(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-05
(54)【発明の名称】着香用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/33 20060101AFI20230529BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20230529BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20230529BHJP
A61K 8/03 20060101ALI20230529BHJP
【FI】
A61K8/33
A61Q13/00 102
A61K8/31
A61K8/03
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566003
(86)(22)【出願日】2021-04-30
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 FR2021050749
(87)【国際公開番号】W WO2021219968
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】302071210
【氏名又は名称】エルヴェエムアッシュ ルシェルシュ
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャンプルドンド、エロディ
(72)【発明者】
【氏名】ブシャール ド ラ ポテリー、ヴァレリー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC212
4C083AC302
4C083AC312
4C083AC812
4C083BB14
4C083BB41
4C083KK03
(57)【要約】
本発明は、a)少なくとも50質量%の水、b)10質量%未満のエタノール、c)少なくとも3質量%の香料コンセントレート、およびd)アルカンから選択される少なくとも1つのオイル、ならびにd)0.1質量%未満の乳化剤を含み、百分率が組成物の質量に対して表される、液体の着香用化粧品組成物を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも50質量%の水、b)10質量%未満のエタノール、c)少なくとも3質量%の香料コンセントレート、およびd)アルカンから選択される少なくとも1つのオイル、ならびにd)0.1質量%未満の乳化剤を含み、前記百分率が組成物の質量に対して表される、液体の着香用化粧品組成物。
【請求項2】
前記アルカンオイルが組成物の1質量%から10質量%まで、好ましくは2質量%から7質量%まで、より良好には2.5質量%から5%までに相当することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
8質量%から12質量%までの香料コンセントレート、1質量%から5質量%までのアルカンオイル、および水を、香料コンセントレート、オイルおよび水の濃度の総和が99質量%超であるように含有する(ただし、前記百分率は組成物の質量に対して表される)ことを特徴とする、前記請求項の1つに記載の組成物。
【請求項4】
前記オイルが、C8~C19アルカン、水素化ポリイソブテン、スクアラン、ヘミスクアラン、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、前記請求項の1つに記載の組成物。
【請求項5】
前記アルカンオイルと前記香料コンセントレートとの間の質量比が1:10から2:1までの範囲であることを特徴とする、前記請求項の1つに記載の組成物。
【請求項6】
前記オイルが、
・分枝状C8~C16アルカン、例えば、C8~C16イソ-アルカン、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカンなど、
・C9~C17、C10~C14、C15~C19、C9~C12、C12~C14、n-ドデカン(C12)、n-テトラデカン(C14)における炭化水素鎖を有する直鎖状または分岐状のアルカン、
・スクアラン、ヘミスクアラン、
・分子量が250g/mol未満である炭化水素、例えば、水素化ポリイソブテンなど、
・およびそれらの混合物
から選択されることを特徴とする、前記請求項の1つに記載の組成物。
【請求項7】
前記アルカンオイルが揮発性であることを特徴とする、前記請求項の1つに記載の組成物。
【請求項8】
組成物の質量の0.05質量%未満の界面活性剤、より好ましくは0.01質量%未満の界面活性剤を含むことを特徴とする、前記請求項の1つに記載の組成物。
【請求項9】
組成物の質量に対して少なくとも60質量%の水、好ましくは少なくとも65質量%の水、より良好には少なくとも70質量%の水を含むことを特徴とする、前記請求項の1つに記載の組成物。
【請求項10】
エタノール含有量が5質量%以下である、好ましくは2質量%以下であることを特徴とする、前記請求項の1つに記載の組成物。
【請求項11】
エタノールを含まないことを特徴とする、前記請求項の1つに記載の組成物。
【請求項12】
放置したとき、2つの視覚的に区別できる相を有することを特徴とする、前記請求項の1つに記載の組成物。
【請求項13】
塗布手段および包装手段を備えるバイアルであって、前記包装手段が前記請求項の1つに記載の着香用組成物を含有する、バイアル。
【請求項14】
請求項1~12の1つに記載の化粧品組成物を個人の角質または衣類に塗布するステップを含む化粧プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、含有される香料コンセントレートの含有量、および発するノートに依存して、オードトワレ、オーデコロン、パフュームエクストラクト、エスプリドゥパルファムまたはオーデパルファムであることがある新規な着香用化粧品組成物に関する。本発明の着香用組成物は、香料コンセントレートの嗅覚的忠実度、塗布後の経時的な感じられたノートの持続性、触れてべとつき感がないこと、および噴霧性などの優れた特性を有する。
【0002】
水を含有する着香用組成物を製造するために、香料コンセントレートを水に分散させることは、香料コンセントレートが加水分解し、禁制的臭気を生じさせるために、すなわち、香料コンセントレートに存在する様々な分子のエステル官能基が水の存在下で加水分解して、これらの官能基に特徴的な酢酸臭を生じさせる酸を形成するために不可能である。このことが、水・アルコール性の着香用組成物を調製するために、香料コンセントレートがエタノールなどのアルコールに溶解され、その後、水に分散させられる理由である。
【0003】
しかしながら、アルコールの使用は、アルコールの使用に伴う不耐性、アレルギー、過敏、一部の使用者での日光過敏のリスク、および安全性リスクのために疑問視されている。加えて、ある種の宗教上の習慣がその使用を禁止している。
【0004】
アルコール非含有の着香用組成物を調製する第1の方法が、香料コンセントレートを水に分散させるための他の化合物、例えば、可溶化剤および乳化剤を使用することである。しかしながら、可溶化剤および乳化剤は、製造物の嗅覚的特性および官能的特性に対する負の影響を有しており、そのため、嗅覚的ノートが時間とともに変化する場合があり、また、組成物の感触がべとつき感覚を与える場合がある。これらの欠点を回避するために、香料コンセントレートの可溶化剤および乳化剤は少量で使用されなければならず、このため、香料コンセントレートに導入することができる香料コンセントレートの割合が制限される。このことが、可溶化剤、乳化剤および少量の香料コンセントレート(典型的には2%前後)を含有する仏国特許出願FR2952531に記載されるアルコール非含有組成物には当てはまる。
【0005】
着香用組成物におけるアルコールを、香料コンセントレートの安定性を維持しながら排除する第2の方法が、水を排除することである。無水アルコールを含まない着香用組成物は、油状組成物、棒状物、粉末またはエッセンスである。これらの製造物は、従来のアルコール性組成物または水・アルコール性組成物とは非常に異なる粘性の固体質感または液体質感を有している。これらの組成物は噴霧できず、衣類を汚す可能性があり、また、皮膚への直接的塗布によって使用することができるだけであり、このことが実際の使用制限の一因となっている。そのため、これらの組成物は、包装および塗布所作を適合させることを、消費者によって常に受け入れられるとは限らないが、必要としている。加えて、そのような組成物は油状として知覚され、新鮮味を何らもたらしていない。
【0006】
上記で列挙されるすべての短所を考慮して、高含有量の香料コンセントレートと、低下した、またはゼロでさえある含有量のエタノールとを含有し、先行技術の組成物の官能的特性と同等以上である官能的特性を有する水性の着香用組成物を提供することが求められている。
【0007】
特に、高レベルの香料コンセントレートを含有する着香用組成物であって、良好な拡散強度および/または良好な持続性を有し、噴霧可能であり、その嗅覚的同一性が、香料コンセントレートの分解を伴うことなく経時的に安定しており、かつ/またはその感触が脂っぽくなく、べとついていない着香用組成物を提供することが依然として求められている。本発明は、前述の目的の少なくとも1つを達成することを目指している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【0009】
したがって、本発明は、a)少なくとも50質量%の水、b)10質量%未満のエタノール、c)少なくとも3質量%の香料コンセントレート、およびd)アルカンから選択される少なくとも1つのオイル、ならびにd)0.1質量%未満の乳化剤を含み、百分率が組成物の質量に対して表される、液体の着香用化粧品組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の組成物および対照物の嗅覚的強度(MD BB)の、T0、T1およびT2での経時的進展を示す。
【
図2】
図2は、本発明の組成物および対照物の嗅覚的忠実度(MD BB)の、T0、T1およびT2での経時的進展を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態の説明)
「着香用組成物」(perfuming composition)または「香料」(perfume)は、皮膚、毛髪または衣類に噴霧または塗布された後の個人に香りをつけるために意図される液体形態での製造物として定義される。そのような製造物は塗布後、水洗いにより落ちない。したがって、着香用組成物は、着香された(perfumed)組成物と区別される。化粧品組成物に、化粧品組成物が着香性であることなしに、香りをつけることができる。
【0012】
本発明の関連において、用語「・・・から まで」(from...to)は、値範囲の境界を除外することが意図される用語「・・・と との間」(between...and)とは異なり、値範囲の境界を包含することが意図される。好ましくは、本発明による組成物は、放置したとき、2つの視覚的に区別できる相を有する。
【0013】
本発明による組成物は、放置したときには不混和性である2つの視覚的に区別できる相であって、撹拌によって容易に混ざって、均一な塗布を可能にし、撹拌を停止した後では迅速に相分離して、それらの最初の状態に戻る2つの視覚的に区別できる相(好ましくは水相および油性相)を含む二相形態であることが可能である。好ましくは、組成物は、好ましくは明瞭な界面を有する視覚的に区別できる2つの重なり合った相を有する。より好ましくは、これらの相の一方が、好ましくは両方の相が透明である。
【0014】
組成物は、「着香用コンセントレート」とも呼ばれる香料コンセントレートを含有する。香料コンセントレートは、例えば、「香料」の名称のもとでの販売のために利用可能である着香用組成物の成分のリストにそのINCI名が収載されている化合物から選択される場合がある。香料コンセントレートは、室温において少なくとも部分的に揮発性である化合物で、その香りが検出される化合物、またはそのような化合物の混合物である。精油から構成される香料コンセントレートは、その完全な嗅覚的潜在性を現すために、すなわち、揮発性が互いに非常に異なる臭気有機化合物の存在によって左右される、皮膚に塗布された後の日中に変化する知覚を現すために必ず希釈されなければならない。香料コンセントレートの開発は、トップノート、ハートノートおよびベースノートを着香用組成物に与えるために、いくつかの着香用物質を組み合わせることからなる。本発明の関連において使用される香料コンセントレートは好ましくは、主にトップノートおよびハートノートを含む。
【0015】
香料コンセントレートは、天然または合成の有機着香用物質から調製される。
【0016】
天然起源の着香用物質には、例えば、花、茎および葉、果実、果皮、根、木材、ハーブおよび草、樹脂および芳香性植物(balm)の抽出物が含まれる。これらの植物系着香用物質は、精油、例えば、ベルガモット、バラ、ラベンダー、ビャクダン、カルダモン、セージ、カモミール、クローブ、レモンバーム、ミント、シナモン葉、ジュニパー、ベチベルソウ、オリバナム、ガルバナムおよびラブダナムのエッセンスなどであることが可能である。
【0017】
合成起源の着香用物質には、例えば、ヘジオン、エチレンブラシラートおよびハバノリド、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、酢酸p-tert-ブチルシクロヘキシル、酢酸シトロネリル、ギ酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸ジメチル-ベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、エチルメチルフェニルグリシナート、プロピオン酸アルキルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリルおよびサリチル酸ベンジル、ベンジルエチルエーテル、8個~18個の炭素原子を有する直鎖アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、イオノン類(例えば、アルファ-イソメチルイオノンなど)、ならびにメチルセドリルケトン(methylcedrylketone)、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール、テルピネオール、テルペン類が含まれる。これらの化合物は多くの場合、これらの臭気物質の2つ以上の混合物の形態である。
【0018】
嗅覚的ノートは多くの場合、どのように感じさせたいかを消費者が知ることを可能にする様々な一群に分類される。例えば、柑橘香料、アロマティック、フローラル香料、ムスク香料、フルーティー香料、スパイシー香料、オリエンタル香料、マリン香料、アクアティックノート、シプレー香料、木質香料、シダ、レザー、およびそれらの混合物が挙げられる場合がある。
【0019】
香料コンセントレートは、組成物の質量の少なくとも3質量%、好ましくは少なくとも4質量%、例えば、少なくとも5質量%、より好ましくは少なくとも6質量%、7質量%または8質量%、より良好には少なくとも10質量%、11質量%、12質量%、13質量%または14質量%、一層より良好には少なくとも15質量%に相当する。
【0020】
香料コンセントレートの濃度は、3質量%から40質量%までの範囲、または3質量%と40質量%との間の範囲であることが可能である。香料コンセントレートの濃度は好ましくは、組成物の質量の4質量%から38質量%まで、または5質量%から35質量%まで、例えば、7質量%から30質量%まで、または10質量%から25質量%までの範囲である。1つの実施形態において、香料コンセントレートは組成物の質量の5質量%から15質量%までに相当する。
【0021】
組成物のエタノール含有量は組成物の質量に対して10質量%未満であり、好ましくは5未満%であり、一層より好ましくは2%未満である。組成物は好ましくはエタノールを含んでいない(ただし、エタノールは、様々な成分を混合することによって着香用組成物を調製する期間中に加えられる)。微量のエタノールが使用成分のいくつかに存在することは排除され得ない。
【0022】
本発明の組成物は、組成物の嗅覚的特性および官能的特性を低下させ得るかもしれない乳化剤(例えば、界面活性剤または乳化性ポリマーなど)を0.5質量%未満で含有し、好ましくは0.1質量%未満で含有する。本発明の組成物は好ましくは、0.05質量%未満の乳化剤を含有し、一層より好ましくは組成物の0.01質量%未満を含有する。1つの特に好ましい態様によれば、組成物は乳化剤を含まない。
【0023】
特に、組成物は、0.5質量%未満の、好ましくは0.1質量%未満の1つまたは複数の非イオン性界面活性剤、すなわち、-CH2CH(OH)CH2-および-OCH2CH2-から選択される少なくとも5つの構成単位を含むポリオキシアルキレン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン化合物およびポリオキシプロピレン化合物など)を含む。これらの界面活性剤の中でも、ポリオキシアルキレンエーテル(例えば、セチルエーテルPOE(10)など)、ポリオキシアルキレンエステル(例えば、水素化ひまし油PEG-40またはソルビタンモノラウラートPOE(20)など)、ポリオキシエチレンアルキルフェノールの縮合物、エチレンオキシドと、プロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物との縮合物、ポリエトキシル化アルコール、ポリソルベート、ならびにジメチコンコポリオールが挙げられる場合がある。組成物は好ましくは非イオン性界面活性剤を含まない。
【0024】
乳化性ポリマーは、両親媒性ポリマーとして、すなわち、少なくとも1つの親水性部分と、少なくとも1つの疎水性部分とが備わる両親媒性ポリマーとして定義される。エマルションを形成させ、安定化させることを助け得るであろう様々な親水性基および疎水性基が、当業者には広く知られている。乳化性の両親媒性ポリマーの例として、AMPSに基づくポリマーおよびコポリマー、架橋または非架橋のポリアクリル酸/アルキルアクリラートコポリマー、特にアクリラート/C10~C30アルキルアクリラートコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられる場合がある。組成物は好ましくは、0.5質量%未満の、好ましくは0.1質量%未満の1つまたは複数の乳化性ポリマーを含む。
【0025】
組成物は好ましくは、どのような乳化剤であれ乳化剤を含んでいない。
【0026】
オイルが、アルカン(好ましくは直鎖状または分岐状のC8~C19アルカン)、水素化ポリイソブテン、スクアラン、ヘミスクアラン、およびそれらの混合物から選択される。アルカンは、炭素および水素から構成される化合物として定義される。
【0027】
好ましくは、アルカンオイルは揮発性である。「揮発性オイル」は、下記のプロトコルに従って、その質量の20質量%超を15分後において、その質量の40質量%超を30分後において、かつ、その質量の70質量%超を60分後において失っているオイルとして定義される。
【0028】
20mgの試験されるオイルが、微量ピペットおよび精密天秤を使用して5cm×5cmのPMMAプレートにおいて重量測定される。この試験材がプレート全体に指で広げられる。その後、試験材は、25℃および50%湿度で温度調節される換気された閉鎖容器に置かれる。それぞれの試験材について、試験が3回行われる。乾燥期間中の質量減少が、15分後、30分後および60分後に測定される。減少質量が以下の計算に従って表される:
【数1】
式中、mtxは、測定時間(t15分、t30分またはt60分)において残留する質量に対応し、mt0は、最初に加えられた質量に対応する。
【0029】
オイル揮発性の測定値が時間(分)で表される。したがって、当業者は、時間に対するその質量減少をモニターするためのこの試験に基づいて、本発明のために好適であるオイルを定義することができるであろう。
【0030】
アルカンオイルとして、特に下記のものが挙げられる場合がある:
-分枝状C8~C16アルカン、例えば、C8~C16イソ-アルカン(これはイソパラフィンとも呼ばれる)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、および、例えば、IsoparまたはPermetylの商品名のもとで販売されるオイル、
-下記における炭化水素鎖を有する直鎖状または分岐状のアルカン
-C9~C17、C10~C14、例えば、BASF Care CreationsによってCetiol(登録商標)Ultimateの名称のもとで上市される、ウンデカンとトリデカンとの混合物など、
-C15~C19、例えば、SeppicによってEmogreen(登録商標)L15の名称のもとで上市されるものなど、
-C9~C12、C12~C14、例えば、BIOSYNTHISによってVegelight(登録商標)Silk(INCI名:C9-12アルカン)、Vegelight(登録商標)1214LCの名称のもとで上市されるものなど、
-n-ドデカン(C12)およびn-テトラデカン(C14)、特に、Sasolによって参照PARAFOL(登録商標)12-97および参照PARAFOL(登録商標)14-97のもとでそれぞれ販売されるもの、ならびにそれらの混合物。
【0031】
同様に、植物起源、鉱物起源または合成起源のスクアラン、ヘミスクアラン、例えば、植物由来のヘミスクアラン(例えば、Amyris社によって参照Neossance(登録商標)ヘミスクアランのもとで上市される植物由来ヘミスクアランなど)、植物由来のスクアラン(例えば、Squalive(登録商標)の名称のもとでBiosynthis社によって上市される植物由来スクアラン)、またはそれどころか、炭化水素、例えば、分子量が250g/mol未満である水素化ポリイソブテン(例えば、水素化ポリイソブテンのINCI名を持つ水素化ポリイソブテンなど、例えば、NOF CORPORATION社によって販売される、Parleam(登録商標)の商品名を有する製造物(特にPARLEAM(登録商標)3の商品名を有する製造物)、またはPolysynlane(登録商標)4の商品名を有する製造物、それらの混合物など)なども挙げられる場合がある。
【0032】
アルカンオイルは好都合には、香料コンセントレートを可溶化するために十分な量で存在する。
【0033】
アルカンオイルは好ましくは、組成物の質量の多くても20質量%、好ましくは多くても15質量%、より好ましくは多くても10質量%、特に好ましくは多くても5質量%に相当する。アルカンオイルは、1質量%から10質量%までの範囲、または1質量%と10質量%との間の範囲であることが可能である。アルカンオイルは好ましくは、組成物の質量の1質量%から8質量%までの範囲、または2質量%から7質量%までの範囲、さらにより良好には2質量%から5質量%までの範囲である。1つの実施形態において、組成物は、揮発性アルカンオイルをいくつか含有するときには、1質量%から5質量%までの揮発性アルカンオイルまたは揮発性アルカンオイル混合物を含有する。
【0034】
アルカンオイルと香料コンセントレートとの質量比が好都合には、1:20、1:10、1:5からなる群から選択される最小値よりも大きく、3:1、2:1、1:1、および1:2からなる群から選択される最大値よりも小さい。1つの実施形態において、アルカンオイルと香料コンセントレートとの質量比は、1:10から2:1までの範囲、または1:5から1:1までの範囲である。
【0035】
本発明による組成物は、少なくとも50質量%の水、好ましくは少なくとも60質量%の水、より良好には少なくとも65質量%の水を含む。したがって、組成物の含水量が、組成物の質量に対して70質量%、75質量%、80質量%または85質量%に等しい最小値よりも大きい場合がある。含水量は、例えば、組成物の質量の75質量%から95質量%までの範囲である。
【0036】
水、香料コンセントレートおよびアルカンオイルの質量百分率の総和が組成物の質量の95質量%以上であること、より好ましくは組成物の質量の98質量%よりもさらに大きいことが好ましい。
【0037】
好都合には、本発明の組成物は、水、香料コンセントレートおよびアルカンオイルから本質的になる。「から本質的になる」によって、水、香料コンセントレートおよびアルカンオイルの百分率の総和が98質量%以上であること、またはそれどころか99質量%以上であることが意味される。
【0038】
上記で記載される成分に加えて、組成物は、着色剤、防腐剤、pH調整剤、電解質、UVフィルターおよび酸化防止剤から選択される少なくとも1つの化粧品許容成分を含有する場合がある。
【0039】
これらの追加成分は、着香用組成物の香りを変化させないように嗅覚的に中性でなければならず、また、色の変化、すなわち、安定性の様々な問題に伴う乱れの出現を生じさせてはならない。
【0040】
化粧用活性薬剤が、例えば、スキンケア作用を有するものから、例えば、老化防止活性薬剤、保湿剤、またはどのような他の化粧活性薬剤であれ、本発明の組成物への添加により、皮膚のための有益な効果を、組成物の官能的特性を保ちながら得ることが可能である他の化粧活性薬剤などから都合よく選択することができる。
【0041】
着色剤には、例えば、カラメル、Yellow 5、Acid Blue 9/Blue 1、Green 5、Green 3/Fast Green FCF 3、Orange 4、Red 4/Food Red 1、Yellow 6、Acid Red 33/Food Red 12、Red 40、コチニールカルミン(CI15850、CI75470)、Ext.Violet 2、Red 6-7、フェロシアン化第二鉄、各種ウルトラマリン、Acid Yellow 3/Yellow 10、Acid Blue 3、Yellow 10がある。脂溶性色素には、例えば、Sudan Red、D&C Red 17、D&C Green 6、ベータ-カロテン、ダイズ油、Sudanブラウン、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエロー、アナトーがある。着色剤は一般には、着香用組成物の質量の0.01質量%から1質量%まで、好ましくは0.05質量%から0.5質量%までに相当する。
【0042】
酸化防止剤および防腐剤の中でも、例えば、アスコルビン酸、ジ-tert-ブチル-p-ヒドロキシトルエン(これはBHTまたは2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾールとも呼ばれる)、BHA(tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール)、トコフェロール類(例えば、ビタミンEなど)、トコフェロール誘導体(例えば、酢酸トコフェリルなど)、没食子酸およびその誘導体、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ヒドロキシアセトフェノン、およびクロロフェネシンが挙げられる場合がある。
【0043】
特定の実施形態によれば、着香用組成物は、8%から12%までの香料コンセントレート、1%から5%までのアルカンオイル(1つまたは複数)、および水を、香料コンセントレート、アルカンオイル(1つまたは複数)および水の濃度の総和が99%超であるように含有する(この場合、百分率は、組成物の質量に対する質量比で表される)。
【0044】
組成物は必要に応じて、上記で記載される成分に加えて、追加の油状化合物、増粘剤または粉末を含有する場合がある。本発明の1つの実施形態において、本発明の組成物には、これらの成分のどれもが含まれない。
【0045】
組成物は、水相と、脂肪相とを含有し、この場合、脂肪相はアルカンオイルおよび香料コンセントレートを含有する。脂肪相は、1質量%未満の、好ましくは0.1質量%未満の追加の油状化合物を含有することが好ましい。
【0046】
着香用組成物は、塗布手段を必要に応じて備える容器において包装される場合がある。塗布手段は、噴霧手段、ボールまたはキャップであることが可能である。
【0047】
本発明はまた、塗布手段と、包装手段とを備え、上記で記載される組成物を含有するバイアルに関する。包装手段は好ましくは、同様に好ましくは透明である本発明の組成物を見せるために透明である。塗布手段は、手動ポンプ、ボールまたはキャップであることが可能である。組成物は、様々な加圧デバイスを使用して微細な液滴の形態で塗布することができる。これらのデバイスは当業者には広く知られており、非エアロゾルポンプまたは「アトマイザー」、噴射剤を含むエアロゾル容器、同様にまた、圧縮空気を噴射剤として使用するエアロゾルポンプが挙げられる。
【0048】
本発明の組成物およびバイアルは、オードトワレ、オーデコロン、パフュームエクストラクト、ヴォワルドゥパルファン、エスプリドゥパルファムまたはオーデパルファムの形態である場合がある。当業者の知識によれば、オーデコロンは一般には3%から8%までの香料コンセントレートを含有し、オーデトワレは一般には5%から15%までの香料コンセントレートを含有し、オーデパルファムは一般には12%から20%までの香料コンセントレートを含有し、パフュームエクストラクトまたはエスプリドゥパルファムは一般には15%超の香料コンセントレートを含有し、ヴォワルドゥパルファンは一般には5%から8%までの香料コンセントレートを含有する(この場合、百分率は、組成物の質量に対する質量比で表される)。
【0049】
本発明の別の目的が、上記で記載される化粧品組成物を個人の角質または衣類に塗布するステップを含む化粧プロセスである。このプロセスは、個人の皮膚または毛髪に香りをつけるためのプロセスであって、上記で記載される組成物を、噴霧手段を使用して個人の皮膚または毛髪に塗布することにあるプロセスであることが可能である。組成物はまた、衣類に塗布することができる;しかしながら、組成物を皮膚に対して、好ましくは、顔でない身体の一部において直接に塗布することが好ましい。本発明が下記の実施例によってより詳しく例示されるであろう。
【実施例】
【0050】
実施例1:本発明による着香用組成物の嗅覚的忠実度および持続性の評価
下記の着香用組成物を本発明に従って調製した。
【0051】
【0052】
水相および脂肪相の原料をそれぞれ、秤量し、混合し、その後、脂肪相を水相に注いだ。
【0053】
着香用組成物は、噴霧デバイスを備えるバイアルにおいて包装される。組成物は、放置すると、二相の形態であるように見え、その2つの不混和性の透明な相は視覚的に区別できる。
【0054】
この組成の組成物を均質化するために手で撹拌した後で、後者は、噴霧デバイスを含むバイアルにおいて包装される。
【0055】
本発明による組成物の嗅覚的忠実度および強度(持続性)が、着香された化粧品組成物または着香用化粧品組成物の感覚的品質の客観的特徴づけおよび記述的特徴づけにおいて経験を有する4名の専門家集団によって評価される。
【0056】
「フローラル」タイプであり、かつ、持続性が中程度である市販の香水で、79%のエタノール(MISS DIOR BLOOMING BOUQUET(登録商標))およびフローラルな香料コンセントレートを含有する香水が、参照物として使用される。本発明の本実施例は、参照物の香料コンセントレートと同じ香料コンセントレートを用いて調製される。
【0057】
それぞれの製造物について、強度および忠実度が、皮膚への塗布直後(T0)において、その後は6時間後(T1)および8時間後(T2)において評価される。それぞれの評価基準について、専門家はスコアを0~9(最適スコア)のスケールで与える。
【0058】
プロトコルは以下の通りである:
-本発明の組成物の1回だけの噴霧が、腕からおよそ5cmで、専門家の一方の前腕の皮膚に適用され、同じ適用が参照物により他方の前腕に行われる。
-T0での評価の後、これら2つの香水塗布皮膚領域は摩擦から保護される。
-T1において、その後はT2において、これらの同じ評価基準が再び評価される。
【0059】
【0060】
C9~C12アルカンを用いた試験は、持続性が6時間後および8時間後において対照物よりも大きい。その場合、T0において対照物よりも融合が少なく、かつ、新鮮味が少ない。C9~C12アルカンを用いた試験の対照物に対する精度は経時的に一定している。
【0061】
実施例2
下記の着香用組成物を本発明に従って調製した。
【0062】
【0063】
本実施例で使用される香料コンセントレートは、市販製品であるMISS DIOR BLOOMING BOUQUET(登録商標)を調製するために使用されるものと同じである。
【0064】
水相および脂肪相の原料をそれぞれ秤量し、混合し、その後、脂肪相を水相に注いだ。
【0065】
着香用組成物は、噴霧デバイスを備えるバイアルにおいて包装される。組成物は、放置すると、二相の形態であるように見え、その2つの不混和性の透明な相は視覚的に区別できる。
【0066】
この組成の組成物を均質化するために手で撹拌した後で、後者は、噴霧デバイスを含むバイアルにおいて包装される。
【0067】
したがって、組成物は、嗅覚的同一性がアルカンオイルの存在によって変わることなく皮膚または衣服に噴霧される。
【0068】
実施例3および4
下記の4つの組成物を調製した:仏国特許出願FR2952531に記載される先行技術による2つの処方物、および本発明による2つの組成物。
【0069】
【表3】
比較処方物1および比較処方物2は、こもった(thick)質感を有し、不透明な白色であり、一方、実施例3および実施例4の組成物は噴霧可能で、透明である。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも50質量%の水、b)10質量%未満のエタノール、c)少なくとも3質量%の香料コンセントレート、およびd)アルカンから選択される少なくとも1つのオイル、ならびにd)0.1質量%未満の乳化剤を含み、前記百分率が組成物の質量に対して表される、液体の着香用化粧品組成物。
【請求項2】
前記アルカンオイルが組成物の1質量%から10質量
%までに相当す
る、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
8質量%から12質量%までの香料コンセントレート、1質量%から5質量%までのアルカンオイル、および水を、香料コンセントレート、オイルおよび水の濃度の総和が99質量%超であるように含有する(ただし、前記百分率は組成物の質量に対して表される
)、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記オイルが、C8~C19アルカン、水素化ポリイソブテン、スクアラン、ヘミスクアラン、およびそれらの混合物から選択され
る、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルカンオイルと前記香料コンセントレートとの間の質量比が1:10から2:1までの範囲であ
る、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記オイルが、
・分枝状C8~C16アルカン、例えば、C8~C16イソ-アルカン、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカンなど、
・C9~C17、C10~C14、C15~C19、C9~C12、C12~C14、n-ドデカン(C12)、n-テトラデカン(C14)における炭化水素鎖を有する直鎖状または分岐状のアルカン、
・スクアラン、ヘミスクアラン、
・分子量が250g/mol未満である炭化水素、例えば、水素化ポリイソブテンなど、
・およびそれらの混合物
から選択され
る、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記アルカンオイルが揮発性であ
る、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の質量の0.05質量%未満の界面活性
剤を含
む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の質量に対して少なくとも60質量%の
水を含
む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
エタノール含有量が5質量%以下であ
る、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
エタノールを含まな
い、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
放置したとき、2つの視覚的に区別できる相を有す
る、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
塗布手段および包装手段を備えるバイアルであって、前記包装手段が
請求項1に記載の着香用組成物を含有する、バイアル。
【請求項14】
請求項1に記載の化粧品組成物を個人の角質または衣類に塗布するステップを含む化粧プロセス。
【国際調査報告】