IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イリカ テクノロジーズ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(54)【発明の名称】電気化学セルの接続方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/547 20210101AFI20230526BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20230526BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20230526BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20230526BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20230526BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20230526BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20230526BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20230526BHJP
【FI】
H01M50/547 201
H01M50/562
H01M50/531
H01M10/0585
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/55
H01M10/0562
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022565935
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 GB2021051016
(87)【国際公開番号】W WO2021219991
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】2006391.3
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515189520
【氏名又は名称】イリカ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100213333
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿山 昌代
(72)【発明者】
【氏名】サラ アグダエイ
(72)【発明者】
【氏名】アリ キアット
(72)【発明者】
【氏名】トーマス リスブリッジャー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フォーリー
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゴ ユンギウス
(72)【発明者】
【氏名】ルイーズ ターナー
【テーマコード(参考)】
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H029AJ14
5H029AK00
5H029AL12
5H029AM11
5H029CJ01
5H029CJ21
5H029HJ04
5H029HJ07
5H043BA19
5H043GA22
5H043GA26
5H043HA24E
5H043JA02E
5H043JA21
5H043KA22E
5H043KA29
5H043LA11
5H043LA23E
(57)【要約】
第1の電極層と、電解質層と、第2の電極層と、集電体層と、保護カバーと、をこの順に備える電気化学セルであって、保護カバーは、電気絶縁材料を含み、セルは、外部装置へのセルの接続を可能にするように構成された導電性の接触パッドと、電気絶縁材料によって周囲が囲まれている露出面と、をさらに含む。導電性の接触パッドは、集電体層に対向する保護カバーの外側に設けられた接触パッドであり、導電経路は、接触パッドと集電体層との間に設けられ、保護カバーを通って延在し、接続部位で集電体層の面に接触する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極層と、電解質層と、第2の電極層と、集電体層と、保護カバーと、をこの順に備える電気化学セルであって、
前記保護カバーは、電気絶縁材料を含み、
前記セルは、
外部装置への前記セルの接続を可能にするように構成された導電性の接触パッドと、
前記電気絶縁材料によって周囲が囲まれている露出面と、
をさらに含み、
前記導電性の接触パッドは、
前記集電体層に対向する前記保護カバーの外側に設けられた接触パッドであり、
導電経路は、
前記接触パッドと前記集電体層との間に設けられ、前記保護カバーを通って延在し、接続部位で前記集電体層の面に接触する、
セル。
【請求項2】
前記導電経路の少なくとも一部は、前記集電体層の前記面に対して、垂直でない方向に延在する、
請求項1に記載のセル。
【請求項3】
前記導電経路の少なくとも一部は、前記集電体層の前記面に対して、80°以下の角度で配向する、
請求項2に記載のセル。
【請求項4】
前記接触パッドは、前記接続部位から前記集電体層の横方向にずれる、
請求項2または3に記載のセル。
【請求項5】
前記導電経路は、前記接続部位と前記接触パッドとの間で、間接的な経路をたどる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のセル。
【請求項6】
前記導電経路は、前記接続部位と前記接触パッドとの間で、80°から100°までの範囲の角度で方向を変える、
請求項5に記載のセル。
【請求項7】
前記導電経路は、前記接続部位と前記接触パッドとの間で、ジグザグ経路をたどる、
請求項5または6に記載のセル。
【請求項8】
前記導電経路および前記接触パッドは、一体的に形成される、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のセル。
【請求項9】
前記導電経路および前記接触パッドの少なくとも1つは、アルミニウム、プラチナ、モリブデン、銅、ニッケル、金、ステンレス鋼、および窒化チタンからなる群から選択される1つの材料を含む、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のセル。
【請求項10】
前記導電経路は、20nmから2000nmまでの範囲の厚さを有する、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のセル。
【請求項11】
前記接触パッドは、前記セルのフットプリント内に配置され、
前記セルの前記フットプリントは、前記電解質層の周囲によって境界付けられている、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のセル。
【請求項12】
前記接続部位は、前記第1の電極層から、前記第1の電極層の横方向にずれる、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のセル。
【請求項13】
前記第1の電極層は、カソードである、
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のセル。
【請求項14】
前記セルは、前記第1の電極層と電気的に接続される接触パッドをさらに含み、
前記接触パッドと前記さらなる接触パッドとの間に直接延在する仮想線は、前記第1の電極層、前記電解質層、前記第2の電極層、および前記集電体層のうちの少なくとも1つを通過する、
請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のセル。
【請求項15】
前記保護カバーは、複数の第1の層と複数の第2の層とを含み、
前記第1の層は、それぞれポリマー材料によって構成され、
前記第2の層は、それぞれ金属およびセラミック材料のうちの1つによって構成され、
前記第1の層および前記第2の層は、積層構造で配置され、前記第1の層および前記第2の層が交互になるように構成される、
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のセル。
【請求項16】
前記第2の層の少なくとも1つは、導電性材料によって構成され、
前記導電経路の一部は、前記第2の層に沿って延在する、
請求項15に記載のセル。
【請求項17】
前記第1の層の少なくとも1つは、ポリ(p-キシリレン)ポリマーを含む、
請求項15または16に記載のセル。
【請求項18】
前記第1の層の少なくとも1つは、フォトレジスト材料、例えば、エポキシ樹脂を含むフォトレジスト材料を含む、
請求項15から請求項17のいずれか一項に記載のセル。
【請求項19】
前記保護カバーは、前記集電体層に直接隣接する電気絶縁性のパッシベーション層を含む、
請求項1から請求項18のいずれか一項に記載のセル。
【請求項20】
少なくとも1つのさらなる導電経路は、前記接触パッドと前記接続部位との間に設けられる、
請求項1から請求項19のいずれか一項に記載のセル。
【請求項21】
前記セルは、複数の導電経路を含み、
それぞれの導電経路は、前記導電経路が前記集電体層に接触するそれぞれの接続部位に関連付けられ、
それぞれの導電経路は、前記保護カバーを通って延在し、前記集電体層とは反対の前記保護カバーの側に設けられる1つまたは複数の接触パッドの1つに到達する、
請求項1から請求項20のいずれか一項に記載のセル。
【請求項22】
前記セルは、前記集電体層とは反対の前記保護カバーの側に設けられる複数の接触パッドを含み、
前記複数の接触パッドのそれぞれは、前記それぞれの接触パッドと前記集電体層との間に延在するそれぞれの導電経路に関連付けられている、
請求項1から請求項21のいずれか一項に記載のセル。
【請求項23】
前記セルの前記フットプリントは、500mm2未満である、
請求項1から請求項22のいずれか一項に記載のセル。
【請求項24】
前記電気化学セルは、固体電気化学セルである、
請求項1から請求項23のいずれか一項に記載のセル。
【請求項25】
前記電気化学セルは、リチウムイオンセルである、
請求項1から請求項24のいずれか一項に記載のセル。
【請求項26】
請求項1から請求項25のいずれか一項に記載の電気化学セルに用いられる前駆体であって、
前記前駆体は、カソード層、電解質層、集電体層、および保護カバーを含む複数の層のスタックを備え、
前記保護カバーは、前記集電体層の第1の側に配置され、
前記カソード層および前記電解質層は、前記集電体層の第2の側に配置され、
前記保護カバーは、電気絶縁材料を含み、
前記セルは、
外部装置への前記セルの接続を可能にするように構成された導電性の接触パッドと、
前記電気絶縁材料によって周囲が囲まれている露出面と、
をさらに含み、
前記導電性の接触パッドは、
前記集電体層に対向する前記保護カバーの外側に設けられた接触パッドであり、
導電経路は、
前記接触パッドと前記集電体層との間に設けられ、前記保護カバーを通って延在し、接続部位で前記集電体層の面に接触する、
前駆体。
【請求項27】
請求項1から請求項26のいずれか一項に記載の電気化学セルを製造する方法であって、
カソード層、電解質層、集電体層、および第1の電気絶縁層を少なくとも含む複数の層のスタックであり、前記第1の電気絶縁層が前記集電体層の第1の側に配置され、前記カソード層および前記電解質層が前記集電体層の第2の側に配置されるスタックを設けるステップと、
前記集電体層の面の一部が露出するように、前記第1の電気絶縁層を貫通する開口部を設けるステップと、
前記集電体層の露出面と、前記集電体層に対向する前記第1の電気絶縁層の面との間に導電経路が形成されるように、前記集電体層の前記露出面および前記第1の電気絶縁層の少なくとも一部の上に導電性材料を堆積さセルステップと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記第1の電気絶縁層を貫通する開口部を設けるステップは、前記第1の電気絶縁層をエッチングするステップを含む、
請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の電気絶縁層は、フォトレジスト材料を含み、
前記第1の電気絶縁層をエッチングするステップは、前記第1の電気絶縁層の前記面の一部の中で化学変化を引き起こす入射光により、前記第1の電気絶縁層の前記面における少なくとも一部を露出さセルステップを含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記導電経路を形成するステップの後、
前記第1の電気絶縁層の上に第2の電気絶縁層を堆積させ、
前記第2の電気絶縁層を貫通する開口部が、前記第2の電気絶縁層の横方向において、前記第1の電気絶縁層を貫通する開口部からずれることで、前記導電経路の一部を露出さセルように、前記第2の電気絶縁層を貫通する開口部を形成するステップをさらに含む、
請求項27から請求項29のいずれか一項に記載のセル。




【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルを外部装置に接続するための手段、および該手段の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜の電気化学セルは、通常、基板上に支持され、基板に近い第1の電極層、電解質層、第2の電極層、および基板から離れた集電体層が、この順に配置された複数の層のスタックを含む。複数の層のスタックは、一般的に、湿気および/または酸素などのような大気成分から、該複数の層のスタックを保護するのに役立つカプセル化層によって覆われている。
【0003】
他の層は、電気化学セルに存在していてもよい。例えば、電気絶縁性のパッシベーション層は、集電体層とカプセル化層との間に設けられいてもよく、および/または、さらなる集電体層は、基板と第1の電極層との間に設けられていてもよい。
【0004】
ある場合、電気化学セルは、固体電気化学セルであり、すなわち、電解質層は、固体電解質によって構成される。他の場合、電解質層は、液体電解質またはポリマー電解質を含浸させた多孔性セパレータを含んでよい。
【0005】
ある場合、電気化学セルは、二次セルとしても知られる再充電可能なセルであってもよい。このような場合、電気化学セルは、リチウムイオンセルであってよく、そして、第1の電極層、第2の電極層、および電解質層のうちの少なくとも1つが、リチウム含有化合物によって構成され、電気化学セルの充電および放電のプロセスには、2つの電極間でのリチウムイオンの移動を含んでよい。
【0006】
電気化学セルがリチウムイオンセルである場合、第1の電極層および第2の電極層の一方は、リチウム層によって構成されてよく、第1の電極層および第2の電極層の一方は、電気化学セルの初期充電サイクル中に最初に形成されてよい。
【0007】
電気化学セルを外部装置に接続するために、第1の電極層と該外部装置との間の電気的接続、および第2の電極層と該外部装置との間のさらなる電気的接続を構成することが必要である。
【0008】
基板と第1の電極層との間にさらなる集電体層が存在する場合、さらなる集電体層は、カプセル化層によって覆われないままの部分を有してよく、さらなる集電体層を外部装置に接続することを可能にするための接触パッドが設けられていてよい。他の場合、基板は導電性であってよく、これにより、基板を介して第1の電極層と外部装置との間の電気的接続を構成することが可能となる。
【0009】
一般的に、基板から離れた集電体層は、カプセル化層によって覆われていない領域を有し、該集電体層を外部装置に接続することで、電気化学セルおよび装置を含む電気回路を完成させることができる。
【0010】
外部装置と基板から離れた集電体層との間に、確実な接続が形成されるように電気化学セルを構成することが好ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ある場合、カプセル化層の外面上に導電性トラック層を設けることが試みられており、このようなトラック層は、基板と基板に対して遠位にある集電体層の覆われていない部分との間に導電経路を提供する役割を果たす。このような場合、トラック層は、基板に対して遠位にある集電体層と外部装置との間に電気的接続を提供できるように、基板上にさらなる接触パッドを構成することが可能である。しかしながら、このようなトラック層は、電気化学セルの動作中における荷電種(リチウムイオンのような)の移動の結果として生じる第1の電極層および/または第2の電極層の厚さの変化に耐えるのに十分な機械的堅牢性を備えていなくてもよいと考えられている。電気化学セルが二次セルである場合、電気化学セルが交互に充電および放電されるとき、第1の電極層および/または第2の電極層は、膨張および収縮の複数のサイクルを受けてよい。
【0012】
集電体層の露出部分への導電要素のワイヤボンディングなどのように、基板から離れた集電体層と外部装置との間の必要な電気的接続を行う他の技術が試みられている。しかしながら、このような場合、反応生成物は、電気化学セルの動作中に集電体層の露出面に形成されてよいと考えられている。これらの反応生成物は、ワイヤと集電体層との間の結合を妨げ、電気化学セルを数サイクル使用しただけで電気的接続が失われる可能性があることが知られている。これらの反応生成物の形成は、第1の電極層、第2の電極層および/または電解質層から、基板に対して遠位にある集電体層の露出面に向かう種の拡散によるものであると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一態様において、本発明に係るセルは、第1の電極層と、電解質層と、第2の電極層と、集電体層と、保護カバーと、をこの順に備える電気化学セルであって、前記保護カバーは、電気絶縁材料を含み、前記セルは、外部装置への前記セルの接続を可能にするように構成された導電性の接触パッドと、前記電気絶縁材料によって周囲が囲まれている露出面と、をさらに含み、前記導電性の接触パッドは、前記集電体層に対向する前記保護カバーの外側に設けられた接触パッドであり、導電経路は、前記接触パッドと前記集電体層との間に設けられ、前記保護カバーを通って延在し、接続部位で前記集電体層の面に接触する。
【0014】
ある場合、接触パッドは、導電性要素のワイヤボンディングが、集電体層の外部装置への電気的接続を提供することを可能にするように構成される。しかしながら、他の場合、接触パッドは、リフローはんだ付け、あるいは導電性エポキシまたは導電性インクの提供などの他の手段によって提供される外部装置への電気的接続を可能にするように構成されてよい。
【0015】
集電体層から離れた接触パッドを提供することによって、第1電極層、第2電極層および/または電解質層から接触パッドへの種の拡散の程度が減少し得ると考えられる。これは、接触パッドでの反応生成物の形成を防ぐのに役立つと考えられており、そして、電気化学セルを外部装置に接続するために必要な結合を遅らせると考えられている。
【0016】
通常、導電経路の少なくとも一部は、集電体層の面に対して、垂直はない方向に延在する。
【0017】
一般的に、導電経路の少なくとも一部は、集電体層の面に対して、80°以下の角度で配向する。ある場合、導電経路の少なくとも一部は、集電体層の面に対して、50°以下の角度で配向する。ある場合、場合によっては、導電経路の少なくとも一部は、集電体層の面と位置合わせされる。
【0018】
通常、接触パッドは、接続部位から集電体層の横方向にずれる。
【0019】
一般的に、導電経路は、接続部位と接触パッドの間で、間接的な経路をたどる。例えば、導電経路は、接続部位と接触パッドとの間で、80°から100°までの範囲の角度で方向を変えてよい。
【0020】
通常、導電経路は、接続部位と接触パッドとの間で、曲がりくねった経路をたどる。例えば、導電経路は、接続部位と接触パッドとの間で、ジグザグ経路をたどってよい。
【0021】
接触パッドの露出面は、例えば、円形、楕円形、多角形(例えば、正方形、長方形、または六角形)、または任意の他の二次元形状であってよい。
【0022】
通常、導電経路および接触パッドは、一体的に形成される。ただし、常に、一体的に形成されるとは限らない。
【0023】
ある場合、導電経路および接触パッドのうちの少なくとも1つは、窒化アルミニウムおよび窒化チタンからなる群から選択される1つの材料を含む。ある場合、導電経路および接触パッドの一方または両方が、集電体層と同じ材料、例えば、白金、ニッケル、モリブデン、銅、窒化チタン、アルミニウム、金、およびステンレス鋼からなる群から選択される1つの材料によって構成されてよい。
【0024】
通常、導電経路は、20nmから2000nmまでの範囲の厚さを有し、ここで、厚さは、導電経路の面に対して横方向に測定され、導電経路の面は、事実上、接触パッドの露出面と連続している。
【0025】
一般的に、保護カバーは、複数の層を含む。これにより、水分および/または酸素などの大気成分が電気化学セルの活性層に侵入するのを妨げられると考えられている。さらに、複数の層は、第1の電極層、第2の電極層および/または電解質層から接触パッドへの種の拡散を妨げるのを助け得る。
【0026】
通常、保護カバーは、複数の第1の層と複数の第2の層とを含み、第1の層は、それぞれポリマー材料によって構成され、第2の層は、それぞれ金属およびセラミック材料のうちの1つによって構成され、第1の層および第2の層は、積層構造で配置され、第1の層と第2の層とが交互になるように構成される。
【0027】
通常、第1の層の少なくとも1つは、1μmから10μmまでの範囲、例えば、3μmから7μmまでの範囲の厚さを有する。通常、第2の層の少なくとも1つは、20nmから2000nmまでの範囲、例えば、100nmから500nmまでの範囲の厚さを有する。
【0028】
第2の層の少なくとも1つが導電性材料によって構成される場合、導電経路の一部は、その層に沿って延在してよい。
【0029】
第2層の少なくとも1つが導電性材料によって構成される他の場合、導電経路は、その層から電気的に絶縁されてよい。
【0030】
ある場合、第1の層の少なくとも1つは、パリレン(登録商標)などのポリ(p-キシリレン)ポリマーを含んでよい。
【0031】
他の場合、第1の層の少なくとも1つは、フォトレジスト材料、例えば、エポキシ樹脂を含むフォトレジスト材料を含む。これは、層の特定の一部の中で化学変化を引き起こす光のパターンに、層をさらすことにより、適用された光のパターンに応じて、層の選択的除去を提供する溶剤の適用に続いて、層を直接パターン化することを可能にする。
【0032】
ある場合、第2の層の少なくとも1つは、窒化アルミニウムおよび窒化チタンを含む群から選択される1つの材料を含む。窒化チタンは、リチウム種に対する効果的な拡散バリアを提供すると考えられているため、電気化学セルがリチウムイオンセルである場合、活性セル層(例えば、第1の電極層、第2の電極層および/または電解質層)から接触パッドへのそのような種の移動を妨げるのに、特に有益であってよい。ある場合、保護カバーの第2の層および集電体層は、同じ材料、例えば、白金、ニッケル、モリブデン、銅、窒化チタン、アルミニウム、金、およびステンレス鋼からなる群から選択される1つの材料によって構成されてよい。
【0033】
ある場合、保護カバーは、集電体層に直接隣接するパッシベーション層を含んでよい。パッシベーション層は、セラミック、無機酸化物、および複合無機酸化物を含む群から選択され得る1つの電気絶縁材料によって構成される。例えば、パッシベーション層は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、および窒化アルミニウムからなる群から選択されてよい。通常、パッシベーション層の厚さは、100nmから5μmまでの範囲の厚さである。
【0034】
通常、基板は、電解質層から離れた第1の電極層の側に設けられる。ある場合、基板と第1の電極層との間にさらなる集電体層が設けられる。
【0035】
ある場合、接触パッドと接続部位との間に少なくとも1つのさらなる導電経路が設けられる。
【0036】
ある場合、電気化学セルは、複数の導電経路を含み、それぞれの導電経路は、該導電経路が集電体層に接触するそれぞれの接続部位に関連付けられ、それぞれの経路は、保護カバーを通って延在し、集電体層とは反対の保護カバー側に設けられる1つまたは複数の接触パッドの1つに到達する。
【0037】
ある場合、電気化学セルは、集電体層とは反対の保護カバー側に設けられる複数の接触パッドを含み、複数の接触パッドの各々は、それぞれの接触パッドと集電体層との間に延在するそれぞれの導電経路に関連付けられている。
【0038】
これらの構成は、電気化学セル内に冗長性を提供するので、単一の導電経路に障害が発生した場合でも、電気化学セルは、外部装置と電気的に接続し得る。導電経路は、典型的には、20nmから2000nmまでの範囲の厚さを有し、該導電経路の障害は、例えば、下に存在する面において、端または角などのような方向が変わる場所で生じ得るため、これは特に有益である。
【0039】
保護カバーの外側に接触パッドを提供することによって、接触パッドは、電気化学セルを提供する複数の層のスタックの全体のフットプリント内に配置されてよい。このような場合、電気化学セルの全体的なフットプリントは、接触パッドの存在によって増加しない。
【0040】
通常、電解質層の片面の面積として定義されるセルのフットプリントは、500mm未満、場合によっては、400mm未満、場合によっては、300mm未満、場合によっては、200mm未満である。したがって、事実上、セルのフットプリントは、電解質層の周囲によって境界付けられている。さらに別の場合、セルのフットプリントは、100mm未満、例えば、50mm未満であってよい。
【0041】
第1の電極層および第2の電極層の一方は、電気化学セルのカソードを構成し、第1および第2の電極層の他方は、電気化学セルのアノードを構成する。
【0042】
カソードは、通常、5μmから40μmまでの範囲の厚さを有する。
【0043】
アノードは、通常、500nmから5μmまでの範囲の厚さを有する。
【0044】
通常、電解質層は、1μmから5μmまでの範囲の厚さを有する。ある場合、電解質層は、2μmから4μmまでの範囲の厚さを有する。
【0045】
通常、集電体層は、100nmから500nmまでの範囲の厚さを有する。ある場合、集電体層は、200nmから400nmまでの範囲の厚さを有する。
【0046】
一般的に、第1の電極層および電解質そうの少なくとも1つは、リチウム含有化合物によって構成される。
【0047】
一般的に、電気化学セルは、第1の電極層と電気的に接続される接触パッドをさらに含み、接触パッドとさらなる接触パッドとの間に直接延在する仮想線は、第1の電極層、電解質層、第2の電極層、および集電体層のうちの少なくとも1つを通過する。通常、さらなる接触パッドは、さらなる集電体の露出部分であり、さらなる集電体層は、第1の電極層と直接接触している。
【0048】
誤解を避けるために、第1の電極層、電解質層、第2の電極層、集電体層、および保護カバーは、必ずしも同延であるとは限らない。例えば、一実施形態では、第1の電極層の周囲は集電体層の周囲と一致しなくてもよい。このような場合、例えば、接続部位は、第1の電極層の周囲の外側に位置してよい、すなわち、接続部位は、第1の電極層の上に重ならない。事実上、接続部位は、第1の電極層から、第1の電極層の横方向にずれる。これは、特に、第1の電極層がリチウム含有電極層、例えば、リチウム含有カソードである場合、第1の電極層から接続部位への有害種の移動を低減するのに役立ち得る。
【0049】
対照的に、接触パッドは、通常、第1の電極層の周囲内に存在する。
【0050】
複数の層は、必ずしも同延であるとは限らないので、特定の層、例えば、集電体層は完全に平面でなくてよい。誤解を避けるために、集電体層の面への言及は、導電経路の相対的な向きおよび集電体層の面を定義する文脈において、接続部位における集電体層の部分に関連する。
【0051】
ある場合、電気化学セルは、固体電気化学セルである。ある場合、電気化学セルは、二次セルである。
【0052】
本発明の第一態様に係る電気化学セルの一実施形態において、アノードは、電気化学セルの初期充電中にその場で形成される。
【0053】
したがって、第二態様において、本発明は、本発明の第一態様に係る電気化学セルに用いられる前駆体を提供することができ、前記前駆体は、カソード層、電解質層、集電体層、および保護カバーを含む複数の層のスタックを備え、前記保護カバーは、前記集電体層の第1の側に配置され、前記カソード層および前記電解質層は、前記集電体層の第2の側に配置され、前記保護カバーは、電気絶縁材料を含み、前記セルは、外部装置への前記セルの接続を可能にするように構成された導電性の接触パッドと、前記電気絶縁材料によって周囲が囲まれている露出面と、をさらに含み、前記導電性の接触パッドは、前記集電体層に対向する前記保護カバーの外側に設けられた接触パッドであり、導電経路は、前記接触パッドと前記集電体層との間に設けられ、前記保護カバーを通って延在し、接続部位で前記集電体層の面に接触する。
【0054】
カソードは、電解質層と集電体層との間に配置されてよい。あるいは、カソードは、集電体層とは反対の電解質層の側に配置されてよい。
【0055】
通常、前駆体の初期充電により、カソード層とは反対の電解質層の側にリチウムアノード層が形成される。
【0056】
本発明の第二態様に係る前駆体は、本発明の第一態様に係る電気化学セルの任意の特徴の1つまたは複数を、単独でまたは組み合わせて有してよい。
【0057】
第三態様において、本発明は、本発明の第一態様に係る電気化学セルを製造する方法を提供することができ、以下のステップを含む。カソード層、電解質層、集電体層、および第1の電気絶縁層を少なくとも含む複数の層のスタックであり、前記第1の電気絶縁層が前記集電体層の第1の側に配置され、前記カソード層および前記電解質層が前記集電体層の第2の側に配置されるスタックを設けるステップと、前記集電体層の面の一部が露出するように、前記第1の電気絶縁層を貫通する開口部を設けるステップと、前記集電体層の露出面と、前記集電体層に対向する前記第1の電気絶縁層の面との間に導電経路が形成されるように、前記集電体層の前記露出面および前記第1の電気絶縁層の少なくとも一部の上に導電性材料を堆積させるステップと、を含む。
【0058】
一般的に、集電体層と第1の電気絶縁層との間にパッシベーション層が設けられ、パッシベーション層には、第1の電気絶縁層を貫通する開口部が設けられ、第1の電気絶縁層を貫通する開口部を設けるステップは、第1の電気絶縁層の開口部をパッシベーション層の開口部と位置合わせするステップを含む。
【0059】
パッシベーション層は、セラミック、無機酸化物、および複合無機酸化物を含む群から選択され得る1つの電気絶縁材料によって設けられる。通常、パッシベーション層は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つのセラミック材料によって設けられる。
【0060】
特定の場合、第1の電気絶縁層は、次のようなパッシベーション層に対応し、パッシベーション層は、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化タングステン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される1つのセラミック材料によって設けられる。
【0061】
一般的に、第1の電気絶縁層を貫通する開口部を設けるステップは、例えば、フォトリソグラフィプロセスによって第1の電気絶縁層を選択的にエッチングするステップを含む。
【0062】
ある場合、フォトリソグラフィプロセスは、例えば、スピンコーティングによって、フォトレジスト材料を、第1の電気絶縁層上に堆積させるステップを含む。他の場合、フォトレジスト材料を堆積するステップの前に、金属層は、フォトレジスト材料と第1の電気絶縁層との間に位置するように、第1の電気絶縁層上に堆積されてもよい。このような場合、フォトレジスト材料は、フォトリソグラフィプロセスによって金属層をパターン化するために使用されてよく、パターン化された金属層は、その後、エッチングプロセスにおいて、第1の電気絶縁層に開口部を設けるために、マスクとして機能してよい。
【0063】
さらなる場合、第1の電気絶縁層は、フォトレジスト材料を含み、第1の電気絶縁層を選択的にエッチングするステップは、第1の電気絶縁層の面の一部の中で化学変化を引き起こす入射光により、第1の電気絶縁層の面における少なくとも一部を露出させるステップを含んでよい。
【0064】
通常、本発明の第三態様に係る方法は、導電経路を形成するステップの後、第1の電気絶縁層の上に第2の電気絶縁層を堆積させ、導電経路の一部を露出させるように、第2の電気絶縁層の開口部を形成するステップをさらに含む。このような場合、第2の電気絶縁層の開口部は、第2の電気絶縁層の横方向において、第1の電気絶縁層の開口部からずれる。
【0065】
通常、第1の電気絶縁層および第2の電気絶縁層は、それぞれポリマー材料によって構成される。ある場合、第1の電気絶縁層および/または第2の電気絶縁層は、パリレン(登録商標)などのポリ(p-キシリレン)ポリマーを含んでよい。他の場合、第1の電気絶縁層および/または第2の電気絶縁層は、フォトレジスト材料、例えば、エポキシ樹脂を含むフォトレジスト材料を含む。
【0066】
通常、第1の電気絶縁層および第2の電気絶縁層は、それぞれ、1μmから10μmまでの範囲の厚さ、例えば、3μmから7μmまでの範囲の厚さで堆積する。
【0067】
通常、導電性材料は、20nmから2000nmまでの範囲の厚さ、例えば、100nmから500nmまでの範囲の厚さで堆積する。ある場合、導電性材料は、アルミニウムである。導電性材料は、スパッタリングなどの物理気相成長プロセスによって堆積してよい。導電性材料は、2000nm以下の厚さに堆積することが好ましい。これにより、材料を層として(例えば、気相成長プロセスによって)堆積させることができ、続いて、導電経路を設けるために、成形(例えば、エッチングによって)することが可能となるからである。導電性材料は、厚さが2000nmを超えると、材料の不要な部分を完全に除去することが難しくなり、電気化学セルにおける異なる部分の間で短絡が発生する危険性がある。
【0068】
ある場合、複数の層のスタックは、アノード層を含む。しかしながら、他の場合、アノード層は、電気化学セルの初期充電中に形成されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
ここで、以下の図を参照して、本発明の一例について説明する。
図1a】第1の比較例に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図1b】第1の比較例に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図2】第2の比較例に係るセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図3a】本発明の第一態様の第一実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図3b】本発明の第一態様の第一実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図3c】本発明の第一態様の第一実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図3d】本発明の第一態様の第一実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図3e】本発明の第一態様の第一実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図3f】本発明の第一態様の第一実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図4a】本発明の第一態様の第二実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図4b】本発明の第一態様の第二実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図4c】本発明の第一態様の第二実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図4d】本発明の第一態様の第二実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図4e】本発明の第一態様の第二実施形態に係るセルの製造工程の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図5a】本発明の第一態様の第三実施形態に係るセルを提供するために、図1aおよび1bを参照して示された方法に従って製造されたセルを適合させる方法の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図5b】本発明の第一態様の第三実施形態に係るセルを提供するために、図1aおよび1bを参照して示された方法に従って製造されたセルを適合させる方法の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図5c】本発明の第一態様の第三実施形態に係るセルを提供するために、図1aおよび1bを参照して示された方法に従って製造されたセルを適合させる方法の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図5d】本発明の第一態様の第三実施形態に係るセルを提供するために、図1aおよび1bを参照して示された方法に従って製造されたセルを適合させる方法の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図5e】本発明の第一態様の第三実施形態に係るセルを提供するために、図1aおよび1bを参照して示された方法に従って製造されたセルを適合させる方法の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図5f】本発明の第一態様の第三実施形態に係るセルを提供するために、図1aおよび1bを参照して示された方法に従って製造されたセルを適合させる方法の様々な段階において組み立てられたセルの概略構成の一例を示す断面図である。
図6】本発明の第一態様の第四実施形態に係る第1の電気化学セルおよび第2の電気化学セルにおけるサイクル数と放電容量との関係を示すグラフであり、第1の電気化学セルは空気中で試験され、第2の電気化学セルはアルゴン雰囲気中で試験されたグラフである。
図7a】本発明の第一態様の第五実施形態に係るセルの一部の概略構成の一例を示す平面図である。簡単のため、下に存在する構成要素が見えるように、セルのそれぞれの構成要素は透明に示されている。
図7b図7aにおける線A-Aに沿ったセルの概略構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1aを参照すると、本発明の比較例に係るセルの製造の第1段階において、集電体層12および保護カバー102を含むセルの構成要素のアセンブリが提供される。
【0071】
保護カバー102は、集電体層12に直接隣接する電気絶縁性セラミックのパッシベーション層14と、金属層106、110、114と交互に配置されたポリマー層104、108、112と、を含む。
【0072】
開口部116は、パッシベーション層14に設けられる。パッシベーション層14に直接隣接するポリマー層104は、パッシベーション層14の開口部116を通って延在し、集電体層12に接触する。
【0073】
集電体層12は、白金、ニッケル、モリブデン、銅、窒化チタン、アルミニウム、金、およびステンレス鋼からなる群から選択される1つの材料によって形成されてよい。集電体層12の第2の面(すなわち、パッシベーション層14とは反対側の面)は、それらの間に電解質層8を有する第1の電極層6および第2の電極層10を含むコア電池スタックに接触する。
【0074】
図1bを参照すると、本発明の比較例に係るセルの製造の第2段階において、集電体層12の一部を露出させるように、パッシベーション層14の開口部116の上に存在する保護カバー102の一部における厚さ方向の部分は、除去される。
【0075】
図1bに示される構成では、除去される厚さ方向の部分は、開口部116よりも広い領域をカバーするので、パッシベーション層14の一部が露出される。しかし、他の構成では、除去される厚さ方向の部分は、パッシベーション層の開口部よりも狭い領域をカバーするので、集電体層12の露出部分は、開口部内にあり、開口部の壁がポリマー層によって被覆されたままである。
【0076】
集電体層12の露出部分は、外部装置へのセルの接続を可能にする接触パッドを提供してよい。通常、ワイヤを接触パッドにボンディングすることが必要である。
【0077】
しかしながら、この構成に従って配置された接触パッドを有する電気化学セルのサイクリング中に、接触パッドの外観に変化が現れる。これは、集電体層12の露出面に反応生成物が存在するためと考えられる。これらの反応生成物は、ワイヤと接触パッドとの間の結合を妨げると考えられているため、電気化学セルを数サイクル使用しただけで電気的接続が失われることがある(ある場合、電気化学セルが、3サイクルしか経っていないだけで電気的接続が失われることがある)。
【0078】
接触パッド上での反応生成物の形成(すなわち、集電体層12の露出面)は、集電体層12の下に存在する電池スタックから接触パッドへの種の拡散によると考えられ、そこで、これらの種は周囲環境と反応する。
【0079】
図2を参照すると、本発明の第2の比較例に係る電気化学セル328は、基板314上に堆積された複数の層のスタックを含む。
【0080】
複数の層のスタックは、基板314に直接隣接して配置された接着層316、カソード集電体層318、カソード層320、電解質層322、アノード層324、アノード集電体層326が、この順に配置された複数の層を含む。
【0081】
複数の層のスタックの外面は、電気絶縁性のカプセル化層330によって覆われている。ただし、カプセル化層において厚さ方向に設けられる開口部332内に存在するアノード集電体層326の一部、およびカソード集電体層318の一部を除く。開口部332の形成に続いて、電気化学セル328の外面上に金属トラック層334が堆積される。
【0082】
金属トラック層334は、アノード集電体層326から基板314への導電経路を提供し、ここに接触パッドを設けてよい(図示せず)。接触パッドは、電気化学セル328を外部装置(図示せず)に接続することを可能にする。
【0083】
しかしながら、電気化学セルの動作中に、複数の層のスタック内の1つ以上の層が厚さの変化を受ける可能性が高い。例えば、電気化学セルがリチウムイオンセルである場合、アノード層は、電気化学セルの充電中に、リチウムイオンが埋め込まれるため、膨張する傾向がある。逆に、アノード層は、電気化学セルの放電中に、リチウムイオンが層を離れるため、収縮する傾向がある。
【0084】
電気化学セルの動作中における複数の層の体積のこれらの変化は、アノード集電体層326を基板314に接続する金属トラック層334の完全性に悪影響を及ぼすと考えられる。それゆえ、それが設けられる導電経路の信頼性が低下する。
【0085】
図3aを参照すると、本発明の第一実施形態に係るセルの製造の第1段階において、集電体層12、電気絶縁性セラミックのパッシベーション層14、および第1のポリマー層18を含むセルの構成要素のアセンブリが設けられる。パッシベーション層14は、集電体層12の第1の面上に配置される。第1のポリマー層18は、集電体層12とは反対側のパッシベーション層14の面上に配置される。
【0086】
開口部16は、パッシベーション層に設けられる。第1のポリマー層18は、開口部16を通って延在し、集電体層12に接触する。
【0087】
集電体層12は、白金、ニッケル、モリブデン、銅、窒化チタン、アルミニウム、金、およびステンレス鋼からなる群から選択される1つの材料によって構成されてよい。集電体層12の第2の面(すなわち、パッシベーション層14に対向する面)は、通常、コア電池スタック(図示せず)に接触し、コア電池スタックは、それらの間に電解質層が配置された第1の電極層および第2の電極層を含む。しかしながら、ある場合、電気化学セルは、最初、電気化学セルにおける集電体層12と電解質層との間に電極層が設けられないように、製造されてよい(図示せず)。このような場合、電気化学セルは、通常、セルの最初の充電中に、電解質層と集電体層12との間にリチウムアノード層が形成されるように構成される。
【0088】
パッシベーション層14は、通常、セラミック材料、例えば、酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムからなる群から選択される1つの材料によって設けられる。特定の実施形態では、パッシベーション層は、約1.5μmの厚さを有する。
【0089】
ある場合、第1のポリマー層18は、パリレン(登録商標)などのポリ(p-キシリレン)ポリマーによって構成されてよい。他の場合、ポリマー層は、フォトレジスト材料、すなわち、入射光に応答して化学変化を受ける材料によって構成されてよく、これらの化学変化は、特定の溶媒への溶解度を変化させる。フォトレジスト材料は、エポキシ樹脂を含んでよい。
【0090】
第1のポリマー層18は、厚さが、通常、5μmである(これは、パッシベーション層14の上に存在する第1のポリマー層の部分の厚さを指す)。
【0091】
パッシベーション層14の開口部16は、通常、第1のポリマー層18の堆積前にエッチングプロセスによって形成される。
【0092】
図3bを参照すると、電気化学セルの製造の第2段階では、図3aに示されるセルの構成要素のアセンブリは、パッシベーション層14の開口部16の上に存在する第1のポリマー層18の一部に開口部20を形成するように変更される。これにより、集電体層12の第1面の一部が露出する。
【0093】
開口部20は、通常、フォトリソグラフィプロセスによって形成される。ある場合、このフォトリソグラフィプロセスは、第1のポリマー層18の露出面上にフォトレジスト層を堆積させ、フォトレジスト層を、層の特定の部分内で化学変化を引き起こす光のパターンにさらすことを含んでよい。次に、溶媒(つまり、現像液)をフォトレジスト層に塗布してよい。その効果は、光パターンによって引き起こされる化学変化に応じて異なる(例えば、ポジ型フォトレジスト層は、UV光への露光後に現像液に溶解しやすくなるが、ネガ型フォトレジスト層は、UV光への露光後に現像液への溶解性が低くなる)。したがって、マスキング層は、第1のポリマー層18の面上に設けられてよく、エッチングを実行して開口部20を形成することが可能になる。
【0094】
しかしながら、第1のポリマー層18がフォトレジスト材料によって提供される場合、開口部20は、別個のマスキング層を設けることなく形成されてよい。開口部を形成するために、層は、光および溶媒に直接さらされてもよいからである。
【0095】
第1のポリマー層18に形成された開口部20は、通常、パッシベーション層14に設けられた開口部16よりも狭い。結果として、開口部16の内面は、通常、第1のポリマー層18の材料のコーティングで覆われる。
【0096】
図3cを参照すると、電気化学セルの製造の第3段階において、第1の導電層22は、図3bに示されるセルの構成要素のアセンブリの露出面上に堆積される。第1の導電層22は、図3bのアセンブリの露出面の外形に従っており、パッシベーション層14に対向する第1のポリマー層18の表面、開口部20の内面、および開口部20の形成中に露出した集電体層12の一部を覆う。
【0097】
第1の導電層22は、通常、窒化アルミニウムまたは窒化チタンを含む。第1の導電層は、通常、厚さが200nmである。第1の導電層22がアルミニウム層によって形成される場合、第1の導電層22の堆積は、通常、スパッタリングプロセスを含む。
【0098】
第1の導電層22の堆積に続いて、第2のポリマー層24は、第1の導電層22の露出面上に堆積される。したがって、第2のポリマー層24は、第1の導電層22の露出面の外形に従う。第2のポリマー層24は、通常、第1のポリマー層18と同じ組成を有し、そして、通常、同じ厚さに堆積される。
【0099】
図3dを参照すると、電気化学セルの製造の第4段階において、図3cに示されるセルの構成要素のアセンブリが変更されて、第2のポリマー層24に開口部26が設けられる。開口部26は、パッシベーション層14の一部分の上にある第2のポリマー層24の一部に形成される。開口部26は、第2のポリマー層24の厚さ方向における開口部であり、したがって、開口部を形成することは、第1の導電層22の一部を露出させる効果を有する。
【0100】
開口部26は、通常、図3bの開口部20と同じ手順で形成される。
【0101】
図3eを参照すると、電気化学セルの製造の第5段階において、第2の導電層28が、図3dに示されるセルの構成要素のアセンブリの露出面上に堆積される。第2の導電層28は、図3dのアセンブリの露出面の外形に従う。第2の導電層28は、通常、第1の導電層22と同じ組成および厚さを有し、同じプロセスを使用して堆積される。ただし、常にそうであるとは限らない。
【0102】
第2の導電層28の堆積後、第3のポリマー層30は、第2の導電層28の露出面上に堆積される。第3のポリマー層30は、通常、第1のポリマー層18および第2のポリマー層24と同じ組成を有し、通常、同じ厚さに堆積される。
【0103】
図3fを参照すると、電気化学セルの製造の第6段階において、図3eに示されるセルの構成要素のアセンブリが変更されて、第3のポリマー層30に開口部が設けられる。この開口部は、第3のポリマー層30における厚さ方向の開口部であり、集電体層12と位置合わせされた第2の導電層28の露出部分を露出させる。第2の導電層28の露出部分は、電気化学セルを外部装置に接続できるようにするための接触パッドを構成する。
【0104】
したがって、図3a~図3fを参照して説明したプロセスの結果として、集電体層12の上に重なる保護カバーが設けられる。この保護カバーは、パッシベーション層14と、第1の導電層22および第2の導電層28と略交互に配置された第1のポリマー層18、第2のポリマー層24、および第3のポリマー層30によって構成される。一般的に、第2のポリマー層24は、第1の導電層22と第2の導電層28との間に配置される。しかしながら、第1の導電層22および第2の導電層28は、それらの長さの領域25に沿って一致し、この部分に沿って、2つの導電層は、第2のポリマー層24によって分離されていない。
【0105】
導電層を堆積するステップ、ポリマー層を堆積するステップ、およびポリマー層に開口部を形成して導電層の一部を露出させるステップ(例えば、図3eおよび3fに示すように)は、所望の厚さおよび/またはバリア特性を有する保護カバーを形成するために必要なだけ繰り返されてよい。
【0106】
導電性材料(例えば、アルミニウム)とポリマー材料との交互層を設けることにより、(保護カバーの露出面から集電体層12に向かう)電気化学セルへの水分の侵入が抑制されると考えられる。
【0107】
同時に、接触パッド32と集電体層12との間に導電経路が設けられる。この導電経路は、接触パッドから、第1の導電層22および第2の導電層28が一致する領域25まで、第2の導電層28をたどり、その後、第1の導電層22から集電体層12まで続く。
【0108】
図3fから分かるように、集電体層12から接触パッド32への導電経路は、直接的ではない。代わりに、導電経路は、自身で何度も増倍する。
【0109】
この曲がりくねった経路の構成は、集電体層12の下に存在するコアバッテリスタックから接触パッド32への種の拡散の程度を低減するのに役立つと考えられる。これは、外部装置への電気化学セルの接続を妨げる可能性のある接触パッド32での反応生成物の形成を妨げるのに役立つと考えられる。
【0110】
図4aを参照すると、本発明の第二実施形態に係る電気化学セルの製造の第1段階において、集電体層12、電気絶縁性セラミックのパッシベーション層214、および第1のポリマー層218を含むセルの構成要素のアセンブリが提供される。パッシベーション層214は、集電体層12の第1の面上に配置される。第1のポリマー層218は、集電体層12に対向するパッシベーション層214の面上に配置される。
【0111】
1つまたは複数の電極層および/または電解質層(図示せず)は、パッシベーション層14とは反対の集電体層12の側に配置される。
【0112】
パッシベーション層214は、組成および厚さが、通常、図3a~図3fに示されるパッシベーション層14と同じである。第1のポリマー層218は、通常、図3a~図3fに示される第1のポリマー層18と同じ組成を有し、5μmの厚さを有する。
【0113】
パッシベーション層214と接触する集電体層12の面の複数の露出部分220が露出されるように、複数の開口部は、パッシベーション層214および第1のポリマー層218の厚さ方向に設けられる。
【0114】
図4bを参照すると、電気化学セルの製造の第2段階において、第1の導電層222は、図4aに示されるセルの構成要素のアセンブリの露出面上に堆積される。第1の導電層222は、図4aのアセンブリの露出面の外形に従う。したがって、第1の導電層は、集電体層12の露出部分220で集電体層12上に直接堆積される。
【0115】
第1の導電層222は、通常、図3eおよび3fに示される第1の導電層22および第2の導電層28と同じ組成および厚さを有するが、常にそうであるとは限らない。
【0116】
図4cを参照すると、電気化学セルの製造の第3段階において、第2のポリマー層224は、図4bに示されるセルの構成要素のアセンブリの露出面上に堆積される。第2のポリマー層224は、通常、第1のポリマー層218と同じ組成を有し、同じ厚さに堆積される。第2のポリマー層224の堆積に続いて、第1の導電層における複数の露出部分226を構成するために、複数の開口部は、この層の厚さ方向において、形成される。複数の開口部は、図3bに関連して説明したように、フォトリソグラフィプロセスによって形成されてよい。第1の導電層222における複数の露出部分226は、それぞれ、集電体層12とは反対側に面する表面を有する。第1のポリマー層218のそれぞれの部分は、第1の導電層222のそれぞれの露出部分226とパッシベーション層214との間にある。
【0117】
図4dを参照すると、電気化学セルの製造の第4段階において、第2の導電層228は、図4cに示されるセルの構成要素のアセンブリの露出面上に堆積される。第2の導電層228は、図4cのアセンブリの露出面の外形に従う。したがって、第2の導電層228は、第1の導電層222の複数の露出部分226で第1の導電層222上に直接堆積される。
【0118】
第2の導電層228は、通常、第1の導電層222と同じ組成および厚さを有するが、常にそうであるとは限らない。
【0119】
図4eを参照すると、電気化学セルの製造の第5段階において、第3のポリマー層230は、図4dに示されるセルの構成要素のアセンブリの露出面上に堆積される。第3のポリマー層230は、通常、第1のポリマー層218と同じ組成を有し、同じ厚さに堆積される。第3のポリマー層230の堆積に続いて、第2の導電層228における複数の露出部分232を構成するために、複数の開口部は、この層の厚さ方向において、形成される。複数の開口部は、図3bに関連して説明したように、フォトリソグラフィプロセスによって形成されてよい。第2の導電層228の露出部分232は、それぞれ、集電体層12とは反対側に面する表面を有する。第2のポリマー層224のそれぞれの部分は、第2の導電層228のそれぞれの露出部分232とパッシベーション層214との間にある。
【0120】
第2の導電層228の露出部分232は、それぞれ、接触パッドを構成し、電気化学セルを外部装置に接続できるようにする。
【0121】
導電性材料(例えば、アルミニウム)とポリマー材料の交互層を構成することによって、保護カバー234は、保護カバー234の露出面から集電体層12に向かって電気化学セル内への水分の侵入を阻止するのに役立つように形成されると考えられる。
【0122】
例えば、図4dおよび4eを参照して説明したように、導電層を堆積するステップ、ポリマー層を堆積するステップ、およびポリマー層に開口部を形成するステップは、所望の厚さの保護カバーを構築するために、必要に応じて繰り返されてよい。
【0123】
同時に、それぞれの接触パッド(第2の導電層228のそれぞれの露出部分232)と集電体層12との間に複数の導電経路が設けられる。これらの導電経路は、接触パッドから第1の導電層222および第2の導電層228が一致する領域まで第2の導電層228をたどり、続いて、第1の導電層222をたどって集電体層12に至る。
【0124】
複数の接触パッド、およびそれぞれの接触パッドを集電体層12に接続する複数の導電経路を設けることにより、電気化学セル内に冗長性がもたらされる。これにより、接触パッドと集電体層12との間の単一の導電経路が機能しなくなった場合でも、電気化学セルを外部装置に接続し続けることが可能になる。
【0125】
図4eから分かるように、集電体層12から第2の導電層228の露出部分232に設けられた接触パッドまでの導電経路は、いずれも直接的ではない。代わりに、それぞれの導電経路は、少なくとも1回は90°方向を変え、場合によっては、導電経路は、2倍になってもよい。このような経路の提供は、集電体層12の下に存在する電極層または電解質層から、第2の導電層228の露出部分232によって提供される接触パッドへの種の拡散の程度を低減するのに役立つと考えられる。これは、外部装置への電気化学セルの接続を妨げる可能性のある接触パッドでの反応生成物の形成を妨げるのに役立つと考えられている。
【0126】
図5aを参照すると、図1bに示されるものに対応するセルの構成要素のアセンブリが提供される(簡単のため、第1の電極層6、第2の電極層10、および電解質層8を含む図1bのコア電池スタックは、示されていない)。すなわち、集電体層12は、その第1の面上に配置された保護カバー102を有し、保護カバー102は、金属層106、金属層110、金属層114と交互に配置されたポリマー層104、ポリマー層108、ポリマー層112だけでなく、集電体層12に直接隣接する電気絶縁性セラミックのパッシベーション層14を含む。
【0127】
厚さ方向における開口部は、保護カバー102に設けられ、集電体層12の露出面118が露出する。電気化学セルを外部装置に接続するための接触パッドが設けられてよい。
【0128】
図5aのアセンブリは、集電体層12上に直接設けられるだけではなく、保護カバー102の外面上に接触パッドを設けるように変更されてよい。このプロセスは、図5b~図5eを参照して示される。
【0129】
図5bを参照すると、図5aのアセンブリを適応させる第1のステップにおいて、第1の導電層120が堆積され、第1の導電層120は、保護カバー102に設けられた厚さ方向における開口部の内面だけでなく、集電体層12の露出面118も覆う。これは、保護カバー102に設けられた厚さ方向における開口部の内面を密封するのを助け、複数の層の間の大気成分の侵入を阻止する。
【0130】
図5cを参照すると、図5aのアセンブリを適合させる第2のステップにおいて、集電体層12の表面およびパッシベーション層14に設けられた開口部の内面に接触する第1の導電層120の一部は、例えば、エッチングプロセスによって除去される。これにより、集電体層12と保護カバー102内の金属層との間の短絡の危険性が低減される。
【0131】
図5dを参照すると、図5aのアセンブリを適合させる第3のステップにおいて、第1のポリマー層122は、図5cに示されるセルの構成要素のアセンブリの露出面上に堆積され、続いて、エッチングされて集電体層12の表面を露出させる。
【0132】
図5eを参照すると、図5aのアセンブリを適合させる第4のステップにおいて、第2の導電層124は、図5dに示されるセルの構成要素のアセンブリの露出面上に堆積される。第1のポリマー層122は、第1の導電層120と第2の導電層124との間に電気絶縁層を構成する。
【0133】
図5fを参照すると、図5aのアセンブリを適応させる第5のステップにおいて、第2のポリマー層126は、図5eに示されるセルの構成要素のアセンブリの露出面上に堆積される。次に、保護カバー102の外面上の第2のポリマー層126の一部に、厚さ方向における開口部が設けられる。この開口部は、接触パッド128を提供するために、第2の導電層124の一部を露出させる。
【0134】
図6を参照すると、曲線Aおよび曲線Bは、本発明の第一態様の第四実施形態に係るセルにおけるサイクル数と放電容量との関係を示している。曲線Aは、空気中で実施された試験から得られ、曲線Bは、アルゴン雰囲気中で実施された試験から得られた。グラフからわかるように、どちらの場合も同様の容量損失が観察され、保護カバーが電気化学セルの活性層を、湿気およびその他の大気成分から保護するのに効果的であることを示している。
【0135】
図7aおよび7bを参照すると、電気化学セル400は、カソード集電体層412、カソード層414、電解質層416、アノード層418、およびアノード集電体層420が順に積層された基板410を有する。(簡単のため、基板410、アノード層418、およびアノード集電体層420は、図7aには示されていない)。カソード集電体層412およびカソード層414は、電気化学セルの角部分434に完全には延在しないため、該角部分では、電解質層416は、基板410と直接接触している。
【0136】
図7bに示すように、電気化学セルは、さらに保護カバー421を含み、保護カバー421は、アノード集電体層420に直接隣接する電気絶縁性のパッシベーション層422、一般的に、ポリマー層と金属層とが交互に積層されたスタック424(簡単のため、個々の金属層およびポリマー層は示されていない)として示される交互ポリマー層および金属層のスタック、ならびに外側ポリマー層430を含む。
【0137】
電気化学セル400の角部分434には開口部428が設けられており、この開口部は、ポリマー層と金属層とが交互に積層されたスタック424、および電気絶縁性のパッシベーション層422(簡単のため、開口部428の内壁の構成の詳細は示さないが、これらは図5fに示されるものと略同様である)を貫通している。導電性トレース426は、ポリマー層と金属層とが交互に積層されたスタック424の上に存在し、開口部428において、アノード集電体層420に接触する。
【0138】
図7aおよび7bを参照して示されるように、導電性トレース426は、開口部428の位置に、第1の円形部分426a、ポリマー層と金属層とが交互に積層されたスタック424の上に存在する第2の円形部分426b、ならびに、第1の円形部分および第2の円形部分を接続する3つの脚部426c、426d、426eを含む。
【0139】
外側ポリマー層430は、ポリマー層と金属層とが交互に積層されたスタック424および導電性トレース426の上に存在し、外側ポリマー層430は、導電性トレース426の第2の円形部分426bの上に存在する領域に開口部432を含む。
【0140】
開口部432の位置における導電性トレース426の露出部分は、電気化学セルを外部装置に接続できるようにする接触パッドを構成する。
【0141】
開口部428は、電気化学セル400の角部分434に設けられているので、カソード層414の上に重なっていない。これは、開口部428の位置での導電性トレース426の亀裂を防止するのに役立つと考えられる。そして、これは、カソード層414から開口部428への荷電種(例えば、リチウム)の移動によって発生する可能性がある。
【0142】
第1の円形部分426aおよび第2の円形部分426bを接続する3つの脚部426c、426d、426eを有する導電性トレース426を提供することによって、脚部426c、426d、426eのうちの1つまたは2つが故障した場合でも、第1の円形部分426aと第2の円形部分426bとの間の電気接続を維持することができる。導電性トレース426の厚さは、わずか約200nmであり、例えば、開口部428の内壁と、ポリマー層と金属層とが交互に積層されたスタック424と、の間の端部で足が傷つきやすいので、この冗長性は有益である。より厚い導電性トレース426の使用は望ましくない。なぜなら、導電性トレース426は、導電性材料の層を堆積させ、それをエッチングして必要な構成を設けることによって形成されるからである。エッチング中は、電気化学セルの異なる部分間に短絡を引き起こす可能性のある残留する導電性材料を残さないように注意する必要があり、そして、これは、より厚いトレースではより困難となる。
【0143】
誤解を避けるため、「上に存在する」、「上に存在する」、「下に存在する」、および「下に存在する」という用語は、組み立てられたセルの構成要素が図1図5fおよび図7bに示されるように配置されている場合におけるセルの構成要素の相対的な位置を指す。
【符号の説明】
【0144】
6 第1の電極層
8 電解質層
10 第2の電極層
12 集電体層
14 パッシベーション層
16 開口部
18 第1のポリマー層
20 開口部
22 第1の導電層
24 第2のポリマー層
25 領域
26 開口部
28 第2の導電層
30 第3のポリマー層
32 接触パッド
102 保護カバー
104 ポリマー層
106 金属層
108 ポリマー層
110 金属層
112 ポリマー層
114 金属層
116 開口部
118 露出面
120 第1の導電層
122 第1のポリマー層
124 第2の導電層
126 第2のポリマー層
128 接触パッド
214 パッシベーション層
218 第1のポリマー層
220 露出部分
222 第1の導電層
224 第2のポリマー層
226 露出部分
228 第2の導電層
230 第3のポリマー層
232 露出部分
234 保護カバー
314 基板
316 接着層
318 カソード集電体層
320 カソード層
322 電解質層
324 アノード層
326 アノード集電体層
328 電気化学セル
330 カプセル化層
332 開口部
334 金属トラック層
400 電気化学セル
410 基板
412 カソード集電体層
414 カソード層
416 電解質層
418 アノード層
420 アノード集電体層
421 保護カバー
422 電気絶縁パッシベーション層
424 ポリマー層と金属層とが交互に積層されたスタック
426 導電性トレース
426a 第1の円形部分
426b 第2の円形部分
426c 脚部
426d 脚部
426e 脚部
428 開口部
430 外側ポリマー層
432 開口部
434 角部分
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5a
図5b
図5c
図5d
図5e
図5f
図6
図7a
図7b
【国際調査報告】