(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】in vivoで造血幹細胞及び造血前駆細胞を形質導入するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0789 20100101AFI20230526BHJP
C12N 15/19 20060101ALI20230526BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20230526BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230526BHJP
C12N 15/52 20060101ALI20230526BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230526BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230526BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20230526BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230526BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230526BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20230526BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230526BHJP
A61K 31/395 20060101ALI20230526BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230526BHJP
【FI】
C12N5/0789 ZNA
C12N15/19
C12N15/09 100
C12N15/12
C12N15/52 Z
A61K48/00
A61P35/00
A61P37/06
A61P7/00
A61P3/00
A61K35/28
A61K45/00
A61K31/395
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565722
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 US2021029479
(87)【国際公開番号】W WO2021222313
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518445159
【氏名又は名称】マジェンタ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MAGENTA THERAPEUTICS, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】514104933
【氏名又は名称】ユニヴァーシティ オブ ワシントン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100214259
【氏名又は名称】山本 睦也
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ボイタノ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン ゴンカルブス
(72)【発明者】
【氏名】ドワイト モロー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ リーバー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ピーター キエム
(72)【発明者】
【氏名】マイケル クック
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA92X
4B065AB01
4B065AC20
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4C084AA13
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4C084NA05
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4C086ZA51
4C086ZB08
4C086ZB26
4C086ZC21
4C086ZC42
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB44
4C087NA14
4C087ZA51
4C087ZB08
4C087ZB26
4C087ZC21
(57)【要約】
本発明は、ヒト対象などの対象における、造血幹細胞及び造血前駆細胞(HSPC)のin vivo形質導入、並びに、とりわけ、血液疾患、代謝障害、がん、及び自己免疫疾患などの様々な病態に罹患している対象の治療、に関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物対象の骨髄から末梢血中に動員された造血幹細胞又は造血前駆細胞の集団を形質導入する方法、
ここで、約 0.001 mg/kgから約 0.1 mg/kgの用量で、又は約 1 mgから約 8 mgの固定用量で、Gro-β、Gro-β T、及びそれらのバリアント、からなる群より選択されるCXCR2アゴニストを使用して、前記対象の造血幹細胞又は造血前駆細胞は、末梢血中に動員される、
前記方法は、以下を含む:
(a) 造血幹細胞又は造血前駆細胞をin vivoで形質導入するための選択マーカーを含む核酸を、前記対象に投与するステップ、及び、
(b) 選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされた造血幹細胞又は造血前駆細胞を選択するための選択薬剤を投与するステップ、これにより、選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされなかった造血幹細胞又は造血前駆細胞は生存しない。
【請求項2】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記核酸は、遺伝子編集システム又は遺伝子工学システムの構成要素を含む。
【請求項3】
請求項2に記載の方法、ここで、前記システムは、CRISPR-Cas9システム、スリーピング・ビューティー・トランスポザーゼ(Sleeping Beauty Transposase) 100x(SB100x)システム、及びFLP-FRTシステム、より選択される。
【請求項4】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記核酸は、治療遺伝子を更に含む。
【請求項5】
請求項4に記載の方法、ここで、前記治療遺伝子は、γ-グロビン遺伝子の少なくとも一部、又はFANC A-F;第VIII因子(F8);第IX因子(F9);第X因子(F10);ウィスコット・アルドリッチ症候群タンパク質(WASP);チトクロームB-245ベータ鎖(CYBB);エラスターゼ好中球発現(Elastase Neutrophil Expressed (ELANE));ヘモグロビン・サブユニット・アルファ(HBA);ヘモグロビン・サブユニット・ベータ (HBB);ピルビン酸キナーゼ、肝臓及びRBC(PKLR);リボソーム・タンパク質S19(RPS19);ATP結合カセット・サブファミリーDメンバー1(ABCD1);アリールスルファターゼA(ARSA);グルコシルセラミダーゼ・ベータ (GBA);イズロン酸2-スルファターゼ (IDS);イズロニダーゼ、アルファ-L(IDUA);T-細胞免疫調節因子1(TCIRG1);アデノシン・デアミナーゼ(ADA);インターロイキン2レセプター・サブユニット・ガンマ(IL2RG);ブルトン・チロシン・キナーゼ(Bruton’s Tyrosine Kinase (BTK));アデノシン・デアミナーゼ(ADA);IL2RG;CD40リガンド(CD40LG);フォークヘッド・ボックスP3(Forkhead Box P3 (FOXP3));インターロイキン4、10、13(IL-4、10、13);パーフォリン1(PRF1);人工T細胞レセプター(TCR);キメラ抗原レセプター(CAR);若しくはC-Cモチーフ・ケモカイン・レセプター5(CCR5)、の少なくとも一部をコードする遺伝子、を含む。
【請求項6】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記選択マーカーは、ヒトO(6)-メチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ(MGMT)変異体を含む。
【請求項7】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記選択薬剤は、メチル化剤を含む。
【請求項8】
請求項7に記載の方法、ここで、前記メチル化剤は、O6-ベンジルグアニン(O6BG)、ビス-クロロエチルニトロソウレア(BCNU)、テモゾロミド、及びそれらの組み合わせ、より選択される。
【請求項9】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記核酸は、ベクター中に存在する。
【請求項10】
請求項9に記載の方法、ここで、前記ベクターは、レンチウイルス・ベクター、rAAVベクター、及びHDAd5/35++ベクター、より選択される。
【請求項11】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記核酸を、前記CXCR2アゴニスト及び/又は前記CXCR4アンタゴニストを投与して約10分後から約10時間後に、投与する。
【請求項12】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記選択薬剤を、前記核酸を投与して約4週間後から約24週間後に、投与する。
【請求項13】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記用量は、約0.015 mg/kg超から約0.05 mg/kg未満である。
【請求項14】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記CXCR2アゴニストは、Gro-β Tを含む。
【請求項15】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記CXCR2アゴニストを、約0.03 mg/kgの用量で投与する
【請求項16】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記方法は、前記CXCR2アゴニストを投与するステップを更に含む。
【請求項17】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記CXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを使用して、前記対象の造血幹細胞又は造血前駆細胞を前記末梢血中に動員する。
【請求項18】
請求項17に記載の方法、ここで、前記CXCR4アンタゴニストは、プレリキサホルである。
【請求項19】
請求項18に記載の方法、ここで、前記プレリキサホルを、約240 μg/kgの用量で、前記対象に投与する。
【請求項20】
請求項17から19の何れか一項に記載の方法、ここで、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストと同時に投与する。
【請求項21】
請求項17から19の何れか一項に記載の方法、ここで、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストの後に投与する。
【請求項22】
請求項21に記載の方法、ここで、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストを投与して約4時間以内に投与する。
【請求項23】
請求項21又は22に記載の方法、ここで、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストの約2時間後に投与する。
【請求項24】
請求項17から23の何れか一項に記載の方法、ここで、前記CXCR2アゴニスト及び前記CXCR4アンタゴニストを、それぞれ2日間連続して投与する。
【請求項25】
請求項24に記載の方法、ここで、前記CXCR2アゴニスト及び前記CXCR4アンタゴニストを、それぞれ、1日1回、2日間連続して投与する。
【請求項26】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記固定用量は、約2.5 mgから約5.5 mgである。
【請求項27】
先行する請求項の何れかに記載の方法、ここで、前記固定用量は、約1.3 mgである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年4月27日に出願された米国仮出願第63/016,212号及び2020年5月12日に出願された米国仮出願第63/023,749号に対して優先権の利益を主張する。その各々の内容は、その全体が本出願に参照により取り込まれる。
【0002】
[配列リスト]
本出願はASCII形式で電子的に提出された配列リストを含み、その全体が本出願に参照により取り込まれる。2021年4月22日に作成された、前記ASCIIコピーは、MGA-008WO_SL.txtの名前で、サイズが3,440バイトである。
【0003】
[発明の分野]
本発明は、ヒト対象などの対象における、造血幹細胞及び造血前駆細胞(hematopoietic stem and progenitor cells (HSPCs))のin vivo形質導入、並びに、とりわけ、血液疾患、代謝障害、がん、及び自己免疫疾患などの様々な病態に罹患している対象の治療、に関する。
【背景技術】
【0004】
[発明の背景]
医療技術の進歩にもかかわらず、とりわけ、造血系の病態、例えば、特定の血液細胞の疾患(例えば、鎌状赤血球症(SCD))、代謝障害、がん、及び自己免疫症状、を治療することが依然として求められている。このような疾患のための遺伝子治療に対する現行のアプローチとしては、ex vivo造血幹細胞及び造血前駆細胞の遺伝子治療が挙げられるが、これは、細胞培養を必要とする複雑な製造を伴うコストがかかる手段、及び毒性が有るコンディショニング・レジメン、である。
【0005】
従って、造血幹細胞及び造血前駆細胞のin vivo形質導入は、とりわけ、ex vivo遺伝子治療が困難である地理的な領域において望ましい場合がある。しかし、in vivoでの造血幹細胞及び造血前駆細胞の直接的な形質導入は、骨髄間質という物理的な障壁があるので、効率が良くない。
【0006】
更に、G-CSFを動員薬剤として使用することは、鎌状赤血球症のようないくつかの異常ヘモグロビン症を有する患者において、禁忌である。更に、G-CSFは、非選択的な骨髄細胞の動員をもたらし、これは、白血球増加症、及び末梢中のサイトカイン-産生細胞が増加すること、へと繋がる。これによって、静脈内注射したウイルス・ベクターと接触するようになる末梢中のサイトカイン-産生細胞の数が増加し、これによって、今度は、動員を行っていない動物と比較して、動員を行った動物では、サイトカイン・レベルがより高くなる。末梢中の動員された(コミットした(committed))骨髄細胞もまた、ウイルス・ベクターを囲い込むので、未成熟なHSPCのための有効用量は減少する。更に、G-CSF/AMD3100に関連する、5日間の治療レジメン及び高いコストによって、代わりとなる動員レジメンを開発することは、妥当なことである。
【0007】
従って、造血幹細胞及び造血前駆細胞のin vivo形質導入を改善するための組成物及び方法が現在必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
[発明の概要]
本発明は、造血幹細胞及び造血前駆細胞のin vivo形質導入のための組成物及び方法を提供する。そのような方法を使用して、例えば、血液細胞の疾患に繋がる遺伝子の欠陥を修正するための遺伝子治療を提供することができる。
【0009】
前記方法は、本出願に記載されるように、C-X-Cケモカイン・レセプター・タイプ2(CXCR2)アゴニスト(例えば、Gro-β又はそのバリアント[例えば、Gro-βの切断体(例えば、Gro-β T)])を、任意選択的に、C-X-Cケモカイン・レセプター・タイプ4(CXCR4)アンタゴニスト(例えば、1,1'-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラ-アザシクロテトラデカン又はそのバリアント)と併用して、骨髄から造血幹細胞及び造血前駆細胞を動員すること、を含むことがある。その動員された造血幹細胞及び造血前駆細胞を、選択マーカーを含む核酸で、形質導入することができる。選択薬剤を使用して、選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされた造血幹細胞又は造血前駆細胞を選択することができ、それによって、選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされなかった造血幹細胞又は造血前駆細胞は生存しない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、一態様では、本開示は、哺乳動物対象の骨髄から末梢血中に動員された造血幹細胞又は造血前駆細胞の集団を形質導入する方法、ここで、約 0.001 mg/kgから約 0.1 mg/kgの用量で、又は約 1 mgから約 8 mgの固定用量で、Gro-β、Gro-β T、及びそれらのバリアント、からなる群より選択されるCXCR2アゴニストを使用して、前記対象の造血幹細胞又は造血前駆細胞は、末梢血中に動員される、に関する。前記方法は、造血幹細胞又は造血前駆細胞をin vivoで形質導入するための選択マーカーを含む核酸を、前記対象に投与するステップ、及び、選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされた造血幹細胞又は造血前駆細胞を選択するための選択薬剤を投与するステップ、これにより、選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされなかった造血幹細胞又は造血前駆細胞は生存しない、を含むことがある。
【0011】
ある特定の実施形態では、前記核酸は、遺伝子編集又は遺伝子工学システム、例えば、CRISPR-Cas9システム、スリーピング・ビューティー・トランスポザーゼ(Sleeping Beauty Transposase) 100x(SB100x)システム、及びリコンビナーゼ・システム(例えば、FLP-FRTシステム)など、の構成要素を含む。
【0012】
ある特定の実施形態では、前記核酸は、γ-globin遺伝子のような治療遺伝子を含む。ある特定の実施形態では、前記核酸は、FANC A-F;第VIII因子(F8);第IX因子(F9);第X因子(F10);ウィスコット・アルドリッチ症候群タンパク質(WASP);チトクロームB-245ベータ鎖(CYBB);エラスターゼ好中球発現(Elastase Neutrophil Expressed (ELANE));ヘモグロビン・サブユニット・アルファ(HBA);ヘモグロビン・サブユニット・ベータ (HBB);ピルビン酸キナーゼ、肝臓及びRBC(PKLR);リボソーム・タンパク質S19(RPS19);ATP結合カセット・サブファミリーDメンバー1(ABCD1);アリールスルファターゼA(ARSA);グルコシルセラミダーゼ・ベータ (GBA);イズロン酸2-スルファターゼ (IDS);イズロニダーゼ、アルファ-L(IDUA);T-細胞免疫調節因子1(TCIRG1);アデノシン・デアミナーゼ(ADA);インターロイキン2レセプター・サブユニット・ガンマ(IL2RG);ブルトン・チロシン・キナーゼ(Bruton’s Tyrosine Kinase (BTK));アデノシン・デアミナーゼ(ADA);IL2RG;CD40リガンド(CD40LG);フォークヘッド・ボックスP3(Forkhead Box P3 (FOXP3));インターロイキン4、10、13(IL-4、10、13);パーフォリン1(PRF1);人工T細胞レセプター(TCR);キメラ抗原レセプター(CAR);又はC-Cモチーフ・ケモカイン・レセプター5(CCR5)、をコードする遺伝子の少なくとも一部を含む治療遺伝子を、含む。
【0013】
ある特定の実施形態では、前記選択マーカーは、ヒトO(6)-メチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ(MGMT)変異体である。
【0014】
ある特定の実施形態では、前記選択薬剤は、メチル化剤を含む。ある特定の実施形態では、前記メチル化剤は、O6-ベンジルグアニン(O6BG)、ビス-クロロエチルニトロソウレア(BCNU)、テモゾロミド、及びそれらの組合せ、より選択される。
【0015】
ある特定の実施形態では、前記核酸は、ベクター(例えば、レンチ-ウイルス・ベクター、rAAVベクター、又はHDAd5/35++ベクターなど)中に存在する。
【0016】
ある特定の実施形態では、前記核酸を、前記CXCR2アゴニスト及び/又は前記CXCR4アンタゴニストを投与して約10分後から約10時間後に、投与する。
【0017】
ある特定の実施形態では、前記選択薬剤を、前記核酸を投与して約4週間後から約24週間後に、投与する。
【0018】
ある特定の実施形態では、CXCR2アゴニストの用量は、約0.015 mg/kg超から約0.05 mg/kg未満であった。ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約0.03 mg/kgの用量で投与する。ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約2.5 mgから約5.5 mgの固定用量で、投与する。ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約1.3 mgの固定用量で、投与する。ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストは、Gro-β Tを含む。
【0019】
ある特定の実施形態では、前記方法は、CXCR2アゴニストを投与するステップを更に含む。
【0020】
ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニスト及び前記CXCR4アンタゴニストを使用して、前記対象の造血幹細胞又は造血前駆細胞を前記末梢血中に動員する。ある特定の実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、プレリキサホルである。ある特定の実施形態では、前記プレリキサホルを、約240 μg/kgの用量で、前記対象に投与する。
【0021】
ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストと同時に投与する。ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストの後に投与する。ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストを投与して約4時間以内に投与する。ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストの約2時間後に投与する。ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニスト及び前記CXCR4アンタゴニストを、それぞれ2日間連続して投与する。ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニスト及び前記CXCR4アンタゴニストを、それぞれ、1日1回、2日間連続して投与する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1Aは、実施例1におけるCD46-トランスジェニック・マウスのin vivo形質導入に使用したプロトコルの概要である。GCSF + プレリキサホル(5日間)、又はGro-β + プレリキサホル(同時に皮下投与)を用いて、血液細胞を動員し、次いで、示した量の、組み込ませるHDAd5/35
++ mgmt/GFPベクター + HDAd-SBベクターを、1時間後に、マウスに注射投与した。
図1Bは、MGTA-145注射投与の後の様々な時点で、フロー・サイトメトリーによって測定した、LSK(系列
-cKit
+Sca1
+)細胞の数を示すグラフである。
図1Cは、メチルセルロース・アッセイによって測定した、末梢血中に存在するコロニー形成細胞の数を示すグラフである。
【
図2】
図2は、GCSF + プレリキサホル又はGro-β + プレリキサホルを使用して、動員を行ったマウスに由来する血液をプレーティングした後に生成されたCFUの数を示すグラフである。
【
図3】
図3Aは、プレリキサホル後の様々な時点で採取した、及びヘマベット解析に供した、様々なタイプの血液の細胞/mLの数を示すグラフである。バーは、左から右へ、白血球(WBC)、好中球(NE)、リンパ球(LY)、単球(MO)、及び好酸球(EO)を表す。
図3Bは、MGTA-145 + プレリキサホルを使用すると、G-CSF + プレリキサホルを使用するよりも、薬物を最後に注射した1時間後で、単核細胞(MNC)がより少なく動員されることを示すグラフである。
図3Cは、ブリリアント・クレシル・ブルーによって検出された網状赤血球の割合を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施例1のin vivo形質導入/選択のスキームを示す。動員を行ったCD46-トランスジェニック・マウスに、HDAd-mgmt/GFP + HDAd-SBを、静脈内注射により、形質導入した。形質導入後4、6、8及び10週目に、O
6BG/BCNUのIP注射投与により、4ラウンドの選択を行った。一次マウスを、形質導入後12週目に、安楽死させた。系統-ネガティブの細胞を、一次マウスから単離し、致死的に照射したC57Bl/6マウスに、注射投与した。その二次移植マウスを、最終解析のために、16週まで追跡した。
【
図5】
図5Aは、実施例1のスキームによる形質導入の後の様々な時点での、末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cell (PBMCs))におけるGFP標識を示すグラフである。
図5Bは、16週目の、血液の、脾臓の及び骨髄の単核細胞(mononuclear cells (MNCs))における、CD3-、CD19-及びGr-1-ポジティブ細胞での、GFP発現を示すグラフである。骨髄サンプルにおけるLSK細胞も示した。
図5Cは、形質導入の16週間後に、骨髄から単離した系統-ネガティブの細胞のメチルセルロース・アッセイ後の、GFP
+発現のプールされたコロニー細胞の割合を示すグラフである。
【
図6】
図6Aは、PBMC中のヒトCD46
+細胞を検出するためにフロー・サイトメトリーによって測定した場合における、生着割合を示す。示されるように、MGTA-145 + プレリキサホル群における白血球増加は、G-CSF + プレリキサホル群における白血球増加よりもはるかに低い。
図6Bは、移植後で16週目までの様々な時点での、GFP-発現PBMCの割合を示すグラフである。
【
図7】
図7Aは、二次移植後16週目の、血液の、脾臓の及び骨髄のMNCにおける、細胞組成を示すグラフである。各ドットは、1匹の動物を表す。形質導入を行っていないナイーブな動物をコントロールとして使用した。
図7Bは、形質導入後16週目に、骨髄から単離した系統-ネガティブの細胞の、10日間のメチルセルロース・アッセイ後の、コロニー形成単位(CFU)/2500個のLin-細胞、の数を示す。
【
図8】
図8は、形質導入の1時間後及び6時間後での、マウス中の血清IL-6(pg/ml)レベルを示すグラフである。各ドットは、1匹の動物を表す。動員を行っていないマウス由来のサンプルを、コントロールとして使用した。*, p<0.05。
【
図9】
図9Aは、サラセミア・マウス・モデルにおける、MGTA-145注射投与の1時間後での、フロー・サイトメトリーによって測定した、LSK(系統
-cKit
+Sca1
+)細胞の数を示すグラフである。各ドットは、1匹の動物を表す。
図9Bは、サラセミア・マウス・モデルにおける、メチルセルロース・アッセイによって測定した場合における、末梢血中に存在するコロニー形成細胞の数を示すグラフである。各ドットは、1匹の動物を表す。
【
図10】
図10は、治療前の、Hbb
th3/CD46tg(サラセミア)及びHbb
tm2/CD46tg(タウンズ又は鎌状赤血球症の疾患モデル(Townes or sickle cell disease model))細胞の表現型を示す。血液塗抹標本のギムザ/メイ-グリュンワルド染色(Giemsa/May-Grunwald staining)により、RBCの形態を測定した。網状赤血球の割合を、ブリリアント・クレシル・ブルー染色によって測定した。CD46マウス由来のサンプルを、「健常」コントロールとして使用した。
【発明を実施するための形態】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
[詳細な説明]
本発明は、造血幹細胞及び造血前駆細胞のin vivo形質導入のための組成物及び方法を提供する。そのような方法を使用して、例えば、血液細胞の疾患に繋がる遺伝子の欠陥を修正するための遺伝子治療を提供することができる。
【0042】
前記方法は、本出願に記載されるように、C-X-Cケモカイン・レセプター・タイプ2(CXCR2)アゴニスト(例えばGro-β又はそのバリアント[例えば、Gro-βの切断体(例えば、Gro-β T)])を、任意選択的に、C-X-Cケモカイン・レセプター・タイプ4(CXCR4)アンタゴニスト(例えば、1,1'-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラ-アザシクロテトラデカン又はそのバリアント)と併用して、骨髄から造血幹細胞及び造血前駆細胞を動員すること、を含むことがある。その動員された造血幹細胞及び造血前駆細胞を、選択マーカーを含む核酸で、形質導入することができる。選択薬剤を使用して、選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされた造血幹細胞又は造血前駆細胞を選択することができ、それによって、選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされなかった造血幹細胞又は造血前駆細胞は生存しない。
【0043】
本発明は、一部には、CXCR2アゴニスト(例えば、Gro-β、Gro-β T、又はそれらのバリアントなど)を、任意選択的に、CXCR4アンタゴニスト(例えば、プレリキサホル又はその薬学的に許容可能な塩など)と併用して、動員した造血幹細胞及び造血前駆細胞のin vivo形質導入を行い、例えば、血液細胞の疾患に繋がる遺伝子中の欠陥を修正することができる、という発見に基づく。更に、CD34+CD90+CD45RA-細胞(長期生着に関連する幹細胞表現型を示す集団である)は、本出願に記載される投与方法によって効果的に動員される。従って、本出願に記載される組成物及び方法を用いて産生された、動員された造血幹細胞及び造血前駆細胞の集団は、in vivoでの形質導入(例えば、遺伝子治療)との併用に特に適している。
【0044】
本出願に記載されるように、造血幹細胞は、造血系列における多数の細胞型に分化することができる。従って、in vivo形質導入を用いて、細胞型の遺伝的な欠陥を修正し、患者において欠陥のある、又は欠損している、その細胞型を生着化又は再生着化することができる。前記患者は、例えば、自己免疫疾患、がん、異常ヘモグロビン症、又は他の造血病態のような1種以上の血液疾患に罹患している患者であることがあり、従って、造血幹細胞遺伝子治療を必要とする。従って、本発明は、とりわけ、ファンコニ貧血(Fanconi anemia)、血友病A、血友病B、第X因子欠損症、ウィスコット‐アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome)、X-連鎖慢性肉芽腫性疾患、コストマン症候群(Kostmann’s syndrome)、アルファ-サラセミア、ベータ-サラセミア、鎌状赤血球症(鎌状赤血球貧血)、ピルビン酸キナーゼ欠損症、ダイアモンド‐ブラックファン貧血(Diamond-Blackfan anemia)、X-連鎖副腎白質ジストロフィー(X-linked adrenoleukodystrophy), 異染性白質ジストロフィー、ゴーシェ病、ハンター症候群、ムコ多糖症I型、大理石骨病、アデノシン・デアミナーゼ(ADA)-欠損重度複合免疫不全症、X-連鎖重度複合免疫不全症、X-連鎖無ガンマグロブリン血症、X-連鎖高IgM症候群、IPEX症候群、早期発症型炎症性疾患、血球貪食性リンパ組織症(hemophagocytic lymphohistiocytosis)、シュワックマン‐ダイアモンド症候群(Schwachman-Diamond syndrome)、ヒト免疫不全ウイルス感染症、及び後天性免疫不全症候群、並びにがん及び自己免疫疾患、などの様々な造血症状を治療する方法を提供する。
【0045】
以下のセクションは、造血幹細胞又は造血前駆細胞の集団を、幹細胞ニッチから末梢血中(この場所で、前記造血幹細胞又は造血前駆細胞は、in vivo形質導入を受け、例えば、1種以上の幹細胞障害[例えば、がん、自己免疫疾患]を、本出願に記載される代謝障害を、治療するために、欠陥のある遺伝子を修正する)への動員を誘導するように、対象に投与し得るCXCR4アンタゴニスト及びCXCR2アゴニスト、について説明をする。
【0046】
[定義]
本出願で使用する場合、用語「約」は、記載される値より10%高い値又は低い値をいう。例えば、用語「約5 nM」は、4.5 nMから5.5 nMの範囲を示す。
【0047】
本出願で使用する場合、用語「抗体」は、特定の抗原に特異的に結合するか、又は特定の抗原と免疫学的に反応性である、免疫グロブリン分子のことを指す。抗体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、遺伝的に改変した抗体、及び抗体の改変体(例えば、限定されるものではないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヘテロコンジュゲート抗体[例えば、バイ-、トリ-及びクアッド-スペシフィック抗体、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ]、並びに抗体の抗原結合フラグメント[例えば、Fab'、F(ab')2、Fab、Fv、rlgG、及びscFvフラグメントなど])、が挙げられる。別段に記載のない場合、用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、ターゲット・タンパク質に特異的に結合することができる、インタクトな分子、並びに抗体フラグメント(例えば、Fab及びF(ab')2のフラグメントなど)、の両方を含むことが意味される。本出願で使用する場合、Fab及びF(ab')2フラグメントは、インタクトな抗体のFcフラグメントを欠く抗体フラグメントを指す。これらの抗体フラグメントの例を、本出願で記載する。
【0048】
本出願で使用する場合、用語「抗原-結合フラグメント」は、ターゲット抗原に特異的に結合する作用能を保持する1つ以上の抗体のフラグメント、を意味する。抗体の抗原-結合機能を、全長抗体のフラグメントによって果たすことができる。前記抗体フラグメントは、例えば、Fab、F(ab')2、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、アフィボディ、ナノボディ、i-ボディ、アプタマー、又はドメイン抗体であることがある。抗体の「抗原-結合フラグメント」という用語に包含される結合フラグメントの例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:(i)Fabフラグメント、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価フラグメント;(ii)F(ab')2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結した、2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii) VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメント;(v) VH及びVLドメインを含むdAb;(vi) VHドメインからなるdAbフラグメント(例えば、Ward et al., Nature 341:544-546、(1989)を参照のこと);(vii) VH又はVLドメインからなるdAb;(viii)単離した相補性決定領域(CDR);並びに(ix)合成リンカーによって任意選択的に連結することがある2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ)の単離したCDRの組み合わせ。更に、Fvフラグメントの2つのドメイン(VL及びVH)は、別々の遺伝子によってコードされているが、それらを、組換え方法を使用することで、リンカーによって連結して、その結果、単一タンパク質鎖(VL及びVH領域が対になって一価分子を形成する)とすることができる(単鎖Fv(scFv)として公知である;例えば、Bird et al., Science 242:423-426, (1988) 及び Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883, (1988)を参照のこと)。これらの抗体フラグメントを、当業者に公知の従来の技術を使用して入手することができ、及び前記フラグメントを、インタクトな(intact)抗体と同じ様式で、有用性についてスクリーニングすることができる。抗原-結合フラグメントを、組換えDNA技術によって、インタクトな免疫グロブリンの酵素的な又は化学的な切断によって、又は、ある場合には、当該技術分野で公知の化学的ペプチド合成手順によって、産生することができる。
【0049】
本出願で使用する場合、用語「バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)」は、同一の抗原上にあることがある、少なくとも2種の異なる抗原、又は2種の異なるエピトープに結合することができる、例えば、モノクローナル抗体、しばしば、ヒト抗体、又はヒト化抗体、を指す。
【0050】
本出願で使用する場合、用語「相補性決定領域」(CDR)は、抗体の軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方に見出される超可変領域のことをいう。可変ドメインのより高度に保存された部分は、骨格領域(FR)と呼ばれる。抗体の超可変領域を表すアミノ酸の位置は、文脈及び当該技術分野で公知の種々の定義に依存して、変化することがある。可変ドメイン内のいくつかの位置は、ハイブリッド超可変位置と見なされることがあり、これらの位置は、ある組の基準の下では超可変領域内にあると見なされることがあり、一方、別の組の基準の下では超可変領域外にあると見なされることがある。これらの位置の1つ以上はまた、拡張超可変領域において見出されることもある。本出願に記載される抗体は、これらのハイブリッド超可変位置に、改変を含むことがある。生来の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、主にβ-シート構造をとり、3つのCDRによって連結した(CDRは、β-シート構造を連結し、場合によってはその一部を形成する、ループを形成する)、4つの骨格領域を含む。各々の鎖中のCDRは、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順序で、骨格領域によって近接して一緒にまとまり、そして他の抗体鎖由来のCDRと共に、抗体のターゲット結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institute of Health, Bethesda, MD., 1987を参照のこと)。本出願で使用する場合、免疫グロブリンのアミノ酸残基の番号付けは、別段に示さない限り、Kabatらの免疫グロブリンのアミノ酸残基の番号付けシステムに従って行う。
【0051】
本出願で使用する場合、用語「保存的変異」、「保存的置換」、又は「保存的アミノ酸置換」は、極性、静電荷、及び立体容積などの物理化学的特性が類似であることを示す、1種以上の種々のアミノ酸に対する、1種以上のアミノ酸の置換をいう。これらの特性を、以下の表1に、20種の天然アミノ酸の各々についてまとめる。
【表1】
+A3の体積に基づく:50-100は小、100-150は中間、150-200は大、及び>200はかさばる。
【0052】
この表から、保存的なアミノ酸ファミリーとしては、例えば、(i)G、A、V、L、I、P、及びM;(ii)D及びE;(iii)C、S及びT;(iv)H、K及びR;(v)N及びQ;並びに(vi)F、Y及びW、が挙げられる。従って、保存的な変異又は置換とは、あるアミノ酸を同じアミノ酸ファミリーのメンバーに置換するものである(例えば、SerをThrに、又はLysをArgに置換する)。
【0053】
本出願で使用する場合、「CRU(競合的再生着ユニット(competitive repopulating unit))」は、in vivoへの移植後に検出され得る、長期に生着する幹細胞の測定単位をいう。
【0054】
本出願で使用する場合、用語「ダイアボディ」は、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体を指す、ここで、各々のポリペプチド鎖は、同じペプチド鎖上のVH及びVLドメインの分子内会合が不可能であるくらい短いリンカー(例えば、5つのアミノ酸から構成されるリンカー)によって連結されたVH及びVLドメインを含む。この構成によって、それぞれのドメインは、別のポリペプチド鎖上の相補的ドメインと対になって、ホモ二量体構造を形成する。従って、用語「トリアボディ」は、3つのペプチド鎖を含む三価抗体を指し、その各々は、同じペプチド鎖内のVH及びVLドメインの分子内会合を可能にするには非常に短すぎるリンカー(例えば、1から2アミノ酸から構成されるリンカー)によって連結された1つのVHドメイン及び1つのVLドメインを含む。このようにして構成されたペプチドは、その生来の構造に折りたたまれるために、通常は、隣接するペプチド鎖のVHドメイン及びVLドメインが空間的に互いに近接するように、三量体化する(例えば、Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-48, (1993)を参照)。
【0055】
本出願で使用する場合、遺伝子に関する、用語「破壊する」は、機能的な遺伝子産物の形成を妨げることを指す。遺伝子産物は、その正常な(野生型の)機能を満たす場合にのみ機能的である。前記遺伝子を破壊することは、遺伝子がコードする機能的因子の発現を妨げる、並びに、遺伝子、並びに/又は、動物において、前記遺伝子の発現に必要な、プロモーター及び/若しくはオペレーター、がコードする配列における、1つ以上の塩基の挿入、欠失又は置換、を含む。破壊される遺伝子は、例えば、動物のゲノムから、前記遺伝子の少なくとも一部を除去すること、前記遺伝子がコードする機能的因子の発現を妨げるために前記遺伝子を改変すること、干渉RNA、又は外因性遺伝子によるドミナント・ネガティブ因子の発現、によって破壊されることがある。造血幹/前駆細胞を遺伝的に改変する材料及び方法は、米国特許出願公開第8,518,701号;米国特許出願公開第2010/0251395号;及び米国特許出願公開第2012/0222143号に詳述されている、これらの各々の開示は、その全体が本出願に参照により取り込まれる(相反する場合、本明細書が支配する)。
【0056】
本出願で使用する場合、「二重可変ドメイン免疫グロブリン(dual variable domain immunoglobulin)」(「DVD-Ig」)は、四価の、デュアル-ターゲティングの単剤(a tetravalent, dual-targeting single agent)を生成するために、リンカーを介して、2つのモノクローナル抗体のターゲット-結合可変ドメインを結合させた抗体を指す(例えば、Gu et al., Meth. Enzymol., 502:25-41, (2012)、を参照)。
【0057】
本出願で使用する場合、用語「内因性」は、ヒト患者のような特定の生命体中に天然に見出される分子、細胞、組織、又は臓器(例えば、造血幹細胞、又は巨核球、血小板(thrombocyte)、血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球(myeoblast)、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原-提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、又はB-リンパ球のような造血系列の細胞)のような物質を記載する。
【0058】
本出願で使用する場合、用語「生着能力(engraftment potential)」は、造血幹細胞及び造血前駆細胞が組織に再生着化する能力を指すために使用され、そのような細胞が自然に循環しているか、又は移植によって提供されるかに関わらない。前記用語は、細胞の組織ホーミング及び注目する組織内への細胞のコロニー形成のような、生着を取り巻くか、又は生着に至る全ての事象を包含する。生着の効率又は生着の割合は、当業者に公知の任意の臨床的に許容されるパラメータを用いて評価又は定量することができ、例えば、競合的再生着ユニット(competitive repopulating unit)(CRU)を評価すること;幹細胞がホーミングした、コロニー形成をした、又は生着した組織において、マーカーが取り込まれること若しくは発現すること;又は、疾患の進行、造血幹細胞及び造血前駆細胞の生存、若しくはレシピエントの生存により、対象の進行を評価すること、が含まれることがある。生着は、移植後の末梢血中の白血球細胞数を測定することによっても判定することができる。生着を、骨髄吸引サンプルにおいて、形質導入を受けた細胞によって骨髄細胞が回復すること、を測定することによって、評価することもできる。
【0059】
本出願で使用する場合、用語「外因性(exogenous)」は、ヒト患者のような特定の生命体中に天然には見出されない分子、細胞、組織、又は臓器(例えば、造血幹細胞、又は巨核球、血小板(thrombocyte)、血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球(myeoblast)、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原-提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、又はB-リンパ球のような造血系列の細胞)のような物質を記載する。外因性物質には、外部供給源から生命体に又はそこから抽出した培養物に提供されるものが含まれる。
【0060】
本出願で使用する場合、用語「骨格領域」又は「FW領域」は、抗体又はその抗原-結合フラグメントのCDRに隣接するアミノ酸残基を含む。 FW領域の残基は、例えば、ヒト抗体、ヒト化抗体、モノクローナル抗体、抗体フラグメント、Fabフラグメント、単鎖抗体フラグメント、scFvフラグメント、抗体ドメイン、及びバイスペシフィック抗体などに存在することがある。
【0061】
本出願で使用する場合、用語「造血前駆細胞」には、造血系のいくつかの細胞型(特に、顆粒球、単球、赤血球、巨核球、B-細胞及びT-細胞を含むがこれらに限定されない)に分化し得る多能性細胞(pluripotent cells)が含まれる。造血前駆細胞は、造血細胞の系列にコミットされていて、一般に自己複製することはない。造血前駆細胞は、例えば、細胞表面抗原の発現パターンによって同定することができ、そして以下の免疫表現型を有する細胞を含む:Lin- KLS+ Flk2- CD34+。造血前駆細胞には、短期の造血幹細胞、多能性前駆細胞(multi-potent progenitor cells)、一般的な骨髄系前駆細胞、顆粒球‐単球前駆細胞、及び巨核球‐赤血球前駆細胞、が含まれる。造血前駆細胞が存在することを、機能的に、例えば、コロニー形成ユニット細胞を、例えば、完全メチルセルロース・アッセイ(complete methylcellulose assay)において、検出することによって、又は本出願に記載され、及び当該技術分野において公知であるフロー・サイトメトリー及び細胞選別アッセイを使用する細胞表面マーカーの検出を介して表現型的に、決定することができる。
【0062】
本出願で使用する場合、用語「造血幹細胞」(hematopoietic stem cell(「HSC」))とは、自己複製する能力、及び顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球,好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B-細胞及びT-細胞)を含むがこれらに限定されない多様な系列を含む成熟血液細胞に分化する能力、を有する未成熟血液細胞をいう。そのような細胞としては、CD34+細胞が挙げられる。CD34+細胞は、CD34細胞表面マーカーを発現する未成熟細胞である。ヒトでは、CD34+細胞は、上記に定義された幹細胞の特性を有する細胞の亜集団を含むと考えられているが、一方マウスでは、HSCはCD34-である。更に、HSCはまた、長期再生着HSC(LT-HSC)及び短期再生着HSC(ST-HSC)も指す。LT-HSCとST-HSCとは、機能的ポテンシャル(functional potential)及び細胞表面マーカーの発現に基づいて区別される。例えば、ヒトHSCは、CD34+、CD38-、CD45RA-、CD90+、CD49F+、及びlin-(CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD11B、CD19、CD20、CD56、CD235A等を含む成熟系列のマーカーについてネガティブ)である。マウスでは、骨髄LT-HSCは、CD34-、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、CD48-、lin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7ra等を含む成熟系列のマーカーについてネガティブ)であるが、一方、ST-HSCは、CD34+、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7ra等を含む成熟系列のマーカーについてネガティブ)である。加えて、ST-HSCは、ホメオスタシス条件下で、LT-HSCよりも静止性が低く、増殖性が高い。しかし、LT-HSCは、自己複製能が高い(即ち、LT-HSCは、成人期を通して生存し、レシピエントを代々介して連続的に移植することができる)のに対し、ST-HSCは、自己複製能が限られている(即ち、ST-HSCは、限られた期間のみ生存し、連続して移植することはできない)。これらのHSCの何れも、本出願に記載される方法において使用され得る。ST-HSCは、それらが高度に増殖性であり、それ故、分化した後代をより迅速に生じ得るので、特に有用である。
【0063】
本出願で使用する場合、用語「造血幹細胞の機能的ポテンシャル(hematopoietic stem cell functional potential)」は、1)多能性(multi-potency)(これは、限定されるものではないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球,好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B-細胞及びT-細胞)等を含む、複数の様々な血液系列に分化する能力を指す)、2)自己複製(これは、母細胞と同等のポテンシャル(potential)を有する娘細胞を生じさせる造血幹細胞の能力を指す、更に、この能力は消耗することなく個々の生涯を通して繰り返し起こりうる)、並びに3)造血幹細胞又はその後代が、移植レシピエントに再導入され、造血幹細胞ニッチにホーミングし、生産的で持続的な造血を再確立する能力、を含む、造血幹細胞の機能的な特性を指す。
【0064】
本出願で使用する場合、用語「ヒト抗体」は、タンパク質の実質的に全ての部分(例えば、全てのCDR、骨格領域、CL、CH ドメイン[例えば、CH1、CH2、CH3]、ヒンジ、並びにVL及びVHドメイン)がヒトにおいて実質的に非免疫原性であり、わずかな配列変化又は変異のみを有する抗体を指す。ヒト抗体を、ヒト細胞において(例えば、組換え発現によって)、又は機能的に再構成したヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現し得る非-ヒト動物又は原核若しくは真核細胞によって、産生することがある。ヒト抗体が単鎖抗体である場合、それは生来のヒト抗体には見出されないリンカー・ペプチドを含むことがある。例えば、Fvは、2個から約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基のようなリンカー・ペプチドを含むことがあり、リンカー・ペプチドは前記重鎖の可変領域及び前記軽鎖の可変領域を連結する。このようなリンカー・ペプチドは、ヒト起源であると見なされる。ヒト抗体を、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用するファージ・ディスプレイ法を含む、当該技術分野で公知の種々の方法によって作製することがある。ヒト抗体はまた、機能的な内因性の免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニック・マウスを使用して産生することもある(例えば、PCT公開番号WO 1998/24893; WO 1992/01047; WO 1996/34096; WO 1996/33735;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;第5,885,793号;第5,916,771号;及び第5,939,598号を参照のこと)。
【0065】
本出願で使用する場合、用語「ヒト化」抗体とは、非-ヒト免疫グロブリンに由来する配列を最小限に含む抗体をいう。一般的に、ヒト化抗体は、全ての、又は実質的に全てのCDR領域が、非-ヒト免疫グロブリンのCDR領域に対応する、少なくとも1つ、及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。FW領域の全て又は実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のFW領域であることもある。前記ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリン・コンセンサス配列の少なくとも一部、を含むことがある。抗体をヒト化する方法は、当該技術分野で公知であり、及び、例えば、Riechmannら、Nature 332:323-7,1988;米国特許第5,530,101号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;及び第6,180,370号に記載されている。
【0066】
本出願で使用する場合、in vivo形質導入及び/又は遺伝子治療を「必要とする」患者としては、1種以上の血液細胞の型に欠陥又は欠損を示す患者、並びに幹細胞障害、自己免疫疾患、がん、又は本出願に記載される他の病態を有する患者、が挙げられる。造血幹細胞は、一般に、1)多能性(multi-potency)、従って、限定されるものではないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球,好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(thrombocyte)(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B-細胞及びT-細胞)等を含む、複数の様々な血液系列に分化することができる、2)自己複製、従って、母細胞と同等の可能性を有する娘細胞を生じさせることができる、並びに3)in vivo形質導入を受ける作用能、in vivo形質導入を受けた後、造血幹細胞ニッチにホーミングし、生産的で持続的な造血を再確立する。例えば、前記患者は鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、及びウィスコット-アルドリッチ症候群等の異常ヘモグロビン症(例えば、非-悪性異常ヘモグロビン症)に罹患していることがある。前記対象は、アデノシン・デアミナーゼ重度複合免疫不全症(ADA SCID)、HIV/AIDS、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド-ブラックファン貧血、及びシュワックマン-ダイアモンド症候群に罹患している対象であることがある。前記対象は遺伝性の血液障害(例えば、鎌状赤血球貧血)又は自己免疫疾患を有するか、又はその影響を受けていることがある。更に、又は代わりに、前記対象は、神経芽細胞腫又は血液がん等の悪性腫瘍を有するか、又はその影響を受けていることがある。いくつかの実施形態では、前記対象は、白血病、リンパ腫又は骨髄腫を有していることがある。いくつかの実施形態では、前記対象は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、又は非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)を有する。いくつかの実施形態では、前記対象は骨髄異形成症候群を有する。いくつかの実施形態では、前記対象は、強皮症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、I型糖尿病等の自己免疫疾患、又は本出願に記載される別の自己免疫性の病態を有する。いくつかの実施形態では、前記対象は、キメラ抗原レセプターT-細胞(CART)療法を必要とする。いくつかの実施形態では、前記対象は、代謝性貯蔵障害を有するか、又はその影響を受けている。前記対象は、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴ脂質症、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(globoid cell leukodystrophy)、大脳型副腎白質ジストロフィー(cerebral adrenoleukodystrophy)、からなる群より選択される代謝障害、又は本出願に開示される治療及び療法から恩恵を得ることができる任意の他の疾患若しくは障害(限定されるものではないが、重度複合免疫不全症、ウィスコット-アルドリッチ症候群、高免疫グロブリンM症候群、チェディアック-東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、鎌状赤血球症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、若年性関節リウマチ)、及び"Bone Marrow Transplantation for Non-Malignant disease"、ASH Education Book、1:319-338(2000)(この開示は、造血幹細胞移植療法を処方することによって治療される可能性のある病態に関するものであり、その全体が本出願に参照により取り込まれる)に記載されている疾患若しくは障害、に罹患していることがある、又は、そうではない場合、に影響を受けていることがある。
【0067】
本出願で使用する場合、用語「白血球」は、有核血液細胞型の不均一な群を指し、赤血球及び血小板(platelets)は除外される。白血球は、2つの一般的な群に分けられる:好中球、好酸球、及び好塩基球を含む多形核球、並びにリンパ球及び単球を含む単核球。多形核球は、多くの細胞質顆粒及び分葉核(multilobed nucleus)を含み、以下を含む:好中球(一般に、形態がアメーバ状であり、食細胞性であり、塩基性色素及び酸性色素の両方で染色される)、並びに好酸球及び好塩基球(それぞれ、酸性色素及び塩基性色素で染色される細胞質顆粒を含有する)。
【0068】
本出願で使用する場合、用語「リンパ球」は、免疫応答の開始に関与する、単核白血球を指す。一般的に、リンパ球としては、Bリンパ球、Tリンパ球、及びNK細胞、が挙げられる。
【0069】
本出願で使用する場合、用語「動員する("mobilize")」及び「動員("mobilization")」は、造血幹細胞の又は造血前駆細胞の集団が幹細胞ニッチ、例えば対象の骨髄、から末梢血内の循環中に放出されるプロセスを意味する。造血幹細胞及び造血前駆細胞の動員を、例えば、対象から単離された末梢血サンプル中の造血幹細胞又は造血前駆細胞の量又は濃度を評価することによって、モニターすることができる。例えば、前記対象に対して、造血幹細胞又は造血前駆細胞の動員レジメンを処方した後に、末梢血サンプルを前記対象から採取し、そして前記末梢血サンプル中の造血幹細胞又は造血前駆細胞の量又は濃度を評価することがある。前記動員レジメンは、例えば、本出願に記載されるCXCR4アンタゴニスト(例えば、プレリキサホル又はそのバリアント)のようなCXCR4アンタゴニスト、及び本出願に記載されるCXCR2アゴニスト(例えば、Gro-β又はそのバリアント、例えば、Gro-βの切断体、例えば、Gro-β T)のようなCXCR2アゴニスト、を含むことがある。前記動員レジメンを処方した後に、前記対象から単離した末梢血サンプル中の造血幹細胞又は造血前駆細胞の量又は濃度を、前記動員レジメンを処方する前に、前記対象から単離した末梢血サンプル中の造血幹細胞又は造血前駆細胞の量又は濃度と比較することがある。前記動員レジメンを処方した後に、前記対象の末梢血において、造血幹細胞又は造血前駆細胞の量又は濃度が増加したことが観察されれば、前記対象が前記動員レジメンに応答していること、及び造血幹細胞及び造血前駆細胞が骨髄のような1か所以上の幹細胞ニッチから末梢血循環中に放出されたこと、を示していることになる。いくつかの実施形態では、造血幹細胞又は造血前駆細胞の量又は濃度が、動員レジメンの処方後に、1%、100%、1,000%、又はそれ以上(例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1,000%、又はそれ以上)、前記対象の末梢血中で増加することが観察されることは、前記対象が、前記動員レジメンに対して応答していること、並びに造血幹細胞及び造血前駆細胞は、1か所以上の幹細胞ニッチ(例えば、骨髄など)から末梢血循環中に放出されたこと、を示していることになる。造血幹細胞又は造血前駆細胞の量又は濃度を測定するための方法は、本出願に記載されている、及び当該技術分野において公知である、並びに、例えば、造血幹細胞又は造血前駆細胞を、その細胞の抗原発現プロファイルに基づいて、定量するフロー・サイトメトリー技術、が挙げられ、これは、本出願に記載される。例えば、ヒトHSCは、CD34+、CD38-、CD45RA-、CD90+、CD49F+、及びlin-(例えば、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD11B、CD19、CD20、CD56、CD235A、などの成熟系統マーカーについてネガティブ)である。対象から単離された末梢血サンプル中の造血幹細胞又は造血前駆細胞の量又は濃度を測定するための更なる方法としては、サンプル中のコロニー形成単位(CFU)の数を定量するアッセイ、が挙げられ、これは、適切な培養培地を使ってインキュベートをすると個々の造血幹細胞又は造血前駆細胞の集団を生じる、生存している造血幹細胞又は造血前駆細胞の量の尺度である。
【0070】
本出願で使用する場合、用語「動員させる量(mobilizing amount)」は、哺乳動物対象(例えば、ヒト対象)などの対象への投与時に、造血幹細胞又は造血前駆細胞の集団を動員する、1種以上の薬剤の量(例えば、本出願に記載されるCXCR4アンタゴニスト及び/又はCXCR2アゴニストの量[いくつかの実施形態では、プレリキサホル、又はそのバリアント、及び/又はGro-β、若しくはそのバリアント(例えば、Gro-βの切断体、例えばGro-β T)の量])を指す。これらの薬剤の例示的な動員させる量としては、以下の集団が放出されるのに十分な量、が挙げられる、例えば、約20から約40個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、例えば、約21から約39個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、約22から約38個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、約23から約37個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、約24から約36個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、約25から約35個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、約26から約34個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、約27から約33個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、約28から約32個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、又は約29から約31個のCD34+細胞/1 μLの末梢血(例えば、約20個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、21個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、22個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、23個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、24個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、25個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、26個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、27個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、28個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、29個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、30個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、31個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、32個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、33個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、34個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、35個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、36個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、37個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、38個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、39個のCD34+細胞/1 μLの末梢血、40個のCD34+ 細胞/1 μLの末梢血、又はそれ以上)。ある特定の実施形態では、これらの薬剤の動員させる量としては、以下の集団が放出されるのに十分な量、が挙げられる、例えば、約5から約20個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、例えば、約5から約8個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約5から約10個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約5から約12個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約5から約15個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約5から約18個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約8から約10個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約8から約12個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約8から約15個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、若しくは約8から約18個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約8から約20個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約10から約12個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約10から約15個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約10から約18個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約10から約20個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約12から約15個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約10から約18個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約10から約20個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約12から約15個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約12から約18個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約12から約20個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、約15から約18個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血、又は約15から約20個のCD34+CD90+CD45RA- 細胞/1 μLの末梢血。ある特定の実施形態では、これらの薬剤の動員させる量としては、少なくとも2倍の放出のCD34+CD90+CD45RA- 細胞の集団/1 μLの末梢血、例えば、少なくとも3倍の放出、少なくとも4倍の放出、少なくとも5倍の放出、少なくとも6倍の放出、少なくとも7倍の放出、少なくとも8倍の放出、少なくとも9倍の放出、又は少なくとも10倍の放出、のCD34+CD90+CD45RA- 細胞の集団/1 μLの末梢血、をもたらすのに十分な量、が挙げられる。ある特定の実施形態では、これらの薬剤の動員させる量としては、2倍の放出から10倍の放出、例えば、2倍から4倍の放出、2倍から6倍の放出、2倍から8倍の放出、4倍から6倍の放出、4倍から8倍の放出、4倍から10倍の放出、6倍から8倍の放出、6倍から10倍の放出、又は8倍から10倍の放出、のCD34+CD90+CD45RA- 細胞の集団/1 μLの末梢血、をもたらすのに十分な量、が挙げられる。
【0071】
本出願で使用する場合、用語「モノクローナル抗体」は、任意の真核生物、原核生物、又はファージ・クローンを含む単一のクローンから得られる抗体を指す、並びにそれを産生する方法のことではない。
【0072】
本出願で使用する場合、用語「単球」は、CD14+且つCD34-末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cell (PBMC))を指し、これは一般に、微生物産物などの、1種以上の異物による活性化の際に、マクロファージ及び/又は樹状細胞に分化することができる。特に、単球は、CD14表面抗原マーカーの発現が上昇したレベルであることがある、並びに、CD64、CD93、CD180、CD328(シアル酸-結合Ig-様レクチン7又はSiglec7としても知られる)、及びCD329(シアル酸-結合Ig-様レクチン9又はSiglec9)、並びにピーナッツ・アグルチニン・タンパク質(peanut agglutinin protein (PNA))、より選択される少なくとも1種のバイオマーカーを発現することがある。
【0073】
本出願で使用する場合、「ペプチド」は、アミド結合によって連続的に結合される、天然及び/又は非-天然アミノ酸残基などの複数のアミノ酸残基を含む単鎖ポリアミド、を指す。ペプチドの例としては、全長タンパク質(例えば、天然に存在する全長タンパク質など)のより短いフラグメント、が挙げられる。
【0074】
本出願で使用する場合、用語「サンプル」は、対象から採取された検体(例えば、血液、血液成分(例えば、血清又は血漿)、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、組織(例えば、胎盤又は真皮)、膵液、絨毛膜絨毛サンプル、及び細胞)を指す。サンプルは、例えば、本出願に記載される、造血幹細胞又は造血前駆細胞の動員レジメンを受けている、又は受けたことがある対象から採血した末梢血、であることがある。
【0075】
本出願で使用する場合、用語「scFv」は、抗体由来の重鎖の可変ドメインと軽鎖の可変ドメインとが結合して1本の鎖を形成している、単鎖Fv抗体を指す。scFvフラグメントは、リンカーによって分離された、抗体軽鎖の可変領域(VL) (例えば、CDR-L1、CDR-L2、及び/又はCDR-L3)、並びに抗体重鎖の可変領域(VH) (例えば、CDR-H1、CDR-H2、及び/又はCDR-H3)を含む単一のポリペプチド鎖を含む。scFvフラグメントのVL領域及びVH領域を連結するリンカーは、タンパク質を構成するアミノ酸から構成されるペプチド・リンカーであることがある。代替のリンカーを、タンパク質分解に対するscFvフラグメントの耐性を増大させるために(例えば、D-アミノ酸を含有するリンカー)、scFvフラグメントの溶解性を増大させるために(例えば、ポリエチレン・グリコール含有リンカー又は繰り返しのグリシン及びセリン残基を含有するポリペプチド等の親水性リンカー)、前記分子の生物物理学的安定性を改善するために(例えば、分子内又は分子間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含有するリンカー)、又は前記scFvフラグメントの免疫原性を弱めるために(例えば、グリコシル化部位を含有するリンカー)、使用することがある。本出願に記載されるscFv分子の可変領域を、それらが由来する抗体分子からアミノ酸配列が変化するように、改変することができることもまた、当業者は理解する。例えば、scFvの作用能(対応する抗体が認識する抗原に結合する作用能)を保存又は増強するために、アミノ酸残基での保存的置換又は変化をもたらすヌクレオチド又はアミノ酸置換を(例えば、CDR及び/又は骨格残基において)行うことがある。
【0076】
本出願で使用する場合、語句「幹細胞障害」は、患者内で造血幹細胞のin vivo形質導入によって、治療する、又は治癒することができる、任意の疾患、障害又は症状のことを広くいう。患者内で造血幹細胞のin vivo形質導入によって、治療することができる例示的な疾患は、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、ウィスコット‐アルドリッチ症候群、ADA SCID、HIV/AIDS、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド‐ブラックファン貧血、及びシュワックマン‐ダイアモンド症候群、である。本出願に記載される造血幹細胞のin vivo形質導入によって治療することがある更なる疾患としては、血液障害(例えば、鎌状赤血球貧血)、並びに強皮症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、及びクローン病等の自己免疫疾患、が挙げられる。造血幹細胞のin vivo形質導入によって治療することがある更なる疾患としては、がん、例えば、本出願に記載されるがん、が挙げられる。例示的な幹細胞障害は、悪性腫瘍(例えば、神経芽細胞腫、又は血液がん(例えば、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫))である。いくつかの実施形態では、前記がんは、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B-細胞リンパ腫、又は非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)であることがある。造血幹細胞のin vivo形質導入を使用して治療可能な更なる疾患としては、骨髄異形成症候群が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記患者は、代謝性貯蔵障害を有するか、又はそれによって影響を受けている。例えば、前記患者は、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴ脂質症、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(globoid cell leukodystrophy)、大脳型副腎白質ジストロフィー(cerebral adrenoleukodystrophy)からなる群より選択される代謝障害、又は本出願に開示される治療及び療法から恩恵を受けることができる任意の他の疾患若しくは障害(限定されるものではないが、重度複合免疫不全症、ウィスコット‐アルドリッチ症候群、高免疫グロブリンM(IgM)症候群、チェディアック‐東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、鎌状赤血球症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)、多発性硬化症、若年性関節リウマチ)、及び"Bone Marrow Transplantation for Non-Malignant disease"、ASH Education Book、1:319-338(2000)(本開示内容は、造血幹細胞移植療法を又は造血前駆細胞移植療法を処方することによって治療される可能性のある病態に関するものであり、その全体が本出願に参照により取り込まれる)に記載されている疾患若しくは障害、に罹患していることがある、又は、そうでない場合、影響を受けていることがある。
【0077】
造血幹細胞動員の文脈において本出願で使用する場合、用語「幹細胞ニッチ」は、内因性造血幹細胞又は造血前駆細胞が存在する、哺乳動物の対象(例えば、ヒト対象)のような対象内の微小環境をいう。幹細胞ニッチの例は、骨髄組織である。
【0078】
本出願で使用する場合、用語「対象」及び「患者」は、本出願に記載されるような特定の疾患又は症状に対して治療を受ける、ヒトのような生命体をいう。いくつかの実施形態では、in vivo造血幹細胞遺伝子治療を必要とするヒト患者のような患者は、幹細胞障害、例えば、本出願で記載されるがん、自己免疫疾患、又は代謝障害を治療するために、造血幹細胞の集団に形質導入をすること含む治療を受けることがある。いくつかの実施形態では、前記患者の中に形質導入がなされる造血幹細胞を、CXCR4アンタゴニスト及び/又はCXCR2アゴニストを投与することによって、患者内で、動員させることができる。
【0079】
本出願で使用する場合、用語「形質導入」又は「トランスフェクション」は、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン・トランスフェクション等のような、原核宿主細胞又は真核宿主細胞に外因性のDNAを導入するために一般的に使用される、任意の多種多様な技術のことをいう。in vivo形質導入又はトランスフェクションは、典型的には、本出願においてより詳しく記載されるように、ウイルス・ベクターを用いて実施される。
【0080】
本出願で使用する場合、用語「治療する」又は「治療」は、治療的処置のことをいい、その中では、その目的は、治療を受ける患者において、望ましくない生理学的変化若しくは障害を予防する若しくは減速(軽減)させること、又は有益な表現型を促進することである。本出願に記載される療法の有益な結果としてはまた、造血幹細胞及び造血前駆細胞のin vivo形質導入の後に、造血系列の1種以上の細胞(例えば、巨核球、血小板(thrombocyte)、血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、又はB-リンパ球等)の細胞数が増加すること又は相対濃度が増加すること、が挙げられることもある。本出願に記載される療法の有益な結果としてはまた、造血系列の1種以上の細胞の活性又は機能が、増加することも挙げられる。更なる有益な結果としては、がん細胞又は自己免疫細胞の集団のような、疾患を引き起こす細胞集団の量の低下が挙げられることがある。
【0081】
本出願で使用する場合、用語「バリアント」及び「誘導体」は、互換的に使用され、そして本出願で記載される化合物、ペプチド、タンパク質、又は他の基質の天然に存在する、合成の、及び半合成の類似体のことをいう。本出願に記載される化合物、ペプチド、タンパク質、又は他の物質のバリアント又は誘導体は、元の物質の生物学的活性を保持又は改善することがある。
【0082】
本出願で使用する場合、用語「ベクター」は、プラスミド、DNAベクター、プラスミド、RNAベクター、ウイルス・ベクター、又は他の好適なレプリコン等の、核酸ベクターを含む。本出願に記載される発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列、並びに、例えば、タンパク質を発現させる及び/又は哺乳動物細胞のゲノムの中にこれらのポリヌクレオチド配列を組み込ませるために使用する更なる配列エレメントを含むことがある。ペプチド及びタンパク質、例えば本出願に記載されるペプチド及びタンパク質、を発現させるのに用いることができる特定のベクターには、遺伝子転写を指示するプロモーター領域及びエンハンサー等の、調節配列を含むプラスミドが含まれる。本出願に記載されるペプチド及びタンパク質を発現させるための他の有用なベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を増強するか、又は遺伝子転写から生じるmRNAの安定性又は核外への移行を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列要素は、例えば、発現ベクター上にある遺伝子を効率的に転写するようにする、5'及び3'非翻訳領域及びポリアデニル化シグナル部位を含むことがある。本出願に記載される発現ベクターはまた、このようなベクターを含む細胞を選択するためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含むこともある。適切なマーカーの例には、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、及びノウルセオスリシン(nourseothricin)等の抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子が含まれる。
【0083】
本出願で使用する場合、用語「アルキル」は、例えば、鎖中に1から20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基をいう。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等が含まれる。
【0084】
本出願で使用する場合、用語「アルキレン」は、直鎖又は分枝鎖の二価アルキル基をいう。二価の位置は、アルキル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。アルキレンの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン等が含まれる。
【0085】
本出願で使用する場合、用語「ヘテロアルキル」は、例えば、鎖中に1から20個の炭素原子を有し、更に鎖中に1個以上のヘテロ原子(例えば、とりわけ、酸素、窒素、又は硫黄)を含有する直鎖又は分枝鎖アルキル基をいう。
【0086】
本出願で使用する場合、用語「ヘテロアルキレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価ヘテロアルキル基をいう。二価の位置は、ヘテロアルキル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
【0087】
本出願で使用する場合、用語「アルケニル」は、例えば、鎖中に2から20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルケニル基を指す。アルケニル基の例としては、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、tert-ブチレニル、ヘキセニル等が含まれる。
【0088】
本出願で使用する場合、用語「アルケニレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価アルケニル基を指す。二価の位置は、アルケニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。アルケニレンの例としては、エテニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、ブテニレン等が含まれる。
【0089】
本出願で使用する場合、用語「ヘテロアルケニル」は、例えば、鎖中に2から20個の炭素原子を有し、更に鎖中に1個以上のヘテロ原子(例えば、とりわけ、酸素、窒素、又は硫黄)を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル基を指す。
【0090】
本出願で使用する場合、用語「ヘテロアルケニレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価ヘテロアルケニル基をいう。二価の位置は、ヘテロアルケニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
【0091】
本出願で使用する場合、用語「アルキニル」は、例えば、鎖中に2から20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキニル基を指す。アルキニル基の例としては、プロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等が含まれる。
【0092】
本出願で使用する場合、用語「アルキニレン」は、直鎖又は分枝鎖の二価アルキニル基を指す。二価の位置は、アルキニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
【0093】
本出願で使用する場合、用語「ヘテロアルキニル」は、例えば、鎖中に2から20個の炭素原子を有し、更に鎖中に1個以上のヘテロ原子(例えば、とりわけ、酸素、窒素、又は硫黄)を含む直鎖又は分岐鎖アルキニル基を指す。
【0094】
本出願で使用する場合、用語「ヘテロアルキニレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価ヘテロアルキニル基をいう。二価の位置は、ヘテロアルキニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
【0095】
本出願で使用する場合、用語「シクロアルキル」は、飽和していて、及び、例えば、3から12個の炭素環原子を有する、単環、若しくは縮合、架橋、又はスピロ多環式環構造をいう。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン等が含まれる。
【0096】
本出願で使用する場合、用語「シクロアルキレン」は、二価のシクロアルキル基をいう。二価の位置は、環構造内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。シクロアルキレンの例としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン等が含まれる。
【0097】
本出願で使用する場合、用語「ヘテロシクロアルキル」は、飽和していて、及び、例えば、炭素原子から及び、例えば、とりわけ、窒素、酸素、及び硫黄、より選択されるヘテロ原子より選択される、環構造当たり3から12個の環原子を有する、単環、若しくは縮合、架橋、又はスピロ多環式環構造をいう。前記環構造は、例えば、炭素、窒素、又は硫黄の環員上に、1個以上のオキソ基を含むことがある。
【0098】
本出願で使用する場合、用語「ヘテロシクロアルキレン」は、二価のヘテロシクロアルキル基をいう。二価の位置は、環構造内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
【0099】
本出願で使用する場合、用語「アリール」は、例えば、6から19個の炭素原子を含む単環式又は多環式芳香族環系をいう。アリール基としては、フェニル、フルオレニル、ナフチル等が含まれるが、これらに限定されない。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
【0100】
本出願で使用する場合、用語「アリーレン」は、二価のアリール基を指す。二価の位置は、同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
【0101】
本出願で使用する場合、用語「ヘテロアリール」は、単環式複素芳香族、又は二環式若しくは三環式縮合環ヘテロ芳香族基をいう。ヘテロアリール基には、ピリジル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3-ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、ベンズイミダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナプチリジニル、ピリド[3,4-b]ピリジル、ピリド[3,2-b]ピリジル、ピリド[4,3-b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、ベンゾキノリル等が挙げられる。
【0102】
本出願で使用する場合、用語「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基をいう。二価の位置は、同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
【0103】
個々の置換基の定義によって別段の制約を受けない限り、前記の化学的な部分構造、例えば、「アルキル」、「アルキレン」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルキレン」、「アルケニル」、「アルケニレン」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルケニレン」、「アルキニル」、「アルキニレン」、「ヘテロアルキニル」、「ヘテロアルキニレン」、 「シクロアルキル」、「シクロアルキレン」、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキレン」、「アリール」、「アリーレン」、「ヘテロアリール」、及び「ヘテロアリーレン」基等、は、任意選択的に、置換されることがある。本出願で使用する場合、用語「任意選択的に置換される」は、1個以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれより多く)の置換基を含む化合物又は部分構造のことをいい、前記化合物若しくは部分構造又はその部位の価数によって許容されるように、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキル・アリール、アルキル・ヘテロアリール、アルキル・シクロアルキル、アルキル・ヘテロシクロアルキル、アミノ、アンモニウム、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、ウレイド、カルバメート、アリール、ヘテロアリール、スルフィニル、スルホニル、アルコキシ、スルファニル、ハロゲン、カルボキシ、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロなどからなる群より選択される置換基を含む化合物又は部分構造のことをいう。前記置換は、隣接する置換基が環閉鎖、例えば、隣接する官能性置換基の環閉鎖、を受けて、例えば、ラクタム、ラクトン、環状無水物、アセタール、ヘミアセタール、チオアセタール、アミナール、およびヘミアミナールを形成して、例えば、保護基を提供する、という状況を含んでもよい。
【0104】
造血幹細胞及び造血前駆体細胞を動員する方法、並びに増殖及び治療用途のための細胞を放出させる方法
本開示は、一部には、CXCR2アゴニスト(例えば、Gro-β、Gro-β T、又はそれらのバリアントなど)の特定の用量を、任意選択的に、CXCR4アンタゴニストと併用して、哺乳動物対象(例えば、ヒト対象)に投与することによって、造血幹細胞及び造血前駆細胞を動員させることができる、という発見に基づく。
【0105】
CXCR2アゴニスト
Gro-β、Gro-β T及びそれらのバリアント
本出願に記載される組成物及び方法と一緒に使用され得る例示的なCXCR2アゴニストは、Gro-β及びそのバリアントである。Gro-β(成長調節タンパク質β、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド2(CXCL2)、及びマクロファージ炎症性タンパク質2-α(MIP2-α)とも呼ばれる)は、例えば、末梢の好中球からプロテアーゼが放出されることを刺激することによって、造血幹細胞及び造血前駆細胞を動員することができるサイトカインである。
【0106】
Gro-βに加えて、本出願に記載される組成物及び方法と一緒に使用され得る例示的なCXCR2アゴニストは、Gro-βのN末端で、1つから8つのアミノ酸が削除されていることを特徴とする等(例えば、1つのアミノ酸、2つのアミノ酸、3つのアミノ酸、4つのアミノ酸、5つのアミノ酸、6つのアミノ酸、7つのアミノ酸、又は8つのアミノ酸のN末端削除を特徴とするペプチド)の、Gro-βの切断体である。いくつかの実施形態では、本出願に記載される組成物及び方法と一緒に使用され得るCXCR2アゴニストには、Gro-βのN末端から最初の4つのアミノ酸が削除されていることを特徴とするGro-β Tが含まれる。Gro-β Tは特に有利な生物学的特性、例えば、Gro-βよりも数桁優れた効力で造血幹細胞及び造血前駆細胞を動員することを誘導する作用を示す。Gro-β及びGro-β Tは、例えば、米国特許第6,080,398号に記載されており、その開示内容は、その全体が本出願に参照により取り込まれる。
【0107】
更に、本出願に記載される組成物及び方法と一緒に使用され得る例示的なCXCR2アゴニストは、配列番号(SEQ ID NO): 1の69番の位置のアスパラギン残基の代わりにアスパラギン酸残基を含むGro-βのバリアントである。このペプチドは、本出願でGro-β N69Dと呼ぶ。同様に、本出願に記載される組成物及び方法と一緒に使用され得るCXCR2アゴニストには、配列番号(SEQ ID NO): 2の65番の位置のアスパラギン残基の代わりにアスパラギン酸残基を含むGro-β Tのバリアントが含まれる。このペプチドは、本明細書ではGro-β T N65Dと呼ばれ、造血幹細胞及び造血前駆細胞を動員する能力を保持するだけでなく、Gro-β Tのそれよりもかなり大きな効力を発揮する。例えば、米国特許第6,447,766号において、Gro-β N69D及びGro-β T N65Dは記載されており、その開示内容は、その全体が本出願に参照により取り込まれる。
【0108】
Gro-β、Gro-β T、Gro-β N69D、及びGro-β T N65Dのアミノ酸配列を、以下の表2に示す。
【表2】
【0109】
本出願に記載される組成物及び方法と一緒に使用され得る追加のCXCR2アゴニストとしては、Gro-βの他のバリアント、例えば、Gro-βと比較して、1個以上のアミノ酸置換、挿入及び/又は削除を有するペプチドなど、が挙げられる。いくつかの実施形態では、本出願に記載される組成物及び方法と一緒に使用され得るCXCR2アゴニストとしては、配列番号(SEQ ID NO): 1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するペプチド(例えば、配列番号(SEQ ID NO): 1のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有するペプチド)、が挙げられる。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、1個以上の保存的アミノ酸置換によってのみ、配列番号(SEQ ID NO): 1のアミノ酸配列と異なる。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、20個以下、15個以下、10個以下、5個以下、又は1個以下の非保存的アミノ酸置換によって、配列番号(SEQ ID NO): 1のアミノ酸配列と異なる。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストは、Gro-βである。いくつかの実施形態では、前記Gro-β Tは、共有結合的に改変されていない。いくつかの実施形態では、前記Gro-βは、ポリエチレン・グリコール部分構造などのポリアルキレン・グリコール部分構造で、共有結合的に改変されていない。
【0110】
本出願に記載される組成物及び方法と併せて有用なCXCR2アゴニストの追加の例は、Gro-β Tのバリアント、例えば、Gro-β Tと比較して、1個以上のアミノ酸置換、挿入、及び/又は削除を有するペプチドなど、である。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストは、配列番号(SEQ ID NO): 2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するペプチド(例えば、配列番号(SEQ ID NO): 2のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有するペプチド)であることがある。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、1個以上の保存的アミノ酸置換によってのみ、配列番号(SEQ ID NO): 2のアミノ酸配列と異なる。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、20個以下、15個以下、10個以下、5個以下、又は1個以下の非保存的アミノ酸置換によって、配列番号(SEQ ID NO): 2のアミノ酸配列と異なる。
【0111】
本出願に記載される組成物及び方法と併せて有用なCXCR2アゴニストの追加の例は、Gro-β N69Dのバリアント、例えば、Gro-β N69Dと比較して、1個以上のアミノ酸置換、挿入、及び/又は削除を有するペプチドなど、である。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストは、配列番号(SEQ ID NO): 3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するペプチド(例えば、配列番号(SEQ ID NO): 3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は100%の配列同一性を有するペプチド)であることがある。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、1個以上の保存的アミノ酸置換によってのみ、配列番号(SEQ ID NO): 3のアミノ酸配列と異なる。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、20個以下、15個以下、10個以下、5個以下、又は1個以下の非保存的アミノ酸置換によって、配列番号(SEQ ID NO): 3のアミノ酸配列と異なる。
【0112】
本出願に記載される組成物及び方法と併せて有用なCXCR2アゴニストの追加の例は、Gro-β T N65Dのバリアント、例えば、Gro-β T N65Dと比較して、1個以上のアミノ酸置換、挿入、及び/又は削除を有するペプチドなど、である。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストは、配列番号(SEQ ID NO): 4のアミノ酸配列に対して少なくとも85%の配列同一性を有するペプチド(例えば、配列番号(SEQ ID NO): 4のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.%、又は100%の配列同一性を有するペプチド)であることがある。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、1個以上の保存的アミノ酸置換によってのみ、配列番号(SEQ ID NO): 4のアミノ酸置換と異なる。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストのアミノ酸配列は、20個以下、15個以下、10個以下、5個以下、又は1個以下の非保存的アミノ酸置換によって、配列番号(SEQ ID NO): 4のアミノ酸配列と異なる。
【0113】
CXCR4アンタゴニスト
本出願に記載される組成物及び方法と併せて使用するための例示的なCXCR4アンタゴニストは、式(I)で表される化合物
Z-リンカー-Z' (I)
又はその薬学的に許容可能な塩、である、ここで、Zは以下である:
(i) 9から32個の環員を含有する環式ポリアミンである、ここで、2から8個の環員は、2個以上の炭素原子によって互いに分離された窒素原子である;又は、
(ii) 式(IA)で表されるアミン
【化1】
ここで、Aは、少なくとも1個の窒素原子を含む単環式若しくは二環式縮合環系を含み、及びBは、H若しくは1から20個の原子からなる置換基である;
並びにここで、Z’は以下である:
(i) 9から32個の環員を含有する環式ポリアミンである、ここで、2から8個の環員は、2個以上の炭素原子によって互いに分離された窒素原子である;
(ii) 式(IB)で表されるアミン
【化2】
ここで、A’は、少なくとも1個の窒素原子を含む単環式若しくは二環式縮合環系を含み、及びB’は、H若しくは1から20個の原子からなる置換基である;又は、
(iii) 式(IC)で表される置換基
-N(R)-(CR
2)
n-X (IC)
ここで、各Rは、それぞれ独立してH若しくはC
1-C
6アルキルである、nは1若しくは2である、及びXはアリール若しくはヘテロアリール基若しくはメルカプタンである;
ここで、前記リンカーは、結合、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、任意選択的に置換されたC
1-C
6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、任意選択的に置換されたC
1-C
6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたアルケニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、又は任意選択的に置換されたヘテロアリーレンである。
【0114】
いくつかの実施形態では、Z及びZ'は、それぞれ独立して、9から32個の環員を含む環式ポリアミンであり、その9から32個の環員のうちの2から8個は、2個以上の炭素原子によって互いに分離した窒素原子であることがある。いくつかの実施形態では、Z及びZ'は同一の置換基である。一例として、Zは10から24個の環員を含む環式ポリアミンであってもよい。いくつかの実施形態では、Zは14個の環員を含有する環式ポリアミンであってもよい。いくつかの実施形態では、Zは4個の窒素原子を含む。いくつかの実施形態では、Zは1,4,8,11-テトラアゾシクロテトラデカンである。
【0115】
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、式(ID)で表される、
【化3】
ここで、環Dは、任意選択的に置換されたアリール基、任意選択的に置換されたヘテロアリール基、任意選択的に置換されたシクロアルキル基、又は任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル基である;並びに、
X及びYは、それぞれ独立して、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、任意選択的に置換されたC
1-C
6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、任意選択的に置換されたC
1-C
6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたアルケニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルキニレン)、又は任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルキニレン)である。
【0116】
例えば、前記リンカーは、式(IE)で表すことがある、
【化4】
ここで、環Dは、任意選択的に置換されたアリール基、任意選択的に置換されたヘテロアリール基、任意選択的に置換されたシクロアルキル基、又は任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル基である;並びに、
X及びYは、それぞれ独立して、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、任意選択的に置換されたC
1-C
6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、任意選択的に置換されたC
1-C
6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルケニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6アルキニレン)、又は任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、任意選択的に置換されたC
2-C
6ヘテロアルキニレン)である。いくつかの実施形態では、X及びYは、それぞれ独立して任意選択的にC
1-C
6アルキレンで置換されている。いくつかの実施形態では、X及びYは同一の置換基である。いくつかの実施形態では、X及びYは、それぞれ、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、又はn-ヘキシレン基であることがある。いくつかの実施形態では、X及びYは、それぞれメチレン基である。
【0117】
前記リンカーは、例えば、1,3-フェニレン、2,6-ピリジン、3,5-ピリジン、2,5-チオフェン、4,4'-(2,2'-ビピリミジン)、2,9-(1,10-フェナントロリン)等であってもよい。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)である。
【0118】
本出願に記載される組成物及び方法と併せることにおいて有用なCXCR4アンタゴニストには、式(II)、1,1'-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラ-アザシクロテトラデカン、で表される、プレリキサホル(本明細書では「AMD3100」及び「モジビル」とも呼ばれる)、又はその薬学的に許容可能な塩、が含まれる。
【化5】
【0119】
本出願に記載される組成物及び方法と併せて使用することがある追加のCXCR4アンタゴニストには、米国特許第5,583,131号に記載されている化合物等のプレリキサホルのバリアントが含まれ、その内容はCXCR4アンタゴニストに関するものとして、本出願に参照により取り込まれる。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物であることがある:1,1′-[1,3-フェニレンビス(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラ-アザシクロテトラデカン; 1,1′-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカンのビス-亜鉛錯体又はビス-銅錯体; 1,1′-[3,3′-ビフェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 11,11′-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,7,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,11′-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1, 4,7,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[2,6-ピリジン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1-[3,5-ピリジン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[2,5-チオフェン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[4,4′-(2,2′-ビピリジン)-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[2,9-(1,10-フェナントロリン)-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[1,3-フェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-ビス-1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン; 1′-[5-ニトロ-1,3-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1′,1′-[2,4,5,6-テトラクロロ-1,3-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[2,3,5,6-テトラ-フルオロ-1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[1,4-ナフチレン-ビス-(メチレン)]ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[1,3-フェニレンビス-(メチレン)]ビス-1,5,9-トリアザシクロドデカン; 1,1′-[1,4-フェニレン-ビス-(メチレン)]-1,5,9-トリアザシクロドデカン; 1,1′-[2,5-ジメチル-1,4-フェニレンビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[2,5-ジクロロ-1,4-フェニレンビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1,1′-[2-ブロモ-1,4-フェニレンビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 及び 1,1′-[6-フェニル-2,4-ピリジンビス-(メチレン)]-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン。
【0120】
いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、US 2006/0035829に記載されている化合物であり、その開示内容は、CXCR4アンタゴニストに関連するものとして、本出願に参照により取り込まれる。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物であることがある:3,7,11,17-テトラアザビシクロ(13.3.1)ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン;4,7,10,17-テトラアザビシクロ(13.3.1)ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン;1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン;1,4,7-トリアザシクロテトラデカン;及び4,7,10-トリアザビシクロ(13.3.1)ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン。
【0121】
前記CXCR4アンタゴニストは、WO 2001/044229に記載されている化合物であることがあり、その開示内容は、CXCR4アンタゴニストに関連するものとして、本出願に参照により取り込まれる。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物であることがある:N-[4-(11-フルオロ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[4-(11,11-ジフルオロ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン;N-[4-(1,4,7-トリアザシクロテトラデカン-2-オニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[12-(5-オキサ-1,9-ジアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[4-(11-オキサ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[4-(11-チア-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[4-(11-スルホキソ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[4-(11-スルホノ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; 及び N-[4-(3-カルボキソ-1,4,7-トリアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン。
【0122】
本出願に記載される組成物及び方法と併せることにおいて有用な更なるCXCR4アンタゴニストには、WO 2000/002870に記載されている化合物が含まれ、その開示内容は、CXCR4アンタゴニストに関連するものとして、本出願に参照により取り込まれる。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物であることがある:N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス-(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-N-メチル-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-4-(アミノメチル)ピリジン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-3-(アミノメチル)ピリジン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-(2-アミノメチル-5-メチル)ピラジン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノエチル) ピリジン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)チオフェン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)メルカプタン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-アミノ ベンジルアミン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-4-アミノ ベンジルアミン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-4-(アミノエチル)イミダゾール; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラ-デカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-ベンジルアミン; N-[4-(1,4,7-トリアザシクロテトラ-デカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[7-(4,7,10,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[7-(4,7,10-トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[1-(1,4,7-トリアザシクロテトラ-デカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[4-[4,7,10,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエニル]-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[4-[4,7,10-トリアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエニル]-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; N-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-プリン; 1-[1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカニル-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-4-フェニルピペラジン; N-[4-(1,7-ジアザシクロテトラデカニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン; 及び N-[7-(4,10-ジアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエニル)-1,4-フェニレンビス(メチレン)]-2-(アミノメチル)ピリジン。
【0123】
いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物である:1-[2,6-ジメトキシピリド-4-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン;1-[2-クロロピリド-4-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1-[2,6-ジメチルピリド-4-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1-[2-メチルピリド-4-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1-[2,6-ジクロロピリド-4-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 1-[2-クロロピリド-5-イル(メチレン)]-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 及び 7-[4-メチルフェニル (メチレン)]-4,7,10,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン。
【0124】
いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、米国特許第5,698,546号に記載されている化合物であり、その開示内容は、CXCR4アンタゴニストに関するものとして、本出願に参照により取り込まれる。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物であることがある:7,7′-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-3,7,11,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン; 7,7′-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス[15-クロロ-3,7,11,17-テトラアザビシクロ [13.3.1]ヘプタデカ-1 (17),13,15-トリエン]; 7,7′-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス[15-メトキシ-3,7,11,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン]; 7,7′-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-3,7,11,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]-ヘプタデカ-13,16-トリエン-15-オン; 7,7′-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-4,7,10,17-テトラアザビシクロ[13.3.1]-ヘプタデカ-1(17),13,15-トリエン; 8,8′-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-4,8,12,19-テトラアザビシクロ[15.3.1]ノナデカ-1(19),15,17-トリエン; 6,6′-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-3,6,9,15-テトラアザビシクロ[11.3.1]ペンタデカ-1 (15),11,13-トリエン; 6,6′-[1,3-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-3,6,9,15-テトラアザビシクロ[11.3.1]ペンタデカ-1 (15),11,13-トリエン; 及び 17,17′-[1,4-フェニレン-ビス(メチレン)]ビス-3,6, 14,17,23,24-ヘキサアザトリシクロ[17.3.1.18,12]テトラコサ-1(23),8,10,12(24),19,21-ヘキサエン。
【0125】
いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、米国特許第5,021,409号に記載されている化合物であり、その開示内容は、CXCR4アンタゴニストに関するものとして、本出願に参照により取り込まれる。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物であることがある:2,2′-バイシクラム, 6,6′-バイシクラム; 3,3′-(ビス-1,5,9,13-テトラアザ シクロヘキサデカン); 3,3′-(ビス-1,5,8,11,14-ペンタアザシクロヘキサデカン); メチレン (若しくは ポリメチレン) ジ-1-N-1,4,8,11-テトラアザ シクロテトラデカン; 3,3′-ビス-1,5,9,13-テトラアザシクロヘキサデカン; 3,3′-ビス-1,5,8,11,14-ペンタアザシクロヘキサデカン; 5,5′-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 2,5′-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 2,6′-ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 11,11′-(1,2-エタンジイル)ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 11,11′-(1,2-プロパンジイル)ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 11,11′-(1,2-ブタンジイル)ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 11,11′-(1,2-ペンタンジイル)ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン; 及び 11,11′-(1,2-ヘキサンジイル)ビス-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン。
【0126】
いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、WO 2000/056729に記載されている化合物であり、その開示内容は、CXCR4アンタゴニストに関するものとして、参照により本明細書に取り込まれる。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、以下からなる群より選択される化合物であることがある:N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジン-7-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[(2-ピリジニルメチル)アミノ]エチル]-N′-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[(1H-イミダゾール-2-イルメチル)アミノ]エチル]-N′-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1,2,3,4-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[(1H-イミダゾール-2-イルメチル)アミノ]エチル]-N′-(1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N′-(2-フェニル-5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン;
【0127】
N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-5-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[(2-アミノ-3-フェニル)プロピル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1H-イミダゾール-4-イルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(2-キノリンイルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(2-(2-ナフトイル)アミノエチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[(S)-(2-アセチルアミノ-3-フェニル)プロピル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[(S)-(2-アセチルアミノ-3-フェニル)プロピル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[3-((2-ナフタレニルメチル)アミノ)プロピル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-(S)-ピロリジンイルメチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-(R)-ピロリジンイルメチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[3-ピラゾールイルメチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-ピロールイルメチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-チオフェンイルメチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-チアゾールイルメチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-フラニルメチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[(フェニルメチル)アミノ]エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(2-アミノエチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-3-ピロリジニル-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-4-ピペリジニル-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[(フェニル)アミノ]エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(7-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(6-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(7-メトキシ-3,4-ジヒドロナフタレニル)-1-(アミノメチル)-4-ベンズアミド; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(6-メトキシ-3,4-ジヒドロナフタレニル)-1-(アミノメチル)-4-ベンズアミド; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N′-(7-メトキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(8-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N′-(8-ヒドロキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(8-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N′-(8-フルオロ-1,2,3,4-テトラヒドロ-2-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-7-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-7-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[(2-ナフタレニルメチル)アミノ]エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-(イソブチルアミノ)エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[(2-ピリジニルメチル)アミノ]エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[(2-フラニルメチル)アミノ]エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(2-グアニジノエチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[ビス-[(2-メトキシ)フェニルメチル]アミノ]エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[(1H-イミダゾール-4-イルメチル)アミノ]エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-[(1H-イミダゾール-2-イルメチル)アミノ]エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-(フェニルウレイド)エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[[N″-(n-ブチル)カルボキサミド]メチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(カルボキサミドメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[(N″-フェニル)カルボキサミドメチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(カルボキシメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(フェニルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(1H-ベンズイミダゾール-2-イルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(5,6-ジメチル-1H-ベンズイミダゾール-2-イルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン (ハイドロブロミド 塩); N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(5-ニトロ-1H-ベンズイミダゾール-2-イルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[(1H)-5-アザベンズイミダゾール-2-イルメチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N-(4-フェニル-1H-イミダゾール-2-イルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(2-ベンゾオキサゾリル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(トランス-2-アミノシクロヘキシル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(2-フェニルエチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(3-フェニルプロピル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N′-(トランス-2-アミノシクロペンチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-グリシンアミド; N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-(L)-アラニンアミド; N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-(L)-アスパルトアミド; N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-ピラジンアミド; N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-(L)-プロリンアミド; N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-(L)-リシンアミド; N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-ベンズアミド; N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-ピコリンアミド; N′-ベンジル-N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-ウレア; N′-フェニル-N-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-ウレア; N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]ベンズアミド; N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]ベンズアミド; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N′-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N′-(6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[バクテリアピリジン-7-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N′-(1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N′-[(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)メチル]-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N′[(6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[バクテリアピリジン-7-イル)メチル]-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N-(2-メトキシエチル)-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ピリジニルメチル)-N-[2-(4-メトキシフェニル)エチル]-N′-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)ベンゼンジメタンアミン; N-[(2,3-ジメトキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N-[1-(N″-フェニル-N″-メチルウレイド)-4-ピペリジニル]-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N-[N″-p-トルエンスルホニルフェニルアラニル)-4-ピペリジニル]-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N-[1-[3-(2-クロロフェニル)-5-メチル-イソオキサゾール-4-オイル]-4-ピペリジニル]-1,3-ベンゼンジメタンアミン;
N-[(2-ヒドロキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(4-シアノフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(4-シアノフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(4-アセトアミドフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(4-フェノキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(1-メチル-2-カルボキサミド)エチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(4-ベンジルオキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(チオフェン-2-イル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[バクテリアピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-(ベンジル)-3-ピロリジニル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[[1-メチル-3-(ピラゾール-3-yl)]プロピル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-(フェニル)エチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(3,4-メチレンジオキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-ベンジル-3-カルボキシメチル-4-ピペリジニル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(3,4-メチレンジオキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(3-ピリジニルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[[1-メチル-2-(2-トリル)カルボキサミド]エチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(1,5-ジメチル-2-フェニル-3-ピラゾリノン-4-イル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(4-プロポキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(1-フェニル-3,5-ジメチルピラゾリン-4-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[H-イミダゾール-4-イルメチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(3-メトキシ-4,5-メチレンジオキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(3-シアノフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(3-シアノフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(5-エチルチオフェン-2-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(5-エチルチオフェン-2-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2,6-ジフルオロフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2,6-ジフルオロフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2-ジフルオロメトキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-ジフルオロメトキシフェニルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(1,4-ベンゾジオキサン-6-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N-[1-(N″-フェニル-N″-メチルウレイド)-4-ピペリジニル]-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-N-[N″-p-トルエンスルホニルフェニルアラニル)-4-ピペリジニル]-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-(3-ピリジンカルボキサミド)-4-ピペリジニル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-(シクロプロピルカルボキサミド)-4-ピペリジニル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-(1-フェニルシクロプロピルカルボキサミド)-4-ピペリジニル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(1,4-ベンゾジオキサン-6-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-[3-(2-クロロフェニル)-5-メチル-イソオキサゾール-4-カルボキサミド]-4-ピペリジニル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-(2-チオメチルピリジン-3-カルボキサミド)-4-ピペリジニル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2,4-ジフルオロフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(1-メチルピロール-2-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2-ヒドロキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(3-メトキシ-4,5-メチレンジオキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(3-ピリジニルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[2-(N″-モルフォリノメチル)-1-シクロペンチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(1-メチル-3-ピペリジニル)プロピル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(1-メチルベンズイミダゾール-2-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-(ベンジル)-3-ピロリジニルl]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[[(1-フェニル-3-(N″-モルフォリノ)]プロピル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-(イソ-プロピル)-4-ピペリジニル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-(エトキシカルボニル)-4-ピペリジニル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(1-メチル-3-ピラゾリル)プロピル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-メチル-2-(N″,N″-ジエチルカルボキサミド)エチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(1-メチル-2-フェニルスルホニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2-クロロ-4,5-メチレンジオキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-メチル-2-[N″-(4-クロロフェニル)カルボキサミド]エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(1-アセトキシインドール-3-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(3-ベンジルオキシ-4-メトキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(3-キノールイルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(8-ヒドロキシ)-2-キノールイルメチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-キノールイルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(4-アセトアミドフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1H-イミダゾール-2-イルメチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(3-キノールイルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(2-チアゾールイルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(4-ピリジニルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(5-ベンジルオキシ)ベンゾ[b]ピロール-3-イルメチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(1-メチルピラゾール-2-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(4-メチル)-1H-イミダゾール-5-イルメチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[[(4-ジメチルアミノ)-1-ナフタレニル]メチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1,5-ジメチル-2-フェニル-3-ピラゾリノン-4-イルメチル]-N,N′-ビス(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-[(1-アセチル-2-(R)-プロリニル]-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-[2-アセトアミドベンゾイル-4-ピペリジニル]-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2-シアノ-2-フェニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(N″-アセチルトリプトファニル)-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(N″-ベンゾイルバリニル)-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(4-ジメチルアミノフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(4-ピリジニルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(1-メチルベンズイミダゾール-2-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-ブチル-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-ベンゾイル-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン
;
N-[1-(ベンジル)-3-ピロリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(1-メチル)ベンゾ[b]ピロール-3-イルメチル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[1H-イミダゾール-4-イルメチル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-(ベンジル)-4-ピペリジニル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[1-メチルベンズイミダゾール-2-イルメチル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2-フェニル)ベンゾ[b]ピロール-3-イルメチル]-N-[2-(2-ピリジニル)エチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-[(6-メチルピリジン-2-イル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; N-(3-メチル-1H-ピラゾール-5-イルメチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2-メトキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2-エトキシフェニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ジクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-(ベンジルオキシエチル)-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(2-エトキシ-1-ナフタレニル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; N-[(6-メチルピリジン-2-イル)メチル]-N′-(2-ピリジニルメチル)-N-(5,6,7,8-テトラヒドロ-8-キノリニル)-1,3-ベンゼンジメタンアミン; 1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]グアニジン; N-(2-ピリジニルメチル)-N-(8-メチル-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-3-イル)-1,4-ベンゼンジメタンアミン; 1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]ホモピペラジン; 1-[[3-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]ホモピペラジン; トランス及びシス-1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-3,5-ピペリジンジアミン; N,N′-[1,4-フェニレンビス(メチレン)]ビス-4-(2-ピリミジル)ピペラジン; 1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-1-(2-ピリジニル)メチルアミン; 2-(2-ピリジニル)-5-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン; 1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-3,4-ジアミノピロリジン; 1-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-3,4-diアセチルアミノピロリジン; 8-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-2,5,8-トリアザ-3-オキサビシクロ [4.3.0]ノナン; 並びに 8-[[4-[[(2-ピリジニルメチル)アミノ]メチル]フェニル]メチル]-2,5,8-トリアザビシクロ[4.3.0]ノナン。
【0128】
本出願に記載される組成物及び方法と併せて使用することがある更なるCXCR4アンタゴニストとしては、WO 2001/085196、WO 1999/050461、WO 2001/094420、及びWO 2003/090512に記載されているCXCR4アンタゴニスト、が挙げられ、これらの各々の開示内容は、CXCR4活性又は発現を阻害する化合物に関連するものとして、本出願に参照により取り込まれる。
【0129】
本出願に記載される化合物及び方法物と併せて使用することがある更なるCXCR4アンタゴニストとしては、WO 2015/063768に記載のCXCR4アンタゴニスト、例えば、BL-8040(BioLineRx、Modi'in、イスラエル)としても知られるアナログ4F-ベンゾイルTN14003(4F-ベンゾイル-Arg-Arg-Nal-Cys-Tyr-Cit-Lys-DLys-Pro-Tyr-Arg-Cit-Cys-Arg-NH2; ここで、Nal=ナフチルアラニン、Cit=シトルリン、DLys=D-リジン)、が挙げられる。
【0130】
本出願に記載される化合物及び方法物と併せて使用することがある更なるCXCR4アンタゴニストとしては、抗-CXCR4抗体(上記のような、抗体フラグメントの改変体を含む)が挙げられる。本出願に記載される組成物及び方法物と併せて使用することがある抗-CXCR4抗体としては、ウロクプルマブ(国際公開第2008/060367号のF7;BMS-936564又はMDX-1338とも呼ばれる;Bristol-Myers Squibb)、並びに表3に提供される、改変体及びフラグメントなどの抗体、が挙げられる。
【表3】
【0131】
ペプチド及びタンパク質を組換え発現させるための方法
本出願に記載されるペプチド及びタンパク質を、例えば、対応するペプチド又はタンパク質をコードする核酸を宿主細胞に送達することによって、前記宿主細胞で発現させることがある。以下の節は、組換え発現の目的のために、本出願に記載されるペプチド及びタンパク質をコードする核酸を宿主細胞に導入する目的のために使用され得る種々の手法を説明する。
【0132】
組換え発現のためのトランスフェクション技術
ポリペプチドをコードする核酸等のポリヌクレオチドを細胞(例えば、哺乳動物の細胞、例えば、ヒト細胞)に導入するために使用することができる技術は、当業者に公知である。いくつかの実施形態では、エレクトロポレーションを使用して、対象の細胞に静電電位を印加することによって、哺乳動物の細胞(例えば、ヒト細胞)を透過性にすることができる。このようにして外部電場に曝したヒト細胞のような哺乳動物細胞を、その後、前処理をして外因性の核酸を取込ませる。哺乳動物細胞のエレクトロポレーションは、例えば、Chu et al. (1987)Nucleic Acids Research 15:1311に詳細に記載されている(その開示内容は、本出願に参照により取り込まれる)。同様の技術である、ヌクレオフェクション(NucleofectionTM)を、真核生物細胞の核への外因性のポリヌクレオチドの取り込みを刺激するために、印加された電場を利用する。この技術を実施するために有用なNucleofectionTM及びプロトコルは、例えば、Distler et al. (2005) Experimental Dermatology 14:315、並びにUS 2010/0317114に詳細に記載されており、これらの各々の開示内容は、本出願に参照により取り込まれる。
【0133】
組換えペプチド及びタンパク質を発現させる目的のための宿主細胞のトランスフェクションに有用な更なる技術としては、スクイーズ‐ポレーション(squeeze-poration)法、が挙げられる。この手法は、細胞を急速に機械的に変形させて、その印加したストレスに応じて形成される膜の細孔を通って外因性のDNAが取り込まれること、を刺激する。このテクノロジーは、ヒト細胞のような細胞に核酸を送達するためにベクターを必要としないという点において、有利である。スクイーズ‐ポレーションは例えば、Sharei et al. (2013)Journal of Visualized Experiments 81:e50980に詳細に記載されており、その開示内容は、本出願に参照により取り込まれる。
【0134】
リポフェクションは、細胞のトランスフェクションに有用な別の技術である。この方法は、リポソーム(このリポソームは、カチオン性官能基、例えば、第四級又はプロトン化アミン、を、そのリポソームの外側に向かって提示していることが多い)の中に核酸を搭載することを含む。これにより、細胞膜のアニオン性の性質に起因して、前記リポソームと前記細胞との間の静電的な相互作用が促進され、最終的に、例えば、前記リポソームと前記細胞膜とが直接的に融合することにより、又は、その複合体がエンドサイトーシスされることにより、外因性の核酸が取り込まれることになる。リポフェクションについては、例えば、米国特許第7,442,386号に詳述されており、その開示内容は、本出願に参照により取り込まれる。外来核酸が取り込まれることを誘発するために、前記細胞膜とのイオン相互作用を利用する同様の技術としては、細胞をカチオン性ポリマー‐核酸複合体と接触させること、が挙げられる。前記細胞膜との相互作用に好適な正電荷を付与する、ポリヌクレオチドと会合する例示的なカチオン性分子は、活性化デンドリマー(例えば、Dennig(2003)Topics in Current Chemistry 228:227に記載され、その開示内容は、本出願に参照により取り込まれる)、及びジエチルアミノエチル(DEAE)-デキストラン(これをトランスフェクション試薬として使用することは、例えば、Gulick et al. (1997)Current Protocols in Molecular Biology 40:I:9.2:9.2.1に詳述され、その開示内容は、本出願に参照により取り込まれる)である。磁気ビーズは、この方法は、核酸を取り込ませるために印加磁場を利用するので、穏やかで効率的に細胞をトランスフェクトするのに使用しうる別のツールである。この技術は、例えば、US 2010/0227406に詳細に記載されており、その開示内容は、本出願に参照により取り込まれる。
【0135】
細胞による外因性の核酸の取り込みを誘導するための別の有益なツールは、レーザーフェクション(laserfection)である。この手法には、細胞を穏やかに透過性にし、そしてポリヌクレオチドが細胞膜を貫通することを可能にするために、前記細胞を特定の波長の電磁波に曝露することが含まれる。この手法については、例えば、Rhodes et al. (2007) Methods in Cell Biology 82:309に詳述されており、その開示内容は、本出願に参照により取り込まれる。
【0136】
微小胞は、本出願に記載されるペプチド又はタンパク質をコードする核酸を、組換え発現させるために、宿主細胞に導入するために使用され得る、別の担体の代表である。
いくつかの実施形態では、糖タンパク質VSV-Gと、例えばヌクレアーゼのようなゲノム修飾タンパク質とが共過剰発現するようにした微小胞を使用して、タンパク質を細胞に効率的に送達し、その後、内因性ポリヌクレオチド配列が部位特異的に切断されることを触媒して、前記細胞のゲノムを、遺伝子又は調節配列のような目的のポリヌクレオチドが共有結合的に組み込まれるように、することがある。真核生物細胞を遺伝子改変するために、ゲシクル(Gesicle)とも呼ばれるこのような小胞を使用することは、例えば、Quinn et al., Genetic Modification of Target Cells by Direct Delivery of Active Protein [abstract]. In: Methylation changes in early embryonic genes in cancer [abstract], in: Proceedings of the 18th Annual Meeting of the American Society of Gene and Cell Therapy; 2015 May 13, Abstract No. 122、に詳述されている。
【0137】
組換え発現のための核酸送達のためのウイルス・ベクター
ウイルス・ゲノムは、本出願に記載されるペプチド及びタンパク質をコードする外因性の核酸を、組換え発現させるために、宿主細胞の中に、効率的に送達することに使用し得るベクターの豊富な提供源である。ウイルス・ゲノムは、遺伝子を送達するのに、特に有用なベクターである。なぜなら、このようなゲノム内に含まれるポリヌクレオチドは、例えば、一般化された又は特殊化された形質導入を行うことによって、細胞のゲノムに組み込まれることがあるからである。これらのプロセスは、ウイルス・ベクターの天然の複製周期の一部として起こることがあり、そして遺伝子の組み込みを誘導するために、タンパク質又は試薬を添加することを必要としない。本出願に記載されるペプチド又はタンパク質をコードする核酸分子を、組換え発現させるために、宿主細胞に導入するのに使用することがあるウイルス・ベクターの例としては、パルボウイルス、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)、レトロウイルス、アデノウイルス(例えば、Ad5、Ad26、Ad34、Ad35、及びAd48)、コロナウイルス、‐鎖RNAウイルス、例えばオルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザ・ウイルス)、ラブドウイルス(例えば、狂犬病及び水疱性口内炎ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、麻疹及びセンダイ)、+鎖RNAウイルス、例えばピコルナウイルス及びアルファウイルス、並びに二本鎖DNAウイルス(アデノウイルス、ヘルペスウイルス[例えば、単純ヘルペス・ウイルス1型及び2型、エプスタイン-バー・ウイルス、サイトメガロウイルス]、及びポックスウイルス[例えば、ワクシニア、改変ワクシニア・アンカラ(modified vaccinia Ankara (MVA))、鶏痘ウイルス及びカナリア痘ウイルス]等を含む)、が含まれる。本明細書に記載のペプチド及びタンパク質をコードするポリヌクレオチドを、組換え発現させるために、宿主細胞に送達するのに有用な他のウイルスには、例えば、ノーウォーク・ウイルス、トガウイルス、フラビウイルス、レオウイルス、パポバウイルス、ヘパドナウイルス、及び肝炎ウイルスが含まれる。レトロウイルスの例としては、トリ白血病‐肉腫、哺乳動物C-型、B-型ウイルス、D-型ウイルス、HTLV-BLV群、レンチウイルス、スプマウイルス(Coffin, J. M., Retroviridae: The viruses and their replication, In Fundamental Virology, Third Edition, B. N. Fields, et al., Eds., Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, 1996)、が挙げられる。他の例としては、マウス白血病ウイルス、マウス肉腫ウイルス, マウス乳がんウイルス、ウシ白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒトT-細胞白血病ウイルス、ヒヒ内因性ウイルス、ギボン類人猿白血病ウイルス、マソン・ファイザー・サル・ウイルス、サル免疫不全ウイルス、サル肉腫ウイルス、ラウス肉腫ウイルス及びレンチウイルス、が挙げられる。他のベクターの例としては、例えば、米国特許第5,801,030号に記載されており、これは、遺伝子送達及び遺伝子組換えタンパク質並びにペプチドの発現に関するものとして、本出願に参照により取り込まれる。
【0138】
造血幹細胞及び造血前駆細胞のin vivo遺伝子改変の方法
本出願に記載される1種以上の方法を使用して、造血幹細胞及び造血前駆細胞を動員させた後、動員された細胞を、例えば、内因性遺伝子を編集(例えば、修正、破壊など)することによって、遺伝子改変をすることがある。
【0139】
核酸
ある特定の実施形態では、in vivo形質導入のための核酸は、ウイルス感染に対するバクテリア及び古細菌における適応性の防御メカニズムとして、元々は進化したシステムであるクラスター化された規則的に間隔を置いて配置された短いパリンドローム・リピート (CRISPR)/Casシステムを含む。前記CRISPR/Casシステムは、プラスミドDNA内のパリンドローム・リピート配列及び関連するCas9ヌクレアーゼを含む。DNAとタンパク質のこの集合体は、最初に外来DNAをCRISPR遺伝子座に組み込むことによって、ターゲット配列の部位特定DNA切断を指令する。これらの外来配列及びCRISPR遺伝子座の繰り返し-スペーサー要素を含むポリヌクレオチドは、次いで、宿主細胞中で転写されてガイドRNAを生成し、これは、その後、ターゲット配列にアニールし、この部位にCas9ヌクレアーゼを局在化させることができる。このようにして、高度に部位特異的な、Cas9を介したDNA切断が、外来のポリヌクレオチドにおいて生じることがあるが、これはターゲットDNA分子のごく近傍にCas9をもたらす相互作用が、RNA:DNAハイブリダイゼーションによって支配されるためである。これにより、CRISPR/Casシステムを理論的にデザインして、目的の任意のターゲットDNA分子を切断することができる。この技術は真核生物ゲノムを編集するために開発されたものであり(Hwang et al. (2013)Nature Biotechnology 31:227、その開示は、本出願に参照により取り込まれる)、例えば、ターゲット・タンパク質をコードする遺伝子が取り込まれる前に、DNAを切断するために、造血幹細胞ゲノムを部位特異的に編集する効率的な方法として使用することがある。遺伝子発現を調節するためにCRISPR/Casを使用することは、例えば、米国特許第8,697,359号に記載されており、その開示は、本出願に参照により取り込まれる。
【0140】
造血幹細胞に目的の遺伝子を組み込ませる前に、ゲノムDNAを部位特異的に切断するための代わりの方法としては、ジンク・フィンガー・ヌクレアーゼ(zinc finger nucleases (ZFNs))、及び転写活性化因子様エフェクター・ヌクレアーゼ(transcription activator-like effector nucleases (TALENs))の使用、が挙げられる。CRISPR/Casシステムとは異なり、これらの酵素は、特異的なターゲット配列に局在化するためのガイド・ポリヌクレオチドを含有しない。ターゲット特異性は、その代わりに、これらの酵素内のDNA結合ドメインによって制御される。ゲノム編集用途において、ZFN及びTALENを使用することは、例えば、Urnov et al. (2010)Nature Reviews Genetics 11:636;及びJoung et al. (2013)Nature Reviews Molecular細胞Biology 14:49、に記載されている、これら両方の開示は、本出願に参照により取り込まれる。
【0141】
造血幹細胞のゲノムの中に、核酸を組み込ませるために使用することがある更なる遺伝子編集技術としては、ゲノムDNAを部位特異的に切断するように合理的に設計することができる、ARCUSTMメガヌクレアーゼ、が挙げられる。これらの酵素を使用することは、そのような酵素について確立されている、所定の構造-活性相関の観点から、有利である。所望の位置でDNAを選択的に切断するヌクレアーゼを作製するために、単鎖メガヌクレアーゼを、ある特定のアミノ酸位置で、改変することがあり、造血幹細胞の核DNAの中に、治療遺伝子を部位特異的に組み込ませることを可能にする。これらの単鎖ヌクレアーゼは、例えば、米国特許第8,021,867号及び米国特許第8,445,251号、に詳しく記載されており、それらの各開示は、本出願に参照により取り込まれる。
【0142】
他の遺伝子編集システムとしては、スリーピング・ビューティー・トランスポザーゼ(Sleeping Beauty Transposase) 100x(SB100x)システム、が挙げられる (Mates et al. (2009) Nat Genet 41(6):753-761.を参照) 。SB100xは、トランスポゾンとトランスポザーゼからなる合成トランスポソン・システムである。(Tc1/マリナ型(mariner type)の)SBトランスポザーゼは、レシピエント(recipient)DNA配列内のTAジヌクレオチド塩基対の中にトランスポゾンを挿入する。本出願に記載される方法によれば、治療用遺伝子をトランスポゾン上に配置することができ、in vivo形質導入の後に、前記トランスポゾンを、造血幹細胞又は造血前駆細胞のゲノムの中に、TAジヌクレオチドの位置で、挿入する。
【0143】
本出願に記載される方法と共に使用するのに適した他の遺伝子編集システムとしては、部位特異的リコンビナーゼ、が挙げられる。本出願で使用する場合、用語「リコンビナーゼ」又は「部位特異的リコンビナーゼ」としては、1か所以上の組換え部位(例えば、2、3、4、5、7、10、12、15、20、30、50か所など)が関与する組換え反応に関わる、切り出し若しくは組み込みタンパク質、酵素、補因子(co-factor)、又は関連タンパク質、が挙げられ、それらは、野生型タンパク質(Landy (1993) Current Opinion in Biotechnology 3:699-707)、又は変異体、誘導体(例えば、組換えタンパク質配列又はそのフラグメントを含む融合タンパク質)、フラグメント、及びそれらのバリアント、であることがある。本発明の特定の実施形態において使用することに適したリコンビナーゼの、列挙できる例としては、限定されるものではないが、Cre、Int、IHF、Xis、Flp、Fis、Hin、Gin、OC31、Cin、Tn3レゾルバーゼ、TndX、XerC、XerD、TnpX、Hjc、Gin、SpCCEl及びParA、が挙げられる。
【0144】
選択マーカー及び選択薬剤
ある特定の実施形態では、本出願に開示される方法は、(1)in vivoで造血幹細胞又は造血前駆細胞を形質導入するための選択マーカーを含む核酸を対象に投与するステップ、及び(2)前記選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされた造血幹細胞又は造血前駆細胞を選択するための選択薬剤を投与するステップ、それによって、前記選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされなかった造血幹細胞又は造血前駆細胞は、生存しない、を含む。
【0145】
ある特定の実施形態では、前記選択マーカーは、ヒトO(6)-メチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ(MGMT)変異体である。
【0146】
ある特定の実施形態では、前記選択薬剤は、メチル化剤を含む。ある特定の実施形態では、前記メチル化剤は、O6-ベンジルグアニン(O6BG)、ビス-クロロエチルニトロソウレア(BCNU)、テモゾロミド、及びこれらの組合せ、より選択される。前記核酸で形質導入がなされた造血幹細胞又は造血前駆細胞は、選択マーカー(例えば、ヒトO(6)-メチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ(MGMT)変異体)を有し、メチル化剤に対して耐性である、及び生存する、一方、形質導入がなされなかった細胞は、生存しない。
【0147】
遺伝子編集のための治療用遺伝子及びターゲット
ある特定の実施形態では、前記核酸は、(1)対象において、欠損している又は欠陥がある遺伝子を提供するために供給され得る治療用遺伝子、又は(2)前記対象において欠陥がある遺伝子(遺伝子ターゲット)を修正する遺伝子編集システム、を含む。以下に、治療用遺伝子又は遺伝子ターゲットのリストを(それらが発現する細胞、及びそれらが破壊されることで引き起こされる疾患も含めて)提供する:HSC:ファンコニ貧血(Fanconi Anemia)(FANC A-F)。血小板(Platelets):血友病A(第VIII因子(F8));血友病B(第IX因子(F9));第X因子欠乏症(第X因子(F10));ウィスコット-アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich Syndrome)(ウィスコット・アルドリッチ症候群タンパク質(WASP))。好中球:X-連鎖慢性肉芽腫症(チトクロームB-245ベータ鎖(CYBB));コストマン症候群(エラスターゼ好中球発現(Elastase Neutrophil Expressed (ELANE)))。赤血球:アルファ-サラセミア(ヘモグロビン・サブユニット・アルファ(HBA));ベータ・サラセミア及び鎌状赤血球症(ヘモグロビン・サブユニット・ベータ (HBB));ピルビン酸キナーゼ欠損症(ピルビン酸キナーゼ、肝臓及びRBC(PKLR));ダイアモンド‐ブラックファン貧血(Diamond-Blackfan Anemia)(リボソーム・タンパク質S19(RPS19))。単球:X-連鎖副腎白質ジストロフィー(X-linked Adrenoleukodystrophy)(ATP結合カセット・サブファミリーDメンバー1(ABCD1));異染性白質ジストロフィー(アリールスルファターゼA(ARSA));ゴーシェ病(グルコシルセラミダーゼ・ベータ (GBA));ハンター症候群(イズロン酸2-スルファターゼ(IDS));ムコ多糖症I型(イズロニダーゼ、アルファ-L(IDUA));大理石骨病(T-細胞免疫調節因子1(TCIRG1))。B細胞:アデノシン・デアミナーゼ(ADA)欠損重度複合免疫不全症(アデノシン・デアミナーゼ(ADA));X-連鎖重度複合免疫不全症(インターロイキン2レセプター・サブユニット・ガンマ(IL2RG));ウィスコット‐アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich Syndrome)(ウィスコット-アルドリッチ症候群タンパク質(WASP));X-連鎖無ガンマグロブリン血症(ブルトン・チロシン・キナーゼ(Bruton’s Tyrosine Kinase (BTK)))。T細胞:アデノシン・デアミナーゼ(ADA)欠損重度複合免疫不全症(ADA);X-連鎖重度複合免疫不全症(IL2RG);ウィスコット‐アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome)タンパク質(WASP);X-連鎖高IgM症候群(CD40リガンド(CD40LG));IPEX症候群(フォークヘッド・ボックスP3(Forkhead Box P3 (FOXP3)));早期発症型炎症性疾患(インターロイキン4、10、13(IL-4、10、13));血球貪食性リンパ組織球症(パーフォリン1(PRF1));がん(人工T細胞レセプター(TCR)、がん;キメラ抗原レセプター(Chimeric Antigen Receptor)(CAR));ヒト免疫不全ウイルス(C-Cモチーフ・ケモカイン・レセプター5(CCR5))。
【0148】
核酸のウイルス性送達
典型的には、ウイルス・ベクターは、ウイルスに由来する二本鎖環状DNA分子である。ウイルス・ベクターを用いて、1種以上の治療用核酸をターゲット細胞に送達する、及びターゲット細胞で発現させる、ことがある。ある特定のウイルス・ベクターは、それら自身を染色体の中に安定的に組み込む。典型的には、ウイルス・ベクターは、宿主細胞中で、核酸(例えば、治療用核酸)をコードした1つ以上のベクターの複製を可能にする、少なくとも1つのプロモーター配列を含む。ウイルス・ベクターは、選択マーカーなどの、本出願に記載される1つ以上の非-治療用の構成要素を、任意選択的に含むことがある。
【0149】
本出願に記載される手法は、in vivoでの、特にヒトへの、外因性遺伝子の導入のための組み換え遺伝子送達システムとしての、レトロウイルス・ベクター、アデノウイルス由来ベクター、及び/又はアデノ随伴ウイルス・ベクターの使用を含む。組換えレトロウイルスを産生するための、及びそのようなウイルスをin vitro又はin vivoで細胞に感染させるための、プロトコルは、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubel, F. M. et al. (eds.) Greene Publishing Associates, (1989), Sections 9.10-9.14及び他の標準的な実験マニュアルに記載されている。
【0150】
DNAベクターの、並びにアデノウイルス、レトロウイルス、及びレンチウイルスなどのウイルス・ベクターの、形質導入薬剤として使用されるウイルスを、本発明を実施する際に、使用することがある。例示的なレトロウイルス類としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:モロニー・マウス白血病ウイルス(M-MuLV)、モロニー・マウス肉腫ウイルス(MoMSV)、ハーベイ・マウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳がんウイルス(MuMTV)、ギボン類人猿白血病ウイルス(GaLV)、ネコ白血病ウイルス(FLV)、スプマウイルス、フレンド・マウス白血病ウイルス、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)及びラウス肉腫ウイルス(RSV)並びにレンチウイルス。本出願で使用する場合、用語「レンチウイルス」は、複雑型レトロウイルス(complex retrovirus)の群(又は属)を指す。例示的なレンチウイルスとしては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:HIV(ヒト免疫不全ウイルス;HIV1型及びHIV2型を含む);ビスナ-マエディ・ウイルス(visna-maedi virus (VMV));ヤギ関節炎-脳脊髄炎ウイルス(caprine arthritis-encephalitis virus (CAEV));ウマ感染性貧血ウイルス(equine infectious anemia virus (EIAV));ネコ免疫不全ウイルス(FIV);ウシ免疫不全ウイルス(BIV);及びサル免疫不全ウイルス(SIV)。
【0151】
ある特定の実施形態では、アデノウイルスを、本出願に記載される方法に従って使用することがある。アデノウイルスのゲノムを、それが治療遺伝子をコードする、及び発現するが、正常な溶解性ウイルス・ライフ・サイクルにおいて複製するその能力に関して不活性化されるように、操作することがある。アデノウイルス株Adタイプ5 dl324又は他の株のアデノウイルス(例えば、Ad2、Ad3、Ad7など)に由来する好適なアデノウイルス・ベクターは、当業者に公知である。組換えアデノウイルスは、非分裂細胞に感染することができない、及び上皮細胞を含む多種多様な細胞型に感染させるために使用することができる、という点において、ある特定の状況において有利である。更に、ウイルス粒子は、比較的安定である、並びに精製及び濃縮に適している、並びに上記のように、感染性のスペクトルに影響を及ぼすように改変することができる。加えて、導入されたアデノウイルスDNA(及びその中に含まれる外来DNA)は、宿主細胞のゲノムの中に組み込まれずに、エピソームのままであり、それによって、導入されたDNAが宿主ゲノムの中に組み込まれる場所における挿入変異の結果として生じることがある潜在的な問題(例えば、レトロウイルスDNA)を回避する。更に、外来DNAに対するアデノウイルス・ゲノムの積載能は、他の遺伝子送達ベクターと比較して大きい(最大8キロベース)。
【0152】
アデノ随伴ウイルスは、効率的な複製及び生産的なライフ・サイクルのためのヘルパー・ウイルスとして、アデノウイルス又はヘルペス・ウイルスなどの別のウイルスを必要とする、欠陥のある、天然に存在するウイルスである。それはまた、そのDNAを非-分裂細胞の中に組み込むことができる数少ないウイルスの1種でもある、及び高頻度に安定的に組み込まれる。
【0153】
ある特定の実施形態では、組み込み型の、ヘルパー-依存性アデノウイルス(例えば、HD-Ad5/35++)ベクター・システムを使用する。HD-Ad5/35++ ベクターは、HSPC上で均一に発現するレセプターである、CD46をターゲットとする。例えば、Wang et al(2019)Blood Advances 3(19):2883-2894を参照されたい。
【0154】
治療方法
本出願に記載される場合、造血幹細胞及び造血前駆細胞のin vivo形質導入を、遺伝子治療の際に、それを必要とする対象(例えば、幹細胞障害に罹患している患者)において、使用することがある。造血幹細胞及び造血前駆細胞は多分化能を示し、従って、限定されるものではないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球、好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網赤血球、赤血球)、血小板(thrombocyte)(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、並びにリンパ球(例えば、NK細胞、B-細胞及びT-細胞)を含む、複数の異なった血液系列に分化することができる。造血幹細胞は、更に自己複製が可能であり、従って、母細胞と同等の可能性を有する娘細胞を生じさせることができ、並びに、治療用遺伝子でin vivo形質導入を受けた後、造血幹細胞ニッチに再びホーミングする、及び生産的かつ持続的な造血を再確立する、性質を特徴にもする。このように、形質導入を受けた造血幹細胞及び造血前駆細胞は、造血系列のある細胞型に欠損又は欠陥がある患者の広範な疾患を治療するための有用な治療モダリティ(modality)となる。前記欠損又は欠陥は、例えば、自己抗原と交差反応するT-リンパ球又はB-リンパ球のような自己反応性免疫細胞の活性により、内因性造血細胞の集団が減少することによって引き起こされることがある(例えば、本出願に記載される自己免疫障害のような自己免疫障害を患う患者の場合において)。更に、又は代わりに、細胞活性の欠損又は欠陥は、酵素の異常な発現によって引き起こされることがある(例えば、本出願に記載される代謝性障害のような種々の代謝性障害に罹患している患者の場合において)。
【0155】
従って、造血幹細胞の in vivo 形質導入を使用して、造血系列の1種以上の細胞型に欠陥がある又は欠損している遺伝子を修正することがある、それによって、内因性の血液細胞集団における欠陥又は減少に関連した病態を治療する。造血幹細胞の in vivo 形質導入を使用して、例えば、非-悪性ヘモグロビン異常症(例えば、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、及びウィスコット‐アルドリッチ症候群からなる群より選択されるヘモグロビン異常症)を治療することができる。これらの場合、例えば、CXCR4アンタゴニスト及び/又はCXCR2アゴニストを対象に投与して、そのような処置に応じて、骨髄などの幹細胞ニッチから循環末梢血中に、造血幹細胞及び造血前駆細胞の集団の放出を引き起こさせることがある。こうして動員された造血幹細胞及び造血前駆細胞を、次いで、(例えば、治療用遺伝子及び選択マーカーを含むことがある)核酸で、in vivoで形質導入することがある。選択薬剤を前記対象に投与すると、治療遺伝子及び選択マーカーを含む核酸で形質導入がなされなかった造血幹細胞又は造血前駆細胞は、生存しない。形質導入を受けた細胞は、造血幹細胞ニッチにホーミングし、治療用遺伝子を有する細胞の集団を再構成することができる。
【0156】
更に、又は代わりに、造血幹細胞及び造血前駆細胞を使用して、先天性免疫不全症などの免疫不全を治療することができる。更に、又は代わりに、本出願に記載される組成物及び方法を使用して、後天性免疫不全症(例えば、HIV及びAIDSからなる群より選択される後天性免疫不全症)を治療することができる。これらの場合、例えば、CXCR4アンタゴニスト及び/又はCXCR2アゴニストを対象に投与して、骨髄などの幹細胞ニッチから循環末梢血中に、造血幹細胞及び造血前駆細胞の集団の放出を引き起こさせることがある。こうして動員された造血幹細胞及び造血前駆細胞を、次いで、核酸で、in vivoで形質導入することがある。核酸に対して選択を行った後、選択した細胞は、造血幹細胞ニッチにホーミングすることがある、及び治療用遺伝子を保有する免疫細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞、又は他の免疫細胞)の集団を再構成することがある。
【0157】
造血幹細胞及び造血前駆細胞を使用して、代謝性障害(例えば、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴ脂質症、異染性白質ジストロフィー、グロボイド細胞白質ジストロフィー(globoid cell leukodystrophy)、及び大脳型副腎白質ジストロフィー(cerebral adrenoleukodystrophy)、からなる群より選択される代謝性障害)を治療することもできる。これらの場合、例えば、CXCR4アンタゴニスト及び/又はCXCR2アゴニストを対象に投与して、骨髄などの幹細胞ニッチから循環末梢血中に、造血幹細胞及び造血前駆細胞の集団の放出を引き起こさせることがある。こうして動員された造血幹細胞及び造血前駆細胞を、次いで、核酸で、in vivoで形質導入することがある。核酸に対して選択を行った後、選択した細胞は、造血幹細胞ニッチにホーミングすることがある、及び治療用遺伝子を保有する造血細胞の集団を再構成することがある。
【0158】
更に、又は代わりに、造血幹細胞又は造血前駆細胞を使用して、悪性腫瘍又は増殖性疾患(例えば、血液がん又は骨髄増殖性疾患)を治療することができる。がん治療の場合、例えば、CXCR4アンタゴニスト及び/又はCXCR2アゴニストを対象に投与して、骨髄などの幹細胞ニッチから循環末梢血中に、造血幹細胞及び造血前駆細胞の集団の放出を引き起こさせることがある。こうして動員された造血幹細胞及び造血前駆細胞を、次いで、核酸で、in vivoで形質導入することがある。核酸に対して選択を行った後、選択した細胞は、造血幹細胞ニッチにホーミングすることがある、及び治療用遺伝子を保有する造血細胞の集団を再構成することがある。本出願に記載される組成物及び方法に従って治療することができる例示的な血液がんは、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B-細胞リンパ腫、及び非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)、並びに神経芽細胞腫を含む他のがん症状である。
【0159】
本出願に記載される方法及び組成物を使用して治療することがある更なる疾患としては、限定されるものではないが、アデノシン・デアミナーゼ欠損症及び重度複合免疫不全症, 高免疫グロブリンM症候群、チェディアック‐東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)、多発性硬化症、並びに若年性関節リウマチ、が挙げられる。
【0160】
更に、造血幹細胞及び造血前駆細胞のin vivo 形質導入を使用して、自己免疫疾患を治療することができる。いくつかの実施形態では、形質導入を受けた造血幹細胞及び造血前駆細胞は、骨髄のような幹細胞ニッチにホーミングし、生産的な造血を確立することがある。これによって、次に、自己反応性リンパ球(例えば、自己反応性T-リンパ球及び/又は自己反応性B-リンパ球)の活性により起こることがある、自己免疫細胞除去の過程で減少した細胞の集団に取って代わることがある。治療しうる自己免疫疾患としては、限定されるものではないが、乾癬、乾癬性関節炎、1型糖尿病(1型糖尿病)、関節リウマチ(RA)、ヒト全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、リンパ球性大腸炎、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、汎発性脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性卵巣炎、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、シャーガス病、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、クローン病、瘢痕性類天疱瘡、セリアック・スプルー疱疹状皮膚炎、寒冷凝集素症、CREST症候群、デゴス病、円板状エリテマトーデス、自律神経障害、子宮内膜症、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症-線維筋炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン‐バレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性及び/又は急性血小板減少性紫斑病、特発性肺線維症、IgAニューロパチー、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、ライム病、メニエール病、混合性結合組織病(MCTD)、重症筋無力症、ニューロミオトニア、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オルド甲状腺炎(Ord's thyroiditis)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発軟骨炎、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発動脈炎、多内分泌腺症候群、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症(primary agammaglobulinemia)、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフ・パーソン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎としても知られる)、潰瘍性大腸炎、膠原線維性大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛(外陰部前庭炎)、及びヴェーゲナー肉芽腫症、が挙げられる。
【0161】
CXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストの投薬に関する動態、核酸の投与、及び核酸の選択
前記対象にCXCR4アンタゴニスト及びCXCR2アゴニストの両方を投与する症例に対しては、その2つの薬剤を前記対象に実質的に同時に投与してもよい(例えば、同時に、又は一方を他方の直後に)。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニスト及び前記CXCR2アゴニストを、互いに一緒に製剤化することがあり、及び同じ医薬組成物として投与することがある。代わりに、前記CXCR4アンタゴニスト及び前記CXCR2アゴニストを別個の医薬組成物として製剤化し、並びに別々であるが実質的に同時に前記対象に投与することがある。
【0162】
いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストの投与後に、前記対象に投与する。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストの投与後、約12時間以内に(例えば、約10、8、6、4、2、又は1時間以内に)、前記対象に投与する。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストの投与後、約30分から約180分、例えば、約40分から約160分、約50分から約150分、約60分から約140分、約70分から約130分、約60分から約120分、約70分から約110分、又は約80分から約100分 (例えば、前記CXCR4アンタゴニストの投与後、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、約65分、約70分、約75分、約80分、約85分、約90分、約95分、約100分、約105分、約110分、約115分、約120分、約125分、約130分、約135分、約140分、約145分、約150分、約155分、約160分、約165分、約170分、約175分、又は約180分)に、前記対象に投与する。いくつかの実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、前記CXCR4アンタゴニストの投与後、約2時間に投与する。
【0163】
ある特定の実施形態では、in vivo形質導入のための核酸の投与を、CXCR4アンタゴニスト及びCXCR2アゴニストの投与の終了後、約10分から約2時間(例えば、CXCR4アンタゴニスト及びCXCR2アゴニストの投与後、約10分から約1.9時間、約20分から約1.8時間、約25分から約1.7時間、約30分から約1.6時間、約40分から約1.5時間、約1時間から約2時間)に行う。ある特定の実施形態では、in vivo形質導入のための核酸の投与を、CXCR4アンタゴニスト及びCXCR2アゴニストの投与の終了後、約10分、約15分、約20分、約25分、約30分、約35分、約40分、約45分、約50分、約55分、約60分、又は約120分に行う。ある特定の実施形態では、n vivo形質導入のための核酸の投与を、CXCR4アンタゴニスト及びCXCR2アゴニストの投与の終了後、約10分から約20分(例えば、CXCR4アンタゴニスト及びCXCR2アゴニストの投与の終了後、約10分、約11分、約12分、約13分、約14分、約15分、約16分、約17分、約18分、約19分、又は約20分)に行う。
【0164】
ある特定の実施形態では、in vivo形質導入のための核酸の投与を、CXCR2アゴニスト及び/又はCXCR4アンタゴニストの投与後、約2時間から約10時間、例えば、約2時間から約3時間, 約2時間から約4時間, 約2時間から約5時間, 約2時間から約6時間, 約2時間から約7時間, 約2時間から約8時間, 約2時間から約9時間, 約3時間から約4時間, 約3時間から約5時間, 約3時間から約6時間, 約3時間から約7時間, 約3時間から約8時間, 約3時間から約9時間, 約3時間から約10時間, 約4時間から約5時間, 約4時間から約6時間, 約4時間から約7時間, 約4時間から約8時間, 約4時間から約9時間, 約4時間から約10時間, 約5時間から約6時間, 約5時間から約7時間, 約5時間から約8時間, 約5時間から約9時間, 約5時間から約10時間, 約6時間から約7時間, 約6時間から約8時間, 約6時間から約9時間, 約6時間から約10時間, 約7時間から8時間, 約7時間から約9時間, 約7時間から約10時間, 約8時間から約9時間, 約8時間から約10時間, 又は約9時間から約10時間、に行う。
【0165】
ある特定の実施形態では、前記選択薬剤を、前記核酸の投与後、約4週間から約24週間(例えば、約4週間, 約5週間, 約6週間, 約7週間, 約8週間, 約9週間, 約10週間, 約11週間, 約12週間, 約13週間, 約14週間, 約15週間, 約16週間, 約17週間, 約18週間, 約19週間, 約20週間, 約21週間, 約22週間, 約23週間, 約24週間)に投与する。ある特定の実施形態では、前記選択薬剤を、1回投与する。ある特定の実施形態では、前記選択薬剤を、前記核酸の投与後、約4週間から約10週間の間に開始して、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、又は8サイクルにわたって投与する。ある特定の実施形態では、前記サイクルは、1日間離れている、2日間離れている、3日間離れている、4日間離れている、5日間離れている、6日間離れている、1週間離れている、2週間離れている、3週間離れている、又は4週間離れている。
【0166】
CXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストの投与経路
本出願に記載されるCXCR4アンタゴニスト及びCXCR2アゴニストを、種々の経路(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、又は非経口)によって、患者に投与することがある。任意の所与のケースにおける投与に最も適した経路は、投与する特定の薬剤、患者、医薬製剤化方法、投与方法(例えば、投与時刻及び投与経路)、患者の年齢、体重、性別、治療する疾患の重症度、患者の食事、及び患者の排泄速度に依存する。
【0167】
医薬組成物
本出願で意図されるCXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを、各々、哺乳動物の対象(例えば、ヒト対象)のような対象に投与するために、同じ医薬組成物中に製剤化することがある。例えば、本出願では、CXCR2アゴニスト及び/又はCXCR4アンタゴニストを、1つ以上の好適な希釈剤、担体、及び/又は賦形剤と混合して含む医薬組成物が意図される。医薬組成物は、無菌の水性懸濁液を含むことがある。好適な製剤を選択するための及び調製するための従来の手順及び成分は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(2012, 22nd ed.)及びThe United States Pharmacopeia: The National Formulary(2015, USP 38 NF 33)に記載されている(その開示内容は、その全体が本出願に参照により取り込まれる)。
【0168】
医薬組成物を、単独で、又は薬学的に許容可能な担体と組合せて、対象(例えば、ヒト対象)に投与することがあり、その比率を、活性医薬成分(即ち、CXCR2アゴニスト及び/又はCXCR4アンタゴニスト)の量、選択された投与経路、及び標準的な薬学的な実務によって決定することがある。
【0169】
CXCR2アゴニスト及び/又はCXCR4アンタゴニストの投与及び用量
意図されるCXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを、1種以上の投与経路によって、哺乳動物の対象(例えば、ヒト対象)のような対象に投与することがある。例えば、意図されるCXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを、特に、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、又は皮下注射によって、対象に投与することがある。
【0170】
意図されるCXCR2アゴニストを、対象の体重当たり、約0.001 mg/kgから約1 mg/kg、例えば、約0.001mg/kgから約0.1mg/kg、約0.05mg/kgから約0.1mg/kg、約0.05mg/kgから約0.07mg/kg、及び約0.07mg/kgから約0.1mg/kg、の量で、投与することがある。
【0171】
意図されるCXCR2アゴニストを、約0.001 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、例えば、約0.0015 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.002 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.025 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.003 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.0035 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.004 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.0045 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.005 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.0055 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.006 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.0065 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.007 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.075 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.008 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.0085 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.009 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.0095 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.01 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.015 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.02から約0.05 mg/kg未満、約0.025 mg/kgから約0.05 mg/kg未満;約0.03 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.035 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、約0.04 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、及び約0.045 mg/kgから約0.05 mg/kg未満、の量で、投与することがある。
【0172】
ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約0.001 mg/kgから約0.049 mg/kg、例えば、約0.001 mg/kgから約0.045 mg/kg、約0.001 mg/kgから約0.04 mg/kg、約0.001 mg/kgから約0.035 mg/kg、約0.001 mg/kgから約0.03 mg/kg、約0.001 mg/kgから約0.025 mg/kg、約0.001 mg/kgから約0.02 mg/kg、約0.001 mg/kgから約0.015 mg/kg、約0.001 mg/kgから約0.01 mg/kg、の量で、投与することがある。
【0173】
ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約0.01 mg/kgから約0.05 mg/kg未満, 約0.01 mg/kgから約0.049 mg/kg, 約0.01 mg/kgから約0.045 mg/kg, 約0.01 mg/kgから約0.04 mg/kg, 約0.01 mg/kgから約0.035 mg/kg, 約0.01 mg/kgから約0.03 mg/kg, 約0.01 mg/kgから約0.025 mg/kg, 約0.01 mg/kgから約0.02 mg/kg, 及び約0.01 mg/kgから約0.015 mg/kg、の量で、投与することがある。
【0174】
ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約0.02 mg/kgから約0.05 mg/kg未満, 約0.02 mg/kgから約0.049 mg/kg, 約0.02 mg/kgから約0.045 mg/kg, 約0.02 mg/kgから約0.04 mg/kg, 約0.02 mg/kgから約0.035 mg/kg, 約0.02 mg/kgから約0.03 mg/kg, 及び約0.02 mg/kgから約0.025 mg/kg、の量で、投与することがある。
【0175】
ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約0.03mg/kgの用量で投与する。
【0176】
ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約1mgから約8mgの固定用量で、投与する。例えば、前記CXCR2アゴニストを、約1 mgから約1.5 mg, 約1 mgから約2 mg, 約1 mgから約2.5 mg, 約1 mgから約3 mg, 約1 mgから約3.5 mg, 約1 mgから約4 mg, 約1 mgから約4.5 mg, 約1 mgから約5 mg, 約1 mgから約5.5 mg, 約1 mgから約6 mg, 約1 mgから約6.5 mg, 約1 mgから約7 mg, 約1 mgから約7.5 mg, 約1.5 mgから約2 mg, 約1.5 mgから約2.5 mg, 約1.5 mgから約3 mg, 約1.5 mgから約3.5 mg, 約1.5 mgから約4 mg, 約1.5 mgから約4.5 mg, 約1.5 mgから約5 mg, 約1.5 mgから約5.5 mg, 約1.5 mgから約6 mg, 約1.5 mgから約6.5 mg, 約1.5 mgから約7 mg, 約1.5 mgから約7.5 mg, 約1.5 mgから約8 mg, 約2 mgから約2.5 mg, 約2 mgから約3 mg, 約2 mgから約3.5 mg, 約2 mgから約4 mg, 約2 mgから約4.5 mg, 約2 mgから約5 mg, 約2 mgから約5.5 mg, 約2 mgから約6 mg, 約2 mgから約6.5 mg, 約2 mgから約7 mg, 約2 mgから約7.5 mg, 約2 mgから約8 mg, 約2.5 mgから約3 mg, 約2.5 mgから約3.5 mg, 約2.5 mgから約4 mg, 約2.5 mgから約4.5 mg, 約2.5 mgから約5 mg, 約2.5 mgから約5.5 mg, 約2.5 mgから約6 mg, 約2.5 mgから約6.5 mg, 約2.5 mgから約7 mg, 約2.5 mgから約7.5 mg, 約2.5 mgから約8 mg, 約3 mgから約3.5 mg, 約3 mgから約4 mg, 約3 mgから約4.5 mg, 約3 mgから約5 mg, 約3 mgから約5.5 mg, 約3 mgから約6 mg, 約3 mgから約6.5 mg, 約3 mgから約7 mg, 約3 mgから約7.5 mg, 約3 mgから約8 mg, 約3.5 mgから約4 mg, 約3.5 mgから約4.5 mg, 約3.5 mgから約5 mg, 約3.5 mgから約5.5 mg, 約3.5 mgから約6 mg, 約3.5 mgから約6.5 mg, 約3.5 mgから約7 mg, 約3.5 mgから約7.5 mg, 約3.5 mgから約8 mg, 約4 mgから約4.5 mg, 約4 mgから約5 mg, 約4 mgから約5.5 mg, 約4 mgから約6 mg, 約4 mgから約6.5 mg, 約4 mgから約7 mg, 約4 mgから約7.5 mg, 約4 mgから約8 mg, 約4.5 mgから約5 mg, 約4.5 mgから約5.5 mg, 約4.5 mgから約6 mg, 約4.5 mgから約6.5 mg, 約4.5 mgから約7 mg, 約4.5 mgから約7.5 mg, 約4.5 mgから約8 mg, 約5 mgから約5.5 mg, 約5 mgから約6 mg, 約5 mgから約6.5 mg, 約5 mgから約7 mg, 約5 mgから約7.5 mg, 約5 mgから約8 mg, 約5.5 mgから約6 mg, 約5.5 mgから約6.5 mg, 約5.5 mgから約7 mg, 約5.5 mgから約7.5 mg, 約5.5 mgから約8 mg, 約6 mgから約6.5 mg, 約6 mgから約7 mg, 約6 mgから約7.5 mg, 約6 mgから約8 mg, 約6.5 mgから約7 mg, 約6.5 mgから約7.5 mg, 約6.5 mgから約8 mg, 約7 mgから約7.5 mg, 約7 mgから約8 mg, 約7.5 mgから8 mg、の固定用量で、投与する。ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約1.3 mg, 2.5 mg 又は5.5 mgの固定用量で投与する。
【0177】
ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約0.001 mg/kg/日, 約0.0015 mg/kg/日, 約0.002 mg/kg/日, 約0.0025 mg/kg/日, 約0.003 mg/kg/日, 約0.0035 mg/kg/日, 約0.004 mg/kg/日, 約0.0045 mg/kg/日, 約0.005 mg/kg/日, 約0.0055 mg/kg/日, 約0.006 mg/kg/日, 約0.0065 mg/kg/日, 約0.007 mg/kg/日, 約0.0075 mg/kg/日, 約0.008 mg/kg/日, 約0.0085 mg/kg/日, 約0.009 mg/kg/日, 約0.0095 mg/kg/日, 約0.01 mg/kg/日, 約0.015 mg/kg/日, 約0.02 mg/kg/日, 約0.025 mg/kg/日, 約0.03 mg/kg/日, 約0.035 mg/kg/日, 約0.04 mg/kg/日, 約0.045 mg/kg/日, 約0.049 mg/kg/日, 又は約0.05 mg/kg/日未満、の量で、投与する。 ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約1.3 mg/日, 2.5 mg/日, 又は5.5 mg/日、の固定用量で投与する。
【0178】
ある特定の実施形態では、前記CXCR2アゴニストを、約1 mg/日から約8 mg/日、の固定用量で投与する。例えば、前記CXCR2アゴニストを、約1 mg/日, 約1.5 mg/日, 約2 mg/日, 約2.5 mg/日, 約3.5 mg/日, 約4 mg/日, 約5 mg/日, 約5.5 mg/日, 約6 mg/日, 約6.5 mg/日, 約7 mg/日, 約7.5 mg/日, 又は約8 mg/日、からの固定用量で投与することがある。
【0179】
いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストは、プレリキサホル又はその薬学的に許容可能な塩である。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニスト(例えば、プレリキサホル又はその薬学的に許容可能な塩)を、前記対象に皮下投与する。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニスト(例えば、プレリキサホル又はその薬学的に許容可能な塩)を、前記対象の体重当たり、約50 μg/kgから約500 μg/kgの用量で、例えば、約50 μg/kg, 55 μg/kg, 60 μg/kg, 65 μg/kg, 70 μg/kg, 75 μg/kg, 80 μg/kg, 85 μg/kg, 90 μg/kg, 95 μg/kg, 100 μg/kg, 105 μg/kg, 110 μg/kg, 115 μg/kg, 120 μg/kg, 125 μg/kg, 130 μg/kg, 135 μg/kg, 140 μg/kg, 145 μg/kg, 150 μg/kg, 155 μg/kg, 160 μg/kg, 165 μg/kg, 170 μg/kg, 175 μg/kg, 180 μg/kg, 185 μg/kg, 190 μg/kg, 195 μg/kg, 200 μg/kg, 205 μg/kg, 210 μg/kg, 215 μg/kg, 220 μg/kg, 225 μg/kg, 230 μg/kg, 235 μg/kg, 240 μg/kg, 245 μg/kg, 250 μg/kg, 255 μg/kg, 260 μg/kg, 265 μg/kg, 270 μg/kg, 275 μg/kg, 280 μg/kg, 285 μg/kg, 290 μg/kg, 295 μg/kg, 300 μg/kg, 305 μg/kg, 310 μg/kg, 315 μg/kg, 320 μg/kg, 325 μg/kg, 330 μg/kg, 335 μg/kg, 340 μg/kg, 345 μg/kg, 350 μg/kg, 355 μg/kg, 360 μg/kg, 365 μg/kg, 370 μg/kg, 375 μg/kg, 380 μg/kg, 385 μg/kg, 390 μg/kg, 395 μg/kg, 400 μg/kg, 405 μg/kg, 410 μg/kg, 415 μg/kg, 420 μg/kg, 425 μg/kg, 430 μg/kg, 435 μg/kg, 440 μg/kg, 445 μg/kg, 450 μg/kg, 455 μg/kg, 460 μg/kg, 465 μg/kg, 470 μg/kg, 475 μg/kg, 480 μg/kg, 485 μg/kg, 490 μg/kg, 495 μg/kg, 又は500 μg/kg、の用量で、前記対象に投与する。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニスト(例えば、プレリキサホル又はその薬学的に許容可能な塩)を、約200 μg/kgから約300 μg/kgの用量、例えば、約240 μg/kgの用量で、前記対象に投与する。
【0180】
例えば、いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニスト(例えば、プレリキサホル又はその薬学的に許容可能な塩)を、約50 μg/kg/日から約500 μg/kg/日の用量で、例えば、約50 μg/kg/日, 55 μg/kg/日, 60 μg/kg/日, 65 μg/kg/日, 70 μg/kg/日, 75 μg/kg/日, 80 μg/kg/日, 85 μg/kg/日, 90 μg/kg/日, 95 μg/kg/日, 100 μg/kg/日, 105 μg/kg/日, 110 μg/kg/日, 115 μg/kg/日, 120 μg/kg/日, 125 μg/kg/日, 130 μg/kg/日, 135 μg/kg/日, 140 μg/kg/日, 145 μg/kg/日, 150 μg/kg/日, 155 μg/kg/日, 160 μg/kg/日, 165 μg/kg/日, 170 μg/kg/日, 175 μg/kg/日, 180 μg/kg/日, 185 μg/kg/日, 190 μg/kg/日, 195 μg/kg/日, 200 μg/kg/日, 205 μg/kg/日, 210 μg/kg/日, 215 μg/kg/日, 220 μg/kg/日, 225 μg/kg/日, 230 μg/kg/日, 235 μg/kg/日, 240 μg/kg/日, 245 μg/kg/日, 250 μg/kg/日, 255 μg/kg/日, 260 μg/kg/日, 265 μg/kg/日, 270 μg/kg/日, 275 μg/kg/日, 280 μg/kg/日, 285 μg/kg/日, 290 μg/kg/日, 295 μg/kg/日, 300 μg/kg/日, 305 μg/kg/日, 310 μg/kg/日, 315 μg/kg/日, 320 μg/kg/日, 325 μg/kg/日, 330 μg/kg/日, 335 μg/kg/日, 340 μg/kg/日, 345 μg/kg/日, 350 μg/kg/日, 355 μg/kg/日, 360 μg/kg/日, 365 μg/kg/日, 370 μg/kg/日, 375 μg/kg/日, 380 μg/kg/日, 385 μg/kg/日, 390 μg/kg/日, 395 μg/kg/日, 400 μg/kg/日, 405 μg/kg/日, 410 μg/kg/日, 415 μg/kg/日, 420 μg/kg/日, 425 μg/kg/日, 430 μg/kg/日, 435 μg/kg/日, 440 μg/kg/日, 445 μg/kg/日, 450 μg/kg/日, 455 μg/kg/日, 460 μg/kg/日, 465 μg/kg/日, 470 μg/kg/日, 475 μg/kg/日, 480 μg/kg/日, 485 μg/kg/日, 490 μg/kg/日, 495 μg/kg/日, 又は500 μg/kg/日、の用量で、前記対象に投与する。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニスト(例えば、プレリキサホル又はその薬学的に許容可能な塩)を、約200 μg/kg/日から約300 μg/kg/日の用量で、例えば、約240μg/kg/日の用量で、前記対象に投与する。いくつかの実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストを、単回用量として投与することがある。他の実施形態では、前記CXCR4アンタゴニストを、2回以上の用量として、投与することがある。
【0181】
意図されるCXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを、1種以上の用量で、対象に投与することがある。例えば、CXCR2アゴニスト及び/又はCXCR4アンタゴニストを、単回の用量として、又は2、3、4、5、若しくはそれ以上の用量で、投与することがある。複数回の用量で投与する場合、2回目以降の用量を、最初の用量を投与した同じ日の内に、又は投与した、1日以上後に、1週以上後に、1ヶ月以上後に、若しくは1年以上後に、投与することがある。例えば、本出願に記載される意図されるCXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを、ヒト対象のような対象に、1日1回以上、1週1回以上、1月1回以上、又は1年1回以上、例えば、前記対象の年齢、体重、性別、対象の食事、及び対象の排泄速度などの因子に依存して、投与することがある。
【0182】
ある特定の実施形態では、意図されるCXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを、それぞれ、1日1回、単回用量で投与する。ある特定の実施形態では、意図されるCXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを、それぞれ、2日間連続して投与する。ある特定の実施形態では、意図されるCXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを、それぞれ、1日1回、単回用量で、2日間連続して投与する。ある特定の実施形態では、意図されるCXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを2日間連続して投与すると、CD34+細胞の収率が改善される。ある特定の実施形態では、意図されるCXCR2アゴニスト及びCXCR4アンタゴニストを2日間連続して投与すると、in vivo形質導入のために、十分な数のCD34+細胞が動員されることが可能となる、ここで、1日の投与では不十分である。ある特定の実施形態では、前記対象は、骨髄からの幹細胞の動員が不十分になる症状を有することがある。
【0183】
白血球増加症
ある特定の実施形態では、CXCR2アゴニスト及び任意選択的にCXCR4アンタゴニストを投与すると、白血球増加の変化が最小限になる(即ち、血液中の白血球細胞の数の変化が最小限になる)。ある特定の実施形態では、前記白血球細胞は、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球、又はそれらの組み合わせである。対照的に、G-CSF(好中球を動員するための、従来の療法の選択肢)は、白血球増加を増強し、これは、例えば、鎌状赤血球症を有する患者において、好中球などの白血球細胞が内皮に付着し、それによって、血管閉塞性危機などの重篤かつ生命を脅かす合併症のリスクが増加する点で、問題である。従って、ある特定の実施形態では、CXCR2アゴニスト及び任意選択的にCXCR4アンタゴニストを投与すると、CXCR2アゴニスト及び任意選択的にCXCR4アンタゴニストを投与した、例えば、約1時間後、3時間後、6時間後、9時間後、24時間後、又は48時間後で、血液1 ml当たり約30×1000個未満の白血球細胞、血液1 ml当たり約20×1000個未満の白血球細胞、血液1 ml当たり約10×1000個未満の白血球細胞、が存在するようになる。
【0184】
サイトカインのレベル
ある特定の実施形態では、CXCR2アゴニスト及び任意選択的にCXCR4アンタゴニストを投与すると、血液中のIL-6レベルの変化が最小限になる。対照的に、G-CSFは、血液中のサイトカインのレベルを高くし、これは、例えば、鎌状赤血球症を有する患者において、問題である。従って、ある特定の実施形態では、CXCR2アゴニスト及び任意選択的にCXCR4アンタゴニストを投与すると、CXCR2アゴニスト及び任意選択的にCXCR4アンタゴニストを投与した、例えば、約1時間後、3時間後、6時間後、9時間後、24時間後、又は48時間後で、血液1ml当たり約150 pg未満のIL-6、血液1ml当たり約100 pg未満のIL-6、又は血液1ml当たり約75 pg未満のIL-6、となる。ある特定の実施形態では、CXCR2アゴニスト及び任意選択的にCXCR4アンタゴニストを投与すると、CXCR2アゴニスト及び任意選択的にCXCR4アンタゴニストを投与する前の患者の血清IL-6レベルと比較して、患者の血清IL-6レベルの上昇が実質的にもたらされない。いくつかの実施形態では、CXCR2アゴニスト及び任意選択的にCXCR4アンタゴニストを投与すると、CXCR2アゴニスト及び任意選択的にCXCR4アンタゴニストを投与する前の患者の血清IL-6レベルと比較して、患者の血清IL-6レベルの、5%未満の上昇、10%未満の上昇、15%未満の上昇、20%未満の上昇、30%未満の上昇、又は50%未満の上昇、がもたらされる。
【0185】
本出願に記載される医薬組成物を、1回以上の用量で対象に投与することがある。複数回の用量で投与する場合、2回目以降の用量を、最初の用量を投与した、1日以上後に、1週以上後に、1ヶ月以上後に、又は1年以上後に、提供されることがある。例えば、本出願に記載される医薬組成物を、例えば、対象の年齢、体重、性別、治療する疾患の重症度、対象の食事、及び対象の排泄速度などの因子に応じて、1日1回以上、1週1回以上、1月1回以上、又は1年1回以上、本出願に記載される1種以上の疾患、症状、又は障害に罹患しているヒト対象などの対象に、投与することがある。
【実施例】
【0186】
以下の実施例は、本出願に記載される組成物及び方法がどのように使用され、作製され、評価され得るかの説明をするために、当業者に提示される、並びに純粋に例示的であることが意図される、及び本発明の範囲を限定することは意図されない。
【0187】
実施例1:in vivo形質導入及び選択後、Gro-β + プレリキサホルによる動員は、G-CSF + プレリキサホルと同等のin vivo形質導入を導く
本実施例は、造血幹細胞及び造血前駆細胞を、MGTA-145(Gro-βT) + プレリキサホルを使用して、動員することができること、及びin vivoで形質転換をすることができること、を実証する。
図1Aに示されるように、CD46-トランスジェニック・マウスに、GCSF + プレリキサホル(5日間)又はGro-β + プレリキサホル(同時に皮下投与)で動員を行って、次いで1時間後に、組み込ませるHDAd5/35
++mgmt/GFPベクター + HDAd-SBベクターを注射投与した(例えば、Li et al. (2018) Mol Ther Methods Clin Dev. 9:148-152)。両方の動員レジメンにおいて、デキサメタゾンもまた使用した。
【0188】
LSK (系統
-cKit
+Sca1
+)細胞の数を、MGTA-145注射投与後の様々な時点で、フロー・サイトメトリーによって測定した(
図1B)。一定量の血液をコロニー・アッセイ培地にプレーティングし、経時的に形成されるコロニーの数をスコア化することによって、アッセイを行った(
図1C)。示されるように、MGTA-145 + プレリキサホルにより動員を行うと、MGTA-145注射投与の約15分後に、動員のピークになった。
図2に示されるように、MGTA-145(図中「Gro-β」)+ プレリキサホル(図中「AMD3100」)により動員を行うと、G-CSF + プレリキサホル(図中「AMD3100」)により動員を行うよりも、動員された細胞は少なくなった。しかしながら、驚くべきことに、以下に詳述するように、MGTA-145 + プレリキサホルを用いて動員された細胞のin vivo形質導入は、GCSF + プレリキサホルを用いて動員された細胞のin vivo形質導入と同じくらい、効果的であった。
【0189】
血液サンプルをプレリキサホル後の様々な時点で収集し、ヘマベット分析(Hemavet analyses)に供した。
図3Aに示されるように、MGTA-145 + プレリキサホル群における白血球増加は、G-CSF + プレリキサホル群における白血球増加よりもはるかに低い。同様に、
図3Bは、MGTA-145 + プレリキサホルを使用すると、G-CSF + プレリキサホルを使用するよりも、薬物を最後に注射投与した1時間後で、単核細胞(MNC)がより少なく動員されることを示すグラフである。これらの観察より、MGTA-145 + プレリキサホルを用いた動員は、G-CSF + プレリキサホルを用いた動員と比較して、血液障害(例えば、鎌状赤血球貧血)を有する患者にとって、有益であること、が示唆される。
図3Cは、ブリリアント・クレシル・ブルー(Brilliant cresyl blue)によって検出された網状赤血球の割合を示す。
【0190】
図4のスキームに示すように、動員をして、HDAd5/35
++mgmt/GFPベクター+ HDAd-SBベクターを注射投与した後、4週間目に、6週間目に、8週間目及び10週間目に、O6-ベンジルグアニン(O
6BG)+ビスクロロエチルニトロソウレア(BCNU)のIPによって、4ラウンドの選択を行った。in vivo形質導入の12週間後にマウスをサクリファイスし(sacrificed)、二次レシピエント(recipient)(致死的に照射したC57Bl/6マウス)への移植のために、骨髄lin
-細胞を採取した。その二次移植マウスを、最終解析のために、16週まで追跡した。
【0191】
図5AからCで示すように、移植後の二次レシピエント(recipient)には、同レベルのGFP+細胞が存在した。
図5Aは、移植後、10週及び12週での、PBMC中の細胞のパーセンテージの増加を示す。
図5Bは、16週目での、血液の、脾臓の及び骨髄のMNCにおける、CD3-、CD19-及びGr-1-ポジティブ細胞でのGFP発現の割合を示す。骨髄サンプル中のLSK細胞も解析した。これらのデータは、血液中、脾臓中、骨髄中のGFP+細胞レベルは同程度であることを、示す。
図5Cは、形質導入の16週間後で、系統-ネガティブの細胞を骨髄から単離し、2500個の細胞を、メチルセルロース・アッセイのために、播種した、試験の成績を示す。プールしたコロニー細胞におけるGFP発現の割合を示す。以上を総合すると、これらの結果は、G-CSF + プレリキサホル又はMGTA-145 + プレリキサホルの何れを用いて細胞を動員したかに関わらず、同様のレベルで、in vivo形質導入が起こったこと、を示す。
【0192】
次に、生着を、PBMC中のヒトCD46
+細胞を検出するためのフロー・サイトメトリーによって、測定した。
図6Aに示されるように、G-CSF + プレリキサホル又はMGTA-145 + プレリキサホルの何れを用いて細胞を動員したかに関わらず、同様のレベルの生着が見られた。更に、
図6Bに示すように、移植後で16週目までの様々な時点で、PBMCSにおけるGFP発現をモニターしたところ、形質導入後に、導入した遺伝子が安定的に維持されていることが示された。
【0193】
二次移植後16週目の血液の、脾臓の及び骨髄のMNCにおける、細胞組成を測定し、
図7Aに示した。各ドットは、1匹の動物を表す。形質導入を行っていないナイーブな動物をコントロールとして使用した。更に、系統-ネガティブ(Lin
-)細胞を、16週目に、骨髄から単離した。2500個の細胞を、メチルセルロース・アッセイのために、播種した。コロニーの数を10日後に計数し、
図7Bに示した。これらのデータによれば、G-CSF + プレリキサホル又はMGTA-145 + プレリキサホルの何れを用いて細胞を動員したかに関わらず、複数の細胞系統において、生着が観察されること、が示される。
【0194】
動員及び形質導入に応答したサイトカイン・レベルを解析して評価した。形質導入の1時間後及び6時間後に、IL-6 ELISAのために、血清サンプルを採取した。
図8に示されるように、MGTA-145 + プレリキサホル(「MGTA-145」)による動員は、G-CSF + プレリキサホル(「G-CSF」)による動員と比較して、サイトカインの上昇の誘発が最小限であった。各ドットは、1匹の動物を表す。動員を行っていないマウス由来のサンプルを、コントロールとして使用した。*, p<0.05。
【0195】
同様の実験を、アカゲザルでも繰り返し、高いレベルのガンマ・グロビンの発現(これは、スリーピング・ビューティー・トランスポザーゼ(Sleeping Beauty Transposase)によって、HSPCに形質転換された)が実証された。
【0196】
更に、サラセミア及び鎌状赤血球症の動物モデルを評価する。Hbb
th3/CD46tgマウス(サラセミアの疾患モデル)を、MGTA-145 + プレリキサホルにより動員を行った。MGTA-145投与の15分後に、血液サンプルを収集した。LSK(系統
-cKit
+Sca1
+)細胞の数を、フロー・サイトメトリーによって測定し、
図9Aに示す。末梢血中に存在するコロニー-形成細胞の数を、
図9Bに示すように、メチルセルロース・アッセイによって、測定した。各ドットは、1匹の動物を表す。これらのデータは、サラセミアのマウス・モデルにおいて、MGTA-145 + プレリキサホルにより、HSCが効率的に動員され得ること、を示唆する。
【0197】
図10は、治療前のHbb
th3/CD46tg(サラセミア)及びHbb
tm2/CD46tg(タウンズ又は鎌状赤血球症の疾患モデル(Townes or sickle cell disease model))の表現型を示す。血液塗抹標本のギムザ/メイ-グリュンワルド染色(Giemsa/May-Grunwald staining)により、RBCの形態を測定した。網状赤血球の割合を、ブリリアント・クレシル・ブルー染色によって測定した。CD46マウス由来のサンプルを、「健常」コントロールとして使用した。
【0198】
実施例2:鎌状赤血球貧血の遺伝子治療のための造血幹細胞及び造血前駆細胞のin vivo形質導入
この実施例により、造血幹細胞及び造血前駆細胞を、Gro-β又はMGTA-145 + プレリキサホルを用いて動員し、ガンマ遺伝子を加えることが可能な、及びCas-CRISPR編集を介して内因性ガンマ・グロビンを再活性化することが可能な、HDAd5/35++mgmtベクターで、in vivoで、形質転換することができること、が実証される(例えば、Li et al. (2018) Blood 131(26):2915-2928 及び Richter et al. (2016) Blood 128:2206-2217、を参照されたい)。
【0199】
タウンズ(Townes)/CD46tgトランスジェニック・マウス(このマウスでは、マウス・グロビン遺伝子がヒト・グロビン遺伝子で置換されている(Ryan et al. (1997) Science 278(5339):873-876))に対して、GCSF + プレリキサホル(5日間)、又はGro-β + プレリキサホル(2.5 mg/kgのGro-β又はMGTA-145及び5 mg/kgのプレリキサホルを同時に皮下投与)で動員を行って、1時間後に、組み込ませるHDAd5/35++ mgmtベクターを、注射投与(iv)した。1つのコホートの動物(半数)に、形質導入がなされたHSC/前駆体を、in vivo選択するために、O6BG/BCNU処置を施した。具体的には、O6BG/BCNU処置を、ベクターを注射投与した後4週間目に開始して、2週間離して、3サイクル、行う。in vivoで形質導入した動物を、18週間、追跡する。この間、血液サンプルを、γ-、βδ -グロビン発現(HPLC、qRT-PCR)、ターゲット部位切断(T7E1Aアッセイ)、及び表現型の修正(血液学、網状赤血球、RBC形態)、について解析をする。18週目では、骨髄、脾臓、及び肝臓も解析する。脾臓細胞を用いて、ゲノム編集酵素(iCas、SB100x、Flpe)に対するT-細胞応答を解析する。
【0200】
マウスをサクリファイスし(sacrificed)、血液/組織を、表現型の修正について解析する。骨髄のlin- 細胞を、致死的に照射した二次レシピエント(recipient)に移植し、その後、16週間、追跡する。この時期の終わりにおいて、処置前のサンプルと比較して、全ゲノム・シークエンシング及びRNA/miRNA-Seqに基づいて(トランスクリプトーム変化を評価する)、長期の遺伝毒性作用を評価する。
【0201】
GCSFは、鎌状赤血球貧血の患者において、合併症を引き起こす可能性があるため、Gro-β又はMGTA-145 + プレリキサホルを用いた動員は、より安全であると考えられる。更に、Gro-β又はMGTA-145 + プレリキサホルを用いた動員によって、より初期段階のHSCが動員されると考えられる。
【0202】
その他の実施形態
本出願において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各独立した刊行物又は特許出願が具体的かつ個別に示され、参照により取り込まれたかのように、同じ程度まで、本出願に参照により取り込まれる。
【0203】
本発明を、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、更なる改変をすることが可能であることを、並びに、本出願は、一般に、本発明の原理に従う本発明の任意の改変、使用、又は適応を、並びに、本発明が関係する技術内の既知の又は慣習的な実務内に入る本発明からの逸脱を、及び本出願に記載され、特許請求の範囲に従う本質的な特徴に適用され得る本発明からの逸脱を、含む本発明の任意の改変、使用、又は適応を、包含することが意図されていることを、理解されるであろう。
【0204】
他の実施形態は、本願の特許請求の範囲の範囲内である。
【配列表】
【国際調査報告】