(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-05
(54)【発明の名称】モータ駆動システム
(51)【国際特許分類】
H02K 55/00 20060101AFI20230529BHJP
【FI】
H02K55/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566001
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 GB2021051030
(87)【国際公開番号】W WO2021220001
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519359479
【氏名又は名称】ジーケーエヌ エアロスペース サービシズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,シモン
(57)【要約】
本発明は、燃料電池と、前記燃料電池に電気的に接続されたモータと、使用時に冷却剤を収容するように配置された極低温システムとを備え、前記燃料電池は前記モータに電流を出力するように配置され、前記極低温システムは使用時に、前記極低温システムから前記燃料電池に冷却剤を伝達するように配置されるモータ駆動システムに関する。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池と、
前記燃料電池に電気的に接続されたモータと、
使用時に冷却剤を収容するように構成された極低温システムと
を備え、
前記燃料電池は、前記モータに電流を出力するように構成され、
前記極低温システムは使用時に、前記極低温システムから前記燃料電池に前記冷却剤を伝達するように構成される
ことを特徴とするモータ駆動システム。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ駆動システムにおいて、
前記極低温システムは使用時に、前記モータの温度を低下させるために前記モータに冷却剤を伝達するように構成されている、モータ駆動システム。
【請求項3】
前記モータは、電気バスによって前記燃料電池に電気的に接続され、前記極低温システムは、使用時に、前記冷却剤を前記電気バスに伝達して前記電気バスの温度を低下させるように配置される、請求項1又は2に記載のモータ駆動システム。
【請求項4】
前記電気バスは、少なくとも1つのスイッチ及び/又は少なくとも1つのインバータを備える、請求項3に記載のモータ駆動システム。
【請求項5】
前記電気バスが変圧器を含まない、請求項3又は4に記載のモータ駆動システム。
【請求項6】
前記燃料電池によって出力される電流は、前記モータに入力される電流と実質的に同じである、請求項1~5のいずれか一項に記載のモータ駆動システム。
【請求項7】
前記燃料電池によって出力される電流は、電気バスに沿った電流と実質的に同じである、請求項6に記載のモータ駆動システム。
【請求項8】
前記モータは、ステータ及びロータを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のモータ駆動システム。
【請求項9】
前記ステータは、クリオスタットであることを特徴とする請求項8に記載のモータ駆動システム。
【請求項10】
前記モータは、永久磁石、及び誘導電動機の少なくとも1つを備える、請求項8又は9に記載のモータ駆動システム。
【請求項11】
前記モータは、インナーロータ及びアウターロータを備え、前記インナーロータは前記ステータの内側に配置され、前記ステータは前記アウターロータの内側に配置される、請求項8~10のいずれか一項に記載のモータ駆動システム。
【請求項12】
複数のモータを備え、前記燃料電池は、前記複数のモータの各々に電流を出力するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のモータ駆動システム。
【請求項13】
複数の燃料電池を備え、各燃料電池が、前記モータの1つ以上のコイルに電流を出力するように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載のモータ駆動システム。
【請求項14】
複数のモータ及び複数の燃料電池を備え、
前記燃料電池の各々が、前記複数のモータのうちの1つ又は複数のモータの1つ又は複数のコイルに電流を出力するように構成される、
請求項1~11のいずれか一項に記載のモータ駆動システム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のモータ駆動システムを備える航空機。
【請求項16】
前記燃料電池が胴体内に配置される、請求項15に記載の航空機。
【請求項17】
前記燃料電池がナセル内に配置される、請求項15に記載の航空機。
【請求項18】
前記燃料電池は、胴体及びナセル内に配置される、請求項15に記載の航空機。
【請求項19】
モータを動作させる方法であって、
燃料電池を提供するステップと、
モータを提供するステップと、
前記燃料電池と前記モータとの間の電気的接続を提供するステップと、
前記燃料電池へ冷却剤を供給するステップと、
前記燃料電池からモータに直接電力を出力するステップと
を備える方法。
【請求項20】
前記モータに冷却剤を供給するステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記モータはステータ及びロータを備え、前記ステータは極低温ステータである、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
さらに、請求項19~21のいずれかに記載の方法であって、
第1の電流値において、前記燃料電池から電力を出力するステップと、
電気接続部に沿って、実質的に前記第1の電流値で前記電力を通過させるステップと、
実質的に前記第1の電流値で前記モータに電力を入力するステップと
を備える方法。
【請求項23】
前記燃料電池と前記モータとの間の電気的接続のための電気バスを提供する、請求項19~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記電気バスに冷却剤を供給するステップを更に備える、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記燃料電池から複数のモータに電力を出力するステップを更に含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
複数の燃料電池から前記モータに電力を出力することをさらに含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
複数の燃料電池の各々から複数のモータのうちの1つ又は複数に電力を出力するステップを更に含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
使用時に空気中で回転する際に推力を発生させるよう配置されたプロペラと、
使用時に前記プロペラの回転を生じさせるように配置されるモータ駆動システムと
を備える航空推進装置であって、
前記モータ駆動システムは、
燃料電池と、
前記燃料電池に電気的に接続されたモータと、
使用時に冷却剤を収容するように構成された極低温システムと
を備え、
前記燃料電池は、前記モータに電流を出力するように構成され、
前記極低温システムは、使用時に、前記極低温システムから前記燃料電池に冷却剤を伝達するように構成される
ことを特徴とする航空機推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非効率な駆動システムは環境に影響を与えるため、モータ駆動システムの効率化が注目されている。モータ駆動システムは、陸上車両及び空中車両の両方の動作に使用することができる。
【0003】
多くの予測によれば、飛行機の交通量は15年ごとに2倍に設定され、これは空中モータ駆動システムの動作の著しい増加を提供する。非効率な駆動システムは、非効率なシステムを構成するために必要とされる駆動を生成するためのより多くの資源の使用に繋がる。従って、より効率的なシステムの開発によって、資源(灯油など)の使用を削減することができる。多くの駆動システムからの放出は、地上レベルで生成されようと、高度の高い位置で生成されようと、有害であることが知られている。
【0004】
代替燃料の使用が知られており、これらは現在の燃料に勝る利点を提供するが、改良することができるモータ駆動システムの分野が存在する。最も単純なモータ駆動システム内にも多数の要素があるので、モータ駆動システムの効率を向上させようとする試みは、多数の可能な始動の選択肢を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、モータ駆動システムの効率の改善における多くの進歩にもかかわらず、より効率的なシステムが依然として望まれている。しかしながら、本明細書に記載される発明の発明者らは、本明細書に記載される、以前には享受できなかった広範囲に亘る利点を有するモータ駆動システムを作り出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に記載される。
第1の態様から見ると、燃料電池と、燃料電池に電気的に接続されたモータと、使用時に冷却剤を収容するように配置された極低温システムとを備えるモータ駆動システムが提供される。燃料電池はモータに電流を出力するように配置され、極低温システムは、極低温システムから燃料電池に冷却剤を伝達するように使用時に配置される。
【0007】
第2の態様から見ると、第1の態様のモータ駆動システムを備える航空機が提供される。
【0008】
第3の態様から見ると、モータを動作させる方法が提供され、この方法は、燃料電池を提供するステップと、モータを提供するステップと、燃料電池とモータとの間に電気的接続を提供するステップと、燃料電池に冷却剤を提供するステップと、燃料電池に冷却剤を提供するステップと、燃料電池からモータに直接電力を出力するステップとを含む。
【0009】
第4の態様から見ると、航空機推進装置が提供され、航空機推進装置は、使用時に空気中で回転する最に推力を発生させるよう配置されたプロペラと、使用時に該プロペラの回転を生じさせるように配置されるモータ駆動システムとを含む。モータ駆動システムは、燃料電池と、燃料電池に電気的に接続されたモータと、使用時に冷却剤を収容するよう構成された極低温システムとを備える。燃料電池はモータに電流を出力するように配置され、極低温システムは極低温システムから燃料電池に冷却剤を伝達するために使用中に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の1つ以上の実施形態を、単なる例として、以下の図面を参照して説明する。
【
図2A】本発明の実施例によるモータ駆動システムの概略図を示す。
【
図2B】本発明の実施例によるモータ駆動システムの概略図を示す。
【
図3A】本発明の実施例によるモータ駆動システム用のモータの一部の概略図を示す。
【
図3B】本発明の実施例によるモータ駆動システム用のモータの一部の概略図を示す。
【
図4】本発明の実施例によるモータ駆動システム用のモータの一部の概略図を示す。
【
図5】本発明の実施例によるモータ駆動システムの概略構成を示す
【
図6】航空機の一部分内に配置された、本発明の実施例によるモータ駆動システムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書における先行技術文献へのいかなる言及も、そのような先行技術が広く知られているか、又は当該分野における共通の一般的知識の一部を形成することを認めるものとみなされるべきではない。本明細書で使用される場合、単語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、及び類似の単語は、排他的又は網羅的な意味で解釈されるべきではない。言い換えれば、それらは「含むが、これに限定されない」ことを意味することを意図している。本発明は、以下の実施例を参照してさらに説明される。特許請求の範囲に記載の本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではないことが理解されるのであろう。本発明は、個々の実施形態だけでなく、本明細書に記載の実施形態の組み合わせも包含することも認識されるのであろう。
【0012】
本明細書に記載される様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解及び教示を助けるためにのみ提示される。これらの実施形態は、実施形態の代表的なサンプルとしてのみ提供され、網羅的及び/又は排他的ではない。本明細書に記載される利点、実施形態、実施例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲、又は特許請求の範囲の均等物に対する限定とみなされるべきではなく、特許請求される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施形態が利用され得、修正が行われ得ることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は本明細書に具体的に記載されたもの以外の開示された要素、構成要素、特徴、部分、工程、手段などの適切な組み合わせを適切に含み、それらから構成され、又はそれらから本質的に構成され得る。加えて、本開示は現在請求されていないが、将来請求され得る他の発明を含み得る。
【0013】
本発明はモータ駆動システムに関し、特に、電流効率の改善を提供することができる航空機モータ駆動システムに関する。
【0014】
図1は、モータ駆動システム10の概略図を示す。最新のモータ駆動システム100は、電力を生成する電源12を有することができる。電力は、電気導管14に沿って送られる。電気導管14は、それぞれの端部(電源12の端部、及びモータ20の端部)に配置された変圧器16、18を有する。電力は、電気導管14の長さに沿った電源の損失を低減するように変換される。そのような損失は、渦電流などから生じ得る。実際、変圧器16、18は、従来のシステム10において高電圧の方が大電流よりも好ましい場合、大電流の伝送に関連するジュール効果に起因する損失を低減する。
【0015】
電源12からの電力は、電気導管14に沿って移動する前に、第1の変圧器16によって昇圧される(電圧が上昇し、電流が低下する)。この移動ステージは比較的長い距離に亘って生じ得るので、この距離に沿って移動する前に電流を低下させることは、電気的損失を低減する。次いで、電力はモータ20に供給される前に、第2の変圧器18によって降圧される(電圧が低下し、電流が増加する)。図示のモータ20は、ステータ22及びロータ24を備える。
【0016】
このシステム10は推進力が生成され得るように、モータ20に電力が供給されることを可能にする。一例では、電源12は燃料電池であってもよい。特定の例では、
図1に示すシステム10が電気導管14と、変圧器16、18と、モータ20とを含むシステム部分11を有することができる。このシステム部分11は、検証することができる効率を有する。電気導管14は典型的には約98%の効率を有し、変圧器16、18は典型的には約98%の効率を有し、モータは、典型的には97%の効率を有する。従って、このシステム部分11は、約92%の全体効率を有する。
【0017】
変圧器16、18の代わりに、装置10は、上記のジュール加熱を回避するのに十分に低い電流を生成するように配置された燃料電池12を有することができる。しかし、燃料電池12が優先的に大きな電流を生成するので、依然としてシステム全体の効率が低下する。この構成10は、出口におけるプラントコントローラと何らかの電力調整のバランスを使用することができる。そのような電力調整は、バッテリなどの中間蓄電要素を使用して部分的に制御され得る。これらの特徴を含めることは、システム部分11の全体的な効率を再び低下させる。
【0018】
図2Aは、本発明の実施例によるモータ駆動システム100の概略図を示す。図示のモータ駆動システム100は、電源110を有する。電源110は、燃料電池110であってもよい。モータ駆動システム100は、燃料電池110に電気的に接続されたモータ120を有する。モータ駆動システム100は、使用時に冷却剤を収容するように構成された極低温システム130を有する。使用中、極低温システム130は、極低温システム130から燃料電池110に冷却剤を伝達するように構成される。この冷却剤は、燃料電池110の温度を低下させることができる。
【0019】
図示のモータ駆動システム100はまた、燃料電池110をモータ120に電気的に接続する電気導管140を有する。図示のモータ駆動システム100はまた、燃料電池110とモータ120との間の電気接続を制御可能かつ可逆的に切断することができる、電気導管140上に配置されたスイッチ150を有する。モータ駆動システム100は、複数のスイッチ150を有することができる。スイッチ150は、システム100を遮断する際の安全のために使用されてもよい。スイッチ150は、一例では接触器であってもよい。異なるアーキテクチャ(
図2A及び2Bに示される)は、異なる方法で安全を可能にする異なる配置を示す。
図2Bでは、燃料電池110とモータ120との間にインバータ118が示されている。
【0020】
一実施形態では、インバータ118(及び/又はコンバータ)を使用して、燃料電池110からの出力の電圧又は電流を変化させることができる。この出力は、モータ120に提供され得る。モータ120又はステータコイル用のインバータ118(又は電力電子回路)は、同じユニットに組み込まれてもよい。例えば、インバータ118は、モータ120に一体化されてもよく、又は内蔵されてもよい。インバータ118がモータ120に内蔵される例では、インバータ118とステータ巻線とが同じ低温回路を共有し得る。低温回路は、極低温冷却される回路であってもよく、又は構成要素の極低温冷却を可能にするための冷却剤を運ぶ導管の配置であってもよい。そのような構成要素は例えば、モータ、インバータ、及びステータ巻線であってもよい。インバータ118は、モータ120内で磁場を制御可能に変化することを可能にし得る。スイッチ150及び/又はインバータ118は、逆EMFをステータコイルから隔離するように作用することができる。これは、有利にはシステムに戻るエネルギーに対する安全機能を提供する。
【0021】
極低温システム130は、冷却剤を収容するように構成されてもよい。冷却剤は、液体又は気体であってもよい。冷却剤は、液体水素(LH2)又は液体窒素(LN)又は液体ヘリウム(LHE)又は液体天然ガス(LNG)などのいずれであってもよい。極低温システム130は電力を生成するために、液体冷却剤を燃料電池110に供給することができる。様々な要素に冷却剤を「供給」、「提供」又は「伝達」するとは、本明細書では、要素の近傍に冷却剤が移動し、又は移動することを許容され、この結果、その要素との熱交換が実行され、熱エネルギがその要素から離れて冷却剤へと伝達されることを意味する。冷却剤が要素に伝わることにより、素子の温度が低下する。
【0022】
本明細書では「冷却剤」、「極低温物質」及び「極低温源」などの用語は極低温温度の実際の物質を指すために互換的に使用され得る。そのような物質は、ほとんどの構成において、タンクや容器などの中に収容される。冷却剤は、問題の物質に明らかに依存するが、-50℃までの物質では極低温挙動が観察されている。従って、極低温は、本明細書では-50℃未満の温度を指すものとする。
【0023】
本明細書で使用される場合、「極低温源」又は「冷却剤」という用語は、非限定的な用語であると見なされ、従って、液体水素、液体天然ガス、液体窒素、液体ヘリウムなどのいずれかを指し得る。冷却剤は、必ずしも上記リストのうちの1つだけである必要はない。例えば、H2を燃料源として使用することができ、一方、極低温冷却は例えば、液体窒素によって供給される。
【0024】
電力を燃料電池110からモータ120に伝導する電気導管140は、伝送損失を低減するために、極低温システム130によって供給される冷却剤によって過冷却されてもよい。スタックの凍結を回避することは有利であり得る。凍結を防止するための1つの選択肢は、システム内に放出された熱を利用し、凍結を防止するためにその熱をルーティングすることである。水の温度は、形成される水が露点未満であるが凝固点を超えるように制御されてもよい。これにより、表面との接触時に水が凍結するのを防ぐことができる。凍結を防止するための他の方法は、水が接触し得る任意の表面を水の凝固点より上の温度に調整することを含む。システムの熱電設計は、凍結を防ぐために、システム内で生成される熱がセル及びスタック内でルーティングされることを確実にするように制御することができる。
【0025】
さらなる技術は、システム内の空気の膨張と同様に入口特性を制御することを含む。そのような膨張は壁の温度を低下させることがあり、これは、冷たい表面上で水が凍結することにつながり得る。従って、空気膨張は制御され制限されるべきである。制御は、水素及び酸素が燃料電池110のプレートをどのように通過することができるかについて、正確に行われるべきである。そのような制御は、システム内の空気の流れを制御するための一連のバルブ及び導管などによって提供することができる。
【0026】
極低温システム130はまた、モータ120を冷却するように、モータ120に冷却剤を伝達してもよい。モータ120の冷却は、モータ120の温度を下げるために、モータ120の熱連通内に冷却剤を通すことを伴い得る。特に、冷却剤は、ステータコイル/巻線を冷却するために、モータ120の熱連通内を通過することができる。冷却剤は、モータ120及び/又は電気導管140からいくらかの熱が除去されると、冷却剤の再循環を可能にするために、導管などに通されてもよい。冷却剤が加熱されるにつれて、一部の冷却剤は、燃料電池における燃料としての使用に適したものとなり得る。これは、燃料電池110に冷却及び燃料を提供する効率的な方法である。
【0027】
図2に示される構成では、燃料電池110の動作が電力を生成し、電力はその後、モータ120のステータ122に駆動を提供する。図示の例では、燃料電池110が電力を供給するように動作する。この電力は大電流であり、電線管140に沿って大電流でモータ120に移動する。
図1のシステムで使用されるこの方法のために重要であり、従って予防的である損失は、電気導管140に伝達される冷却剤によって軽減される。電気導管140は、極低温システム130による電気導管140への通信によって超伝導にすることができる。電気導管140は、電気バスであってもよい。
【0028】
構成100内のモータ120は電荷(電流)の移動を介して燃料電池110からの電気エネルギーを磁場に変換し、ここで、電流密度は、磁場強度、従ってトルクに対する制限因子である。トルクを増大させるために、電流密度、従って冷却が増大される。従って、電気バス140のより大きな冷却により、より効率的な構成100が提供される。一実施形態では、電圧は非常に低く、電流は非常に高い。電圧は、電界を変調するために使用され得る。これは、電気バス140の極低温冷却又は高温超伝導構成によってサポートすることができる。
【0029】
電気バス140は、燃料電池110から生成される大電流電力の通過を可能にするように、高電力電気バス140であってもよい。電気バス140は、非常に高い電流密度、すなわち、燃料巻線に直接送られる単位面積当たり大きなアンペア数の電流を搬送しなければならない場合がある。システム100は、モータ120の起動及び停止を制御することができるように、モータ120の界磁巻線に対する電圧制御のフォームを利用することができる。電気バスに使用され得る材料は銅、アルミニウム、グラフェン、又は例えばマグネシウムボライド(MgB2)などの超伝導材料(及び高温超伝導)のバスバー、ケーブル、線材、又は、リッツ線を含む。
【0030】
図2に示されるシステム100は相乗的に、燃料電池110とモータ120の機能を組み合わせる。これは、燃料電池110の大電流出力がモータ120の界磁巻線に直接供給され得るようなものである。さらに、極低温システム130に使用時に含まれる冷却剤は、電気効率などを改善するために、燃料電池110、モータ120、及び電気バス140に伝達されてもよい。変圧器は、燃料電池110によって生成される電力を昇圧又は降圧する必要はない。
【0031】
従って、燃料電池110によって生成された、又は出力された電流は、モータ120に入る、又はそこに入力される電流と実質的に同じである。さらに、燃料電池110によって生成又は出力される電流は、電気バス140に沿って運ばれる電流と実質的に同じである。
【0032】
電気バスは実際には完全に超伝導ではなく、むしろ、一例では電気バス140のいかなる不完全性も、電気バス140の長さに沿った熱損失の形成で、電流のいくらかの劣化(たとえわずかであっても)をもたらし得るので、「実質的に」が本明細書で使用されている。そのような不完全性は、例えば、製造又は不純物などの欠陥に起因し得る。別の例では、極低温システム130の不完全性及び冷却剤の送達が電気バス140がその使用の全期間中に完全に超伝導でないことにつながり得る。従って、実際には、これらのわずかな損失のために、燃料電池110とモータ120との間で、電流のわずかな低レベル変化が生じることがある。しかしながら、「実質的に」は電気導管140に沿って通過する前に電流を変更する能動的工程(例えば、変圧器を介して)を含む現代のシステムとは対照的に解釈されるべきである。そのような能動的変更工程は一例では本明細書に開示される新規な構成のために、冗長にされている。一例では、インバータ118が燃料電池110とモータ120との間に配置されてもよい(
図2B参照)。
【0033】
このようにして、
図1に示される最新の装置10に対して、本発明はその一例が
図2に示されるが、一連の利点を提供する。特に、開示された構成100は、これらの要素を含めることの複雑さ及び費用を低減する。さらに、これは、システム100の信頼性及び効率を改善する。
【0034】
燃料電池110は、複数の燃料電池を含む燃料電池スタック110であってもよい。積層体内の複数の燃料電池110は、大電流伝達のために最適化され、モータステータ122のハウジングと同じ構造体を共有する(すなわち一体化される)ことができる。燃料電池スタック110の出力は直流であってもよく、界磁巻線も直流であってもよい。
【0035】
モータ120はインバータなどの機械を制御するコントローラであるパワーエレクトロニクスモータ駆動部を有し、ステータコイルに流す電流を制御(多くする、少なくする、遮断する、など)することができる。シャフト出力は電気推進のために、又は環境制御システムの一部として圧縮機及び/又はタービンなどを駆動するために使用され得る。モータ120のステータ122は、クリオスタット(cryostator)であってもよい。これは、極低温冷却されたステータコイル又は巻線、又はステータ全体の冷却から生じ得る。コイルだけを冷却することの利点は、冷却を提供するための冷却剤の使用の低減である。従って、使用される冷却剤の量が節約される。さらに、冷却コイルは極低温冷却コイルセットを維持するための冷却剤の必要性をさらに低減するために、例えばロータから熱的に分離され得る。モータ120のロータ124は、永久磁石であってもよい。永久磁石とすることは、
図2に示される装置100を製造するコスト効率の良い方法であり得る。別の例では、磁石が超伝導磁石(極低温システム130によって提供される冷却剤を有する)又は通常の磁石(例えば、希土類又はフェライトコアなど)であってもよい。
【0036】
図3Aは、本発明の実施例によるモータ駆動システムのためのモータの部分200の概略図を示す。
図3Aは特に、ステータ210とロータ220との軸対称配置を示している。ロータ220は、アウターロータ220である。ステータ210は、アウターロータ220の内側に配置されている。極低温システム内の冷却剤は、モータのロータ220上のポンピング装置によってポンピングされてもよい。
【0037】
図3Bは、本発明の実施例によるモータ駆動システムのためのモータの部分200の概略図を示す。
図3Bは特に、ステータ230とロータ240との軸対称配置を示している。ロータ240は、インナーロータ240である。インナーロータ240は、ステータ230の内側に配置される。内部ロータ240の回転方向は、矢印Aによって示される。極低温システム内の冷却剤は、モータのロータ240上のポンピング装置によってポンピングされてもよい。
【0038】
本発明は、
図3A及び3Bの配置のいずれかと共に使用することができるが、3B(リム駆動)であることが好ましい場合がある。これは、中空で円筒形の構造などで操作することができる。図示されていない別の構成では、単一のロータ及び複数のステータが存在する。一例では、ロータがアウターステータの内側に配置され、インナーステータの外側に配置される。別の構成では、
図3A及び
図3Bに示される構成の拡張において、一連のステータの内向き及び外向きに配置された一連のロータが存在し得る。
【0039】
図4は、本発明の実施例によるモータ駆動システム用のモータの部分300の概略図を示す。特に、
図4は、ステータ310とロータ320との非対称配置を示す。
図4の構成は、リム駆動モータ300である。ロータ320は、インナーロータ320である。ステータ310は、インナーロータ320の外側に配置されている。
図4には、リム駆動ファンのブレード330も示されている。
【0040】
本明細書に記載のモータ駆動システム構成は、任意選択で、気化した液体冷却剤を凝縮して液体冷却剤に戻すために熱交換を行うためのクリオクーラ(cryocooler)を有することができる。クリオクーラの使用は特定の飛行中に最終的に失われる冷却剤の量を低減することができ、従って、装置のランニングコストを低減することができる。クリオクーラが存在しない構成の例では、気化した冷却剤をバルク源に戻して、凝縮して液体形態に戻すことができる。これは、代替的に又は追加的に、燃料電池のための燃料として使用することができる。
【0041】
図5は、本発明の実施例によるモータ駆動システム400の概略構成を示す。図示のモータ駆動システム400は、燃料電池410と、分岐電気バス(又は一連の電気バス)420、422、424、426と、複数のモータ442、444、446とを有する。燃料電池から突出する電気バス420は、3つの異なる分岐(又は異なるバス)422、424、426に分岐する。これらの分岐422、424、426の各々は、それぞれのモータ442、444、446に接続する。この構成では、燃料電池410が複数のモータ442、444、446に電力を供給することができる。このようにして、推進力は、このモータ駆動システム400が配置されている車両内のいくつかの異なる場所で発生させることができる。これは推進力の効率的な分配を可能にし、従って、より効率的な推進力を可能にし得、これは順に、推進力を生成するために燃料電池に提供されるリソースに対する要件を低下させ得る。
【0042】
さらに、電気バス420、422、424、426に提供される冷却剤は、電力が高い電気損失を被ることなく、長距離にわたって搬送され得ることを保証する。これにより、1つの燃料電池410を使用して、車両内の有利な位置に分散されている複数のモータ442、444、446に電源を供給することができる。従って、複数の燃料電池を使用するコストが低減され、システム全体の信頼性が向上する。
【0043】
一例では、バス部分420、422、424、426の各々は電力の通過を制御するためのスイッチを有することができる。代替又は追加として、バス部分420、422、424、426のいくつかの組合せは、特定のモータ442、444、446、又はモータ442、444、446の特定の組合せへの電力の通過を制御するためのスイッチを有し得る。このようにして、モータは、必要な推進力に基づいて選択的かつ制御可能に作動させることができる。例えば、ユーザは、全てのモータにわたって全電力を供給する必要があり、従って、全てのスイッチを閉じるように選択することができる。しかしながら、より正確な移動のために、ユーザは、特定のモータの特定の位置から推進力が生成されるので、特定のモータのみを作動させることを選択することができる。
【0044】
特定の例では、本明細書に開示されるモータ駆動システムが航空機内で使用され得る。
図6は、航空機500の一部分内に配置された、本発明の実施例によるモータ駆動システムの概略図を示す。航空機500の一部分は、ナセル560の一部分と、中心軸であり得るインナーシャフト570とを含む。モータ駆動システムは上記で詳細に説明したように、燃料電池510と、モータ520と、極低温システム530と、電気バス540とを有する。モータ駆動システム構成要素は、前の実施例で説明したように実質的に相互作用する。燃料電池510のための熱的に有利な場所であるので、燃料電池510は、ナセル内に、ガス経路から離れて配置される。矢印Bによって示される空気流はナセルの上を通過し、ナセルを通過し、異なる温度の位置をもたらし、これは、本明細書に記載されるモータ駆動システムの要素を位置付けるために有利に使用され得る。
【0045】
電気バス540は、ガイドベーン552を通過するように示されている。電気バス540は、ナセル560内の複数のガイドベーン552、554のいずれかを通過することができる。図示の特定の構成では、極低温冷却電気バス540が、ナセルを通過することができる排気ガスから出口ガイドベーンを冷却することができる。同様に、氷結を防止するための熱制御は、出口ガイドベーンを通る水チャネルの形態で、前記チャネルを通って流れる水と共に提供されてもよい。また、そのような水チャネルによって除氷機能が提供されてもよい。
【0046】
モータ520には、極低温システム530から冷却剤を供給することができる。従って、モータ520は、完全超伝導モータであってもよい。上述のように、これは、使用中のモータ520の効率を改善することができる。
【0047】
図6の例では、燃料電池510はナセル560内に配置されている。燃料電池510はまた、航空機の胴体内に配置されてもよい。熱が燃料電池510からナセル560自体に入力され得るので、燃料電池510をナセル560内に配置することが有益であり得る。これは、熱交換器などを介してもよい。これは、空気流の熱力学的エネルギーを増加させることができ、従って、ナセル560からのより多くの推力を提供することができる。この熱エネルギーはまた、又は代替的に、ノーズ(機首)の除氷などのために使用されてもよい。ナセル560の圧力分布にも有益な影響があり得、これはまた、燃料電池510からの低品質熱の使用を提供する。
【0048】
燃料電池は代わりに、中央本体570内に配置されてもよい。ファンブレードの後の燃料電池510の位置は有利であり得、これは、騒音出力を制限し、胴体での使用よりも空気力学を改善する。燃料電池は、航空機の胴体内に配置することができる。これは、燃料電池510とモータ520との完全な一体化の利点を提供するので、有利であり得る。これは伝達損失を低減し得るが、流体を一方から他方に伝達する必要があり得る。上述のように、ナセルに関して、燃料電池の胴体内の位置によって同様の利点を得ることができる。例えば、境界層への熱交換は空気力学的効率を改善し、また、境界層インゲスタ(boundary layer ingestor)などの下流の推進器における追加の効率をもたらすことができる。
【0049】
燃料電池は、貯蔵するのに比較的大量の容積を必要とするので、燃料電池を収容するのに大きな容積があるナセル、又は大きな胴体領域又は翼に燃料電池を有利に配置することができる。
【0050】
航空機内にバラストタンクが配置され、これにより、近くの水がある場所に水が沈着するのを防ぐことができる。従って、バラストタンク内に水を保持することは、水がバラストタンク内に貯蔵され、放出されないという選択肢を可能にする。水の放出は、航空機から適切に除去されるように制御可能に選択することができる。
【0051】
本明細書に記載の例では、モータの界磁巻線が、低温冷却された従来の、又は高温超伝導非同期機械の一部であり得る。これは高価な磁石を必要としないという利点を有するが、極低温又は高温超伝導巻線の高い磁場密度能力も使用する。次いで、モータのステータは、異なる燃料電池動作条件を反映する一定の又は段階的な(電力需要に応じて)電流密度で駆動され得る。そのような条件は例えば、離陸又は離陸のための緊急電源又は1つのエンジン動作不能(OEI)条件を除くすべての条件に対する公称電源であってもよい。可変周波数駆動を有する非同期マシンの使用は、ロータトルクや速度ベクトルが、乗り物の要求に適合するよう修正可能であることを意味する。これはまた、エネルギー回収及び逆速度動作をサポートすることができる。従って、この構成は、本明細書に開示されるモータ駆動システムのユーザにかなりの量の制御を提供する。
【0052】
本発明では、スタックに空気冷却を使用するのではなく、酸化剤が冷却機構として使用される。これは、より複雑でなく、より小さく、より軽いスタックをもたらす。酸化剤が冷却機構として使用されるので、推進ガス経路は中断されず、従って、装置はより高い効率で動作する。極低温燃料は、反応物(極低温燃料からのガス)及び酸化剤の一方又は両方が冷却機能を提供することを可能にするために使用される。
【0053】
本発明の解決策では、熱を流れの中に放散させるために、カウリングへのガス経路の境界上において表皮熱交換器が使用される。これは、空気力学的損失を伴わずに、流れエネルギーを増加させる効果を有する。冷却剤が本明細書に開示されるモータ駆動システムの様々な要素を冷却することから加熱されると、得られる非冷却剤は、燃料電池(又は燃料電池スタック)のための燃料として使用され得る。これにより、装置の全体的な効率がさらに向上する。
【0054】
図1の構成の92%とは対照的に、本明細書に記載のシステムによって提供される効率は、99.8%と高い。従って、これは、現代のシステムにおける著しい改善である。これは、推進力を生成するために必要な資源の低下を直接的にもたらし、従って、モータ駆動システムが通過する環境を直接的に改善する。同様に、示された構成は、モータ駆動システムのユーザにとって著しい経済的利益を有する。
【0055】
従って、本明細書では燃料電池と、燃料電池に電気的に接続されたモータと、冷却剤を収容するように構成された極低温システムとを備え、燃料電池はモータに電流を出力するように構成され、極低温システムは使用時に、極低温システム内に収容された冷却剤を燃料電池に提供するように構成されるモータ駆動システムが提供される。システムの構成要素は、航空機内の様々な場所に配置することができる。例えば、駆動システムにおける凍結を回避することが有利である。従って、駆動システムの要素の位置は、凍結を防止するために考慮されるべきである。
【0056】
航空機内のモータ駆動システムの配置は、航空機の高温熱領域及び低温熱領域などの他の効果を利用することを可能にすることができる。例えば、高温領域はシステムの一部に(例えば、凍結を回避するために燃料電池に)熱エネルギーを提供するために使用することができ、一方、より低温の領域はシステムから熱エネルギーを除去するために(例えば、効率を高めるために電子部品を冷却するのを助けるために)使用することができる。
【0057】
さらに、電力を供給するための燃料電池の使用は通常の燃焼機関によって生成される有害なガス状排出物とは対照的に、H2Oの排出物のみをもたらす。このH2Oは、航空機内で、飲用又は非飲用H2Oとして捕捉され、使用され得る。
【0058】
本明細書に記載の構成は例えば、推進力を生成するためのプロペラ又はプロペラ構成などを含むことができる航空機推進装置の一部であってもよい。
【国際調査報告】