で発生した電流は、伝導(伝導加熱)によって熱エネルギーを静脈壁へ伝達する。特定の実装形態において、加熱素子106の活性加熱長さは、ユーザによって選択可能であり得る。例えば、活性加熱長さは、1cm~10cmから選択可能であってもよい)。この例では、ユーザ(例えば、医師、外科医など)は、例えば、加熱カテーテル102またはエネルギー送達制御装置104上のスイッチを選択することによって、d(例えば、1cm)くらいに小さい加熱長さから最大で長さD(例えば10cm)まで選択し得る。ここでは、印(換言すれば、マーキング)108、110は、最も短い加熱長さdの長さとほぼ等しく離間される一連の点110などの視覚的合図、およびより長い加熱長さDの長さとほぼ等しく離間される一連の線108などの別の視覚的合図によってユーザを誘導するために、加熱カテーテル102に沿って異なる長さに提供され得る。これは、加熱のより短い長さがどこであるかを示すために、または血管内の加熱のより短い長さの部分的位置決めおよび加熱を促進するために行われ得る。
【0046】
[0111]特定の実装形態において、印108、110は、幾何学的な線もしくは形状、アルファベット文字、色分けされた特徴、またはそれらの組み合わせであってもよい。さらなる変異形において、印108、110は、加熱素子106の長さとほぼ等しい間隔で(加熱素子が10cm長のときは10cm離れるなど)、または、治療の偶発的重複を防ぐために、加熱素子106よりもわずかに長い間隔で(加熱素子が10cm長のときは10.1cm離れるなど)置かれ得る。加熱セグメントの重複の防止は、2つの主な利点を有する。第一に、重複を回避することは、治療が、各治療により血管の可能性のある最も長い長さをアブレーションする際に手術の速度に役立ち、第二に、治療の重複は、重複領域において追加の加熱をもたらし、これが、不必要な組織損傷をもたらし得る。印108、110は、加熱素子および/または管接着の場所を促進するために位置合わせ印を含み得る。
【0047】
[0112]特定の実装形態において、印または識別可能な特徴は、加熱素子106の活性長さから離れた治療の最小距離を示すことができ、患者の皮膚に近すぎる組織加熱を回避するためにユーザに合図を与える。1つの例において、印または管層もしくは接着の縁は、加熱素子106の近位端に2.5または3.0cm近位であり得る。
【0048】
[0113]図3は、加熱素子106の断面図を描写する。この例では、治療カテーテル102は、周りにコイル114が巻き付けられるかまたは配置される、管112からなり得る。コイル114は、関連付けられた抵抗を有し、抵抗は、電流がコイル114を通過するとき、コイル114を加熱させ、それによって、伝導(伝導加熱)により静脈壁に最終的に印加される熱エネルギーが生成されることを可能にする。管112は、通路を提供し、この通路を通って線118、120が延びて、コイル112とカテーテルハンドルとの間の電気接続を提供することができ、最終的にエネルギー送達制御装置104と通信する。より小さい管113が、流体の注入または誘導線の通過を促進するために管112の内側にある。温度センサおよび同様のものなど、他の物品もまた、管112によって提供される通路を使用し得る。特定の実装形態において、線装填通路が、コイル114を接続する線118、120が通され得る管112へと切り込まれて、これらの線を隠して保護し、加熱カテーテル102のプロファイル(換言すれば、輪郭)を減少させ得る。加えて、非粘着性外層116が、例えば、静脈組織との直接接触を防ぎ、静脈管腔内での加熱カテーテルの円滑かつ容易な運動を促進するために、加熱素子106のコイル114を覆って提供される。
【0049】
[0114]特定の実装形態において、非粘着性外層116は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、または、必須ではないが好ましくは低表面エネルギー材料の別の適用可能な外側ジャケットから作製される収縮管であり得る。追加的に、フッ素化またはパリレンコーティングしたポリエチレンテレフタレート(PET)層など、より高摩擦の外側ジャケットが、低減した摩擦を有するように処置され得る。さらには、熱収縮管(例えば、PET、0.00127cm(0.0005インチ)~0.00254cm(0.001インチ)厚)の追加区域が、加熱カテーテル102のアセンブリを強化するために非粘着性外層の一端または両端を覆って置かれ得る。代替的に、コイル114は、血管壁などの組織への粘着を防ぐためにコーティングされ得る。
【0050】
[0115]特定の実装形態において、加熱素子106および加熱カテーテル102の外径は、7F(2.33mm)以下(例えば、6F(2.0mm)、5F(1.67mm)、4F(1.33mm)など)であり得る。加熱素子106の長さは、典型的に治療される最も短い血管の長さと等価であり得る。例えば、加熱素子106は、長い血管の治療の場合およそ10cm長であり得、別の例では、加熱素子106は、短い血管の治療の場合およそ1cm長であり得る。様々な他の例において、加熱素子長さは、15cm、7cm、5cm、または3cmであり得る。加熱素子106は、例えば、およそ0.00127cm(0.0005インチ)~0.00254cm(0.001インチ)、またはおよそ0.00254cm(0.001インチ)~0.00762cm(0.003インチ)の厚さを有する非粘着性外側ジャケットで被覆され得る。短いカテーテル加熱長さは、多くの場合、血管の管腔に沿って加熱カテーテルをゆっくりと後退させ(連続した引き戻しアブレーション)、スライダが引っ張られると開口部を閉じる衣料用ジッパーと同様の様式で静脈管腔が閉じることを引き起こす技術と組み合わされる。より長いカテーテル加熱長さは、多くの場合、カテーテルが静止状態にある間静脈管腔を加熱し、静脈壁の区域が同時に閉鎖まで収縮することを引き起こす(部分的アブレーション)技術と組み合される。
【0051】
[0116]例となるエネルギー送達システムの特定の実装形態において、加熱素子106は、線(換言すれば、ワイヤ)のコイル状の構成(単一または二重リード)から作成され得る。したがって、図3図4は、加熱素子106を作成する線のコイル状の構成を描写する。図3の例では、ワイヤ断面112は、矩形プロファイルを有するが、プロファイルはまた、治療されることが意図される周囲の身体組織への熱の高速伝達によるコイル内の熱の効果的な生成を目的に、加熱素子106の外径を減少させながら断面積を増加させるために、円形または楕円形であってもよい。加熱素子106のための例示的な材料は、数ある中でも、ステンレス鋼(およそ300℃未満などの低温へ加熱するための、共通して使用される加熱素子材料);ニクロム線;合金鉄;ニッケルチタン;エルジロイ;MANGANIN(登録商標)もしくはおよそ86%銅、12%マンガン、および2%ニッケルの合金;MONEL(登録商標)もしくは少量の鉄、マンガン、炭素、およびケイ素を伴って、ニッケル(最大67%)および銅から主になる合金;またはニッケル合金であり得る。
【0052】
[0117]図4Aおよび図4Bは、加熱カテーテル102の加熱素子106の図を描写する。管112の周りのコイル114のらせん形状は、図3に対して図においてより明白であり得る。特定の実装形態において、温度センサ124(例えば、熱電対またはサーミスタ)は、加熱カテーテル102の遠位端から1~3cm位置においてなど、加熱コイル114の長さに沿って位置し得る。上で論じられるように、温度センサ124は、コイル巻きの間に(コイルにわたる短絡を防ぐために間隔または絶縁を伴って)、コイルアセンブリを覆って(例えば、コイルにわたる短絡を防ぐためにFEP、PTFE、またはパリレンなどの金属コイルを覆う層によって絶縁される)、コイルアセンブリの下に、または加熱素子エリアの下の加熱カテーテル102の本体部内に置かれ得る。温度センサ124へ接続する配線122は、温度センサ124が測定において活性である地点の近くの加熱カテーテル102の本体部もしくは管112内へ方向付けられ得るか、線は、本明細書に説明される導線方法のうちの1つによって方向付けられ得る。
【0053】
[0118]特定の実装形態において、管の壁内線構成が、加熱素子106の下で使用され、この場合バイファイラ熱電対線は、管の壁厚内に埋め込まれ、このバイファイラ線は、レーザ穴あけなどによって意図した測定場所において露出され、電気接続は、加熱素子106を管112上に装填する前または後に形成される。1つの例において、サーミスタは、1つまたは複数の加熱コイル巻きを内側に永久的に偏向させることによって作製されるくぼみ内に置かれる。1つの実施形態において、サーミスタは、加熱コイルが上に装填される管表面におけるくぼみ内に置かれ、そのようなくぼみは、管の表面内へパターンを切り込むことによって、または表面を熱的に修正することによって作成され得る。
【0054】
[0119]特定の実装形態において、治療カテーテル102は、1回の使用のために製造され、その後、治療カテーテル102は廃棄される。したがって、治療カテーテル102の個々の部品または構成要素は、費用低減を念頭に選択される。例えば、低費用の加熱素子106は、およそ0.0127cm(0.005インチ)~0.0508cm(0.020インチ)のコイル間の隙間を作成する0.0762cm(0.030インチ)~0.1016cm(0.040インチ)のピッチ長さを有するコイルへと巻かれる、厚さおよそ0.00508cm(0.002インチ)~0.0127cm(0.005インチ)および幅およそ0.0508cm(0.020インチ)-0.0.025インチの矩形プロファイルのステンレス鋼線を使用して構築され得る。コイルが接触している場合、または時折接触し得る場合、コイル線は、各コイルを電気的に絶縁するために、(例えば、ポリイミド、PTFE、FEP、PET、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、または他のコーティングの0.00127cm(0.0005インチ)~0.0127cm(0.005インチ)層で)コーティングされ得る。代替的に、ある量の非伝導性材料が、コイル対コイル直接接触に対する物理的障壁を提供するために、二重らせん構成と同様のコイル間に巻かれるフィラメントなど、連続したコイルの間の空間に位置し得る。
【0055】
[0120]様々な実装形態において、治療カテーテル102の加熱素子106が使用中に予期される最も狭い半径へと屈曲されるとき、コイル114間の隙間がコイル対コイルの直接接触を防ぐのに十分である場合、コイル114への電気絶縁またはコイル114間の電気絶縁を追加することは必要がない場合がある。この目的のため、コイル114間のより好ましい隙間は、隙間が大きいほど、コイル状の構成にある加熱素子106の利用可能な加熱エリアを減少させるため、コイル素子の幅のおよそ15%~33%であり得る。
【0056】
[0121]特定の実装形態において、10cmの加熱長さでは、例となる加熱コイル抵抗は、2.38Aで24V電源によって57.1Wの最大電力レベルへ加熱されることになる場合、カテーテルの線およびケーブル内のおよそ2Ωの抵抗を伴って、およそ8Ωである。7cmの加熱長さでは、例となる加熱コイル+線抵抗は、1.67Aで24V電源によって40Wの最大電力レベルまで加熱されることになる場合、およそ14.4Ωである。1.0cmの加熱長さでは、例となる加熱コイル+線抵抗は、0.238Aで24V電源によって5.7Wの最大電力レベルまで加熱されることになる場合、およそ101Ωである。12V、9V、および3Vなどの交流電源は、関係式I=P/V[A=W/V]およびR=P/I[Ω=W/A]によって決定されるように、異なる抵抗範囲ニーズを有する。
【0057】
[0122]特定の実装形態において、加熱素子の2つの端(単一リードコイル構成)は、エネルギー送達カテーテルシャフトの長さを通じて、またはこれに沿って、最終的にエネルギー送達システムに接続するハンドルまたはケーブルコネクタまで延びる十分に低い抵抗の銅または同様の導線にはんだによって装着され得る。1つまたは複数の温度測定特徴部(例えば、熱電対、サーミスタ、抵抗温度検出器)は、加熱素子の長さに沿って位置し得るか、または加熱素子内で構成され得る。熱電対場所が、カテーテルの先端を撮像しながら超音波によって見ることができる領域内に入ることが有益であり得る。直線超音波プローブが、多くの場合、およそ2.0~4.0cm幅であるため、温度測定の例示的な場所は、加熱コイルの遠位端に近位の1.0~3.0cmである。そのような温度測定特徴部のうちの少なくとも1つ(1つまたは複数がデバイスに含まれるとき)を静脈壁に対して強く圧迫される可能性が最も高い加熱素子の領域内に置くことが重要であり、加熱素子が超音波プローブにより治療中に部分的に可視化されるとき、圧迫のその領域は、一般的に、加熱素子の最遠位3.0~4.0cm内にある。
【0058】
[0123]図5Aは、加熱素子502の例500を描写する。この例では、加熱素子502は、長さDおよび抵抗Rを有する長い抵抗器として示され、抵抗器Rを通って流れる電流が熱を作り出す。特定の実装形態において、加熱素子の活性加熱長さは、ユーザによって選択可能および調節可能であり得る。結果として、熱アブレーション加熱カテーテル102は、長い静脈セグメントを素早く治療するために使用され得るが、はるかにより短い長さを治療することもできる。したがって、図5Bは、長さd1および抵抗R1を有する第1の加熱素子部分552ならびに長さd2および抵抗R2を有する第2の加熱素子部分554を伴う加熱カテーテル550を描写する。この例では、d2は、d1より長く、d1およびd2は、総合して長さDに等しい。故に、所望の治療に応じて、ユーザは、スイッチ556を使用して所望の加熱長さを有するように選択することができる。この例では、スイッチ556がAへ入れ替えられる場合、長さd1に対応する第1の加熱素子552のみがオンにされることになり、スイッチ556がBへ入れ替えられる場合、この例では、第1の加熱素子552および第2の加熱素子554がオンにされることになる。
【0059】
[0124]特定の実装形態において、長さDは、10cmであり、d1は、1.0または2.5cm長である。別の例となる構成は、その長さ全体に沿って、または最遠位3cmにだけ沿って熱くなることができる7cm加熱素子である。さらなる例となる構成は、その長さ全体に沿って、または最遠位2cmにだけ沿って熱くなることができる6cm加熱素子である。10cm、3cm、または1cmなど、3つの選択可能な長さも有利であるが、任意の数の選択可能な長さが可能であることを理解されたい。
【0060】
[0125]特定の実装形態において、同じエネルギー送達システムが、より長い長さおよびより短い長さの加熱素子の両方を効果的に電力供給および制御するためには(同じエネルギー送達カテーテル上で切り替え可能であるか、または2つ以上の異なるタイプのエネルギー送達カテーテルを使用するかのいずれか)、電源電圧をより短い長さのデバイスのためにより低い値に調節することができることが望ましい。上で述べたように、2.38Aで24V電力供給装置によって57.1Wまで加熱される10cm加熱長さは、8Ωの抵抗を有し得るが、同じ24V電源を用いて同じ単位長さ当たりのワット数(5.7W)で動作される1.0cm加熱素子は、80Ωの抵抗を有し得る。10cm物理的加熱素子(10cm長さにわたって8Ωの抵抗を有するように設計される)の長さの10分の1は、0.8Ωの固有抵抗を有するため、それは、24Vでの動作のための標的抵抗のほんの100分の1である。それどころか、このより短い1.0cm加熱素子長さ(0.8Ω抵抗を有する)は、2.4Vで2.38Aによって駆動され得る。この低減された電圧は、変圧器(例えば、フェライト変圧器)または抵抗器を使用して達成され、好ましくは、エネルギー送達制御装置104内へ構築され得るか、または代替的に、それは、加熱カテーテル102内へ(例えば、ハンドルまたはケーブルアセンブリ内)構築され得る。より実用的な電圧は、およそ5.7W/cmの最大加熱を達成するために適切に均衡の取れた加熱素子抵抗を伴って、9Vおよび3Vであり、これは、標的温度を維持するために必要に応じてより低いレベルの加熱へ低減される。このレベルの加熱は、合理的に高速の加熱時間で120℃での静脈の熱アブレーションのための研究されたプロトコルに適切に匹敵するが、より高いまたはより低い最大加熱の代替的な摂動も採用され得るということに留意されたく、例は、さらにより高速の加熱、もしくはより高い温度まで、もしくはより大きい直径の加熱素子にわたっては、6W/cm超であり、または、より遅い加熱、もしくはより低い温度までは、5W/cm未満である。
【0061】
[0126]特定の実装形態において、加熱素子106は、切り替え可能な加熱長さ(第1の加熱素子552または第1の加熱素子552+第2の加熱素子554)のために少なくとも3つの結線を有し、加熱素子の2つの加熱セグメントの各々が、温度センサを含む。1つの例となる構成は、2.5cmの遠位加熱長さ(1.25cmで温度センサ中間長さ)および7.5cmの近位加熱長さ(3.75cmで温度センサ中間長さ)を有する加熱素子106である。さらに特定の実装形態は、加熱セグメントのいずれかまたは両方が活発に加熱され得るように加熱素子106へのエネルギー制御を構成し、その結果として、各セグメントが、治療温度に到達してこれを維持するように独立して制御され得ることである。好ましい構成は、加熱素子の長さ以内の電気接続(2つの端における接続ではない)が共有アースであることである。同様の特定の実装形態は、10cm加熱セグメントとして構成される20cm加熱素子であり得る。3つ以上のセグメントが同様に構成され得る。
【0062】
[0127]特定の実装形態において、はんだによる加熱素子への伝導線の電気的接着は、加熱素子の少なくとも一部分を、はんだ付けするのがより容易である別の材料でめっきすることによって促進される(例えば、腐食性の酸フラックスを必要としない)。例示的なめっき材料は、金、錫、およびニッケルである。めっきは、線が加熱素子形状へと形成される前に部品線からなされ得る(線スプール対スプールをめっきすることなど)か、または、完成した加熱素子形状がめっきされ得る。加熱素子全体がめっきされ得るか、または、はんだ接触の場所における選択された領域がめっきされ得る。
【0063】
[0128]特定の実装形態において、加熱カテーテル102の遠位先端は、丸みを帯びた端を有し得る(完全に丸い)か、またはそれは、加熱カテーテル102が導入器シースの必要性なしに長いアクセス誘導線を介して静脈内へ直接的に導入され得るように、全体的に先細の形状を有する拡張器のように成形され得る。管腔(例えば、誘導線のため、またはそこを通る流体通過のため)が存在し得、これは、その先端から加熱カテーテルシャフトの長さを通って加熱カテーテル102の近位端におけるハンドルまたはコネクタまで延びる。管腔は、およそ0.03556cm(0.014インチ)、0.04572cm(0.018インチ)、0.0635cm(0.025インチ)、または0.0889cm(0.035インチ)直径の誘導線を摺動可能に受容するためのサイズのものであり得る。代替的に、管腔は、遠位先端の近位およそ20cmのサイドポートから出るなど、加熱カテーテルシャフトに沿って途中で終わることができる。管腔内側は、細長い肋材を特徴とすることができ、これは、誘導線によって接触される管腔の表面積を低減するためにスタンドオフとして作用し、摩擦を低減する。特定の実装形態において、加熱カテーテル102の本体部内に誘導線または流体管腔は存在しない。
【0064】
[0129]特定の実装形態において、熱アブレーション加熱カテーテル102のためのハンドルまたはコネクタハブは、加熱素子伝導線リードおよび温度センサ124リードの電気接続を含む、ならびに(存在する場合)誘導線管腔との流体接続を提供する、カテーテルシャフトに接続する。ハンドルはまた、ユーザが加熱治療を開始する(または早期に停止する)準備が整っていることを示すためにエネルギー送達制御装置104と通信するボタンまたは作動機能を含み得る。ハンドルボタンは、ハンドルの上面または側面に位置し得るか、またはハンドル設計は、ハンドルがどちらかの側で押圧または圧迫されて活性化することを可能にするように構成され得る。開始/停止作動機能は、治療開始の意図せぬ作動を防ぐことができ、これは、偶発的な接触により通常加えられるよりも大きな力を必要とすることによって、および/または作動機能との意図せぬ接触を防ぐように作用する幾何学的特徴部を含むことによって達成され得る。1つの実施形態において、ハンドルは、最大把握を提供するために、非常に高度にテクスチャ化された表面を有し、そのような表面は、0.00254cm(0.001インチ)~0.0254cm(0.01インチ)の深さの全体的に先細のポケットを伴った、部品用の射出金型の特徴として組み込まれ得、部品が金型から外れる角度に位置調整され得る。
【0065】
[0130]図6は、加熱カテーテル102の例となるブロック図を描写する。特定の実装形態において、加熱カテーテル102は、温度基準エンジン602、押しボタン606のためのデバウンシング回路604、熱電対610のための熱電対増幅器608、電力ルータ616、加熱器抵抗測定エンジン618、および通信エンジン620と通信状態にある、中央処理装置(CPU)600を含む。図7は、1つの特定の実装形態による、CPU600および押しボタン606の例となる回路図を描写する。電力プラス側は、エネルギー送達制御装置104から加熱カテーテル102へ提供され、電力ルータ616によって選択されて加熱器B612にまたはB612およびA614の組み合わせに到達し、そして電力マイナス側から出る。図5Bに関して上で論じられるように、電力ルータ616への加熱器A614と加熱器B612との接続は、ユーザが、加熱器B612のみを使用するか、両方を使用するかの間で選択的に切り替えることを可能にするということに留意されたい。これらの図では、加熱器A614および加熱器B612は、552および554に類似する(612≒552、614≒554、および616≒556)。
【0066】
[0131]この例では、加熱器抵抗測定エンジン618は、選択した加熱器の抵抗を監視および測定することができる。図8は、1つの特定の実装形態による、加熱器抵抗測定エンジン618および電力ルータ616の例となる回路図を描写する。熱電対増幅器は、例えば、冷接点補償により、加熱器抵抗測定エンジン618から受信される熱電対抵抗を温度へ変換し得、および/または、サーミスタからの入力を受け入れ得る。2つ以上の温度入力が含まれてもよい。図9は、1つの特定の実装形態による、熱電対増幅器608および温度基準エンジン602の例となる回路図を描写する。追加的に、通信エンジン620は、短絡保護エンジン622に接続され、通信エンジン620からのデータは、通信エンジン620を通じて通信および電力マイナス側を介してエネルギー送達制御装置104に送り返され得る。したがって、図10は、1つの特定の実装形態による、通信エンジン620の例となる回路図を描写する。加熱カテーテル102はまた、エネルギー送達制御装置104のためのデバイス識別および動作パラメータなどの情報、デバイス特有の較正情報、ならびに試験および/または製品使用の過去記録を記憶するためにメモリモジュールを有し得る。このメモリモジュールはまた、マイクロプロセッサ、制御エンジン、またはCPU600内へ統合され得る。
【0067】
[0132]特定の実装形態において、加熱カテーテル102の少なくとも一部分は、滅菌バリア(例えば、Tyvek-Mylarパウチ、浸透性もしくは不浸透性パウチ、または浸透性膜蓋を有する熱成形トレイ)パッケージ内のユーザ滅菌に提供され得る。さらなる変異形において、酸化エチレン滅菌、ガンマ線滅菌、Eビーム滅菌、または過酸化水素ガス滅菌などの方法が、加熱カテーテル102を滅菌することを含み得る。
【0068】
[0133]特定の実装形態において、滅菌バリアパッケージは、少なくとも一方の端が、加熱カテーテル102が保護のためにコイルの内側に導入されることを可能にする状態で、コイル状の構成に保持される管(例えば、高密度ポリエチレン(HDPE))からなる。構成要素(例えば、打抜フラットカード、熱成形トレイもしくはクラムシェル、または鋳込み形状)は、コイルならびにカテーテルハンドルおよび/またはケーブルの両方を保持するように構成され得る。カテーテルハンドルは、コイルの一部分を保持するように構成され得る。
【0069】
[0134]特定の実装形態において、加熱カテーテル102とエネルギー送達制御装置104との電気接続は、長いカテーテルケーブル(廃棄可能なエネルギー送達カテーテルの一部として構築される)をエネルギー送達制御装置104内へ直接差し込むことによってなされ得る。追加的に、ユーザ滅菌可能な複数回使用のケーブルが、エネルギー送達カテーテルのハンドルとエネルギー送達システムとの間を接続し得る。図11A図11B、および図11Cは、制御装置コネクタ1100、熱電対コネクタ1102、ならびに第1および第2の加熱器コネクタ1104を例証する。特定の実装形態において、電気接続は、加熱カテーテル102とエネルギー送達制御装置104との間の途中まで、例えば、滅菌動作テーブルの縁から45.72cm(18インチ)(60.96~91.44cm(24~36インチ)のエネルギー送達カテーテルケーブル長さを有する)に作られ得る。
【0070】
[0135]特定の実装形態において、押し込み係合タイプのコネクタ(IA’’モノまたは先端、リング、およびスリーブ(TRS)ステレオプラグ、カード-エッジコネクタ、またはLEMO(登録商標)スタイルコネクタなど)が、加熱カテーテルおよびエネルギー送達システムを接続するために使用され得る。電気接続は、磁気結合されることによって促進され得る。エネルギー送達カテーテルの電気配線は、束になった線、ツイストペア線、または略平行のモノファイラもしくはバイファイラケーブルであり得る。
【0071】
[0136]図12は、電力送達1202(赤)および共通アース1204(例えば、それぞれ赤および黒絶縁体でコーティングされるPVC)用の2つの20AWG(例えば、26/0.16BC)線、ならびに通信用の30AWG(例えば、7/0.1BC)通信線1206(例えば、青色絶縁体でコーティングされるPVC)を有する線束を含み得る電力送達および通信のための例となるケーブル構成1200を描写する。ケーブル構成1200は、らせん状に巻かれた銅線束(例えば、72/0.102BC)、編組線シールド、伝導テープで巻かれたシールド、または同様のものなどのシールド1208で高度に遮蔽されて提供され得る。線のサイズおよびゲージは、他の同様の実装形態では減少または増加され得る。ケーブル全体が、PVC、熱可塑性エラストマ(TPE)、または同様の非導電性材料のジャケット1210で被覆される。
【0072】
[0137]図13は、特定の実装形態において、ケーブル構成1200(加熱カテーテル102に装着される)とエネルギー送達制御装置104との電気接続として、使用され得る例となるTRSプラグ1300を描写する。この例では、TRSプラグ1300は、3つの導体、先端1302、リング1304、およびスリーブ1306を有する0.635cm(1/4インチ)TRSステレオバレルプラグである。ケーブルの4つの導体(シールド1208を含む)は、(赤色)電力送達1202線を先端1302に、(青色)通信線1206をリング1304に、ならびに(黒色)アース線1204およびシールド1208の両方をスリーブ1306に接続することによって、TRSプラグ1300などの3導体TRSプラグと連携するように作製され得る。
【0073】
[0138]特定の実装形態において、シールド1208は、加熱カテーテル102のハンドルの近くで終端し、ハンドルにおいてアース線1204と共通して接続されない。これは、図14A図14Cにおいて3つの可能性のある構成として示される。したがって、図14Aは、単一の線が電力送達および通信の両方を加熱カテーテル102に提供し、単一のアース線がアースとして機能し、いかなる遮蔽もなしに通信のための帰路を提供する、第1の例となる線構成1402を描写する。図14Bは、単一の線が電力送達および通信の両方を加熱カテーテル102に提供し、単一のアース線がアースとして機能し、遮蔽(換言すれば、シールド)ありで通信のための帰路を提供する、第2の例となる線構成1404を描写する。図14Cは、別個の線が、電力送達および通信を加熱カテーテル102に提供し、両方の線が、遮蔽ありで同じアース線帰路を共有する、第3の例となる線構成1406を描写する。
【0074】
[0139]故に、特定の実装形態において、わずか2つの線が、加熱カテーテル102とエネルギー送達制御装置104との間に延びる。2つの線は、エネルギーを送達するため、およびさらに、エネルギーが加熱素子に伝導する前に、例えば、低域フィルタを使用してフィルタアウトされるシリアル通信などのデータ信号(例えば、高周波数範囲内)を運搬するために使用される。加熱カテーテル102は、加熱のための開始/停止信号を提供するためなどの瞬時スイッチを含み得る。加熱素子106の一方もしくは両方の端にほぼ隣接するなど、エネルギー送達カテーテル上の、または加熱素子106を通じて照明するように構成される、またはカテーテルハンドル内に位置する、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)光が定められ得る。1つの例では、LED光は、ユーザが背景光からLED光を区別するのを容易にするパターンで点滅する。
【0075】
[0140]Bモードまたはカラードプラにおける可視化の超音波場内ではっきりと異なる信号を配信するように構成される、加熱素子106の一方または両方の端にほぼ隣接するなど、加熱カテーテル102上の、1つまたは複数の圧電超音波結晶も存在し得る。エネルギー送達制御装置104が認識された手術において使用されていたかどうかを決定し、治療数および/または第1の臨床使用後の経過時間などの指定の条件の後のさらなる使用を防ぐ使用制御エンジンが存在し得る。
【0076】
[0141]特定の実装形態において、命令セット(例えば、ソフトウェア)が、加熱カテーテル102を認識し、加熱制御および情報表示を管理するために対応する命令セットを適用するために存在し得る。命令セットは、ボタンがエネルギー送達カテーテル上で押圧されたかどうかを観察し、次いでエネルギー送達を開始または終了することができる。エネルギーは、既定の治療時間の後、所望の合計もしくは最小電力量の送達の後、または2つの要件の組み合わせの後に自動的に終了され得る。
【0077】
[0142]特定の実装形態において、エネルギー送達制御装置104は、電源および測定デバイスを備える。1つの測定デバイスは、熱電対を介して温度を測定するのに好適な、ホイートストンブリッジであり得る。別の測定デバイスは、サーミスタであり得る。別の測定デバイスは、加熱カテーテル102の加熱素子回路の抵抗またはインピーダンスを測定するためのオーム計または同様の手段であり得る。別の測定デバイスは、加熱カテーテル102の加熱素子回路に送達される電流を測定または決定するための電流計または同様の手段であり得る。別の測定デバイスは、エネルギー送達カテーテルのシリアル通信素子(例えば、1-WIRE(登録商標)チップまたは高周波識別(RFID)デバイス)と相互作用するように構成され得る。
【0078】
[0143]特定の実装形態において、エネルギー送達制御装置104は、エネルギー送達カテーテルと、それらの間の最小伝導線を用いて通信する。例えば、一対の線を介したシリアル通信プロトコル、一対の線は、エネルギーを加熱カテーテル102に送達するため(おそらくは加熱カテーテル102ハンドルまたはケーブル内に構築されるコンデンサにおいて、または、いつ電力を送信するか、電圧および電流はどれ位であるべきかをエネルギー送達制御装置104に警告する加熱カテーテル102からの信号により、格納または調整される)だけでなく、カテーテル識別データならびに温度および/または抵抗/インピーダンスフィードバックを提供するために使用され得る。
【0079】
[0144]特定の実装形態において、加熱素子の加熱を達成するために送達されるエネルギーは、パルス幅変調と同様の一連のパルスで送達され得るが、このパルスは、双方向通信を達成するためにシリアル通信プロトコル内へ構成される。1つの例において、第3の線は、エネルギー送達カテーテルからエネルギー送達制御装置104への通信のために構成される。1つの例において、1つまたは複数のサーミスタが、温度の測定を簡略化し、そのようなデータがエネルギー送達制御装置104に送信されることを可能にするために加熱カテーテル102の加熱素子において使用される。代替的な例において、1つまたは複数の熱電対が、加熱素子において使用され、冷接点熱電対およびホイートストンブリッジまたは同様の補償が、温度測定値を決定し、そのようなデータがエネルギー送達制御装置104に送信されることを可能にするためにカテーテルハンドル内で使用される。
【0080】
[0145]例示的な使用事例において、エネルギー送達制御装置104内への加熱カテーテル102の差し込みの際、限られた周波数範囲内の低電流試験電圧が、加熱カテーテル102に適用され、治療レベルのエネルギーが加熱素子106に送達されないように低域または高域フィルタでフィルタリングされる。通信ハンドシェイクが、加熱カテーテル102とエネルギー送達制御装置104との間で確立され得、加熱カテーテル102は、エネルギー送達制御装置104が加熱カテーテル102を認識し、エネルギー送達制御装置104を管理するために正しい命令セットを関連付けることを可能にする識別子をエネルギー送達制御装置104に伝送し得る。加熱カテーテル102はまた、加熱カテーテル102が正規品であり、正しく機能しており、治療の準備が整っていることを確実にする品質確認状態を伝送し得る。
【0081】
[0146]加熱カテーテル102は、1秒あたり10~100回(10~100Hz)などの間隔で、加熱素子106の測定された温度を伝送し得る。加熱カテーテル102は、ユーザが治療を開始するためにカテーテルハンドル上のボタンを押圧するときのように、開始/停止命令の状態を伝送する。開始/停止命令が、ボタンが治療を開始するために押圧されていることであるとき、加熱カテーテル102は、治療を開始すべきであることを示す命令をエネルギー送達制御装置104に送信し得、エネルギー送達制御装置104は、治療を誘導するために加熱カテーテル102からの中継温度または熱電対抵抗を使用して、加熱カテーテル102の活性加熱長さのための適切な電圧および/またはデューティサイクルで、ならびに標的治療温度を達成および維持するのに十分な電流で電力を送信し始める。エネルギー送達制御装置104は、測定された温度、送達されているエネルギーのレベル、および残りの治療時間を表示し得る。
【0082】
[0147]加熱カテーテル102がユーザ選択可能な活性加熱素子ゾーン(例えば、加熱素子106の全長または加熱素子106の遠位25%もしくは10%)を有する場合、エネルギー送達制御装置104は、送達電力がその加熱長さを達成するために適切な線へルーティングされるべきであることを加熱カテーテル102へ通信し得る。エネルギー送達制御装置104の画面はまた、加熱カテーテル102のどの部分が熱くなる、または熱くなっているかを識別する画像を示し得る。電圧は、活性加熱素子長さのための送達電圧(例えば、10cm加熱長さの場合は24V、2.5cmの場合は6Vまたは9V、1cmの場合は2.4V、6V、または9V)とは別個の、加熱カテーテル102の論理部分のための十分な電圧(例えば、3V)を提供するために、(例えば、コンデンサ内に)格納され、および/または漸増もしくは漸減され得る。代替的に、加熱カテーテル102の論理部分は、ハンドル内のバッテリ(例えば、CR2032ボタン電池、AAA、または他のバッテリ)によって電力供給され得る。1つの例において、加熱カテーテル102ケーブル内の2つの線は、ケーブル内で遮蔽されるツイストペアまたは実質的に平行のペア(例えば、16~24AWG、より好ましくは18~22AWG、好ましくは可撓性のために撚られる)であり得る。2または3線カテーテルケーブルのためのコネクタは、同軸電力プラグ(ラップトップコンピュータに電力ケーブルを差し込むために共通して使用されるような)などの同軸設計、ヘッドフォンおよび/もしくはマイクのために使用されるものなどの同軸プラグ(例えば、TRSまたはTR)、または2-3バナナプラグコネクタもしくはカードエッジコネクタなどの他のコネクタであり得る。TRSコネクタは、本明細書ではより典型的に説明されるが、2または3線より多くを収容する他の追加の「TRS型」コネクタが、電気要件に応じて可能である。例えば、TRRS(4線/接点)コネクタまたはTRRRS(5線/接点)コネクタが、追加的に企図される。(図41A図41D内の追加の例を参照)。
【0083】
[0148]特定の実装形態において、1つまたは複数の電荷ポンプが、加熱素子を電力送達回路に接続するトランジスタ(例えば、MOSFET)への電圧を増加させるためにカテーテルハンドル内で使用される。電荷ポンプは、バッテリ使用から生じる経時的な抵抗の自然減少を克服するために使用される。
【0084】
[0149]上で論じられるように、エネルギー送達制御装置104内に加熱カテーテル102を差し込むために使用される例示的な3導体コネクタは、3つの導体を有する6.35mmステレオTRSオーディオプラグである。先端は、電力を提供し得、リングは、通信リンクを提供し得、スリーブは、アースへの共通帰線であり得る。このシステムは、先端が最初に電源に接触するとき、アースのみがユーザの手によって接触され得るように、ユーザから遮蔽される。さらなる実装形態において、スイッチは、先端がコネクタジャックの内側の先端およびリング終端にわたって短絡しないように、プラグが物理的にジャック内へ押されるときのみ6.35mmコネクタジャックへの電力接続を可能にするように構成される。このスイッチは、プラグの先端がスイッチを押して係合するように、ジャックの内側に構成され得るか、またはそれは、6.35mmプラグハンドルの本体部がスイッチを押して係合するように、外側に構成され得る。さらなる実装形態において、TRSコネクタプラグおよび/またはジャックに接続される回路は、先端およびリング接点の間の短絡がカテーテルまたはエネルギー送達デバイスに損傷を及ぼすことを防ぐための配置にある1つまたは複数のダイオードを含む。さらなる実装形態において、TRSコネクタプラグおよび/またはジャックに接続される回路は、先端およびリング接点の間の短絡がエネルギー送達デバイスに損傷を及ぼすこと、またはカテーテルへの明らかな物理的損傷を引き起こすことを防ぐための配置にある1つまたは複数のヒューズを含む。
【0085】
[0150]特定の実装形態において、滅菌超音波プローブカバーと同様の別個の構成要素滅菌スリーブは、多目的ケーブルを被覆するために滅菌スリーブを展開する容易な手段を提供するハンドル/ケーブル接続と相互作用するように設計され得る。滅菌スリーブを展開することを容易にする1つの例となるやり方は、ケーブルの所望の長さを被覆し、表面滅菌をもたらすために前方に延長されることになるスリーブの端に装着される剛性または半剛性のフレーム内に構築することである。この同じフレームが、流体密封シールを可能にするために加熱カテーテルハンドルと界面を接することになる端においてスリーブ材料展張体(太鼓の皮のような)を引き伸ばすために使用され得る。そのようなシールを達成するための1つのやり方は、ハンドルがスリーブ材料を穿孔し、次いでそれを、スリーブ材料に対して封止する先細の界面形状を介して強引に開けることである。
【0086】
[0151]代替的に、スリーブ材料は、カテーテルハンドル上の先細の入口点よりも小さいがスリーブ材料を強引に引き伸ばして開く成形開口部を有し、ハンドルに対してシールを提供し得る。1つの実施形態において、上に説明されるような容易な接続および展開のための手段を提供するために市販の超音波プローブカバーと共に使用され得るフレームが提供される。滅菌スリーブが使用されるすべての場合において、滅菌スリーブの長さは、ケーブルを滅菌野の縁まで、例えば、およそ30~60cmを被覆するのに少なくとも十分でなければならない。
【0087】
[0152]特定の実装形態において、多目的ケーブルは、カテーテルとケーブルとの間の接続点の近くにカテーテルに埋め込まれたRFIDタグを検知することができる高周波(RF)アンテナを含むように構成される。さらなる例において、ケーブルは、スイッチなどの関連電子機器を有するハンドルを含み、RFアンテナは、カテーテルへのコネクタがハンドル内へ差し込まれるとき、RFアンテナがカテーテルの一部であるRFIDタグを読み出し、それと相互作用することができるように、ハンドル内に位置する。このRFIDタグは、デバイスを識別し、エネルギー制御装置から関連パラメータを適用し、およびさらにデバイス使用の進行中の履歴を含むデータを記憶するために使用され得る。
【0088】
[0153]特定の実装形態において、加熱カテーテル102をエネルギー送達制御装置104に接続するための代替的なやり方は、滅菌バリアにわたる加熱カテーテル102に電力供給するために誘導結合を使用することであり、その結果として、バリアの穿刺は必要ではない。これは、エネルギー送達システムが滅菌野内(滅菌エンベロープ内など)に置かれる場合、またはエネルギー送達制御装置104と加熱カテーテル102との間で行われ得る場合、そのシステムに電力を提供するために行われ得る。カテーテル識別、温度フィードバック、およびデバイス開始/停止コマンドのためなどのエネルギー送達制御装置104と加熱カテーテル102との間の通信は、Wi-Fi、BLUETOOTH(登録商標)、またはZIGBEE(登録商標)などのワイヤレスプロトコルを介して行われ得る。
【0089】
[0154]特定の実装形態において、エネルギー送達システムは、表示されたデータを見る必要性を有する、またはシステムと物理的に相互作用することになる(エネルギー送達カテーテルに差し込むことなど)手術のすべての参加者の目に見える場所において、滅菌野の外に位置するように設計される卓上制御装置であり得る。システムが局所麻酔液のための流体送達ポンプおよび/または超音波制御装置もしくは表示画面の近くに位置することも有益であり得る。
【0090】
[0155]図15は、例となるエネルギー送達制御装置104の例となる図を描写する。特定の実装形態において、エネルギー送達制御装置104は、滅菌野に直接隣接して位置し得る(滅菌野のほぼ上に装置を保持するためにブーム式アームを有するポールスタンドの上に置かれるなど)か、または滅菌野内に直接位置し得る(シースルーバッグなどの滅菌エンベロープ内に置かれる場合、またはシステムおよび電力供給装置が、蒸気などによる殺菌に耐えるように構成される場合)。情報は、インジケータ(例えば、光および/または音)によって、または携帯電話、タブレット、もしくはコンピュータなどの遠隔デバイスと相互作用することによって、表示画面1500(例えば、LCD、LED、フラットパネル、タッチスクリーン)上でエネルギー送達制御装置104のユーザに提供され得る。ユーザに提供される例示的な情報は、送達されている電力レベル1506(例えば、WもしくはW/cmでの瞬時電力、および/またはジュールもしくはJ/cmでの累積電力)、測定された温度1504(例えば、℃)、タイマー1502(例えば、カウントダウンまたはカウントアップ、秒)、アラートまたは状態メッセージ、接続された加熱カテーテル102の識別情報1508、前の治療の履歴、システムおよび/またはカテーテル設定、エネルギー送達システムのソフトウェア改訂、ならびにコピーライト情報を含み得る。複数の言語および日付/時間形式が、同様にユーザによって選択可能であるように、サポートされ得る。
【0091】
[0156]特定の実装形態において、エネルギー送達制御装置104は、システム内で構築されるか、電源コード内へ構成されるかのいずれかである電圧調整器(例えば、入力として110~240VACを受け入れ、出力として24V DCを提供するコード付き電力供給ステム)を伴って、施設電力(例えば、110~240VACの範囲内の壁コンセント)によって電力供給され得る。追加的に、エネルギー送達制御装置104は、バッテリ駆動式であり得る。2つ以上の電力モジュールが、マイクロコントローラのための適切な電圧(例えば、6~20V、または7 12V)およびエネルギー送達電圧(例えば、12~24Vおよび1~5V、または18~24Vおよび1.8~3V)を供給するために、エネルギー送達制御装置104内に組み込まれ得る。特定の実装形態において、エネルギー送達制御装置104は、施設電力(例えば、110~112Vまたは220~240V)によって電力供給され、加熱カテーテル102内のマイクロプロセッサは、バッテリ(例えば、5V)によって電力供給される。さらなる実装形態において、加熱カテーテル102の内側のバッテリは、ユーザによって引き離されるまで電力を遮断するプルタブを有する。さらなる実装形態において、プルタブは、ユーザがカテーテル102をパッケージングから取り外すときプルタブが自動的に離れるように、加熱カテーテル102パッケージングに装着される。
【0092】
[0157]図16は、エネルギー送達制御装置104の例となるブロック図を描写する。この例では、制御装置CPU1600は、電圧スイッチ1602、電力ドライバ1604、ならびに過電流および短絡保護1606に結合される。図17は、エネルギー送達制御装置104において使用され得る制御装置CPU1600の図を描写する。図22は、電力ドライバ1604ならびに過電流および短絡保護エンジン1606のための例となる回路図を描写し、図23は、エネルギー送達制御装置104において使用され得る電力切り替えエンジン1602のための例となる回路図を描写する。特定の実装形態において、エネルギー送達カテーテルに提供されるエネルギーの強度の制御は、CPU1600から電力ドライバ1604への電力信号の振幅変調またはパルス幅変調(PWM)を通じて達成され得る。図18は、CPU1600から電力ドライバ1604に提供される例となるパルス周期長を描写する。この例では、パルス周期は、一定または可変であり得る。適用エネルギーの程度は、デューティサイクルによって変調され得る。パルス振幅は、一定であり得る(例えば、24V)か、または素子の加熱長さに依存し得る(例えば、10cmの場合は24V、2.5cmの場合は9V、または1cmの場合は3V)。
【0093】
[0158]電力サイクリング内のシリアル通信プロトコルの場合、所望の加熱長さを活性化するための加熱素子線間の切り替えは、送達される電力レベル(パルス振幅)に基づいて、またはデバイス識別を符号化するエネルギー送達の有鍵パルス(複数可)に基づいて、熱送達カテーテル内(ハンドル内など)で達成され得る。振幅変調は、例えば、高周波帯域内の電磁波長のためであり得る。PWMはまた、高周波帯域内の様々なパルス幅を使用することができる。
【0094】
[0159]したがって、CPU1600から加熱カテーテル102に送信されている信号は、加熱カテーテル102を接続するケーブルに対応する接続部1610に到達する前に、電力ドライバ1604を通ってEMIフィルタ1608へ進み得る。図30は、他の構成要素および同様のものから電磁干渉をフィルタアウトするためにエネルギー送達制御装置104と共に使用され得るEMIフィルタ1608の例となる図を描写する。故に、信号は、共有電力送達および通信正当化装置(SPDCL)1614を介して、エネルギー送達制御装置104の外へ送信され、またこれによって受信される。
【0095】
[0160]この例では、制御装置CPU1600は、加熱カテーテル102から通信データを受信するSPDCL1614に結合される。この例では、線構成1200が共有アースおよび通信データ帰線を利用することから、SPDCL1614は、帰線を電力送達線と共有することによって引き起こされる雑音をフィルタアウトしなければならない。したがって、図19は、SPDCL1614の例となるブロック図を描写する。この例では、SPDCL1614は、低域フィルタ1900、弁別器1902、およびシュミットバッファ1904を含む。追加的に、図20は、SPDCL1614の低域フィルタ1900、弁別器1902、およびシュミットバッファ1904を含む回路図を描写する。したがって、図21は、SPDCL1614が共有電力送達および通信アース線を介して送信されているデータ信号をフィルタリングするためにとり得る例となるステップを描写する。この例では、図21は、信号2102、ならびに電力送達および通信リターンを同じアースと共有することによって作成される雑音2104を示す。したがって、図21は、通信ライン2106およびフィルタ出力2108、ならびに通信ライン2106がゲート出力2112を生成するためのシュミット出力2110を示す。こうして、SPDCL1614は、加熱カテーテル102から送信されている通信信号を劣化させる雑音を、この信号がエネルギー送達制御装置104に向かう過程で上に説明される多目的ケーブルを下る際に、フィルタアウトする。
【0096】
[0161]特定の実装形態において、回路および構成要素の配置は、システム内の雑音をフィルタアウトして、クリーンな電力および加熱カテーテル102とエネルギー送達制御装置104との間のクリアで安定した通信を提供するために、カテーテル差し込みジャック接続1610の非常に近くにエネルギー送達制御装置104内で提供される。
【0097】
[0162]図16に戻って参照すると、エネルギー送達制御装置104は、上に説明されるディスプレイ1632、および制御装置CPU1600を含む主制御基板に接続される多電圧電力供給装置1634への電源接続器1636を介して電力を受信する。図24は、多電圧電力供給装置1634、電源接続器1636、および多電圧出力2400のための例となる回路を描写し、図27は、タッチスクリーンディスプレイ1632のための例となる回路図を描写する。さらに、エネルギー送達制御装置104は、1つまたは複数のSDカードを含み得る。この例では、エネルギー送達制御装置104は、SDカード回路1624Aおよび1624Bを含む。したがって、図25は、SDカードA1624AおよびSDカードB1624Bのための例となる回路図を描写する。この例では、CPU1600は、音声信号を処理し、それらを音声出力1628またはスピーカに提供して、アラートおよび同様のものをユーザに提供することができる音声プロセッサ1626に接続される。図26は、エネルギー送達制御装置104と共に使用され得るサウンドプロセッサ1626および音声出力1628のための例となる回路図を描写する。さらに、CPU1600は、リセットスイッチ1630、リアルタイムクロック1618、およびフラッシュメモリ1616に接続される。したがって、図28は、リアルタイムクロック1618のための例となる回路図を描写し、図29は、エネルギー送達制御装置104において使用され得るフラッシュメモリ1616のための例となる回路図を描写する。
【0098】
[0163]図31は、静脈管腔3102内に置かれる加熱カテーテル10の例3100を描写する。例となる治療方法の特定の実装形態において、静脈管腔3102は、セルディンガー法を使用してユーザ(例えば、外科医、医師、助手)によってアクセスされ得る。例えば、針が、皮膚3104を通じて静脈管腔3102内へ置かれ得、次いで、可撓性アクセス線を、針を通じて静脈管腔3102内へ置き、アクセス線が静脈管腔3102内に留まったままで針を後退させ、血管拡張器を有するシースを静脈管腔3102内へのアクセス線の上に置き、最終的に、静脈管腔3102内のシースが皮膚3104を通って外へ延びたままアクセス線および拡張器を後退させて、直接的に静脈管腔3102への加熱カテーテル102のための素早いアクセスを提供する。
【0099】
[0164]代替的に、静脈管腔は、切開法によってアクセスされ得る(鋭い刃で皮膚および皮下組織を切開し、静脈を可視化し、静脈壁を切り開いて、シースを静脈管腔内に直接置く)。大伏在静脈(GSV)の治療では、血管アクセスは、一般に、膝の近くもしくは膝の真下、または内側の足首近くで行われる。加熱カテーテルは、静脈管腔内へ置かれ(典型的にはシースを通じて)、静脈を通って意図した開始治療部位まで前進される。GSV治療では、この前進場所は、典型的には、患者の鼠径部近くの伏在大腿静脈接合部(SFJ)に、またはその近くにある。超音波可視化は、一般に、加熱カテーテル102をSFJへ誘導するため、ならびに深部静脈および/または静脈枝に対して加熱を正確に提供するために用いられる。
【0100】
[0165]特定の実装形態において、静脈の蛇行(非常に湾曲した形状)または前進場所への加熱カテーテルの容易な挿入を妨げる側枝の扱いにくい分枝角度を伴ったいくつかの場合、誘導線が、加熱カテーテルの正しい位置づけを支援するために使用され得る。この場合、誘導線が、まず、意図した開始治療部位まで前進され、次いで加熱カテーテルが、意図した開始治療部位まで誘導線の上を前進される。加熱カテーテルの前進を促進するための誘導線の使用はまた、1つの静脈の治療が他の近くの血管をけいれんさせ得(より狭い管腔へと収縮させる)、以て血管アクセスおよび/またはカテーテルの前進をより困難にするため、複数の静脈が同じ切開内で治療される場合に役立つ。
【0101】
[0166]特定の実装形態において、静脈内熱アブレーションと共に使用される局所麻酔の一般的な方法は、治療される静脈セグメントの全長に沿った静脈を囲む近くの組織の浸潤によるものである。この方法では、麻酔液(例えば、リドカイン、エピネフリン、および時として重炭酸ナトリウムの混合物)は、治療されるべき血管を囲む静脈周囲の空間内へ長い針またはカニューレにより注入される。GSV治療の場合、麻酔液は、断面が中心近くの静脈を伴って目の形状(両端でつままれた楕円)のように見える、深部筋膜と表在筋膜との間の組織の細長い領域である「Saphenous eye」内へ注入される。いくつかの他の静脈セグメントは、筋膜の区画内に含まれず、そのような場合、麻酔流体は、それが治療されるべき静脈をほぼ囲むように、近くの組織内へ注入される。麻酔流体の注入は、限定されるものではないが、加熱中の患者快適性のための局所麻酔、静脈管腔から血液を取り出して空にし、静脈壁を押して加熱カテーテルと直接接触状態にするための静脈の静水圧縮、ならびに周囲組織および神経を加熱による損傷から守るための熱ヒートシンクを含む、いくつかの目的を果たすことができる。
【0102】
[0167]特定の実装形態において、加熱カテーテルが正しい場所に位置付けられ、局所麻酔が適用された後、静脈セグメントから血液を取り出して完全に空にするためのさらなる方策が用いられ得る。例として、患者の身体をトレンデレンブルグ体位(脚が上、頭が下)へと傾けること、および手による手動圧迫などの外部手段による静脈の直接圧迫、または圧迫ラップもしくはスリーブで肢を包むことが挙げられる。
【0103】
[0168]特定の実装形態において、部分的アブレーションの場合、加熱カテーテル102は、エネルギー送達制御装置104によって加熱される。1つの治療例において、加熱素子106は、部分的アブレーション治療ごとに20秒間およそ120℃まで加熱される。SFJの最も近くでは、2つの治療が適用され得、このとき、加熱カテーテル102は、加熱素子106の長さとほぼ同じ長さだけ遠位に動かされ得る。加熱カテーテル102の遠位の運動は、加熱カテーテルシャフトに沿って、図2で論じられるような一連の印刷された印によって誘導され得、ユーザは、シャフト印と整合されるデータ場所(例えば、皮膚上に描かれたライン、またはシースと最も近い印との間の可視化された距離)を参照することができる。非常に大きい静脈、または静脈の動脈瘤性区域の場合、ユーザは、各静脈セグメント内で複数の治療(例えば、2~5つ)を実施することを選択することができる。静脈セグメントの連続治療は、静脈の所望の長さ全体が治療されるまで繰り返され得、その後、カテーテル(および使用される場合はシース)は、静脈から除去される。
【0104】
[0169]治療例の特定の実装形態において、所望の加熱サイクルは、血管のサイズに対する条件付きで繰り返され、直径10mmより小さい静脈セグメントは、1つのエネルギー送達サイクルで治療され、10mm以上であるが18mm未満の静脈セグメントは、2つのエネルギー送達サイクルで治療され、2つのエネルギー送達サイクルで治療され、18mm以上の静脈セグメントは、3つのエネルギー送達サイクルで治療される。逆流の源に最も近い(SFJに最も近いなど)静脈セグメントでは、さらなるエネルギー送達サイクルが追加され得る。
【0105】
【表1】

















【0106】
[0170]治療例の特定の実装形態において、より短い長さの静脈(GSVなどの表在静脈と共通大腿静脈などの深部静脈との間の接続を提供する穿通枝静脈など)は、より高い温度で、および/またはより長い治療時間にわたって治療され得る。例は、2回もしくは3回の20秒の治療によって達成され得る40もしくは60秒間の120℃での治療、または20もしくは30秒間の140℃での治療である。
【0107】
[0171]治療例の特定の実装形態において、加熱の制御は、ある時間期間にわたって初期温度を達成し、次いでより高い温度まで上昇させるように管理される。1つの例において、初期温度は、管腔内の流体(例えば、血液)の沸点に、またはその近くにあり、次いで、血管のけいれんを引き起こすことができる、および/または周囲流体内からの可溶性ガスを活発にすることができる初期期間の後、温度は、流体の沸点より上に上昇される。
【0108】
[0172]治療例の特定の実装形態において、加熱の制御は、治療の終わり近くに温度の下降をもたらし、加熱された組織が体温に再び近づく際に調節するためのより多くの時間をこれに与えるように構成され得る。
【0109】
[0173]治療例の特定の実装形態において、短い静脈セグメントのための血管アクセスは、前に説明されたものよりも単純な方法を使用して達成され得る。例えば、針(または短いシース)は、皮膚を通じて直接的に穿通枝静脈内へ穿刺され得る。針は、超音波可視化を使用して静脈内へ誘導され得る。超音波可視化を使用して静脈内へ針を誘導することにおいて、針は、超音波画像が、針管腔が血管腔と流体連通状態にあることを示す、静脈の管腔内の針先端および針の端からの血液フラッシュバック滴を示すまで、視界へ向けて患者内へ押され得る。次いで、設計が可撓性または剛性のいずれかのエネルギー送達カテーテルが、針を通じて静脈管腔内へ置かれ得る。一旦エネルギー送達カテーテルが静脈管腔内に位置すると、針は、所望の場合、屈折され得る。エネルギー送達カテーテルは、所望の場合静脈管腔に沿ってさらに前進され、カテーテルシャフトの角形成によって、エネルギー送達カテーテルの湾曲先端の回転によって、および/またはカテーテル管腔を通じて挿入される誘導線の上でエネルギー送達カテーテルを前進させることによって誘導され得る。
【0110】
[0174]穿通枝静脈と上にある表在静脈との間の吻合など、概してT字状の(または角度付きのT)血管接合部の治療の例の特定の実装形態において、T字状のアブレーションを実施する方法は、穿通枝静脈に遠位または近位である部位においてエネルギー送達カテーテルを表在静脈内へ導入し、次いでそれを、穿通枝静脈接合部を過ぎて、より近位または遠位の部位まで前進させることを含み得る。エネルギーは、部分的アブレーション、加熱しながらの連続した引き戻し、またはそれらの組み合わせによって、近位表在静脈セグメントへ送達され、血管の接合部まで到達し得る。次に、カテーテルは、穿通枝静脈内へ(理想的には、深部筋膜層を過ぎ、深部静脈の近くまで)前進され得、エネルギーは、部分的アブレーション、加熱しながらの連続した引き戻し、またはそれらの組み合わせによって、穿通枝静脈へ送達され得る。最後に、カテーテルは、遠位表在静脈セグメント内に位置付けられ得、エネルギーは、部分的アブレーション、加熱しながらの連続した引き戻し、またはそれらの組み合わせによって、近位表在静脈セグメントへ送達され得る。
【0111】
[0175]T字状の接合部の治療の別の例の特定の実装形態において、エネルギー送達カテーテルは、T字状の加熱パターンを提供するように構成され得る。T字状の加熱パターンを使用すると、接合部は、T字状の加熱パターンアプリケータをT字状の血管接合部と整合させるためにカテーテルを接合部に置き、次いで、その接合部を永久に閉じる、または再成形するためにその場所で加熱することによって、加熱され得る。T字状の加熱パターンは、(本明細書に説明される加熱素子と同様の)カテーテルの長さに沿って加熱するように構成されるが、加熱素子の長さに沿って側孔も有するデバイスを用いて作成され得、二次加熱部材は、側孔を通じて前進され得る。T字状の加熱パターンを作成する別の方法は、長さに沿って側孔を有する加熱素子を提供することであり、加熱された流体は、(沸点近く、沸点の、沸点より上の)加熱された流体が、T字状の加熱パターンの交差部分を作成するように、側孔を通じて排出される。
【0112】
[0176]T字状の接合部の治療の別の例の特定の実装形態において、エネルギー送達カテーテルは、L字状の加熱パターンを提供するように構成され得る。L字状の加熱パターンでは、カテーテルは、同様に、血管接合部と整合するように置かれ得、次いで加熱が適用され得る。同様の効果が、概してL字状の加熱パターンを引き起こすために概してL字状の血管接合部を横切って可撓性加熱素子を置くことによって獲得され得る。
【0113】
[0177]特定の実装形態において、アブレーション後、圧迫が、治療される静脈セグメントに沿って適用されるか、または、肢全体に、典型的には治療後の数日間、圧迫ストッキングおよび/または外部圧迫ラップが用いられ得る。熱アブレーション法の成功は、手術後1年で95%またはそれ以上の割合の完全な血管閉塞(治療セグメントを通る血流なし)を伴って、通常、非常に高い。二次的な尺度は、血流が存在するが、それが、適切に機能している静脈システムのように一方向(心臓に向かう)である、逆流なしの割合である。これらの血流尺度の両方(閉塞および逆流なしの割合)は、患者臨床症状の実際の尺度(例えば、痛み、圧痛、可動性、静脈臨床重症度スコア、慢性静脈不全質問票(CIVIQ)、アバディーン静脈瘤質問票(AVVQ(商標))、逆流病質問票)の代理である。
【0114】
[0178]特定の実装形態において、エネルギーは、部分的アブレーションによって意図した血管に送達され得、エネルギー送達カテーテルは、ある場所に位置付けられ、既定の期間のエネルギー送達が始まる間静止したままであり、その後カテーテルは、次の場所へ再配置される。この様式では、加熱素子よりも長い血管の長さが、一連の連続ステップにおいて治療され得る。GSV治療の場合SFJの近くなど、より大きい血管圧力の解剖学的源の近くの場所においては、より大きい量の送達エネルギーが適用され得る。これは、加熱素子を次の場所へ移動させる前にその場所で治療を繰り返すことによって、治療時間を延長することによって、または治療温度を上昇させることによって、達成され得る。エネルギー送達カテーテルの運動は、活性加熱素子の長さにほぼ等しい長さだけカテーテルシャフトを移動させることなど、カテーテルシャフトに沿った印に従うことであり得る。
【0115】
[0179]特定の実装形態において、治療時間の長さ(例えば、20秒、30秒、40秒)または送達されるエネルギーの総量(例えば、60J/cm、80J/cm、100J/cm、120J/cm)は、所望の時間を選択するためにタッチスクリーンを押圧することによって、または、治療ボタンの各々が所望の治療時間もしくはエネルギー送達を指定するのに対して、カテーテルハンドル上の2つ以上の治療ボタンのうちの1つを押圧することによってなど、ユーザ選択可能であり得る。
【0116】
[0180]特定の実装形態において、カテーテルの活性加熱の長さは、より短い活性長さとより長い活性長さとの間でユーザ選択可能である。より長い活性長さよりも短い血管は、より短い活性長さで治療され得、より長い活性長さよりも長い血管は、より長い活性長さ、またはより短い活性長さを用いた1つもしくは複数の治療ならびにより長い活性長さの1つもしくは複数の治療の組み合わせによって治療され得る。
【0117】
[0181]特定の実装形態において、エネルギーは、引き戻しアブレーションによって意図した血管に送達され得、加熱素子活性長さは、エネルギー送達カテーテルが血管の管腔に沿って引っ張られる間に加熱され、この様式では、加熱は、ブラシによる塗装と同様の方式で適用される。
【0118】
[0182]特定の実装形態において、加熱素子へのエネルギーの実際の送達の制御は、設定された電力レベルの送達によって、または電力-時間関係に従った可変電力レベルの送達によって、所望の治療温度を達成して維持するために、温度フィードバック(例えば、比例・積分・微分(PID)制御)によるものであり得る。電力-時間関係は、システムが所望の設定温度を達成して維持するように温度制御される場合に、意図した血管に通常送達される時間あたりの電力のレベルに近づけるように構成され得る。そのような電力-時間関係を決定する1つの方法は、幾人かの異なる患者に関係する幾人かの異なるユーザによるいくつかの血管治療のための一連の時間間隔にわたる送達電力を測定すること(または記録し、後で分析すること)によるものである。そのような電力-時間関係を決定する別の方法は、特定の医師または医師群からのそのようなデータを測定することによるものである。そのような電力-時間関係を決定する別の方法は、加熱治療の間のヒト組織の熱特性に一致するベンチトップ加熱構成を確立し、次いでベンチトップモデルにおいてそのようなデータを上のように測定することによるものである。
【0119】
[0183]逆流する静脈の熱アブレーションのための電力送達の1つの例において、7cm長さの7F OD加熱素子が、20秒間120℃の設定温度まで加熱される。特定の実装形態において、その温度を達成して維持するために送達される例示的な電力レベルは、加熱の最初の1秒目ではおよそ35~40W、2秒目では30~37W、および治療の3秒~20秒目ではそれぞれ27~32W、23~29W、20~27W、18~24W、17~23W、16~22W、16~21W、15~20W、15~20W、15~20W、14~19W、13~18W、13~18W、13~17W、12~17W、12~17W、12~17W、12~17Wである。これらの同じ値は、各々が7で除算されて、活性加熱長さの1センチメートルあたりの例となる電力レベルをもたらす。上のエネルギー送達電力-時間関係の1つの例示的な使用において、10cm長さの7F OD加熱素子は、加熱の1秒目ではおよそ50~60W、2秒目では45~55W、および治療の3~20秒目ではそれぞれ40~50W、35~45W、30~40W、25~35W、24~34W、23~33W、22~32W、21~31W、20~30W、19~29W、18~28W、17~27W、17~26W、16~26W、16~26W、15~26W、15~26W、15~26Wのエネルギー送達を有し得、より小さい直径の加熱素子は、熱を組織へ伝達するための低減した表面積に起因して、血管をわずかにより高い温度まで、または比較的長い時間期間にわたって、加熱することができる。
【0120】
[0184]特定の実装形態において、任意の特定のサイズ構成(例えば、特定の長さの6F、5F、または4F加熱素子)のためにこれらのエネルギー送達パラメータ(上の例にあるような)を設定する方法は、血管または代理組織内で一連の治療を行うことであり、温度制御された(例えば、PID制御)加熱が、所望の連続した温度または可変温度プロファイルを達成して維持するために遂行される。測定または記録されたエネルギー送達データは、次いで、全体として記憶および分析され、好適な信頼区間をデータの上界および下界に適用するか、または各時間点における平均もしくは中央値を単純に計算し、次いで曲線を適切に円滑化する。
【0121】
[0185]図32は、加熱カテーテルに電力供給するための例となる電力-時間曲線3200を描写する。特定の実装形態において、エネルギーは、温度測定なしに送達され、エネルギーは、同様の加熱素子寸法のものであり得る温度制御されたデバイスにより獲得される典型的な電力-時間構成に一致する電力-時間構成で、またはそのような典型的な電力-時間構成を上回るか、もしくは下回る選択された増分で送達される。例示的な電力-時間関係は、100%電力-時間曲線または120%電力-時間曲線など、上に示される。温度測定なしのそのような構成は、デバイス構築における著しい費用削減を表し得る。さらなる特定の実装形態において、カテーテルは、カテーテルシャフト上の非粘着性被覆を有する加熱素子からなる。カテーテルシャフトは、ケーブルアセンブリへの最小ハンドル(治療を開始/停止するためのボタンを含む場合と含まない場合とがある)に接続される。ケーブルは、ケーブルが接地される場合0.635cm(1/4インチ)TRSステレオプラグによって、ケーブルが接地されない場合0.635cm(1/4インチ)TSモノプラグによって、エネルギー送達制御装置104内に差し込まれ得る。ケーブルプラグハウジングは、カテーテルタイプを識別するため、カテーテルが正規の認証製品であることを確認するため、およびカテーテルの使用を認証された使用数(例えば、単一使用のみ、または3回もしくは10回などの複数使用)に制限するために、エネルギー送達制御装置104によって認識され得るRFIDタグを含み得る。
【0122】
[0186]特定の実装形態において、エネルギー制御の方法において、エネルギー送達は、既定のまたはユーザ選択可能な合計エネルギー送達(加熱素子活性長さの1センチメートルあたりおよそ60、80、100、または120ジュールなど)に設定され、エネルギーは、合計値に達するまで送達される。より少ない量のエネルギー(例えば、60~80J/cm)が、カテーテルボタンの単一の押圧によって活性化される一方、より大きい量のエネルギー(例えば、100~120J/cm)は、素早い連続のカテーテルボタンの二重押圧によって活性化される。可変量のエネルギーは、血管が加熱されて所望の温度をほぼ維持する時間の長さの違いによって計量され得る。可変量のエネルギーはまた、血管が同様の時間間隔の間に加熱されるおよその温度の違いによって計量され得る。エネルギー送達の間、エネルギーの瞬間量は、所望の温度を設定および維持するために(例えば、PID制御により)エンジン(例えば、プロセッサまたはプロセス)によって加減され得るか、エネルギーは、一定値に設定され得るか、またはエネルギーは、エンジンによって管理されるルックアップテーブルもしくは数学アルゴリズムにより、事前設定された電力対時間関係に従って送達され得る。過剰な量の周囲流体(例えば、血液)によるエネルギー送達カテーテルの冷却が、合計エネルギーを治療の成功に理想的であるものよりも素早く送達させ得る際には、エネルギーが静脈壁などの意図した治療組織内へ効率的に送達されないため、所望の合計エネルギーを送達するためのより大きい値の時間、または設定温度における、もしくはその近くにおける最小累積時間が選択される条件も存在してもよい。
【0123】
[0187]特定の実装形態において、送達電力は、送達されるエネルギー(例えば、単位ジュール(J)またはJ/cm)の履歴を決定するために経時的に積分される。意図した特定のエネルギー送達が所望される場合(例えば、80J/cm)、エネルギーは、積分された送達電力が意図したエネルギー送達に等しいか、またはこれよりわずかに大きくなるまで、経過時間あたりの送達エネルギーの参照表に従って送達され得る。同様に、エネルギーは、積分された送達電力が意図したエネルギー送達に等しいか、またはこれよりわずかに大きくなるまで、所望の温度に達して維持するように必要に応じて送達され得る。
【0124】
[0188]特定の実装形態において、様々な特徴および方法が、アクセス部位から治療の所望の治療開始場所(例えば、GSVを治療するときはSFJ)へのエネルギー送達カテーテルの追跡を促進するために用いられ得る。血管が、枝をたどるカテーテルを誤った方向に支持する角度の付いた血管枝なしに十分に真っすぐである場合、エネルギー送達カテーテルは、単純に、血管系を通って開始場所まで押され得る。誘導線が、エネルギー送達カテーテルを通じて開始場所まで挿入され得、次いで、エネルギー送達カテーテルは、その誘導線の上で前進され得る。エネルギー送達カテーテルは、開始場所まで先に前進されている長い誘導カテーテルの本体内で前進され得る。
【0125】
[0189]特定の実装形態において、エネルギー送達カテーテルは、それを誘導線のように前進させる全体的に湾曲した形状を有し得、前進しながらのカテーテルシャフトの回転は、どの血管枝をたどるべきかを選択するために用いられ得、およそ7.62cm(3インチ)~20.32cm(8インチ)の先端湾曲屈曲半径で十分である。例えば、湾曲先端を有するエネルギー送達カテーテルは、そこを通る管腔を有さない場合がある。代替的に、エネルギー送達カテーテルは、操縦可能な先端を有し得、曲率半径は、カテーテルシャフトの一方の側面内に構築される線に対する引っ張り張力がカテーテルシャフトのその側面を長さにおいてより短くさせ、そのカテーテルシャフトを効果的に屈曲させることによってなど、ユーザ調節可能である。
【0126】
[0190]特定の実装形態において、磁気材料、磁力の影響を受ける材料、または電磁石が、エネルギー送達カテーテルの先端近くに組み込まれ得、その結果として、ユーザは、先端を所望の方向に引き付けるために磁力を印加することができる。制御可能な磁力源の例としては、希土類磁石、ネオジム磁石、およびMRIが挙げられる。
【0127】
[0191]特定の実装形態において、治療開始の地点における最終カテーテル位置の確認は、超音波可視化、皮膚を透過される光エネルギー(先端近く、加熱素子の両端近く、加熱素子に沿った各ユーザ選択可能な加熱長さの両端の近くのカテーテル内に構築される1つの発光ダイオードまたは複数のダイオードからのような)の可視化、またはカテーテル先端の外科切断および直接的可視化もしくは触診によるものであり得る。最も近い深部静脈からの例示的な距離は、2センチメートルである。カテーテルは、カテーテルの先端に装着される固定誘導線を有し得る。これは、血管系を通じたカテーテルナビゲーションを支援するという利点を有し(標準誘導線と同様に)、それはまた、カテーテル加熱の領域を超えた所望の長さ(加熱素子に対して2cm遠位など)だけ正確に延び、固定誘導線の先端をSFJと整合させることなど、解剖学的構造体と整合されるべき可視尺度として使用され得る。
【0128】
[0192]特定の実装形態において、血管加熱が、意図した治療(エネルギー送達カテーテルが、カテーテルの周りの血液などの大量の流体を加熱することとは対照的に、静脈壁を主に加熱しているように、麻酔流体が、血管を囲み、血管から血液を取り出して空にするために注入された後の、表在静脈の加熱など)による典型的な方式で進行していない場合、ユーザに警告する方法は、時間可変の最大電力レベルを加熱カテーテルに提供することである。そのような場合、加熱素子の周りに異常な量の流体が存在する(そのエリアに冷却作用を提供し、血管壁の意図した加熱に対抗する)場合、設定温度は、達成または維持されることができず、ユーザは、エネルギー送達制御装置104に表示される治療温度が意図した治療温度を下回ったことに気付く。意図した治療温度を下回る決定した時間の後、ユーザは、過剰な冷却が加熱カテーテルの周りに存在することを示すアラート(文字、アイコン、および/または音)を与えられ得る。この通知は、血管から血液をさらに取り除いて空にすることによってなど、加熱素子を血管壁と改善された接触状態にするように調節を行うことをユーザに促し得る。
【0129】
[0193]特定の実装形態において、図32に示されるような120%電力曲線が、経時的な最大許容エネルギー送達として使用される。固有のカテーテル設計およびエネルギー送達システム設計の場合、同様の曲線は、所望の治療温度が達成されて維持されるように加熱エネルギーが決定される代表的なシステム内でのいくつかの治療について経時的に平均、中央、または他の典型的なエネルギー送達を測定することによって作成され得る。さらなる特定の実装形態において、時間依存の温度関係が、代表的なシステムにおけるいくつかの治療にわたって獲得され、その後の電力-時間関係が、直接温度測定の使用なしに同様の時間依存の温度関係を獲得するために決定および作成される。
【0130】
[0194]特定の実装形態において、加熱素子の温度が送達される電力のレベルに対して低すぎる場合、または設定温度を達成するための必要な電力レベルが高すぎる場合(そのような条件は、主に静脈壁の理想的な加熱の代わりに、エネルギー送達カテーテルの加熱エリアの周りの流体の過剰を示す)、ユーザは、加熱エリアの周りの流体または冷却の図形表示を伴うカテーテルの図形表示を示すことによって警告され得る。代替的に、例えば、「警告:過剰な流体、静脈を空にしてください」などのメッセージが表示され得る。
【0131】
[0195]特定の実装形態において、治療される血管セグメントが意図した治療温度にされ得る素早さは、血管壁接触、およびそのエリアを冷却する血液または流体の不在を示すものとして使用され得る。測定温度が設定時間内に達成されない場合(例えば、最大電力40Wで7cm7F加熱素子により加熱される120℃の設定温度の場合、温度は典型的に、3秒の加熱の後115℃よりも高く表示される)、ユーザは、警告され得、加熱は、自動的に停止され得、および/または電力レベルは、血管管腔内の血液を凝固させるのに不十分なレベルに低下され得る。
【0132】
[0196]特定の実装形態において、加熱素子に沿った温度の不均一性は、加熱素子に沿った異なる地点で測定される温度の比較によって示され得る。温度が不均一であるかどうかを知ることは、加熱素子の一部がデバイスに損傷を引き起こし得るほどに熱くなりすぎることを防ぐのを助けることができるため、ユーザに警告することおよび/または自動的に治療を停止することもしくは自動的に電力をより低いレベルへ低減することは有益である。加熱素子の電気抵抗が温度に依存し、その結果として、温度が、測定された抵抗、例えば、抵抗温度検出(RTD)によって予測され得る場合、加熱素子抵抗は、熱電対またはサーミスタによって測定される温度に対して、抵抗対温度の参照表またはアルゴリズムを介してエンジンによって比較され得る。値が決定された量(例えば、10~20℃以上)と一致しない場合、それは、加熱素子が温度において実質的に均一ではないことを示す。そのような場合、ユーザは、音/文字/コードによって警告され得、および/またはシステムは、電力レベルを自動的に低減し得るか、もしくは治療を早期に終了するか、もしくは加熱温度をより低いレベルに低減することができ、そのような状況において、ユーザは、加熱素子と血管壁との間のより均一な接触を作り出すためにカテーテルまたは圧迫技術を調節するように警告され得る。加熱が予測パラメータ内にないかどうかを決定するための代替的な方法は、エンジンが測定温度(例えば、熱電対、サーミスタ、またはRTD測定からの)を同様のエネルギー送達電力-時間関係のための既知の予測温度対時間の参照表またはアルゴリズムと比較することである。
【0133】
[0197]特定の実装形態において、加熱素子の抵抗またはインピーダンスは、素子の異常な加熱と一貫した変化または素子に対する物理的損傷を検出するためにエンジンによって継続的に測定される。そのような場合、治療は、自動的に停止され得、電力は、自動的により低いレベルへ下げられ得、および/またはユーザは、その状態に対して警告され得る。
【0134】
[0198]特定の実装形態において、治療を開始する前に、ユーザは、エネルギー送達カテーテル加熱素子の周囲の組織が局所麻酔流体で湿潤されていることを通知され得、この状態は、近くの流体注入が、治療血管を体温から室温まで一時的に低下させ、エンジンがその温度レベルを検知することができるため、室温流体が注入されるときにエネルギー送達システムエンジンによって検知され得る。例えば、ユーザ通知トーンまたはアラートは、カテーテルが既定の時間(例えば、15秒)を超えて体温(およそ34~39℃)を測定し、その後室温(例えば、24~28℃)などのより低い温度まで低下した後に与えられ得る。
【0135】
[0199]特定の実装形態において、治療後、治療した血管が実質的に凝固されていることをユーザが知ることができれば好ましく、これは収縮した血管直径が主要指標である。これは、超音波可視化の下で観察され得るが、治療直後は、治療下の血管はけいれん状態にあり得る。有益であり得る1つの指標は、エネルギー送達カテーテル(および加熱素子)を次の血管セグメントへ引っ張るために必要とされる力の測定である。力は、カテーテルシャフトに適用される、もしくはハンドル内のひずみゲージによって、またはハンドル内に構築される単純なばねゲージ測定によって、測定され得る。最小許容しきい値を上回る許容の力は、視覚的合図として表示され得、および/または可聴合図が提示され得る。
【0136】
[0200]特定の実装形態において、ドプラ超音波結晶は、血管管腔内の血流を測定するためにエネルギー送達カテーテル内に含まれ、血流または血流の所望の欠如を測定する、または示す直接的な手段を提供する。
【0137】
[0201]特定の実装形態において、ユーザ選択可能な加熱長さ(例えば、10cmまたは2.5cm)を有するエネルギー送達カテーテルの場合、活性加熱の長さは、カテーテルおよび加熱素子の画像を押圧することよってなど、タッチスクリーンディスプレイを押圧することによって、ユーザにより選択され得る。この例では、デフォルトの加熱長さは、より長い長さであり得、画面画像が押圧される場合、より短い長さの選択がソフトウェアにおいてなされ、カテーテルの画像は、より短い活性加熱長さを示す。画面のそのエリアのさらなる押圧(例えば、加熱が活性ではないとき)は、2つの活性加熱長さの間でトグルする。1つの例において、3つのユーザ選択可能な加熱長さでは、画面画像を押圧することが、3つの加熱長さの間で連続的にトグルする。
【0138】
[0202]特定の実装形態において、ユーザ選択可能な加熱長さ(例えば、10cm~1cmの連続範囲)を有するエネルギー送達カテーテルの場合、活性加熱の長さは、活性加熱長さの近位(または遠位)端に接触する摺動可能な電極によって選択され得る。摺動可能な電極は、素子の遠位端から10cm~遠位端から1cmなどの範囲に沿って加熱素子に接触し得る。加熱の効果的な長さは、加熱素子の2つの電気接点(例えば、遠位端におけるはんだ付け接続およびより近位の位置におけるばね接触接続)の間のインピーダンスを検知することによって、または電気的に切り替え可能な選択によって測定され得る。エネルギー送達制御装置104上のユーザインターフェースは、効果的な加熱長さをユーザに表示し、その長さのセグメントを加熱するための適切なエネルギーを送達することができ、加熱エネルギーを加熱の単位長さあたりの強度(例えば、W/cm)として示し得る。
【0139】
[0203]特定の実装形態において、フットペダルは、複数のスイッチを有し、1つのスイッチは、治療を開始または停止する役割を果たし、別のスイッチは、ユーザ選択可能な加熱長さをトグルする役割を果たす。別の例において、ハンドルは、2つのスイッチを有し、一方のスイッチは、治療を開始または停止する役割を果たし、他方のスイッチは、ユーザ選択可能な加熱長さをトグルする役割を果たす。代替的に、ハンドルが2つのスイッチを有する例において、一方のスイッチは、より長い加熱長さを開始するために使用され得る一方、他方のスイッチは、より短い加熱長さを開始するために使用され得、さらなる特定の実装形態において、エネルギー送達の間2つのスイッチのいずれかを押圧することは、エネルギー送達を直ちに停止することになる。
【0140】
[0204]特定の実装形態において、エネルギー送達制御装置は、設定温度へと加熱しているとき、および設定温度で継続するために加熱しているときを識別することなど、治療を示すために音を再生する。さらなる例において、ピッチもしくはトーンまたはトーンまでの異なる変化は、ユーザ選択可能な治療長さカテーテルがより短いまたはより長い活性加熱長さを加熱しているかどうかを示す。
【0141】
[0205]特定の実装形態において、加熱素子の活性加熱長さがユーザによって選択可能である(例えば、10cmまたは1cm)例となるシステムの場合、より短い加熱長さの長さにほぼ等しい印が、加熱素子の長さに沿って付けられ得る。一連の印が付けられ得、この場合、1つの視覚的合図(一連の点など)がより短い加熱長さの長さにほぼ等しく離間されて付けられ得、別の視覚的合図(一連の線など)がより長い加熱長さの長さにほぼ等しく離間されて付けられ得る。これは、加熱のより短い長さがどこにあるかを示すため、または血管内での加熱のより短い長さの部分的位置付けおよび加熱を促進するために行われ得る。印は、コイル間の空間が印の可視性を可能にするのに十分に広い場合、コイル加熱素子が位置する管材上に印刷すること(例えば、パッド印刷、スクリーン印刷、塗装、管材の設計された配色)によって作成され得る。代替的に、加熱素子またはコイル自体が、予めコイル状の構成で、または管材に装填された後のいずれかで、直接印刷(例えば、パッド印刷)され得る。代替的に、色付きの管の超薄層が、より短い加熱長さによる加熱のための場所の部分的段階を促進するパターンを構成する、異なる色の交互片、または短いセグメント、または可視色のセグメントを伴って、加熱素子の上に置かれ得る(例えば、PET熱収縮、およそ0.00127cm(0.0005インチ)~0.00254cm(0.001インチ)厚)。この印付きの外層は、加熱素子を被覆する最終外層を構成し得るか、またはそれは、FEP、PTFE、もしくはPETなどの追加層によって被覆され得る。代替的に、管の予め印刷された層が、加熱素子の上および/または管材の上で収縮され得る。
【0142】
[0206]特定の実装形態において、加熱素子コイルは、カテーテルシャフトもしくは管の区域に線を直接コイル巻きすることによって、予め巻き付けられたコイルをカテーテルシャフトもしくは管の区域の上でゆるく摺動させることによって、または加熱コイル素子の逆回転を使用して、カテーテルシャフトもしくは管の区域上を摺動するものよりも小さい予め巻き付けられたコイルをより大きい直径へと一時的にはね返らせて、カテーテルシャフトもしくは管の区域の上にコイルをフィットさせることによって、シャフト上に位置し得る。特定の実装形態において、管は、管回転が、管の上部の上でコイルが摺動すること、巻き付くこと、またはねじれるように回ることを可能にするために、コイル直径を広げる傾向があるように、加熱コイルの内側でそれを押しながら回転され得る。特定の実装形態において、加熱コイルは、コイル回転が、管の上部の上でコイルが摺動すること、巻き付くこと、またはねじれるように回ることを可能にするために、コイル直径を広げる傾向があるように、管の上に装填しながら回転され得る。加熱素子コイルは、シャフトの上の加熱コイルを所望の位置へ誘導または操縦するために管の外面と相互作用する成形端構成を有し得る。
【0143】
[0207]特定の実装形態において、加熱素子への配線接続は、加熱コイルが先にシャフト上に装填された後に伝導線を加熱コイルにはんだ付けすることによって、または加熱コイルを予め配線(はんだ付けまたは溶接)し、次いで配線されたアセンブリをシャフト上に置くことによって、なされ得る。1つの構成において、穴またはスロットが、加熱コイルが適所に装填される前に、線が内部へ貫通する部位の近くで、管内に位置し得る(例えば、ホールカッターを用いた切断、スカイビング、またはレーザ穴あけによって)。さらなる特定の実装形態において、線が管を通じて穴またはスロット内のそれらの最終位置に位置付けられた後、その場所で屈曲する場合によじれに対する管の完全性を守るために、接着剤が穴またはスロットに適用され得る。1つの構成において、スリットが、管の1つまたは複数の端に作製され得、このスリットの上に、コイルアセンブリは、伝導線が加熱コイル端の近くの管の管腔に入る余地を残して装填されることになる。例において、コイルアセンブリが装填される管内の通路は、1つまたは複数の伝導線が加熱コイルの真下に位置することを可能にし、その結果として、複数の伝導線は、コイルアセンブリの遠位端の近くの管の管腔に入ることができる。別の例において、長いスリットが、線通過または配置を可能にするために加熱コイルの下の管内に作製され、成形部品が、機械的支持を提供して、コイル装填されたアセンブリが、容易にねじれることなど、望ましくない方式で屈曲することを防ぐために、コイルの下の管の内側で摺動される。
【0144】
[0208]特定の実装形態において、加熱の活性長さがユーザ選択可能である例となるシステムの場合、この選択を達成するための電気回路は、伝導線を加熱コイルの各端および加熱コイルに沿った途中の地点(例えば、コイルの遠位端から測定される、伝導線は0cm、2.5cm、および10cm近位に装着される)に装着することによって作成され得る。途中に位置する線は、その場所において管の管腔内へ方向付けられ得るか、またはそれは、加熱コイルの遠位端の近くなど、管の管腔に入るためのより好ましい場所に達するまで、コイルの直下、コイルの上、またはコイル巻きの間に位置し得る。絶縁層は、加熱コイルと、隣接するコイルを横切って物理的に位置する任意の伝導線との間に存在しなければならず、その絶縁は、伝導線自体の上、加熱コイル自体の上、概してそれらの間の材料の層、またはそれらの組み合わせにあり得る。
【0145】
[0209]加熱の活性長さがユーザ選択可能である特定の実装形態において、より短い長さの配線接続(例えば、加熱コイルの遠位端に近位の2.5cm)は、コイルの2つの端に接続する線よりも小さい線を使用してなされる。このより小さい線は、ハンドルおよびケーブルを通ってエネルギー送達制御装置までずっと継続され得るか、それは、2.5cmの場所からコイルの遠位端までなど、その長さの一部分に沿ってのみより小さくてもよい。さらなる特定の実装形態において、2.5cmの場所と加熱素子の遠位または近位端近くの地点との間のより短い長さの配線接続は、その厚さよりも2~8倍幅広いリボン線である。
【0146】
[0210]特定の実装形態において、加熱素子の形状は、加熱素子の横断面が(典型的なもののように)丸くなく、代わりに、アクセスシース内などの円形の孔を通じてカテーテルの最小プロファイルを保ちながらコイルの外側の線のための空間を残すために、その長さのすべてまたは一部分に沿って平坦または凹んだ区域を有するように、カテーテル管上への装填の前、または好ましくは後に、修正される。
【0147】
[0211]ツーピースの加熱コイルアセンブリの特定の実装形態において、近位コイルセグメントは、近位コイルの遠位端に置かれる熱電対ありまたはなしで、両端において伝導線と配線され、次いで、遠位コイルセグメントが追加され、近位コイルの遠位端に(遠位コイルの近位端において)電気的に接続され、伝導線は、遠位コイルの遠位端において接続される。この方法は、管の遠位端から近位コイルと遠位コイルとの間の接合部まで延びる、下層の管内の通路またはスリットによって促進され得、その管の遠位端におけるそのタイプのスリットは、2つのスリットが、アセンブリ線がカテーテルの本体部に入る地点から反対方向に延びるように、挿入される反対方向においてスリット付きの下層の管を追加することによって支持され得る。
【0148】
[0212]特定の実装形態において、加熱素子は、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ULTEM(登録商標)、またはシリコーンなどの高温耐熱シャフト材料を使用して、加熱温度の全範囲(例えば、室温、およそ25℃、最大でおよそ200℃以上)に耐えるように設計されるアセンブリ内に構築され、加熱素子/シャフトアセンブリは、次いで、カテーテルシャフト長さの大部分を構成するためにより経済的な材料(例えば、72D PEBAX(登録商標)、ナイロン)に接続される。これらの2つのシャフト区域の間の接続は、接着剤(例えば、UV硬化アクリル接着剤、UV硬化シアノアクリレート、湿分硬化シアノアクリレート、2部エポキシ、または水溶性接着剤)による、または溶融加工によるものであり得、溶融加工は、ポリイミドまたは他の高温材料が対応した溶融加工可能な互換材料の一体外層を有する場合に促進される。
【0149】
[0213]特定の実装形態において、カテーテルアセンブリの引っ張り強度を増大させる方法は、カテーテルシャフト内に引っ張り素子を含むことであり得る。例えば、線(例えば、ステンレス鋼、NiTi、銅、他)は、一方の端においては加熱素子に、または加熱素子の近くの管に、および他方においてはハンドルに装着され得る。この線は、コイルに電気的に接続され得、コイルのその端との導電接続を提供するか、またはそれは、電気回路の機能部分として接続しないように電気的に絶縁され得る。線が伝導性であることが意図される場合、伝導は、めっき(例えば、金、銅)またはクラッディングによって改善され得る。
【0150】
[0214]特定の実装形態において、ハンドルの領域から加熱素子の領域までカテーテルシャフトを通って延びる線は、線の装填を容易にするために束へとサイアミーズ化される。サイアミーズ束は、横並びの線を伴って平坦であるか、または多層であり得る。一方の端における固有に色付けされた線を有する平坦な束、または複数の色付けされた線など、色分けされた構成は、カテーテル組み立ての間、正しい配線接続の識別を支援することができる。
【0151】
[0215]特定の実装形態において、超音波により身体組織を通って見られるときのカテーテルの可視性は、音波の反射を改善するためにテクスチャ表面(換言すれば、表面構造)を提供することによって、またはデバイス内に、空気が閉じ込められたポケットもしくは通路を提供することによって改善され得る。したがって、図35Aおよび図35Bは、超音波により加熱カテーテルの可視性を促進するように設計される例となる加熱カテーテル管を描写する。加熱カテーテル管112上のテクスチャ表面を達成する方法は、化学エッチング、グリットブラスチング、レーザ加工、サンディングもしくはスクレイピング、パターン化ダイにおける圧着、または射出金型内で所望のテクスチャを有する重要な構成要素を成型することを含む。閉じ込め空気ポケット3504を作成する方法は、滑らかな外側ジャケットなどの材料の外層によって橋渡しされる加熱コイル間の空間を残すこと、複数の管腔(中央管腔の周囲のアレイなど)を有する管を押し出し成形すること、外側に沿って複数の溝3502を有する管を押し出し成形し、次いで外側を熱収縮管で被覆して、小通路内に空気を閉じ込めた溝を横切る橋梁部を形成すること、管の表面内にポケットまたは溝をレーザ加工し、次いで加工したエリアを薄い熱収縮管で被覆して、橋梁部がその形状内に空気を閉じ込めるようにさせること、および管の軸に平行の複数のワイヤを用いて加熱処理を行い、次いで複数の軸平行管腔を残してワイヤを引き抜くこと、を含み、そのような軸平行管腔は、次いで、閉じ込め空気通路またはポケットを作成するために、2つの端において、または連続して、流体密封される。
【0152】
[0216]特定の実装形態において、複数のキューブコーナーリフレクタが、コイルが装填されるシャフト管の表面内に、またはマーカバンドがx線もしくは蛍光透視下での可視性のためであるのと同様にシャフトの上の所定の場所へと摺動される管の短い区域内へ、または加熱コイルを被覆する滑らかな外側ジャケット内へレーザ加工される。超音波コントラスト(エコー輝度)を改善するための閉じ込め空気の物理的寸法または表面粗さは、理想的には、撮像のために使用される音の波長とほぼ同じでなければならない。例えば、10MHz超音波プローブは、水中で0.01524cm(0.006インチ)の波長を使用する(15MHz=0.01016cm(0.004インチ)、6MHz=0.0254cm(0.010インチ))。
【0153】
[0217]特定の実装形態において、エネルギー送達カテーテルは、一対のワイヤ(およびおそらくはエネルギー送達カテーテルハンドルまたはケーブル内へ構築されるコンデンサ内の貯蔵電力)により電力供給され得、次いでカテーテル識別、温度および/または抵抗/インピーダンスフィードバック、ならびに開始/停止コマンドのために、エネルギー送達カテーテルとエネルギー送達制御装置104との間でワイヤレス通信(例えば、BLUETOOTH(登録商標)またはZIGBEE(登録商標))を使用する。特定の実装形態において、エネルギー送達システムは、小型化され、エネルギー送達カテーテルのハンドル内へ組み込まれる。
【0154】
[0218]特定の実装形態において、2または3線ケーブルのためのカテーテル電子機器およびコネクタシステムは、費用、およびカテーテルハンドル内などカテーテル内の構成要素を最小限にするために、特定用途向け集積回路(ASIC)へと組み合わされる。さらなる特定の実装形態において、そのようなASICは、論理エンジン(例えば、マイクロプロセッサ)、メモリストレージ、雑音フィルタリング、ならびに電力を切り替え、方向付けるための手段を含む。さらなる特定の実装形態において、ASICは、複数の固有の温度センサのための入力設備を含む。さらなる特定の実装形態において、ASICは、複数のユーザインタラクション(換言すれば、相互作用)ボタンのための入力設備を含む。さらなる特定の実装形態において、ASICは、電力を、医療デバイスの複数のエネルギー送達特徴部内へ、独立して、または同時に、方向付ける能力を有する。さらなる特定の実装形態において、ASICは、LED光または超音波結晶など、いくつかのユーザインタラクションデバイスを起動する能力を有する。さらなる特定の実装形態において、論理ボードまたはASICは、制御装置内などのリモート電源から、またはワイヤレス充電されるバッテリによって、電力供給される。さらなる特定の実装形態において、ASICは、カテーテル加熱素子を電力送達回路に接続するトランジスタ(例えば、MOSFET)への電圧を増加させる電荷ポンプを含み、電荷ポンプは、バッテリ使用から生じる経時的な抵抗の自然減少を克服するために使用される。
【0155】
[0219]特定の実装形態において、いくつかの直近の治療からの手術データストレージは、電力供給装置内へ構築されるメモリモジュールにワイヤレス転送され得る。各治療からの手術データストレージは、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、または携帯電話などのワイヤレスデータデバイスに中継され得る。ライブゲージおよび/または開始/停止ボタンは、そのようなワイヤレスデバイス上にインタラクティブに表示され得る。
【0156】
[0220]特定の実装形態において、治療の日付および時間、いくつの加熱サイクルが完了したか、エネルギー送達の合計時間、およびサイクルあたりに送達される合計エネルギー(例えば、J/cm)など、治療に関する情報は、エネルギー送達制御装置104内に記憶され得る。時間の増分に対する温度および電力レベル、時間の増分に対するエネルギー送達カテーテル加熱素子回路の測定された抵抗またはインピーダンス、ならびにアラートまたは状態アップデート(ユーザに表示されるかどうか)などの他の情報もまた、記憶され得る。このデータストレージは、エネルギー送達制御装置104と共に使用される10以上のエネルギー送達カテーテルの直近の使用を、生データストレージまたは暗号化データストレージとして含み得る。
【0157】
[0221]特定の実装形態において、エネルギー送達システムは、治療を開始または停止するための信号を提供するために、フットスイッチ(空気式、空気を充填された管により作動される、または直接コードなど、電気式、またはBLUETOOTH(登録商標)もしくはZIGBEE(登録商標)などのコードレス情報リンク)からの通信を受け入れるように構成される(エネルギー送達カテーテルのハンドル上のスイッチに加えて、またはこれの代わりに)。二重押圧など、押圧のパターンが、治療を開始するために必要とされ得るか、またはエネルギー送達制御装置104は、各治療の少なくとも最初の1~2秒の間ペダルが押し続けられることを必要とし得るか、またはフットペダルを押し下げることが、ハンドルボタンを押圧する効果を反映し得る。
【0158】
[0222]特定の実装形態において、エネルギー送達システムは、ポンプによる流体の送達速度を制御すること、またはポンプによって運搬される流体の体積を監視することなど、流体送達ポンプと電子的に相互作用するように構成される。例えば、エネルギー送達制御装置104は、添付される(またはその情報の一部もしくはすべてと一緒に電子的に提供される)流体の開始体積および/または濃度についての入力を受け入れ、次いで、ポンプが流体を運搬している間どれくらいの運搬されるべき流体がまだ残っているかの指標を表示することができる。これは、開始時に多くを注入し過ぎて、最終場所のために十分な体積が残っていないということではなく、意図した身体組織麻酔効果のすべてをカバーするために十分な流体が残っていることをユーザが知る助けになり得る。
【0159】
[0223]特定の実装形態において、エネルギー送達システムは、加熱エネルギー電流を加熱カテーテルに提供する同じ導体を介してデータも運搬するように構成される。エネルギー送達システムによって運搬されるデータの例は、開始/停止ボタンの開/閉構成、デバイス識別子、接続デバイス使用の履歴情報、および/または温度を含む。この様式では、加熱カテーテルとエネルギー送達制御装置104との間の導電体は、最小限にされ得る。エネルギーは、加熱の程度が振幅変調によって変調された状態で、電磁スペクトルの高周波帯域内で送達され得る一方で、1つまたは複数のデータ信号もまた、より高いおよび/またはより低い周波数で運搬される。エネルギーはまた、加熱の程度が様々な長さの連続的な開始/停止間隔において電流を遮断することによって変調された状態で(パルス幅変調)、一定振幅の直流電流エネルギーで送達され得る一方で、1つまたは複数のデータ信号もまた、開始/停止間隔のパターン内で運搬される。
【0160】
[0224]特定の実装形態において、ホイートストンブリッジが、エネルギー測定を支援するために熱電対導体に接続される。ホイートストンブリッジは、エネルギー送達制御装置104内に位置し得る。ホイートストンブリッジはまた、加熱カテーテルのハンドル内など、加熱カテーテル内に位置し得る。1つまたは複数の熱電対リードの等温接合部は、加熱カテーテルのハンドル内など、加熱カテーテル内に位置し得る。集積回路温度センサなどの基準温度センサは、加熱カテーテルの等温接合部内に位置し得る。加熱カテーテル内の基準接合部補償の先の方法は、熱電対の異種金属が加熱素子からエネルギー送達制御装置104に至るまで延長されることを必要としないことにおいて直接的利点を有し、また、最小数の導線を介した加熱カテーテルとエネルギー送達制御装置104との間でのデータの運搬を促進することができる。
【0161】
[0225]デバイスができる限り少ない費用で優れた治療を提供するために開発されており、デバイスが多くの使用に耐えることを確実にするためのさらなる取り組みはほとんど行われることがないため、患者を治療するためにデバイスを何回使用することができるかを制御することができることが有益であり得る。これは、他の単一使用の医療デバイスの中でも特に、静脈内レーザ業界においては長年にわたって一般的なことであった。
【0162】
[0226]特定の実装形態において、加熱カテーテル内の電子制御エンジンは、加熱カテーテルの使用の状態に関するデータを記録するため、およびその情報をエネルギー送達制御装置104に伝達するために使用される。1つの例において、第1の使用の時間または使用の経過時間の指標は、加熱カテーテルハンドルまたはケーブルアセンブリ内の集積回路内など、加熱カテーテル内に記憶され得る。この様式では、エネルギー送達制御装置104は、使用制御エンジンにより、加熱カテーテルが以前に手術において使用されているかどうか、およびその使用からどれくらいの時間が経過しているかを決定することができ、エネルギー送達制御装置104は、第1の治療の開始から最後の治療の開始まで1~4時間の期間にわたってなど、1つの治療手術において単一の患者を治療するために許容の時間期間内での加熱カテーテルの使用を可能にすることができる。これは、加熱カテーテルが差し込まれるが、患者の治療が治療開始前に(および加熱カテーテルが非滅菌にされる前に)キャンセルされる場合、カテーテルが、依然として滅菌状態に保たれ、代わりの患者に対して後で使用され得るという点で有利である。
【0163】
[0227]特定の実装形態において、加熱カテーテル内の電子制御エンジンは、既定の数の患者治療のための加熱カテーテルの使用を可能にするために、エネルギー送達制御装置104と協働するように構成される。静脈内レーザのための一般的な複数使用シナリオは、最大5回の患者治療セッションのためにレーザファイバの使用を可能にする。1つの例において、電子制御エンジンおよびエネルギー送達制御装置104は、3~5回の治療セッションを可能にするように連携し、各治療セッションは、1~4時間などの許容時間窓内の治療の群と定義され得るか、または各治療セッションは、単一の患者の治療と定義され得、以前の時間間隔が経過した後に開始する第1の治療が、次いで、新規の時間間隔を伴って、連続した治療の開始をトリガする。すべての許容時間間隔が完了すると、電子制御エンジンおよびエネルギー送達システムは、もはやさらなる治療を可能にしない。
【0164】
[0228]特定の実装形態において、加熱カテーテル電子制御エンジンは、適用された治療を記録または計数し、エネルギー送達制御装置104は、最大で治療のしきい値数まで治療を可能にする。例において、10cmの加熱素子長さの場合、治療サイクルのしきい値数は、10~30サイクルの範囲内であり得る。
【0165】
[0229]特定の実装形態において、加熱カテーテル電子制御エンジンは、加熱カテーテルがエネルギー送達制御装置104内へ差し込まれていた経過時間を記録する。例において、差し込み時間の2~6時間後、電子制御エンジンおよびエネルギー送達システムは、もはや治療を可能にしない。
【0166】
[0230]特定の実装形態において、加熱カテーテル使用に関するデータはまた、加熱カテーテルの報告された不具合の診断において役に立ち得る。それは、治療のために使用されるエネルギー送達制御装置104の識別、各治療の開始および停止時間、ならびに各治療中に送達されるエネルギーの尺度を含む、加熱カテーテルの電子制御エンジン内のメモリを記憶するのに役立つ。製造プロセスの一部としての品質制御試験の記録も有益である。このデータは、理想的には、データへの未承認の変更を防ぐために暗号化される。
【0167】
[0231]特定の実装形態において、論理エンジンおよび通信に電力供給するためにバッテリを含む加熱カテーテルのハンドル内の電子機器は、カテーテルアセンブリ内のバッテリが枯渇した後、論理および通信システムを起動することを促進するように構成される。さらなる特定の実装形態において、回路基板パッドまたは他の導体は、ボタンカバーを除去し、ボタンカバーを以前に収納した窓を通じて適切な導体に接触することによってなど、ハンドルの本体を通る外部プローブ導体により到達可能であるように構成される。
【0168】
[0232]特定の実装形態において、手術のサンプリング群からのデータは、エネルギー送達制御装置104内のメモリモジュール上で収集され得る。このデータは、企業メモリモジュールに記憶するために企業に転送され得る。ユーザは、製品リベート、現金同等物、もしくは他の対価など、このデータを送付することに対して対価を得ることができるか、またはデータは、対価なしに収集され得る。企業は、このデータおよび他のデータを、まとめて、または個々に分析して、固有、平均、または中間のエネルギー送達プロファイルを決定することができる。データが温度フィードバックによりエネルギー送達カテーテルから収集された場合、決定されたエネルギー送達プロファイルは、同じ所望の温度を達成して維持するために典型的に必要とされるものである。エネルギー送達プロファイルはまた、より単純な、およびおそらくはより低費用のエネルギー送達カテーテル設計で同様の組織アブレーション特性を達成するために、温度フィードバックを含まない、同様に構築された(または等価の熱特性を有する)エネルギー送達カテーテルと共に使用可能である。ユーザは、エネルギー送達プロファイルが様々な血管のために展開され得るように、治療されている血管のタイプまたはサイズが何であるかを指定することを要求され得る。そのような場合、ユーザは、システムが正しいエネルギー送達プロファイルを目の前の治療に関連付けることができるように、どのタイプの血管が治療されているかをエネルギー送達制御装置104上で選択することができる。
【0169】
[0233]特定の実装形態において、同様のエネルギー送達システムが、経尿道的ニードルアブレーション(TUNA)による前立腺肥大症の治療に使用される。そのようなシステムにおいて、高周波針(複数可)は、尿道を通って、前立腺の側葉内へ置かれる。針は、前立腺の標的エリアの温度を上昇させ、熱による壊死(局所組織死)を誘発するために励起される。手術のさらなる特定の実装形態において、組織は、病変ごとにおよそ3分間456kHzで送達されるRF電力により110℃に加熱され、凝固障害を引き起こす。代替の特定の実装形態において、針は、周囲前立腺組織に熱を転送する加熱素子を含むように構成される。そのような構成は、上に説明される最小化された配線のシリアル通信設計を含み得る。
【0170】
[0234]図33A図33Cは、静脈管腔内での均一加熱を促進するために利用され得る例となる技術を描写する。特定の実装形態において、同様のエネルギー送達システムが、子宮内膜アブレーションによる子宮内膜症の治療に使用される。そのようなシステム上では、子宮の電気外科手術または高周波は、最終的には熱くなり、子宮内膜の層を破壊する電流を流す特別な器具を子宮内に挿入することによって達成される。例示的な器具は、図33Cに描写されるワイヤループ3304、スパイク付きのボール、三角形メッシュ、ローラボール、もしくは図33Bに描写される膨張性バルーン3302、または図33Aに描写されるウィング3300を有し得る。さらなる特定の実装形態において、発電機は、40~120秒のプログラムされた治療サイクルで子宮内膜を均一の深さまでアブレーションするために、500KHzで最大180Wまで送達する。代替のさらなる特定の実装形態において、膨張性バルーン3302の加熱は、4分の治療セッションの間およそ70~75℃の表面温度を維持するように達成される。
【0171】
[0235]したがって、図33A図33Cに描写される例示的な器具はまた、静脈管腔内で加熱素子106を正しく中心に置くことによって加熱カテーテル102の均一な加熱を促進するために使用され得る。追加的に、図34Aおよび図34Bは、均一な加熱を促進するための別の器具または技術を描写する。この例では、加熱素子106は、図34Aに示されるように、互いから離れる方へ屈曲されるか、または湾曲して離れ、力が横から加熱素子106に印加されるときに互いに隣り合って静止および平行状態にある2つの平行な管上に提供される。故に、静脈管腔内では、各加熱素子106は、静脈管腔の側面を押すことになり、均一な加熱を確実にし、それらが、例えば、より小さい区域に遭遇するとき、互いに押し合うことになる。
【0172】
[0236]特定の実装形態において、同様のエネルギー送達システムが、肝臓、肺、乳房、腎臓、および骨内などのがん病変の治療に使用される。この治療において、熱は、典型的には、加熱素子を有する、または高周波エネルギーの送達のための1つもしくは複数の電極を有する針を介して、あるいはRFエネルギーを送達する複数の針によってなど、腫瘍内で直接印加される。
【0173】
[0237]特定の実装形態において、同様のエネルギー送達システムが、高周波神経切離によってなど、背部痛の治療に使用される。この治療において、熱は、脳への痛み信号の伝送を遮断するために標的神経路に印加される。1つもしくは複数の電極を有する針、または加熱素子は、脊椎内の隙間を通じて炎症した神経組織の治療領域内へ方向付けられる。
【0174】
[0238]特定の実装形態において、同様のエネルギー送達システムが、胃食道逆流症(GERD)によって引き起こされる炎症および損傷に応答して、正常な扁平上皮が、腸上皮化生として知られる特殊な円柱状の上皮で置き換わる病態であるバレット食道の治療に使用される。この治療において、熱は、食道のバレット内層に直接印加される。さらなる特定の実装形態において、エネルギー送達システムは、プレートベースの加熱素子または電極を伴う膨張性バルーンを有するアブレーションカテーテルと協働する。
【0175】
[0239]例となる製造組み立てステップは、主要シャフト管(例えば、ポリイミド管)の長さを切断することを含み得る。外部シャフト印を主要シャフト管に印刷(例えば、レーザエッチングまたはパッド印刷、代替的に、プラズマなどの表面処理後にパッド印刷)し、硬化して乾燥させる。シャフト印は、ユーザによる整合のための連続的な印、ならびに加熱素子端および貫通穴の場所などの加工ガイド印を含み得る。
【0176】
[0240]加熱素子が位置することになる領域内への線のための貫通穴を、ドリル穴あけ(例えば、レーザ加工、またはとがったホールカッター)、打ち抜き、スカイブする。サンディング、グリットブラスチング、または酸エッチング(酸性はんだ付けフラックスに含まれ得る)によってなど、酸化を除去するために加熱素子上の少なくともはんだ付け場所において清浄または研磨する。1つの例において、すずめっきプロセスが、銀ろうおよび塩酸フラックスを用いるなど、加熱素子のはんだ付け場所に適用される。加熱素子を清浄または中性化する。加熱素子を主要シャフト管に装填し、加工ガイド印(存在する場合)と素子を整合させる。コイル加熱素子が、シャフト管よりも小さいサイズのものであり、その結果として、コイル加熱素子が管の上で真っすぐに摺動されることができない場合、それが管の上で摺動することを可能にするためにコイルを広げる方向に加熱素子またはシャフトを回転させる(または互いに対して2つを逆回転させる)。
【0177】
[0241]コイル加熱素子は、2つのコイル端を逆回転させてコイルをシャフト管上へ締め付けることによって、適所にぴったりとはめられ得る。接続線(例えば、28~32G銅「マグネットワイヤ」)が、加熱素子上の適切な場所にはんだ付けされ得、例となるはんだ付け場所は、各端において最後の1/4~1/2コイルを銅線でサイドラップすること、または銅線を最後の2つのコイルの一部分の間に挟むことである。はんだ付けの前に、およそ2~5mmが露出した裸線であるように、線を切断、ブラッシング、またはスクレイピングすることによってなど、線の端から絶縁体を除去する。接続線は、最も近い貫通穴を通ってシャフトの近位端までねじ込まれ得る。熱電対(またはサーミスタ)は、温度検知の場所の近くの貫通穴を通ってねじ込まれ、コイル対コイルの短絡がないように(空気ギャップまたはPETなどの絶縁層によって防がれる)熱電対接合部(またはサーミスタバルブ)をコイル巻きの間に位置付け得る。シアノアクリレート接着剤を用いるなど、熱電対を適所に固定する。
【0178】
[0242]滑らかな外側ジャケットを加熱素子の上で摺動させ、所望のエリアを被覆するようにそれを整合させ、加熱素子をしっかりと被覆するようにそれを熱収縮させる。シャフト管の内側を通じて誘導線管腔を摺動させ、誘導線管の遠位端がシャフト管の遠位端をおよそ1.0~3.0mm超えて延びるように、それを整合させる。UV硬化アクリルまたはシアノアクリレートなどの接着剤を遠位先端に適用して、2つの管を一緒に接着し、丸みを帯びた非外傷性の先端を提供し、誘導線管腔内径への完全なアクセスを維持する。
【0179】
[0243]結果的に、上のステップは、加熱素子の別の実装形態のために取られ得るが、今回は第3の配線接続が、加熱素子の長さに沿ったある地点(例えば、コイルの遠位端から2.5cm)において加熱素子に追加され得る。追加的に、熱電対がその検知場所近くでシャフト管に入るための貫通穴を使用する代わりに、連続した加熱コイルの間の空間に熱電対線をコイル状の様式で巻き付ける。この同じコイル空間巻線は、例示的な加熱素子サブアセンブリBにおいて見られるように第3の配線接続のために使用され得、2つの巻線は、コイル空間内で互いに並んでいるか、コイル空間に沿って反対の方向に延びるか、または2つの組み合わせであってもよいということに留意されたい。
【0180】
[0244]別の例において、熱電対がその検知場所近くでシャフト管に入るための貫通穴を使用する代わりに、熱電対線を加熱コイルの上に敷き、その結果として、熱電対線は、加熱コイルと滑らかな外側ジャケットとの間に適所に閉じ込められ、加熱素子コイルの短絡を防ぐためには十分な電気絶縁体が熱電対線を被覆することが重要である。熱電対とコイルとの間の絶縁体のストリップは、熱電対線が加熱コイルを覆う長さ全体に沿って使用され得るか、または単に、熱電対線の端に沿って使用され得、この場合、端は接合部を作成するために剥ぎ取られ、代替的に、コイルは、熱電対との電気接触を防ぐために、収縮管またはパリレンまたは同様のコーティングで被覆され得る。絶縁体のフィルムストリップを整合させる1つの方法は、熱電対線が、熱電対接合部のエリアを過ぎて延びてストリップを適所に保持するように通過され得る、ストリップの一方の端の近くの2つの穴またはストラップを含むことである。
【0181】
[0245]ストリップを整合させる別の方法は、シアノアクリレートのように、それを糊付けすることである。この同じコイル上の線構成は、例示的な加熱素子サブアセンブリBにおいて見られるように第3の配線接続のために使用され得るということに留意されたい。滑らかな外側ジャケットを適所に熱収縮させる前に熱電対を所望の場所に位置付ける1つの方法は、フィラメント(綿またはポリマーまたはその他)を、熱電対接合部の場所を通ってねじ込み、次いで、テープのように、熱電対線をコイルアセンブリの一方の端に、およびフィラメントを他方の端に固定して、滑らかな外側ジャケットが適所へ収縮して熱電対線を閉じ込めている間、接合部を適所に保持することである。加熱コイル上の線プロファイルが加熱コイルの外側に沿って完全に突き出ないようにする1つの方法は、加熱コイル(おそらくは、加熱コイルが装填される管を含む)をダイ圧着固定具内に圧着することによってなど、熱電対線の経路に沿って内向きに加熱コイルを変形させることである。
【0182】
[0246]加熱コイル間に熱電対を置く代わりに、加熱コイルの真下に、好ましくは加熱コイルの内面と直接接触して、サーミスタを置く。サーミスタを位置付ける1つのやり方は、サーミスタ軸が主要シャフト管軸と平行であり、サーミスタの一方の側面が主要シャフト管の表面と同じ高さか、またはこれよりわずかに上に突き出るように、主要シャフト管内に窓を切り取ることである。サーミスタをその位置に保持する1つの手段は、主要シャフト管の管腔内へ反転してサーミスタを支え、それが主要シャフト管の管腔内へ支持されずに落ちることがないように保持する1つまたは複数のストラップを残して、主要シャフト管内に窓を切り取ることである。サーミスタを適所に保持する別の手段は、サーミスタの横または真下に成形プラグを置いて、それが主要シャフト管の管腔内へ支持されずに落ちることがないように保持することである。薄い熱収縮管の層が、加熱コイルを装填する前にサーミスタを適所に保持するために主要シャフト管の上に置かれ得る。
【0183】
[0247]加熱素子サブアセンブリが患者内へ挿入されることになるカテーテルシャフトの全長を含まない場合、印刷されたシャフト印を有する近位シャフト管(例えば、72D Pebax、ポリイミド、または他の材料)の追加の長さを主要シャフト管の近位端に接着する。この接着は、シアノアクリレートまたはUV硬化アクリルなどの接着剤であり得るか、またはそれは、熱接着され得る。その場所における例示的な熱接着は、Pebax近位シャフト管を、薄いPebax外層を有するポリイミド主要シャフト管へと溶融することである。
【0184】
[0248]ケーブルアセンブリ(一方の端にエネルギー送達制御装置104のための差し込みコネクタ、ならびに他方の端にケーブルアンカーおよびハンドル回路基板アセンブリを有する電気ケーブルを伴う)が、ハンドルアセンブリのA側と組み立てられる。歪み軽減体が、カテーテルまたは加熱素子アセンブリの近位端の上に置かれる。加熱素子アセンブリのカテーテルは、次いで、ハンドルアセンブリのA側に接着される。カテーテルまたは加熱素子アセンブリからの線は、ハンドル回路基板アセンブリと電気的に接続され(例えば、これにはんだ付けされ)、露出された電気表面は、UV接着剤などの絶縁材料を埋め込まれる。ボタン構成要素(複数可)が、ハンドルアセンブリのB側内へ組み立てられ得(または、ボタン機能が、A側およびB側の一方または両方の偏向部分内に設計され得る)、ハンドルアセンブリのA側およびB側は、互いに嵌合される。2つの半体は、プレスフィット・ポストアンドホール構成によって、接着剤接着によって、溶剤接着によって、または超音波溶接によって互いに嵌合され得る。歪み軽減体は、先に列挙された方法のいずれかによって、ハンドルアセンブリに嵌合され得る。
【0185】
[0249]カテーテルは、含まれる温度センサにより基準温度を測定すること、加熱素子にわたる電気抵抗を測定すること、および識別構成要素の有効性を測定することなど、すべての電気接続が効果的であることを確かめるために試験され得る。加熱カテーテル電子制御エンジンは、コード、ユーザのエネルギー送達システムを用いた治療を可能にする状態、およびおそらくは、試験の記録および/または試験結果などの測定されたデータによりプログラムされ得る。
【0186】
[0250]カテーテルは、ポリエチレンなどのコイル状の保護管内へ、ハンドルが管の端に直接、または隣接する管の側面もしくは中間ホルダにはまった状態で、挿入され得る。電気ケーブルは、保護コイルエリア内またはこれの横にはまるようにコイル状にされ得る。このコイル状のアセンブリは、TYVEK(登録商標)/MYLAR(登録商標)などの保護パウチ内で滑らせられ得、パウチの開端は、ヒートシールされる。このパウチは、エンドフラップの1つまたは複数を被覆する適切なラベリングを伴って、印刷された取扱説明書と一緒にチップボード紙箱内に置かれる。
【0187】
[0251]特定の実装形態において、加熱素子を有するカテーテルは、血管管腔が血管管腔内の加熱素子と一緒に平らにつぶれると(周囲組織の外部単方向圧迫のように)、カテーテルの加熱素子部分を治療血管管腔内でより中心に位置付けたままにすることが意図される拡張可能/つぶし可能な特徴部を有する。特定の実装形態において、カテーテルの加熱素子部分は、血管管腔が平らにつぶされると血管管腔に沿って加熱素子の扁平な蛇行配向を提供するパターンで湾曲される。特定の実装形態において、カテーテルの加熱素子部分は、血管管腔が加熱素子のサイズよりもはるかに大きい場合、加熱素子が血管管腔の表面に接触することを助けるためにらせん配向で湾曲される。
【0188】
[0252]デバイスケーブルアセンブリ内の導体の数を最小限にするために、デバイスコネクタ内の関連して減少された導体の数を伴って、1つの特定の実装形態は、電源導体、通信線導体、ならびに電力および通信のための共有帰路(アース)という3つの導体からなる。高レベルの電流のための帰線を共有することは、帰線導体にわたる電圧低下を引き起こし、これは、通信信号の基準電圧を妨げる。
【0189】
[0253]特定の実装形態において、専用回路(フィルタ、弁別器、およびシュミットバッファの組み合わせ)が、通信信号の元の形状(情報)を再作成するために使用される。非ゼロゲインの低域フィルタは、電源導体内の電流の変化によって通信ケーブル内に誘起される雑音成分をフィルタアウトする。弁別器は、信号の主形状を再作成する。シュミットバッファは、信号が信号レベルおよびスルーレートなどのデジタル信号要件を満たすように、信号をさらに変換する。
【0190】
[0254]この特定の実装形態のシミュレーションにおいて、回路の特定のステージにおける信号形状が示される。トレース1は、必要な情報を伝達する入力(通信)信号を示す。トレース2は、環境、例えば、電源導体内の電流変化によって生成される例示的な雑音(高周波数および低周波数両方の)を示す。トレース3は、トレース1からの信号およびトレース2からの雑音の組み合わせた影響を有する信号を示す。トレース4は、低域フィルタが雑音を除去し、信号を増幅した後の信号の形状を示し、この信号は、不適切なタイミングおよびスルーレート、ならびに寄生グリッチを示す。トレース5は、弁別器の出力における信号を示し、グリッチは除去されているが、信号は依然として不適切なスルーレートを示す。トレース6は、シュミットバッファの出力における信号を示し、ここでは信号は、それが伝達した情報を取得するための十分な品質を示す。信号6(出力)および1(入力)を比較することは、タイミングのわずかな劣化を伴った信号情報の適切な通信を示し、電圧は、送信および受信システムと一貫しているように意図的に異なる。
【0191】
[0255]生成装置動作、熱治療カテーテル、またはエネルギー放出プローブ構成、ならびに先端-スリーブ、先端-リング、先端-リング-スリーブ、先端-リング-リング-スリーブ、先端-リング-リング-リング-スリーブ、またはいわゆるブラインドコネクタもしくは「ヘッドフォンジャック」コネクタの他のタイプを用いるための他のそのような変異形のための上の設計特徴、変異形、および構成の多くは、後に続く代替的な単一熱セグメントカテーテルに有利に適用され得るということを理解されたい。
【0192】
[0256]図36Aは、押しボタンハンドル3602およびTRSコネクタ3604を有する加熱セグメント治療カテーテル3600の実施形態の斜視図である。ハンドル、ケーブル、およびTRSコネクタは、複数セグメント選択可能長さのカテーテル実施形態を用いて上に説明されるように構成され得る。追加的に、上に説明される生成装置は、単一の熱治療セグメントを認識し、これと相互作用するために、ハードウェアおよびソフトウェアを含む。
【0193】
[0257]治療カテーテルは、単一セグメント加熱カテーテルまたは複数セグメント選択可能長さ加熱カテーテルであり得る。加熱カテーテルは、およそ0.5cm~10cmの活性加熱長さHLの範囲に及ぶ抵抗コイル加熱素子を伴う40cm~100cmの挿入可能長さLを伴うシャフトを有し得る。いくつかの実施形態において、加熱素子は、最大で長さ20cm以上であり得る。カテーテルは、単一使用および使い捨てであり得る。加熱素子および/または温度検知を制御する回路(例えば、ハンドル基板)が、ハンドル内に配設され得る。いくつかの実施形態において、カテーテルの直径は、6F血管アクセスシステムとの使用が意図されるおよそ2.0mmであり得るが、カテーテルはまた、より小さい5F構造を有し得る。治療カテーテルは、送達中に調節不可能または調節可能である所望の設定点温度(例えば、130℃)での熱治療の送達のため、生成装置(上に説明される生成装置104など)との動作のために設計および構成される。
【0194】
[0258]いくつかの実施形態において、カテーテルは、治療中のコイル加熱素子の温度を検知または測定するように構成される熱電対または温度センサを含み得る。さらなる実施形態において、所望の設定点温度での熱治療の送達は、加熱コイルセンサ/熱電対からの信号を使用して生成装置によってフィードバックループ内で制御され得る。図36Bは、丸みを帯びた遠位先端3606、カテーテルシェル3610内の加熱コイルセグメント3608、および加熱コイルセグメント内の温度センサ(例えば、熱電対)3612の位置を示す図36Aのカテーテルの拡大断面図である。この図に見られるように、加熱コイルセグメントは、丸みを帯びた非外傷性の先端のみによって後退される治療カテーテルの最遠位端に位置付けられる。温度センサは、加熱コイルセグメントの近位端と遠位端との間の約半分のところの加熱コイル内の位置に示される。しかしながら、温度センサは、加熱コイルセグメント内の他の場所に置かれ得るということを理解されたい。
【0195】
[0259]上に説明されるように、カテーテルの内側の温度は、加熱コイル素子内に位置する温度センサまたは熱電対によって測定される。図37は、カテーテル熱電対3701が加熱素子3703に電力供給するための回路からガルバニック絶縁される、カテーテルのための回路3700の概略図である。ハンドル内の熱電対増幅器のガルバニック絶縁は、汚染されたカテーテル表面を通じたカテーテル内への流体進入によって引き起こされる手術エラーの可能性をなくす。
【0196】
[0260]本明細書に説明されるカテーテルの熱電対線は、絶縁コーティングによって絶縁され得、追加の密閉管が、熱電対接合部上に置かれ得る。これらの方策にもかかわらず、熱電対線が生産中に受ける応力の結果として、小さい損傷が依然としてコーティング上に見受けられ得る。コイル加熱器素子自体は、カテーテルシェル(例えば、FEPプラスチック層)によって外側のみ絶縁される。
【0197】
[0261]正しく作動する熱電対のための典型的な信号値は、数ミリボルトを超えない。カテーテルに電力供給する電圧は、数ボルトから約20Vまで様々である(加熱器タイプおよび加熱サイクルの相に応じて)。カテーテルの表面が汚染される(例えば、静脈治療手術中にチューメセント流体を注入している間、針によって穿孔することによって)場合、導電性流体(例えば、生理食塩水および血液)が、カテーテル内へ浸透し得、絶縁されていない加熱器コイル巻きと熱電対の損傷した絶縁体(例えば、熱電対線のコーティングにおける損傷を通じた)との間に導電路を作成する。加熱器が励起されるとき、カテーテルに電力供給する電圧は、熱電対信号をバイアスして、誤った超高温度読み出しをもたらす。それは、熱電対信号増幅器およびカテーテルを励起する電力回路の両方が同じ基準アースを共有することが理由で起こり得る。誤った高温度読み出しは、加熱サイクルが直ちに終了されることを引き起こし、過温度エラーが生成装置によって返される。
【0198】
[0262]上に説明されるエラーの可能性をなくすために、図37に例証される熱電対増幅器3702(および任意選択的に、2次熱電対増幅器3704)は、ハンドル電力回路からガルバニック絶縁される電圧源から電力供給される絶縁増幅器を使用して基準アースからガルバニック絶縁される。このやり方では、熱電対および加熱器は、同じ基準アースを共有せず、カテーテルの表面および熱電対線コーティングが汚染されて、導電性流体がカテーテル内へ浸透したとしても、誤った温度読み出しを引き起こす信号のための帰線は存在せず、故に、測定された温度値は正しいままである。熱電対電圧はもはやハンドル基板アース電位を参照しないため、熱電対読み出しは、熱電対と加熱器との間に短絡があるとしても、有効なままである。
【0199】
[0263]図38は、複数のユーザ選択可能な加熱長さを含み得る加熱コイルセグメント3808を有する複数セグメント選択可能長さ加熱カテーテル3800の1つの実施形態を例証する。加熱カテーテルは、本明細書に説明されるように生成装置に接続されるように構成され得る。いくつかの実施形態において、加熱カテーテルは、生成装置のソケット内へ差し込むように構成されるTRS型コネクタを含む。図38Aに示されるように、例証された実施形態は、3つの別個の加熱長さHL1、HL2、およびHL3を含み得る。いくつかの実施形態において、HL1は、およそ0.5cm~およそ5cmの範囲に及ぶ長さを有し得、HL2は、およそ2.5cm~20cmの範囲に及ぶ長さを有し得、HL3は、およそ5cm~40cmの範囲に及ぶ長さを有し得る。1つの特定の実施形態において、HL1は、2.5cmの長さを含み得、HL2は、6.25cmの長さを含み得、HL3は、10cmの長さを含み得る。しかしながら、加熱長さの長さは、用途または標的解剖学的構造に応じて様々であり得るということを理解されたい。例えば、別の実施形態において、HL1は、2.5cmの長さを有し得、HL2は、10cmの長さを有し得、HL3は、20cmの長さを有し得る。同様に、3つより少ないか多い加熱長さが、本明細書に使用される同じ原則を使用してカテーテル内に組み込まれ得る。カテーテルは、HL1加熱長さ内に位置付けられる温度センサ(例えば、熱電対)3812をさらに含み得る。カテーテルは、加熱長さHL1、HL2、およびHL3を含む加熱コイルセグメントを励起するように構成される複数のリードL1、L2、L3、およびL4を含み得る。例えば、HL1を励起するため、DC電流がリードL1およびL2に印加され得る。同様に、リードL1およびL3に印加されるDC電流は、HL2を励起することができ、リードL1およびL4に印加されるDC電流は、HL3を励起することができる。リードは、例えば、30~32AWG線を含み得る。
【0200】
[0264]いくつかの実施形態において、本明細書に説明されるカテーテルは、単一使用または限定的使用である。そのようなものとして、生成装置を含む本明細書内のシステムは、それらが使用された後カテーテルの再加工または再使用を防ぐための多くの方法を実装し得る。
【0201】
[0265]第一に、各カテーテルは、そのタイプによって「刻印(branded)」され、生産中にプログラムされ得る。刻印プロセスは、カテーテルのフラッシュメモリ内に(例えば、ハンドル基板内のファームウェアとして)情報を焼き付けることを含み得る。刻印は、制御装置/生成装置がカテーテルハンドル内に挿入されるカテーテルシャフトのタイプを識別することを可能にすることを含め、多くの目的を果たす。本明細書に説明されるように、多くの異なるカテーテルタイプが、システム内に実装され得る。例えば、カテーテルは、単一の加熱素子シャフト、複数長さの加熱素子カテーテルシャフト、短いカテーテルシャフト、長いカテーテルシャフトなどを含み得る。カテーテルのタイプをカテーテルのハンドル基板内へ刻印することによって、制御装置/生成装置は、カテーテルが制御装置に差し込まれるとき、カテーテルタイプを自動的および正確に識別することができ、その特定のカテーテルタイプを正確に制御するように自動的に制御装置/生成装置を構成することができる。
【0202】
[0266]いくつかの実施形態において、各カテーテルに刻印することはまた、製品トレーサビリティを可能にするためのカテーテル固有の生産ロット/シリアル番号を記憶することを含む。例えば、製造欠陥または問題がカテーテルの特定の生産ロットにより後で識別された場合、これらの欠陥カテーテルは、使用の試みがあるとき、制御装置/生成装置によって容易に、識別され得る、および/またはフラグが立てられ得る。
【0203】
[0267]地域コードもまた、カテーテルのハンドル基板内に刻印され得、区域分けの実施を可能にする。例えば、特定の地域または国は、利用可能なカテーテルタイプのサブセットのみを承認し得る。地域コードをカテーテルに刻印することによって、承認されたカテーテルタイプのみがそれらの特定の地域において生成装置によって使用され得る。例えば、カテーテルタイプ(例えば、長さ20cmの複数加熱素子カテーテル)は、米国においては使用が承認され得るが、欧州ではされない。これらのカテーテルに地域コードを刻印することは、米国のみでこの特定のカテーテルの使用を可能にするが、カテーテルが欧州の生成装置/制御装置に差し込まれた場合、使用を禁止または防止する。
【0204】
[0268]カテーテルにコード読み出し保護を刻印することは、偽造カテーテルの使用および生産をさらに妨げる。カテーテルは、ファームウェア内でコード読み出し保護をハンドル基板上に直接刻印されるため、刻印スキームは、リバースエンジニアリングを防ぐ。カテーテルは、刻印なしでは現場で機能することができないため、刻印付きのハンドル基板のない偽造カテーテルを制御装置/生成装置と共に使用することはできない。刻印がソフトウェア/ファームウェアにより行われるため、カテーテルには、ハードウェア変更の必要性なしに証明書が設けられている。
【0205】
[0269]カテーテルタイプ刻印に加えて、刻印は、治療サイクル数使用制限、時間使用制限、またはバッテリ充電使用制限時間使用制限を含む、カテーテルの使用に対する制限をさらに含み得る。例えば、カテーテルハンドル基板は、治療サイクル使用制限(例えば、56治療サイクルの使用制限)を刻印され得る。回数は、ファームウェアとしてカテーテルハンドル基板内に記憶され得る。回数がカテーテルハンドル基板上にローカルに記憶されるため、電力を切ること(例えば、カテーテルバッテリを除去または交換すること)は、治療サイクル回数に影響を及ぼすこと、これを変更すること、またはリセットすることがない。カテーテルが全治療サイクル制限にわたって使用されたとき、カテーテルは、非機能的になり得る。カテーテルはまた、時間使用制限(例えば、240分の使用の最大使用)を刻印され得る。上と同様に、カテーテルの時間使用は、追跡され、ハンドル基板自体に記憶され、時間使用が変更またはリセットされることを防ぐ。カテーテルが全時間使用制限にわたって使用されたとき、カテーテルは非機能的になり得る。
【0206】
[0270]1つの実施形態において、制御装置/生成装置は、設定された、または無作為の時間間隔で、定期的にカテーテルと通信するように構成され得る。生成装置がカテーテルと通信するとき、生成装置は、カテーテルが依然として有効であることを確実にするために、時間使用制限または治療サイクル制限を含むこれらの刻印制限をチェックすることができる。通信がカテーテルと生成装置との間でできない場合、システムは、カテーテルとの通信が再度確立されるまでアイドル/動作不能になり得る。
【0207】
[0271]別の実施形態において、制御装置/生成装置ファームウェアの容易なアップグレードを可能にするため、現場アップグレードを可能にするシステムが開示される。ブートローダは、制御装置/生成装置のメモリ内に永続的に存在する。制御装置の電源を入れると、ブートローダが常に最初に実行され、以下の役割を担う。
【0208】
[0272]1)取り外し可能なメモリ(例えば、SDカード)が制御装置に挿入され、メモリが有効なアプリケーションコード画像を含む場合、特定の状況下で、この画像は、制御装置のコードメモリ内に焼き付けられ得る。コード画像が焼き付けられるか否かは、取り外し可能なメモリに存在しなければならないキーファイルに依存する。キーファイルは、焼き付けられることが意図されるコード画像のバージョンを規定する。画像は、(a)キー内で規定されるバージョン番号がコード画像に埋め込まれたバージョン番号と同じである場合、(b)制御装置に現在ロードされているコードのバージョンがコード画像のバージョンよりも小さい(またはコードが全く制御装置にロードされていない)場合、および(c)コード画像がコード完全性チェックに合格する(チェックサムがコード画像に埋め込まれる)場合にのみ焼き付けられる。関数(b)は、ユーザが、コードをダウングレードすること、またはSDカードがソケット内に残っている場合、誤って同じバージョンを複数回焼き付けることを防ぐ。
【0209】
[0273]2)制御装置のコードメモリ内にコード画像が存在する(または、それがたった今焼き付けられた)場合、ブートローダは、その完全性を検証することができ、コード画像が有効である場合、ブートローダは、それに制御を渡し、制御装置アプリケーションの実行を開始する。アプリケーションコード画像は、適切な割り込み処理を可能にする埋め込み分岐テーブルを含み得る。
【0210】
[0274]図39A図39Cは、穿通枝静脈の治療の1つの実施形態を例証する。図39Aに示されるように、穿通枝静脈は、筋膜層Fを通過して、概して示されるように深部静脈系DVを表在性静脈系SVと接続する。図39Aを参照すると、筋膜層より下の標的治療部位は、PV内から超音波プローブ3902による超音波誘導の下でアクセスされ得る。この実施形態においては、必須ではないが、針または切削先端(例えば、手術用メス)を含む導入器3904が、表在組織区画内の筋膜層より上の皮膚を通ってPVにアクセスするために皮膚切開を行うことができる。次に図39Bを参照すると、血管カテーテル3906が、皮膚切開を通じてPV内へ導入され得る。いくつかの実施形態において、図39Aに説明される皮膚切開ステップは実施されないということを理解されたい。代わりに、針または切削先端を含む血管カテーテルが、皮膚を穿孔し、PVにアクセスするために直接使用され得る。1つの実施形態において、PVは、筋膜より上で血管カテーテルによってアクセスされる。別の実施形態において、PVは、筋膜より下で血管カテーテルによってアクセスされる。さらに別の実施形態において、PVは、筋膜より上で血管カテーテルによってアクセスされるが、その後、筋膜より下の位置へと静脈内でさらに前進される。最終的なアクセスは、超音波誘導を使用して、および血管カテーテルからの血液「フラッシュバック」に注目することによって、確実にされる。一旦PVがアクセスされると、内部針は、PV内の導入器管を出て除去され得、可撓性デバイス(本明細書に説明される1つまたは複数の加熱素子セグメントを有する可撓性カテーテルなど)の導入を受け入れる準備が整う。
【0211】
[0275]図39Cを参照すると、可撓性デバイス(本明細書に説明される1つまたは複数の加熱素子セグメントを有する可撓性カテーテルなど)は、PVにアクセスするために血管カテーテル内に挿入され得る。上に説明されるように、いくつかの実施形態において、血管カテーテルは、筋膜より上のPV内に位置付けられるか、または時としてそれは、筋膜より下に位置付けられる。筋膜より上の場合、カテーテルは、筋膜層より下のPVの部分にアクセスするために、筋膜層を過ぎて静脈内で前進され得る。可撓性カテーテルは、1つまたは複数の加熱素子をPV内および顔層(F)より下の初期治療部位に位置付けるために標的PV内で前進され得る。上に説明されるように、カテーテルは、カテーテルのハンドル上のボタンの1度押しにより、またはリモートフットスイッチの使用を通じて、標的静脈に熱療法を適用するように構成され得る。例えば、1つの実施形態において、カテーテルのハンドル上のボタンを押圧することは、調節不可能な130℃の設定点温度で20秒治療を標的部位に送達する。次いで、カテーテルは、必要な場合PV内の追加のセグメントまたは区域を治療するためにPV内で操作され得る。
【0212】
[0276]いくつかの実施形態において、PVの治療は、PVの外側から提供され得る。これらの実施形態において、筋膜層より下の標的静脈治療部位は、筋膜層より下で開始する超音波誘導の下でアクセスされる。PVは、指定の時間期間および温度(例えば、130℃で20秒の治療)で可撓性カテーテルを用いて熱をPVに印加することによって、上に説明されるように治療される。可能な限り依然としてさらなる変異形では、例えば、PVの一部分の治療は、加熱コイルを、選択したPVセグメント内に、または選択したPVセグメントの外側もしくはこれに隣接して、置くことによって実施され得る。
【0213】
[0277]より詳細には、除去可能な針先端を有する導入器が、標的治療部位および穿通枝静脈PVの方へ方向付けられて皮膚を通じて導入され得る。次に、超音波誘導の下、針および導入器は、深部組織区画内の筋膜層より下のPVへ向けて前進され、その中に入り得る。次いで、針は撤退され得る。この時点で、血管壁内の開口部を介した穿通枝静脈PVの内側へのアクセスが提供される。次に、治療カテーテルは、導入器に沿って筋膜層より下のPV治療部位へ前進され得る。治療セグメント(例えば、カテーテルの加熱長さ)がPVに隣接する、またはPV内の所望の位置にあることが満たされると、ユーザは、熱治療を活性化することができる(例えば、可撓性カテーテルのハンドル上のボタンを押すことによって)。ボタン上のハンドルを押圧する行為は、生成装置内でエネルギー送達プロトコルを開始して、既定の温度で既定の時間期間にわたって(例えば、130℃設定点で20秒)エネルギーを単一のコイルセグメントに送達する。
【0214】
[0278]治療が完了すると、加熱カテーテルおよびカニューレは、穿通枝静脈内に収縮した領域を残して除去され得る。任意選択的に、カテーテルは、撤退される前に、治療セグメントを1つまたは複数の他の治療部位に位置付けるために操縦され得る。追加的に、示されないが、カテーテルは、以前に置かれたガイドワイヤの上で治療部位まで前進され得る。追加的に、示されないが、エネルギーを治療部位に送達する前に、局所腫脹性流体/麻酔(すなわち、エピネフリン混合物ありまたはなしで、生理食塩水+リドカイン)が、周囲組織を保護し、治療中のいかなる痛みも最小限にするために、PVの外側に投与され得る。
【0215】
[0279]図40Aは、図36Bに示されるように位置付けられる熱電対によって測定される、図36A内のカテーテルによって送達される20秒の治療期間にわたって測定される温度のグラフである。このグラフは、130℃設定点が、開始傾斜の直後または約5秒から20秒治療セッションの終わりまで加熱コイル内の熱電対によって測定されたことを示す。
【0216】
[0280]図40Bは、図39Aの20秒の治療期間を実施する間、加熱コイルの遠位部分、中央部分、および近位部分に隣接する地点において測定される図36Aのカテーテルの治療コイル近くの外部温度のグラフである。このグラフは、電力が治療セグメントに送達されるときの上昇温度を示す。5秒から20秒の治療セッションの大部分の間、比較的安定した、および予測された上昇温度が、すべての測定セグメントにおいて観察される。これらのグラフは、治療領域に隣接する外部組織における最大温度測定が、電力送達が20秒治療セッションの終わりに終了される時までおよそ95℃を超えなかったことを示す。カテーテルの外部温度とカテーテルの内部測定された設定点温度との間のこのようなデルタオフセットは、材料の選択、材料の寸法、および設定点温度自体によって、設計プロセス中に最適化および/または調節され得る。
【0217】
[0281]様々な実施形態において、本明細書に説明される生成装置は、任意の数の代替的な実施形態の単一熱治療セグメントを認識し、これと相互作用するために、ハードウェアおよびソフトウェア修正を含む。追加的に、多数の様々なPIDチューニング、所望の電力曲線の形状、電力送達曲線の形状、または他の制御可能な生成装置出力が、単一加熱セグメントカテーテルの最適使用のため、本明細書に説明される概念を利用して可能である。依然としてさらに、生成装置は、ボタンがハンドル上で作動されるとき、図40A図40Bの温度プロファイルまたは機能的同等物が血管系の標的部位内にもたらされる動作命令を含む。追加的または任意選択的に、生成装置ディスプレイは、単一セグメントカテーテルが接続されることを示し得、ディスプレイとの相互作用を介した追加の機能性を含むか、またはディスプレイ相互作用のための機能性を提供しない場合がある。
【0218】
[0282]図41は、単一セグメント熱治療TRSカテーテルまたは複数の選択可能熱セグメント治療TRSカテーテルを選択し、患者の静脈血管系内の治療部位へ療法を送達する方法400である。
【0219】
[0283]まず、ステップ405において、患者は、適切な加熱カテーテルデバイスの選択に伴って起こる静脈血管系の一部分への熱治療のために評価される。
[0284]次に、単一加熱素子カテーテルを用いて(ステップ410)または複数の選択可能加熱セグメントカテーテルを用いて(ステップ415)進行するかの決定が存在する。
【0220】
[0285]選択されたカテーテルタイプは、カテーテルTRSコネクタを生成装置104の前面の適切なソケット内に挿入することによって生成装置に接続される。(ステップ420)。
【0221】
[0286]ステップ425において、生成装置は、カテーテルタイプを単一または複数のセグメントとして自動的に認識し、次いで(i)ハンドル押しボタンまたはフットスイッチの動作を可能にし、(ii)カテーテルタイプを示すために表示を変更し、(iii)表示機能(ある場合)を可能にする。
【0222】
[0287]適切な血管アクセス技術を使用して(例えば、図39A)、加熱カテーテルは、超音波誘導を使用して標的解剖学的構造体まで前進される。(ステップ430)。
[0288]ステップ440に対する回答がYESであり、単一の加熱セグメントが穿通枝静脈を治療するために使用されている場合、加熱素子は、筋膜を越えて初期治療部位まで前進される。(ステップ445)。
【0223】
[0289]所望の位置にあるとき、ユーザは、ハンドル上の押しボタンまたはフットスイッチを押下し、生成装置は、所望の電力プロファイルを送達する(ステップ450)。
[0290]ユーザが別のセグメントを治療することを望む場合、ステップ455に対する回答はYESであり、ユーザは、カテーテルの位置を調節し、ステップ455に対する回答がNOになるまでステップ450および455を繰り返す。その時点で、ユーザは、ステップ460に進み、治療カテーテルを除去して手術を終わりにする。
【0224】
[0291]ステップ430に戻ると、ステップ465に対する回答がYESであり、複数の選択可能加熱セグメントカテーテルが静脈を治療するために使用されている場合、加熱素子セグメントは、初期静脈治療部位内を、またはこれに近接して前進される。(ステップ470)。
【0225】
[0292]所望の位置にあるとき、ユーザは、活性化されるべきセグメントの数を示すために生成装置と相互作用する。その後、ユーザがハンドル上のボタンを押下し、生成装置が、所望の電力プロファイルを送達する(ステップ475)。
【0226】
[0293]ユーザが別のセグメントを治療することを望む場合、ステップ455に対する回答はYESであり、ユーザは、カテーテルの位置を調節し、生成装置ディスプレイと相互作用し、ステップ455に対する回答がNOになるまでステップ470および475を繰り返す。その時点で、ユーザは、ステップ460に進み、治療カテーテルを除去して手術を終わりにする。
【0227】
[0294]追加の代替的な態様において、治療カテーテルおよびエネルギー送達生成装置は、それらの間の通信を確立するために、ブラインド(blind)コネクタ(換言すれば、自動位置合わせコネクタ)または他の押し込み接続タイプコネクタのために適合され得る。このタイプの接続モードは、カテーテル-生成装置通信を確立するために完全に、および特定の配向で係合しなければならない、いくつかの別個のピン-ソケット接続点を用いるカテーテルおよび生成装置インターフェースに共通である従来の複数のピンコネクタとは対照的である。
【0228】
[0295]対照的に、TS、TRS、TRRS、およびTRRRS設計を含むいくつかの異なる「TRS型」コネクタを例証する図42A図42Dについて検討する。図42Aは、先端-スリーブまたはTSコネクタの側面図である。図42Bは、先端-リング-スリーブまたはTRS型コネクタの側面図である。図42Cは、先端-リング-リング-スリーブまたはTRRS型コネクタの側面図である。図42Dは、先端-リング-リング-リング-スリーブまたはTRRRS型コネクタの側面図である。これらの単純な押し込み接続型コネクタに対する何らかの修正、または一修正が、本明細書に説明されるカテーテル/生成装置において使用され得る。
【0229】
[0296]TRS型コネクタが本明細書に説明されるカテーテル内に実装されるとき、カテーテルは、カテーテルのハンドルとケーブルの終端上のTRS型コネクタとの間に延びる相互接続ケーブルをさらに含み得る。この実施形態において、TRSコネクタは、エネルギー送達制御装置または生成装置のソケットに受容されるように構成される。相互接続ケーブルは、電力送達線、通信線、ならびにエネルギー送達制御装置への電力送達線および通信線のための帰線を提供する共有アース線を含み得る。この実施形態において、相互接続ケーブルの線は、TRS型コネクタ内で終端するように構成され得る。
【0230】
[0297]本明細書に提供されるカテーテルの可撓性の性質は、当該分野における他の競合デバイスに勝る多くの利点を提供する。まず、可撓性カテーテルおよび提供されたカテーテルの長い長さ(例えば、最大で長さ40cm~100cm)は、PV内でのより深いアクセスを可能にする。いくつかの実施形態において、可撓性カテーテルは、筋膜層より数センチ下のPV内へ挿入され得る。筋膜層よりはるかに下のPVにアクセスする能力は、筋膜層より下で複数の治療を適用する機会を提供する。例えば、0.5cm加熱素子長さを有する可撓性カテーテルは、筋膜層より下のPV内へ挿入され得、加熱素子は、筋膜層より下で第1の治療を提供するために活性化され得る。次に、カテーテルは、移動(すなわち、後退)され得、加熱素子は、筋膜層より下で第2の治療を提供するために活性化され得る。このプロセスは、カテーテルが筋膜層より上に位置付けられるまで繰り返され得る。治療は、所望の治療が完了するまでは筋膜層より上であってもPV内で継続し得る。したがって、いくつかの実施形態において、1つまたは複数の治療は、筋膜層より下のPV内で提供され、1つまたは複数の治療は、筋膜層より上で提供される。
【0231】
[0298]図43は、患者の穿通枝静脈を治療するための1つの実施形態を説明するフローチャートである。ステップ4402において、可撓性カテーテルは、筋膜層における、またはこれより下の穿通枝静脈の標的領域内へ挿入され得る。ステップ4404において、カテーテルの加熱素子は、筋膜層における、またはこれより下の標的領域に熱療法または熱治療を提供するために活性化され得る。次に、任意選択のステップ4406において、可撓性カテーテルは、PV内の第2の標的領域に移動され得る(例えば、患者の皮膚に向かって近位に撤退される)が、依然として筋膜層に、またはこれより下にある。任意選択のステップ4408において、別の熱治療が、第2の標的領域において適用され得る。任意選択のステップ4406および4408は、所望の場合、筋膜層における、またはこれより下の後続の第3、第4、第5、第6などの標的領域のために繰り返され得る。
【0232】
[0299]ステップ4410において、可撓性カテーテルは、今度は筋膜層より上のPVの第3の標的領域へ移動(例えば、後退)され得る。最後に、ステップ4412において、加熱素子は、筋膜層より上の第3の標的領域に熱療法を提供するために活性化され得る。
【0233】
[0300]いくつかの実施形態において、2つ以上の治療サイクルが、次の治療部位へ移動する前に、静脈内の同じ位置で実施され得る。例えば、図43のフローチャートを参照すると、大半の治療サイクル、または代替的に、最も長い治療時間は、第1の標的領域において適用され得る。治療が第2、第3、第4などの標的領域へと進行すると、より少ないか等しい治療サイクルまたはより少ないか等しい治療時間が、各後続標的領域に適用される。例えば、1つの実施形態において、40秒の合計治療時間が、第1の標的領域において適用され得、20秒の合計治療時間が、各後続標的領域(例えば、第2、第3、第4などの標的領域)に適用され得る。別の実施形態において、80秒の療法が第1の標的領域に適用され得、60秒の療法が第2の標的領域に適用され得、40秒の療法が第3の標的領域に適用され得、20秒の療法が第4の標的領域に適用され得る。
【0234】
[0301]図44は、穿通枝静脈などの患者の静脈の治療のための治療計画のための方法を説明する別のフローチャートである。上に説明されるように、本明細書に説明されるような加熱素子を有する可撓性カテーテルは、患者の穿通枝静脈内へ挿入され得る。いくつかの実施形態において、穿通枝静脈は、患者の筋膜面より上に位置付けられる場所においてアクセスされる。次いで、カテーテルは、静脈内をアクセス場所から筋膜面を過ぎて、穿通枝静脈内かつ筋膜面より下の第1の治療場所まで前進され得る。
【0235】
[0302]患者の解剖学的構造体に対するカテーテルの加熱素子の場所は、患者に対する治療のタイプを決定するために使用され得る。例えば、加熱素子(または加熱コイル)の全長が深部筋膜面よりも下にある場合(ステップ402)、および複数のセグメントまたは治療が計画される場合(ステップ404)、ステップ406において、セグメントあたり少なくとも6回の治療が、深部筋膜面より下で計画または提供され得、セグメントあたり6回以下の治療が、深部筋膜面より上で計画または提供され得る。
【0236】
[0303]この実施形態の目的のため、「セグメント」は、治療が計画される穿通枝静脈内の場所と定義され得る。「治療」は、既定の時間(例えば、20秒)にわたる、および既定の温度(例えば、130℃)でのカテーテルの加熱素子による熱エネルギーの印加と定義され得る。
【0237】
[0304]したがって、1つの実施形態において、ステップ402、404、および406を含む治療体制は、深部筋膜面より下の穿通枝静脈内での130℃で20秒の少なくとも6回の治療、および深部筋膜面より上の穿通枝静脈内での130℃で20秒の6回以下の治療を含み得る。既定の時間および既定の温度は調節され得るということを理解されたい。
【0238】
[0305]加熱素子(または加熱コイル)の全長が深部筋膜面よりも下にある場合(ステップ402)、および複数のセグメントまたは治療が計画されない場合(ステップ404)、ステップ408において、およそ10~12回の治療が、深部筋膜面より下の治療部位において計画または提供され得る。
【0239】
[0306]同様に、加熱素子(または加熱コイル)の全長が深部筋膜面よりも下にない場合(ステップ402)、および複数のセグメントまたは治療が計画されない場合(ステップ410)、ステップ408において、およそ10~12回の治療が、深部筋膜面より上、または深部筋膜面より上および下の両方のいずれかの治療部位において計画または提供され得る。
【0240】
[0307]最後に、加熱素子(または加熱コイル)の全長が深部筋膜面よりも下にない場合(ステップ402)、および複数のセグメントまたは治療が計画される場合(ステップ410)、ステップ412において、およそ8~12回の治療が、深部筋膜面より上、または深部筋膜面より上および下の両方のいずれかの各セグメントにおいて計画または提供され得る。
【0241】
[0308]選択される治療/セグメントの数は、静脈サイズ、治療されるべき静脈の長さ、治療されているセグメント内の支流の解剖学的構造、治療中の加熱素子におけるバブリング変化(超音波の下で観察されるような)、ならびに超音波の下での治療中および治療後のエコー輝度変化/陰影を考慮しなければならない。図44に説明される治療の数は、必須ではないが、その代わりに、静脈閉塞に成功するために静脈の各区域において何回治療が実施されるべきかを選択するためのガイダンスとして使用され得る。これらのガイドラインに加えて、超音波可視化フィードバックもまた、各治療の成功を決定し、各セグメントにおいて実施するための治療サイクルの数を管理するために使用され得る。閉塞の成功は、多くの場合、直接超音波可視化の下で、治療されている静脈において見られる泡/バブリングの減速として現れ(例えば、治療される各々の連続した静脈セグメントでは、静脈がアブレーションされ、任意のさらなる血流を遮断されると、多くの場合、腔内のバブリング効果が減少する)、治療に成功している各追加セグメントでは、組織の超音波エコー密度/エコー輝度もまた、より大きくなり、多くの場合静脈/組織アブレーションの成功を示し得る遠視野超音波陰影効果を引き起こす。最後に、カテーテルの加熱コイルのエコー輝度もまた、複数セグメント治療長さに沿った一貫したおよび完全な静脈アブレーションを確実にするために、各々の連続した引き戻しを伴って静脈内の位置を可視化するために使用され得る。
【0242】
[0309]本明細書に提供されるこれらおよび他の例は、例証することが意図され、説明された実装形態を制限することは必ずしも意図されない。本明細書で使用される場合、用語「実装形態」は、限定ではなく例として例証する役割を果たす実装形態を意味する。先の文章および図において説明される技術は、代替の実装形態をもたらすために状況に応じて混合および整合され得る。
【0243】
[0310]本明細書で使用される場合、用語「実施形態」は、限定ではなく例として例証する役割を果たす実施形態を意味する。先の文章および図において説明される技術は、代替の実施形態をもたらすために状況に応じて混合および整合され得る。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33A
図33B
図33C
図34A
図34B
図35A
図35B
図36A
図36B
図37
図38
図39A
図39B
図39C
図40A
図40B
図41
図42A
図42B
図42C
図42D
図43
図44
【国際調査報告】