(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-05
(54)【発明の名称】マイコプラズマ・ハイオニューモニエに対する防御のためのワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20230529BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20230529BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230529BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20230529BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230529BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230529BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20230529BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230529BHJP
A61D 1/02 20060101ALN20230529BHJP
【FI】
A61K39/00 J
A61K9/51
A61K47/36
A61K47/24
A61P31/04
A61P11/00
A61K39/12
A61P43/00 121
A61D1/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563160
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2021060013
(87)【国際公開番号】W WO2021213948
(87)【国際公開日】2021-10-28
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ビルスマ,ヨハンナ・ヤコバ・エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ウィトフリート,マールテン・ヘンドリク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA65
4C076BB11
4C076BB16
4C076CC06
4C076CC15
4C076CC32
4C076DD63
4C076EE38
4C076FF70
4C085AA03
4C085AA04
4C085BA48
4C085BA51
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG01
4C085GG05
(57)【要約】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)バクテリンに結合したナノ粒子を含むワクチンであって、該ナノ粒子がカチオン性多糖およびアニオン性リン脂質を含む、前記ワクチン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)バクテリンに結合したナノ粒子を含むワクチンであって、該ナノ粒子がカチオン性多糖およびアニオン性リン脂質を含む、前記ワクチン。
【請求項2】
カチオン性多糖が多孔性多糖である、請求項1記載のワクチン。
【請求項3】
アニオン性リン脂質が、ジアシルホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジルセリンおよびジアシルホスファチジルイノシトールから選択される、請求項1または2記載のワクチン。
【請求項4】
カチオン性多糖が、架橋マルトデキストリンをグリシジル-トリメチルアンモニウムと反応させることにより得られうる、請求項1~3のいずれか1項記載のワクチン。
【請求項5】
薬学的に許容される溶媒を含む、請求項1~4のいずれか1項記載のワクチン。
【請求項6】
ワクチンが油および/または水酸化アルミニウムおよび/またはサポニンおよび/またはカルボポールを本質的に含有しない、請求項1~5のいずれか1項記載のワクチン。
【請求項7】
ブタにおけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)感染の予防における使用のための、請求項1~6のいずれか1項記載のワクチン。
【請求項8】
ワクチンが全身投与される、請求項7記載の使用のためのワクチン。
【請求項9】
ワクチンが皮内投与される、請求項7または8記載の使用のためのワクチン。
【請求項10】
ワクチンが単回用量として投与される、請求項7~9のいずれか1項記載の使用のためのワクチン。
【請求項11】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)感染による肺病変の低減における使用のための、請求項7~10のいずれか1項記載の使用のためのワクチン。
【請求項12】
第1ワクチン、第2ワクチンおよびリーフレットを含むパーツ・キットであって、ここで、第1ワクチンが請求項1~6のいずれか1項記載のワクチンであり、第2ワクチンが弱毒化生ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)を含む、前記キット。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか1項記載のワクチンの有効量を投与することを含む、ブタにおけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)感染の予防方法。
【請求項14】
ブタにおけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)感染の予防用の医薬の製造のための、請求項1~6のいずれか1項記載のワクチンの使用。
【請求項15】
第1ワクチンと第2ワクチンとの混合物を含む混合ワクチンであって、ここで、第1ワクチンが請求項1~6のいずれか1項記載のワクチンであり、第2ワクチンが弱毒化生ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)を含む、前記混合ワクチン。
【請求項16】
請求項1~6のいずれか1項記載のワクチンまたは請求項15記載の混合ワクチンを含むバイアル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)バクテリンに結合したナノ粒子を含むワクチン、およびブタにおける感染の予防のためのこのワクチンの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(以下、Mhyoとも称される)は細胞壁欠損細菌であり、ブタにおける伝染性慢性疾患であるブタ流行性肺炎の原因因子である。Mhyoは、ブタの気道に感染し、気管、気管支および細気管支で増殖する。それは上皮肺細胞の繊毛に付着し、最終的にはこれを殺して、肺病変および二次感染[例えば、他のマイコプラズマ種、例えばマイコプラズマ・ハイオリニス(Mycoplasma hyorhinis)およびマイコプラズマ・フロクラーレ(Mycoplasma flocculare)による感染、ならびにPRRSV(ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス)およびPCV2(ブタウイルス2型)による感染]を引き起こす。
【0003】
この疾患は、感染したブタの肺から排出される空気伝染性Mhyo病原体により、ブタからブタへと伝染する。
【0004】
特に、Mhyoによる感染は、体重増加の低減、飼料要求の悪化を引き起こし、したがって商業的養豚場における重大な経済的損失を招く。
【0005】
Mhyo細菌は細胞壁を欠いており、ほとんどの一般的な抗生物質は細胞壁の合成に焦点を合わせているため、そのような抗生物質は無効である。
【0006】
Mhyo病原体に対して使用されるワクチンは公知であり、商業的に入手可能であり、例えば、RespiSure(登録商標)(Zoetis)、Ingelvac(登録商標)M.hyoおよびMycoFLEX(登録商標)(Boehringer Ingelheim)、Hyoresp(登録商標)(Merial)、Stellamune(登録商標)Mycoplasma(Elanco Animal Health)、Fostera(登録商標)PCV MH(Zoetis)ならびにM+Pac(登録商標)およびPorcilis(登録商標)Mhyo(共にMSD Animal Healthから入手可能)が挙げられる。
【0007】
これらのワクチンは、全て免疫応答を増強するために、そしてまた、所望によりMhyo抗原を安定化するために、古典的なアジュバントを含有し、例えば鉱油および植物油、非天然ポリマーならびに水酸化アルミニウムのような非自己化合物をアジュバントとして含有する。該非自己化合物は免疫応答を増強するが、望ましくない部位効果を引き起こしうる。特に、ブタは、鉱油、ミョウバン粒子および他の非自己化合物のような賦形剤に対して非常に感受性である。古典的なアジュバントに典型的に関連する部位効果を誘発しない有効なワクチンを提供することが本発明の目的であった。
【0008】
また、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染の予防に使用される簡便で安全で有効なワクチンを提供することが本発明の目的であった。
【0009】
また、市販ワクチンは、一般的に免疫化を確実に成功させるために、初回ワクチン接種と、それに続く該初回投与から2~3週間以内の追加(ブースト)ワクチン接種とによるツーショット(2回接種)方式で投与される。しかし、そのようなツーショット適用は、効率およびコストの点で不利である。
【0010】
したがって、ワンショット(1回接種)方式で有効であるワクチンを提供することがもう1つの目的であった。
【0011】
更に、混合ワクチン(組合せワクチン)の開発は厄介であり、なぜなら、全てのワクチン成分の安全性および安定性を確保する必要があり、そして、混合ワクチンの開発は単純ではないからである。特に、弱毒化生ワクチンとバクテリンワクチンとの組合せは、安定性を損ない、両方のタイプの抗原を安定化する賦形剤を選択することは困難である。
【0012】
したがって、安全に使用でき、および/または安定である混合ワクチンを提供することがもう1つの目的であった。
【発明の概要】
【0013】
発明の概括
これらの目的は、驚くべきことに、本発明の以下の態様により解決された。
【0014】
本発明による組成物は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)バクテリンに結合したナノ粒子を含み、ここで、ナノ粒子は、カチオン性多糖およびアニオン性リン脂質を含む。
【0015】
驚くべきことに、多糖(一般的な食事性化合物)およびリン脂質(対象自身の化合物、すなわち自己化合物)を含有する前記ナノ粒子とMhyoバクテリンとを含むワクチンが、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染の予防のための安定かつ有効なワクチンを提供する一方で、望ましくない部位効果を誘発しないことが見出された。
【0016】
したがって、本発明はまた、ブタにおけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染の予防における使用のためのワクチンに関する。以下においては、このワクチンは、本発明によるワクチンとも称されうる。
【0017】
本発明はまた、第1ワクチン、第2ワクチンおよびリーフレットを含むパーツ・キット(kit of parts)に関するものであり、ここで、第1ワクチンは本発明によるワクチンであり、第2ワクチンは、弱毒化生ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)を含む。
【0018】
もう1つの態様においては、本発明は、ワクチンの有効量を投与することを含む、ブタにおけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染の予防方法に関する。
【0019】
更にもう1つの態様においては、本発明は、ブタにおけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染の予防用の医薬の製造のための、本発明のワクチンの使用に関する。
【0020】
更にもう1つの態様においては、本発明は、第1ワクチンと第2ワクチンとの混合物をバイアル内に含む混合ワクチンに関するものであり、ここで、第1ワクチンは本発明によるワクチンであり、第2ワクチンは、弱毒化生ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)を含む。該混合ワクチンは、いわゆるRTU(ready-to-use;使用準備済)ワクチンであり、したがって、製造業者により製造された混合形態で末端使用者に送られ、あるいは、例えば、対象動物への投与の直前に、例えばPRRSウイルスをMhyoワクチン中に溶解することにより混合されるワクチンでありうる。
【0021】
詳細な説明
以下の定義は本発明の実施形態に関するものである。
【0022】
「ワクチン」なる語は薬学的組成物を指す。該組成物は、病原性微生物(「病原体」)に対する防御免疫を動物において誘導し得、すなわち、それは、病原体による感染および/またはこの感染の結果である障害もしくは疾患に対する有効な予防的治療を誘導しうる。
【0023】
抗原は、一般に、宿主動物において特異的免疫応答を誘導する任意の物質を意味し、死亡した若しくは弱毒化された若しくは生きている生物全体、生物のサブユニットもしくは一部分、免疫原をコードするポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、エピトープ、ハプテンまたはそれらの任意の組合せを含みうる。バクテリンは特異的抗原である。「バクテリン」なる語は、死亡細菌の懸濁液であって、例えば、細菌培養物を濃縮し、ついでそれを、バイナリーエチレンイミン(BEI)、クロロクレゾール、ホルマリンのような化学物質で、または例えばUV光、もしくは細胞溶解を招かない他のタイプの不活化で不活化することにより得られるものを意味する。バクテリンとは対照的に、ライセートは抗原であり、この場合、不活化細菌が、例えば、凍結-融解サイクル、超音波処理、フレンチプレス、ビーズビーティング(bead beating)などのような細胞溶解または破壊プロセスにおいて特別に処理される。
【0024】
「ナノ粒子」は、nm範囲の粒径(粒子サイズ)、すなわち、1~1000nmの平均体積粒子直径(D50)を有する粒子である。1つの実施形態においては、ナノ粒子は、1~500nmの平均体積粒径(D50)を有する。例えば、平均体積粒径は、10~400nm、例えば、20~300nmおよび30~200nmである。典型的には、平均体積粒径は、35~150nmである。平均体積粒径は、レーザー回折により決定されうる。好ましい実施形態においては、粒径は、Malvern Autosizer(商標)4700(Malvern Instruments S.A.,UK)を使用する動的光散乱により測定される。90°の固定角で488nmのレーザービームを使用して測定を行うことが好ましい。好ましくは、15mMol NaClの水溶液を分散剤として使用し、この場合、ナノ粒子を0.5mg/mlに濃縮する。好ましくは、測定を3回行う。
【0025】
「ゼータ電位」なる語は、分散媒と分散粒子の固定層との間の電荷を意味する。したがって、ゼータ電位は、粒子の表面電荷、界面における任意の吸着層ならびに周囲の懸濁媒体の性質および組成の関数である。好ましい実施形態において、ゼータ電位は、ゼータサイザーナノ(zetasizer nano)ZS(Malvern Instruments,France)を使用する光子相関分光法により決定される。媒体としての水中で測定を行うことが好ましい。好ましくは、3回重複して測定を行う。
【0026】
感染(感染症)の「有効な予防的治療」または「予防」なる語は、治療後感染の、または治療後感染から生じる疾患もしくは障害の、予防、改善または軽減を含むと理解されるべきである。
【0027】
予防における使用のためのワクチンの「ワンショット」または「単回投与(単回用量、1回量)」なる語は、2回目のワクチン接種、すなわち「追加(ブースト)」ワクチン接種を必要とせず、防御免疫の付与に尚も有効であるワクチン接種を意味する。この用語は、同時に投与される2以上の別個の用量として単回用量が投与されることを除外しないことに注意すべきである。
【0028】
「含む」なる語の意味は、具体的に言及されている特徴の全て、および所望により含まれうるもの、追加的なもの、特定されていないものを含むと解釈されるべきであり、一方、「からなる」なる語は、特定されている特徴のみを含む。したがって、「含む」は、限定的な場合として、「からなる」により特定される構成を含む。
【0029】
本明細書中で用いる「ブタ」なる語は、子ブタ、ブタ(swine)、豚(pig)、ポルシン(porcine)、繁殖用雌ブタ(sow)、未経産ブタ(gilt),去勢ブタ(barrow)、未去勢雄ブタ(boar)、すなわち、イノシシ科(Suidae)の全てのメンバーを意味する。
【0030】
「重量%」なる語は、特に示されていない限り、ワクチンの総重量に対する特定の成分の重量を意味する。
【0031】
本発明による好ましい実施形態を以下に明確に記載する。好ましい実施形態は、単独の場合または組合された場合に好ましい。更に、以下の好ましい実施形態は、本発明の全態様、すなわち、ワクチン、使用のためのワクチン、パーツ・キット、治療方法、医薬の製造のための使用および混合ワクチンを意味すると理解されるべきである。
【0032】
1つの実施形態においては、本発明は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)バクテリンに結合したナノ粒子を含むワクチンに関するものであり、ここで、ナノ粒子はカチオン性多糖およびアニオン性リン脂質を含む。
【0033】
本発明のナノ粒子は公知であり、該粒子を得るための方法は、とりわけ、Paillardら,Pharm.Res.2010,vol.27,p.126-133、WO2014/041427およびWO2018/104762ならびにそれらにおける参考文献に記載されている。
【0034】
好ましい実施形態においては、カチオン性多糖は、それぞれの多糖(例えば、2N 水酸化ナトリウム水溶液中のマルトデキストリン)を溶解し、架橋剤(例えば、エピクロロヒドリン)を添加し、ついでカチオン性リガンド(例えば、グリシジル-トリメチルアンモニウムクロリド;ヒドロキシコリン)を添加することにより調製されうる。ついでpH値を、好ましくは酢酸で中和し、混合物を、好ましくは圧力下で、剪断してカチオン性多糖ナノ粒子を得ることが可能である。
【0035】
ついで、得られたカチオン性多糖にアニオン性リン脂質をローディングし、これは、好ましくは、カチオン性バイオポリマーとアニオン性リン脂質(例えば、ジパルミトイル-ホスファチジルグリセロール)とを適切な溶媒中で(例えば、エタノール中で約1時間)混合することにより行う。
【0036】
1つの実施形態においては、カチオン性多糖は多孔性カチオン性多糖である。
【0037】
ナノ粒子は多孔性ナノ粒子であり、すなわち、それは、液体または空気が粒子内を通過しうるように粒子の「バルク」内に空隙を有するものでありうる。したがって、アニオン性リン脂質が孔を満たすことが可能となり、アニオン性リン脂質がナノ粒子のコア内に少なくとも部分的に存在するように、カチオン性多糖は多孔性でありうる。
【0038】
典型的には、(多孔性)粒子は、少なくとも0.1m2/g、少なくとも0.5m2/g、5m2/g、少なくとも10m2/g、または少なくとも20m2/gのBET(比表面積)を有する。好ましくは、ナノ粒子のBETは少なくとも5m2/gである。比表面積の決定は、異なる圧力において窒素/ヘリウム雰囲気中にサンプルを配置することにより行われる。サンプルを冷却すると、粒子の表面上で窒素分子が凝縮する。凝縮窒素量は、窒素/ヘリウム混合物の熱伝導率の変化により決定され、サンプルの表面積は、窒素の面積要件を用いて決定される。この値およびサンプル重量を用いて比表面積が算出される。比表面積は、BETソープメーター、例えばMonosorb(商標),Fa.Quantachrome[DIN ISO 9277(2014年1月公開)に準拠]を使用して得られうる。
【0039】
1つの実施形態においては、ナノ粒子は、カチオン性多糖とアニオン性リン脂質とを40:1~1:20、20:1~1:10、または10:1~1:3の重量比で含む。好ましい実施形態においては、ナノ粒子は、カチオン性多糖とアニオン性リン脂質とを10:1~1:3の重量比で含む。
【0040】
1つの実施形態においては、ナノ粒子は、0~70mV、5~65mV、または10~50mVのゼータ電位を有する。ナノ粒子が10~50mVのゼータ電位を有することが好ましい。
【0041】
ナノ粒子は、外側部分(すなわち、表面)および内側部分(すなわち、コア)を有する。特定の実施形態においては、ナノ粒子のゼータ電位から外側部分がアニオン性リン脂質を本質的に含有しないことが推論されうる。したがって、外側部分はカチオン性多糖から本質的になり、コアはアニオン性リン脂質を含有する。好ましい実施形態においては、カチオン性多糖は多孔性である。この実施形態においては、アニオン性リン脂質は、好ましくは孔を満たす。したがって、好ましい実施形態においては、アニオン性リン脂質はナノ粒子の内部、すなわちコアに存在する。好ましい実施形態においては、ナノ粒子はコアを形成し、ここで、アニオン性リン脂質はコア内に存在する。1つの実施形態においては、ナノ粒子は、コアを包囲するリン脂質層を含まない。リン脂質層は、リン脂質を含む層である。
【0042】
Mhyoバクテリンは商業的に入手可能であり、バクテリンを得るための方法は当業者に公知であり、例えば、Mhyo細胞を培養し、ついで該細胞を不活化することによる方法が公知である。
【0043】
1つの実施形態において、ワクチンは、1:10~10:1、1:5~5:1、または1:2~2:1のナノ粒子対Mhyoバクテリンの重量比を有する。好ましい実施形態において、ナノ粒子対Mhyoバクテリンの重量比は、1:1~1:3、例えば1:1である。
【0044】
Mhyoバクテリンとナノ粒子とは結合しており、すなわち、それらは組成物を形成しており、ここで、バクテリンは、ファンデルワールス力および静電力のような分子間力により粒子に結合している。Mhyoバクテリンは、ナノ粒子の外側に結合していると考えられている。1つの実施形態において、Mhyoバクテリンに結合しているナノ粒子は、200~1500nm、または300~1200nm、または400~1100nmの実測D50値(レーザー回折法を用いた場合)を有する(観測値は測定方法に大きく左右される)。
【0045】
カチオン性多糖は、デンプン、デキストランおよびマルトデキストリンから選択される多糖から得られうることが好ましい。より好ましくは、カチオン性多糖コアは、デンプン、デキストランおよびマルトデキストリンから選択される多糖と、第一級アミン、第二級アミンおよび第三級アミンならびに第四級アンモニウム塩から選択されるリガンドとを反応させることにより得られうる架橋ポリマーである。架橋剤は当業者に公知であり、好ましい架橋剤は、エピクロロヒドリン(1-クロロ-2,3-エポキシプロパン)である。
【0046】
1つの実施形態においては、アニオン性リン脂質は、ジアシルホスファチジルグリセロール、ジアシルホスファチジルセリンおよびジアシルホスファチジルイノシトールから選択され、ここで、各場合のアシルはカルボン酸に由来しうる。好ましい実施形態においては、アニオン性リン脂質は、ジパルミトイル-ホスファチジルグリセロール(DPPG)である。
【0047】
多糖コアとアニオン性リン脂質とを混合することにより、カチオン性多糖コアにアニオン性リン脂質をローディングすることが可能である。「ローディング」なる語は、アニオン性リン脂質とカチオン性多糖との混合物に関するものであると理解されるべきである。
【0048】
1つの実施形態において、カチオン性多糖は、架橋マルトデキストリンをグリシジル-トリメチル-アンモニウムと反応させることにより得られうるカチオン性ポリマルトデキストリンである。
【0049】
1つの実施形態において、ワクチンは、薬学的に許容される溶媒を含み、それにより、いわゆる使用準備済(ready-to-use)ワクチンとしてワクチンを提供する。好ましくは、溶媒は水を含み、バクテリンは、それがその有効性を保有するように希釈される。好ましい実施形態において、溶媒は生理食塩水および/またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。もう1つの実施形態において、ワクチンは、投与前に薬学的に許容される溶媒と混合される凍結乾燥物として提供されうる。
【0050】
1つの実施形態において、ワクチンは、古典的アジュバント、例えば油および/または水酸化アルミニウム、および/またはサポニンおよび/またはカルボポールを本質的に含有しない。
【0051】
「本質的に含有しない」は、ワクチンの全組成物に対して0.1%(v/v)未満の濃度を指す。
【0052】
アジュバントは、一般にそれが誘発する免疫学的事象に従って分類されうる。第1のクラスは、とりわけ、ISCOM(免疫刺激複合体)、サポニン(またはその画分および誘導体、例えばQuil A)、水酸化アルミニウム、リポソーム、コクリエート(cochleate)、ポリ乳酸/グリコール酸を含み、抗原の取り込み、輸送および提示[APC(抗原提示細胞)によるもの]を促進する。第2のクラスは、とりわけ、油エマルション、ゲル、ポリマーミクロスフェア、非イオン性ブロックコポリマー、そしておそらくはまた、水酸化アルミニウムを含み、デポー効果をもたらす。第3のクラスは、とりわけ、CpGリッチモチーフ、モノホスホリルリピドA、マイコバクテリア(ムラミルジペプチド)、酵母抽出物、コレラ毒素を含み、保存された微生物構造、いわゆる病原体関連微生物パターン(PAMP)(シグナル0として定義される)の認識に基づく。第4のクラスは、とりわけ、油エマルショ、界面活性剤、水酸化アルミニウム、低酸素状態を含み、危険および無害(自己および非自己と同じである必要はない)を免疫系が識別する能力を刺激することに基づく。第5のクラスは、とりわけ、サイトカインを含み、APC上の共刺激分子(シグナル2)のアップレギュレーションに基づく。アジュバントは、適切な免疫応答をもたらすのに役立つ。本ナノ粒子がこれらのクラスの1つに属すると明確には特定できないが、それでも、幾つかの特定の配置において、アジュバント効果が得られうるようである。
【0053】
ワクチンは、所望により、補助物質、例えば湿潤剤、pH緩衝剤、増粘添加剤および保存剤を含有しうる。適切な補助物質は、例えば、“Pharmaceutical Preformulation and Formulation”(Mark Gibson,2nd edition)に開示されている。
【0054】
ワクチンは、免疫学的に有効な量のMhyoバクテリンを含有すると理解されるべきである。そのような量は、一般的な知識に基づいて容易に確立可能であり、例えば、市販製品であるPorclis MhyoID ONCE(MSD Animal Health)または商業的に入手可能な他のバクテリン製品のいずれかに存在するMhyoバクテリンの量でありうる。
【0055】
1つの実施形態において、ワクチンは、0.1~3ml/用量、好ましくは0.2~2ml/用量の体積で標的動物に投与される。1つの実施形態において、ワクチンはワクチンの1用量当たり2μg~10mg、10μg~5mg、20μg~2000μg、または200μg~2000μgのナノ粒子を含有する。典型的には、ワクチンはワクチンの1用量当たり1~5mgのナノ粒子を含有する。
【0056】
1つの実施形態において、ワクチンは、ブタにおけるマイコプラズマ・ハイオニューモニエによる感染の予防のために使用される。
【0057】
1つの実施形態において、使用されるワクチンは、ブタの生後(出生後)第1週~第5週、例えば第2週~第4週に投与される。もう1つの実施形態において、使用されるワクチンは生後第1週~第5週にワンショット方式として投与される。
【0058】
もう1つの実施形態において、ワクチンは全身投与される。局所投与(例えば、鼻腔内または胃内)とは対照的に、全身投与は、ワクチンが対象の循環系に送達されて、その全身に本質的な影響を及ぼすことを意味する。全身投与の例には、筋肉内(IM)、静脈内(IV)、皮内(ID)、経皮(TD)および皮下(SC)が含まれる。
【0059】
1つの実施形態において、ワクチンは皮内投与される。好ましくは、ワクチンは、IDAL(商標)(液体の皮内適用)注射システムを使用する無針注射により投与される。IDALは、圧力に基づく適用システムである(MSD Animal Healthからのもの)。
【0060】
1つの実施形態において、使用されるワクチンは単回用量(1回量)として投与される。したがって、ワクチンは、複数回の投与(例えば、初回ワクチン接種および追加ワクチン接種を含むツーショット適用)ではなくワンショット投与として投与される。
【0061】
好ましい実施形態において、使用されるワクチンは、単回用量として標的動物に皮内投与される。
【0062】
典型的には、ワクチンは、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染による肺病変の低減に使用される。偽ワクチン接種対照ブタと比較して、肺病変が10~100%、更には50~100%低減することが判明した。
【0063】
一般的なスコア化系を使用した肺病変スコア(LLS)は、未処理対照ブタと比較して、10~100%、典型的には50~100%低減しうる。
【0064】
実施例1に更に詳細に記載されているとおり、LLSは3週間のチャレンジの後で測定される。肺病変およびLLSの低減は、未処置のブタと比較した場合の本発明のワクチンで処置されたブタの比較を意味する。LLSは、ワクチンによる免疫化の有効性に関する有用な指標である。肺病変の比率を測定し、これをグッドウインおよびホイットルストーン(Goodwin&Whittlestone)のスコア(Goodwinら,Veterinary Record,“The detection of enzootic pneumonia in pig herds.I.Eight years general experience with a pilot control scheme”)に変換してLLSを得ることにより、LLSが決定されうる。
【0065】
1つの実施形態において、本発明は、第1ワクチン、第2ワクチンおよびリーフレットを含むパーツ・キットに関するものであり、ここで、第1ワクチンは、本発明によるワクチンであり、第2ワクチンは、弱毒化生ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)を含む。リーフレットは使用説明を含む。該パーツ・キットは、針および/またはシリンジを更に含みうる。
【0066】
生弱毒化病原体は、低下した病原性(ビルレンス)を有する病原体の生存可能で複製可能な形態である。弱毒化のプロセスは感染性病原体を使用し、それを、例えば、細胞系による病原体の複数回の継代により、または病原体を遺伝子的に修飾することにより無害または低病原性となるように変化させる。
【0067】
1つの実施形態において、本発明は、第1ワクチンと第2ワクチンとの混合物を含む混合ワクチンに関するものであり、ここで、第1ワクチンは、本発明によるワクチンであり、第2ワクチンは、弱毒化生ブタ生殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)を含む。
【0068】
第1ワクチンおよび第2ワクチンは、同時に投与される代わりに、併用投与のための随伴非混合ワクチンとして供与されることも可能である。したがって、ワクチンは、投与前に混合されずに、1時間以内、好ましくは30分以内、25分以内、20分以内、15分以内、10分以内、9分以内、8分以内、7分以内、6分以内、5分以内、4分以内、3分以内、2分以内または1分以内に別々にブタに投与される。
【0069】
しかし、各ブタに投与される注射の量を最小限に抑え効率を更に高めるためには、2つのワクチンの組合せが一般に有利である。しかし、2以上のワクチンを混合する場合、ワクチンは、異なる賦形剤を要し、したがって、一方のワクチンの不安定性、活性低下および/または分解を招きうるので、安定性の問題がよく生じる。驚くべきことに、生弱毒化PRRSVの安定性は、本発明のナノ粒子の存在下で増強した。
【0070】
1つの実施形態において、本発明による混合ワクチンは、Mhyo感染の予防およびPRRSV感染の予防のために使用される。
【0071】
1つの実施形態において、本発明は、本発明によるワクチンまたは本発明による混合ワクチンを含むバイアルに関する。バイアルはPETバイアルであることが好ましい。バイアルは、2ml、20ml、50ml、100ml、200mlまたは500mlのワクチンまたは混合ワクチンを含有することが好ましい。
【0072】
次に、以下の実施例を用いて、本発明を更に詳細に説明することとする。
【0073】
実施例
実施例1:肺病変スコア
チャレンジ材料:
1mlのアリコート中で凍結され-50℃未満で貯蔵されたバクテリン マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)株98を使用した。
【0074】
チャレンジ材料の調製:
マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)株98を、FRIIS+20% SPF血清中で2000倍希釈した。この培養物を37℃(50RPM)で4~5日間インキュベートした。4日間および5日間のインキュベーションの後、この培養物のサンプルをチャレンジのために採取した。4.5mlのFRIISブロス+20% SPF(特定病原体非含有)血清に0.5mlの培養物を接種し、混合し、0.5mlの培養物を1つのチューブから次のチューブに移し、ついで10-10CCU(変色単位)のチューブを37℃で3週間インキュベートすることにより、チャレンジの前および後で生存数の計数を行った。
【0075】
チャレンジ方法:
3週(±3日)齢の72頭のSPFブタを各群12頭の6つの群に割り当てた。1群当たり4頭の動物を群1~4に加え、1群当たり合計16頭の動物とした。カテーテルを使用して、2日間連続して、全ての動物を10mlの純粋培養物で気管内チャレンジした。
【0076】
投与量および投与:
ワクチンは、37nmのD50値および+37mVのゼータ電位を有する、ジパルミトイル-ホスファチジルグリセロールがローディングされた多孔性カチオン性マルトデキストリンナノ粒子を、用量0.4ml当たり粒子2.9mgの量で含有していた。試験ワクチンを、MhyoバクテリンおよびMhyoライセートを使用して製造し、後者のタイプの抗原は、先行技術におけるナノ粒子と共に使用される場合、典型的に、より有効である。バクテリンワクチンを、粒子とバクテリン製剤(BEI不活化Mhyo細菌)とを1:1(粒子:Mhyo抗原)の重量比で混合することにより製造し、該混合物を24時間静置して沈殿させて、粒子と抗原との結合を達成した。ライセートワクチンは、細胞溶解のためにバクテリンが超音波処理に付されたという点で異なり、それに応じて製造した。Mhyo抗原に結合した後の粒子のゼータ電位は、バクテリンワクチンに関しては+14.9mV、ライセートワクチンに関しては+15.6mVであった。
【0077】
3週齢および5週齢で、表1に従い、局所的(鼻腔内)に、または頸部において全身的[IDAL(登録商標)ワクチン接種器を使用し、ワクチンを、一部を真皮に、そして一部を筋肉組織に沈着させる]に、子ブタにワクチン接種を行った。陽性対照として、市販品Porcilis(登録商標)Mhyo ID ONCEを製造業者の説明に従い使用した。
【0078】
新規ワクチンは、望ましくない部位効果を誘発せず、安全であると見なされた。肺炎による肺病変スコアを決定するために、チャレンジ後の第21日にブタを安楽死させた。剖検中に肺病変の比率を決定し、スコアをグッドウィンおよびホイットルストーンのスコア(前記)に変換して肺病変スコアを得た。結果を表1に示す。
【表1】
【0079】
表1から推定されうるとおり、Mhyoバクテリンとナノ粒子とを含むワクチンの全身投与においては、局所適用と比較して、肺病変スコアが有意に低減するする。また、バクテリンワクチンは、Mhyoライセートよりも実質的に有効であった。これは、抗原としてライセートを使用する局所ワクチン接種に本ナノ粒子が典型的に適用される技術と比較して驚くべきことである。
【0080】
実施例2:単回投与と2回投与との比較
前記実施例1と同様にして、各群20頭のブタを含む4群のブタに関してLLSを決定した。
【0081】
群1(ワンショットID)においては、ブタに第4週に0.2mLのワクチンの単回投与(ワンショット)ワクチン接種で皮内ワクチン接種した。群2(ツーショットID)においては、ブタに第1週に0.2mLの初回ワクチン接種を皮内に行い、ついで第4週に0.2mLの追加ワクチン接種を行った。群3においては、ブタに第4週に0.4mLのワクチンの単回投与(ワンショット)で皮内ワクチン接種した。群4においては、ワクチン接種を行わなかった。群1~3におけるワクチンは同一であり、ナノ粒子およびMhyoバクテリン(重量比1:1)を含有し、ここで、0.2mlの各用量は、2.18mgのナノ粒子を含有していた。製剤化された粒子のゼータ電位は+15.2mVであった。
【0082】
【0083】
認められうるとおり、非常に驚くべきことに、単回投与は、2回投与と比較してLLSの増加をもたらさない。更に強調すれば、LLSは更に減少したようであった。このことは、本ワクチンを使用すれば、Myoに対する有効な防御を得るために単回ワクチン接種が用いられうることを意味する。
【0084】
実施例3:PRRSVワクチンの安定性
ナノ粒子の存在下および非存在下の弱毒生PRRSVワクチンの安定性を測定するために、ナノ粒子の存在下および非存在下でPRRSVを一般的なワクチン希釈剤Diluvac Forte(登録商標)(MSD Animal Health)中で混合した。MARC細胞上のPRRSVのTCID50(50%組織培養感染量)を、0、45、90、および150分の時点で測定した。TCID50はPRRSV抗原の有効性に対応する。この実験のために、各場合において、1.67mgのナノ粒子(実施例1を参照された)をエッペンドルフチューブに加え、チューブ当たり約7.2
*10
∧5 TCID50が達成されるように、そのチューブに希釈剤中の生PRRSウイルスの或る用量を加えた。以下の表3およびそれぞれの測定時間間隔におけるTCID50値(
*10
∧5)から認められうるとおり、PRRSVの安定性は、ナノ粒子の存在下では、ナノ粒子の非存在下の製剤と比較して増強した。
【表3】
【0085】
表3に示された結果から認められうるとおり、希釈剤中のPRRSVの安定性は、ナノ粒子の存在下で驚くほどに増加し、このことは、混合ワクチンの有効性がPRRSV成分に関しても増強することを意味する。
【国際調査報告】