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特表2023-523318人体の器官の超音波画像を取得するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】人体の器官の超音波画像を取得するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20230526BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565560
(86)(22)【出願日】2021-04-25
(85)【翻訳文提出日】2022-12-07
(86)【国際出願番号】 IL2021050469
(87)【国際公開番号】W WO2021220263
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】274382
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520133190
【氏名又は名称】プルセンモア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゾンネンスケイン、エラザール
(72)【発明者】
【氏名】アルベック、イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】エリア、パス
(72)【発明者】
【氏名】ベッヒャー、メナヘム
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE11
4C601GA18
4C601GA21
4C601GD04
4C601KK16
4C601KK31
4C601LL26
(57)【要約】
人体の器官の超音波画像を取得するためのシステムは、スキャナと、当該スキャナと関連付けられる少なくとも1つの慣性計測装置IMUとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の器官の超音波画像を取得するためのシステムであって、スキャナと、前記スキャナと関連付けられる少なくとも1つの慣性計測装置(IMU)とを備える、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのIMUは前記スキャナと一体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのIMUは、プラグ・イン接続を介して前記スキャナに接続される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのIMUは、前記スキャナと関連付けられる要素内に設けられており、動作中に前記スキャナとともに動く、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、前記患者自身を含む、超音波走査の訓練を受けていない人による走査も可能にする指示を、前記システムの前記オペレータに発行するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記スキャナは、オペレータによって保持され、人又は動物の皮膚にわたって動かされるように人間工学的に設計されているハウジングを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ハウジングは、少なくとも、前記超音波画像を得るために前記患者の身体上に配置されなければならない前記システムの最小数の構成要素を備えるか、又は、前記構成要素と関連付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ハウジング内の又は前記ハウジングと関連付けられる前記最小数の構成要素は、i)超音波プローブ・ヘッド、ii)三軸加速度計及び三軸ジャイロスコープを含む前記少なくとも1つのIMU、iii)遠隔端末との有線又は無線通信のための電子構成要素、並びにiv)電源である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
多くの異なる構成に配置構成され得る他の構成要素を備え、前記他の構成要素のうちの少なくともいくつかは、前記ハウジング内に配置されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記ハウジング内に配置されていない前記他の構成要素は、前記患者の近くであるが前記ハウジングから分離されているロケーションに配置されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記ハウジング内に配置されていない前記他の構成要素は、前記ハウジング内に配置されているか、又は、前記ハウジングと関連付けられる構成要素と通信する、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムの前記他の構成要素は、v)電子構成要素を用いることによって超音波信号を送受信するアナログ・フロント・エンド(AFE)、vi)ソフトウェアを含むプロセッサ、vii)表示画面及びユーザの指示を受け入れるための手段を備えるユーザ・インターフェース、並びにviii)前記プロセッサ内の前記ソフトウェアによって処理されるデータ及び画像を記憶するように適合されているデバイス構成要素である、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記AFEの前記電子構成要素は、送信機、受信機、増幅器、並びにアナログ-デジタル(A/D及びデジタル-アナログ(D/A)変換器を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ソフトウェアは、前記システムを動作させ、前記AFEから受信される超音波信号を受信及び処理して超音波画像を生成し、前記IMUから受信される慣性計測信号を受信及び処理するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記AFE、IMU、MCUなどのプロセッサ、FPGA、CPLD、メモリ・デバイス、及び通信構成要素は、別個の集積回路(IC)として提供されるか、又は前記ICのうちの少なくともいくつかを含む1つ以上のASICに集積されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記システムは、追加の構成要素を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記追加の構成要素は、ix)遠隔端末、x)少なくとも1つの追加のIMU、xi)少なくとも1つの三軸磁力計、xii)少なくとも1つの圧力センサ、並びにxiii)遠隔の医療提供者と通信するためのスピーカ及びマイクロフォンのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記ソフトウェアは、超音波画像を生成すること、前記データを分析すること、いずれの画像が前記表示画面上に表示されるのに満足な品質であるかを判断すること、低品質画像を破棄すること、前記スキャナの前記ハウジングを所定の様式で保持するように前記オペレータに指示すること、前記スキャナの前記ロケーション及び高度,並びに、所望に応じて、ロール及びピッチ・ヨーを計算すること、満足な品質の画像を生成するために十分な圧力が皮膚に及ぼされるように前記スキャナが保持されているか否かを判定すること、及び、満足を得るために前記スキャナを正しく動かす方法の指示を効果的に提供すること、のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記ソフトウェアによって生成される、前記オペレータに対する指示は、前記表示画面上に視覚的に又は前記スピーカから聴覚的に与えられる、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記オペレータに対する指示は、遠隔端末に位置する訓練を受けた医療専門家によって、前記表示画面上に視覚的に又は前記スピーカから聴覚的に与えられる、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記電子通信構成要素は、USB、Lightning、光ファイバ、Wi-Fi、UWB、Bluetooth及びIRのうちの1つ以上から選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項22】
前記装置と前記身体との間の結合が不十分な場合に前記ユーザにアラートするように適合されている、IMUから独立した構成要素を備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記走査速度が速すぎる場合に前記ユーザにアラートするように適合されている、IMUから独立した構成要素を備える、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療デバイスの分野に由来する。特に、本発明は、慣性計測装置を使用して手持ち式超音波プローブを適切に位置付け、動かすためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の解剖学的構造に対する医療センサ又は医療デバイスのロケーション、及び、センサ又はデバイスが動いているか又は動いているべきである速度を知ることは、高度遠隔制御、ロボット、自律的、自己フィードバック、又は他の自動医療手順の機能にとって重要である。
【0003】
超音波プローブ(本明細書においては単純にするために「スキャナ」、「超音波ヘッド」、又は単純に「プローブ」としても様々に参照される)が人体にわたって動く速度は、重要な情報を提供する。例えば、何らかの範囲よりも遅く又は速く撮影された画像は、削除される場合があるか、又は、場合によっては、不鮮明な画像を増強するために特別なフィルタリング及び画像処理技法を受ける可能性があり得る。また、動きを停止するとき、走査経路を修正する方法、向きを変更するか又はプローブを傾ける方法などのような、手順のいくつかの態様に関する指示が、オペレータに与えられる場合もある。患者の身体上に配置されたジンバル上に搭載された超音波プローブ又はセンサを遠隔制御する場合、超音波プローブが動く二次元又は三次元速度を知ることは、ジンバル及び/又はプローブの全体的なロケーション、姿勢及び速度を追跡するためにも重要である。
【0004】
極めて一般的な手順は、とりわけ、ほぼすべての女性が自身のかかりつけ医又は診療所への出生前訪問中に受ける、超音波走査である。典型的には、このシナリオにおいて、超音波技師(超音波検査士)又は医師が走査を実施する。オペレータ、すなわち、技師、助産師、かかりつけ医、超音波検査士などは、自身の経験に基づいて、胚の特定の構造を撮像するためにスキャナ・ヘッド又はプローブを配置しなければならない最良の位置及び向き、スキャナの身体への良好な結合を維持するために必要である腹部に対する圧力の正しい量、腹部に対するプローブの角度、並びに、良好な撮像を可能にする正しい走査速度を知っている。その上、オペレータは、プローブによって生成される画像を画面上でリアル・タイムに見て、その位置を最適化又は修正することが可能である。本明細書において、「プローブ」又は「超音波プローブ」という用語は、任意の有用なプローブ、線形若しくは凸面フェーズド・アレイ、HIFU、又は他のセンサを指す。
【0005】
本明細書の文脈において、「スキャナ」という用語は、例えば、超音波画像などのデータをそこから取得するために、患者の身体の表面の上を動かなければならない要素、ハウジング又はデバイスを指すものとして理解されるものとする。
【0006】
多くの走査は、単に、例えば心拍数、動き、羊水量、音、及び呼吸などの胚のバイタリティ・サインを監視するために行われる。これらの走査はまた、患者によって、自宅、又は、診療所、病院若しくは医療施設でない他のロケーションにおいて実行される場合もあり、したがって、負荷のかかりすぎる医療システム時間及びリソースが節約され、場合によっては緊急診療部への不要な訪問、又は、かかりつけ医の診療室、診療所若しくは病院への出生前訪問が回避される。しかしながら、超音波走査を実施するには、訓練を受けていない人が持っていない超音波オペレータの技能がいくらか必要である。技能を有しない人が、有用な結果をもたらす「自分でできる」超音波走査を実施することができる手段を提供することが非常に望ましいことは、明白である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、スキャナ・ヘッド(超音波プローブ)の運動を監視し、スキャナ・ヘッドを所望のロケーションに位置付けるのを支援するフィードバックを提供することによって、患者が超音波走査を実施するのを支援するデバイス及び方法を提供することである。
【0008】
本発明のさらなる目的及び利点が、説明が進行するにつれて明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、人体の内部器官の超音波画像を取得するためのシステムを包含する。システムは、スキャナと、スキャナと関連付けられる少なくとも1つの慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)とを備える。
【0010】
システムのいくつかの実施例において、少なくとも1つのIMUは、a)スキャナと一体的である、b)プラグ・イン接続を介してスキャナに接続される、及びc)スキャナと関連付けられる要素内に設けられ、走査中にスキャナとともに動く、のうちの1つである。
【0011】
システムのいくつかの実施例は、患者自身を含む、超音波走査の訓練を受けていない人による走査も可能にする指示を、システムのオペレータに発行するように構成されている。
【0012】
システムのいくつかの実施例において、走査は、訓練を受けていないオペレータによって実施され、走査は、医療専門家による分析のために遠隔ロケーションに伝送される。
【0013】
システムのいくつかの実施例は、オペレータと、遠隔した個人又は監視されていないシステムとの間の双方向通信を可能にするように構成されており、監視されていないシステムは、自動画像分析回路を備える。双方向通信は、オーディオ、視覚、及びビデオ通信、並びにそれらの組み合わせから選択することができる。システムのいくつかの実施例において、走査が訓練を受けていないオペレータによって実施されるとき、オペレータと医療専門家との間で双方向ビデオ通信が可能にされ、医療専門家が画像を解釈し、必要な場合に助言を与えるのを補助するために、オペレータが走査手順を実行している間にオペレータ及び医療専門家が互いに顔を合わせることが可能になる。いくつかの実施例において、システムは、システムの出力が、リアル・タイムに又は画像が取得された直後にのいずれかで遠隔した医療専門家及び/又は監視されていないシステムに直接的に送信されるように構成されている。
【0014】
システムのいくつかの実施例は、医療専門家が画像を解釈するのを補助するために、スキャナの画像を超音波走査の上に重ね合わせるように構成されている。
【0015】
システムのスキャナの実施例は、オペレータによって保持され、人又は動物の皮膚にわたって動かされるように人間工学的に設計されているハウジングを備える。ハウジングのいくつかの実施例は、少なくとも、超音波画像を得るために患者の身体上に配置されなければならないシステムの最小数の構成要素を備えるか、又は、当該構成要素と関連付けられている。ハウジングのいくつかの実施例において、ハウジング内の又はハウジングと関連付けられる最小数の構成要素は、i)超音波プローブ・ヘッド、ii)三軸加速度計及び三軸ジャイロスコープを含む少なくとも1つのIMU、iii)遠隔端末との有線又は無線通信のための電子構成要素、並びにiv)電源である。
【0016】
システムのいくつかの実施例において、ハウジングは、多くの異なる構成に配置構成され得る他の構成要素を備え、それらの他の構成要素のうちの少なくともいくつかは、ハウジング内に配置されてもよい。これらの実施例において、システムの他の構成要素は、v)電子構成要素を用いることによって超音波信号を送受信するアナログ・フロント・エンド(AFE:Analog Front End)、vi)ソフトウェアを含むプロセッサ、vii)表示画面及びユーザの指示を受け入れるための手段を備えるユーザ・インターフェース、並びにviii)プロセッサ内のソフトウェアによって処理されるデータ及び画像を記憶するための少なくとも1つのメモリ・デバイスである。これらの実施例において、ハウジング内に配置されていない他の構成要素は、患者の近くであるがハウジングから分離されているロケーションに配置される。これらの実施例において、ハウジング内に配置されていない他の構成要素は、ハウジング内に配置されているか、又は、ハウジングと関連付けられる構成要素と通信する。
【0017】
システムのいくつかの実施例において、AFEの電子構成要素は、送信機、受信機、増幅器、並びにアナログ-デジタル(A/D:analog to digital及びデジタル-アナログ(D/A:digital to analog)変換器を含む。
【0018】
システムのいくつかの実施例において、ソフトウェアは、システムを動作させ、AFEから受信される超音波信号を受信及び処理して超音波画像を生成し、IMUから受信される慣性計測信号を処理するように構成されている。
【0019】
システムのいくつかの実施例において、AFE、IMU、プロセッサ、メモリ・デバイス、及び通信構成要素は、別個の集積回路(IC:integrated circuit)として提供することができるか、又は、それらのICのうちの少なくともいくつかを含む1つ以上のASICに集積することができる。明確にするために、例えば、プロセッサは、FPGA又はMCU又はADC若しくはDACを含むMCUであってもよいことは理解されたい。代替的に、ASICとして実装されるAFEがまた、ADC及び/又はDACを含んでもよい。
【0020】
システムのいくつかの実施例は、追加の構成要素を備える。追加の構成要素は、ix)遠隔端末、x)少なくとも1つの追加のIMU、xi)少なくとも1つの三軸磁力計、xii)少なくとも1つの圧力センサ、並びにxiii)遠隔した医療提供者と通信するためのスピーカ及びマイクロフォンのうちの少なくとも1つを含む。
【0021】
システムのいくつかの実施例において、他の構成要素v)~viii)のすべてが、有線又は無線通信リンクを介してスキャナに接続されている遠隔端末内に含まれる。システムの他の実施例において、他の構成要素v)~viii)の一部はスキャナ内に含まれ、残りの構成要素は、有線又は無線通信リンクを介してスキャナに接続されている遠隔端末内に配置される。
【0022】
システムのいくつかの実施例において、遠隔端末は、ポータブル通信デバイスである。システムのいくつかの実施例において、ポータブル通信デバイスは、スマートフォンである。システムのいくつかの実施例において、ポータブル通信デバイスは、ディスプレイ、IMU及びプロセッサを備える。システムのいくつかの実施例において、ポータブル通信デバイスは、スキャナのハウジング内のソケット内に嵌合する。システムのいくつかの実施例において、ポータブル通信デバイスは、ハウジングの一体部分である。システムのいくつかの実施例において、ポータブル通信デバイスは、ハウジングの一体部分ではなく、走査が実施される前にハウジング内のソケット内に嵌合し、超音波走査中にハウジングとともに動かされ、所望に応じて、後に他の使用のために取り外される。システムのいくつかの実施例において、ポータブル通信デバイスは、ケーブル又は無線接続を介してハウジングに接続され、ハウジングのみが動かされる。
【0023】
適切な有線通信リンクの例示的な実例は、USB、lightning、及び光ファイバを含むが、無論、任意の追加の有線通信が可能である。無線通信リンクの例示的な実例は、限定ではないが、Wi-Fi、UWB、Bluetooth、及びIRを含む。
【0024】
ポータブル通信デバイスは、例えば、携帯電話機、タブレット、ラップトップなどの、多くの適切なデバイスのいずれかとすることができる。その上、ハウジング又はハウジングと接続されているデバイスは、ハウジングによって生成されるデータを受信するように適合されているか、又は、ハウジングと関連付けられる、クラウド内に配置されている装置と通信してもよい。
【0025】
システムのいくつかの実施例において、1つ以上のIMU、処理デバイス及びソフトウェア、メモリ・デバイス、電源、並びにAFEの構成要素の異なる組み合わせが、ハウジング内又はスマートフォン内のいずれかに配置される。システムのいくつかの実施例は、スマートフォン内の少なくとも1つのIMU及びハウジング内の少なくとも1つのIMUを備える。
【0026】
システムのいくつかの実施例において、プロセッサは、すべてのセンサによって収集されるデータを受信するように構成されている。
【0027】
システムのいくつかの実施例において、ソフトウェアは、超音波画像を生成すること、データを分析すること、いずれの画像が表示画面上に表示されるのに満足な品質であるかを判断すること、低品質画像を破棄すること、スキャナのハウジングを所定の様式で保持するようにオペレータに指示すること、スキャナのロケーション及び高度を計算すること、満足な品質の画像を生成するために十分な圧力が皮膚に及ぼされるようにスキャナが保持されているか否かを判定すること、及び、満足を得るためにスキャナを正しく動かす方法の指示を効果的に提供すること、のうちの少なくとも1つを実行するように構成されている。
【0028】
システムのいくつかの実施例において、ソフトウェアによって生成される、オペレータに対する指示は、表示画面上に視覚的に又はスピーカから聴覚的に与えられる。システムのいくつかの実施例において、オペレータに対する指示は、遠隔端末に位置する訓練を受けた医療専門家によって、表示画面上に視覚的に又はスピーカから聴覚的に与えられる。
【0029】
システムのいくつかの実施例において、スキャナのロケーション、向き、及びそれらの時間導関数を含む、ナビゲーションを計算するタスクは、IMU内の三軸ジャイロスコープ及び三軸加速度計及び他のセンサのセット、プロセッサ、並びにソフトウェアを備える慣性ナビゲーション・システム(INS:Inertial Navigation System)によって実行され、INSは、初期条件及び較正データ並びにIMU及び他のセンサからの出力を取り込んでナビゲーションを計算するように構成されており、他のセンサは、三軸磁力計、圧力センサ、及びカメラのうちの少なくとも1つとすることができる。
【0030】
システムのいくつかの実施例は、皮膚上の超音波信号の正確な走査を生成し、圧力センサとIMUとの組み合わせを使用し、皮膚に対するスキャナの走査速度及び圧力の最適な値を満たす画像のみを選択することによって、診断目的に十分な価値のある画像を確保するように構成されている。
【0031】
システムのいくつかの実施例において、INSは、以下のタイプのデータを提供する。
a.向きの角度、
b.スキャナの速度、及び
c.身体の解剖学的構造に対する超音波プローブ・ヘッドのロケーション。
【0032】
システムのいくつかの実施例において、走査速度は、運動が身体の表面に垂直であると仮定した角速度から算出される。
【0033】
システムのいくつかの実施例において、出生前検診の場合、身体は球としてモデル化され、球の半径は、患者のBMI、妊娠の段階、又は、例えば肥満患者の20cm~70cmの範囲内の視覚的推定値のうちの1つ以上によって近似することができる。
【0034】
システムのいくつかの実施例において、走査の典型的な距離は、数ミリメートル~数十センチメートルの範囲内である。システムのいくつかの実施例において、走査速度は、1mm毎秒~数センチメートル毎秒である。
【0035】
システムのいくつかの実施例において、IMUの三軸ジャイロスコープ及び三軸加速度計は、オフセット、スケール係数、交差軸感度及び初期の向きについて製造元によって較正され、MEMS IMUは、各走査の前にユーザによって較正される。システムのいくつかの実施例において、走査の運動が遅く、オペレータが、走査されている身体に対するスキャナの向きを所定の開始向きから数度以内に維持する場合、ジャイロスコープのオフセットのみが推定されるワン・ステップ較正が必要とされ、ワン・ステップ較正プロセスは、IMUを数分間にわたって静止したまま保持することと、センサの出力を記録することとを含み、ジャイロスコープの平均出力が、それらのオフセットであるものと解釈され、各センサの分散が、そのノイズであるものと解釈される。
【0036】
システムのいくつかの実施例において、オペレータは、7フェーズ較正プロセスを実施し、正のZ軸が上を指し、正のY軸が右を指し、正のX軸が前方を指す座標系における較正プロセスの7つのフェーズは、以下のとおりである。
a.フェーズ1:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持する。
b.フェーズ2:スキャナを、Y軸を中心として、T秒以内に回転が完了し、スキャナが新たな向きにおいて静止しているように回転させる。
c.フェーズ3:スキャナをFF34秒間にわたって静止したまま保持し、次いで逆回転させる。
d.フェーズ4:スキャナを、X軸を中心としてT秒以内に回転させる。
e.フェーズ5:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持し、次いで逆回転させる。
f.フェーズ6:スキャナを、Z軸を中心としてT秒以内に回転させる。
g.フェーズ7:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持し、次いで逆回転させる。
【0037】
システムのいくつかの実施例において、プロセッサが、走査中に、皮膚に十分な圧力が及ぼされていないと判定する場合、圧力を増大させるための指示が、例えば、下向きの矢印を表示することによって表示画面上で視覚的に、及び/又は、スピーカから聴覚的にのいずれかでオペレータに発行される。これらの実施例において、プロセッサは、以下のうちの少なくとも1つによって、皮膚に十分な圧力が及ぼされていないと判定することができる。
a.画像を分析し、写真が平坦であると判定すること。
b.画像内のいくつかの関心領域にわたる画像の輝度の分散を測定し、分散が閾値よりも小さいと判定すること。
【0038】
システムのいくつかの実施例において、プロセッサは、超音波プローブ・ヘッドと皮膚との間に配置されている水性ゲルの量が不十分であるか否かを判定し、表示画面上で視覚的に、及び/又は、スピーカから聴覚的にのいずれかでオペレータにアラートを発行するように構成されているソフトウェアを含む。これらの実施例において、ソフトウェアは、プローブに戻る信号の弱化が存在する否か、又は、結果生じる超音波画像の弱化が存在するか否かを判定することによって、超音波プローブ・ヘッドと皮膚との間に配置されている水性ゲルの量が不十分であるか否かを判定することができる。
【0039】
システムのいくつかの実施例において、システムのプロセッサ及びソフトウェアは、走査を実施するようにオペレータを案内するための以下の指示セットを発行するように構成されている。
a.手順を通じてオペレータを案内することによって、必要な場合に較正手順を実行するように、オペレータに指示すること、
b.血圧計を使用して患者の血圧を測定するように、オペレータに指示すること、
c.走査を行うために患者を位置付ける方法をオペレータに指示すること、
d.患者座標系の中心としての役割を果たすロケーションにスキャナを位置付けるようにオペレータに指示すること、
e.画面が患者に向き合うようにスキャナを位置付けるようにオペレータに指示すること、
f.患者の身体の表面の上でスキャナを動かすべき方向、各方向における動かすべき距離、スキャナが動かされるべき速度、及び、スキャナを身体に対して圧迫するために及ぼすべき力の量を含む指示をオペレータに提供すること、
g.満足な品質の十分な画像が収集されたときに、セッションが終了したことをオペレータに助言すること、並びに
h.そのように自動的に行われない場合、解釈されるように画像を医療専門家に転送するようにオペレータに助言すること。
【0040】
第2の態様において、本発明は、超音波走査について訓練を受けていないオペレータが、人体の内部器官の超音波画像を取得し、処理することを可能にするための方法を包含する。方法は、以下を含む。
a.スキャナ及び少なくとも1つの慣性計測装置(IMU)から構成されるシステムを提供すること。スキャナは、超音波画像を取得するために患者の身体の表面の上でオペレータによって動かされるシステムの構成要素であり、少なくとも1つのIMUは、スキャナ内に配置されており、システムは、走査が実施されることを可能にする指示を、システムのオペレータに発行するように構成されている。
b.システムによって発行される指示に従うこと。
【0041】
第2の態様の方法の一実施例において、システムは、本発明の第1の態様のシステムである。
【0042】
第2の態様の方法の一実施例において、システムによって発行される指示は、本発明の第1の態様のシステムのプロセッサ及びソフトウェアによって発行される指示である。
【0043】
第3の態様において、本発明は、人体の内部器官の超音波画像を取得するための方法を包含する。本方法は、スキャナ及びスキャナと関連付けられる少なくとも1つの慣性計測装置(IMU)、並びに訓練を受けていないユーザが上記スキャナを操作するための指示を提供することを含む。
【0044】
方法の第3の態様のいくつかの実施例は、患者自身を含む、超音波走査の訓練を受けていない人による走査も可能にする指示を、システムのオペレータに発行することを含む。第3の態様の方法のいくつかの実施例は、取得されている超音波画像を、医療専門家による分析のために遠隔ロケーションに送信することを含む。第3の態様の方法のいくつかの実施例は、ユーザと遠隔の個人又は監視されていないシステムとの間の双方向通信を実施するように適合されている回路を提供することを含む。方法の第3の態様のいくつかの実施例において、監視されていないシステムは、自動画像分析回路を備え、自動分析の出力は、ユーザ及び/又は医療専門家に提供される。方法の第3の態様のいくつかの実施例において、双方向通信は、オーディオ、視覚、及びビデオ通信、並びにそれらの組み合わせから選択される。
【0045】
方法の第3の態様のいくつかの実施例において、走査は、訓練を受けていないオペレータによって実施され、システムは、オペレータと医療専門家との間の双方向ビデオ通信を可能にする。方法の第3の態様のいくつかの実施例において、システムの出力は、リアル・タイムに又は画像が取得された直後に、遠隔の医療及び/又は監視されていないシステム専門家に直接的に送信される。
【0046】
方法の第3の態様のいくつかの実施例において、システムは、医療専門家が画像を解釈するのを補助するために、スキャナの画像を超音波走査の上に重ね合わせることを可能にする。
【0047】
方法の第3の態様のいくつかの実施例において、方法は、正のZ軸が上を指し、正のY軸が右を指し、正のX軸が前方を指す座標系における、7つのフェーズから構成される較正プロセスを実施することを含み、7つのフェーズは、以下のとおりである。
a.フェーズ1:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持する。
b.フェーズ2:スキャナを、Y軸を中心として、T秒以内に回転が完了し、スキャナが新たな向きにおいて静止しているように回転させる。
c.フェーズ3:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持し、次いで逆回転させる。
d.フェーズ4:スキャナを、X軸を中心としてT秒以内に回転させる。
e.フェーズ5:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持し、次いで逆回転させる。
f.フェーズ6:スキャナを、Z軸を中心としてT秒以内に回転させる。
g.フェーズ7:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持し、次いで逆回転させる。
【0048】
方法の第3の態様のいくつかの実施例において、プロセッサが、走査中に、皮膚に十分な圧力が及ぼされていないと判定する場合、圧力を増大させるための指示が、例えば、下向きの矢印を表示することによって表示画面上で視覚的に、及び/又は、スピーカから聴覚的にのいずれかでオペレータに発行される。これらの実施例において、皮膚に十分な圧力が及ぼされていないかを判定することは、以下のうちの少なくとも1つによるものとすることができる。
a.画像を分析し、写真が平坦であると判定すること。
b.画像内のいくつかの関心領域にわたる画像の輝度の分散を測定し、分散が閾値よりも小さいと判定すること。
【0049】
方法の第3の態様のいくつかの実施例は、ソフトウェア分析を通じて、超音波プローブ・ヘッドと皮膚との間に配置されている水性ゲルの量が不十分であるか否かを判定することと、ゲルが不十分であることが見出された場合、表示画面上で視覚的に、及び/又は、スピーカから聴覚的にのいずれかでオペレータにアラートを発行することとを含む。方法の第3の態様のいくつかの実施例において、ソフトウェアは、プローブに戻る信号の弱化が存在する否か、又は、結果生じる超音波画像の弱化が存在するか否かを判定することによって、超音波プローブ・ヘッドと皮膚との間に配置されている水性ゲルの量が不十分であるか否かを判定することができる。
【0050】
方法の第3の態様のいくつかの実施例は、以下の指示セットを発行することによって走査を実施するようにオペレータを案内することを含む。
a.手順を通じてオペレータを案内することによって、必要な場合に較正手順を実行するように、オペレータに指示すること、
b.血圧計を使用して患者の血圧を測定するように、オペレータに指示すること、
c.走査を行うために患者を位置付ける方法をオペレータに指示すること、
d.患者座標系の中心としての役割を果たすロケーションにスキャナを位置付けるようにオペレータに指示すること、
e.画面が患者に向き合うようにスキャナを位置付けるようにオペレータに指示すること、
f.患者の身体の表面の上でスキャナを動かすべき方向、各方向における動かすべき距離、スキャナが動かされるべき速度、及び、スキャナを身体に対して圧迫するために及ぼすべき力の量を含む指示をオペレータに提供すること、
g.満足な品質の十分な画像が収集されたときに、セッションが終了したことをオペレータに助言すること、並びに
h.そのように自動的に行われない場合、解釈されるように画像を医療専門家に転送するようにオペレータに助言すること。
【0051】
本発明の上記及び他の特性及び利点はすべて、添付の図面を参照して、本発明の実施例の以下の例示的且つ非限定的な説明を通じてさらに理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】各々が構成プロセスに関係するデータのプロットを含む4つの列を示す図である。
図2】較正済みジャイロスコープ及び加速度計データに拡張カルマン・フィルタを適用することによってスキャナの向きを推定した結果を示す図である。
図3図2に示すものと同様の試験を繰り返しているが、測定値が較正されることなくEKFに供給されている図である。
図4】走査が実行されている角速度、及び、角速度から導出される接線速度を示す図である。
図5】本システムの構成要素を備えるスマートフォンが本システムのスキャナのハウジング内のソケット内に嵌合する実施例を概略的に示す図である。
図6図5に示すシステムの実施例による走査中のスマートフォンの画面上の典型的なシーンを概略的に示す図である。
図7A】超音波プローブ・ヘッドと患者の身体との間の結合が不十分である画像上での影響を示すスクリーンショットの図である。
図7B】超音波プローブ・ヘッドと患者の身体との間の結合が不十分である画像上での影響を示すスクリーンショットの図である。
図7C】超音波プローブ・ヘッドと患者の身体との間の結合が不十分である画像上での影響を示すスクリーンショットの図である。
図8】走査に重ね合わされた血圧測定の結果を示すスクリーン・ショットの図である。
図9】患者の身体に対するスキャナの動きを示す図である。
図10】結合アラート・プロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ここで、本発明を、患者が自身で超音波走査を実施することを可能にするシステム及び方法として説明する。産科学及び婦人科学の詳細な実例が与えられているが、当業者であれば、この実例を他の条件及び他の器官、例えば、心臓血管、肺、腎臓、甲状腺、肝臓、前立腺、膀胱、並びに他のセンサに容易に適合させることができる。その上、家庭環境において人が自身で使用するためのシステムとして想定されているが、その可搬性のために、本システムはまた、例えば、家族によって、救急車内で、又は戦場において訓練を受けていない軍人によってなど、超音波走査の訓練を十分に受けていない人が効果的に利用することもできる。言うまでもなく、訓練を受けた人も、他のより洗練された機器が彼らにとって利用可能になる前に、本発明を第一近似として使用することから受益することができる。
【0054】
上記で参照されている他のセンサは、改善に有用なデータを生成し、且つ/又は、超音波画像を通じて取得されるものに関連情報を追加する任意のタイプのセンサを含むことができる。例えば、血圧(本発明の文脈におけるその重要性は、さらに後述する)を、本発明のデバイスに伝送することができ、本発明のデバイスにおいて、血圧は、他の情報に結合若しくは重ね合わせることができ、又は、任意の潜在的な問題をユーザ及び/若しくは医療従事者にアラートするために使用することができる。別の実例は、十分な圧力がハウジングによって身体に加えられておらず、結果として読み値に欠陥が生じる可能性があるか否かをユーザにアラートするために使用することができる、近接センサである。
【0055】
本発明の文脈において有用なセンサの追加の実例は、IMU構成要素から独立して、結合問題(例えば、身体に対するデバイスの圧力が不十分であるか又はゲルが不十分であることに起因する)について、又は、ユーザが走査するのが速すぎて良好な品質の画像を生成することができない場合について、ユーザにアラートするために使用することができる、画像取得要素である。上述した状況及びユーザへのアラートを必要とする他の状況は、ハウジング内でローカルに又は接続されているデバイスによって遠隔的に実施することができる画像処理を介して検出される。
【0056】
走査は、患者自身によって実施することができ、次いで、医療専門家、又は、自動画像分析回路を備える監視されていないシステムによる分析のために遠隔ロケーションに伝送することができる。本システムのいくつかの実施例は、患者が走査手順を実行している間に、患者と超音波検査士とが互いに顔を合わせることを可能にする、双方向ビデオ通信、すなわち、遠隔医療を可能にするように構成されている。
【0057】
本発明はまた、人体の内部器官の超音波画像を取得し、処理するためのシステムも包含する。本システムは、その実例を本明細書において説明する、多くの異なる構成に配置構成される多くの構成要素から構成される。すべての構成に不可欠な本システムの構成要素は、本明細書において「スキャナ」と呼ばれ、スキャナは、超音波画像を取得するために患者の身体の表面の上でオペレータによって動かされる本システムの構成要素を含む。図9は、患者の身体に対するスキャナの動きの可能な形態を示す。スキャナは、オペレータによって保持され、人又は動物の皮膚にわたって動かされるように人間工学的に設計されているハウジングを備える。ハウジングは、少なくとも、超音波画像を得るために患者の身体上に配置されなければならないシステムの最小数の構成要素を備える。これらの要素は、ハウジングと一体とすることができ、又は、ハウジングと関連付けることができる。本明細書の文脈において、「~と関連付けられる」という用語は、参照されている要素又は構成要素が、必然的にハウジングと一体であってはならず、ハウジングと有用に協働しなければならないことを意味するものとして解釈されるものとする。例えば、加速度計が論じられる場合、加速度計は、ハウジングとともに動かなければならず、通信構成要素が論じられるとき、通信構成要素は、通信構成要素がそれとデータを交換しなければならないか、又は、通信構成要素がそれからデータを受信しなければならない、ハウジング内に配置されている任意の他の構成要素と通信していなければならない。これらの構成要素は、i)超音波プローブ・ヘッド、すなわち、超音波素子のアレイ、ii)遠隔端末と有線又は無線通信するための電子構成要素、及びiii)例えば、システムが無線であるときのバッテリ又は有線システムの場合の電力供給装置などの電源、並びに、ほとんどの実施例における、iv)慣性センサ、すなわち、三軸加速度計及び三軸ジャイロスコープ、並びに場合によっては、例えば三軸磁力計及び圧力センサなどの他のセンサを備える少なくとも1つの慣性計測装置(IMU)である。
【0058】
しかしながら、本発明のいくつかの実施例において、慣性センサは、ハウジングと一体ではない。代わりに、スマートフォン又は同様のポータブルデバイスの慣性センサ(後述する)を使用することができ、又は、アド・オン慣性センサを使用前にハウジングに接続することができる。本発明の別の実施例において、ハウジングは、「ドッキング・ハウジング」、すなわち、様々なタイプのセンサなどの機能構成要素をハウジングに接続するのに不可欠な構成要素のみを備えるハウジングとすることができ、上記センサは、必要に応じてドッキング・ハウジングに接続することができる。この実施例は、「プラグ・アンド・プレイ」構成要素としてハウジングに追加することができる、所与の用途に適切な種類のセンサを選択することを可能にする。
【0059】
システムの他の典型的な構成要素は、v)とりわけ、送信機(パルサ)、受信機、増幅器、並びにアナログ-デジタル(A/D及びデジタル-アナログ(D/A)変換器を含む電子構成要素によって超音波信号を送受信するアナログ・フロント・エンド(AFE)、vi)システムを動作させ、AFEから受信される超音波信号を受信し、処理して超音波画像を生成し、IMUから受信される慣性測定信号を受信し、処理するように構成されているソフトウェアを含むプロセッサ、vii)表示画面、及び、例えばキーボード又はタッチスクリーンなどのユーザの指示を受け入れるための手段を備えるユーザ・インターフェース、並びにviii)プロセッサ内のソフトウェアによって処理されるデータ及び画像を記憶するための1つ以上のメモリ・デバイスである。異なる実施例において、これらの構成要素の一部又はすべては、スキャナのハウジング内、又は、患者の近くであるがハウジングから分離されているロケーションに配置されてもよい。当業者には容易に諒解される、これらの構成要素を配置構成するための多くの選択肢が存在する。
【0060】
電子構成要素、すなわち、AFE、IMU、プロセッサ、メモリ・デバイス、及び通信構成要素は、別個の集積回路(IC)として提供することができるか、又は、それらのICのすべて又は一部を含むもう1つのASICに集積することができる。
【0061】
システムの任意選択の構成要素は、ix)オペレータの近く、又は、例えば診療所若しくはかかりつけ医の診療室内など、オペレータから離れて配置されている、例えばスマートフォン、タブレット、PC、又は同様の通信・計算デバイスなどの遠隔端末、x)1つ以上の追加のIMU、x)少なくとも1つの三軸磁力計、xi)少なくとも1つの圧力センサ、並びにxi)遠隔した医療介護提供者と通信するためのスピーカ及びマイクロフォンを含む。
【0062】
システムのいくつかの実施例において、すべての構成要素v)~viii)はスキャナのハウジング内(又はディスプレイの場合はその上)に含まれる。
【0063】
システムのいくつかの実施例において、すべての構成要素v)~viii)は、有線又は無線通信リンクを介してスキャナに接続されている遠隔端末内に含まれ、無線リンクは、例えば、セルラ、WIFI又はBluetoothなどの、任意の既知の技術を使用して形成することができる。
【0064】
システムのいくつかの実施例において、例えば、AFEの構成要素の一部又はすべてなどの、構成要素v)~viii)の一部はスキャナ内に含まれ、残りの構成要素は、有線又は無線通信リンクを介してスキャナに接続されている遠隔端末内に配置される。
【0065】
図5は、ディスプレイ10、IMU12、及びプロセッサ14が、スキャナの他の構成要素を含むハウジング20内のソケット18内に嵌合するスマートフォン16内に含まれる実施例を概略的に示す。スマートフォン16は、必ずしもハウジング20の一体部分ではなく、走査を実施する前にソケット18内へと嵌合され、超音波走査中にハウジング20の一体部分として動かされ、後に他の用途のために取り外されてもよい。スマートフォン16は、スマートフォン16上の標準ポート内に嵌合する、ソケット18内のコネクタ22によってハウジング20に電気的に接続される。図5には、ハウジング20の底部にある超音波プローブ・ヘッド24が見られる。本明細書において使用される場合、「スマートフォン」という用語は、図5のハウジング20などのハウジング内にその取り付け座を作成することができる任意のポータブル通信デバイスを指し、本発明を、既存の又はこれから開発される、いかなる特定のタイプの通信デバイスに限定するようにも意図されていない。スマートフォンは、ほとんどの人々にとって利用可能な広く普及したデバイスであるため、本発明を例示するためにのみ、この実例において選択された。
【0066】
別の実施例において、スマートフォンは、ケーブル又は無線接続を介してハウジングに接続され、ハウジング又はプローブ自体のみが動かされる、すなわち、スマートフォンは必ずしも、超音波プローブと一致して動く必要はない。
【0067】
他の実施例において、1つ以上のIMU、処理デバイス及びソフトウェア、メモリ・デバイス、電源、並びにAFEの構成要素の異なる組み合わせが、ハウジング内又はスマートフォン内のいずれかに配置される。
【0068】
一方において、IMUは非常にノイズが多く、他方において、比較的安価であるため、いくつかの実施例において、それらのうちのいくつかを、例えばスマートフォン内の1つのIMUなどの一方のスキャナにおいて使用し、ハウジング内のもう1つのIMU又はハウジング内の2つ以上のIMUにおいて使用することが有利である。これによって、位置付け及び運動測定値の正確度が増大し、受信超音波信号の信号対雑音(S/N:signal-to-noise)レーションが改善する。
【0069】
プロセッサは、すべてのセンサによって収集されるデータを受信するように構成されており、とりわけ、超音波画像を生成し、データを分析し、いくつかの実施例において、いずれの画像が表示画面上に表示されるのに満足な品質のものであるかを判定し、スキャナのロケーション及び高度を計算し、低品質画像を破棄し、例えば、表示画面(又はディスプレイが遠隔配置されている実施例においてはハウジング表面上の指定の記号)が常に自身に向き合うようになど、所定の様式でスキャナのハウジングを保持するようにオペレータに指示し、満足な品質の画像を生成するために十分な圧力が皮膚に及ぼされているか否かを判定し、表示画面上に提示される直感的なグラフィック・キューによってスキャナを正しく動かす方法を効果的に提供するように構成されているソフトウェアを含む。他の実施例において、オペレータに対する指示は、表示画面及びスピーカ上で又は遠隔端末に位置する訓練を受けた医療専門家によって、視覚的に又は聴覚的に与えられる。
【0070】
図6は、図5に示すシステムの実施例による走査中のスマートフォン16の画面上の典型的なシーンを概略的に示す。この例示的な実施例においては、システムからユーザへの指示のために、空白領域26が画面上に確保される。典型的な指示は、例えば、以下を含む。
- 画面があなたに向いていません-画面をあなたの体に垂直なままにしてください。
- 画像が不鮮明です-より圧力を加えるか、又はゲルを増やしてください。
- 動きが速すぎます-遅くしてください。
- ハウジングを右に動かしてください。
【0071】
スキャナのロケーション、向き、及びそれらの時間導関数を計算するタスクは、慣性ナビゲーション・システム(INS)によって実行される。INSは、IMU、すなわち、三軸加速度計及び三軸ジャイロスコープ、並びに、通常三軸磁力計及び圧力センサなどの他のセンサから成るセットと、プロセッサと、初期条件及び構成データ並びにIMU及び他のセンサからの出力を取り込んでナビゲーションを計算するように構成されているソフトウェアとから構成される。
【0072】
正確度を改善するために、IMU、磁力計、及び圧力センサに加えて、他のセンサを使用することも可能である。例えば、携帯電話には、ユーザを向いている正面カメラ、及び、室内の物体を向いている背面カメラが存在する。その実施例において、スマートフォンは、スキャナの他の構成要素を含むハウジング内のソケット内に嵌合し、走査の開始時に、背面カメラは室内の特定の物体を向いている。走査中、背面カメラはハウジングとともに動き、画像内の物体に対する動きを、オプティカル・フロー法を使用して追跡することができ、それによって、誤差を補正するために使用することができる別の情報が、ナビゲーション・アルゴリズムに提供される。
【0073】
本発明の実施例において、システムは、皮膚上の超音波信号の正確な走査を生成し、圧力センサとIMUとの組み合わせを使用し、皮膚に対するスキャナの走査速度及び圧力の最適な値を満たす画像のみを選択することによって、診断目的に十分な価値のある画像を確保するように構成することができる。
【0074】
慣性計測装置(IMU)又は慣性ナビゲーション・システム(INS)のこれらのセンサは、それらのすべて若しくは一部を含む単一チップASICを使用して、又は、各センサを別個に若しくは複数のセンサの組み合わせとして実装する個別のチップとして実装することができる。
【0075】
IMUは、以下のいくつかのタイプのデータを提供する。
1.以下のために使用される向きの角度。
a)最良の画像を得るためにスキャナを保持する方法の指示をユーザに与えること。
b)画像の解釈を容易にするために、走査が行われた時点におけるプローブの連続的な向きを医師又は他の専門家に与えること。この情報は、超音波画像上のオーバーレイとして提示することができる。
2.以下のために使用されるスキャナの速度。
a)最良の画像を得るためにスキャナを動かす方法の指示をユーザに与えること。この情報は、遠隔に位置する医師に与えることができ、したがって、医師は、オペレータが受けたすべてのアラートによって、走査がどのように実施されているかを知ることができる。
b)有用な情報を含む可能性が低い画像をフィルタリング除外すること。例えば、画像を削除するための基準は、10cm/secを超える速度であってもよく、又は、例えばうっ血性心不全(CHF:congestive heart failure)患者の場合の下大静脈(IVC:inferior vena cava)の自己走査など、特定の現象を検出するために低速走査が必要である状況においてはまた1cm/秒であってもよい。
3.以下のために使用される、身体の解剖学的構造に対する超音波プローブ・ヘッドのロケーション。
a)関心器官を完全にカバーするために関心領域全体を走査する方法の指示をユーザに与えること。
b)画像の解釈を容易にするために、走査が行われた時点におけるスキャナの連続的な向きを医師又は他の専門家に与えること。
【0076】
IMUは、他のデバイスと同様に、完璧ではない。IMU誤差は、積分を受けて、ドリフト、すなわち、経時的に増大する誤差を形成し、したがって、計算されたロケーション及び向きの誤差は、経時的に急速に伝播する。1つの実例が、この問題を最良に例示することができる。測定ノイズ及び他の不完全性に起因して、デバイスの向きは、1ミリラジアンの誤差で分かると仮定する。この誤差は、例えば、典型的なスマートフォンのIMUの品質を所与とすると、非常に小さいと考えられる。この誤差を受けて、プロセッサは、加速度計読み値を誤って解釈し、重力の投影を約1cm/secの水平加速度として解釈する。この小さい加速度誤差の結果として、1分にわたって18メートルのロケーション誤差がもたらされ、これは明らかに、許容誤差を優に超える。したがって、プロセッサは、何らかの追加の情報を有しなければならず、有意義なナビゲーションを提供するために何らかの制限を仮定しなければならない。
【0077】
スマートフォン内に設置されたIMUは、微小電気機械システム(MEMS:Micro Electro-Mechanical System)技術に基づく。MEMS技術は、微細で、効率的で、手頃なセンサを提供するが、測定誤差をもたらす本質的な不完全性という問題がある。これらの誤差は、バイアスとノイズとに分けることができる。正式には、その唯一の差は、バイアスは低速に変化し、一方でノイズは急速に変化するということである。しかしながら、超音波走査に関連する期間にわたって、この問題を例示するために、バイアスは一定であるものとして考えることができ、ノイズは絶対的にランダムであるものとして考えることができる。
【0078】
したがって、バイアスに起因して、動かないデバイスのIMUは、依然として、デバイスが回転及び加速しているかのような測定値を生成する。IMUを較正し、バイアスを求めるために、較正手順が提示されなければならない。依然として、ノイズに起因して、較正は完璧ではなく、何らかの残留バイアスが常に残る。また、ノイズは、ランダムであるにもかかわらず、無限回数の測定後はゼロにしかならない。実際には、ノイズの期待値は、測定回数の平方根にノイズの標準偏差を乗じた値である。
【0079】
上記のように、スマートフォン内に設置されたIMUはすべて、コスト、サイズ及びエネルギー消費に厳密な制限を受けるMEMSベースであり、したがって、互いに非常に類似している。それらのノイズ及びバイアス指数は、原則的に同じである。
【0080】
バイアス及びノイズの結果として、またMEMS IMUの品質を所与として、ナビゲーション・プロセスは、IMU誤差を軽減するために、より多くの測定値を積分し、いくつかの以前の仮定を利用しなければならない。スキャナを用いて走査するとき、動かされる距離は小さく、走査速度は総体的に低く、多くの場合、この結果として、IMU内で生成されるノイズは信号よりも大きくなる。これらの走査の典型的な距離は、数ミリメートル~数十センチメートルの範囲内であり、典型的な速度は、1mm/sec~数センチメートル毎秒である。したがって、ナビゲーションの成功は、システム、ミッション、及びユーザによって可能にされる最適な較正、及び、他の利用可能なキューの統合に依拠する。
【0081】
一部のバイアス誤差は製造レベルにおいて較正される。しかしながら、一部のバイアスは経時的に変化し、使用前に較正されなければならない。本明細書に記載のスキャナの場合、較正プロセスは、ユーザが容易に実施することができる単純なステップに限定される。行われ得る先行する仮定は、ユーザが、水平なテーブルの上でディスプレイに向き合うようにスキャナを保持することによって協働するということである。
【0082】
スキャナが水平面上に配置される場合、加速度軸は下向きの9.81に等しくなるはずであり、したがって、9.81と異なる値が測定される場合、プロセッサは、このオフセットを較正し、このオフセットを各測定値に加算することができる。ユーザが、IMUを較正することを要求される場合、システムが作動された後で、走査セッションを開始する前に、ユーザは、プロセッサ内のソフトウェア又は遠隔に位置する医師のいずれかによって、ジャイロスコープ及び加速度計を較正する方法を指図される。較正値は日ごとに、及び、IMUがオンにされる毎に変化するため、IMU、特にMEMS技術によって作成されるIMUは、使用前に毎回較正されなければならない。
【0083】
ここで、7つのフェーズを含む較正手順を説明する。この手順は、スキャナを用いて使用することができる多くの手順の1つであり、含まれる原理を例示するように意図されているに過ぎない。本発明者らは、7つよりも少ないフェーズを含む他の較正手順を使用しており、例えば、異なる順序のフェーズ又は7つよりも多い若しくは少ないフェーズを含む他の手順を考案し使用することができ、実際の較正方法の選択は、必要な較正結果をもたらす限り本質的なものではないと見込んでいる。多くの状況において、特に、遅い運動のみが可能にされ、ユーザが画面を数度以内で自身に向けたままにするとき、ジャイロスコープのオフセットのみが推定されるワン・ステップ較正が、優れた結果をもたらす。このプロトコルにおいて、IMUは何らかの時間にわたって静止して保持され、センサの出力が記録される。ジャイロスコープの平均出力が、それらのオフセットであると解釈され、各センサの分散が、そのノイズであると解釈される。約15度毎時の地球の自転は、通常、ジャイロスコープのオフセットと比較すると、無視できるものである。
【0084】
この実例に対して、座標系が選択される。この座標系において、正のZ軸が上を指し、正のY軸が右を指し、正のX軸が前方を指す。文字Tが、較正の持続時間に使用され、これは、IMUのタイプに応じて、例えば1、3、5、又は10秒又はそれ以上とすることができる。Tの値は、正確度とユーザの忍耐との間の妥協点である。この手順は、以下の7つのフェーズを有する。
フェーズ1:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持する。
フェーズ2:スキャナを、Y軸を中心として、T秒以内に回転が完了し、スキャナが新たな向きにおいて静止しているように回転させる。
フェーズ3:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持し、次いで逆回転させる。
フェーズ4:スキャナを、X軸を中心としてT秒以内に回転させる。
フェーズ5:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持し、次いで逆回転させる。
フェーズ6:スキャナを、Z軸を中心としてT秒以内に回転させる。
フェーズ7:スキャナをT秒間にわたって静止したまま保持し、次いで逆回転させる。
【0085】
これら7つのフェーズ中に、3つの加速度計及び3つのジャイロスコープからのデータが、電子装置によって収集され、プロセッサに転送される。ジャイロスコープ・データの1つの実例が図1に示される。
【0086】
図1は、各々が較正プロセスに関係するデータのプロットを含む4つの列を示す。各列において、3つの行は、3つのジャイロスコープx、y及びzを指す。図1の各プロットにおいて、水平軸は測定の時間であり、垂直軸は、ジャイロスコープから取り込まれた測定値又はこの測定値の誤差である。垂直線は、7つのフェーズの間の境界をマークしており、フェーズは、第1のS0、第2のRY、第3のSY、第4のRX、第5のSX、第6のRZ、及び第7のSZのようにラベル付けされている。第1の文字であるS又はRのいずれかは、「静止」又は「回転」状況のいずれかを指す。第2の文字であるX、Y又はZのいずれかは、それを中心として回転が行われる軸、又は、静止状況の前にそれを中心として回転が行われた軸を指す。
【0087】
図1を参照すると、データがどのように解釈されるかが分かる。一番左の列は、ジャイロスコープから収集されるデータを含む。第1のフェーズS0において、0~5秒の時間において、デバイスは静止しており、ジャイロスコープはそれらのオフセット及び任意の一定の回転、例えば、地球の自転を出力する。第2のフェーズRYにおいて、5~10秒の時間において、最初の2.5秒は、y軸を中心とした180度の回転を示す。したがって、y-ジャイロが大きい信号を示している。他のフェーズについて、以下同様である。
【0088】
次の、左から2番目の列は、測定の誤差を示す。この事例においては、すべてのジャイロスコープが、ゼロの回転、又は、2.5秒の期間にわたる180度の既知の角速度、すなわち約1.26rad/secのいずれかを検知するため、誤差が分かることに留意されたい。この列において、信号の3つの特徴が見てとれる。オフセットがより良好に見られ、回転軸以外の軸上での回転の時点において信号が存在し、回転ジャイロの出力は予測とは異なる。後者の2つの現象は、交差軸測定値及びスケール係数誤差から生じる。
【0089】
この実例では0~10秒の第1のフェーズS0は、静止であり、したがって、地球の自転のわずかな寄与を別にすれば、ゼロをもたらすはずである。しかしながら、この実例においては、測定値は、地球の自転の10-4rad/sec未満を含む約[0.12,-0.18,0.02]rad/secにおいてオフセットされている。第3のフェーズSYにおいて、センサがy軸を中心として180度回転された後に、同じセンサからデータが取り込まれ、この事例において、x及びzの地球の自転の寄与は反転される。したがって、S0及びSYにおけるデータを平均することによって、x-ジャイロ及びy-ジャイロのオフセットの推定値が与えられる。同様のプロトコルが、他の回転を使用して他の軸に適用される。
【0090】
次の、左から3番目の列は、計算されたオフセットが除去された後の、前の2つの列と同じデータを示す。したがって、ここで、静止状態は、0rad/secにいくらかのノイズを加えた値を示す。
【0091】
第3の列を調査すると、交差軸効果を計算することができる。例えば、RYフェーズ中のx-ジャイロの出力はゼロになっているはずであり、実際には約0.013rad/secである。x-ジャイロの平均出力、すなわち、約0.013rad/secと、y-ジャイロの平均出力、すなわち、0.126rad/secとの間の比が、約0.01である、y軸とx軸との間の交差軸効果を生成する。同様に、すべての9つの交差軸の可能性の関係を解明することができる。
【0092】
誤差を予測結果と比較することによって、スケール係数も、この列内のデータから計算することができる。例えば、0.125rad/secの誤差が、フェーズRYの第2の行に見られる。この誤差は、信号の約0.1であり、したがって、スケール係数は1.1である。
【0093】
スケール係数と交差軸とを組み合わせて行列にすることができる。元の結果をこの行列の逆と乗算し、元のデータを減算することによって、ノイズのみを含む最後の列の結果が生成される。このノイズは、拡張カルマン・フィルタによって要求される検出器ノイズを推定するために好都合に使用される。
【0094】
ここで示すような時定角速度は、この実例を明確にするためのものに過ぎないことに留意されたい。すべての計算を、フェーズの持続時間にわたるその平均に置き換えることによって、同じ結果がもたらされる。
【0095】
ジャイロスコープのオフセットを較正するためにプロセッサ内のソフトウェアによって使用されるアルゴリズムは、以下のとおりである。
1.O_s0=3つのジャイロスコープの各々についてフェーズ1において収集されるデータの平均。
2.O_sy=3つのジャイロスコープの各々についてフェーズ3において収集されるデータの平均。
3.O_sz=3つのジャイロスコープの各々についてフェーズ7において収集されるデータの平均。
4.以下を計算する。
【数1】

式中、下付き文字x、y、zはそれぞれ、z、y、及びzジャイロスコープからのデータを指す。
【0096】
ジャイロスコープのスケール係数を較正するためにプロセッサ内のソフトウェアによって使用されるアルゴリズムは、以下のとおりである。
5.O_ry=3つのジャイロスコープの各々についてフェーズ2において収集されるデータの平均。
6.O_rx=3つのジャイロスコープの各々についてフェーズ4において収集されるデータの平均。
7.O_rz=3つのジャイロスコープの各々についてフェーズ6において収集されるデータの平均。
8.以下を計算する。
【数2】
【0097】
ジャイロスコープの交差軸感度を較正するためにプロセッサ内のソフトウェアによって使用されるアルゴリズムは、行列Cωに基づく。
9.ここで、
【数3】
【0098】
初期身体座標内の3つの加速度計に対する重力の3つの投影を計算するためにプロセッサ内のソフトウェアによって使用されるアルゴリズムは、以下のとおりである。
1.A_s0=3つの加速度計の各々についてフェーズ1において収集されるデータの平均。
2.A_sy=3つのジャイロスコープの各々についてフェーズ3において収集されるデータの平均。
3.A_sz=3つの加速度計の各々についてフェーズ5において収集されるデータの平均。
4.以下を計算する。
a)重力のx投影=A_ref=(A_s0-A_sy)/2
b)重力のy投影=A_ref=(A_s0-A_sz)/2
c)重力のz投影=A_ref=(A_s0-A_sy)/2
【0099】
ここで、拡張カルマン・フィルタ(EKF:Extended Kalman Filter)が使用されて、スキャナの向きが推定される。
【0100】
時点kにおける状態ベクトル
【数4】

は、7つのメンバ、すなわち、ボディ・フレーム座標内の角速度の3つの成分
【数5】

、及び、スキャナの向き又は部屋の仮定される慣性座標に対するスキャナのボディ・フレーム座標の回転を表す四元数の4つの成分
【数6】

を有する。
【数7】

次のステップの状態ベクトルを予測する推移関数は以下のとおりであり、
【数8】

式中、dtは時間ステップであり、
【数9】

は四元数乗算演算子である。
【0101】
測定値ベクトルは以下のとおりであり、
【数10】

式中、
【数11】

は、時点kにおける加速度計トライアドの出力であり、これは以下に等しい。
【数12】

ここで、Cは、その対角線が加速度計トライアドのスケール係数から成る3×3行列であり、対角外成分は加速度計の交差軸感度であり、Bは加速度計のバイアスであり、
【数13】

は、実加速度に起因して加えられる単位質量あたりの比力であり、
【数14】

は身体座標内の重力であり、uはノイズである。近似として、
【数15】

は、較正プロセスにおいて計算されるA_refから取り込まれる。
【0102】
同様に、
【数16】

予測測定値は、以下のとおりである。
【数17】
【0103】
及びB並びにCω及びBωは、較正プロセスにおいて計算されるものである。
【0104】
黙示的に、このフィルタは、比力
【数18】

(重力のない加速度)が重力と比較して非常に小さいと仮定し、したがって、加速度計出力ベクトルは下向きである。この状況は、回転誤差に対する強い制限を定め、したがって、ジャイロスコープのドリフトを抑制する。
【0105】
図2は、較正済みジャイロスコープ及び加速度計データに拡張カルマン・フィルタを適用することによってスキャナの向きを推定した結果を示す。一番左の列は、点線によってジャイロスコープの出力を示し、破線によって回転の拡張カルマン・フィルタ(EKF)推定を示し、実線によって真の回転を示す。各行が1つの軸、x、y及びzを示す。左の列は、身体固定座標において測定されるものとしての角速度に関する。例えば、上部のx-ジャイロを見ると、真の回転はゼロである。センサは、オフセットから生じる約-0.18rad/secを生成する。真の回転及び較正済み信号はともに、ほぼゼロに近い。y軸について、0.1rad/secの真の回転が適用されることに留意されたい。すべての測定値は、数ミリラジアン毎秒程度の大きさの何らかのノイズを包含する。大きいオフセット又は回転がなければ、数のスケールはノイズ・レベルまで縮小するため、ノイズはz-ジャイロの出力により容易に見られる。一番右の列は、向きを推定するためにEKFにおいて使用される四元数の4つの要素を示す。ここでも、実線及び破線は実際の及び推定の四元数に使用され、それらは互いに非常に近くなる。中央の列は、より容易に解釈される、オイラー角における向きを示す。0.1rad/secの角速度が適用されるため、y角度はこの速度において前進する。実線及び破線は、それらを区別することができないほど近い。誤差の動態は、y角度が90度に近づくときに何らかの誤差が累積するx角度及びz角度においてより良好に見ることができる。無論、180度及び-180度は同じ角度を指し、誤差ではない。y回転が90度に近づく時の誤差の累積は偶発的ではなく、数値効果から生じる。四元数のオイラー角への変換は、逆三角関数を使用し、90度付近に非常に感受性である。
【0106】
図3は、図2に示すものと同様の試験を繰り返しているが、測定値が較正されることなくEKFに供給されている図である。信号中の誤差、y軸におけるオフセット、及び、他の軸上の交差軸効果を観察することができる。これらの誤差は、y角度における大きい誤差、x及びz角度における観察可能な誤差に変換される。
【0107】
超音波走査は、何らかの圧力が皮膚に及ぼされるようにスキャナを保持することに依存する。圧力が降下すると、スキャナは平坦な画像を生成する。プロセッサは、画像を分析し、これを受けて、写真が平坦であると結論づけられるか、又は、写真全体を使用する代わりに、何らかの関心領域にわたる画像の輝度の分散の測定などの同様の基準が使用される。輝度が閾値よりも小さい場合、プロセッサは、圧力を増大させるための指示をオペレータに発行する。一実施例において、この指示は、一例として、皮膚への圧力を増大させるための音声指示を伴う、表示画面上の下向き矢印の出現を含んでもよい。
【0108】
超音波ビームがプローブから身体へと伝播するための平滑な媒質を提供するために、水性ゲルを使用することが一般的であり、他の様態で、ビームは空気を通過するときに減衰される。結果生じる信号又は画像を使用して、プローブと身体との間の結合が満足であるか否かを判定することが可能である。これは、例えば、プローブに戻る信号の弱化又は結果生じる超音波画像の弱化によって判定することができる。図7Aは、超音波プローブ・ヘッドと患者の身体との間の良好な結合を示すスクリーンショットであり、図7B及び図7Cは、不十分な又は部分的な結合の実例を示す。このプロセスは、モバイル・デバイスのプロセッサ内、若しくは、AFEのコントローラ内、超音波トランスデューサを含むデバイスの構成要素内、又は外部ソフトウェア内で実行することができる。
【0109】
走査の速度は、角速度から算出することができる。プロセッサは、身体の表面に垂直な運動を仮定する。出生前健診の場合、身体は、例えば、肥満患者のR=20、30、40又はさらには70cmなどの、球としてモデル化することができる。半径は、患者のBMI及び妊娠の段階に基づいてより良好に近似することができる。速度は、以下のように近似することができる。
【数19】

式中、
【数20】

は、フィルタによって推定される身体座標における角速度であり、
【数21】


【数22】

として計算され、
【数23】

は、スキャナから下向きの単位ベクトルである。通常条件下で、角速度は、主にスキャナy軸に沿っており、すなわち、スキャナは、球に沿って右から左へ又は左から右へと動き、速度はほぼ
【数24】

である。
【0110】
図4は、走査が実行されている角速度、及び、角速度から導出される空間速度を示す。図の第3の列は、妊娠中の患者の腹部に沿った動径座標中の速度の3つの成分を示す。X軸は、腹部の中心から外側への半径方向運動を指す。この運動は、仮定によりゼロである。y軸は、下部から上部への腹部にわたる運動を指し、z軸は、右から左への運動を指す。他の列は、図2の木列と同じ情報を示し、参照のために示されている。許容される速度の範囲は、スキャナの特性であり、典型的には、数センチメートル毎秒である。この低速運動は、1ミリメートル毎平方秒ほどに小さい半径方向加速度を生成し、これは、重力の加速度を、EKFによって、下向き方向の加速度の良好な近似として使用することができることを意味する。したがって、計算された速度が許容される範囲内にないとき、走査は破棄され、より低速にするための指示が患者に発行される。
【0111】
速度と向きとを組み合わせると、スキャナは、ユーザが所定の角度範囲をカバーし、許容される速度範囲内でこれを行うように指示されることを保証することができる。画像処理によって生成される画像の品質に加えて、皮膚に対する適切な圧力も維持される。要約すると、これによって良好な検査が保証される。
【0112】
多くの事例において、医師又は他の訓練を受けた医療専門家は、走査の結果を直接的に観察するか、又は、分析のために走査を与えられるかのいずれかであるため、彼らが、提供されるデータを理解するのに必要な情報をすべて与えられることが重要である。出生前走査の場合、すべての出生前訪問において血圧が測定される。そのため、家庭において、患者の血圧がまた測定されるべきであり、測定の結果が、超音波走査に記録に追加されるべきである。妊娠期間における高い血圧は、妊娠高血圧腎症の重要な診察結果及び指標であり、残りの妊娠期間が分娩前にどのように管理されるか、分娩のタイミング、合併症のリスク、及び長期母胎罹患率を判定するのに非常に重要である。胎児心拍が低く、母親の血圧が低い場合、胎児が健康である可能性があり、一方、胎児心拍が低く、母親の血圧が正常である場合、これは、胎児が病気である可能性があることを示すため、これはまた、超音波検査士が走査に関連付ける様式にも影響を与える。図8は、血圧測定の結果を、書面のメッセージと走査上へのオーバーレイの両方として、医師又は他の訓練を受けた医療専門家に表示することができる方法の一実施例を示すスクリーン・ショットである。
【0113】
スキャナは、スキャナのオペレータに関する限り、「ブラック・ボックス」である。上述したアルゴリズムはすべて、システムの内部動作にのみ有用であり、そのプロセッサは、有用な情報を提供するのに満足な品質のものである超音波走査を収集するプロセスを通じてそれらを案内するための患者に対する指示を生成するために、それらのアルゴリズムを利用するようにプログラムされている。患者は、患者がシステムの構成要素から又は遠隔医療の場合は超音波検査士から受信する視覚的又は聴覚的指示に従うだけでよい。アニメーションによってビデオ指示を示すことも可能である。
【0114】
一般に、走査を実施するようにオペレータを案内するための、システムによって発行される典型的な指示セットは、以下を含む。
a)必要に応じて、例えば、本明細書に記載の単一ステップ又は7段階の較正手順などの手順を通じて患者を案内することによって、較正手順を実行するように患者に指示すること、
b)血圧計を使用して患者の血圧を測定するように、患者に指示すること、
c)例えば、出生前走査のために背中の上で水平方向になど、走査を行うために自身を位置付ける方法を患者に指示すること、
d)例えば、出生前健診のための臍の上、心臓走査のための乳頭の間、肺の走査のための右側又は左側の乳頭から3本指幅など、患者座標系の中心としての役割を果たすロケーションにスキャナを位置付けるように患者に指示すること、
e)画面が患者に向き合うようにスキャナを位置付けるように患者に指示すること、
f)患者の身体の表面の上でスキャナを動かすべき方向、各方向における動かすべき距離、スキャナが動かされるべき速度、及び、スキャナを身体に対して圧迫するために及ぼすべき力の量を含む指示を患者に提供すること、
g)十分な品質の十分な画像が収集されたときに、セッションが終了したことを患者に助言すること、並びに
h)そのように自動的に行われない場合、解釈されるように画像を医療専門家に転送するように患者に助言すること。
【0115】
本発明のいくつかの実施例において、スキャナの出力は、リアル・タイムに又は出力が取得された直後に、例えば、患者のかかりつけの医師などの医療専門家に直接的に送信されてもよく、患者への指示の一部又はすべては、特に、解剖学的構造の特定の領域が、一般的な走査から通常可能であるよりも深く研究される必要がある場合に、医師によって送信されてもよい。医師への補助として、システムのいくつかの実施例において、プロセッサ内のソフトウェアは、スキャナの画像を超音波走査の上に重ね合わせるように構成されている。他の実施例において、プロセッサは、走査中にオペレータに送信される指示を中継するように構成されており、したがって、医師は、画像に関するいずれの指示が提示されたか、及び、いつ提示されたかを理解することができる。
【0116】
「実例1」:結合アラート
以下は、本発明の1つの特定の実施例による結合アラート手順を例示する。手順は、以下のステップを含む。
a.画像取得-身体器官からトランスデューサへと受信されるエコーからの超音波画像の構築。
b.画像前処理-プロセスの開始時に、フレームは、複数の異なる走査からのフレームの間の分散を正規化する画像前処理を受ける。
c.トータル・ブラック・フレーム(TBF:Total Black Frame)テスト-画像前処理後、アルゴリズムはTBFテストを実施する。TBFテストにおいて、TBF条件に適格であるフレームを見出すために、現在のフレーム全体の中で絶対黒であるピクセルの割合が試験される。
d.結合条件分類-各フレームの任意の側(左/右)の結合条件が、決定木分類器によって作成される。
e.バッファ・テスト-各分類が、16決定の長さでバッファに保存される。決定の80%が不十分な結合を示す場合、ユーザは、皮膚接触を改善するか又はより多くのゲルを追加するように指示される。
f.オペレータにアラートを表示する-走査を実施している間、ユーザは、結合条件に関するリアル・タイムのフィードバックを受信する。80%のフレームに不十分な結合がある場合、ユーザは、皮膚接触を改善するか又はより多くのゲルを追加するように指示される。
g.画像を記録に追加する-良好な結合が検出された場合、フレームが記録される。
h.オペレータにアラートを表示する(TBF)-結合が識別されない場合、システムは、クレードルを皮膚に対してより密接に保持するようにユーザに案内する。
i.記録から画像をドロップする-したがって、TBF事例においてフレームがそうでない場合、受信画像が改善される。
j.画面上に画像を表示する-すべての画像が画面上に表示される(TBF、不十分な結合及び良好な結合)。
【0117】
このプロセスは、図10に流れ図の形式で示されている。
【0118】
「実例2」:「走査が速すぎる」アラート
以下は、ハウジングを動かすのが速すぎて良好な品質の走査を生成することができないユーザに対処するための手順を示している。
【0119】
走査画像から、走査速度の値を取得するための以下の2つのステップが実施される。
a.画像の大部分の変化を検出すること、及び
b.速度を得るためのオプティカル・フローを検出すること。
【0120】
第1のステップは、胚の動きと、スキャナの動きとを区別することを目標とする。胚の動きは局在化されており、したがって、それらの動きは画像の大部分を変化させない。対照的に、スキャナの動きは、画像全体を一度に変化させる。変化を推定するために、経時的標準偏差が6フレームにわたって算出される。総走査ピクセルの0.5%超において重大な変化が検出された場合、これは、動きが為されたことを示す。
【0121】
写真内の全体的な変化を評価するために、ピクセル強度の毎秒の変化が、画像にわたって評価される。ピクセル経時的標準偏差が、変化の推定手段として使用される。画像I(x,y,n)について、「n」はフレームの数であり、各フレームは時点t(n)において取り込まれる。以下の計算が、変化を評価するために使用される。
【数25】
【0122】
これによって、フレームあたりの変化の量の測定値がもたらされる。経時的な変化を評価するために、値は平均FPSによって正規化される。
【数26】
【0123】
次のステップにおいて、劇的に変化したピクセルの数が算出される。
【数27】

式中、Thはノイズに関連する変化と運動に関連する変化とを区別するために経験的に選択されている閾値である。必要な閾値を決定するために、一実施例において、10個の連続するフレーム間の平均標準偏差が、本発明の超音波デバイスによって行われた100の走査にわたって算出される。走査は、例えば、胎児が大きく動いていない妊婦の腹部上でデバイスが静止したまま保持されるときに行われるべきである。値は、算出された値の平均及び3つの標準偏差として算出される。
【0124】
ここで、画像の何パーセントが変化したかを理解するために、Cの総和が算出される。
【数28】

である場合、フレームは動いているフレームと考えられる。
【0125】
動いているフレームについて、ピラミッドによるLucas-Kanade法を使用してオプティカル・フローV、Vが算出される。画像の中心のコーナが、Harrisコーナ検出器を使用した計算に使用される。
【0126】
オプティカル・フローは、フレームあたりの速度を与える。時間内にその速度に達するために、速度はFPSによって正規化されるべきである。
【数29】
【0127】
本発明の実施例を実例として説明してきたが、本発明は特許請求項の範囲を超えることなく、多くの変更、修正、及び適合を伴って実行されてもよいことは理解されよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
【国際調査報告】