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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-05
(54)【発明の名称】ヌクレオチドプロドラッグ化合物
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/113 20060101AFI20230529BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20230529BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230529BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
C07F9/113
A61K31/675
A61P31/12
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022563871
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-29
(86)【国際出願番号】 US2021027924
(87)【国際公開番号】W WO2021216427
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】63/013,203
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500204625
【氏名又は名称】リガンド・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ジー リン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4H050
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB212
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086DA38
4C086MA01
4C086MA02
4C086NA14
4C086ZB33
4H050AA01
4H050AB29
(57)【要約】
本明細書において、ヌクレオチドプロドラッグ化合物、それらの製造、および、例えばウイルス感染症の疾患または状態の治療におけるそれらの使用が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩:
式中:
R1は、H、任意選択で置換されるC1~C15アルキル、任意選択で置換されるC3~C15シクロアルキル、および任意選択で置換されるC2~C15アルケニルからなる群より選択され;
R2は、ハロゲン、任意選択で置換されるアルキル、および任意選択で置換されるアルキルオキシからなる群より選択され;
R3は、H、任意選択で置換されるアシル、およびC-カルボキシからなる群より選択され;
R4は、H、任意選択で置換されるアシル、C-アミド、およびC-カルボキシからなる群より選択され;かつ
nは、0、1、2、または3である。
【請求項2】
nが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
R3がHである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R1が任意選択で置換されるC1~C15アルキルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R1が非置換のC1~C6アルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
R1がエチルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R1がn-プロピルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
R1がi-プロピルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
R1がメチルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
R4がC-カルボキシである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R4がアシルである、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
以下:
からなる群より選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
ウイルス感染症の治療に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
1種または複数のさらなる治療剤と組み合わせた、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
ウイルス感染症の治療のための医薬の製造における、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項17】
ウイルス感染症を治療する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物の有効量を投与する工程を含む、方法。
【請求項18】
前記対象が哺乳動物である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記哺乳動物がヒトである、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、化学および医学の分野に関する。より具体的には、本開示は、ヌクレオチドプロドラッグ化合物、それらの調製およびそれらの使用に関する。いくつかの実施形態では、このような化合物は、標的器官に特定の薬剤を選択的に送達するために有用である。
【背景技術】
【0002】
背景
以下の背景技術の説明は、本発明の理解を助けるために提供され、従来技術を承認または説明するものではない。
【0003】
合成ヌクレオチド類似体は、抗ウイルス剤または抗癌剤として広く使用されている。プロドラッグ技術は、ヌクレオチドが標的器官および/または標的細胞に対してより生物学的に利用可能となるように、ヌクレオチド分子の特性を改善するために使用されており、経口生物学的利用能の改善を含む。したがって、改善されたプロドラッグ活性化プロファイルを有する新規化合物は、経口バイオアベイラビリティの増強に加えて、ヌクレオチドアナログに基づく療法の治療上の利益を有意に改善し得る。
【発明の概要】
【0004】
概要
新規なヌクレオチドプロドラッグ化合物、それらの調製およびそれらの使用が記載される。いくつかの実施形態は、標的器官に経口送達された新規なヌクレオチドプロドラッグ化合物であり、この化合物は治療上の利益を提供する。さらなる実施形態は、肝炎、マラリア、ウイルス感染症、寄生虫感染症、およびコロナウイルス感染症を含む、疾患、障害、または状態を治療する新規のヌクレオチドプロドラッグ化合物を含む。別の態様は、標的器官ならびに類似の組織および細胞への薬物の分布の増強から恩恵を受ける疾患を治療するためのヌクレオチドプロドラッグ化合物の使用を含む。別の態様において、ヌクレオチドプロドラッグ化合物は、ヌクレオチド由来アナログ化合物などのある種の医薬化合物の薬理学的または臨床的活性を増加させるために使用される。いくつかの実施形態では、ヌクレオチドプロドラッグ化合物は、標的器官および細胞へのヌクレオチド化合物の経口および/または吸入送達をより効率的に行うために有用である。いくつかのさらなる実施形態は、ヌクレオチドプロドラッグ化合物を作製する方法に関する。
【0005】
本明細書に提供されるいくつかの実施形態は、式Iの化合物:
またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩を含み、式中、R1、R2、R3、R4、およびnは、本明細書に記載される任意の値を有する。
【0006】
いくつかの実施形態は、上記の化合物の1種または複数種と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0007】
いくつかの実施形態は、上記化合物の1つと薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0008】
いくつかの実施形態は、上記の化合物のうちの1つを有効量で投与する工程を含む、疾患、障害、または状態を治療する方法に関する。
【0009】
いくつかの実施形態において、疾患、障害、または状態は、ウイルス感染症の疾患、障害、または状態である。
【0010】
いくつかの実施形態は、上記化合物のうちの1つを有効量で、それを必要とする対象に投与する工程を含む、ウイルス感染症を治療する方法に関する。
【0011】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つの追加の治療剤を有効量で、それを必要とする対象に投与する工程をさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。
【0013】
いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0014】
いくつかの実施形態において、細胞はインビボである。
【0015】
いくつかの実施形態において、細胞はエキソビボである。
【0016】
いくつかの実施形態において、細胞は肝細胞である。
【0017】
いくつかの実施形態において、細胞は哺乳動物細胞である。
【0018】
いくつかの実施形態において、細胞はヒト細胞である。
【0019】
本明細書に提供される化合物、組成物、および方法のいくつかの実施形態は、本明細書に提供される化合物のうちの1つと、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を含む。
【0020】
本明細書に提供される化合物、組成物、および方法のいくつかの実施形態は、本明細書に提供される化合物のうちの1つを有効量で、それを必要とする対象に投与する工程を含む、対象におけるウイルス感染症の疾患または状態を治療する方法を含む。
【0021】
本明細書に提供される化合物、組成物、および方法のいくつかの実施形態は、本明細書に提供される化合物のうちの1つを有効量で、それを必要とする対象に投与する工程を含む、対象における疾患または状態を治療する方法を含む。
【0022】
いくつかの実施形態はまた、1つまたは複数の追加の治療剤の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。
【0023】
いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。
【0024】
いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0025】
いくつかの実施形態はまた、追加の治療剤と組み合わせた、本明細書に提供される化合物のうちの1つの使用を含む。
【0026】
本明細書に提供される化合物、組成物、および方法のいくつかの実施形態は、ウイルス感染症における疾患または状態を治療するための医薬の調製における使用のための、本明細書に提供される組成物のうちの1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、IVレムデシビル、経口レムデシビル、または経口化合物105の投与後の選択された時点でのラットにおける対応するヌクレオシドの血中濃度を示すグラフである。
【0028】
図2図2は、IVレムデシビル、経口レムデシビル、または経口化合物105の投与後の選択された時点でのラットにおける対応するヌクレオシドの血中濃度を示すグラフである。
【0029】
図3図3は、IVレムデシビル、経口レムデシビル、または経口化合物105の投与後の選択された時点でのラットにおける対応する三リン酸の肝臓濃度を示すグラフである。
【0030】
図4図4は、IVレムデシビル、経口レムデシビル、または経口化合物105の投与後の選択された時点でのラットにおける(肝臓における対応するヌクレオシド濃度)/(血中の対応するヌクレオシド濃度)比を示すグラフである。
【0031】
図5図5は、吸入レムデシビルまたは気管内化合物105投与後の選択された時点でのラットにおける対応するヌクレオシドの血中濃度を示すグラフである。
【0032】
図6図6は、吸入レムデシビルまたは気管内化合物105投与後の選択された時点におけるラットにおける対応するヌクレオシドの肺濃度を示すグラフである。
【0033】
図7図7は、吸入レムデシビルまたは気管内化合物105投与後の選択された時点でのラットにおける対応する三リン酸の肺濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
詳細な説明
本発明の実施形態は、新規なヌクレオチドプロドラッグ化合物、それらの調製およびそれらの使用に関する組成物および方法に関する。いくつかの実施形態では、新規なヌクレオチドプロドラッグ化合物は、ヌクレオチド由来の作用物質、例えば、ヌクレオチド誘導体/アナログおよびプロドラッグを含有するリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの、細胞への送達を促進する。
【0035】
これらのヌクレオチドプロドラッグ化合物ならびにその立体異性体および薬学的に許容される塩は、式I:
によって表されるか、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩であり、式中、R1、R2、R3、R4、およびnは、本明細書に記載される任意の値を有する。
【0036】
いくつかの実施態様において、R1は、H、任意選択で置換されたC1~C15アルキル、任意選択で置換されたC3~C15シクロアルキル、および任意選択で置換されたC2~C15アルケニルの群より選択される。
【0037】
いくつかの実施態様において、R1は、任意選択で置換されたC1~C15アルキルである。
【0038】
いくつかの実施態様において、R1は、非置換C1~C6アルキルである。
【0039】
いくつかの実施態様において、R1は、エチルである。
【0040】
いくつかの実施態様において、R1は、n-プロピルである。
【0041】
いくつかの実施態様において、R1は、i-プロピルである。
【0042】
いくつかの実施形態において、R1はメチルである。
【0043】
いくつかの実施形態において、R2は、ハロゲン、任意選択で置換されたアルキル、および任意選択で置換されたアルキルオキシの群より選択される。
【0044】
いくつかの実施態様において、R3は、H、任意選択で置換されたアシル、およびC-カルボキシの群より選択される。
【0045】
いくつかの実施態様において、R3は、Hである。
【0046】
いくつかの実施態様において、R4は、H、任意選択で置換されたアシル、C-アミド、およびC-カルボキシの群より選択される。
【0047】
いくつかの実施形態において、nは、0、1、2、または3である。
【0048】
いくつかの実施形態において、nは0である。
【0049】
いくつかの実施形態において、nは1である。
【0050】
いくつかの実施形態において、R4はC-カルボキシである。いくつかの実施形態において、R4は、アシルである。
【0051】
いくつかの実施形態において、化合物は、以下からなる群より選択される:
【0052】
いくつかの実施形態において、式Iのヌクレオチドプロドラッグ化合物は、シトクロムp450アイソザイムCYP3A(モノオキシゲナーゼファミリー)、デヒドロゲナーゼ、エステラーゼ、およびアミダーゼなどの酵素の基質である。
【0053】
いくつかの実施形態において、化合物は、プロドラッグ部分が開裂すると、細胞内で活性化されて、活性型の化合物を放出する。
【0054】
いくつかの実施形態において、開示されている化合物は、薬物動態特性を改善するために、例えば、半減期を延長するために、またはヌクレオチドの取り込みを増強するために使用される。さらに、開示される方法論は、生物学的に関連するヌクレオチドの持続的送達を達成するために使用され得る。式Iのヌクレオチドプロドラッグ化合物の薬物動態特性が増強されるので、該化合物は、ウイルス感染症の疾患または状態を治療するために使用される。いくつかの実施形態において、これらの化合物を作製する方法が記載される。
【0055】
式Iの化合物は、不斉中心を有し、立体化学は特定されない場合があり、式Iの化合物が一般的に言及される場合の個々の立体異性体と同様に、これらの化合物のジアステレオマー混合物が含まれる。
【0056】
いくつかの実施形態において、開示される化合物の有効量は、それを必要とする対象における疾患、障害、または状態の治療に使用される。
【0057】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、ウイルス感染症の治療に使用される。
【0058】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わせて使用される。
【0059】
いくつかの実施形態おいて、本明細書に記載の化合物は、ウイルス感染症の治療のための医薬の製造において使用される。
【0060】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物は、有効量の化合物をそれを必要とする対象に投与する工程を含むウイルス感染症を治療する方法において使用される。
【0061】
本明細書に提供される化合物、組成物、および方法のいくつかの実施形態は、本明細書に提供される化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を含む。
【0062】
いくつかの実施形態は、本明細書に提供される化合物と組み合わせて、有効量の第2の治療剤または複数の治療剤を、それを必要とする対象に投与する工程をさらに含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。
【0064】
いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0065】
本明細書で提供される化合物、組成物、および方法のいくつかの実施形態は、開示される化合物と細胞を接触させる工程を含む、細胞中の化合物を試験する方法を含む。
【0066】
本明細書に開示される化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、それらは、個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーとして、またはラセミ体を含むこれらの異性体の混合物として存在してもよい。個々の異性体の分離または個々の異性体の選択的合成は、当業者に周知である様々な方法を適用することによって達成される。特に明記しない限り、これらの異性体およびそれらの混合物の全ては、本明細書に開示される化合物の範囲内に含まれる。さらに、本明細書に開示される化合物は、1種または複数種の結晶形態または非晶質形態で存在してもよい。特に明記しない限り、これらの形態の全ては、任意の多形形態を含む、本明細書に開示される化合物の範囲に含まれる。さらに、本明細書に開示される化合物のいくつかは、水(すなわち、水和物)または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成してもよい。これらの溶媒和物は、特に明記しない限り、本明細書に開示される化合物の範囲内に含まれる。
【0067】
当業者は、本明細書に記載される構造のいくつかは、動力学的である場合でさえ、他の化学構造によって明確に示され得る化合物の共鳴形態または互変異性体であり得ることを、当業者は認識するだろう;これらの構造が、これらの化合物試料のごく一部のみを表す可能性があることを、当業者は認識する。これらの化合物は、記載された構造の範囲内であると考えられるが、これらの共鳴形態または互変異性体は、本明細書では示されていない。
【0068】
同位体が、記載される化合物中に存在してもよい。化合物構造において表される各化学元素は、その元素の任意の同位体を含み得る。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在することが明示的に開示または理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素の任意の同位体であってよく、水素-1(プロチウム)および水素-2(重水素)が含まれるが、これらに限定されない。したがって、本明細書における化合物への言及は、文脈がそうではないと明確に示さない限り、全ての潜在的な同位体形態を包含する。
【0069】
定義
本開示に従い、本明細書で使用される場合、以下の用語は、別段の明確な規定がない限り、以下の意味で定義される。前述の一般的な説明および後述の詳細な説明の両方は、単なる例示および説明のためのものであり、特許請求される主題を限定するものではないことを理解されたい。本出願において、単数形の使用は、そうではないと明確に言及しない限り、複数形を含む。本出願において、「または」の使用は、別途明記されない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含むこと」の使用は、「含む」および「含まれる」などの他の形態も同様に、限定的なものではない。
【0070】
本明細書で使用される場合、範囲および量は、「約」特定の値または範囲として表され得る。「約」は正確な量も含む。したがって、「約10%」は、「約10%」および同様に「10%」を意味する。
【0071】
本明細書で使用される場合、「任意選択の」または「任意選択で」は、続いて記載される事象または状況が起こるかまたは起こらないことを意味し、その記載は、事象または状況が起こる場合および起こらない場合を含む。例えば、任意選択で置換された基は、その基が非置換であるか、または置換されていることを意味する。
【0072】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に示しない限り、複数形の指示対象を含む。したがって、例えば、「治療剤」を含む組成物への言及は、1つまたは複数の治療剤を有する組成物を含む。
【0073】
本明細書で使用される場合、「Ca~Cb」または「Ca~b」において、「a」および「b」は整数であり、特定の基における炭素原子の数を指す。すなわち、この基は、「a」から「b」まで(両端の値を含む)の炭素原子を含み得る。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」または「C1~4アルキル」は、1~4個の炭素原子を有するすべてのアルキル基、すなわち、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、および(CH3)3C-を指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、完全に飽和した(すなわち、二重結合または三重結合を含まない)直鎖または分岐鎖の炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有してもよい(本明細書で出現する場合はいつでも、「1~20」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~20個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大で20個かつ20個を含む炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない用語「アルキル」の出現も包含する)。アルキル基はまた、1~9個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。また、アルキル基は、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。アルキル基は、「C1~C4アルキル」または類似した名称で呼ばれてもよい。単なる例として、「C1~C4アルキル」は、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子があることを示し、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルからなる群より選択される。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリーブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書で使用される場合、置換基は、1つまたは複数の水素原子が他の原子または基と交換されている、非置換の親基に由来する。他に示されない限り、基が「置換されている」と見なされる場合は、基が、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C7カルボシクリル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、C3~C7-カルボシクリル-C1~C6-アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、3~10員複素環(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、3~10員ヘテロシクリル-C1~C6-アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、アリール(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、アリール(C1~C6)アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、5~10員ヘテロアリール(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、5~10員ヘテロアリール(C1~C6)アルキル(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシ(C1~C6)アルキル(すなわち、エーテル)、アリールオキシ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、C3~C7カルボシクリロキシ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、3~10員ヘテロシクリル-オキシ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、5~10員ヘテロアリール-オキシ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、C3~C7-カルボシクリル-C1~C6-アルコキシ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、3~10員ヘテロシクリル-C1~C6-アルコキシ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、アリール(C1~C6)アルコキシ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、5~10員ヘテロアリール(C1~C6)アルコキシ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、スルフヒドリル(メルカプト)、ハロ(C1~C6)アルキル(例えば、-CF3)、ハロ(C1~C6)アルコキシ(例えば、-OCF3)、C1~C6アルキルチオ、アリールチオ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、C3~C7カルボシクリルチオ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、3~10員ヘテロシクリル-チオ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、5~10員ヘテロアリール-チオ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、C3~C7-カルボシクリル-C1~C6-アルキルチオ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、3~10員ヘテロシクリル-C1~C6-アルキルチオ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、アリール(C1~C6)アルキルチオ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、5~10員ヘテロアリール(C1~C6)アルキルチオ(ハロ、C1~C6アルキル、C1~C6アルコキシ、C1~C6ハロアルキル、およびC1~C6ハロアルコキシにより任意選択で置換される)、アミノ、アミノ(C1~C6)アルキル、ニトロ、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、アシル、シアナト、イソシアナト、チオシアナート、イソチオシアナート、スルフィニル、スルホニル、ならびにオキソ(=O)から独立して選択される1つまたは複数の置換基で置換されることを意味する。基が「任意選択で置換される」と記載されるときはいつも、上記の置換基で置換され得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「アシル」は、-C(=O)Rを指し、Rは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルであり、これらは、本明細書で定義されるとおりである。非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、およびアクリルが挙げられる。
【0077】
「ヘテロアシル」は、-C(=O)Rを指し、Rは、C1~6ヘテロアルキルである。
【0078】
「アルキルオキシメチレン」は、-CH2ORを指し、Rは、C1~6アルキル、またはヘテロアルキルであり、いずれも任意選択で置換される。
【0079】
「O-カルボキシ」基は、「-OC(=O)R」基を指し、Rは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルから選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。
【0080】
「C-カルボキシ」基は、「-C(=O)OR」基を指し、Rは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルから選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。非限定的な例としては、カルボキシル(すなわち、-C(=O)OH)が挙げられる。
【0081】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0082】
「シアナト」基は、「-OCN」基を指す。
【0083】
「イソシアナト」基は、「-NCO」基を指す。
【0084】
「チオシアナート」基は、「-SCN」基を指す。
【0085】
「イソチオシアナート」基は、「-NCS」基を指す。
【0086】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)R」基を指し、Rは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルから選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。
【0087】
「スルホニル」基は、「-SO2R」基を指し、Rは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルから選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。
【0088】
「S-スルホンアミド」基は、「-SO2NRARB」基を指し、RAおよびRBは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。
【0089】
「N-スルホンアミド」基は、「-N(RA)SO2RB」基を指し、RAおよびRbは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。
【0090】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)NRARB」基を指し、RAおよびRBは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。
【0091】
「N-カルバミル」基は、「-N(RA)C(=O)ORB」基を指し、RAおよびRBは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。
【0092】
「O-チオカルバミル」は、「-OC(=S)NRARB」基を指し、RAおよびRBは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。
【0093】
「N-チオカルバミル」基は、「-N(RA)C(=S)ORB」基を指し、RAおよびRBは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。
【0094】
「C-アミド」基は、「-C(=O)NRARB」基を指し、RAおよびRBは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、これらは、本明細書に定義されるとおり、-OH;C1~6アルキル;C3~7カルボシクリル;C6~10アリール;5~10員ヘテロアリール;3~10員ヘテロシクリル;C1~6アルコキシまたは-OHにより任意選択で置換されるC1~6アルキル;およびC1~6アルコキシまたは-OHにより任意選択で置換されるC1~6アルコキシからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換される。
【0095】
「N-アミド」基は、「-N(RA)C(=O)RB」基を指し、RAおよびRBは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、これらは、本明細書に定義されるとおり、-OH;C1~6アルキル;C3~7カルボシクリル;C6~10アリール;5~10員ヘテロアリール;3~10員ヘテロシクリル;C1~6アルコキシまたは-OHにより任意選択で置換されるC1~6アルキル;およびC1~6アルコキシまたは-OHにより任意選択で置換されるC1~6アルコキシからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換される。
【0096】
「アミノ」基は、「-NRARB」基を指し、RAおよびRBは、水素、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~7カルボシクリル、C6~10アリール、5~10員ヘテロアリール、および3~10員ヘテロシクリルからそれぞれ独立して選択され、これらは、本明細書に定義されるとおりである。非限定的な例としては、遊離アミノ(すなわち、-NH2)が挙げられる。
【0097】
「アミノアルキル」基は、アルキレン基を介して結合しているアミノ基を指す。
【0098】
「アルコキシアルキル」基は、アルキレン基を介して結合しているアルコキシ基、例えば、「C2~8アルコキシアルキル」などを指す。
【0099】
用語「アシルオキシ」は、-OC(O)Rを指し、Rはアルキルである。
【0100】
用語「アルコキシ」または「アルキルオキシ」は、ORを指し、Rは、アルキルまたはヘテロアルキルであり、いずれも任意選択で置換される。
【0101】
用語「カルボキシル」は、C(O)OHを指す。
【0102】
用語「オキソ」は、=O基を指す。
【0103】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、F(フッ素)、Cl(塩素)、Br(臭素)、およびI(ヨウ素)を指す。
【0104】
用語「ハロアルキル」は、少なくとも1つのハロゲンを含有するアルキル基を指し、さらなる態様では、1~3個のハロゲン原子である。好ましいハロゲン原子にはF、Cl、およびBrが含まれる。
【0105】
用語「ハロアシル」は、-C(O)-ハロアルキル基を指す。
【0106】
用語「アルケニル」は、2~12個の原子を有しかつ少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含有する不飽和基を指し、直鎖、分岐鎖、および環状基を含む。アルケニル基は、任意選択で置換されてもよい。好ましいアルケニル基は、アリルを含む。
【0107】
用語「アルキニル」は、2~12個の原子を有しかつ少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含有する不飽和基を指し、直鎖、分岐鎖、および環状基を含む。アルキニル基は、任意選択で置換されてもよい。好ましいアルキニル基は、エチニルを含む。
【0108】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、環骨格中に炭素のみを含む芳香族環または環系(すなわち、2つの隣接する炭素原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。アリール基が環系である場合、系中の各環は芳香族である。アリール基は、6~18個の炭素原子を有してもよいが、本定義は、数値範囲が指定されない「アリール」という用語の出現も包含する。いくつかの実施形態では、アリール基は、6~10個の炭素原子を有する。アリール基は、「C6~10アリール」、「C6もしくはC10アリール」、または類似した名称で呼ばれてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アズレニル、およびアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、環骨格内に1つまたは複数のヘテロ原子、すなわち、窒素、酸素、および硫黄を含むがこれらに限定されない、炭素以外の元素を含有する、芳香族環または環系(すなわち、2つの隣接する原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。ヘテロアリールが環系である場合、系中の各環は芳香族である。ヘテロアリール基は、5~18環員(すなわち、炭素原子およびヘテロ原子を含む、環骨格を構成する原子の数)を有し得るが、本明細書の定義は、数値範囲が指定されていない用語「ヘテロアリール」の出現も包含する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール基は、5~10個の環員または5~7個の環員を有する。ヘテロアリール基は、「5~7員ヘテロアリール」、「5~10員ヘテロアリール」、または類似した名称で呼ばれてもよい。ヘテロアリール基は、任意選択で置換されてもよい。ヘテロアリール基の例としては、1個の酸素原子もしくは硫黄原子、または最大4個までの窒素原子、または1個の酸素原子もしくは硫黄原子および最大2個までの窒素原子との組み合わせを含む芳香族C3~8複素環基、ならびにそれらの置換体、さらに例えば環形成炭素原子のうちの1つを介して結合したベンゾ縮合およびピリド縮合誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール基は、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルキルアミド、アシル、C1~6-アルコキシ、C1~6-アルキル、C1~6-ヒドロキシアルキル、C1~6-アミノアルキル、C1~6-アルキルアミノ、アルキルスルフェニル、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、スルファモイル、またはトリフルオロメチルから独立して選択される1つまたは複数の置換基により任意選択で置換される。ヘテロアリール基の例としては、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピロール、ピリジン、インドール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、インダゾール、テトラゾール、キノリン、イソキノリン、ピリダジン、ピリミジン、プリンおよびピラジン、フラザン、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、プテリジン、フェノキサゾール、オキサジアゾール、ベンゾピラゾール、キノリジン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、およびキノキサリンの、非置換体誘導体およびモノ置換誘導体またはジ置換誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、置換基は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、O-C1~6-アルキル、C1~6-アルキル、ヒドロキシ-C1~6-アルキル、およびアミノ-C1~6-アルキルである。
【0110】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和したカルボシクリル環または環系を意味する。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。シクロアルキル基は、3~10個の炭素原子を有してもよく(本明細書において現れる場合はいつでも、「3~10」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指す。シクロアルキル基は、「C3~C8シクロアルキル」または類似した名称で呼ばれてもよい。単なる例として、「C3~C8シクロアルキル」は、3~8個の炭素原子がカルボシクリル環または環系中に存在することを示す。
【0111】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」は、完全に飽和または部分的に飽和であり、窒素、酸素、および硫黄から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を環骨格中に含む、非芳香族の環状または環構造を意味する。ヘテロシクリルは、環系内の少なくとも1つの環が芳香族ではないという条件で、任意の程度の飽和を有し得る。ヘテロ原子は、環系中の非芳香族環または芳香族環のいずれかに存在してもよい。ヘテロシクリル基は、3~20環員(すなわち、炭素原子およびヘテロ原子を含む、環骨格を構成する原子の数)を有し得るが、本定義は、数値範囲が指定されていない用語「ヘテロシクリル」の出現も包含する。ヘテロシクリル基はまた、3~10環員を有する中程度のサイズのヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基はまた、3~6環員を有するヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクロアルキル基は、「3~15員ヘテロシクロアルキル」、「4~10員ヘテロシクロアルキル」、「3~15員C2~14ヘテロシクロアルキル」、「5~9員C4~8ヘテロシクロアルキル」、「5~10員C4~9ヘテロシクロアルキル」、「5員C3~4ヘテロシクロアルキル」、「6員C4~5ヘテロシクロアルキル」、「7員C5~6ヘテロシクロアルキル」、「二環式または三環式9~15員C8~14ヘテロシクロアルキル」、「単環式または二環式3~10員C2~9ヘテロシクロアルキル」、「二環式8~10員C4~9ヘテロシクロアルキル」、「二環式8~10員C5~9ヘテロシクロアルキル」、「単環式4~7員C3~6ヘテロシクロアルキル」、「単環式5~6員C3~5ヘテロシクロアルキル」、または類似した名称で呼ばれてもよい。ヘテロシクリル基はまた、O(酸素)、N(窒素)、またはS(硫黄)のうちの1個から最大3個を有する、3~10個の環員を有するC2~C9ヘテロシクリルであり得る。ヘテロシクリル基は、「3~10員C2~C9ヘテロシクリル」または類似した名称で呼ばれてもよい。好ましい6員の単環式ヘテロシクリルでは、ヘテロ原子は、O(酸素)、N(窒素)、またはS(硫黄)のうちの1個から最大3個から選択され、好ましい5員の単環式ヘテロシクリルでは、ヘテロ原子は、O(酸素)、N(窒素)、またはS(硫黄)から選択される1個または2個のヘテロ原子から選択される。ヘテロシクリル環の例としては、アゼピニル、アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジオキソラニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、モルホリニル、オキシラニル、オキセパニル、チエパニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジオキソピペラジニル、ピロリジニル、ピロリドニル、ピロリジオニル、4-ピペリドニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、1,3-ジオキシニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキシニル、1,4-ジオキサニル、1,3-オキサチアニル、1,4-オキサチニル、1,4-オキサチアニル、2H-1,2-オキサジニル、トリオキサニル、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジニル、1,3-ジオキソリル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオリル、1,3-ジチオラニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリジノニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、1,3-オキサチオラニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロ-1,4-チアジニル、チアモロフォリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンズイミダゾリジニル、およびテトラヒドロキノリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
同様に、2つの「隣接する」R基が、「それらが結合している原子とともに」環を形成すると見なされる場合、その原子の集合単位、介在する結合、および2つのR基が、記載されている環であることを意味する。例えば、以下の部分構造が存在し:
かつR1およびR2が、水素およびアルキルからなる群より選択されると定義される場合、またはR1およびR2が、それらが結合している原子とともに、アリールもしくはカルボシクリルを形成する場合、R1およびR2が、水素もしくはアルキルから選択され得るか、または代わりに、部分構造が以下の構造を有し:
式中、Aが、記載された二重結合を含有するアリール環またはカルボシクリルであることを意味する。
【0113】
置換基がジラジカルとして記載されている(すなわち、分子の残りの部分への結合点を2つ有する)場合、置換基は、特に指定のない限り、任意の方向の立体配置で結合し得ることが理解される。したがって、例えば、-AE-または
と記載された置換基は、Aが分子の最左端の結合点に結合するように配向している置換基と、同様に、Aが分子の最右端の結合点に結合する事例とを含む。
【0114】
語句「治療有効量」は、特定の疾患もしくは状態の症状の1つもしくは複数を部分的にまたは完全に寛解させる、減弱する、もしくは排除する、または特定の疾患もしくは状態の症状の1つもしくは複数の発症を予防する、変更する、もしくは遅延させる化合物または化合物の組み合わせの量を意味する。このような量は、単回用量として投与されてもよく、またはレジメンに従って投与されてもよく、したがって、それが有効である。所望の結果(例えば、疾患および/または障害の治療)を達成するために、反復投与が必要とされ得る。
【0115】
用語「薬学的に許容される塩」は、本実施形態の化合物と有機または無機の酸または塩基との組み合わせから誘導される式Iの化合物の塩を含む。薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸と共に形成され得る。塩を誘導することができる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、アジピン酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、(+)-7,7-ジメチル-2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタン-1-メタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、ドデシルスルホン酸、サリチル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、馬尿酸、塩酸ヘミエタノール酸(hydrochloride hemiethanolic acid)、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、ラクトビオン酸、メチルブロモ酸、メチル硫酸、2-ナフタレンスルホン酸、オレイン酸、4,4-メチレンビス-[3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸]、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、スルホサリチル酸、タンニン酸、テレフタル酸などが挙げられる。塩を誘導することができる無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどを含む塩基が含まれ;特に好ましいのは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、およびマグネシウム塩である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される化合物を無機塩基によって処理することは、不安定な水素を化合物から失わせ、Li+、Na+、K+、Mg2+、およびCa2+などの無機カチオンを含む塩形態をもたらす。塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、第一級、第二級、および第三級アミン;天然に存在する置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などを含む置換アミン;具体的にはイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、およびエタノールアミンが挙げられる。
【0116】
任意の所与の置換基の数を指定することなく(例えば、「ハロアルキル」)、1つまたは複数の置換基が存在してもよい。例えば、「ハロアルキル」は、1つまたは複数の同一のまたは異なるハロゲンを含み得る。例えば、「ハロアルキル」は、置換基CF3、CHF2、およびCH2Fのそれぞれを含む。
【0117】
用語「患者」は、哺乳動物、例えばイヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、およびヒトを含む治療されるべき動物を指す。いくつかの実施形態において、患者は、オスまたはメスのいずれかの哺乳動物である。いくつかの実施形態において、患者は男性または女性のヒトである。
【0118】
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」という用語は、生体系に投与された場合に、自然発生的な化学反応、酵素触媒化学反応、および/もしくは代謝化学反応、またはそれぞれの組み合わせの結果として生物学的に活性な化合物を生成する、任意の化合物を指す。標準的なプロドラッグは、HO-、HS-、HOOC-、HOOPR2-など、薬物に関連し、インビボで切断される、官能基に結合した基を用いて形成される。標準的なプロドラッグは、基がアルキル、アリール、アラルキル、アシルオキシアルキル、アルコキシカルボニルオキシアルキルであるカルボキシレートエステル、ならびにヒドロキシル、チオール、および結合している基がアシル基、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、ホスフェート、またはサルフェートであるアミンのエステルを含むが、これらに限定されない。示される基は例示であり、網羅的なものではなく、当業者は、他の既知の種類のプロドラッグを調製することができる。プロドラッグは、生物学的に活性である化合物または生物学的に活性な化合物の前駆体である化合物を生成するために、何らかの形態の化学変換を受けなければならない。いくつかの場合において、プロドラッグは、通常薬物自体よりも低いが、生物学的に活性であり、経口バイオアベイラビリティ、薬力学的半減期などを改善することによって、薬物有効性または安全性を改善するのに役立つ。化合物のプロドラッグ形態は、例えば、バイオアベイラビリティを改善するため、例えば苦味または胃腸刺激などの不快な特性をマスキングまたは低減することによって対象の認容性を改善するため、例えば静脈内使用のために溶解性を変化させるため、持続性または徐放性の放出または送達を提供するため、製剤化の容易さを改善するため、または化合物の部位特異的送達を提供するために使用され得る。
【0119】
用語「立体異性体」は、立体中心の炭素原子またはリン原子に結合しているR基の相対的または絶対的な空間的関係を指し、個々の異性体の個々のまたは任意の組み合わせ、例えば、ラセミ混合物およびジアステレオマー混合物を指す。化合物が2つの立体中心を有する場合、4つの潜在的立体異性体が存在する。
【0120】
用語「増強された経口バイオアベイラビリティ」は、参照薬物用量の吸収の少なくとも約50%の増加を指す。さらなる態様では、化合物の経口バイオアベイラビリティの増加は、(参照薬物と比較して)少なくとも約100%、または吸収の倍増である。経口バイオアベイラビリティの測定値は、通常、非経口投与後の測定値と比較して、経口投与後の血液、血漿、組織、または尿中のプロドラッグ、薬物、または薬物代謝物の測定値を指す。
【0121】
用語「治療指数」は、死亡、毒性を示すマーカーの上昇、および/または薬理学的副作用などの、望ましくない応答を生じる用量に対する、治療上有益な応答を生じる薬物またはプロドラッグの用量の比を指す。
【0122】
用語「持続性送達」は、プロドラッグの存在による治療上有効な薬物のレベルの延長である時間の増加を指す。
【0123】
疾患を「治療すること」または疾患の「治療」との用語は、疾患の阻害(その進行を遅らせるか、もしくは止めるか、もしくは部分的に止める)、疾患の予防、疾患の症状もしくは副作用の軽減(緩和処置を含む)、および/または疾患の緩和(疾患の退縮を引き起こす)を含む。
【0124】
用語「生物学的作用物質」は、生物学的活性を有するか、または治療もしくは診断目的に使用できる分子特性を有する化合物、例えば、放射性同位体または重原子を有する化合物を指す。
【0125】
用語「分子経路」は、生きた動物の生理学的または病態生理学的な機能に関与する、受容体調節シーケンス、酵素調節シーケンス、または生合成シーケンスなどの組織内の一連の分子事象を指す。
【0126】
投与および医薬組成物
開示される化合物は、単独で、または他の治療と組み合わせて使用され得る。他の薬剤と組み合わせて使用する場合、これらの化合物は、1日量または1日量の適切な分割量(例えば、1日2回)として投与してもよい。化合物は、別の薬剤による治療の過程の後、別の薬剤による治療の過程の間に投与されてもよく、治療計画の一部として投与されてもよく、または治療プログラムにおける別の薬剤による治療の前に投与されてもよい。
【0127】
薬学的に許容される塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、ベシル酸塩、臭化物、カンシル酸塩、塩化物、クエン酸塩、エジシル酸塩、エストレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、馬尿酸塩、ヒクラート、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、マレイン酸塩、メシレート、臭化メチル、硫酸メチル、ナプシレート、硝酸塩、オレイン酸塩、パルモエート、リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テレフタル酸塩、トシル酸塩、およびトリエチオダイドが挙げられる。
【0128】
活性成分を含有する組成物は、意図される投与方法に適した任意の形態であり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法および/または組成物の化合物は、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、腸内投与、経腸投与、局所投与、経皮投与、髄腔内投与、心室内投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、眼内投与、および/または非経口投与によって提供され得る。
【0129】
化合物が経口投与を介して投与される場合、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水もしくは油懸濁剤、分散性粉末もしくは顆粒剤、乳剤、硬もしくは軟カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤を調製することができる。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物を調製するための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができ、そのような組成物は、味のよい製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤、および保存剤を含む1つまたは複数の薬剤を含有してもよい。錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合した有効成分を含有する錠剤は許容される。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウムもしくは炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムもしくはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えば、コーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム;ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクなどの滑沢剤であってもよい。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、または胃腸管における崩壊および吸収を遅延させ、それにより長期間にわたる持続効果を提供するためのマイクロカプセル化を含む公知の技術によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を単独で、またはワックスとともに使用することができる。
【0130】
経口使用のための製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えばリン酸カルシウムもしくはカオリンと混合され得る硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分が水もしくは油媒体、例えばピーナッツ油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合され得る軟質ゼラチンカプセルとして、存在してもよい。
【0131】
非経口投与に適した製剤としては、例えば、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る、水性および非水性等張滅菌注射溶液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は、単位用量または複数回用量の密封容器、例えばアンプルおよびバイアルで提供することができ、使用直前に滅菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)条件下で保存してもよい。注射溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製してもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、単位用量製剤は、薬物の1日用量または単位、1日副用量、またはその適切な分割用量を含む。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、当業者に十分理解されるように、使用される特定の化合物の活性;治療される個体の年齢、体重、全身の健康状態、性別および食事;投与の時間および経路;排出速度;以前に投与された他の薬物;ならびに治療を受ける特定の疾患の重症度を含む、様々な要因に依存し得ることが理解される。
【0133】
本明細書に記載の化合物の実際の用量は、特定の化合物および治療される状態に依存し;適切な用量の選択は、当業者の知識の十分に範囲内である。いくつかの実施形態において、1日用量は、体重1 kg当たり約0.1 mg/kg~約100 mg/kg以上、体重1 kg当たり約0.25 mg/kg以下~約50 mg/kg、約0.5 mg/kg以下~約25 mg/kg、約1.0 mg/kg~約10 mg/kgであってもよい。したがって、70 kgのヒトへの投与の場合、用量範囲は、約7 mg/日~約7000 mg/日、約35 mg/日以下~約2000 mg/日以上、約70 mg/日~約1000 mg/日である。
【0134】
治療方法
本発明のいくつかの実施形態は、肝炎、肝臓癌、肝線維症、脂肪肝、マラリア、ウイルス感染症、寄生虫感染症、糖尿病、高脂血症、アテローム性動脈硬化症、肥満、脂質異常症、高血糖症、ホルモン障害、HIVおよび様々な種類の癌からなる群より選択される疾患、障害、または状態を、本明細書に記載の化合物および本明細書に記載の化合物を含む組成物を用いて治療する方法を含む。いくつかの方法は、本明細書に記載の化合物、組成物、医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む。ある実施形態において、対象は、動物、例えば哺乳動物、ヒトであってもよい。ある実施形態において、対象はヒトである。
【0135】
いくつかの実施形態は、感染性因子によって引き起こされる感染を、本明細書に開示される1つまたは複数の化合物の有効量で治療する方法を提供し、ここで、感染性因子はウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは一本鎖RNAウイルスである。さらに他の実施形態では、ウイルスは二本鎖RNAウイルスである。他の実施形態では、ウイルスは、プラス鎖ssRNAウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは、マイナス鎖ssRNAウイルスである。いくつかの実施形態では、ウイルスは二本鎖DNAウイルスである。他の実施形態では、ウイルスは一本鎖DNAウイルスである。
【0136】
いくつかの実施形態において、ウイルスはコロナウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはポックスウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは、天然痘ウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは、マールブルグウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはエボラウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはフラビウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはインフルエンザウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはパラインフルエンザウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは呼吸器合胞体ウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは麻疹ウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはヒト免疫不全ウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはヒトパピローマウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは水痘-帯状疱疹ウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは単純ヘルペスウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはサイトメガロウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはエプスタイン-バー型ウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはJCウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはラブドウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはロタウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはライノウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはアデノウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはパピローマウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはパルボウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは、ピコルナウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはポリオウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはハンタウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは、フィロウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはコクサッキーウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは、ウマ脳炎ウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは、リフトバレー熱ウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスはアルファウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、ウイルスは、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、D型肝炎ウイルス、またはE型肝炎ウイルスであり得る。
【0137】
いくつかの実施形態において、ウイルスはコロナウイルスであり得る。いくつかの実施形態において、コロナウイルスはMERS-CoVであり得る。他の実施形態において、コロナウイルスはSARS-CoVであり得る。いくつかの実施形態において、コロナウイルスはSARS-CoV-2であり得る。
【0138】
さらなる実施形態は、化合物の組み合わせを、それを必要とする対象に投与することを含む。組み合わせは、追加の薬物を伴う本明細書に記載される化合物、組成物、医薬組成物を含み得る。
【0139】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載される化合物、組成物、および/または医薬組成物を、さらなる薬物またはさらなる治療剤と同時投与することを含む。「同時投与」とは、2種以上の薬剤が、実際に投与される時間または方法にかかわらず、患者の血流中に同時に見出される可能性があることを意味する。一実施形態では、薬剤は、同時に投与される。そのような一実施形態において、併用投与は、単一剤形中に複数の薬剤を組み合わせることによって達成される。別の実施形態では、薬剤は、逐次投与される。一実施形態では、薬剤は、同じ経路によって、例えば経口で投与される。別の実施形態では、薬剤は、異なる経路によって投与され、例えば、一方が経口投与され、他方が静脈内投与される。
【0140】
本発明をさらに説明するために、以下の実施例が包含される。もちろん、これらの実施例は、本発明を具体的に限定するものと解釈されるべきではない。特許請求の範囲内のこれらの実施例のバリエーションは、当業者の権限内にあり、本明細書に記載および請求される本発明の範囲内にあると考えられる。当業者は、本開示の教示の下で、本発明の網羅的な実施例なしで、本発明を作製および使用することができることを、読み手は認識するであろう。
【0141】
化合物の合成
新規化合物の調製のための以下の手順は、ヌクレオチドプロドラッグ化合物を調製するために使用する概略的な手順を例示するものである。
【0142】
スキームIは、式Iの化合物の一般的な合成を記載する。ヌクレオシド(1)を4,5-ジシアノイミダゾールの存在下でホスファンジアミン(2)と反応させて、構造3の環状生成物を得、次いで、粗反応混合物をtert-ブチルヒドロペルオキシドなどの酸化剤で処理して、式Iの最終生成物4を得る。
【0143】
スキーム1
Rは、R1として上述した定義を有する。
【実施例
【0144】
式Iの化合物のいくつかが、以下概要されるように調製された。
【0145】
実施例1
2-((((4aR,6R,7R,7aS)-6-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-6-シアノ-7-ヒドロキシ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-2-イル)オキシ)メチル)安息香酸エチル(化合物101)
化合物101は、N,N,N',N'-テトライソプロピル-1-(2-(2-エチルオキシ)カルボニルベンジルオキシ)ホスファンジアミンおよび(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボニトリルから、スキームIに示される方法に従って調製された。[M-1]+ C22H22N5O8Pの計算値:514.11。実測値:514.1。
【0146】
実施例2
2-((((4aR,6R,7R,7aS)-6-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-6-シアノ-7-ヒドロキシ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-2-イル)オキシ)メチル)安息香酸プロピル(化合物102)
化合物102は、N,N,N',N'-テトライソプロピル-1-(2-(2-プロピルオキシ)カルボニルベンジルオキシ)ホスファンジアミンおよび(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボニトリルから、スキームIに示される方法に従って調製された。[M-1]+ C23H24N5O8Pの計算値:528.13。実測値:258.1。
【0147】
実施例3
2-((((4aR,6R,7R,7aS)-6-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-6-シアノ-7-ヒドロキシ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-2-イル)オキシ)メチル)安息香酸イソプロピル(化合物103)
化合物103は、N,N,N',N'-テトライソプロピル-1-(2-(2-イソプロピルオキシ)カルボニルベンジルオキシ)ホスファンジアミンおよび(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボニトリルから、スキームIに示される方法に従って調製された。[M-1]+ C23H24N5O8Pの計算値:528.13。実測値:258.1。
【0148】
実施例4
2-((((4aR,6R,7R,7aR)-7-アセトキシ-6-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-6-シアノ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-2-イル)オキシ)メチル)安息香酸イソプロピル(化合物104)
化合物104は、トリエチルアミンの存在下において無水酢酸により化合物103を標準アシル化することによって、調製された。[M-1]+ C25H26N5O9Pの計算値:570.14。実測値:570.1。
【0149】
実施例5
2-((((4aR,6R,7R,7aR)-7-アセトキシ-6-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-6-シアノ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-2-イル)オキシ)メチル)安息香酸エチル(化合物105)
化合物105は、トリエチルアミンの存在下において無水酢酸により化合物101を標準アシル化することによって、調製された。[M-1]+ C24H24N5O9Pの計算値:556.12。実測値:556.1。
【0150】
実施例6
2-((((4aR,6R,7R,7aR)-6-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル) -6-シアノ-2-オキシド-7-(プロピオニルオキシ)テトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-2-イル)オキシ)メチル)安息香酸エチル(化合物106)
化合物106は、トリエチルアミンの存在下において無水プロピオン酸により化合物101を標準アシル化することによって、調製された。[M-1]+ C25H26N5O9Pの計算値:570.14。実測値:570.1。
【0151】
実施例7
2-((((4aR,6R,7R,7aS)-6-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-6-シアノ-7-ヒドロキシ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-2-イル)オキシ)メチル)安息香酸メチル(化合物107)
化合物107は、N,N,N',N'-テトライソプロピル-1-(2-(2-メチルオキシ)カルボニルベンジルオキシ)ホスファンジアミンおよび(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-カルボニトリルから、スキームIに示される方法に従って調製された。[M-1]+ C21H20N5O8Pの計算値:500.09。実測値:500.0。
【0152】
実施例8
2-((((4aR,6R,7R,7aR)-7-アセトキシ-6-(4-アミノピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-6-シアノ-2-オキシドテトラヒドロ-4H-フロ[3,2-d][1,3,2]ジオキサホスフィニン-2-イル)オキシ)メチル)安息香酸メチル(化合物108)
化合物108は、トリエチルアミンの存在下において無水酢酸により化合物107を標準アシル化することによって、調製された。[M-1]+ C23H22N5O9Pの計算値:542.11。実測値:542.1。
【0153】
生物学的実施例
本明細書に記載の方法の実施例は、以下を含む。以下は実施例であり、方法はこれらの実施例のみに限定されるものではないと理解されたい。
【0154】
実施例9:参照化合物および開示された化合物の経口投与後の組織分布
IVレムデシビル(2mg/kg)、経口レムデシビル(5mg/kg)、および経口試験化合物(5mg/kg)をラットに投与した。経口投与は、絶食ラットに対して強制経口投与にて行った。循環中のヌクレオシド代謝物の血漿濃度はHPLC-UVで測定し、活性三リン酸の肝臓中濃度は標準クロマトグラフィー法を用いてLC-MSで測定した。
【0155】
図1は、化合物105および参照化合物の投与後8時間までのヌクレオシド代謝物の血中濃度を測定した第1の試験の結果を示す。図2は、1時間後および5時間後に血中濃度を測定した第2の試験の結果を示す。その結果、化合物105の経口投与は、レムデシビルの経口投与に比べ2倍以上の曝露を、レムデシビルのIV投与に比べ、特により長時間においてより多い曝露をもたらすことが示された。図3は、1時間後および5時間後にヌクレオシド三リン酸の肝臓中濃度を測定した第2の試験のさらなる結果を示す。化合物105により生成された肝臓と血液の比率はレムデシビルにより生成された比率と同じままであったにも関わらず、化合物105は、IVまたは経口レムデシビルのいずれよりも有意に多い肝臓への曝露を示した。図4は第2の試験から1時間後および5時間後の(肝臓中の対応するヌクレオシドの濃度)/(血液中の対応するヌクレオシドの濃度)の比率を示すグラフである。
【0156】
表1は、経口レムデシビルと比較した複数の試験化合物について1時間後および5時間後の血中レベルおよび肝臓レベルを含む。その結果、試験化合物はレムデシビルよりもはるかに高い肝臓への曝露をもたらしたことが実証された。
【0157】
(表1)化合物の経口投薬後1時間および5時間での血中ヌクレオシド(Nuc)レベルおよび肝臓ヌクレオシド三リン酸(NTP)レベル。
*≧2xは、参照化合物によって生成される濃度よりも少なくとも2倍高い濃度を表す。
【0158】
実施例10:参照化合物および開示された化合物の吸入投与後の組織分布。
レムデシビルまたは指定の試験化合物を、吸入経路により2mg/kgでラットに投与した。ヌクレオシド代謝物およびその三リン酸の肺中濃度を、標準クロマトグラフィー法を用いてLC-MSで測定した。
【0159】
図5は、化合物105および参照化合物の投与後1時間および5時間でのヌクレオシド代謝物の血中レベルを示す。化合物105は、レムデシビルよりも多くの曝露をもたらした。図6は、ヌクレオシド代謝物の肺中レベルを示す。化合物105はレムデシビルの4倍以上多い曝露をもたらした。図7は、肺におけるヌクレオシド三リン酸レベルを示す。レムデシビルは定量レベルよりも低かったが、化合物105は三リン酸の肺への曝露を有意にもたらした。
【0160】
本明細書で使用される、成分の量、反応条件等を表す数字はいずれも、全ての場合において用語「約」によって修飾されているものと理解されたい。したがって、特に断りのない限り、本明細書に記載された数値パラメータは近似値であり、得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。少なくとも、本出願の優先権を主張する任意の出願における任意の請求項の範囲と均等な原理の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、有効数字の数値および通常の丸め手法に従って解釈されるべきである。
【0161】
本明細書で使用される場合、用語「おおよそ」、「約」、「おおむね」、および「実質的に」などの程度の文言は、依然として所望の機能を実行しているか、または所望の結果を達成している、明記された値、量、または特性に近い値、量、または特性を意味する。例えば、用語「おおよそ」、「約」、「おおむね」、および「実質的に」は、明記された量の10%未満以内、5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内、および0.01%未満以内の量を指し得る。別の例として、特定の実施形態では、「おおむね平行」および「実質的に平行」という用語は、15%、10%、5%、3%、1%、0.1%以下、またはその他の程度で完全な平行からずれている値、量、もしくは特性を指す。同様に、特定の実施形態では、「おおむね垂直」および「実質的に垂直」という用語は、15%、10%、5%、3%、1%、0.1%以下、またはその他の程度で完全な垂直からずれている値、量、もしくは特性を指す。
【0162】
上記の説明は、いくつかの方法および材料を開示する。本発明は、製造方法および装置の代替と同様、方法および材料の変更を容易にする。これらの修正は、本開示または本明細書に開示される本発明の実施を考慮して、当業者には明らかとなるであろう。したがって、本発明は、本明細書に開示される特定の実施形態に限定されることを意図しておらず、本発明の真の範囲および要旨に含まれる全ての修正および代替を包含することを意図している。
【0163】
限定ではないが、公開および未公開の出願、特許、ならびに参考文献を含む、本明細書に引用される全ての参考資料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、したがって本明細書の一部を構成する。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が、本明細書に含まれる開示と矛盾する限りでは、本明細書が、任意のこのような矛盾した資料よりも優先されかつ/または上位にくることが意図される。
【0164】
いくつかの実施形態および実施例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で多数かつ様々な変更が可能であると理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】